2015-04-14 18:10:47 更新

概要

提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です

注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです、そう言うのがダメな人は気をつけて下さい
艦娘達は提督の見てるアニメやら何やらに影響されて妙な事をやりだすかもしれません
SSにしては長いかもです、お忙しい方はご注意を


前書き

10回めになりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね

それではこの番組は

提督「ホワイトデーとかきっとバレンタインの在庫処分の日だと思う」
皐月「あはは、そんな身も蓋もない」
文月「でもぉ、バレンタインより活気が薄いのはほんとだよねぇ」
如月「こういうのは女の子の方がっては言うしね」
長月「とはいえ、本命のバレンタインも友チョコとかやりだした日には…」
菊月「もう、原型とどめては居ないよな」
望月「日本のお祭りなんてだいたいそんなもんだろ…」
三日月「それは、まあ、そうかもだけど…」

卯月「それで、司令官は何をくれるぴょん?」
弥生「せっついたら、司令官、逃げるよ?」
睦月「逃すな追えっ」
卯月「ぴょんぴょん」

夕張「なんか、私達は今回関係なさげかな?」
瑞鳳「バレンタインの時は居なかったしねぇ」

球磨「そろそろ提督がくる時間クマ…」
多摩「ま、お茶くらいは用意してやるニャ」

金剛「提督はプレゼントくれるデース、くれないデース」(←花占い中
木曾「なにやってんだ、おまえ?」

以上のメンバーでお送りします


↑前「提督とひな祭り」

↑後「提督と睦月」




提督とホワイトデー



-球磨たちの部屋-


丸いちゃぶ台を挟んで球磨と提督が睨み合っていた


多摩「にぁぁあ…」(←あくび


その隣で丸くなっていた多摩があくびをこぼす

それを合図に球磨と提督の右手がガッチリと握られる


球磨「…」

提督「…」


お互いの肘がちゃぶ台を貫きそうなほどに押し付けられる

悲鳴をあげるようにカタカタ揺れるちゃぶ台


球磨「意外、クマ。瞬殺出来るつもりだったクマ」

提督「提督の名は伊達じゃないってかね」


ギリギリと2人の睨み合うまま

時間が経つにつれ腕に込められる力だけが増していく


球磨「すごいクマかっこいいクマ…けど、無意味クマ」

提督「ちっ!」


不意に球磨の腕が膨れ上がる様な錯覚

そして提督の腕がちゃぶ台の側に振れると そのまま一気に叩きつけられた


球磨「ふっふっふっ」(←winner

提督「ったいなぁ…」(←Loser


腕を組み勝ち誇った顔の球磨

叩きつけられ赤くなっている手を振ってる提督


提督「少しは加減とかしてよー」

球磨「提督の名は伊達じゃなかったクマ?」

提督「ま、肩書だけは本物だからな…」

球磨「そういうのを伊達っていうクマ、覚えてくと良いクマ」

提督「そうねぇ」

多摩「球磨に馬力に勝とうってのがそもそも間違ってるにゃ…」


だらだらと寝っ転がってる多摩


提督「じゃー次、多摩ちゃんやる?」

多摩「いやにゃ。多摩は平和主義者にゃ、争いは好まぬにゃ…それに」

球磨「…(どの口が言ってるクマ)」


何て心の中で突っ込んでおく球磨

多摩が入り口の方に目配せすると、ちょうど扉を開けて木曾が入ってくる


木曾「お、提督じゃないか。どうしたんだ?」

多摩「提督にはこっちがお似合いにゃ」

提督「あー…」

木曾「なんだよ?俺の顔に何かついてるのか?」


木曾の顔をみて何か納得する提督


提督「へーい、キッソー。腕相撲しようぜ」

木曾「腕相撲だぁ?あとその呼び方やめろ」

球磨「ちなみに球磨は提督に勝ったクマ」(えっへん


そこそこある胸を張る球磨


木曾「そりゃ、そうだろうよ…」

提督「だから木曾さんでリベンジなのさ」

木曾「はぁ…リベンジって言うけどよぉ」


球磨がささっと横にずれると木曾が提督の対面に腰を下ろす


木曾「俺だって同型艦だぜ?」


ちゃぶ台の上に肘を突き立て臨戦体勢に入る


提督「ふん、型が同じでも中身が同じとは限らんだろう?」


ニヤリと笑うと、提督の指が絡むように木曾の手に被さる

いわゆる一つの恋人繋ぎの様だった


木曾「…おい、何やってる?」(じとー

