2019-11-08 14:43:15 更新

概要

さてさてさてさて
やっとこのシリーズが最終章です。
今回のストーリーは色々ぶっ飛んでます。
色々ぶっ飛んでますはい。
大事なことなので二回言いました。
最後のシリーズなので感動になるかはわかりませんが、なんとかそういう風に持っていきますので主の作品を暖かい目で見てやってください。

最終章なのでこのSSではコラボと同じように提督の名前をリセイにします。


前書き

初っ端から主題歌を決めちまいます!




OP:ONE PIECE:One day




ED:プロメア:inferno




プロメア:infernoはOP候補でしたが、EDも意外と合うんじゃないか?と思い、このような結果に至りました。
そして、あくまで妄想ですのでめんどくさいと思ったら無視してくれて構いません。

それでは、最終章。


お楽しみください…























〜南西諸島海域中心部〜












瑞鶴「……あれが……エイジ……」

ヴェールヌイ「司令官に瀕死の重傷を負わせた人間の仲間か…」

多摩「……………」

白露「………っ……」





リセイ「……………」


エイジ「……………」


艦娘s「……………」







そのまま沈黙が続くこと、2〜3分程度だったが…お互いが何時間も経っているように感じていた…


エイジ「………君がアレクを半殺しにした…リセイだろう?一目でわかるよ…」

リセイ「…だったらどうする?……俺達はお前とアレクを探していたが…お前の方から現れてくれるとは…予想外だったぞ…一応聞いとこうか…俺達に何の用だ…」

エイジ「君がどんな人物か気になってね…君の方こそ、僕がエイジだとわかっていたようだね…」

リセイ「……ああ…お前は空を飛んでいる上に心が読めないからな。アレクと別人というなら、消去法で思い当たるのはエイジしか居ないという事だ。」

エイジ「……なるほどね…一理あると思う…」

リセイ「…………アレクはどうした…」

エイジ「アレクなら今は僕と別行動しているよ。アレクは君にやられてからずっと修行をしているんだよ。あいつが必死になって深海棲艦を殺すというアレクの一番の目的を放って置くほどにね…いつか返り討ちにしてやるって…」

艦娘s「!」

春雨「修行って…司令官と同じことを…?」

リセイ「…やはり考えは同じだったか…」

エイジ「……やっぱり君もアレクと戦ってから強くなってるんだね…」

リセイ「……………」

エイジ「……リセイ…僕と一度戦ってくれないか…?」

艦娘s「!!」

大和「提督に手出しは…」

リセイ「…………」スッ…



リセイは「手出し無用」と腕を上げて大和達を静止させた…




時雨「で、でも提督!」

リセイ「言ったはずだ。アレクやエイジとの戦闘に関しては、お前達は手を出すなってな…」

レ級「……っ……」

エイジ「……その2匹は…深海棲艦?どうして艦娘達と一緒に居るんだい?」

リセイ「……こいつらは人間や艦娘となんら変わらない奴らだからだ。俺がこの2人を助けた。例え深海棲艦でも普通に生きていたって良いだろ?お前に関係があるか?」

エイジ「…無いね。むしろそれには同感できるよ。」

悪雨「……え…?」

エイジ「僕はアレクと違って、深海棲艦は敵じゃないと思ってる。でも、アレクと共通しているのは、例え深海棲艦でも、僕達に攻撃をしてきたら、正当防衛として死んでもらう。向こうが仕掛けて来ないなら、こっちもやらない。それに僕は、あまり戦いは好きじゃないし…」

リセイ「………………心が読めたら一発で嘘だと見抜けるんだけどな…お前の言っている事を信用出来ると思うか?」

エイジ「信じてくれとは言わないよ。ただ、事実をわかって欲しいだけ…」

リセイ「………まぁいい。けどな…お前の言っていたことの中に一つ矛盾がある。」

エイジ「……何がさ…」

リセイ「お前は戦いが好きでは無いと言ったくせに、どうして俺に戦闘を申し込んだ?何が目的だ…」

エイジ「……………………あんな奴でも…」

長門「……?」

エイジ「あんな奴でも、アレクは僕の仲間だ。僕が唯一命を預けることの出来る相棒なんだ。そのアレクを死にかけるまでに傷をつけた君と戦ってみたい…それだけの話だよ…」

リセイ「つまり仇打ちと似ている感じで捉えてもいいってことか?」

エイジ「そういう意味でもいいよ…」

夕立「そ、そんなの逆恨みっぽい!提督さんだって…」

リセイ「夕立…良いんだ。エイジのやろうとしている事は間違いでも無ければ、誰も言い返すことができないぐらいの正論だ。実際俺は、アレクを殺しかけた。エイジは仕返しのつもりで俺に勝負を挑んだのさ。」

エイジ「………………」

夕立「提督さん…」

村雨「……提督だって死にかけてたじゃない…」

金剛「……………ッ…テートク…!」

加賀「………くっ…」

リセイ「………………やるならさっさとやるぞ。ただし、艦娘達は巻き込まないようにな。」

エイジ「わかってるさ。あの子達には何も罪は無いからね…っ!」


ブオン!バキン!


リセイ「…!結界…?」


エイジは腕を払い、すべての艦娘達のいる空間に4メートルの結界で包み込ませた!



翔鶴「こ、これは!?」

球磨「!!閉じ込められたクマ!?提督!」

リセイ「………………巻き添えをくらわせないようにか…気が利くじゃないか…」

エイジ「言ったはずだよ。艦娘達には罪は無いって…それならとことん手は出さないで欲しい…僕と君だけの戦いだ…」

リセイ「………ああ……」

榛名「そんな…!提督!」

リセイ「お前達じゃどう転んでもその結界を解く事は出来ない。大人しくそこに居るんだ。」

朝潮「………司令官……!」



リセイ「…………」

エイジ「…………」







戦闘BGM:新・鬼武者・「ロベルトのテーマ」

(曲名が不明の為、URLを載せておきます。

https://youtu.be/BV178Prb1OM)









エイジ「行くよ…!」

リセイ「ああ…!」




ビシュ!



リセイ「!!」


ダッ!


シュン!


スタッ…


エイジは目にも留まらぬ速さの光線を指先から発し、リセイをめがけて放ったが、リセイはそれを飛び上がって後方に下がり、ギリギリでかわした…!


リセイ(………速い!今まで戦った奴よりも…速さだけならアレクをも上回るか…)


霞「う…嘘でしょ…何今の…」

時雨「ぜ…全然見えなかった…」

エイジ「…………」



ズビィ!!!




リセイ「……!?」

エイジ「こっちだよ…!」




スッ…カキィイン…


何とエイジはリセイの後ろへ一瞬で移動し、手刀の型をとり、冷気を纏わせた刃で斬りかかった!


北上「は、速っ…!」

長門「手から氷の剣だと!?」

リセイ「くっ…!」



スッ!パッ!



ガギィイン!!




村雨「きゃっ…!?提督…!!」


リセイ「…っ…!!」


リセイはとっさに刀を取り出し、エイジの攻撃を振り払うように退けた!



エイジ「さすがだね…アレクを殺しかけただけのことはあるよ…そこいらの奴は、今のを防ぐ事は出来ない…!」

リセイ「…バカ言え…今のはガードするので精一杯だっつーの…!」

エイジ「……じゃあ、このスピードについてこれるかな!!」




ダッ!バオオオオ!




リセイ「な、何だと!?」



ダダダダダダダ!!!



バヒュヒュヒュヒュヒュヒュ!



エイジは想像を絶する速さでリセイを惑わせる…!


赤城「……!!エイジさんが何人も居るかのように見えます……!!」

リセイ(……っ…!どこから来るか…速すぎて狙いが定まらない…!なんて奴だ…!!)








ダダダダダダダダダ!!!





ズビィ!!






エイジ「………うああ!!!」

リセイ「!?くっ!」バッ!


ザシュウ! ズシャ…


リセイ「あぐっ!」

吹雪「ああっ!司令官!!」



ズザザザザザザサ!!




リセイはエイジの攻撃を察知する事は出来たが、避け切る事は出来ず、右横腹に斬撃をくらった!



ジワ…ドクドク…


リセイの服を瞬く間に血の色に染める…


リセイ「……ぐっ……!」ガク…



リセイはたまらず片膝をついてしまう…



瑞鶴「て…提督さん…!!」

リセイ「……ハァ…ハァ…大丈夫だ…ハァ…致命傷じゃない…」

大井「そんなに息が絶え絶えじゃ…大丈夫じゃないわよ!」

エイジ「……リセイ…僕を相手にして手を抜くなんて…そんな考えは捨てなよ…僕達は同じ力を持つ者同士…全力で戦う義務がある。君だって…そうだろ?リセイ…」

リセイ「ハァ…ハァ…(ニ…)……」

エイジ(…!横腹から流血しているにも関わらず、笑みを…何の余裕なんだ…)

リセイ「……ハァ…俺は…タダでやられるのは大嫌いなんだ…ハァ…」

エイジ「………?ッ!?ぐふっ…!」


ブシュ…!ポタポタポタ…


エイジの左横腹から血が噴出した!


加賀「い…いつの間に…」

エイジ「くっ…!僕がリセイを斬った瞬間に…」

リセイ「俺がお前を斬った…!」

大和(………相手が斬られている事も気づかない程の一瞬だった…という事ですか…)

木曽「す…す…げぇ…」

リセイ「…………」スクッ…


リセイは息を整えて立ち上がった!


エイジ「………」

リセイ「……今度はこっちの番だ…!」







ズビィ!!!



金剛「!テートクも同じ事を…!」


エイジ「……!」



ズビィ!!!




レ級「エイジもだ…!」



ドドドドドドドドド!!ダダダダダダダダダ!!






ガキン!キキキキン!カカカカンッ!!キン!キンッ!バババッ!ダッ!






ダダダダダダダダ!!!ドドドドドドドドドド!!!





ガガガガガガガッ!ビシュ!ドガァ!ズガキィン!ドン!バゴン!ガキンキンキンキンキン!



お互いの神速のごとくの圧倒的な速さで、艦娘達はあまりの凄まじさに瞬きをすることも忘れ、二人の戦いをじっと見ていた…






悪雨「………何が起こってるの…」

翔鶴「は…速すぎて2人の姿が……!」

長門「………この結界が無くとも…私達では立ち入る隙が無い…っ!」

赤城「………提督っ…!」






ダダダダダダダダダダダ!!!



バッ!


エイジ「でやぁぁぁ!!!」


ドドドドドドドドドドド!!!


バンッ!


リセイ「うおおおおおお!!!」






バギィ!!
ドゴォ!!




北上「うわっ……!」

瑞鶴「…ッ!!」


リセイ「ぐあっ…!」

エイジ「っ!ううっ…!」










ズダン!グルングルン!




ドスン!ゴロゴロゴロ…




リセイとエイジは同時に突進し、同時に互いの顔に強烈な一撃を与え、2人は反動で地面に倒れた!!







リセイ「……ハァ…ハァ…」

エイジ「……くっ…ハァ…ハァ…」

艦娘s「………ゴクッ…」



エイジ「………はっ!」シュピン…!バン!

リセイ「っ!?」グン!



エイジは氷の刃を消し、空間を掴むと同時にリセイの身体が浮かび上がった!


春雨「!?司令官!」


エイジ「うんんんんん!!だぁあ!!」




ギュイイイイイン…!




グォバァァァァン!




エイジは強く念じ、超能力でリセイを上空へと吹っ飛ばした!!



リセイ「ぐぁあああ!!」




ドヒュウゥゥゥゥン!!!





白露「提督ーーッ!!!」





バシュウ!!




ゴオオオオオ!!



エイジ「だぁ!!」




ドッガァァアン!!




エイジは空を飛び、リセイにバイシクル・キック(地面に背を向けて放つ蹴り技)をして一回転した!!



リセイ「うぐあぁぁぁぁあ!!!」




ヒュゥウウウウ!




ドバシャアン!!




ボゴゴゴゴゴ…


ゴボ…



リセイは海の地面にそのまま沈むように叩きつけられた!!


朝潮「ッ!!司令官!!」



ヒュン!スタッ!


空から降りてきたエイジは半ば叫び気味にリセイを呼びかける…


エイジ「リセイ!今ので死んだなんて事はありえないはずだよ!君がそんなぐらいで終わるわけないからね。さっさと出てきなよ…!」



ドザァアァァァン!!!!


リセイ「……っ………!!」



スタッ!



