2019-03-27 14:01:57 更新

概要

思ってたんと違う


前書き

この作品には、
・例のアレ
・gdgd
・文章構成が頭お菓子なるで
などが含まれてるっぽい!ブラウザバック推奨!


ーーじゃあ、まず年齢を教えてくれるかな?

「24歳です」

ーー24歳?もう働いてるの?じゃあ……

「提督です」

ーー提督?……あっ、ふーん(察し)


・・・


「ぬわあああん疲れたもおおおおん」

「インタビューお疲れ様!司令官、お疲れのようね!……雷の胸、空いてるわよ?」

「いらんわ。てかなんでいるんだよ、ここ大本営だぞ?」

「尾行してきたわ!」

「そんな誇らしげに言うな」

軽く小突く。

「あうっ」

やっぱり雷は可愛いなぁ……。じゃなくて!

「……1人で帰れるか?」

「もう、何言ってるのよ!私も一緒に行動するに決まってるじゃない!」

だよなぁ。

「ダメです」

「ダメなの……?」

……その上目遣いはあかんて。


・・・


とりあえず元帥に報告。

「……で、そこの雷くんも一緒に滞在させたいと」

「はい」

元帥は髭を弄りながら。

「ふむ……。ま、いいんじゃないか?ケッコン艦だし」

「ありがとうございます」


・・・


「雷、とりあえず部屋に案内するから」

「分かったわ!」


・・・


「……よし、ここだ。まあ、学生時代の俺の部屋だった場所なんだが……。寮にしては広くて3LDKだ」

「へえ、懐かしいの?」

「そりゃあな。入って、どうぞ」


・・・


「……うん、掃除忘れてた」

部屋に1歩踏み込むと、それだけでアレルギー反応を起こしてしまいそうな埃が。

「……もっと私に頼っていいのよ?」

「……ごめんな」


・・・


掃除をすること1時間。

「……一先ずはこれでOKか」

「お疲れ様!膝枕してあげましょっか?」

膝枕、抗い難いその響き。

「……遠慮しとくよ。雷も疲れてるだろ?」

だが、ここは男の意地で堪える。掃除をしていたのは自分だけではなく、雷も手伝ってくれていたのだから。

「もう、私のことなんて別にいいのに……」

「それじゃあ俺がダメなんだよ。ごめんな」

「……余計なお世話だったわね、ごめんね」

寂しそうに笑う雷に、良心の呵責が。

「……あー、やっぱり膝枕してほしいなー」

白々しくそう呟くと。

「ホントに!?」

さっきまでとは打って変わっていつもの様に明るい笑顔で聞いてくる。

「ホントだホント。頼めるか?」

雷は、心底嬉しそうに。

「任されたわ!」

と言うのであった。


・・・


膝枕をしてもらいながら。

「さて、現状の説明だ。俺は大本営に呼び出され、唐突なインタビューを受けさせられた。ここまでは分かるな?」

「ええ、ずっと尾行してたもの」

「で、この後のことなんだが……」

すると、雷が誇らしげに。

「お風呂ね!」

「いやまあそうなんだけどそうじゃない」

「あれ、違った?」

首を傾げる雷。挙動がいちいち可愛いのはご愛嬌。

「明日の予定だよ。色々手続きしなきゃならないんだ」

「大変そうね、私も手伝うわ!」

「ごめんな、それはダメなんだ。俺が云々じゃなくて、規定で決まってるから」

「なら仕方ないわね、ここで司令官が帰ってくるのを待ってるわ!」

口では明るくそう言うものの、目が笑ってない。

「……怒ってるのか?」

「あら、バレちゃった?」

「そりゃ、ずっと一緒にいるし……」

すると、雷の目がふっと優しくなる。

「……ふふ、その一言が聴けただけで充分よ」