提督「木曾さんがときめくと思って?」


どう?って感じで提督が木曾を見つめる


木曾「はぁ…台無しだよっとっ!」

提督「おおぅ!」


言うや否や木曾の腕に力が込められ提督の腕がちゃぶ台側に振れる

それを何とか押しとどめるも傾いた角度は徐々に水平に寄っていった


木曾「俺の中身がなんだって?」

提督「ちぇっ、ドキドキした所を押し倒そうと思ったのに」

球磨「…(意味深とか付きそうな台詞クマ)」

木曾「いちいち変な言い回ししてんじゃねぇっ!」


球磨が口に出すまでも無く木曾がツッコんでいた


提督「こういうのはなぁ…反応した方の負けなんだよ」

木曾「違うな、間違ってるぜ…」


首を ゆるゆると振り否定する木曾

そして更に腕に力を込め


木曾「こういうのはなぁ…押し倒されてる方の  ひゃぁっ!」


格好つけてた木曾の口から素っ頓狂な悲鳴が上がる

同時に腕から一気に力が抜けた


提督「ふんっ!」

木曾「あっ」


一瞬だった

一呼吸の合間にメーターが振りきれるように腕が反対側に持ち上がり

ちゃぶ台に叩きつけられる


球磨「提督の勝ちクマ」


球磨が提督の腕を持ち上げ勝利を宣言する


提督「押し倒されてる方の負けだっけか?」(←winner

木曾「たぁぁぁぁまぁぁぁっ!」(←Loser


木曾の叫びが部屋に響く


多摩「多摩のせいにしないで欲しいにゃ…それに」


あくび一つ多摩がこぼす

木曾が最後に力を入れた一瞬、多摩の指がすすーっと木曾の横腹を撫でていた

それはとても優しく恋人にするような指使いでもって


多摩「いつからタイマンだと錯覚してたにゃ?」

木曾「よーし、多摩。今度は俺と勝負しろっ」


木曾の肘が再び机に突き立てられる


多摩「やにゃ」


文字にして3文字。口癖除けば1文字の簡潔に完結した拒否だった


木曾「なんでだよーやーれーよー」


ちゃぶ台に付けた腕をぶんぶん振り回し…なんか駄々っ子みたいだった


提督「まーまー木曾さん。そんな生娘みたいな声だしたからって照れなくても」

木曾「生娘みたいじゃねーよっ、生娘だよっこちとらなっ」

提督「お。おぅ」


へんな負けた方したのがよっぽど不満だったのか

バカな宥め方にバカな回答が返って来た


球磨「木曾…別にそんな告白はいらなかったクマ」

木曾「告白…なんの話しして…あ…」


憐れむような球磨の声

ようやっと気付いたのか、顔真っ赤にして木曾がちゃぶ台に突っ伏した


木曾:敗北D


提督「さて、敗者には一つお願いでも聞いてもらおうか」

木曾「もーなんでもいい…」


人差し指をピンっと立てそんな事を口にする提督

相変わらず机に突っ伏したままの木曾は、納得はいかないが諦めてる感じだった


-鎮守府近郊-百貨店-


鎮守府からひょいっと行った所にある街の百貨店(AE●N


木曾「素直に付き合え(買い物的な意味で)って言えないのか…お前は」

提督「付き合って下さい(告白的な意味で)だなんて…そんな大胆な事、提督は言えないわ」


両手でほっぺを抑えて顔をそむける提督


木曾「デートしろとは言えるのにな…あと、その仕草やめろ」


気持ち悪いとまでは言わない木曾さんはきっと優しい


提督「木曾さんがときめくと思ってな」

木曾「AE●Nじゃなぁ、台無しじゃないか…」

提督「中学生みたいだね♪」


提督が木曾の腕に自分の腕を絡める


木曾「やめろ、ひっつくな鬱陶しい」


それも一瞬で振り払われた

百貨店の入り口で 着物を羽織った提督と、外套羽織った木曾さん

不審者二名の寸劇だった


-球磨たちの部屋-


「デートをしよう」なんて言われ提督に引っ張りだされた木曾を見送ったあと


多摩「今頃きっと処女航海中にゃ…」

球磨「クマクマ。帰ってきた時には一人前のレディになってるクマ」

多摩「…」

球磨「…」


「ふふふふふ」

二人の口から忍び笑いが漏れる

考えることはきっと一緒。木曾の帰りが楽しみだと…

妹が好き過ぎる お姉ちゃん達だった


-百貨店-


木曾「それで、一体何を買いに来たんだよ?」

提督「なにってそりゃ…」


口にする必要も無いくらいに店の中はホワイトデー一色だった


木曾「それで俺達の部屋に来てたわけだ」

提督「まあね。バレンタインに何も貰ってないからね。特に木曾さんからは」

木曾「欲しかったのかよ?」


コツンっと提督を肘で小突く木曾さん


