2019-04-21 15:49:56 更新

概要

あらすじ
みんなで宴会しようぜ

注意点
東方Projectの二次創作です。原作設定との乖離やキャラ崩壊が見受けられるかと思いますがご了承ください。以上の点をご理解頂いたうえで読んでいただけると幸いです。

一言
勢い

では、参りましょう。


〜神霊廟〜

魔理沙「…と、いうわけだ。だからここも宴会会場にしてみたら面白いんじゃないか?」

布都「なるほど、その手があったか!」

魔理沙「ま、そういうことだ。楽しみにしてるぜ〜。じゃあまた明日な。」

ビュン

屠自古「魔理沙がここに来るなんて久々だね。宴会の話?」

布都「うむ、なんでも明日の宴会で我らが神霊廟を会場にすれば信仰の獲得に繋がると魔理沙が言っててな。」

屠自古「会場ねぇ…。」

布都「よし、早速準備せねばな!!」

屠自古「え、え?」

布都「何をしておる、早く動かねばいかんぞ!!」

屠自古「いやいや、そんないきなり準備しろと言われても…。それに宴会は明日だし、間に合わないんじゃ…」

布都「だからこそ早く動かねばいけないのではないか!急いで酒と食事の準備、それに人を集めねば…あ、楽器や舞もいるではないか!!」

屠自古「いやいや、何を焦っているのさ。」

布都「そなたがのんびりし過ぎなのだ!!」

神子「2人とも、どうしたの?」

屠自古「あ、太子様。聞いてくださ…」

布都「太子様!明日は宴会ですぞ!その宴会で我らが神霊廟を会場にし、信仰を集めなければなりませぬ!そのために今すぐ準備しに行こうと思っております!!」

屠自古「ちゃんと説明しなよ…」

神子「大丈夫、言いたいことは伝わったから。」

神子「まぁねぇ、布都の言いたいことはよくわかる。けど、明日が宴会となると準備時間が少ないから雑な宴会になってしまうと思うの。だからここで宴会は開かない方がいいんじゃないかな。」

布都「ですが!!」

神子「でも、雑な宴会を見せてしまったら信仰する人が減っちゃうと思うのよね。まぁそもそも宴会に信仰を求めることも少し違う気もするけど。」

布都「なるほど…」

神子「今回の宴会は大人しく何処かの会場に参加することが最善策ね、きっと。」

布都「そうでありましたか、太子様!」

屠自古「じゃあ、準備の方は何もしなくてもいいということですか?」

神子「宴会を開くことに関してはね。でも流石に他の宴会に参加するのに手ぶらっていうのは好ましくないわね。とりあえずお酒を何本か、それとつまみをいくつか用意して明日の宴会に持っていくとしようかな。」

