2015-03-23 23:55:40 更新

概要

某鎮守府での日常的な風景を3-2でモタモタしてる俺提督が書いた話。


前書き

地の文無しのSSというものは初のため至らぬ点もあるかもですが、よろしくお願いします。
なお、基本的に主人公提督の鎮守府で登場する艦娘は、大淀&明石を除き、自分がプレイしている中で出会った(≒建造orドロップで艦隊入りした)艦娘のみとなります。

※一部独自解釈の設定を前提としていますので、ご理解よろしくお願いします
・艦娘が建造で誕生⇒轟沈して深海棲艦へと転生⇒深海棲艦が倒された時、とある確率で艦娘に再転生
・解体⇒装備を溶かして資材にし、艦娘は一般市民化。艦娘時の記憶は消去
・近代化改修⇒装備を分解し別の艦娘の強化に使われる以外は解体と一緒


プロローグ ―某月某日、合同演習場―


モブ提督A(以下A)「なぁお前、金剛型着任したか?」


モブ提督B(以下B)「いや、まだ。建造も巡洋艦だしドロップも普通の艦娘でさぁ」


A「未だにドロップの原理分からないけどな。確か深海棲艦を倒したら艦娘に再転生だっけ?」


B「らしいなぁ…はぁ、来てくれよ金剛ちゃーん…」


A「てかお前、巡洋艦って誰が来たんだよ? 球磨型? それとも高雄型とか最上型とか?」


B「いや、天龍型。もう何組目だよ…」


A「まぁ良いじゃんか、雷装と装甲の改修には困らないわけだし」


B「でもよー、いくらなんでも世界水準越え(笑)は無いよなー」


A「確かに。自分が旧型だって忘れてるんじゃね?」











天龍「………」


龍田「天龍ちゃん…?」


天龍「…悪ぃ、何でもねぇよ。ほら、帰ろうぜ」





いつもの朝の光景+α


提督「くぁぁ…てーとくとーちゃくっと。今日も一日頑張るk―――」


天龍「うーっす、提督ー! 天龍様の登場だー!」


提督「げふぁ!?」


天龍「…フ、フフフ、怖いか?」


提督「そりゃ怖ぇよ、執務室のドアを蹴破って上官を吹っ飛ばすやつは!!」


天龍「…ま、まぁ次から気をつけるって」


提督「その台詞、もう何回も聞いたんだけどなー?」


天龍「そーだっけかー、覚えてねぇなぁ」


提督「目を逸らしながら言っても意味ねぇぞ…ったく、まーいっか。それより今日も秘書艦業務頼むぞ」


天龍「おぅ、任せとけ!…っと、そうだ。これ提督宛に届いてたぞ」


提督「ん、さんきゅ。上層部からか…まさかお前、演習先の鎮守府のドアも―――」


天龍「ばっ、さ、最近はしてねぇよ!!……多分」


提督「怒られんの俺なんだからなぁ?…っと、どれどれ?」


天龍「まさか俺のことじゃないよな……ん?」




「「ケッコンカッコカリぃ?」」



ケッコンカッコカリ


提督「つーわけで、お前なら他鎮守府との交流も広いから詳しいかなと思ったんだけどよ、どうだ?」


長門「なぜ大淀の所に行かずこちらに来たのかは分からないが…まぁ、知っている。つい先日妹が行ったばかりだしな」


提督「妹って…あぁ、隣区域の鎮守府にいる陸奥ちゃんだっけか?」


長門「あぁ。誇らしいことにあいつは鎮守府一の腕と練度だそうでな」


提督「そいつぁめでたいな、おめでとう。今度何かお祝いでも持ってくか」


長門「きっと喜ぶだろう…っと、話が逸れたな。それで、ケッコンカッコカリというのはだな―――」






天龍「へぇ、指輪をつけるだけでパワーアップすんのかー!」


龍田「その通りよ~。その指輪をもらいに行ったりする手続きが婚姻の手続きに見えるからケッコンカッコカリなんですって」