提督「木曾さんにそんな女子力期待してないって」

木曾「いってろ、ばーか」

提督「あはははは」


なんて馬鹿な話をしながらお店の中を歩きまわる

しかし一向に決まらない

チョコレート・クッキー・キャンディーなんてお菓子はもちろん

お酒やらの嗜好品 果てはファッション用品から事務用品もろもろのブランド物たち


提督「それで、木曾さんはどれがほしい?」

木曾「提督がいるならそれでいい」

提督「…」


まずは自分の耳を疑った

聞き間違いかと思って聞き返すのも小恥ずかしく次いで口もふさがった

多分に自分がときめいたんだろうとは嫌でも理解した


木曾「どうだ、ときめいただろ?」


木曾が提督の一歩前に出る

そして肩越しに顔を覗かせて 悪戯っぽく笑ってみせた


提督「台無しだよっ、とに」

木曾「あはははは。それは良かった」


照れ隠しに顔をそむける提督と、ご満悦の木曾さんだった




卯月「お菓子を入れるぴょんっ」


不意に木曾さんが持ってた買い物カゴが重くなる


木曾「ん?」


見てみればチョコレートの束、それと卯月


木曾「なにをやってんだ、おまえは?」

卯月「お菓子が欲しいぴょん。キッソーの奢りで」


何の臆面も遠慮もなく言い切る卯月


木曾「冗談は口癖だけにしとけ。あとその呼び方やめろ」

卯月「卯月のぴょんっは世界一ぴょんっ♪」


無い胸を張る卯月だった


弥生「司令官、お疲れ様です」

提督「ああ、買い物かい?」


まあ、卯月がいるならそうであろうと

期待を裏切らずに弥生に声をかけられた


弥生「少し、プレゼントを」

提督「そういう時期だしね…」

弥生「うん」


弥生がコクリと頷いた


卯月「ま、キソだキソーなんて言えない木曾に負ける気はしないぴょんっ」

木曾「ほぅ、俺に勝負を挑むのか…いいぜぇ」


あっちはなんかヒートアップしてた


木曾「お前が勝ったらお菓子でもなんでも買ってやるよ」


ビシっと卯月に指を突きつける木曾さん


提督「やよやよ」

弥生「ん」


提督の手招きに応じて弥生が すっと提督のそばに寄る


提督「あれギャグのつもりかな…」

弥生「ううん。多分、本気だと思う…」


コソコソと提督が弥生に耳打ちする


木曾「…」(←聞こえてる


内緒話が木曾の耳に届いていた

なんとか気付いてないふりをしようと試みるも


卯月「あ、卯月の負けぴょん。そんな寒いギャグ、うーちゃんとても口には出来ないぴょん

   さすがキッソー、うーちゃんに出来ないことを平然とやってのけるぴょん」

木曾「ギャグじゃねーっ!」


真顔の卯月がノーサンキューしていた

その態度からは憧れもしびれも読み取れない

あと木曾さん、店内ではお静かに




瑞鳳「まったく、あのバカは何処行ったのよ」

夕張「そのうち戻ってくるでしょ?弥生も一緒だし」


プンプン丸の瑞鳳と、いつもの事と割り切ってる夕張さん


瑞鳳「あ、見つけたって、あれ提督と木曾さんじゃない?」

夕張「じゃないっていうか…」

瑞鳳「まあ、うん、そうねぇ…」


瑞鳳が卯月を見つけ出す

それと一緒に着物と外套姿の二人組…見間違い用もないその容姿


夕張「デートだったり?」

瑞鳳「まっさかー。腕にシルバー足りてないって」

夕張「瑞鳳からしたら、アレでも地味なのね」


お互いに笑みを交わす。そして気を取り直して


瑞鳳「おーい、バカ卯月」


火に油を注ぐような呼び方だった



瑞鳳「ったく、何処行ってたのよ」


相変わらず ぷんぷん丸の瑞鳳


弥生「ごめんなさい、ちょっと欲しい物があるって卯月が…」


弥生が卯月の方へ視線を投げる


夕張「みつかったの?」

卯月「ぴょんっ」


口癖とともに卯月が首肯する


卯月「瑞鳳にプレゼントぴょんっ♪ホワイトデーぴょんっ♪」

瑞鳳「え?私に…」


予想外の台詞に きょとんとしている瑞鳳の胸に卯月が紙袋を押し付けた


瑞鳳「あ、ありがとう…開けても?」

卯月「ぴょんっぴょんっ♪」


未だ面食らってる瑞鳳と満面の笑みの卯月


夕張「ねぇ、弥生。あれの中身しってるの?」

弥生「ううん。私が眼を放した隙に買ってたみたいで…」

夕張「ふーん…」


瑞鳳が紙袋に手を突っ込み中を確認する


瑞鳳「…」(←かちーん

卯月「♪♪♪」(←きらきらきら


予想外のプレゼントに嬉しそうだった瑞鳳の顔がそのまま固まり

