2019-05-12 07:57:45 更新

2017年10月19日(木) 16:00


LAB(ラボ) ファッション学園


デザイン科 1年教室


先生 「それでは、

今日の授業はここまででーす。

皆さん、気を付けて帰るようにー。」


生徒一同 「はーい。」


ガタッ


倉持 「千棘ちゃーん、一緒に帰らない?」


千棘 「あ、ゴメン綾ちゃん。

私、学祭で出すお洋服のアイデア、

今日も学校に残って考えたいんだ。」


スッ


千棘は、ファッションデザインのアイデアを纏める為の、スケッチブックをカバンから取り出して机の上に広げた。


綾 「今日も?

千棘ちゃん、ここ最近毎日学校に残って考えてるじゃん。」


千棘 「うん。

だって、出来るだけたくさん、

いいお洋服のアイデアを、自分で考えたいんだ。」


綾 「頑張るねぇ〜〜、千棘ちゃんは。

ウチのクラスで出す服は、

1人最低1つ出せばいいのに。

千棘ちゃんは頑張り屋さんだよ。」


千棘 「えへへ………

ありがと、綾ちゃん。」


綾 「私、千棘ちゃんが終わるまで、

待ってるよ!」


ガタッ


綾は千棘の隣の席に座った。


千棘 「綾ちゃん………ありがと!」



カキカキ カキカキ………


綾 「………千棘ちゃん、メンズの男の子の服のアイデアばっか描いてるね。

レディースの女の子の服のアイデアは描かないの?」


千棘 「え?

う、うん………。

私、小さい頃から鶫(つぐみ)に似合う、

女の子っぽい服ばっかり考えて、あの子に勧めて来たから、

この学校に来てから、男の子の服も考えたくなったの。」


倉持 「なるほど………

頑張って!」


千棘 (ホントは、楽に似合う服を考えて、

あいつに着て欲しいんだけどね………。)


カキカキ………


倉持 「………ねえ、千棘ちゃん。

異性の人の服のアイデアを考えたいなら、

いい方法があるよ。」


千棘 「え?」


倉持 「千棘ちゃん、大好きな彼氏さんがいるんでしょ?

ならちょうどいいよ!

その人が、どんな服を着たら似合うかイメージするの。

それだけ大好きで、長い間一緒にいた人なら、

その人に似合う服もイメージしやすいでしょ?」


千棘 「なるほど………

楽に似合う服かぁ………。」



その日の夜、スペクトル凡矢理 705号室


千棘 「ねえ、ダーリン。

ちょっとコレ着てよ。」


スッ


楽 「はぁ?」


千棘が、楽に着るように勧めたのは、

黒一色の長ズボンだった。


楽 「なんだそのズボン?

カジュアルだな………。」


千棘 「えへへ………

カッコいいでしょ?

私、今日は遅くまで学校に残って、

この服を作ったんだからね!」


楽 「この服、お前が自分で作ったのか?」


千棘 「もちろん!

LAB(ラボ)の学祭で私が売りに出す、

私のアパレルオーダー第2号よ!」


楽 「でも、いいのか?

コレ、店に売りに出すんだろ?

俺が着て………。」


千棘 「それは大丈夫よ!

私、LAB(ラボ)で先生に提出する分と、

あんたにあげる分、

2つを作ってきたから!

それで、こんなに帰りが遅くなったんだけどね。」


アハハ………


楽 「なんでわざわざ2つも………?」


千棘 (あんたに似合うズボンを必死で考えてたから、

あんたに真っ先に着て貰いたかったからよ………。)


楽 「まあいいや、着て来るわ。」


ガチャ


楽は、着替える為に自分の部屋に入った。


1分後


楽 「ほれ、コレでいいか?」


千棘 「わぁ〜〜………。」



千棘がデザインした黒い長ズボンを着た楽は、

普段から服装に気を使う千棘と違い、

いつも地味な特徴の無い服を着ている

彼の服装と違い。

一層(いっそう)、カジュアルに見えた。



千棘 「カッコいいよ、楽!」


楽 「お、おう………。」


楽 (千棘が俺の事をカッコいいって言うなんて、珍しいな………。)


第1巻 第206話 完


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