布都「なるほど、承知しました!」

屠自古「では、私達でお酒を買ってきますね。」

神子「悪いわね、よろしく頼むわ。」

布都「太子様ー!いってきまーす!」

屠自古「いってきます。」

神子「いってらっしゃい。」




〜人里〜

布都「いやー、しかし宴会の準備をしなくていいとなると、気楽でいいものであるな!」

屠自古「布都が慌て過ぎなんだよ。話聞いていきなり動きだすんだから。」

布都「まぁまぁ、善は急げということじゃな。」

屠自古「急いては事を仕損じるとも言うけどね。」

布都「さて、明日どこ行こうかのう。」

屠自古「そうだね、いつも博麗神社ばかりだからたまに違う所も行ってみたいね。」

布都「我は紅魔館とか行ってみたいのう。あそこの宴会は豪華そうだからな。」

屠自古「確かに、いいね。あとはどこがあるかな…」

布都「お、酒屋が見えたぞ。まずは酒を買おうではないか!」

屠自古「そうだね。」

店員「いらっしゃいませー。」

布都「さて、どの酒を…」

一輪「村紗、どのお酒を買おうかしら。」

村紗「とりあえず、鬼殺しは外せないかなぁ。鬼が来た時のために。」

一輪「なるほどね。あ、お酒のこと聖にバレないかな…?」

村紗「大丈夫でしょ。仮にバレたって許してくれるって。」

一輪「そうね。」

布都「う、あやつらは…」

屠自古「まぁまぁ、気にしない気にしない。」

一輪「あら、あなた達…」

屠自古「あ、どうも。」

一輪「どうも、奇遇ね。」

村紗「そっちも宴会の準備?」

屠自古「まぁ、一応ね。」

一輪「やっぱり宴会を開くとなると大変よね、準備とか。」

屠自古「あ、こっちは宴会は開かないの。明日までに準備が間に合いそうにないからね。」

村紗「あ、そうなの。」

一輪「確かに、あなたたちの所は私たちの所に比べて人手が少ないものね。」

屠自古「まぁ…」

布都「それは我らの方が力不足ということか…?」

一輪「え?」

屠自古「ちょっと布都…」

一輪「いや、そんなつもりで言ったわけではないけど…」

一輪「まぁでも、今回の宴会で私たちは会場とするわけだから、力量差が顕著に表れるかもしれないわね。」

布都「な、なんじゃと!」

一輪「だって、そちらは宴会開かないんでしょう?そちらがのうのうと宴会を楽しんでる間に私たちは里の人に宴会を提供してあげるのよ。里の人はどちらを信仰すると思う?」

布都「ぐぬ…」

屠自古「こら、布都。私たちはお酒を買いにきたのであって言い争いをしに来たわけではない。でしょ?」

布都「そ、そうじゃな…」

屠自古「えと、とりあえず…」


屠自古「鬼殺しを一つ。」

村紗「鬼殺し一つ。」


屠自古「…え?」

村紗「あれ…」

村紗「えっと、どうしよか。」

屠自古「じゃあ、私たちがお譲り…」

布都「な、屠自古!なぜ我らが譲らなければいけないのじゃ!!」

屠自古「いや、私たちは宴会開かないし…」

一輪「あの、譲っていただけるかしら?私たちは宴会開くからお酒が必要なのよ。そちらは宴会開かないんでしょ?」

屠自古「えぇと、じゃあ…」

布都「屠自古!譲る必要はないぞ!じゃんけんか何かで決めるのが公平じゃろう!!」

屠自古「え~?」

村紗「まぁ、私たちはそれでも…」

一輪「嫌よ!私たちは宴会開くのよ!?ちょっとぐらい譲ってくれてもいいじゃない!!」

布都「そういう譲ってもらえるのが当たり前という精神が許せんのじゃ!!希望が被ったら公平に決めるのが当然じゃろう!!」

一輪「物理的にこちらの方がお酒が必要なのだから優先権がこっちにあるのは自明の理でしょ!?」

布都「ぐぬ…」

一輪「むぅ…」

屠自古「布都、ちょっと…」

村紗「一輪さぁ…」

布都「そもそもっ!!なぜわれらが買おうとしてる酒と同じものを買おうとしておるのじゃ!!他のを買えばよかろう!!!」

一輪「あなたこそなんで私達が買おうとしてるお酒を買おうとしてるの!?張り合ってるの!?」

一輪「っていうか何度も言うけどあなた達宴会開かないんでしょ!?なら私達に譲ってよ!!!」

布都「だから…」

一輪「っていうか里の人のことを想って宗教を勧めているのにその人たちのために宴会一つも開けないって情けないわよねぇ~。宗教団としてどうなの?やっぱり、信仰してくれてる人たちのことを駒としか思ってないのかしら?」

