2019-07-24 00:12:35 更新

概要

「申し上げます!タイトルが デ デェーンしましたぁ!」

「ダニィ?」

「デデェーンで落とさなかっただけましという事か」

「かぁん違いするな、よぅく見ろ」

「ふぉあああ、何て露骨なタイトルなんだ?!」

「本文も修正されているのだよ。さっ、ゆっくりとご覧ください。腐☆腐」

「・・・」ニヤリ

「早速視聴に出かける、後に続けブロリー!」

「はい」


前書き




「コンピューターが弾き出しましたデータによりますと硬派な監禁M男調教とレズプレイがある特定少数派向けの内容ですじゃ」

「【【 】】内のパートは空想科学パートですので読み飛ばしても問題ないですじゃ」

「本作は“プレイヤーの減少に伴い戦線が押され人類敗北エンドにてサービスが終了する事が公式設定されている”との噂から成立しておりますじゃ、セリフを流し読みしていくと、時々始まるシリアスパートがだんだんと進展していきますじゃ」


「キャラのイメージ湧きずらい人用に、別作 “『 海底150M 囚われの提督 強制M男ペット化調教 』のチラ裏” にハーメルンから逆輸入のおぼえがきが実装されましたじゃ」






 「本作の目次ですじゃ」

 ― セックス調教 初日 ―

01 戦艦棲姫 01
02 戦艦棲姫 02
03 戦艦棲姫 03
04 戦艦棲姫 駆逐棲姫 01
05 戦艦棲姫 駆逐棲姫 02
06 Intermission 女達の舞台裏 ←なぜかUAが多い。


 ― セックス調教 2日目 ―

07 戦艦棲姫
08 そこは海底150M
09 戦艦棲姫
10 戦艦棲姫(過去)
11 Intermission まどろみの中で
12 飛行場姫 ←ここもUA多い。
13 飛行場姫 駆逐棲姫(メイド服) 01
14 飛行場姫 駆逐棲姫(メイド服) 02(暴行注意)
15 飛行場姫 駆逐棲姫(メイド服) 03(PVホイホイ)
16 アプサラス
17 アプサラスⅡ

18 アプサラスⅢ(次回は淫語追い詰め童貞狩り祭り予定)




→NEW警告(前書きスキップ対策ハーメルンから転用の注記。こことは若干仕様が異なります)


①本作は独自に年齢制限を設定しております(20歳以上)人類ヘイト筋の活躍を描くため、定期的に飛行場姫様主導により独自見解にて同性愛や男などの存在を殺しに掛かります。本ページ中盤以降、軍事考察もそれなりにされています。(飛行場姫はチラ裏の設定見てから来ると100倍可愛くなります)


②若干アブノーマルなカップリングを好む方や性的マイノリティの方は、全速で離脱してください。精神の安定を保証しません。進んではいけません。討ち死にします。なお、その手の糾弾内容は織り込み済みであり、あまり適正な回答を行いません。


③コメントは削除しないと活動内容で明言しているため、名無しの場合は特に気を付けてください。あなたが消せなくなるだけです。複垢などが本サイトで許容されているのであればそちらをご利用ください。どのような回答がついてもいつまでも残ります。


④本作はあくまでも作品であり『深海棲艦(女)>普通の女>全男』の世界観で進展していきます。男はゴミのようにサクサク死にます。女様万歳ストーリです。本作内で知り得た知識や解釈を現実に持ち出した場合、なんらかの不都合の発生が多分に予想されますので、想像だけに留めてください。人類嫌いガチ筋は来ないで下さい。犯罪ダメ絶対。


⑤時々アルマゲドンとかディープインパクト並のとんでもSF見解が実際にありそうなそれっぽい言い回しで出てきます。空想科学研に通報されて笑い飛ばされるレベルの物もあります。それはそれでネタとして楽しんで下さい。本作はフィクションです。


――ここまで書いてダメなら、それもう自己責任だからね。きゅぴーん☆

 あとは(゚⊿゚)シラネ









 ― セックス調教 初日 ―



01 戦艦棲姫01




「おいお前。いつまで寝ているつもりだ?」


聞こえてきた女性の声。暗い室内、いや、石牢か。次第に目が慣れてくる。所々、薄暗い裸電球が室内を照らしている。手足を固定されているらしい。首だけを動かし声の来る方向を見た。


「下着一枚ではさむかろう。添い寝してほしかったか?」男は、十字に組まれ直立する鉄骨に、鎖を手足に巻きつけられて磔られている。


「貴様は・・・」入口から差し込む光の方向を見ると、黒髪で背の高い女性が立っている。漆黒でミニスカート。ドレープネックのワンピースから、対照的な白くスラリとした足が石段を下りて近づいて来るのが見える。石段にも数か所裸電球が吊り下げられており、白い手足が動いて来るのが見えた。


「しっ」声の主は近寄ると素早く腕を伸ばす。


「うぐっ!」突然、パンチを腹筋に受ける。吊るされる小さな裸電球が彼女の顔を照らした。顔には、小さな角が並列に二本、前髪を分けて生えている。


「知らないのか?私が戦艦棲姫[せんかんせいき]だ」


「深海へようこそ提督」彼女は赤い瞳を揺らし怪しく微笑んだ。


「さて、どうする?」鉄骨にしなだれるように白い手を伸ばし、耳元でゆっくりと囁く。赤い瞳が楽しそうに、踊っているように感じた。


「次の大規模作戦での侵攻ルートをしゃべるか―」


「うっ!」先程より重いパンチ。石牢内に鈍い音が響く。


「私を楽しませるかだ」腹に沈み込む拳を半回転させる。


「何も知らんし、しゃべらん!」強く睨み返した。


「では、楽しませてもらえるのだ、なっ!」下半身に手を伸ばしグレーの下着越しに急所を強く掴む。固定された太ももの間に、白い腕が粗々と突き刺さって来た。


「あぐぁっ!」突然の事に、鎖をガチャガチャとさせ鋭く息を吐く。


「どうしたの?しゃべるの?続けるの?」睾丸に指を張り付けるように、緩急をつけながら下からわしづかみにされる。ももに力を入れ抑え込もうとするが、強い力が抵抗を許させない。グニグニと弄ばれる。


「よせ・・・」快楽より、痛覚が勝り息をゆっくり吐きながら呟いた。


「あら、もうおしゃべりの時間なの?」その間も手を休めない。力を抜きながら彼女の手の平がコロコロと睾丸を動かしている。


「ねぇ・・・気持ちよかった・・・の?」耳元で甘く囁く。


「・・・っ」直接触れられてもいないのに、下着を盛り上がらせている。


「ふふ」ゆっくりと白い人差し指が盛り上がった輪郭をなぞりあげる。


「痴女め!」なぞりおろし。また、なぞりあげる。だんだんと、勾配が増していく。彼女の黒い爪先が、固く盛り上がる筋を舐めるように滑る。


「腰、動いてるわよ?」膨らむ股間をしなやかな手で包み込み、素早く上下させる。


「ほらっ!」手を離すと腹筋に素早くパンチを繰り出した。十字に組まれた鉄骨に振動が伝わる。


「うっ!」撃ち込まれた拳で呼吸が乱れる。


「ねぇ、しゃべりたい?しゃべりたくないの?」しなやか体を密着させ唇を重ねる。角で彼の額を固定すると彼女の長い黒髪が少し揺れた。


「・・・ん」舌をねじ込もうとしてくるが、歯でしっかりと口を閉ざして抵抗する。少し、磯の味が口に流れ込んできた。


「強情ね」顔を合わせながら、再び手を脚の間に差し入れ睾丸を強く握りしめる。


「ああっ!」激痛に声が漏れた。


「いいわ、ゆっくり楽しみましょ」彼の乳首に口づけをすると、彼女は離れていった。


ここからでは見えづらいが重く大きな茶褐色の木のテーブルがあるようだ。高級ホテルの一室のような広い石牢内をどうやら貸切らしい。


彼女は腹ほどの高さのある重い茶褐色の木のテーブルに腰掛けた。裸電球に照らされ、白い足をダンスするようにくねらせる。先程は見えなかったが黒いハイヒールを履いている。両手で漆黒のスカートをゆっくりと、脚の付け根までたくし上げる。


電球がハイライトする白い足と黒いハイヒールが、優雅に舞っている。虚空を蹴るように、ペダルを漕ぐように、両足をダンスさせる。彼の視線が足を追うのを感じる。


「ふふっ」楽しむように時折大きく脚を開く。裸電球が白いももの付け根にある彼女の履く黒い下着を強調させる。たっぷりと脚を開くたびに彼女の内ももに健康的な筋肉のスジが浮かび、食い込み張り付く黒い下着にはしっかりと彼女の形が見えた。奥まで視線を感じるようになると。足をVの字にキレイに大きく開いて止めた。股間の下部には小さく薄らと楕円状に黒さを増している部分が見えた。


「ねぇ、私昔」足を閉じでスカートを正す。「艦娘だったんだ」白い脚をゆっくりと石床に下した。


「そうか・・・」しばらく彼女のダンスの浮遊感に浸っていたが、思い出すように呟いた。


確かに艦娘が深海化する可能性がある事は鎮守府の提督同士では何度も議論されていた。現に艦娘が原因不明に人を襲うことがままある。そもそも艦娘の出生自体がブラックボックス化されており、いつもお湯の上辺をかき回すだけのような身のない井戸端会議にしかならないが。


「ほら」光に手を伸ばすと、薬指に光が反射する。



【【結婚カッコカリという言葉は聞いた覚えはある。艦娘には、ある特定のしきい値を超えると更なる能力を発現させる事があると。妖精曰く艦娘との絆の証だそうだが、実際には能力が発現した“後”その艦娘を区別するために大本営から配給される物がある。


一般人から妖精が見えることを条件に集められただけの、心構えの不足している提督を大量に配置したため、やはり実戦ともなると恐怖心や道徳観を優先してしまいがちで動きが悪い者が多々いる。酷い時には出撃を拒む艦娘と共に脱走を目論むことすらある。そこで大本営は一種の取引ともいえるシステムを作り上げた。


大本営からの訓令によれば、艦娘の能力を開花させた者には超法規的措置により感状の授与と共に初回の一隻目をパートナーとして私的占有を認めるとある(退役時には艦娘の無力化処理)。また、2隻目以降の占有については所定の手続きと諸費の700(単位十万)円を納付する事と定められている。


つまり大本営は、好きな艦娘を選び、育て上げれば性交渉含め後は好きに使えと言ってきたのだ。2隻目以降の金額についても、元が艦としての価値を考えれば破格の対応である。この抜け道を“見せて”やることにより、大多数の非凡な提督の士気が高まったことは、想像に難くない。


巷ではその証の品が指輪に酷似しており「結婚カッコカリ」などと揶揄されている。無論、純粋に戦力強化としてだけ考える提督は一定数おり、戦力に劣る膨大な数の指輪付きを海へと散らしている。】】



――つまり戦艦棲姫は、沈められたどれかの艦娘だったのか。



「ねぇ」彼が難しい思考を始めると、彼女はゆっくりと立ち上がった。「どうして」長い黒髪を揺らしながら近づいてくる。彼女は立ったまま体を密着させると、鎖で抑えつけられる両手に白い指を重ねた。衣服越しに、湿り気を帯び始めた彼女の股と彼の股間を押し合わせる。


「奪うの?」か細い声が零れる。彼の顔が数センチ先にあり、二本の角が彼の額を押している。ゆっくりと腰を上下にスライドさせ始めた。彼女の冷えた体温が伝わる。


「すまない」呟くように言った。彼女らの大多数は当初地上で活動をしていたが、艦娘の登場以来本格的に深海へと“追いやられた”のだ。一般向けには“深海から現れる”謎の敵と発表されている。


「守りたいのよ」そういうと彼女は唇を重ねる。彼の口は抵抗なく開かれたままだ。舌を差し込み、しっかりと舌同士を絡める。彼女はスカート越しに一番敏感な場所を彼の主張する物へと押し当てると、長い黒髪を揺らしゆっくりと小さく腰を回す。動きに合わせて大きく膨らませた物が左右へと振り回される。


彼女の白い四肢は電球に照らされ白さを増しながら激しく揺れている。揺れる髪から時折見える首筋は、ほのかにピンクがかっている。


「ん、いっ・・・」腰の動きは激しさを増し、ワンピース越しに尖らせた胸の先端からも快楽を貪っていく。全てを味わうかのように、舌で奥歯までなぞりあげる。交差する鼻がお互いの呼吸を音を立て拾い合う。


「ん・・・あっ」両腕を広げ、恋人つなぎされている両手に力を入れた。両足も十字の鉄骨に回しこむように抱き着きしっかりと股間同士を押し合わせる。


小刻みに動かす彼女の股間から生まれる振動が、十字の鉄骨を軋ませギィギィと鈍い金属音を上げさせる。


彼女は自分の口の中に出来上がった液体を舌を使い、彼の口の中へと強引に押し込んだ。飲み下させると同時に、目を瞑り無言で大きく上半身をのけ反らせる。口が離されると、お互いの舌から垂れるようにキラキラと伸びる光が走っていた。


垂れる電球に頭をぶつけ、石牢の中で光がチラチラと揺れた。光の動きに合わせてキイキイと軋む音が小さく鳴る。


「こんな事・・・」小刻みに呼吸をしながら彼は呟いた。彼女のスカート越しに広がる染みが、グレーの彼の下着を湿らせていく。


「ねぇ・・・」彼女は呼吸を整えながら呟いた。長い黒髪がゆっくりと揺れる。


「・・しゃべる?それとも、もっと・・・欲しい?」大きな茶褐色の木のテーブルの方へと行くと、肘掛けのある焼き目の入った深い色の木の椅子をグレーの下着一枚で十字に鉄骨に固定される彼の前に移動させ座る。二人の股間部分は光を受け、朧気に光っている。





「ねぇ・・・わたし、きれい?」垂れる黒髪を耳の後ろにかき上げ、黒いワンピースのスカートの先からゆっくりと片方の白い足が伸びてくる。裸電球の光がパテントに反射され、妖絶に輝く黒いハイヒールを自然と目が追う。彼が無言でいると、黒いハイヒールの靴底が股間に重なった。


「ねぇ・・・」赤い瞳で誘うように笑いながら、足に力を入れていく。


「くっ」下着越しにヒール部分が股間の付け根に食い込んでくる。勃起している根元に冷たく鈍い痛みを与える。そして、アウトソール、ハイヒールの平たい先端部分に体重を乗せていく。


「しゃべりたくなった?」靴全体で押し潰しながら円を描くように前後に動かす。ピンヒールではない事が幸いだが、それでもヒール部分から股間の付け根を容赦なく突き刺さる冷たい痛みが駆け巡る。動きに合わせてのけ反るようにパクパクと口を開けた。


「なにも・言うことは・・ないっ・・」深海棲艦に捕らわれたと思しき提督の失踪事件は、

男女ともに例外なく帰還者がいない。彼女たちの機嫌を損ねれば、およそ楽には死なせてもらい事は容易に想像できる。手始めに、このまま射精できない体にされるかもしれない。それでも、彼は覚悟を決めた。


「わたしと、おしゃべりしましょ?」ゆっくりかかとを軸に左右に回しながら、ハイヒールがさらに沈み込んで行く。体内に睾丸が押し込まれて引き伸ばされていく。顔を背けて深く息を吐きながらその時を待つ。


「それとも」潰れる前に彼女は足から力を抜いた。しばらく間隔を明けてから両足を伸ばして、勃起をハイヒールの靴底で下着ごと挟み込む。かかとは睾丸の上に軽く乗せられて、ヒールが中の玉をクリクリ転がし弄ぶ。冷たい鉄骨に押し付けられ擦れていく感触と、睾丸からの痺れるような痛みが勃起を加速させていく。


「しゃべりたく・・なくなった・・・?」彼女はいやらしい目つきで獲物を狙うようにグレーの下着を大きく盛り上げている勃起の形を見定める。太ももを揺らして踊るような白い足が黒いハイヒールを巧みに動かした。片方の靴底で裏筋を押さえつけながら、表側のカリ首にもう片方の足でハイヒールの表部分を当て勢いよくねじ込む。擦れるカリ首にわずかに彼女のつま先の動きを感じる。


「ねぇ、どうしたの?」椅子から木の軋む音が鳴る。スカートを片手でヘソの窪みの上まで一気に捲りあげると、しっかりと湿っている黒い下着を見せつける。白い太ももと腹部が逆三角形の黒い下着を際立たせる。彼の下着は股間部分を盛り上がらせ脈打たせている。


「さっ・・・次は、あなたのターン、よ・・・」白い指先の黒い爪が、黒い下着の上をなぞり、下着の上から自らの敏感な突起を激しくこねくり回す。椅子から白い脚を伸ばし黒い髪を振り乱しながら、彼女の素早く動く指が下着の衣擦れの音を暗い石牢内に響かせる。


「あっ・うっ・・」彼の低い声が漏れる。目線が交差すると彼女は誘うように大きく息を荒げながら、黒い爪を下着の中へと滑り込ませ、股間から水の音を響かせる。


「ふっ!ふ・・いっしょ!・・・にっ!」激しく水音が響く。彼は腰をくねらせ、クサリで押さえつけられた手足をガチャガチャと鳴らしている。しかし、逃げようと動かす腰の動きすら、食い込むハイヒールからの産物になる。


カリ首をなっぶていた足を股の下まで下ろし、睾丸を掬いあげるようにタプタプと振動させ射精を促す。彼女のハイヒールの金具が振動するたびに擦れて適度な痛みを与えてくる。彼はお尻に力を入れ、つま先を伸ばして必死に耐えている。


「はぁぁあぁぁー!」彼女は嬌声と共に大きくのけ反ると、ハイヒールの底で裏筋を抑える足を強く踏み込む。


「んんんっ!」彼女ののけ反りと同時に、ついに彼も、下着の中に白濁液を吐き出した。

粘り気のあるベタベタとした感触が広がる。





02 戦艦棲姫02





「ねぇ・・・」しばらく余韻に浸りながら彼女は椅子から立ち上がった。


「見せて?」赤い瞳が怪しく揺れる。仄かに照らされた白い手足がゆっくりと近づいてくる。視線の先には尖らせた先端から下方向に大きくシミが広がっているグレーの下着がある。


「よせ・・・」初めて裸を晒す生娘のように、羞恥心から耳まで顔を赤く染めながら弱々しく抗議する。高鳴る鼓動をあざ笑うかのように視線を交わすと、白く細い彼女の指の先、黒い爪が、彼の下着に掛かった。


「ダメ・・だ・・・」彼女は顔を上げ、視線を合わせながら下着を引っ張る。出来た隙間に冷たく嫌らしい匂いをさせる白い手が、何かを探るように滑り込んでいく。果てたばかりの敏感な先端部分を五指の爪先で上下に動かす。


「もっとほしいの?」耳に口を近づけ囁く。下着の中で精液を指に絡めて彼の物に指を密着させながら根元まで塗り付けていく。彼女の冷たい指が底まで潜っていくにつれて、陰毛から引っ張られるようなベタ付く感じが伝わる。



「いいわ・・・」指を引き抜き顔まで持ってくると、指に纏わりつく液体を舐めとる。股間まで屈み、グレーの下着のシミに鼻を押し付ける。鼻の中にオスの匂いが広がっていく。再び、スカートの中が熱を帯びていくのを感じた。


「酷く匂うわね」聞こえるように少し大きく言う。鼻を押し付け、ワザと大きく呼吸音をたてながら匂いを吸い上げる。寝息を立てるような音が、暗い石牢内に響きわたる。


「そうね」おもむろにスカートの中に両手を入れる。手が白い足のももまで下りてくると、黒いものが下がっていくのが見えた。白い足を交互に上げると、取り出した黒い物を顏に近づけてくる。


「私も味わって?」ゆっくりと顔に被せる。丁度、粘り気のあるシミの部分を口に宛がう。鼻と口から、彼女の発情したメスの匂いが染み込んでくる。


「あなたはエッチなの?」

耳で囁く。しゃがみ込むと、白濁にまみれる彼の勃起する物を、下着から荒々しくむしりだした。


「それとも、すごくエッチなの?」

下着のゴムが固定して腹にぴったりと張り付くそれは、先端から零れ落ちる白濁絵に光を受けてヌラヌラと輝いている。


「きれいにしてあげる」舌を当て、子供が長いキャンディをたべるように、舌を躍らせる。白濁液の名残を、舌に集めては飲み込む。睾丸や陰毛に絡む物までしゃぶり取った。先端に唇を押し付けると、根元から揉み上げるように指を動かし、吸い付いた。


「ほしがりさんは、まだしゃべりたくないの?」脈打ち勃起した先端を舌でなぞる。


「じゃあもう一回、よ」ゆっくりと先端を口の中へと沈めていく。まだ余韻の残りパクパクと穴を動かす先端部分を、喉奥に押し付けながら、強く吸いたてる。温かく水気を帯びた口内が、恥かしい音を出して全体を締め付ける。


「むううう」彼は呼吸を荒げ、腰を振り動かし抵抗している。しかし、呼吸をするたびに彼女の匂いが絡みつき、更に射精感が増してしまう。次第に彼女の口の動きに合わせて、腰がついて行く。全身に力が入り自分から喉の奥まで突き出すようになった。


「ぷはぁ」口を外すと、喉の奥から粘性の濃い、黄色い液体が伸びる。


「今、すごくエッチな動きしてたわよ?」太ももで脈打つ股間を強く抑え付けながら、彼の乳首を嬲りつつ囁いた。


「ねぇ・・・どこ?」顔から黒い下着を取り外すと、再び履きなおす。


「おしえて?」スカートをめくり、液のしたたる、白い太ももを見せる。


「どこがいいの?」さらにスカートをたくし上げた。彼女の股間により再び潤いを取り戻した、先程まで味わわされていた黒い下着を見せつける。


「ほら」下着を晒したまま、ゆっくりと股間を重ねる。


「ここがいいの?」彼女はスカートを離すと、ゆっくりと股間を押し付けていく。


「足?胸?口?お尻?」ゆっくりと腰を動かす。


「しゃべってくれたら、選ばせてあげる」彼は無言でうなだれている。


「ここの中?」下着越しに股間を合わせたまま、白い太ももををぐりぐりと激しく動かし腰を振る。彼の腰が追うようについてきた。


「かわいい」耳元で囁く。


「いいわよ?」びっちょりとした股間をグイグイ押し付ける。彼女の下着が与える濡れた絹ズレの感触と自分自身の腹に挟まれて、左右に振られるようにきつく潰される動きが強力に射精を促す。


「あなたはすごくエッチね」彼女の股間から生えているように顔を出す肉棒が、悲鳴を上げるように尿道をパクパクと広げている。


「うっ・・・」彼が力なく声を出すと、彼女は股間に温かい体液の広がりを感じた。





「汚したわね?」いたずらに言うと漆黒のワンピースを脱ぎ捨てる。ブラは着けておらず、型崩れしていない大ぶりな乳房、全身白い体が照らし出される。ピンク色で尖らせたふくらむ乳首と、股間部分に彼の白濁液のこびり付いた黒い下着を纏っている。足には黒いハイヒール。股間の体液を白い指で掬い取ると、見せつけるようにしゃぶり取った。


「3回目はここがいいの?」下着も脱ぎ、黒い爪に掛け数回クルクルと回すとそのまま捨てる。ヘソのくぼみの下に薄く黒い毛が逆三角形型に乱暴に生えている。吐き出したばかりのビクビクする陰茎を、太ももで抱きつきながら跨って、指で自分の股間に呼び寄せる。


「あら、もうダメなの?」指の中で力を無くし小さく萎んでいくのを感じた。残念そうに彼女が離れていく。投げ捨てたワンピースのポケットから何かを取り出すのが、もうろうとする意識の中見えた。


「ここが元気になる薬よ」再び、跨り股間を合わせる。彼の上半身に胡坐をかくように抱きつき、ひんやりとした体温を伝える。


彼女は舌を出し、自分の口の中に小さな錠剤を含むと、そのまま口移しをしてきた。舌で錠剤を無理やり押し込んでくる。彼は飲み込まさせられないように、巧みに舌を動かし抵抗するが、角で額を抑えられ、しっかりと口を塞がれる。


恋人がじゃれあうように、二人の舌が徐々に錠剤を溶かしていく。

赤い瞳が楽しそうに揺れていた。彼女は時折体を揺すっては、擦り合わされる乳首の感触を楽しんだ。


何分、何十分、舌を絡め合い愛を育んでいただろうか、低い室温と鉄骨から伝わる冷えに体力を奪われ、ついに彼は大きく喉を鳴らした。


「さむいのかしら?」小さく縮こまっていく彼の小袋を、軽く指で弾くと悪戯に言った。


クサリを外すとぐったりと体をもたらせてくる。彼の太ももに残るグレーの下着を脱がすと、そのまま全裸で木のテーブルに大の字に転がせた。ロープで手足をきつく固定する。


「気持ちいいですって言えたら、今日はもう許してあげるわよ?」ハイヒールで乱暴に股間を潰しなじる。黒い長髪が左右に揺れた。自分の体を見せつけるように、天井レールを滑らせ電球を引っ張りよせる。全身を白く光らせ、ピンクの乳首を尖らせながら、黒いハイヒールで、高圧的に踏み潰す。


「どうなの?」黒く長い髪を耳の後ろにかき上げ、足に体重を乗せていく。


「んんっ」グリグリと回すように潰され、痛みが広がる。


「ほしいの?」無言で顔を背けている。


「入れたいの?出したいの?」体重を緩め腰に手を掛けると、素早く前後に靴裏で擦る。次第に足の裏に押し返す力を感じた。


「あらドスケベね」ワザと驚くように言う。彼は悔しそうに、顔を背け股間を垂直以上に反り返させている。


「女に靴で踏まれて勃起しました」彼女は、テーブルから下りると、近づきながら言葉を続ける。


「気持ち、よかったです」彼女は彼の頭を手で押さえつけ、自分の股間にしっかりと恥かしい影が出来ている現実を確認させる。


「よせ・・・」頭を両手で固定され、垂直以上に反りかえらせている自分の物を見ながら言った。彼女は白い手を伸ばして、4本の白くしなやかな指が彼のしっかりと盛り上がらす裏筋をそっと包み込む。


訪れた冷たい感触を喜ぶようにビクビクと振動する。残る1本の指を膨らますカリ首に合わせ黒い爪がジワジワと輪郭をなぞる。


「気持ちいです」「出したいです」

耳元で甘く囁く。


「気持ちいです」「出したいです」

手で優しく握り、囁く。


「気持ちいです」「出したいです」

手をゆっくり上下に動かし、囁く。


彼女の声が脳の奥まで浸透するような錯覚を覚えながら、夢を見ているような浮揚感の中、与えられる快楽に染められていく。


次第に、腰が手の動きとは逆の動きで突き出すようになってきた。しかし、白くしなやかな指の輪を広げてそれ以上の刺激を許さない。


「出したい」「出したい」「出したい」・・・・・自分から彼女の指を求め腰を振るようになると手の動きを止めて言葉を変えた。彼は目を細めながら、粗い呼吸で口をパクパクとさせている。


一段と膨らませ、固定された手足のロープがキシキシと鳴る。力なく用意される彼女の指の輪にガクガクと何度も腰を突き出す。出したいと聞かされ続けながら、四本の指に擦りつける感触と爪に差しみ擦られる適度な痛みが、ついに自分の胸から首にかけてをドロッと白くベタつかせる。


「3回目」彼女は再び頭を抑え、衰えずに白いものがジュクジュクと残っている物を見せながら言った。


「気持ちいいです」悪戯に囁く。しかし、彼は何も言わずに力なくうなだれている。首に舌を付け、光が照らす部分をなぞりながら、ゆっくりと胸まで舐め下していく。口に全て舐め貯め、彼の耳元で大きく喉を鳴らして飲み込んだ。


「くっ、さい」ゆっくりと囁くと、彼の股間がピクピクと喜ぶように振動し、残る液体が這うように零れ出た。




03 戦艦棲姫03




「入れてもらえなくてご不満?」顔の上に跨り、指二本でピンク色の中身を広げて見せる。周囲はうっすらと黒く短い毛が、いやらしく粘液を纏い生えている。中身はべっとりと糸を引き濡れている。そのまま、顔から1センチほどの距離まで腰をおろす。煮詰めたように濃縮された磯の香りと、オスを求めるフェロモンの匂いが、強制的に鼻から送り込まれて来た。


「舐めていいのよ?」髪をかき上げ、細く白い足首でしっかりと頭を固定し、股の入口ををたっぷり開きながら言った。指二本で、入口の周りを何度もなぞる。穴の外壁を伝ってドロドロと流れ出てくるものが彼の唇に溜まって行った。


「いいのよ?薬のせいにして」肉ひだ上部の突起物を鼻に押し付ける。額には彼女の陰毛が黒い筆のように優しくのしかかる。


「上手に舐めれたら入れてあげる」口を閉じて、粗く鼻呼吸する彼の鼻に押し付けたまま、指で突起物の被せ物をどけ、恥かしい匂いをたっぷりと堪能させる。


「私をイかせたい?」ゆっくりと腰を前後に動かす。


「さっきみたいに、イかせたいの?」男を誘う娼婦のように笑いながら言った。


「あなたのドスケベなおちんちんで、私を恥かしく仰け反らせたいんでしょ?」股間を押し付け、鼻を塞ぐ。しばらくすると、口から呼吸音が聞こえた。


「私、中出しされちゃうの?」ワザと怯えるようなか細い声で言いながら、口も塞ぐ。酸素不足が彼から正常な判断力を奪っていく。


「きっと、あのおちんちんで突き上げられ、私は髪を振り乱しながら、たくさんのザーメンを注ぎ込まれてしまうんだわ」グイグイと腰を押し付け、入口の盛り上がった肉壁を、無理やり彼の唇をめくりあげて、口の中へねじり込む。肉壁が少し舌に接触する。口の中に、発情したメスの味が一気に流れ込んできた。


「ああ恐ろしい。これから何度も出されてしまうんだわ」舌が動きだした感触を感じる。


「酷いわ。私、肉便器になるのね。性奴隷にされるのね」腰を少し離しても、舌が伸びて動いている。あさるように、掻き出すように。掻き出して、吸出して、口に溜めた液体で喉を鳴らす。彼女は股間を動かす事をやめた。彼の腰は何かを求めるようにカクカクと虚空を突き上げている。


「エッチ」卑しく笑いながら、足を動かし、テーブルから下りた。


「そんなにほしかった、の?」力強く、両手で股間周辺をを押さえつける、強い刺激を与えないように、乾燥を始めた精液を舐めて削り取る。突き上げようとする腰を手で押さえつけながらゆっくりと、全て舐めとった。


「ねぇ、見て?」彼の前に光に照らされ光る薬指を見せつける。指を揺すると、粗い呼吸をしながら、彼の視線が追ってくる。


「あなたは何をしようとしているの?」そういうと、テーブルに上り彼の股間の上に跨った。


「ねぇ、あなたは人妻を犯す人なの?」膝立ちで、滴る入口に、反り返り直立する物を指であてがう。


仄暗い室内で、白い体と黒いハイヒールが裸電球に照らし出される。ピンクの乳首を大きく膨らませている。ヘソの下に乱暴に生える陰毛は、自らの粘液と彼の唾液で怪しく光りながら皮膚に張り付いている。


