2019-08-16 19:18:40 更新

概要

提督にいつも叱られてばかりの白露と、いつも褒めて貰える夕立がいて・・・


前書き

注:胸糞注意です。


「また失敗したのか! いい加減にしろよ、この役立たず!」


執務室から響く提督からの怒声。


「ご、ごめんなさい。」


何度も謝る1人の女の子。


「全く、妹を少しは見習え! 妹には出来て何で姉のお前が出来ないんだよ!!」


「そ、そんな・・・あ、あたしだって一生懸命やって・・・」


「ああ? 一生懸命やってこのザマか?」


「・・・」


意見をすれば叱られ、無言になれば今度は愚痴られる。


「もういい! さっさと消えろこの役立たず!」


提督から散々説教を受け、女の子は深く礼をして執務室から出て行く。



「ううっ・・・ひっく・・・」


部屋に戻るなり、たった1人すすり泣き出す。


「ただいまっぽい~♪」


部屋に夕立が戻って来る。


「聞いてっぽい、白露! 夕立ねぇ~・・・提督さんからいっぱい褒めて貰ったっぽい~♪」


夕立は上機嫌で今日の出来事を話す。


「・・・」


「”本当に夕立はいつも活躍してくれて助かるよ”って・・・夕立、もっと頑張るっぽい~♪」


夕立はポケットからクッキーを取り出し、


「”いつも頑張ってるご褒美だ”って言ってクッキー貰ったっぽい~♪ とても美味しそうっぽい~♪」


「・・・」


「はむはむ・・・んん~、美味しいっぽい~♪」


側で姉が泣いているにも関わらず、クッキーを食べて上機嫌な夕立。


「・・・先に寝るね。 おやすみ!」


白露はそれだけ言って、早々に布団に入り込む。


「??? どうしたっぽい~白露? どこか調子が悪いっぽい~?」


心配になって声を掛けるも、数秒後にはまたクッキーを食べながら「ぽいぽい~」と騒いでいる。


・・・


この部屋には白露と夕立の2人で共同生活をしている。


夕立は更なる改装をした事で活躍度が増し、白露には改装案が未だ実装されず、


”妹に劣る姉”とレッテルを張られ、提督や他の活躍中の艦娘たちから嫌がらせを受けていた。


妹である夕立でさえも、心配をせずまるで他人事のように振る舞い、


挙句に夕立が何か失敗をすれば、「姉であるお前の教育が不十分だからだ!!」と、


提督から更に説教を受ける程酷い有様である。



「泣かないで、ほら元気出して白露ちゃん。」


鎮守府で唯一白露の味方なのは明石だけである。


「白露ちゃんが頑張ってるのは私は知ってる。 だからそんなに落ち込まないで!」



何かあれば白露は必ず明石に会いに来る、今月でもう10回目だ。


この鎮守府は一言で言うならブラック鎮守府であり、結果しか求めない提督と弱い者いじめをする艦娘たちの集まりで、


過去に紹介した鎮守府の中で一番最悪な拠点だろう。


しかし、白露は決して役立たずではない、誰よりも人一倍努力しており実際に夕立より結果を出す優秀な艦娘のはずである。


しかし、「姉だからこの位は当然の事」と提督の勝手な解釈で低評価され、


他の艦娘たちからも「無駄飯」と勝手な解釈をされ、白露は鎮守府内でほぼ孤立した状態である。



ある日の事、


休憩所で誰かのお土産だろうか、クッキーが入った箱が置いてあり、


各艦娘たちが1袋ずつ取って行っていた。


「・・・」


皆が去るのを確認するとそっとお土産を覗く白露。


「あっ・・・1袋だけ残ってる。」


白露は周囲を見渡す・・・誰の姿も無い。


「・・・」


手を伸ばしてすぐにポケットにクッキーを入れ、その場から去る。



「ふぅ・・・ふぅ・・・」


誰かに見られていないだろうか・・・誰かが自分を監視していないだろうか・・・部屋に戻るまでずっと警戒していた白露。


「ガサガサ・・・はむはむ。」


部屋に入ると、すぐに袋を開けてクッキーを頬張る白露。


「ぱくぱく・・・ぐすっ。 はむはむ・・・ぐすん。」


普通なら喜んで食べるはずのクッキー・・・しかし、白露は食べて泣き出す。



前に置いてあったお土産に手を出したところ、艦娘たちから”泥棒扱い”をされて以降手を出せなかった白露。


「・・・」


食べ終わると袋をゴミ箱に捨てる白露・・・しかし、これが後にとんでもない騒動を起こす事態に。


・・・


「白露~、この袋は何っぽい~?」


夕立がゴミ箱の中からクッキーが入った袋を見つける。


「ああ、休憩所にあったお土産を貰って、あたしが食べた。」


「夕立のは? 夕立のは無いっぽい~?」


自分のが無いと分かると急に騒ぎ出す夕立。


「酷いっぽい~! 白露だけ食べるなんて酷いっぽい~!」


「夕立は最初貰って食べてたじゃん! あたしは残った1袋を食べただけだよ!」


白露は説明するも、