布都「……」

屠自古「布都、ここは一旦…」

布都「じゃあ、我らも宴会を開くぞ!!これでどうじゃ!!!」

屠自古「はぁ!?」

一輪「へぇ、人手が足りないのによくやるわね。でもその調子じゃあ命蓮寺の宴会には敵わないと思うけど。」

布都「ふん、見ておれ!その余裕な顔から血の気を抜いてやるわ!!」

屠自古「いや、布都…」

布都「なんじゃ!」

屠自古「太子様に開くなって言われてるんだから無闇に開かない方がいいんじゃ…」

布都「ここまで言われて引き下がれるか!!絶対にあんなエセ宗教団には負けんぞ!!」

屠自古「いや…やめた方が…」

村紗「一輪、あんまり煽らない方がいいんじゃない?向こう本気にさせると嫌だし…」

一輪「ふん、返り討ちよ返り討ち。聖の力にかかれば大したことないわ。それより…」

一輪「店長、そこのお酒ちょうだい!!!」

布都「いや、我らに、店長!!!」

店員「自分、新人なんですけど…」



布都「あんまり買えなかったのう…」

屠自古「いや十分だって。それより布都、宴会開くって本気で言ってるの?」

布都「あぁ、当たり前じゃ。我に二言はないぞ。」

屠自古「もう…」

布都「その話はいいとして、なんでそなたらもついてきておるのじゃ?」

村紗「ついてきたっていうか単純に行く店が被ったというか…」

一輪「ついてきてるのはあなた達の方じゃなくて?」

村紗「また、すぐ煽る…」

布都「な!?なんで我らがそなた達について行かなきゃならんのじゃ!そなた達が我らの邪魔をしてるんじゃろう!」

一輪「違うわよ!!あなた達が私達のやろうとしてることを真似してるんでしょ!?」

屠自古「布都、ちょっとやめなよ…。」

村紗「いちりーん、雲山だけは出さないようにね〜。」

咲夜「あの、取り込んでるところ悪いのだけど…」

布都、一輪「なに!!」

咲夜「…本当悪いのだけど…。」

布都「お、そなたは紅魔館のメイドではないか。」

一輪「一体私たちに何の用?」

咲夜「明日の宴会のことなのだけど…」

布都「おぉ、明日の宴会のことか。もちろん、我らも開かせてもらうぞ。」

咲夜「開かせてもらう?」

布都「うむ、魔理沙から色々聞いてな。なにせ明日の宴会はどこが会場になっても問題ないらしいからな。だから我らが太子様の素晴らしさを伝えるべく、宴会を開くことにしたのじゃ。」