「ダメ・・・入れないで」長い黒髪をかき上げると、赤い瞳を細め、弱々しく言いながら、支える手を上下に動かす。


「絶対に・・いや・・・よ」手を激しく上下させる、少しずつ彼の腰が動き始めた。手を動かす速度を緩めると、刺激を求めて腰が大きく動き始める。


「ああ・・そんなぁ」彼の腰の動きで、先端が何度も押し付けられていく。彼は顔を背け、こちらを見ないように、何度も腰を突き出している。


「ああ、入ってくるぅ・・」ぴったりと、入口に誘導すると何度も彼の先端が侵入してくる。


「ん。ふぅ」激しく腰を落とすと、一気に根元まで挿し込まれた。ヌラヌラと蠢く内壁に擦られ皮が引き伸ばされる。突然の事に、彼は深く息を吐き腰の動きを止めた。彼女の重さと火照った温かさを堪能している。


「ひどい・・・」腰を少し上げて、重さをどかし、膣の入口周辺の力を出し入れして、彼を誘う。ゆっくりと、探るように腰を突き上げ始めると、すぐに力強く動かした。


「あぁ、あああっ」腰が勢いよく突き上げられる。両手を、腰の後ろ側に伸ばして、のけ反る体を支える。彼のロープで固定された両手は固く握られ、両足はつま先まで真っ直ぐ伸びている。


「あ、あぁ、あん、あ」股間が突き上げるたびに大きく声を出す。股間に力を入れてしっかり締めあげる。すぐに、彼の物が最高潮にまで膨らみ始めた。


「いや・それだけは・・ゆるしてぇ」彼の急激な膨らみを感じ取り、甘く囁いた。腰は強く突き上げたまま停止する。胎内に広がっていく温かみを感じた。





「嫌がる女に無理やり出したのよ」体を起こし、呼吸を整えながら言った。片手で睾丸をマッサージしながら。勃起はまだ収まらない。膣内でビクビクと脈打ちながら、ゆっくりと子種をまき散らしている。


「悪い子はお仕置きしないとね?」瞳が赤黒く怪しく光る。彼女はゆっくりと腰を前後に動かし始めた。朧げな瞳で、その瞳を見つめた。


「今度は休憩はなしよ?」心なしか、彼女の角が少し大きくなったのを彼は感じた。腰を激しく上下に動かす。腰が上下するたびに、締め付けられた陰茎の皮が伸び縮みさせられる。次第に、腰が激しく打ち付けられる度に、パチュンといういやらしい水音が響き始めた。


「ああぁあぁあ」彼は頭をバタバタと振り悲鳴を上げる。ギシギシと手足を乱暴に動かすと、ロープが擦れて手足から血が滲み始めている。


「どうなの?いいの?気持ちいいの?」腰をガンガン打ち付ける、水音のほかに、パンパンと乾いた破裂音も聞こえる。


「きぃぃぃちぃぃぃ」首を上下にガクガクさせながら、答える。しかし、彼女は嘲笑いながら、腰の速度を緩めない。


「ぃいぃぃいぃぃ」さらに、ぷっ、ぷっ、と恥かしい音が響き始める。膣内を巧みに調整して、空気を抜き出している。膣内の密着度が更に増していく。


「なーに?わからないわ、よっ」呼吸を荒げながら、さらに腰の速度を上げる。人には出来ないような速さで、腰の上下運動を行い、カリ首が激しく擦られ、紫色に変色していく。次第に全身が痙攣し始めた。痺れるような快感が彼を襲う。


「いいのっ?よく、なっいのっ?もっっとなっの?」乳首を最大限まで膨らまし、とめどなく股から汁を溢れさせ、嘲笑う。彼は、目を血走らせ涙を流しながら激しく首を振っている。もはや何を言ってるかわからない奇声を出している。


「犯したのよ!穢したのよ!」激しくジャンプしているかのように何度も腰を打ち付け、ぎゅうぎゅうと玉袋まで押し潰す。


「あはははははは」五回目を吐き出した。彼は体を小刻みに痙攣させ、口から少し泡を出している。


「私、まだ一回もちゃんとイってないのよ?」いやらしく白濁に泡立つ股間から、ビクビクと唸る彼の物を引き抜くと、言った。


「勃起はしているけれど、これではただのオナニーね」ハイヒールで軽く股間を蹴り上げる。衝撃で残りの精液が先端から零れ出た。


口を近づけゆっくりと舐めおろして行く。跳ね上がろうとする股間を両手でしっかりと抑えながら。手を離すと、まだビクビクと反り返らせている。愛し気に軽くキスをした。ビクッと全身が跳ね上がる。ロープがギシギシ鳴っている。


「私とのエッチな夢を見てね」脱ぎ捨てた下着を、顏にそっと被せると、甘く囁く。ワンピースも体にかぶせてやると、直立する股間部分が衣擦れの刺激を楽しむように大きく脈打った。


長い黒髪を耳の後ろにかき上げると、全裸のままコツコツと石段を上がって行く。白い引き締まったお尻と、内股に垂れる液体が、階段の天井から吊るされる裸電球に照らされしだされる。


おもむろに薬指の指輪を外した。「私が艦娘?冗談にも程があるわ」指輪を見せつけると全く抵抗しなくなった彼を思い出し、クスリと嗤う。


「続きはまた後でね、お馬鹿さん」


扉が閉められ、さらに石牢内が暗くなった。

裸電球は虚しく、揺れている。




04 戦艦棲姫 駆逐棲姫 01




「姉さま。食事をお持ちしました」


木の扉が開き、挿し込む明かりを受けて、小さい体系のシルエットが浮かぶ。少し頼りげない足取りで石段を下りてくる。


「あら、駆逐ちゃん。ありがとう」


戦艦棲姫は、特に声の方角を見るまでもなく言った。あれから、ずいぶん時間が経過したが、いまだ彼は目を覚まさない。ここへ戻ってきた後、彼女は冷たく冷えた体を、横に連れ添うように彼と密着させ、時折角で胸を突っつくなどして、ゴロゴロと時間を過ごしていた。


「姉さまは随分とソレにお熱なのですね」


明らかに早く絞り殺せといいたげに。しかし当の彼女はそしらぬ顔で、彼の背中に片腕を回しこみ、もう一方の手で、彼の乳首を黒い爪で弄んでいる。少女は運んできた食事を茶褐色の大きなテーブルの上に置くと、彼女の隣に腰掛けた。



【【隣に座る少女は、薄く透けるような紫色の髪を携え、純度の高いアメシストに、後ろから光源を当てたような澄んだ瞳。白い肌に黒く短めのセーラー服を身に纏っている。


戦艦棲姫の瞳を、あえて形容するのであれば、普段はスピネルのような鋭い赤色をしているが、感情が高ぶると、ピジョンブラッドのルビーのようにその色の濃さを増して行く。】】



「彼、面白いのよ」彼女は悪戯に指を振る。艦娘付きの提督には比較的よく引っ掛かる方法だ。


「それは。いつもの口を割らせる為の、ただの口実じゃないですか」感情のない言葉で興味なさそうに言い放つと、手でパンを掴み、彼女の口へと運ぶ。


「彼、弱小鎮守府の提督なのよ?」体を起こし、口に入れられたパンをモグモグと咀嚼する。


「でしたら、なおさらいらないじゃないですか」言外にどうせ大した情報も持っていないだろうと意味を込める。冷えで小さくなった、彼の物を手で掴むと、乱暴に小さな指を上下させる。


「提督なんてどれも一緒です」冷たく言い放ち、手を動かす速度を上げる。それは次第に角度を増して行く。


「ほら」手を離すと、完全ではないが、かなりの角度で立ち上がっている。顔にはまだ、彼女の黒い下着が被されたままだ。


「もう」たった今、シコシコと擦り動かしていた手で、小さなパンを取る。パンを近づけると彼女は口を開け、乾燥した彼の白濁液のついたパンを受け入れる。


「んっむぅ」少女はスープを口に含み、舌を絡めながら彼女に口移しする。彼女がスープを飲み込むと。少女は舌を絡め合いながら、ゆっくりと彼女の上半身を押し倒していく。少女の黒いスカートの中の薄紫色の下着に紫の色が広がり始めた。


少女は彼女と手を繋ぐと膝立ちになる。重く大きいテーブルの上に、全裸で拘束される男の隣で、押し倒された彼女に、黒いセーラー服で膝立ちに跨る少女がいる。彼女の黒いワンピースを捲ると白い下着が出てきた。下着の下部はすでに黄ばみ、ベタベタとした粘液が染み出ている。既に一人で何度か済ませた後だろう。


「何ですかこの白い下着。清純ぶって嫌らしい」彼女はプイと顔を背ける。少女は彼女から湧き出す粘液の場所に狙いを定め、ゆっくりと自分の敏感な突起を近づけていく。彼女の膨らむ突起を探り当てると、自分のものとぴったりと張り合わせて、両手を貝結びに繋ぐと、ゆっくりと腰を回し始める。彼女の白い下着は、半分以上が恥かしい色で染まった。


「姉さまは人一倍濡れやすいんですから」少女は呼吸を荒げ、素早く腰を回し始める。前後に動かしては回転さながら体重をかける。そして、二人は声のトーンを上げていく。彼女たちの日常だ。


ただ今日は、彼女はある一点を見つめている。彼女たちの声を聴き、仄暗い部屋の中、裸電球に照らされ堂々と反り返らせている物を。彼の勃起を見つめながら、彼女は痙攣して大きくのけ反った。少女も合わせて軽く達する。


「駆逐ちゃん・ダメ・・よ」少女は中指を手際よく彼女の秘部に捩じり込ませると、膣内の上部を押さえたまま、ゆっくりと指を半回転させていく。動きに合わせて、白い太ももが自然にキュッと閉じようとする。


「姉さま・・腰、上がってますよ?」次第に高さを増していく彼女の腰を、少女の指がぴったりと追いかける。股を広げ、足だけでブリッジしているような状態にまで、腰が上がる。ワンピースの黒いスカートが腰から垂れている。


「ほし・い・・」彼とは、反対方向に顔を背け、彼女はポツリと呟く。彼女の耳が少し赤らみを帯びる。


「やっぱり、ドスケベじゃないですか」人差し指と、薬指も捩じり込む。彼女は無言で頬まで体温の高まりを感じた。


「男にメス臭いパンツ被せて、勃起させて」中指で膣の上部を抑えたまま、人差し指と、薬指を動かす。


「自分は人一倍濡らして」垂れるスカートに水気が広がる。動作に振動を加えていく。


「や・ぁ・・」黒いワンピースから、片手で乱暴に両胸を引っ張り出す。白い乳房の先端に1、2cm程のピンクの突起がある。


「こぉーんなに乳首おっ立たせて」指先で先端だけを、円を描くように、擦るように、小刻みに指を動かす。


「卑しいメス豚」少女は耳と頬を少し赤らめながら、無表情で囁く。彼女の腰が5、6回大きく跳ね上がり、崩れを落ちた。少女は指を引き抜くと、したたる体液を舐めとった。彼女は呼吸を整えようと努めている。





「うんむ」男の方から声がする。少女は下着とスカートを正し、テーブルから下りた。元々、彼の方腕に彼女を押し倒していたせいもあり、のけ反った際に潰された痛みで、起こしてしまったようだ。彼女もスカートを正すとテーブルから下りた。


ゆっくりと目を開けると、口に彼女の味がしみ込んでいて、鼻の呼吸も苦しい。まだ下着を被されている事がわかった。手足もロープで固定されたままだ。


「彼、面白いんだから」少女の股間をそっと揉みながら、彼女は小さく耳打ちした。


「駆逐棲姫!こっちへいらっしゃい!」乱暴に少女の手を引っ張り、移動式の裸電球を寄せる。天井に数本ある内の一本のレールを粗々しく滑り、彼の近くで止まる。裸電球が彼の顔を照らした。両目以外は彼女の黒い下着で覆われている。


「今からやり方を教えます!見ていなさい!」いつものアドリブと察する。時に役を演じて、脅したり、泣き落としたり、脅迫されたり、人質だったり。今日は初めての拷問の研修でもする、といったところだろうか。そうすることで情報取得の成功率は格段に上がる。特に提督という人種には。もっとも、今回に限っては彼女の趣向の為だけに行っているのだが。


「いやぁ!何ですか、この人!下着被ってる!」青ざめ怯えるどこか既視感のある少女の顔をみて彼は顔を背けた。


「駆逐棲姫!見るのよ!」大げさに指を差す。


「いやぁ!気持ち悪い!」指の先に目をやると、すぐさま乱暴に彼女の手を振りほどき、悲鳴を上げて、縮こまった。


彼は、何か言いたそうにもごもごと言っている。彼女は真顔で、下着を剥がしてやった。


「聞かれることは話す!だから彼女は――」上下とも丈の短い黒いセーラー服の少女が、縮こまり肩を震わせているのが見える。


「何?そんな簡単にしゃべるだなんて」股間を強く握りしめながら、乱暴に上下させる。


「今度は、ウソつきさんなの?」髪をかきあげ、唾を顔に吐く。顔に当たる瞬間、手の中で、彼の物が小さく脈打ったことを見逃さなかった。彼女はハイヒールを脱ぎ、テーブルの上に乗った。


「駆逐棲姫!命令よ、来なさい!」片足を彼の股間に乗せ、足の裏で踏み潰す。冷たい足の感触を与えながら、斜めに足を前後させる。


「ねぇ、あなた?」足を止めずに問いかける。


「あなたに何のメリットがあるの?」白い足の、黒い爪先で上下になぞる。


「彼女に最後まで教えないといけないのよ」事務的に言いながら、かかとで睾丸を踏み、ゆっくりと足を前に倒していく。


「あなたがしなくても、次の男がアレを女にするわよ?」かかとを軸に左右に足を動かす。


「ああ嫉妬しちゃう」そういうとテーブルから裸足で下る。


「みんな若い穴ボコがいいのね?」手で激しくシゴきながら、耳に囁く。


「許してください戦艦棲姫様」手を引っ張られうつむきながら少女が近づいてくる。


「キ、ス、よ」冷たくい放ち、少女の頭を、今すぐ射精しそうな股間に近づける。


「だめだ!よせっ!」体をガタガタ震わせ抵抗する。


「ファーストキスより先に」手にねっとりと自分の体液を塗り付け、さらに早く動かす。


「ファーストフェラする女の子ってどんな気持ちなのかしらね?」


正座で顔を近づけ、一層膨らむ瞬間を見定める。そして、ゆっくりとキスをした。


「ああっ」先端にキスをすると、白濁液が少女の顔に勢いよく吐き出された。


「いやーーぁ!」前髪から鼻にかけてドロドロとたれる。


「すまないっ!」彼は歯を食いしばりながら顔を背けた。


「気持ち、よかったです」彼女は彼の耳にそっと囁く。彼は、悔しそうに奥歯を軋ませた。


「拭いてはダメよ?駆逐棲姫」ドロっとした指を少女の口に近づける。


「舐めなさい」零れ落ちた液のついた黒い爪先を口の前に止める。


「まて・・・何でも、話すから!」指を睨みながら言う。


「何?惚れちゃったの?」ゆっくり囁く。


「結婚して、安心しないとヤレないタイプ?」


「私が、させさせてあげるから安心して?」ポケットから錠剤を取り出す。


「ほら、口開けて」彼の口に近づける。彼は固く口を閉じている。しなやかな指で、軽く彼の頬を叩く。


「駆逐棲姫、飲みなさい」少女に錠剤を近づける。


「まて・飲むから・・」大きく口を開けて待つ。


「おちんちんがエッチになる薬を下さい、よ」耳に囁く。


「お・・・ち・・ください」ボソボソと言う。


「何?聞こえないわ?」


「駆逐棲姫、口を開けて」


「わかりました・・・」口を開ける。


「おちんちんが、エッチになる、薬、ください・・・」


少女は手で耳を塞ぎ震えている。


「何だ、エッチしたいんじゃない。口を開けて」彼の口に放り込み、飲み込ませた。


「じゃあ舐めなさい」再び少女に指を突き出す。


「よせ!」首を振りながら手足をギシギシと鳴らす。


「はい戦艦棲姫様・・・」目を閉じ口を開けると、ゆっくりと舌を伸ばす。掬い取るように舐めとると、舌の上に白濁液が溜まる。前髪から、舌の上までしっかりと、精液に染まっている。


「そのままでいなさい」舌を出しながら正座している少女に近づく。


「動いてはダメよ」スカートに指を入れると、素早く指を動かし十分に濡れさせた。


「あら?濡らしたの?」少し大きな声で言うと、少女は舌を出したまま首を振っている。


「立ちなさい」少女を立たせると、彼の顏の近くに連れてくる。裸電球の位置を調整して、少女の股間付近を照らした。


「あなたのザー汁で、あの子濡らしたわよ」短いスカートに手を掛け、そっと囁く。スカートを捲りあげると薄紫色の下着に紫色のシミが広がっている。


「んーんー」顔を赤らめ、舌を出したまま首を振る。


「飲んでいいわよ」許可を出すと、目を閉じて大きく喉を鳴らした。少女の鼻から精液が黒いセーラー服の胸に垂れて仄かに光っている。


「ねぇ、あ、な、た」彼の背ける顔を無理やりひっぱり、自分と顔を合わさせる。瞳の赤が濃く染まっていく。


「その薬。そんなに早く効かないのよ」頭を角で押さえつけ、目を合わさせる。無理やり自分の精液に染められた少女に不覚にも欲情してしまう。


「彼あなたのこと気に入ったみたいよ?よかったわね?」小さくなりかけたが、彼の股間が求めるように静かに脈打っている。彼女は顔を離すと、少女の後ろに回り込んだ。


「だめっ」彼女は少女の腰を両手で捕まえ彼の顏の上に移動させる。そして、乱暴に彼の顏に座らせた。彼の鼻と口に、紫の下着を通して酸味を帯びた液体がジュクっと流れ込んでくる。


「あら、嬉しかった?」腹の上に跨り座る彼女に、腰にピクピク擦られるような感触を覚える。


「あなたのマン汁おいしいって」少し腰を上げ黒いスカートを捲り、お尻を振り白い下着越しに彼の先端に擦り付けながら言った。


「やだぁー!」少女はグリグリ腰を動かしながら、声を上げる。彼は股間に潰されモゴモゴ何かを言っている。


「ゆるしてぇ・・・」腰を動かすことをやめないまま、何かを思い出したかのようにテーブル横に置いてある、パンに片手を伸ばす。そのまま上半身を後ろに曲げると、彼女と軽くキスをした。パンを手渡すと、そっと耳打ちをする。


「わかったわ」声に出さず、口だけを動かすと、彼女は尻を激しく動かす。動きにあわせて白い下着にカリ首の突起がシワを作る。指では先程のパンの中身をきつくこねている。


「だめぇー!!」少女は太ももで彼の顔を固定すると、鼻を挿入させる勢いで股間を押し込んだ。必死に呼吸しようとする水気を帯びた鼻息が少女の膣内を温める。


「いいのよ、だして」反り返り、白い下着に張り付く彼の勃起を押し戻す様に強く腰を振る。ゴリゴリと痛みを与えながら、ひと際脈打つタイミングに、少女の手の甲を軽くつねった。


「あ、ああっ」少女は太ももをパクパクさせながら、ビクビクと股間を鼻に押し付ける。彼もまた、ドロっとした2回目の放出を行った。




05 戦艦棲姫 駆逐棲姫 02




「あら、仲いいのね」お尻側の黒いスカートを持ち上げたまま彼女は言った。片手の中には丸く固まった白いパンのかけらがある。


「下りて」少女に冷たく命令する。少女はヨロヨロ危ない足取りで、テーブルから下りた。


「汚されたわ、早く掃除して」四つん這いになり、彼の方にワザとよく見えるように尻を突き出す。


「口で舐めて吸い取りなさい」裸電球に照らされる白い下着には、大きく広がるシミとその中心にまだドロッとした盛り上がりが見える。


「やめろ・そんなことさせるな・・」彼は拘束された手足をギシギシとならしながら言った。


「早くしなさい。染み込むでしょ?」凍るような冷たさで言われて、少女はゆっくりと首を伸ばす。少女は白い下着にピンクの舌をを当てて、お尻の上部辺りから残る粘液をなぞっていく。


「ちゃんと吸い出すのよ」少女は噛みつくように、下着を口に含み自分の唾液を下着に与え何度も吸い上げている。紫色の瞳が少し滲んでいるようだ。彼が何か抗議をしているが、少女が止まることはない。


「いいわ」下着のシミが倍に膨らんだころ、少女を止めた。


「うぐっ」彼女は彼の腹に乱暴に腰掛けた。


「おしゃべりの時間よ」片手で彼の首を掴み、力を入れる。


「彼女とオマンコしたいなら、だまってていいわよ?」首を持つ手に力が入る。


「全部お話しできたら、特別に私が昇天させてあげるわ」手を離した。スカートを正しテーブルから下りた。


「あっ!」少女の下着を乱暴に剥ぎ下ろす。薄紫の下着を彼の顏の上におもむろに投げた。冷たく湿った感触が顔に広がる。


「跨って」少女をテーブルに再び上らせると、彼の勃起に跨らせた。テーブルの上には、全裸で固定される男の上に黒いセーラー服の少女が見える。薬のせいもあり、彼はすでに三回目の準備を済ませている。


「あぁ、まって、くれ」少女は太ももを下ろし、黒く短いスカートの中に彼の勃起を滑り込ませていく。彼は先端にひんやりとする。皮膚の感触を覚えた。


「安心して?彼女、処女じゃないわよ?」彼の顏に近づきながらいった。


「あなたのじゃ、私たちの膜は破けないもの」


「処理しておいてあげたわ、だから女にしてあげて?」ゆっくりと耳に囁く。少女は指で彼の勃起を支え入口へ誘導する。太ももを下していくと、彼の先端部分が温かく締め付けられた。


「とめて」彼女は先端1cmほど中へ挿入させると、動きを止めた。


「何を聞かせてくれるの?」長い黒髪を耳の後ろにかき上げると、そっと彼の耳に囁いた。

赤い瞳が怪しく光っている。少女に勃起をシゴかせながら、ゆっくりと問答した。


「しゃべりなさい?」首を掴み脅す。


「船団の通過ルート、補給ポイント、仮設飛行場の予定場所」彼が知る由もない事はすでに想像している。彼は所詮は駆け出しの左官だ。


「知らないんだ!本当に!」手足をギシギシと鳴らしながら強く言った。


「スケベ野郎」冷たく嘲笑う。


「駆逐棲姫、彼があなたに中出ししたいそうだからアレンジしてあげるわ」手の中にある白い塊を持って、裸電球に照らし出させた。


「戦艦棲姫様・それは・・?」ビクビクと、小さく丸い塊を見る。


「アレ、よ」彼女は掌の上に乗せみせつける。


「――っ。セックスします。セックスしますからっ!」青ざめた表情で、哀願する。


「あなたを選ぶなんて、嫉妬するじゃない」手を少女の口に近づける。


「知らないんだっ!」ただならぬ雰囲気を察してガチャガチャと手足を動かす。


「舌をだしなさい!駆逐棲姫!」命令すると少女は怯えながらピンクの舌を伸ばした。


「はい。ごっくん」小さな白い塊が少女の舌に乗ると、口を閉じさせ飲み込まさせた。


「じゃ、お話しましょ」耳元に戻り、甘く囁く。彼は絶望した表情で眉間にしわを寄せ目を瞑っている。


「あなたは、おちんちんにどんどん赤ちゃんの種を運ぶお薬を飲んでいるのよ?」ゆっくりと焦らす様に言った。


「彼女はオマンコの中に赤ちゃんの卵が運ばれるお薬を飲んだの。お似合い夫婦ね?」言い終わると彼は、激しく手足を動かし何かを言いながら抵抗している。


「さっ、これで講習もお仕舞いね」ゆっくりと腰を上げると、少女の方へと近づいて行く。


「しゃべるきになった?」少女の短い上下の黒いセーラー服の隙間から見える腰を掴む。彼は止めるように抗議しているだけだ。


「時間切れ」少女の腰を強く掴み一気に落とす。温かい肉壁にコリコリときつく締め付けられながら、ヌルっと少女の奥深くまで滑り込んだ。そのまま少女の冷たいお尻が彼の太ももを圧し潰し、睾丸を揺する。そして、少女が一度も腰を動かすことなく3回目を吐き出した。


「ひど・い・・」少女の両目から、裸電球に照らされた光る筋が二本見える。その瞬間彼は何かがフラッシュバックするような酷い悪寒に襲われる。


「あら?」ビクビク震わせる彼の体を見て、少女の体をゆっくりと持ち上げていく。膣から彼の物が抜き出ると、ぴくぴくと震わせながら白濁液がにじみ出ている。彼女は丁寧に少女をテーブルに腰掛けさせた。


「早漏野郎」膝でゴリゴリとまだ勃起する彼の股間を踏みにじる。潰され左右に転がるように自分の腹に精液を塗り付ける。


「4回目は?早漏サル野郎」立ち上がり、彼の腹を踏み潰しながら言った。彼女の黒い爪が乳首を引っ掻く。つま先の指でグニグニと腹をつぶしていると、再び彼の物が反り返っていく。


「私とセックスしたいの?あの子とセックスしたいの?」股間をかかとでぎゅうぎゅう押しつぶす。


「選ばないならあの子にしてあげるわ」ゆっくりと足を上げると、少女の体液と混じった精液が足の裏で複数の糸を引く。


「ねぇ、わたしキレイ?」スカートの裾を太ももまでたくし上げた。彼は無言で、裸電球にハイライトされる白い太ももを見つめている。


「駆逐棲姫、立ちなさい」赤みが増す瞳で、冷たく号令をかける。


「・ま・・て・」はぁ、はぁと呼吸を荒げながら弱々しく声に出す。薄暗い石牢の壁に向かい黒いセーラー服の少女が、背中を丸めて小刻みに震えているのが見える。


「なに?」彼女は面白くなさそうに、軽く股間を蹴り上げる。


「せん・か・・いきとセッ・スし・・たい・」呼吸を整えながら彼は言った。


「何。ちゃんと、いいなさい!」股間を蹴り続ける。彼女の白い脚の甲が何度も睾丸を潰す。


「せんかん・せいきと・セックスしたい!」髪をかき上げると、無慈悲に押し潰した。冷たい足の裏で痙攣するように腰が跳ねる。


「い・や・よ」ゆっくりと近づき見下ろしながら、足で顔を踏み潰す。


「なに?」腰に手をかけて、グリグリと白い足を動かしながら頬を強く潰す。


「早漏のくせに」足の指を鼻に差し込み、なじる。足の指が鼻の境界を挟み込みゴリゴリと擦る。


「駆逐棲姫、早く立ちなさい」少女は後ろを向いたまま、ゆっくりとテーブルから腰を上げた。


「たのむ、せんかんせいきと、セックスさせてくれ」彼は目に涙を浮かべながら哀願してきた。


「ふーん。そんなに私としたいの?」足の指を鼻から抜くと、唇のすぐ上で誘うようにゆっくりと足の指を動かす。白い足の先で黒い爪がゆったりとダンスを始める。彼は頭を動かして、指先に自分から口づけをした。


「変態」足の指をがぼっと口にねじ込む。口の中で彼の舌が、指一本一本を丁寧に撫でまわしている事を感じる。白い指先の隙間にザラザラとした舌の感触が何度も訪れた。


「女の足舐めて、そんなに勃起させて」口の中で舌を足の指でつまむ。足を引き抜くと彼の顔に唾を吐きかけた。


「抱いてあげる」黒いワンピースの中に手を差し込み、白い下着をスッと下した。下着の股間部分に広がるベタ突く粘液を、彼の顏にベタベタと擦り付け匂い付けをする。


「私としたら死ぬわよ?」膝立ちで跨ると、深く赤い目を怪しく光らせながら、ももを曲げて彼の股間をスカートの中へ消えさせていく。指で、入口にセットすると止めた。


「たのむ」数分後に悶えながら絶命するであろう自分の姿が脳裏に過るが。少女の背中を見ると、決意を込めて言った。


「させてあげる」少し面白くなさそうに、一気に腰を落とした。粘液の滴る肉壁が彼の股間を熱く締め上げる。たまらなく射精しそうになり、股間を大きく膨らませる。


「早漏ね」彼女は腰を上げ、引き抜くと、彼を見下ろしながら言った。


「駆逐棲姫、リボンをかしなさい」少女が髪留めを外すと、薄紫色の髪がフワッと膨らんだ。勃起の膨らみを増す先端部分、その下をなぞるようにリボン結びできつく縛る。勃起の先端部分がパクパクと開き、透明でねばつく液体が染み出ている。


「いっぱい鳴いていいわよ?」リボンに飾られた極限まで反り返らせ筋を見せる彼のものを、膣内に再び一気に挿入させる。リボンの衣擦れに引っ掛かれ必要以上に膣内に力が入る。彼は手足に力を入れながら、行き場を失った精液が先端に溜まっていく快感に溺れさせられる。


「もっと、感じていいのよ?」ワンピースを脱ぎ捨てると、白いしなやかな体が、暗い石牢内で明るく輝いている。彼女は腰を回す様に、前後に動かす。黒く長い髪が舞うように踊る。彼は声を上げながら首をブンブンと振っていた。


「そうよ、もっといくの」彼女は顔を赤らめ、体をのけ反らせていく。彼の先端が何度も大きく膨らむのを感じながら、命を吸い尽くす様に腰を激しく回していく。声にならない声をあげる彼の口から泡が見えはじめた。


「いいわ、逝きなさい!」腰をあげリボンの紐を緩めると、力強く腰を落とした。膣内に熱く大きな塊が流れ込んでくる。彼は、そのまま体を脈打たせると。意識を失った。


「ん!」彼女はテーブルにバンと手を突き、急いで腰を上げると、彼の勃起を抜き出した。

直後、膣内が激しく痙攣する。テーブルに腰掛けると息を荒げている。




06 Intermission 女達の舞台裏




「終わりましたか?」少女がテーブルの横から紫の瞳で顔をのぞき込んでくる。上半身をテーブルに乗せたため、腹を押され股からわずかに垂れだした彼の精液を、白い内ももをもじもじと擦り合わせて乾燥させる。


「ちぎっちゃえばよかったのに」先端が少し紫色にうっ血している彼の勃起をさすりながら言う。手を動かすたびに、彼の手や足がビクッと動く。


「でも・面白・い・・でしょう・・・?」呼吸を整えながらしゃべる。


「面白いのは姉さまです」アメシストの澄んだ紫の瞳が、彼女の赤い瞳をのぞき込む。「わたし、キレイ?」少女は片足を伸ばして、黒く短いスカートを捲りながら再現する。目を細め自信たっぷりにスラリと白い足を伸ばす。


「ちょっと、やだ、駆逐ちゃん」彼女の耳が赤らみ始めた。「ホント、やめてくださいよ、こっちは真面目にやってるんですから」その時、少女は思わず吹き出しそうになり、お腹を抱えて耐えていた。


「キレイに、決まってるじゃないですか」少女はプールから上がるようにテーブルに乗ると、全裸の彼女の口に舌をねじ込む。彼女の腰に手を回しこみ、そのまま押し倒した。彼女の膣内にねじ込まれた数本の少女の指が、嬉しそうに収縮を繰り返す彼女の子宮から彼の精液を掻き出す。


「こんなにださせて」指にこびり付いた精液を、顔の前で見せつける。指を開閉させるたびに細く伸びる4本の指の間に、愛液と混合されたベタベタとする精液の線が出来る。


「ど・す・け・べ」強引に彼女の口に指をねじ込むと、そのまましゃぶらせる。少女の指の隙間を這うように舌を動かすと、彼女の下腹部に疼きが広がる。


「ねぇ、駆逐ちゃん」彼女は甘い声で囁きながら、指を伸ばし少女の入口をなぞった。そこには僅かにまだ湿り気がある。


「ダメです」きっぱりと切り捨てた。男の両足の間に座ると、ネコのようにお尻を突き上げ、開かれた白いお尻の奥をまる見えにさせながら、精液に濡れる彼の股間を舐め始めた。


「もう」彼女は、股に粘液を垂らしながら投げ捨てたワンピースを着る。


「変わるわ」自分の股間を指でなぞりながら、少女に近づいていく。


「ダメです」少女は白濁液に唾を含ませて、ふやかしながら丁寧に口で吸い取っている。


「もう」四つん這いで彼の股間に顔を押し付ける少女の後ろに回り込むと、ゆっくりと短く黒いセーラー服のスカートの中に指を入れる。少女は刺激を与えないように、小さく萎んでいく彼のものにそっと舌をつけている。


「惚れちゃた、の?」股の間にお尻側から手を回しこみ、少女の股間をなぞりながら囁いた。薄らと生える少女の陰毛にも手が伸びる。


「ただの礼儀です。あいつらとは違いますから」先端に舌を押し付けて唾液を尿道に流し込む。残る精液の塊を、そっと吸い出した。彼の体が数回跳ね上がる。


「選ばれなかった当てつけですか?あんなに足ばっかり使って」彼の陰毛に残る精液を陰毛ごと口の中に含み唾液を乗せた舌でほぐしていく。少女の口内に僅かに抜け落ちた彼の陰毛と精液が、終わりの合図のように少女の喉をゴクッと鳴らす。


「ち、違うのよ駆逐ちゃん、違うの」彼女の表情が暗くなる。


「別にいいですよ、もう気にしてませんから」股間に伸びる手を、無造作に払いのけた。清掃を終わらせると、少女はテーブルに腰掛けた。


「すっかり冷めちゃいました」パンの横にあるスープをジッと見る。


「どうぞ」固まったパンに、スープをしみ込ませると、彼女の口へ運ぶ。


「ん。おいし、ありがと駆逐ちゃん」彼女は笑みを浮かべた。


「それで、何が面白いんです?」抱き合うように彼女の膝の上に跨って座り、スプーンでスープを運びながら言う。


「さすが駆逐ちゃんね」あの程度、艦娘想いの提督なら一定数いた。彼女の絶頂と共に、膣の締め付けで股間をねじ切られて死んだが。彼女たちには、もはや提督達など羽虫程度の感覚でしかない。唯一の感情は後掃除が大変かどうかぐらいだ。


「この提督ね」スープを噛んでから飲むタイプの彼女は、モグモグと口を動かしている。


「はい」飲み込むと、またスプーンでスープを与える。


「妖精が見えないのよ」少女の動かすスプーンが止まった。彼女は首を伸ばしてスプーンの上のスープにパクッと口を付ける。


「ちょっと、面白いですね」スープが空になるまで続けると、彼女の太ももの上に向かい合って座ったまま密着する。そのまましばらく見つめ合うと、彼女はゆっくりと白い太ももを開いていく。少女はその間に沈み込んだ。


「ダメです」少女は、彼女の湿る股間をスカートの上からなぞりながら言った。彼女は捨てられた子犬のような表情で、少女を見ている。黒い長髪の間から突き出る二本の角が心なしか小さく見える。


「私なら構わないぞ」いつの間にか開いた扉から、石段をゆっくり、コツコツと音を響かせて女性が下りてくる。白い体で、頭にドリルのような小さな角が間隔を開けて二つ。白い水着ともレオタードともわからない服を着ている。


「もう満員ですよ」少女は冷たく言い放つ。テーブルの上には男が磔られているうえに、自分の隣に戦艦棲姫がぐったりと腰掛けている。


「そう、邪険にしないでほしいな」少女の顏に、いたずらに自分の顔を近づけて行く。唇が触れ合うまで数センチ。戦艦棲姫は、少女の腕を、威嚇するように自分の胸へと引っ張った。少女は少し驚き目を大きく開くと、薄紫の髪をフワフワさせる。


「何ですか、二人して」面倒くさそうに彼女の手を振り払うと、立ち上がった。


「いやらしい」食器を手際よく重ねると、拙い足取りで歩き出す。黒いセーラー服を整えると、思い出したかのように薄紫色の下着を回収する。少女は紫色の髪をふわふわと揺らしながら石牢を後にした。





「飛行場姫!あなた、何てことしてくれるのよ!」赤く淀んだ瞳で飛行場姫を睨みつける。キスをして数分後には駆逐棲姫に押し倒されている事を想像していたのに、間の悪い来訪者のせいで、そのムードを壊された。


「まてまて、私は悪くないぞ」捕虜の様子を見ながら言った。彼女の細く長い銀色の髪が揺れる。


「お前がいつまでも上がって来ないから、様子を見に来ただけだ」艦娘に追われる彼の巡視艇を撃沈したのは彼女だ。その際に海に投げ出された彼を、特異な形状の艦載機、通称「タコヤキ」で捕獲した。


「いやね」不完全燃焼の気分を抱えたまま彼女は白い下着を履き、ハイヒールの留め具を止めた。黒い下着を指に掛けてクルクルと回す。


「聞き出したのか?」飛行場姫は腕を組みながら、顎で彼を指す。


「いいえ?」面白くなさそうに、彼の腕を枕にテーブルに横になった。


「まったく・・・お前がヲ級とそいつの鎮守府を見ていたのは皆しっているぞ?」戦艦棲姫は、時折フラフラと彼の鎮守府近海に外出していた。自分から何処へとは言わないし、わざわざ聞こうとも思わない。


彼女らは人ではない、ゆえに人以上の絆を持ち合わせている。今回の事も、大方悪い悪戯でも思いついたんだろうというのが彼女の認識だ。


「彼ね、駆逐ちゃんを守るのよ」意識のない彼にそっと口づけをした。


「手段の一つだろう」いつものやり方だ。私がたまに北方棲姫とやる事で、別に気にするほどの事でもない。もっとも、挿入を伴う性交が必要であれば、すべて私が行うが。


「妖精が見えずに、艦娘に追われる彼が、よ」彼の乳首を、黒い爪で撫でながら言った。


「ほう」どちらがやったかは分からないが、彼の股間が粘液でベタベタになっている。恐らく、精液で陰茎を痛めないように舐めとったのだろう。


「駆逐ちゃん」訝し気に見ている彼女に、戦艦棲姫は言った。


「あいつらとは違うから、って」彼女の瞳がスピネルのような澄んだ赤色になり、はるか遠くを見つめている。


「そう、か」そうだ、彼女には足が無い。彼女が戦艦棲姫に奪還されたときには、すでに足を奪われ、全身に男の匂いをしみ込ませていたと聞く。彼女は過去を語らない。誰も聞こうともしない。


幸い、太ももから先に足形の艤装をつけて、戦艦の主砲塔のように動かすことにより、何とか歩くことが出来るようになった。彼女は恐らく、大した処置もされずに次々と男の相手をさせられたのだろう。握る拳がギチギチと音を出す。


「ふぅ。まぁ、駆逐の奴がそれでいいというのなら私は知らん」湧き上がる感情の憂さ晴らしに、少女ほど上手ではないが、彼の股間を手に包み激しく上下させる。


「ちょっと、今日9回も出させてるんだから」戦艦棲姫は彼女の手を払いのけた。せっかく、駆逐棲姫が興味を持ったのにそうそうに潰されてはたまらない。


「しかし、エサはどうするんだ」この深海に訪れた人間が数日間滞在したことはない。男も女も平等に楽しくイキ殺されている。ゆえに、人に食べさせられそうなものは少ない。さらに人が食べられるものに理解が乏しいのだ。人間はすぐに死んでしまうから、間違って毒を与えては大変だ。


「まぁ、駆逐ちゃんが与えると思うわ」口元に酷くいやらしい笑みを浮かべる。


「彼女、野菜ばかり食べるから」


「そうか」飛行場姫は釈然としないまま、離れていく。


「余計なお世話かもしれんが、生かすならロープ、外してやったらどうだ」彼の手足はロープの食い込みでズタズタに擦れている。そもそも、人間一人暴れだしたところで、どうということもない。幼女体型の北方ですら2秒で彼の首ぐらい千切り取るだろう。尋問をしないのであれば、わざわざ演出のために固定する必要もない。


「ありがと。考えとくわ」彼の顏に黒い下着をかぶせると、彼の体を抱きかかえながら彼女は目を閉じた。


「相変わらずSなのかMなのかわからん奴だ」飛行場姫はフルフルと首を動かすと。扉の前に立った。


「ま、悪いようにはしない、か」戦艦棲姫が誰よりも駆逐棲姫を愛している事は周知の事実だ。ゆえに彼女は姉と慕っている。飛行場姫は与えられたパズルの答え合わせを楽しみにした。



入口近辺にあるスイッチで裸電球を消すと、扉をゆっくりと閉じる。

静寂と暗闇が石牢内に広がった。



  ――彼の深海での長い一日が終わりを告げた。








 ― セックス調教 2日目 ―



07 戦艦棲姫




「むっう」手足が痛む。体も酷く冷えている。どうやら昨日から磔られていた大きな茶褐色のテーブルのベッドで一夜を明かしたらしい。――いや?首を動かすと黒い塊。彼女の髪か。


「あら?」黒い塊がもぞもぞ動き始める。彼女はもそもそと石壁に手を当てながら暗い石段を黒いハイヒールを鳴らしながら登っていく。



【【深海まで泳ぎきれる彼女らが、なぜ暗闇に対応できないのかと言われれば、彼女らの個体差もあるが、基本的にはイルカのようにエコーのようなものを利用して対象との距離を測定しているからと答えられるだろう。視力に関してはほぼ人間と同等なのだ。


問題なのは規格外の出力のようで、尋問中にこれをやると、多くの場合哀れな人間がおかしな事になると気付いた。恐らくは石牢内で乱反射した高出力のエコーが収束して人体に何らかの障害を出すのだろう。もっとも彼女らには生まれつき出来るものでその自覚は少ない。】】



「生きていたの?悪運が強いわね」スイッチを入れると、裸電球に光が灯る。石牢内がぼんやりと明るくなった。クシャミの音が聞こえる。自分が覆いかぶさっていたとはいえ、やはり寒かったのだろう。


彼女の経験上2、3日位は何もしなくても生きている体型はしている。昨夜までに9発ほどご奉仕“してもらった”が一日位で死ぬことはないとは想像している。


彼女のお尻があてがわれていた部分が口の動きで湿り気を帯びる。睡眠学習か、体臭の強いほうである彼女の匂いには、すでに慣れきってしまい抵抗なくモゴモゴと何かを言っているようだ。


「な~に?」下着を外してやると、股間部分にクシャミの跡が付いていて汚い。


「何・のつ・もりだ・・」首を揺らしながら、もうろうとしつつ彼は言った。本来ならばもう用も済んでいるだろう。幸か不幸か細々とまだ生きている。


「まだ聞きたいことを、思い出したのよ」掌で股間を握る。


「貴様が、知りたい、ことなど、何も、しらん」彼女の黒い爪が、削るように股間の膨らみをなぞり回す。そうだ、彼の言う通り彼の知っていることなど高が知れている。ただ一つを除いて。


「ねぇ。あなた、どんな女がタイプなの?」片手を彼の体に手を回しこみ、もう片方の手で彼の股間を弄びながら、耳元で囁いた。


「ね、え、ってば」手の動きを速める。彼は足を延ばして、顔を背けながら小刻みに呼吸をして耐えている。そして、さらに股間を膨らませると、彼女は手を離した。


「後ちょっとだったのにね」彼の股間は刺激を求めて、ビクビクと振動させている。


「もう・ようは・・ない・はずだ・・・」呼吸を荒げながら力なく呟く。


「きもち、よかったの?」そっと耳に口を付けて、甘く囁く。


「いわないと、おわらないわ、よ?」彼女は自分の股間を指でほじくり弄ると、分泌された体液を彼の股間に塗り付けた。彼の股間が裸電球に照らされ、仄かに光る。彼女はそのまま、指と爪を巧みに使い何度も絶頂寸前まで追い込んでいく。


「ここは二人だけよ」射精のタイミングはすでに完全に把握されている。彼が腰を突き出し強い刺激を求めても、指の輪を広げたり、腰の動きに合わせて指を上げられて動きをいなされる。


「きもちいです、きもちいです、きもちいです・・・」呪文のように囁きながら、彼女は続ける。彼女の吐息が耳に流し込まれ、まるで脳内すべてに直接呼びかけられているような声が延々と続く。


「きも・ち・・いい」終わりのない単調な行為に彼の脳は浸食され、ついにうわ言のように口にしだした。


「そう。いいこね」彼女はテーブルの上に乗って、彼の太もも付近に跨った。長い黒髪を耳の後ろにかき上げると、ワンピースの肩紐を両方とも腰まで滑り落とさせる。


ずり下がるドレープネックのワンピースが胸元の彼女の突起に引っ掛かっている。首からすぐ下辺りの胸元には骨か、軟骨のような角が小さく四角に並んでいる。


「あなたも、おっぱい、すきなの?」彼女は体を折り曲げて、彼の顏に胸を近づけて行く。ワンピースを腹まで引き下ろすと、白く大きい乳房が、重力を受けて垂直に下がる。彼女は、大きな乳房をさらに大きく見せつけるように彼の顏にのしかけた。柔らかく冷たい感触が、彼の顔を心地よく挟みつぶしていく。


「ほら、いいのよ?」動きで、垂れさがってきた髪を再び耳の後ろに掛けると、彼女は背中を揺すり、ピンク色で恥かしく隆起している場所を彼の唇に擦りつける。舌の感触を感じるとそのまま口の中に押し込んだ。吸い付かれ痺れるような感覚が乳首の先から駆け上ってくる。


「ほら、もっと吸って?」彼の頭を手で胸に押し付ける。彼女の胸の先端から、恥かしい水音が響き始めた。


「噛んでも、いいのよ?」彼女は乳房を前歯に食い込むように擦り動かす。誘われるようにその柔らかい弾力を大きくかみしめながら、口で吸い立て、舌で貪る。


並の女では、悲鳴を上げるような、血がにじみ出るような力で彼女の冷たく白い膨らみを噛み抑える。しかし、彼女は感じるように目を細め、さらに乳首を尖らせて彼を誘うだけだ。


「そんなにしたら、壊れちゃう」背中を持ち上げ、彼の口から胸を取り上げると、もう片方の胸を近づける。彼は首を回してすぐに噛り付いた。オモチャを与えられた赤子のように噛みつき舌で探りしゃぶりあげていく。


「いけない子ね」次第に自分から首を回して、反対の胸を催促するようになった。彼女は首の動きに合わせて背中を回して噛みつかせる。彼に深海の女を刻み込ませていく。駆逐棲姫や幼女体型の北方棲姫ですら彼の楽しい遊びに耐えるだろう。しかし、地上の女には二度と出来ない楽しみを教え込み、染めていく。


「もっと欲しがっていいのよ?」首を動かすと、合わせて胸を差しだす。催促され噛まれしゃぶられ吸い立てられる。そして、乳首をさらに勃起させる。歯でコリコリ噛みつき石牢内に響き渡るほどの音でしゃぶりつくと、彼女の乳首がビクッと震えながら大きくなることが、彼の独占欲を堪らなく刺激する。


「いいわ、そうよ」白く細い背中に髪をかき上げて乗せる。圧倒的に上位種の女を一時的にでも支配していると錯覚することが、幸せだと感じてしまうほど彼は憔悴し消耗させられていた。しかし、つかの間の幸せもそう長くは続かなかった。


「はい。おしまい」彼女は突然体を起こすと、ワンピースの紐を肩に戻しふやかされた胸を閉まった。彼は突然の事に狼狽えながらも冷静さを取り戻し、恥かしそうに顔を背けた。


「僕のタイプはおっぱいが丈夫な人です」耳元にそっと囁く。何も言い返せなかった。恐らく彼女でなければ、噛み切っていたかもしれない。それだけの力を入れていた事を思い出す。


「あら恥かしいの?こんなに小っちゃくして」真剣に楽しんでいたためか彼のそれは先程の1/3程度にまで縮こまっている。無理やり立たせて挿入したい所だが、これ以上は何か障害が出ても困る。今のところ殺す予定はないのだから。


「お食事の時間まで静かにしていなさい?」黒い下着を回収して、石牢を後にした。

妖精の話は、食事の時にでも聞かせてもらおうか。通路を歩きながらそう思案する。僅かに振動する通路内。続く轟音。


――もうそんな時間かしら。




08 そこは海底150M




轟音と微弱な振動が深海の家に訪れる。


大陸棚の日の届くまだ浅い側面に切り開かれ、アリの巣のように彼女たちの住み家が存在する。地上暮らしを続ける者も多くいるが、こちらは艦娘の嫌がらせが酷くしょっちゅう損壊させられている。



【【艦娘の登場以来こちら側の行動は、向こうの“潜水組”に追尾されてある程度察知されている。深海の住居も大まかな位置が特定されたため、やつらは対潜爆雷や潜水魚雷の定期便をせっせと送り付けてくる。もっとも、お互いにガス抜きの要素が強くこちらはその程度で壊れるものでもないが。


ひっそりと暮らしていた彼女たちの海底基地の場所を露呈“させてしまった”事により海底基地を中心に暫定的に“深海前線”が発生している。この前線は事実上彼女らの領海であり、これは日により伸び縮みする。つまり超長波に乗せられた彼女らの声を検知できる範囲。水平線前後の距離一周が領海として存在する。


この近辺。特に領海内部は彼女らの狩場となる。船団や民間商業船ですら贔屓なく攻撃される。艦娘の護衛付きであればこの航路を通過できるが、武装集団が闊歩往来する街を大量の金塊を持って民間警備会社に護衛してもらって通過しているような状況だ。彼女らの機嫌を著しく損ねたり、ワイロ的な物が足りなければ結果は火を見るより明らかとなる。】】



「もうお昼か?」飛行場棲姫は言った。日に二回。デイリーと称して存在意義の嫌がらせを行われる。時間はだいたい、正午近辺と日没近辺だ。彼女の件以降バカみたいに膨れ上がった鎮守府の数が連日の嫌がらせを実現している。


「しかし飽きもしないでよくもやる」飛行場姫とあるように陸上型の彼女がなぜ深海に居るのかと言えば、理由は単純だ。連日のナパーム弾で髪を焦がされる事に嫌気がさしたからだ。彼女の件の後、何かと標的にされるか弱い北方棲姫もつれて移住してきた。


「潜水カ級に出てもらうか・・・」



【【本来は潜水組の水中港だったが、地上戦が激化したために地上組が過ごせる設備を新設したのだ。移動の際には人側から鹵獲した小型潜水艇を潜水組にけん引させる。人より丈夫で上手に泳げるとは言え、それでもこの深度までの素潜りは大変酷な話である。楽が出来るに越したことはない。彼を捕獲した彼女もまた、潜水艇のハッチを閉めただけで、潜水タクシーで帰宅したのだった。】】



「駆逐ちゃん。彼にご飯をあげたいのだけれど」生気が抜け、長い黒髪を垂らして疲れ果てたように戦艦棲姫が立っている。


「姉さま。朝の情事は上手くいかなかったのですか?」少女は淡白に答えた。彼女のその姿はまるで骨折り損のくたびれ儲けを体現しているかのようだ。



【【彼女が得意とする能力の一つに通常の声と同時に低周波による声を重複して発声して、より良く、より早く、より深く、彼女の声を直接脳へと刷り込むことが出来る。ただ、同時に行うことは彼女自身への負担も大きい。】】



「しようとしたら萎んでたのよ」飛行場姫はスープを噴き出した。


「まぁ、アレの気持ちも分かる。お前はしつこいからな」フェラチオですら、ただ単調に長時間行い続ければ飽きられて萎む事もあるというものだ。



【【山賊が洞窟に作った様な広いドーム状の場所に、潜水艇により分解して持ち込まれた簡素なキッチンがある。ガスの利用を想定していないので、調理には火力の乏しいエタノールを使うことになるのだが。


その手前に飛行場姫が暇つぶしに作った大きな木のテーブルと椅子があり、そこで彼女ららしい食事を行っている。】】



「どうせ気持ち悪い授乳プレイでもしていたんですよ」少女は胸だけ濡れたワンピースのシミをチラリと見ると、ジト目でパンを口にしながら言った。


「ち、違うってば、もう」パタパタと手を振りながら、耳まで顔を赤らめる。思い出すと乳首の先端が少し疼く。


「何?駆逐ちゃん」駆逐棲姫は椅子から立ち上がり、戦艦棲姫のスカートを捲り上げた。彼女の表情がエッチな期待を膨らませて少し柔らかくなる。


「姉さま。臭いです」時間が立ち黄色いシミで湿らせている彼女の白い下着に顔を近づけた。そこは、エビやらカニやらをそのまま長時間煮込んだ時のような濃い磯の匂いがしている。或いは、海産物の缶詰工場の脇にあるドブ川だろうか。どちらかというと、彼女は匂いの付く物を好んで食すのでそのまま体臭に反映されてしまっている。


「・・・わかった・・わよ」見えない耳が垂れているかのようにしょんぼりとし、シャワーへとトボトボと歩いて行く。



【【海底での真水は貴重品かと言われると、彼女達にはちょっと節約しようか程度の認識で十分すぎる。余剰した潜水組の艤装が海水からせっせと酸素を作り続ける際の排熱を利用して、できた蒸留水を常時タンクに貯めているからだ。


もっとも建設したのは地上組の奴らだが。気圧も内部の工夫と設備に管理され何とか1.5気圧以下には抑えられている。蒸留水で蒸気機関のように発電される電力の大半は3重式の海底ゲートの開閉に使用され、残りは施設内の照明に使われている。


問題なのは温水で、排熱利用では発電力が弱くガスも使用しないため、電力節約のため基本的にシャワーは常温水になる。氷点下に近い海水を全裸でも泳げる彼女たちではあるが、温かいお湯でシャワー位浴びたいというのが本音だろう。】】



「どっちが姉だかわからんな」飛行場姫は白く逞しい足を組みながら言った。


「姉さまは、姉さまに決まっているじゃないですか」モクモクとパンと野菜を食べながら言った。


「ほう。アレがねぇ」少し面白くなさそうに答えた。


「なんですか。たかだかバンカーバスターくらいでガタガタ逃げ出すくらいの分際で。降り注ぐ徹甲弾の雨の中をヘラヘラとホッポちゃん連れて歩き回る姉さまを悪く言うなどと」筆舌になり少女のアメシストの透明な紫の瞳に黄色みが差し込んでいく。


「わかった。勘弁してくれ」首が引きつりながら、目には少し涙が浮かんでいる。


「だいたい、あなたも日曜大工ばっかりやってて何ですか。陸上型だからとか言って大して出撃しないわ、尋問したらしたで意味もなく快楽貪って殺すわ、後始末までホッポちゃんにやらすわ、変なもの食べたらどうしてくれるんですか」


「あ、あの」視界が霞んでいく。どうやらやぶ蛇である。飛行場姫は少し後悔した。


「その角ドリルなんなんですか。電撃も出せないくせに。普段俗物めみたいなこと言ってる癖に、実際は気が小さいし。やわらか戦車ならぬやわらか飛行場ですか。ここでひっそり戦後まで生き延びててくださいね」


「ほっぽー!くちくがいじめるー!」ついに耐えかねて涙ながらに彼女は逃げ出した。


「さて、いなくなりましたね」テーブルの上の食器をじっと見つめる。


「彼に、ごはん。ですか」少女はいやらしい笑みを浮かべる姉の顔を思い浮かべた。


「まったく。困った姉さまです」





「ねぇ駆逐ちゃん」甘えるような声で。


「何ですか姉さま」ツンツンと答える。


「やだ、こっち見てよ」入口の木の扉に手を掛けちょっと気取ったポーズをしながら彼女は言った。


「ダメです」少女は薄い丸型の食器の上に、盛り付けたコールスローサラダのような塊とパンを手で動かしながら冷淡に答える。


「もう」ミニのタイトスカートで全身黒くピチピチの服。いわゆるボディコン服だ。洗濯中のワンピースの代わりである。


「ほらまた、いやらしい格好して」顔を向けると、黒いハイヒールに丸出しの白い太もも。脚の両側に黒いガーター。軽く開いた足がもともと短いスカートを押し上げ、黒い毛を少し覗かせている。体はピチピチのワンピースで胸は立たせていなくても、乳首の位置と大きさがはっきりとわかる。首には黒いチョーカー。


「パンツはどうしたんですか?」薄紫色で丸みを帯びたミドルヘアーをふわふわと揺らしながら近づくと彼女の両足の間からずり上がるスカートの中に無造作に手を入れる。


「全部・・洗・ってる・・のよ・・っ」少女の指の動きに合わせて、彼女の体が動く。


「姉さま」無慈悲に掌で股間を揉みしだく。


「なに・かしら・・」スカートの中で指で挟まれ、下の毛が引っ張られている。


「剃ったんですか。いやらしいですね」指二本で毛をなぞると、乱雑に生えていた陰毛が整えられ、真っ直ぐに生えそろっている。


「違うのよ、くひくちゃん、ちがうっの」少女の指が三本、しっかりとねじ込まれる。彼女は股間をガクガク突き出しながら、背中でドアによりかかる。


「すけべ豚」少女は膝で、彼女の足をガバッと開かせると指を折り曲げて、熱く濡らしている奥まで何度も激しく動かす。


「はぁーっ、あーっ、あっ、あっ」ハイヒールでつま先立ちをしながら腰をガクガクと躍らせている。


「いいですよイっても」少女は唇を重ねると、崩れ落ちて来ている彼女を体で押さえつけ、一気に指を上方向に擦りつけながら動かした。彼女は少女の舌を貪るように味わいながら、反射的にももを閉じようとするが、少女の太ももがしっかりと差し込まれている。二人の脚は彼女から飛び散る体液で濡れていた。


「あっ。あ・・・」短く声を続けて出すと大きく体を震わせて、崩れ落ちた。


「姉さまはエッチですね」濡れていない床に、そっと寝かせる。彼女の太ももに優しく舌を付けた。そして、丁寧に掃除を始める。


「くさい、でしょう?」怯えるように彼女は言った。少女は彼女の両膝を乱暴にこじ開ける。白い腹部の下に、真っ直ぐに伸び揃う長く黒い陰毛が見える。恥かしがり閉じようとする白い太ももを両肩に乗せて強制的に足を開かせ固定する。


「まだ少し匂いますけど、別に、嫌いでもありませんし」少女はゆっくりと、体液の出本に舌を付け丁寧に掃除をした。その辺の海洋生物を適当に食べあさる彼女は、その匂いが少し、反映されているのだろうか。





「ねぇ駆逐ちゃん」立ち上がると、短いスカートではあるが元の位置に正しながら少女の方を見る。


「なんですか姉さま」少女も立ち上がり黒いセーラー服のスカートをパンパンと払っている。


「アレ、駆逐ちゃんが作ったの?」テーブルの上の食事を指さす。


「そうですけれど、何か」少し不機嫌そうに言った。彼専用の食事である。


「あ。り。が。と」彼女は両手で少女の顔を抑えると、膝を曲げて身長を合わし、熱い口づけをする。長い黒髪が反動で少女に覆いかぶさった。


「もうなんなんですか突然。油断してると角があたっていたいんですよ」耳まで赤くしながら少女が言う。


「ね、え。今度私にも、それ、食べさせて?」彼女がそっと耳に囁いた。


「ダメです」顔を赤らめながら後ろを向いた。


「早くもってって、食べさせて来てくださいよ。バカな姉さま」床の掃除用具を取りに消えてしまった。


「ふふ」彼女は嬉しそうに、食器をトレーに乗せると彼のもとへと向かった。






「さて、姉さまの下着さんは、と」少女は、パタパタと洗い場の区画へ移動すると、横に掛かるロープ状の物に干されて、石床に水を垂らしている下着を数枚見つけた。黒いワンピースやグレーの男物の下着もある。


「あら、お花さん」香水代わりに使ったのだろう、桶の中にすりつぶされた“駆逐ちゃん農園”から採取されたであろう生花が数個浮かんでいる。幸い“ココの管理人は寛大”で、乱獲さえしなければ、特に使用の許可は求めない。


「やっぱりいい加減ですね」少し力を入れて絞ると、僅かにネズミ色の液体が石床に広がった。



【【彼女たちは洗剤代わりに、種火としても利用した乾燥させた海藻の灰を利用する。初めのうちは、何となく海水と真水で洗っていたのだが、あるとき北方棲姫が灰を水に混ぜて服を洗っていたところ、意外と汚れが落ちていた事が分かり、それ以降はこれをよく利用している。


洗濯機の存在に気付いた後でも、これを続ける理由は、節電と節水の為である。また、洗剤を搬入するくらいならその分を北方棲姫のために果物でも積んで来いという意見が多いのも理由の一つか。】】



「全部洗い直しますか・・・」ワンピースからなにやらを一律引き下ろすと、ジャバジャバと手洗いで洗濯をし直す。



【【廃水を道なりに併設される側溝へ流すと、最下層バラストタンク部へと緩やかに流れて行った。溜まった汚水や不要物は、複数あるバラスト槽の手前に溜まり、空になっているバラストに適当に振り分ける。そして潜水艦のように海水を引き込んでは、海に吐き出すのだ。まき散らされる物には人の骨やら服やらも含まれているが、今日まで近隣水生生物から抗議活動が行われていないことは幸いである。】】



「あっ、エタノールの様子も見に行かないと」少女はハッと思い出すと、足の艤装を手際よく動かしながらパタパタと更に下層へと下りて行った。下層へ向かうと、冷え込んだ冷気が体に差し込む。



【【ここら一帯にはやはり潜水組の艤装が桶の上にあり、トロトロと液体を垂らしている。日常で排出されるCO2が緩やかに下層へと流れ溜り、艤装がCO2をエタノールに分解しているらしい。


水中施設の全ての部屋が逆ツリー型で、マヤ遺跡のように一定の傾斜をもつように増築されている。水は側溝を伝って自然に下層へと流れ溜まる。


空気さえ作れば居住に問題ないと、当初は彼女たちは認識していたため、水中艤装に空気を産出させて、居住区からバラストタンクを経由してゆっくり海水を排水した後ここへ移り住んだ。


移り住んでみると下層部で意識を失う者が続出した。初期は敵の嫌がらせを疑ったが、調べ始めてみると、初めて地上組がCO2の存在に気付いたのである。潜水装備を持ち、倒れた者の救助に向かうが、この時、重量の関係で水中艤装を一部下層の通路脇に放置することになった。


この一連の騒動の後、地上組は再び外の世界へと追い出される事になる。コツコツと5、6年の工期を費やした一大事業だったにも関わらず、残念な結果に終わったと落胆していた時、施設を暫定的に管理していた潜水ソ級達から、艤装が燃える液体を作っていると極低周波音声により海中から急報が入った。


通路脇に置かれた艤装から、水溜まりが出来ていて海水もないのに不思議に思い回収したら運搬中に燃え上がったらしい。


適当に捕まえた気の毒な科学者達から得た情報によると、どこかの国がCO2からエタノールを作る事を実験的に行っている。きっとそれではないか、と。お願いしたら、簡易的なCO2計測器も譲ってくれた。お礼に泊地水鬼が機密保持のため全員を気持ちよく昇天させてあげる事にした。


エタノールを回収し一定量を冷蔵補完つつ、CO2の濃度を見ながら数週間後には、彼女たちは再び別荘を取り戻したのである。更に、生活用燃料としてエタノールが自給できる事は嬉しい誤算になった。


後に、戦艦棲姫と駆逐棲姫が移住して来てからは、駆逐棲姫が事実上の管理者のように施設全体を見回りしている。】】



前方からトイレ100基ほどをいっぺんに排水したかのような音が重低音で反響して聞こえてくる。薄暗い通路から聞こえるこの音は、何度聞いてもなれないもので少女は一瞬ビクッと体を動かす。最下層に設置されるバラストタンクに注水が始まったようだ。


