2020-02-13 16:59:43 更新

概要

いつものシリーズの箸休め編。世界観のお披露目も兼ねて。

ちょっと、どころかだいぶ時間軸がずれるので、ちょっとご注意。また、原作の改変、独自解釈が入ってます。
よくある過去編ですぜ。




………加古じゃないぜ。


前書き

提督『見た目以上にお姉さんだから、たまにセクハラしちゃうぜ』

ワイワイ

暁「まったく!司令官はレディを何だと思ってるのよ!」プンスカ!

Верный「さぁ?でも悪くは思ってないからいいんじゃいかな」ゴクー

雷「飲みすぎよ」

Верный「まだいけるさ」

電「……スゥ」ウト…ウト…

暁「んもう!寝るなんて!」

Верный「暁が言うのかい。いくら私たちでも、こんな暗い空間で飲み食いしてれば誰だって眠くなるさ、ほら、周りも」クルッ

皐月「……ンガッ」コクンッ

文月「フミュウ…」スヤスヤ

初雪「……ねぇ、もう寝ていい…?」ウツラウツラ

加古「zzzz」zzzz

古鷹「ちょっと加古うるさい」

Верный「そういえば、宴会とかはよくやるけど、こういった催し物は初めてだね」

Ташкент「そうなのかい同志」

Верный「ああ。だいたい皆で食べて飲んで遊んでだから。映像鑑賞…じゃあないけど、こんなのは前例がないね」

Ташкент「恋愛戦争の激しいここだから、てっきりもう数回目かと思ったよ」

Верный「恋愛戦争ね。そもそも、そう言ったこと自体がイレギュラーだよ。まさか、元軍艦が恋をするなんて、ね」

電「……」スピー

Ташкент「Truth is stranger than fiction」

Верный「事実は小説よりも奇なり。そうだね、そうかもしれない。それより同志、英語話せるのかい?」

Ташкент「会話程度に。日本語覚えるよりはまだ楽かな」

Верный「まぁ、言語体系がまるで違うからね。苦労させるね」

Ташкент「いいさ。これもまた、軍艦では経験できない困難さ。これを機になんでも挑戦してみたい」

Верный「前向きだね。司令官が喜びそうだ」

Ташкент「同志はそう思わないのかい?」

Верный「複雑、かな」

Ташкент「複雑?」

Верный「かつてはぐれてしまった姉妹艦や僚艦、そして同志たちにまた会えたのは嬉しいさ。奇跡、としかいいようがないね。でもさ、私たちは「前世」を覚えてる。これが転生だろうが何だろうが、「前世」を覚えているってことは、「辛い別れ」も、覚えてる」

Ташкент「…うん」

Верный「あの人に出会って、心なんて厄介なものを与えられたせいで、また仲間を失うんじゃないかっていう恐怖を、知ってしまった。それはどうしようもなく、鎖だろう…?」

Ташкент「そう、だね…。結局、あたしたちは戦うために呼び戻されたからね」

Верный「もしかしたら、彼女たちはそういった恐怖を、恋情でかき消そうとしているのかもね。まったく、司令官もやっかいな「呪い」をかけてくれたよ」

Гангут два「なんだちっこいの。信用していないのか?」ヌッ

Верный「やあ同志。信用していないわけじゃないさ、どころか信頼している。きっとぜーんぶ放り投げて寄りかかってもきっと、助けてくれると確信してるくらいには、ね」

Гангут два「なら恐れることは何もないだろう?」

Верный「そう理論通りにいかないのが、その心の作用だろう?信頼してたって、怖いものは怖いさ」

Гангут два「私の…いや、私たちのадмиралは滅茶苦茶な人間だ。まるで子供の夢みたいにバカげたものを、本気で叶えに行く器だ。あのArkとBismarckの溝が無くなったのだって、あいつのおかげだと思っているぞ」

Верный「…?」

Гангут два「そういうことがあったのさ。あいつの前では、私たちは東も西もなく総じてただの女に成り下がる。本当にもう、どうしようもなくデタラメな男だ」

Верный「…同志もまさか…?」

Гангут два「友人の想い人だ、私は傍観しようと決めている。……あいつと同じく、うっかり恋に落ちない限りはな」

Верный「半分落ちてるようなものじゃないか。そもそも、さっきBismarckと料理対決しようとか言ってたじゃないか」

Гангут два「「女らしさ」とやらを確かめるにしては、いい標的なだけさ。Arkほど本気で狙ってるわけじゃない」

Верный「そう言っていられるのも、今のうちだけかもね」

Ташкент「まったく罪な男だなぁ」

Верный「そうだね。本当にどうしようもないね」

電「……」ウツラウツラ

電(…司令官さんは……ずっとずっと、頑張ってきたのです……電は……ずっと…知っているのです……)ウトウト

………

……



妙高(まったくまったくまったくっまったくまったく!!)ツカツカツカツカ…


ガチャ


妙高「提督!!また無駄遣いをしましたね!?」バーン!


提督「ぅ゛えッ!?」ビクンッ!


天龍「ん゛!!」ビクンッ!


摩耶「ツ゛ぇ!!」ビクンッ!


妙高「……何ですか、その装備は」


提督「や、やぁ妙高。今日二度目のこんにちはだな」アハハ…


妙高「提督。いつも朝の弱いあなたが今日は妙に早起きかと思えば……早朝付で「こっそり」届いた物資は、これですか?」


提督「……も、もしかしなくても、バレ…てた……てました…?」


妙高「ええ。シロネコ武蔵さんも遅川急便さんもいかなる運送屋さんも、あんなに早い時間に運びませんからね。「新聞屋さん」なら、ありえたかもしれませんよ?」ピラッ


天龍「あ。レシート」


摩耶「おいちゃんと捨てろって言ったよな!?」


提督「やったっての!なんでバレたん……分かったんですか!?」


妙高「そもそもレシートなんてものが、ここでは珍しいものなんです。レシートを知らない駆逐艦も、いるんですよ?」


提督「その駆逐が、興味本位で引っ張り出してきて」


天龍「無邪気に妙高さんにたずねた、ってか」


摩耶「くっそおおおぉぉぉぉぉ!!」


妙高「さぁ提督。横須賀鎮守府提督ならびに総責任者に異例の速さで出世なされたエリート街道まっしぐらの大佐殿。どういった事情でそれを導入したのか、そしてそれを経理の私に秘密裏にしようとしたのか、きっとご説明くださりますよね?ええ、ええ。勿論です。私めはただの凡才ゆえ、きっと提督殿の奇策を見抜けずに見当違いに怒っているだけのはず。どうか、どうかこの妙高めにその奇策をご教授願えないでしょうか提督殿?」ズオオォォォ


天龍「ヤッベェェェ…オイ、ドウスンダヨ?」コソッ


提督「マカセロ」コソッ


妙高「提督?」ニコォ


提督「妙高さ…ん。ン゛ン゛ッ!!妙高」キリッ


妙高「はい!提督!」


提督「ね☆ん☆の☆た☆め☆」キュルルーン


妙高「……」ニコニコ


提督「……」ニコニコ


天龍「……」ニコニコ


摩耶「……」ニコニコ


妙高「ッ!!」クワッ


提督「ギルティ!!」


………


……




妙高「いいですか!私たち艦娘の兵装こそがまごうことなき最新兵装!それに自動小銃で深海棲艦が倒せないことはすでに記録にあるではないですか!!それに提督ご自身が出撃するわけでもないのに、きっちり提督のぶんまで~~~ッ!!!」ガミガミ