「酷いっぽい~! 白露のバカ!! 提督さんに言いつけてやるっぽい~!」


夕立は部屋から出て行く。



・・・後に、提督から「妹のクッキーを盗んだ」と勝手に解釈され、執務室に呼ばれる白露。


「本当にクズだなお前は・・・姉の風上に置けない奴だ!」


「ち、違う・・・本当にお土産箱から1袋だけ残ってて、それを頂いて・・・」


「頂いて? 誰かいいと許可した人間がいるのか? 言って見ろ!」


「・・・」


「いないのか? じゃあお前は勝手に取ったんだろう? それは泥棒と言うんだよ!」


そう断言され、提督からの猛説教を受ける白露。



「ぐすっ・・・ひっく・・・」


部屋に戻り、また1人すすり泣く白露。


「白露見て見て~♪」


夕立がまた上機嫌で部屋に持って来て、


「提督さんが夕立に沢山のクッキーをくれたっぽい~♪ 夕立嬉しいっぽい~♪」


「・・・」


「食べるっぽい~・・・はむはむ・・・美味しいっぽい~♪」


夕立は満面の笑みを浮かべる。


「・・・」


夕立の手にはたくさんのクッキーがあり、


「あたしにも1個、頂戴?」


白露は手を出すも、


「これは全部夕立の物っぽい~! 白露の分は無いっぽい~!」


「そんなに沢山あるのに・・・」


「白露は妹のクッキーまで取るっぽい? 酷いっぽい! 提督さんに言いつけるっぽい~!」


そう言って、夕立は部屋からまた出て行く。


「・・・」



白露には最早、反論する気も何も無い・・・そして、生きる気力も失い掛けていた。


暴力的な提督、弱い者いじめをする艦娘たち、そして自分の損得しか考えない夕立。



「もう・・・死にたい。」


抵抗は無かった・・・躊躇いも無く、白露は自分の手首にカッターナイフを押し付ける。


でも死ななかった・・・上手く切れず動脈まで至らなかったのだ、


しかも、そんな白露の状態を見て夕立が放った台詞は・・・


「夕立の布団が汚れたっぽい~! 白露酷いっぽい~!!」


精神的に追い詰められていたのに関わらず、夕立は場を読まず自分の布団を汚されて怒り狂う。


・・・


そしてまた明石を尋ねる白露。


「・・・」


明石は白露の手首に包帯を巻く。


「・・・」


白露にはもう笑顔が無い。


「・・・」


明石は思い詰め、考えた末に、


「白露ちゃん、これをあげる。 まだ試作品だけど・・・」


「? 何これ?」


明石から渡された物・・・何かの錠剤のようだ。


「片方を夕立ちゃん・・・もう片方を白露ちゃん、貴方が飲んで。」


「・・・」


意味が分からず、渋々錠剤を受け取る白露。



飲ませるのは簡単だった、


夕立はよく噛まずに飲み込む・・・そしていつも提督や他の艦娘たちからの施しを受けているから、


夕立の周りには食べ物や飲み物がたくさん置いてある。


「・・・」


夕立が気づきもせずに錠剤を飲んだ・・・もう片方のは、あたしが飲めばいいんだよね?


「・・・」


どんな効果が及ぶのかは分からない、でも今の白露にとって単に”2人で安楽死出来る?”程度にしか思っていなかった。


「・・・」


意を決してもう片方の錠剤を飲む・・・今のところ目立った変化は見られない、かな。



夜になって寝る時間、


夕立はたくさん食べて満腹で眠った・・・白露は眠った夕立を見つめる。


「・・・」


薬の効果が表れていない・・・試作品と言っていたし、もしかしたら上手く行かなかったのかも。


「・・・寝よう。」


白露はそのまま就寝する。


・・・・・・

・・・



「う、う~ん・・・」


朝早く起きる白露、


「う~ん・・・? あれ? あれれ?」


いつものように伸びをして髪に触れる白露・・・しかし、何か違和感が。


「・・・ヘアバンドが無い? でも髪留めがしてある?」


何度も頭を触れるも、やはり髪留めがあり、ヘアバンドが無い。


「・・・」


”寝る時、付け替えたかな?” その程度の気持ちで洗面台へと向かう白露。



「・・・」


鏡を見てしばらく自分の鏡を眺める白露。


「・・・えっ、えええっ!!?」


鏡を見て何故か驚く白露。


「・・・寝ぼけているのかな~? 目をつぶって・・・開けて~・・・」


目をつぶり、また開けては鏡を見る白露。


「・・・えええ~!! 嘘でしょ!!?」


白露は叫ぶ、



”何であたし・・・夕立の顔になってるの!!?”


鏡に映っていたのは白露の顔でなく、夕立の顔だった。


「じゃ、じゃあ今寝ているのは・・・」


すぐに夕立の布団に駆け寄り、顔を確認する。


「・・・」


確認後、静かに布団を下げる。


「何で・・・何であたしが寝ているの?」


白露は混乱しているが、少し考えれば結論が出ていて、



”もしかして、あたしと・・・夕立の体が入れ替わっちゃった~!!?”



