2019-07-23 03:08:29 更新

前書き

初投稿です。
小説を投稿する系のサイトは、なろうとハーメルンをやっていました。
なんとなく思いついた薄い文ですが楽しんでいただければ幸いです。
主人公は太郎という名前ですが、読者様の好きなように頭の中で変更することをお勧めいたします。
例えば自分の名前とか、ね……良くやるよね?

作中に出てくる、軍人の名前についてですが、一部は存在しない人物です。
主人公のひいじいちゃんとかね。
本当は史実の人物の名前を使わせていただこうとしましたが、遺族の方々や故人の方々のことを考えやめました。
日本軍の歴史とかかなり変わっていますがそこはお許しください。



出会い


?「……は?」


瑞鶴「私を買ってください!」


?「いや何故なんども言う。わけわからわからんってばね」


ようみんな。オレは今一体だれに挨拶しているのだろうか?

人は、予想外の事態になると意味のわからないことを考えるとは本当なんだな。

とりあえず今の状況を説明しよう。

オレの名前は太郎。

時刻は夜9時40分。9時半までのバイトが長引き、今から帰ろうとしているところ、謎の美女に話しかけられた。

謎と言っても、彼女は天下の艦娘。その中でも瑞鶴という奴だ。

何故知ってるか?オレ、こう見えても昔は海軍のパイロット志望だったからな。


瑞鶴「……ダメ、ですか……?」


太郎「いや普通に考えたら日本の法律的にあかんですよ。ていうか、艦娘ですよね?」


瑞鶴「えっ……!?」


太郎「まあまあ。そう驚かないでくださいよ。とりあえず……話、しますか」


瑞鶴「……はい」


意外と従ってくれたな。

とりあえず、この公園のベンチに座るか。

オレは瑞鶴を先に座らせ、人一人分ほどスペースを空けて隣にすわった。


太郎「で、いきなり買ってくれとはどういうことですか?」


瑞鶴「私……鎮守府から逃げてきました」


太郎「へえ。……へぇ!?」


瑞鶴「それで、行くあてもなくて……でも、生きるためにはお金が必要で、それで……」


太郎「ぁあ〜、なるほど。まあ……うん」


いわゆる援助交際、略して援交というやつか。

たしかにキレイだから誰でも釣れそうな見た目ではあるけどな。


瑞鶴「いくら……出せますか?私、艦娘なので締まりも人間より良いですし、どんなプレイも体は持ちますし、解体されない限りずっと若い姿ですよ?」


太郎「……そ。悪いけど、買えないです」


瑞鶴「……わかりました。では失礼します」


彼女はそう言って、ベンチから立ち上がりここを去ろうとした。

まあ、行かせないけどな。


太郎「待ってください」


瑞鶴「なんですか?」


太郎「一旦、うちに行きましょう。まずはご飯から」


瑞鶴「でも……」


太郎「時間、ないわけじゃないんですよね?それに、その様子だとなんかにも食べたなさそうだ。早く行きますよ」


瑞鶴「ちょ!?」


瑞鶴……さんの華奢な腕を掴み、家へと走り出す。

最近実家の真横のアパートを借りたから一人暮らしだ。

アパートに着き、オレは瑞鶴さんを座椅子に座らせた。何故か瑞鶴さんは入った瞬間にとても驚いていた。

そんなに散らかってないけど……もしかして臭う?


太郎「とりあえずここで待っててください。食べ物、持ってくるんで。何してても良いですけど、絶対にこんな時間に一人で出歩かないでくださいよ?」


瑞鶴「……はい」


よし。果たして本当に待っていてくれるかはわからないが、母が余ったというカレーを取りに行くか。


太郎「母ー」


母「どした?」


太郎「カレー、取りきた」


母「あ。冷蔵庫に入ってる。米炊いた?」


太郎「米はいつでも炊いてるわボケ。んじゃ貰ってくな」


母「はいよ。今度生意気な口聞いたら締め落とす」


太郎「……勘弁」


流石に高校時代全日本優勝した人に言われると、肝ならぬ玉が冷えるというものだ。

急いで鍋にあるカレーを持ち帰ったところ、何故かまた驚いた様子の彼女がいた。


太郎「どうしましたか?」


瑞鶴「こ、これ……」


彼女が見ていたものは、オレの……正確には、もうこの世にはいないオレのひいじいちゃんの革手袋、ゴーグル、帽子、そしてあるバッチだ。

もちろん、普通のものなら彼女は驚かないだろう。これは


瑞鶴「海軍のパイロットの……ですよね?」


太郎「ええ。オレのひいじいちゃんのです。詳しい話は後で、まずはご飯です。作るのでまっててください」


瑞鶴「あ、手伝い」


太郎「お客さんはそこでくつろいでいてください。良いですね?」


瑞鶴「……はい」


それから、カレーを瑞鶴さんと食べ、椅子に座り直して話をすることにした。

まずは自己紹介。


太郎「名前は山田 太郎。19の大学生です」


瑞鶴「翔鶴型航空母艦2番艦、妹の瑞鶴です」


太郎「知ってます。ええ。知ってます!!」


瑞鶴「え?」


太郎「正直、最初に会った時からずっとこの気持ちを抑えてました……握手してください!」


瑞鶴「え、え!?」


太郎「あ、すいません。あの……オレのひいじいちゃん、海軍のパイロットで、それで……あの、山田 太郎って名前、聞き覚えないですか?」


瑞鶴「それは貴方の名前じゃ……いや、もしかして……私に乗っていた……!?」


太郎「はい!その人ですその人!」


オレのひいじいちゃんは、瑞鶴さんに乗っていた。

正確には、艦の時代の。

その話を聞いて、数々の栄光を聞いて、誉れ高き戦士達を見て、オレはパイロットを志望していた。

ま、門前払いだよ。高校卒業と同時に海軍に向かったんだけどね。


瑞鶴「あの、マリアナの龍の……?」


太郎「はい。それです。まさか、話に聞いていた瑞鶴さんに会えるとは……」


瑞鶴「えっと……と、とりあえず、よろしくお願いします」


瑞鶴さんはそう言い、オレの手を握ってきた。

うわ!柔らか!?

最初の感想はそれだったが、彼女に触れた途端、頭痛が走る。


太郎「うっ!?」


瑞鶴「だ、大丈夫!?」


太郎「いや……大丈夫じゃないです」


瑞鶴「……」


うん。大丈夫じゃない。

だって、なんか小さい女の子が見えるもん。瑞鶴さんの肩に。

ていうか、この部屋全体に。


太郎「まさか、妖精が見えちゃうなんて……末期だな」


瑞鶴「妖精……妖精?……妖精さんが見えるの!?」


太郎「うおっ!?……は、はい。今まさに瑞鶴さんの肩に乗っているのとか」


オレは瑞鶴さんの肩いる妖精のほっぺたをつついたり、撫でたりする。

なんかすごい嬉しそう。愛いやつめ。


瑞鶴「触ってる……!もしかして、貴方なら!!」


太郎「?」


瑞鶴「電話、ある?」


太郎「はい。どうぞ。あ、指紋認証しますね」


瑞鶴さんは開かれたオレのスマホで何かしようとしていたが、操作がわからないのか戸惑っていた。

電話と言っていたので、電話を開くと、ありがとうと言って数字を入力し、どこかに電話をかけた。

番号の桁が何故か普通よりも多かったので、軍の特殊なアレだろう。


瑞鶴「……もしもし。瑞鶴です。元帥に繋いでください。……はい、はい……その件は申し訳ありません。……はい。……見つけました。適正者。それも、かなりの大物です。……はい。……そうですね、ざっと彼の部屋には50位います。……はい、本当です。……はい。……艦の私に乗っていた人の、ひ孫です。……山田 太郎です……はい。その人です」


瑞鶴さんは、それからしばらく話し込み、やがて通話が終わると電話をオレに渡してきた。

そして、オレの肩を掴んできた。


瑞鶴「いきなりで本当にごめんなさい。明日、海軍の大本営に行きます」


太郎「お、オレが?ですか?」


瑞鶴「はい。貴方には……提督になって頂きます」


太郎「けけ、決定事項です?」


瑞鶴「……はい」


太郎「なんですか今の間」


瑞鶴「気にしないでください。とにかく、朝早く迎えが来るので」


太郎「え、でも大学とか……」


瑞鶴「それは気にしないでください。軍が話を通してくれます。とにかく、本当に朝早いのでもう寝ましょう」


太郎「……そうですか。じゃあ、お風呂に……先、入ります?」


男の後なんて、普通に考えたら嫌だもんな。

べ、別に瑞鶴さんの後で何かしようとかしてないよ!?

……ごめんなさい。


瑞鶴「で、ですが……私みたいな化け物……」


太郎「化け物?何言ってるんですか?」


瑞鶴「海軍の宣伝、見なかったんですか?」


太郎「見ましたよ。見てない人は日本には居ないと思いますけど……」


瑞鶴「ならなおさら……」


太郎「なおさら化け物なんて思えないですよ。だって、綺麗でしたから。みんな」


瑞鶴「え?」


太郎「すごく、輝いてて……ひいじいちゃんの話に聞いた、艦と変わりがなくて……」


瑞鶴「……」


太郎「だから、大丈夫です」


瑞鶴「そう、ですか……なら、一緒に入りますか?」


太郎「はっ!?」


何を言っているんだこの人は。

あれか?からかってるのか!?

無理だよ無理!彼女居ない歴イコール年齢だもんオレ!!


瑞鶴「私としては、先を譲りたかったのですが……」


太郎「じゃあ」


瑞鶴「でも」


瑞鶴「でも、さっきの話を聞いて思いました。私は、さっきの電話で逃げた鎮守府に戻らなきゃいけません。人の優しさがないあの場所に、また……だから、だからどうか私に……人間が優しいってことを。覚えさせて……思い出を、ください……」


太郎「瑞鶴さん……」


話に聞いたことがある。

艦娘兵器主義。大半の軍人がそうらしい。特に男。

オレはそんなことは思わないのだが……あれか。やっぱり、兵器扱いされてると、人間を疑ってしまうんだ。

きっと瑞鶴さんは、人間不信になる前に、こうやって自分を何かから守ろうとしているんだ。

ならオレは童貞とか関係なしにそれに答えなきゃならない。


太郎「……わかりました。良いですよ」


瑞鶴「……本当に、ですか?」


太郎「はい。もちろんですよ」


それからオレと瑞鶴さんは、二人で風呂に入った。

そこで何があったか、詳しくは言わない。

ただ、二人とも汗をかき、今日会ったばかりなのにもかかわらず初めてをなくした。艦娘すごい。色々と。あんなに何発も……いや、瑞鶴さんだからか。

そして、距離感が縮まった。まあ何というか、瑞鶴さんに惚れられているらしい。嬉しすぎて飛び跳ねそう。

ともかく今は、同じ布団で一緒に寝ている。

背中合わせで。あ?やっといてだと?うっせ。


瑞鶴「……」


太郎「……」


瑞鶴「太郎さん」


太郎「ん?」


瑞鶴「その……優しくしてくれてありがとね。私、これでもう思い残すことはないよ」


太郎「……やめろってばね。そういうの。オレ、もっと瑞鶴と一緒にいたい。明日、頑張るから。何するか知らんけど」


瑞鶴「ふふっ、もう……おやすみ」


太郎「おやすみ」


瑞鶴は、オレの背中に抱きついてきた。

小さいが確かにある女性の象徴と、瑞鶴の体温、心音でドキドキする。

振り向き、抱き合う形になった。瑞鶴は驚いた様子だが、強く抱きしめ返してくれた。

願わくば、この時間が続けば良いのに……



ーーーーー


私を買ってください。

今思えば、初めて会った人に言うセリフではない。

彼の寝顔を見ながらそう思う。


瑞鶴「なんであんなこと言ったんだろ……」


きっとそれは、私にも一生わからない。

何かに惹かれたんだ。彼の。

だって、そうじゃなきゃ出会ったばかりの男女が、その……するわけないし。

太郎さん、拒絶するどころかガッツクからビックリしちゃった。


瑞鶴「うぅ、思い出すとなんかジンジンしてきた……」


お腹のあたりをさする。

それは、嬉しい痛みだった。

二人とも夢中になって、数回やったけど……艦娘は子を宿さない。

けど生理とかは何故かある。はあ、本当不便。

ていうかこの家にいた妖精さん達、空気を読んでさっきも今も出てきていない。よくできた妖精さんだ。


瑞鶴「妖精さん、ありがと」


「きにするなー」


「ふたりはいっしょ」


「わたしたちきめた!」


瑞鶴「ふふっ……ありがと」


何をきめたのかはわからないけど、いっか!

……それより、思い出すとジンジンするけど、なんか……ムラムラ?してきた……


太郎「……」


瑞鶴「手……借りるね」


彼の指で自分のあそこを刺激する。

癖になっちゃいそ……もし、二人で鎮守府運営できたら、毎日私が襲っちゃうかも……ふふっ。でも、良いな……って!私、こんなに性欲強かったっけ!?


瑞鶴「もう……わけわかんない……貴方のせいよ」


太郎さんの頬にキスする。

そして私は、彼の手を借り続けた。

眠る時まで。


太郎「……」←起きてるけど気まずい





いざ大本営へ


朝。それは、1日の始まりである人もいれば、1日の終わりでもある人がいる時間。いや、何時でもそうだけど。

オレの場合は1日の始まりだ。だが、今日は普段とは違う。なぜか?


瑞鶴「太郎さん。おはよっ」


太郎「……ああ。あはよう瑞鶴」


横に女神がいること。

この際手がふやけてるのはどうでも良い、とにかく最高の目覚めだ。


瑞鶴「マルヨンマルマル、うちの鎮守府では総員起こしの時間だよ」


太郎「早いな……オレだったら5時……マルゴウマルマルにするぞ」


瑞鶴「場所によって違うからね。ま、うちはブラック鎮守府ってやつだったけど……じゃあさ!」


太郎「ん?」


瑞鶴「生まれて初めての二度寝……しても、良いかな?」


太郎「ぶふっ」


やばいやばい。なんだこの可愛い生き物。

二度寝に許可もらうとか……嗚呼もう!

よし、冷静になれ。


太郎「もちろん。一緒に二度寝しようか」


瑞鶴「うん!」



そしてオレ達は二度寝した。

……ええ、起きたら7時ですよクソ!!