夕立「ああ…っ!提督さん…!良かったぁ…!!」


エイジがそう言った直後、エイジの背後からリセイが海から飛び上がった!!



リセイ「………ハァ…………ハァ…」ツーーーーー……

時雨「……っ!提督…頭から血が…!」

エイジ「………どういうつもりだい?どうして本気で戦わないんだ?君は今何を考えている?」












リセイ「…………………黙れ…俺が手加減しようがしまいが…お前には関係ない…」










エイジ「………!?」ゾワ…!

(………ダメージを受けたことによる怒り……さっきまでとはまるで違う……僕が寒気を感じるなんて…)






白露「…あ…あ…」ガタガタ…

大和「……?白露ちゃん達が…どうしてそんなに怯えて…」

時雨「……て、提督が…あ…あの時の…山風が正王鎮守府にくる前の…」ガクガク…

翔鶴「……っ…!提督が…人が変わった様に…」

長門「……!?あ、あれは本当に…提督なのか…」

リセイ「………………」


スッ…



ギロッ!




リセイは身が凍りつく程の鋭い目つきでエイジを睨みつけた!











戦闘BGM:幽☆遊☆白書・「幽助パワーアップ!」










艦娘s「っ!!」ビクッ…


エイジ(……リセイの率いている艦娘達が怯えている…!?……しかも刀を消した…?リセイ…君は一体何を…)









ビィィィィィィイ!!バチバチバチバチバチ!!










榛名「え…?こ、これは…!?」





突然、その場にいる全員の周りに小刻みに電撃が発生した!





エイジ(……!!リセイの身体から放っている波動が、周りの空間に耐えられなくて壊れているんだ…なんて力だ……)


バヂヂヂヂヂヂ…!バチバチ…






艦娘s「…………」







エイジ「…………」










リセイ「お゛お゛おお!!」




ド ン !!!!











エイジ「!!!」

















バギィイイ!!!



エイジ「ぐぁ!?うっ…ぐっ…ぐうう…!」



リセイはエイジが見極めることができないほどのスピードで間合いを詰め、エイジの左頬を勢いよく殴った!!




ズザザザザザザザ!!





シュタタタタタタタタ!!



ビシュン!



リセイ「ゔお゛お!!」



エイジを殴って吹っ飛ばしたリセイは、凄まじいスピードで走って追いかけて、勢いよく飛び上がり、吹っ飛んでいる状態のエイジの腹部を何度も踏みつけた!!!





ゴォォォォォォ!!!



ズダァン!バゴン!ドゴン!ズドン!ズドン!ドゴォ!ズガッ!ドバァン!ドスン!ボゴォ!



エイジ「ぐぁ!うぁあ!うぐ!ぐぅ……!」




ガシッ!



ズダダダダダダ!!バキィ!!



踏みつけた後すぐ、エイジの胸ぐらを掴み、超速の正拳乱打を繰り出した!!


加賀「……………!!」クチオサエ

春雨「あ…ああ…は…う…」ガチガチ…

悪雨「………ッ…!」ブルブル…

霞「………う…っ!」ガタガタ…



艦娘達はリセイの変貌に、恐ろしさのあまり、声にならない悲鳴をあげていた…



エイジ(ぐっ!!防御すらも間に合わない!!さ、さっきまでとはまるで別人だ……!!どうなって…うっ!?)



リセイ「おおおお!!」
ガシッ!




ブォンブォンブォンブォンブォン!ブァン!!



ドヒュウゥゥゥウン!!



リセイは追い討ちをかけるように、殴って吹っ飛ばしたエイジの腕を掴み、そのままエイジの身体をぶん回して、上空へと投げ捨てた!!



エイジ「ぐうう……!!」




ズビィ!!




ガガッ!



更に追い討ちをかけるリセイはエイジの頭を両手で掴み、何度も何度もヘッドバットをくらわせた!!!



ガァン!!ゴガン!ガスッ!ガッ!ゴッ!ガッガッガッガッゴッガッゴスッガンッ!




ドスゥウン!



榛名「きゃあ!!」

木曽「うっ!!」



ヘッドバットをしながら落ちていったリセイは、艦娘達の真上、つまりは円形の結界の頂点の部分にエイジ叩きつけ、腹部に馬乗りし、凄まじい波動と電撃を込めた両拳でエイジを激しく殴りつけた!!!





リセイ「ぬうううううううう!うおおおおおお!!!」




バキ!バキ!ドガァ!バギィ!ズドドドドドドドドド!!!



エイジ「ぐぁ!!うぁあー!がはっ!うぐぁ!ごはっ…!」



一つ一つの殴りが、地球全体を揺るがすほどの威力を放っている!

さらに、電撃が周りの空間を破壊すると同時に現れた!





バヂヂヂヂヂヂ!!バチ!バチバチバチ!!!




ヂヂヂヂ……バチバチ…



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……




大和「……せ、世界が…揺れている…!?」

大井「…う…嘘……!」







パキパキ…ピシッ!


ビシビシビシ…パキキ!




ヴェールヌイ「っ!?結界にヒビが…!」



バシバシバシ…ビキビキ…



リセイ「ゔおおおおおお!!!」





グイイイイイン!!!




バッゴォォォオォォォォォン!!!




バリィィィィン!!






艦娘s「うわぁああ!!!」






ドォオオオオオン…



リセイの最後のトドメの一発が、結界を崩壊させ、エイジを地面に叩きつけた!!





金剛「……っ!テートク…」



リセイ「…………………」



リセイは血まみれの状態のエイジの首を掴んで持ち上げていた…



エイジ「………ガフッ…ぐっ…」ポタッポタッ…



リセイ「フン!……お前などにやられる俺では無い!!」





『分かったかぁ!!!!!』



艦娘s「ッ!!!」ビクッ…!


エイジ「………ッ……!」










リセイ「…………」ブンッ!







ドサ…






リセイはエイジを怒鳴りつけるように言い放った後、前方の地面に投げ捨てた…




エイジ「……ゲホッ…す…凄い力だ…僕の想像以上だった…よ……ぐっ!ゴホッ!」ビチャッ…


リセイ「……勝負はついた…俺の勝ちだ…もう帰ってくれ…これ以上は戦いたくない…」


エイジ「…………」


リセイ「…………」


エイジ「……………わかったよ…僕も君の力が知れて満足したからね…うっ…君の言う通り、今日のところはもうやめにするよ…」

リセイ「…………アレクに言っとけ。また会いに行くってよ…」

エイジ「……せ…いぜ…い怪我をさせ…られないように…気をつけるんだ…ね……近いうちに…また会う…かもしれない…ね…」スッ…








ブオォン!シュウゥゥゥウ!


エイジは力を振り絞って、自らの身体に結界を纏わせ、飛んで去っていった…








イメージBGM:ライアーゲーム・「Prologue」








リセイ「……………」

長門「……提督……」

リセイ「…!………」

吹雪「……っ…し、司令官…」ビクビク…


リセイは名を呼ばれ、振り返ったが…

吹雪をはじめ、艦娘達はリセイを見て怯えてしまっている…


多摩「………」ガクガク…

夕立「………」ビクビク…

リセイ「……そんなに俺が怖いか?」

白露「…う……うん…」ビクビク…

リセイ「……………」パキパキ…グッ!


リセイは右手の関節を鳴らし…


バキィ!!


艦娘s「!?」


自分の額を思い切り殴った!


春雨「し、司令官…何を…!?」

リセイ「………お前らを怖がらせた自分への戒めだ…」ツーー…


頭部や右横腹だけではなく、額からも血を流しながら言った…


北上「………わざわざそんなことしなくたって…」

リセイ「理由はどうであれ、お前達にも被害はあったんだ。恐いという感情を与えてしまったからな…落とし前、ちゃんとつけないとな…」

時雨「……………」

村雨「提督………」

大和「……提督…っ!血を止めないと…!」

リセイ「………悪いな…」







大和達は提督を座らせて、受けたキズを消毒し、血を拭いて包帯を巻いた…










20分後……










翔鶴「………これで大丈夫です…」

榛名「でも、しばらくは動かさない方が…」

リセイ「そうか…わかった。サンキュー。」

赤城「……提督…先程までは攻撃を受けて怒っていたのに…今は大丈夫なのですか?」

リセイ「……俺は昔から、しつこい事をされると、つい熱くなっちまうんだ。さっきのだってちゃんと自我はあった。けど…結果的にお前らを巻き込みかけたよ…ごめんな……」

長門「……私達はそんなことは気にしてはいない。それに提督…素晴らしい戦闘だったぞ。」

リセイ「……え?」

球磨「うんうん。あんなのやっぱり提督ぐらいの存在じゃないと無理だクマ…」

瑞鶴「私もあんな風に闘えたらなぁ…」

レ級「ウプッ…瑞鶴がそういう感じで戦っているところを想像したら気持ち悪くなった…」

瑞鶴「何ですってぇえええ!!!」

北上「ぶふっ…」

朝潮「……クスッ…」


リセイ「…………」

加賀「提督…私は正直言って今も貴方が怖いです。けれど、それは私たちを守ろうとして、あんな風になってしまった。それに、さっきはさっき、今は今。私たちにそう教えたのは貴方よ。」

霞「……偉そうに私達に教えたくせに自分は切り替えられないのかしら…ほんっとクズね!」ドキドキ…

リセイ「………お前ら…」

白露「……帰ろ?提督…」スッ…


白露はリセイに手を伸ばして、立ち上がるように促した。


リセイ「……ふっ…ありがとな…」ガシッ…


白露の手を掴んで立ち上がったリセイは、艦娘達に指示を出した。


リセイ「これより、俺を含めた全艦隊は、正王鎮守府に帰投する。全員、艤装を展開させてスタンバッておけ。今から後五分程度で出発する。」

艦娘s「了解!!」ビッ!































〜アレクとエイジの隠れ家〜










エイジ「………」フラフラフラ…

アレク「ん?エイジ…なんだそのザマは…」

エイジ「………リセイと戦ってきたよ…想像を絶した…」

アレク「!?てめぇ!抜け駆けしてんじゃねぇよ!あいつは俺が殺るんだっつったろうが!」

エイジ「………心配しなくてもリセイはピンピンしてるよ。僕はあっけなく負けたけどね…」

アレク「………ふん…そう簡単にやられてもらっちゃあ困るんだよ…」

エイジ「……そういえば昨日からは深海棲艦が目立つ事をしている気配は無いね…」

アレク「…知るか…死にたくなけりゃ、仕掛けて来なきゃ良いんだよ…俺たちは何も悪い事をしてねぇんだからな……」

エイジ「……………」

アレク「…………俺はな、ワクワクしてんだ…!」

エイジ「…?」

アレク「俺はエイジと一緒に、転生する前の世界で死んじまったろ…?」

エイジ「……学校帰りに信号無視をした轢き逃げのトラックに吹っ飛ばされたアレね…」

アレク「ああ…今更元の世界に戻る気はさらさらねぇが…あの胡散臭ぇ転生の神さまがバケモノみたいな力を俺たちに与えてくれた時は心底ビビったぜ。」

エイジ「……………」

アレク「んで、まともにやり合えるのはエイジしか居なかったが…あいつ…リセイが現れてからは…何もかもが変わったような気がしてよ…だから俺は、あいつをぶっ倒すぐらいの力を手に入れねぇと…あいつを超えねぇと…」

エイジ「……リセイがそんなに気に入ったのかい?」

アレク「うっせぇえ!馬鹿やろぉ!」

エイジ「…………ふふ…」

アレク(………チッ…だが…間違っちゃいねぇよ…やっと見つけたんだ…あんなに強え奴はよ…けど…あの力はどう考えてもこの世界のものじゃない…恐らくはあいつも転生したんだろうな…そうじゃなけりゃ俺たちの攻撃に耐えられるはずがない…へっ!ますます燃えてきたぜ!)

エイジ(…なんてことを考えてるんだろうね…全く…ほんとアレクは戦闘狂だな…

転生…か…僕達と同じ転生人…リセイ…また会いたいな…)






























〜正王鎮守府門前〜






ザッ…




ヴェールヌイ「…フ…帰ってこれたね…誰一人沈まずに…」

時雨「うん…提督が僕達を守ってくれたおかげだよ…」

リセイ「………よせやい。褒められ過ぎると身体がむず痒くなるんだよ…」

大井「……ふ〜ん?照れてます?」

リセイ「照れてねぇ!///」

北上「わかりやすいねぇ〜…ほんと…」

リセイ「…………//」

正王憲兵「む?おお!リセイ提督!よくご無事で!艦娘の皆さんもお疲れ様です!」

リセイ「…あ、憲兵さんか…話すのは随分久しぶりだな。いつもご苦労さん…」

正王憲兵「もったいないお言葉です!さぁどうぞ!お入り下さい!」

翔鶴「憲兵さん。ありがとうございます!」

吹雪「見張り頑張って下さい!」

正王憲兵「ハッ!」ビッ!


