天龍「なるほどなぁ、お偉いさんも良いネーミングセンスしてんじゃねぇか」


龍田「その名前のせいか、指輪をもらう艦娘と本当に結ばれる提督もいるそうよ?」


天龍「あー、だから長門の姐さんはちょっと前に正装で出張行ったのか」


龍田「えぇ、そこの鎮守府はまさに今の例の通り、本当に結婚したそうだからね~」






提督「でも、なんでうちに今頃来たんだ? 確かあっちの提督と俺が着任したのってほぼ同時期だったよな?」


長門「それはだな、指輪をもらう艦娘が最高練度であることが条件だからだ」


提督「最高練度ねぇ…あ、そういやお前らが最高練度に達したこと、最近上に報告したわ」


長門「その報告を受けて上層部が書類を届けたのだろうな」


提督「ふぅん…一々面倒だからある程度溜めてからまとめて報告したけど、そーゆーことなら早くやっときゃ良かったな…」


長門「さて、提督。今日はこれから忙しくなるぞ?」


提督「え、どゆこと?」


長門「私は『事情を察知してる』から良いが、他の艦娘達はアピールしてくるだろうな」


提督「他の艦娘達ぃ?」


長門「言っただろう、中には本当に結婚する者もいると。提督、実は意外とモテているんだぞ?」


提督「……はぁ?」




提督の指輪争奪戦


川内「てーとくーっ!!」


提督「おわっ、なんだ川内かよ、どうした?」


川内「知ってる? 夜戦って弾薬とか結構使うんだよ?」


提督「あ、あぁ、そりゃ知ってるけど?」


川内「でさ? 私って夜戦でこそ輝くわけじゃん?」


提督「…? あぁ、お前の夜戦での活躍には助けられてるけど…?」


川内「さぁ、そうと分かればケッコンカッコカリを私としよう!」


提督「…お前それ目当てか!?」


川内「とーぜん! ていうかもう鎮守府中に広まってるよ?」


提督「マジかよ、誰だよ広めたやつ!?」


川内「提督と長門さんが話してるのを私が聞いてー、第一艦隊の皆に話してー」


提督「何を普通に話してんだよ夜戦馬鹿!!!」


川内「まぁまぁ、ここでさっさと私としてくれれば―――」




加賀「―――提督」


提督「ど、どうしたよ加賀? ボーキならあとで演習後にやるから我慢な?」


加賀「確かに、私はよくボーキサイトを必要とするけれど」


提督(…ま、まさか…)


加賀「ケッコンカッコカリをすれば、消費量も減るわ」


提督「てめぇもか加賀!! つーかお前ちょっと顔赤いぞ、実は恥ずかしいんだろその提案!!」


加賀「…そんなことは、ないわ」


提督「微妙に目を逸らしながら何を誤魔化してんのかなぁ!?」


川内「そうそう、ていうか抜け駆けは無しだから!」


加賀「夜戦中毒の癖にこういう時だけは素早いのね、抜け駆けなら貴方もしているはずだけれど?」


川内「中毒とまで言う!?」


提督「いや、あながちそこは間違ってねぇけど」


川内「語尾が加賀に影響されてるよ!?」




木曾「あぁ、ここにいたのか提督」


提督「ナイスだ木曾! どうした?」


木曾「いや、ちょっと相談がだな」


提督「相談? 珍しいな改まって…何かあったのか?」


木曾「例のケッコンカッコカリのことなんだが…」


提督「」


木曾「弱かった俺を見捨てずに第一艦隊に居させてくれた提督のおかげで今の俺がある。だから、もっと強くなってお前と共に戦いたいんだ」


提督 (不覚にも泣きそうになるくらい良い理由じゃねぇか…)