咲夜「そうなの。」

屠自古「本当はそんなつもり無かったけど…」ボソッ

一輪「なにが素晴らしさを伝えるよ。信仰を増やしたいだけでしょう?」

布都「なにをっ!」

一輪「その点私達は里の皆のことを想って、里の人の為の宴会をするからね。もちろん、聖のご好意のもとで。」

布都「なにを言っておる!そなた達も所詮は信仰を集めたいだけではないか!!」

一輪「あ、今そなた達『も』って、言った!へ〜、やっぱり信仰目当てだったのね〜。」

布都「そんなの揚げ足を取ってるだけではないか!!」

一輪「事実だからね〜。」

布都「なにを〜っ!!」

一輪「そっちこそ!!」

屠自古「布都、落ち着きなさいって。」

村紗「一輪、程々にね〜。」

布都「いいか、つまみを買うのは邪魔するでないぞ!!今度邪魔したら許さんからな!!」

一輪「それはこっちのセリフよ!思い付きで宴会を開いてるくせに!!」

布都「うぐ…」

一輪「ぐぬぬ…」

布都「屠自古、急ぐぞ!!あやつらに出遅れぬようっ!!」ダッ

一輪「村紗、急ぐよ!!今度こそちゃんと買わないと!!」ダッ

屠自古「あぁもう、まったく…!!」ダッ

村紗「はぁ、大変だなぁ…!!」ダッ



芳香「青娥ー、明日は宴会なんだよなー?」

青娥「そうね、しかも幻想郷全土でやる大きな宴会よ。楽しみね、芳香。」

芳香「楽しみだ―!」

青娥「それにしても、本当に賑やかねぇ。」

芳香「青娥ー。」

青娥「ん?どうしたの?」

芳香「あれ。」

青娥「え?」


布都「そこのイカを我らに!!」

一輪「いや、私たちに!!」

店員「え、えぇ…」


青娥「あれ、豊郷耳様の所の。それと、命蓮寺の一味ね。」

芳香「なんか楽しそうだなー。」

青娥「えぇ、そうね。」

青娥「…ねぇ、芳香?」

芳香「うん?」

青娥「もっと面白くしてみよっか。」

芳香「そんなことできるのかー?」

青娥「まぁ、見てて。」


屠自古「疲れた…」

村紗「お宅も大変ですなぁ。」

屠自古「えぇ、まぁ…」

青娥「二人とも、お疲れ様。」

屠自古「え、あぁ。あなたか…。」

村紗「あれ、邪仙の方?」

青娥「どうも、青娥娘々です。」

芳香「どもー!」

村紗「あ、ども。」

屠自古「こんな所に来て何してるんです?」

青娥「明日の宴会の下見がてら散歩してただけよ。にしても、あそこの二人は大変ねぇ。」

屠自古「まぁ、そうですね。」

青娥「でも、二人とも本当に熱心ねぇ。よっぽど主人のことを想っているのね。」

村紗「…なんかそれだと私たちが主人想いじゃないって感じがしますけど…。」

青娥「あら、そんなつもりは無いけど、どうなの?」

屠自古「も、もちろん私は太子様のことを想っていますよ!太子様は素晴らしい方ですから!」

村紗「私だって聖のことは想ってるよ、尊敬してるし、感謝してるし。」

青娥「そっか。二人ともちゃんと主人のことを想ってるのね、良かったわ。」

屠自古「もちろん。」

村紗「そりゃね。」

芳香「おー、二人ともすごい人なんだなー。」

村紗「うん、聖は本当にすごい人だよ。」

屠自古「太子様も負けないぐらい凄いよ、っていうか芳香はたまに見てるじゃない。」

芳香「ふーん。」

芳香「じゃあどっちの方がすごいんだー?」

屠自古「え、まぁ…」

村紗「そりゃまぁ、」


屠自古「太子様でしょ。」

村紗「もちろん聖だよ。」



屠自古「…」

村紗「…」

屠自古「え、今なんて…?」

村紗「そっちこそなんか言った…?」

屠自古「確かに、そちらの聖さんはすごいと思う。でも、私たちの太子様には敵わないと思うけど…」

村紗「いやいや、確かに豊聡耳さんはすごいよ。でもまぁ、聖ほどじゃないっていうか…」

屠自古「…」

村紗「…」

屠自古「え、いや、え!?何を言ってるの!?太子様の方が素晴らしいでしょ!!」

村紗「いや、聖の方が圧倒的にすごいって!!」

屠自古「あの、敵とか異宗教とか抜きにしてよ、抜きにして太子様の方が上でしょ!?」

村紗「いやいや、そこは譲れないから!!聖の方が上だから!!」

屠自古「え、胸の大きさの話してる!?確かに胸は負けてるけどそれ以外は申し訳ないけど圧勝だからね!!」

村紗「いや、胸含めての話!!ちょっと本気で言ってるの!?本気で言ってたら片腹痛いんだけど!!」

芳香「おー。」

青娥「ほら、ね。」

屠自古「いやいやいやいや!!!」

村紗「いやいやいやいや!!!」

屠自古「いや、太子様の方が素晴らしいから、本当に!!!なんだったら一回見に来なって!!!」

村紗「じゃあそっちも聖を見に来なって!!丁度宴会もあるしさ!!!」

村紗「あ…」

屠自古「?」

村紗「そういえば、そっちは宴会開かないんだっけ。なーんだ、大したこと無いじゃん。声張り上げて損した~。」

屠自古「は…」

屠自古「はぁっっ!!??」

村紗「だって、そうでしょ?そっちの指導者が力不足だから宴会できないんでしょ?宴会一つ開けないんて、たかが知れてるわ。」

屠自古「いやっ!!だからこれは、太子様の配慮で…」

村紗「こっちは聖が凄いってことを今回の宴会で証明してあげるよ。でもそっちは宴会を開くことすらできないんだもんね。こりゃ証明のしようが無いわ。いや、大したことないことの証明にはなってるかな?」

屠自古「うっ…や…」

屠自古「やってやんよ!!私たちも宴会を開いて太子様の素晴らしさを知らしめてやんよ!!!胸だけでかくなって脳みそ空っぽのどこかの指導者とは大違いだから!!!」

村紗「はぁ!!??それ聖のこと言ってる!?」

屠自古「当り前よ!!ほかに誰がいるって言うのよ!!」

村紗「あーもうキレた!!完全にキレたわ!!こっちだって本物の宴会ってものを見せてやるからっ!!!成り上がりの三流宗教とは比べ物にならないってこと教えてあげるから!!」

屠自古「やれるもんならやってみなさいよ!!!」

屠自古「布都!!」

布都「なんじゃ!」

屠自古「つまみを買ったら一旦戻ろ!!飾りつけのこと考えないと!!!」

布都「おぉ、やっとそなたもやる気になったか!!!」

村紗「一輪、全力で宴会の準備しなきゃ!この際雲山もフルに使ってさ!!」

一輪「えぇ、もちろん!!!村紗、行くわよ!!!」

ビュン!!