リセイ「たった数日離れていただけなのに数年旅をしてた気分だ…」

長門「奇遇だな。私もだ…」

由良「あ!提督さん!みんなも帰ってきたんですね!お帰りなさい!」

木曽「!由良!鬼怒!阿武隈!」

瑞鶴「ただいま!そっちは何か変わった事はあった?」

阿武隈「特に何も変わった事は無かったんですけど…正王鎮守府に張られている結界が一瞬だけ薄くなったんです…」

鬼怒「うん…それもついさっきの事なんだけど…」

大井「あ…その事については見当がついてるから後でみんなに報告します…」

加賀「…………おそらく提督の…」

赤城「シッ!加賀さん。それはまた後でですよ。」

由良・鬼怒・阿武隈「???」














リセイ達が帰って来た事はすぐに広まり、皆喜びを隠せなかった…リセイ達が行ってきた旅の記憶を、いつもの力で留守番していた艦娘達に見せた後、やはりリセイの豹変ぶりにはほぼ全員が驚いていた…

しかしその光景に恐れず、大淀や明石をはじめ、ほとんどの艦娘がリセイを捕まえて、はしゃぎあっていた。

リセイは嬉しくもあったが、連日の戦闘で疲れていることもあり、艦娘達を避け気味に、気づかれないように逃げた…

出撃メンバーは全員補給・入渠を済ませに向かい、リセイは1人で司令室に向かっていた…













15:00







〜正王鎮守府司令室〜









ガチャ…






ハチ「あ!提督。お帰りなさい!」

イムヤ「無事で良かった…」

リセイ「よう。元気にしてたか?」

ろー「はい!みんな元気いっぱいですって!」

イク「提督が居ない間みんな寂しそうだったのね…」

ゴーヤ「イクも似たようなものだったでち…」

リセイ「悪い悪い。当分は外には出歩かないから、またしばらくは鎮守府で待機することになる。」

イク「ほんと!?じゃあ、いっぱいみんなと遊ぶのね!プールに行ったり、駆逐艦の子達と一緒に遊んだり!」

リセイ「それもありだが…明日はゆっくり寝かせてくれ…流石に疲れたからな…」

ハチ「んーー…それなら仕方がないですね…わかりました。」

イムヤ「明後日になったらとことん付き合ってもらうからね!司令官!」

リセイ「おお。覚悟しとくよ…」

ゴーヤ「ふふふ!約束でち!」




ガチャ…バタン…




リセイ「………ふぅ…」



トスン…



リセイは自分の執務用の椅子に座って落ちついた…



リセイ「………だめだ…帰ってこれたら安心して眠たくなってきた…まだ少しやることが…ある…の…に…」







リセイ「zzzzzz…」

























23:00












リセイは8時間も寝続けていた…






リセイ「………ん…ふぁあ…もうこんな時間か…ちょっと寝過ぎた…」

白露「あ、起きたね提督。おはよ!」

リセイ「いや、もはやおそようなんだが…と言うかお前ここで何やってんの?」

白露「みんな疲れてるせいかすぐに寝ちゃって…あたしはまだ目が冴えてるから退屈で…それで今提督の部屋に来たらちょうど目を覚ましたんだよ。提督が。」

リセイ「……そうか…」

白露「提督もずいぶん疲れてたんだね…帰ってきてからずっとそのままで寝てたんでしょ?」

リセイ「……ああ。ここは我が家だー…と思うと急に眠気がきてさ…いつのまにか眠ってたわ…」

白露「…そうなんだ…あ、そう言えばお風呂に入ってないんじゃないの?行かないの?」

リセイ「それもそうだな。よし、今から行ってくる。」

白露「うん!行こう行こう!」

リセイ「…………」

白露「………ん?どしたの?」

リセイ「まさか一緒に入るとか言わないよな?」

白露「え?その通りだけど?」


リセイ「……………」


白露「……………」


リセイ「………もう好きにしてくれ…」

白露「お!今回は拒まないんだね!無理やり連れて行く手間が省けたよ!」

リセイ「……………」






連日の戦闘や受けた傷のせいもあり、疲労が蓄積されていたリセイには、言い返すことも抵抗する力も雀の涙程度にしか無かった…














〜入浴場〜


























カポーン…



















白露「ふい〜…極楽だ〜…」

リセイ「お前風呂に入ったんじゃなかったのか?」

白露「そりゃ入ったけど…提督とも入りたかったから、二度風呂だね!」

リセイ「………はぁ…突っ込むのもめんどくせぇ…」


リセイはため息混じりに呆れの意味を込めて言い放った。








白露「……………」






リセイ「……………」





白露「…………ねぇ…提督…」

リセイ「……ん?」

白露「……あたし…提督に会えて良かったよ…ほんとに…」

リセイ「……なんだ?急に…お前らしくないな…」

白露「な、なにさ!別にいいじゃん!」

リセイ「冗談だよ…本気にするな。」









白露「…………」








トン…ギュ…








白露はリセイの右肩に頭を置き、腕を抱きしめた…


リセイ「…!どうした…?」

白露「……あたしも…帰ってこれてよかった…だれも沈まずに…誰一人欠けずに…」

リセイ「……………」

白露「ほんとはね…怖かった…提督が一緒にいるのに…誰かが居なくなるのが怖かったよ…もしものことがあったらどうしようって…あたしがみんなを守れなかったらどうしようって…提督が死んじゃったらどうしようって…!っ……」


ジワ……ポロポロ…


リセイ「………白露…」



白露の目から涙が溢れ出ていた…

リセイの腕を抱く力が少し強くなったのを感じた…



白露「……うっ…うう…」

リセイ「………はぁ…どうしてこう世話の焼けるやつが多いんだ…」

白露「…グスッ…え…?」

リセイ「…白露。これは、お前だけに言った事じゃないが…俺は死にたくても死ねない身体を得ちまったんだ…俺が死ねる方法はたった一つ。それは「寿命」…どんな存在も人間であれば、生きる時間には逆らえない。だけど人間をやめたら生きることができる時間は増える。でもそれは、人間として恥じるべき愚行だ。たとえお前らが人間をやめてまで俺に更に生きて欲しいと言われても、俺は人間をやめるつもりは無い。」

白露「……………」

リセイ「…………だから…今を一緒に楽しもうじゃないか。」

白露「…へ…?」

リセイ「これから先、俺は80、90ぐらいの歳になるまでは生きようと思ってる。それまではずっとお前らと一緒だ。あ、でもよ、俺は老いる事は無いぞ。この鎮守府に着任する前にその呪いを自分でかけたからな。けどやっぱり、寿命には逆らえない。というか逆らいたくない。……その時が来るまでは、気の遠くなるほどの時間はあるさ。だから…もう泣くな…」

白露「…………提…督…」ツーーー……

リセイ「おい!今泣くなって言ったばかりだろうが!」

白露「うう…だってぇ…」ポロ…ポロ…

リセイ「………」



ポンッ


白露「!」


リセイは白露の頭を左手で撫でた。


リセイ「お前は良くやってくれている。姉妹である時雨達の事をよく気にかけて、海域攻略のために獅子奮迅に頑張ってくれて、新しい奴らがきた時にはそいつらを率いて一緒に遊んだり、お前が秘書艦の時はいつも俺の事も心配してくれている。お前もこの鎮守府に居なくちゃならない存在なんだよ。白露。まぁ、後から来た俺が言えた立場じゃないか…」

白露「…!!そんなことない!提督がここにきてくれたから今のあたしたちがあるんだよ!それにみんな提督のこと……………あたしだって…」

リセイ「………?」

























白露「あたしだって…本当に提督が好きなのに…」













リセイ「…………白露……」

白露「……………//」





白露はリセイを見つめたまま、動かなかった…

リセイには、風呂の湯気でよくわからなかったが、心なしか白露の顔が赤らんでいるように見えた…




リセイ「…………」


白露「…………」



白露はいつのまにか迎え合わせの状態の位置に移動して、リセイの目をじっと見たまま動かなかったが…


























チュウ…














白露の方からリセイに長い長い、口づけをした…






























リセイ「……っ…白露…」

白露「………ぷはっ…えへへ…一番最初のキス……奪われちゃった…///」

リセイ「……お前が勝手に持ってきたんだろうが…」

白露「………いじわる……」ポスン…


リセイの胸に背中からもたれかかって、白露はそう呟いた…


リセイ「……………」

白露「…ね…提督…キスの続き…してくれないの…?」

リセイ「………せめて風呂から上がってからにしてくれ…」

白露「……わかった。じゃあほら、早く行こ!」

ザバッ!


風呂の水飛沫を上げながら勢いよく立ち上がった白露は、リセイの腕を抱きしめながら入浴場を早く出るようにと急かした。


リセイ「…おい、引っ張んなよ…わかった!行くからちょっと待て!」

白露「えっへへ〜!」














カポーン…



















00:00









〜司令室・寝室〜











白露「提督…あたしはいつでもいいよ…?」

リセイ「…ああ…わかったよ。けどもう、これ以上はやめてって言ってもやめられないからな?」

白露「いいよ…大丈夫だから…提督………」

リセイ「………………」





























安定のry

































翌日…



















07:00















ピチュ…チュチュチュ…チュンチュン…











リセイ「……ん…くぁあ〜」ケノビ






白露と共に夜を過ごしたリセイは、白露より先に目を覚ました。









白露「…zzzz…ていとく〜…zzz…」ギュウゥ…


リセイの身体を抱きしめながら寝言を発する白露。


リセイ「………起こしたら悪いな…もう少しこのままでいてやるか…」ちょんちょん…


白露の長く艶のある髪をいじりながらそう呟いた…
















08:00












白露「………んぅ…?あれ…提督…起きてたの…?」

リセイ「目が覚めたか?おはよ…」

白露「…うん!おはよう提督!いっちばんに起きたかったけど、先に越されちゃった…」

リセイ「無理して起きる必要ねぇだろ。どうせしばらくは休みなんだから…」

白露「あたしがそうしたいの!みんなより一番になりたいからね!」

リセイ「さいですか…ほれ、そろそろ起きるぞ。朝飯作ってやるから顔でも洗ってこい。」

白露「ほんとに!?提督が朝ご飯作ってくれるの?楽しみ!」

リセイ「白飯炊いて、味噌汁作って、トンカツでも揚げる程度しか出来ないけどな…」

白露「良いじゃん!食べる食べる!んじゃ顔を洗ってくるよ!」

リセイ「ん。はしゃぎすぎて鼻に水を突っ込むなよ?」

白露「そんなことしないよ!!もう…///」

リセイ「…ふっ…」





















白露「ふぅ…スッキリした!ん?おお!美味しそう!」




洗顔をし終えた白露が戻ってきた後は既に食卓の机に朝ごはん一式が揃っていた。


器いっぱいによそられた白飯と味噌汁がホクホクと湯気を立てている。トンカツの横には切り刻まれたキャベツとお好みのマヨネーズが供えられてあった。


リセイ「お、やっと来たか。随分と長い洗顔だったな。」

白露「いやぁ…ちょっと…」

リセイ「…………ぶっ…やっぱり…」

白露「もーー!提督がフラグ立てるからだよ!///」

リセイ「気をつけてなかったお前が悪りぃ。」

白露「むーーー…」

リセイ「ほらほら、冷めちまうぞ。…いただきますっと…」

白露「い、いただきます!」



モグモグ…モグモグ…ゴクッゴクッ!