木曾「まぁ、その、なんだ。俺だってケッコンカッコカリが他の鎮守府とかでどういう意味を持つかは分かってるさ」


提督「お、おぅ」


木曾「無論、俺もそれを意識しないわけじゃないんだが―――」


川内「はいはいはいストーップ!!」


加賀「我が鎮守府唯一の雷巡でも、それ以上のアピールは許さないわ」


川内「最初の頃は他意のない真面目な話かと思って油断してた私達も馬鹿だったけどさ!!」


木曾「…俺とこいつの仲なら、指輪があっても無くても信頼関係は揺るがないけどな」


提督「張り合うなよお前らー…」


加賀「なら、演習場に行きましょう」


木曾「なるほど、生き残った者が指輪を得られるってわけだな?」


川内「良いじゃん良いじゃん、その方が楽だし分かりやすい!!」


提督「お前らちょっと待……行っちゃった」


長門「ふっ、大変だな提督」


提督「見てたなら止めろよ…」


長門「残念ながら、今来たところなのでな。ところで、良いのか?」


提督「んぁ?」


長門「いや、そろそろ陸奥のいる鎮守府との演習の時間だが…」


提督「先に言おうぜ!! 待てお前ら、まずは自分の仕事をだなー!?」




天龍と第六駆逐隊


天龍「うっし、今日の分の開発と建造終わりっと。建造は…うへぇ、また軽巡かよ」


???「てんりゅー!!」


天龍「ん? なんだ暁じゃねぇか、響に雷に電も…なんだよ、第六駆逐隊勢揃いか」


暁「聞いて聞いて! 北方鼠輸送作戦大成功だったのよ!!」


電「なのです!」


天龍「おー、すげぇじゃねぇかガキ共!」


響「Спасибо、天龍」


雷「これからも雷達にどんどん頼って良いのよ!」


天龍「いやぁ、それにしても成長したなぁ…お前らを連れてキス島をグルグル回ってた頃が昔のようだぜ…」


暁「本当に昔の話だから、それ!! レディに昔のことは禁句なのよ?」


天龍「はは、悪い悪い」


電「ところで、何かあったのですか?」


天龍「え?」


響「元気が無いように見えたからね。だから姉さんがいつもより元気に駆け寄ったんだよ」


暁「一人前のレディとして周りを元気付けるのは当然のことよ!」


天龍「そっか、ありがとな。でも俺は大丈夫だぜ?」


雷「…天龍、ちょっとしゃがんで?」


天龍「ん?」


雷「よしよし…」


天龍「わ、ちょ、どうしたんだよ?」


響「天龍は私達のお姉さんだからね」


暁「レディの在り方を教えてくれた天龍には感謝してるのよ?」


電「だから、私達も天龍さんの力になりたいのです…」


雷「もし気分が変わって話したくなったら、私達に言ってね?」


天龍「…おぅ、ありがとうなお前ら」





不知火「龍田さん?」


龍田「あら~、不知火ちゃん。どうしたの~?」


不知火「いえ、たまたま通りがかったら貴方を見かけたので…中にいるのは天龍さんと第六駆逐隊ですか?」


龍田「えぇ、そうよ。天龍ちゃんったらあんなに懐かれて嬉しそうだけど、私が入っていったら誤魔化しちゃいそうでしょ~?」


不知火「想像に難くないですね」


龍田「それに、あの子達と話して自分の気持ちと少しは向き合ってくれるかな~って」


不知火「と、言うと?」


龍田「不知火ちゃんにはちょーっと早い話かもね~?」




天龍の悩み


天龍「ただいまーっと」


龍田「あら、お帰りなさい天龍ちゃん」


天龍「おぅ……はぁ」


龍田「どうしたの?悩み事?」


天龍「いや…まぁ、うん。ちょっとな」


龍田「もしかして、ケッコンカッコカリのことかしら~?」


天龍「お前も知ってたか」


龍田「鎮守府中この話で持ちきりだもの~」


天龍「…龍田は、興味あんのか?」


龍田「私の練度じゃ遠い話だし、何より提督とはそういう仲じゃないわよ~?」


天龍「でもほら、大幅なパワーアップとか興味ねぇの?」


龍田「天龍ちゃんは、私にパワーアップして欲しい?」


天龍「………いや、今のままでもある意味強力だからこれ以上は…遠慮願いたい」


龍田「だと思ったわ~。それに、天龍ちゃんから提督を奪いたくないもの」


天龍「ぶふっ!? なっ、ばっ、お前、どういう意味だよそれ!?」


龍田「あらあら~? 天龍ちゃん、お顔真っ赤よ~?」


天龍「お前が変なこと言うからだろ!?」


龍田「変なことじゃないわよ? 天龍ちゃん、提督のこと大好きでしょ~?」