……明日はできるだけ早く仕事を終わらせて戻ってこよう、そう肝に銘じた。


・・・


「司令官、朝よ!起きて頂戴!」

「……ん、早いな。雷はまだ寝てていいんだぞ?」

「もう、またそんなこと言って!そんなんじゃダメよ!夫婦なんだから、ね」

照れてはにかみながら耳元で囁かれる。

「……そうだな、俺の気遣いが足りなかった。ごめんな」

少し舌っ足らずなこの甘いボイスの前には、どんな男も腑抜けにされてしまうだろう。そして、それは俺も例外ではない。

「あ、忘れてた。おはよう、雷」

「えへへ、おはよう司令官!」


・・・


「……そろそろ時間だな。頼むから大人しく待っててくれよ?」

「分かってるわよ、任せなさい!」

「じゃ、いってきます」

「いってらっしゃい、司令官!」


・・・


「……あの、元帥?」

「……な、なんだね?」

「どうして部屋の前にいらっしゃるので?場合によっては憲兵に……」

「違うんだ提督くん、君は誤解をしている」

「と言いますと?」

「別に私は盗み聞きに来た訳ではなく、君を起こしに……」

「じゃあ、その右手の紙コップは?」

「うっ……。分かった、観念しよう。私だって甘い話くらい聴きたいときもある」

「はぁ……」

「でも、君に直接聞くのは恥ずかしいじゃないか」

「まぁ、そりゃそうでしょうね」

「……という訳で、これを使って」

「盗み聞きをしていた、と。元帥がそんな感じじゃ、軍に纏まりが無くなりますよ?」

「ぬぅ、面目ない……」


・・・


「では提督くん、早速だが……」

「何でしたっけ」

「インタビューだよ、また」

「は、まだやるんですか?」

「今度はドキュメンタリー番組用だ。協力してはくれないだろうか」

「はあ、もう1回も2回も同じですよ。やります」

「本当か、助かるよ」

と、そこで扉が開き。

「司令官、準備できました!」

「青葉!?」

「ああ、私が呼んだ」

よく見ると、青葉の手にはビデオカメラが。

「……それで撮るの?」

「はい!」

満面の笑みで返される。

「……元帥、機材とかは」

「その、それが……。青葉くんが持ってると思って」

用意してないんかい。


・・・


「……OKです!残りは鎮守府に帰ってからですね」

まだ撮るのか。

「ところで司令官、青葉に何かしてほしいことありますか?」

なんだ唐突に。

「聞いたところ、私には給料は出るんですが……」

な、おいまさか!?

「司令官、給料無しらしいですよ」

「……青葉、それは誰から聞いた?」

「青葉がここに来たのは昨日の夜中。丁度元帥さんのお部屋の前を通った時に、大淀さんと元帥の話し声が……。その時でした」

……それと、さっきの質問にはどんな関係が?

「で、あまりにも不憫だなぁって思ったわけですよ。なので、給料の代わりと言ってはなんですが、青葉が何でもしてあげようということです!」

……何か裏がありそうだな。

「なあ、青葉。お前嘘吐いてないか?」

「へ?」

「お前、嘘吐いてるときには目が合わないんだ」

「そ、そんなことないですよ!」

お、焦りだした。

「じゃあ、俺の目を見てみろよ。ん?」

そう言葉をかけながら、青葉の顔を掴んで無理矢理こちらに向ける。

「あわわ、し、司令官!?」

青葉は顔を真っ赤にして慌て……あれ、これって……。

「うぅ……」

青葉は観念したように目を瞑る。

「……司令官、青葉、初めてなんです。だから、優しくしてほしいなぁ、なんて……」

あっ、やっぱり勘違いしてらっしゃる!

「……あのー、青葉さん?」

「さあ、司令官。青葉の初めて、もらってください」

意を決したような青葉の声色に。

「司令官……」

「……ああもう!分かったよ、すればいいんだろ!?」

と、勢いに任せてキス。

「んっ……」

「はぁ、はぁ……これでいいか?」

雷にだってしたことないのに……いや雷にしたらそれはそれで大問題だけどさ。

「……えへへ。青葉、司令官に初めてを捧げちゃいました」

その誤解を招きそうな言い方やめろよ。

「……じゃ、青葉はさっきの映像を編集してきます!あの、さっきの続きは今晩にでも……」

「しねぇよ!」


・・・


「お帰りなさい、司令官!」

パァッと明るい笑顔で出迎えてくれる雷。

「ただいま、雷。ちゃんと待っててくれたか?」

「ええ、勿論よ!」

と、部屋の中から甘い香りが。

「そうだ司令官、クッキー焼いてみたの!」

見れば、ちゃぶ台の上にはなんとも美味そうなクッキーが。

「俺のために作ってくれたのか?」

「ええ!司令官はお仕事頑張ってるんだもの、このくらいはしなくちゃ!」

そう言って、朗らかに笑う雷マm……。危ない危ない、幼児退行するところだった。

「ありがとな、雷。今食べてもいいか?」

「うふふ、勿論!」

「じゃ、お言葉に甘えて……」

クッキーを1枚口に運ぶ。これは……ジンジャークッキーか。

「ねえ、どう?美味しい?」

キラキラと、目だけではなく身体までをも輝かせながら聞いてくる。

「すげー美味い」

「ホントに!?ありがとう!」

「そっちこそ、こんな美味いものを作ってくれてありがとな」


・・・


「あれ?司令官、今日は早いのね」

「ぉうっ!?」

朝の4時にこっそり部屋を抜け出そうとしたところ、雷に見つかった。

「いくらなんでも早すぎだろ!」

「え?私、いっつもこの時間に起きてるわよ?」

なんだと……!?

「ところで司令官、どこへ行こうとしていたの?」

「散歩だよ。早起きしたからな、三文くらい落ちてても不思議じゃないだろ?あと、今日は非番らしいし」

「なるほどね!中途半端な時間に起きちゃったから、寝る訳にもいかずに散歩で時間を潰そうって魂胆よね!」

バレてる!

「……せっかくだし、雷もどうだ?」

「あら、いいの?それじゃ、ご一緒させて貰うわね」


・・・


大本営は内陸部にある。そのため、普段感じている潮風はない。少し、物足りないと感じてしまう。

「……ん?」

「……ねえ、司令官」

雷も気づいたようだ。

「ああ、この気配は……」

言いながら、道に落ちていた小石を拾い。

「とりゃ」

気配のする方向に投げつける。

「……」

ぱりーん。

「ああっ、レンズが!?」

「はぁ……。やっぱりお前か」

草むらからのそのそと出てきたのは、カメラをさすりながら泣いている青葉。

「もう、酷いですよ!」

「こっちの台詞だ。ストーキングは流石に咎めざるをえないからな」

「違うんですよ!私、部屋の割り当てがなくて……!」

あ、こいつまさか。

「……あの草むらの中で寝てたのか?」

「……はい。で、誰かの気配がして起きたらその瞬間カメラが……」

ジト目でこっちを睨む青葉。

「……ごめんなさい」

「あーあ、これは1つ言うことを聞いてもらうくらいしないと許せませんねー」

こいつ、足元見やがって……!

「……要求はなんだ」

「それはですね……」

と、急に土下座をし。

「お願いします、青葉も司令官と同じ部屋に泊めてください!」

「……えっ」


・・・


「いやー、助かりますー!」

部屋に連れ帰ってきたものの、ガタガタと震えている青葉。

「……寒いか?」

「はい、とっても!」

「はぁ……。暖房つけるから待ってろ」

「面目ないです!」

「青葉さん、温かいココアを持ってきたわ!」

「あっ、ありがとうございます!」

流石雷、既にココアまで準備してあるとは。

「青葉さん、お風呂沸かしといたわ!ささ、入って!」

いつの間に、という疑問が頭をよぎる。が、雷のことだ。帰ってきたとほぼ同時に全ての準備を始めていたのだろう。

「もっと私に頼っていいのよ!」


・・・


「しれーかーん……」

「ん、どうした?」

と、風呂の方向を見ると。

「下着はあるんですけど、着替えがありません……」

タオルを1枚巻いただけの青葉がこちらに……。

「よーし分かった!分かったから脱衣所で待ってろ!今取ってきてやるからな!てか下着は着けとけよ!」


・・・


「すんすん、司令官の匂い……」

「やめい」

結局、俺の昔着ていた服が残っていたので、それを着せた。下は残っていなかったので、大きめの服を着させて隠させている。

「……なんか、これってカップルがしそうなことですよね」

「まあ、そう言われればそうだな」

「……雷ちゃんが羨ましいです。私だって、司令官とイチャイチャしたいです」

「は?」

「そうだ!司令官、イチャイチャしましょう!」

……ああ、野宿で頭がおかしくなってしまったのか。

「よしよし、今はゆっくりお休み。きっと疲れてるんだよ、お前」

「むぅ……なんか思ってるのと違いますけど、まあいいです」

「司令官、青葉さん!朝ご飯が出来たわよ!」

「おう、今行く!ほら青葉、そろそろ動け」

「はーい……」


・・・


「おお、これは……!」

「どぉ?青葉さん!」

「とっても美味しいです!実は昨日からなんにも食べてなくて……」

マジかよ。

「ほらほら!沢山作ったから、司令官も青葉さんも食べて食べて!」

「……司令官、この子には一生適う気がしません」

「奇遇だな、俺もだ」


・・・


「司令官、お出かけしない?」

「お出かけ?いいけど、この辺りにはあんまり店とかない……」

「いいのよ、そんなの!ほらほら、早く準備して!」

「わ、分かった」


・・・


「……さて、出てきたはいいが……何処に行く?」

「司令官の行きたいところなら、私は何処だって行くわ!」

天使、いや女神か。……と、そこである仮説が頭に浮かぶ。

「……妬いてたのか?」

「……もう、気づいても言わないで欲しかったわ」

いつになく不機嫌そうな顔で手を握ってくる。

「悪い悪い。それにしても、意外だな」

「私だって、嫉妬くらいするのよ?」

「可愛いなぁ」

すると、俺を握る手に力がこもる。

「……お詫び」

「ん?」

「寂しい思いをさせた司令官に、お詫びを要求するわ」

……あの雷がこんなことを言うなんて、流石に予想外だ。

「……分かった。何が望みだ?」

雷は、顔を伏せ。

「今日1日、司令官のことを『あなた』って呼んでもいいかしら?」

……。

「ああもう可愛すぎんだろ俺の嫁はよコンチキショー!」

気がつけば、既に雷を抱きしめていた。

「ひゃっ!?……もう、仕方ないわね」


・・・


「あっ、おかえりなさい!司令官、雷ちゃん!……って、なんですかそれ。未だ年齢=彼氏いない歴の青葉に対する嫌味ですか?」

「どうだ、俺の嫁は可愛いだろう?」

「ええ、とっても。恐らく司令官が感じているのとは別の意味で」

当の俺の嫁はと言うと、あの後2人で日向ぼっこをしていた所、寝てしまったのだ。で、それをお姫様抱っこで運んできたという訳なのだが……。

「嫁だなんだと張り切ってくれてはいるが、それ以前に子供だもんな」

「……やっぱり司令官はロリコンでFA?」

「違うわ」

「じゃあ、あのよく言う『俺は小さい子が好きな訳ではなく、たまたま好きになった相手が小さかった』と?」

「……おう」

「では、司令官のストライクゾーンは?」

「そんなの知って何になるんだよ、まず第一俺には……」

「『嫁がいる』」

そうだよ。

「でもでも、司令官がロリコンだったらすっごくいいネタに……」

うわ、私利私欲の塊。

「で、どうなんですか!?」

「……本来なら俺のストライクゾーンはもう少し上、10代後半から20代前半だ。雷は例外だけど」

「じゃあ、年齢的には摩耶さんとか鳥海さんとか……あと、青葉とか?」

「まあ、そうなるな」

すると、青葉はずずいと詰め寄り。

「司令官、ジュウコンとかは考えて」

「ないです」

「……はぁ、そうですか。ま、とりあえずさっきの話を記事にまとめますから、青葉は隣の部屋借りますね」

隣の部屋?おい、それって……。

「俺の自室だぞ」

「そこで、いえむしろそこがいいんです」

は、はぁ……。

「……あんまり嘘書くなよ?」

「はい、多少の誇張はしますけど」

「お前なぁ」

「そんなことより、いつまで雷ちゃん抱えてるんですか?」

おっと、忘れてた。

「青葉、お前机ないと編集できないか?」

「いえ、司令官がやれというなら床でもできますけど……」

「……部屋から机出してやるから、そのへんで編集しとけ。俺の部屋で雷寝かせとくから」

「なっ、ままままさか雷ちゃんに手を」

「出さないに決まってんだろ馬鹿野郎」


・・・


「……はっ」

「起きたか。おはようさん」

「……あれ、司令官?わたし、ねてたの……?」

「そうだぞ、それはもう気持ちよさそうに」

「……」

しばし黙り込み。

「……!?」

弾かれたように顔を上げる。

「や、やっぱり夜じゃない!もう、どうして起こしてくれなかったの?」

「そりゃ、誰とは言えないが俺の嫁が可愛い寝顔晒してんだ。ずっと眺めていたくもなるさ」

「……もう、その言い方はずるいわよ。怒るに怒れないじゃない」

「はは、この前のお返しだ」

……気付いたら一緒に寝てて自分もついさっき起きた所だとは言わないでおこう。


・・・


「あ、二人とも起きましたね!……で、えっと、その……」

「ん?」

「……司令官!青葉、晩御飯をご用意させていただきました!それで、良かったらなんですけど……!雷ちゃんには遠く及ばないのですが、良かったら……是非、食べて……頂けないでしょうか……?」