卯月はその反応をみて、喜色の笑みを浮かべていた


わこ○る:ぱ。ど


中身は概ねそんな感じのものだった


弥生「あ、そうだ。夕張さんにも、これ」

夕張「え、わたしのもあるんだ?」

弥生「うん」

夕張「ありがとう、弥生」

弥生「選んだのは卯月なんだけど」


手渡された紙袋の中を夕張が覗きこむ


わこ○る:寄せてあげる何か

中身は概ねそんな感じのものだった


夕張「ねぇ…弥生。中身、ほんとに知らないのよね?」

弥生「?」


震える声で弥生に問いかける夕張

不思議そうな顔を浮かべた弥生をみて確信する

あれの独断で冗談で爆弾なんだと


夕張「へーい、瑞鳳。ホワイトデーの白って何の白だと思う?」


夕張の手が瑞鳳の肩に置かれる


瑞鳳「うさぎの皮じゃないかなぁ」

夕張「同感」

卯月「ぷっぷくぷー♪」


悪戯の成功を確信して卯月が逃げ出した

それを2人が追いかける、店内ではお静かになんて声も届きそうにないほどの必死さで


弥生「…なん、なの?」


状況をしらない弥生が1人残された




木曾「カレーでよくねーか」


ブラブラと店内を歩いているとカレーコーナーが目に入った


木曾「ちょうど金曜だろ…」

提督「そんなんでいいの?」

木曾「そんなのがいいんだよ」


「それになぁ」っと木曾が付け加える


木曾「お前からのお返しをまともに期待してる奴らがどれほどいるよ?」

提督「金剛」


即答だった


木曾「例外を持ち出すな」


即答だった


提督「…甘いのと辛いのどっちがいい?」

木曾「チビどももいるんだ、取り敢えず甘いのにしとけよ」


タバスコの瓶を木曾がカゴの中に放り込む


木曾「足りない奴はこれでも使わせろ」

提督「それもそうね」


そこへ、ふわっと流線を描き桜色の影が2人の前を通り過ぎる、次いで緑の影二つ


卯月「一体何が不満ぴょんっ。足りなければ足せば良いぴょんっ当然の思考ぴょんっ」

瑞鳳「うるさーいっ、お前もぺったんこにしてやろうかー」

夕張「一方的に盛り上げる虚しさと切なさをおしえてやるっ」


3人の背中がカレーコーナーを抜け角に曲がって消えていく

後ろ姿を差し引いても誰だと分かるくらいには聞き慣れたやりとりだった


木曾「こりねぇなぁ…」

提督「まったく…」


ともあれ、ものは決まったので良しとする


-鎮守府-執務室-


チクタクチクタク…いつもの鳩時計が時を刻んでいた

カリカリカリカリ…いつもの書類をまとめる音が綴られていた

そして


望月「ここに黒置くとー」

睦月「はっ、望月たんまたんまぁ」

望月「やーだよっ♪」


無慈悲にも白で囲まれた一角に黒が置かれる

白い絵の具が濁るよう、果ては牛乳にコーヒーを入れたかのように

白い石が一斉に反転した


睦月「ば、ばかな…」(←Loser

望月「あたしの勝ちっと」(←winner


オセロの最中だった

序盤こそ睦月の白が優勢だったものを今しがた一気に大逆転された次第


三日月「…(睦月ったら、最初からあんなに取りに行くから…)」


皐月の仕事を手伝いながらもなんともなしに観察していた三日月の感想だった


睦月「なぜ、勝てないし…」(連敗記録更新中

望月「伊達にメガネはつけてないってね」


くいっとメガネを持ち上げる望月


睦月「はっ、まさかそのメガネに何か秘密がっ」


睦月がガバっと起き上がり望月に顔を近づける


望月「まぁ、ほら。可愛く見えるとか?」

睦月「まことかっ!」


冗談めかして言う望月に睦月が食いつく


如月「じゃー私も付けたら可愛く見えるのかしら?」


すっと如月の手が伸び望月のメガネを外す

そしてそれを自分の顔に宛てがってみせた


如月「どうかしら?」

文月「おおー似合う似合う♪」


パチパチと拍手する文月

大人びた雰囲気が更に一段増した感じだった


如月「三日月には、どうかしら?」

三日月「へ?いいってわたしは…」

如月「いいからいいから」

三日月「もぅ…」


なんのかんので大人しくメガネを装着させられる三日月


望月「なんかさぁ…」

睦月「委員長キャラは不遇」

三日月「やっぱり…」


がっくりと三日月の肩が下がった


三日月「…つぎ、皐月の番」

皐月「ボク?まあ、いいけどさ」


書類をまとめてた手を止めてメガネを掛ける皐月


皐月「どうかな?」


レンズの間に指をそえてくいっとメガネを持ち上げて見せた