いやオレの普段起きる時間だけどさ……で、こっから8時に家出て大学行くんだよな。

まあそんなことはどうでも良いか。


瑞鶴「できたよ〜」


太郎「おお、これが……」


瑞鶴に朝食を作ってもらった。

味噌汁と焼き魚、卵焼きにおひたし、そして白米。

冷蔵庫の中にあったもので作った、普通の和食だ。けど朝は米派のオレからしたらこれ以上のご馳走はない。


瑞鶴「さて、食べよっか」


太郎「ああ。じゃ」


太郎 瑞鶴「「いただきます」」


朝食を終えたオレ達は、服を着替えて海軍の迎えを待った。

味の感想?美味しすぎると美味しい以外に言えないんだよ。


瑞鶴「そろそろくるかな……」


太郎「もう8時半……なんか、学校に連絡してないと本当に悪い気になるな」


瑞鶴「大丈夫。悪いことなんてしてないよ!」


太郎「はは……ありがとな」ナデ


瑞鶴「うん!」


瑞鶴の幼馴染力凄すぎるな。

まるで、初めから一緒にいたかのような感覚を覚えさせられる。

不思議な魅力だ。

そう思っていると、インターホンの音がなる。

そして、受話器を手にとる。


太郎「……はい」


?「あの、山田殿のお宅でよろしいでしょうか?」


可愛らしい女の子の声だ。


太郎「はい、そうです」


?「開けていただいても……」


太郎「わかりました」


瑞鶴「太郎さん……」


太郎「大丈夫だ。行こう」


瑞鶴「うん」


鍵を開けると、視界の少し下に青い何かが見えた。

少し顎を下げると、そこには青い髪の毛にこちら側から見て左側に金髪、そして青い目をに白い服を着た、控えめに言って美少女がいた。


瑞鶴「さ、五月雨!?」


五月雨「瑞鶴さん!お久しぶりです!」


瑞鶴「いや、2日ぶりくらいよ……」


太郎「知り合いで?」


五月雨「あ、すみません!私、五月雨って言います!護衛任務ならお任せください!」


太郎「お、おお。山田 太郎です。え〜っと……」


「くどく?くどく?」


「や〜ん。だいた〜ん!」


「ちいさいこにもてをだすきちく!」


太郎「ちょっと黙っててくれないかな君達ぃ!?」


妖精さん、賑やかなのは良いけど……時と場合をわきまえてよ……

カッコよく決めようとしたのに……


五月雨「凄いです!本当に妖精さんが見えるなんて……!!」


瑞鶴「でしょう?特別なのよ。きっと」


太郎「……まあ、よくわからんけど……よろしくお願いします、五月雨さん」


五月雨「呼び捨てで良いですよ!敬語もいりません!」


太郎「そう?ありがとな、五月雨」ナデ


五月雨「えへへ……いえ!」


瑞鶴「ぶー……」


あ、いかんいかん。五月雨がつい近所の犬みたいで撫でてしまった。

瑞鶴拗ねてるな……可愛い。


五月雨「さて、では早速大本営に行きましょう!」


太郎「え、荷物とか……」


五月雨「あとで持ち出したいものを紙に書いていただければ、いつでもお渡しできますので安心してください」


太郎「なるほど、わかった」


五月雨に連れられて外に出ると、一台のゴツい車があった。

それ以外に、このアパートでは見たことのない黒い車が何台もあった。

オレ達3人は、そのゴツい車にのった。


五月雨「え、え〜っと……どうすれば良いんでしたっけ……」


太郎「運転か?」


瑞鶴「違うの。この車は自動運転だから……五月雨ちゃん、ここよ」


五月雨「ありがとうございます、瑞鶴さん!……はあ、私って本当ダメだな……」


太郎「五月雨……?」


五月雨「物覚え悪いし、出撃の度に怪我するし……皆んなに迷惑かけてばっかです……」


太郎「……そっか。気にすんなよ」


五月雨「え?」


太郎「だってさ、仕方ないじゃん。軍のことなんてオレも何にもわかってねえよ。ただパイロット志望だっただけだし。ひいじいちゃんは偉大なパイロットだったけど、オレはしがない一般人。普通星人だ」


五月雨「……」


太郎「ま、だからよ……一緒に頑張ろうな!」


五月雨「はい……はい!」


瑞鶴「あれ、初期艦って五月雨なの?」


五月雨「そうです。だから太郎さんのこと、これから提督って呼んでも……?」


太郎「構わないよ」


提督ねぇ……悪くはないかな。

ま、そんな立派なもんでもないけど、五月雨と一緒に高みを目指すか。


瑞鶴「あ、動き出したわね」


五月雨「窓、外から見えなくしますね」


それからオレ達は、駄弁ったり、五月雨の持っていたトランプだったりで遊んだ。

ちなみに瑞鶴も五月雨も、ババ抜きが弱すぎる。顔にすぐ出てた。

約3時間ほどで大本営に到着し、車を降りて如何にもな部屋へ向かった。


五月雨「提督、行きましょう!」


太郎「ああ」


コンコンと、ドアをノックする。

やがて中から、入れと歳行ったしがれた声が聞こえたため、ドアを開ける。


太郎「失礼します。山田 太郎です」


元帥「よろしくたのむ。私は上田元帥だ。そこに座りたまえ、後ろの二人も」


太郎「失礼します」


瑞鶴 五月雨「失礼します」


ぱっと見、元帥と名乗った優しそうな顔のお爺さんと、眼鏡をかけた、おそらく艦娘の美女。

そして中年の……言ってはなんだが、キモい人がいた。その他多数のギャラリー。

皆んな軍服みたいなの着てるから、多分海軍の人だ。場違い感がハンパない。


元帥「さて、山田君。私は君を歓迎しよう」


太郎「私は、ですか……ふっ」


元帥「不満かな?」


太郎「とんでもございません。むしろ、その方がというものです」


元帥「やれやれ……アイツと変わらんな。太郎と」


太郎「……まさか」


元帥「私と彼は同期でね、お互いに切磋琢磨したものよ。まあ、昔話は今度、二人でするとしよう。さて、早速だが君に伝えることがある」


太郎「はい」


元帥「君は今日をもって、海軍に入隊した。そして、階級だが……本来、君のような一般人にいきなり与えられることは稀だ。まあ、一般人からは君が初だが。ともかく、妖精を視認、意思の疎通ができるということで、少尉ではなく中尉からスタートだ」


太郎「感謝いたします」


元帥「これから自分を名乗る時は、山田中尉と言うのだ。ああ、あと鎮守府の事だが、君には新しく出来た鎮守府に行ってもらう」


新しい鎮守府か……そんなに何個も作れるものなのか?

まあその辺りはどうでも良いか。良くないだろうけど。


元帥「君の発見を瑞鶴から聞いた。その時不思議なことに、鎮守府が建てられたのだ」


太郎「建てられた……?」


元帥「うむ。まるで君を待っていたかのように、現れたと言った方が正しいだろう。その鎮守府は、呉鎮守府だ」


太郎「呉……」


ひいじいちゃんのいたところだ。

瑞鶴もいたところ。確か。


元帥「運命というのは、本当にあるのだな。さ、初期艦として五月雨を付ける。今日中に向かって貰いたい」


太郎「了解」


元帥「さて、私としては君のような面白い青年とはまだまだ話したいのだが……時間が許さない。須田中佐」


須田「はい」


あ、キモい人だ。

オレはあんたみたいなやつと話すことなんてねぇよ……失せてくれ……


須田「お前」


太郎「……」


須田「何を無視している成り上がり。返事をしたらどうだ。古臭い名前のお前だ」


太郎「……良いこと教えてあげますよ。ひいじいちゃんが言ってたんですけどね?……人の名前を侮辱するということは、その家族を、同じ名前の人全員を侮辱するってことなんですよ?」


須田「だからなんだ?まあ良い、お前、瑞鶴に弱みでも握られているのか?」


瑞鶴「っ……」


太郎「は?」


何言ってんだこいつ?

弱み?ンなの……ないな。全然ないやん。


須田「でなければこんなやつ、助けたりはしないだ」


太郎「黙れっ!!」


元帥以外「「「「「!?」」」」」


元帥「……ほう」


あ、やっベー。怒鳴っちった☆


須田「なんだと……!」


太郎「……瑞鶴を悪くいうのは、許さない」


瑞鶴「太郎さん……」


須田「はっ!コイツはな!落ちこぼれだ!だから逃げたのも黙認してやった!だが気が変わった。瑞鶴、こっちに来い」


瑞鶴「……」


須田「早くしろ。お前には一度わからせてやらないとな」


キモいのが、瑞鶴に近づく。

五月雨はどうしたら良いかわからない様子だった。それを見て、キモいのは更に続ける。


須田「ああ、忘れていたがな。五月雨も元は私の鎮守府所属だ。まあ、いつまでたっても使えない駆逐艦などいらぬからやる。だが瑞鶴、お前は空母。まだ利用価値が戦闘以外にも……」


太郎「やめろ」


瑞鶴 五月雨「「……」」


須田「なんだ?」


太郎「……オレはな、瑞鶴に弱みを握られたさ」


瑞鶴「……」


太郎「だってよ、惚れるなんてこと……これ以上の弱み、あるか?」


元帥「はは……」


須田「そうか。だがそれとは話はべ」


太郎「だから」


太郎「だから瑞鶴を、お前には渡したくない。いいや、渡さない」


須田「……上官への命令違反だぞ?」


太郎「だからなんだよ。今ここでお前には歯向かうより、はいどうぞと、オレの瑞鶴を差し出しちまうことの方がオレは怖いね。それは五月雨だって一緒だ。誓った。オレは、二人を守りたいと。さっきな」


須田「……」


太郎「おいコラなんか言ってみろ。この汚物」


須田「なにを……!」


元帥「やめんか。山田中尉、君の今までの発言はなし。瑞鶴は君の鎮守府の所属だ」


太郎以外「「「「「なっ!?」」」」」


元帥「君のひいじいちゃんの太郎から聞いたが……君はどうやら航空機の知識をわずか9つにして大量に備えていたそうではないか。それにアイツのひ孫だ、戦闘機の扱いも相当だろう?」


太郎「何を根拠に……」


元帥「君のゲームセンターでよくやるゲームのデータを見させてもらった。あの航空機で戦うゲーム。あれはな、なぜオンラインが腕の立つ一部のプレイヤーしかできないか、知っているか?」


太郎「……難しいから?」


元帥「そう。難しすぎるのだ。なにせ、私達海軍と陸軍が珍しく協力して作り上げた、現実と変わらない航空機の操縦方法となるゲームだからな。そもそもあれはキチンとした軍人の練習用的で作られた。それで撃墜数世界ランク1位……この意味、わからないものはいないだろう」


一同「「「「「……」」」」」


元帥「彼は、ゲームとはいえ、世界最高のパイロットだ。世界中の、訓練を受けた軍人を瞬殺する。聞いたことがあるか?ジェット機にレシプロ機で勝つなど。私はない。瑞鶴」


瑞鶴「は、はい!」


元帥「彼は日本の宝だ。何故なら、人間で唯一妖精と会話でき、さらには航空戦闘の知識がある。マリアナの龍の遺伝子を持つ。言いたいことはわかるかね?」


瑞鶴「……私達艦娘の、艦載機の妖精さん達を指導……そして、それによって航空戦力を高められる……ですか?」


元帥「うむ。君は正直、他と比べて戦績が悪い。彼と共にこれからは戦え」


瑞鶴「……!はい!」


元帥「五月雨」


五月雨「はい!」


元帥「彼はな、バカだ。とびきりの」


太郎「ちょ」


元帥「だがどうだろう、驚くことに物覚えこそあまり良くないが、理解力、応用力などが必要とされる科目では高得点。数学はなぜかからっきしのようだがな。だから安心して彼について行きなさい」


五月雨「り、了解です!」


元帥「山田中尉」


太郎「はっ!」


元帥「君はアイツのひ孫だ。アイツは良くなんと言っていた?」


太郎「……夢はいつか本当になる。うまくいかない時こそ上を向け。きっと……」


太郎 元帥「「そこには夢という蕾がなっている」」


元帥「そういうことだ。頑張りたまえ」


太郎「……はい!」


元帥「よろしい。二度目だが、瑞鶴も呉鎮守府の所属になった。何も気にするな。退室したまえ」


太郎 瑞鶴 五月雨「「「失礼しました!」」」



ーーーーー


元帥「というわけだ。良いかな?」


須田「……それが元帥殿の決定とあれば」


元帥「異論はない……ようだな。では解散」


大淀「元帥」


元帥「なんじゃ?」


大淀「彼は……」


元帥「ああ。アイツじゃよ


















ーーーーー海の書に記された、悪を穿つ正義」












遠足とか旅行も行くまでが楽しい



ここから太郎のことを提督と書きます。


提督「なあ瑞鶴」


瑞鶴「なーにー?」


提督「結局聞いてなかったんだけどさ、なんでお前って逃げてきたの?」


五月雨「それ、私も気になります」


瑞鶴「……昨日の夜、た……提督さんとしたことを強要されたからよ。で、頬を叩いて逃げてきたの」


提督「それであの援交未遂か」


瑞鶴「やめてよもう!……でも、ちゃんと選んで良かった」


提督「?」


瑞鶴「提督さん、アホっぽい顔してるもん。ね?五月雨ちゃん」


五月雨「確かにそうですね。馬鹿ではないけれどアホっぽい……あ、でもかっこいいですよ!」


何それ。遠回りに悪口じゃね?

ていうかフォローしてくれる五月雨まじ天使。可愛すぎて抱きしめたい。


提督「……てかさ、鎮守府の運営とかなんもわからん」


五月雨「あ、そういえば元帥からこれを預かってます」


瑞鶴「あ〜……あれか……」


提督「あれ……?」


五月雨が渡してきたのは、一冊の分厚い本だった。

表紙にはこう書かれている。

賢い提督になるには。

いかにも厳格な雰囲気の本だが、中身を開くと……


提督「その1、艦娘とコミュニケーションをとるのだ☆……ってなんだこれ!?」


瑞鶴「あ、こことか面白いわよ。無茶な出撃は厳禁!めっ、です♡」


五月雨「私はこれがお気に入りですね。諦めない心が必要だ☆」


提督「ふざけてるけど……理にかなってるのがなんか腹立つな」


瑞鶴「まあこれ、元帥が書いたやつだしね〜」


提督「はぁ!?あの元帥が!?」


そ、そんなキャラだったのかあの人……あれか、人は見た目じゃわからないってやつか?

わからなすぎだろ……もはや別人と言ってくれた方が納得できる。


五月雨「そういえば、提督は艦娘の運用、どのようにお考えですか?」


提督「運用の仕方、か……」


瑞鶴「参考にならないだろうけれど言っておくわ。アイツの鎮守府はいわゆる大艦巨砲主義。って言うか、大体の鎮守府がそうね」


五月雨「そうですね〜。私達駆逐艦は、盾になることくらいしか……」


瑞鶴「空母も。ね……」


二人は、嫌なことを思い出したのか少しずつだがオレと距離を近めてきた。

……もったいない。


提督「もったいなさすぎる……」


瑞鶴 五月雨「「え?」」


提督「だってさ。だって、空母は海上で唯一多数の戦闘機やらなんやらを繰り出せる存在だ。それだけじゃなくて、索敵も、先制攻撃も、なんだってできる。それを今の海軍はないがしろにしてるのか?」


瑞鶴「確かに……昔の大戦だって、主戦場は空に移っていって……」


提督「深海棲艦っていう、目に見えて圧倒的な敵がいると、こちらは目に見えて圧倒的な武器を持ちたがるんだ。例えば」


五月雨「大艦巨砲……」


提督「そうだ。それにオレは戦艦5隻より、場合によっては駆逐艦5隻の方が強いと思う。大艦巨砲が故の弱点がある。当てれなければ意味はない。駆逐艦は、夜戦では無類の強さを誇るらしいじゃないか。それ一つで中破まで追い込める可能性のある魚雷を積めるし、潜水艦にも対抗できる。何よりコスパが良い。上手くやれば戦艦なんてすぐに凌駕できるさ」


五月雨「提督……」


提督「よし決めたぞ、二人とも」


瑞鶴 五月雨「「?」」


提督「オレは決めた!」


かの大戦、日本が負けたのはその大艦巨砲主義から抜け出せなかったからだとも言われている。

その象徴が、大和型だと。

旧海軍は、航空機の有用性を示し、航空機に敗れた。

ならオレは、どういう戦い方をするか?

