2019-08-07 12:08:49 更新

【ヒトサンサンマル】


ーー空母寮ーー


加賀「演習まで時間があるわね……」


加賀「提督からお借りしたCDでも聴こうかしら)


CDプレイヤー「ワイの出番やな」


ヘッドホン「ワイもいるで」


スチャ


??♪


加賀(この曲は……なんだか悲しそうね……)


~~♪


加賀(この歌詞……さっきの曲と似てる……)


提督「どうです? 気に入りました?」


加賀「!?」ビクッ


加賀「提督!! いつの間に! 勝手に入らないでください!」


提督「ごめんごめん。ノックしたけど返事なくて」


加賀「それは……いえ、それでも勝手に入るのはどうかと思います」


提督「ごめんって。で、どうだい? 曲の感想は」


加賀「気のせいかしら。なんだか愛について歌った曲が多い気がするわ」


提督「……」


加賀「しかもどれも悲しいような……失恋とは違う別れの辛さを感じるのだけれど……」


提督「あ……。CD間違えた……」


加賀「提督……あなた、恋人を失ったことがあるの?」


提督「いや……別に……」


加賀「目を見て言ってもらえるかしら」


提督「別に……ただ……やっぱり怖いんだよ。大切な人を失うのが」


加賀「なら、あなたはなんでこんな仕事を? 常に死が伴う仕事ではいつ大切な人と別れてもおかしくないのよ?」


提督「別れは辛いし失うのは怖い。本当なら誰かと戦うなんて避けたいところだ」


加賀「だったら――」


提督「だからこそ、守るために僕は戦うんだ」


加賀「……」


提督「守るためには、戦わなきゃいけない時がある。だから僕は戦うんだ」


加賀「そう……」


提督「ねぇ、加賀さん」


加賀「なにかしら?」


ギュウ


加賀「!!」


提督「本当は。君たちに戦ってほしくない」ナデナデ


提督「でも、今は戦わなきゃいけない」


提督「だから、どうか……無理しないで……」


提督「あなたも……ここにいるみんなも……僕にとっては大切な家族なんだ。だから、お願い」


提督「危ないことはしないで」ギュウ


加賀「全く……無茶を言うわね……戦う以上危険は付きものよ」


提督「それでも。君たちが大事なんだ」


加賀「そう。あなたがそこまで言うなら……」ギュウゥ


加賀「私もあなたにためにーー」


赤城「」ニヤニヤ


加賀「……」


加賀「……」ギュウウウウウウウ


提督「あの……加賀さん? 痛いです」


加賀「赤城さん。何故ここに?」


赤城「提督に鎮守府を案内して頂く話になったのですが、加賀さんもご一緒にどうかと思いまして。誘いに来たんです」


提督「加賀さん。痛い」


加賀「なるほど。つまり提督と一緒にこの部屋に来たと」ギギギ


赤城「そうなりますね」


提督「割とマジで痛いんすけど」


加賀「そして提督は赤城さんがいるとわかった上で私を抱きしめたと」ガガガ


提督「いやだって可愛くて抱きしめたかったんだもーー」


加賀「!」グッ


提督「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い! 折れる! 折れる!」


加賀「赤城さんの前でなんて恥ずかしいことを!!」


提督「があああああああああああ!! あ、でも胸があたっーー」


加賀「」バギッ


提督「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


ーーーーーー


ーーーー


ーー


加賀「それでは鎮守府の案内を始めましょうか」


加賀「ここが医務室よ」


提督「」グッタリ


赤城「流石にいい設備ですね」


提督「案内するとは言ったが誰が医務室送りにしろと言ったよ」シロイメ


加賀「あなたが悪いのよ」


提督「理不尽過ぎない?」


赤城「うふふふ。2人とも仲がよろしいんですね」


加賀「誤解されては困ります。誰がこんな人と……」


提督「僕たち仲良しじゃなかったの!?」ガビーン


加賀「もう一度折ってあげましょうか?」


提督「許して」


赤城「喧嘩するほど仲がいいって言うじゃありませんか」


加賀「赤城さん……私たちはそんなんじゃ」


赤城「いいんですよ照れなくても。加賀さんが素直になれないのは知っていますから」


加賀「……」///


赤城(この様子なら私が策を講じる必要もなさそうね。いや、念のために……)