天龍「~!?」


龍田「うちの艦隊で最初に最高練度になったの、天龍ちゃんじゃない? あれって、ずっと旗艦だったからじゃないかなって思うのよ~」


天龍「…まぁ、長門の姐さんとかがMVP取りまくってるのに、俺が一番乗りだったからな。理由はそれだと思う」


龍田「第一艦隊の旗艦となれば、そこの鎮守府の顔でしょ~? それに加えて、長い間秘書艦も務めてるわけだし、提督と接する機会も一番多いわよね?」


天龍「…まぁ、そうだな」


龍田「そうしたら、提督のことを好きになる機会も一番多いんじゃないかしら~?」


天龍「どうしてそこに繋がるんだよ!?」


龍田「だって私知ってるもの~。天龍ちゃんが自分で旗艦や秘書艦に相応しく思えるように色々な鍛錬をしてること」


天龍「うっ…そ、それは…」


龍田「確かにあの人は私達を兵器や道具ではなく大事な戦友として扱ってくれるし、それに対して恩義や尊敬の念を抱く子は多いわ~」


天龍「長門の姐さんや木曾なんてのが良い例だな」


龍田「でも、天龍ちゃんの頑張りは恩義や尊敬だけじゃ説明しきれない面もあるわよ~?」


天龍「……」


龍田「一回、素直になってみたら?」


天龍「…悪いが、それは無理だな。そしたら色々辛くなっちまう」


龍田「天龍ちゃん…」


天龍「…ちょっと外の空気吸ってくる」




龍田「…という感じだけど、どうかしら~?」


木曾「ようやく分かったよ、今回の件であいつがやけに大人しい理由が」


龍田「私も色々気付いてたけど、貴方の意見を聞けて確信に変わったわ~……やっぱり、あの時の演習帰りの件が原因かしら……」


木曾「昔の俺もよく言われてた話だから、気持ちはよく分かる。結果的に俺は改二のおかげで汚名返上出来たが、あいつは…」


龍田「私達って『元々』が旧型だから、無理な改造は負担しか生まないってことで改造案は難航してるらしいのよね~…」


木曾「…でも、いい加減気付けば良いのにな」


龍田「えぇ、本当に…」


木曾「うちの艦隊で一番のエースは、長門の姐さんでも加賀でも川内でも、もちろん俺でもなく…」


龍田「MVPも撃墜数も最多な、天龍ちゃんなのにね~」



最良の決断


提督「悪いな、長門。こんな時間に…」


長門「気にするな。それで、どうした?」


提督「いや、さ。俺川内達の騒動の後ちょっと考えたんだけどさ」


長門「…伝えるのか?」


提督「おぅ。ただ、あいつが受け入れるかどうかが…」


長門「ふふっ、艦隊指揮においては堂々としている提督もこの手の話では奥手だな」


提督「うっせ。つか、単純にそれだけじゃねぇよ」


長門「と、言うと?」


提督「ほら、あいつって自信家のような発現をよくするけど『元々』が『元々』だから、数値だけ見れば良くないだろ?」


長門「まぁ、戦艦の私が言うのも何だが…理解はできる」


提督「俺、思うんだよ。多分あいつはそういう数値だけを見て評価するやつらを見返したいんじゃねぇかなって」


長門「自分が活躍すれば、低い評価は覆る、か…」


提督「それだけじゃねぇさ。数値の低いやつが活躍するって結果は、総じて他の艦娘達の事前評価を覆す材料になるだろ?」


長門「確かに、すぐに変化するわけではなくても、小さくない影響は及ぼすだろうな」


提督「ほら、あいつ駆逐艦達とよく接してるからさ。きっと自分だけじゃなくてそいつらのためにも頑張ろうとしてるんじゃないかってな」


長門「…よく、見ているんだな」


提督「へっ、伊達に提督と秘書艦の関係が長いわけじゃねぇぜ」


長門「ふっ」


提督「っと、話が逸れちまったな。まぁ要するに、ここで大幅なパワーアップはあいつの理念を妨げちまうんじゃねぇかって思うんだ」


長門「…では、どうするんだ?」


提督「それを悩んでるんじゃねぇか…」


長門「だが、話を聞いている限りでは悩んでいるというよりも、一度頭の中を整理したかっただけのように思えるが?」


提督「…マジ?」


長門「あぁ、マジ、だ」


提督「……うっし、行ってくる!」


長門「あぁ、行って来い」


提督「サンキューな長門! 今度間宮の甘味ごちそうすっから!」


長門「そ、そういうことは大声で言わないでくれ!」



「全部知ってる」


天龍 (確かに、『俺』が作られた時は世界水準を超えてた)