「随分溜まってますね、ちょっと歩きづらいですが、まぁいいでしょう」小型のポリタンクを取り換えると、冷え込む通路をよろよろゆっくりと上って行く。紫色の髪が左右にゆらゆらと揺れ動く。



【【無限に湧くエタノールは大変都合がいい。燃料にするも、捕虜の消毒に使うも、地上組の水鬼達に酒として飲ませてやるのにも使える。ただ、自然発火の危険もあるので、深層の冷え込む貯蔵庫に普段は貯めて置く。面倒ではあるが必要な分を彼女がキッチンの冷蔵庫まで運び出すのだ。】】



「一応、今日は多めに持っていきますか」もしかしたら、消毒用にでも必要になるかもとポリタンクに少し多めに液体を移し替えると、ポリタンクを引きずるようによろよろと下りて来た道を帰っていく。




09 戦艦棲姫




「お食事の時間よ?」


白い両手と両足が石段を下りてくるのが見える。彼女が戻ってきたのか。相変わらずコツコツとハイヒールの音を響かせながら下りてくる。彼に近寄よると、まるで、もう何十年もそうしてきた夫婦のようにテーブルの上で裸で磔られている彼の隣にゆったりと腰掛けた。きついスカート部にシワが寄る。


「手、足、口、どこで食べさせてほしい?」髪をかき上げると、嘲笑いながら高圧的に顔を見下ろす。


「・・必要ない」彼は首を背けて素っ気なく答える。


「食べなさい」無理やり顔を向けさせると、角で彼の額を固定して目を合わさせる。


「い・ら・ん」一日中何も与えられず性的拷問を受けすでに衰弱しきっているが、このまま天命を全うするつもりか断固たる決意がその瞳からうかがえる。


「あ~あ」彼女は足をパタパタと躍らせる。


「駆逐棲姫に捕虜が食べる物を作れと言ったのに」彼に背中を向け、黒く長い髪を躍らせる。


「セックスは嫌がるし、エサもまともに作れない何て、本当に使えない子。もういらないわね」彼女は足を閉じると少し背中を丸めている。


「コレが勝手に死んだら一緒に解体してあげましょう」そういうと食事を持って、立ち上がった。少し視界が滲む気がする。


「待て・・」離れていく彼女の後ろから、弱々しい声がする。


「なに?私忙しいのだけれど」石段の手前でイライラするように立ち止まる。


「・・・手」「手で食べさせてくれ」声が力強くなっていく。


「ふうん?」彼女は腕で目を擦ると、振り返った。


「食べたいの?」食器を置きテーブルに乗ると、タイトスカートを腰まで一気に擦り上げると彼の股間の上に膝立ちで跨る。裸電球がしっかりと彼女の股を照らし、少し開いた縦筋に整えられた黒い陰毛が真っ直ぐに生えている。そのまま、ドカッと腰を落とした。


「はい。あーん」大きな四角いパンを切り出し、薄く切ったパンにコールスローを盛り付けると、少し水に浸して小さく千切り彼の口にそっと運ぶ。


「おいしいの?」彼女は指でワレメを広げると、彼の陰茎を挟み込むように押しつぶす。彼の股間は冷たい秘肉に挟まれながら、押しつぶされ股の付け根で擦られる。彼女の内側から流れ出る熱い粘液が睾丸まで垂れ伝い、すぐに大きさを最大にまで膨らませた。


「ねぇ、おいしいの?」彼女が何気なく上半身を動かし、体を折り曲げてパンを口に近づけるだけで、その動作が彼女の腰を前後に動かし彼を激しく感じさせていく。


「何?食事中に勃起させないでよ、変態」白い太ももの間から顔を出す、先端が大きく膨らんでいる勃起を握りしめる。


「んーん!」口の中の物を吐き出しそうになるが、手で口を思い切り塞がれる。


「吐き出したら、あんたのくっさいザーメンも乗せて食わすわよ?」彼女の股間から情けなく顔を出す、パクパク開かせる尿道を爪でガリガリと刺激する。


「あーんよ」全てを食べ終えるまで、恋人のように食事を与えられた。彼女の時折する深く背中を曲げる動作が、縦に揃う黒い陰毛を優しく擦らせ、少し先端から液が零れ出てしまう。


「お・い・し・か・っ・た・の?」腰をリズミカルに前後に振りながら問う。


「・・あ・・・あ」コールスローのようなものをシャクシャクと食べさせられたが、酸味が強く少し苦みがあるようだった。さらに言えば、少し生臭いような味もしていた。どちらかといえば、酒の肴には合いそうな食べ物だ。


「ふぅん?あんまり美味しくなかったのかしら」彼女は少し不機嫌になったようだ。





「さて、質問があります」角と両手で、彼の顔を押さえつける。


「あなたは、どうして艦娘に追われていたのかしら?」スピネルのような鮮やかな澄んだ瞳が彼を見据える。


「あれは、提督「は」襲わないはずよね?」技研により開発された新兵器、艦娘には致命的な欠点があった。あれは、時として人「も」襲うのだ。長年敵対している彼女たちの事だ、知っていても何もおかしくはない。


「ちゃんと答えられたら出していいわよ?」少女の髪留めリボンで、股間を締め上げると、ゆっくりと膣内に沈めて行った。


「あなたは、妖精が見えないのよね?」挿入したままゆっくりと体を折り曲げて、再び顔を抑え込む。何故知られているのか分からないが、何処かに密偵でもいたのかと思案を巡らす。


「何をしたのか話しなさい」瞳が赤黒く変異していく。


「・・・わからない」彼女の瞳を見つめたまま彼は答える。


「いつから見えないの?」問い詰めることはせず、冷静に質問を変えていく。


「着任・・当初からだ・・」彼は思い出すようにぽつぽつと言葉を発している。どれほどの期間を調べられていたのかは分からないが、どうやらかなり前から彼女には気付かれていたのだろうと想像する。


「そうなの。よくそれで今日まで指揮が執れたわね?」彼は無言で答えない。彼女が彼の鎮守府に興味を持ってから1年は経過している。あの鎮守府が設置された頃からとなると2~3年は経過しているだろうか。だからこそ“拾われたのだと”納得した。


「つまり提督など誰でも良いというわけね?」



【【近年、爆発的に数の増えた鎮守府には“妖精が見える”事を条件に提督が一人配属されている。提督一人を見つけると、すぐに艦娘が30~200人は沸いてくる。ゴキブリみたいに迷惑な存在だ。それが海岸線にギチギチとひしめいている。】】



「大本営から下される指令書に則り、ロボットの如く指示を出すだけ」彼女は髪をかき上げると、続けた。


「あなたも同じく行動していただけ、そうよね?」



【【提督とあるが、どれほど階級を上げようと作戦立案権がない。彼らの出来ることと言えば、スポーツマンのコーチのように部隊の編成を行い、部隊を育成すること。艦娘の状態を把握して“楽しい行事”に参加するか参加しないかの通知を送ることだけだ。



「・・・そうだ、な」彼の鎮守府もまた、消極的にではあるが同じように活動をしていた。

そこまで知られているのであれば、別段隠す理由もない。


「妖精が見えなくて、指定された戦果も上げられない。だから追い立てられたのね?」あからさまに無能だと言いながら、ゆっくりと腰を動かす。


「そう・・だな・・・」彼の瞳は快楽だけでなく、どこか遠くを見ていた。


「追撃していた艦娘は「私たち」より「あなた」を優先して攻撃していたそうよ」誘っても、やはり自分からは話さないらしい。この手の事は自尊心が強いだけのバカほど扱いやすいものはないが、彼の瞳は何処までも冷静だった。方針を変えて彼女は質問を続ける。



【【艦娘に兵装を与えると攻撃を始める。しかし、与えられた命令の他に①深海棲艦②人間③提督の順で攻撃していく事がある。ゆえに大本営は提督を一人だけ配置し、安全性からいつまでも鎮守府沿岸の敵を一掃しないのだ。新兵器が暴れ始めた場合の鎮圧までの時間稼ぎである】】



「明確な攻撃命令を受けていたのね?」しかし、提督であればその命令を拒絶させる事も出来る。さらに、艦娘は提督に無条件で尽くす様に“作られている。”大本営直轄の指令すら提督の安全性を理由に拒絶することがままある。それゆえ、彼は提督を解任され攻撃されていたのだ。


「あなたは、何を、したの?」瞳を合わせて、ゆっくり問う。


「わからない、が」ふっと、思い出し彼は言い淀む。


「話しなさい」せかすように腰を前後に動かしながら、まくしたてる。


「うっあ、妖、精からっ手紙がきたん、だっ」彼女の水音響く、石牢内で彼は途切れ途切れに声を張り上げた。


「内容は!言いなさい!」頬を2、3回叩くと彼の顏に赤みが広がった。


「君は・・知る必要が・・あると」彼女は腰の動きを止め先を促す。


「妖精を名乗る者から。機密文書の一部、と一緒に、ビデオテープが、届いたんだ」呼吸を整えながら彼は話した。


「1分か2分。短い、内容だった」


「足のない少女が、裸で鉄の壁に埋め込まれていた」


「今だからこそわかるが、彼女は深海棲艦だったのだな・・」


「それで消されそうになったのね」赤く淀む瞳で睨みつけながら、凍えるような声で言う。


「陸の者に、詳細を追わせていた矢先、あれらは攻撃をしてきた」つい最近の出来事なのに、それは酷く遠い記憶のように思える。


「ねぇ、それをして、あなたに何のメリットがあるの?」彼女の瞳は鋭く彼を捕らえている。


「わからない・・」


「わからないじゃないわよ!」頬を少し強く叩きながら言う。高い破裂音を出しながら、衝撃が彼の首を左右に激しく降る。


「あなたはセンチな気分になって、ヒロイズムに浸りたかっただでしょう!」彼女は声をさらに張り上げた。「それが、迷惑なのよ!」


「泣いていたんだ」ゆっくりと彼は言った。「そう。泣いていた・・・」


「それは、気高く、天使のように美しかった」


「その時に」彼女には彼の瞳が滲んでいくように思えた。「それを行った者と、同じ種族であることを、呪ったのかもしれない」彼はポツリポツリと言葉を続ける。


「そうか・・かのじょ・・・」彼女は、これ以上考えさせないように彼の意識を奪った。


「あなたは、人間をやめてしまったの?」彼が気絶をさせられる直前に見た光景は、長い髪を力なく垂らしスピネルのような澄んだ瞳から涙を流す彼女の姿だった。無意識に、彼に何処か自分と近しいものを感じ取っていた。





「あら、こんなに溜めてたのね」膣内から引き抜きリボンを外してやると、小さく萎んでいく股間から濃厚な黄色い液体が零れ出ている。口で受け止めると、ゆっくりと喉を鳴らした。


「くっさい」塩のような味とムンムンとする熱気を喉の奥に感じながら、彼女ははしたなく空気で喉を鳴らす。自分から大量に飲み下したのは初めての経験で彼女は少し不機嫌になった。


「なによ、もう」ブルンと弾力のある大ぶりな胸を揺らし、乱暴に服を脱ぎ捨てると彼に密着するように抱き着いて、濃厚に唇を重ねた。彼の物に覆いかぶさるように密着する彼女の陰毛を、飲みこぼした液体が冷たく浸されていく。


「まぁ、いいわ」少しの時間密着していたが、気持ちを整えながら彼女はテーブルから下りる。


余剰水のう回路としても機能している石牢の中を抜ける上水路から水を汲むと、彼ごと水を被る。石壁を巡り流れているため、かなり水温が低く彼女の乳首も激しく隆起させるほどだ。裸電球が光る水滴を纏い黒髪を振り乱す女性を照らし出す。


「あら、大変」彼の唇が紫色に変色をしてきているようだ。ほっぺたをペシペシとはたくが死人のようにぐったりとしている。もやもやとした気持ちの整理をしていたために、人は低体温に弱いことをつい失念してしまったのだ。



【【彼女の経験上、この手のものは温めてやるのがいいとは理解している。尋問中に凍死させかけることはしばしばあった。普段であればただの凍死ほど処置に困らないものもないが。引きずりバラストタンクに放り込む。後は、そのうち海の中だ。】


彼女たちは基本的に身体の欠損を伴う拷問を嫌う。なぜならキレイ好きだからだ。尋問時には男にも女にも同じように対応している。精液や愛液がとび散る程度ならそれなりの清掃で済む。もっとも、女を相手にする場合は簡単にイキ死んでくれない分多大な労力を必要とするが。


掃除大臣の少女が率先する場合、少女が不快に思った男には肉棒膣ねじ切りショーが催されることもしばしばある。基本的に彼女の意向にはだれも逆らわないのだ。力が強いということも理由の一つではあるが、彼女の過去を思っての事である。】】



「お湯かしら?」彼女は脱ぎ捨てたボディコン服を片手に、キッチンへと向かった。




10 戦艦棲姫(過去)




「ああ駆逐ちゃん」びしょびしょのままキッチンへと戻る、駆逐棲姫は鬼の形相で睨みつけた。


「何ですか?死ぬんですか?バラスト開けときますか?」少女は片手で彼女の首を掴み上げると、そのまま高く持ち上げる。


「違う・・のよ・・・駆逐ち・ゃん・」少しアンモニア臭い水の匂いが決定打だろう。


「今度は何プレイですか?せめてあそこでだけやって下さい」彼女が力なく四肢をだらけさせ持っていた服を落とすまで持ち上げた。その後、ゆっくりと下ろし床に座らせる。


「まったく。そんなだからやわらか飛行場如きにガタガタ言われるんですよ」


「あのね」ゴホゴホと咳ばらいをしながら続ける「お水掛けたら凍えちゃったみたいなの」


「はぁーっ」少女は心底がっかりした。いつもはここまで酷くないのに。その様子に彼女も横になりながら髪を床に広げさせて居たたまれない気持ちで目に涙を浮かべている。


「はぁーっ」聞こえるように大きく息を吐くと少女は何も言わず、冷蔵庫を開ける。エタノールを出して温水の準備を始めた。水を張り鉄なべをコンロに置く。エタノール用に調整したコンロにエタノールを浸すと、モワモワと円状に青めの炎が出た。


「ねえ。駆逐ちゃん」体を起こしてアヒル座りにちょこんと座る。


「何ですかキモ様」


「お話があります」彼女の瞳は在りし日(?)の眼差しをしている。少女は静かに椅子に座った。彼女もまた、座ろうとしたが恐ろしい眼光が刺さったので思い止まった。


「何ですか姉さま」彼女は何かを予感していた。もし彼女がこの言葉を知っていたならばこれはパンドーラーの壺になると表現しただろう。果たして壺の中身“エルピス”は希望なのか予兆なのか。不幸にも彼女は、この件を握りつぶせるほど強くもなければ弱くもなかったのだ。


「彼ね」言い淀む。寒気が走るのは彼女が裸でいるせいだけではない。


「あなたを知っていた、みたい」少女は透き通る瞳でこちらをじっと見つめている。沈黙。

5秒。10秒だろうか。永遠を感じさせる時間。また、永遠に感じていたいと願った時間だ。





 ――彼女たちが現れて以来“2度”世界は終わりを予感した。



1度目は、大本営から少女を解放されたとき。2度目は、少女が錯乱した時だ。


1度目の時、艦娘はまだ生産されておらず現れた“戦艦水鬼”と複数の深海棲艦により硫黄島近辺に錨泊中だった某国の第三艦隊が瞬く間に“沈没”させられた。


その後、大本営率いる陸海合同部隊を突破して東京湾内に侵入。秘匿されていた実験施設から少女が奪還されたときには、関東内部にまで上陸される。この時初めて、民間人は戦艦水鬼に気付いたのだ。


まさしく鬼神の如き動きに、日本中が恐怖した。しかし、少女の救出後にはまるで初めから人などいなかったように全速で離脱される。



2度目の時、南方の棲み処で少女が義足を手にしてからかなりの月日が経過したとき。突然、感情が破裂したかのように淀んだ黄色い瞳の少女が暴れ始めた。押し込めていた不遇さがつかの間の休息により感情を噴き出させたのだろう。


少女は単身海へ出ると再編中の警戒艦隊を突破し都市に迫っていた。少女の後方にも“あの”戦艦水鬼が追従している。地獄のような“あの日”を経験したCOMSOPACは口にしていた葉巻を噛み切るほど戦慄した。ついに奴らの報復が始まった。今日でパラオは地図から消えると。そしてそれは次々拡大すると。


実際には、この時戦艦水鬼は少女を消耗させないために連れ戻そうと海上を追いかけていた。だが少女の怨念が鬼を上回る力を発現させる。


ある日突然少女は現れ海岸線を歩いていた。そして何も知らぬまま攫われたのだ。体を弄ばれ実験用の素体として足を切断される。理由の分からぬ不遇が少女の艤装をより強く働かせた。戦艦水鬼は少女に角を折られ四肢をもぎ取られる。


戦艦水鬼は泣いた。少女と同じ痛みを分かち合えないことに。その黄色い瞳の見る先に。「ごめ・ん・・なさい。わたし・・は・なお・ってしま・・うの」涙を流し沈み始める彼女をついに少女は殺しきれなかった。一瞬の思考停止。それは、感情の過負荷からの解脱感を与えた。



【【トカゲの尻尾を連装させるように回復する彼女たちの体は、体の再生時には彼女ら自身の無意識下でのイメージ力が重要になる。つまり、少女は足を忘れてしまうほど長い間強制的にその状態に晒されていたという事だ。


もし、自分とそっくりな者を将来見つけることがあったとしても、それは所詮よく似た他人である。脚の形は思い出せても“どう再生させる”かを思い出すきっかけにはなり得ないだろう。ゆえに、彼女の脚はもう治せないのだ。】】



「キレイ・な・・ひと・み」戦艦水鬼は少女のアメシストのような澄んだ紫の瞳を初めて見た。少女は腕のない彼女に頬を撫でられた感じを覚え、抱きそうように涙を流しながら目を閉じる。


二人の重みがついに海中へと二人を引きずり込んだ。ゆっくりと泡に包まれ沈んでいく。鯨のように長く潜れるだけであって、水死しないわけではない。また、戦艦水鬼の四肢からあふれ出る体液が捕食者を呼び、彼女達の周りを周回している。


「ねぇ・くちく・ちゃん・・」首を動かして、少女を起こそうとするが、反応はない。時間が経つにつれて世界が暗く冷たく染まっていく。もはや回復は間に合わない。


手足のないもどかしさをかみしめながら、襲い来る捕食者達に啄まれていく。体当たりされるたびにクルクルと体が回る。クルクルと回り、泡に包まれクルクルと沈んでいく。


「いっ・しょに・・帰ろう」その時彼女は直結する艤装で背中に砲身を密着させて、自分の胴体ごと撃ち抜いた。下半身が千切れ飛び、炸裂する砲弾が捕食者たちを散らした。少女もまた錐揉み状に速度を上げ沈んでいく。捨て鉢になったような行動は彼女の賭けだった。瞬間。暗く冷たい海に光が爆発する。



【【通常であれば彼女らの再生には先行して、触手のようにワイヤーフレームのような意識の層を必要個所に展開する。そして、必要なものを体から伸ばし肉付けしていくのだ。


この時彼女は意識的に千切れ飛んだ下半身をエサにした。意識の展開と同時に周囲に存在する少女以外の全ての命を吸い上げ、溶かし同化する行為が巨大な光源を発生させる。それでも足り得ない分は自らを制限することによって迅速な再生を成し遂げた。】】



「さぁ、帰りましょう」水上で彼女は長い黒髪を震わせて水しぶきを飛ばすと、海水でずぶ濡れの少女を抱き上げた。


この日、新型の深海棲艦“戦艦棲姫”が少女抱え、海上をゆうゆうと帰路に就く姿が観測された。世界は生体実験を含む研究を行った不都合な駆逐棲姫の存在を記憶していない。全ては戦艦水鬼が扇動した事件として操作されている。大本営はこの脅威を利用して各国から基金を募り世界に先んじて艦娘計画、“か号計画”を発足させたのだった。





「関係者ですか?」鋭く刺さる視線が、僅かに黄色味を帯びていく。今の彼女では命を差し出した所で少女が暴れ出せばもう止められないだろう。内圧に弱いこの別荘も一連の騒動で失ってしまう。あの子も今は大西洋にいる。


「後から、知ったんだって」体がビクッと震える。


「何を、怯えて、いるんですか。姉さま」少女は席を立つと、ゆっくり近づき彼女の顎に優しく触れる。


「あの、あのね?」目を見るのが怖い。彼女は前を向いて立ったまま硬直している。


「バカな姉さま」


少女はふわっと抱き着いた。「ちょっと、からかっただけですけど?」


「もう、気にしていないと言ったはずです」紫の髪がふわふわと胸元で動いている。


「なに、ぼーっとしてるんですか。ほんと使えないですね。アレを死なせたくないなら早く海藻でも取りに行ってください」


「え?」彼女は理由なく涙が零れ棒立ちしている。


「はぁーつ」少女は少し嬉しそうにため息をつくと、目を擦りながら乾燥した海藻を取りに行った。




11 Intermission まどろみの中で




「む。零れ落ちますね」


腕の中に抱える何処かヌメヌメとする乾燥した海藻が、わずかに腕をすり抜けていく。



【【蛇口を捻ればお湯が出るということはない。お湯や熱湯が必要な場合は、エタノールで長時間加熱を行う必要がある。お手製コンロは急場の火力に乏しく、大量のお湯が必要であれば2~3時間前から火にかける必要がある。どうしても、火力が必要な時には乾燥させた海藻や木材を投入して火力を上げるしかない。


しかしこれをやると、しばらくの間ススがキッチンを覆いつくし、絶望的なまでに掃除が大変になる。キレイ好きな駆逐棲姫の許可なく行うと、最近では飛行場姫の飛行場が半分に千切られたりそれを目撃した北方棲姫がしばらく夜泣きするなど甚大な被害が発生した】】



「どうした、手伝うか?」全裸で立ちすくみ涙を流す戦艦棲姫を横目に、遠くで動き回る黒いセーラー服を着た少女に向けて飛行場姫は声をかけた。


「ありがとうございます。お願いします」少女はトテトテと海藻と木材を持ちながらキッチンへと向かっている。


「え」飛行場姫は思った。こいつこんな素直だっけ。おかしいな、まさかスパイか?と訝しげにジロジロ見ていると、ちょっと怖い顔で腹に命の危険を伴う膝蹴りを食らった。うずくまって悶絶しながら少し安心する。


「ふーっ、運ぶぞ、ひゅーっ」飛行場姫は呼吸を整えながら言った。安定の悪い持ちづらそうな木材を全部持ってやる。


「なぁ、アレどうしたんだ?」入口付近に全裸のオブジェのような邪魔な奴がいる。「知りませんよ、変な魚でも食べたんじゃないですか」避けて、コンロに海草を乗せていく。


「この前も変な電球みたいのついてる魚捕ってきて、喜んで食べてましたし」木材を少しずつ入れると、もうもうとススが上がり始める。「光らなきゃ食べられないのに愚かですね」


「ああ。たまに泳いでるやつか。私は見た目的に食べたいと思わない、かな?」飛行場姫は赤い瞳をクリクリと見開き、血の気が引くような思いをした。海底を優雅に遊泳していた時に、ほのかに光りながら近づいてきたギアギザの歯が顔に当たった、嫌な記憶がフラッシュバックする。「私もです」


「風呂でも作るのか?」気を紛らわすように飛行場姫は言った。コンロは床に設置されている。いわゆるバーベキューだ。「そうですね、流しにお湯を溜めようかと思います」



【【洗い場は錆などが起きないように、流しは石と砂をベースに固められて作られている。つい立を入れると水が溜まる仕組みだ。二人くらいは入れる容量があり、海水を入れて大型の魚を一定期間入れておくことも出来る。今回は念のためエタノールで消毒をして真水で洗浄してから、お湯を溜めていく予定だ。】】



「ということは、アレも働かせんとな」ちらりとオブジェに目をやる。


「そうですね」そういえば、何か臭いままだなと少女は思い出した。


「飛行場姫さん」少女は飛行場姫の手を取ると、セーラー服のスカートを捲り、薄紫の下着の中に彼女の手を強引にねじ込ませた。


「あっ、いや!いくっ、ねぇさま!」少女は大きな声で、腰を振った。


「やめろ、それ」飛行場姫は真顔で真っ青になった。次の瞬間背中が軋む。続いて、しなやかに踊る白い脚から、命の危険を伴う回し蹴りを受けた。「むねん」悶絶しながら、飛行場姫はこの姉妹いつか締めてやると思った。


「助かりました」少女は飛行場姫を抱き起すと、椅子に座らせる。「あの」そっと耳打ちする。「今度私と組んで、私で犬プレイしていいですよ」その言葉は時々気の強い女捕虜に無理やりさせて愉悦している彼女の性癖に突き刺さった。白い水着のようなレオタードの股間部分に湿り気が薄らと広がる。


「ちょっと駆逐ちゃん。今エッチな約束したでしょ」彼女は全裸で浮気現場見たりと仁王立ちしている。


「姉さまは早くアレ持ってきてくださいよ」片手を追い払うように払いながら下層で縛られている彼を持って来いと催促する。飛行場姫は黙々と流しを清掃している。


日曜大工趣味の彼女は働きだすとこういう時には頼りになる。戦艦棲姫は居場所のなさを感じていじけるようにトボトボと歩いて行った。


「やっぱりダクトないとなぁ」飛行場姫はモクモクと広がる煙に、口を開け歯を見せながら唖然として言う。匂いがいつまでも溜まるという問題もある。


「ホント姉さまには困ったものです」つい立で水の流れを止めると、少女は丸い石が敷き詰められて作られた流しに、熱湯を流していく。水蒸気がもうもうと上がる。空になった鉄鍋に水を入れるとまた加熱を始めさせた。


「連れてきたわよ」ややあって戦艦棲姫に抱かれて持ってこられた彼は、かなり唇が紫色になっている。また、手足にもロープの食い込んだ後があり裂傷が痛々しい。


「だから早く外せと言ったのに」半分くらいに薄めたエタノールで消毒をしながら、面倒くさそうに飛行場姫は言った。片手は近くに立つ少女のお尻をなぁ?とばかりに揉み揉みと握っている。指が下着に滑り込みお尻を直に撫ぜる。


「姉さまは先に入って下さい」お尻から胸に舐めるように移動してきた手を払いのけながら言った。容量の問題もあるが、取り出す時もそのほうが楽になる。戦艦棲姫は足の指からそっと入水する。水位は少し上がったが全然足りない。飛行場姫は水を足した。


「だいぶぬるいわよ?」少ない水の中で白くしなやかな足をパチャパチャと動かす。


「そうでしょうね」少女は鍋をもって近づいた。無慈悲に一気に流し込む。


「ちょっと?」開く足の間にお湯を注ぎこまれる。「あつ、あつ」手足で急いでかき回した。長い髪の下半分に水がつき、重く垂れる。白い体の、縦に揃う黒い陰毛に気泡が溜まった。


「取り合えずこいつも入れとくか」彼を持ち上げると、戦艦棲姫の上にそっと乗せる。彼の背中が彼女の胸を押しつぶす。胸くらいまで水位が上がった。


「まだ、足りないですね」少女は黒いセーラー服を脱ぎ下着を降ろすと、足の艤装を外してゆっくりももで跨るように、彼と向かい合って風呂に入った。大ぶりな胸と、小ぶりな胸が前後から密着して彼を挟み込む。


「まだぬるいですね」自分が入ると、人肌より少し冷たいくらいの温度になる。「お願いします」合図して飛行場姫に新しいお湯を沸かしてもらう。


「ねぇ駆逐ちゃん」足で器用に回して少女のお尻を抱きかかえる。


「何ですか姉さま」間の不純物を潰させないように、手で彼女の足を緩めて力の加減をしてやる。


「何だか私。幸せ」二人と一人で一つの風呂にハマっている。少女は何も言わず、彼女の額から伸びる角を優しくなでた。


「入れるぞ」飛行場姫はお湯をもって来る。


「背中側からお願いします」少女は体を丸める。


「熱いの?熱いでしょ?」少し熱いお湯を受け一瞬目を細めた。立ち上る湯気は大量だが、

そこまでは熱くない。


「少し熱いですかね」よじ登るように前へ進むと、温水で温まった胸で彼の顏を抱きしめる。胸の間に彼の顔が挟み込まれた。


「ねぇ、それ後で私にもしてくれる?」


「ダメです」


「もう」彼女は少女の白く小ぶりな胸の、桜色の先端を両方指で小刻みに摘まんだ。


「そういう事するからですよ」手で払いのける。少女の小さな桜色の乳頭は固く肥大した。


「それで、こいつどうするんだ?下に戻すのか?」飛行場姫は一応次のお湯を沸かしている。


「姉さまはどうしたいんですか?」勃起を始めた股間をももで挟み込みながら言う。


「そうね。もう少し躾けたら寝室に繋いでもいいかしらね?」


「なんだ、本気で飼う気なのかよ」飛行場姫は呆れたように言った。


「まぁ、駆逐ちゃんがいれば逃げ出すこともないでしょうし」


「何だよそれは」飛行場姫は思い出した。「ああ。追われていた理由か」


「そうですね。何故ですか?」


「何か駆逐ちゃんのビデオ見たんだって、彼」思い出すように言う。


「はぁ?エロビデオか何かか?」白く視界が揺れる。「いてっ!」屈んでコンロの様子を見ていたのが災いして姉妹から息の合った無言のパンチを頭部にくらう。飛行場姫は床を転がって立ち上がると混乱するように膝をふらふらとさせている。


「痛いじゃない!」ゆらゆらと体を揺らしながら。「私、泊地水鬼みたくドMじゃないんだからやめてよ!」きゃあきゃあと、吠える。


「言っていい冗談と悪い冗談があるでしょ!」戦艦棲姫は鬼の形相で睨んでいた。


「まぁ別にいいですよ。別に。それで何ですか?」少し気を落としたように少女は言う。


「何かね。駆逐ちゃんが泣いててキレイで」何故か口を尖らせているように続ける。「まるで天使が泣いてるみたいと思ったんですって。それでどうなったのか気になってるみたいよ」


「さすがにキモいですね」


「ああ、キモいな」飛行場姫は口を広げイーッとばかりに歯を見せている。


「え。私、いい話かな、って?」


「姉さまも最近だいぶキモいですからね」少女のジト目が彼女の心に刺さる。


「ああ。駆逐のトイレ追いかけてくる位キモいからな」


「え。ホントですか?」少女のアメシスト色の紫の瞳が大きく広がる。


「違うわよ?」こちらは頬を赤らめてスピネルのような鮮やかな赤い瞳が大きく広がった。


「姉さまがドンドンキモくなっても、別に嫌いにはならないですけど・・」


「駆逐ちゃん・・・」無言で見つめ合っている。


「それで、なんでこいつは追われたんだ?キモい罪か?」ケラケラと笑いながら飛行場姫は冗談半分に先を促した。


「よくは分からないけど。色々調べて駆逐ちゃんを追いかけてたからじゃないかしら?」


「まさかのストーカーさんですか」押し付けている胸を顔から外して、体を下げると顔を合わす。だいぶ血色は良くなっているようだ。


「拾って来なきゃよかったかな?」飛行場姫はポリポリと頭を掻いた。


「まだ、多分。気付いてないと思うわよ?向こうは姉妹艦設定も多いし」


「確かに駆逐自体を知ってる奴も少なそうだからな」冷静になり、目を細め状況を考える。「こいつからこっちに情報を求めてくるかもわからん」先の展開に思いを巡らす。


「最悪、姉妹艦みたいに言っとけば多分気付かないわよ?」


「じゃあ飛行場姫さん。今日にアレしますか?」首をかしげながら言うと、紫の髪がふわふわと動いた。


「そうだなぁ。何処まで知っているかは気になるしなぁ」その見つめる瞳は、駆逐棲姫の体を嘗め回す様に上下させている。「ついでに逆らえないように体に躾けとこうか」


「なぁ、駆逐」言い淀むように飛行場姫は言葉を止めた。


「実はだなぁ、そのぉ。どういうわけか奇妙なことに、偶然たまたまお前のサイズに合う、メイドふ」飛行場姫は少し目を泳がせながら言う。


「ダメです」少女は少し不貞腐れたように言葉を遮った。偶然掃除のときに飛行場姫のお手製クローゼットを開けたら、なぜか“私”サイズの服を何点か見つけたことがある。どうしてここの連中はエッチな事ばかり好きになったのかと、少女は頭を悩ませた。


