2019-04-23 20:09:48 更新

概要

時雨と付き合いたいから書いた。
若干のキャラ崩壊が含まれます。
2本に分けようとも思ったんですがまとめちゃいました。


 一人の男は、いつも通りに駅につき、近道の路地を通っていた。


 すると、


酔っぱらい「いいだろぉ~一緒に遊ぼうぜ~」

?「離してよ!」


酔っぱらい「そう言うなよ~」


 と、一人の少女がからまれていた。


男「うわ、めんどくさいなぁ…」


 細い路地なので、無視して進むわけにもいかない。戻ると結構な遠回りになる。


男「どうしょっかなぁ…」


 と、少女の顔を見た瞬間、男の心から、何かがわき上がってきた。


男(何だ…これ…なぜか、あの少女を…助けないと…いけない気が…する)


男「あの~…」


 男は酔っぱらいに声をかける。


酔っぱらい「何だよお前~」


男「嫌がってるみたいですよ、やめて上げましょうよ」


酔っぱらい「うるせぇ!」ビュッ


男「がっ!」


 男は殴られ、後ろに倒されてしまう。


酔っぱらい「この野郎!」


 酔っぱらいが俺を踏もうとしたそのとき、


?「」ギラッ


男「!?」


 男の目には、急に表情が戦士のように変わった少女が映った。


?「ふっ!」ドスッ


酔っぱらい「がっ…」ドサッ


 酔っぱらいは前に倒れ込む。


男「うおお!」


 男は倒れこんできた酔っぱらいをなんとかよける。


?「おっと、大丈夫だったかい?」


男「は…はい」


男(何だろう…かわいいけど…なぜか…初めてじゃないような…)


?「えっと…立てるかい?」


男「は…はい…あっ」フラッ


?「おっと」パシッ


 少女は男を支え、肩を持つ。


?「悪かったね…僕のせいで」


男「…いいえ、そんなことは。それよりも、お強いん…ですね」


?「そう…かな?ありがとう」


男「お陰で助かりました」


?「そんな、こっちこそ迷惑をかけて悪かったね。お礼に家まで送ろうか」


男「いえいえ、そんな」


?「そんなこといって、まともに立てないだろう?」


男「う…」


?「そうだ。自己紹介が遅れたね。僕はし…」

 時雨は、『白露型2番艦時雨』と名乗ろうとした。


 しかし、なぜか言えなかった。心の中で、「この人とは普通に接したい」という感情がわき上がったからだ。


時雨「えっと…時雨だよ」


男「珍しいですね…名字ですか?」


時雨「ああえっと…山上時雨。これがフルネームだよ」


 時雨はとっさに思いついた名字を付けた。


男「あれ、名字同じなんですね」


時雨「あれ?そうなのかい?」


山上「はい。僕は山上萩雄といいます」


 そのとき、時雨は感情が一気にわき上がってくるのを感じた。


時雨(何だろう…これ…この…胸がドキドキして…熱くなって…)


山上「大丈夫ですか?顔が赤くなって…」


時雨「ああ…ごめんごめん。何か、急にね」


山上「体調悪いんじゃないですか?」


時雨「多分…大丈夫」


山上「病院…行きますか?」


時雨「いや、この時間じゃどこもやってないだろうし、君の家にお邪魔してもいいかい?」


山上「えっ?」


時雨「君も送りとどけたいしね」


山上「汚いですけど…」


時雨「いや、構う必要はないよ。少しお邪魔したらすぐに帰るさ」


山上「分かり…ました」


          ※


山上「ただいま…」ガチャ


時雨「お邪魔するよ」


山上「やっと着いた…まだ少し頭が痛い…」


時雨「早く寝た方がよさそうだね。布団をしこうか」


山上「ありがとうございます…」 


          ※


山上「ふう…だいぶ楽になった…」


時雨「良かった…さてと」


山上「どうしたんですか?」


時雨「夜ご飯でも作ろうかなって」


山上「え!?」


時雨「君、ご飯も食べないで寝るつもりだったのかい?」


山上「自分で作れそうにはないですし…」 


時雨「それじゃあ、治るものも治らないよ?」


山上「は、はい」


時雨「じゃあ、少し待っていてよ」

          