芳香「すごい熱いなー。」

青娥「ね、もっと面白くなったでしょ?」

芳香「うん、すごく面白くなってきたぞー!」

青娥「きっとまだまだ面白くなるわよ。」

芳香「本当に?楽しみだなー。」



~命蓮寺~

ぬえ「ふぅ、とりあえず雑巾がけ終わったよ。」

小傘「終わったよー。」

ナズーリン「こっちも部屋の掃除は終わった。悪いね、手伝いに来てもらって。」

小傘「明日ここの宴会来ようと思ってるから、これぐらい当然だよ。」

ナズーリン「そっか。じゃあ他の仕事もよろしく頼むよ。」

小傘「うん、わちきの力を存分に使うといいよ!」

星「あの、ナズ。外の手伝いの人数少ないんじゃないかな?私も手伝いに行った方がいいと思うんだけど…」

ナズーリン「やめてくれよ、ご主人様。ご主人様が外に出たら宝塔探しという仕事が増えてしまうんだから。」

星「え、あ、そういえば私の宝塔は!?」

ナズーリン「はぁ、私が持ってるよ。まったく…」

星「ごめんなさい…」

ぬえ「まぁまぁ、買い出しは一輪と村紗がいれば大丈夫でしょ。もし荷物が重ければ雲山を使えばいいんだから。」

星「それもそうですね。」

ガラッ

聖「みんな、準備はどう?順調かしら?」

ぬえ「あ、聖。うん、順調だよ。廊下の雑巾がけも、部屋の掃除も終わったところ。」

聖「そう、それは良かったわ。じゃあみんな疲れたでしょうし、休憩にしましょうか。」

小傘「やったー!」

ナズーリン「ならば響子も呼んでこようか。」

ぬえ「あ、響子ならどっか行ったよ。確か音楽会がどうだとか。」

小傘「なんかね、明日人里で音楽会が開かれるみたいなの。で、そこに響子ちゃんも参加するんだって。今日はそのリハーサル。」

ナズーリン「なるほど。」

星「いつも野外ライブしてますもんね。それは出ないわけにはいかないでしょう。」

聖「…いつも?」

星「あ、いや、その…」

ガラッ!!

一輪「はぁ…はぁ…」

村紗「はぁ…はぁ…」

聖「あら、一輪、村紗。丁度良かったわ。今から休憩を取ろうと…」

一輪、村紗「急いで飾りつけをしないと!!」

聖「え?」

ぬえ「どうしたのさ、そんなに焦って。」

村紗「実は里で神霊廟の人達と会って、なんでも神霊廟の方も宴会を開くみたいでさ!」

一輪「私たちも負けてられないよ!!絶対向こうなんかより立派な宴会を開かなきゃ!!」

小傘「す、すごい熱気…」

ナズーリン「他の団体と鉢合わせたわけか、道理で買ってきたお酒が若干少ないわけだ。」

ぬえ「いや、まぁ確かに向こうよりは立派な宴会開きたいけどさ…」

聖「一輪、村紗、ちょっといいかしら。」

村紗「聖?」

一輪「な、なに?」

聖「確かに神霊廟は私たちと違う宗教。向こうが宴会を開いたら少しだけ信仰が取られてしまうかもしれない。でもね、宴会の本当の意味を思い出してみて。信仰獲得とか、目立つとか、そんなことは考えなくていいわ。それよりも私たちが楽しいって思える宴会を開きましょ。それが宴会の本当の醍醐味であるし、そうすればきっとみんなもついて来てくれるわ。」

村紗「聖…。」

聖「ね。だから、落ち着いてひとまず休憩しましょ。それで、休憩が終わったら一緒に飾りつけを買いに行きましょうか。あ、ちゃんとあちらの方には謝ってね。」

一輪「えぇ…」

村紗「いや、それは…」

聖「返事は?」

村紗「はい…」

一輪「わかったわ…。」

聖「みんなも、飾り付けの手伝いお願いね。」

ナズーリン「うん。」

ぬえ「もち。」

星「はい、頑張ります!」

小傘「私も頑張るよ!」

聖「はい。じゃあみんな、休憩にしましょ。」

聖「…」チラッ

聖「…あの、お酒買ったの、誰…?」

村紗「…」

一輪「…」



~神霊廟~

神子「なるほど、だから酒がちょっと多かったのね。」

屠自古「勝手なことをして申し訳ございません…。」

布都「でも、太子様!命蓮寺のやつらに好き放題させるわけにはいきません!やはりここは我々も宴会を開くべきです!!」

屠自古「私もそう思います!!」

神子「はぁ…」

神子「二人とも、焦り過ぎ。」ペチ、ペチ

布都「うっ…」

屠自古「痛っ…」

神子「そもそも宴会で目立つ、宴会で信仰を集めるというのは本質から外れている。宴会は気の合う者、気の合わない者関係なく心を通わせる場でしょう。そこに楽しむこと以外の余計な感情は必要ない。違う?」

布都「確かに…」

屠自古「おっしゃる通りです…。」

神子「だから、私は宴会を開かないって言ったの。今から急に準備してもそんな楽しめる場が作れないと思ったから。たとえ命蓮寺が宴会を開くとしてもその心は変わらないわ。私たちは私たちの思うようにやりましょ。」

布都「はい!」

屠自古「わかりました!」

神子「ふぅ…。二人とも疲れたでしょ?ちょっと休憩しましょ。休憩が終わったら、命蓮寺に謝りに行って、そのお酒を少し分けに行くよ。」

屠自古「うっ…」

布都「あやつらに…」

神子「返事は?」

布都、屠自古「はい!」






~人里~

ギュイーン!!!!