未だに信じられないが、何度見ても入れ替わっているようだ。


「・・・あっ、今日は出撃任務だった! 早く行かないとまた怒られる!」


白露はすぐに着替えを済ませて、執務室へと向かう。


・・・


「提督、ごめんなさい。 お、遅れました・・・」


集合時間を数分過ぎてしまい、説教覚悟で執務室に入るも、


「おっ、夕立じゃないか? 今日は休日じゃなかったか?」


「? ええっ?」


白露はきょとんとする。


「まぁでも、早起きとは感心だな・・・それに比べ、姉はまだ寝ているのか? 本当に役立たずだな!」


「・・・」



”あっ、そうだ・・・あたし、今は夕立の体になってるんだ。”


「夕立は今日は休日だぞ? ほら、部屋に戻ってゆっくり休んでいろ。 そしてバカな姉を起こしてこい!」


提督は全く気付いていない。


「・・・わ、分かりました・・・ううん、分かったっぽい~!」


咄嗟に夕立の台詞を言った白露・・・どうやら声も夕立の物らしい。


「うむ、本当に夕立はいい子だなぁ。 褒めてやるぞ~よしよし~。」


提督は白露の頭を撫でる。


「・・・」



”これが頭撫で撫で・・・よく分かんないけど、何か嬉しい、かな。”


「・・・ぽい~♪ 嬉しいっぽい~♪」


まだ慣れないが、夕立の台詞を言って見る白露。



・・・それから、白露は今までの地獄の待遇とは全く逆の生活を送ることになる。


数日後、


「提督さん、夕立活躍したっぽい~!」


出撃から夕立が帰還する。


「お~、よくやったなぁ! 流石、我が艦隊の最強駆逐艦だぁ。」


提督は夕立の頭を撫でる。


「ぽい~♪ 嬉しいっぽい~♪」


夕立は上機嫌である。


「ほら、持って行け。 頑張ったご褒美だ。」


提督からお菓子を貰って上機嫌で部屋に戻る夕立。



「またお菓子を貰えた~♪」


夕立・・・いや、夕立に入れ替わった白露は順風満帆に生活を送れていた。


「提督も皆もあたしが入れ替わったなんて誰も気づいていないし・・・それにしても夕立はあたしに隠れてこんなに


 いい待遇で生活してたなんて、本当に許せない妹だよ!」



妹である夕立を姉として支え、夕立を誰よりも理解して来たのに、


そんな姉の気持ちを知らずに我が物顔で振る舞い、それによって散々苦労して来た白露。


「まぁ、今の生活にとても満足しているし・・・どれどれ~♪ チョコから食べようかな、それともイチゴ味から・・・」


部屋に戻る間、何味を食べようか考えている白露。



・・・夕立に入れ替わった事で、満足の行く生活を送れている白露、


しかし、白露に入れ替わった夕立は、



「また失敗したのかこの役立たず!」


白露が廊下を歩いていると、執務室内から響く提督の怒声。


「ご、ごめんなさいっぽい~・・・」


声は白露だが、語尾は相変わらず付けている。


「何だ、さっきから”ぽいぽい”って・・・妹の真似をして媚びているのか? ふざけてんのか!!」


夕立が”ぽい”と言うごとに提督からの大声が響く。


「また叱られて・・・夕立も本当に懲りないよね~。」


そう言って、何も聞かなかったかのように通り過ぎる白露。



提督に褒められ、周りからも好かれ、いつも順風満帆だった夕立の生活が突然、地獄へ真っ逆さまになったのは言うまでもない。


まるで、”裕福から貧乏”に転落したかのように夕立の生活は激変した・・・


しかし、白露はそれを知った上で夕立を避けたり、貶したりする・・・散々自分が夕立にされた仕打ちを


そのまま返すかのように。



「今日もいっぱいお菓子貰っちゃったぁ~♪」


白露は上機嫌である。


「部屋に戻って食べようっと~♪」


そう思って、部屋に戻ると・・・


「? 何してるっぽい?」


部屋では何故かうずくまっている入れ替わった夕立の姿が、


「お、お腹・・・空いたっぽい~。」


夕立によると、戦果が上手く取れず提督を怒らせ、食堂への出入りを禁止されたらしい。


「ふ~ん、まぁあたしには関係ないから!」


そう言って、夕立の事など気にもせず目の前でお菓子を頬張り始める。


「はむはむ・・・お、美味しい~♪」


白露は満面の笑みをする。


「・・・」


側で羨ましそうに見ている入れ替わった夕立。



夕立からすれば、何故白露と体が入れ替わったのか見当もつかない、


それでも、自分がやって来た事と同じ行動をされて、自分の悪行に気付いているだろう夕立。


「あ、あたしにも・・・お菓子・・・頂戴。」


お腹が鳴り続けている・・・両手を出してお菓子を懇願する夕立。


「嫌だ、これは夕立が貰ったお菓子っぽい~、白露は妹のお菓子を取る最低なお姉さんっぽい~?」



語尾を言うのに慣れた白露、普段の夕立と同じ言動で答える白露。


「お腹・・・空いたっぽい・・・ぐすっ、少しでいいから、ひぐっ・・・わ、分けて。」


必死で空腹を訴える夕立、そして今まで白露にして来た酷い仕打ちにようやく気付く夕立、


「白露は酷いっぽい~! 提督さんに言いつけてやるっぽい~!」


それでも白露は許す気配は無い。


「ひぐっ・・・ぐすっ・・・えっく。」


お腹が痛いのか泣きながら手で押さえる夕立を見ても同情すら湧かず、



”もっと苦しめばいいんだよ、あたしだって何度も何度もお願いしたじゃん? でも夕立は自分の損得しか考えなかったよね?


・・・じゃあもっと苦しんであたしが受けた地獄を思い知ればいい!!”