          ※


時雨「ふう…できた。とりあえずお粥にしてみたけど、どうかな?」 


山上「おお…おいしそう。いただきます」パクッ

山上「おいしい…暖まる…」


時雨「それは良かった」


山上「えっと…何と呼べば…」


時雨「時雨でいいよ」


山上「時雨…さん…あなたは食べなくてもいいんですか?」


時雨「ああ。僕はもう食べてきたからね」

山上「そうですか」


時雨「うん。遠慮しないで食べて」


山上「分かりました」


          ※


山上「ごちそうさまでした」


時雨「お粗末様でした」


山上「本当においしかったよ!あ、おいしかったです」


時雨「別に、ため口でいいよ」


山上「あ、じゃあ…ありがとう」


時雨「うん、どういたしまして」


          ※


山上「じゃ、寝ようかな」


時雨「じゃあ、僕も帰ろうかな」


山上「もう体調は大丈夫?」


時雨「うん、気づいたらすっかり良くなってたよ」


山上「ならよかった。さようなら」


時雨「…」


 なぜか、時雨はこのまま会えないと思うと胸がとても苦しくなった。


時雨(また…これだ)


 胸の音が激しくなって、体が熱くなる。


山上「どうしたの?」


時雨「いや…なんでもない。そうだ、連絡先をくれるかい?」


山上「え?」


時雨「だめ…かい?」


山上「い、いや、全然いいよ!」


山上(どういう風の吹き回し!?俺に何かあんのか!?いや、ただなんとなくかも…)


 とはいえ、悪い気は全くしなかった。ただかわいいだけでなく、なぜかこの少女のことは気になった。


 という訳で、この日、山上は時雨という一人の少女の連絡先を手に入れた。


          ※


山上「連絡先…もらっちゃったなぁ…」


 と、時雨が帰った後に思っていると、通知音がなり、メールが来た。


山上「おお!早速来た!」


時雨『今度、映画でも見に行かないかい?』


山上「これ…デート…だよな」


山上『もちろん!行こう行こう!』


 そう返信し、その日は寝た。


          ※


 デート当日、山上は約束の駅前で待っていると、


時雨「待ったかい?」


 と、後ろから声が聞こえた。


山上「いや、そんな…」


 山上が振り返ると、私服の時雨の姿があった。


山上(うお…なんだこれ!?こないだの…制服みたいな感じ…だけど、なんだか、少し着崩してるみたいな…ファッションに詳しくないから何といったらいいのか分からないけど…)


山上(かわいい)


時雨「変…かな?」


山上「いや…とっても似合ってると思う…」


時雨「そうかな…ありがとう」ポッ


山上(少し顔が赤くなって…やべぇ!)


時雨「さ、いこうか」


山上「う、うん!」


          ※


時雨「映画、おもしろかったね」


山上「うん、あのシリーズはいつ見ても最高だ!」


時雨「ふふっ…さっきからずっと目が輝いて見えるよ」


山上「あれ、そんな?」


時雨「うん…君はなんと言うか…感情が出やすいんだね」

山上「そ、そう?」


時雨「ふふっ…自分じゃわからないかもね」


山上「うーん…」


時雨「まあ、それはいいとして、もう少し付き合ってくれるかい?」


山上「え?」


時雨「おすすめの場所があるのさ」


          ※


 2人は、山上(萩雄)の家の近くの海岸にやってきた。


時雨「ここは、すごく良い夕日が見られるのさ」


山上「本当だ…あんまり考えたことなかったなぁ…」


 すると山上は、少し遠くの海岸にある施設を見て、


山上「そういえば、あの施設って、鎮守府…だよな」


時雨「…!」


山上「俺たちを深海って奴らから守ってくれてる…艦娘っていうのがいる…んだよな。かっこいいよなぁ。女の子なんだろ?確か。そんななのに人類を守るためにいろいろやってるなんて、尊敬するよ」


時雨「ふふ、そうか」


時雨(それは、ちょっとありがたいかな)


山上「あんな風に、かっこよくなれたら良かったんだけどな…」


時雨「え?」


山上「実はさ、俺提督になりたかったんだ」


時雨「そう…だったんだ」


山上「勉強もした。けど、なれなかった。提督になるには、少しくらいの知り合いの提督がいないと入ってから苦労するって聞いてさ」


時雨「…」


山上「俺は一人でやってきたし、軍学校に通ったわけじゃない。そんな知り合いはいなかった」


時雨「…そう…だったんだ」


山上「ああ。だから結局普通の会社員をやってる」


時雨「そうか」


山上「うん…あ、ごめんな、こんなこと言っちゃって」


時雨「いや、いいよ。君のことを少し知れて良かった」


時雨「…ねえ」


山上「ん?」


 時雨は伝えようとした。今の自分のことを。ドキドキして、止まらないこの気持ちを。でも、この気持ちが何か、分からない。はっきりしていないことを伝えるのは少し気が引けてしまった。