30分後…









白露「ごちそうさまー!提督って意外と料理できるんだよね!」

リセイ「ごちそうさん…って、意外は余計だ!陸軍にいた頃はろくな飯がなかったからな…自分で作るしかないんだよ。」

白露「……大変な人生だったんだね…」

リセイ「そうでもねぇさ。今はお前らがいるからな。暁達にも言ったけど、結構楽しいぞ?今。」

白露「ほんと?」

リセイ「本当さ。」

白露「…えへへ…なら良かった…!」

リセイ「………」ヒョイ、ゴクゴクゴク…




コップに入っていた麦茶を飲んで、一息ついた。



白露「…そういえば提督。あたし達ってこれからどうするの?執務だってあと6ヶ月はしなくて良いんでしょ?」

リセイ「さぁなぁ…アレクやエイジと一発暴れてきても良いんだけど、あんまりやりすぎるととこの鎮守府に居るみんなが心配という名の怒りをぶつけてくるからな…」

白露「……まさかまた一人で行ったりしないよね…?」

リセイ「だとしたら?」

白露「………あたしも…ううん…みんなついて行くよ…」

リセイ「……好きにしろ。ただし、お前らはどんなことがあってもあの2人には手を出すな。これは絶対条件だ。」

白露「……うん…」

リセイ「……フ…そんな顔すんなよ。俺は絶対に死にはしないからな。だがそれは、アレクもエイジも同じこと。あいつらだって俺とほとんど同じだからな…」

白露「……提督…」

リセイ「うっし。特にやること無いけど、外で風に当たりに行くよ。お前も好きな事をして遊んでろ。」

白露「わかった。じゃあ、あたしもみんなのところに戻るね。朝ごはんありがとう!美味しかったよ!」

リセイ「ああ。お粗末様だ。」

白露「うん!それじゃ!」



ガチャ…バタン。










リセイ「………関係を持ちすぎると後が怖いな…ったく…ほかの艦娘もまた来るかも知れないな…いやいやいや、勘弁してくれ…」


































4ヶ月後…












09:35

















〜正王鎮守府屋上〜

















ブォン!






ブン!スチャ…フォン!フォス!




リセイ「………今日も今日とて、素振りの修行……か…自分で決めたことだけど。」


というかこれしかやることがないんだよな…

艦娘達が俺を遊び相手にすることも然り、ほんとに疲れる…俺にとってはこの素振りが日常で、一番安心できる時間だな…深海棲艦達が大人しくなったのを機に、アレクやエイジの活動などの報告は一切無くなったし、それに大本営からの特別な依頼も無い。おそらくSのことで手一杯なんだろうな。…しかしあいつらだってじっとはしてないだろう…

だから俺もこうやって毎日朝の素振り修行を続けているけど…なんだかなぁ…あんまりこういうこと考えたくないけど、今の日々がイマイチ物足りないっていうか…







スッ…





リセイ「ふぅ…そろそろ戻るか…良い感じに終わったし。」







ガチャ…






リセイ「ん?」





リセイが刀を消した後すぐ、屋上の扉が開かれた。






摩耶「おう!提督!またここで素振りか?毎日やってて飽きないのか?」

リセイ「よう摩耶。飽きるっていうかこれをしないと俺の1日は始まらない気がしてな…」

摩耶「ふ〜ん…そういうもんなのか…?」

高雄「それも人それぞれ、ですよね。」

リセイ「……ああ。」

愛宕「でも、疲れたりはしないかしら?毎日その修行をやっていたら身体が持たないんじゃ…」

リセイ「いや、俺にとっちゃむしろ逆効果だ。やればやるほどに動きが速くなるし、何より敵の動きも察知しやすくなるしな。」

鳥海「……司令官さん…気になっていたんですが…いつも持っている刀ってどれぐらいの重さなんですか?」

リセイ「知りたきゃ直接持ってみな。ほれ。」



スッ…





チャ…ズシ!




リセイは再び、空間から刀を出して鳥海に手渡した。




鳥海「うっ!?お、重っ!?…いつもこんな重いものを持ってあんなに速い動きを…!?」

摩耶「……鳥海…あたしにも持たせてくれ…」

鳥海「……はい…」



ズシッ!


摩耶「うわっ!な、何だよこれ!?刀ってこんなに重いのか!?う、ううううん!!」

リセイ「おいおい無理すんなよ。」

摩耶「ゼェ…ハァ…嘘だろ…あたしらは艦娘なのに…まともに持てないものがあるなんてよ…」

愛宕「…そんなに?じゃあ私も持ってみようかな…(ズン!)っ!?ええ!?これは…くくくぅ…も…持てない…」

高雄「愛宕!私も一緒に持ってみるわ。……っ…え!?くぅ…!ふ、二人がかりでも持ち上げるのがやっとなんて…」

リセイ「だってその刀普通の千倍の重さにして出したからな。俺はいつもそれで修行してるけど。」



4人「早く言ってください!!」(早く言えよ!!)





リセイ「まぁまぁ、そう怒るな。ほら、貸してみ。」


愛宕「は、はい…」



ガッ!





チャキ…





ブン!ブン!ブオオオ!ドン!






鳥海「……あんなに重いものを軽々と…」

高雄「…常を超えてるわね……」

リセイ「っと…まぁこんなもんだな。俺が出撃する時はいつもこっちを使ってる。今お前らに持たせたのは修行用のやつだからな。」



スッ…スッ…



パッ!




そういうと、提督は修行用の刀を消し、違う刀を取り出した。




リセイ「ほら、持ってみろ。」


パシッ!


鳥海「はい………ん?たしかにさっきよりは全然軽いですけど…普通の人間が持つと、力が無い人なら持ち上げるのも一苦労しそうですね…木曽さんや神通さんもこういうのをいつも使っているんですね…」

摩耶「……本当だな…それを棒のように振り回すなんて…お前…」

リセイ「おっと、その先は聞きたくない。俺は人間だ。毎回このくだりはもう勘弁だよ…」

摩耶「おい!最後まで言わせろよ!ったく…」

高雄「でも…提督?これは明らかに人間の力では不可能と思うのですけど…」

リセイ「三ヶ月も経ったら流石に見慣れたと思ったけど…そうでもなかったか?お前らの他にも新しく来た吹雪型の四人はお前達と同じで反応をまだするけど…ポーラとザラとサラトガも今も驚きはするけど、あんまり俺の力については聞いてこなくなったぞ?」

愛宕「それこそ人それぞれよ…私達は提督のその力はやっぱり見慣れないから…」

鳥海「……ポーラさん達の適応能力が凄いんですよ…」

リセイ「え〜?頑張って慣れてくれ…こればっかりはどうしようもないからな…」

摩耶「…まぁいいさ。あたしはだんだんマシになってきたしな…!」

リセイ「そのいきだ摩耶。さてと、俺はそろそろ間宮食堂に行くけど、ついでだ。お前らも来るか?奢るぞ?」

鳥海「え?良いんですか?」

リセイ「どうせ何も食わないでここに来たんだろ?お前らの今の頭を見たらすぐわかる。」

4人「……………」カミボサボサ

リセイ「………いつもの制服に着替えて来るのは良いけど、あんまり急ぎすぎるなよ…何に急いでたかはあえて聞かないでおくけど。」

4人(……提督の修行を見に行く為に急いでたなんて言えない…)(言えねぇ…)

リセイ「…おーい!何やってんだ?早く来いよー!」

摩耶「あ、ああ!待てよ提督!」
















高雄型重巡洋艦。あの四人が着任したのは3ヶ月前。そして、それと同時に着任した艦娘がザラ、ポーラ、サラトガの3人。更に、白雪、初雪、深雪、磯波の4人。合わせて11人の艦娘が、また新たに正王鎮守府に来たわけだが…やっぱ俺の力には慣れるにはまだ時間が必要だな…

けどあの3人は逆に驚くな。海外艦ってのは慣れが速いもんだな…

そんなこんなで既に4ヶ月が経ったけど…正王鎮守府は相変わらず賑やかだ。




















13:00









〜正王鎮守府北花園〜














リセイ「…………花をじっと見てると昔のことを思い出すな………

はぁ…」

吹雪「あ!司令官!お疲れ様です!」

リセイ「ん?吹雪か。他のみんなもお揃いで。どっかへ出かけるのか?」

磯波「いいえ…ちょっとした散歩ですよ。」

初雪「司令官は何やってるの…?」

リセイ「んー?後2ヶ月はやる事がないし、何より大本営からの報告も何もないからな…ここで暇を潰してた。」

白雪「そうなんですか…あ、司令官。」

リセイ「なんだ?」

白雪「最近深海棲艦の動きが全く報告されてませんよね…何かあったんでしょうか…」

深雪「だよな〜…深海棲艦でもやる気がない事ってあんのかな?」

叢雲「違うと思うわよ。4ヶ月前に司令官と付いて行った艦娘達がそれなりの親玉を倒したからでしょ。」

リセイ「ああ…Sの事か?あいつは今頃元帥殿の監視下で元帥殿と会話でもしてんじゃないのか?」

深雪「…凄いよなぁ司令官は…初めてここに着任した時は心臓が飛び出るかと思ったよ…」

初雪「……レ級と悪雨にも普通に驚いたけど…」

リセイ「あの2人だって結構良い奴だろ?あんな優しい目をした深海棲艦はそうそう居ないぞ。」

磯波「提督の記憶を見せる術も凄かったです…!」

白雪「あれで司令官達の凄さがよくわかります…」

リセイ「まぁな…そう言えばお前らは俺の力についてはあまり言って来なくなったな。もう慣れたか?」

吹雪「私と叢雲ちゃんはずっとここに居ますから慣れてますけど…」

深雪「正直言ってまだ少し見慣れないなぁ…けど、そんなに驚くことは無くなったよ!」

磯波「私もです…」

初雪「…慣れって色んな意味で怖い…」

リセイ「そうか…けどまぁその調子でいいさ。無理に慣れろって訳じゃないしな。」

叢雲「で、あんたはどうなの?ずっと鎮守府に居てると身体が鈍るなぁ〜とか言ってたじゃない。」

リセイ「だから朝から毎日刀の素振りしてんだろうが。本当に鈍ったら話にならないからな…アレクとエイジもこの前よりも必ず強くなってるはずだし…それによ、深海棲艦は完全に人間や艦娘達が居る施設を狙わなくなったわけでもないだろ?ここだって結界を張ってるとはいえ、いつそれをぶっ壊す奴が来ても良いように、身体をよく動かしとかないとな…」

叢雲「…………そう…」

白雪・初雪・深雪・磯波「……」

吹雪「………あの、司令官!あんまり無理はしないで下さいね?」

リセイ「心配すんな。死ぬような真似はしないさ。」

磯波「………なら良かったです…」




















しばらく他愛ない会話を続けた後は、もう少しだけ散歩をするとのことで、吹雪達はリセイと別れて歩き回っていった。

リセイも一度司令室に戻り、窓を開けて風に当たっていた…









14:00













〜正王鎮守府司令室〜












コンコン








リセイ「おう、開いてるぞ?」



ガチャ




ザラ「提督!Buongiorno!調子はどうですか?」

リセイ「ようザラ。ん?ポーラも一緒か。ってお前また呑んでんのか…」

ポーラ「提督〜…アッハハ〜Buongiorno〜です〜」

リセイ「うっぷ…酒臭い…酒はほんとダメなんだよ俺…」

ザラ「ポーラ!司令室に来る時ぐらいは飲むのをやめなさい!」

ポーラ「え〜だって飲まないとポーラ倒れちゃいますよ〜…お酒で動いてるようなものですから〜」

リセイ「ぶはっ!酒が動力源の艦娘なんて居ないだろ…けどなポーラ。何事も加減が必要だぞ?あんまり飲みすぎると身体壊すぞ…」

ポーラ「ん〜?心配してくれてるんですか〜?大丈夫大丈夫〜…ポーラ飲んでませーん…アハハハハ…!」

リセイ・ザラ「今飲んでるじゃねーか!(今飲んでるでしょ!)」

ザラ「全くもう…」

リセイ「…で?俺になんか用があって来たんじゃないのか?」

ザラ「あ!ごめんなさい!実はお昼に食べようとpizzaを作ったんですけど…ちょっと作りすぎて…だから良かったら一緒にどうかなって。」

リセイ「ほほう…ピザか。ありがたいなぁ。ちょうど腹が減ってたんだ。それならサラトガも連れて行きたいんだが、一緒にご馳走になっても良いか?」

ザラ「それはもちろん!あ、でも、何故ですか?」

リセイ「この間サラトガが独り言のようにイタリアの料理も食べてみたい…って言ってたからな。せっかくだから誘おうと思って。」

ザラ「なるほど…じゃあもう少し作った方が良いかも知れないわね…では提督!調理室の試食部屋で待ってますね!ほらポーラ!行くわよ!」

リセイ「ああ。楽しみにしてるよ。」


ガシッ…ズルズル…


ポーラ「ああ〜…ザラ姉様引き摺らないでぇ〜」


ガチャ…バタン


リセイ「……ほんと、いろんな意味ですごいなあいつら。」


コンコン


リセイ(お、ちょうど良いところにサラが来たな。まさにグッドタイミングだな。)