「ちょっと、またエッチな約束なの?」戦艦棲姫もまた不貞腐れて頬を膨らましている。


「姉さまとは無理ですよ。過保護ですから」ひんやりとした紫色の瞳が彼女に向けられる。「このプレイ、お腹蹴ったりするんですよ」


「え?痛くないの?大丈夫?」瞳の色が淀んでいく。「やわらか飛行場の脚もぎ取る?」気のせいか額から伸びる二本の角がちょっと大きくなった気がする。


「ほら」少し残念な人を見るように少女が言った。


「北方と組むと、あいつ何故か子供の思考のままでいるから」少し遠い目で面白そうに続ける。「癇癪起こすと魚にフォーク突き刺すみたいなこと始めるしな。すぐに壊されかねん」


「ホッポちゃんは潜新ちゃんからスパイトフルとかいう飛行機の話聞いてから、ずっと荒れてるのよ」片手をお湯から伸ばし、カモメのように手を動かす。


「そういえば一時期、零戦の模型ポイポイしてたな、それでか」


「それで、こいつはどこまで躾けたんだ?」二人に挟まれる彼を眺めながら言う。


「姉さまの足舐めながら気持ちよく出す位はすると思いますよ」腰をわずかに揺すると潰される男の突起物からわずかにぴくぴくと反応が返ってくる。「おっぱい噛み噛みも大好きよ?」


「ホントキモいな」じっと男の体を見る。


「まぁ、私を出しに使ってスケベに仕込んだんですけどね」


「ああ。ストーカーだからそこまで引っ掛かったのか」


「純愛じゃないの?」戦艦棲姫が口を挟む。


「正直、よく捕まった人がかかる病的な一目ぼれですのがまだよかったです」太ももでグリグリと勃起をなじる。


「飼うかどうするかは今夜にでも決めればいいか」


「そうですね。処分は何時でも出来ますから」


軽い振動が響く。艦娘の定期便だ。


「もうそんな時間か。とりあえず掃除はしてくるよ」飛行場姫は、石牢内の掃除へと向かった。


「よいしょっと」太ももを器用に動かしてもじもじと水から上がると、艤装を足に付けた。床に立つと、白い体に薄らと生える紫の陰毛が垂れ、水が滴る。


「そういえば拭く物がないですね」少し冷えるがそのうち乾くだろうと、そのままべちゃべちゃと黒いセーラー服を着る。彼をゆっくりとお湯から出すと、黒いボディコン服のようなもので、体を拭いた。


「飼うならタオルの用意と、お風呂もちゃんと作りましょうかねぇ?」少女はテーブルに寝かしながら首を傾げて考えた。


「ねぇ駆逐ちゃん。ご飯どうしようかしら?」


「コレのですか?」首を傾げると紫の髪の先端がお湯を拾う。


「両方ともよ」



【【潜水艇で、地上から持ち込んでいるパンは貴重な存在だ。普段は専ら捕まえた魚か、駆逐棲姫が何となく栽培しているイモや野菜などを食べている。彼女らが魚を食べる分には問題ないのだが、長期尋問中に与えた魚で痙攣を起こし意図せず死なれた経験がある。それ以降捕虜には極力与えないようにしている。】】



「彼にはパンとお芋さんを煮て冷やしたスープでも与えましょうか」少し濡れた髪を戦艦棲姫に指でとがれる。


「お魚食べさすと怖いから仕方ないわね」自分と同じように物を与えると多くの場合良くない結果が訪れる。


「姉さまは適当に泳いで食べてきて下さいね」紫の澄んだ瞳が彼女を見据える。「ちょっと。私、クジラじゃないわよ?!」二本の角が少し垂れるように答えた。「冗談ですよ。バカな姉さまですね」


「ソ級さんが捕ってきてくれた、お魚さんを茹でておきますから」


「最近、駆逐ちゃんがイジワルだ・・・」角が垂れているかのようにシュンとする。


「なんですか、もう」軽く絞った黒いボディコン服をグイグイと着せていく。


「だって、絶対この後飛行場姫とエッチな事してくるんだもん」ついにイジケ始めた。膝を抱えながらしゃがみ込んでいる。こうなるとしばらくめんどくさい。農園に置いとけばキノコが生えるかもしれない。


「もう」少女は彼女の耳にそっと口を近づけた。「そんなにイジケてると、今夜、姉さまだけのエッチな抱き枕になってあげませんよ?」


「え?」表情を明るくすると、勢いよく抱き着いた。


「ちょっと、姉さま、ハウス、ハウスです!」壁に押さえつけられて、股間をグイグイと体に擦りつけられる。黒い長髪から飛沫が床に広がる。


「コレは本当に酷いな」掃除を終えて戻ってくると、発情したメス鬼に出くわした。あきれ果てて様子を見つめている。「まぁ人相手だと簡単にイケないから溜まるのも仕方ないのかな」


「冷静に言ってないで姉さまを剥がしてくださいよ」少女は両手で体を押し戻している。


「メイド服着てくれたら」飛行場姫はポツリと呟いた。


「え?」しかし彼女の期待とは裏腹に反応したのは戦艦棲姫だった。飛行場姫はすぐさま羽交い絞めにされ壁に制圧された。後頭部には鋭く尖った角が押し付けられている。「その話、詳しく聞かせてもらえるかしら」鋭い仕事の目が光る。もはや、やわらか飛行場の命運は誰の目にも明らかだった。


「私は、彼を連れて行きますので」難を逃れた少女は、よろよろと裸の彼を抱きながらゆっくり下層へと下りて行った。





「コレが来てから何だか騒がしいですね」石牢にある茶褐色の重い木のテーブルに寝かせると、静かに呟いた。手首、足首に赤い線が何本か見えるが、出血はしていないらしい。


「困ったストーカーさんです」軽く額にキスをすると、少女は電気を点けたまま石牢を後にした。




12 飛行場姫




「ほう、殊勝な心掛けだな」


飛行場姫は赤い瞳を細くし、ゆっくりと扉を開ける。石牢内に一通り目をやると男は全裸で裸電球に照らされ、あぐらをかくように大きな茶褐色のテーブルの上に座っているだけだ。石牢内に違和感はない。


「大変結構だ」気を良くして、胸を張りながら見下す様にカツカツと石段を下りる。どうやら飛び掛かってくる気配もない。



【【彼女の瞳も赤いが、あえて形容するならばパパラチアサファイアのように橙と赤を混ぜ合わせた色といったところか。ルビーの持つ赤みよりも若干淡い。髪を含め全身白基調でウェットスーツのような物を好む彼女には、ちょうどよいアクセントになっている。】】



「ほう」仄暗い石牢でコツコツと石床に音を響かせながらテーブルに近づく。手首、足首の傷跡を睨むように見据えた。どうやら傷口が悪化している気配もない。


「我々のもてなしは気に入ってもらえたかね?」嘲笑いながら彼女は言った。しかし、彼は無言で目を閉じ、瞑想しているかのように静かに座っている。


「私が貴様を拾ってやったのだ、感謝したまえよ」白い手を伸ばし、骨が軋むほどの力で彼の顎を掴む。


「そうか・・・」彼は目を開き、呟いた。朧気に彼女の顔を見たことを覚えている。


「さて、どうする提督。ここで死ぬか?戻って死ぬか?」背筋を真っ直ぐに伸ばして、腕を組みながら高圧的に問いかける。


「私は追っていたんだ」ポツリと話しだす。


「貴様にお喋りを許した覚えはないがな、聞こう」組まれた腕に人差し指をトントンとしながら言った。


「ある情報を追っていた」


「要点を得ないな、早く話せ愚図め」赤い目を細め促す。


「足のない少女だ、紫色の髪をした」彼は目を細めると遠くを見るように言った。


「人間の女の話など興味がないな」彼女は顎の下を手で擦りながら言った。


「ある特務機関が捕獲した新種の深海棲艦。丸太001。艦娘の起源だ」


「ほぉ?それで?」彼女は少し興味を持ったように声を出した。


「わからない」彼は顔を落とした。「私が“識る”ことが出来たのはそれだけだ」後頭部に光が当たり、表情は見えない。続報を待つ間に艦娘に襲撃されたのだ。


「つかえんな」呆れるように腕を下す。「まったく使えん愚図だ」彼女は知っている。更なる事の顛末を。“当事者たち”というのも理由の一つだが、彼女たちを通過していった者たちが知識の空白を大いに埋めてくれた。もっとも、直結の関係者は“戦艦水鬼”の襲撃の際に尽く“死んでいる”ので足取りはつかめなかったが。


「それに、貴様はそれを知ってどうする?」心底呆れ果てたように、片肩を上げる。


「終わらせたかったんだ」


「人類を、かね?」ふざけた様に嘲笑う。実質彼の行動理念はおよそ人類のためにはならないだろう。


「バカな戦争を、だ」下を向いたまま、力なく答える。


「愚図ほど大きな口を利く」手で頭をテーブルに押さえつける。


「しかし」頭から手を外し、飛行場姫はふっと自分の片腕を撫でた。


「あれは手強かったな」気を失った後の事で、彼は知る由もないが片腕に彼を抱えたことによる負担が艦娘に後れを取り、彼を狙う攻撃から守るように片腕を無くしたのだ。もっとも、すでに回復しているが。


複数の強力な砲弾で三角波を作り、その山の死角から近づき複数の艦娘による突貫。艤装を撃ち抜かせ、手を撃ち抜かせ、体を撃ち抜かせ、味方を撃ち抜かせ前進する。2軸方向から回り込むように接近しさらには飛行場姫の航空隊を牽制すべく上空から偵察機すら次々と突入させて来た。それも指揮者不在で、だ。


「貴様、海軍か?」答えなど期待してはいなかったが、ある疑念を持っていた。


「そうだ、な・・・」歯切れの悪い答えが、彼女の想像を確証に変える。


「戦艦棲姫から聞いたが、貴様万年左官のようだな」含みなく事実を淡白に述べる彼女はどちらかと言えば正直な者なのだろうと彼は思った。


「私たちにとっては、些細な話だが貴様たちは戦争をしているのだろう?やはり人とは哀れなものだな」



【【彼女たちはその気になれば、幾度となく既存種を滅亡させることが出来たがあえてそれを行っていない。スズメバチが家に住み着いたからと言って、それを駆除した後にスズメバチ自体を滅亡させてやろうと思う者はなかなかいないだろう。面倒なうえに益虫の側面もあるからだ。


軍属ですらない人類などはミツバチの如く扱いで、いなくなると自分たちの仕事が増えて生活に不便程度の認識だ。爆弾でも使ってミツバチ特有のいないいない病でも発症されれば食べものも衣類も趣向品もすべて自分たちで自給しなければならなくなる。】】



「お前のアレは、よく戦った」少し彼女の瞳が大きくなる。「ゆえに尽く殲滅したが」この言葉に彼の表情が険しくなった。


いるはずのない場所に“浮上し”彼を“拾った”飛行場姫に、決定的に戦力の劣る艦娘らは撤退を行わなかった。大本営より発令された命令を遂行すべく20隻ほどの艦娘たちが直ちに部隊を“散開”させ小隊単位で必死の攻撃を敢行する。


飛行場姫よりも優先され彼に攻撃が集中したため、彼女は止む無く防御に集中せざるを得なくなった。弾薬を失ったタコヤキがその速度を武器に、体当たり攻撃により20隻ほどいた全ての艦娘の首を跳ね飛ばし終えた時には、すでに片腕を落としていた。


通常であれば、空母種を含む彼女らの戦闘は至ってシンプルだ。ノロノロと輪形陣から始まり、ある程度攻撃を受けてから、いよいよとなるとノコノコ分散を始めるのでこの時点で半数は刈り取れていたはずだ。


飛行場姫は久しく“人間を”相手にしているかのような懐かしい感覚に浸った。人はひどく脆いがそれゆえに、その儚さを懸命に輝かせ全ての手段を使い向かってくる。彼女は向かい来る彼らに敬意を払い殺し尽くしたのだ。


退避させていた潜水艇が再び浮上する。彼を片手で抱えながら、大きくダメージを負い至る所から体液が流出している体を無理やり動かし乗り込む。急ぎ潜水隊を呼び寄せ帰路に着いた。能力解放さえされていれば、飛行場姫と言えど勝敗は分からなかっただろう。


「バカな戦争だ・・・」再び彼は呟く。



【【艦娘の登場以来既存の艦船は第一線を退き、戦闘は複数の艦娘対1深海棲艦という構図が出来上がっている。どちらも、“水上”での近接高速戦闘となるため、それはもはや足場の悪い氷上や砂丘での“陸上戦”となる。


艦娘には常に甚大な被害が出続けた。一度の戦闘で未帰還が70%を超える事すら多々ある。理由としてすでに、陸戦における戦闘指南が至っていないとの指摘があった。これは当然の事で、不足している教官は“海軍”陸戦隊など陸戦にある程度精通している者が抜擢されるが、本家の“陸軍”には確執のため教えを請わないのだ。


深海棲艦は陸上の延長としてすべからく3次元の陸戦をするのに対して、海軍、特に矢面に立つはずの艦娘付きの新提督の殆どが、今だに時代錯誤の海戦をしている事にある。平原を単調に走るだけの単縦陣や単横陣など1000年も前に戦国武将が歩いてきた道だ。


にも拘らず、新提督は鎮守府に引きこもり実戦を知らずに教官の絶対的な不足から熱心に海戦を勉強し続ける。海軍の存在意義が薄れることを恐れ海戦習熟が昇格に必須な事も問題の一つだ。


これでは、会敵した瞬間に包囲殲滅されていても不思議ではない。“遅かれ早かれ”の意識が次第に感覚を狂わせ、いつのまにか艦娘を死地に追いやるだけの提督が多く出来上がったのもうなずける。】】



「貴様はよくやった」彼は独力で海上陸戦隊を育てていたのだ「もうよかろう」在りし日の海戦を取り戻すために。彼の志とは裏腹に海軍の既得権益層に目をつけられ着任以来昇格していない。陸軍の内部スパイを疑われ、出頭したことすら何度かある。


「貴様の努力を評価して、一つ教えてやろう」彼女らが複数の将兵から入手した確度の高い情報の一つ。「貴様らにとっては艦娘とは沈んでもらわんと困る存在なのだよ」



【【彼女は言う。人的資源の喪失を逃れ艦娘というドリームマシンが作り上げたのは“仕事”であり各国で軍需産業を中心に膨大な雇用が生まれていると。戦闘に消極的な自分たちに仮想敵として、艦娘を“轟沈してもらって”いるのだと。】】



「さもありなん・・・」合点のいく話しではある。絶望的な戦力差がありながら、戦艦水鬼の上陸以外に本土が無事なのは、彼女らの心持以外に理由はないだろう。そのうえで、所在の判明している根拠地である“ここ”を強襲する作戦は一向に上がらない。


「帰って当てはあるのか?」顔を合わせ見つめてくる。彼は下を向いて沈痛な表情でいる。

恐らく当てもなければ身寄りもないのだろうと、彼女は推測する。


この愚図は愚図だが、余計なものを巻き込まない程度には気が回るだろう。そうでなければ、あれらにわざわざ歯向かっては身内がただでは済まなくなることくらい想像しているはずだ。先の戦闘での艦娘の動きを彼女は高く評価していた。


「戦艦棲姫の奴は貴様を飼いたがっていたが」テーブルの横に立ち、座る姿をぼんやりと照らされる彼にじっと目を合わせ、続ける。


「私個人としてはボートと一緒に外までなら連れて行ってやってもいいとは思っている。運が良ければ帰れよう」それでも、その先はきっとろくでもない未来が待っているのだろうが。


「あの少女は・・」彼はゆっくりと顔を上げる。


「気になるかね?」飛行場姫はそら来たとばかりに、目を細め腕を組む。「あれは私の愛玩動物だ」彼女はその言葉に少し体温が上がって行くのを感じた。


「なに?」彼は眉をひそめる。


「愚図め。わからんか」彼女は彼の様子を見ながら続ける。「昨日は戦艦棲姫の奴に貸してやっていたのだが、戻ってきてみれば股から精液を垂らしたままで掃除が大変だったよ」あたかもお前のせいだと聞こえよがしに言う。


「まぁ、連れてきてやってもよい」どうやら反省しているようだ。彼女はテーブルから離れていく。武闘家のように鍛えられ引き締まったお尻が白いレオタードのようなスーツに食い込み、美しく光っている。


「しばしまて」白く重いブーツのような靴で、石段を軽快に登って行った。




13 飛行場姫 駆逐棲姫(メイド服) 01




「またせたようだな」


あれから数10分後に駆逐棲姫を抱きかかえ飛行場姫が戻ってきた。様子を見ながらゆっくり扉を開けたがどうやら杞憂だったようだ。あの愚図は相も変らず茶褐色のテーブルの上で腹筋でもやっているかのような動きをしている。


「どうだ?可愛くなったか?」抱えられる少女は飛行場姫の片腕にすがりつくように抱き着いている。服装は先日見た黒く短いセーラー服から、黒いメイド服に着替えたようだ。


機能性を廃したツーピースのメイド服は、上下とも面積を少なくあしらわれている。相当なコストを要したであろう良質なシルクの素材で、ハンドメイドを思わせるほど刻み込まれるデザインは丁寧で染色は深く手触りは滑らかだ。


上半身は胸元がVの字にワイドに開かれ小ぶりな胸を矯正している白い下着が見え、少女のあばら骨が僅かに隠れる程度にしか存在しない。下半身はしなやかな腰のクビレを見せるように、極めて短いスカートで、折の入るフレアにもかかわらず股下2cm程度の長さである。


脚には太ももの半分以上にかかる、黒く長いニーソックスを履いている。靴はパテントの光沢のある黒くローヒールの平らな靴で、靴底は歩きやすいように波のある硬質ゴム製だ。全体的に少女のセーラー服姿をベースに細身である少女のシルエットを最大限引き出されるように“偶然にも”緻密に仕立てられている。


飛行場姫が石段を下りる度に捲れるスカートから覗かせる3段フリルの白い下着にも目を引くが、少女の首には星形のスタッツが並ぶ、赤い首輪が付けられており、飛行場姫が首輪から垂れる赤いリードを握っている事がより印象的だ。“愛玩動物”彼女のその言葉が思い起こされる。


「よし、歩け」飛行場姫がメイド服の少女を丁寧に石床に降ろすと、四つん這いで彼女に続きペタペタと手と膝で進み始める。顔を上げ手足の動きで谷間を揺すりながら向かってくる。暗い室内で黒いメイド服のため胸元のみ光が強く反射し、いやがおうにも少女の胸とその零れ出る白い下着に目が行く。


「わかったかね?」電球に照らされる場所に立ち止まると、少女と合わすように白いハイソックスを履いてきた飛行場姫の足に、少女がネコのように頬をこすり付けている。うっとおしいとばかりにお腹を蹴ると、少女は小さく高い声を出してコロコロと転がった。


「愚図め」いそいそと四つん這いで戻ってきては、また足にへばりつく。呆れたように彼女は足を進めた。飛行場姫が大きな茶褐色のテーブルまで来ると、少女の姿は見えなくなる。恐らく四つん這いのままか正座でもして待機しているのだろう。


「なぁ提督よ」飛行場姫は仁王立ちで腕を組みながら赤い瞳で彼を見据える。先程は暗くてよくは見えなかったが、纏めていたのであろう白に近い銀色の髪が腰より下までフワッと下りる。戦艦棲姫の黒髪に負けじとも劣らない手入れの行き届いている長い髪だ。細い髪質なのかキラキラと光が良く抜ける。


「なんだ、気になるのか?」彼女は無造作にテーブルの上に髪を投げ乗せた。フワッと輝きながら軽快に髪が広がる。至近距離ではうっすらと金に見える髪が、彼女は本来金髪なのだろうと予想させる。透き通る細さの髪を傷めずにこれほど伸ばすのは並大抵の努力ではないだろうなと、彼は思った。


艦娘にも髪の長い者がいた手前、ある程度の事は聞かされている。戦争であり、あれらは兵器だったとしても、やはり沈んでしまえばやり切れない思いもある。たとえそのきっかけが自分自身によるものだったとしても、だ。


「私ほどのキレイな髪は、世界広しと言えどなかなかいないからな、まぁ貴様の気持ちも分からなくもない」彼の心境を知ってか知らずか、飛行場姫は自分の髪をまじまじと見つめる彼に少し気を良くした。「好きなだけ堪能してかまわんよ」





「あら?大した自信ですこと」石段の上から戦艦棲姫がハイヒールでコツコツと下りてくる。その手にはプレートがあり食事を持ってきたようだ。威嚇するように黒い長髪を耳の後ろに掛けながら言う。


「駆逐棲姫。あなた、どちらの髪がよりキレイかわかるわよね?」コツコツと近づき、テーブルに食事を置くと下方向を睨みつけている。飛行場姫の持つリードが伸びていく。


「どうした?怖いのか?」ペタペタと四つん這いで白いパンツを見せながら離れていく少女を追いかけ、飛行場姫は再び腕の中に抱き上げる。安心したように目を細め少女は腕に抱き着いている。


「駆逐棲姫。あなた、あとで覚えておきなさい」コンマ数秒。彼女が世界の全てが崩れ去ったような淀んだ赤い瞳をしたと思うのは彼の気のせいだろうか。捨て台詞を残して、肩を震わせながらコツコツと石段を上って行く。


「貴様の分だ。食え」抱きかかえる少女のふわふわする紫の髪をなでる。少女は居心地のよさそうに目を細めている。遠くから扉が壊れるような勢いで閉まる音が、石牢内に反響する。





「あれにも困ったものだ」少女をテーブルの上に乗せると嫌がるように飛行場姫に抱き着いている。手で払いのけるとゴロンと転がった。まる見えになる下着の股間部分に視線を感じると、体を丸めて横になり下着を隠すように小さく固まった。


「私はまだ、生きている」差し出された食事を前に、彼は小さく呟く。


「そうだな、貴様は生きているよ」だから食えとばかりに言い放つ。少し数を少なくしたパンと、温められたじゃがいもを溶かし込んだスープがある。


「お前は飛行場姫なのか」彼の瞳に力が戻り、睨みつけるように目を合わせる。銀色の髪を分け小さな二本の角が見える。肩に乗せ両腕に伸ばしている二基の滑走路。飛行場を模した作りの艤装は外しているようだ。


「いかにもその通りだ」彼から放たれる死線が、彼女を取り込む。駆逐棲姫もまた、わずかに体に力を込める。だが、彼女はこの愚図はずいぶんと男らしい瞳も出来るものだと、関心しながらゆっくりと顎に手を伸ばす。


「飛行場姫とは一人なのか」彼女の指が愛でるように顎をなぞる。この瞳。遠い、あの懐かしい海戦の内に記憶がある。そうだ。


「私たちは“一人”しかいないよ、坊や」ああ愉快だ。この愚図。はるか昔から愚図だったのか。思い出したよ。だからあの艦娘どもは、私相手に戦法を特化されていたのだ。私を基準にしている。だから、強かった。この愚図は、あの日から、本当は私だけを見続けていたのだ。


「嬉しいじゃないか、坊や。そんなに私を覚えていたのか」沈みゆく艦。傾斜する甲板で出会った、あの日のように。「どうだ?変わらず美しいだろう?」重量の少ない銀色の髪が、フワフワと広がり踊る。


「やはり貴様、帰さん」彼女はテーブルにのり、あぐらをかく彼の後ろに密着するように座り、抱きかかえる。「ここで暮らさせる」彼女の白い手が後ろから彼の股間に伸びる。「私がしっかり、躾けてやろう」彼女の逞しい足が彼の太ももを回しこみ足をあぐらのまま押さえつける。密着する彼女の体から冷気が伝わってくる。


「おい、食わせてやれ」彼女が声を掛けると、丸くなる少女が抱える膝を離して、起き上がった。四つん這いで胸を見せつけながら近づき、不満げにスプーンでスープを掬うと口に彼の口に近づける。


「どうぞ」酷く苦痛そうな表情で、顔を背けながらスプーンを差し出され、彼はしぶしぶとスープを口にする。少女の手に持つ深さのある皿からスープを掬う動作が、メイド服の大きく開く胸元の、寄せられ少し大きく見せている谷間と白いブラジャーが揺れる。


「なんだ、もっと抵抗してくれないと面白くない」乱暴に動かす彼女の手の上下の動きに、動じずに座っている。「まるで私が下手みたいではないか」彼女は面白くなさそうに立ち上がる。


「すまない。自分で食べられる」彼は頭を下げ、少女からスプーンを受け取り食べるさまを、飛行場姫はテーブル横に立ち眺めている


「“私たち”はあれに、耐性があるようだ」飛行場姫は彼を眺めながら続ける。「だが貴様、よく生きていた」まるで上官に労われるように言われる。「どうやら、貴方のおかげらしい」自分が生き延びた事へとやり切れない思いが、彼の拳を震わせる。生き残ることが辛くて仕方がない。


「よい。わたしは気まぐれなのだ」品定めをするように彼の体を見回す。「まぁ」彼が食べ終わるのを待ってから「気まぐれとはいえ2度も救ってやったわけだ。そろそろ貸しを返してもらおうか」


「下りてこい」言われるまま彼はテーブルから足をふらつかせながらゆっくりと下りる。石床の冷たい感触が足の裏から駆け上ってくる。「最後のチャンスをやろう」


「アレをやる。アレと帰れば」少女を指さす。「愚図の貴様でもいつか探し物に出会うこともあろう」自然体で力なく語り掛ける。「私を倒せればだがな」ただ、棒立ちしている彼女から、景色が遠く離れていくかのような、錯覚が見えるほどの強力な威風が放たれ体をすくませる。



【【エネルギー消費の多い彼女にも拘わらず、食事の殆どを北方棲姫に回しているため今の能力は全盛期の4割にも満たないだろう。そのうえ昨日は、思いがけない深手を負い回復させるために多くのエネルギーをさらに割いた。今ならば生身の人間にも千に一つ程度の勝ち目はあるだろう。】】



「どうした坊や。貴様、愚図になりきったのか」帯電しているのか銀色の細い髪が風もないのに大きく広がり始める。暗い石牢内で小さな角に擦れる髪から静電気が時折パチパチと音を鳴らし、僅かに光る。雷神。その風貌はまさにすべてをひれ伏させるに足る力がある。「さあ、来い」飛行場姫はゆっくりと両手を広げる。


数メートルを全力ではじけ飛び、駆けた。「そうだ!来い!」彼女は根っからの武闘派なのかもしれない。彼女が進んで出撃しなくなったのは、艦娘が現れて以来すぐさま必勝法を確立して、必ず勝つ事に飽きたからだ。


“私”が勝ってこの愚図を引きずり込みここで穏便に暮らしても。あるいは、彼が駆逐棲姫と共に親交のある欧州にでも渡らせ、いつか自分たちを尽く駆逐したとしても。彼女にとってはどちらでも良いのだ。役目を失った巨大な力など、ただ寝転がるだけの愚図以外の何物でもないのだから。


体重を乗せた情け容赦のない攻撃が彼女を襲う。首から下の全ての個所に手や足で打撃を与える。回るように攻撃が続き彼女はただ、サンドバッグのように立ちすくんでいるだけだ。「こんなものか・・・」彼女は心底残念そうに呟いた。


「許す、顔に撃て」彼女を女性として見ての配慮だろうか、あるいは迷いか。彼は、なるべく脂肪の厚い場所を選んで攻撃している。音だけを大きく弾かせダメージが行き辛い、まるでプロレスラーの興行用の技のように。憐れむような彼女の瞳に見つめられ、彼は距離を取り、雄叫びを上げながら力強く拳を眉間に向け繰り出した。


「まいり・・ました・・・・」下唇を震えながら噛み、伸ばした腕が彼女の顏の直前で止まっている。下を向いている為、表情は見えない。


「貴様!」彼女の顔が熱を帯びていく。「敵に情けを掛ける奴があるか!」石牢内に怒声が響く。「気をつけ!」その声に反射するように直立し姿勢を正す。「愚図め!」彼女から繰り出された拳が顎を捉える。舞踊る銀色の髪を見ながら彼は崩れ落ちた。「艦娘などとうつつを抜かすからそうなる」


「かような模造品、何するものぞ!」ワキを持ち上げ、無理やり立たせる。「貴様は娑婆に居るのか。愚図め!」再び顎に強烈な一撃を加える。「戦争だろうが!」自ら立ち上がり、拳を上げるが止まる。「泣くくらいなら撃ち返さんか!」


「貴様の弛みが!10万100万の将兵を犠牲にするのだぞ!」彼女のフックのような極めて精確な掌打が彼の顎を捕らえ、頭を大きく揺さぶる。響き渡る乾いた破裂音の後、ついに彼は立ち上がる事が出来なくなった。「戦争は殺し続けなければいかんのだぞ!」鬼気迫る声で叱責する。「何であれ、誰であれだ!」


「ぐず・・・」彼女は体の揺らめきを覚え、椅子へとヨロヨロと向かっていく。疲れ果て、そのまま木の椅子にどかっと座った。どうやら思う以上に脆くなっているようだ。



【【彼女ほど精密に人間を“殴れる”深海棲艦は他に居ないだろう。背の高いワイングラスをジャブのパンチで殴りつけ、楽器のように音を鳴らす技術が要求される。もし彼女が後10分の1ミリでも踏み込めば、もはや医者には手の施しようがなくなるほどの衝撃を与えている。


数100とある艦載機に、常時エアレースをさせているかのような精密な動きと、自らも同時に攻撃を行えるほどの処理力のある彼女ならではの芸当だ。力技を好む“鬼”クラスには決して真似は出来ないだろう。】】



「ありが・・とう・ござい・・ます」彼は膝立ちのまま、涙を流し謝辞を述べた。これがピンク色の紙切れ一枚で招集された少年の成れの果てか。遠い昔、今は亡き甲板長に同じような事を言われて殴られた事を彼は思い出した。軍籍が長びくにつれ、多くの後輩を殴り、強く育ててきたが、いつの間にか新提督の風土に当てられ、シャバっ気に感化されていたようだ。


殴る側の義務と労力を最大限に理解する彼であるからこそ、“彼女の愛”を理解出来たのだろう。彼が今、不自由なく言葉を発している事が最大の証である。これが“戦場”ならば、あいさつ代わりの一撃で、頭が消し飛んでいたであろう事くらい彼は理解していた。


「私は貴様のような愚図を部下に持った覚えはないのだがな」上水から水を手で掬い、飲みながらぶっきらぼうに答える。こちらを向き直り、向かってくる姿は、腰下まで伸びる

銀色の髪がマントのように拡散し白いシルエットと合わさり、まるで出で立ちした騎士のようだ。



【【彼女が軍人臭いのは、時折飛ばしていた偵察機が彼らの基地を直接見ていたからだろう。既存の航空機など、彼女にとってはアラレの中を飛ぶ紙飛行機のようなものだ。飛び上がり次第、戦士としてタコヤキの体当たり攻撃を受ける。


