2019-01-14 12:18:06 更新

前書き

ドロドロしてない方の北上さん短編です。
また、全年齢向けです。





「…何だ、こりゃ?」



ぽつんと。机の上にそれは置いてあった。



一見、それは普通のメガネ。

が、問題は横に置いてあるメモ書きだ。



書いてある文字はそれだけ。

ただ、それだけなのが厄介だ。



(…服が透ける、ねぇ…)



こういったトンチキなモノを作るのは大体明石だ。次点で夕張。


最初に浮かんだ感情は「本当だろうか?」といった猜疑心。


そしてそれは次第に薄れ、むらむらと他の感情が湧き上がる。好奇心と言わずもがなな感情がむらむらと。



(……)




明石か夕張、どちらもをとっちめればこの眼鏡についての真相は聞けるだろう。


だが、そうしたらこれを掛ける事も恐らくできなくなってしまう…



「……よし」



ほんの少しの逡巡の後、コソ泥のように周りを見渡しながら、提督はそれを付けた。


度は付いていない。一見するだけなら、ただの伊達眼鏡にしか見えないような代物だ。



(…これは確認。確認の為だからセーフ)



咎める自分の良心を、そんな大義名分をつけ、無理矢理納得させて。


確認ならその状態で自分の服を見れば良いのでは?という考えはもう彼の頭には無かった。



そんなこんなで、彼の頭が冷静になる前に、その部屋に一人来客が来た。コンコンコンとノックの音。恐らくは、本日の秘書艦。



「は、入ってくれ」



と、合図をすると気の抜けた返事とともにドアが開く。そこに居たのは…




「ありゃ、北上?」



「うーっす。なんか目覚めちゃってさ。

暇だから来ちゃった」




と、秘書艦では無い。ただ、気まぐれに遊びに来ただけの、気まぐれな娘だった。


そして、提督の眼鏡を通して見えた彼女の格好は…



…ベージュのスポーツ・ブラとパンツだった。





(……下着までかよ!!)




すっかり大義名分を忘れきり、助平心を丸出しにしていた提督は、心の中で声にならない慟哭をあげ、歯噛みをする。



だがそんな事はおくびにも出さず、彼は平静を保ち、あくまで紳士的だった。



「そうか。まあ気が済むまで居るといい。

どうせ俺もまだ休憩中だ」



「ん、ありがとね…その眼鏡どしたの?」



「イメチェンさ。悪くないだろ?」



「私は付けてない方が良いかなぁ」




聞いているだけならば普通の会話である。

微笑ましい、コミュニケーションだ。



がしかし、提督はだんだんと気が気で無くなっていた。会話より気になってるものがあった為だ。しかもそれは、時間と共に加速度的に彼の気を引いていく。


それは、彼の目に移る甘美な光景。


椅子に座った彼女が両手を上げ、頭の後ろに置く。その動作は、彼女の下着をほんの少しずれさせる。そしてそのズレは少しずつ蓄積し…



(…もうちょい、もうちょっと)



…最早、大義名分など無い。彼は心の中ですら獣性を誤魔化しきれていなかった。彼の心は既に、野獣と化していた。

…健全な男なら仕方ないのかもしれない。




…そうしていると。ふと北上が椅子から立ち上がった。


そして提督の近くに来たかと思うと、

耳元でこう囁いた。




「バレバレだよ。…し、せ、ん」



そう言って、するりと提督の耳に掛かっていた眼鏡を取った。


決して早い動きではない…むしろ緩慢な動きだったが、直前に囁かれた言葉にぎくりと固まっていた提督は、それに反応出来なかった。



そして、そのまま彼女は眼鏡を自分にかける。


北上は少しだけ、見えた世界に驚いたような顔をした後、にやにやと顔を歪め、提督の顔をこちらに向けさせる。



にやにやとした顔をそのままに、北上はこれでもかと挑発的な態度を見せる。提督ったらスケベー、何も言わないでそんな事するなんてダメだよー…と。



さて、提督はと言うとすっかり頭も冷え(顔が真っ青になるほど!)、自己嫌悪やら恥ずかしさやらで情けなくなってしまっていた。




「ねえ、どーなの?」



「…」



「黙ってたらわかんないでしょー。

…それとも何かな」



そこまで言うと、彼女は笑みを浮かべ



「この下が、そんなに見たいのかな?」



スカートをひらつかせながらそう言った。



「…そ、それは…」



「…残念、時間切れ。」



そう言うと、彼女はその眼鏡を外して提督へと投げ返した。



「それ、他の娘の前では外しなよ?

…私以外はきっと、怒っちゃうからね」



「…!?それって、どういう…!」




目を白黒させている提督を尻目に、彼女は執務室を出ていってしまった。


残ったのは、魂を抜かれたかのように茫然としている提督ただ一人。




…部屋を出る前に北上が見せたあの悪戯な笑み。



(きっと、あれには二度と敵わない。)



そんな不吉なような、至福のような予感が、彼を襲っていた。







終わり







後書き

以上です。

ドロっとしたものを書いた償いです。


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SS好きの名無しさんから
2019-01-15 23:33:08

エメラグーンさんから
2019-01-13 15:49:59

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2019-01-13 02:28:32

このSSへのコメント

3件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2019-01-13 02:29:53 ID: S:HCHRna

とてもおもろかったです!

続きが気になる終わり方だったのですがもう更新は無しですか?

あるなら楽しみにしてます!ないなら次の作品も楽しみにしてます!

2: SS好きの名無しさん 2019-01-13 12:33:27 ID: S:Cb4EfY

この『北上』露出趣味でもあるのか?

3: マロニー 2019-01-14 12:21:51 ID: S:mPxrub

1
お読み頂きありがとうございます。
こちらは短編ですので、この後はご想像に任せる形になります。次作を書かせてもらった際にまた読んで頂ければ幸いです。


2
この話の北上さんはそういったシュミがある訳では無く、見られた事<自分だけを見ている+自分の体で興奮している判定って感じです…


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-: - 2019-01-13 08:21:42 ID: -

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