リセイ「サラか?入って良いぞ。」


ガチャ


サラトガ「ふふふ!流石は提督。サラだとわかってましたね?」

リセイ「まぁな。それで?お前はどんな用事でここに来た?」

サラトガ「いいえ…特に用事は無いですよ。強いて言うなら、遊びに来た…と言った方が良いでしょうか…」

リセイ「へぇ…お前がそんなこと言うなんて珍しいな。そうだなぁ、今腹は減ってるか?」

サラトガ「?そうですね…そう言われてみれば空いていますね…」

リセイ「暇を潰せるかどうかは知らないけど、ザラがさっきピザを作りすぎて余ったから食べないかって言ってきたけど、お前も行くか?」

サラトガ「え?ザラさんが?私も行って良いのですか?」

リセイ「ザラが言うには是非とも!だそうだ。」

サラトガ「…!嬉しい!是非私も行きたいです!」

リセイ「よっしゃ。じゃ、調理室に居るらしいから行くぞ。」

サラトガ「はい!」

















〜正王鎮守府調理室・試食部屋〜










ガチャ…









ザラ「あ!提督!サラトガさんも来てくれましたね!」

サラトガ「Hi!ザラさん!Wow!美味しそうな食べ物ね!コレがイタリアの料理?」キラキラ…

テーブルに並べられた様々なピザを目にし、サラトガは目を輝かせながらザラに問う。


ザラ「ええ!でも、口に合うかどうか…」

リセイ「なーに、俺は何回もザラの作った料理を食ってるけど、不味いとはとても言えないほど美味いぞ?まるで店の味だわ。」

ザラ「そ、そう?えへへ…なんだか照れます…///」

ポーラ「ザラ姉様のピザやパスタは絶品ですからね〜病みつきになりますよ〜お酒みたいに〜」

ザラ「貴女はお酒を何とかして抑えなさい!」

サラトガ「まぁまぁ…一つ貰っても良いかしら?」

ザラ「はい!」

サラトガ「はむ……ムグムグ…!?こ、これは!何てDeliciousな食べ物なの!?凄いわ!モグモグ…」

リセイ「あちゃー…すっかりピザに虜になっちまったなサラトガ。」

ポーラ「…zzzzz」

リセイ「ん?いつのまにか寝てんぞ!?ほっといて良いのか?」

ザラ「ああ…いつもの事ですよ。飲みすぎると寝るか服を脱いで暴れまわるかのどっちかですから…あとで起こします…」

リセイ「………禁酒にしようものなら恨まれそうで怖いな…」

サラトガ「モグ、ング…パクパクパク…ビヨーン」


ポーラのことで議論をするリセイとザラをよそに、サラトガはピザを食べ続けていた。


サラトガ「ふふ♪こんなに美味しいものは久しぶり!」






























19:00










〜司令室〜








ザラのささやかな食事会も終わり、サラトガはザラに礼を言った後、満足そうに自室に戻って行った。司令室に戻ってきたリセイは一人、何かを思案していた。













リセイ「………………」


やれやれ…艦娘も増えて更に賑やかな正王鎮守府になったもんだ…半年以上前のこことは遥かに変わったな…新しくきた奴らにも最大まで改装、艤装展開能力を与えたときはやっぱり驚かれる。当然だろうけど。名物並みの驚きをあらわにしたのはやっぱりレ級と悪雨の存在だろうな。深海棲艦と一緒に過ごすなんて考えもつかないだろうし…けどたった数ヶ月で家族のように仲良くなってたから…大丈夫だとは思うけど。

ふっ…ここに着任できて、あのカチコチ石頭親父を追い出して本当に良かったぞ…

けど…

……アレク…エイジ…お前らともう一度会う機会があれば…いや、そもそも話をちゃんと聞いてくれるのか?不安になってきたぞおい…

まぁとにかく、今は提督としてここにしばらく待機だな。あいつらが再び動き出したら、俺も行ってみるか…












コンコン








リセイ「…ん?誰だ?入ってくれ。」


ガチャ!


島風「提督!こんばんは!一緒に間宮食堂行こ!」

リセイ「おお…!島風。雪風と天津風と時津風も。そう言えばもう夕飯時か…よし、わかった。じゃ行くか?」

天津風「良かった。何か用事があるんじゃないかと思ったわよ…」

リセイ「この時間に用事があるとすれば大体川内の夜戦大暴れかアレクとエイジに関することぐらいのことしか無いけどな…」

時津風「え?もしかしてまた行くの?」

リセイ「いいや。もうしばらくは鎮守府に待機しようと思ってる。けど、あの二人が何か動きを見せれば、俺もまた外に行こうと思う。」

雪風「……今度は雪風達も連れてってくれますか…?」

リセイ「さぁ、それはどうかな?連れて行ってあげたいのはやまやまなんだが、やっぱり全員を連れて行くわけには行かないからな…また大会でも開くか?」

島風「!それなら今度は負けないよ!絶対上位に入るんだから!」

リセイ「おいおい、気が早いぞ。まだやると決まった訳じゃない。その時が来るにはもう少し時間が経つ必要があるさ…ほら、間宮食堂に行くんだろ?置いてくぞ。」

時津風「あ!まってよしれー!」


































〜間宮食堂〜












ワイワイガヤガヤ…









リセイ「ん?今日は…ってか最近は間宮食堂が荒れてないな…間宮さんがなんかしたのか?」

天津風「さぁ…私たちは知らないけど…」


「私がある掟を作りましたから…」


時津風「あ!間宮さん!それってどう言うこと?」

間宮「間宮食堂で食事をする際、暴動を起こした者は、間宮食堂の掃除2時間の罰を与える。という掟です。」

リセイ「うわ〜…そりゃみんな落ち着きもするわ…」

間宮「…伊良湖ちゃんは賛成してくれましたけど…私だってこんな掟作りたくなかったですよ。でも、これがみんなの為だと思いまして…」

リセイ「俺も良いと思いますよ…いちいち暴れなくて良いところで暴れるあいつらが悪いんすから…」

島風「提督!私たちは暴れてないもん!」

リセイ「わーってるよ…暴れた奴だけの話さ。」

伊良湖「あ!提督さん!いらしてたんですね!島風ちゃん達も一緒に!」

雪風「伊良湖さん!日替わり定食ください!」

伊良湖「はーい!ただいま!」

リセイ「………いつもお疲れさんです…間宮さん…」

間宮「いいえ…!提督程ではありませんよ…」






















23:00













〜司令室〜







間宮食堂での島風達との食事を済ませ、リセイは再び司令室に戻って来ていた。

















リセイ「…………ふぅ…退屈だな…風呂に入る前に一汗流すか…」
















〜正王鎮守府屋上〜














リセイはいつもの素振りをするため、屋上に来ていた…












リセイ「…いい夜空だな…こういう景色を見るのも久しぶりだ…」















……リ












リセイ「……?」













…………リセ














リセイ「何だ?誰か俺を呼んで…」
















……………リセイ………聞こえるか……
















自分の名を呼ぶ何者かの声に気づいたリセイは問い返す。















リセイ「………誰だ…と言っても、心に直接話しをしにくるのはこの世界では出来る奴が限られてる…アレクだな?こんな時間に何の用だ…」















アレク『………話がある……今から中部海域のすぐそこにある北の無人島に来い。』

リセイ「………どう言うつもりだ…どうしてわざわざ俺を呼ぶんだ?」

アレク『エイジも一緒だ…安心しろ。お前を2人で殺そうってわけじゃねぇ…ほんとに話だけで済ませてやるよ……いいから来い…』

リセイ「……その要求を断れば…?」

アレク『………俺はあんまり卑怯な手は使いたくないんだが…お前が来ないと…お前の部下である艦娘達はどうなるかな…』

リセイ「…………貴様…」

アレク『……フン…さぁ、どうする?てめぇにとって利益のある選択肢は一つだけだぜ?』

リセイ「………良いだろう…行ってやる…」

アレク『…ヘッ…待ってるぜ…』













アレクの心話術は聞こえなくなった…











リセイ「…………本当にどう言うつもりだアレク…4ヶ月も動きを見せなかったくせしやがって…しかし、エイジも一緒だと言うなら…行ってみる価値はありそうだな……それっ!」





バッ!



ドギュウゥゥゥウン!









リセイは空を飛んで中部海域へ向かった!




































30分後…



















〜中部海域〜


















リセイ「………この辺りか…」






ヒュウウウウ…スタッ!











リセイはアレクが言った通り、北の無人島まで空を飛んで、足を下ろした。

















『どうやら近くに来たようだな…』


リセイ「……アレクか?言われた通り、中部海域の北の無人島まで来たぞ。」


再びリセイの心に話しかけてきたアレクは、指示を出した。


アレク『今お前がいる場所からまっすぐ進め。そうすりゃ今度は岩穴が見えてくるはずだ。俺とエイジはそこにいる。話しはそこでだ。』


リセイ「………ああ。わかった。」





……………




リセイ「聞こえなくなったな…とにかく行ってみるか…」








スタスタスタ…











10分後…
















〜アレクとエイジの隠れ家〜

















リセイ「……アレク…エイジ…」


アレク・エイジ「……………」





リセイ・アレク・エイジの3人が対峙した…

目はあっても、互いに声を発することなく、リセイに至っては2人を警戒していた…






イメージBGM・ライアーゲーム「electrode spark0101」





リセイ「……俺に何の用だ…?2人がかりで俺を殺すつもりか?」

エイジ「……そんなことはしないさ。ただ純粋に話し合いをしたいだけさ…」

アレク「…ふん…安心しな。「今は」お前を殺す気は無い。「今は」な…」

リセイ「…………それで?要件は?」

アレク「…まずは、俺たち自身のことについて話そうじゃねぇか。俺とエイジは人間だが、ただの人間じゃない。」

エイジ「僕達は転生人なんだ。そしてリセイ。君も…そうなんだろ?僕達と同じように転生して、この世界に来たんだろう?」

リセイ「………ああ。お前らには見抜かれるだろうとは思ってたがな…」

エイジ「…君も転生神にこの世界に召喚されたんだね…」

リセイ「……………」

アレク「初めてお前とやりあった時はこの世界に来て以来の血の騒ぎだったぜ…!」

リセイ「…しばらくはお前と戦うのはごめんだぜ。」

アレク「んだとこらぁ!?」

エイジ「アレク。今はよしなよ。」

アレク「………チッ…」

リセイ「いい加減に何を考えて俺を呼んだのか教えてくれ。じゃないともう帰るぞ。」

エイジ「悪かったよ。話すことはたくさんあるから、まだ帰らないでくれ。」

アレク「……………」

リセイ「……で?なんだよ。」

エイジ「まずは僕達が転生した話をしよう。リセイにも知っていてもらいたいんだ。」

リセイ「……ほう。是非とも聞かせてもらいたいな。」

アレク「……言いふらすような真似はすんじゃねぇぞ。」

リセイ「わかってるさ。」

エイジ「……………この世界に来る前の僕たちはただの高校生だった。でもある日、信号無視をしたトラックに跳ね飛ばされて僕達は死んだ。だけど僕もアレクも目が覚めた場所はあの世じゃなくて、転生神の作った真っ白い空間で目が覚めたんだよ。僕達はこの世界の海の化け物、つまりは深海棲艦を倒してこの世界を救って欲しいと、転生神に言われてね…僕たち2人は揃って一緒に死んだから、一緒に転生神から力を渡されて、この世界に転生したんだよ。だけど、アレクも僕も深海棲艦を倒す事に気が進まなかったんだ。」

リセイ「……それは何故だ?」

アレク「決まってんだろうが。深海棲艦どもが弱すぎんだよ。弱い奴を相手にしたっていい加減こっちの気が滅入ってしょうがない。だから俺たちは奴らが仕掛けてきたら殺す。そういう自分ルールを作ってやったのさ。どうせ転生したんだから前の世界なんてもう関係ないからな。好きにやらせてもらうことにしたぜ。…ふん。」

リセイ「納得がいかないな。だったらお前達のやっていた深海棲艦虐殺事件はどう説明するんだ?簡単に殺すことはできても、言葉では言い表すことができないほどに傷つけることは無かっただろ…」

アレク「あいつらは俺たちを完全に殺すつもりで襲いかかって来たんだぜ?ああまでしないとこっちがやられちまうんだよ。」

リセイ「手加減ぐらいは出来たはずだ。」

アレク「甘めぇよ。深海棲艦はほとんどが破壊と殺戮しか脳が無いからな。俺たちがやったことは正当防衛と思って欲しいもんだぜ。」

エイジ「………アレク。君はいつもやりすぎなんだよ。徹底的に打ち沈める事はなかっただろう?」

アレク「あ?てめぇは深海棲艦の肩を持つのかよ。」

エイジ「……言葉的には違うけど、意味合い的にはそう。あんな存在でも命は命さ。」

リセイ「………………」

エイジ「……まぁ、立ちながら話すのは疲れるだろ?こっちへきて座りなよ。」

リセイ「……あ、ああ。わかった。」









アレク「……おいリセイ。お前の転生した経緯も知りてぇもんだな。」

リセイ「……いいだろう。お前らの話を聞いて、俺が話さない訳にもいかないだろうし。」

アレク「………わかってんじゃねぇか。」

リセイ「…いちいち口で説明すんのも面倒だ。記憶見せてやるから目をつぶれ。」

アレク・エイジ「……………」


リセイ「……」パチン!





