2019-01-11 20:53:57 更新

概要


『 本当の怪物 』は敵対する奴らか、それとも。


春雨は何を知り、何を見るのか。


まだ、彼女は歩みだしたばかり。



前書き




深海棲艦の独自解釈有


それを許容できる方はこの先をどうぞ。








この書類に記述されていることは全て事実であり、今後起こりうる最悪の事態を回避するためのものである。



始めに深海棲艦についての話をしなければならないが、この先の内容がわからない者のために前提を書き記す。



知っての通り、深海棲艦とは未知の生命体。艦娘と同時期に現れた、敵意を持つ人類の敵である。



以前までは艦娘によって殲滅し、人類は優勢であった。が、数年後に現れた人型深海棲艦によって大打撃を受け、シーレーンは狭まり各国の連携は難しいものとなった。



次第に勢力を拡大し、海を制圧していったた深海棲艦。対して、それに対抗するべく艦娘によって殲滅を図る人類。この後、暫しの間は拮抗した状況が続くこととなる。



しかし、このままでは此方が不利。いまは拮抗しているとしても、シーレーンが封鎖された今では資源も枯渇するのは目に見えている。



そんな拮抗した状況をいち早く打破すべく、資源枯渇が始まっていた日本は総力を上げた大規模作戦を多方面に展開。



初めは苦戦を強いられたが、艦娘たちの努力と多くの犠牲、そして幸運が重なったことで奪取された海域を続々と取り戻し、劣勢に転がっていた人類は優勢に転じることになった。



ここまでは一般市民でも知っている情報なので、承知の上で次の話に移ろう。



現在、大本営の方針が『 艦娘は兵器として扱う 』なんて腐ったものであるのは知っていただろうか。



時に自爆、時に単艦特攻。見るに堪えない戦法で深海棲艦を殲滅する提督が多く、ある意味方針に従っていると言えよう。



だが、彼らは事実『 何もしていない 』。指揮官であるならば生還させることこそが役目だろうに、あろうことか奴らはそれを放棄し多額の給料で肥えた豚のような裕福な生活を送る。



作戦が失敗すれば艦娘を虐待し、玩具にし、人格を破綻させる。それほどに、大本営と提督は腐った奴らの集まりと化していた。



しかし、その中にも少なからず人間として真っ当な者もいる。艦娘とコミュニケーションを取り合い、生還させる。まさに指揮官と呼べる存在が。



先にも記述した通り、私は最悪の事態を回避するため筆を進めている。その貴重な存在が生き残り、いずれ海軍を中から変えてくれると信じて。



長々と書き連ねてしまったが、ここからが本題。もしもこの書類を見ている君が、人類を救う勇気と己の信念を信じているのならば、読み進めてほしい。










単刀直入に言おう。我々を苦しめた人型深海棲艦の正体は艦娘である。



轟沈した艦娘。それを何らかの方法で救い出し、深海棲艦は強い力として彼女らを使うことが調査ではっきりした。



捉えた鬼級を解体し、深海棲艦の生態を研究する海軍内でも最重要機密事項。そのような裏の組織によって判明した事実は、絶対に世間へ流れてはならない情報なのだ。



公表することは疎か、各鎮守府の提督にすらほとんど伝えられていない事実。もしも、これが公になれば艦娘は暴動を起こし、民衆は必ず艦娘を擁護するのは目に見えていた。



おまけに、轟沈したら深海棲艦になると艦娘に伝わったとしたら、暴動の枠を超えて海軍を潰すことだって有り得る。そう考えた一部の人間は、この事実を隠しながら艦娘を戦わせていた。



だが、私は断じてそのようなことは許さない。艦娘を兵器として沈め、敵を増やし、それを黙認する海軍。腐った奴らは一度制裁を受けなければならないのだから。



まだ間に合う。この事実を大本営に突きつけ、世間にも公表すると脅し腐った連中諸共追い出した後、海軍を正常であるべき姿に戻してくれ。



心配は要らない。彼らは簡単に屈服するはずだ。今日までの汚職、汚らわしい奴らの艦娘に対する価値観を収めた録音ボイスはもちろん、研究映像も証拠としてPCに残してある。



そう遠くない未来、深海棲艦は必ず日本を潰しに来る。その日、破滅する未来を変えるため、この文面を見ている君に私は希望託した。



頼んだぞ、未来の英雄。君の行先に幸があらんことを。











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提督「春雨...貴様、私を殺すために」



春雨「はい、そうですよ。...元帥を裏切ったひとが、まさか司令官なんて思いませんでしたけど」



提督「知ったことか。...斯く言う私もケッコン艦が元帥の犬だとは思ってもいなかったがな」



春雨「そうなんですか?まぁ、司令官は勘が鋭いですから、ちょっと気を付けてたのが功を奏しましたね」



提督「ふん。...それで、貴様は私を殺しに来たのではないのか?」



春雨「えぇ、そうですよ。あなたを殺して、元帥の命令を果たします」



春雨「けれど、その前に。...少しお話するくらい構わないでしょう」



提督「...今更話だと?私の右手足を拳銃で撃っておいて、よくもまぁ言えたものだ」



春雨「司令官の体術は私でも防ぎ切れませんから。念の為、です」



春雨「...そろそろ本題に入りましょうか」



提督「早くするんだな。いずれ、貴様は危険に晒される」



春雨「言っている意味がわかりませんが...まぁ、いいです。早速本題に入りましょう」



春雨「ひとつ。あなたは何故、最重要機密を公表しようとしたんですか?」



提督「...間違った行いを正すため。ただそれだけだ」



春雨「間違った行い...。そんな訳ありません。元帥は間違った行いをする人では」



提督「はっ...なんだその冗談は。ジョークにも程がある」



春雨「...」カチャ



提督「これは失敬。...差し詰め、良いことをしている感じに嘘でも言われたのだろうな」



提督「なんとも幸せな奴だよ、お前は」



春雨「...黙ってください」バンッ



提督「っ...今度は左腕か」ポタポタ



春雨「司令官が余計なことを言うからです。...ではふたつめ。あなたは鎮守府に着任してから一度も給料を受け取ってないそうですが、それは何故ですか?」



提督「簡単な話だ。薄汚れた汚い奴らの下で働いた金など、受け取る価値すらない」



提督「それが艦娘を兵器だと思っている奴なら尚更だ」



春雨「...元帥は私に優しく接してくれていました」



提督「それはお前だけだよ、春雨。この鎮守府にしか居なかったお前には分からないと思うが、他の鎮守府では単艦特攻が当たり前だ」



提督「貴様、まさかそんなことも知らず元帥の指示に従っていたのか?」



春雨「...」



提督「可哀想な奴だ。なんの事情も、起こっている出来事も、悲惨な状況すら知らずに従う忠犬だったとは」



提督「春雨。...お前は外の世界を知らなすぎる」



春雨「黙ってください。私は元帥の犬。何がなんだろうと従うまでです」



提督「...」



提督「そうか。ならば、こんな指輪は要らないな」グイッ...ポイッ



春雨「っ...」



提督「腕を辛うじて動かせるだけ幸いだった。...貴様も外したらどうだ、その指輪」



春雨「...あなたの...司令官の言葉に従う義務はありません」



提督「...ふむ。ならば殺される前にひとつだけ忠告だ」



春雨「...」



提督「君が戦ってきた深海棲艦と元帥のような腐った人間。『 本当の怪物 』がどちらなのか見極めろ。もしそれが出来ないのなら、貴様はいつまで経ったも未熟者のままだ」



提督「...そのPCには君の知りたい全てが乗っている。私が死んだ後...見てみると良い」ゲホッ



春雨「...どうして」



春雨「私が...私が司令官を殺そうとしているのに、どうして平然にしていられるんですか」



春雨「しかも情報まで教えて...」



提督「勘違い...するな。ただ、真実を知らないことが残酷なことだと思ったから...だ」ゲホッゲホッ



提督「見たくないなら...破壊しろ...全て君の自由にすれば良い...っ」ゲホッ



春雨「...なんで」



提督「はっ...そんなの...決まってる...」ゲホッ



提督「...だって...君は...っ」



提督「わたし...の」



提督「...」
















春雨「...」



春雨「...任務...果たしました」



春雨「これで元帥に...元帥に報告できる...」



春雨「やっと...邪魔者は消えて...」



春雨「なのに...なのにっ」



春雨「どうしてこんなに...胸が苦しいの...っ!」ポタポタ













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追記。PCに保存してある証拠などは簡単に開かれると困るので、パスワードを掛けた。



パスワードは私の誕生日4桁。そして────













────春雨と結婚した、あの日の日付4桁だ











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2019-01-12 21:47:34

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このSSへのコメント

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1: SS好きの名無しさん 2019-01-11 06:13:53 ID: S:I1rdGr

スレた春雨は見て心苦しくなるな

2: うたは 2019-01-11 20:55:30 ID: S:WsfR9N


書いてて悲しくなりますねぇ...

多分、春雨ちゃんイチャイチャルートを別作品で書くかも(?)


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-: - 2019-01-12 18:47:44 ID: -

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