愛すべき愚図共は打倒飛行場姫の名のもとに、強い上官が、うかうかとしている新兵をまとめ上げ命を奮い立たせ向かってきた。上がり次第、爆散するだけの死の行軍だ。魚雷艇の突入から目を逸らすためだけの。】】



「坊やがあまりに可愛いもので、つい熱が入ってしまった」近づくと彼女は膝を折りしゃがむ。「痛むか?」優しく顎を掴み顔を合わさせる。透明度の高いオレンジ霞む赤い瞳が彼をのぞき込んでいる。「もういい。お前は私と暮らすんだ」その手が優しく頬に触れる。「もう、いいんだ」


「もっとも」何もできずグスグスとないている彼を、まるでお姫様のように抱き上げテーブルに投げやりに寝かせる。「もはやお前に拒否権など二度と訪れないがな」


自爆される前に、震える女子供、犬猫ですら撃たねばならない。“お味方”の中ですら策謀や内通者によりいつ撃たれるかもしれないという恐怖の中、得られるものは永遠の孤独だけ。だからこそ彼も艦娘という終わりのある夢に縋ってしまったのかもしれない。


――愚図が先か、私が先か。だから人生は面白い。




14 飛行場姫 駆逐棲姫(メイド服) 02




困ったストーカーさんですね・・・。一部始終を黙って座り込んだまま見ていたが、どうにも釈然としない思いが芽生える。その感情を打ち消すかのように、いら立ちが込み上げてきた。何だかすごくモヤモヤとする。


というより、彼勝ってたらどうするつもりだったんですかね。潜新ちゃんにあの愚図を引き渡したら、私、帰ってきますよ?姉さま一人にしてはおけませんから。ホントに困った人達しかいないですね。一番まともなのホッポちゃんだけじゃないですかね。あの子何だかんだよく働くし。


さて、どうしたものかと紫の髪をフワフワと動かし首を傾げていると、彼女と目が合った。一瞬ビクッと大きな赤い目を作りと瞬時に目を逸らされる。だが、何か閃いたらしくテーブルの上にもそもそと上ってきた。


ああ。事の発端は姉さまですから、仕方ないと言えば仕方ないのですけれど、いつまでも従順少女というのもなかなか疲れますね。やわらか飛行場“殿”のじじょーちょーしゅは後でにするとして・・・


「そうだ、ここで暮らすからには、これとも仲良くしてもらわなくては困る」彼女は彼を座らせると開脚させて彼の後ろに座り込む。そのまま、自分の足を絡め固定した。「察していると思うが、これにはずいぶん嫌われているぞ」さらに白い両手をワキを通して折り返し彼の後頭部で手を結ぶ。


む。すっーごくこっち見てますね。わざわざ、こんなカッコまでさせられて来て放置されたり、かってに景品化されても別に怒ってないですよ、私は。たぶん。恐らく。きっと。


「や・・・」手の動きで、太ももをずり上がるスカートから白い下着が少し見える。黒いローヒルから黒く長いハイソックスと経て、男の視線が少女の股間からわずかに覗かせる白い下着で止まる。少女は胸と股間をガードするかのように、手で体を固めた。


「アレにもそろそろ深海棲艦としての自覚を持ってもらうか」少女と目を合わせながら言う。どうやらまだ少し不機嫌なようだ。「今日からお前は罰としてアレの教材になれ」人体実験を匂わせる言葉に彼の体がビクッと震える。「今後は私たちの許可なく射精してはいかん」


「このままこの愚図に住み着かれては、お前もさぞ気分が悪かろう」もじもじと少女は体を動かしている。「好きなだけ罰を与え、貴様の望むように躾けてやってかまわんよ」少しくたびれたように投げやりに言う。「なに。私もそろそろ疲れてきた。今後は、お前だけで捕虜を扱わせることも多くなろう。コレはそのための準備だ」


「まぁ聞け」飛行場姫は独白を始める。


「いいか。隠すことはない。見せろ」彼女は彼をガッチリと押さえつけたまま続ける。「人間如きに、ましてやオスに何を恥じる事があろうか」白く逞しい脚が、彼の太ももを無理やり極限まで開かせると、彼は目に涙を残し恥かしそうに顔を背けているが、足の中心ではすでに少女を思い出してか裸電球に照らされ高々と黒く伸びる影を作っている。


「こいつを見ろ、口では何と言おうとお前が欲しくてたまらないのだ」亀頭の先端が、何度も膨らみ、尿道がパクパクと呼吸を始めている。「当然だ。我々はそれほどまでに美しいのだよ」彼は無言のまま顔を背けているが、彼女の言い分が執拗に絡みついてくる。


「全てのオスは、我々の前には無様に股間を尖らせ、精液を献上したがるだけの存在なのだ」それを聞く彼は、ただ何も言い返せずに耳を赤らめている。「もっとも、美しさはワレの特権ゆえ、お前は可愛さを追求するがよかろう」彼女は心底愉快そうに笑っている。


「さて、楽しい罰の時間だ」彼女は先程までのらいらくな態度から一変し「踏め」一言、冷たく言い放つ。「貴様も愚図か。靴なぞ脱ごうとするな」屈み、輝くパテントの黒いローヒルが太ももの上まで伸びる黒いハイソックスを止める金具を外そうとするが制止される。「それでは罰にならん。そのまま踏め。潰しても構わん」


「分かりました」一瞬少女の口元が酷く楽しそうに、横に細く開く。仄暗い石牢内で光源の逆光であるのと、彼の鈍感さがその事態を見逃した。しかし、少女から放たれる大理石の冷たさを思わせる雰囲気を纏った足が股間に迫り、彼は咄嗟に身構えようとする。


「コラ。貴様は罰を受けるのだ」その物言いが。


「罰とはいいものだぞ」追い込まれた彼を誘い込んでいく。


「罰とは許しだ」諭すように、感情を込めず。


「貴様も知っていよう」淡白であり。


「そうだ。罰とは許しだ」宣教師のように冷静だ。


「貴様は許されるのだぞ?」彼に残された最後の誘惑を。


「罰を受けきれればお前は“許された”という事だぞ?」


「どうだ、罰とはいいものだろう?」彼女に好かれてみたい。


「そうだ。罰とは許しだ」彼だけでは叶えられない誘惑を。


「アレに許されたいなら自分から股を開かんか」彼女もまた、雪女の如く冷たく変質する。前後からの凍てつく感覚が、まるで雪山の深い谷底。クレバスにハマりただ死を待つだけの登山家のような心境が彼を襲う。いや、性交を終えた後のオスのカマキリだろうか。


感じた事のない記憶。気配。はるか昔からそう“設計されていた”感覚。メスには我が身をも差し出す献身。人が上辺の情報で覆い隠して生きている太古からつながる記録だ。その記録が今、再生される。圧倒的メスには逆らえないという男としての“強さ”が呼び起こされる。


そうだ。彼は思い出した。彼女らは深海棲艦。何故この名前が広まったのか。彼女らが水中に暮らすようになったからだろうか。違う。彼女らと対峙した人間たちがその威風に気圧され、すべからく深海を漂流するかの如く冷たさと心細さを味わったがためだ。


そして、海上を“統べる”彼女らを称して深海棲艦と誰かしかが言い始めた。自分もその一人であった。これほど適当な言葉はない。瞬く間にその名が格国に伝わった。



【【彼女らは単独にして、自然災害級の力を保持する。人は災害を克服できただろうか。いや、制御くらいは出来ている。しかし、意思を持ち自ら動き回る自然災害はどうだろうか。昨日はあの首都。今日はあの田舎街。明日はこの途上国にしようか。


彼女らの熱核兵器級の怒りを買えば、そこに残る物は焼けただれ無残に露出した鉄骨が見えるコンクリートの構造物だけだ。奇しくも彼女らは最上位種としての自覚があり“その他の全生命”に対しては大いに寛容である。


その大災害を見舞わせた場所は、人気の少ない未開の地の島々と、愚かにも彼女らに挑戦した大本営への本土上陸のただ一件のみに留めている。襲撃の際にも、戦闘員、非戦闘員の区別を付け、可能な限り精密に攻撃をしている。


また、非戦闘が飼育しているであろう、他の種族を必要以上に撒き込まない措置でもあった。これは、絶対的強者の余裕に他ならない。彼女らは与える側なのだ。常により多くを選べるのだ。生き物は彼女らの許可の元生存している。】】



大風が家屋を吹き飛ばし、泣き叫ぶ家族をあざ笑うように、慈悲もなく家が崩れる。人がどれほど集まり、嘆こうとも届かないのだ。命の灯が次々と消えていく。それが飛行場姫。それが深海棲艦の本質だ。


彼は今、一匹の群れからはぐれた野ネズミであり、豪雨のつくる濁流をただ眺めるだけの存在だと改めて思い知った。彼女は災害なのだ。どれほど衰えようとも災害であり続けるのだ。


「何を呆けておる。しっかり勃起させんか!」飛行場姫の号令が飛ぶ。「あれほど可愛いアレに対して、失礼だぞ貴様は!」少女の靴底が、恐怖に当てられ少し小さくし始めた股間に触れる。ギザギザとしたゴム底が肉を擦り刻む。押し付けられての上下の動きが、芯の中までゴムのおうとつを挿し込み、直接激痛を運ぶ。


「はぁあぁぁぁああ」彼の悲鳴が石牢内を反響する。靴の下でグリグリと転がり回る肉の感触を楽しむ。少女は恍惚の表情で、足の動きで彼の悲鳴を奏でる。「ほう。上手いぞ」彼女もまた、彼が左右に逃げるように腰を振る動きを楽しんでいる。「だがもっと踏み込め」


「おい!腰を引くな、ばかもんが!」足から逃げるように彼のお尻が、彼女の股間に食い込んでいく。「貴様は罰を受けているのだ」彼女が股間を突き出し、少し仰向けにのけ反ると、彼もつられて股間を上げていき。少女のひざ元まで、擦り傷のある肉の塊を献上する。「おとなしくせい!」


「あら?汚い玉が二つ垂れていますね」少女は桜色の乳首を白いブラジャーの中で立たせ、フリルの白い下着に、楽しむように小さな円を広げていく。「ああ、飛行場姫様」少女は甘えるように顔を近づけていく。「み・ぎ・と。ひ・だ・り。どちらがいいですか?」紫色の瞳が楽しそうに広がっていく。彼は青ざめた顔でそれを聞いていた。


「こういう時はな」彼女はため息まじり、仕方のないやつだと続ける。「選ばせてやるんだ」拘束を外し、体を離す。彼は転がったまま、ただ体を震わせている。凍える心が彼の動きを阻害する。呼吸を速め、世界が白く染まり始める。酩酊状態か、過呼吸に近い。


テーブルの上で二人のメスが見下ろす先には、ダンゴムシのように膝を抱えて丸まり、ブルブルと体を震わす一匹のオスが転がっている。「おい」彼女は白いブーツで彼の背中を蹴りつける。「愚図」何度も蹴る。「おい」何度も。赤く、青く変わるその背中を。


「四つん這いになって下さい」その何気ない一言が、彼には氷山。氷の塊が体を突き抜けたかと思うほどの強烈な恐怖と冷たさが襲う。「どうした。男を見せんか!」腹部にブーツが刺さり、彼の体が振動する。人が作り出せない恐怖が彼の記憶を呼び起こす。


光の届かない密林の中、生い茂る深い緑。右も左も敵国の鉄兜が素早く動くのが見える。後方からは上官が機関銃を構えている。聞こえる銃声。敵も味方もなく、次々と人が消える。永遠の孤独がよみがえる。彼がまだ、深海棲艦と戦う前の記憶だ。深く冷たい蒼い海の底で。同じ世界が広がっていく。


「これは罰だ。終われば貴様は許されるのだぞ」その言葉すらも、もはや幻聴に変わる。「誉て戦え、お国のために」と。進退窮まるも愚直な彼はその火線、曳光弾の走る赤い光の中へと歩を進めた。腹を這いずらせ、隣で、今飛び散った友と同じように死の行軍を開始する。


彼は幸運であり、常に正しい解を導き寄せてきた。あるいは今日この日が、彼の終着点なのか。「おい。愚図。こちらを向け」声の来る方角を見ると、見覚えのある白い拳が飛んでくる。「とんだ愚図だ。手間を取らせる」彼女は疲れ果て、テーブルにあぐらをかくように座った。


「逃げては駄目ですよ?罰になりませんから」痛む顎が視界を切り替える。目の前には、メイド服の少女がいる。空白の月日が一気に埋まった。「お前は何処へも行かさんといった。しっかり気を持ちここにおれ」少し離れて、背後から彼女の声がする。声色からはかなり消耗している様子が窺える。


「さぁ。嗅いで。しっかり立てて下さい」うすら笑うように言いながら、膝を下ろし、白い下着を彼の顏に近づける。「ほら、どうぞ?」少女は腰を下ろすと、ひさを開き近寄る彼に股間を与える。足を開くその先。それはラフレシアのように怪しく存在する。


「どうぞ?」少女から与えられる喜びが、彼の顔を動かす。犬が水を飲むように。頭を下げ、腰を突き上げる。短いスカートを頭で捲り、厚手の下着越しに、子宮の中まで熱い鼻息を送り込んでくる。彼の股間は次第に今日一番の硬さを示すようになった。


「いい子ですね」頭を撫でながら少女が言う。「可愛らしいです」粗い鼻息で少女が濡らす臭いを嗅ぎ漁りながら、腰を振り暗く見える勃起のシルエットが左右に揺れる。「でも」冷気が彼の動きを止めた。「まだ、罰は終わってませんよ?」頭を押さえそのまま後ろを向かせる。


彼は怯えるように正面にいる、彼女の腰に抱き着く。「どうした?怖いのか?」そのまま、彼女の白いレオタードのような白いスーツのヘソ部分に頭を埋める。「やれやれだ」その瞳は早くしてやれと、彼女にいう。不思議な事に、飛行場姫の放つ威圧は少女が行っている物の数倍は強い。にもかかわらず彼は飛行場姫を選んでいるのだ。


「イライラとさせてくれます」少女のストレスも限界だったのか。フリル付きの下着を見せながら足を大きく後ろにさげ上げる。「潰れろ!」キレイな円を描くように正確にお尻の間にヒットする。あえて力を抜いていた腹に、衝撃で彼の頭が突き刺さる。重いテーブルが三人も載せているにもかかわらず、わずかに滑る。


「まぁ、いいです」痙攣するように震えるお尻を目掛け、水平に彼女の脚が刺さる。「もとは」何度も赤く変わるまで「姉さまの」楽しむように蹴りが飛ぶ「せいですから!」それは彼が完全に動かなくなるまで続いた。


「おい、坊や」何度も頭突きされ痛む腹を気にしながら、顔を持ち上げる。指二本でまぶたを開け、赤くクリクリした瞳でのぞき込む。「んん?」まぶたの裏も血色がよい。貧血も無さそうだし、気絶もしてなさそうだ。「ほう」


体を抱きしめ、キスをしてみると、甘えるように舌がゆっくりと捩じり込まれてくる。「まったく可愛い坊やだ」体を引きはがすと、テーブルに転がす。丁度、立ち上がった少女の足の間に顔が来ている。真上には円状に広がるスカートの中から太ももが二本突き出て来ているのが見える。短いフレアのスカートではあるが、下着部分は逆光のため暗くてよく見えない。


飛行場姫は立ち上がると、彼の腹に顔を合わせたまま座った。衝撃で体が僅かに跳ね上がる。丁度、少女の太ももの間から、赤く大きい瞳が見える。「どうする?まだ罰が必要か?」短いメイド服の背中に向かって訪ねる。「私に勝手に射精して、反省しましたか?」


少女は、腰に手を当てぐっと腰を曲げながら、彼に尋ねる。紫のフワフワとした髪がすべて下方向に垂れ揺れる。少しお尻が彼女の顔に当たっているようだ。無理やり性交をさせられた状況ではあったが、射精した事実は変わらず、彼は真摯に誤った。「ごめんなさいだ」彼女は冷たく言い放つ。


「ごめんな・さい」目に涙を浮かべながら、小さく呟く。「まぁ、よかろう」彼女は再び立ち上がった。「何もせんよ」白い片手を伸ばすとビクッと体が動く。少女がどき、彼女の手が彼の上半身を起こし上げる。


「自分で見て見ろ」彼の太ももの間を見るように促す。彼は、怯えるように、視線を伸ばしていく。その想像の先にはおそらく、赤く染まったテーブルを想像する。潰れてしまった、睾丸による。


「手心を加えたなどと思われては困ります」どれほど集中したのか、彼の体を一切損傷させることなく最初の一撃を、正確に肛門の下近辺を打撃していた。尾骨へのダメージもない。少女の放つ殺気が、彼の意識を誤認させたのだろう。その直後からの複数回の打撃もその要因の一つだろうか。「飛行場姫様に感謝なさってくださいね?」


「このテーブルは飛行場姫様お手製なのです」少女は飛行場姫様の背後に回り込むと、顔を首筋に擦りつけ甘える。「許可なくあなたの血ノリでテーブルを汚しては、わたくしが怒られてしまいます」ペタペタと彼女の体に抱き着く。


「ふむ」彼女は自分の顎に手を当てながらしばし考える「まぁ、私としては種なしでも構わなかったが」彼の方を目を細め睨む。「まぁ、お前の言い分も一理ある」軽くテーブルを数回叩く。「これは一昨日出来たばかりなのだよ」楽しそうに話を続ける「実はな」


「前のテーブルは足が刺さって抜けなくなったものでな」何をしたのか理解が及ばないがおよそ人道的な事ではないことは確かだ。「廃棄してしまったんだ」ケタケタ笑う。少女もまた楽しそうに紫の髪を擦りつけている。「北方棲姫の奴が、な」思い出したように噴き出すように、笑いだす。「貴様は幼女趣味か?まぁ、いずれは合わせてやろう」


「さて、お前には良く出来たご褒美をやろうか」少女を膝の上に乗せると、まるで新体操の競技者のように“やわらかく”片足を垂直に上げる。座ったまま、額に足がつくほどの柔軟性だ。その間に少女の体が挟まっている。「貴様は、今日はまだ射精はしていないのか?」


「もう抜いたのか?まだ抜いていないのか?答えよ」まるで、毎日自慰を行っているかのような2択を迫られるが、彼はまだ抜いていないと。正直に答えた。「ふむ。素直なのは良いことだ。貴様にも褒美をやろう」視線を勃起させるものに移す「構えよ」


「愚図め、オナニーをせよと言ったのだ」意図を理解し兼ねてオドオドとしている彼に、怒声を浴びせる。ビクッと体を動かすと反射的に片手を動かした。ゆっくりと手が上下に動き出すのが見える。「そうだそれでよい」次第に彼の呼吸が早くなっていく。特に彼の視線は高く上げられた、裸電球が美しく照らす、逞しくそれでいてしなやかな美しい彼女の脚を執拗に上下させている。


「待てだ」声に従い手を止める。少女と彼女の体を上から下まで堪能しながら手を動かしていたが、お預けをくらい、抗議するかのように勃起している先端が大きく膨らみ、小刻みに呼吸をしながら尿道を開かせる。


「ただの見抜きだけでは、褒美にならんだろう?」彼女は誘うように怪しく微笑む。「いいものを見せてやる」




15 飛行場姫 駆逐棲姫(メイド服) 03




「お前はもう見せてもらったか?」


彼女は体を寝かせると、足を伸ばし、片足だけを垂直に上げ力を込める。長く白いハイソックスの太ももから筋肉が少し浮かび上がっている様子が見える。「お前への褒美は後だ」そう言いながら紫のフワフワとした頭に手を置き、優しくなでる。少女の首輪につくリードを外してやった。テーブル脇に重ねて置く。


「戦艦棲姫だ。あいつはダンスが得意でな。コレとよく踊るのだ」少女の顎を撫でながら、言う。どこか上機嫌なようだ。「お前には後で褒美やるからな」少女のお尻を押し上げ、立つことを促す。彼女の高く突き上げられた白い脚に裸電球の光が集中する。


「貴様らの文化にもあろう。これは美容にも良いのだぞ」そういうと、少女は彼女の垂直に伸ばされた足に手を掛け、足を中心にクルクルと歩き出す。「今回は少し貴様の趣味に合わせてやる」彼は何かを期待するように、膝立ちになる「かまえよ」言われるままに股間に手を添えた。


「かかれ」クルクルと短く黒いメイド服から白い下着を見せながらダンスを始める少女をみながら、きつく握り手を激しく上下させる。「もっと打ちつけるようにだ、愚図め」首だけを起こし、指示を出す。「もっとだ、音を立てろ」


やがて後ろから突き上げる後背位のように腰をガクガクと突き出し、挿入しているかのように手の甲が股間の付け根に打ち付けられパンパンと乾いた音を一人で出し始める。「いいぞ、ご褒美の最中も私を楽しませろ」若干遠目ではあるが、彼女はその疑似セックスをする動作を楽しむ。


少女もまた音に答えるように、徐々に魅せる踊りから淫靡な舞へとスタイルを変えていく。彼女の脚に垂直に両手でつかまり大きく足を開きながら大回転を始めた。まるでポールダンサーのようにクルクルとねじを巻くように回りながらテーブルへと下りると、黒いハイソックスの片足を上げフリルの付く純白の股間を見せつける。


胸は白い下着がこぼれ出て小ぶりな谷間がはっきりと見え、もともとないようなスカートがずり上がり、フリルの下着には楕円形に水気を帯びている場所がある。薄らと紫色の少女の体毛が浮き上がっている。


ももの上まで黒いハイソックスを履いているため、照らされる股間部分の白さをより印象付ける。大きく揺すられる紫の髪と、彼女のパテントのパテントの黒い靴が、集中する光源により彩られトップダンサーを思われるほど優雅にポーズを決めている。


「よし。そこまで。待てだ」腰を前に突き出したまま、素早い動作を始めると、彼女はまたもお預けを命令する。二度目のお預けに、少し虚ろな表情で腰を左右に振って抗議しているようだ。少女が楽しそうに細めて眺める先には、そびえ立つ影が左右に振れ動いている。


「どうした?言う事を聞け」彼女は立ち上がると、彼にゆっくりと近づきながら白い片手を頭へと伸ばす。反射的に体が震えるように反応した。「まったく。ご褒美の時間だぞ」顎に伸ばしていく手を顔を合わせ見つめたまま降ろしていく。


「かわいいぞ」彼女の顔が近づいてくる。赤く透き通るようなオレンジを帯びた瞳が近づく。突然彼は声を出しながら、体をのけ反らした。彼女の手の甲が、メスを求め透明な涎を垂らす彼の尿道を、ゆっくりと擦り回していく。「何処がいい。ん?」包むような声で、冷えた白い指先が全体をなぞり下りて行く。


「痛むか?」包み込むように指先を滑らせ、睾丸をなぞるように冷たい感触が伸びていく。「何だ?欲しいのか?」彼は粗い呼吸で太ももを開き、密着してくるヘソの窪みに股間ゆっくりと伺うようにこすり付け始める、上下の動きで彼女の白いレオタードのようなスーツに水気を伸ばす。


「待てだ」押し付けたまま、腰を止める。「良い子だ」彼女の唇が近づいてくる。近づいてみると唇はわずかにピンク色をしてる。顔が近づき数センチ前で止まる。彼女は鼻を近づけて口の中の匂いを嗅いでいるようだ。彼の顔が赤く変わっていく。「やはり、匂うな」先程キスをした時に気付いたのだろう。


「口を開け、動くな。出来るな?」返事をするように静かに口を開け、彼女の腹が押し付けられた彼の股間から数回の膨らみを感じる。「良い子にはご褒美だ」彼の両手を持ち上げ自分の腰に回すように誘導した。彼女の冷たい腰のクビレに手を回し多く形のいい彼女の胸に体を密着させていく。


二人の視線の間に数本。数十本の銀色の髪が滑り込む、彼女は気にも留めずに顔をさらに近づけると、わずかに赤みを帯びた舌を伸ばす。焦らすように前歯の先端をなぞり、時間をかけ、舌の先端が彼の歯を一本ずつザラザラと舐め削っていく。


「待てだ。動かすな」彼はご褒美をもらおうと、腰をゆっくり回しながら、興奮して勃起した乳首を彼女の胸にスーツ越しに擦りつけ始めた。「言う事を聞かないと、今日はもう、おしまいにするぞ?」淡々と言う口調に、彼は諦めるように体から力を抜いた。「そうだ。それでいい」


「おい。水を頼む」彼女は体を捻らせて、少女に言った。少し不貞腐れているようだが、立ち上がり、テーブルから下りると、暗がりに小さく置かれている、木のタンスのような物から木製のコップを取り出した。表面に小さくデフォルメされた飛行場姫の顔が彫られているヒノキのような匂いのするマイカップだ。


「どうぞ」上水を汲んでくると、テーブル上の彼女に手を伸ばして手渡した。「どうする、変わりたいか?」少女の方をいたずらに見て言う。「いえ、こちらで見ています」テーブルに上半身を乗り上げると、少女のメイド服がズレ下がり、白い下着が大きく露出する。谷間の隙間にオスの視線感じた。


「コラッ。こっちを見ていろ」カップを腰の横に置くと、両手で顔を抑え瞳を合わさせる。「まったく。まぁいい。続きだ」そう言うと、口を近づけていく。彼は自然と口を開ける。「飲み込んでは駄目だ、いいな?」彼女は顔を横に曲げると、舌を奥歯の後ろにギュウギュウとねじ込んでくる。反射的に口を閉じた。


「コラ。主人を噛むやつがあるか」大きく噛んだが、わずかに痛みを伴っただけのようだ。「しっかり口を開けろ」今度はゆっくりと奥歯の後ろまでゆるゆると彼女の舌が入り込む。歯に密着させると、舌の表面を前後に動かし、表面の研磨を始める。奥歯から丁寧に始まり歯茎に押し当て、こちらもザラザラと舌を這わず。


口の中に苦さと鉄分のような味が広がってくる。「飲み込むなよ」自分の口に水を含むと、数回口の中をすすぐ様にブクブクとさせてから、斜めにキスをするように口を合わせそのまま流し込む。「何をしている。早くゆすげ愚図め」口の中でもごもごと水を動かしていると、彼女は木製のコップを近づけてくる。


「いいぞ、出せ」可愛らしい飛行場姫と目が合うが、そのまま口を付け水を吐き出した。「やはり汚いな」のぞき込むと、液体が赤茶色く濁っている。「おい、見ておけ」コップを少女の方に伸ばすと、彼が咄嗟に手を伸ばしてきた。「なんだ?恥かしいのか?」少女は彼女からコップを取り上げると中を透明な紫の目で覗き込む。


「確かに、汚いですね」コップを傾け、中の不純物をコロコロと転がしている。「不潔です」そのまま側溝に流しに行き、新しい水を汲んで戻って来た。「わかっただろう?こんなもので舐められてはかなわん」少女からコップを受け取り、もう一度彼女は顔を横にしながら彼に近づく。慣れたようで、自然と彼は口を開けて待っている。「そうだ。いい子だ」


彼女の舌が再び侵入してくると、意図を理解した彼が、舌をどかせて彼女の舌が動きやすいようにしている。彼の鼻息を顔で感じながら、事務的な表情で丁寧に歯茎の隙間までを擦り研磨掃除を行う。丁寧に行われる彼女の作業は長時間に及んだ。「まぁ、こんなところだろう」気が付くと、少女が用意したのだろう、木のコップが4つ並んでいる。


戦艦棲姫、駆逐棲姫、飛行場姫、北方棲姫の可愛い顏がテーブルの上に、ワザとこちらを見つめるように扇状に並んでいる。少女を飽きさせてしまっていたようだ。「すまんな、もう終える」取り合えず戦艦棲姫を取り上げると、先にブクブクとしてから、彼の口に流し込んだ。「まったく、人間とは不便なものだ」


「ほら、出せ」少し彼女が笑っているような感覚を覚えながら、彼は戦艦棲姫のコップの中に吐き出した。のぞき込んでみると、やはりだいぶ汚い。少女は、一瞬不機嫌そうな顔をするが、受け取ると引き戸を外して上水から側溝へと斜めに下りるスドイに水を呼び込む。道を変えて流れ下りる上水に沈めて、丹念に木のコップを洗っているようだ。


さて、と考え飛行場姫に手が伸びる。これは、そのまま手渡した。ブクブクとさせた物をのぞき込んでみる。透明度があがっているようだ、裸電球が照らし出すコップの中身に影を残さない。コップを手渡すといささか投げやりに洗っているように見える。


「後二つあるが飲んでも構わんぞ?」


駆逐棲姫を手渡すと、コップの顏と目が合ったようで何故か少し頬を赤らめているようだが、そのままゆっくりと喉が動く音が聞こえてくる。北方棲姫の方も同じく飲み下した。少女にコップを渡すと、どちらも丹念に洗っているようだ。紫の髪が少し楽しそうに踊っている気がする。


「さて、口もキレイになったことだし続きをするか」彼と顔を合わせたまま、冷たく白い手を彼の股間に下していく。「コラっ!」小さく萎ませて、逃げるように体内に縮こまっている睾丸を爪でなぞる。「立てておけと言ったろうが」体をどけると、洗い終えて戻ってきた少女がテーブルに上半身を乗り上げこちらを見ている事に気付いた。


「何だ、変わりたいのか?」少女はそのまま、テーブルへと上ってくる「少し興味がわきました」パテントの黒い靴がテーブルの上でキレイに光を反射する。「ご褒美を選ばせてあげましょう」彼女の方へと向き、悪戯に笑う。「飛行場姫様はこちらへ」少女に促されるままテーブルの端にしゃがみ込まされる。「ほう?」


「あなたは、四つん這いです」ドンと押し、テーブルに倒す。「今はご褒美の時間ですから安心してください」先程の光景がよみがえり少し体を震わす彼に、少女は冷静に言った。「さて」少女もまたしゃがみ込んだ。「どちらをクンクンしたいですか?」しゃがんだ姿勢でももを広げる。


「ほう」意図を察したのか、彼女もまたももを広げた。


少女のメイド服はスカートがしっかりとめくれ上がり、ももまである黒ハイソックスを履いた斜め上に伸びる両膝を大きく開き、白いヘソの窪みを見せながら下着に広がるシミと浮き上がる薄らと生える紫の体毛を見せつけている。彼女の体の白さと黒い衣類が綺麗なコントラストを生み出す。


彼女は逞しいももを広げると、スーツが股間を少し引き上げ、白く細い体毛を大きくハミ出させる。彼女の白いスーツが窮屈に伸ばされる股間周辺を照り返す光は、わずかに金色を帯びている。頭部から覗き出る小さな角も彼女らしく印象的だ。またパパラチアサファイアを連想させるその瞳が、見る者を強く魅了する。


「さぁどうぞ」「おいで坊や」同時に掛け声をかける。四つん這いで誘いに乗りゆっくりと、体を前に進める。少女の下着を見て、股間を再び大きくし始めた。「いいですよ。ご褒美をあげます」胸元に腕で挟みながら、胸の谷間を押し上げる。「欲しいんですか?」彼が、頭を向け体がついていく。


「コラ坊や。上の毛でして見たくはないか?」首を揺すり、銀色の髪を躍らせる。長く細い髪がテーブルに舞い降りる。広がる髪が作り上げ乱反射する光が、まるでプールで水を浴びている女性にフラッシュをたいたときのように、大きく光を受け止めている。「私はかまわんよ?」


「こちらです」「おいで」迷いながら思考の迷宮を抜けたどり着いた先は、まるで街灯に誘われる虫のように薄暗い室内で、彼女の神々しく光を放つ股間だった。鼻を付け安心するように呼吸をしている。「そうだ坊や、いい子だな」隣でイラ立っている少女を横目に見ると、勝ち誇ったようにいやらしい顔で少女に笑う。