そんなのは簡単だ。


提督「知で勝るんだ。深海棲艦はオレらの斜め上をいく行動だってする。でも、勝てないわけじゃないと思うんだ。直接目の当たりにしたことがない奴が何を言うと思うかもしれないが、絶対に勝機はある。オレは決して目に見える力だけを信じない。目に見えない力こそが、本当に強い」


瑞鶴「提督さん……例えば、それは?」


提督「そうだな……オレと瑞鶴、五月雨。3人の絆だ」


五月雨「絆……」


提督「とにかく鎮守府に着いたらやることは一つ。仲間が必要だ。そして、お前達には拠り所もな。だから鎮守府をただの鎮守府で終わらせない。帰る家にする」


瑞鶴「……自分で言ってて、恥ずかしくならない?」


提督「やめろ?そういうの」


思い返すと本当に恥ずかしいわ。

やっべ、顔が赤くなってる気がする。


瑞鶴「ま、かっこよかったけどね」


五月雨「はい!あんなことを言ってくれるなんて……」


提督「……おう。うん」


瑞鶴「さて、それじゃあ鎮守府に着くまで勉強しましょうか!」


提督「あぁ〜。嫌だあ〜!!」



それから3時間、みっちりと軍の基本を五月雨から、既存の戦法を瑞鶴に教えてもらった。

と言っても、既存の戦法なんて大して変わらない。戦艦、重巡でひたすら砲撃とか、ね。

まあその辺りはオレなりに考えるとして、問題は8時間ほどかけて来た鎮守府だ。


瑞鶴「なんか……小さいわね」


五月雨「仕方ないですよ。元々あった呉鎮守府はすでになくなってしまっていますし……」


提督「神奈川からはるばる広島まで……8時間くらいで来たは良いが、これじゃあなんか……」


瑞鶴「本当に必要最低限のものしかないんじゃないの?」


提督「それでもないよりはマシだ。ていうか母に連絡しなきゃ」


一度車の中で思い出して電話をかけたんだ。

ま、さすがはオレの母って感じだったよ。


提督「母?オレさ、提督になった」


母「はぁ……じじいと言いお前と言い、なんでそんなに危険なところに身を突っ込みたがるんだ……」


提督「驚かないの?」


母「元々こっちだってじじいのせいで提督候補ナンバーワンだったしね。前に見せたでしょ?海軍からの招待状」


提督「あ、そうやん」


母「とりあえず頑張れよ」


提督「ああ!」


みたいなね。

いや驚いたよ、だって母が提督候補だったなんて思わないし。

この会話を瑞鶴に聞かれていたが、母と子よりも父と子みたいな会話ね……って言われてしまった。

そりゃ体育会系の親だから仕方ないってことで。


提督「入るか」


?「遅いわよ!」


五月雨「あれ?この声……」


提督「んお?誰だこの子」


空色の髪の毛をし、白い上下一体型のセーラー服のような姿。

多分、この見た目からして艦娘だが……


叢雲「特型駆逐艦、5番艦の叢雲よ」


提督「む、叢雲……?存じ上げないです……」


叢雲「え、知らないって?全く、ありえないわね!名艦のこの私を知らないの!?……いや、そういえばあんた、一般枠だったわね?」


提督「一般枠?」


五月雨「私達初期艦と呼ばれる艦娘達が、全国各地の提督候補さん達を探して協力を仰ぐんです」


提督「え、待てよ。瑞鶴?お前強制とかって……」


瑞鶴「……知らない話ね……」


提督「ねえ何?今の間。確信犯じゃん!」


まあ、強制ではなくてもオレは強力していただろうな。

場所は違えど、憧れのひいじいちゃんと同じ舞台に立てるんだ。それになにより、瑞鶴も五月雨も大切な仲間だ。


五月雨「でも、なんで叢雲ちゃんも?」


叢雲「知らないわよ。私は"鎮守府の"初期艦として配属されたのよ。お陰で何時間も待ったと……」


瑞鶴「じゃあ五月雨ちゃんは、"提督さん"の初期艦としてってこと?」


叢雲「おそらくそうね。っていうか瑞鶴。あんたがいるなんて聞いてないわよ」


瑞鶴「あ〜……叢雲、提督さんの先祖がマリアナの龍で、私の戦績があれで元帥が……」


叢雲「なるほどね。けどそれじゃ理由がいくら元帥でも不十分じゃ?」


五月雨「提督、あの軍開発の航空戦闘ゲームの世界1位ですから」


叢雲「……はっ!?……な、なら納得……なのかしら?」


提督「いやオレに言われても……」


どうなんだろうか。

ていうかさー、呉にしてはなんもないな。

まあ、仕方ないのかな……だって、深海棲艦が登場して来てから、海沿いに近づきたがる人なんていない。

昔は栄えていたここの近くも、今では何もない。

ぶっちゃけたこと言ってしまえば、深海棲艦の攻撃でこの鎮守府があった土地は他とは切り離されて島みたいになってるし。

軍としてはその方が機密的なアレで都合が良いから直さないんだろうけど。


瑞鶴「提督さん提督さん!」


提督「ん?」


瑞鶴「早く鎮守府に入ってみて!」


提督「……ああ」


瑞鶴に促されるまま、鎮守府の敷地内へと右足を一歩、踏み入れて。

すると、周りが光に包まれた。


「きたぞー!」


「まつりだー!」


「いよいよだー!」


提督「ちょ、妖精さん!?」


瑞鶴「おぉ〜。すごいね〜」


五月雨「前いたところではみたことがありませんね」


叢雲「妖精さん達による歓迎ね。粋じゃないかしら?」


「「「お三方も!せーのっ!」」」


瑞鶴「ええ!」


五月雨「やります!」


叢雲「しょうがないわね」


一同」「「「「「提督が鎮守府に着任しました!これより、艦隊の指揮に入ります!!」」」」」


提督「お前ら……」


わざわざこんなことをしてくれるなんて……なんて……なんて……こんなに……


提督「……」


一同「「「「「……」」」」」


提督「近所迷惑だぞ」


一同「「「「「おいいいいいい!!」」」」」


その日は執務などはなかったそうだが、何故か提督はとても疲れた様子だった。

妖精さん達につきまとわれ、叢雲に叱られ。

そんな提督だが、睡眠時は唯一の癒しがある。


瑞鶴「提督さん、お疲れ様」


五月雨「お疲れ様です!」


提督「おぉ……執務以外でも結構大変だな。提督」


瑞鶴「ほら、もうお風呂も歯磨きも終わったでしょ?寝よっか」


五月雨「……緊張します」


提督「いやなんでやねん。せめて布団人数分出せよ!」


瑞鶴「えー?だってベッドで寝てみたかったんだもん」


提督「じゃあオレ床で寝るから……」


五月雨「ダメです!体に気をつけないと、めっですよ!!」


提督「……天使」


そう、二人がいるからだ。

けど、一緒なら敷布団で寝れば良いのに何故わざわざベッド……しかもさすが提督の物というだけあってか、割と大きめだ。

3人寝てもあと詰め詰めで二人はいるかな〜くらい。

オレ寝相悪いからな……


瑞鶴「知ってるよ」


提督「心読むなよ」


五月雨「えーと、じゃあ提督が真ん中ですね」


提督「だと思った……」


けど、ベッドに入ってしまえばオレはすぐに寝れる。

そう思っていた時期が私にもありました。

人ってね、眠る時左右から柔らかくて暖かい感触と甘い匂い、女性らしい吐息がすると寝れないらしい。

はぁ、部屋割り早く考えよ……

提督は、くる朝に備えて眠りについた。


叢雲「むぅ……」←実は誘われて入りたかったけど強がっちゃった



ーーーーー


工廠


「ていとくさんはあまあまです」


「わたしたちがかってにつくりあげたこれ」


「そのなも……」


「「「れいせん、やまだき!」」」


「だれがのるのです?」


「ていとくさんにそうさしてもらう?」


「どうやって?」


「あのげーむがつかえそうなのです」


「めいあんです!」


「ようせいじるしのそこぢから、みせてやるぞ!!」


「「「「「おぉー!!!!!」」」」」


妖精さん達もまた、くる朝に備えて何かを企んで……んん、提督の手助けをしようと切磋琢磨していた。

ということにしておこう……





今後について


朝。オレは一足先に起き、朝食を作った。

朝食の後、3人に初陣は4日後にしようと思うと伝えたところ、各自艤装を使った特訓をする。必ず勝利をもたらせてみせる!と、3人とも張り切っていた。嬉しい。

そしてオレは、あらかた執務を終えたあと、妖精さんからあるものを貰った。


提督「これ……」


そう、ゲーセンのオレが世界ランク1位のやつ。


「これにのれば、ていとくさんもずいかくさんとともにたたかえます!」


「かんさいきにのれます!」


「これがていとくさんのきたいです!」


提督「マジか……ひいじいちゃんの写真で見たやつとそっくりじゃん……」


その緑色の細身の機体には、撃墜マークがいくつもあり、最早後ろはピンク色になっている零戦52型があった。と言っても、枕ほどの大きさだ。


「ていとくさんはみたことがあるとおもいますけど、せんとうようせいさんたちはこれにのってたたかいます!」


「かんむすはにんげんとおなじおおきさなので、ひつぜんてきにそうびもにんげんさいずになります!」


提督「これを操るのが、あれってわけか」


「はい!あ、ちなみにげんじつでかんさいきにのってるのとおなじなので、むちゃなうごきはさけてください!」


つまりゲーセンのではなかった、例えば上昇した時のGやら風やら、コックピットの動きが体感できるのか……なら、丸っこい形をしているのも納得だ。


「しかいなども、すべてぱいろっとめせんです!」


「ほんとうにかんたんにいえば、れいせんにのります!げきついされてもしなないだけです!!」


提督「そうか……戦闘妖精さん達は……?」


「なぜかようせいさんたちはこういうの、しようできません」


提督「え……」


「でも、ていとくさんがこれをつかってしどうしてくれれば、もんだいありません!」


「やられるまえにやれ、です!」


提督「……そうだな。うん!」


オレがしっかりしないと。

瑞鶴の航空隊に損害を出させることになる。

とりあえず一度これに乗ろう。


提督「発艦は?」


「あ、これとはべつのきたいがちんじゅふのどうろにおかれてます!なので、そちらをあやつっていただきます!」


提督「よし、わかった。やり方を教えてくれ」


「はい!」


デイリーミッションやらなんやら、そういうのはできるやつだけ妖精さんと3人が消化したげるって言ってたから、お言葉に甘えよう。

オレはそのチェックとかその他もろもろ。

まあオレが開発やらもできるらしいけど、しばらくは任せよう。

まずはこれに乗って……そのあとは、瑞鶴の航空隊のトレーニング法を考えたり、1日のこれからのスケジュールを考えるか……

そう思いながら、コックピット?に乗り込んだ。


「きほんはげーむとおなじです!」


提督「なるほど、ならこれだな」


そう言い、いつもならばゲーム開始のボタンを押した。

ていうかコックピットの中、計器とか操縦桿とかも全部零戦仕様になってるな。ゲームと違うのはここくらいか?

そして少し経つと、それまで零戦のコックピットだが窓からは執務室の光景が見えたが、真っ黒になり、鎮守府の道路が映された。


提督「おお……なんか、新劇場版エ○ァンゲリオンのやつみたい……」


「いしきしましたので!かっこいいですから!!」


提督「へえ……すごいや。後ろも見れるし……プロペラの振動も、温度も感じる……」


「そこはもう、れいせんのこっくぴっととちがいありませんからね!えいぞうのたいむらぐもありません!」


提督「最先端とか通り越してるな」


とりあえずは離陸から……ゲームとは違う。これは現実だ。最初から飛んだ状態ではない。

速度を上げてって……あお、後ろに引っ張られてる感じがする……ここだな。上昇……足をしまってフラップを変えて……おお……おお!


提督「すっげえええええ!!」


「えっへん!」


「これはかんみをもらわないとなのです!!」


「ふかのうはない。そう、ようせいじるしならな」


提督「いや甘味くらいポケットマネーで出す!喜んで出す!!」


すっげえ!語彙力がなくなるくらいにすげえ!



瑞鶴「提督さ〜ん……あれ?妖精さん?」


「ずいかくさん!みなさんも!これ、みてください!」


妖精さんは、3人に飛行する提督の零戦を映したモニターを見せた。


五月雨「あれは……零式艦戦?」


叢雲「ありえないくらい撃墜マークがついてるじゃない……てことは、これが?」


「はい!やまだきです!!」


瑞鶴「……うん。私の記憶にあるのと全く一緒ね……っていうか、これで提督さんが操縦してるんだよね?」


「そーなのです!重力も風も温度も、全て再現されています!先程からヒャッハーヒャッハーうるさいのです!」


叢雲「ねえ瑞鶴?初めて航空機に乗る人って、あんなに乗りこなせるものなの?」


瑞鶴「いやいや、な訳ないでしょ……あれ、提督さんのひいおじいさんの飛行そっくりよ……」


叢雲「才能と遺伝って凄いわね……」


五月雨「でも、なぜ提督さんのひいおじい様がマリアナの龍と呼ばれていたか、わかりますね」


瑞鶴 叢雲 五月雨「「「期待を頭にして、龍が空を泳いでいるように見える」」」


瑞鶴「あんな動かし方する人は今は提督さん以外いないわよ。昇降舵とかフラップとか……」


叢雲「蝶々みたいね」


五月雨「酔わないのかな……」


提督の操る零戦は、とても航空機とは思えない動きをしていた。

くねくねと、ゆらゆらと。

普通の人間ならばすぐに方向感覚がわからなくなり、吐くところだろうが、提督は三半規管が異様に発達しており、バランス感覚が優れているためにこの飛行を可能にしている。


瑞鶴「あれ、ていうかもしかして提督さん、私か搭載するの?」


「ですねー」


「それいがいない!」


「さいてきなのです」


五月雨 叢雲「「!?」」


五月雨(まさか……)


叢雲(瑞鶴は……)


五月雨 叢雲((提督と戦闘時もずっと一緒!?))


瑞鶴「……久々の訓練で疲れてるのかな、私。五月雨ちゃんと叢雲に雷が落ちたように見えたんだけど」


「いかづちよ!」


「かみなりじゃないわ!」


「そこのところも」


「「「よろしくね!!」」」


よ、妖精さん……か、可愛い……!

にしても提督さん遅いなぁ。ずっと飛んでるよ……

でも、提督さんを乗せるんだ。

張り切って練習しないと。発着艦の訓練も一から見直しだ。

やっと何か、私から提督さんに何かを与えられる気がするから。だから頑張る……!


五月雨「ふふっ。瑞鶴さん、前の鎮守府では見たことないほど活き活きとした顔してますよ?」


叢雲「……確かにね。前を知らないのだけれど」


瑞鶴「そりゃそうだよ。二人もでしょ?」


五月雨「もちろんです!」


叢雲「ええ、4日後が待ち遠しいわ。私達の実力を知らしめるチャンスよ」


多分今の艦隊はバランスが悪く、近海への出撃だから私は後方支援になるだろう。

それか、もしも……提督さんならやらないだろうが、射撃での攻撃ができない私はまた盾か。

いや、だとしたら零戦に乗るなんてことしないだろう。


提督「妖精さん?」


「はい!」


提督「これ、どこに止まれば?」


「さっきとおなじとこでだいじょうぶです!」


提督「りょーかい」


徐々に速度を落とし、足を出して鎮守府の敷地内へと着陸する。

止まるときに、背中にぐっとくる感覚まで再現されいてる。すごすぎる。


提督「ふぅ〜、楽しかっ……て3人とも来てたのか」


瑞鶴「うん!あ、そうそう。これ、今回私達3人が訓練に使った資源のまとめ」


提督「お、サンキュ。2人はどうだった?」


五月雨「久しぶりですけど、なんとかできました!」


叢雲「コンディションは抜群よ。早く実戦が待ち遠しいわ」


提督「そっか!」


瑞鶴も表情と声色からして悪くない出来だったのだろう。

彼女は顔などに出やすいから、女心というものを知らないオレからすればありがたい。

と、さっき飛んでるときに思いついた作戦、忘れないうちに伝えておくか。


提督「よし、オレ達の初陣の作戦、出撃する者を今のうちに発表する。……大丈夫だ五月雨、忘れる心配はするな。出撃前にも言うから」


五月雨「そ、そんな心配してません!」


叢雲「嘘おっしゃい……」


瑞鶴「うんうん」


五月雨「2人ともひどいですぅ……」


提督「ははっ。じゃあ発表するぞ。まず旗艦、瑞鶴」


瑞鶴「えぇ!?」


提督「どうした?」


瑞鶴「ち、鎮守府近海だよね?なら無理に資材を使ってまで私を……」


提督「瑞鶴。オレは努力してる人にどうしても活躍の場を与えたいんだ。この消費資材から見るに、弾薬が瑞鶴は2人より割と多い。燃料もな」


瑞鶴「それは……」


提督「それだけ訓練、頑張ったんだろ?なあ2人とも」


五月雨「瑞鶴さん、すっごく頑張ってましたよ!私、瞬殺されました!」


叢雲「それは自信満々に言うことじゃないでしょう……まあでも、確かにウザいくらいに頑張ってたわね」


瑞鶴「2人とも……」


よく、見てるな。お互いを。

叢雲は正直、かなり強気な性格だからおどおどした五月雨と引っ張っていくタイプの瑞鶴という出来すぎたコンビに混ざれるかと思ったが……瑞鶴とは違い、イケイケではなく一歩後ろから見れるタイプのおかげでうまくマッチしているようだな。嬉しい限りだ。


提督「そういうわけだ。改めて……旗艦、正規空母 瑞鶴」


瑞鶴「……はい!」


提督「続いて、駆逐艦 五月雨。叢雲」


五月雨「はい!」


叢雲「はい」


提督「以上3艦……う〜ん、以上3人!」


叢雲「なんで言い直したのよ?」


提督「なんていうか、オレはお前たち艦娘のこと、決して変えが効かない人間だと思ってるからな。一応ぽく言ってみたけど、これからは普通に名前呼ぶだけにするわ」


五月雨「えへへ。その方が私は嬉しいです。提督」


提督「ん?」


五月雨「今夜、またお供しても……?」


提督「ああ、構わない」


五月雨、寝てるときにくっ付いてくるのが子犬っていうか赤子っていうか、父性をくすぐられるんだよな。

しかも寝てるときに撫でたら、今みたいに少しだらしない笑みを浮かべてくれるからな……


五月雨(提督にまた、くっつきたいです!)


意外にも策士であった五月雨。


瑞鶴(……襲えなさそう……でも大丈夫。焦るな私……一昨日初めてを迎えたばっかり……き、今日は自分で……)


性欲が爆発してる性規空母 瑞鶴。


叢雲(……もう決めたわ。絶対私も一緒に寝てやる!)


意外にも好感度が高い叢雲。

この3人を、提督は


提督(五月雨嬉しそうだな……こっちまで嬉しくなってくる。あ、瑞鶴はなんか拗ねてるな……まあでも、あっちの意味で構おうと思ったけど、一昨日初めてしたばっかだし……ええい、頻度がわからん!!叢雲は……うん。なんか悔しそうだから今度一緒に寝ないか誘ってみるか?……なんちゃって」


意外と鋭い表情を読む能力で、考えを当てていた。


提督「あ、忘れてた。秘書艦?っていうの、明日から3人で回してもらっても良いかな?ローテで。まあ、やりたくなけ」


瑞鶴 五月雨叢雲「「「やります!!」」」


提督「お、おう?ありがとな。じゃその辺は3人で決めてくれて構わない。オレは瑞鶴の航空隊の動き、妖精さんが撮ってくれてたみたいだからそれ見て訓練内容とかオレなりに考えてくるから。よろしくな」


瑞鶴「ありがとっ!」


五月雨「頑張ってください!」


叢雲「ほどほどにね。疲れたら頼りなさい?」


提督「ああ。じゃ!」


よし、オレも鍛えに応えられるように頑張るか!



初陣


いよいよ今日、オレ達呉鎮守府の初陣だ。

すでに作戦の確認は終え、あとは3人が出撃するのをオレが見送るだけ。


提督「じゃあ3人とも、ご武運を……第一艦隊、出撃!」ケイレイ


瑞鶴 五月雨 叢雲「「「はっ!!」」」ケイレイ


3人は回れ右をし、各々が海に足をつけた。

最初は歩くように、だんだんとスケートを滑るようにし、海面を移動する3人。

オレはそれを見て、執務室に戻る。

しばらくしてから無線を繋げ、会話する。


提督「付近の様子は?」


瑞鶴『さっき偵察機の妖精さんが、駆逐艦を2隻見つけたよ。もうすぐ2人の射程はん……い……あ、敵駆逐艦2隻撃沈』


提督「……はあ!?」


五月雨『やりました!』


叢雲『ま、当然の結果よね』


提督「……よし、進撃だ。2人とも良くやった。もし仮に誰かが中破するようなことがあったらすぐに撤退。わかったな」


瑞鶴『もちろん!じゃ!』



瑞鶴「……ふう……2人とも〜、やりすぎじゃない?」


五月雨「提督のためだと思うと、つい……」


叢雲「そうね。昂ぶっていた気持ちも、アイツの顔を思い出すとなぜか静まって……五月雨、あんた練習の時はダメダメだったのにね」


五月雨「う、それは……で、でも!叢雲ちゃんだった提督が見にきてる時はいつもより精度悪かったじゃん!!」


叢雲「は、はあ!?それは……あれよ、あの……べ、別に良いところ見せようとして力んでるとかじゃないから!!」


瑞鶴「自分で言っちゃってるじゃん……」


でも、確かに2人とも今の砲撃を見る限り訓練の時とは大違い。

まるで別人……2人に偵察機からの情報を送ってすぐに場所を把握し、砲撃。

一発で駆逐ロ級の機関部を打ち抜き、誘爆させ轟沈させる……

歴戦の猛者も良いところよ。全く。


瑞鶴「私の見せ場がぁ……」


五月雨「う〜んと、提督ならきっと、私は瑞鶴さんをMVPに選ぶ気がしますね」


叢雲「そうね」


瑞鶴「え、なんで?」


叢雲「偵察機ですぐに敵の情報を伝えてくれたのはもちろん、艦載機の編隊飛行がものすごく整っているせいか深海のやつらが強気に出てこれてないわ。アンタはいるだけで戦いを楽にするのよ。編隊……変態飛行でね」


五月雨「提督直伝の変態飛行を覚えた妖精さん達を支持するのは、容易ではないですからね。搭載数もなぜが増えたみたいですし」


瑞鶴「……そっか。そうかな……」


叢雲「にやけるんじゃないわよウザいわね」


五月雨「あはは……」


いかんいかん、しっかりしろ瑞鶴!

MVPかぁ……ご褒美とかもらえる……のかな?楽しみだな……


瑞鶴達はその後、しっかり?と無双してきたそうな。



瑞鶴「艦隊、帰投しました!」


提督「君ら……強すぎて」


敵発見報告からオレが戦う、戦わないの指示をした1秒後くらいには敵艦撃沈!だもん……

どこの無敵艦隊だよ……

とりあえずMVPだな。


提督「え〜、早速だがMVPは瑞鶴……と言いたいが、なんか君ら強すぎるから考えるの抜きで全員ね。なんでも申し付けてくれ」


瑞鶴「ほんと!?」


五月雨「やったぁぁあああ!!」


叢雲「その前に、言うことあるんでしょ?」


提督「え?……あ」


叢雲は、オレが3人が出撃しているときに行った建造の紙を持っていた。

妖精さんが渡したのか。いや困らないけど。


提督「え〜っとだな、建造しました。んで、多分あと少しだから……とりあえず3人とも、艤装の補給はもう妖精さんにしてもらってるから、お風呂入ってきな。それからお披露目といこうか」


瑞鶴「うん!」


五月雨「わかりました!」


叢雲「ええ」


いやーオレも誰が来るかわからないからなぁ……

しばらくすると3人が帰ってきたため、工廠へと向かう。

妖精さんの粋な演出で垂れ幕がかかっていた。


「きましたね!」


「いよいよ!」


「おひろめです!」


垂れ幕が妖精さんによってあげられると、そこには水色の髪をし、袖をまくった母性の象徴がデカイ美少女があったそうな。


??「うち、駆逐艦の浦風じゃ。よろしくね!」


提督「浦風か。よろしく頼む」


瑞鶴「あれ、浦風ちゃん!」


浦風「おお!瑞鶴もおったか……ほんま嬉しいな〜!」


五月雨「あの!私、五月雨です!よろしくお願いします!」


浦風「うん!よろしくね〜五月雨ちゃん」


叢雲「あぁ……久しぶり……ではないのかしら?」


浦風「うん?……あ〜、そやね。別のうちとは仲良かったん?」


叢雲「見ただけよ。ま、相性は最悪だったけど……私はそういうので避けたりしないわ。宜しくね」


浦風「うん!」


提督「良かったな、浦風」


浦風「ほんまにね……って、ごめんなさい。敬語……」


提督「良いよ良いよ、オレなんてまだペーペーだしさ」


浦風「……」


オレがそう言うと、またしても妖精さんが現れて浦風を取り囲み、話を始めた。


「だからいったのです!」


「ていとくさんはいいひと!」


「しんぱいむよう!」


浦風「うん……うん。そうじゃね……」


提督「浦風……?」


浦風「うちね、提督さんが来る前に色々とそこにあるぴーしー?で調べてたんや」


提督「……ごめん。待たせすぎた」


浦風「まあ、だから不審に思って調べたんやけど……他の鎮守府とは違うってこと、わかったからもうエエよ」


提督「え、やだイケメン……!!」


浦風は、笑顔でそう微笑んで見せた。

ああ…-浄化される……これが浦風……髪の色的に五月雨と組ませたら……ああ!!


瑞鶴「ていうか、提督さん?」


提督「んお?」


瑞鶴「これ」


瑞鶴がそう言って渡してきたのは、一枚の紙。

それをみんながのぞきみる。


提督「えー、なになに?鎮守府着任を記念して、舞鶴鎮守府から艦娘を4日後に一人送る。その名も駆逐艦吹雪……ん?」


五月雨「これ……あれですね。4日前の……」


瑞鶴「てことは……」


叢雲「うん」


浦風「……今日……じゃね……」.


提督「吹雪ぃぃぃぃぃいい!どこだぁああああああ!?」


提督は走り回った。

そして提督の投げた紙に、提督は気づかなかったが四人は気づいた小さな文字があった。

それは

「尚、欠損艦により耳が聞こえない」

それを見た四人は、吹雪を探す提督を探し始めた。



言葉の壁なんて


提督「あっ!いた!!」


鎮守府の正門の前で佇む、1人の少女の姿を見つけた。

かなり大きめのカバンを持っており、勝手に入って良いのかわからないようだ。


提督「ふぶ」


瑞鶴「提督さん!」


提督「ん?どした4人とも」


五月雨「こ、これ!」


提督「……へえ。まあ良いんじゃない?」


そういう会話をしていると、驚いたのか吹雪はこちらを見ていた。

耳が聞こえない、か……


提督「宜しくな?吹雪。って、耳が聞こえないんだっけ……えっと、はい」


吹雪「!……!」


紙に宜しく、一緒に頑張ろうと書くと、吹雪は大きく、何度も頷いてくれた。

続けて、紙に書く。オレ達はお前を歓迎する、困ったことがあったら何でも言ってくれ、と。


吹雪「……!」


提督「ん?なんだ?……あー、もしかして生まれつきだから喋れないのかな……」


叢雲「声を知らない人は、声を出せない。まあ人間でも同じじゃない?だいたい生まれつき難聴の人はスラスラとは話せないだろうし」


浦風「そうかぁ……でもうち、吹雪ちゃんと仲良くやりたいな〜……」


提督「だよな。よし!みんな、ちょっと来てくれ!……あ、吹雪。おいで」


オレは吹雪に手を伸ばした。

すると吹雪は、遠慮がちにその手を取ってくれた。

それについつい微笑んでしまい、はんば強引に吹雪のもう片方の手にあった大きなカバンをひったくった。


吹雪「!!」


提督「はい」


紙に持たせてくれ、と書くと、吹雪は申し訳なさそうに腰を折ってお辞儀をした。


提督「やばい、良い子すぎ……行こう!」


吹雪「//」


瑞鶴「あーあ、やってるよ……」


五月雨「もしかして提督、いわゆるハーレム体質?」


叢雲「……ありえちゃうのが怖いわ」


浦風「うちも良い人だとは思っとるけど……いつか好きに変わりそうやな……」


4人は何かを話していたが、聞こえなかったため再び工廠に行った。

工廠に着くなり吹雪は解体されるのかと怯えていたが、とりあえず頭を撫でて妖精さんに話をした。


「なるほど、ごにんぶんのでんしばんですか」


「あ、おんせいにゅうりょくきのうつけましょう!」


「それはいい!」


提督「妖精さん、頼めるか?これで」


「おお!」


「おまんじゅうだ!」


「ほかにもいろいろ!!」


「できました!!」


提督「お、ありが……って速!?まあ良いか……とりあえず使い方はわかりやすいな。よし、はい」


それを瑞鶴達に渡して、コミュニケーションを取らせる。

まずは瑞鶴。


瑞鶴「私、瑞鶴。よろしくね!」


吹雪「!……」


瑞鶴「よろしくお願いします!か……うん!」


叢雲「知ってると思うけど、叢雲よ。よろしくね。今日初めてあったけれど、姉妹だし一緒に頑張りましょう?」


吹雪「!」


叢雲「ありがとう叢雲ちゃん……こっちのセリフよ。ここにきてくれてありがと」


吹雪「///」


五月雨「五月雨です!よろしくお願いします!!」


吹雪「!!……!」


五月雨「よろしくね!仲良くしよう……はい!もちろんです!!」


浦風「うち、浦風じゃ。今日来たもの同士、がんばろな!」


吹雪「!!」


浦風「もちろん!よろしく!……うん、ほんまによろしゅうな!」


そして、初めてとは思えないほどに5人は打ち解け、オレは空気にされた。

悲しすぎるけど……あ、そうだ!


提督「みんな!宴会をしよう!」


瑞鶴 五月雨 叢雲 浦風「「「「宴会?」」」」


吹雪「……?」


提督「初勝利と、2人の着任を祝ってだ!料理はオレがやるからさ!良いかな!?」


瑞鶴「さんせーい!提督さんのお料理、すっごく美味しいから!!」


五月雨「私も食べてみたいです!」


叢雲「まあ、良いんじゃない?」


浦風「ありやねぇ……!」


吹雪「!」頷きx10


提督「よし!んじゃあオレ準備するから。解散!!」



解散!と、私が提督からもらった電子版にも表示される。

そして、みんなは工廠から出て行く。お部屋はどこだろう……


提督「あ、吹雪。お前は叢雲と同室だ。叢雲、頼んだぞ?」


叢雲「任せなさい」


そんな会話が起こる。

そして私は叢雲ちゃんについて行きながら、提司令官のことを思い出す。

手をとって、前に進ませようとしてくれた。

私が欠損だと、知っても。それだけでもう、舞鶴にいた頃とは違う、満ち溢れた何かを感じる。

また、電子版に文字が出る。


叢雲「ねえ、吹雪」


吹雪「?」


叢雲「吹雪はアイツのこと、どう思う?」


吹雪「……」


少し考える。

けど、どうやっても、どう頑張って考えても、答えは一つしか出なかった。

それを電子版に。


叢雲「カッコ良くて優しい。正直惚れた……はあ。ったく……」


吹雪「///」


叢雲「アイツの顔、良くて中の上くらいよ?……まあ、基本提督業に着くのは女性からおっさんだけだからね……若い男の提督なんて世界にアイツだけよ」


前に見たことがある。

本当の提督になるには、妖精さんがなんとなくでも存在をわからないといけない。

そういう神秘的なことに関しては、昔から男性より女性の方が優れていた。だから女性提督はかなり多い。


別に見えなくても男性でなる人はいる。実は私は舞鶴から来たのではなく、舞鶴の司令官が私を送った基地からさらに送られてきた。

舞鶴は私のことを考えてくれる良い女性だったが、基地の方は最悪。

そこの男性は常に自己中で、この私が基地の名前を忘れてしまうくらいには酷い。


叢雲「ねえ。なんで若い男の提督がアイツだけか、知ってる?」


吹雪「……」


叢雲「まあ知らないわよね。実はね、ここに来る前に元帥達の話を聞いたのよ。どうやら若い男を送ると、私達が恋心を抱いて戦闘が疎かになるんじゃないか心配しているんですって。本当にバカよね……恋こそ、私達女を強くさせるのに。ま、アイツだからこそ私は……って、今のなし」


吹雪「……」


叢雲「何ニヤニヤして……!電子版!!」


叢雲ちゃん、なんだか楽しそうだな。

私も喋れたら、こうしてみんなと空口を叩きあったりいろいろして、もっと仲良くなれる……

治るかはわからないけれど、それでも私は、お荷物になっちゃうかもしれないけど、きっと……司令官に捨てられちゃうかもしれないけど……願わくば……


叢雲「ああ、そうそう。吹雪」


吹雪「?」


叢雲「アイツはね、私達の深くを知ろうとしている。ズケズケと心の中に入り込んで支配してくる。けど、その距離感がなんだか心地良いのよ……近い感じがね。アイツはあんたのこと、見捨てたりなんかしないわ。実を言うと、私達3人……瑞鶴は鎮守府脱走、五月雨はドジすぎて、私は上官への反逆でアイツについて行くことになったのよ。それを多分薄々気づいているけど、見捨てるどころかさらに強くしてくれている」


吹雪「……」


叢雲「だから心配いらないわ。だって、マリアナの龍のひ孫。それに、妖精さんの作った機械で艦載機に乗り、自ら出撃しようとしてるくらいだからね」


それを聞いて唖然とした。

そんなことが……でも、だとしたら私は……私は、司令官に……



提督「へっくしゅん!……あぁ!?卵おおおぉぉぉ!!」←卵くしゃみで握りつぶした



いつだって


夢を見た。

果てしなくどこまでも続く青い空に、手を伸ばしながら。

君と約束した、あの場所に。必ず行くと。

現実を見た。

どれだけ伸ばしても届かない、あの空を。

約束が守れなかった、あの時。

思い出した。


提督「……はぁ……宴会終わりだってのに最悪な目覚めだ……」


嫌な思い出を。出来ることならば、君という存在とともに葬り去りたかった記憶。

気分転換に提督室の窓を開ける。

潮の香りとともに、夏にもかかわらず少しひんやりとした風が頬を撫でる。

無限の青に、太陽が反射し紫色に見える。


提督「……中々、良い景色だな……」


マルゴウマルマル。

それが、オレ達の一日が始まる時間。

今は、マルヨンニイマル。少し、あの悪夢を忘れる為に二度寝をしてしまおう。



吹雪「……」


思い出してしまった。

寝ている時に、いつも私を拘束する夢。

あの基地での扱い。


基地提督「返事をしたらどうだ!」


吹雪「……」


基地提督「は!そういえば返事もできなかったな!」


聞こえない。聞きたくない。


基地提督「おい。今度お前の姉妹の寝込みを襲っても良いか?」


吹雪「……」


基地提督「無言ということは、許可は取ったぞ!ははは!!」


艦娘にだって、人生はある。

その後、何人かの私の姉妹は自ら単艦出撃し、あの提督に受けた心と体の傷もろとも存在を消した。

私は守れなかった。ただ、事実を知りうつむいただけ。


叢雲「すぅ……」


普段早起きな叢雲ちゃんだが、昨日は初めての出撃と宴会の連続が意外と応えたのかまだ寝ている。

起こしたら悪いから、外に出る。

マルヨンニイマル。きっと起きていないだろうと思い、司令室に入り窓をあける。

新鮮な空気……綺麗な夕日。


提督「……中々、良い景色だな……」


吹雪「!?」


不意に横からの声に驚く。電子版はそれを表示する。

そうだ、隣は提督室。きっと提督も、この景色を見ている……

もう私は1人じゃない。そう思うと、不思議と今まで背負っていた姉妹達の魂が海へと帰ったように感じる。


「またね……」


「もう一度……」


「次はここで……」


吹雪「……」


「「「幸せにね……」」」


心に響く声。

忘れもしない、あの娘達。

今度は……今度こそは、お姉ちゃんが守ってあげるからね。



瑞鶴「提督さ〜ん?起きないと……こうだ!」


提督「うぉぅうう!?」


いきなり服を脱がされて飛び起きる。

な、なんだ!?敵襲か!?