苦しんでいる夕立をよそに白露は他人事のようにお菓子を頬張り続ける。


・・・


それから少し経って、


白露は別の鎮守府に異動することになる。


「何で異動になったのかよく分かんないけど・・・あたし、運が良かったかもね。」


白露はまだ夕立の体に入れ替わったままであるが、当の提督や艦娘たちはその事を知らないため、


夕立の異動だが、実際は白露の異動とも言える。



「夕立、あたし異動になったから。」


部屋で1人荷造りをする白露。


「・・・」


夕立は白露をただ見つめている。


「あたしがいなくてもきちんと頑張るんだよ! 夕立の事は違う鎮守府に行っても応援してるからね!」



夕立に温かい言葉を掛けるが、実際は”これでこの鎮守府とバカな妹と別れられるよ”としか思っていなかった。


「・・・そろそろ時間だね、じゃあね夕立・・・さようなら。」


そう言って、荷物を持って部屋から出ようとした時、


「お、お姉ちゃん!」


夕立の口から”お姉ちゃん”と出た・・・もう何年も言ってくれなかった夕立が今になって白露を”お姉ちゃん”と呼ぶ、


「・・・さようなら夕立、元気でね!」


白露は振り向きもせずその場を後にする。


・・・・・・

・・・



白露が新しい鎮守府に再着任して約半年が経過、


最初は不安はあったもののすぐに打ち解け、今では楽しい鎮守府生活を営んでいる。


この鎮守府に着任してから白露はある事実に気付く、


「昔あたしがいた鎮守府は、”ブラック鎮守府”だったんだ。」



前の鎮守府と違い、提督の優しさと仲間の想いに驚かされ、


自分がいた場所は危険な場所だったと気づく白露。



近年、艦娘の保護が強化されて行き、最近ではブラック鎮守府の撲滅宣言まで施行されている、


「・・・」


この鎮守府に来てからと言う物、白露には1つ心残りがあった・・・それは、


「夕立はどうしてるかな・・・」



異動と決まり、すぐに出て行きたくて夕立の事など気にも留めずに鎮守府を出た白露。


「確かに夕立の態度は酷かったけど・・・もし、この鎮守府で一緒に頑張っていたら、もっと違う方向に行っていたかもね。」


ブラック鎮守府での厳しいノルマと規律・・・自分の事で精一杯で他人を気遣う余裕なんてない。


「おやつは分けてくれなかったし、すぐに提督に言いつける子供みたいな妹だったけど、あたしは姉だから


 仕方がないと思っていたし・・・」



どんなに夕立が悪さをしても、おやつを奪われようとも、それでも夕立は自分の妹である。


最初は憎くて仕方がなかったが、今では夕立の事が気掛かりである。


「考えても仕方が無い、よね? あたしは新たな生活を・・・夕立はあっちで頑張ってくれればいいし。」


そう言い聞かせ、白露は出撃のため工廠場に向かう。



白露が再着任してから、朗報が届く。


白露にもようやく”更なる改装”が実施されたのだ。


「遂に白露にも更なる改装が・・・やったじゃん!」


白露は喜ぶも、


「・・・あっ、そうだ。 あたしはまだ夕立と入れ替わったままだった。」


舌を出して「しまったぁ~」と思う白露。


「でも、改装が実施されてるなら夕立が改装して、今頃たくさん活躍してるんだろうね~。」


白露は「うん、そうだ」と自問自答を繰り返す。


「・・・」


それでも気になった・・・夕立はちゃんとやってるのか? 提督に怒られっぱなしで落ち込んでいるのではないか、と。


・・・


久々の休日、白露は外出しある場所へ向かう。


「来ちゃった・・・う~ん、本当に懐かしいなぁ~。」


白露が赴いた場所、それは昔務めていた鎮守府・・・いや、ブラック鎮守府である。


「見つかったらまた提督や皆に怒られそうだから、夕立の姿だけ確認して・・・そしたらすぐにここから出よう!」


そう思い、鎮守府正門をゆっくりとくぐる。



「? 何だろう?」


門を通るなり、鎮守府が何やら慌ただしい。


白露が見た光景・・・艦娘たちに何やら会話・・・と言うよりも質問、尋問をしている人たちの姿が。


「・・・」


周囲を見渡すと、鎮守府に在住中の艦娘が列を作って並んでおり、待っている艦娘のほとんどが不機嫌そうである。


「・・・」


夕立の様子を見るために来たつもりが、何か問題が起こった? であろう事態に出くわしてしまう事になるとは・・・


「・・・白露ちゃん、こっちよ。」


後ろから声がする。


「? ・・・明石さん。」


後ろには、茂みに隠れて白露を呼ぶ明石の姿が、


白露は他の人間に見られないようにゆっくりと明石に近づく。



「明石さん、久しぶり。」


このブラック鎮守府で唯一味方だった明石と久しぶりの対面だ。


「・・・やっぱり白露ちゃん? じゃあ私の開発した薬は成功したのね。」


上手く行くか分からなかった明石だが、入れ替わっている白露を確認すると安心する明石。


「どうしたの明石さん? 鎮守府の外で皆誰かに質問されたりしてるけど?」


白露の質問に、


「あ? うん、ちょっと鎮守府で騒ぎがあってね・・・」


明石は笑ってごまかす。


「ふ~ん、そうだ! 明石さんも聞いたでしょ?」


白露はニッコリ笑顔で、


「遂に~、あたしにも更なる改装案が出たでしょ!」


白露は嬉しそうに答えるが、


「・・・」


明石は何故か悲しい表情をする。


「でもね、よくよく考えたらあたしって今、夕立の体と入れ替わってる状態じゃん? 