何故か最後のほうが尻すぼみになっていたが、それはそれとして。雷のほうに目をやると。

「……いいんじゃない?」

と、少し照れの気配が混じった返答。自分が褒められて嬉しかったんだな。

「……分かった、是非頂こう」


・・・


「うめぇ!」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「ほんと、味付けも完璧じゃない!」

「そ、そうですかね……えへへ」

あの雷に褒められるとは、なんたる手腕。

「ふふっ、頑張って作った甲斐がありました!」

「ねえ青葉さん、今度これの作り方教えてよ!」

「は、はい!」

そうして女子2人が楽しくお話をしている間に、俺はそそくさと料理を食べ終え、こっそりと部屋から抜け出した。


・・・


「……なに、給料が出ない?そんなことはない筈だが……。大淀、どうだったかな」

「ちゃんと出ますよ?青葉さんのことですし、いつもの嘘でしょう」

だよなぁ。

「それが聞ければ充分です。ありがとうございました」

「あっ、待ってくれ!」

元帥に肩を掴まれる。

「な、なんですか?」

「……そのー、今日なんかラブコメあったかなって」

「はぁ……」

このジジィ、この歳で元気な理由はその精神の若さにあるんじゃないかと思った。


・・・


「ぬわああああん疲れたもおおおおん」

「お疲れ様、司令官!」

「かもっ!?」

「えへへ、ビックリした?」

「ビックリしたかも……」

「秋津洲さんの真似?あんまり似てないわよ」

わあ辛辣。

「それにしても、よく俺がここにいるって分かったな」

「司令官が部屋から出ていったのは見てたから、青葉さんとは適当なところで話をつけて探しに来たのよ」

……本当に、よく出来た嫁だなぁ。


・・・


「青葉ー、帰ったぞー」

「あっ、お帰りなさい!」

「……青葉、少し話が」

すると、雷が。

「あっ、お醤油切れてるじゃない!私ちょっと買ってくるわね」

「ああ、ごめんな。ありがとう」

……察しのいい雷に感謝しながら。

「……それで、話というのはだな……お前が吐いた嘘についてだ」

「!」

一気に顔が青くなる青葉。

「どうしてあんな嘘を吐いた?給料が出ないだなんて」

「そ、それはですねぇ……」

「昨日は誤魔化されたが、今日こそ吐いてもらうぞ」

俯いた青葉が、ポツリと零す。

「……です」

「ん?悪い、聞こえなかった」

「……青葉だって、司令官とイチャイチャしたいんです」

「なっ……」

「司令官だって知ってる筈です!練度の高い艦娘ほど司令官への愛が重いって!」

「そ、そりゃ知ってるが……」

うちの曙とかが正にそうだしな。

「青葉だって例外じゃありません!司令官が既婚者でも構わないので、イチャイチャしたいんですよぉ!」

「なっ……!?」

……唐突なカミングアウトに、どうするものかと困っていたら。

「……嘘を吐いたのも、司令官とより長く話していたかったからなんです。反省はしてますけど、後悔はしてません」

今度は顔を紅に染めた青葉にそう言われ。

「ぇ……ぁう……」

思考が纏まらない。口が回らない。どうすればいいのか、全く分からない。

「司令官、青葉は……青葉は、司令官のことが大好きです。青葉を、司令官の側室にしてください!」

「……それ、いつの時代の人よ」

声に導かれてそちらを見ると、そこには醤油の入った袋を提げた雷が。

「あなた、大丈夫?」

「だ、大丈夫だが……」

くるっと青葉に向き変えると。

「青葉さん。司令官を狙うのはいいわよ、ケッコンカッコカリに上限はないからね。でもね、これだけは言っておくわ」

すぅっと息を吸い込み。

「……私の司令官は、絶対に譲らないんだからぁっ!」

「雷……」

「……ふふ。青葉、熱く燃えたぎって来ました!雷ちゃんを蹴散らしてでも、司令官は私の物にしてやりましょう!」

わあ凄い。この子ら、俺の意見ガン無視だよ。

「……ってことなので司令官!さっそく青葉ともケッコンしましょう!」

瞳を輝かせながら、青葉がにじり寄ってくる。雷のほうに目をやると、『まあ、結果は分かってるけどね。あなたの好きにしなさい』と、苦笑じみた表情や目でそう伝えてくる。

「……青葉、一つだけ条件がある」

「条件?なんですかなんですか?」

「……頼むから、曙にはジュウコンの件は伝えないでくれ」

皆さんがご存知の曙はツンデレで有名なことだろう。しかし、うちの曙は練度が上限に達してから……所謂、ヤンデレと化してしまったのだ。だから、雷とケッコンしてからのここ暫くは会ってない。

