2019-07-10 22:47:29 更新



お嬢様「それは何かしら?」


男「もやしの炒め物だよ」


お嬢様「もやしって何かしら?」


男「あはは、お嬢様は食べたことないんだね」


お嬢様「ん、馬鹿にしてるのかしら?」


男「ううん、まず食べないんだろうなって思ったよ」


お嬢様「どういう意味かしら?」


クラス男子「おいおい、またお嬢様があいつに絡んでるぞ?」ヒソヒソ


クラス男子2「仕方がないと思うよ。まともにお嬢様と話せる人なんて男君しか居ないんだから」ヒソヒソ


クラス男子「しかし相変わらずの弁当だな」ヒソヒソ


クラス男子2「うん、もやし炒めって弁当の主食ではないよね」ヒソヒソ


クラス男子「本来、ご飯があるべきところにもやし、おかずのところにも、もやし、もやしだらけだ」ヒソヒソ


クラス男子2「男君…大丈夫かな?」ヒソヒソ


クラス男子「いい奴だからな、たまに俺も弁当分けたりするし」ヒソヒソ


クラス男子2「ああ、僕もあげるよ」ヒソヒソ


お嬢様「全く、そんなものをいつも食べているから貧弱に見えるのよ」


男「気をつけるよ」


お嬢様「あら、もうこんな時間…男、ちゃんといいもの食べなさい」


男「分かった、努力するよ」


お嬢様「ふふ、約束よ?」


クラス女子「男君可愛そう」


クラス女子2「相変わらずあの人に絡まれてたら嫌になるよね」


クラス女子「男君の家って確か…」



――――男の家。



男「ただいま」


妹「お兄ちゃんお帰り!」


男「…また玄関で待ってたの?」


妹「うん!お父さんとお母さんも待ってる」


男「…そっか、いい子だね」スッ、ナデナデ


妹「えへへ、今日のごはんは?」


男「妹はカレーだよ」


妹「お兄ちゃんは?」


男「もやしのカレー風味」


妹「あはは、お兄ちゃんもやし好きだね」


男「うん、妹はいっぱい食べて元気になるんだよ?」


妹「はーい!」



――――両親の部屋。



男「お父さん、お母さん。妹は元気です。自分は大丈夫ですので妹を見守っていてください」


ガチャ。


妹「おにーちゃーん!みーっけ!お腹減ったよー」タッタッタ、ギュッ


男「うん、すぐに行くね」ナデナデ


妹「ねぇねぇ、その煙突ってお風呂?」


男「ん?これは線香って言うんだよ」


妹「せんこう?ってなーに?」


男「んー、大切なことなんだけど…妹には少し早いかな」ニコッ


妹「うん!よくわかんない!」アハハ


男「ご飯、作るね」


妹「うん!」



――――食卓。



男「どうかな?」


妹「あはは、学校のカレーと違うよー!」


男「そっか、もうちょっと小麦粉入れるべきだったかな?」


妹「ううん!お肉入ってない!あはは、なんだか楽しい!」


男「お、お肉は挽肉が少しだけだからね」


妹「もうちょっとお肉食べたいー」


男「ごめんね、次はお肉増やすから」


妹「分かったー!楽しみにしてるね」


男「うん、いい子だね」


妹「えへへ、褒められたのです」


男「…ん」ニコニコ



――――風呂場。



妹「お風呂ーお風呂ー」


男「お風呂で暴れたらダメだよー怪我したら大変だよ?」


妹「お風呂大好きなんだもん」プクー


男「うん、ちゃんと体を洗ってキレイにしないとね」


妹「わかったー!でも頭洗えないー」バタバタ


男「こらこら、分かったから。目を閉じてね」


妹「んー!」


男「あはは、口は閉じなくていいからね」


妹「んんー!!」バタバタ


男「洗うから!洗うからね!!息して!!!」



――――寝室。



妹「ねぇねぇ、お兄ちゃん」


男「ん?どうしたの?」


妹「学校でね、私の家は貧乏って言われたの。でもね、楽しいからいいんだよって言ったんだ」


男「…いい子だね」ナデナデ


妹「えへへ、お兄ちゃんにナデナデしてもらうの好きー」


男「…」ナデナデ


妹「…」ウトウト


男「…」ナデナデ


妹「…スースー」


男「…ごめんね、高校卒業したら就職するから…もう少しだけ辛抱してね」



――――翌日、学校。



お嬢様「その制服どうしたのかしら?」


男「え?…どうも、しないと思うけど」


お嬢様「膝のあたりの穴を別の布で塞いでるのよね?」


男「あ、ああ、そうだよ」アセアセ


お嬢様「どうしてそう言うことをするのかしら?新しいのを買えばいいじゃない」


男「うん、そうだね」ニコッ


お嬢様「なんでしたら、私が買ってあげてもいいのよ?」


男「ううん、それは遠慮するね」


クラス男子「普通人前でそういう事言うか?」ヒソヒソ


クラス男子2「流石に…」ヒソヒソ


クラス男子「…なんとかならんのか、あのお嬢様は?」ヒソヒソ


クラス男子2「やめておいたほうがいいよ、詳しくは分からないけど本当にすごいお嬢様らしくて、僕たちなんて簡単に退学に出来るんだって」ヒソヒソ


クラス男子「マジかよ」ヒソヒソ


お嬢様「それに、その服、少しサイズが大きいのではなくて?」


男「近所のお兄さんに頂いたからね」


お嬢様「今時、お下がりだなんて恥ずかしいわよ?」


男「そうだね、気をつけるよ」アハハ



男「次は体育の授業だね」


お嬢様「そうね、私と少し離れてしまうけど寂しがりなさいよ?」


男「え?あ、うん(体育は苦手だな、あんまり動くと…)」


お嬢様「…ふふ(そんな顔して、よっぽど私と離れるのが辛いのね)」



――――体育。



体育教師「おい、男。調子悪いのか?」


男「あ、いえ。大丈夫です」


体育教師「そうか、お前だけ特別扱いはできないが事情は知っている。俺が見てないときはサボるんだぞ」


男「あはは、いつもありがとうございます」


体育教師「おら!そこ!こっちみて何笑ってんだ!走れ!!」


男「…(僕は恵まれてるな…がんばろ)」



――――女子側。



お嬢様「あの体育教師…男に何か因縁を付けてるのかしら?だとしたら…」


クラス女子2「あ、あの…次はお嬢様の番ですよ―」ボソッ


お嬢様「…」クルッ


クラス女子2「ヒッ!」


お嬢様「すぐに行きます」スタスタスタ


クラス女子2「結構、聞こえて…るの?」



――――昼。



お嬢様「ふふ、今日の私のお弁当はシェフに命令してもやしを入れさせたのよ」


男「そうなんだ。すごいね」


お嬢様「あなたのは?」


男「今日は…もう食べたんだ」


お嬢様「な!どうして…私と一緒に食べるのが嫌なのかしら!」


男「そ、そうじゃないよ。ほら、体育の後ってお腹減るでしょ?その時に…」


お嬢様「…もう、仕方がないですわね。少し分けてあげますわ」


男「ううん、それは遠慮して」


お嬢様「なにかしら?」ギロッ


男「…じゃあ、」ガサゴソ


お嬢様「…?」


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2022-10-25 02:28:25

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2022-02-03 00:33:59

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2021-01-08 21:59:06

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2020-11-16 04:34:10

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2020-11-10 09:01:56

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2019-07-11 07:52:38

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1: ペリー大佐 2019-07-11 07:52:52 ID: S:0LFMoq

く、黒い!


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