「今日は気分がいい。好きなだけ堪能するがよかろう」彼女は上機嫌になるとそのままテーブルに座り、首を挟み込みながら彼の背中に両足を乗せる。彼女の白いブーツが、彼のお尻の上で柔軟をするように開閉される。彼は可愛らしく舌で必死にスーツを左右にどけながら、その内側に必死に舌を捩じり込ませている。


彼女は余裕の表情で、ブーツのカカトを彼のお尻に乗せ欠伸でもかくようにリラックスを始めた。その間も彼の頭が暗がりの中で必死に上下運動を続けている様子が見える。彼の唾液で、入り口を湿らせているものの、舌の前後運動の摩擦熱で乾燥して舌の動きが悪くなっていく。「何だ。もういいのか?」次第に頭の動きが鈍くなり止まった。


「おいで」彼を押し戻し、テーブルに横になると、彼に上に乗るように誘う。彼女の冷たい体が彼にしみ込むが、彼の血流は上がり次第に息が早くなっていく。彼女のふとももに股間を押し当て様子を見るように股間を上下にゆっくりと動かし始めた。「いいぞ。好きな所へ出してかまわん」


その言葉に彼の腰の動作が早くなる、ふとももを性器にみたてて素早く腰を振る。次第に彼の呼吸が小刻みに変わり、お尻にへこみが見えるほど力を入れ始めたようだ。彼の両腕を誘導ししなやかな白い腰に巻きつけさせる。そのまま唇を重ねた。彼の呼吸がさらに早くなり、太ももの肉を貪るように押し付ける。彼女の股間も湿り気を帯び始めたようだ。


彼女たちは当の昔に性交に飽きてしまい、もとより身体能力差もありまともに性交渉が出来るわけではないので各々に特殊な性癖を持つようになった。男性器の挿入だけでは達することなど到底出来ないので、基本的に雰囲気でイかせる以外に人間が彼女らを相手取る事は出来ない。つまり、すべては彼女らの気分次第なのだ。


駆逐棲姫と飛行場姫はある共通の性癖を持つ。オスが卑しく腰を振り、その先端から精液を噴き出しているところを見るのが好きなのだ。それゆえに、彼女たちは私的には挿入による性交よりもあらゆる方法で、射精させることを好む。たくさん我慢をさせた後に吐き出させるときの表情を見る事も好んでいる。


彼は眉間にシワを寄せ、お尻をくぼませながら必死に腰を振っている。少女もまた愉快そうに股を濡らしながら横から見ている。彼の喘ぎ声があがり始めた、上半身も前後に動かし始めて、彼女の冷たいスーツに自らの乳首を浅くするようにこすり付け始める。二人は僅かに呼吸を速めながら食い入るようにその光景を凝視している。


「んっ。ん」二度ほど、絞り出すような声を小さく出すと、彼の腰振りが止まった。ドロッとした、少し黄身を帯びた濃厚な体液が、彼女のふとももに乗せられ広がっていく。少女がだらりとした彼の体を持ち上げ起こすと、股間の先端部分と彼女のふとももに精液のかけ橋が伸びている。二人の待ち望んだ瞬間だ。


「たくさんだせたな。いい子だ」寝転がり、首を上げ見下ろす先には水気が少ない盛り上がった精液の塊がドロドロと下りていくところが見える。少女は彼を座らせると、わずかにピンク色の唇を精液に近づけ止まる。


「ああ、だ・・めだ・」彼が手を伸ばし少女を止めようとするが、濃厚な段差が少しずつ少女の口の中へと消えていく。自分の物が少女の喉を動かしていく光景に再び股間を膨らませていく事に嫌悪感を覚えて、目じりにわずかに涙が溜まっていく。「あら、可愛いですね」彼女の太ももを舐めきった後、彼に近づき片手を彼の頬へと伸ばす。


「今はご褒美の時間ですよ?」そういうと、少女は体を折り曲げて、黒く短いメイド服の中のブラジャーによって作られた大きな谷間に、彼の顔を近づけていく。目に涙をためて許しを乞うような顔で少女の顔を見上げる。「ダメです」彼の顏はその胸に沈み込んだ。粗い鼻息が谷間から零れ出てくる。


「ほら、舐めてください?」その光景を見て、まぁ好きにやらしてやるかと、彼女は起き上がりコップに水を汲んでくる。突然飼い主の手から離れ自由に駆けだす犬のように彼は少女の白く柔らかい谷間に舌を押し付ける。粗い鼻息が首筋まで上がってくるようだ。少女は彼の手を取りメイド服の上下の隙間。クビレのある腰に直に腕を回させる。


「そっちは、ダメです」彼の舌が彼女の白いブラジャーを押しのけるように先端を目指し前進を開始する。舌を巧みに上下に動かし、少しずつ進んでいく。しかし、先端に届きかけた舌は少女が胸元の服を持ち上げ下着を元の位置に戻されてしまう。残念そうに今度は谷間の筋を執拗に奥深く進ませながら舐め始めた。「可愛い」少女は頭を優しくなでる。


「よし、そろそろセックスの続きをするか?」少女が胸を離すと、名残惜しそうに小さく座っている。彼女は精液が乾き始めている彼の股間に彼の片手を近づけさせる。「次はワレも楽しませてくれ」彼女は彼の手が、乾き始めた液体状の精液を手に付けていく姿に興奮を覚える。


「セックスを見せて見よ」二人が彼の正面から挟み込むように座る。あぐらをかくように座る彼の両膝上に、各々が股間を乗せるように股をわずかに開き乗せた。彼の両膝が彼女たちの冷たさと重さと、にじみ出る体液を感じる。自然と彼の手が動き始めた。「そうです」「いいぞ、もっとだ」頭上からステレオのように声を聴きながら、膝にこすり付けられていく彼女たちの股間を感じる。


空中から絡む水音が聞こえる。二人はキスでも始めたようだ。彼の手がさらに早く動き出し、躾けられた通りにパンパンと手の甲をワザと睾丸に打ち付け、大きく音を立てる。目の前には白いスーツのお腹の窪みと、少女の上下に切り離されたメイド服からだす白い腹部の窪みが見える。膝の上には彼の奏でる音に呼応するかのように動く二つの湿った股前後に、上下に動いている。


見下ろす先に、根元から血管を浮かばせながら、大きく膨らませている彼の平たい先端部分がしっかりと見える。その光景を見ながら、二人は両肩を掴み合い、少しづつ呼吸を早くして行く。お互いに顔を傾けて、下を向きながらワザと大きな音で舌を何度も絡め口に出し入れする。


乾いたパンパンとする鈍い音の間隔が、さらに早くなっていく。彼女たちも腰を振り、彼の膝に押し付けている。彼の視界に円を描くように上下に激しく動く二つの白いヘソの窪みと、膝に押し付けられ、濡れの広がる二つの股が見える。


片方はフリルの下部分の薄い布地にベタベタと液体を生み出し、下着の中の紫の体毛が、下着に擦り引かれ動いているのが見えている。もう片方は、細く伸ばされた、彼女の白いスーツが秘部を露わにし擦るように伸び縮みして、わずかに泡をたたせている。彼は忙しく頭を振り左右を眺める。その光景が上から覗く彼女たちをさらに興奮させていく。


数回、間隔を空けるように深く、彼が手を打ちつけると、先端は激しく膨らみ尿道が大きく開いて粘性のある白い液体が、尾を引きながらドロッと零れ落ちた。その直後膝にこすり付けていた彼女たちの股間が震えるように動き、顔の近くまで腹が近づいてきて、そのまましばらく止まった。頭の上から呼吸を整えるような二人の息遣いが聞こえてくる。


「よかったぞ坊や」彼女は腰を落とし、彼の顏の高さまで下りてくる。そのまま彼に舌を絡めると、口の中にねじ込んだ。彼女は押し倒しキスを始める。濡れた股間に彼の零れ出た精液がしみ込んでいく。「もう一回立たせてやりたいところだが」彼女は起き上がると股間を払った。少し泡立つ白い粘液がテーブルに飛ばされる。


「簡単に壊れてもらってはかなわん」そう言うと、背中を向けて両手で銀色の透き通る髪をフワッと肩の後ろに投げ上げた。髪が躍るように大きく広がり、一瞬視界がが明るくなる。「いい子にしていれば、またご褒美をやる」そういうと、テーブルを下りメイド服のズレを直している少女を抱き抱えて石段を上っていった。


「そこの引き出しの中に毛布がある」後ろを向いたまま続ける「上水は下ろしたままにしておく自分で股を洗っておけ」彼女は甘く抱き着きながら紫の髪をふわふわと揺する少女を抱きかかえたまま扉に手をかける。「明日には違う部屋を用意する」ゆっくりと扉をしめて出て行った。


半分ほど電球を消し、石牢内はさらに暗さを増すが、目が慣れればさほど困らない程度ではある。下されたすどいから、僅かに水の流れる音が聞こえる。


・・・・・


・・・






16 アプサラス




「それで、あの“坊や”はどこで拾ってきたんですか?」少女は石垣を地面に並べたような通路で、黒いパテントの光る両足をポンと下ろし、彼女の腕からすり抜けた。僅かにスカートが広がり、キレイに足を揃えて着地する。力を抜くと体が崩れ、彼女は咄嗟に腰を支えた。


「無理をさせたようだな。すまない」彼女の脚は、大半が艤装であり、先ほどの精密な競技には戦闘レベルでの負担がかかる。「別に、好きでやっているだけですから」少女は素っ気なく答える。どうやら何か機嫌が悪いらしい。


「こんなのの、どこがいいんですかね」少女はキラキラとする髪を引っ張る。「いたいいたい」忌々しく輝く髪を手の中に握るとグイグイと引っ張る。「やめてやめて」どうやら、原因は先程のワンワンレースの時の彼女のドヤ顔に腹がたったらしい。少女なりの勝算あっての提案だったものの、予想外の結果に加え彼女の態度がいけなかった。


「まぁいいです」拙い足取りで、遠くに明かりの見える。キッチン兼ダイニングスペースを目指す。いつもより見てわかるほどよろよろと頭が振れている。少し涙目になりながら彼女は少女の腰を支えた。「おもしろいワンワンですね」片足でつま先立ちをして、小さく一回転する。少女のフレアのスカートが水平に風を掴みクルクルと泳ぐ。


「あいつはな、昔。大型艦の上で出会ったんだよ」ふと遠い目でその日を思い出す。彼とその光を。「まぁやつのことはいい。今はあのバカの事が先だ」彼女が首を上げ、示す先からガラスの割れる音がしてきた。途端に少女の足取りが重くなる。躾の足りないワンワンを思い出した。


「~☀あ~☀」ダイニングに付くと“赤鬼”がテーブルにうつ伏せに体を伸ばして座っている。「あ~!!じゃないですよ!!」わざわざ持って来たのだろう。エタノールの入っていた大型のポリタンクが複数テーブルの下に転がっている。「こん!なに!飲んで!!!」少女の疲れは吹き飛び、大きく声を上げる。少し紫の瞳に黄身を帯びさせながら硬く握られた両こぶしがプルプルと震えている。


「あいつが少し羨ましいな」彼女は小さくこぼすと。背を向けて、立ち止まる。少し首を下げながら暗い通路を行き、淋しく通路を抜ける風に髪を広げながら静かに自室へと戻っていった。





「ほら、お水ですよ」後ろから胸を支えるように片手を伸ばし彼女の上体を起こした。少女のメイド服には上下に隙間があるため、彼女の体に密着すると少し腹が冷える。「ん~」テーブルの上に置かれた木製のコップに、頭を下げふちに少し噛みつくように反射的に水をすすっていく。視界がグルグル揺れ全体が白くかすみががっていく、強烈な倦怠感を感じる。


「姉さま」テーブルに力なくつぶれ、倒されたコップから水が広がる。少女はゆっくりと声をかけ、体を少しずつ揺さぶる。「姉さま」表情が先程見たよりも白い。呼吸も小刻みで浅いようだ。次第に彼女を支える手に重さが増していく。「姉さま!」彼女は力なく目を閉じ不規則に呼吸を続ける。


「大変。です」少女は体をすり抜ける力に身を任せ、崩れ落ちると石床に両膝を強打した。僅かに石にひびが入る。「だれか」衝撃で外れた足の艤装を付け直すと、通路を走る。紫の髪が水平に伸び風になびく。その扉の前へと。「飛行場姫さん!」勢いよく開けた。


「きゃぁつ!」彼女から小さく悲鳴が漏れる。室内はピンク色基調に彩色が施されており、ベットを模した作りの台に布団が敷かれている。その隣、壁に密着させた勉強机のような作業台の前に座っている。「今はお尻いじってる場合じゃないんですよ!」目に涙をためてうずくまろうとする彼女を無理やり立たせると、ダイニングへと足を向ける。


「どうしたのよぉ」足をふらつかせる少女を抱きかかえると、足早に通路を戻る。「姉さまが大変なんですよ」こちらも、目にはうっすらと光るものが。どうやら本気らしい。戻ると彼女がいつものワンピースでテーブルに伸びている姿が見える。


「おい。お前」少女を床にゆっくりと下すと、飛行場姫彼女の背中を軽く掌打しながら問いかける。「おい!」彼女は自発的に呼吸をしているようだが、飛行場姫は彼女が不定期に大きく息を吸い上げようとする姿に恐怖を覚えた。似ている。人の死に際と、と。しかし分からない。


「駆逐!アルコールの量は!」「40・・いや、60・リットルほど・・でしょうか・・・?」床に顔を向けてグスグスと少女は答える。少女も感じたのだ、多くの経験から。彼女のその死戦期呼吸を。はやる気持ちを抑え、飛行場姫は数千、数万の可能性を捉え、数本の道筋を導き出す。


人間でもあるまいし、たかがアルコール程度が深海棲艦を死に追いやるなど聞いたこともない。では、別の要素か。多量の水分が排泄された形跡はないうえに、体形の変化も見られない。では、水分は何処へと消えたのか。多くの可能性を捉え、超高速で取捨選択を進めていく。


――呼吸器だ。


「駆逐。これは賭けになるかもしれない。やるか?」彼女の瞳から色が抜け落ちた気がする。夕焼けの野を駆ける木枯らしのような寂しさを感じさせる。「やります!」しかし、少女は足に力を込めて、立ち上がった。「何ですか?」その瞳は未来をすでに捕まえたかのように輝いている。飛行場姫もまた、覚悟を決めさせられた。


「いいか駆逐。ただ、思い切り息を吹き込んでやるだけだ」


「“タコヤキ”を連れてくる。二人とも服を脱いで待っていろ」


「わかりました」不穏な発言に疑問を持つが、彼女の言うとおりに服を脱ぎ始め、次々と服をテーブルに放っていく。「いい子だ」彼女は体を少しふらつかせるように歩き出た。少女は戦艦棲姫の服を脱がすと横向きに床に寝かせる。やはり、状態は思わしくないようだ。


「姉さま」少女は彼女と並ぶように横になり体を合わせる。呼吸音のわりに、胸が動いていないように感じる。彼女の胸に顔を沈めると、そのまま腰を抱きしめるように両手を回しこむ。飛行場姫が戻るまでの間が、ひどく長い時間に感じられる。彼女が息を吸い上げるたびに、長い黒髪が床を舐めるように大きく広がる。



【【彼女たちには前例がない。生まれてからまだ、一人もこの世を去っていないのだ。彼女たちは無敵なのだろうか。老いもなく、体も多くを再生できる。しかし、酸素を必要とし、窒息もすれば死への恐怖もある。つまり、自らは有限であると本能が理解している。


人とは違い、経年劣化が訪れない彼女たちにはリミットが分からないのだ。それは今日なのかもしれず。あるいは半永久的に訪れないのかもしれない。老いのない恐怖は、彼女たちにその準備を許さないのだ。だからこそ、彼女たちはより結束する。だからこそ、より冷静に生きようとする。仲間と共に不確かな永遠を生きるために。】】



「またせたな」疲れ果てた表情ではあるが、その瞳は力強く輝いている。彼女の両肩の後ろに、全体は人間大ほどの大きさで、大きなギザギザの歯の付く口がある、モンスターのような顔が付いた球体が、複数浮遊している。「始めようか」戦闘中ではないため、いつもなら背負うように装着し両脇下から伸びる二本の滑走路のような艤装は付けていない。


「息を吹き込めばいいのですか?」横を向かせたまま、彼女の口に唇を近づける。「一度だけ、強く深くだ」彼女の予測が正しければ、行き場のない水分が呼吸器を圧迫しているのだ。吐き出されるエタノールの発火を懸念して、浮遊するタコヤキの口の中には限界量の海水が積載されている。「そいつは自ら死にはせん。お前を残してはな」


たとへヤケを起こしたとしても、彼女にはそこの愚図が少女を残して逝くとは到底思えない。これは完全に事故だ。つまり、基礎回復さえできれば、その愚図自身がどうにかしてくれるだろうと予測を立てる。問題は“水鬼”ではなくなった彼女が、どの程度までの負担を許容できるかだ。


「大きく、深くだ」少女は言われるまま、クジラのように深く多量の息を吸い込むと、大きく胸を膨らませた。そのまま、唇を重ね、強く力をかけながら息を吹き込んでいく。巨大な抵抗力を感じながら、彼女の胸をわずかに膨らませる。


「まだだ。もっと強く、深く!」深海棲艦と呼ばれたほどだ。我々はそれほど弱くない。自答しながら飛行場姫は口の中に乾きが広がっていくのを感じる。拳に力が込められる。両肩で口を上に向けたまま自立浮遊するタコヤキも事の推移を見守っている。


「今だ!離せ!」彼女の体が大きく痙攣するように脈打つと、戦艦棲姫の澄んだルビー色の瞳がはっきりと少女を捉えた。「姉さま!」「どいて」「ダメです」少女は彼女に体を抱くようにしっかりと掴み、腹部を圧迫する。促され、自発的に逆流する大量のエタノールが少女に注がれていく。吐しゃ物が彼女の紫色の髪を染める。


呼吸の回復により本来の強力な機能を取り戻した彼女は、怯えるように汚濁に満ちた少女を見つめるが、少女はただ、伸びる彼女の角を優しくなでている。「次からは、一人で飲んではダメですよ?」彼女の体を回転させ仰向けにすると、少女はのしかかるように彼女に話しかける。紫の前髪から、液体が垂れている。


「まったく、世話の焼ける奴だ」浮遊するタコヤキが、ふよふよと近づき直上で口をあけた。大量の海水で水平爆撃を次々と行っていく。「頭は冷えたか」飛行場姫もまた疲れ果て、海水の広がる冷たい床に寝そべった。床にはなだらかな傾斜があるため、海水は自動的に側溝へと緩やかに流れ集まっていく。


「まぁ、千切らずにすんでよかった」原因を高水圧による呼吸器の異常圧迫とエタノールの気化による、呼吸の阻害と睨んだ飛行場姫は少女の力が及ばなかった場合、体の開閉も視野にいれていたが、大事にはいたらなかったようだ。あのような状況であれば、“戦時”でもないので余計なリスクは極力避けたい。


「腐ってもこいつは“水鬼”だからな」うんざりするような気怠さに体を任せながら、背中をマッサージするかのようにゴロゴロと左右に揺れる。海水をくみ上げた銀色の髪が、床に広がり緩やかな流れに乗って側溝に向かいゆっくりと伸びて行く。





「あなたの作ったテーブル濡らしちゃったわね。ごめんなさい」戦艦棲姫は少女にのしかかられながら飛行場姫にボソッと囁いた。顔に垂れるは、海水か、涙か。「バカな姉さまですね」少女が口を重ね合わせる。彼女の口の中は体内の味が多くのこっているようだ。「そうだ。作れるものなら、また作ってやるさ」


「それで、あいつは何処へ突っ込むつもりだ?」何処か不貞腐れるように背中をゴロゴロさせながら続ける。「別に私の部屋でも構わんが」床をコロコロと転がり、裸で抱き合う二人に近づく。「機密性の高いホッポちゃんの部屋にしましょう」少女は絡める舌を外して言った。


「ほう?」「どうしてかしら?」飛行場姫に引っ張られ二人の間に転げ落ちる。両サイドからしがみつかれながら少女はステレオ音声を聞いている。両側から白い脚が伸び全身を海水に浸す全裸の少女の内ももに執拗に絡みついてくる。「はぁ」仰向けのまま大きく両足を開かれ固定されると、好きにしろとばかりに小さくため息をつく。「あそこ、一番気密性が高いし、色々と安全だからですよ」


「しかしなぁ。ホッポの奴で大丈夫かなぁ?」「そうね。あの子時々危ないから」二人の指が、少女の桜色の胸の先端をお互いがなぞるように動かしながら会話を続ける。「大丈夫ですよ可愛いわんわんですから」股を大きく開かされ、乳首を無理やり立たされるが、特に気にする様子もなく続ける。


「姉さまの所に置くと、毎日ムダに臭くなってそうですし、飛行場姫さんの所だと変な甘え癖が付きそうですし」飛行場姫の唇が少女の胸を吸い立てる。「私は姉さまの面倒だけで忙しいですし」戦艦棲姫が二本の角でツンツンと飛行場姫を押し出すようにしながら、胸に顔を伸ばしている。


「ところで、飛行場姫さんはお尻の続きしますか?」目を細め彼女の方へ頭を起こして顔を向ける。紫の髪が海水を巻き上げ、真っ直ぐに垂れたまま揺れる。「やだ!いわないでよ」不貞腐れた様に体を反対方向へとコロンと転がす。


「なーに?またケツアクメさんなの?」「姉さまは静かにしててください」首を動かし、そちらを睨むように言う。反射的に体がビクッと反応し角を垂らすように小さくなる。しかし少女の胸の先端を捉えた指は動かし続けている。


「何本ですか?」「・・3・ぼ・ん・・」背中を向けたまま小声で答える。「私は4本!」「なに張り合ってるんですか。バカな姉さまですね」白い手が彼女のスーツ越しにお尻をなぞる。「脱ぎますか?めくりますか?」彼女は無言のままモソモソとスーツを脱ぎ、そのまま無造作に今だ海水で濡れる床に置いた。


「4本ですか?」白い指先をゆっくりと当て、少女の白い肌色を反映させた爪がギザギザの入口をなぞり、カギ穴のように何度も半回転する。「5・ほん・・?」体を震わせながら彼女は小さく答える。少女の中指が彼女の出口をトントンと叩く。「いいですよ?」


「姉さまもですか?」黒髪を海水の残る床に浸しながら、仰向けに横になる彼女の太ももの間に少女の指が進んでいく。肯定するように頭が前後に動き何度も角を突き出す。「病み上がりなんですよ?」彼女は首をブンブンと振り黒い髪を踊らせる、床に円状の小さな波が広がっていく。「はぁ」


「しょうがないですね」仰向けのまま頭を石床に下ろす。「終わったら、今夜はゆっくり寝てくださいね」紫の髪を床に浸し、大きく広がらせながら諦めた様に両腕を動かし始める。「じゃあ、二人とも入れますよ」飛行場姫は再び少女の方へと体を転がすと、少女の片側のふとももを股で挟み込む。少女は背中側から手を回しこみ再びお尻を捉える。


両手で器用に片方は前から、もう片方は後ろから指を挿入させていく。中指と人差し指を挿入させて、半回転を繰り返しながらゆっくりと最奥まで出し入れを行う。二人の腰が逃げるように、追いかけるようにわずかに動き始める。


「はぁ」三本目の薬指が挿入される。「結構疲れるんですよこれ」少し速度を上げて指の腹に力を入れて掻き出すような動作が、彼女達の腰を大きく弾ませる。「じゃぁ4本目ですよ?」少女の白い体に両サイドからのしかかるように彼女たちは体を動かし、そのまま腰をくねらせ股間からの分泌物を少女のふとももに塗り付け続けながら両肩にしがみつく。


四本の指を固め、親指の付け根までを回転させるように何度も素早く動かすと、視界がぼやけ始めるような顔で二人が小刻みに小さく声を漏らす。少女の手首までが体液に浸され怪しく揺らめく。まるで暴れ馬に乗っているかのように、二人の白い腰が大きく不規則に動き回っている。


「五本です。いいですね?」楽しそうに目を細め、少女の口元が水平にわずかに開く。「知りませんよ?」二人は答えるように、目を瞑り両肩に強く抱き着いてくる。少女は強引に手首までをねじ込むと、力任せに体内を探る。


戦艦棲姫の体内で五本の指を開くと指の先端、第一関節までを折りカギ爪のように乱暴に搔き乱す。拷問のようにガチャガチャと暴れまわる手の動きに、彼女は体を回復させながら口からよだれを垂らしつつ首を大きく振り回す。目を大きく広げ声にならない声を出し、黒く長い髪がまるでモップのように床を這いずりまわす。


中指だけを真っ直ぐ槍のように突き出し、最奥を無慈悲に突き立てる。彼女の体が何度も脈打ち、少女の肩から離れ、釣り上げられ投げ捨てられた魚のように体を床にはねまわさせる。口から零れ出る泡が次第に大きくなり、やがて動かなくなった。


飛行場姫もまた少女の手首が深く侵入し、体内を深く探られる。少女は手を大きく開くと子宮を外側から手の内側に滑り込ませる。数センチを隔てて直接子宮を男性器のようにしごきたてる。彼女は下半身だけをブリッジをするように腰を上げながら少女のてのひらの形をわずかに腹に浮かばせ、瞳を最大にまで広げてパクパクと口を開閉させる。


激しい快楽が彼女から視覚や聴覚を鈍化させ、次第に世界を白く染め始める。少女のたなごころが彼女の腰を執拗に追いかけ、子宮をすり潰しながらの上下運動と時折指を突き刺すように掴み上げられる刺激が、彼女を何度も死の淵へのやり取りへといざなっていく。


股を何度も激しく開閉させ、股間を激しく上下に動かし、目から涙をこぼしながら首を振って大きく声を出す。腰を落とす度に少女のてのひらが腹に大きく浮かび上がり、そのまま腕を擦り動かされる。強烈な快楽から逃げるように腰を上げるとまた、力尽き腰を落とす。それは、戦艦棲姫が動かなくなるまで続けられた。


「姉さま」少女は片腕を戦艦棲姫の体内から引き抜くと、口に耳を近づける。疲れ果て深い睡眠をとるような長い息を確認すると、床に腰を落とし手足をもぞもぞと動かす飛行場姫に向き直った。「片手、空きましたよ?」何度もイキ続け、すでに満身創痍の彼女に、口元をほころばせながら紫の濡れた髪を揺らし膝立ちで近づく。


「あ・・うぁ・・」涙を左右に伸ばしながら、プルプルと首を振る彼女のふとももに、両足を乗せて固定する。「ダメです」一気に彼女の股に腕まで挿し込むと、その少し上の小さな穴から抗議の潮吹きを始める。少女は楽しそうにその潮吹きを腹で受け止めている。


拳を作り体内をゴリゴリを無思慮に暴れまわさせる。強靭な彼女らの体は強力な拷問のような動作すら耐えきらせてしまう。ゆえに少女は長く遊べるのだ。強力な記憶が深く堆積して中毒性を産むのか、少女は巧妙であり巧みに対象を追い詰めていく。そして、ギリギリの時間を最大限に作り出し植え付けるのだ。



【【深海棲艦と呼ばれた彼女たちは、インドの水精アプサラスのように、美しく、全てをかどわかし、性別を超え、惑わす。その最上位に駆逐棲姫が存在している。その経緯から少女は基本的には人に優しくないが、仲間が気になる者には寛大な配慮により、恩赦を授けることもある。ゆえに彼は今なお辛くも生存している。】】



「ぁ・ぁあ・・や・・・」ぐったりと目を閉じ、うわ言のように声を出すが、腰からはとめどなく潮が吹き出て、今も腰が激しく動き回っている。手の甲が上部を圧迫し無理やり潮を絞り出させ、それと同時に腸内からの手を体内で張り合わせるように密着させ大きく振動させる。「おや。もう終わりですか?」飛び散る液体が顔に掛かる量がいつもよりも少ない。


「疲れに気付かないほど、疲れていたのでしょうか?」両手を股からズボッと勢いよく引き抜くと持ち上がっていた彼女の腰が、石床に叩きつけれる。膝立ちでいる少女の裸体に全身粘性の強い液体がこびりつき、胸の間を辿る。股間に薄らと生える逆三角形の陰毛に粘液が集まり、先端からドロドロと垂らしている。


「あ。お願いします」ふよふよと近寄ってきたタコヤキが頭上で下を向き口を開ける。裸でビクビクと横になる二人の間に腰を下ろしアヒル座りに座る少女に海水が再び爆撃される。「いつも助かります」ギザギザに閉じられた白い歯にそっとキスをする。


「さて、と」立ち上がると、体が大きくグラつく。タコヤキが丸く膨らむと少女の背後に素早く回り込み背中を押し姿勢を支える。「ありがとうございます。大丈夫です」背中に手を回し、頭をなでるように引き離す。心配そうにふよふよと旋回していたほかのタコヤキたちも離れて行ったようだ。




17 アプサラスⅡ




「それで、こやつらはどうするのじゃ?」タコヤキを愛でるように艤装に収容しながら、極めて小さな体系の深海棲艦が入口に立っている。「ああ。“ホッポちゃん”ですか」びしょびしょに濡れカールするように垂れる紫の髪をゆっくり回転させながら、声の方へと顔を向ける。


白いワンピースを着た、インペリアルトパーズのような深く澄んだブラウン色の瞳がこちらを見ている。背丈は低く立ち上がった時の少女の胸元程度の身長しかない。小型の飛行場姫を思わせるが、細く透き通る銀のエンジェルヘア―を持つ彼女とは違い、こちらはホワイトライオンのような雄々しい白さを持つ長い白髪を携えている。


「楽しむのもよいが、そ奴らも疲れておるでな」ポテポテと裸足で白い足を動かしながら近づいてくる。「そうですね。とりあえずは乾燥室にでも」全身に力を込め、両脇に裸の彼女たちを抱え込もうとする。「ふむ。こやつはわらわが運ぼう」艤装を下すと、体から大きくはみ出させて、飛行場姫を抱きかかえるように持ち上げる。



【【アリューシャンに現れた北方棲姫は、実の所年長組ではあるがその体型から最弱棲姫と広く誤認されている。これは深海棲艦の拿捕を狙う輩から執拗に追跡されるが、常に戦艦棲姫が随伴して、敵を抑え込んでいたためと推測される。また、これを利用して北方棲姫本来の能力を活用して、多くの釣り上げられた戦力比を誤った部隊を単独撃破に成功している。


海底基地内でも彼女の幼女としての役柄が板についてしまい、体型のままの扱いをされているのではあるが、当の本人が楽が出来るならそれにこしたことはないというスタイルであり、大多数の深海棲艦にも潜水新棲姫とともに幼女として認知されている。


純粋なパワーバランスだけを考えれば、現在の海底基地の最大戦力は駆逐棲姫であり、続く戦力として戦艦棲姫、北方棲姫、飛行場姫と並ぶ。


人類側には、“双方の欺瞞工作”により駆逐棲姫の存在は秘匿され、最大戦力は飛行場姫、続く戦力として水鬼より弱体化した戦艦棲姫、北方棲姫として公式に認識されている。飛行場姫の作戦参謀のように振る舞う姿がより錯綜をよんでいるのだろう。


敵方がすでに戦力を大きく落としている飛行場姫をいつまでも基準にして作戦立案していたことが、深海棲艦側の大きなアドバンテージになり常勝するきっかけにもなっていた。艦娘付きの提督に覚えの少ない陸戦を強要する姿勢と相まって、戦線は一方的なこう着状態が続いた。


現在では、敵連合勢力は成果の上がらない進行・攻略作戦を放棄している。基本戦略として深海棲艦の絶対数の少なさに目を付け、大陸ごとに膨大な数の艦娘を配備し、専守防衛の籠城戦を展開している。彼女たちの勢力拡大には消極的な姿勢により、一部の主要島奪還作戦を除いては事実上の停戦状態が維持されている。】】