「……ああ、察しました。雷ちゃんもOKですか?」

「ええ、いいわよ。司令官を危険な目に合わせる訳にはいかないもの」

「よし。交渉成立、だな」

「はい!」


・・・


「で、ノコノコ鎮守府に帰ってきて?それで私にはなんにもないんだ。……いい度胸ね、このクソ提督」

「ひっ……」

「どうしたのよ、怯えることなんかないわよ?ほら、大人しく身を委ねなさい……!」

「い、雷!青葉!助けてぇ!」

「無駄よ、ここからじゃ誰にも声は聞こえないわ」

……今現在俺と曙がいる場所は。

「鎮守府の端っこの物置なんか、誰も来ないわよ。それこそ、私たちみたいに隠れようとすることのない限りね」

そこで、目隠しをさせられ椅子に縛られ……。

「お、お許しを……」

「あら、許してほしいの?」

「は、はいぃ……」

「じゃ、指輪ね」

「あひんっ!?」

足裏をくすぐられ続けているのだ。

「ふふっ、どうかしら?味わったことのない、未知の快感……♪」

「やっ、やめ……!」

しかし、その手に握られた羽は止まることなく。

「……私とケッコンすれば、もっとイイコト……出来るわよ?だからほら、あんな奴ら……」

やがてその手は俺の脚を這い……。

「忘れちゃいなさい」

腰へと到達する。

「ほら、力を抜いて……」

いつの間にかベルトが抜き取られたようで、ズボンがずり落ちる。

「じょ、冗談はよしてくれ」

「……私の想いは冗談だって、そう言いたいのね……?」

もはや声すら出せず、首を振って否定するも。

「あったまきた……」

あちらも聞く耳持たず。

「……ねえ、クソ提督。クソ提督は、まだ未経験よね?」

「あ、ああ……」

「……既成事実、作ることにしたわ」

そう言って、俺の下着に手を掛け……。

「……曙。そんなことしなくていいから」

「でも、クソ提督を手に入れるには……!」

「……ケッコンしよう、曙」

曙が固まる。

「……ほんとに?」

「ああ、本当に」

「そうなの?」

「ソーナノ」

……と、遠くから喧騒が。

「……やっぱりこっちよ!」

「分かってますから、先行っててください!」

「分かったわ!」

「ああもう、司令官は嘘が下手すぎます……!なんですぐバレちゃうんですか……」

曙が、俺の目隠しを外してズボンを履かせ、ベルトまで通す。

「クソ提督、その……手荒い真似しちゃってごめんね」

ほんとだよ。

「……よし、準備出来ました!いつでも突入OKです!」

「……はあぁぁ、せいっ!」

可愛い声と共に、壁が砕かれる……ファッ!?ウーン……。

「司令官、助けに来たわ!」

誇らしげに胸を張る雷に。

「青葉もいますよ!」

その横からひょっこりと顔を出す青葉。

「さあ曙ちゃん、神妙にお縄につきなさい!」

「あっ、そうだ。司令官、ちょいと失礼……」

「ぁひんっ!?」

唐突に俺の胸ポケットをまさぐり……。

「ありました!盗聴器です!」

「……へぇ、それで?」

「青葉、みんなにバラしちゃいますよ〜?」

「ふふ、馬鹿みたい。録音を聴いてみたら?」

クスクスと、挑発的に笑う曙。

「……?」

不審がった二人はその機械に耳を傾け……。


・・・


「司令官のバカバカ!なんでそんなに軽くケッコンしちゃうのよ!」

「青葉、ビックリです……!司令官、意外と押しに弱いタイプですね?」

「ま、そういうことだから。あんたたちも、これからは宜しくね」

わざとらしい笑みを浮かべて去っていく曙に。

「……司令官は、絶対に渡さないんだからぁぁっ!」


・・・


ーー三人は、どういう集まりなんだっけ?

「嫁よ!」

「嫁です!」

「嫁よ」