瑞鶴「まったく、一応様子を見に来たら……マルヨンゴウマル、そろそろ起きないとだよ?」


提督「だ、だからって服を脱がす必要……」


瑞鶴「……私、溜まってるから……」


提督「あ……」


提督 瑞鶴「「……」」


気まずい。気まずすぎる。

こういう時シャレの効いたセリフでも言えればカッコつくんだろうけど……


瑞鶴「……ごめん。やっぱ今のなしで」


提督「いや……あの……その、オレも……」


瑞鶴「えっ……!」


提督「なんていうか、どうだ。今夜あたりにでも……」


瑞鶴「う、うん!じゃあ……えっと、お仕事終わってからすぐにでも……」


提督「……どれくらいだ?」


瑞鶴「できれば、明日の朝まで……ダメ、かな?」


提督「任せろ」


瑞鶴「へへっ。やった♪」


無理だよ。断れるわけないよ!

なんだかなぁ……自分には縁がないと思っていたが、幼馴染と恋愛をしたらこういう感じになるのか……う〜ん、甘酸っぱい!こじらせた大学生には辛いゼェ……


コンコン


提督「ん?」


浦風「提督、起きとる?大本営から荷物が来とったけえ。開けるよ?」


提督「おー」


浦風「おはよー提督、と、瑞鶴やん。おはような」


瑞鶴「おはよ!で、荷物って?」


浦風「ああ、これや」


浦風は、持っていたダンボールを床に置く。

オレが開けてみてというと、うんと返事をして開け始めた。

中身は……


提督「……軍服?」


瑞鶴「あ、そう言えば提督さんのはなかったね。私服じゃん」


浦風「確かにそうやなぁ。まだここに来てから他の軍人見てへんから忘れとったわ」


提督「なるほどね……つまり、今日からこれを着て、帽子を着けないといけないのか……んじゃあ着替えてみるから、2人とも外にで……」


瑞鶴 浦風「「……」」


提督「……いや、いてもらって構わないです」


なんだあの目!?

怖いよ!あんなのアニメでしか見たことないよ!睨みとかそういうレベルじゃない!有無を言わせない感じがすごかった!

と、とりあえず落ち着け、まずは恥ずかしいからズボンを先に脱いで速攻で履く……ん?なんだ?引っ掛かりが……


瑞鶴「……///」


浦風「提督……随分と大胆やねぇ///」


提督「は?……は!?」


こ、これは……まさかあの、伝説の!?す、スーパー……朝立○ン!?

って待て待て!これやばいよ!セクハラじゃん!!


提督「こ、これは誤解だ!」


瑞鶴「提督さん……そんなに早くしたかったなら言ってよ……」ハアハア


提督「はぁ!?ちょ、浦風!」


浦風「……瑞鶴。協力プレイ(意味深)や。うちも我慢できへんわ……」


提督「なんで!?なんでなの!?ねえ!!君は普通でいてほしってああああぁぁぁぁああああ!!」


なんとかパンツは死守しました☆


それから5時間後。

オレは吹雪と一緒に訓練をすることにした。

いやぁ……なんでオレ?とは思ったけど、吹雪からのご指名だから引き受けた。

と言っても、ここで見ていて、変なところがあったら教えてくださいと電子版に書かれたが。


吹雪「!」


提督「お、すげぇな……全弾クリーンヒット、魚雷の偏差も完璧か……」


正直言うことが何もない。

基礎がしっかりしているからか、吹雪の動きには一切の無駄がなくとても洗練されていた。

強いていうなら、先程から少しこちらをチラチラ見ているのが気になるくらい。まあちゃんと見てるかチェックしてるんだろうけどね。


吹雪「……」


『どうでしたか?』


提督「ああ。とても素晴らしいと思う。うまく思考と感覚を融合させていているのがな。叢雲はかなり考えてから動くタイプで、五月雨と浦風は直感に少し頼りがちだからな。ま、それでも今のうちは良いが……とにかく吹雪、凄いよ」


吹雪「……」


『照れますね……ありがとうございます!』


提督「いんや、こちらこそ良いものを見せてもらったよ。ありがとな」


吹雪「///」


叢雲は、しっかりと考える。

五月雨と浦風は、体を先に動かすタイプ。

理性と野生、3人はどちらかだけが飛び抜けていた。

すぐに作戦を理解し実行できる、圧倒的な頭脳を誇る叢雲。

五月雨はあまり作戦内容を理解していないような発言もみられるが、普段のドジで貯めた運を戦場で発揮しているのか、ここは危ない、といった直感で先日は勝利していた。

浦風はまだ実戦経験はないが、吹雪の訓練を見る前に少しだけ見た。

ぱっと見の印象だが、彼女は空間を認知する能力が非常に高いのか、感でふらふらと動く五月雨に合わせるそれは抜群のコンビネーションだった。

その後ろから叢雲。

そして吹雪……


提督「出来上がった……」


これからの作戦が。

前には五月雨と浦風のツートップ。

その一つ下で吹雪を自由に動かし、そこにかなり近い位置に叢雲を置く。

そうすることで、抜群の破壊力を誇るだろう2人に、完璧に合わせられる吹雪。

その頭脳を活かして指示を飛ばす叢雲。

駆逐艦のみの艦隊戦ではありえない配置かもしれないが、これくらいでないとオレ達人類の思考を上回る深海相手には通用しないだろう。


吹雪「?」


提督「ああ、吹雪。そのだな……オレ、吹雪を実戦に出したい」


吹雪「!?」


提督「お情けとかそう言うのじゃなくて、お前はうちの戦力だ。だから戦ってほしい。もちろん、嫌ならばそれで構わない。駆逐艦の3人、これからくる人に色々と教えてほしい……」


吹雪「……」


『わかりました。不安ですけど、司令官にそこまで言われたら、なんだかできる気がしてきました!』


提督「吹雪……」


吹雪「……」


『意思の疎通ができないかもしれません。ですが、当たって砕けます!!』


提督「……ああ。ああ!よろしく頼む!オレも、さいっだいげんにサポートさせてもらう!勿論、他のやつらも!!」


吹雪「!!」


『はい!!』


オレと吹雪は、硬い握手を交わした。

それからと言うものの、吹雪は何かあればオレを助けようとしてくれた。みんな、確実に訓練を重ね成長していった。

そして3週間後。


提督「よし。艦隊出撃!」


オレは五月雨、叢雲、浦風、吹雪を再び鎮守府近海へと送り出した。

目的は、敵残存艦の殲滅。

まあ、瑞鶴によると駆逐艦3隻の艦隊のみだけらしいが。

作戦の伝達に関しては、吹雪に腕に装備できるあの電子版を持たせることでそれなりに解決した。

大規模な戦いでは見る余裕が無いだろうが、暫くは大丈夫。

今日は出てもらっていないが、瑞鶴だっている。

先頭に入ったことが知らされ、そして数時間後。

旗艦にした五月雨から連絡が入る。


五月雨『提督!やりました!完全勝利です!!」


提督「……やった……やったぞぉぉぉおおおおお!!」


瑞鶴「やったやった!海域開放だぁあ!!」


叢雲『ふん。まだまだこれからよ』


浦風『う〜ん、良い汗かいたわぁ。はよ提督の居る鎮守府に戻りたいねぇ』


吹雪『……』


勝利を喜んでいると、吹雪の電子版からプライベートでメッセージが届く。

「今夜、もしお時間があるなら少しお話ししたいです」

オレはそれに、わかったと返事を打ち送信した。

ちなみに完全勝利の様を瑞鶴の偵察機妖精さんに頼み見てもらっていたのだが、まさしく圧倒だったそうだ。

期待通り、五月雨と浦風は次々と駆逐艦に砲撃を浴びせ、その後ろでは叢雲が指示を飛ばしながら牽制。

吹雪は今日一番の活躍。一隻を沈め残り2隻を魚雷と砲撃でうまく誘導させ、五月雨と浦風。そして、叢雲の砲撃の餌食にした。

まさしく理想通り。


提督「……いや、喜ぶのはまだはやいかな……」


瑞鶴「?」


提督「アイツらはいつでもオレ達の一歩先を行く危険性がある……早急に次の作戦を練らなければ……」


瑞鶴「……ね、提督さん!」


提督「ん?どうした瑞鶴?」


瑞鶴「あのさ、もっと自分を認めなよ」


提督「え?」


瑞鶴「提督さん、なんか最近はずっと言ってたよ?まだだ、まだ……って。私、正直そういう提督さんは嫌い」


提督「なっ!?」


き、嫌い……?

瑞鶴にそんなことを言われるなんて……


瑞鶴「でもっ」


提督「……?」


瑞鶴「ちょっと前みたいに、難しいことばかり自分で背追い込まないで、私達にも相談してくれたら……その……す、す……」


提督「……そこでへこたれる?」


瑞鶴「う、うるさいなぁ!一度スイッチ入っちゃえばあれだけど……やっぱり面と向かって言うのは……」


提督「……天使……」


瑞鶴「!?」


嗚呼、ごめんよ瑞鶴。

オレは君を勘違いしていた。万年発情期かと思っていたが……なんだ、普通にピュアな女の子じゃあないか。

溜まっていた……いや、正確にはオレが溜めさせた?性欲を何日か連チャンして解消してから、瑞鶴は時折こういう姿を見せてくれる。

とても新鮮で可愛い。そして、これが本当の瑞鶴なんだなぁと、となりに座っている彼女を撫でながら考える。


瑞鶴「ちょっと……」


提督「嫌いではないだろ?」


瑞鶴「……まぁ……ありがと」


提督「良いさ。にしても瑞鶴もちょっと前とは変わったぞ?夜に襲わなくなってきたしな」


瑞鶴「それは……その……提督さんを見たときに今までなかった感情が一気に溢れてきただけで!……まあ、今も自分でしなきゃあれだけど……」


提督「?ま、海域開放した勇者達を待つとするか」


瑞鶴「そ、そうね!」赤面




鎮守府に戻り、フタヒトマルマル。

私、吹雪は、人生の中で最大の決意を決めていた。

今日、この紙を司令官に渡す。

電子版は持っていかない。なぜなら、直筆でなければ伝わらないことがあるから。

私の字は、正直叢雲ちゃんみたいにキリッとしていない。

五月雨ちゃんに浦風ちゃん、瑞鶴さんみたいに可愛らしくもない。なんというか……教科書?の文字と良く言われていた。

それを渡す。内容は……俗に言うラブレター。

一応、緊急出撃妖精用のボタンは持っていく。


吹雪「……」


提督「おっ、吹雪。やっ……てあれ?電子版持ってきてないのか……」


吹雪「……」


提督「ふむ、ならば普段は言えないことも言えるわけだ!」


吹雪「!」


提督「な〜んでお前が、欠損艦なんて呼ばれてんだろな……」


司令官の手が、私の頭を撫でる。


提督「……なんで……なんで頑張ってるお前が報われないで、オレみたいなお前らに頼りきりの奴が勲章なんて貰う……いや、そう言う話じゃないか」


司令官は、口を大きく動かして少しでもわかるようにと工夫してくれる。

ああ、こう言うところが……


吹雪「……!」


近海に、影が見える。

あるわけない……だって、だって今日の昼……


提督「なんの話なんだ?」


逃げて……逃げて司令官……

そんなに優しく微笑んでる場合じゃ……で、電子版!……いや、なんで今日に限って置いてきたの私!?

なんで……なんで敵艦隊が……まさけ、昼のあれは囮……いや、偵察部隊!てことは、今までのが全て読まれてて……


提督「吹雪?おーい」


あ……!ボタン!ボタン!!


私はそれを慌てて押した。

すると、鎮守府の警報がなる。


提督「なっ!?吹雪!?」


吹雪「!……!」


瑞鶴「何を……!出撃よ!叢雲!五月雨ちゃん!浦風!……吹雪提督を……って、電子版が……ああもう!」


叢雲「準備完了!」


五月雨「じ、準備できました!!」


浦風「うちも!」


瑞鶴「夜は艦載機を飛ばせないけど!幸い相手に空母はいないみたい!叢雲!旗艦頼んだわ!!」


叢雲「じゃあ行くわよ!目標は敵艦隊!おそらくあれが近海の主力だったのよ!軽巡に重巡までいる!!面倒なこと!!」


叢雲ちゃん達は出撃し、交戦する。

しかしその前に、深海棲艦の機銃が火を吹いた。

なぜ機銃?そんなのはわかっている。狙いは、司令官。


提督「なっ!吹雪!避けろ!!」


それでも司令官は、私の心配をする。

だから、引かれた手を振り払って強引に場所を変えた。

背中が熱い。


提督「吹雪!?」


瑞鶴「吹雪ちゃん!!」


吹雪「……」


艤装の展開、間に合わなかった……

段々と周りの景色が白くなっていく。

これが、死……?


提督「吹雪……吹雪!!」


瑞鶴「くっ……!艦載機!発艦準備!!叢雲!照明弾!今の私達なら……!!」


叢雲『了解したわ!』


感覚も無くなってきた。

だけど、一つわかることがある。司令官が、泣いている。

密かに決めた、司令官を傷つかせないって誓い、成し遂げられなかったな……


提督「ふ……ぶき……」


涙が顔にあたり、口に入る。

とても、塩辛い。涙は悲しい時、塩辛い味になるそうだ。

そして涙とは、色のない血とも言われている。私は司令官に、血を流させてしまった。


吹雪「……」


提督「吹雪……!」


最後の力を振り絞り、血がついてしまった手紙を渡す。

そした私の意識は、深い深いところに……


「いかせません」


「お姉さんには……明日から……じゃなくて、今すぐ幸せに……なってもらうから」


「死ぬなんてこと、この私が許さないぜ!」


なんで……なんで……

白雪ちゃん……初雪ちゃん……深雪ちゃん……!!

なんで!