〜〜〜〜〜





















アレク「なるほどな…今のお前とは似ても似つかない性格だったな…」

リセイ「うるせぇよ!悪かったな…」

エイジ「自分よりも弱い者を助けて死ぬなんて…心のどこかでは自分が死のうという事を考えていたんじゃないのかい?」

リセイ「………否定はしない。実際その通りだからな。あそこであの子供を助けなければ、俺は一生を後悔する。だからこんなどうでもいい人生を早く終わらせたい。そんなことを考えながら男の子を突き飛ばした。で、案の定車が見逃してくれるわけもなく…俺はそのまま…」

アレク「バカめ。死にたがりと勇気は違うぞ?」

リセイ「わかってらぁ!だけど、どっちにしろあの世界で生き続けたとしても、俺に残されているのは、地べたで寝そべるホームレスか、どこかの施設に入れられるかのどっちかだったし…これで良かったさ。それに、俺の家族はみんな死んじまったからな…」

エイジ「………そうなのか。実は僕たちもそうなんだ。アレクも僕も、もう死んでも泣いてくれる人は居ないんだ。」

アレク「つっても、俺らは最初から親なんて居ないがな。親の顔を知らないまま育っちまったのさ。俺たち2人は孤児だったんだよ。」

リセイ「ふーん…お前らも大概苦労してんだな。」

アレク「はっ!気楽でいいぜ?親や兄弟や親戚がいないって言うのは!」

エイジ「………孤児院から学校に通う途中で死んだから…孤児院のみんなは悲しんでるのか…それともせいせいとしてるのか…」

アレク「後者だろうぜ。向こう側の連中も人数が減って大喜びしてんだろうよ。」

リセイ「…………………」

アレク「あんだよ!何みてんだ!?」

リセイ「………別に…」

エイジ「……この件はもういいか。僕達は互いに正体を完全に知れた。次が、本当に君を呼んだ要件だよ。」

リセイ「!」

アレク「単刀直入に言うぞ…」

リセイ「…………………」






















アレク「俺たちと組まねぇか…?」



















リセイ「………何を考えてる…どうして俺がお前らと組まないといけないんだ?」


エイジ「……ちゃんと理由はあるさ。」


リセイ「だからその理由を聞こうじゃないか。」


アレク「…俺たちが4ヶ月の間、お前の元へ向かうことができなかった事と関係してんだよ。」


エイジ「今から3ヶ月前、アレクと僕は組手をして修行をしてたんだ…」


リセイ「……ほう。それで?」


エイジ「僕はアレクのように、君を倒すという目的じゃないけど、アレクばかりにいいかっこはさせたくなかったからね。強くなって損はないと思って、アレクと一緒に修行をしていた。」


アレク「……だがな、俺達が組手をしている最中、信じられねぇ程の波動の力を感じた。…最初はお前だと思ってたが…リセイとは全く別の存在だった。」


リセイ「……波動だと?俺と同じ波動使いがいると言うのか?というか俺はそんな力を持つ奴を感じなかったぞ。」


エイジ「……それが…その波動の種類が…リセイのものと全く一緒だったんだ…」


リセイ「…どういうことだ…?」


アレク「……てめぇと瓜二つの波動を持つものがこの世界に現れたんだよ。そいつの頭の中を遠距離心話でのぞいてみたんだ。…そいつの頭の中は、リセイ。お前を殺すということだけしかなかった…」


リセイ「…!?」


エイジ「その存在が何者かはわからないけど…一つ言えることは、リセイは今、命を狙われている。僕たちだってこの世界で好き勝手やられたら色々不都合があるんだ。君を助けるわけじゃなかったけど、そいつをずっと探し続けてたけど…」


アレク「……ところがどっこい、進展は何もなし。あのえげつねぇ波動も感じないまま、そっから3ヶ月経っちまったってわけだ。」


リセイ「………そういうことだったか…通りでお前らが大人しくしてると思ったら…

だが、何故そこで共同戦線をしようとするんだ?お前らにとって、俺は敵じゃ無いのかよ。」


アレク「は?誰がそんなこと一言でも言ったんだ?俺はお前を倒すとは言ったが、殺すとは言った覚えはねぇぞ。」


エイジ「思ってはいるけどね。」


アレク「うっせえぞこらぁ!黙ってろ!…とにかくだ、テメェに死なれちゃ俺が困んだよ。あの正体不明野郎をぶっ倒すまで、俺たちと戦えってつってんだよ…」


リセイ「断る。さっきも言ったが、お前らと組んで良いことなど一つもありはしない。だいいち、俺が感じることのできない奴は居ないんだよ。アレクやエイジでさえ、存在を確認できるのに、そいつだけが感じることが出来ないなんてありえない。俺と組むふりをして、油断したところをついて、俺を殺すつもりなんじゃ無いのか?って、思われても仕方ないぞ?特にお前らはな…」


エイジ「…………転生神…」


リセイ「…!」


エイジ「…2人の転生神の頼みなんだよ。君の手助けをしてやってくれって…」


リセイ「……まさか…俺を転生させたやつと、お前らを転生させた転生神か?」


アレク「そうだ。それもつい昨日のことだよ。俺らが眠りに入った時、意識ごとあっちに持って行きやがった。その時に言われたのさ。「リセイを…助けてあげて…」ってよ。」


リセイ「………その記憶と、例の波動野郎の記憶を見せろ。それが本当なら、俺がお前らと一緒に戦う理由はできる。どうだ?」


エイジ「……もちろん見せるよ…」


ブン…



オオオオオオ…



リセイ「!」



エイジはリセイに、アレクとエイジの記憶を見せた…



























〜〜〜〜〜〜〜〜〜






























〜アレクとエイジの記憶〜



















バァン!!!





アレク「ほれほれどうした!そんなんじゃまたリセイにボコボコにされんぞ!」


エイジ「…!わかっている!まだまだいくよ!」



ドゴォォン!!








アレクとエイジはリセイとの再戦に向けて、日々特訓をしていた。











キィィィィィ…










アレク・エイジ「…!」


アレク「おい…今の感じたか?」


エイジ「うん…まさかリセイかな…」


アレク「バカ。もしリセイならすぐにでもわかる。この気配は全く別人だが…たしかにリセイと似ていやがる…紛らわしいぜ…」


エイジ「……調べてみるかい?」


アレク「そうした方がいいな…よし、さっさと調べ上げて修行の続きすんぞ。」


エイジ「……はいはい…」








ドギュン!ダァン!


















空を飛んで謎の波動を発する存在を確かめに向かったアレク達は、2時間程漂っていた…











アレク「………!おいエイジ。あれか…?」


エイジ「……どうやら当たりだね…あれが人間かどうかはわからないけど…押し潰されそうな波動を放っているのはあいつだよ…」



2人は肌が痺れるほどの波動を放っている存在を見つけた。しかし、アレクもエイジもその存在には手を出さずにいた…


エイジ「………近づいただけで身体が動かないなんて…」


アレク「……チッ…なんだってんだあいつ…空には浮かんでるわ、波動はキツイわ、考えてる事はやばいわで…危険すぎるぜ…」


???「………………」


正体不明の存在は、リセイと同じぐらいの歳であろう青年であった…だが、目からは光が失われ、ただ何もない空を見上げながら空中に浮かんでいた…しかし、その青年からは考えもつかない程の恐ろしい鬼気と波動を常時放っていた…青年はアレクとエイジには気がついていないようであった…


エイジ「…あいつの心を読んだのかい?君は凄く動揺しているようだけど…一体何を見たのさ?」


アレク「……あいつ…リセイの事だけしか考えてなかった…それも、殺意のな…」


エイジ「………リセイに対して殺意?リセイって僕達と同じ転生人じゃなかったの?どうしてあんな奴がリセイのことを知っているのさ…」


アレク「知るか!だけどこれだけは言えるぞ…今の俺たちじゃ…目の前のあいつには勝てねぇ…」


エイジ「……………」


???「…………………」





サッ…ギュオオオオオオオオン!




アレク「!?どこ行くんだあいつ!」



謎の青年は突然、急速に空の彼方へと去っていった…



エイジ「………波動と殺意が消えた…今は行動を起こす気は無かったようだね…」


アレク「……野郎…何をしでかす気だ…」


エイジ「……アレク…一旦隠れ家に戻ろう…いつまでもここで浮いて話すわけにもいかない…」


アレク「……ああ…わかった……」

































〜アレクとエイジの隠れ家〜















エイジ「………あれから3ヶ月経ったけど何もなし…か…」


アレク「おかしい…あんなバケモノみてぇな力を持った奴が何もしないなんてことがあんのか?」


エイジ「……それはわからない…僕たちもあれからずいぶんと鍛え上げて、リセイを死ぬ寸前までぐらいには強くなったけど…あの男の子はどうも格が違うようだね…相打ちのつもりで行くならなんとかなるかもしれないけど…」


アレク「……ケッ…俺の目的はリセイをぶっ倒す事だ。その目的を邪魔する奴は誰であろうと殺す!」


エイジ「……程々にね…」


アレク「ほっとけ!……俺ぁ寝るぞ…睡眠妨害すんじゃねぇぞ…」


エイジ「僕も休むよ。今日だって修行して疲れたからね…」


アレク「………ふん…」







































〜???〜





















アレク「………………ん…?……!?どこだここ!?」


エイジ「…目が覚めたかい?ここは僕達が転生する前の世界だよ。」


???「正解!僕のこと覚えてるかい?」


アレク「…!テメェは…転生神か!?どうして俺たちがまたここに居るんだ?」


ライド「呼びにくそうだから僕のことはライドって呼んでいいよ。僕の名前だからそれ。」


エイジ「転生神に名前なんてあるんだ…」


アレク「……もう一回聞くぞ!なんで俺らがここにいるんだよ!」


ライド「…僕が寝ている君たちの意識だけをこの世界に飛ばしたからだよ。今の君たちのその身体は意識の中で作り出されたものだからね。」


エイジ「………そんな事をする理由は?」


ライド「う〜ん…姉ちゃんが君たちを呼ぶように頼んだから僕はその通りにしただけなんだけど…」


アレク「ライドに姉貴?」


???「ライド…あとは私が話します…」


ライド「あ!リン姉ちゃん!わかった!」


リンネ「……初めまして、と言ったほうがよろしいでしょうか?アレク君とエイジ君ですね?私はリンネ。転生神で、ライドの姉です。」


エイジ「…転生神が2人…」


アレク「あんたが俺たちを呼び寄せたようなもんか?じゃああんたに聞こう。俺たちに何の用だ?あ?」


リンネ「………リセイ君のことはご存知ですね?」


アレク・エイジ「!」


リンネ「私はリセイ君を転生させた方の転生神ですよ。」


アレク「ほう…てめぇが…で?その転生神さんがなんで俺たちを?」


リンネ「……核心から言います。リセイ君をどうか助けてあげてください…」


エイジ「…リセイを?」


アレク「は?ざけんな。何が悲しくてリセイを助けないといけないんだ…」


リンネ「おねがいします…彼はもうすぐ、私達転生神の手に負えない存在に手をかけられて命を失ってしまいます…」


アレク「……………」


エイジ「まさか…僕たちがあのありえない波動を放つ奴と会ったところを見ていたんですか…?」


リンネ「ええ…あれは、一つの世界の全ての最悪をかき集めたかのような…それはまるで…存在してはいけない化け物…

私達でも、あの存在は知り得てませんでしたが…アレク君と同じように、頭の中で考えていることを覗かせてもらったら…リセイ君を…

何故リセイ君を狙うのかも…目的も不明なのですが…私もあの人を転生させた責任がありますから…しかし…私やライドが束になってかかってもあの存在には…だけど…貴方達2人とリセイ君が組んだなら…」


