2019-05-12 02:53:23 更新

2017年10月18日(水) PM:13:00


凡矢理遊園地


千棘 「ふーー、お昼美味しかったーー♪」


楽 「相変わらず、大食いだなお前………。

あんなデカ盛り弁当を、ものの数分で平らげちまって………。」


千棘 「何よ、悪い?

ご飯は命の元だもの、

たくさん食べて悪いわけなんて無いわ。」


楽 「へいへい。」


千棘 「それで楽、午後からはどこに行くの?」


楽 「そうだな………

午前中はお前が決めてばっかだったし、

次は俺が………

お、あそこなんてどうだ?」


千棘 「え?」


楽が入ろうと提案したのは、オバケ屋敷だった。


千棘 「オバケ屋敷?

楽、あんたこんなところに興味あったの?」


楽 「ああ、ちょっとな。」


楽 (ホントは、蛍のバドミントン部の出し物でオバケ屋敷もやるから、

その予行練習をしときたいんだけどな………。)



そして、楽と千棘はオバケ屋敷の受け付けまで行き………


店員E 「はーい。

オバケ屋敷一周で、お二人様で800円になりまーす。」


ガタッ


そして2人は、オバケ屋敷の扉(トビラ)を開けた。


千棘 「うぅ〜〜〜。」


ギュウッ



千棘は入ってすぐに、楽の腕にしがみついた。


楽 「おい千棘、あんまりしがみ付くなよ………。」


千棘 「だってだって、この中暗い上に狭いんだもん………。」



そのオバケ屋敷の中は、

電気が付いていない上に壁、床、天井全ての色が黒一色で統一されていて、

通路も狭かった。


暗所恐怖症、閉所恐怖症の千棘には大分キツいだろう。


楽 「仕方ねーな………

ほれ、手繋いでやるから。」


スッ


楽は千棘に右手を差し出した。


千棘 「うん、

ありがとう………。」


ガシッ


千棘は楽の右手を握って、楽と手を繋いだ。



そして、2人はオバケ屋敷の奥へと進み

………


ミイラ男 「ウガアーー!」


千棘 「キャアァァァーーッ!!」


ギュウウウゥッ


千棘は再び、楽に強くしがみついた。


楽 「いててっ!

千棘、いてーって!」


千棘 「だって………周りも暗いし狭いから、

尚更(なおさら)怖いんだもん………。」


楽 「んったく………。」


ギュッ


千棘 「ふえっ!?」



楽は、今度は千棘を抱きしめた。



楽 「少しは大丈夫になったか?」


千棘 「うん。

なんだか落ち着いてきた。

ありがとう、楽………。」


ドクン ドクン………


千棘には、楽の鼓動が伝わって来た。


千棘 (楽の心臓の音が伝わってくる、

なんだかあったかくて、気持ちいい………。)


楽 「よーし、さっさと進むぞ………」


スタスタ スタスタ………


ドラキュラ 「ガォーー!血を吸うぞーー!」


千棘 「いやーー!

血を吸われちゃうーー!

楽、助けてーー!」


ダッ


千棘は後ろに走り出した。


楽 「おいおい、落ち着けって千棘、

別に本物でもねーんだし………

って、うお!?」


千棘 「きゃっ?」


手を繋いだまま千棘が走り出したので、2人は転んでしまった。


ステーン


千棘 「いたた………。」


楽 「いてて………、

大丈夫か?千棘?」


千棘 「うん、大丈夫………。」


楽 ハッ


千棘 「?どーしたの楽、下の方をじっと見て………。」


ハッ


転んで尻餅(しりもち)をついた拍子(ひょうし)に、千棘のスカートがめくれて、白いパンツが丸見えになっていた。


千棘 「もう、エッチ!」


サッ


千棘はめくれた赤いスカートを直して、

パンツを隠した。


楽 「わ、わりぃ!」


楽は顔を真っ赤にして、目線をそらした。


千棘 「見えてるなら見えてるって、

ちゃんと言ってよね!」


楽 「わりぃ、とっさだったもんで………。」


千棘 「でも、ここはこんだけ暗いし、

あんた以外に見られる事は無いのか………。」


楽 「え?」


千棘 「な、なんでも無いわよ!」


楽 「しかし、お前そんなんで

出口まで行けんのか?」


千棘 「うーん………

確かに、ここ結構怖いし………。」


楽 「………しかたねーな。」


ガバッ


千棘 「ふえっ!?」


楽は千棘を持ち上げて、お姫様抱っこした。


千棘 「ら、楽!?あんたいきなり何を………?」


千棘は顔を真っ赤にして楽に尋ねた。


楽 「お前がそんなに怖がってんなら、

手を繋いでもさっきみたいにコケるかもしれねーから、中々出口までたどり着けねーだろ?」


千棘 「で、でも………

この中は暗くてあんまり見えないけど、

他のお客さんも見てるし、

は、恥ずかしいよこんなの!」


客A 「お、見ろよあそこのやつ、

彼女をお姫様抱っこしてるぜ。」


客B 「若いねー。」


楽 「俺だって恥ずかしいんだよ!

出口まで、我慢しろよ!」


千棘 (まったく………

こんな事になるなら、心の準備くらいさせてくれってのよ………。)



そして、千棘は楽に数100m(メートル)もの間お姫様抱っこされて、オバケ屋敷の出口までたどり着きました。


第1巻 第204話 完[link_ssmatome: SSまとめ速報作品URL ]


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