白雪「この手、離しませんから」


初雪「あの司令官なら……信用できる」


深雪「深雪様のお墨付きだぜ!!」


白雪「……気づいていないと思っていましたか?あなたが、実は"耳が聞こえていて、声が出せない"ってことに」


吹雪「……」


初雪「今から本気だす……から見てて」


深雪「完全ふっかーつ!!ってね!!」


私の意識は、一度そこで途絶えた。



瑞鶴「あれは……!?」


艦載機を飛ばしながら見ていた提督さんと吹雪の様子が変わった。

吹雪の喉が、輝いている。


提督「待ってくれよ……吹雪……!!」


提督さんはそれをお別れだと思っている。

確かに、側から見ればそうかもしれない。私だってそう思った。

けれど、妖精さん達が言った。


「かんむすは、しきかんとのきずながだいじ!」


「そこにあいさえあれば、どうとでもなる!!」


「なのです!」


やがて、提督さんは持っていた手紙を強く握り、涙ながらに語り始めた。


提督「吹雪……オレ……お前のこと、家族だって思ってた。いや、思ってる。オレは……お前のことが、好きだ」


吹雪「はい!私もです!!いつだって大好きです!!」


ああ、私は奇跡を見た。


心は一つ


声が聞こえた。

司令官の声だ。白雪ちゃん達が引っ張ってくれているところの、その光の先から。


提督「オレは……お前のことが、好きだ」


それに答えたくて。答えくて。

でも、もう答えられないのだろうと、そう思っていた。


白雪「行きましょう。お姉さん」


初雪「ここが正念場……」


深雪「私達は遅れていくぜ!主役は遅れて登場だ!」


吹雪「皆んな……あれ?話せる……?」


白雪「……お姉さんの声、そんなに素敵な声だったんですね」


初雪「うらやまー」


深雪「こればっかりは負けるかもな……」


吹雪「なんで……」


白雪「叢雲ちゃんから聞きましたよね?私達艦娘は、恋を知って強くなれます。お姉さんは、司令官の涙を飲んだ。だから話せるのは当たり前です」


吹雪「えー……なにその無茶な設定……」


深雪「それは深雪様でもわかんねえな〜」


初雪「同感……」


白雪「ん、ん……ともかく、早く答えてあげてください。大きな声で、ですよ?」


吹雪「……うん……うん!」


私はいつの間にか、くらい場所にいた。

そして目の前に、ひとつの光がある。

そこへ、叫びながら飛び込む。あの人の顔を思い浮かべながら。


吹雪「はい!私もです!!いつだって大好きです!!」




吹雪が生き返った。

少し見た目が大人っぽくなり、それどころか声まで出している。


吹雪「えっへへ〜。まさか司令官から愛のお言葉をいただけるなんて〜」


提督「ふ……ぶき?なのか……?」


吹雪「はい!あなたの愛する吹雪です!まあ、私の方が好きですけど!!……きゃーっ!言っちゃった!!///」


提督「どうして……」


耳も聞こえている。


「ていとくー!!」


妖精さん達が、こちらに飛んでくる。

そしてオレの肩に乗っかり、話を始める。


「これがいわゆる、かいそう!」


「かんぜんなるしんか!」


「かんむすとていとくのつよいきずなでなせる、まさに……」


「「「愛!!」」」


吹雪「やだも〜妖精さん!」


愛……?なんで……いや待て、心当たりがあるな。

絶対に、絶対にさっきのやつだ……!!

誤解を解かなければ!


提督「ま、待て吹雪!あれは家族的なので!」


吹雪「はい!わかってます!大好きです!!だから私、司令官のために敵をやっつけます!!」


提督「吹雪ぃ!?なんもわかってねぇ!?」


そのまま吹雪は艤装を展開し海に立った。

そして、後ろを振り返りこう言い放った。


吹雪「司令官、見ててください!あなたの吹雪が活躍するところ!!……私、今ならなんでもできそうです!よっーし!特型駆逐艦、吹雪!司令官の愛を受け、出撃ぃぃぃぃいいい!!」


提督「ちょおおおおお!?」


吹雪は尋常でない速度で海を駆けて行った。

しかし……あいつ、あんな良い顔で笑って、あんな綺麗な声をしてたのか……


「ほれた?ほれた?」


提督「……なわけ……瑞鶴とはそういう関係だけど、オレはみんな平等が……」


「じゃあみんなとするのです!」


「それでかいけつ!」


「めいあんめいあん!」


提督「……そんなことして持つかなぁ……オレの体」


「まほうのおくすり!」


提督「おい」




とても気分が良い。

普段より速く動けるし、何より……司令官のあのお言葉。


吹雪「叢雲ちゃん!」


叢雲「だれ……って、吹雪!?あんた、声……!」


吹雪「うん!それに、耳も聞こえてるよ!!」


五月雨「す、すごいです!」


浦風「何があったん!?」


吹雪「えー?……内緒♪にへへ」


叢雲「……まさか」


吹雪「そう!私、叢雲ちゃんの言ってたことわかったよ!凄いね!これが恋!……ううん、愛!!司令官のためなら、なんでも出来そうだよ!!いよ〜っし!それ、主砲発射ぁぁぁああああ!!」


五月雨「え!?この距離で重巡に……って、一撃大破!?」


浦風「んなぁ!?」


叢雲「えぇ……」


そのまま旗艦である重巡に距離を詰め、至近距離から魚雷を打ち込む。

そしてまさしくゼロ距離で軽巡に主砲をお見舞い。

完璧!


浦風「……凄い……軽巡、重巡、撃沈……!!」


叢雲「……何よこのデタラメな強さ……」


五月雨「愛……愛!……提督ーー!!」


提督「なーにー!!」←拡声器


五月雨「わ、私!提督が好きです!!提督さんはーー!?」


提督「オレも五月雨のこと!好ーきーだーよー!!」←またも家族的な意味で


五月雨「!!……ありがとうございます!」←ガチ恋勢


五月雨ちゃんの様子が変わった。

一瞬光を帯び、少し体が大人に成長しているように見える。艤装の妖精さん、そして五月雨ちゃん自身からオーラが出ているように見える。

それだけでない、あっ!とか言って誤射した主砲が駆逐艦3隻を一撃で沈めた。


叢雲「……なるほど……」


浦風「……いよし、提督さんやぁ!」


提督「今度はなーにー!」


浦風「ぶち愛しとるよ!!///」ガチ恋(略)


提督「オレもー!!」かぞ(略)


浦風「……うん、エエねぇ……エエねぇ!!」


あ、今度は浦風ちゃんか。

なんか……髪の毛逆立ってるよ?大丈夫?これ伝説のスーパーなんちゃらになりかけてない?


浦風「戦艦でもなんでもこいやぁ!!」


瑞鶴「敵戦艦発見!距離、およそ10000!艦隊を引き連れてきてる!!」


吹雪 五月雨「「本当にきたぁ!?」」


叢雲「……」頭抱え


浦風「おんどりぁ!主砲発射じゃボケぇぇぇええ!!」


吹雪「いやいや、流石にあたらな……」


瑞鶴「戦艦撃沈!!」


吹雪 五月雨「「ええぇぇ……」」


叢雲「うん。司令官?」無線


提督「何だ?」


叢雲「私のこと、どう思ってる?」


提督「……いつも叱ってくれてありがとな。大好きだ」か(略)


叢雲「……そ。私もよ」


あ、また光って……あれ?叢雲ちゃん服変わった……?

それに身長伸びた?胸……おっきくなった?

……なんか強そう(小並感)


叢雲「行くわ」


叢雲ちゃんは主砲発射と同時に、魚雷を投下した。

すると、主砲に踊らされた敵艦に次々と魚雷が命中する。短時間で、これだけの計算をしたのだ。


叢雲「……まあまあね」


それからしばらく、私達は海の上でいわゆる無双を行なった。

その時に妖精さんから全員に伝えられたのだが、今は一種の覚醒状態。

言ってしまえば艤装に無茶をさせている。

それに加えてこれは、受けたことのない司令官という人物からの愛での力。

次にこれだけの力を出すには、司令官から今以上に強い愛……体の接触が必要とのこと。

あ、まだ(意味深)ではなくて良いらしい。


瑞鶴「お、敵艦隊が居なくなった!勝利だ!!」


五月雨「案外早かったですね!」


浦風「これが愛の力ってやつやねぇ」


吹雪「だね!この調子だよ!!」


叢雲「吹雪が耳も声も復活したのもそれが原因?」


吹雪「ぁー……あのね、皆んな。聞いて欲しいんだ……私、実は耳は聞こえてたの」


五月雨 叢雲 浦風「「「え?」」」


それから私は、3人、そして無線越しに瑞鶴さんに話をした。司令官には後から自分で伝えたいと前置きをしてから。


吹雪「勘違いされてたのは、建造の時からでね……」


この世界に私が生まれた時。

舞鶴の司令官は、優しく私を出迎えてくれた。それに応えようと、声を出そうとした。

けれど、どう頑張っても声が出なかった。

原因は妖精さんにも不明、そして、その時に焦ってしまい、私は話しかけられても固まったままだった。

そのせいで、耳が聞こえないのだと勘違いされた。

幸い、文字の読み書きは生まれてからすぐにでもできるのが艦娘というもの。意思の疎通には困らなかった。


それからすぐ、大本営が偉大な舞鶴に私のような欠損がいてはダメだと、司令官の意思を無視してあの基地へと派遣した。

そこで私は、本当のことを打ち解けようとした。けれど、それは叶わなかった。

基地の提督に言われた最初のセリフ。それは


「チッ、また使えねえ奴か。耳が聞こえないとかありえないわ」


それを聞いて、絶句した。

その言葉から私は、実は聞こえてましたなんて今更言ったら何をされるかわかったものではないと知った。

そしてそこから続く、地獄の日々。

基地の艦娘は、その提督に対する不満を、耳が聞こえないということになっている私にぶつけてきた。


「はあ……死んじまえ」


「邪魔……」


「出撃しなくて良いなんて羨ましいわ」


「なんでそこにいるの?」


日に日に私への暴言は増して行った。

けれどみんな、どうしても必要な時には笑顔で紙に文字を書いて伝えてきた。

その時は私も、苦しかったけれど笑顔で答えた。


それからしばらくして、今の……私の愛する司令官の元へ着任した。

司令官は、私の知るどの反応も見せなかった。

秘書艦をやらせて頂いた時も、不満をこぼすことはなかった。それどころか


提督「本当、吹雪は良い娘だよな……よし、オレも頑張らなきゃ」


提督「あ、ふぶ……じゃなかった。気づいてもらうには……いやでも待てよ、肩なんて触ったらセクハラじゃね?」


提督「吹雪、いつもありがとう。……あ、電子版ないな。紙に書くか」


提督「まだ……まだもっと……吹雪の才能はこんなもんじゃない……まだできる……オレが考えて、吹雪を認めさせる……!」


感謝の言葉、私のために作戦を考えてくれる。

その行動や心遣いが、腐りかけていた私の心を持ち直させてくれた。

だから生きたいと、あの時強く願っていたのかもしれない。


叢雲「へぇ……そんなことが」


五月雨「うぅ……吹雪ちゃぁあん……」号泣


浦風「よし、そこの基地の提督○そう。今すぐぶっ○そう」


吹雪「ちょちょ、浦風ちゃんキャラキャラ……よしよし、五月雨ちゃん泣かないで?」


叢雲「……ま、別にあいつなら心配しなくても平気よ。でしょう?瑞鶴」


瑞鶴「そうねぇ。初めて会った日に、私のわがままを聞いて私を抱いてくれたからね♪」


吹雪「え?」




提督「……吹雪……ん?あれ?なんか近づいてきてね?」


戦闘が終わり、帰投を待っていると高速で吹雪が近づいて来た。

そしてオレに抱きつき、こう叫んだ。


吹雪「抱いて!」


提督「いやなんで!?」


吹雪「会ったばかりの瑞鶴さんを抱けて、私を抱けないわけないですよね!?相思相愛ですよね!?」


提督「ちょ!?くるし!!」


吹雪「なんですか!司令官は背の高い人がお好みなんですか!?身長は負けてますけど!なんなら私の方が胸おっき」


瑞鶴「あん?」後ろに般若


提督「あ」


吹雪「……し、司令官……」後ろ隠れ


提督「あ〜……瑞鶴?こ、今夜で手を打とう……」


瑞鶴「……良かろう♪」ご満悦


吹雪「うぅ、ズルい……」


いや何がやねん。

ともあれ吹雪が本当の意味で……いや、"本当の吹雪"という人が帰って来たのは大きい。まさかオレにぞっこんだとは思わなかったが。

……てかあれ?なんかオレの足元光ってね?


そう思っていると、妖精さんがそこになにかの艤装をぶん投げた。

そして、そこから3人の少女が出てきた

……はい?


白雪「特型駆逐艦、2番艦、白雪です。……司令官、好きです(迫真)」


初雪「初雪……です……よろしく。……ぼちぼち好きかな」


深雪「深雪だよ。よろしくな!深雪さまも、割と好きだぜ!」


提督「えなに、吹雪型の人達って司令官好き好きビームでも受けてるの?え?」


吹雪「司令官!」


提督「ん?」


吹雪「これ、ぜ〜んぶ私達の本心ですから!!」後光


提督「あぁ……皆さん……このサービス、おいくらでしょうか……?」


吹雪「えぇ!?ちょっとぉ!」


白雪「なるほど。お姉さん、私ますます興味が湧きました」


初雪「良いね……」


深雪「ありあり!」


まさかこんなにも一度に仲間が増えるとは……ともあれ、まずは報告書か。

あ〜っ!めんどい!そして吹雪!スケベかもしれんが女神すぎ!!

よし、可愛い可愛いこいつらは絶対、オレの鎮守府から出さん!!」


瑞鶴「提督さん……そういうの、あまり大声で叫ばれると恥ずかしいよ……」赤面


五月雨「……」パンク


叢雲「ま、まあ……当然よね?」赤面


浦風「ええねぇ……ええねぇ!」恍惚


吹雪「え……え、えへへ♪も〜う……ありがとうございますっ♪」意外にも純粋(?)


白雪「よし」ガッツポーズ


初雪「……ふ」ニヤケ


深雪「やったぜ!」喜び


提督「……はあ」


ま、終わりよければ全て良し?



戦後報告

提督「以上が、先日の鎮守府防衛戦での報告です」


やあ皆。

今、大本営であの戦いの報告をしてるんだよね。

いや、書類だけでよくねとは思ってね、書類だけで報告したら呼び出し食らったわこんちきしょう。

なぜ呼び出しかって?

どうやら鎮守府というのが襲撃されるのは大事件であり、早急に海域の調査などをしなければならないためにオレが呼ばれたということらしい。


元帥「そうか、そうか。あの吹雪君が......なるほど。了解した」


提督A「まさか、舞鶴の吹雪にそこまでの力が......」


提督B「にしても艦娘が知った新たな力の引き出し方というものが気になるな」


提督「はい。その件に関しましては何度も聞いたのですが、どうしても教えたくない、教えると気持ちの高ぶりが収まってしまうというものでして......」


どうやっても言いたくないならば気にしないのだが、果たしてそれで艦娘兵器主義の輩どもは許してくれるのかというのが問題なんだよな。

そのあたりは無理やりにでも納得してもらはないと困るんだけどさ。

後で聞き直すのも気が乗らないしな。


元帥「ふむ。まあ無理に聞いてしまうのも酷だ。その件に関しては深く追求しないでおこう」


提督「ありがとうございます」


元帥「次に、確認されていない艦載機について」


提督「はい。妖精さんが作ってくれたものです。これが実物です」


そういい、目の前の机にスーツケースに入れた零戦の山田機を机の上に出す。

それを見て、ほぼ全員がおぉと声を上げる。


元帥「き......基本性能はどのようなもので?」


提督「それについてはわかりかねます。ただ、妖精さんによると、妖精さんの開発した遠隔操作型コックピットで私が操縦し、なおかつ瑞鶴に搭載すると特別な何かが発生し性能の向上が見込めると言っていました」


元帥「それもまだ試しては?」


提督「はい。実践にはいたっておりません」


元帥「そうか......ただ、微力かもしれないが深海棲艦に対抗できる戦力を人が持てたのはかなり大きい。ほかのパイロットではどうだ?」


提督「どうやらそれをするには機体を一から作り、なおかつそれとリンクさせるためのマシーンをもう一度作り直さなければならないためかなりのコストがかかるそうです。ただ、できないことはないが......と何かをごまかしているようでした」


元帥「つまり何かしらの危険分子をはらんでいる可能性も否定はできないな」




鎮守府


妖精A「はっくしゅん!!」


妖精B「どした?」


妖精C「提督さんについたウソがばれたのです。自分たちが作るの面倒だからごまかしたの」


妖精A「ありえる......」



大本営


元帥「よし、これにて今回の会議は終わりとする。山田君、君は少し残ってほしい」


提督「?はい」


そして他の提督や連れの艦娘はいなくなり、オレと元帥、そして元帥の秘書艦であろう大淀さんだけになった。


元帥「山田君、君は艦娘に対して特別な力を持っている」


提督「はい?」


元帥「大淀。あれを」


大淀「はい」


大淀さんは、オレに一枚の紙を渡してきた。

そこには、山田と書かれた何故か天井を突き破ってる折れ線グラフ、他提督と書かれた基本的に低い位置にあった折れ線グラフがあった。


提督「これは?」


大淀「簡単に説明すると、先ほどこちらに来る前に話してもらった、神通さんの気持ちの高ぶりを時間ごとにグラフにあらわしたものです」


元帥「彼女に、思ったままに楽しいと思ったレベルを時間ごとにグラフにしてもらったんだ。そうすると、君のグラフは無意識に上を突き抜け、他の提督は綺麗な横線だ。話はどうだった?」


提督「え、なんか普通に話すことなくて終わったと思ってたんですけど......」


安定のコミュ障発症してたけど......そんなに楽しいと思っててくれたのか?