文月「伊達メガネっ」

睦月「直球だしっ」

如月「もう少しオブラートに包んでも」

望月「まあ、でもさ?」

三日月「似合ってはいるから、ね?」

皐月「ふん、いいさ。別に…メガネなんて、似合わなくても」


皐月がちょっと落ち込んでいた


長月「司令官」

菊月「今帰ったぞ」


なんてやっていると

任務帰りの2人が顔を出す


三日月「ちょっ菊月」


三日月が菊月の格好を見て固まる

見事に中破状態だった


菊月「なに、この程度なんともないさ」


ない胸張って格好を付けてはいるが、ちょっと膝が笑っていた


文月「てぇいっ」

菊月「ぃっ…」


背後から忍び寄っていた文月に突っつかれて菊月が体をハネさせる


文月「ていていていていてい、てぇいっ」

菊月「いた、いたいって、やめやめやめ」


痛みから逃れようと文月から距離を取るも中破状態では満足に動けず

直ぐに追いつかれては突っつき回される


長月「ちょうどいい、文月。そのまま入渠ドッグに落としてこい」

文月「はぁい♪」

菊月「わ、わかったから、いくから、やめ。姉さんたすけっ」

長月「ああ、傷が治ったらな」


助けを所望した菊月を笑顔で送り出した長月だった


長月「それで司令官は?任務完了の報告があるんだが」


どこかに寝転がってるのかとソファーの上を見てみるも

真っ黒になったオセロ台が見つかっただけだった


皐月「さあ?」

長月「さあって…」


長月の問には肩を竦ませて答える皐月


皐月「だってボクが来た時にはもう居なかったし…」

望月「あたしが寝る時まではいたんだけどなぁ…」


なんとなく不満そうなお二人


長月「まーた、何処ほっつき歩いてんだ あいつは」

如月「んーほら、ホワイトデーだし?」

睦月「逃げた?」

長月「はぁ…別にお返しとか期待してはいないんだがな…」

三日月「あ、ははは。とりあえず、任務おつかれさま、長月」

長月「ん、ありがとう」



-鎮守府-食堂-


木曾と別れた後、1人厨房に入り提督が調理を始めていた

玉ねぎをメッタ斬りにし肉をバラバラにして…すごい雑だった


北上「あれ、提督じゃん。なにやってんの?」


食堂と厨房を隔てる暖簾をくぐり北上が顔を出す


大井「ちょっと、なんで提督が料理してるのよ」

金剛「提督?」


と、続いて大井と金剛も


提督「んー…まぁたまには?玉ねぎだけに?」


皮を剥き終わった玉ねぎを提督が空中に放り投げる


大井「は?」

金剛「な、ないすじょーくデース」

北上「流石に北上さんでも それは笑えないなぁ」


冷たい声の大井と呆れ気味の北上

頑張って褒めようとしてくれてる金剛の優しさが身にしみる


提督「ま、そうなるな」


提督が未だ空中に浮かぶ玉ねぎに包丁を振り下ろす…

遅れて二つの落下音…まな板の上には半分に切れた玉ねぎが転がっていた


北上「こらっ、食べ物で遊ばない」

大井「よく見ればみんな雑じゃないの…」

金剛「oh♪」


「めっ」ってやってる北上と怪訝そうな顔の大井

「さすがは提督デス」とか言いだしそうな金剛だった




金剛「HEY提督。私も何かHELPするデース」


「たのんだよっ」なんて言い残して大井を引きずって北上が下がった後、金剛が手伝いを申し出てきた


提督「いやいい」

金剛「何故デスっWhy?私だってcookingのワン・ツー・スリーくらいっ」


体をぐいっと近づけて提督に具申する金剛


提督「いや、もう終った」


最後の材料を圧力鍋に叩き込んで蓋を閉める提督

中には 玉ねぎ:肉:しめじ:トマト:なんてシンプルなものだった


金剛「…私のまくった腕はどうすればいいデース」

提督「バンザイでもすれば良いんじゃない?」

金剛「こうデスか?」


素直に金剛が両腕を持ち上げる

当然の如く長い裾が垂れ下がり肩口の方で だらーんと垂れる


提督「…振り袖ってこういう時 邪魔よね」

金剛「?」

提督「なーんでもなーい」


なんてやってると、圧力鍋から蒸気が上がる

少し火力を落としてやれば蒸気の量も次第に落ち着いていった


しゅーっと蒸気の吹き出す音が聞こえる

後はこれといってやることも無いが火の側を離れるわけにもいかないので

ボーっとしていると


金剛「ていとくー…」


金剛が擦り寄ってくる


提督「なにさ?」