ーーじゃあまず、年齢を教え

「「「ないです」」」

ーー……なにかスポーツでもやって

「そんなんじゃ、いつまで経っても終わんないわよ!もっと簡潔に!」

ーー失礼しました。では……。御三方は、提督のことをどう思っていらっしゃいますか?

「とっても優しくて、かっこいい司令官よ!告白だってされたんだから!」

「青葉なんかに指輪をくれた、聖人みたいなお方です!だから、大好きです!」

「ま、本当は私が独り占めしたいとこなんだけど……皆に優しくできる、いい提督よ」


・・・


「もうあなた、何照れてるのよ!」

「そうですよ司令官、私達の初テレビ出演なんですから!」

「ほら、ちゃんと見なさいよこれ、この私をよぉ!」

なんで見る必要なんかあるんですか。

「あっ、司令官も映ったわ!」

「ほんとです!これは……私がインタビューした所ですね!」

「ああ、映っちゃ駄目……他の誰かにとられちゃう……」

……まあ、平和だしいいか。


艦!


【ここからおまけ】


「ちょっと、どういうことよこれ!司令官、どうして私メインの話じゃなくなってるの!?」

「いやー、推しの2人をねじ込もうとしたら……」

「へえー、私なんかより青葉さんと曙ちゃんが大事なんだぁ……」

あ、ヤバい。これ死ぬ。

「……そんな悪い子には、こうよっ!」

「ぐはぁっ……!?」

デコピン1発。たかが1発、されど1発である。その1発だけで後方10mほど吹き飛ばされ……。

「えいっ!」

何故かその先にいた雷に抱きとめられる。

「は、速すぎやしませんか?」

「愛の力よ。反省した?」

と、デコピンの構えをされながら問われ……いや脅され。

「はい、反省しました」

「ならよし!えへへ、ちょっと甘えてもいい?」

おや、珍しいな。こんな要求は初めてだ。

「……はあ、構わないよ。ほら、こっちおいで」

「はわぁ……!これ、新鮮でクセになりそう……!」

「お前も子供なんだからさ。時々でいいからこうやって、ちゃんと甘えてほしい」

「……いいの?」

「もちろん!もっと俺に頼っていいんだぞ?」

「……ふふ、お父さんって呼んでいい?」

「……少し恥ずかしいが、いいぞ」

「ありがとね、お父さん!」

「……はあ、もう少しこうしていたい気分だ」

「ええ、私も。二人っきりだなんて、珍しいものね」

「……思えば、色々あったな」

「そうね。この短い期間だけど、とっても充実してたわ」

「……これから、もっと騒がしくなるだろうな」

「……その時はまた、こうして二人でこっそり抜け出しましょ?」

「おう!……愛してるぞ、雷」

「私もよ!司令官、これからも……ずっとずっと一緒なんだから!」


おまけ艦!


後書き

はい、明らかに私のミスですね。雷主体にしようと思ってても、どうしても曙と青葉が頭に浮かんで……許してくださいなんでもしまk


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1: SS好きの名無しさん 2018-12-30 21:21:21 ID: S:uUw1E5

ん?いま何でもしまかぜって…

2: SS好きの名無しさん 2019-01-15 18:45:40 ID: S:J8hkmF

そう…(無関心)

3: SS好きの名無しさん 2019-03-23 02:08:59 ID: S:yf8Ahi

良きかな

4: SS好きの名無しさん 2019-08-23 18:01:28 ID: S:6t7O9l

新作お願いします!


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