だとするとそれはかなりうれしい。美人さんに話してて楽しいと思われて悪い気はしないし。


元帥「そして私達は君には艦娘に物理以外での接触が可能なのではないかと考えた。ので、彼女を君に預ける」


提督「彼女......って、神通さん?」


元帥「うむ。入れ」


神通「失礼します......提督、よろしくお願いいたします」


提督「は、はい。でもなんで?」


神通「私も、追い出されたんです。鎮守府」


提督「はえ?」


神通さんの話をそれから聞いた。

簡単に言うと。どうやら圧倒的な活躍をしていたが、いわゆる大艦巨砲主義である神通さんの元提督はその活躍を、軽巡では深海棲艦とつながりがなければあり得ないと判断したらしい。

うん。普通にその提督間抜けすぎて笑うこともできない。

神通さんを信じる覚悟がなかったのか。


神通「というわけです。ですが私は、断じて深海棲艦とのつながりなんて......」


提督「わかってますよ。もし本当でも、うちの艦娘達なら」


神通「そうですね......気まぐれの破壊者、五月雨さん。神算、叢雲さん。暴れ馬、浦風さん。神域の艦娘、吹雪さん。そう呼ばれている彼女たちだけでも、深海棲艦を滅ぼせそうです」


提督「ちょっと待って、なにそれ」


元帥「しらんのか?新聞社が、君からの情報を私たちが公開した時につけたのだが......ああ、本人たちには言わないほうが良いな。恥ずかしすぎる名前ばかりだ」


提督「ですね......」


新聞社は中二病しかおらんのけ。

でも、神通さんが仲間に加わってくれたのは大きい。ぶっちゃけ駆逐艦の五月雨たちでさえ重巡洋艦並みの活躍してるけど、作戦の幅が大きく広がる。

いずれは遠い海域も開放できるかもしれない。

そう思うと、少しだけ未来に希望が持てた。


神通「さらに、瑞鶴さんもいるそうですね。彼女は?」


提督「ん~。瑞鶴は比較的ましな部類じゃないのか?いや、でも......鎮守府が襲撃される少し前に、何を思ったのかいきなり発艦してさ。多分襲撃されるときの旗艦だったであろう空母を沈めてたな。それでも来るとは思わなかったみたいだけど」


神通「そうですか......私も頑張らないといけません」


そしてオレと神通は、例の車で鎮守府へと帰った。

特に何も起こらなかった。強いて言うなら揺れが強くてうたた寝してるときにオレが窓に頭ぶつけたくらい。

そう何度もイベントは起こらんのだよ......

そして鎮守府につくと、なんかいた。いや本当に、なんかいた。


瑞鶴「あ!提督さん、帰ってきた!!」


五月雨「おかえりなさい!!」


白雪「おかえりなさいませ」


提督「ん、そういえばほかのメンツは遠征か。んで、こちらはどなた?」


瑞鶴「ああ、この人?う~ん......喋れる?」


??「......」



何かを言いたそうな雰囲気のその人は、妖精さんから何かの薬をもらい、少し警戒してそれをのんだ。

すると、クリアな声が聞こえた。


戦艦棲鬼「私は......戦艦棲鬼」


提督「へえ、戦艦棲鬼.....戦艦棲鬼ぃ!?なんでぇ!?」


ドンやん!親玉やん!

なんでいるの!?マジで!!


瑞鶴「なんかね、偵察隊が見つけたからボコして連れてきた」


提督「おい......何したんだ」


戦艦棲鬼「うぅ、あれは......ぐはっ!!」中破


提督「ええ......」


長い話を要約する。

なんか本当に瑞鶴がたまたま見つけたらしく、文字通りボコったとのこと。

んで、なんでおとなしくここにいるのかというと......


戦艦棲鬼「話をしよう、指揮官」


提督「ん?」


戦艦棲鬼「......海域受け渡すから、これ以上うちの戦力削らないで」涙目


提督「うん......うん!?」


戦艦棲鬼「正直な、こちらとしても無謀な戦いはしたくはない。意味が分からん。割と全力で挑んだやつ。なんで瞬殺?」


提督「ああ......まあなんかわかるかも。けどなんでいきなり」


戦艦棲鬼「信じてほしい。私たちは敵ではない。そちらに区分があるように、こちらにも区分がある。人間撲滅派、気分で戦いたい派。そして私達のような戦闘をできるだけしたくない派閥」


提督「へえ......何か信じれるものは?」


戦艦棲鬼「今ここに、トップである私が無防備な状態でいることで十分だろう?それにその軽巡、この前そいつに壊滅状態にされたから近づいてこないで!何も企んでない!!」


事実か......てか神通、マジだったのか。

ともかく深海棲艦の貴重な情報を仕入れたのかもしれない。

けど戦艦棲鬼の様子からするに、戦闘をしたくない深海棲艦はごく少数派なのかもしれない。

だがまずは......


提督「いきなり戦いをやめて海域を開放しても、こちらとしても怪しまれてしまう。だからしばらくの間、フェイクの戦闘。つまり演習相手になってほしい」


戦艦棲鬼「いや、そいつらなら必要ない......」


提督「いうな、形だよ......」


その後、受け渡される海域を確認したが、かなり範囲は広い。真面目に戦ってたら数年はかかるくらいだ。

困ったのが、戦闘派の深海棲艦がもしかしなくても近々攻めてくるとかなんとか。

それは置いておくとしても、非戦闘派の戦艦棲鬼をどこにかくまうか......


瑞鶴「うちでいいじゃん!離島だし、何よりここがいま日本で一番安全かもよ?」


神通「確かにそうですね。同時に日本である意味一番危ないのかもしれませんけれど」


白雪「同感です、神通さん......」


提督「主にオレの貞操がな」


瑞鶴「え?」


提督「あ、もうねえや」


とりあえずは鎮守府に置くとして、その中でどこにするかだ。

あれ、他にも非戦闘派いんのか?


提督「なあ、戦艦さんや」


戦艦棲鬼「わ、私か?」


提督「そうそう。聞きたいんだけど、他にも非戦闘派の人っているの?」


戦艦棲鬼「いることにはいるが……私達は、大型艦以外は人型ではないのだ。空母棲鬼と、タ級、そして軽巡棲鬼以外は陸では生活できない駆逐艦や軽巡だぞ?」


提督「いやまて。よくそれであんだけ海域奪えたな……」


戦艦棲鬼「……だって人間、バカだから戦艦とか重巡みたいなのばっかだすし……空母棲鬼の護衛つけとけば駆逐でも大体勝てた……」


提督「空母って、大切だよな」手差し出して


戦艦棲鬼「ああ。まったくその通りだ」握手


提督「お前とは仲良くやってけそうだ」


戦艦棲鬼「うむ」


やっぱり海軍の間抜けさは筒抜けだったか。

ともかく場所は取れそうだ。陸で生活できない子達は近海にいてもらうしかない。


提督「よし、瑞鶴。偵察機を飛ばしてくれ。この辺りでなるべく人目につかず、なおかつ波が穏やかなところを探して欲しい。そこに駆逐艦を置く」


瑞鶴「りょーかい!」


提督「白雪。オレと一緒に戦艦棲鬼と空母棲鬼、軽巡棲鬼、タ級の部屋を探そう。五月雨は神通に鎮守府の案内で」


白雪「かしこまりました」


五月雨「はい!」


提督「あ、戦艦棲鬼はどうする?」


戦艦棲鬼「そうだな……少し、ゆっくりさせて欲しい。ボコられたから」


提督「……わり。じゃあそこのベッドで寝といてくれ」


戦艦棲鬼「ああ」


そしてそれぞれ、やるべきことを始めた。

うーん、部屋、どーすっかな……



戦艦棲鬼「これが……ベッドか……」


とても暖かい。そして、柔らかい。

今まで寝ていたのは、光の届かない海底に作った基地の床。

起きたら体が痛いことなんてザラにあった。


瑞鶴「どう?ベッドの感触は。そこ、普段提督さんが寝てる特等席なんだから」


発艦を終えた瑞鶴が、艦載機の様子を見ながら話しかけてくる。

ふむ、奴が普段寝てるところか……


戦艦棲鬼「心地よいな。にしてもアイツ、少し女臭くないか?香水か?」


瑞鶴「え?……愛が足りないなぁ」


戦艦棲鬼「なんだ?」


瑞鶴「わかんない?提督さんの匂い。あの人、私達に嫌だと思われないよう消臭剤とか使うんだ。でもね〜、無意味!」


戦艦棲鬼「お前達は、そんなに鼻がきくのか?」


瑞鶴「提督さんの事ならね。神通以外、多分っていうか確実に全員匂いだけで提督さんがどこにいるかとかわかるよ」


戦艦棲鬼「そんなにアイツは体臭がキツイことはなかったが……」


瑞鶴「なんだろ、フェロモン?」


戦艦棲鬼「ふっ。なんだそれ」


よくわからないが、愛か。

憎しみを持ってこの世に生まれてきた私達とは、力の源が違うのだろうな。

もしこいつらが愛で力を高められるのならば、あの異様な強さも納得できる。だってこいつら、提督と話すとき目がハートなんだもん。なんか時々もじもじしてるもん。発情期が過ぎる。


瑞鶴「いずれ分かるようになるよ。だって、戦闘を好まないんだったら、それ以外に自分が好きになるものが見つかるはずだから」


戦艦棲鬼「……だと良い、な」


瑞鶴「あ、でもそれが提督さんだと苦労するから気をつけてね」


戦艦棲鬼「だな……すまない、眠らせてもらおう」


瑞鶴「うん!おやすみ」


そのまま目を閉じ、深海と同じような暗闇に包まれた。

眠る直前に、空母棲鬼と軽巡棲鬼、タ級にした報告の返事を……


空母棲鬼「え?それは予想外でした……でも、良かったです」


軽巡棲鬼「マジ?やば、嬉しすぎて魚雷投げちゃった」


タ級「なんと……感激です!」


やはりこいつらも受け入れ態勢が凄いな。

にしても、人間に素を出すなんて出来るか?特に軽巡棲鬼。キャラ作り頑張っていたからな……

まあ、どうにでもな……zzz……



提督「よ〜し白雪。部屋探す……つっても、この鎮守府小さいから」


白雪「そうですね。これを機に司令官と私達の愛の巣」


提督「やめい」チョップ


白雪「……はい」


全く、物分かりが良いだけ吹雪とかに比べたらマシかもしれないが……

まあ、悪い気はしないけど。


提督「てか、多分だけど三つの並んだ部屋にするか、壁ぶち抜いて一つの大きい部屋が良いよな?」


白雪「相部屋は確かに良いかもしれませんが、慣れてくるとだんだん嫌になってきますよ」


提督「そういうもんか?」


白雪「はい。……よく、姉が寝言で……」


提督「寝言で?」


白雪「司令官のことブチお○すとかなんとか……」


提督「ぶ、ブチ○かす……いやそれ、普通逆じゃね!?」


なんで男のオレがやられなあかんねん。

いや、かといって吹雪にそんなことできるわけないけど......憲兵案件だよ。いや、そもそもこの鎮守府出来たてだか何だかで憲兵さんおらんな。

ま、それでもヘタレのオレには厳しいことこの上ない!


白雪「遠征から帰ってきたときは気を付けてくださいね」


提督「だな。よし、部屋はここで良いかな」


白雪「日当たり抜群ですが......普段海の下にいる方々は大丈夫でしょうか?」


提督「慣れさせるためにあえて明るいところに、な。まあ嫌がるようだったら反対側のここか」


白雪「なるほど。では指令室に戻りますか?」


提督「ん、行こうか」


白雪「はい」



五月雨「ここで最後ですね。お風呂です」


神通「鎮守府の見た目の割には、大きなドックですね」


五月雨「提督が妖精さんに無理を言って増築してもらったそうです!」


神通「妖精さんが人の言うことを聞くなんて珍しいですね。私のいたところでは姿すら見せてくれなかったというのに」


五月雨「まあ、大体の鎮守府がそうなんじゃないですか?提督はとても優しいですから」


神通「ふふ、それくらい一目見ただけでわかりますよ」


五月雨「この前、私がコーヒーを軍服にこぼしてしまった時も、私が火傷をしていないかの心配をしていたり、瑞鶴さんが駄々をこねたらお仕事を中断して構ったり、吹雪ちゃんの夜這いにも大人な対応をして、初雪ちゃんのやる気を出させて、深雪ちゃんの力比べにも手伝って、あの叢雲ちゃんをデレさせて、浦風ちゃんにお料理を教えて......極めつけは、お風呂のお掃除や食事作りなどの家事全般を一人でこなされています」


神通「そんなに家事スキルが高いのですか?」


五月雨「う~ん......もうあれは家政婦になったら王家からスカウトが来るレベルですよ。でも本職は提督ですから、最近は浦風ちゃんに誘惑させてそのすきに私達で片づけてます」


神通「浦風さん......?なんでですか?」


五月雨「その......この鎮守府で一番お胸が大きいですし、提督のお料理をお手伝いしているので......」


五月雨ちゃんは、自分の控えめな胸を少し悲しげに撫でてそうつぶやいた。

ふむ、男性は大きな胸のほうが好きなのでしょうか......?けれど、だとすると瑞鶴さんはなぜ......いや、これ以上は失礼かもしれませんね。

というかそもそも、提督は私達艦娘とお話しをするときに目しか見ていないですから、サイズフリーなお方なのでしょう。


五月雨「さて、それじゃあ戻りましょうか!よしっ、今日はドジらずに済みました!!」


五月雨ちゃんはその数分後、ドアの絶妙な段差に躓いて提督の胸に飛びこみキスぎりぎりまでの顔の近さでゆでだこのようになった。

これがラッキースケベというやつでしょうか?


新たな出会い



提督「お......う......マジかよ......」


戦艦棲鬼をとりあえずうちにかくまってから三日後。

駆逐艦は随時吹雪たちに誘導してもらい、なんとか民間や軍からの目を逃れて近海に停泊させられた。

空母棲鬼、軽巡棲鬼。そしてタ級は明後日かしあさってに来るそうだ。それよりも今目の前にある紙が問題だ。


提督「何語だろこれ......English?いや、でも発音記号とかあるし、こういうの見たことない。あ、そういや最近ドイツと仲良くなったてきな報告来てたからドイツ語か」


かといって意味なんて分からない。瑞鶴たちは訓練してるし。

......ん?こんなところに便利な板状のものが。よし。翻訳アプリ起動!!