響子「ありがとーぅ!!」

パチパチパチパチ

舞「やるね、すごくいいノリ。」パチパチ

ルナサ「流石…。」パチパチ

雷鼓「いやー、ナイスシャウト!どうだい、こんな感じで?」

隠岐奈「音が大きすぎる。」

慧音「近所迷惑になりかねないな。」

阿求「嫌いでは無いけど、少しうるさいかもしれないわね。」

マミゾウ「同じく。」

小鈴(私は好きだったんだけどなぁ…)

ミスティア「な…!!」

響子「なん、だと…!!」

雷鼓「この程度なら、そんなに迷惑にはならないと思ったんだけどなぁ。」

慧音「やる時間帯が問題だな。夕暮れ時ならまだ許される。だが、のびのびになって夜、あるいは深夜となるとただの騒音だな。」

隠岐奈「音の大きさに関しては鳥獣岐楽が一番問題だけど、騒霊、九十九に関しても同じことが言えるな。」

メルラン「えぇー?」

リリカ「私たちも?」

弁々「どうしよ?やっぱりこれ以上音量上げれないみたい。」

八橋「だね、残念。」

慧音「まぁまだ時間はある。私は特に用事もないし、何か対策できないかあたってみよう。」

雷鼓「悪いわね、よろしく頼むよ。こっちでも演奏がうるさくならないよう色々考えておくよ。」

慧音「あぁ、頼むぞ。」

隠岐奈「さて、とりあえずそれぞれのグループのリハーサルは終わったか?」

雷鼓「そう、だね。面霊気の方も大丈夫そうかい?明日の舞台について不安な所はあるか?」

こころ「不安という感情は無い。むしろ高揚だな。」

雷鼓「それは良かった。弁々と八橋、それにバックダンサーズも加えた合同猿楽。私もすごく楽しみにしてるよ。」

八橋「明日は頼むよー、メインの舞台の一つだからね。」

弁々「よろしくお願いするわ。」

こころ「うむ、最善は尽くす予定ぞ。」

里乃「こころちゃんと一緒の舞台なんて、楽しみー!」

舞「僕らが後ろで踊ればいつも以上の力が出るはず、期待しててね!」

こころ「元気100倍!」

リリカ「私たちも一緒に出たかったなー。」

メルラン「しょうがないよ、紅魔館の方もあるし。」

響子「私たちと一緒は…」

ミスティア「いや、無理でしょ。自分でもわかるよ。」

雷鼓「さて、じゃあ全体のリハーサルは終わり。これからどうする?個人的には他の所と組んでみたいが…」

響子「雷鼓さーん、やりましょうよー!ミスチ、いけるよね?」

ミスティア「もち!」

雷鼓「お、そことはずっと組んでみたいと思ってたんだよ。よし、やろうか!」

舞「僕は騒霊と組んでみたいなー。」

里乃「あ、私もー。」

メルラン「いいねー、やろうやろう!」

舞「よーし、ルナ姉の生命力を全開放させるぞー!」

ルナサ「やめて、鬱になる…」

弁々「ねぇ、ちょっとお願い、いいかしら?」

リリカ「なに?」

弁々「そちらがここの舞台に立ってるとき、私たちが紅魔館で演奏してもいいかしら?」

リリカ「あぁ、うん全然オッケー!むしろお願いしたいぐらい!」

八橋「よし、紅魔館取った!」

弁々「あのお屋敷で演奏、楽しみね!」

隠岐奈「さて、私はこの辺で。舞、里乃。私は用事があるから席を立つわね。」

里乃「はーい。」

舞「わかりましたー。」

阿求「私は疲れたから帰るわ。明日もあるし。」

小鈴「わかった。私は、もう少し周ってみようかなー。」

マミゾウ「お、じゃあ私も一緒に行ってもいいかのう?私ももう少し周るつもりでな。」

小鈴「はい、よろこんで!」

慧音「ふぅ…。さて、私は約束通りあてを探してみるか。」

マミゾウ「そういえば、現人神が何かやってたな。この件の助けになるかもしれないぞ、聞いてみるといい。」

慧音「守矢の巫女のことか、わかった。助言ありがとう、参考にするよ。」

こころ「…」

雷鼓「さて、面霊気。君はどうする?ここで遊んでくかい?」

こころ「いや、他の宴会を見に行きたい。」

雷鼓「そうか、わかった。じゃあまた明日、よろしく頼むよ。」

こころ「明日ー。」



こころ「…」テクテク

こころ「…お?」


神子「…というわけで、うちの者が悪かったわ。」

布都「…すまなかった。」

屠自古「ごめんなさい…。」

聖「いえいえ、こちらこそ熱くなって申し訳なかったわ。」

村紗「ごめん…。」