提督(あれからもう2時間…)セイザ


天龍(腹減ったんだけど)セイザ


摩耶(足しびれた…)セイザ


妙高「……はぁ、罰として今日はお夕飯抜きですからね!」


天龍「ちょ!?待ってくれって!」


提督「そりゃあないぜ妙高さん!」


摩耶「横暴だぁ!!」


妙高「当たり前です!これだけの無駄遣いをしておいて、ご飯一食抜くだけで済むんですから安いでしょう!?これから私はまた計算のし直しをするんですからねッ!!」


提督「待って!待ってくださいよ妙高さん!天龍と摩耶は明日も出撃があるんだ、それにオレが巻き込んだみたいなもんだし、ここはオレが三食抜くってことで一つ!」


天龍「ちょっと待とうぜ妙高さんよぉ!摩耶はこう見えて腹減るとまるで使い物にならねぇんだ!それに提督はここの頭脳だろぉ!?オレが三食抜くから、勘弁してくれよ!!」


摩耶「おいおいおい待てよ待ってよ待てってば!!天龍も提督も飯食わねえと魂抜けて話にならねぇぞ!!それにあたしが欲しいって言ったんだあたしが三食抜く!!」


妙高「何でこんなに息が合うんですか!?仲良しでよろしいですねッ!!じゃあ折衷案で皆さん仲良く一食抜きで!!」


天龍「変わってねぇぇぇぇ!!!」


提督「待ってくれええええ!!!」


摩耶「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


妙高「問答無用!!さぁ、その広げたお店を畳んでください!」


提督「うう…せっかく買ったのに…」


電「……あの。もう、よろしいですか…?」


妙高「ああ電さん。どうかしましたか?」


電「あの、午前の演習結果をまとめたのです…が…」チラッ


提督「(´・ω・`)」シューン


妙高「提督は今反省中ですので。私が代わりに受け付けますよ。こちらに下さい」


電「な、なのです」スッ


妙高「……はい、確認しました。お疲れさまです。午後も頑張ってくださいね」


電「はいなのです」ニコニコ


パタン


天龍「……妙高さんってさ、提督より提督してるよな」


提督「はっきり言うなよ!?」


天龍「だったらおめーしっかりしろよ!何が念のためだ!」ペシッ


摩耶「つーか最初のころの真面目さはどこ行ったんだよ!」ベシッ


提督「おいこら頭叩くな!お前らのすっからかんの頭と違って大事なもんめっちゃ詰まってんだぞ!」


天龍「うそつけ昨日見てたエロ本の事だろ!」ペシペシ


摩耶「碌なこと考えてないのは見え見えなんだよ!」ベシベシ


ギャーッギャーッ


電「……仲、いいですね」ハァ


妙高「本当にあの人で鎮守府は回るのでしょうか…?」ハァ


………


……




球磨「あ゛ーぶっ殺してぇ」ザザーッ


雷「く、球磨さん…?口調怖いわ…?」ビクッ


球磨「これで穏やかでいられるかっての!クマ。雷は最後に休んだのいつクマ?」


雷「えっと…あれ、いつだったかしら」


球磨「だろ?あんの無能、滅茶苦茶言いやがって…」


叢雲「まったくよ。軽い口に似合う軽い頭ね」


球磨「うちらの頭やるにゃ軽すぎるクマ。……あ゛ーまたイライラしてきた」イライラ


叢雲「任務こなして忘れましょ。とりあえず、このタンカー守り抜けばいいんだから」


タンカー「」ザザーッ


雷「……積み荷は、物資だったわよね?輸入品?」


球磨「なにがどう転がったのかは正直よく分からないけど、どうやら今はかつての敵国は敵じゃないみたいクマよ」


雷「なんだか、置いてきぼりくらった気分」


球磨「考えるだけ無駄クマ。艦娘だなんて小洒落た呼び方されてても、結局は昔と変わらないクマ」


叢雲「どうせ今回も上の勝手に振り回されるだけよ。深く考えるのはやめなさい」


雷「そう、なのかしら…?だってほら、司令官は知ってるどんな司令官とも違うから…」


球磨「変態って意味じゃ、大いに同意するクマよ。おまけに、何も考えてないってのも」


叢雲「ろくでなしって言葉がぴったりね。すぐ負けるわよこんなの」


球磨「世も末だクマー!!」ウガー


………


……




神通「……」ザザーッ


那珂「ねえ神通ちゃんはどう思う?」ザザーッ


神通「え?」


川内「だからー、あの提督。本当に大丈夫なのかなって」


那珂「私たちのこと、ちゃんと扱えるのかなって。そりゃ私たちもちょっと?かなり?特殊っちゃ特殊だけどー」


川内「なにもかも滅茶苦茶。数十年でここまで変わっちゃうもんかね。なんなら、別の世界に連れてこられたって言われた方がまだ納得できる」


那珂「敵にしたって、何アレ。私たちって、いつから化け物退治の専門家になったの?」


川内「言い方古いよ。今だったら何だろう?モンスターハント?」


那珂「同じじゃん。あーあ。変な時代になっちゃったなぁ」


川内「…神通?」


神通「……いえ。私も戸惑っている最中です。本当に、予想できないことばかりです」


川内「これが古い、ってやつかねぇ」


那珂「ばばくさいよぉ。見た目はほら、可愛い少女なんだし?」


川内「自分で可愛いつけるな」


神通「……」


川内「ちょっと。黙って訓練しないでよ。つまんないじゃん」


神通「訓練を真面目に行うのは、私たちの時代でもあったじゃないですか」


川内「あの提督のことだし、どーせ真面目にやるだけ無駄でしょ。私は夜戦ができればいいなー」


神通「……」


………


……




提督『君が、あの神通かい?着任早々で悪いが、仕事は山積みだ。早速取り掛かってくれないか』


………


……




那珂「ねー神通ちゃーん。なんか変だよぉ?」


川内「神通こそ、もしかしてサボりたいんじゃない?」ニヤニヤ


神通「……提督が変な人だということには賛同しますが、根はどうでしょうか。ただ不真面目なだけには見えません」


川内「あー。そういえば神通は提督が真面目だった、って時期知ってんだっけ。ねぇどうして変わったの?」


神通「それが分かれば苦労はしません…」


川内「あれが真面目ねぇ…想像できないなー」


神通「私たちが元軍艦であることを信じる人が少ないように、提督が見た目通りでないことを信じる人もまた、少ないのかもしれませんね。あくまで仮定の話ですが」


那珂「でもこの仕事量はやだよー。絶対におかしいって。こんなんで備蓄とか持つのかなー」


川内「補給が間に合わなさそう。妙高さん頑張れー。鎮守府の明日は妙高さんにかかってるぞー」


神通「それはまぁ…そうですね…」


神通(真面目なよう不真面目で、仕事が出来るようで出来なくて。かといって先の見えない無能かと思えば、何かを真剣に見つめていて。ただの無能なら、あのお年で鎮守府を任せられないはず。……昇進に焦っているのでしょうか?)


神通「本当に、よく分からない人です」


那珂「さぁーって!流石になーんにもしないのは怒られちゃうか!私はさっさとノルマ終わらせて、曲聞こうーっと」


川内「曲?」


那珂「そうそ。なんかねー、最近の女の子は、アイドル、っていう可愛い子たちに憧れるみたいだよー?私も可愛いからー、なってみようかなぁ。キャピ☆彡」


川内「うわぁ」ドンビキ


神通「姉さんもそろそろ起きてください。堂々と寝っ転がられては、さすがに言い訳できませんよ?」


川内「私は夜になったら動きたいー」グダァ


神通「姉さんは、見た目通りの人ですね」ハァ


川内「じゃあ神通はどうなのさ」ムッ


神通「私は……分かりません。でもとりあえず、あの天龍さんを越えたいな、と」


川内「二水戦魂は変わらず、ね」


………


……




比叡「おかしい。絶対におかしい」


鳳翔「えっ。ご、ごめんなさい!?」ビクッ


比叡「あ、鳳翔さんじゃなくって。私のね、仕事量が明らかにおかしいなって」


飛鷹「そりゃあ唯一の戦艦様だし…ね?」


比叡「おかしいよぉ。私だっておやすみ欲しいよぉ。昨日の睡眠時間知ってる!?たまには午前いっぱい寝たいよぉ」


五十鈴「無理でしょ。戦うために集められたんだから。死ぬまで働けばいいのよ」ズドンッ!!


駆逐イ級「」ドーン!


五十鈴「にしたって訳わからないわね。こんなよく分からないのに、この国どころか世界中が制海権を取られるなんて。あげく私たちを人間みたいにして呼び戻すとか。なんなの?おとぎ話なの?」


飛鷹「本当よ。この時代の軍艦はいったい何をやっているのかしら。頼りない後輩たちね!」


鳳翔「なんでも、普通の武器では歯が立たないとか。私たち艦娘の武器なら、対抗できるとか」


比叡「じゃあこれで戦艦作った方が早いでしょーッ!!」ドーン!


ズドオオォォン…


五十鈴「その結果生まれたのがあなたでしょ、って言うのは野暮な回答かしら」


比叡「何も私じゃなくったって…ほら、もっといるじゃん長門とか陸奥とか…」エグエグ


五十鈴「結果は結果よ。今いる私たちでどうにかするしかないでしょ。うちの提督は使い物になるか怪しいんだから」


比叡「うーん、最初はもっとこう、キリッとした人だったんですけど…」


鳳翔「いったいどうなされて…あ、もしかして悲惨な現状に心が病まれて……」


秋雲「ま、まぁさ!?けど、面白いからいいじゃん?賑やかでさ!」ビクッ


五十鈴「私はああいうのちょっとどうかと思うんだけれど。ふざけるのも大概にしてほしいわ」


比叡「そういえば、よく揉まれてますもんね」


五十鈴「邪魔よこんなの。ほら、こう動くと胸で肩掛けが引っかかって…!」


秋雲「おー見事なパイスラッシュ。巨乳はモテるって聞くよー?」


五十鈴「私は軍艦、五十鈴よ?恋に生きてるわけじゃないし、それに安い男に興味はないわ」フンッ


鳳翔「恋…ですか。まだこの身が女性だということに実感が持てないです」グパグパ


飛鷹「鳳翔さんはなんかイメージ通りだなぁ。なんか抱擁感あって。お母さんみたい」


秋雲「ママー」


比叡「お母さーん」


鳳翔「まだ若い身でお母さんって言われるこっちの身にもなってください!ただでさえ女性としての記憶が浅いのに…」


五十鈴「提督もよく分からない、って言ってたしね。なんなのかしら、この体」


秋雲「あー話がループするー」


飛鷹「あ。敵みっけ。南ね。駆逐3、軽巡1…で、いいのかしら?。さっきと似たようなのと、上半身だけの奴」


比叡「イ級3とホ級1ですかね」


飛鷹「よく分からないのによく分からない名前つけないでよ。イロハニホヘトとか安直すぎでしょ」


比叡「見つけた順につけたらしいですよー。でも正直、かつての敵の名前を覚えるよりかは楽です」


五十鈴「同意。仰々しい名前よりも分かりやすいわ」


飛鷹「視認。さっさと制空権とっちゃおう?」


鳳翔「はい。皆さんも、切り替えてください」


比叡「よっしゃあ、いっくぞー!」


ザザーッ


………


……




提督「ええっと、この書類がこっちで、あれがそれで…?」ワチャワチャ


電「司令官さん。この書類、明日までに返事が欲しいと大本営が…」ピラッ


提督「え゛。知らないけどそんなん」


電「未開封の書類だったのです。消印を見るかぎり、一ヶ月くらい前からあったみたいなのです」


提督「んだよ知らんぞ!?」


電「えっと、いかがいたしましょう…?」


提督「わーっと、じゃあこっちの整理頼む!」


電「なの…で……す」


ゴッチャァ…


電「この山を…ですか?」


提督「提出しなきゃいけない書類と、そうじゃないのにとりあえず分けておいて!」


古鷹「提督、報告書をまとめておきまし…ええ…?」ウンザリ


提督「頼むからそんな顔せんといて!」


古鷹「えーっと。どうしてこんなに書類の山が?私だいぶ片付けたと思ったんですが」


提督「なんかね、新規で奪還した海域についての報告書とか、そういうのを提出しなきゃいけなかったみたい。あと、お仕事の依頼とか、または要請とか。色々諸々」


古鷹「どうしてそんな大事なものをほっぽらかしてたんですか…」


提督「ほっぽらかすってより、最近異様に量が増えてな…」ハァ


電「今月は広げた海域が多かったのです」


古鷹「自分の仕事量は把握しましょうよ…」


提督「(´・ω・`)」


古鷹「さ!文句言ってても仕方ないですし、片付けちゃいましょう!」


提督「まずはこの書類からやっつけとく」


古鷹「ちなみに、このことは妙高さんは?」


提督「……あ」


古鷹「そろそろあの人発狂しますよ!?」


提督「じゃあ古鷹、フォロー任せた!」


古鷹「えええ私!?」


提督「相部屋だろなんとかしてよ!」


古鷹「提督でしょなんとかしてよ!」


電「と、とりあえず緊急の書類を届けてくるのです!」ダッ


提督「オレもンなこと言ってる場合じゃなかった!えっと、これ…あーそうだ、あの時のか!」ワチャワチャ


古鷹「……」ゲッソリ


提督「あ、古鷹!それとそれとそれとって!」


古鷹「…はい」


提督「えと、あと必要な資料は…え、これ必要か?でも一応データだし…?つか海洋調査なんか請け負ってないし。ねぇ古鷹、近海の海洋調査ってやってないよね?」


古鷹「やってませんよ」


提督「いくら寿司食いたいからってこれは…あーでも海洋研究所との連携か。やらなきゃいけない…のか?だったら調査用の器具くらいよこせや」


古鷹「海洋調査が必要なんですか?」


提督「前にとり返したトコが、定期的に哨戒が必要とはいえある程度安全になったから、今後の漁業再開のためにも調査したいんだって。だからデータとってきてちょ、だって。正直自分たちでやってほしいんだが」


古鷹「えっと、…?」


提督「深海棲艦自体、どういった生物に属するのかすら分からないから、生態系に及ぼす影響も計り知れないんだと。だから、漁業再開するにも魚の生息域とか、そもそも海水汚染とか調べないとやっていけないんよ。まぁ、だから得体のしれない深海棲艦の調査を依頼されるならまだしも、海そのものの調査は専門外ですやん。調査船を護衛するならまだしも全部丸投げかよ…」


古鷹「ちなみにそのデータがないとどうなりますか?」


提督「国民の皆様がまた寿司を食えるようになるまでの時間が延びる。ちな締め切りは明日」


古鷹「じゃあもう無理じゃないですか」


提督「海洋調査に関しては専門外です別口を当たってください、って書くか。だってそうなんだし。仮に一ヶ月前に気付いててもそう言ったし」


古鷹「ああもう分かりました。それで、他に必要なデータとかあるんですか?」


提督「開発局から、有効だったと思われる武装とか聞かれてる。あの時の作戦の資料ってある?」


古鷹「それなら、ありますよ。……どこにしまわれたのかは知りませんが。提督に提出しましたよね?」


提督「……だっけ?」


古鷹「しましたよ!私覚えてますもん!」


提督「おいいいい過去のオレどこにしまったああ!?」


古鷹「しっかりしてくださいよもう…ッ!?」


天龍「おーい。この前注文しといた筋トレ用具、まだ届いてないのかー?」


提督「それどころじゃねぇっての!天龍、あのさ、アレ見なかった!?」


天龍「うわなんだこの部屋きったな!んだよアレって!?」


提督「ええーっと、アレはアレだ!分かれよ世界水準軽く超えたバカ!」


天龍「分かるわけねーだろ!」


古鷹(本当にこの人の運営でやっていけるんでしょうか…?)