提督「なになに?信頼なる山田中尉へ。鎮守府解体にともない、唯一所属していた艦娘を移動させます。おそらく一週間後に彼女は到着した。彼女の名前をPrinz Eugenとした。どうか幸運を私達は祈ろう......がっばがばだなこの翻訳」


そこが可愛いところかもしれないが。

一週間後ってあるけどさ、これ一週間前のやつなんだよね。よし、吹雪の時みたいに迷子になってるかもしれないから、迎えに行こう。

そう思い、立ち上がってドアを開けたとき、なにかにぶつかったと同時にかわいらしい声が聞こえた。


提督「んお?なんだ?」


??「うぅ......」


提督「......」


金髪......ボストンバッグ......男の好きそうな体系......あいや、最後のは関係ないな。

うん、絶対この子やん。

ドイツの娘らしいけど、英語でも少しは通じるかな?


提督「ああー......そ、Sorry.Are you ok?」


プリンツ「Yes......に、日本語で、大丈夫」


提督「そうですか?」


プリンツ「少しだけ、わかります」


提督「なら大丈夫かな......あー、オレがこの鎮守府の提督......いわゆる、あれだ。Admiral?」


プリンツ「提督ですね」


提督「そう。敬語はなしのほうが良いかな、とりあえず君の部屋まで案内するから」


プリンツ「部屋......?Japanは、Zimmerもらえるのですか?」


提督「そう、何か知らんけどRoomってやつね。ついてきて」


プリンツ「Ok」


部屋はその場で選んでもらった。

そのあとに荷物を整理する時間を与え、終わったらここでの決まり事などを説明するため司令室に来るよう伝えた。

が、五分ほどでやってきたため説明などを始める。


提督「ここの構造とかはこのマップにあるし、もしわからなかったら他の艦娘にも聞いてもらっても大丈夫今のところ良いかな?」


プリンツ「大丈夫です」


提督「よし、それで基本はこのスケジュール通りに出撃とかをしてもらう。場合によっては演習とかも。秘書艦も一応やってもらおうと思うけど......もしいやだったら無理せず」


プリンツ「いえ、提督のお手伝いをさせていただきます」


提督「ん。Danke」


プリンツ「!」


おおう、割と良い感じかな?結構驚いた顔してるけどうれしそうでもあるし。

数少ないひいじいちゃんから教えてもらったドイツ語だ。


提督「さて、質問とかはあるか?」


プリンツ「このヤスミ?とはなんですか?」


提督「あのー......あれ。う、Urlaub?」


プリンツ「そんなものがもらえるんですか!?」


提督「うん。ここだけの話、深海棲艦には戦闘を好まない奴らもいるんだ。この辺の海域は特に。んで、同盟を組んでいるからしばらくはゆっくりでも問題ないってわけ」


プリンツ「そんなことが......」


提督「それにうちのやつらは規格外だからな。話は聞いたか?」


プリンツ「や、Ja。なんでも駆逐艦の砲撃で戦艦を沈めたり、航続距離を無視した艦載機を放つ空母がいたり、単騎で艦隊を壊滅させたり......」


五月雨、叢雲、浦風、吹雪だな。今は軽巡をワンパン程度におさまってるけど。

んで、瑞鶴と神通か。この二人は元が駆逐艦たちより大型だからかかなり理不尽。

白雪たちも戦闘を好むやつらと戦った時、駆逐艦はワンパンしてたきがする。頬へのフレンチ・キスで。


プリンツ「ここも龍神の住まう鎮守府と呼ばれていましたし......Japanは怖いです......」


提督「ははは......まあそだな......」


提督「とりあえずプリンツは今日に加えて明日と明後日二日間は完全に休みだ。それまでにここに慣れてもらいたい。大丈夫か?」


プリンツ「......なんだか、申し訳ない気持ちです......」


提督「気にするな。どうせその間も自主練するだろう?ここはだれでも使えるトレーニングルームがあるし」


プリンツ「そうですけど......あの......提督はご予定がありますか?」


提督「書類仕事とかはみんな優秀だからいつも午前で終わるかな」


プリンツ「な、なら私にJapaneseを教えてくれませんか?まだわからないことが多くて......」


提督「なるほど、全然良いぞ。でもプリンツ。もう結構日本語上手じゃないか?」


プリンツ「感情の表現の仕方がよくわからなくて......」


提督「そっか、じゃあ不自由なくコミュニケーションが取れるようにオレも頑張るわ」


プリンツ「Danke!」


提督「それ良いな」


プリンツ「?」


提督「ドイツ語、プリンツが使ってると可愛く聞こえる」


プリンツ「!?」


あ、この子純粋すぎたわ。

ふむ......天使ってやつね。ってあれ?気絶してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!??


瑞鶴「はあ......疲れ......なにしてんの?提督さん」


提督「あ、瑞鶴!悪い、今日からここに配属されたプリンツっていう艦娘なんだが、気絶してしまって......」


瑞鶴「ん~。じゃあ私がこの娘の部屋まで運んで寝かせておくね」


提督「助か「その代わり」......?」


瑞鶴「今晩の予定。開けといて?」


提督「......ウィッス」


瑞鶴「よろしい。あ、皆はお風呂に入ってるから。じゃあ私も入ってくるね!」


提督「おう、ゆっくりな」



瑞鶴「わかった?」


プリンツ「......はい」


瑞鶴「ドイツにいたころの夢。叶ったね」


プリンツ「瑞鶴さんには、感謝してもしきれないです。まさか本当にここに来れるように手配してくれるなんて」


瑞鶴「ま、大規模作戦からの仲だしね」


私と瑞鶴さんは、数か月前の日独合同海域開放作戦で知り合った。

その時はお互いに目が死んでいて、今のように笑いあうことができるとは思っていなかった。

けれど、瑞鶴さんは希望をもっていた。


瑞鶴「私ね、決めたんだ」


プリンツ「なにを......」


瑞鶴「心の底から信頼できる提督と戦う。だからその時には、プリンツも呼ぶね。だって、ドイツでできた唯一の友達だし!!」


プリンツ「......ふふっ、私も日本の艦娘で唯一の友達です!」


一週間前、鎮守府が深海棲艦に破壊され一人取り残されていた私。

きっと未来は、解体かこの体を本当の意味で軍にささげる、つまり慰安婦になるかと思っていた。

けれど正直、手紙に書かれていた勝手に決めたという文を読んで不安になった。

けど手紙に同封されていた一枚の写真で安心に変わった。

その写真とは、提督を夜這いしようとしたこの鎮守府の駆逐艦の子たちと、それに抵抗したのだろうが疲れて眠ってしまった提督の写真。

提督は本当にリラックスしてよだれを出して口が半開き、目が少し空いている面白い写真だった。

けれどそれは今では私の宝物。


瑞鶴「けどね。プリンツ」


プリンツ「はい?」


瑞鶴「艦娘は基本どんな言語も理解できるのに、嘘ついて提督さんと一緒にいようとたくらむのはいただけないな

ぁ?」


プリンツ「//////」


瑞鶴「......これだけは言っておくけど、提督さんの初めては私だから。そして、これからもそうであり続けるつもり」


プリンツ「......瑞鶴さんでも譲れないかもしれません」


瑞鶴「言ってくれるじゃない?プリンツも至れると良いわね」


プリンツ「何にですか?」


瑞鶴「私達が勝手にそう言ってるんだけど、提督さんと深い意味のほうで接触したりして気持ちが昂ると、艤装がキラキラするの。だからキラ付け状態って言ってるんだ」


プリンツ「......」ごくり


瑞鶴「ま、頑張ってね」手振り


プリンツ「これだけは......本当に譲れない......」


やっと見つけた、私の提督。いや、Admiral。

日本ではこうやってすぐに惚れるとチョロインと言われてしまうらしいがそんなの関係ない。

私は会う前から......


プリンツ「Ich liebe dich.Admiral」



瑞鶴は手を振りながらプリンツを担いで出て行った。

もう少し丁寧に扱ってやれよとは思ったが、言わないでおこう。

そう思っていると、ドアがノックされた。


戦艦棲鬼「失礼する」


提督「おお......あれ。なんで本来的のはずのやつのほうが艦娘達より礼儀正しいんだろ」


戦艦棲鬼「そんなものさ」


提督「あ、そう」


戦艦棲鬼「それよりもだ、相談があってな」


提督「うぇ?なんだ?」


戦艦棲鬼「艤装が展開できないんだ」


提督「は?」


戦艦棲鬼「艤装が展開できない」


提督「いや......なんでだ?心当たり」


戦艦棲鬼「ある。確実にこれだろうというのが」


提督「なんだ?」


そう聞くと、戦艦棲鬼はその白く細長い指をオレに向け、こうつぶやいた。


戦艦棲鬼「お前だ」


提督「......オレ?」


戦艦棲鬼「深海棲艦の生まれ方は知っているか?」


提督「......噂に聞いた程度にな」


戦艦棲鬼「大体あっているんだ、その噂が。私達は元艦娘。沈んだ時に憎しみや怒りを持つと生まれるというのがな」


提督「大体?それが大体なら、どこに違いがあるんだ?」


戦艦棲鬼「憎しみだけで誕生する深海棲艦ばかりではないということだ。......夢を見た。おそらく艦娘のころの記憶......無茶な出撃を繰り返させられ、戦艦だからとな......そして沈んだ。その時にあるものに出会ったんだ」


提督「あるもの......」


戦艦棲鬼「艤装のあの生き物だ。一言だけ会話をした」


提督「何を話したんだ?」


戦艦棲鬼「お前は何を望むか。そう聞かれたさ......それで、私は......どうかもう一度だけ、この世に生を受けて、今度は優秀で心優しき指揮官の下で戦いたいと。そういった」


提督「......」


戦艦棲鬼「その願いは、叶いつつある。お前のおかげでな」


提督「なら、戦艦棲鬼はどうなるんだ?」


戦艦棲鬼「それはわからないな。私に適合する艤装が見つかれば艦娘として活動ができるかもしれないし、なければ一生この艦娘とも深海棲艦とも言えない半端物のだけだ」


提督「そんなんじゃないさ。お前は今、人間と同じだ。ほら」


戦艦棲鬼の、初めて会った時よりも気持ち肌に色がついた手を握る。

あの時の握手よりも、手に温度を感じる。


提督「ほら、あったかいだろ?」


戦艦棲鬼「......ああ」


提督「だからな。お前は半端なんかじゃない」


戦艦棲鬼「......うん......」


提督「心配するな、何があっても......っておい、大丈夫か?」


戦艦棲鬼「うん」涙目


提督「」


なんか、今日は天使を二人も見てる気がする。

気づいてないみたいだけれど、涙が......


戦艦棲鬼「まあなんだ、私の願ったことが叶えば艦娘にもどれるなら、他のやつらも戻れるかもしれん」


提督「駆逐艦とかの小型のやつらはどうなんだ?人型じゃないけど......」


戦艦棲鬼「私が思うに、あいつらは沈んだ艦娘の怨霊が生み出した副産物だ。意思疎通はできるが自我というものがあまり見受けられない



提督「なるほど、艤装的な扱いか?」


戦艦棲鬼「だな。孤立している艤装と言っても過言ではない。......さて、私はそろそろ部屋に戻ろう。やることがあるのでな」


提督「なんだ?手伝おうか?」


戦艦棲鬼「いや、それには及ばん。これ以上迷惑をかけられない」


提督「迷惑なんて思ってないぞ?ま、頑張れ。オレも一応今までに沈んだ戦艦クラスの艦娘を調べてみる。艤装が残っていたら譲ってもらえるように話をつけてみる」


戦艦棲鬼「......そうか。ありがとな」


提督「いえいえ」


戦艦棲鬼は踵を返して部屋から出て行った。

しかも出るときにしっかりと一例をしてきた当たり礼儀正しいのがわかる。

瑞鶴ぅ......




戦艦棲鬼「泣いてたのばれてないかな......」


はあ。私も涙もろくなったものだ。



一般人の艦娘への人気を高めよ!!


提督「ん~......」


初雪「どうした......」


提督「ああ、実はな......」


~回想~


元帥「やあ山田君。元気にしているか?」電話


提督「はい。艦娘達の士気も高く、上々です」


元帥「うむ。それは実に喜ばしい。さて、君に任務......いや、頼みがある」


提督「頼みですか?」


元帥「ああ。最近できた呉鎮守府だが、あまり評判がよくないのだ」


提督「評判......」


元帥「いや、そこまで悪いわけではない。むしろ戦果も挙げているし君の人柄のおかげで否定はされていない。問題は艦娘が恐れられているということだ」


提督「艦娘がですか?なにも問題行動は......」


元帥「戦果が圧倒的過ぎて、艦娘を見たことがない一般人は実は鬼のようなものではないのかと思っているんだ」


提督「なるほど......確かに麗しい女性ではないと思うのも無理はないかもしれませんね」


元帥「そこで、若い男性である君に艦娘への親近感を沸かせてほしい。私たちは頭がもう固くなっておるからな。若い女性提督もあまり良い案は出せなかった」


提督「はっ。了解しました」


~回想終了~


初雪「なるほどね......」


提督「一応いくつか案はあるんだ」


初雪に案を書いた紙を見せる。

初雪はそれを受け取り、何かをひらめいた様子だった。


初雪「......私達って、ルックス良いじゃん?」


提督「確かに」


初雪「運動できるじゃん?」


提督「ドジな五月雨も普通にアスリートレベルだな」


初雪「音楽センス割とあるじゃん?」


提督「歌うまい娘多いし、初雪音ゲーめっちゃうまいからな」


初雪「提督、ネットで最近なに見てる?」


提督「......あ。あれだな。ダンス」


初雪「ダンス、有志で集めてネットに投稿すれば?」


提督「なるほど......!!」


それなら、艦娘のルックスの良さを知ってもらうのはもちろん、ダンスという全世界に通じるものをやることで、艦娘も人と変わらないんだと親近感がわく。

それだけでなく、途切れることがない。ダンス動画はなぜかどうしても定期的に見たくなる。新規の視聴者も獲得できるし、古参の視聴者もずっと見てくれる。

おまけにネット上ということで拡散もしやすい。


初雪「ネットに何かをアップする、講演会をやる。このふたつで......思いついた」


提督「よし初雪。放送の準備を頼む」


初雪「おっけー」


提督「あー、あー。えー、ちょっと頼みたいことがあるから引き受けてくれる奴は指令室に来てくれ。以上」


初雪「そんな言い方したら......」


初雪がそう言った瞬間、あらゆるところからまるで大群のような足音が聞こえた。

そしてドアが吹っ飛び、第一声。


初雪以外「「「「「どうしたの!?」」」」」


初雪「......ほら」


提督「なるほど......えっと、じゃあ説明する」


そしてことを説明した。

正直、何人かには断られると思っていたが皆快く引き受けてくれた。


プリンツ「Admiral、他にお願い事はないの?」


深雪「そうだ、なんでも良いぜ?」


提督「気遣いありがとう、けど問題はない」


吹雪「なら私は司令官の夜のお手伝いを......」


白雪「やめなさい」チョップ


吹雪「いてっ!」


提督「よくやった白雪」なで


白雪「はい」


吹雪「むぅ......」


ああ、そういえば最近プリンツがオレのことを提督からAdmiralと呼び方を変えたが、なんか認めてくれたかららしい。

ドイツにいたころは当時の提督を自分から呼ぶことはなかったから特になんとも言っていなかったらしいし。

さて、そんなこんなで、とりあえず簡単にステップを踏んでもらうことにした。

ダンスは何もわからないから、叢雲をリーダーにして。


戦艦棲鬼「楽しそうだな」


提督「だな。お前らも艦娘にもど......りかけてね?えちょまって。戦艦棲鬼も空母棲鬼も軽巡棲鬼もタ級も普通に肌の色人やん。何があった」


軽巡棲鬼「妖精さんが作ってくれたお薬」


提督「なるほど。納得」


さて、ステップを見......っておおおおおおおおい!!!


提督「中止だ中止!!」


叢雲「何よ、不満?」


提督「当たり前じゃん!!なんで君ら今思ったけど鎮守府にいるときそんなにスカート短いのおぉ!?」


大本営に行くときとかは膝丈のスカートなのに鎮守府だと膝上じゃん!

しかも人によっては履いてないように見える!!


瑞鶴「だってそのほうが好きそうだから......」


白雪「妖精さんにオーダーメイドで作ってもらったんです。ダメでしたでしょうか?」


提督「いや別に良いし好きだけど......なんていうか、あんまり他のやつらにお前らの素肌を見せたくないというか,,,,,,そもそも、女性がそんなうすgってなにニヤニヤしてんのお前ら」
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