天龍 (でも、今じゃ『俺』より上の軽巡洋艦はゴロゴロいる。よその『俺』は前線さえ出られず、遠征部隊長か改修素材って聞いた)


天龍 (そんな『俺』が、あいつらみてぇにあの話に挙手して参加なんて出来るわけ―――)




提督「やーっと見つけたぞ、このフフ怖馬鹿!!」


天龍「馬鹿って言ったほうが馬鹿だ!! 俺今けっこうシリアスだったのに、どうしてそれを壊すかなぁ!?」


提督「消灯時間ギリギリに出撃でもねぇのに部屋にいないお前が悪い!!」


天龍「…え、もうそんな時間?」


提督「おぅ、時計見てみろって。二三〇〇、消灯時間だ」


天龍「…毎度思うけどさ、早くね?」


提督「寝る子は育つ、つまり早く寝れば俺達は強くなれる!!!」


天龍「へぃへぃ…そんじゃとっとと部屋に―――」


提督「バーロー、今から走っても間に合わねぇし、時間が守れねぇってことは懲罰だバカタレ」


天龍「あんたはどうなんだっつーの…」


提督「俺はほら、修学旅行でありがちな巡回する教師役?」


天龍「なんだそれ、それで懲罰は?」


提督「眠気が飛んだ俺の話し相手になれ」


天龍「…ふふっ」


提督「んだよ」


天龍「いや、話したいなら最初からそう言えって」


提督「うっせ!」


天龍「んで、何を話すんだよ?」


提督「ここに来る途中龍田に聞いたぜ? お前、俺のケッコンカッコカリの相手のこと考えて悶々としてたんだろ?」


天龍「ぶはっ!?」


提督「いやー、お前も可愛いとこあるよなー、本当!!」


天龍「ばっ、おま、撫でんな!! てか俺は可愛くねぇ!!」


提督「あー、天龍ちゃん可愛いわー」


天龍「龍田の真似すんな!! 提督がやったって気色悪いだけだっての!!」


提督「真似じゃねぇですー! 俺のオリジナルですー!!」


天龍「ガキみてぇな言い方してんじゃねぇ!!」


ギャアギャアワーワー


天龍「はぁ…はぁ…ったく…提督ってやつは…」


提督「ぜぇ…はぁ……天龍、夜中に騒ぐなよ」


天龍「ブーメラン発言な!?」


提督「えー?」


天龍「えー?じゃねぇ!! そんなんじゃケッコンカッコカリの相手にも愛想尽かされんぞ!?」


提督「……お前も?」


天龍「あぁ?」


提督「天龍は愛想尽かすのかって聞いてんの」


天龍「お、俺? 俺は慣れてるから別に…ってお前それどーゆー…」


提督「お前が愛想尽かさないなら別に良いって話」


天龍「…意味分かってんのか?」


提督「まぁ、そこまで鈍感ではないつもり」


天龍「あのなぁ、俺は―――」


提督「バーロー、知ってるっつーの」


天龍「―――え?」


提督「天龍が駆逐艦達のために頑張ってること、俺らの鎮守府に不当な低評価が与えられないように努力してること、『天龍』について色々悩んでること。俺は全部知ってる」


天龍「…龍田がお前に?」


提督「言ったろ、俺はそこまで鈍感じゃねぇの。まぁ、結局俺が頭悪ぃからかっけぇ答えが出てこなくて話さえまともに聞いてやれなかったがな」


天龍「…」


提督「天龍は優しいからなぁ、自分を慕うやつらや鎮守府とか俺のために色々抱え込んじゃったんだろ? 悪かったな」


天龍「いや、謝られちゃ―――」


提督「だがな、これだけは言っとくぞ、天龍」


提督「たとえ『天龍』が旧型だろうが、天龍が他の巡洋艦艦娘よりスペックが低かろうが」


提督「俺がケッコンカッコカリをしてほしいと思う相手は、天龍…お前だけだ」


















提督「」


天龍「…お、おーい? てーとくー?」


提督「…い」


天龍「い?」


提督「いきなり殴り飛ばすやつがあるかぁぁぁぁぁぁ!!!」


天龍「うおっ!?」