 直接自分で実感出来ないのはショックだけど・・・」


白露は言葉を続けて、


「夕立が代わりに更なる改装を受けたんでしょ? じゃあ今は夕立もちゃんと活躍して、


 提督や皆に褒めて貰って順風満帆な生活をしているんじゃないかなぁ~ってね♪」


「・・・」


「でもあたしはこの鎮守府から出た身だから、長居は出来ないけどせめて妹の顔を見てから帰りたいかな♪」


白露は思いのたけを伝えるが、


「・・・」


明石は表情を変える気配が無い、何故か悲しみに包まれた表情である。


「? 明石さん? どうしたの? 何でそんな悲しそうな顔をしてるの?」


白露は不思議になって聞くと、


「夕立ちゃんは・・・更なる改装を行っておりません。」


「・・・そ、そうなの? どうして?」


白露は考えるも、


「あっ、そうか・・・戦闘詳報って言う特別なアイテムが必要だもんね。 じゃあそのアイテムが手に入ってから


 夕立は晴れて更なる改装が出来て・・・」


白露は途中で言葉を止める。


「・・・」


明石の悲しい表情が変わっていないのだ。


「・・・明石さん?」


白露が声を掛けると、


「白露ちゃん、よく聞いて・・・夕立ちゃんは・・・夕立ちゃんはね・・・」


そう言って、明石の口から出た言葉は、



”夕立ちゃんは、死んだわ”



「えっ? 死んだって・・・」


白露は一瞬何を言われたのか分からなかった。


「明石さん、一体何を言ってるの? 夕立が死んだって・・・そんな嘘信じるわけないじゃん。」


白露は「嘘が下手だよぉ~」と言うが、


「・・・」


明石は何も答えず、代わりにある物を白露に渡す。


「? これって・・・」


それは、白露が書いていた日記。


「・・・」


白露は日記を開く。




〇月15にち


提督さんに叩かれて歯が折れちゃった・・・血が止まらない・・・


提督さんに「血が出て痛い」と訴えたけど、また叩かれちゃった。



〇月17にち


またご飯食べれなかった・・・何度も提督さんにお願いしたけど、「役立たずに食わせる飯は無い」と


言われちゃった・・・夕立、ずっと出撃頑張ってるのに・・・遠征だってちゃんと成功してるのに・・・



「・・・」


白露はただ日記をめくって読み続けている。


〇月20にち


体中痛い、動かない。 お腹が空いて動けない・・・提督さんと皆、これからパーティーへ行くんだって・・・


夕立はお留守番・・・お願い、お菓子でも何でもいいから何か食べたい。



「・・・」


〇月23


また叩かれた・・・腕が動かない・・・皆から「役立たず」って言われた・・・夕立は役立たずなんだ。


部屋から出るのが怖い、からだがいたい・・・こわいいたいこわいいたいこ わい いた い



「・・・」


白露は最後らしきページをめくる・・・そこには、



〇が つ  2


ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい


ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい


    おねえちゃん、ごめんなさい   おねがい おねえちゃん こわい いたい たすけ







そこで言葉が途絶えている。


「その翌日に夕立ちゃんは息を引き取っていました・・・」



明石が言うには、全く姿を見せず心配になった明石が部屋を開けた事で発覚。


起こすと既に息は無く、異常に軽くて体中あざだらけだったと言う。



「司法解剖の結果、夕立ちゃんの体重は半年前と比べて半分もなく、レントゲンで調べると・・・


 体中の骨、特に手足と顔には大きなひびが入っていました。」


「・・・」



もし、夕立と体が入れ替わった直後にその話を聞けば


”良かった、あたしは死なずに済んだ”と思っただけだろう・・・しかし、今の白露は、



「何で! どうして! 何でそんなになるまで放って置いたの!!!!」


白露は狂ったように明石に掴みかかる。


「何で! どうして・・・どうして夕立が殺されなければ行けないの!! それに夕立が部屋から出ないなら


 絶対に誰か気付くじゃん!! それなのにどうして!!!?」


白露の叫びに、


「後で知ったのですが・・・私が心配で部屋の扉を開けたのが初めてで、その間提督や他の皆も誰1人、


 夕立ちゃんの心配などしてなかったそうです。」


明石から聞かされた衝撃の事実。


「私はすぐに本営に報告して、各1人ずつ本営から尋問を受けていますが・・・」


また明石の表情が暗い、


「それで何て? 散々あたしや夕立に暴力を振るったんだよ・・・言い逃れしたわけじゃないでしょ!?」


白露の予想に反し、


「提督は”知らなかった、あれだけ頑張っていた優秀な子なのに”と言い、他の皆さんも


 ”可哀そうに・・・認めて貰えなくて自傷行為をしていたなんて”と口を揃えて言っていました。」


「そ、そんな・・・」


白露はショックのあまり顔を下に向ける。


「・・・私も今日限りでこの鎮守府を去ります。」


「えっ?」


「本営に報告した事で、提督や皆さんに”余計な事をしやがって”みたいな態度で責められて・・・


 間もおかずに解雇通達を出されました。」


「・・・」


「その時、私は確信しました・・・提督と皆は、夕立ちゃんが死んだ事を既に知っていたんだ・・・と。」


「・・・」


「ごめんね白露ちゃん、私がもっと気に掛けていれば、話を聞いてあげていれば


 夕立ちゃんは死ぬことは無かったと思います・・・本当に、本当にごめんね!」

 