時雨「…いや、なんでもない」


山上「悩み事でもあるのか?」


時雨「いや、いいのさ」


山上「何か悩んでることがあれば、相談したほうがいいぞ?俺じゃなくてもいいけどさ」


時雨「ありがとう」


その日は別れ、それぞれの場所に帰った。


          ※ 


時雨(相談か。一度してみるのもいいかもな)


コンコン



時雨「提督、いるかい?」


提督「お、時雨か?入っていいぞ」


カチャ


時雨「ごめんね。提督。こんな遅くに」


提督「いや、全く問題ない。どうした?」


時雨「実は…」


          ※


提督「なるほど、男と会ったと。それで?」


時雨「なぜか…その人の前だと…胸が…ドキドキして…体が熱くなって…こんなの初めてだよ」


提督「それは…あれだよ…その…恋ってやつ」


時雨「こ…い?」


提督「そうだ。その男を好きになっちまったのさ、お前は」


時雨「そう…なのかな?」


提督「ああ」


時雨「僕は…どうすればいいのかな…」


提督「とりあえず、付き合っちゃえよ」


時雨「付き…合う…」


提督「そう。相手に、私はあなたのことが好きです!って言っちゃえばいいのさ」


時雨「なる…ほど」


提督「そして最終的には…結…」


 提督が結婚と言おうとしたその瞬間。2人は何かを思いだし、言葉が出なくなる。


 普段は意識していなかった。する必要もなかった。


 そう、艦娘は一般人との結婚は出来ない。あくまで提督としか、契りは交わせない。


時雨「…あ…あ」


提督「…くそっ…あれがあった…」


時雨「僕は…僕は…」


提督「おい、落ち着け、時雨」


時雨「ごめん、今日は部屋に戻ってもいいかい?」


提督「…わかった。でも、自分を傷つけるようなことはすんじゃねーぞ」


時雨「…わかった」


          ※


 時雨は部屋に戻った。相部屋なので白露が二段ベッドの上で寝ている。


 時雨は下のベッドに入り…泣いた。


時雨「…っ…はぁ…」


 声が出ない。それほどの悲しみを吐き出して、泣いた。


          ※


 しばらくして、時雨は考えた。自分はどうすべきなのか。


時雨(あの人と、別れるべきなのかな)


 結ばれない恋を、してもどうしようもない。時雨がそう思いかけたとき。


(自分が傷つけるようなことはすんじゃねーぞ)


 提督の言葉が頭に浮かんだ。


時雨(決めた。僕は、正直に全て伝える。そして、あの人がどう判断するのか…その上で、決める)