エイジ「…………大体は読めた…だけど、まだ僕達がリセイに協力する理由が無いです…現にアレクはリセイを倒すためにずっと修行をしているんです。僕だって、リセイに勝つためじゃ無いけど、アレクに置いてきぼりになんてされたくないから…」


ライド「じゃあ、一旦休戦って事にしたら?」


アレク・エイジ「…!?」


ライド「今は敵同士なんでしょ?けどアレクもエイジもリセイが死んじゃったら嫌なんでしょ?じゃあそいつを倒すまでの期間だけは、リセイと協力したらどうかなって…というか姉ちゃんが転生させた人を狙うなんて僕としてもあんまり感心しないなぁ〜…アレク、エイジ。リセイに協力しないと、与えた力を消しちゃうよ?今の君たちなら僕や姉ちゃんを一捻りできるだろうけど、力を消すことぐらいならできるよ?」


アレク「……チッ…脅しのつもりか?」


ライド「まぁ、そう言うことだね。現代風に言えば、君たちがやってることは一方的なイジメだよ!」


エイジ「……脅されたからってわけじゃ無いけど…わかりました。リセイと協力して、あの存在が何なのかを確かめます。」


アレク「………仕方ねぇな…いいだろう。やってやる。ただし、こんなことあんたらに言っても意味ねぇが…あのふざけた野郎を倒したら、その時はリセイをも倒す!」


リンネ「………ええ…だけど、もしあの存在を倒せたとしても、リセイ君だって黙ってはいないでしょうけど…」


アレク「ハッ!上等だぜ…!」


ライド「さてと、話はまとまったね!じゃあ君たちの意識を元に戻すから、ちゃんとリセイと協力しなよ〜?」


エイジ「…はい!」


アレク「ああ…」


ライド「それじゃあまたね…」



ブゥゥゥゥゥン…!



シュオオオオオオオ…!




ライドは目を閉じて強く念じながら、アレクとエイジの姿を消した!




リンネ「……ライド…ありがとう…」


ライド「今更水臭いよ姉ちゃん。あの3人ならなんとかなるって…」


リンネ「…そうね…そうだといいわね…」
































〜アレクとエイジの隠れ家〜












エイジ「………ん…戻ってきたみたいだね…」


アレク「……リセイと組む…か…そんなこと考えもつかなかったぜ…」


エイジ「約束をした以上、破るわけにはいかないね…アレク。」


アレク「うるせぇよ!わかってる…そうと決まりゃあ、さっさとリセイを呼びつけるか…」


エイジ「うん。そうしてくれたほうが良い…」




























〜〜〜〜〜〜〜〜〜



















現在…


















リセイ「……………………」


エイジ「………リセイ…これが僕たちの昨日までの記憶だよ。」


アレク「おいリセイ。テメェはあのバケモンに心当たりはねぇのか?」


リセイ「…………………」


エイジ「………?どうしたの?」


アレク「…………おい!聞いてんのか!?」


リセイ「………………嘘…だろ…………」


アレク「……は?」


リセイ「なんで…なんで『ジン』が生きてんだよ…なんで…!」


エイジ「…ジンって、僕達が目にした敵かい?」


リセイ「…………………」


アレク「………テメェ…黙ってねぇで質問に答えやがれ!」


リセイ「………………」


エイジ「君の知っている奴なの?」


リセイ「……………………」


アレク・エイジ「……………………」


リセイ「…………………あいつは…………あいつは俺の………」






































「………死んだはずの弟だ……」





アレク・エイジ「!?」





















アレク「…リセイの弟…?」


リセイ「……俺には、4つ歳の離れた弟が居た…だが、ジンを含めた俺の家族はみんな…流行りの伝染病で命を落としちまったはずだ…」


エイジ「不可解だね…リセイの弟は死んでしまったはずなのに、何故生きているのか…」


リセイ「俺は…ちゃんとあいつらの墓も建てた!死んでいた状態のあいつらを俺の手で埋葬したはずなんだ!なのに何で…本当に生き返ったのか…?」


アレク「……で、何でお前の弟が、お前に対して異常なまでの殺意を抱いてたんだ?」


リセイ「……思い当たる節がない…どんなに頭の中をめぐっても、俺がジンに狙われる理由がわからない…」


エイジ「………リセイ。墓を直接見に行ってみないか?もし、そのジンって言う子が生き返っていたら、その墓にも変化があるかもしれない…」


リセイ「ああ…初めてからそのつもりだ!……悪いが二人も付いてきてくれるか?」


エイジ「わかっているよ。リセイとの共闘を申し出たのは僕たちだからね。」


アレク「……ふん……」


リセイ「…悪いな…恩にきる…」


アレク「どうすんだ?リセイの墓に行くには。」


リセイ「お前達、俺の背に触れてくれ。空間移動をして墓の前まで行く。」


アレク「…ほらよ。」スッ…


エイジ「……これでいいかい?」スッ…


リセイ「ああ。行くぞ!」




バシュン!




リセイ・アレク・エイジの3人は、真実を確かめるべく、リセイの家族への墓前へと空間移動した!





























〜秘密の楽園〜









ザザァ…ザザァ




シュウウウウ…ガササササ…




サァ…サァ…








バシュン!










リセイ達がついた島には、辺り一面に透き通った碧い海を満月が静かに照らしている…

心地よい風が周りの木々の揺らし、島全体が共鳴しあっている…

その小さな孤島は神域を連想させる…









アレク「…ほーう…こんな力があったなんてな…俺たちの隠れ家から一万キロは離れてるじゃねえか…」


エイジ「…まぁそれはおいといて、リセイの家族って、当然この世界の住人じゃないよね?どうして僕たちをここに?」


リセイ「さっきも言ったが、俺の家族はみんな伝染病でくたばっちまったんだ。だけどその病は人にはかかってしまった奴にしか効果はない。だから、人には移らないんだ。そう言うこともあって、俺は家族の遺体をこの無人島へ連れ、皆の墓を建てた。」


エイジ「……そうかい…それにしても不思議な島だね。心が穏やかになる…深海棲艦も居なければ人っ子一人居やしない…」


リセイ「ここは、人里離れた場所。この島の場所を知っているのは、俺とお前たち2人だけだ。」


アレク「なるほどな…読めたぜ。つまり余計な邪魔を立ち入らせない為にこの島に墓を建てることを選んだ訳だ…」


エイジ「………誰も見つけることのできない島…か…」


リセイ「…俺がこの島を見つけたのは、俺が提督の職について一週間後ぐらいだった。誰も立ち入ることが出来ないこの島は俺が勝手に、「秘密の楽園」と呼んでいる。」


アレク「…ふん、まぁ確かに楽園と呼ぶにふさわしいもんだなこりゃ…」


エイジ「……景色を眺めているのもいいけど、そろそろ本題に移ろうか。リセイの家族の元へ行こう。」


リセイ「…ああ…」




















島で一番高い丘に、リセイの家族の墓が建てられてあった…







ストーリーBGM・FF10「アーロンのテーマ」









リセイ「………親父…母さん…姉貴…………ジン…久しぶりだな…」


アレク・エイジ「………………」


リセイ「……アレク、エイジ。ちょっと待っててくれ。ジンはともかく、3人にちゃんと挨拶したいんだ…」


アレク「…好きにしろ…」


エイジ「うん…」





リセイは家族の墓前に片足を跪かせて、四つの墓に語りかけた…






リセイ「……こうやってちゃんと話すのなんていつぶりだ?俺はよ、海軍の大将になっちまってさ、あの俺に部下がたくさんできたんだ。ほとんど女の子だけどさ。それで…いろんなゴタゴタがあってろくにみんなに会いに行けなかった…ごめん!これからちゃんと墓参りに行くから勘弁してくれ!……なぁ、3人とも。実はついさっきなんだが、ジンの姿を見たんだ。まぁ、後ろにいる俺の知り合いが見せてくれた記憶からだけどさ……」


アレク・エイジ「………………」


リセイ「俺も、後ろの2人も、今の現代科学では到底真似できない力を俺たちは得てしまった。どれだけでかい化け物が居ようが、素手で空の彼方へと吹っ飛ばしたり、壊れてしまったものを手から光をかざして元どおりにしたり、色々な…それでさ、ジンのことについてだけど…俺ははっきり言ってびっくりしたよ。だって、埋めて念仏を唱えた相手が生きて空をただよってるんだぞ?しかもそれは俺の弟ときた。………ジン…お前…いったい何を考えてるんだ?」



アレク(……家族…ね…墓でもあるだけマシか…俺なんてもう顔も覚えてねえ…)


エイジ(…………リセイ………)


リセイ「………話はまた今度だ…ジンのことを解決したら、その時はまた…一緒に話そう…………」


リセイはそう言った直後、立ち上がってしばらくの間、黙祷を捧げた…






















2分後…














リセイ「……2人とも。待たせたな…お前らの隠れ家に戻ろう。」


アレク「………墓参りに来ただけかよ!」


リセイ「…いや、わかったことが二つある。」


エイジ「…!」


リセイ「一つ。………ジンの遺体が墓から無くなっていた…しかも、地中内部から空間を破って地上に出ている形跡があった。」


アレク「………へぇ…波動の逆探知か…面白い力だな…と言うより、墓内部から死体が消えるってどんな怪奇現象だ?」


リセイ「…二つ。その逆探知から感じたものは…怒り、悲しみ、寂しさ、さまざまな思いが込められてあった。中でも一番強く表れていたのは…『助けて』…という感情だった…」


エイジ「……助けて?それはどう言うことなんだい?」


リセイ「まだわからない…何にせよ、今の逆探知で、今のジンの居場所も分かった。」


アレク・エイジ「!」


リセイ「……ジンはこの世界には居ない。あいつは今、自ら次元を切り裂いた先の空間で佇んでいる…何日も何日も…俺が来るのを待っている…

怒りと、悲しみと、助けてって言う思いを乗せてな…たしかに殺意も感じたが、それはおそらく、俺が自分たちだけを置いて生きたことが許せなかったんだろうな…「僕たちは死んだのに、何で兄ちゃんだけが生きてるんだってな」…まぁ、その思いが生まれてしまったのも、俺が不甲斐なかったせいだ…」


エイジ「…わかっていないのは、どうしてジンが生き返ったかってことだけだね…」


アレク「……お前それでどうするつもりだ?奴を放っておけばそのうちこの世界も危険になるぞ。第一、お前との決着がつかないまま終わるのは俺は御免だぜ…!」


リセイ「………ジンは…自分の空間が出る気は無いみたいだ。俺が来るのを待っている。俺の覚悟を決めるときを…待っている。どれだけ時間が経っても、あいつはあの空間からは出ない。………決戦は今から一ヶ月後…お前達の隠れ家で会おう。」


エイジ「……伝える気だね。君の率いる艦娘達に…」


リセイ「……………」


エイジ「……わかった…一ヶ月後だね。それまではまた、僕たちは己を鍛え上げておくよ。」


アレク「………おい…まさかテメェ死ぬ気じゃねぇだろうな…」


リセイ「馬鹿を言うな。戦いという名の話し合いさ。ジンはおそらく、身体の自由が効かない状態だ。自我を保ちつつ、空間で自らの身を封印してるのさ。そして俺と戦うことだけを望んでる…兄として、あいつに良い思いをさせてやれなかったせめてもの償いだ…死ぬ気は無いが、死ぬ寸前までには追い込まれるかもしれないがな…」


エイジ「…………僕たちは結構強くなったつもりだったんだけど…また引き離されたようだね…」


リセイ「………それもお互い様だ…」


アレク「……さっさと行け。日の出が出てきたぞ…」




空はいつの間にか明るい青色に染まり、新しい太陽を晒し出していた…



リセイ「……………また会おう…」


アレク「……………ふん……」


エイジ「…………」コクッ…



バシュン!




リセイは空間移動で姿を消した…




エイジ「……僕たちも行こうか…だらだらとしているわけにも行かなくなった…」


アレク「…けっ…元から戦いを好まない奴が何を言ってんだ…」


エイジ「戦闘好きなアレクもどっこいどっこいだと思うよ…」


アレク「やかましいわ!」


エイジ「……戻ろうか。」


アレク「………………」




ドン!バァン!




