2019-06-02 01:07:37 更新

2017年10月24(火) PM:16:00


弥柳宅(みやなぎたく)


弥柳 「よーし、それじゃあ小野寺さん、

美味いチョコレートの作り方と、

良いカカオの調達は出来たから、

今日はいよいよ、

チョコレートケーキの製作に取り掛かるよ!」


小咲 「はい!」



小咲は、その日の大学の講義が終わった後に、

蓮の家で大学祭のケーキ屋に出すチョコレートケーキの、試作品作りに来ていた。


蓮 「よーし、まずはこの前やったやり方で、

チョコレート作りからだ。」


小咲 「はい!」



そして、調理は始まり………



蓮 「チョコレートの苦味が強過ぎる!

もう少し、砂糖を入れて!」


小咲 「はい、すいません!」


蓮 「チョコレートの部分と、

スポンジの部分の色のバランスが悪い!

味だけじゃ無くて、

見た目もお客さんに買って貰う為の大事な要素の1つだよ!」


小咲 「はい!」


小咲 (私にお菓子作りを教えてくれてる時の弥柳くんって、

ホントに真剣で………厳しいなぁ………。)



そして………。



弥柳 「出来たよ!

頑張ったね、小野寺さん!」


小咲 「はい!

今日もありがとうございました!」



小咲と蓮の努力の甲斐(かい)あって、

上と底にチョコ、その間の真ん中にカカオ味の茶色いスポンジを挟んだ、

一般的なチョコレートケーキが出来上がった。



小咲 「あのーー………弥柳くん、

一口味見してもいいですか?」


弥柳 「ん?

ああ、いいよ。

試作品だから、味見も兼ねて食べてみなよ。」


小咲 「はい。

頂きます。」


パクッ



小咲はチョコレートケーキを、一口食べた。



小咲 「わぁ〜〜、美味しい。

よく出来たなぁ、私………。」


小咲 クスッ



小咲は思わず、笑みをこぼした、



蓮 「ん?どうしたの、小野寺さん。」


小咲 「あ……いや、ごめんなさい。

私、お菓子作りを本格的に始めたの、

大学入ってからだったから、

高校時代は今よりチョコレート作るのも、全然下手だったんです。」


蓮 「だから?」


小咲 「あ、いや………。

もしあの頃から、これくらい美味しいチョコを作れたら、

高校の時好きだった男の子に、

もっと自信を持って、バレンタインチョコを渡せたのかなぁ、って………。」


蓮 「ふーん………。」


小咲 「………あのー、弥柳くん?」


蓮 「うん?」


小咲 「もしよかったら、今年のバレンタイン、チョコ貰ってくれませんか?」


蓮 「え!?」


ドキッ


蓮 「そ、それって……………。」


小咲 「……………。」



ドキドキ………


ドキドキ………



小咲 「ぎ、義理チョコです、

義理チョコ!

弥柳くんに作りかた教えて貰ったおかげで、

美味しいチョコをいつでも作れる様になったから、

そのお礼にって………。」


蓮 「そ、そうだよな!

義理だよな義理!

そういう事なら、喜んで貰うよ!

ありがとう………。」



アハハ………



小咲 (………なんで私、

こんなにドキドキしたんだろう………。)


第1巻 第231話 完


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