2019-06-07 22:45:47 更新

概要

度重なる責務に疲労したシンジが見つけたのは、エヴァの前に落ちていた手紙だった。


前書き

原作 葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」


シンジ「はぁ…つ、疲れた…」


シンジ「ここんところ連戦続きだし、シンクロテストも多いし…やんなっちゃうよ、本当に」


シンジ「ただでさえエヴァってやつは、はなっから苦手なんだよ……」


アスカ(なぁに弱音はいてんのよ!?そんなんだからいつまでも屁っ放り腰なのよ!)


レイ(……あなた、お父さんのこと嫌いなの?)


シンジ(……なんて自分が他人に文句を垂れても、どうせそういう返事しか返ってこないしな…)


シンジ「本当にやる意味あんのかなこれ…」


リツコ『シンクロテスト第2回目に入ります。準備よろしく、シンジくん』


シンジ「はいはい…わかりましたってんだよ」




エヴァ初号機前


シンジ「はぁ……憂鬱だ。こんなんでいいシンクロテストができるわけないよなぁ」




シンジ「……ん?エヴァの前に、紙が落ちてるぞ…誰か落としてったかな…」


パラッ


シンジ「ん?何かの手紙みたいだ…」




『あの時、私はこのエヴァンゲリオンの起動実験に参加していました…いや、参加というよりは、強制的なところがありましたがね…。何せ、私はエヴァの開発者ですからね。そう、私こそがエヴァの起動実験の被験者に買って出たんですよ。思えばこれまで茨の道のりだったな…こんな非現実的なものを扱うのは、本当に人間にとっては辛いものであります。私は、こんなものを人間が応用するなんて、そんなことができるのかと疑問に思うこともありました。知恵の実を容易く食べた私たち人間でありますが、その代償はきっと大きいものになるでしょう。この、エヴァを動かすということがどんなに人間にとってマイナスなことであるのか、分かる日はいずれ来るでしょう。ですがこれも致し方ないことなのかもしれません。これを使わなければ、私たち人類は滅びてしまう。恒久的平和を懇願し、実現させるには、やはりエヴァは必要不可欠な存在です。将来、その…エヴァが必要な状態になった時のために、私は身を呈してでもこれをある程度人間が操縦できる状態にさせたいのです。

それに、私には…いや、私のお腹には、健気な命が一つ宿っていて、その子を産んだあと、この子は間違いなく、大きな存在になる、と悟りました。そう、あなたの顔を私の顔に近付けて、あなたがその小さい手で私の顔を叩く、触る時の、その柔らかい感触が、脳裏から離れないのです。ですが、私の子になったということは、ある意味不幸なことになってしまったかもしれません。何故なら、きっと、あなたは、エヴァのパイロットの候補者に上がり、この諸刃の剣であるエヴァを操縦する日が来るでしょうから…。

私は、エヴァによって、命を失くしました。というより、心臓の中で、私の心臓が鼓動を続けています。非科学的で、幻想的な、場所です。私はあなたをよく見かけます。…実験に失敗したことを悟ったとき、あなたが向こう側のガラスのところで、泣いているのを見ました。まだ自我のないあなたは何が起こっているのか分からず、戸惑ってしまったのでしょうね。よく、分かっています。だから、その十数年後、あなたが来たことが、どれだけ嬉しかったことか…。獰猛なこの生き物は、少しだけ同情をしてくれるようで、私に力を与えてくれます。それは、あなたが死にそうになった時、そう、あなたを守りました。あの時も、この時も。お察しがつくでしょう。これからきっと、また離れてしまう時が来るかもしれません。その時には、決して私が、エヴァが冷たいなどとは思わないでください。本当に冷たいのは、人間です。離れていたとしても、紅の血は、いつまでも繋がっています。それを忘れないでいてほしいのです。

あなたは、その人間の冷酷さを身をもって感じているでしょう。誰も助けてくれない外の世界にいる時より、エヴァの中にいる方が暖かいのは、私があなたを抱擁しているからなのです…。』




















『エントリープラグ、注水』









シンジ「……暖かい」


ポタッ……



後書き

お読みくださりありがとうございました。

お時間がありましたら、是非他の作品も見ていって下さい。


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2019-10-15 15:55:44

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2019-07-17 11:08:21

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