明石は必死に謝る。


「・・・」



明石の言葉が白露の耳には入っていたのか定かではないが、白露は両手をわなわなと震わせ、


瞳からはボロボロと涙が溢れていた。



・・・


その夜、本営からの尋問が一段落つき、


提督や艦娘たちが寝静まる時間帯での事・・・




「や、止めろ!! 何だお前!! 気が狂ったのか!!?」


提督が誰かを見て酷く怯えている。


「そうか! 褒めて欲しいんだな? なら褒めてやろう! いくらでも褒めてやる!! それでいいだろ、夕立?」



提督の目の前にいたのは夕立・・・いや、入れ替わった白露だ。


「・・・」


白露の手には無数の魚雷を持っており、瞳も普段と違い、赤黒く光の無い瞳である。


「ひぃっ! 何をする気だ、止めてくれ!! オレが何をしたんだ・・・オレはお前の上司だっただろ?」


徐々に距離を詰める白露・・・そして、提督の顔まで詰める。



「提督と皆のせいで・・・妹は・・・あたしの妹はぁ!!!!」


白露は持っていた無数の魚雷を提督の口内に無理やり詰め込み、




「死んでしまえ!! 提督も皆も全員!! あたしの大切な妹を殺した人間全員・・・死んでしまえぇぇぇ!!!!」


白露は狂気の雄叫びを放つ。


・・・・・・

・・・



翌日、


いつも通りに出勤した憲兵が鎮守府の異常に気付く。


各部屋で休憩・待機していた艦娘たちは辺り一面血の海が広がり既に息が無い、


執務室にいた秘書艦は主砲でハチの巣にされ死亡・・・そして、提督は・・・爆発物を使ったのか、


首から上が無い状態で発見された。


辛うじて2人、生存者がいたものの、



”私は知らない・・・何も知らない・・・助けて・・・うああっ”