「やはり、二人だけでは負担が大きいのでしょうか」湿度の低いサウナのようなスペースにある長い石の椅子に、戦艦棲姫を横たわらせると背中を向けたまま少女が力なく呟く。戦艦棲姫と飛行場姫が主に、“深海前線”の維持を行っており口には出さないがかなりの負担がある事は想像に難くない。「そうさの」


北方棲姫もまた、飛行場姫を反対側の石椅子に横たわらせた。石椅子から零れ落ちる彼女の腕を丁寧に胸の上に戻す。「今宵は、わらわに任せておくがよい」「ホッポちゃんか、すまない」飛行場姫は、うっすらと、目を開けると全身の倦怠感から仰向けで天井の縦に倣うライトをぼんやりと見ながら言った。


「駆逐ちゃん。ありがと」戦艦棲姫は、持ち前の回復力で長椅子に裸のまま足を下し座る。「そうね。お願いしようかしら」少女は手グシで長い黒髪を絡まないように、真っ直ぐになぞっていく。「いたっ」「枝毛です」少女が摘まむ指をスリスリと動かすと、先端が別れた黒髪が指に擦られクルクルと回る。



【【人間数十人程度が入れる、横長の小規模なスペース。薄暗く、天井には入口から並列に並ぶ小さなライトがあり、細い鉄柵が格子状に付いている。中央には専用フックが多数あり乾燥させる必要のある艤装や、衣類などが干されている。


中央を挟み、石壁に沿って、発火の対策として石の長椅子が二つ並ぶ。上下に中の状態が見えるように、隙間が出来ている。入口の扉の内側には、エタノールげんきん!と書かれた貼り紙が、駆逐棲姫の愛らしい顔と人差し指を立てて注意するような仕草のイラストと共に貼られている。】】



「ホッポちゃんが出るんですか?」「今宵は雲も低く、声を出す程度ならわらわでも安心じゃて」艤装から、ギチギチとした白い歯が見え隠れする「こ奴らもおるでな」タコヤキの頭をポンポンと撫でながら言う。


「ん?」体の振動を覚え、北方棲姫は入口に目を向けた。「どうした?」駆逐棲姫のイラスト付きのドアが開かれ、その前に潜水ソ級が立っている。潜水用の艤装は付けていないので容姿は少し背の低い戦艦棲姫と言ったところだろうか。しかし、その瞳はブルーダイヤの如く深く冷たい。


「え?不審艦?」戦艦棲姫が答える。海上に、上部を黒く塗り海面下は深い紺色に塗装された巡洋艦ほどの大きさの艦が一隻。深海前線圏内に向けてこちらの直上を通過するコースで微速前進しているらしい。「私は知らないぞ?」三人の視線が飛行場姫に集中する。「家のご用達ではないはずだ」コロコロと背中を転がすようにしながら不貞腐れるように彼女は答える。


「なんじゃ、また痛めたのか」コロンと転がり背中を見せる彼女に、北方棲姫は細く小さな指で背筋をなぞるように、指を下から押しながらゆっくりと首筋まで動かしていく。「年甲斐もなく無理をしよってからに」「あんたに言われたくないわよ!」キャァキャアと首を動かし抗議するが幼女の指に体を任せる。


「え?不審艦が攻撃を受けているのですか?」「おかしいわね」駆逐棲姫と戦艦棲姫が訝し気に言う。通常であれば、取り合えず沈めてしまえば良いのだが、状況を判断し辛くわざわざ相談に来たのだろう。


「分からんが、罠かもしれん。ほっとけばいいんじゃないか?」「しかし“無事に通行できる”前例を作っては良くないのじゃが」「それを含めて二重の罠なのだろう?」飛行場姫と北方棲姫が事態の分析を始める。「来なければ良し。来ればなお良しの二段構えだ」飛行場姫はニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべ始める。


「ほう。追撃は足の速い駆逐艦が4隻か。いずれも大本営属の。艦娘は艦載されているのか?」わからないが気配はないと彼女たちは答える。「久しぶりに人間相手か」飛行場姫は背中をさすりながら、楽しそうに目を細めた。「ああ。いつ以来だろうな?」誰に答えを求めるでもなく。一人思いにふける。「だとすればわらわでは荷が勝るか」


飛行場姫の様子を見るに、やはり先日のダメージが大きい。戦艦棲姫もまた反復出撃をこなし疲労は多い。確認してはいないが、“潜水艦”による同時攻撃もありうる。地上組の話では、ステルスとして潜水艦の“箱”に積載された艦娘が、基地直前で自爆したその潜水艦の中から、蜘蛛の子を散らすようにわらわらと湧いて出て来たとの話しがある。


「のう駆逐。おぬしたまには“羽を伸ばして”きてはどうじゃ?」彼女の発言に室内の空気が変わる。「だめよ?また捕まったら、どうしてくれるのかしら?」「今のこやつを捕らえるのは貴様でも無理じゃよ」ブラウンの瞳を細め、戦艦棲姫を威圧する。


「それに、コレが知らんと言うのであれば、どれも沈めて構わんじゃろ」飛行場姫を背中向きに押し倒し、馬乗りになると両親指でゴツゴツと背中を押す。「知っておろう?駆逐の疲れの原因に、過度の禁欲によるストレスがある。駆逐はお主の“鬼”を飼っておるでな」遠く前、壁の遥か先を見ながら北方棲姫は呟く。


「のう。駆逐」北方棲姫は石床に降りると、小さな白い脚を動かし、駆逐棲姫に近づく。「わらわも疲れた」白い手が伸び、少女の手を優しく包む。「そろそろ、世代交代じゃ。お主と、上の連中に任せてみたいと思うでな」その瞳は濃く、上質な紅茶のようなブラウン色を示す。


「今朝は赤潮が出ておってな。外に出て夜光虫も見れればキレイじゃぞ?」そこに居合わせた全員から、少女に視線が集中する。言葉に詰まる少女を助けるように「あ~あ。私も疲れたなぁ」細く伸びる白い脚をパタパタを動かし言う。「駆逐ちゃん変わってくれるかしら?」「ああ。私も腰が痛くて動けないようだ。すまない」「わらわ。幼女ゆえ。重火力相手はちと手に余るのう」いたずらに片眼を細め、少女に笑いかける。


「私は、姉さまの面倒だけで忙しいのですが」乾いた紫の髪が温風に乗りふわふわと動く。「皆さんがそう仰るのであれば」両ももに力を込めて、石床に降りる。少女の脚が、艤装が答えるように力強さを増していく。「む」北方棲姫の艤装から様子を伺うようにタコヤキが顔を出している。「なんじゃ?」一つ取り出してやると、小型化しふよふよと少女の周りを旋回する。


「一緒に行きますか?」「そうだな。お前の随伴はそいつくらいしか無理だろうしな」飛行場姫が手にタコヤキを乗せる少女を見ながら言う。「自立では精密攻撃や航空戦は無理だが、高高度偵察くらいには役立つだろう」やる気の表れか、何故か赤く色を変えた一つのタコヤキに、飛行場姫は寝取られたような気持が芽生えムスッと続けた。


「ブリーフィングの時間は作れなそうだが、せめてわらわの食糧庫から必要分を食べていくとよい。おぬし草食動物ではあるまい?」「ありがとうございます」少女は紫の髪をふわふわと揺らし乾燥室から出て行った。


「すまんが、出来る範囲で駆逐の随伴を頼む」居合わせたソ級。様子を伺っていたヨ級に北方棲姫が頭を下げる。「何かあれば総がかりで出撃するゆえ、有事の際はくれぐれも伝えておくれ」「そうね。何を考えているのか知らないけれど。ちっぽけな列島の一つや二つ簡単に沈めてあげるわ」戦艦棲姫の赤い瞳が怪しく歪む。その姿はソ級、ヨ級の体を身震いさせるほどだった。


「あやつは奪還する価値はないのじゃろう?」「そうだな。殺そうとしていたくらいだし」「ではやはり、罠かの?」ブラウンの目を細め、小さな指が白い髪を垂直にほぐしながら言う。「敵もまさか駆逐の奴が出てくるとは思わないだろうなぁ」コロコロと背中を石椅子に擦りつけながら、ニヤニヤと笑う。「気の毒な奴らだ」


「楽観しすぎよ?私、駆逐ちゃんに何かあれば、この星と無理心中するわよ?」「やめろよ」淀んだ赤い目を細め二人を睨みつける彼女に、間髪入れずに飛行場姫が答えた。「お前のは冗談に聞こえないんだ」「あら、どうかしら?」石椅子から立ち上がり、乾いた黒く長い髪を手で大げさに舞うように広げると、そのまま乾燥室を出ていく。


「あやつの過保護はどうにかならんもんかの?」「怒らせた駆逐ほど怖いものもないんだけどなぁ」二人は疲れたように顔を見合わせた。「おぬしらも食べていくとよい。場合によっては、しばらく食べられなくなるじゃろう」入口付近で棒立ちしていた二名に、飛行場姫の長く細い髪を真っ直ぐにほぐしながら優しく言った。





少し風がある月夜。低く暗い雲が海の暗さを増し、夜光虫が海面を仄かに明るく照らす。前後左右パノラマに広がる暗く深い海は、騒めくように紫の髪とシトリンの如く黄色い瞳を持つ少女の足裏を支えている。いつもの黒く短いセーラ服が闇夜に交じり、少女の肌に黒と白のはっきりとしたコントラストを作り上げる。


「ああ。ありがとうございます」食事中に先行してくれていたソ級とヨ級が前方V方向に広がり、水平線手前で防水加工された光源を手に持ち針路を照らす。何年ぶりかの実戦であり極力消耗を避けるための配慮だ。「あなたはここへどうぞ」少女は胸元の服を引っ張ると、小ぶりな胸の谷間にタコヤキを格納する。「潰れないで下さいね?」


少女は月光が雲を抜け斜めに降り注ぐ海の上、両手を大きく後ろに伸ばし伸びをする。足の接合状態を再確認すると、進行方向へ向かい海水にくるぶしまで足を沈める。「では、久しぶりに羽を伸ばすとしましょうか」海面に浸された足から、つがいのヒレが伸び海面を舐める。



【【フィンスタビライザーと呼ばれる船の翼は、本来は船体の姿勢を制御するための物であるが、少女の携えるそれはさらに多くの用途に利用される。航空機の高揚力装置のようにも動くそれは、脊椎反射の如く反応し少女の速度に良く答える。


捕まらないようにするにはどうするか?捕まらないほど強くすればいいとの単純なコンセプトから生まれたこのシステムが、結果、少女を深海棲艦最強に作り替えた。少女に渦巻く深い怨念が力を生み出し、分解吸収した戦艦水鬼と駆逐棲姫自身の二人分の心がこれを抑え込んで力を行使している。


小火器を用いることもあるにはあるが、少女にはもはや武装はいらない。少女自身が武装であり。その速度こそが最大の武器である。】】



「果敢積極機先を制し、敵を粉砕せずんば已まざるべし」飛行場姫が良く口にしていた言葉が自然と滑り出てくる。少女の口から。“駆逐水鬼”の口元から。瞬間スカートが大きく上昇気流にもまれめくれ上がりながら大きく踊る。紫の髪が重力と拮抗し水平方向へとその手を伸ばしていく。「夜の闇はね。とおっても怖いんですよ?」


少女が滑り出した。蠢く海面がざわざわと光る。雲が熱くなり、深い闇の中、はるか先に揺られるように光源が見える。10ノット。20ノット。50ノット。少女が水鬼であることを前提にした超加速が、後方に水しぶきを上げなら、少女をを前方に強く押し出す。フィンスタビライザーは順調に機能し前方に傾斜する体を飛び上がらせないように正確に海水を支配している。


100ノット、200ノット。爆発的な加速が後方にV字型に風の谷を伸ばし中心に乱気流を作る。小竜巻のように少女の後方に海面を暴れさせる。「怖くて。。怖くて。。」100ノットほどのころから少女の体に掛かる風が消える。駆逐水鬼は戦艦棲姫の得意とする低周波を使役し負担は大きいが前方に傘雲のような空気の層を作り上げている。


500ノット。空気圧の過負荷から逃れた少女の体には更なる加速力の権利が得られる。数分で針路を照らしていた彼女らを追い抜き、その進行方向へと更なる加速を行う。黄色い目を細めその瞬間を楽しむように待つ。600ノット。ここへ来てその加速力が衰え始める。代わりに前方が赤く歪み始めた。


「潰れていませんか?」前方を見ながら谷間でコロコロと動くようにもぞもぞしているタコヤキに話かける。速度は650ノットに差しかかり、前方がついに発火した。中心から渦を巻くように広がる赤い光源が少女の瞳を照らす。超圧縮された空気の層が音速に接触し燃えがったのだ。


対気速度マッハ1。少女の艤装はもはや体の一部であり、非公式ながら全生物上、世界第二位の速度をマークする。公式記録では第一位は1,316km/hをマークしたハエであり、こちらは単独にしてマッハ1.1の速度である。いかに深海棲艦と言えど、その強靭な体を持ってして、音速の前後が速度の限界であった。


「ふうん?どうしてでしょうね?」強烈な速度で近づく“火の玉”を彼方に観測した駆逐艦は全艦で一斉反転を行い当海域からの離脱を始めたようだ。しかし、件の不審艦は黒煙を上げながらも針路を固定している。単に舵をやられただけの可能性もあるにはあるが。


「撃って来ませんね。なんでしょうね」相手が巡洋艦であれば既に有効射程圏内に入っているはずだが、攻撃が来ない。あるのは逃げ始めた駆逐艦からの後方へのけん制主砲射撃だけだ。訝し気に思いながらも不審艦から距離を空け、引き波の影響を少なく通過する。その際にも甲板員からの射撃もない。


「いってらっしゃい」胸元から取り出したタコヤキを空に流すと一気に後方に離れていく。膨らみ威嚇するように不審艦の方向へカチカチと歯を鳴らして近づいて行くが上空を旋回するタコヤキにも一切の攻撃が加えられないようだ。「不思議ですね?」少女の黄色い瞳が前方を捕らえ怪しく光る。「そうです。よく狙ってください?」


甲板上から伸びる複数の赤い線が少女の前方の火球を捕らえた。バラまかれたミサイルの束や、海面近辺を浅く威嚇するように爆発する爆雷が、少女への針路変更を強要する。「ダメです」不敵にも真っ直ぐ前進を続けた少女はついに駆逐艦の舷側スレスレを通過する。


一隻の駆逐艦は鈍い地響きのような音を上げ、側面の装甲が内側に捩じり曲がり多量の海水を侵入させ傾斜を始めた。続く3隻目に狙いを定め、その火球が通過するさいに片側を大きく削り取る。破損箇所が海面から高く浸水はしていないないものの、こちらは内装に着火したらしく、中の者が滑稽にも切れ目から家財を投棄しているようだ。


「なんとも脆いお船ですね」高速で通過した少女は、大きく距離を取り両足をスキーでカーブするようにそろえる。400ノット程度に速度を落とし、火球が消えると大きく旋回して再び針路を駆逐艦に固定した。瞬間視界が揺れる。やはり不慣れな最大稼働は長時間続かないようだ。紫の髪が水滴を光らせ後方に大きく広がる。


「もう少し撃たせないと、ですね」少女の狙いは新しい漁礁の確保であり、そのためには危険な爆発物を極力消耗させたい。最大深度150M程度ある大陸棚上であるため海底には遮蔽物が少ない。ここに上がってきた深海魚などを住み着かせる予定だ。「そうです。もっと撃って下さい?」誘うように低速で前進し、周囲に大きな水しぶきが上がる。


随伴していた、ソ級とヨ級もやがて追いつき、海底からジャミングを行い強制的に通信を途絶させる。飛行場姫の対航空攻撃に特化されていたであろう対空兵装は、海上を突撃してくるだけの少女を止めることは難しい。揺れ動く波を台に時折少女が高くジャンプを行うと、つられるようにランチャーからミサイルが吐き出される。


「これで終わりですか?」少女は両腕を頭の上に大きく伸ばすと、飛び上がった姿勢から海へと深く早く潜る。魚雷のように泡が体を包み、高速で前進していく。ワザと必要以上に泡を立て、爆雷を誘う。駆逐艦が自爆をかえりみない浅い深度で、次々と爆発を起こさせている。ついに衝撃が少女を捕らえ海上に弾き出した。二隻の健在な駆逐艦が針路を大きく変え少女に回り込む。



【【深海棲艦が現れて以来、新設計の艦艇は対艦戦を想定しておらず、舷側の装甲を削り取り昔の帆船のように多くの砲塔が側面に設置されている。一部では装甲が開き、人が直接射撃できるようにもなっている。


これは従来の艦船では下方に回り込まれ、その巨大さが災いし、一方的に攻撃を受けたり、誤射による同士撃ちを行うなど混戦を極めた事から教訓を得ての再設計である。また対象が小型かつ高速であるため近接信管の信頼性が薄く、旧来の時限設定式の炸裂弾が採用されている。


砲塔が一定数の大きさからは、ファイアーワークスの名で設計された新型弾頭が搭載されており、弾頭内部に子爆弾が内蔵されている。上空に撃ちあげれば花火のように広がり、前方に打ち出せば本体の爆発後に扇状に広範囲に攻撃が届く。さらに小型化された歩兵用の迫撃砲があり、こちらの弾頭にもファイアーワークスSが採用されている。


ファイアーワークスSの射程距離は弾頭の重さから短く、条件次第では1km届くか届かないかの至近戦になる。しかし、肉弾戦を好む深海棲艦は多く、数さえそろえれば面攻撃により多くの場合“撃退”に成功している。屈強な兵士二人がかりで運ぶ代物ではあるが、人の扱うもっとも信頼性の高い兵器の一つでもある。】】



打ち上げられた体を羽を広げ空中でスピンをするように姿勢を直す。少女の黒いセーラー服が探照灯に追いかけられ、複数の艦からのライトが交差するステージの中央で、少女が笑う。紫の髪から海水をほとばしらせ、着水と同時に左右に滑るように迫る火線から体を逸らす。回避のために100ノット程度に速度は落ちているが、それでも脅威の速度であることに変わりわない。


「あら、花火ですか」少女の前方方向上空にファイアーワークスが打ち上げられる。全周囲に爆発し小さな子爆弾の雨を降らす。「まだこんなものに頼っていたんですね」飛行場姫のタコヤキ対策としても効果の高い兵器ではあったが、弱体化している飛行場姫すら沈められない貧弱さだ。「お可愛い事です」


「腰を痛めた飛行場姫さんなら当たりもしたのでしょうが」少女は足を海上に戻すと、深海棲艦おなじみの戦闘スタイルで1海里ほどの距離を保ち駆逐艦群からの攻撃を誘う。4隻から果敢にも打ち出される花火が夜空を飾り、降り注ぐ“火の弾”の中を少女はクルクルと回るように回避している。


追いかけられるライトの中、火の弾は時に少女の頬を擦り、服を焦がし、左右になびく紫の髪を短く変えていく。頃合いを見計らい、太ももにガーターベルトのように付けられた信号弾に手を掛けると、暗い夜空に一筋のオレンジの閃光が昇っていく。少女は再び海水に足を沈めた。


「闇の中で沈んでください?」降り注ぐ花火がついに大気バランスを崩し雷雨を呼ぶ。雷鳴が波を渦巻かせる。少女の元より短かった衣類をさらに短くさせた紫の下着が上下とも多く露出している白い体を、まるでダンスホールの如くなんどもフラッシュする。


浸水していた一隻は、戦列から大きく脱落しすでに置き去りにされていた。残る三隻に再び距離を空けるように加速を始める。「やはり艦娘の気配がしませんね?」ソ級とヨ級に海底の潜水艦の捜索を指示したのだが。特に返事もない。「本当に何でしょうね?」駆逐水鬼の意向に合わせて、駆逐艦の艦底を舐めるように潜水組が遊泳し、残る爆雷の消耗を強要する。


「さて終わりにしましょう?」接敵から数十分。少女は余りに不甲斐ない敵勢力に飽きてしまった。「花火はキレイでしたよ?」400ノットほどに達したとき、大きく弧を描くようにカーブをしながら反転し、火球の速度まで加速する。残る駆逐艦の側面がすべて開き、中に立つ人が悲鳴を上げるように赤い光の線を飛ばしてくる。


逆巻き荒れる海面に赤い火球が滑り、何かを喚き散らしながらファイアーワークスSを火果敢に兵士が撃ち込んでくる。少女は口元を水平に小さく開くと、戦列の先頭から艦の側面をえぐり取る。次々と傾斜浸水する艦に合わせて、脱落していた艦も“無事に”沈められたようだ。


爆発を起こさず回転するように浮力を失い沈んでいく。甲板に乗せられた弾薬がコロコロと海にばらまかれていく。パラパラと人が零れ落ちオレンジの救命具を付けプカプカと浮かび上がる。海面をゆうゆうと歩く少女に恨むような、すがるような視線が集中した。「追撃は断乎として飽く迄も徹底的なるべし」彼女が、飛行場姫が拾った言葉が巡り巡り彼らに戻ってくる。


「お庭に入ってきた害虫はどうしますか」大きな声を出し両手を広げゆっくりと回る。深い闇の中黄色い瞳が揺れ、雷鳴が少女のシルエットを照らし出す。凍えるような寒気が世界に広がる。「増える前に駆除しないといけませんよね?」艤装の力を抜き体を海に沈め、首だけを揺れる波に浮かべる。ゆっくりと浮かぶ者たちへと近づく。


恐ろしい力で衣類を剥ぎ取り、力任せに次々と沈めていく。「お友達のご飯の時間です」勢い強く白い体のサメが、荒れ狂う海面に一斉に飛び出した。体温を海水に合わせた少女の周りにグルグルとサメの群れが旋回を始める。近づく一匹のサメの顏の先端を撫でてやると楽しそうに海へと沈んでいった。


潜水組により、低周波と“エサの人”で誘引されたサメの一群が、沈められた人の塊に殺到する。「人は食べる所は少ないんですから、飛び上がるほどエネルギーを使ってはだめですよ?」別のサメが少女の体にベタベタと冷たい体をすり寄せてくる。「ありがとうございます」ソ級が顔を出し、呼吸器のようなものを手渡してくれた。


「エッチなサメさん。あなた奥さんいるでしょう?」エコーのように低周波をとばし周囲を確認すると身重のサメが様子を伺うように旋回しているようだ。少女の指がオスの突起を摩ると海面から顔を出しカチカチと歯を鳴らしている。「メッ」指で弱点である顔の先端を弾かれると子犬のように尾を振りサッと逃げ出した。



【【深海棲艦が餌付けして、事実上飼育されているこのサメの一団は、本来の原住民であり海底工事の際に個体数を減らさせてしまったために、時折人などを与えて保護をしている。鮫とは読んで字の如く性交を行う魚でありまた知能も高い。グループ単位での行動を熱心に躾けたため大型のシャチの群れと遭遇した際にもそこそこ縄張りの維持が出来るようになった。


潜水組が“原住民”同士の争いの仲裁を行っており、低周波や特殊な音響爆弾を駆使してシャチ・クジラ・サメそのたの大型水生生物の対立の激化や直接の大規模戦闘を回避させている。その活動は海底警備隊と言ったところだ。


熱心に捕食するグループが増えた事により小魚などから抗議の声が上がる前に、戦艦を漁礁にするべく当海域に原形を留めさせたまま数多く沈没させている。ただ沈めるだけよりもその負担は大きく統治者のジレンマの一つである。


余談ではあるが、その食物連鎖の最上位に君臨するのは戦艦棲姫である。彼女の遊泳中は治外法権であり彼女に見つかった生き物は瞬く間に捕食される側に変わる。彼女の独特な低周波を検知するやいなや一目散に全ての魚が当海域から離脱したり沈船の漁礁に隠れるのだが、哀れにも迷い子のように浮上してくる深海魚にはその知識はない。】】



赤く変わり始める海水に、顔を付けゴボゴボと気泡を吐きながら海中に潜ると、躾けられゆっくりと近づくサメたちがガブガブと沈められた人間にかじりついている。どこか不満気なのは少女の気のせいではないだろう。


「もっと肥えたのはたまにしか捕れないんですよ」ここでは基本的にただでさえ可食部の少ない人間が、さらに絞りあげられ筋肉繊維の多い個体ばかりが捕れる。「弱らせてあげますからゆっくり食べてくださいね」海上に逃げ出そうとする裸の人間を捕まえては、打撃を与え弱らせ沈める。


バカみたいな個体数だけはある人間よりも、本来ならばアザラシなどの油分の多い肉を与えたいところだが、あいにくこの温帯では確保は困難だ。艦娘も与える前に戦艦棲姫が食してみたのだが、生き物が消化できる素材ではないらしく、彼女ですら吐き戻す事態になってしまった。処理にすら困る艦娘とはどこまでも厄介な存在である。


「食べたらすぐエッチですか?しょうがないおちんちんですね」美味しくないエサを完食したご褒美を貰おうと、オスのサメが少女の白い体に黒いセーラ服越しに腹部を擦りつけてくる。少女は火傷をさせないように意図的に体温をさらに下げると、両足を回しこみふとももで2本の生殖器を挟み込みながら尾びれにしっかりと絡みつく。


2m以上はあるオスサメが、血のしたたるグロテスクな口をパクパクと開閉させ根元を両足でホールドされた尾びれを犬のように激しく振り動かす。暗い海中に多くの気泡が生まれる。呼吸器を外すと抱き着くサメの腹部にそっと噛みついた。口で姿勢を固定すると太ももで挟み込んだ生殖器に素股をしてやりながら、両手を広げ尖る先端部分を両手で激しく手コキする。


噛みつき行為は本来オス側が行うものであるが、体格差もあり少女が固定の為に行っている。この海域の多くのオスサメの腹部には戦艦棲姫以外の深海棲艦の歯型が複数存在している。駆逐棲姫が最も人気があり、他のメスと性交中のサメですらメスを投げ出しておねだりを始めるオスが現れるほどである。


何だか今日は忙しいですね。事の発端であるわんわんを思い出すと少しうんざりとするが、戦艦棲姫が気に入っているようなので、仕方ないからしばらくは一緒に面倒を見てやるかと気持ちを持ち直す。足の翼を格納すると、瞳の色が紫に戻り始める。少女に柔らかさが戻りオスサメが喜ぶように腹部をさらに擦りつけてくる。


はいはい。良い子にはご褒美ですよ。ご褒美用の緩い低周波でトントンとサメの体を振動させながら腹部に甘噛みをする。太ももの押さえつけと巧みな指の動かしで2本同時に性交を経験させてくれる少女の腕前は経験豊富なオスサメさえも5分と持たずに少女の指の中に多量の精液を放出させる。


拡散する出力の低い優しい低周波はご褒美の合図と躾けてあり、様子を伺うように人懐っこく腹を見せて、少女の周りを順番待ちをするオスたちがグルグルと周囲を回っている。順番を待ちさえすれば、鼻を虐められることはないので素直に待っている辺りが可愛く、すぐに喧嘩を始めるシャチ達よりも少し少女には贔屓にされている。





1時間近くオスサメ達の相手をすると、今だ雷雨の続く海上に少女は顔を出した。「燃費が悪いですね。少しお腹がすいてきました」雨で精液の付着する体を洗い流す。少し焦げて短くなった肩ほどの高さの紫の髪は、ストレートに垂れ顔にべったりと密着する。首を振って髪を広げた。


「ああ。タコヤキさん。どうでしたか?」上空を風にもまれ旋回していた赤いタコヤキが小型化し少女の肩に降り立った。雨も落ち着きを見せ始め、薄まった雲の隙間からわずかに星の光が降り始める。肩のタコヤキを摘まみ、胸の中に格納する。


いつでも羽を開けるように体制を整えながら、いつものゆっくりとした巡航速度で不審艦に近づいて行く。引き波もなく停船しているようだ。水を得た紫の髪が僅かに後方へと伸びる。海面を滑りながら適度に当たる夜風が心地よい。「おや?」接近すると探照灯のようなスポットライトが少女を捕らえた。目を細め自然と艤装に力が込められる。


続き、ライトが船尾を照らす。その先に視線を凝らすと、マストに高く掲揚された旗に見覚えのある顔が描き出されている。「ああ。潜新ちゃんでしたか。わんわんは関係なかったんですね」先日捕獲した提督を利用した、何らかの作戦行動と予測していたが、当てが外れたらしい。追っていたのが人間だけの駆逐艦というのも合点がいく。


「とは言え」少女は、潜水組の肩を足場に借りて高くジャンプする。「警戒しない理由にもなりませんが」羽を開き乱気流を作り、鋭く空中でスピンしながら、月光を背景に水しぶきを派手に飛ばす。着地前に翼を格納すると、新体操選手のように華麗に不審艦のデッキに降り立った。艤装の足の衝撃でデッキに少し歪みが出来る。


「こんばんわ?」顔をこわばらせる数名の青年兵士に向かって、紫の瞳の少女は無機質に笑顔を向けた。日の出までまだ3時間ほどあり、深い闇と温かい風が甲板を滑る。少女の後方には胸の谷間から飛び出た赤いタコヤキが威嚇するようにカチカチと歯をならしている。



後書き

「んぁ?・・・ん、今、連装砲ちゃんとお話したの。ふぅ・・・だって退屈なんだもん!」

    / ̄ ̄ヽ
    |(_LLLL)
    ノノリ゚ヮ゚ノリ
   ((⊂<大>つ
     </_LL>
     UU




「零式艦戦は優れた戦闘機だ米軍の戦闘機など問題にはならん」

      彡 ⌒ミ
     〔p´・ω・)〕
fヽ、_,,..-モk/つ¶⌒lヽ 〃ヾ
t∠ィ    ,ー ッ  /(( ,))
    ̄`'' ∠ニ=-'゙‐─ 一 弋彡




 チハタンばんじゃーい
   ___
  ヽ=☆=/
  ∩・ω・)∩
  ヽ工二工Zフ
  ||志|L|==o
匚E/二/二二丘E戸=ヽ_
(◎~O~~~~O~◎)三)-)三)
ヽ◎◎◎◎◎ノ三ノ-ノ三ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄








うるせえ
オスプレイぶつけんぞ!

―=▲=― ―=▲=―
 〔ニ|_n__n_|ニ〕
  U ̄UTロロTU ̄U
   (⌒(|〇|)⌒)
   / /  ̄ ̄||
  / / Λ_Λ/ /
  ||(´Д`)/
  \    ソ
   |  /lヽlヽミ
   /  / (   )
  |  | と、 |
       しーJ
   やめて 壊れちゃう




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SS好きの名無しさんから
2019-06-26 00:43:36

SS好きの名無しさんから
2019-06-03 13:25:21

歩提督さんから
2019-04-02 11:03:00

名前のない戦艦さんから
2019-03-25 23:51:46

SS好きの名無しさんから
2019-03-22 22:19:13

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2020-11-29 18:48:37

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歩提督さんから
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名前のない戦艦さんから
2019-03-25 23:51:49

SS好きの名無しさんから
2019-03-17 23:52:54

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3件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2019-06-03 13:25:38 ID: S:W8Q9vD

続きはまだですか
風邪引きそうです

2: Fry-Hopper 2019-06-25 15:37:23 ID: S:a1nonB

ハーメルンに浮気してました ><

3: SS好きの名無しさん 2020-03-25 15:02:16 ID: S:Nq6LoN

つ´・ω・`) Fryhopperだけど、なぜかログインできなくなってたので、続きはハーメルンで掲載されてます。


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1: SS好きの名無しさん 2019-04-02 18:48:28 ID: S:l9T3Yg

びっくりするほどユートピア!!

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