2019-08-02 13:08:56 更新

概要

リツコがまた豹変する。知られざるリツコの裏(?)が落語的なジョークを交えて明かされ…。微修正しました。


前書き

リツコさんが猫好きであるのは知られているので、似たような名のSSがあるかもしれませんが、あったとしても全くの別物です。

文の体裁上、少し読みづらくなっています。

一応自作の「バンジージャンプ」の続きですが、読んでなくても大丈夫です。


リツコ「名前はまだない」


ミサト「バンジージャンプの次は夏目漱石?もう勘弁してよ…」


リツコ「ニャーニャー鳴いてるだけの人生というか猫生であるが…」


ミサト「ああもう、付き合ってらんない」



リツコ「うちの書生は物事に対し上手く行かんと黙ってその場を立ち去るような曲者であり、また上手く行ってても何を言うでもないような内気な奴でもある。息子が使徒を殺しても、ああよくやったの一言もかけずにただただ押し黙って画面を見つめるばかりである。そんな書生に拾われた所以というのは、何を隠そう母の影響である。母は書生に恋をしたが書生の娘を鋭い爪で引っ掻いて殺してしまい、そのあとああまずいことをしたと言ってポックリ自死した。その言葉は客観的に見るとニャーニャーとしか聞こえていなかった。

私は母の悍ましい遺体を見た。からくりだらけの鉄色の建物に赤々しく散らばった血と、猫の肝臓やら胃やらが異臭を放っていた。私はその場から逃げ出し、思い切り吐いた。あんなに壮大で勇敢で佳人薄命な母を死ぬ気にさせたあの書生が、私からはどうしても憎らしく見えてしまった。果たして書生はどんな人格なのかどれ見てやろうと思って、母の意志を継いで勤めているのである。しかし、その意志は本当に、まるまる継いでしまったのである。

そばで書生を見続けるのは、餅を食って人前で踊り狂うことより苦痛なことである。書生は何か読み物をするでもなし、書き物をするでもなし、飲食も喫煙も飲酒もなし、ただずっと手を組んで表情を隠しつつ前を眺めているだけである。しかし、私が少しばかり構って欲しいと、尾を少し上げてすり寄ってみると、書生は最初は何の反応も示さずに黙ったままでいるが、しばらくするとやおら頭を撫でて、私の腹や背中をさすってくれるのである。私は少しだけ嘆息の声を上げた。何も言わずに、手を動かすだけで、私を見るでもない。書生の膝の上に登り、寝ていると、情けない書生は私の背中をさすったまま、うとうとと居眠りを始めるのである。

こんなぐうたらな書生のどこに母は惚れたのだろうと思いながら寝ていると、戸が開いて冬月とやらの文筆家を名乗る爺が入ってきた。何の合図もなしに入ってきた冬月に書生は静かに腹を立てたが、私をテエブルの上に乗せ、結局また業務に入っていった。

「猫と戯れるのもいいですけども、文筆とも少し戯れて頂かないとねえ」

「何も思いつかんのだ。無理に書いても墓に刻む文字もできまい」

喩えがあまりにもひどくて不謹慎で、笑いをこらえるのに必死だった。

「何をおっしゃいます。そういえば、諜報から入った情報でございますがな、バチカン条約とかいうのがありましてな、それによってエヴァ保有が制限されるみたいでせえ」

忘れていたが、本来書生は特務機関の司令とやらの仕事もしており、こんなぐうたらな奴が務めるだけ命がいくらあっても足りない。

「そのことなら知っておる。何、使徒が攻めてくるのは獨逸でも亜米利加でも仏蘭西でもなく、ここ日本国だ。最終的な決定権はここにありなんだよ」

珍しく今日はよく書生の舌が回る。先生と慕っていた冬月にもこんな口調で大仰でいるのだから、相当自信があるに違いない。

「何、いざとなったら条約なんて破棄だ。条約より世界平和の方が大義に決まってる」

それを聞いた時思ったが、この書生の言う平和とは何だろうか。何がどのように平和であれば平和だと、この人が言うのか、さっぱり見当もつかない。

「いつから君が猫好きになったか知らんが、そういう色物も大概にするべきではないですかね」

「猫に色物と言ってどうする。胃弱の薬を飲みに飲ませようとする死んだ女房よりは、黙っているか、ニャーと鳴くくらいだから断然マシだ」

「そんなことをおっしゃってはなりませんよ。君の目的は、死んだ女房の機嫌を直して生き返らせることでしょう。これでは返って機嫌を損ねます」

「ああ、分かった。今、少し文が思いついた。仕事の邪魔だ。とっとと去れ」

と、書生は話のムキになっていたくせにしょんべん小僧みたいな癇癪を起こして冬月を追っ払った。

そして書生は目の前の紙にこう書いた。

「猫に色 妻に胃薬 飲まされて 今日も寝込んで 便も詰まりつ」

何とも下品でつまらない歌であるのに、書生はだいぶ満足した様子である。私は書生を貶すように見つめると、書生は財布を取り出し、投げつけた。小判だった。

「お前にはその価値も分かりゃせん」

私は書生の顔を思い切り引っ掻いた。」


ミサト「」






















ミサト「リツコ」


リツコ「何?」


ミサト「あんたまさか、さっきの饒舌からすると、見当たらない時って…」


リツコ「そうよ、猫になってるのよ」


ミサト「うわー…(察し)」



後書き

原作 夏目漱石「吾輩は猫である」「こころ」
をつまんでミックスして、大胆にアレンジしてみました。

お読みくださりありがとうございました。


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