と精神に異常をきたしており、話す事もままならなかった。


・・・・・・

・・・



後日、行われた裁判では、


鎮守府内で唯一会話が可能だった明石が全ての元凶を包み隠さず報告。


”白露の日記”も証拠として受理され、鎮守府内で起きていた提督や艦娘たちの暴力・虐待までも明るみに出た。


生還した2人は精神の異常をきたした振りをしていたようで、


明石が証言・証拠を提出した事で隠し通せないと判断したのか、提督が暴力をしていた事・自分たちの感情の捌け口を


白露にぶつけていた事全てを自供する。


その結果、2人は”ゴミ処理場”への移送の刑に処され、


処刑確定だった駆逐艦夕立は明石の証言と今回の元凶の明るみを考慮し、”鎮守府追放”と言う軽い刑に変更されたが、


その後夕立の姿を見た者はいない。



その2日後に、怪事件が発生。


ゴミ処理場に移送された2人が無残な死体で発見された。


1人は秘書艦と同じ手法でハチの巣にされ絶命。


もう1人は・・・提督の時と同じ様に、首から上が無い状態で発見された。



ゴミ処理場には鍵が掛かっており、他の艦娘たちも在住している・・・夕立はどのようにして2人だけを狙って凶行に


及べたのだろうか・・・


・・・・・・

・・・



事件から約1年が経過した頃、


墓地に花束を持った1人の女性がやって来る。


「・・・」


その女性は明石・・・彼女は年に1回、白露に花を添えに赴いている。


「・・・」


白露の墓は・・・墓地の中で、最も端に位置する場所に建てられている。


「・・・」


身寄りがいない白露は無縁艦として扱われ、端の方でただ1つの墓石で眠っている。


「? あら?」


明石が何かに気付く。


「花が手向けられている・・・私以外に誰かが置いてくれた?」



花を手向ける・・・この墓が白露の墓と知っている人間、明石以外に考えられる人間は・・・


「・・・」


心当たりがある明石、でも彼女は探す事は無い。


「白露ちゃん・・・いいえ、夕立ちゃんだったわね。 お姉さんが貴方の無念を晴らしましたよ。」


そう言って、明石は掌を合わせ墓の前で黙祷を捧げる。



その後も、夕立(入れ替わった白露)の捜索を続けるものの、一向に足取りは掴めず


それから更に1年後、捜索は打ち切りとなった。





























鎮守府内の提督・艦娘たちが惨殺され・・・明石の証言により、事件の全容が明るみにされ辛うじて生き残った2人の艦娘が


ゴミ処理場に移送されて間も置かない時、



鹿島「香取姉! 大変です!」


ゴミ捨て場の主任を務める鹿島が会議室の扉を開ける。


香取「どうしました鹿島? 今所長と大事な打ち合わせがあるからまた後で・・・」


香取は注意するも、鹿島の表情がとても慌ただしい。


香取「・・・分かったわ。 所長、少し席を外しますね。」


そう言って、香取は立ち上がり鹿島と一緒に会議室から出る。



香取「それで、一体どうしましたか?」


鹿島「はい、入り口に駆逐艦娘が1人佇んでいます。」


香取「駆逐艦娘? それなら鹿島でも対応出来るでしょ?」


鹿島「そ、それが・・・」


香取「?」



鹿島の代わりに香取が入り口に向かうと、


香取「貴方は・・・白露型駆逐艦の、”夕立”さんね?」


香取が言うように、夕立がそこに立っていた。


香取「最近鎮守府で起きた惨殺事件・・・もしかして夕立さん、あなたの仕業ですか?」


香取の質問に、


夕立「・・・はいっ、そうです。」


躊躇いも無く答える。


香取「そうですか・・・それで、一体何の用があってこのゴミ捨て場にやって来たのですか?」



ゴミ捨て場は主に数々の悪行をした提督達を収容する施設、鎮守府内の無差別殺人とも言える夕立の行為に


香取は警戒をしていた。


夕立「・・・」


夕立は無言のままだ。


香取「・・・そうですね、ここでは何でしょうから中で話しましょうか。」


香取は冷静に夕立に話掛け、本人も無言で首を振り施設内へと入る。


・・・


香取「少しお待ちください。」


香取は所長がいる会議室へと入る。


・・・数分後、


香取「夕立さん、お入りください。 所長が話をしたいとの事です。」


夕立「・・・」


香取に言われ、夕立は素直に会議室に入る。


夕立「・・・」


会議室の中心の椅子に、所長らしき人間が座っており、夕立を見つめる・・・そして、


所長「やぁ、夕立・・・それとも、入れ替わった白露と言えばいいかな?」


白露「!? 何でそれを知ってるの?」



明石と自分にしか知らないはずの秘密、それをどうして初対面の所長が知っているのか?


所長「一応オレと明石は懇意の中でな・・・明石が開発する際に必要な資金をオレが調達している。


   その代わりに、明石がこれまでに開発したレポートを全て提出するように頼んでいるんだ。」


白露「・・・」


所長「ここに来た理由は・・・ふむふむ、そうか。 ゴミ処理場に残った艦娘への復讐かな?」


所長は言葉を続けて、


所長「妹を殺された復讐を完璧に遂行したいわけだな? だからこの施設に来た・・・そうだな?」


白露「何で? どうしてそこまで分かるの?」



まるで心を読んでいるかのように白露の思惑を話す所長。


所長「あくまで復讐相手はその生き残りの2人だけ、他の艦娘たちに危害を加えるつもりはない。


   もし、復讐だけを実行するならその2人と周囲にいる艦娘も全員口封じに殺そうと考えるだろ? 


   でも、そのつもりは全くない、だから艦娘の味方であるゴミ捨て場の人間に助けを求めた・・・そうじゃないのか?」


白露「・・・はいっ、そうです。」


白露は所長の前に立ち、


白露「お願いします、ゴミ処理場の鍵は持っていないし、関係ない艦娘を巻き込むつもりはありません。


   私から大切な妹を奪った生き残りだけに復讐したいんです、だから助けて下さい。」


白露は深く礼をする。


所長「・・・」



所長は悩んでいる・・・白露型と言えば、駆逐艦の中では比較的温厚な艦娘たちの集まりだからだ。


特に白露は一番好きでいつも明るく元気いっぱいで周りを和やかにさせる・・・そんな白露が”復讐”と言う狂気の2文字に


支配されている、白露と言う優しいお姉さんを、何がそこまで復讐に走らせたのか。


所長「・・・いいだろう、すぐに香取にゴミ処理場へ行くように指示をする。 白露は香取にと一緒にゴミ処理場へ行け。」


白露「! あ、ありがとうございます!」




所長の指示で香取と白露は急遽ゴミ処理場へと向かう。



ゴミ処理場の鍵を開け、白露が言う2人以外の艦娘たちを外に出し、「仮訓練」と称して香取は艦娘たちを連れて行く。


香取「時間は30分です、それまでに終わらせてください。」


白露「はい、ありがとうございます。」


香取と艦娘たちを見送り一度深呼吸をした後、ゴミ処理場へと入る。



「どうして、何で貴方がここに!?」


夕立を見た2人が驚き、そして恐怖で震える。


白露「・・・」


白露は何も言わず、1人目を躊躇いも無く主砲で何度も何度も乱射する。


「ひぃっ! ひ、酷い・・・何で、私たちが何をしたって言うの!?」


ハチの巣にされて絶命した艦娘の隣で、もう1人が怯えながら白露に叫ぶ。


「ひっ! 止めっ! うぐぐぐ・・・く、苦しい!!」


白露は片手でもう1人の首を強く締め、口を開く。


白露「あたしの事覚えてる? 皆で散々いじめてくれたでしょ?」


「・・・」


白露の質問に、何の事かと首を傾げる。


白露「夕立には贔屓にして、あたしは妹より劣るからと無視したり、叩いてきたり・・・あたしが頑張って取った戦果を


   横取りしたり、自分が失敗したミスを押し付けたり・・・これでもまだ思い出せない?」


「・・・」



目の前にいるのは夕立であり彼女にとって夕立を貶したり、いじめたりしたわけでは無いので、何故彼女がこのような


凶行に及んでいるのかが分からなかった。 しかし、今の発言からまるで白露が言っているように見え、その瞬間


彼女の背筋が凍る。


「ま、まさか貴方・・・白露、なの?」


艦娘の質問に、


白露「やっと思い出してくれた?」


白露はにっこりと笑顔を見せる。


「何で? 何で夕立の体に白露がいるの!?」


白露「そうだね、話は長くなるけど・・・これから死ぬ人間にいちいち説明する気は無いから!」


そう言って、白露は無数の魚雷を手に取る。


「ひっ! そ、それで何をする気・・・や、止めて!!」


必死で命乞いをする艦娘。


白露「あたしはね、夕立の活躍が目立ったせいで提督や皆からないがしろにされてると思った。 もし、夕立が異動とかになれば


   あたしの事をちゃんと見てくれて、夕立のように褒めてくれたり仲良くできると思ってたの。」


「・・・」


白露「だからあたしと夕立が入れ替わった直後、明石さんにお願いして異動願を受理して貰ったの、そうすれば入れ替わった


   夕立がこの先皆と仲良く楽しく鎮守府生活をやっていけると信じて。」


「・・・」


白露「でも違ったね。 提督と皆はあたし・・・白露の事をただの感情の捌け口にしていたんだね?