          ※


 その頃、提督の部屋では、


大淀「そうですか。時雨さんがそんなことを…」


提督「ああ…あいつ大丈夫だろうか?」


大淀「そもそも、時雨さんはどうして会ったばかりの人を好きに鳴ったんでしょうか?」


提督「多分それは…あいつが艦娘だからさ」


大淀「え?」


提督「艦娘が、船だった頃の記憶を持っていることがあるというのは聞いた事があるか?」


大淀「はい」


提督「でだな、あいつのお相手の名前は、山上萩雄というんだ」


大淀「それって…」


提督「そうだ。時雨の艦長だった人のうちの一人。その御子孫だろう」


大淀「つまり…」


提督「そう。ある意味生まれ代わりみたいなもんだったんだろう。そして、時雨はかつての記憶はなかったが、気持ちは変わっていなかった」


大淀「なるほど…」


提督「まあ、あいつがどうするかはあいつ次第だろ。とりあえず、俺たちは見守ることしか出来ない」


大淀「提督」


提督「ん?」


大淀「彼、提督の勉強とかはしてたんですか?」


提督「ああ。どうやら後見がいなかったらしい」


大淀「提督って、結構偉いんですよね」


提督「え?」


大淀「あ、ちょっと分かりづらかったですね。あなたって、結構偉いんですよね」


提督「ああ。俺か。うーん、まあ大規模作戦のときの長官をやるくらいには」


大淀「…ここまでいって、分かりません?」


提督「…ああ。その発想はなかったわ」


大淀「これなら、2人はうまくいきます」


提督「でも…それには」


大淀「ええ。山上さんが、時雨さんを受け入れ。提督になる覚悟が必要です」


提督「まあ、覚悟はとっくに持ってんだろうがな」


大淀「…どうなりますかね」


提督「さあな…」


          ※


 山上は、それからしばらくたった日、仕事も休みで家にいた。


山上「あ~暇だな…時雨からの連絡もあの日からないし、どうしたんだろう…」


ピロリン


山上「お、メールだ」


時雨『今からこないだの海岸で会えるかい?伝えたいことがある』


山上「…なんだろ」


          ※


 山上がすぐに海岸へ行くと、時雨はそこにいた。


時雨「来てくれたね」


山上「用って、なんだ?」


時雨「うん」


 時雨は大きく息を吸い、


時雨「私は、艦娘なんだ」


 と、伝えた。


山上「え!?ほんとに!?」


時雨「…うん」


山上「おお!本物の艦娘だったの!すげ…」


時雨「まだあるの!」


山上「え?」


時雨「僕は艦娘。つまり、君とは結ばれないの」


山上「え…?」


時雨「一般人の君と、僕では、一緒に…なれない」


山上「そん…な」


時雨「その上で、言うよ」


時雨「好きです。付き合って…ください」


山上「…うん。付き合おう」


時雨「いいの…かい?」


山上「ああ。悩む必要なんてない。規制なんて関係ない。付き合おう。ずっと、一緒にいたい。」


時雨「ありがとう…ありがとう」


山上「…って、強気なこと言ったはいいけど…」


時雨「うん…どうしようか」


山上「まあ、深く考えても仕方ない。2人で住む分にはいいはずだ」


時雨「うん…」


山上「じゃ、それはいったんあと回しにしてさ、またどこか…一緒にいったり、しようよ」


時雨「…ありがとう」


山上「ま、今日はいったん、帰ろうか」


時雨「待って」ガシッ


山上「え?」


時雨「今日は…一緒に…寝たい」


山上「いいのか?」


時雨「うん…服とかも持ってきてる。行こう」


          ※


山上「ど…どうぞ」


時雨「また、お邪魔します」 


山上「え…えっと…どうすれば」


時雨「また、夜ご飯でも作ろうか?」


山上「い、いや…今日は…」


時雨「分かった。着替えるね」スッ


山上「ああ、ちょっと待った!」


時雨「え?」


山上「さすがにここで着替えられると、いろいろ困る」


時雨「ああ、分かったよ」フフッ


 時雨はトイレで着替える。


時雨「さて…寝ようか」


山上(パジャマ姿、色気がすごい…)


時雨「すごい赤くなってるよ…ちょっと…かわいいね」


山上「ご…ごめんちょっと…かわいすぎて」


時雨「…そ、そうか」ボンッ


 2人とも顔が赤くなった。


時雨「…ああ!とりあえず布団に入ろう!」


山上「ああ!そうしようそうしよう!」


 2人で、布団に入る。


山上「あ、枕一つしかない…」


時雨「持ってきたから、大丈夫だよ」


山上「そ、そうか」


 改めて、2人で寝る。左を下にして、山上は時雨と向かう。


山上(もう耐えられないくらい…近い近い!)


時雨(こ…これは…ちょっと…いや…かなり…恥ずかしいな…)


山上(うう…こういうところで男を見せないと…)ギュッ


 山上は、時雨の手を握る。


時雨「ひゃっ!」ボボン


山上「あ、ごめん、いや…だったか?」


時雨「いや…そんにゃことは…」


山上(かみかみでかわいい)


時雨(うう…僕だって!)ギュッ


 時雨も握り返す。


山上「うお…」


時雨「これが…恋人…なのかな?」


山上「た…たぶん…」


 しばらく、2人の静かで熱い、時間を過ごした。


          ※


時雨「」スースー


山上「寝ちゃったか…」


山上(寝顔もかわいいなぁ)


 時雨の顔をずっと眺めていると…


山上(キス…したい)


 と、思った。


 山上は、ゆっくりと顔を時雨に近づけていく。そして、唇が重なろうとした瞬間、山上は目を閉じる。


時雨「ん…どうしたん…」


 時雨は目を覚ました…が


山上「…」チュ


 目を閉じている山上は気づかないで、そのままキスをする。


時雨「ん~!!」


 つい声を出してしまい、


山上「あ」


山上「…」


 山上はすぐに反対を向いて寝たフリをした。


時雨「ちょ…ちょっと…」ユサユサ


山上「…」


時雨「むーっ…」


時雨(こうなったら!)