加賀「それでは次に行きましょうか」


赤城「次はどこでしょうか。楽しみです」


提督「いやちょっと待ってよ。僕骨やられて動けないんだけど」


赤城「それは大変ですね……今高速修復材を取ってきます」


提督「ごめん冷静になって。それは僕に効かない」


赤城「なんだか漫画の敵キャラみたいですね」


提督「ふふふ。その程度の攻撃ではビクとも……ってちゃうわ。マジでアカンやつだから」


加賀「ものは試しよ。もしかしたら効果があるかもしれないわ」


赤城「そうですよ。意外といけるかもしれません」


提督「さてはお前ら楽しんでるな?」


加賀「それじゃあお風呂の案内も兼ねて取ってくるわね」


赤城「お風呂……いいですよね……」


提督「いやだから待てよ。待てえええ!!」


ーーーーーー


ーーーー


ーー


加賀「ここがお風呂です。大浴場ともいえますね。そこそこの広さです」


提督「修復材のせいでびっちょりなんだけど」ポタポタ


赤城「効果ありませんでしたね……」


提督「ツッコミ入れるために走ってこれたから結果的に効果あったんじゃない」


加賀「提督。その状態ではお体にさわります。湯船で体を暖めた方がよろしいかと」


提督「いやお前のせいだよ。なんで躊躇なく頭からぶっかけたんだよ」


加賀「やりました」


提督「やられちゃった」


赤城「提督自ら使い方を手ほどきして頂けるとは恐縮です」


提督「風呂の入り方のどこに手ほどきが必要なんだ? 医務室といい、さては行く先々で俺を弄ぶ気だな?」


加賀「食堂に行ったら提督をお刺身にしましょうか」


提督「サイコパスかよ!! 普通に恐ろしいわ! さっきのことまだ怒ってんの!?」


赤城「ダメですよ加賀さん。そこは提督を食べてしまいたいと言わないと」


加賀「!?」


提督「いやそれもこえーよ! つーかどっち? どっちの意味で食べる気?」


赤城「ご想像にお任せします」ニコッ


加賀「」ゴクリ


提督「なんか今日の一航戦テンションおかしいんですけどー!! 2人揃うとこんなになるの!?」


赤城「ご安心ください。冗談です」


提督「随分と重いジョークだなおい」


赤城「ところで提督。本当に湯船に浸かった方がよろしいかと。風邪を引きますよ?」


提督「2人がふざけるからツッコミで忙しかったんだよ。さすがに寒いから入ってくるわ」


加賀「そうね……それはいい判断ね」


赤城「せっかくですし私もご一緒しますね」


加賀「!?!?」


提督「へぇ!?」


赤城「提督には浴場の中も案内していただきたいです」


提督「案内する要素が全くないんですけど!?」


赤城「あるじゃないですか。シャワーの温度設定とか、桶の置き場とか」


提督「んなもん見れば誰でもわかるわ!!」


赤城「さ、行きましょう」グイッ


提督「ええ!? ええ!?」


ガチャバタン


加賀「……」


吹雪「あ、加賀さんこんなところに。もうすぐ演習が始まりますよ」


加賀「吹雪さん」


吹雪「はい?」


加賀「急用ができたの。演習には他の子を連れて行って」


吹雪「ですが……」


加賀「いいわね?」ゴゴゴ


吹雪「」ビクッ


吹雪「りょ、了解です! 失礼します!」ぴゅーん


ーーーーーー


ーーーー


ーー


赤城「ふ?。いいお湯ですね」


提督「うーん。まさか艦娘と一緒にお風呂に入る日が来るとは……」


赤城「今までは他の子と入ったりしなかったんですか?」


提督「いや流石にマズイでしょ」


赤城「そうですか?」


提督「そうでしょ」


赤城「家族でお風呂に入るのは当然では?」


提督「家族って……確かにさっきそう言ったけど……」


赤城「私、嬉しかったんです」


提督「?」


赤城「私の家族は、私が生まれる前にいなくなってしまいましたから……」


提督「ああ……」


赤城「ですから、家族というものに憧れがあるんです。ひとりぼっちの寂しさを忘れさせてくれる暖かい家族が……」


赤城「私も、この家族の一員にして頂けますか?」


提督「……そっか」


ぎゅう


赤城「ぁ……」


提督「君はもう家族の一員だよ。みんなで一緒にご飯食べて、みんなで一緒にワイワイ騒いで、好き勝手甘えて好き勝手喧嘩して好き勝手わがままするといい。みんなきっと許してくれる」ナデナデ


赤城「そう……ですか……」


提督「ああ。僕もみんなを大事にする。みんなも家族を大切にしてる。だから大丈夫」


提督「君はもう、1人じゃない」


赤城「提督……」


赤城「その言葉が……すごく嬉しいです」


ぎゅう


加賀「いったい何をしているのかしら」ゴゴゴゴゴゴ


提督「あっ(察し」


赤城「加賀さん。やっぱり来たのね」


加賀「赤城さんが心配で来てみれば」


加賀「提督。あなたは赤城さんに何をしているのかしら?」


提督「裁判長。私は無実です。赤城さんを慰めてただけです」


加賀「赤城さん。どうなの?」


赤城「んふふ。こればっかりは、加賀さんにも秘密です」


加賀「そう。提督、覚悟はいいかしら」


提督「ヘイマイファミリー!! 今こそ助け合いの時じゃないのかYO!!」


赤城「好き勝手喧嘩するのも家族ですよね」ニコッ


提督「あぁかぁぎぃぃぃ!!」


加賀「赤城さんに手を出した罪は重いわよ」


提督「この世は不条理と理不尽でできている!!」


加賀「堕ちなさい!」


提督「チクショォォォォォ!! あ、でも加賀さんのバスタオル姿が見れたからこれはこれでーー」


加賀「」バギバギ


提督「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


赤城(本当は加賀さんと提督を近づけるつもりだったけど……)


赤城(加賀さんごめんなさい。あなたの気持ち。私もわかってしまったの……)


赤城(提督……)


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