………


……




妙高「な…ん、です…?」ポロッ


電「えっと、ですから、提督の机から、未処理の書類の山が出てきたのです。なかには、また換算が必要だったりそもそも未達成の任務があったりなのです。あ、鉛筆拾いますね」スッ


妙高「な、んで…あの人は…」プルプル


足柄「なぁーに?また提督がやらかしたのー?」ヒョコッ


電「はいなのです。簡単に言えば、妙高さんのお仕事がまた増えたのです」


足柄「姉さんも大変ねー」


妙高「他人事じゃありません!足柄!あなたも手伝いなさい!!」


足柄「無理~。これから訓練だもん」


妙高「そんなのいいから、私の負担を減らして頂戴!」


足柄「この前買ったパコソン?だっけ?とか使えばいいじゃない。計算とか自動でやってくれるみたいよ?」


妙高「私の算盤術が遅いと!?」


足柄「電卓とかってやつに負けたんだからもう諦めなさいよ。時代には勝てないのよ」


妙高「それに使い方を覚えてる暇もないんです!あの人、どこからこんなに仕事を…!」


足柄「仕事ならどこにだって転がってるでしょ。なんで海軍が請け負う必要があるのかよく分からないのもあるみたいだけど」


電「海軍としての定義がちょっと違うみたいなのです。ほら、私たち…ですし?」


妙高「だからって何でも屋ではありません!地質調査とかに呼ばれたこともありますし、食品の味見とかさせられたり、陸の装備を導入したり!」


足柄「でもちゃんとしたのもあるじゃない。船団護衛とか哨戒とか、戦闘とか。あと味見は軍用保存食の試食だったみたいよ?あれが保存食とか信じられないわ。あれだけで一食を満足にまかなえるじゃない。やっぱり時代は進んだのねー」


妙高「お仕事をしていないわけじゃないんです、でもいらないお仕事まで貰いすぎなんですよ!おかげで提督も処理間に合ってないじゃないですか!」


電「それは同意なのです。お仕事を引き受けすぎなのです」


足柄「不器用ねぇ」


妙高「その割をもろにくらうのは私たちなんですよ?そろそろいい加減にしてください!」ガタッ


足柄「私を怒鳴らないでよ。それになんだかんだでやるのね」


妙高「やらなきゃ終わらないでしょう!?」


足柄「じゃなくって。文句言っても結局は提督についていくとか、随分と数寄者ね、ってこと」


妙高「なんです?私があの人に気があるとでも?」


足柄「ないの?」


妙高「ありません!なんでそうなるんですか…。あの人は不器用で滅茶苦茶ですが、仕事をやる熱意だけ「は」相応にあるようなので、そのフォローをしているだけです!」


足柄「姉さんって、ダメな男に惚れそうよねー。そういう人だとは思わなかった」


妙高「あなたはちょっと人の姿に馴染みすぎです。てれびどらま、とかにハマりすぎですよ」


足柄「いいじゃなーい。お仕事はちゃんとしてるんだし。寝る前くらいはいいでしょ?」


妙高「この労働環境でよく見る余裕がありますね…」


足柄「き・た・え・か・た♪」


妙高「はぁ。まぁ、いいです。とにかく、仕事を終わらせない限りは休めません。電さん、その中でも緊急のはありますか?」


電「前に攻略した海域についてのまとめを提出するのが明日までなのです」


妙高「足柄。手伝ってくれますよね?」


足柄「分かったわよー。もう、しょうがない姉だこと!」


妙高「しょうがないのは提督です!」


電「なんとか…なりそうです?」


足柄「姉いわく、なんとか「する」かしら」


………


……




提督「んと、あとは…」ガサゴソ


古鷹「提督、もしかしたらですけど、提督って整理が出来ない感じ…?」


提督「かもしれない。いや一般的な独身男レベルだが」


古鷹「分からないですけどそのレベル低そうですね」


提督「言ってくれるな。さ、とりあえずの形にはなった。良はもらえなくても可はいけるかな」トントン


古鷹「ギリギリのラインじゃないですか」


提督「人生ギリギリだぜ」


古鷹「言ってないで他のお仕事しましょうよ」


提督「あーでもとりあえずひと段落!つっかれたー」


古鷹「もう、そんな暇ないのに…」


提督「もふー」ダキッ


古鷹「ちょっと提督!?」


提督「疲れた。癒せ」


古鷹「そういうことやってる暇ないですよね!?見てくださいよこの山!!」バンバン


提督「求めてるリアクションはそうじゃないんだけどなぁ。ほら、オレ抱き着いてるんだよ?もっとほかにない?」


古鷹「仕事しましょうよぉ…」


提督「5分!5分だけ!ね?」ギューッ


古鷹「はぁ…」


提督「でさ、最近どう?どんな感じ?」モミモミ


古鷹「どうとは?ちなみに今は胸を揉まれています。何が楽しいんですか?」


提督「リアクション…。じゃなくって、みんな。みんなどんな感じ?」


古鷹「みんな怒ってますよ。いい加減、この滅茶苦茶な運営やめませんか?」


提督「ていってもなぁ。お仕事投げかけてくるのは向こうだし。鎮守府っていっても人員は通常のそれと遥かに小規模なのに、与えられる仕事の量も質もおかしいし」


古鷹「まったくもう。提督が苦労してるのは分かりますけど、でも限度ってものがありますよ?」


提督「休みとかあげて上手いこと労いたいんだけど、仕事配分を考えるとなかなか上げられなくってねぇ」


古鷹「これからずっとこうなんですか…?」


提督「せめてお休みくらいあげられるようになりたいな」サワサワ


古鷹「私の体を撫でまわすのもやめてほしいですかね。というかそれで満足できるんですか?癒しになってます?」


提督「え、何?その先やってもいいの?」


古鷹「なんだかよく分からないですけどやめてください」


提督「古鷹はさぁ、もっと自分が女性だって自覚を持った方がいいよ?世の中の男は見た目以上にゲスい生き物なんだからね?」スリスリ


古鷹「私のお腹に顔うずめてる人に注意されてるの私…?」


提督「でもいいお腹してるよな。引き締まってるけど、しっかり脂肪もあって。でもむっちり過ぎず、いい感じにぷにぷにしてる。低反発まくらみたい」フニフニ


古鷹「人の体をまくら呼ばわりしないでください」


提督「腕もさぁ、細身だけどしっかり筋肉がある。けど固くない。良質だね」モミモミ


古鷹「なんです?口説いてるんです?」


提督「だとしたら?」


古鷹「ノーですかね」


提督「そんなー」


古鷹「お仕事をちゃんとできない人はちょっと…」


提督「そんなことに言わずに、ちょっとサービスしt」


球磨「戻ったクマー」ガチャ


提督「あ」


球磨「あ?」


古鷹「あ」


球磨「…てめぇ、いい度胸じゃねーか」ビキッ


提督「待って。待って!?これはあれ、休憩!見てほらこの書類量!ちょうどキリのいい所までやっつけたから、ちょっとね!?癒しを求めてたんだよ!」


球磨「聞きたくない。今この場でタコ殴りにしてやりてえが、あいにく力が出ない。どうぞ続けて?私らはまた休まずに「お仕事」いくから」ハァ


提督「ちょ、まっ!待って。待って!お疲れ!ちゃうんやって!だからね?あのね!?」アワアワ


球磨「どうでもいい。これ、報告書」ポイッ


ガチャ


提督「……」


バタン


提督「ちょっと追ってくr」


古鷹「この場合は、追わない方がいいですよ」


提督「…そう、か」


古鷹「まぁこうなりますよね。理由、分かります?」


提督「……仕事終わりの報告の場で、上司がふざけていたら誰だって怒る」


古鷹「ですよね?」


提督「そういうつもりはなかったんだが…」


古鷹「言い訳になりません」


提督「ああ、失敗した…」


古鷹「……提督。それは一体、どういうつもりなんです?」


提督「それ」


古鷹「その態度といいますか、姿勢といいますか。明らかに前と違うじゃないですか」


提督「う、ん」


古鷹「どういう算段があってこういった…おふざけ、ですか?をしているのか気になります。私たちはともかく、皐月さんや妙高さん以降の艦娘はみんな提督のその姿しか知りませんよ?」


提督「それが狙い…だったんだが」


古鷹「?」


提督「ほら、君たちってさ、ちょっと冷たいというか、そっけないところあるじゃん?だから馴染みやすくしようかなーって」


古鷹「…必要です?」


提督「だと思ってる」


古鷹「はぁ。提督がそう考えてくれるのは嬉しいですけど、私たちは元軍艦です。ここにいるのだって戦うためですし、呼ばれた理由はそれが全てでしょう?」


提督「そう…かなぁ?」


古鷹「私たちは女性に見えてるだけ、そう、「だけ」なんです。そりゃあ提督が思い入れをしてくださるのは船舶としては嬉しいですけど、それ以上は無用ですよ」


提督「じゃあ逆に聞くけど、どうして女性の体になったと思っている?」


古鷹「性別まではちょっとよく分かりません。一番最初に上がる理由としては、私たちがお国によっては女性名詞だからでしょうか?どうしてなんです?」


提督「…オレは技術職じゃない。研究職でもね。だから真意は分からない」


古鷹「そうですか。でも、指揮官との連携がとりやすくなったのは利点かなって思ってます。発信側と受信側が、直接とりあえるじゃないですか。それで人間大になっちゃったのはどうかと思いますけど」


提督「その連携を取りやすくしたつもりだったんだが」


古鷹「いかに提督の艦娘といえど、性格まで似るわけじゃないですよ」


提督「まるでオレの私物みたいな言い方だな」


古鷹「失礼。「この国の」、ですよね」


提督「……」


古鷹「それに、現にこうして球磨さんとギスギスしちゃってますし、やっぱりよくないと思いますよ?」


提督「ああ。失敗したと思っている」


古鷹「でしたら、これを機にまt」


提督「だが止める気はない」


古鷹「…どうしてです?」


提督「その効果は確認してるからさ。気付いてないかい?君はだいぶ、「人間くさく」なってるよ?球磨だって「怒る」って感情を表面化した」


古鷹「それに何の意味が?」


提督「持論だが、やはり意思疎通の「意志」には、感情も入ってると思っている。人は、言葉を使うが言葉だけで会話をするわけじゃない。言葉やその裏に込められた感情でもまた、会話をする。「言外に言いたいこと」ってやつだ」


古鷹「それをここでする利点があるとは思えません。命令ははっきりとするべきです」


提督「もっともだ。だが、その命令の信頼度は、普段からのコミュニケーションにあるとは思わないか?信頼できない指揮官からの命令など、聞きたくないだろう?」


古鷹「どっちにしろ、「ノー」はないので」


提督「だとしても、だ。君たちには今、自ら思考し判断することができる。どの情報が正しく、どの情報が偽りか。そして、その情報源が信用できるか否か。そういった判断の材料に、やはり信頼関係は必要なんじゃないか?」


古鷹「その信頼関係も今ガタガタですけどね」


提督「……どうしたらいいかな?」ウルッ


古鷹「そんな急に捨てられそうな子犬みたいな顔しないでくださいよ。……ああ、なるほど「言外」ってこういうことですね。ようは「助けて」と言いたいんでしょう?」


提督「んだ」ニヤリ


古鷹「……なるほど、言いたいこともやりたいことも理解しました。が、それでもやり方に問題があるのは明白です。それは次から改善する必要がありますね。まずは、球磨さん…だけじゃないですね。この不満がたまった状態を、どうにかしませんと」


提督「協力、してくれる?」


古鷹「命令すればすぐですのに」


提督「協力。君の意志に、任せる」


古鷹「……分かりました。協力させていただきます。私も、すごしやすい環境がいいですし」


提督「ありがと」


古鷹「ですが、今すぐに話しに行っても、火に油を注ぐだけです。今は静観といいますか、裏で悪口を言わせてあげるのがいいと思いますよ」


………


……




球磨「……」


雷「あ、あの球磨さん?怖いわ…」ビクビク


叢雲「またあの馬鹿が?」


球磨「……チッ。なんでもないクマ。あれにいちいちキレてたら、身が持たないクマ。さ、また行こうクマ」


雷「む、無理しないで…?」オロオロ


球磨「……はぁ。ありがとう、クマ」


叢雲「私たちって転属願みたいなの書けたかしら?ほら、最近舞鶴にも鎮守府が出来たっていうじゃない」


球磨「受け入れられるとは到底思えないクマ。まったく、とんでもないクマ。何もかもがとんでもないクマ」


電「電なのです。お疲れ様なのです」


雷「電…」


電「これ、お茶の差し入れなのです」


叢雲「助かるわ」


球磨「まったく、電はアレと違って気が利くクマね!」ワシャワシャ


電「な゛…の、です?」グワングワン


叢雲「どうしてあんなのが司令官に…。今でもちゃんと士官学校ってあるんでしょ?」


球磨「名前変わってるけどあるっぽいクマ」


ガララッ


比叡「ただいまぁー」


五十鈴「戻ったわ」


秋雲「あっつぅ…砲弾よりも太陽で火傷しそう」


鳳翔「お疲れさまです」


川内「あっがりー」


飛鷹「あれ、そっちも上がり?」


那珂「えっと、訓練サボりたいから、って川内ちゃんが…」


川内「えー?那珂も止めたがってたじゃん」


那珂「神通ちゃんは天龍ちゃんと摩耶ちゃんと訓練だってー。球磨ちゃんもお疲れちゃん?」


球磨「んなわけねーだろ。また行くんだよ」チッ


比叡「え、また?一日に何回同じところを哨戒するんですか?」


球磨「知るか。あいつの気が済むまでじゃねーの」


飛鷹「なになに?随分と荒れてるじゃない」


雷「なんだか、また司令官が…」


五十鈴「はぁ。ついにあんたまで手ぇ出されたの?見境なしね」


球磨「球磨じゃねぇ。古鷹クマ。……なぁ比叡。本当にあいつ使えるのか?」


比叡「ちょっと前までは真面目だったのになー」


鳳翔「真面目よりもこう、近づきがたいといいますか…そうですね、今の正反対みたいなお方でしたよ」


球磨「正反対ぃ?」


飛鷹「ごめん、その情報にわかに信じがたいわ。違う人とかじゃなくて?」


比叡「そう思われるのも無理ないんですけど…本当なんです…」


鳳翔「やっぱり、この絶望的な戦況に耐えきれなくて…」


秋雲「それハァ、ないんじゃないかな!?……ヤベ、チョットウラガエッタ」


那珂「どうしてー?」


秋雲「だってさ、鬼みたいなスケジュールだけどちゃんと仕事はしてるし、ふざけてはいるけどやってることに矛盾はないじゃない?錯乱したようには、思えないなぁって」


雷「そう…かしら?電はどう思うの?」


電「電も…芯はしっかりした人だな、って思うことはあるのです。お仕事も、なんだかんだで終わるまでやりますし、私たちの帰還報告だってどんなに遅くともちゃんと待っていてくれるのです」


五十鈴「それくらい当然じゃない?」


電「はい。ですが、当然の事をこなすくらいには真面目だっていうことです。それに、あのお歳で司令官になられてるんですし、性格に難あれど、相応に出来ると大本営は踏んでいるんじゃないでしょうか?」


子日「子日もそう思うなぁ」


五十鈴「……いたの?」


子日「いたよぉ。ひどいなぁ。あ、ちなみに皐月ちゃんはここで寝てるよー」


皐月「ンガー」zzz…


飛鷹「…それで?子日さんもそう思うの?」


子日「うん。執務室とかでね、誰もいないと何か書類とにらめっこしてたり、一人ですごーく真剣な顔してたりするもん。案外、考えてるんだなーって」


五十鈴「…それを、なんで知ってるの?「誰もいない」のに」


子日「窓から見えたんだよー」


球磨「どっちでもいいクマ」


叢雲「明らかに舐めたような口ぶりのくせに、妙なところで鋭いのがたち悪いのよ。腹立つわ」


五十鈴「私たちのこと、まさかただの女子だと思ってるわけじゃないでしょうね」


飛鷹「ありそう」


鳳翔「気遣って、くれているんでしょうか?」


球磨「出来てないクマ。あーあ、ホント何なんだクマ!いっそただの洟垂れのが分かりやすいクマ!」


秋雲「不器用なんじゃない?」


比叡「不器用だとしたら、けっこう可愛いんですけどね」


飛鷹「うっそ…そういう趣味?」


川内「眠い。寝る」ゴロン


那珂「こんなとこで寝ちゃダメだよう!」ユサユサ


五十鈴「宿舎もそう変わらないじゃない」


鳳翔「お布団、ここにも置いておくべきでしょうか…?」


飛鷹「もう完全に思考がお母さん」


球磨「…ハァ。ま、球磨は仕事するだけクマ。五十鈴、今度はお前もクマ。雷、お前は寝てろ。疲れてる。睦月を呼ぶクマ」


五十鈴「了解」


雷「はぁい」


球磨「先行ってるクマ。出口で待ってるって言っといてクマ~」ヒラヒラ


ガララッ


ピシャ


比叡「球磨さん…無理しないほうが…」


飛鷹「戦艦様に比べればどうってことないんじゃないの?」アハハ


比叡「哨戒って体力使うじゃないですか。ずーっと気を張ってなきゃいけないし。倒れないといいけど…」


叢雲「そうなったらあいつも辞職もんかしら。私としては、それが望ましいけど」スッ


五十鈴「ま、それでまともなのが来るかどうかって話だけれどね」スッ


叢雲「完全には信じがたいけど、というか根拠なしだけど、その「司令官が実は真面目」とかいうふざけた可能性を、もう少しだけ信じてみようかしら。あれを信用できなくても、あなた達は…ほら、昔馴染みでしょ?」ニコッ


秋雲「わー。ツンデレ。…ちょっと違うか?」


五十鈴「何を言ってるのかわけ分からないわ。じゃ、私たちも行くから」


叢雲「それじゃ」


ガララッ


ピシャ


鳳翔「…心配です」


飛鷹「なにがー?」


鳳翔「鎮守府が内部崩壊しないかどうか、です」


比叡「そこは…司令の人望ですかねぇ」


秋雲「それ信用できないんだけど」


飛鷹「そーお?そうは思わないけど」


秋雲「およ、意外な反論」


飛鷹「だってさ、なんだかんだで前からいるあなた達は信用してるじゃない、彼のこと」


秋雲「ン」ピクッ


飛鷹「ここにいないけどさ、神通さんも少なくとも悪くは思ってないみたいなんでしょ?」


那珂「まぁ…そう、かな?」


飛鷹「たぶん一番わり食ってる球磨さんや妙高さんだって、なんだかんだで付いていってるし。私も、馬鹿だなーとか、阿呆だなーとは思うけど、でも悪い人だなーとは思わないし。なんだろね、やんちゃな子供見てる気分になる」


秋雲「母性本能がくすぐられるってやつ?」


飛鷹「なのかね。よく分からないや。空「母」って言っても、元軍艦に母性があるかどうかは分かんないや。ま、鳳翔さんはありそうだけど」


鳳翔「またそう言う」


飛鷹「だからさ、五十鈴さんとか叢雲さんとか、あの辺もそこまで本心で嫌ってるわけじゃないと思うかな。しっかりしてほしい、くらいで」


秋雲「ツンデレじゃん。やっぱツンデレじゃん!」


………


……




秋雲「…って、ことよ」


提督「そうか。……そうか…」ズーン


秋雲「これに関しちゃ、勧めた秋雲も悪いから。ごめんね?」


提督「いや。方針自体はいいものだ。やり方がマズいというか、今回はタイミングが悪かったというか…まぁ、オレが悪いんだ」


秋雲「不器用だねぇ」


提督「こういった事は慣れてないんだ。私はその…女性経験というものに乏しくてな」


秋雲「え、そうなの?何かそこそこ似合ってたけど」


提督「そんなわけないだろう。私は今の今までほとんど男しかいない世界で過ごしてきたんだぞ」


秋雲「じゃあ女たらしの才能でもあるんじゃない?」ニヤニヤ


提督「茶化すな。嬉しくないぞ」


秋雲「でもそうでもないと、ここで提督がやりたいようにやっていくにはちょっと肩身狭くない?」


提督「だからって開き直って堂々と女に手を出せと?」


秋雲「まるで嫌々やってるみたいに言うね」


提督「そう捉えてもらっても構わない」


秋雲「もっと心からやらないと」


提督「その結果、私の評価が下がるんだが?」


秋雲「艦娘との距離が縮まるんなら、って受け入れたじゃん。また話を元に戻すの?」


提督「いやそうは言ってない」


秋雲「もっと腹くくりなよ。提督はさ、目的があるんでしょ?だったら表面上の付き合いなんてやめちゃいなよ。もっと戸惑うことなく積極的にいかないと」


提督「根本的にそういったことに生理的嫌悪を覚えているのだっているだろう?そういったのはどうすればいいんだ」


秋雲「どうって…構わず進むしかないんじゃない?あきらめて受け入れてくれるまで、ずっと続ける」


提督「賢い手とは言えんぞ」


秋雲「時には愚直さも必要じゃない?何でもかんでも効率的機能的策略的に動いてちゃ、「何か裏があるんじゃないかー」って逆に勘繰られちゃうよ」


提督「まぁ、なくはないが」


秋雲「それが何だか聞かないけどさ。どうあれ提督が私たちと仲良くなりたいって思うなら、もっと裏表ない馬鹿になる必要があるんじゃない?」


提督「それは、受け手を考えない一人よがりな気が…」


秋雲「それ!それがダメなんだって。変に上手くやろうとか考えちゃダメだよ。提督は私たちと長い付き合いになりたいんでしょ?隠し立てだのなんだのは、結局バレるんだから」


提督「このキャラは隠し立てではないのか…?」


秋雲「だから隠し立てにならないように、もう成っちゃうんだって」


提督「無茶苦茶だ。言ってることがまるで無茶苦茶だぞ」


秋雲「だったらそれが提督の歩く道ってことだね」


提督「お前、考えているようで何も考えていないだろ?」


秋雲「秋雲さんは秋雲さんなりの考えを言ってるんだって」


提督「……その度思うんだが、やはりお前のは話半分にとどめておくのが賢明だな…」


秋雲「人付き合いって、大変だねぇ」


………


……




龍驤「…あのさ」


妙高「はい?」


龍驤「いや、うちは別にいいんよ?これもお仕事だし、正直まだ戦力になれてないから、こっちのがありがたいし」


妙高「はあ」


龍驤「でも流石にもう夜も遅くない?ほら、外もこんなに…」スッ


妙高「夜は暗いものですよ」


龍驤「じゃなくって!始めたのはまだお天道さんも昇っとったやん!?」


妙高「過ぎた時間を振り返って得られるのは、哀愁だけですよ」


龍驤「ポエミーやなっ!?」


足柄「無駄無駄。こうなったらこれ、もう仕事の事しか考えてないわよ」


龍驤「だからってそんな答えになる…?」


足柄「さーんざん文句言ってるくせに、なんだかんだで提督と親しいからねー。人間くさくなったでしょ?」


龍驤「いやそれ絶対関係ないやろ…」


妙高「足柄。喋ってないで手を動かしなさい。あとそれから、別に親しくはありません」


足柄「親しく「は」-?」ニヤニヤ


妙高「妙な勘繰りはやめなさい。言葉以上の意味はないです。ああ足柄、さっきのこれ、また間違ってますよ!」


足柄「えーどこよ?」


妙高「ほらここの計算!こっちのと数字があってないじゃないですか」


足柄「えー?え?でもほら、電卓の答え…」カタカタカタ…スッ


妙高「え?……あれ?」


足柄「あのさぁ。いい加減、電卓くらい使いなさいよ。なんだかんだで私の方が正確だし速いじゃない」


妙高「…ッ!!この私が遅いですって!?」


足柄「事実そうでしょ」


龍驤「この時間無駄ちゃう?」


足柄「そう思うわ」


妙高「~~ッ!!!わ、かりまし、た!!」グヌヌ


足柄(心底屈辱的…)


古鷹「お疲れ様ですー」コンコン


足柄「あらいらっしゃーい」


古鷹「お夕飯持ってきました。…といっても、おにぎりですけど」


足柄「あら美味しそう」


龍驤「おーありがとさん!作ったのは君?」


古鷹「いえ鳳翔さんです」


龍驤「ほんまおかんみたいやな」


足柄「本人いやがりそう」アハッ


古鷹「あれ、妙高さんは?」


妙高「お仕事中ですので。大丈夫ですよ」


足柄「脳は糖分いれないと働かないって言われてるわよー」


妙高「この妙高がこの程度で機能しないとでも?」


足柄「今さっき計算ミス指摘されたの忘れたの?」


妙高「それなんですが、ほら。やっぱり私の計算も合っているんですよ」


足柄「えー?」


龍驤「え、じゃあ何?どこが違うん?」


妙高「もう一度照らし合わせてみましょう。何かを見落としているかもしれません」


足柄「え、ご飯…」


妙高「後です」


足柄「えええええ…」


………


……




雷「もー!」


電「どうしたのです?」


雷「溜息だって出ちゃうわよ!電はこれでいいの!?」


電「ああ、さっきの話です?」


雷「本当に司令官…うーん…大丈夫じゃないように思うなぁ」


電「司令官さんもまだ慣れていないだけだと思いますよ?」


雷「そーぉ?」


電「私たちだって、まだ自分の体のことも分かっていないじゃないですか。司令官さんもあんなお若いのに、責任重大なお仕事を…ちょっと気を抜きたくなっちゃうのも、仕方ないことなんじゃないですか?」


雷「え。もしかして、司令官のこと好きなの?」


電「どうしてそうなるのです…」


雷「だってやたら擁護するじゃない」


電「擁護…してるんでしょうか?そんなつもりはないのですが」


雷「してるしてる」


電「嫌いではないのです。なんでしょう、一生懸命ですし」


雷「一生、懸命…?」


電「ただふざけてるだけの人なら、こんなところにはいないのです」


雷「それは…まぁ、そうかもしれないけど」


電「まずは信じてみることから始めてみませんか?」


雷「いい子だ。電がとてつもなくいい子だわ!」


電「そんなことないですよ」


雷「でも何か、イメージと違うっていうか…うーん。生まれ変わったこと含めて全部ごちゃごちゃだからよく分かんないわ!まったく!なんのために戦っているのか、分からなくなっちゃうわ!」


電「戦う、理由」


雷「電にはるの?」


電「……電も、よくわからないのです」


雷「意味も見いだせず戦うのって、むなしいわよね。五十鈴さんたちも、そういうことじゃないかしら?せめて司令官が頼れる人だったら、そうじゃないんだろうけど」


電「……」


雷「はぁ。考えても疲れるだけね!私は寝るわ!おやすみ!」タッタッタッ…


電「雷ちゃん…」


電(戦う意味、ですか…。確かに、何で私たち戦っているんでしょう?成り立ちも、存在理由も、これからのことも。私は、私たちはあまりにも自分に無知なのです。まるで、「知らなくていい」って、誰かに言われてるみたいなのです…)


ザザーッ…


………


……




天龍「…ッとぉ!!」ジャッ


神通「チッ」ジャキン


ドンッ


ドンッ


天龍「遅いぜ!足元!!」


神通「!?」


シャーッ


ドーンッ…


天龍「はい終わり。っは!まだまだ甘いz」


神通「…!!」ユラッ


天龍「うおっまだ動けんのか!?」


摩耶「終わりだっての」ガシッ


神通「……フゥ…フゥ…」グラッ


バシャッ


天龍「な、なんつー体力だよ」


摩耶「お前も気ぃ緩めただろ。甘いのはお前もだよ」


天龍「んだよ参加しなかったくせに」


摩耶「審判役いないとお前らどっちか死ぬまでやるだろ」


天龍「オレじゃなくてこいつな。ったく、とんだ戦闘狂だ」


摩耶「実力云々はまだしも、底力と殺気だけはここで一番だな、お前」


神通「ありがとう、ございます…」ゼェゼェ


摩耶「さすがは神通様ってな。こりゃあたしらが抜かれるのも時間の問題か?」


神通「……質、問が」ゼェ


摩耶「息整えてからな」


神通「お二方は、どうしてそこまで…?」


天龍「強いのかって?」


神通「はい」コクン


摩耶「あー?…そういや、なんでだろな」


天龍「あいつの無茶に最初っから付き合わされてったからじゃないか?」


摩耶「考えられる理由っちゃあそんくらいだよな」


神通「……」


摩耶「不満気だな」


神通「いえ。不思議なんです。あの人についていけば、強くなれるんでしょうか?ただ、それだけで?」


天龍「あーん?」


摩耶「なんだお前、強くなりたいのか?」


神通「はい」


摩耶「清々しいねぇ。もっとこう、お洒落したいーとかねぇの?」


天龍「お前が言うか」


神通「私は、艦娘だのなんだの言われていますが、結局は元軍艦。「神通」の名を冠し戦う以上、強さと勝利意外に欲するものはありません」


天龍「……」


摩耶「……前言撤回。ンなんじゃあ、あたしらにゃ勝てねーよ。横並びになろうとも、その先にゃいけねーだろうな」


神通「…はい?」


天龍「目的だよ目的。目的ねーまんま戦うんじゃ、そんなん昔と変わんないだろ。目の前の敵ぶっ殺すんじゃ、そこらの兵器にだってできら。知ってっか?最近はエーアイだとか言って、機会も喋る時代になったんだぜ」


神通「…ですから、私は兵器だt」


天龍「あいつは、そうは考えてない」


神通「?」


天龍「どーいう風の吹き回しかね、あいつはまるで、オレらを兵器とみなしたがってない。人として見たいのかね。女か、せめて女兵士くらいにな」


摩耶「ほんと、酔狂だよな。見当違いも甚だしい。夢見てんじゃねーって、あたしらも最初は詰め寄ったさ。馬鹿じゃねーの?舐めてんじゃねーのか、ってよ」


神通「…」


摩耶「ま。結局はあいつは馬鹿だったわけだ。それもただの馬鹿じゃねえ、とんでもねー大馬鹿だ。何言ってるかよく分かんねー妄想いだいて、それを本気で叶えようとしてたんだよ」


天龍「あれ、未だに理解できてねーんだけど」


摩耶「しなくていいだろ。ま、そうなってよ?あの大馬鹿のとてつもない「野望」とやらを成就させたくなってみたんだよ。どーせ下らねぇ世の中だ、このあたしらの戦いにそんな馬鹿みたいな理由が付けられるんなら、おもしれーじゃねぇか。「勝つ」だけじゃねえ、「死ねない」戦いとか、それこそ「機械」と「人」との十全たる差だろ?艦娘とかになったんなら、そんくらい大手を振った馬鹿をやらかしたかったんだ」ニィ


天龍「どんなにアホみたいな事でもよ、目的や理想があるってそれを叶えようとするってのは、思った以上に力出せるんだぜ?艤装の性能だとか小難しい数字は関係ねぇ、しゃにむに喰らいついていく「力」がよ?」ニィ


摩耶「だからあたしらは今のお前には絶対に負けない。引くに引けないこの一線がある以上、あたしらは強くなりつづけなきゃいけないんだからな!」


神通「……何一つ、具体的ではありません。提督のその「野望」や、今後の勝算について何も考えていないんじゃないですか?」


天龍「言うねぇ。ま、そうかもしれねぇ。細かい言葉すっぱ抜けば、オレ達はあいつに全部賭けただけなんだからよ。あいつが実際にその夢叶えられなかったら、それまでだ。寄りかかるどころか、命ごとあいつに預けたも同然だな!」


神通「…その、「野望」、とは?」


天龍「だからよく分かんねーんだって。色々ごちゃごちゃぬかしてたから」


摩耶「とうてい正気の沙汰じゃねーな!」アハハハッ


天龍「だな!」ククククッ


神通「……」


………


……




妙高(…やっと、まとまりました。さて、提督は起きているでしょうか?)


ツカツカツカ…


妙高(寝ては…いないでしょう。どういうわけか、そういうところは律儀ですから)


ツカツカツカ…


ペカー


妙高(ドアの隙間から光が…。やっぱり、起きていましたね)


ゴソゴソ


妙高「……?」チラッ


ット、ツギハコレカ…


妙高「提督?やっとまとめ終わったのですが、少し気になる点があるn」ガチャ


提督「!?」ビクッ


スッ


妙高「……。提督、今隠したそれは、何ですか?」


提督「や、やあこんばんは妙高。起きてたんd」


妙高「質問に答えてください。それは、何ですか?」


提督「え?あ、ああ!これ?聞いてよ実はさー、こんな新装備g」


妙高「それじゃありません。その下に隠した、そっちです」ズイッ


ビクッ


妙高(……)


提督「え、どれ?ああ、これはその説明書みたいなm」


妙高「嘘」


提督「いやいやホントホント」


妙高「じゃあ見せてください」


提督「妙高さんが見るようなものじゃないって。分かった。今回はあきらめるよ。じゃ、オレはこれで」スッ


妙高「……」スッ


提督「通してくれないかな?」


妙高「断ります。それを、見せてください」


提督「だから下らないものだって。すぐ捨てるよ」


妙高「見せて、ください」


提督「妙高?さすがにオレm」


妙高「見せろ」


提督「……。妙高、上官に対する口じゃないぞ。いい加減にしてくれないか。これ以上は処罰も考えなくてはいけないぞ」


妙高「構いません。それを、見せてくださるなら」


提督「断る。私物だ」


妙高「いいから見せなさいッ!!」


提督「ッ」ビクッ


パシッ


提督「おい妙高!」


妙高「……ですか、これ」プルプル


提督「……」


妙高「答えてください。何ですかこれは?」


提督「越権行為だぞ。答えん」


妙高「経理として、納得のいく説明を求めます。この資金、いったいどういうことですか」


提督「納得はしなくていい。またいつもの、おふざけだ」


妙高「これを見て、今更そんなのを信用するとでも?大概にしてください。なんですかこの指令書は。どうして陸の指令書が、提督の下にあるんですか?共同作戦を行うという話はありませんでしたよね?」


提督「それはこれから言おうt」


妙高「日付を見ていないとでも?。決行日時こそ先ですが、すでに作戦会議の時期は過ぎていますよね?」


提督「……」


妙高「いったい、どういうつもりですか。いたずらに戦力を割く余裕がないのは、提督が一番知っていますよね?」


提督「……」


妙高「何を隠しているんですか」


提督「……」


妙高「……分かりました。では、この指令書は公表しましょう。作戦概要の把握は、作戦成功に結び付きますからね」


提督「よせ。…分かった。話そう。だが、内密に頼みたい」


妙高「内容によります」


提督「……。どこから話そうか。妙高、まずもって言っておきたいのは、その指令書は確かに陸からのだ。その作戦遂行を手助けするよう支援するのが、新たな任務になる」


妙高「硫黄島への、補給。船団護衛ということですか?……補給?なぜ今は無人の硫黄島に、「補給」なのですか?「上陸」、ではなく」


提督「補給…に、しておかなければいけないそうだ」


妙高「どういうことです?」


提督「こればかりは分からない。だが、無人のはずの硫黄島には「誰か」がいて、何かを「補給」する必要があるんだ」


妙高「それだけでしたら、私たちに公表したっていいじゃないですか。それにこの航路、いつもの遠征ルートと似ていまs……隠蔽工作?」


提督「聡いな。そう、これは作戦そのものが隠蔽されなきゃいけないんだ」


妙高「もう、隠し立ては無用ですよね。どうして隠蔽される必要がある作戦に、私たちが必要なんですか?」


提督「……まったく君は。その洞察力は怖いな」


妙高「お答え、いただけますよね?あなたの部下の、命にかかわる話なんですから」


提督「作戦そのものが隠蔽される必要がある、というのは隠蔽しなきゃいけない理由があるからだ。つまり、違法性を持った何某が、要素として含まれているんだ」


妙高「…それは兵器、ということですか?」


提督「そこまではあずかり知るところではない。オレはまぁ…その作戦に一枚噛ませてもらってるだけだから。だが技術局の動向を見るに、その試作品ともいえるものが、使われるんだろう。実験として、な」


妙高「……」


提督「この時代、実験すらも国際法に抵触するものもあるんだ。色んな名前で言われているが、まぁ名前は何でもいい。「存在そのものが忌み嫌われる兵器」が、存在するんだ」


妙高「その兵器を使った実験を、隠蔽すると。知られてはいけない……なるほど、この巨額が動くのも、そういうわけですか。今までどうも帳簿が合わないと思ったら、こういった作戦を遂行するための資金を、横流しするためですね。お金の流れすらも、隠蔽されなくてはならないでしょうから」


提督「鋭いな」


妙高「そして仕入れては無駄だと言われその度に棄却されていった装備群は、そういった不穏なお金の流れを察知した私を欺くため、といったところでしょうか?……ということは、あの装備郡を購入する資金は…」


提督「……」


妙高「提督。提督は相当な高給職ですよね?今おいくらほど手元にありますか?」


提督「……っ」


妙高「やっぱり…。私財をなげうって、ですか」


提督「頼む。このことは誰にも言わないでくれ!」ガバッ


妙高「提督っ!?やめてください!土下座なんてやめてください!!」


提督「艦娘がこれにかかわったとなれば、その責任も君たちに問われてしまう!だから万が一にも、知られたくはなかったんだ!君たちが知らなければ、その責任はオレまでで止まる!部下に無茶な命令を出していたオレが、裁かれるだけでいいんだッ!!」


妙高「ど、どうしてそんな…。何も提督が責を負う必要はないじゃないですか!」


提督「……人間ってのは、はっきり言えば深海棲艦よりも恐ろしい生き物だ。自分の責任を他人に押し付け、あたかも自分は悪くないかのように振る舞い、法律と言う絶対正義を振りかざすなんてことをやってのける」


妙高「……」


提督「仮にもしもこれが失敗し、そして露見すれば、その先にあるのは責任問題だ。オレは一見、エリートコースを歩んでいるように見えるが、大局で見たら末端の末端だ。切り落とすトカゲの尻尾にしちゃ、もってこいなんだ。十中八九、この首は飛ぶだろう。だが、君たちまで巻き込まれる必要はないんだ。そうだろう?」


妙高「そんなに危険なものだと分かっていながら、どうして…!」


提督「言ったろ。オレは、末端の末端だ。政治はおろか、軍内でも融通が利かない。あらゆる汚名を被せられる危険がある」


妙高「そんな。年若いとはいえ、艦隊を担う提督ですよ!?そんなすぐにすげ替えられる首ではないじゃないですか!」


提督「この場合の「提督」は、「艦娘による艦隊」をまとめあげる提督だ。深海棲艦の侵攻に対し新たに編成された、艦娘のみによる艦隊。君たちも実感しているように、艦娘というのは色んな意味でイレギュラーな存在だ。その地位も、通常のものとは違い、いわば後付けされた別コースだ。オレは、この別コースの上を、歩いている」


妙高「……」


提督「艦娘は深海棲艦に対して非常に効果的であるというのが、君たちの躍進によって証明されてきた。事実、ほとんどすべて支配されていた海を、鎮守府周辺の近海で部分的に漁業が再開されるまでには、制海権を奪い返せている。艦娘は深海棲艦に効果的な戦力である。これは、もう否定しようのない事実になった。だがそれは同時に、今後の戦局において、艦娘たちが主な戦果を総取りしていく未来を意味する。逆に捉えれば、艦娘以外のいかなる軍組織も、今後戦果を得ることが難しくなるだろう。こういうことを意味する」


妙高「……」


提督「これを良しとしないのは、従来の組織に属する、ある一定以上の階級の者たちだ。彼らは終戦まで、何の戦果も得られなかった無能として未来の歴史書に書かれるかもしれないのだから。黙っているはずがない。すでに、妙高が着任してきた頃にはもう圧力がかかり始めていた。彼らはどんな些細な事でも粗を見つけだし、艦娘の地位を貶めて信用をなくそうとしてくる。出る杭は、とやらだ」


妙高「そんなの、おかしいですよ…」


提督「まったく、ばかげた話だ。だが人間は、時に大局よりも己の利益のために動く生き物だ」


妙高「だったらどうして、提督はわざわざ付け込まれるようなことをするんですか?私たちを使役して、安全に地位を確立していけばいいじゃないですか」


提督「それじゃあ遅すぎるんだ。艦娘は、生まれたばかりの存在だ。君たちを法で潰すことは、そんなに難しい話じゃない。もしもオレが順当に正当に地位を上げていったところで、大きなミスでもすればそれだけで君たちごと消されかねん。少なくとも、上はそれだけの力を持っている」


妙高「……」


提督「手っ取り早く、オレは地位を高めていって、この組織全体を、内側から変える必要がある。君たち艦娘が誰にも後指さされずに歩けるようにするには、そうするのが最短だ」


妙高「しかしそうすると、汚職にもつながるようなことをした提督は…ッ!!」


提督「オレは、どうでもいい」


妙高「ッ!?」


提督「オレは、どうでもいいんだ。この職に就いた時から、殉職だろうが謀殺だろうが、死ぬ覚悟はできている。だが、艦娘は違う。勝手な都合で生みだされて、いいように使われたあげく、捨てられようとしている。そんなの、認められるわけがない。生まれてきた君たちには、この世を謳歌する権利があると、オレは主張する」


妙高「……っ」


提督「見たことあるか?春の桜を。夏の向日葵を。秋の紅葉を。冬の椿を。菓子を味わったことあるか?最近は、和菓子も洋菓子もとんでもないのがあるんだぜ。服だってよ、びっくりするくらいセンセーショナルなもんがあるんだぜ。宝石とか香水とかもよ、やっぱり年頃だから欠かせないよな。いい男に出会って、恋愛して。幸せに、なってほしいんだ」


妙高「……ッ」ギリッ


提督「だからよ、終戦後に艦娘が暮らしていけるように、君たちは真っ白なままでいてほs…ッ!?」グイッ


パシンッ


提督「……?妙高…?」ヒリヒリ


妙高「馬鹿に、しているんですか?」ググッ


提督「…そんなつもりはn」


妙高「馬鹿にしていますよね。元軍艦が、女性として生きる?幸せになる?なにこっぱずかしい夢物語かたってるんですか。あげく、そのために手を汚すな?このまま何も知らないであなたの馬鹿に付き合わされて、手の平の上で踊れって言うんですか。ふざけるのも大概にしてくださいッ!!」


提督「……妙高」


妙高「こんなふざけた世界に生まれてきて、よく分からない敵と戦わされて!!それだけでも災難なのに、あげくこの上司!!冒涜にもほどがありますよ!!白も黒も、生きるためなら自分で染まりますよ!!与えられるだけの人生なんて、人生じゃないですよッ!!」


提督「……」


妙高「……ひどいじゃないですか。ずっと黙ってたなんて。今日こうして、私の偶然がなければ、ずっと隠し通すつもりだったなんて。そんなの、善意でも何でもないどころか、私たちを裏切ってたことになるじゃないですか」ポロッ


提督「……妙高、お前…」


妙高「何ででしょう…。怪我をしたわけでもないのに、胸が……痛いですよ…。これ、なんですか?なんで、目から…」ポロポロ


提督「……」


妙高「これが、涙……これが、悲しいってことですか……?」ポロポロ


提督「そう、かも…しれない」


妙高「提督は言ってることもやってることも滅茶苦茶で一貫性がなくって、仕事もいい加減で部下に無茶を押し付けて。何もかもがデタラメな人ですけど……悪い人じゃ、ないじゃないですか……。その突き抜けるほどにまっすぐな優しさが、唯一の取り柄じゃないですか…。それを、それだけを信じて、しかたないなぁって付いて来たのに…こんなの、こんなの、あんまりじゃないですか……」グスッ


提督(秋雲の言っていたこと、こういうことか…)


妙高「なんでもっと自分を大事にしないんですか?あなたみたいに底抜けのお馬鹿さんなんて、他にいるわけないじゃないですか。あなた以外に、あなたの理想を実現させられる人なんて、いないじゃないですか。最初から自分が途中で離脱することを想定して、夢を実現させようとしないでくださいよ」


提督「……」


妙高「船長は、船とその運命を共にするって言いますよね?なら、提督は艦隊と運命を共にしてくださいよ。私たちに幸せになってほしいなら、最後までいてくださいよ。それが、筋ってものでしょう…?」


提督「……そう、なのか?」


妙高「まったく、人になったばかりの私に、人の道を語らせないでくださいよ」アハッ


提督「……悪かった」


妙高「このことは内密にします。しかし、条件が一つあります」


提督「条件、とは?」


妙高「私も「黒」に染めてください」


提督「ッ!それはできない!そんなの本末転倒だろ!?」


妙高「こんなことでボロが出たんです。偶然でボロが出るなら、いつか他の誰かが気付くのも時間の問題です。違いますか?」


提督「……」


妙高「隠すなら徹底的に隠しましょう。私は経理です。帳簿のごまかしは私が行いますから。提督は、このまま歩いてください」


提督「それは…」


妙高「提督は、私たちを使ってこの世界で大立ち回りを演じてください。私は全てのボロを回収し、帳尻を合わせます。「全て」に勝つんです。勝って勝って勝ち続けて、他の誰も口がはさめないほどに強くなるんです」


提督「とんでもない、話だな」


妙高「夢はこのくらい壮大でちょうどいいんです」クスッ


提督「……あはっ」


妙高「勝つんです。勝って勝って、勝ちぬいて、生き抜くんです。お馬鹿なあなたが語る馬鹿みたいな夢をかなえるために、馬鹿な私が全力を尽くしましょう。提督、この妙高を、使いこなしてくださいね?」ニコッ


提督「……」ポカーン


妙高「提督?」


提督「いや。なんというか…妙高、いい女だなと思ってな」


妙高「!?」ドクンッ


提督「まさかこんな風になるたぁ思わなかったが、まさに渡りに「船」。乗り込む船が妙高とは、なかなかどうして心強いな」


妙高「え、ええ…」


提督「だが、このことは他の艦娘には内密にした方がいい。卑怯だが、今は何も明かさず、目の前の仕事をこなしきってもらおう」


妙高「悪い人」


提督「そうだな。責任とらされるとしたら、この部分かね。いつか全部終わったら、フルボッコにしてくれや」


妙高「立ち上がれなくなるほどに、ぎったぎたに」


提督「頼もしい。じゃあ妙高、さっそくだが、この計画について話が」


デハ、コウイウノハドウデショウ?


エ、ダイタンダナ


コノホウガバカバカシクッテ、インペイニハチョウドイイデスヨ


電(……と、とんでもない話を聞いてしまったのです!)ノゾキミ


ジャア、コノエンセイルートニクワエテ、ホカノルートモ…


電(なんだか辻褄の合わない任務の量だなと思ったら、そういうことだったのですか。ただの馬鹿じゃない、とんでもない大馬鹿者の司令官だったのです)


コウスレバ、ヨリカクジツニスイコウデキマス


電(……途方もない、野望なのです。きっと叶えるには、多くの強敵と渡り合う必要があるのです)


ベツノプランモカンガエヨウカ


電(電にできることは、なんでしょうか。このことを黙っていることでしょうか。司令官さんのお力に、なりたいのです)


ヘンセイハドウスル?


電(……電に、出来ることは少ないのです。不器用だから、なれないことはするもんじゃないです)


ツヨイジュンデイインジャナイデショウカ


電(なのです。強くなるしか、ないのです。戦って戦って、司令官さんの勝利に貢献するのです)


………


……




雷『まったく!なんのために戦っているのか、分からなくなっちゃうわ!』


………


……




電(雷ちゃん。電は、戦う意味を見つけたのです。負けられない理由が、生まれたのです)


ヨッシ、トリアエズコレデヤッテミヨウ


電(艦娘になれて、よかったのです!)ニコッ


ソロリソロリ…




妙高(……?どうして、胸の高まりが収まらないんでしょうか…?お先真っ暗な選択をしたはずなのに、どうして満たされたように感じるんでしょうか…?)チラッ


提督「ってなると、今度はそのための装備か。どうしよっかな…」


妙高(……この人と秘密を共有するのが、楽しい…?私だけしか知らない提督を見るのが、嬉しい…?どういうことでしょうか…?)


提督「ねぇ妙高さんはどう思う?」


妙高(まったくもう、どうしようもなく、訳が分からない人です♪)ニコッ


妙高「それじゃあダメです!」ビシッ


………


……




ザザーッ…


球磨「タンカーに続いて今度はこれかクマ。こんな滅茶苦茶な航路で、いったい何運んでるクマ!」


雷「あー暑い。休めないのはいいとしても日照りは辛いわ」


叢雲「あの野郎、一回この日差しにさらしてみようかしら」イライラ


球磨「とりあえず帰ったらぶん殴るクマ。もー知らんクマ。こんな無意味な遠征ばっかやらされて、こっちも黙ってられないクマ」


雷「お、落ち着いて!?流石にそれはダメよ!せめてしっぺくらいにしておきましょう!?」


叢雲「ここまで来たらもう同じよ。無能な上司に指揮を任せてられないわ」


球磨「あんの野郎、痛い目みせてやる」


雷「あわわわわ…」


………


……




天龍「おい提督、もうすぐ遠征出したやつら帰ってくるんじゃないのか?」


摩耶「そろそろあいつらも我慢の限界だと思うぞ。あたしらだって無限に戦えるわけじゃないんだからな」


提督「分かってる分かってる。これで一回区切りにしようと思っててな。休憩に加え、ちょっとしたサプライズを用意してんだ」


天龍「なんだそれ」


提督「言っちゃあ面白くないでしょ。お楽しみ♪」


天龍「ろくでもなさそう」


提督「勝負下着じゃないよ?」


摩耶「だったとしたら、あたしはお前の部下やめる」


提督「そうだよな、相手いないもんな」


摩耶「あ゛ぁん!?あたしだってなぁ、その気になれば男の一人や二人なぁ」


提督「お前の場合男が逃げていきそうだよな」


摩耶「その書類置く時間だけ待ってやる。ぶん殴ってやる」


提督「おいおいボコデレとかだいぶ男選ぶぜ。せめてボーイッシュくらいにとどめておけって」


摩耶「この摩耶様にボーイッシュもクソもあるか!泣く子も黙る摩耶様だぞ!」


提督「キャーマヤサマカッコイー」


摩耶「こいつ…ッ!」


ギャースギャース


コレデマタフザケテタリシタラ…


コンドハワタシモイクワ


アノ、オテヤワラカニ…?


球磨「帰った!」バンッ


提督「お。おっかー」ノシ


叢雲「おっかー?あんた、何その態度。私たちは任務をこなしてきたんだけど?」


球磨「ちょっと前のこと忘れてよくそんなことが言えたなぁ?」ビキッ


雷「司令官!あ、謝るなら今だと思うの!」


提督「や。すまんすまん。暑い中悪かったな」


叢雲「どうせまた駆り出すんでしょ。さぁどうぞ?この私を馬車馬のごとく使いなさいな。また無意味な作戦の歯車にでもして、仕事した気にでもなっていなさいな!」


球磨「おい、私らもよ、軍属だから仕事することにゃ文句はない。けどよ?せっかく命張ってんのにそれが何のためかも分からんとあっちゃ、黙っちゃいられないのも分かるよな?」


提督「えっと…?」


球磨「守秘義務とかなんだとかあるだろうから詳しくは聞かない。けど、こんな無意味な作戦に本当に意味はあったのか?あん?」


提督「意味とな。オレは無駄な作戦は行った覚えはないが」


叢雲「よくもぬけぬけと…」


提督「やり方が、まぁどんくさいのは認める。しかしだ、その作戦自体に無意味なものなんてない。妙高さんもそれは承知の上だ」


球磨「……」


提督「意味を問われたが、答えられる範囲で答えるなら…そうだな、それが必要な人たちがいたから、かな」


球磨「……」


提督「そう睨むなよ。オレの顔がイケてるからって、そうまじまじ見ないでおくれ恥ずかしい」


球磨「その面でイケてるとか随分と都合のいい頭クマね。はぁ、分かったクマ。とりあえずは、そういうことにしておいてやるクマ」


叢雲「…いいの?」


球磨「意味があるかないか、それが分かりゃ詳しいことは聞いても仕方ないクマ。「need to knowの原則」とやらクマ」


提督「軍人然としてるねぇ」


球磨「元軍艦クマ。軍人以上に軍属クマ」


提督「そいつは頼もしい。でだ、挨拶もそこそこに報告を聞きたいんだけど」


球磨「……任務は無事遂行、損傷損害損失なし、深海棲艦との交戦すらなかったクマ。安全なクルーズだったクマよ。消費燃料とかの具体的な数字はいるクマ?」


提督「んにゃ。そっちは書類の方でいいよ。そっかそっか、安全だったようでなによりだ」


球磨「で、罰は?」


提督「罰?」


球磨「帰還早々に上官に歯向かうようなことしたクマ。罰則もんクマ」


叢雲「ちょっと!?けっきょく殴ってないじゃない!?」


提督「え。何オレ殴られる予定だったの?」


天龍「殴られちまえよ。オレが許可するぜ」クック


摩耶「許可なんざいるか。いつでもフリーだろが」ボスボス


提督「痛いやめて脇腹痛い。痛い痛い痛い!摩耶のおかず一品抜くから!」


摩耶「あん!?」


提督「ま、別にどんな口調でもええよ、って前にも言ったじゃん?聞きたいことがあるなら気軽にお聞きなさいな。そうだな、まずはオレのスリーサイズだが、上から順n」


球磨「いい、いい。聞きたくないクマ。……分かったクマ。聞きたいことは以上だクマ」


提督「そっか。叢雲は?」


叢雲「……じゃあ聞くわ。どうして、そんなんなの?」


提督「そんなん。この、何?オレ?」


叢雲「そうよ。ふざけたことばっかりして。もっと司令官なら司令官らしくしなさいよ」


提督「おーん…じゃ、司令官らしいって何?」


叢雲「は?」


提督「いやオレもさ、この歳で司令官とか大それた職に就いちゃったわけだけど、つまりそれって、オレより前に就くべき人たちがいなかったってわけじゃん?つまりはオレが、司令官第一号なわけ」


叢雲「は?……は?」


提督「オレの知る限り、この国で現在そういった呼ばれ方をするのはオレか、舞鶴くらいなんだけど…まぁあいつもオレと似たような奴だな。だから叢雲、教えてはくれないか?「司令官らしい」とは何か」


叢雲「…えっと、だから……っ!もっと堂々として、威厳と尊厳があって、冷静沈着で…今のあんたの正反対よ!!」


提督「ええーオレ全否定…」


叢雲「そうよ!なんか気に入らないのよ!!」


提督「どうしよう天龍、オレ嫌われちゃった」モミッ


天龍「揉むなうざってえ」ペシッ


提督「摩y…おい離れるなよ」


摩耶「いやだってキモいし」


提督「提督です…部下が冷たいとです…」エグエグ


摩耶「嘘泣きでもキモいからやめろ。マジで」


叢雲「頭痛くなってきた…」


五十鈴「深く考えるだけ、無駄なのかもね」ガチャ


雷「五十鈴さん!」


五十鈴「ただいま。提督、言われたもの持ってきたわよ」


古鷹「ただいまですー」


ゴソッ


提督「おお来たか。待ちわびたぞ」


球磨「なにこれ」


提督「クーラーボックス。知らない?」


球磨「知らんクマ」


提督「じゃ、これも知らんかもな。ほれ」カパッ


球磨「……?」


提督「アイスってんだ」


古鷹「え、高級品じゃないですか。それもこんなに…」


提督「今は安いよ。普通に庶民の食い物だよ」


叢雲「…こんなになったのね」


提督「知ってた?」


五十鈴「あいすくりん自体は私たちの時代にも存在したわよ。でも高級品よ?献上品にもなったんだから」


提督「ごめんこれはそこまでのもんじゃない…。つーか、技術進歩でリーズナブルになりもうした」


球磨「これを、どうするクマ?次の輸送物資クマ?」


提督「ちゃうねん。これ、お前らの」ピッ


叢雲「は?」


提督「仕入れてみたんだよ。ほら、暑いじゃん?これ食ってちょっとでも涼んでもらえればいいかなと思って」ペリッ


叢雲「~~あんた、私たちを何だと思っt」


提督「そい」グイッ


パクッ


叢雲「……ン…甘い…」


提督「うまいじゃろ?」


叢雲「……おいしい」キラキラ


提督「たかが氷菓だけど、そのたかがでモチベーション上がるなら、これは無駄な出費とは言わんじゃろ。どう?いい考えだと思うんだけど」


天龍「どーでもいい、食わせろっ!」


ワーッキャーッ


アマーイ


提督「古鷹。ついでで悪いんだけど妙高さんたち呼んできて」


古鷹「はい!」ニコニコ


タッタッタッ…


球磨「……ングング」


提督「あー…球磨?」


球磨「なんだクマ」


提督「これからもさ、たぶんオレお前たちに迷惑かけまくる。それはお申し訳ないけど、ずっとだ」


球磨「…だろうな」


提督「オレには叶えたいものがある。理想のビジョンに向かって、歩いているつもりだ。その苦労をお前たちにかけちまうのも、もう開き直ることにした。だからすまん、これからも、苦労してほしい」


球磨「……」


提督「だが仕事以外の面で、お前たちの要望はなるべく叶えていくようにはしたい。こんなちゃちな菓子だけじゃねえ、いずれこのオンボロ施設も建て直したいし、設備も充実させていきたい。暮らしやすくする。そういった面で、返していこうと思う。だから、オレについてきちゃ、くれないか?オレにはお前らが、必要だ」


球磨「なんだ?口説いてるクマ?」


提督「そうとも言うかもしれないな」


球磨「口説き文句にしちゃ関白宣言クマね。このまま黙ってついてこいってことだろ?」


提督「うむ」


球磨「だから、私も変わらん。仕事はこなすし、文句があればそのつど言う。私…いや、球磨たちに見捨てられたくなかったら、結果で示してみろクマ。ついていく価値無しと判断したら、即見捨てるクマ」


提督「それは…笑えないな」


球磨「そんくらい緊張感もてクマ。どーせ提督のことクマ、くっだらない夢なんだクマ?」


提督「ああ。馬鹿みたいな話だよ」


球磨「じゃ、笑うのはその時までとっておくクマ。呆れさせんなよ」グッ


提督「約束しよう」グッ


ポスッ


秋雲「……やるじゃん?」ニコッ


足柄「ちょっとちょっと!何か美味しそうなのあるじゃない!」


龍驤「お?なんやこれ!お菓子か!?お菓子やな!!」キラキラ


妙高「あの、これは…?」


提督「御託はいい!食ってけ!」


ワイワイ


………


……




提督「あー。うまかったなー。また仕入れようかしら」


摩耶「仕入れろ。あたしらを暮らしやすくするんだろ?」


提督「そんな何度もできるかよ。オレのお財布は常にかっつかつなんだぞ」


摩耶「自費かよ」


天龍「ん。戻ったー」ガチャ


川内「ただいまー」


那珂「戻ったよー!ねー!?アイスあるって聞いたんだけどー!」


神通「……ただ、いま。戻りました」ボロッ


提督「うわ。派手にやられたな」


那珂「提督、アイスー!」


提督「あの場にいなかった連中用に、冷凍庫に入れてあるから。先に報告!」


那珂「えー」


提督「で?また神通はボロ負けしたのか」


天龍「ああ。見ての通りな」


提督「んじゃ川内型は全員下がっていいよーお疲れちゃん」


那珂「おっつかれちゃーん!!」ダッ


川内「あっこら待て!」


神通「おつかれ、さまでした…」


天龍「オレは残りかよ」


摩耶「ピンピンしてんじゃん」


提督「そーゆーこった。今日の手合わせで、なにか思ったことは?」


天龍「あいつのか?んだなー…技術面ではもうちょい数こなせば、見えてくるもんがあるんじゃねーの?あとは気構えってやつかね?不退の心得みたいなのがない」


提督「不退とな」


天龍「土壇場で馬鹿力を出せてねーんだよ。良くも悪くも、昔のまんまだ。人間の体に、馴染めてない」


提督「人間の、ね…」


天龍「どうすっかねー?もっと効率よく強くなれりゃいいんだけど」


妙高「提督。少しお時間よろしいですか?」ガチャ


提督「あい?」


妙高「手合わせの件についてなのですが、折り入って相談が」


提督「相談」


妙高「ええ。神通さんに会ってきました。このようなことが繰り返されては、出費が激しくていずれ枯渇してしまいます。ですので、その解決案を具申したいのですが」


天龍「ほぉ?そりゃどんなのだ?」


妙高「まだ立案すらまとまっていない、本当にただ発想しただけなので…」


提督「分かった。天龍、悪いけどハケてもらえる?この飲みかけのお茶あげるから」


天龍「いるかんなもん。わーった。んじゃ後でな」ガチャ


バタン


提督「……それで?」


妙高「端的に言えば、模擬戦形式の演習をしてみるのはどうでしょう、というお話なのです」


提督「模擬戦とな。くわしくプリーズ」


妙高「艦娘による艦隊を二部隊たて、実戦を想定して戦ってもらう、と簡単なものです。この利点は、敵の編成や海域を想定して事前に準備をすることが出来たり、日の浅いの艦娘に経験を積ませてあげたりできることです。従来の、いわゆる「当たって砕けろ」で経験を積んでいくやり方では、いたずらに弾薬や鋼材、修理費を消耗してしまう可能性が非常に高いです。この…そうですね仮に「演習システム」と言いましょうか、この演習システムをとることで、そういった効率の良い経験の積み方が出来ると思います」


提督「おお。画期的。で、その問題点は?」


妙高「……まず真っ先に挙げられるのは、まったく土台がないことです。現在の訓練場では狭すぎますし、新たに広く、かつ安全な海域が必要になります。そして、結局はやり合うので、このままでは弾薬費や鋼材、修理費がただ倍増してしまうこと。加えて、何の規則もなければ、互いに遠慮し合って演習にならない可能性があることです」


提督「ふむ。確かに問題は多めだね。でも実戦で覚えさせるよりははるかに効率的で、安全だ。なんとか実用に持ち込みたいな」


妙高「いかが、いたしましょう」


提督「まったくのゼロからだ。下地作りから始めないと。それも二種類」


妙高「二種類?」


提督「ハードとソフト…船体と内部構造って言えばいいのかな?つまり、演習の場所、弾薬もろもろの「船体」と、どういう仕組みでやっていくかの「内部構造」だ」


妙高「なるほど」


提督「「船体」は、みんなの仕事ぶりでなんとか経費を獲得してオレが出世して融通が利くようになれば、時間はかかるが出来上がるはずだ。だが本当にゼロなのは「内部構造」のほうだ。この際だから、訓練メニューや教科書みたいなのも作って、より効率よくしたい」


妙高「教科書…ですか」


提督「艦娘は軍艦なみの力を発揮できる人間…とまぁザックリだが、そういうもんだろ?だから今までのどの教科書も当てはまらない。ちなみに、オレが貰ったのは軍艦のやつだけど、みんなに出会って初日に捨てた」


妙高「確かに、明確な訓練方法は確立されていませんね」


提督「そう、だから、それを作る。どうせこの後も艦娘は増えていくんだろうし、後世のために一筆振るうのも罰当たりじゃあるまい?」


妙高「教科書の編纂…とてつもない仕事量になりますよ?」


提督「そこはオレのお仕事かな。みんなに手当たり次第色んな事やってもらって、データを取って、それを取捨選択していく。鎮守府総員仲良くブラック労働だぜ☆」


妙高「球磨さんが発狂しますよ?」


提督「今後来るかもしれない妹たちのためって言ったら納得しそう」


妙高「恨まれても知らないですからね」


提督「そこはツケかな。出来うる限りの方法で返済していきたい」


妙高「……やるしか、なさそうですね」


提督「道は長いぞぉ~。一大プロジェクトだ」


妙高「一歩一歩、ですね」ニコッ


提督「そうそう。妙高さぁん」


妙高「はい、なんでしょう?」


提督「……事後報告~」


妙高「はい?」


提督「あれさあれ。「補給」のその後だ」


妙高「……」ピクッ


提督「「補給」はけっきょく失敗。ただ、損壊はうちが完全に手を引いた後で、「誤った使用法」でお釈迦だって。ついでに、技術者と重要なデータもろとも飛んじゃったから、しばらくこの計画は凍結だとさ」


妙高「どういうことです?その、「誤った使用法」…」


提督「むこうの内輪揉めかもね。噂によると何人かの陸の将校が連行されたらしい。トカゲの尻尾を切り落とすどころか、最初っからトカゲ本体がボロボロだったみたい。ちょうどいいから、尻尾は自分で離脱して、無関係貫くことにしたよ」


妙高「よ、よかった…」ホッ


提督「オレは裏も表も「与えられた任務」は完全に遂行した。だからこの首は落ちんさ。みんなのおかげだね」


妙高「これで、何かが良くなったのでしょうか?違法性があったとはいえ、人類を守るための計画だったのでしょう?」


提督「選択肢は一つ減ったかもね。けどさ、あいつらに勝ったからと言ったって、それで世界が汚くなっちゃっても、後味悪いじゃん?」


妙高「そう、ですよね…」


提督「そうポジティブにとらえようさ」


妙高「いつか…」


提督「ん?」


妙高「いつか、「存在も忌み嫌われる兵器」なんか使わなくても世界を救える日が来るといいですね」


提督「じゃ、みんなにゃより頑張ってもらわなきゃな」


妙高「そのためには、提督にはもっと偉くなっていただかないと」


提督「かぁ~っ。権力に興味はないのに」


妙高「出世は男の本懐と聞きますよ?それに私たちの提督なんですから、せめて少将以上にはなってくださいな」


提督「それすんげえ偉い…。やめてやめて。偉大な先輩方には遠く及ばないから」


妙高「「今は」です。いつの日か、この海に彼ありと謳われる日が来ると、信じています。偉く、賢く、優しいあなたが、今まで誰にも成し遂げなかった偉業を次々と成し遂げ歴戦の猛者になる日が。でも、提督の事だからきっと艦娘にエッチなことをしてるのが目に見えています。でも不思議と、彼女らから慕われるんでしょうね。もしかしたら、そんな提督のうわさを聞きつけて、海外からも艦娘がやってきたりするんでしょうか」


提督「なにそのハーレム物の主人公みたいな奴。んなわけないじゃん」アハハ


妙高「元軍艦を女性にして、訳の分からない敵と戦う世界ですよ?そのくらいの飛躍があっても驚きません」


提督「ま、そうなりゃ最高だね」


妙高「あーあ。未来の英雄様に、今から手籠めにしてもらおうかしら」


提督「え。妙高さんってそういうこと言うの?」


妙高「提督だって、私に対する口調が滅茶苦茶じゃないですか。なんで部下に「さん」をつけるんですか」


提督「だって財布のひも握られてるし。ある意味オレよりも偉いから」


妙高「これは提督がまた勝手に無駄遣いをしないためです!」


アノアイスハドコデカッタンデスカ?


シコウヒンクライユルシテヨ


ダメデス!


電(……あの。また聞いてしまったのですが)ハァ


コンコン


ハーイ


電「電なのです。お手紙が届いたのです」


提督「さんくー。どこからだろう」


妙高「大本営でしょうか?」


提督「……ほえ。また新しい子が来るそうな」


妙高「あらおめでたいですね。誰でしょうか?」


提督「高雄…だって。高雄…高雄?どっかで聞いたな」


妙高「重巡洋艦ですね。摩耶さんのお姉さんですよ」


提督「ほうほう!あいつの姉か。じゃあさぞかし大きんだろうな」ワキワキ


妙高「またそういう。いいですか?いかに艦娘と言えど、女性にそういったことをするのはマナー違反であり…」


電(……今はまだ、電は頼りないですが、小さなことでもいいから司令官さんを応援したいのです。小さすぎて、たとえ気付かれなかったとしても、です)


提督「でもやっぱりね?胸は使うためにあると思うんですわ…」


電(どうしようもなくどうしようもないこの人の、どうしようもないくらい頼もしい姿を見てみたいのです)


妙高「話題をそらさないでください」


電(苦しくも楽しい日々を、この人と乗り越えてみたいのです!)アハ


提督「む?」


妙高「ほら、呆れられてますよ。駆逐艦の前でそういった話題は控えてください」


電「司令官さんは、やっぱりお胸の大きい方がお好きなんですか?」


提督「んー。胸の大きさもいいけど、やっぱり尻も捨てがたい」


妙高「そうじゃありません」


電「……牛乳、飲んでみようかな」ボソッ


妙高「っ」ピクッ


提督「あ、でも待てよ。スレンダーってのも捨てがたいし、どうしよっか…」ムジカク


妙高(この女たらし…)ハァ


………


……




電「」ムニャ


電(……あれから毎日牛乳は飲んでますけど、ついぞ変わらないのです)


電(でも、少しは大きくなれたでしょうか?少しは、支えになれてるでしょうか?)


ワイワイ…


電(ここは、こんなにも大きくなりました。私たちも、とっても暮らしやすいです。でもきっと、司令官さんの夢はまだ叶っていないのです。この先、もっともっと電も強くなりますから、お役に、たたせてくださいね…)


電「」ムニャ


………


……




後書き

はい、こんな感じで。

以前から触れてた「提督がアホやらかしまくってた」時期をチラッと。
時期的には黎明期初期、本家ゲームだったら(wikiを見ないで)「ある程度艦娘揃ってきたから色んな任務とか遠征とか手を出してみる」時期がモデルです。無茶して赤字になって苦い思いをした提督諸兄も多いはず。

誰でも最初から凄いわけじゃないってお話です。つみかさねつみかさね。

今後も不定期で過去編やろうかなと。構想はあります、構想は。

夏ですね!どうか皆さん熱中症にはお気をつけてください!


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1: SS好きの名無しさん 2019-07-31 21:35:46 ID: S:p5CTOC

待ってました!

今回はいつもと違ってハラハラドキドキしながら読ませていただきました!

こんな過去があったんですねぇ

次も期待してます!

2: SS好きの名無しさん 2019-07-31 22:24:40 ID: S:_vtQVe

いいじゃないですかー!
設定がきっちりしてて読みやすいです
他の過去編も楽しみにしてます

3: ポチという名のネコ 2019-08-01 11:27:55 ID: S:zetVRN

コメント、お気に入り、評価、応援等ありがとうございます!

提督補正でだいぶ軽くなりますが、実際はしっかり深海棲艦と戦ってたりします。いずれバトル描写も挑戦したいなと(神通無双とか)。

過去編ですが、本編と同時進行でそこそこやりたいと思っています。

気軽にお待ちいただけると幸いです。


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