提督「なぁ、分かる? 俺今一世一代の大勝負したわけ。かっこつけたプロポーズ的なことしたわけ。なんで俺次の瞬間意識飛んだ!?」


天龍「えーっと、そ、そりゃ…」


提督「あれか? 照れ隠しか? 照れ隠しなのか? 照れ隠しでとりあえず一発入れたか!?」


天龍「っ!」


提督「……え?」


天龍「……」


提督「いや、そっぽ向くなよ」


天龍「…………る」


提督「?」


天龍「今、顔見られたら…こ、困る」


提督「天龍…」


天龍「ば、馬鹿だよな、俺。いくらなんでも、こんなシーンを夢見ちゃいけねぇよな」


提督「…は?」


天龍「だって、こんな都合の良い話があるかよ? 俺の悩みとか全部知ってて、受け入れてくれて、そんな良い話が…」


提督「……うっし、分かった。おい天龍!」


天龍「なんだy―――」



結ばれる龍


天龍「…提督?」


提督「おら、もし夢ならここらで目ぇ覚めんだろ。どーだ、まだ夢だ何だと言い張るか?」


天龍「……その、非常に言いにくいんだが」


提督「んぁ?」


天龍「普通、夢か現実かを区別するのは頬をつねるよな? その、なんだ、……をする必要は―――」


提督「………ごめん帰る俺帰る」


天龍「ちょ、待、言い逃げならぬやり逃げ!?」


提督「うるっせぇバーカ!! 俺の一世一代の決断が!! ただの勘違いオチにされて心折れないわけねぇだろ!!!」


天龍「だから!! …その、意味分かってんのか?」


提督「…ったりめーだろ」


天龍「弱いぞ、俺」


提督「世界水準超えてるんだろうが、素質はあるから大丈夫だ」


天龍「怖くないぞ、俺」


提督「安心しろ、朝の一件のせいで俺はある意味怖ぇ」


天龍「いっそのこと、遠征とか近代化改修に回したほうが良いと思うぞ、俺」


提督「俺からお前を切り離すとか、残酷かつ外道なことするじゃねぇか」


天龍「提督…」


提督「ここまで来たらもう何も恐れるこたぁねぇから、言うぞ」






提督「俺と結婚してくれ、天龍」





天龍「…喜んで、提督」



これからの朝の光景


提督「くぁぁ…てーとくとーちゃくっと。今日も一日頑張るk―――」


天龍「うーっす、提督ー! 天龍様の登場だー!」


提督「ぐおぁ!?」


天龍「…フ、フフフ、怖いか?」


提督「そりゃ怖ぇよ、反省もせずまたもや執務室のドアを蹴破って上官を吹っ飛ばすやつは!!」


天龍「…ま、まぁ次から気をつけるって」


提督「その台詞、昨日も言ったよな!?」


天龍「そーだっけかー、覚えてねぇなぁ」


提督「それも言ったよな!?」


天龍「まぁまぁ、それより時間大丈夫か?」


提督「あぁ?……げぇっ、もうこんな時間!?」


天龍「ったく、何やってんだよ」


提督「俺より後に来ておいてそりゃねぇんじゃね!?」


天龍「長門の姐さんに秘書艦の仕事の引継ぎしてただけだし」


提督「うぐっ」


天龍「そっちは大丈夫なのか?」


提督「……色々終わったら手伝ってください天龍様ぁ!!」


天龍「はいはい、任せとけって」


提督「うっし、そんじゃ行くぞ! とっとと指輪もらいに行くぞ!」


天龍「よっしゃぁ!!」


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1: SS好きの名無しさん 2017-06-22 18:25:13 ID: G5vaqWuk

天龍めっちゃ可愛い!
良いSSですな

2: SS好きの名無しさん 2017-11-02 21:44:10 ID: jKCqCNnc

天龍ちゃんハアハア
可愛いよ天龍ちゃんハアハア


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