 時雨は少し体を起こして、四つん這いになる。そして、山上の体を強引に回し、


山上「うおっ!」


時雨「…!」チュ


山上「…!!」


時雨「…っ…はむっ…はぁ」


山上「ちょ…」


時雨「んっ…ぷはぁ」


山上「はぁ…はぁ…」


時雨「お…お返しだよ」


時雨「じゃ…お休み」


山上「お…お休み」


          ※


時雨「ん…おはよう」


山上「うん…おはよう…あ!!仕事!時間は!?」


時雨「今日は、祝日…だけど」


山上「あ…そっか」


時雨「さて…朝ご飯を作ろうか」


山上「…あ、ありがとう」


          ※


山上「ごちそう様でした」


時雨「お粗末様でした」


山上「時雨は食べないの?」


時雨「僕は、普通の食事はしなくていいのさ」


山上「あ、そうなのか…」


時雨「ま、しちゃいけないわけではないけどね」


          ※


時雨「さて…と」


 時雨は着替え、持ってきた荷物を整理する。


山上「帰るの?」 


時雨「ああ。外出許可は一泊だったからね」


山上「そうか。またね」


時雨「うん」


 もし、結ばれなくても。自分が、時雨を幸せにしてみせる。できる限り。と、山上が思ったその時。


プルルル


 時雨の電話が鳴った。


時雨「誰からだろう」ピッ


時雨「はい、こちら時雨。うん…おはよう…うん、うまくいったよ。うん…えっ!?」


山上「どうしたの?」


時雨「提督が…君と2人で鎮守府に来てくれと…」


山上「えっ!?俺なんか悪いことした!?処罰とか!?」


時雨「だ、大丈夫。提督はそんなことしない人だから…」


          ※


山上「うう…緊張する…」


時雨「大丈夫。提督は、優しい人だよ」


山上「し、失礼します」ガチャ


提督「来てくれましたか」


山上「えっと…用件というのは…」


提督「それは他でもない。君にこの鎮守府の副官に、なってほしい」


提督「君は提督の勉強をしていた。なりたかったんだろう?」


山上「…はい」


提督「でも後ろ盾がなかった。だから、俺がその後ろ盾になってやることにした。君のプリンセスのためにもね」


山上「え!?」


時雨「提督…」


提督「不満か?」


山上「いえいえ!ぜひお願いします!…でも、そんな理由でいいんでしょうか…」


提督「何。君の模試等の成績を見ても、素質は大いにある。心配することはない」


山上「ありがとうございます!」


提督「ま、今日はすることもないし、君が正式に提督になるのは来月からだ。部屋は既に用意してある。そこに荷物を持ってきてくれ」


山上「はい!」


提督「あ。そうそう。その部屋にはな、まくらが2個用意してある」


山上「え?」


提督「あと。時雨。君は、寝る場所は自分の部屋じゃなくてもいい」


時雨「それって…」


提督「ふふ…まあ好きにしろ。何か質問は?」


山上「いえ…本当にありがとうございます!」


提督「何。自分の大切な艦娘のためさ」


          ※


大淀「提督、良かったんですか?」


 2人が帰った後、大淀と提督は執務室で話していた。


提督「何がだ?」


大淀「だって、提督…時雨さんのこと…」


提督「おっと、それは昔のこと、そう。昔のな」


大淀「提督…」


提督「さって、次はどの娘と仲良くなっちゃおうかな~」


大淀「台無しです」


提督「え?」


大淀「何でもないです」


提督「あ…そう」


大淀「幸せになって下さいね…2人とも…」



 


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SS好きの名無しさんから
2019-08-14 23:16:07

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SS好きの名無しさんから
2019-06-29 22:03:04

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1: SS好きの名無しさん 2019-06-29 22:03:48 ID: S:yoyBV4

もっと伸びていいはずss第一位


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