2019-05-26 13:18:22 更新

2017年10月23日(月) PM:16:00


LAB(ラボ) ファッション学園


放課後


千棘 「うーん、次の作品は、

何を作ろうかなぁ………。」


綾 「千棘ちゃん、

また自分の作品を考えてるの?」



千棘は、放課後にLAB(ラボ)の教室に残り、

新しい自分のオリジナルの作品の服のデザインを机の上にスケッチブックを広げて考えていた。



綾 「また、メンズの男の子の服のデザインを考えてたの?」


千棘 「うん。

だって、私今までつぐみが着る女の子っぽい服ばかり考えて選んで来たし、

せっかく、男の子の服も考え出したんだから、

今はそれを頑張りたいもの!」


綾 「でも、もう2つも自分の作品作ったんでしょ?」


千棘 「まだたった2つじゃない!

やると決めたからには、努力あるのみよ!」


千棘 (少し前までの昔の私は、

自分の恋にも夢にも努力も全然しなくて、

ダメダメだったからね………。)


倉持 「へぇ〜〜、偉いんだね、

千棘ちゃんは!」


千棘 「そ、そう?

エヘヘ………。」



綾の言葉に、千棘は少し照れた。



綾 「でも、それにしては中々アイデアが思い浮かばないみたいだね。」


千棘 「そうなのよ。

私、今まで男の子の服なんてあんまり考えた事無かったから、

どんな服を考えればいいのか………。」


千棘 (それにあいつは、

私とのデートの時も、服なんてあんまり考えないからね………)


綾 「うーん、

千棘ちゃんは、女の子に似合う可愛いレディースの服を考える才能は、スッゴくいいんだけどなぁ………

あ!そうだ、迷彩柄(めいさいがら)の長ズボンなんてどう?」


千棘 「迷彩柄(めいさいがら)?」


綾 「うん。

最近の私達と同い年(おないどし)くらいの若い子はね、迷彩柄(めいさいがら)が好きな子が多いんだよ!

千棘ちゃんも、町で十代や二十代の若い子が、

迷彩柄(めいさいがら)のズボンや上着を着てるところ、時々見ない?」


千棘 「あ!言われてみれば、

私達が住んでるマンションの人や、

駅で会う人、

それにこの学校に通ってる子達も、

迷彩柄(めいさいがら)の服を着てる人を時々見るわね。」


綾 「でしょでしょ?」


千棘 「それに、ウチの連中も………。」


綾 「え?ウチの連中?」


千棘 「あ!いや………こっちの話………。」


アハハ………


千棘 「よーし、そうと決まれば、

行動あるのみ!

まずは、デザインをスケッチブックに描いてまとめるわよ!」


パラッ



千棘は、再びスケッチブックを開いて、

机と向かい合った。



千棘 「でも、迷彩柄(めいさいがら)なんて、

緑に茶色や白色を混ぜれば良いだけなんだから、

簡単じゃ無い?」


綾 「それは甘いよ、千棘ちゃん!」


千棘 「え?」


綾 「迷彩柄(めいさいがら)って言っても、

緑を迷彩っぽくない明る過ぎる色にしちゃったり、

茶色と白色の全体に入れるバランスがダメだったり、

多過ぎたりすると、

服の柄としてカッコ悪い、

ダメな迷彩柄になっちゃうんだよ!」


千棘 「なるほど………流石綾ちゃん!」


綾 「私も手伝うよ!

千棘ちゃん、まずは長ズボンの全体の形の図を、スケッチブックに描いて。」


千棘 「綾ちゃん………ありがとう!」



そして、2人の迷彩柄の長ズボンのデザインは始まり………



綾 「千棘ちゃん!

緑色が明る過ぎるよ!

あ、でも逆に暗過ぎてもダメだからね。」


千棘 「分かったわ!

もう少し暗い緑色のペンで描き直してみるわ!」


綾 「千棘ちゃん、

茶色が多過ぎるわ!

迷彩柄(めいさいがら)の基本的な色の比率は、

緑:茶:白が、5:3:2くらいがちょうどいいはずよ!」


千棘 「はい!」



そして、その日の夜………



スペクトル凡矢理 705号室


千棘 「ねえねえ、見てよ楽、じゃじゃーん!」


バッ



千棘は、今日学校で描いてきたばかりのスケッチブックの迷彩柄(めいさいがら)の長ズボンの絵を楽に見せた。



楽 「ん?何だそれ?

迷彩柄のズボン?」


ズズー〜………



楽はコーヒーを飲みながら答えた。



千棘 「そうよ!

今日、学校に残って2時間くらいかけて描いたの!」


楽 「へぇ〜〜、頑張ったなお前、

中々いいデザインなんじゃねーか?」


千棘 「えへへ………そうかな?

ありがとう、楽!」


千棘 (少し前まで、楽の事で頭が一杯だった私が、

ちゃんと自分の道に努力出来てる………

やっぱり、何かを頑張るって、楽しいわね!)


第1巻 第224話 完


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