金剛「ホワイトデーの Bigなお返しは何ですカー?」

提督「ホントにせがんで来るとは思わなかった」

金剛「そうしないと提督…逃げるデース」

提督「まあ、そうなるけど…(そうしようとは思ったんだけど)」


「はぁ…」なんてため息一つ吐いて 隠してあったチョコを取り出す

買い物中に卯月がカゴに入れてたものだった

結局、買って帰る辺り木曾さんは優しいとおもいました○


提督「ほら」


ぶっきら棒に金剛に差し出してみる提督


金剛「WAO♪ていと、くぅ?」


一瞬喜んだ金剛だったかその顔が次第に曇っていく


金剛「あ、あははは…さ、さんきゅー、ねー」


ひと目でギリだと分かるチョコ

差し出されたチョコバーを震えた手でなんとか受け取った金剛

がんばって笑顔は貼っつけてはいたけれど


提督「食べないの?」


自分の分の包装をペリペリと向き始める提督


金剛「あ、あとで食べるネーはんぐりーした時にねー」


びっくりするくらいの落ち込みようだった


提督「金剛?」

金剛「なんですか?今ちょっと落ち込むのに忙しいデス」


ついには隠す気もなくなったらしい


提督「ちょっと眼とじて?」

金剛「…ok」


しぶしぶながらも瞳を閉じる


提督「ちょっと顎上に向けて?」

金剛「?」


言われるままに金剛が顔を上げれば

ちょうどキスでも せがむような体勢になった

その頬に提督の手が触れる


金剛「!」


ピクリと金剛の肩が震えるがそれも一瞬で直ぐに大人しくなる

そのまま頬を撫でていると

傍目でも分かるほどに金剛の頬が赤くなっていく


金剛「…」

提督「…」


とはいえずっと撫でてるだけで何もしないでいると

不安になったのか金剛が薄目を開ける

するとちょうどニヤついた提督の顔が目に入った


提督「キスでもされると?」

金剛「うぅぅぅっ!」


朱が入っただけの頬が耳まで真っ赤になっていく

ちょうど隣で湯気はいてる圧力鍋みたいだった


提督「いやぁ、可愛かったぞ、うん」

金剛「そんな言葉嬉しくないデース、据え膳があるのにどうして食べないデース

   それでもGentleデスかっ」

提督「まぁ、ジェントルではないけれど…」


そう言って再び金剛の頬に手を伸ばす

そしてそのまま金剛が何かを言う前に顔を近づけ…


金剛「あぁぁうぅぅぅ…」

提督「ご不満で?」

金剛「提督のfool!fooler!foolest!I love you!」


さんざん罵倒?された挙句の告白

そしてそのまま金剛に抱きつかれた


-食堂-


その一部始終をなんともなしに眺める2人がいた


大井「北上さん…コーヒー、砂糖入れすぎたかしら?」

北上「良くあんなの出来るよねぇ…」


食事まで待ってようとTeaTimeしてたのは良いが、このラブコメである

厨房と食堂、その間のカウンターから丸見えだったし丸聞こえだった


北上「大井っち」

大井「はい?」


名前を呼ばれ大井が提督たちから眼を離し北上に顔を向けると


北上「あい、らぶ、ゆー」

大井「…」


突然の告白に大井の顔が沸騰する

湯気でも出しそうなその感じはどっかの圧力鍋みたいだった


北上「にひひひ。そのコーヒー、そいつをどう思う?」

大井「すっごく、甘いです」


大井が顔を隠すようにカップを傾けていた


北上「ほーんと甘ったるいねぇ…」


残ったコーヒーを飲み干す北上の頬もまたちょっと赤くなっていた


-厨房-


提督「はい、おしまい」


提督がコンロのスイッチを切ると蒸気の吹き出しも弱くなっていった


金剛「STOP。提督、STOPデス」

提督「なに?」

金剛「何故もっと煮こまない?」

提督「…」

金剛「…」


しばしの沈黙


提督「おまえ、こないだカレーうどんにされたの忘れたか?」

金剛「NO.あれは具がなかったんじゃありまセーン、全部溶け込んでるだけネー」

提督「うん、それでわざわざ北上さん召喚してカレーうどんに近代化改修したんよ?」

金剛「すーぷかれーですー、今のはやりってやつデース」


確かに、具がないだけで不味いなんてことは無かったけど具がないだけで


提督「そういうのは綺麗にカレーうどん食べれる様になってからな」

金剛「うっ…」


食べ慣れてないのか何だったのか、カレーうどんを食べ終わった金剛の服は

白を基調にしているせいか茶色の斑点がところどころでめだっていた


金剛「あ、あれは、その…妖精のせい、デス」

提督「はいはい」

金剛「うぅぅぅぅっ!」


駄々っ子みたく頬をふくらませる金剛さんだった


-夜ー執務室-


日もすっかり落ちて、窓から見える水平線には月が浮かんでいた

ゆらゆらと水面を漂う月と、しんしんと静かに輝く空の月

なんともなしに窓からそんな景色を眺める提督1人


皐月「あ、司令官ここに居たんだ」


扉を開けて皐月が中に入ってくる


提督「まあ、他に行くとこないしね」

皐月「一日中どっか行ってたくせによく言うよ」

提督「私が居なくたってもう鎮守府は回るでしょうよ」


少なくともそれくらいは出来るようにはして来たつもりではあった


皐月「だーめ、金剛さんは提督が居ないとやる気なくなるから」

提督「えー」

皐月「あと、ボクも…」


ちょこんと提督のそばに寄り、体を預ける皐月


提督「…」

皐月「あの、さ?カレーありがと」

提督「木曾か…」

皐月「それもあるけど…皆気付いてるんじゃないかな?」

提督「やめろよー、そんなこと言われたら顔合わせづらいだろー」

皐月「美味しかったよ司令官♪また作ってね?」


満面の笑顔を向ける皐月


提督「…」


外の月を眺めたまま提督が皐月の頭を撫で回す


皐月「えへへへ…」


水面と空には金色の月

そして手元には金髪の少女

金ピカ尽くしだった


提督「…(今の私にはこっちのが眩しいのだけれど)」


なんて口が避けても言う気はなかった


睦月「あのぉ~、あんまりイチャつかれると~睦月たち入りにくいんだけどぉ」

皐月「へ?」

提督「おう、みんなして…」


睦月型の娘らが扉からニヤニヤと顔をのぞかせていた


皐月「い、いつからみてた?」

如月「皐月が「司令官大好きだよ」なんて言った辺りから」


皐月の口調を真似して如月が茶化す


皐月「い、いってないから、そんなことっ」

如月「ふーん、今から言ってもいいのよ?」


人差し指を唇にあてて如月が ニコっと微笑んだ


皐月「い、いわないよっ」

如月「だって。残念ね司令官」

提督「ほんとになぁ…言ってくれないのかぁ」


如月のアイコンタクトを受けて提督も便乗した


皐月「ぇぇぇ…いや、べつに、いわなくもなくてないけれど…」


皐月がもじもじ し始める


如月「あ、ちなみに私は言えるわよ?…司令官、大好きです❤」

提督「…ちと照れるね」

如月「ふふふ、それはよかったわ」


悪戯っぽく笑ってはいるけれど、大好きですの部分だけはやたら真に迫っていた


睦月「あ、睦月もいえるしっ。提督提督、大好きっ♪」

提督「よーしよし、頭なでてやろう」

睦月「えへへへ…」


きっと彼女のそれはlike youなんだろうなぁって


菊月「じゃあ、次は私だな。司令官、大好きだぞ」


あっさりと言い切った


提督「ああ、私もだ」

菊月「ん、これからも共にいこう」

提督「ん」


色気はまったくなかったけれど、これはこれで


卯月「うーちゃんもうーちゃんも♪」


ピョンピョンっと跳ねまわって卯月がアピールしてくる


弥生「ん、私も…大好き」


最後の方はなんか聞き取りづらかったけれどしっかりと口にしていた


望月「なに、これ?皆言わなきゃいけないパターン?」

如月「言ってもいいのよ?」

望月「はぁ、いいけどさぁ。…ま、私も結構好きだよ?司令官のこと、さ?」


ダルそうにしながらもどこか浮ついた感じだった


長月「…いわなきゃ、だめなのか?」

如月「…(カレー作ってくれたお礼だと思えば安いんじゃないの?)」


如月が長月に耳打ちする


長月「むぅ…それなら、まあ仕方無いな。好きだぞ、司令官」

提督「おお、長月から告られるなんて、新鮮だ」

長月「別に告白したつもりはっ」

提督「え、嫌いなの?私の事?」

長月「そんな事は言ってないだろうっ」

提督「そんな司令官大好きなんてっ」

長月「そこまでも言っていないっ」


結局いつも通りだった


文月「みーかづき♪…(今なら流れで言えるよ?ちゃんすちゃんす)」


こっちには文月が耳打ちしていた


三日月「…えと、私もその…し、司令官っ!」

提督「お、おぅ」

三日月「あ…ごめんなさい、大きな声出して」


自分でも予想外の声量にびっくりして三日月が恥ずかしそうに縮こまる


三日月「大好き、です、はい」


照れ隠しに顔を背けながらもはっきりと口にする


