2019-05-01 11:50:51 更新

2017年10月17日(火) PM:16:00


弥柳宅(みやなぎたく)


弥柳 「それじゃあ、

昨日のイチゴ狩りでイチゴの調達も終わった事だし、

今日から本格的な調理の練習を始めます。」


小咲 「はーい。」



小咲は、その日の佐張大学(さわりだいがく)の講義が終わった後に、蓮の家の厨房で大学祭のケーキ屋で出すケーキの料理の練習に来ていた。


弥柳 「じゃあ今日はまずは、

ショートケーキから作るよ。」


小咲 「はい。

あれ?でも、まずはレシピから作らなくていいの?」


弥柳 「ああ、それなら大丈夫。

すでに俺が作っておいた。」


パラッ


蓮は、自作したレシピ表を見せた。


小咲 「さっすが〜〜………。」



そして、2人(ふたり)はショートケーキの調理練習に取り掛かり………



小咲 「弥柳くん、スポンジケーキが焼けたよ!」


弥柳 「火の通りが甘い!

あと、5〜6秒長く焼くように!」


小咲 「はい!」



小咲 「うーん………

最初にクリームを混ぜた日より、

なんだか上手く混ざらない………。」


弥柳 「かき混ぜ方が甘い!

もっと力強く、ボウル全体のクリームを混ぜて!」



小咲 「弥柳くん、ケーキに乗せるイチゴはこれでいい?」


スッ


小咲は、自分が包丁で切ったイチゴを蓮に見せた。


蓮 「左側のイチゴの方が、少しだけ大きいよ。

俺たち菓子職人(パティシエ)は、どんなお客さんにも平等で無くてはならないんだ。」


小咲 「はい、ごめんなさい………。」



そして、調理は進み………


小咲 「出来たー!」


弥柳 「ふーー、やっと完成したね。」



小咲と蓮は、自作のクリームと自分達で取って来たイチゴを上に2個乗せた、

ショートケーキを完成させた。



弥柳 「しっかし小野寺さん、

あんた、こんなに盛り付けが上手かったんだな。」



小咲の盛り付けにより、ショートケーキは美しく整っていた。



小咲 「昔から、盛り付けだけは得意だったんです。

それ以外は、まだまだだけど………。」


弥柳 「今日も付き合ってくれてありがとう。

それと………悪かったな、厳しくし過ぎて。」


小咲 「とんでもない!

私がまだまだなだけだし………

弥柳君の、お客さんに商品を作る責任感もとっても伝わって来たし、

それに………」


弥柳 「それに?」


小咲 「普段は優しい弥柳君の、

真剣で必死な一面も見れて、なんだか良かったです。」


ドキッ


小咲の言葉に、蓮はドキッとした。


弥柳 「別に、俺は優しくなんては無いと自分では思うけどな………。」


小咲 「そんな事無いよ。」


アハハ………


小咲 (料理してる時の弥柳君、ホントに真剣な顔で生き生きとしてたな………。)



小咲 「それにしても、今日は楽しかったな。

私、友達が作ったレシピのお菓子を作ったのなんて、初めてだったし。」


蓮 「?あんた、今まで自分でレシピを作った事も無かったのか?」


小咲 「うん。

盛り付け以外は下手くそだから、まずは本に載ってる様なお菓子から作ろうと思って。」


蓮 「………なら、このショートケーキをあんたのレシピの1号にしたらどうだ?」


小咲 「レシピの1号?私の?」


蓮 「ああ、

菓子職人(パティシエ)は大体、

自分のレシピをいくつも持ってる。

俺ももう数十もの自作の菓子のレシピを持ってるし、

俺がこの大学祭のケーキ屋のケーキ兼ねて、まずはケーキのレシピを作ってやるから、

慣れて来たら、自分でレシピも作ってみたらどうだ?」


小咲 「私だけのお菓子のレシピかぁ………。

なんだか、素敵。

分かりました。

弥柳君の考えてくれたこのショートケーキ、

喜んで私の洋菓子のレシピの第1号にします!」


第1巻 第197話 完





このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください