2020-03-10 20:58:26 更新

概要

ゲームキャラが現実世界に来る!?

数年前まで、"艦これ"をプレイしていた楓。
それから月日が経ち、中学最後の冬。
久しぶりに"艦これ"を立ち上げようとしたら…


前書き

ゲームキャラが現実世界に来るッ!?(2回目)

誰もが1度、『あー、ドラえもん欲しいなー』と思って勉強机の引き出しにドラえもんの絵を入れた事がありますよね?
エッ?アッ、ナイ……

誹謗中傷コメはお控えください!


三次元は二次元の夢を見る




「あと少しで中学生活終わりかー…」ダラー




炬燵に入りながらテレビを見る。このひと時はどんな時よりも落ち着くし、何より心地がいい……




「何言ってんの?アンタ受験控えてるんでしょ?」




『現在、上空で雷が発生しており…』




「今いい気分だったのに……母さん、気分壊さないでよ……」ハァ




蜜柑を手に取り一つ一つ丁寧に剥き、それを口に放り投げる…




「………進学先は決まってるんでしょうね?」




「……………ゴクン」




「き、決まってるに決まってるじゃないかー(棒)」




「アンタ動揺し過ぎで何言ってるか分からないわよ。」




「うぅ……」




受験前にその話題はして欲しくなかった…!

受験生にとって、どんなに辛いことか母さんは分かっているのだろうか……?




「っと、母さーん。お茶持ってきたよー」ガラッ




「あら、ありがとう。アンタも炬燵に入りなさい。」




「はーい♪」スッ




こいつは妹の星香。俺より頭が良くて……まぁ、よくある『片方悪くて片方良い』の"良い方"ってやつだ。




「そろそろアンタも中学2年生になるのね…」ズズッ




「そうなんだよー!いやー時が経つのは早いもんだねぇ~…」ズズ




「……」ズズッ




星香の持ってきたお茶を啜りながら2人の話を聞きつつテレビを見る。

ふむふむ、今雷鳴ってんのかよ。冬だぞ。




『続いては"艦これ"特集です!』




「あっ、これ楓兄がやってたゲームじゃない?」ズズ




「そういえばやってたわね、夜遅くに『やったー!海域開放したー!』って叫んでたわね」ズズッ




「あー、忘れてた……」




数年前、確かにこのゲームをやっていた。

だか、受験やら恋やらで日に日に、、




いや……恋は無かったな




まぁ、やらない日が増えていった……




「あっ、この娘可愛い!」




「色んな子がいるのね…こんなにいて、全員分かるのかしら?」




「さーぁね」




最初に艦これを知ったのは2、3年前だった。

雑誌の特集で興味を持ち、父さんのパソコンを使って艦これを始めた。




最初は、右も左も分からなかったが海域を広げるにつれて、艦娘の数や資材も増えていった。




イベントには全力で取り組み、遠征も疲労度が溜まらないように回した。




しかしある時、父さんが仕事でプレゼンをする時に、誤って艦これをその場で開いてしまった事がある。その時の秘書艦は中破した谷風だったらしい




父さん……ホントにごめん




でも、色々な事があった。




最後に艦これを開いたのはいつだろうか?




皆は元気かな?




遠征はどうなったかな?







皆の姿が見たいな






「……なーんてね」




「うわ…母さん、楓兄が何か独り言喋ってるよ。」




「おい待て、俺は怪しくないぞ!」ガタッ




「やめなさい。星香も楓も五月蝿いわよ?」ズズッ




「はーい、、」




「はぁ…悪かったよ」




再び俺達はテレビに首を向けた




『身内にロリコンが居たら気をつけ……』




「……さっきのCM」ボソッ




「楓、お話があります。」




「何でだよ!?さっきの関係ねぇじゃん!」




ホントに何で俺が攻められねばならん!これもうわかんねぇな。




「俺もう寝るぞ…」




「分かったわ。あ、雷には……」




ピカッ、ゴロゴロ、バァーーンッ!!




フッ




「うおっ!今この家に落ちなかったか!?ってか、真っ暗じゃん!」




「落ち着きなさい、ブレーカー上げれば良いだけよ。星香、上げてきてくれる?」




「はーい!」タタタ…




しかし……何で母さんは冷静なんだ?ある意味凄いな。




ガチャッ




ブウン




チカチカッ




「わっ、眩し!」




「ほら、何とも無いわよ?」




「ホントだ……あ、そうだ!パソコン大丈夫かな……」タンタン




2階 楓の部屋




「パソコンは……無事だな。うん。」




モニターには色んなアイコンがズラリと並んでいる。勿論、そこには"艦これ"もある。




「………少しくらいは良いよね?」カチッ








「…………」




あれから5分間動かなかった。

どうやらロード中らしい




「………こんな長かったっけ?」チラッ




時計を見ると既に1時40分を指していた




「げっ!?もう寝なきゃ……」




「部屋のスイッチは、と……お、あったあった」




パチッ




『おやすみー』と心の中で唱え、寝ることにした……








「………司令官さん、こんばんは?」




誰かいる……あー、もう夢の中か…受験勉強やらで疲れたからなぁ。多分あれは妖怪でしょ




「あー、俺もう寝てるから」




「???」クビカシゲ




なんだこの会話。会話成立してないけどまぁいいか……




「それじゃあ、おやすみー…」




「おやすみなさい、司令官さん……」













チュンチュン




鳥の五月蝿い囀りと、窓から溢れる光で目が覚める。




「もう朝かよ……ダルいn




ギュッ




ん?何かに掴まれたな?

大丈夫かコレ?え、どうしよ…

Twitterに投稿しよ……




さて、一気に捲るか……!




バッ!




「スースー………」




「………………えっ」




バサッ




「え、待ってくれ…あーそうか、まだ寝ぼけてんだな。」




もう一度捲ると。枕がある筈、、、

よし!




バッ!




「スースー………」




「………………あ、あ…」




いや、間違いない。この制服……!?




「………」ムクッ




まさか、この娘……!?




「あ、司令官さん。」




「おはようなのです!」




電!?!?




「おーい、楓兄?入るよー?」




マズい!!今この状況を見られたらッ!!




「待っ………」スルッ




「楓兄?」ガチャ








「ぐ、ぐっともーにんぐ…」電抱き締め








「…………」




「…………」




「か」




「か?」




「母さーーん!!!楓兄が誘拐犯になっちゃったぁぁぁああ!!!」




「誤解だあぁぁぁぁあ!!!」





電と三次元?




テーブルの上にはズラリと並べられた朝食

見るだけでも腹が空いてくる。

だが、食べようとする気配は無い……

なぜなら、、、




「…………」




「…………」




「…………」




「…………?」




気まずい……気まずすぎる!

今俺は正座をし、必死に目を逸らしている。

なぜって?星香がすっごい睨んでくるからだ…




「……それで、この娘はどこで誘拐してきたの?」




「だから誘拐なんてしてないって!」




「じゃあ、この娘は何処から来たの!?」




「そ、それは……!」




ここで『ゲームの中からでてきた』何て言ったら通報されるに決まってる……!この状況を打破できる答えは…!




「は、腹が減ったなー」




俺の答えは"お茶を濁す"だ。




「は!?意味わからない!とりあえず警察に通報しなきゃ!後、父さんに連絡しなきゃ!」ガタッ




「違う!違うんだって!ホントに待ってくれ!ってか、最後なんて言っt……




『ぐうぅぅーーーー!』




ん?何の音だ?

俺は音の"主"の方を見た…

あ、星香も見てる。




「……」チラッ




「……」チラッ




「ご、ごめんなさい………///」




「星香、楓。」




暫く黙り込んでいた母さんが口を開いた。

一体何を……




「な、何?母さん……」



「……今は、朝ご飯を食べなさい。冷めるわよ。」




ナイス母さん!これで警察は回避できた!




「でも……!」




「但し!」




な、なんだ……?

俺は思わず固唾を呑んだ……




「朝ご飯の後に家族会議を開きます。」




「えっ、いや、ちょっ……」




「い い で す ね ?」




母さんには勝てない……

もう、どう弁解したらいいんだ……




「ハイ……」




「よろしい。さ、食べましょう。」




あ、あれ?電はどうすれば……




「あ、あのっ!」




「星香。」




「何?」




「もう一人分の朝食を持ってきなさい。」




「えっ、母さんそれって……」




「いいのですか?」オドオド




「多い方がより美味しいのよ。」ニコッ




か、母さん……!

優しすぎる………!





「それじゃ、いくわよ?手を合わせて……」




「「「「いただきます!」」」」パン!




「なのです!!」




電と家族会議




朝食をとり、再びテーブルを囲む…

席は、俺の向かい側には星香が。

斜め横には電。電の向かい側が母さんだ。

ちなみにテーブルは長方形である。




「さて……始めましょうか。」




あぁ、この時間が来てしまった。

回答次第では間違いなく終わる…




『それでは、家族会議を開きます。』




「まず、この娘は誰なのか?ね。」スッスッ




「なら、自己紹介した方も早いかもねー。」




そう来たか……

まぁ、そうだよな。




チラッ




「」キョロキョロ




「…………」スッスッ




変な事を言わなければ大丈夫な筈…

ん?さっきから母さんは何を調べてるんだ?

……よし。




「電、自己紹介出来るか?」




「ハイなのです!」




多分大丈夫だろう!←フラグ




「では……暁型4番艦、駆逐艦の電です。どうか、よろしくお願いいたします。」




「あと……」




ん、電?




「ケッコンカッコカリ候補の1人なのですっ!!///」




え、電さん。

今………なんて?




「い、電ちゃんだっけ?け、ケッコンカッコカリって………まさか……」




星香、その質問はマズい!

電も答えないでくれよ…………!




「……………///」カアァ




ピッピッピッ………プルルル………




まさかこの音って……




「もしもし、警察ですか?今家にロリコn……




「フンッ!」ヒョイ




俺は星香の持っていた携帯を取り上げた。

いや、取り上げなければいけなかったのだ…!




「返してよロリコン楓兄!」




「だから誤解だって言ってるだろ!?」




「いや、おかしいでしょ!まだ幼い子とケッコンするなんて!!」




「ゲームだから!カッコカリだから!」




「何言ってるか分からない!取り敢えず警察に連絡しなきゃ!」




「だから待ってくれ!!!」




「はわわわ……!!」




もう、家族会議じゃなくなってきた……

これどうやって収めたらいいんだ?

あぁ、頭痛が…




「ケッコンカッコカリとは」




この声は、母さん?

まさか!




「『実装された新システム。Lv99の艦娘とする事が出来る。そしてステータスが上昇する』ね……」




「星香、これを聞いて楓がおかしいと思う?」




「……………」考え中




もう星香の誤解を解いた!

流石母さんだ…!

これなら!




「で、でもさ!電ちゃん?はゲームの中での存在なんでしょ?なら、ここに居るのはおかしいんじゃない!?」




確かにそうだ。だけど、来てしまったのは

何かがあったからに違いない……

あるとすれば昨日。

何か…何か無かったか……




『現在、上空で雷が発生しており………』




昨日何かあったとすればこれだけだな……!




「雷だ!」




「雷が何よ?」




「昨日、この家に落ちただろ?」




「まさか…!この家に雷が落ちて、その衝撃で艦これから来たって事!?」




ありえないと思うかもしれない……

けど、それしか方法が無い。




「……そうだよ。」




「そんなアニメや漫画みたいな出来事が起こる筈ないじゃない!」




「じゃあ、この電はどう説明するんだ?」




「えっ?そ、それは……」




「……星香。あなたが言ったことは正しいわ。けどね、もう目の前で信じられない事が起こっているの。」




「母さん………」




「なら、認めるしかないじゃない?"ゲームの中から来た"って。」




「分かったよ…母さんが認めるなら、私も認めるわ。」




良かった!これで解決だな……




「あの、母さん。電の事認めてくれてありがとう!」




「ありがとうなのです!」




「別に気にしなくていいわよ?」




やっと終わったな…

スマホを取り出しつつ、今日の天気は、、

「おっ、今日は1日中晴れなのか……」




「あの司令官さん、それは何ですか?」




「ん?あぁ、スマホだよ。デパートや携帯ショップに売ってるよ?」




「すまほ?でぱーと?けいたいショップ?なんなのですか……それ?」




えっ。まさか……




「電!これ何か分かるか?」




テレビ




「薄くて四角い物……ですか?」ジーッ




ピッ




『わっはっはっはっは!!』




「はにゃーー!?」ビクッ




「うおっ!って、星香か。何やってんだよ?」




「ごめんごめん。どう反応するか気になってさ!」




全く…あ、電はどうなったんだ?




「大丈夫かー?電……




「この中に人がいるのです!凄いのです!中はどうなってるのですか!?」




これある意味マズイな、、、

1人で外に出たら大変な事になりそう…




「さてと……」スクッ




「どうしたの母さん?」




「楓、星香。それと、電ちゃん。」




「ハイなのです!」ビシッ




いきなりどうしたんだ?

何かするのかな……?




「これから出かけるわよ!」




「いや、でも母さん……」




『今日はゆっくりしていたい』と言おうとしたその前に……




「今日1日中、晴れなんでしょ?」




声に出てたか……

でも、電の為にもこの世の中の事を教えてあげないとな…




「そうだよ、晴れだよ。」




「電ちゃん、色々教えてあげるわよ!!」




「ちょ、母さんテンション上がりすぎじゃない?」




「気のせいよ。それじゃ、行くわよー!」




「おー!なのです!」




まぁ、何とかなるか!




電とデパート




「ここがデパートよ。電ちゃん!」




「わー!凄いのです!広いのです!」キラキラ




デパートに来るまで大変だった……




歩道信号機が赤の状態で渡ろうとしたり、




通り過ぎる車を見つめて動かなかったり、




人混みに巻き込まれ迷子になったり……




もちろん、全部電の事だ。




「普通だったらここまで大体10分よね?……でも今日掛かった時間は?」




「………1時間。」




「ある意味すごいわね…」




俺と星香が話ていると、電がこちらに気付いた。




「司令官さーん!早く行こうなのです!」フリフリ




「今行くから待ってなー!」




「さて、私達も行こうか、司令官さん?」




「お前はその名前で呼ぶな!」









今はお昼前だが、中には多くの人が行き交っており、すぐ傍の洋服売り場では丁度バーゲンが行われていて、沢山の人達で溢れ返っている。




「電ちゃん、アレ何か分かる?」




母さんが指を指した先には、さっきの洋服売り場があった。




「分からないのです…。」




当たり前でしょ…母さんはなんて教える気だ?




「アレはね……"女の戦い"よ!」




「戦い……ですか!」




「…………」




なんて事教えてるんだ母さん!?

星香も何とも言えない顔になってるし!




「次行きましょう!」




「なのです!」




ホントに元気だなー、2人共……

取り敢えず、俺達は次の店へ向かう為に足を進めた。




「着いたわよ!」




母さんに連れられて来た所は、お洒落な洋服屋

だった。結構広いんだな…ここ。




「さて……星香!」




「ん?どうしたのー?」




「電ちゃんの洋服をコーディネートしてみなさい!」




「えっ?私が!?」




星香は、母さんの発言にとても驚いていた。

星香が電の服をねぇ………




「………不安だな。」




「楓兄、今なんて言った?」




「何も言ってないぞ。」




「……まぁいいや。電ちゃん、行こう!」




「ハイなのです!」




電の手を引き、洋服屋へ入って行く。

今この場に居るのは、俺と母さんだけだ。




「さてと……楓。」




ん?一体なんだ?

小遣いでも貰えるのかな?




「色々と質問させてもらうわよ。」




ですよねー……!









俺と母さんは、デパートの中にある

レストランに来ていた。

先にドリンクを頼み、一息つく。

多分艦これについての質問だな……




「さぁ始めるわよ。まず最初に、"艦これ"でのプレイ状況を教えて。」




「分かったよ。まずは……」




母さんに、プレイ状況を全て話した。

話していくと、思い出が沢山出てくる。




「…成程ね。じゃあ最後に」




やっと最後か……

気付けば昼時、周りは人で一杯だ。

グラスに入った冷えたコーラを少し飲む…




「電ちゃんが言ってたわよね?」




「何を?」




「自分はケッコンカッコカリ候補の1人だって。」




グラスの中の氷がカランと音を立てる。

それがどうしたのだろう?

あっ、まさか……




「これは私の予想だけど、電ちゃんの他にまだ【候補】はいるんじゃないかしら?」




……その通りだ。練度99の娘はまだいた。

だが、それが誰だかは思い出せない。




「その【候補】がこっちに来るんじゃないかしら。」




「そんな有り得ない事言うなよ!!」バンッ!




シーン……




レストランが一気に静まり返る。




「あっ、すいません……」




「あっ、いたいた!おーい!」




振り返ると星香と一緒に、紙袋を持った電がいた…




「あら、おかえり。随分遅かったわね?」




「いやー。電ちゃん何でも似合ってさー、つい……。」




「電は凄く楽しかったのです!」




電が満足そうで良かった。

……あっ、腹減ってきた。




「さて!お昼にしましょうか!」




「やったー!!電ちゃん、ハンバーグ食べよ!!」




「楽しみなのです!!」




さて、卵焼き定食でも頼むか……




「楓。さっきのは気にしなくていいわ。」




「いや、俺も悪かったよ……ごめん母さん。」










昼ご飯を食べ、またデパートの中を回った。

電がペットショップの犬を連れて帰りそうになったり、ゲームセンターでぬいぐるみを取るまでその場を動かなかったりする内に、太陽が沈みかけていた…

その帰り道。




「電ちゃん、デパートはどうだった?」




「すっごく楽しかったのです!!」




ぬいぐるみを抱きしめ、電が微笑む。

……気が付くと家の前についていた。




「今夜は豪華な晩御飯よ!!楽しみにしてね、電ちゃん!!」




ガチャ!




「楽しみなのです!晩御飯は何ですか?」




「…………」




しかし、母さんから返答がない。

気になって俺が聞いてみる事にした…




「あの、母さん。どうかした……」




「………誰か居るわ。」




母さんからの返答は、衝撃的な物だった……




未知?との遭遇




「え、え!?まさか泥棒!?」




「どろぼう?何ですか?それって……」




「人の物を勝手に盗む悪い人の事だよ…!」




「はわわわ……!」




星香が電に泥棒とは何か教えてる…

って違う!

家に泥棒が??一体どうしたらいいんだ?

………やっぱり警察に通報しなきゃ!




ピピ………




「待って。」ヒョイ




「ちょっ!何してんの母さん、早く警察に!」




「通報するのは確認してからにしましょう?」




「えっ、嘘でしょ!?」




「こっちは4人。大丈夫なハズよ。」




マジか……どうなっても知らないからな!

星香と電は…




「電ちゃんは私が守るからね!!」ギュッ




「頼もしいのです!」




星香が電に抱きついている……

うん。大丈夫だな。




ガチャ…




「私と楓は1階、星香と電ちゃんは2階を。もし危険を感じたら警察に通報して。じゃあ行くわよ…」




俺と母さんは1階の居間へ向かった。

だが、荒らされた雰囲気はない………




「特に変化は無いわね…」




『『キャーーッ!!』』




星香達の声だ!!やっぱり泥棒が居たのか…!




ドタドタ……!




楓の部屋




ガチャ!!




「2人共、無事か……」




「キャー!」




「はにゃー!」




そこには、白い布で覆われた【何か】が暴れて居た…。

幽霊か?!




「うわっ?!何これ!?」




「泥棒?……って。」




母さんが【何か】に近づき……




バッ!!




白い布を一気に捲りあげた!

そこには……




「……あ!やっと取れ……あれ?」




「「「「…………」」」」




何とも言えない空気が部屋を包み込んだ。

びっくりする程静かである。




「……取り敢えず、自己紹介は晩御飯前ね。」




自己紹介!!




グツグツ………




今夜は【すき焼き】だ!

既に食欲をそそる匂いが部屋中を包んでいる!

今すぐに食べたい……が。




「………美味しそう」すき焼き←ジーッ




んんっ!!




「」ビクッ!




「さて、あなたは一体誰?自己紹介…できるわね?」




「は、ハイ!!」







「こ、こんばんは、軽巡、【阿武隈】です。」






「あら、ケッコンカッコカリ候補の1人なんでしょ?【阿武隈】ちゃん。」




「はいっ!エッ!何でそれを!?///」




「大体分かるわ。」




あぁ。すき焼き……じゃなかった。

って、星香と電は遊んでるし。




「あの、アタシには驚かないんですか?」




「電が来た時に比べればまだマシだ……」




あれは凄く大変だった…!

1歩間違えたら警察送りになる所だったからな…

ん?星香と電がこっちに来た…




「阿武隈さん!こんばんはなのです!」




「あ、電ちゃん!あなたがいなくなって大変だったんだから…。」




「ごめんなさい!それよりも…」




「???」




「ねぇねぇ!阿武隈ちゃん…だっけ?その髪型どうやるの??」




星香が阿武隈に詰め寄る。

おぉ、流石星香。初対面でもグイグイ行くな…




「エッ?ヤダ!アタシ!?」ビクッ




「そうだよ!ねぇ、後で教えてよ!」




「分かったわ!じゃあ…」




『グウゥゥゥーー!』




「……ごめんなさいなのです///」カアァ




電……分かるぞ。俺も腹が減って力が出ない!

すき焼きには勝てないもんな…




「さて、そろそろ食べましょう?ほら、阿武隈ちゃんも……」




「えっ、アタシも食べていいんですか!?」




まぁ、そうなるな。

初対面で、すき焼き食べようって言われたらなぁ…




「それじゃ、手を合わせて……」




「「「「「いただきます!!」」」」」




「なのです!」




阿武隈と三次元




「……で。どうやってここに来たんだ?」




「えっと………気付いたら部屋に居ました。」




すき焼きを食べ終え、再び質問をする。




「気付いたら……ねぇ……」




「はいはーい!母さん、この2人はどうするのー??」




「ここで面倒見るわ。」




「やったー!あ、部屋綺麗にしなきゃ!」タタタ…




行動が早いな。もう自分の部屋に行ったのか…




「あの、ありがとうございます。アタシ達を……その…」




「いいわよ。楓が大切にしてた娘なら大歓迎よ!」




「良かったな!電、阿武隈!」




「ハイ!(なのです!)」




「それで部屋は…」




母さんに質問しようとしたその時…






「2人は楓の部屋を使いなさい。」






………は?ちょっと待って……

え?それって、




「……相部屋ですか?」




「そうよ?嫌なら星香の部屋を……」




「いえ!!楓さんの部屋がいいです!」




「なのです!!」




「分かったわ。じゃあ楓、後お願いね!」




「えっ……あ、うん。分かった…」









「ここが俺の部屋だぞ…まぁ何も無いと思うけど」ガチャ




「わぁーー!!」キラキラ




「広いのです!!」キラキラ




ドタドタドタ!




「部屋は荒らすなよー」




「分かりました!」キョロキョロ




「ハイなのです!」ガサガサ




早速2人は部屋の中を見回したり、ベットの下に手を…

ん?ちょっと電?何して…




「あーっ!!」




「っ!どうした!?……やっぱり隠し場所が甘かったか…?」




「楓さん…これってアタシですよね!」




阿武隈が指していたのは自分自身の【フィギュア】だった…

あれって確か練度が99になった記念に買った物だったな。




「わぁー!電のもあるのです!」




「電も練度99だからね………出費は痛かったけど。」




「あれ、これってす……」




ガチャ




「2人ともー!お風呂入ろー!」




阿武隈が何か言おうとした瞬間、星香が部屋に入ってきた。




「エッ!お風呂に入れるの!?やったー!お風呂大好きー!!」




「決まりだね!じゃ、行こー!!」タタタ…




あっ、待て!……ってもう居ないのか、、




「ところで楓さん。さっき【隠し場所が甘かった】って言ってましたけど……」




電が問いかけてくる…

あ、ヤバい。声に出てたのか!?




「一 体 何 を 隠 し た の で す ?」




「っ!!ほらほら!お風呂に行った行った!!阿武隈、早くした方がいいんじゃないか!?」




「確かにそうですね!行こ、電ちゃん!」




「……ハイなのです!」




電と阿武隈が部屋を出て脱衣場に向かう。

よ、良かった…阿武隈が風呂好きで…




……さてと




「………隠し場所変えるか…。」









「えっ!?星香さん一緒に入れないの?」




「ごめんねー、宿題があるの忘れてて…明日学校なの。」




「そうなんですか…頑張ってください!」




「なのです!」




「ありがとう!頑張るね!」タタタ…








「………じゃあ、2人で入ろっか!」




「ハイなのです!」










「はぁーー…やっぱりお風呂はいいよねー…」




頭と体を洗い終え、湯船に浸かり目を閉じリラックスする…

一時はどうなるかと思ったけど、皆優しい人で良かったなぁー…




「阿武隈さん!これを見てください!」




「どうしたの電ちゃん……【ばすろん】?何それ?」




電が手に持っていたのは、入浴剤が入った容器だった。

電ちゃんの目がキラキラしてる…興味津々みたい…



「コレをお風呂の中に入れると凄い事が起きるって書いてあるのです!!」




「ちょっと見せてもらってもいい?」




「ハイなのです!」スッ




ツルっ




ボチャン




手が滑って湯船の中に容器が落ちた。

すると、みるみる内に一面が緑で染まっていく…匂いもいい匂いへと変わっていった。




「んー!気持ち良くなった気がするわ!……ところで電ちゃん。その容器は何処から持ってきたの?」




「えっと、蓋を開けたら銀の紙みたいのが貼ってあったので剥がしてそのまま持ってきたのです!」







「よし、これなら電も気づかないな!さてと…勉強するかな…」




隠し場所を変えた後、机に向かう。

受験生にとって、今が1番重要な時期なのだ。

……最近ゲームしかしてないけどね…




「さて、これからどうするかなぁ……」




電と阿武隈…受験……。考えれば考える程、問題は山積みになっていく。頭がパンクしそうだ…




「ま、何とかなるかな!」





学校へ…





「あぁ…学校嫌だなぁー…」スタスタ




月曜日。1週間の始まりである…

学生にとっては憂鬱で仕方がない。




「ダメですよ!ちゃんと行かなきゃ!」スタスタ




「なのです!」スタスタ




家を出て学校を目指す。…ん?電?阿武隈?




「なんで着いてくるんだ?」




「なんでって…私達も学校に行くんですよ!ね、電ちゃん!」




「はい!学校……楽しみなのです!」




2人は目を輝かせている。

困ったな…学校に行かせられないからなぁ…

仕方ない…




「2人共よく聞いてくれ、学校には行けないんだ。」




「何でですか?」




「が、学校に入る為には受験をしなきゃいけないんだ」




誤魔化す為に、頭に浮かんだ言い訳を言う。

取り敢えずそれっぽい事言ったけど…何とかなるか?




「そうなんですか…分かりました!じゃあ…帰ろうか、電ちゃん!」




「ハイなのです!」




2人が来た道を引き返していく。

何とかなったな…




「さて、行くか…」




俺は再び歩き始めた。

やっぱり行きたくないなぁ…









学校に着き、昇降口で上履きに履き替えて教室を目指す。




「さてと…」




廊下を歩き教室へ。

中からはいつもと変わらず騒がしい声が廊下まで聞こえてきている。




「うーっす」ガラッ




「おっ!来た来た。おせーぞ!」




「すまんすまん。ちょっと寄り道してて…」




教室に入ると亮が声を掛けてきた。

亮は中1からの付き合いで、席が隣同士だったので話してみると意外とノリがいい奴と言う事が分かり、それからつるみだした仲である。




「それで……決まったか?」




「何が?」




「はぁ!?お前土日に決めて来るんじゃなかったのかよー!!」




「土日……あぁ!あれか!!」




亮が「卒業する記念に誰かに告ろうぜ」と提案してきたので俺はいつものノリで承諾し、「土日の間に誰に告白するかそれぞれ決めてこよう」と言う事になっていた。電達の事で忘れてた…。




「俺は決まったぜ!8組の○○だ!」バンッ




「…8組ってお嬢様クラスじゃ?」




「うっ…。もしかしたら…もしかしたら…」




こいつ無謀すぎるだろ……

中2の頃、8組の奴に告った奴がいるらしいがそいつは罵声を浴びせられたとか…。




「それで…楓は誰にするんだ?」




「俺はー…あー…………」




「あぁもう!長ぇよ!じゃあ……委員長でいいな!」




委員長とは小学校の頃から自宅で遊ぶ仲だったが、中2の頃から……




「…………」ボーッ




「おーい、楓?」




「あ、あぁ。それでいいぞ。」




「じゃ、決定な!」




「分かったから早く席に戻れって…」




チャイムが鳴り教室に先生が入ってくる。

さてと、受験勉強でもやりますかね…







「ただまー」ガチャ




「あ、おかえりー」




学校が終わり、家に帰るとエプロン姿の星香が出迎えてくれた。今日は星香が夕飯作るのか…。




「ん?電達はどうした?」




「それなら…」フリムキ




「楓さんは…今まで食べてきたパンの枚数を覚えていますか!?」バアァンッ!




「海賊王にアタシはなります!!」ドン!




星香の後ろにはそれぞれポーズをしている2人の姿があった。

さては俺の本棚にあった漫画読んだなー?




「私、絶対に火影になるってばよ!!」バッ




「お~!!3人目とも完璧だよ!!」キラキラ




更に後ろから1人出てきて決めポーズをとっている。3人共漫画にハマったのかー……。




「いやちょっと待て。……【3人】!?」




後書き

1番上の章タイトルは気にしなくていいです!

3人目の艦娘、【○○】登場!!

駆逐、軽巡と来たら??

まだ艦娘は出てきます!

続きます


このSSへの評価

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このSSへのコメント

9件コメントされています

1: ドナルド・トランプ級航空母艦改 2019-07-31 21:30:23 ID: S:XSad1B

いっすね^~

2: SS好きの名無しさん 2019-08-01 01:33:29 ID: S:QGz--9

面白いです。
こういうSS探してました。
これからも頑張ってください。

3: 缶ジュース 2019-08-02 14:41:21 ID: S:2IUfPm

>1さん
ありがとナス!

>2さん
頑張ります!

4: SS好きの名無しさん 2019-08-03 06:55:57 ID: S:ruqY92

うちの親父のpcの中を除いたときさ。 アリスソフトのゲームが入ってたときの衝撃は今でも忘れられないw
家族のpcを除くのは辞めようね。

5: SS好きの名無しさん 2019-08-03 13:49:44 ID: S:t3zq2p

vrという未来の機械で艦これAC遊べたらそれは
間接的に具現化してると言えるのではないだろうか?

6: lig3ry 2019-08-09 17:45:39 ID: S:nsTKpp

いいゾ~これ

7: SS好きの名無しさん 2019-09-09 15:20:34 ID: S:H3af01

母さん有能すぎで草

8: SS好きの名無しさん 2019-10-02 20:41:30 ID: S:UZ2fbE

とても面白いです。
今後どうなるのか楽しみです。
これからも頑張ってください。

9: SS好きの名無しさん 2019-10-27 23:50:20 ID: S:9wtt25

前書きの内容ですが、自分もやった事あります。
そして身内に見られて、なんとも言えない空気になりました。


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1: SS好きの名無しさん 2019-08-09 10:15:13 ID: S:2IQHaA

これからどうなるか気になります!

2: SS好きの名無しさん 2019-09-15 00:31:39 ID: S:7KaIh3

ほんとそれ!


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