   夕立にも提督と皆で、あたしを貶すように仕向けていたんだね!!」



夕立が白露に対して行った酷い仕打ち、あれは提督と皆に仕向けられていたことが後に発覚する。


当の夕立は言われたとおりにするも、内心嫌で仕方がなく白露にした行為を悔やみ、


自分の机の中に「ごめんなさい」と書いたメモと白露のために取って置いたおやつが残っていたと報告があった。



白露「あたしはそんな事も知らずに、仕返しだと言って夕立をいじめた・・・何て事したんだろう、と今でも悔やんでる。」


「・・・」


白露「それと同時に提督と皆に対して、抑えられない程の憎しみがよぎった・・・あたしをないがしろにし、夕立の命を奪った


   提督と皆を、あたしが全員殺してやる、ってね!!」


「そ、そんな! 待って!! 私だって提督に酷い目に遭って来たのに、私だって・・・ぬぐぐ!!?」


言い終える前に口内に魚雷を詰め込まれる。


白露「言い訳はいいから!! どうせ貴方は今すぐ死ぬの、死・ぬ・の!!」


白露は立ち上がり、


白露「地獄へ行って夕立に謝って来なさい!!!!」


そう言って、もう1つの魚雷を顔にぶつけた瞬間、顔は無残にも爆散した。


・・・


白露の復讐は終わり、


白露「お世話になりました・・・これでもう思い残すことはありません。」


ゴミ捨て場に戻り、香取たちに礼をする白露。


香取「白露さん・・・これからどうするのですか? 行く当てはあるのですか?」


白露「ありません・・・まぁ適当に仕事を見つけて、家を探して生活します・・・それじゃあ。」


白露は去ろうとするが、


香取「もし、貴方が良ければこの施設で働きませんか?」


白露「えっ?」


香取「貴方のような人材を是非とも欲しい、と所長が歓迎なさってました。 どうです?


   もし、気に入らなければすぐに辞めても構いません・・・どうでしょう?」


香取の言葉に、


白露「・・・じゃ、じゃあお、お願い、します。」


白露はぺこりと頭を下げる。




所長の判断は正しかった、


白露の元気いっぱいな性格、そして夕立の姿が周囲を朗らかにさせる。


作業も的確で、悪行をした提督達に躊躇いも無く刑を執行する光景はまさに”狂犬”そのものだった。


僅か数か月でゴミ捨て場内では白露は有名となり、「復讐の狂犬」と名を轟かせることとなった。












「復讐の狂犬」 終












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1: SS好きの名無しさん 2019-08-10 00:43:18 ID: S:6qG_xf

そもそも「梅雨明けの白露」なんていう自虐めいた曲名実装してる時点で
絶対大本営白露を妹に踏み台にしてる自覚有るだろうしなあ

2: SS好きの名無しさん 2019-08-10 02:24:02 ID: S:70f-__

確かにな。
元凶は大本営だろうが
これは白露に限った事ではない。

3: SS好きの名無しさん 2019-08-10 05:55:38 ID: S:CVjmCC

フリーゲームで魔女の館というゲームがあってネタバレになるけど主人公が健康な子の肉体と病気自分の体を入れ換えるところが浮かんだよ。でもさ。此は提督が悪い。家は皆改二レベルまで上げるようにしよう。

4: SS好きの名無しさん 2019-08-10 21:52:12 ID: S:krddDB

戦闘時報の入手が困難な人には白露の改二の難易度は高すぎる。

5: SS好きの名無しさん 2019-08-11 22:03:36 ID: S:1RYUWY

明石以外のブラ鎮の提督や艦むすたちは、昔のまとめに有った
『担任にイジメの相談をしたら「生贄が一人いた方がクラスが団結するだよな」って言われた。』
みたいな感性をしてるんだろうな。強い奴には媚びへつらい、強きを助け弱きを挫くといった。

6: SS好きの名無しさん 2019-08-12 20:54:07 ID: S:LMybxU

敵方が外に居るにも関わらず。
身内で争い事とはなんと醜いことか
家もある意味ブラックだけどさ。
苛めとかないと良いなあ。

7: SS好きの名無しさん 2019-08-15 16:25:07 ID: S:0E7asq

謎の一番ボイス(笑)→改二お祝いボイス→梅雨明けの白露→しらしぐ

本当掌返しだよな


8: SS好きの名無しさん 2019-08-15 19:03:10 ID: S:FnL7X3

本当の主を白露は得たんだね。
いや居場所か。もう彼女は自分が
白露で有ることを忘れて行くんだね
偽りの体と共に、切ないねえ。

9: SS好きの名無しさん 2019-08-16 21:12:01 ID: S:0caQsA

ふと、思ったんだが
深海悽艦が居なくなれば
ゴミ捨て場とゴミ処理場の連中は
どうするのだろう?


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