一輪「悪かったわ…。」

神子「これ、うちでは宴会を開かないからそちらに譲ろうと思ってるんだけど…、良かったら使ってくれる?」

聖「あら、ありがたいわ。お酒は私の所では駄目だけれど…、他の物はありがたくいただくわ。」

こころ「謝罪の感情を感じるぞー。」

神子「あら、こころ。」

こころ「…いや、そんな感じないな。」

聖「あら、本当に?」

布都「うっ…」

屠自古「いや、その…」

村紗「…」

一輪「…」

神子「まぁまぁ、大目に見ましょう。」

聖「そうね。で、こころちゃん、どうしたの?」

こころ「我々は今宴会場を覗きに行きたいと言っている。どこか素晴らしい宴会会場を知らないか?」

聖「あ、ちょうど良かったわ。私たちも宴会を開くのよ。素晴らしいかはわからないけど、せっかくだから来てみる?」

こころ「おぉ、興味があるぞ。」

神子「……」

こころ「神子は開かないのか?」

神子「ま、まぁ…」

聖「豊聡耳さんの所は人手が足りなくて宴会を開けないの。仕方ないのよ。」

こころ「ふーん、神子の方が力不足ということか。見損なったぞ。」

神子「ぐっ…」

聖「そういうわけじゃないわよ。豊郷耳さんは下手な宴会にしたくないからあえて宴会を開かないだけよ。」

こころ「だが結局、満足な宴会を開く力が無いということだろう?」

聖「えと…、まぁそうなっちゃうかもしれないわね。十分な力があれば宴会を開けたかもしれないけど…」

聖「でも、これは豊郷耳さんのせいだけではないわ。お気になさらず。」

神子「……」

聖「まぁ、この話はおしまい。じゃあ、明日は私達のところに来てくれる?」

こころ「うむ、そうしたいと我々は思っている。」

神子「こ、こころ?明日は私達と一緒に宴会をまわらない?ね?楽しいところいっぱい紹介してあげれるよ?」

こころ「宴会を開かない所には興味無いぞ。」

神子「うぅ…」

聖「豊聡耳さん、仕方ないわ。こういうこともあるからあまり気になさらず。そちらはそちらで宴会を楽しんで、ね?こころちゃんの面倒はちゃんと見ますから。大丈夫、私達だったら、ちゃんとこころちゃんを満足させてあげれますから。」

神子「…それは、私たちがこころの面倒も満足に見れないっていうこと…?」

聖「そんなことは言ってないわよ。ただ、明日に関しては豊郷耳さんより私の方が適任というだけで。」

神子「しかし…」

聖「往生際が悪いわよ、豊郷耳さん。あまり下の者の前で醜態を晒さない方がいいわよ?」

神子「なっ!私が醜態だって言いたいの!?」

聖「あら、失礼。言葉が過ぎちゃったわね。でも、今の豊郷耳さんではこころを満足させられない。それが事実よ。それに対して駄々をこねったって現状は変わらないわよ。」

こころ「神子、見苦しいぞ。」

神子「ぐっ…!!」

聖「じゃあ明日の宴会、是非いらしてね。きっと楽しい宴会にしてみせるわ。」

こころ「おぉ、期待しておるぞ。」

神子「……」

屠自古「…太子様?」

神子「わ、私達も…」

布都「太子様…?」

神子「私達も宴会を開く!!!こころ、これならどう!!??」

屠自古「え!?」

布都「太子様!?」

こころ「さっき開けないって聞いたが…」

神子「開く!!いや、開いてみせる!!!」

聖「豊聡耳さん、悔しいのはわかりますけど、あんまり無理しない方が…」

神子「こころを取ったぐらいでいい気になられては困るな!!そちらより楽しい宴会を開いてこころを連れ戻してみせよう!!とりあえずさっき渡したお酒、その他もろもろは返してもらおうか!!!」

こころ「おー、感情が渦巻いてきた!」

聖「いや、そういうつもりじゃないのだけれど…。」

聖「…でもまぁ、そちらがそのつもりならこちらも受けて立たないと失礼ね。」

聖「いいでしょう!ただ、そんな思い付きの宴会では私たちの宴会にはどうあがいても敵わないと思うけどね!!」

神子「ほう、はたしてそうかな?」

聖「残念ながら、私たちは今命蓮寺でちゃくちゃくと準備を進めているわよ。あなた達よりも人数が多い分準備が手早く済むのよ。会場の飾りつけももうそろそろ終わると思うし。申し訳ないけど、あなた方はまだ何一つやってないのでなくて?」