提督「愛してるよ、三日月♪」

三日月「ぅぅぅぅ…」


三日月が耳まで真っ赤になっていた


文月「しれいかぁん」

提督「ん」


抱きついてきた文月を受け止め頭を撫でる

口にせずとも伝わるものがここにあった


「…」


そして、みんなの視線が皐月に集まる

「いわないの?」とは口にはしないけれど

逃げ場なんてあったもんじゃなかった


皐月「…あ、あのさ…」


圧力に負けて皐月が口を開く


皐月「…大好き…」

提督「え、なに聞こえない?」


小声でつぶやいていたとはいえ すぐ隣で耳を傾けていれば聞こえる程度ではあった

その上で聞き返す提督は結構あれなのかもしれない


皐月「だから、その。大好きだよ?」


「…」


皆の顔がニヤついていた


皐月「な、なにさぁっもうっ。皆でからかってっ!」


恥ずかしさを振り払うように皐月が腕をぶんぶん振り回す


如月「かわいい」

弥生「うん」

卯月「うーちゃんの次くらいぴょん」

長月「その自信は何処から来るんだよ」

菊月「まぁ、カッコよさなら私のほうが上だがな」

長月「その自信は…(以下略」

三日月「…(くすくす)」

望月「いっつも一緒にいるくせになぁ」

文月「近すぎると言えないこともあるんだよ」


銘銘でからかっていた


皐月「あーもーっ!しらないっ!」


我慢の限界に達した皐月が提督に抱きついて顔を埋めた


提督「ほんと…(かわいいなぁ)」


その頭を提督が撫でていた


後書き

はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです

それでは今回の番組は

球磨「さあ、木曾。初体験はどうだったクマ」
多摩「一人前にしてもらえたニャ?」
木曾「何もしてねーよ、何言ってんだお前らっ」
球・多「えー(にゃ(クマ

北上「ま、意外に美味しかったじゃん?提督のカレー」
大井「だめよ、あんなのじゃ。あの人、やればもう少し上手に出来るはずよ」

瑞鳳「提督が料理出来たのも意外だけど。カレーうどんにならなくてよかった、かな」
金剛「うぅぅ、そんなにダメでしたか」
夕張「ダメではなかったけれど。具がないのは、ちょっと」

提督「さ、次回予告は誰がやる?」
望月「メタなこと言うなよ」
文月「あとがきはへんしゅうのりょうどですゆえ」
三日月「また変な言葉おぼえて…」
皐月「皆でやりなよ…」(←まだ拗ねてる
如月「それじゃあ…」
菊月「私が」
卯月「うーちゃんがっ」
菊・卯「がるるるるるる」
長月「なかいいな、お前ら」
睦月「はいはーい、睦月の出番が欲しいしっ」
弥生「うん、そうだといいけど…(実際は未定なんて言えない」

以上のメンバーでお送りしました




教えて皐月ちゃんのコーナー

皐月「まさか10回も続くとは思わなかったよ」
提督「そうだな、私もびっくりだ」
皐月「自分で始めといてさ」
提督「いや、MMDで動いてるのと漫画とか見てると真似したくなるじゃん?」
皐月「子供か」
提督「体は大人頭脳は子供」
皐月「だめじゃんかさ、それ」
提督「なはははは」

提督「さて、それじゃ、今回は 君らってあんまりお姉ちゃんとかって言わないよね?って疑問」
皐月「まあ、姉妹少ない戦艦の娘たちならまだいいかもだけど
   ボク達だとちょーっと数が多いし、ね?」
提督「ああ、それはまあ混乱しそうでは」
皐月「うん、戦闘中とかだと特に。長くもなっちゃうし
   そんな感じで呼び捨て、さん付けが基本かな」
提督「それでもたまにはお姉ちゃんとかって単語は聞こえるのな」
皐月「そりゃ、プライベートとか、たまには甘えたくもなるよ」
提督「ふーん、お兄ちゃんって呼んでもいいのよ?」
皐月「…呼ばれたい?」
提督「いや、いい。ネタにしかならん」
皐月「ネタにもなればまだいいけど。ね、お兄ちゃん♪」
提督「…予想以上にくるな、これ」
皐月「にしししし。それじゃ、またねー」


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山椒さんから
2015-03-30 23:58:21

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-: - 2015-05-22 11:31:10 ID: -

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