神子「確かに、まったくその通りだ。私たちは買い物こそ少ししたが会場設営も集客も一切してない。だが、集客についてはそちらも私たちと変わらないのでは?」

聖「えぇ、でも準備が終わり次第いつでも宣伝はできるわよ。準備が一切進んでない呑気なそちらとは違ってね。」

神子「…私には、そちらの方が呑気に見えるけどね。」

聖「?」

神子「すぅ…」


神子「ここに宣言するっ!!!!!我らは明日幻想郷の中でも最高の宴会を開いてみせる!!!!!!!!」


屠自古「え!?」

布都「太子様…!!」

ザワザワザワザワ


聖「!?」

神子「さぁ、私達は宣伝の第一歩を済ませたぞ。出遅れたな、命蓮寺の愚者共よ!」

聖「あら、あら、これはこれは…」

聖「すぅ…」


聖「宣言しますっ!!!!!私たちは幻想郷の最高にして至高の宴会を開きます!!!!!!!!」


村紗「聖…」

一輪「聖まで…」

ザワザワザワザワ


聖「これで、同じスタートラインね。」

神子「ふふっ、そうだな。」

神子「さて…」

神子「布都、屠自古!!」

布都、屠自古「はい!」

神子「まだ半日ある、全力で準備するよ!!」

屠自古「はい!」

布都「わかりました、太子様!」

聖「村紗、一輪!!」

村紗、一輪「はい!」

聖「総動員で準備するわよ、明日の宴会のために!!」

村紗「うん!」

一輪「えぇ、もちろん!!」

神子「明日の宴会、覚悟しておけ!!!!」

聖「それはこっちのセリフ。首を洗って待ってなさい!!!!」

こころ「感情と感情のぶつかり合い、最高!!」




小鈴「さて、あとどこを回りましょうね。」

マミゾウ「そうじゃのう、あまり遠出はできないからのう…。」

小鈴「あ、夜雀のところに行きませんか?」

マミゾウ「お、それはありじゃの。ここからそう遠くないしな。」

小鈴「じゃあ…」


神子「ここに宣言するっ!!!!!我らは明日幻想郷の中でも最高の宴会を開いてみせる!!!!!!!!」


小鈴「うわ、凄い…」

マミゾウ「この姿は、信者にはどう映るのかのう…」




華扇「凄いわね、酒屋のお酒がほとんどな無くなってる…」

萃香「な、なんだとぉっ!!」

華扇「いや、あなたはいつでもの飲めるでしょうに…」

萃香「わかってないなぁ、華扇は。宴会のお酒ってのはな…」


聖「宣言しますっ!!!!!私たちは幻想郷の最高にして至高の宴会を開きます!!!!!!!!」


華扇「…宴会のお酒ってのは?」

萃香「…今ので忘れた。」




早苗(さて、そろそろ山に戻ろうかしら。様子も見たいし。)

早苗「ん…?」


神子「明日の宴会、覚悟しておけ!!!!」

聖「それはこっちのセリフ。首を洗って待ってなさい!!!!」


早苗「あらあら、宗教家のお二方が揃いも揃って…。」

早苗(本当のライバルはここにいるっていうのに、お疲れ様です。)クスッ




~命蓮寺~

響子「ふー、楽しかったー。明日の演奏会、みんなも呼ばないと。」

響子「あ、でも聖には秘密にした方がいいかも…」


ビュン!!


響子「う、うわ!何事!?」

村紗「一輪、そっちの木持ちあげて!!」

一輪「おっけ!雲山!!」

雲山「ぜぇぇぇぇいいいい!!!」

ぬえ「小傘、星、そこ配置ちょっと違う!!」

小傘「ふぇ!?ご、ごめん!」

星「はい!!」

聖「みんな、時間ないわよこれが終わったら次は料理の準備ね!!」

ナズーリン「なぜこんなことに…」

響子(な、どういう状況!?)



~神霊廟~

青娥「豊郷耳様、どうなったかしらね~。」

芳香「面白くなってるかなー。」

ガラッ

青娥「失礼す…」


神子「布都、屠自古!端持って!!」

屠自古「はい!!」

布都「了解です、太子様!!」

神子「もう夕暮れまで時間ないからね、急がないと!!」

布都、屠自古「はい!!」


青娥「あらあら。」

芳香「おぉ、面白くなってる。」

青娥「きっと明日はもっと面白くなるわよ、芳香。」

芳香「本当かー?」

青娥「えぇ。明日が楽しみね、芳香。」

芳香「うん!!」


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SS好きの名無しさんから
2019-05-06 12:18:27

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