アレクとエイジも空を飛び、隠れ家へと帰っていった…


























09:30












〜正王鎮守府中央庭園〜

















バシュン!









リセイは正王鎮守府へと、空間移動をして戻ってきた。














リセイ「さて…何から片付けようか…どうやって伝えてやろうかな…」


山風「…あ…提督…おはよう。どこかへ行ってたの?」


リセイ「ん…山風と蒼龍か。おはようさん。まぁそんなところだな。ちょっとした散歩だ。」


蒼龍「珍しいですね?提督がこんなに朝早くに…」


リセイ「………まぁな…」


山風「………」


蒼龍「……?どうかしたんですか…?」


リセイ「…………お前たち2人に頼みたいことがある。」


山風・蒼龍「頼み?」


リセイ「今から30分後ぐらいでいいから、全艦娘達を講堂に呼び集めてくれ。話したいことがある。」


山風「……わかった…」


蒼龍「はい!任せて下さい!」


リセイ「悪いな。頼んだぞ…俺はとりあえず、司令室に行くとするよ。」


リセイはそう言うと、足早気味に司令室に向かった…


山風「…話したいことって何なの…?」


蒼龍「提督のことだから、きっと大事な要件だとは思うけど…まぁ、とりあえずはみんなに伝えて周ろうか…」


山風「うん…」


2人もリセイに言われたことを遂行するため、早速動き出した。


























10:00













〜講堂〜











ざわざわ…ざわざわ…




ナンノハナシカナー?


キットダイジナコトナノデス!


ナンダカキンチョウスルデチ…





ざわざわ…ざわざわ…






ガチャ…








艦娘s「!」






リセイ「よう。こういう集会も久しぶりなもんだな…」


朝風「全くよ!かれこれ半年はやってないんじゃない?」


白露「同感だね〜…本当に久しぶりだよね…」


武蔵「……提督…今回は何故私達を呼んだのだ?」


リセイ「………これから俺の口から出る言葉は全て真実だ。俺が全てを話し終えるまで、意見は伏せてもらいたい。後でたっぷり聞いてやるから…」


ビスマルク(………いつもと感じが違うわね…何かあったのかしら…)


榛名「…わかりました…榛名は大丈夫です!」


天津風「……いいわよ…話してみなさい…」


リセイ「………とは言ったものの…一体どこから話せばいいのやら…とりあえず、これだけは先に言っとく。」


艦娘s「……ゴクッ…」


リセイ「俺はまた、この正王鎮守府を離れ、旅に出ようと思う。」


艦娘s「!!」


リセイ「当然のごとく、提督である俺がここから離れれば、執務や艦隊状況などが混雑してしまうかもしれない。だが安定のごとく、俺は後7ヶ月はやることがない。」


鈴谷(……提督なら当然じゃん…?)


リセイ「……そのやることがない期間を使って、また海域に俺が出る。」


涼月「なるほど…ということは…またあの大会が開催されるんですね!」


リセイ「……………」


江風「おお〜!いいねぇ!最近はあんまり面白いことが無いからなぁ!今度は江風もついていくからな!」


リセイ「……いや、今回は大会は開かない。お前達も連れて行かない…」


艦娘s「……え……?」


艦娘達は驚きを隠せなかった…


グラーフ「な、何故だアトミラール!」


リセイ「……」パチン…




リセイの指鳴らしで、周りの空間に、リセイのジンに関する事だけの記憶が映し出された…





















〜〜〜〜〜〜



















電「……司令官さんの弟さん…?」


青葉「たしか、司令官の話では亡くなってしまったはずが…何故か生き返って…」


赤城「しかし…生き返っていた状態が、普通ではない…と…」


リセイ「そういう事だ。頭のいいお前らなら分かるはずだ。アレクもエイジも…あいつ…ジンのチカラの前に身体が動かなかったほどだ。俺だって無事に済むわけがない…だからこそお前らを連れて行くわけには行かない。どんなに頼み込まれても、連れて行くことはできない。仮に連れて行ったとしても、ジンのあの圧倒的なチカラに、お前らは耐えることが出来るのか?」


旗風「そ、それは…」


サラトガ「………っ…」


由良「……提督…」


リセイ「……今回の出撃…俺は生きて帰ることが非常に難しい。……いや、ほとんどの確率で死ぬな…」


艦娘s「!!!」


翔鶴「そんな…!」


海風「だったら尚更私達も行きます!提督の力になりたいです!」



大鳳「提督を失うなんて考えたくありませんから…私だって行きたいです!」


リセイ「ダメだ。お前らがどんなに言っても連れて行くことは出来ない。」


吹雪「どうしてですか!?司令官!司令官が居なくなるなんて…嫌です…」


リセイ「………………」


陸奥「……ねぇ…提督…どうしてそんなに私達を連れて行こうとしないの?」


リセイ「…俺だって…連れて行けるもんなら連れてってやりてぇよ…」


時雨「だったら…!」


リセイ「出来ねぇんだよ!!」


艦娘s「っ!?」


リセイは時雨の声を遮り、俯きながら声を少し荒げて言い放った…

艦娘達はそれに少し驚いた…


リセイ「お前らは艦娘だ。事実上は兵器なんだ。だが俺はそうは思っちゃいない。けどな…ジンは俺以外の奴を見ると、容赦なく攻撃してくる…!ましてや艦娘の事を動く物質とでしか見ていないジンは、お前らを全力で排除するだろう…

そうなれば俺でさえもお前らへの攻撃を防ぐことは出来ないんだよ…

はっきり言って…俺とジンとの力の差は五分五分…いや、それでもジンの方が上かもしれないんだ。………わかってくれ…俺は…もう二度と大事な奴らを失いたくないんだ…もう…二度と…」


艦娘s「…………………」


リセイ「………だが…連れて行くことはできないが…様子を見ることだけなら出来る。」


ハチ「え?どういうことですか?」


リセイ「さっきの記憶を見せられてわかってると思うが、俺と、アレク、エイジとは一時的に共闘することになった。俺たちの戦いの様子や何が起こってるかを見ることができるように、この講堂にあるスクリーンに映し出すようにしておく。ただし、見れる時間は決まっている。それは、俺の生命が薄くなっているか、俺たちがなんらかの戦闘をしている時だけだ。スクリーンに反応があれば、館内チャイムを自動で鳴らしておくから、それでここに来ればいい。あ、それから…スクリーン映像が消えた時は、一旦は大丈夫って言う考えでいいぞ。」


睦月「そ、そうなんですか…ちょっと不安だにゃあ…」


愛宕「でも…提督の生命って…」


大和「まさか…死にかけている時…ですか?」


リセイ「言わずともその通りだ。だが、回復さえ間に合えば、死ぬことはない。アレクもエイジも一度組むと決めたら最後までやり通す奴らだからな。俺もあいつらも互いに回復し合わないと、勝てない相手さ。ジンは…なぜ生き返ったのかはわかってはいない…だからこそ俺が行かなきゃならない…真実をこの目に焼き付けるまでは帰るつもりもないし、負けてやるつもりもない…」


神風「……司令官…」




艦娘s「……………」



一部の艦娘たちは今にも泣きそうになっている程、表情が曇っていた…



リセイ「…俺が行く日は、今から一ヶ月後。それまでは、この正王鎮守府で待機するつもりだ。7ヶ月もやることがないとはいえ、やり損ねた書類とかも片付けておきたいしな。それに、言ったはずだぞ?俺はそんな簡単にはくたばらんよ。俺が死ぬときは寿命で、だ。」


陽炎「司令…信じてるからね…」


夕立「ちゃんと帰ってこないと…許さないっぽい…夕立も…みんなも…提督さんの帰りを待ってる…」


神通「……提督必ず生きて帰ってきてください…!」


リセイ「………へへっ…そんなに心配されると嬉しくて決心が鈍っちまうじゃないか…

だが、行くと決めた以上、もう変える気はない。」


潮「……提督…」


リセイ「…さて、俺の話したいことはもう無い。お前達から何か質問はあるか?」


シーン…


そりゃ無いよな…言いたくても言えないよな…俺が死ぬかもしれない戦いに死ぬ覚悟で行くんだから…口出しが出来ないんだよな…お前ら…ほんと、俺のことをよく見てくれている…もっと早くに艦娘に会いたかったよ…


リセイ「……質問は無いとみなし、この集会はお開きだ。俺はまた司令室に居るから、何かあればいつでも来い。それじゃ、またな。」ビッ!


艦娘s「…………了解…!」ビッ…!



ガチャ…バタン…


リセイは司令室に向かうため、講堂を後にした…


村雨「これからどうするの…?」


江風「どうするったって…どうしろってんだよ…」


飛龍「……みんな…提督が行ってしまうのが怖いんだよね…」


暁「…………うん…」


鬼怒「提督が自分で言ってたよね…死ぬかもしれないって…心配しないほうがおかしいよ…」


比叡「……私も心配だけど…司令に無理にでも付いて行きたいって言っても…ダメだよね…」


加賀「提督なら断るでしょうね…あんなに決心を固めた提督を見たのは初めてだったわ…」


レ級「……リセイは…自分の物語に決着をつけようとしてるんだよ…」


艦娘s「……え?」


レ級「あいつはずっと1人で生きてきて、時間が長く経ち、自分なりに頑張っていたはずだ。だけど…死んだはずだった弟が生きている…何年も前に死んだはずの奴が生きている…しかも身内が…だからリセイにとって一番不可解なんだよ…」


大井「それは…そうだけど…」


悪雨「…私達の出る幕じゃないよ…リセイ達に任せよう…」


榛名「…………私は賛成します…提督が望んだ事なのですから…」


長門「……不本意だが…仕方あるまい…私も同意しよう…今私たち艦娘にできることは、この正王鎮守府を提督が帰ってくるまで、守り切る事だ。みんな、いいな?」


艦娘s「……!」コクッ!


皆、互いにうなずきあって、さらに固い意志を生んだ!


北上「こうなったらとことん守り通してやろうじゃないのさ!」


春雨「はい!春雨も頑張ります!」


瑞鶴「やるだけやって、後は提督さんに託そう!」



ヨッシャー!ヤッタルゾー!


センカカセギナラマケナイゾー!


ナニヲー!?


オオオオオオオオ!


ウラァァァァァァァァァ!!!



講堂からは、戦意高揚の雄叫びが鎮守府中に響いていた…













リセイ「………フッ…頼もしいこった…」


リセイは物陰に隠れながら、艦娘達の会話を壁に背もたれをしながら、腕を組んで聞いていた…


リセイ「ありがとな…お前ら…さて、俺もうかうかしてられんな。とりあえず、司令室に行くか…」


リセイは再び、司令室に向けて歩き出した…




















十日後…


























〜中部海域上空〜














バガン!







ドンドンドン!バキィ!ドドン!ガン!


アレクとエイジの隠れ家の周辺から、拳と拳がぶつかり合う音が辺りに響き渡っていた。






アレク「うぇりゃあ!!」


エイジ「はぁぁあ!!」




ドォオオン!!!





シュバ!


スタン!



エイジ「……組み手はまだやれるかい?」


アレク「舐めてんじゃねぇぞ。まだまだこんなもんじゃねぇよ…一ヶ月はあっという間だ…1分1秒も無駄にはできねぇ…ほら、もう一戦だ!!」


エイジ「そうこなきゃね…!やっ!!」


アレク「オラァ!!」



アレク・エイジも、来るべき戦闘に備えるため、己の腕を鍛え上げていた…



そして…



















〜正王鎮守府屋上〜




ブン!ブン!ブオオオオオ!バッ!ダァン!シュシュシュシュブォン!



リセイ「はっ!でやぁ!うりゃりゃりゃ!!どっせい!」


ウォースパイト「……凄まじいわね…ただ刀を振りまわしているだけであんな風や真空を生み出すことが出来るなんて…」


白露「…全くだよ…提督のいるところからちょっと距離があるあたしたちの位置にまで風が来るんだもんね…」


リセイの連日続く修行の見学をしているウォースパイト、白露は未だ見慣れない様子で呟いた…他の艦娘たちも、リセイの修行している様を見たいと言うことで、リセイの許可を得て、大勢のギャラリーが集まっている。


北上「まぁ、提督自身は無理して無いって言ってたし、私も何も言う気はないけどさぁ…」


神風「……司令官…凄い…」


松風「…は…早くて何も見えないんだけど…どうなってんだよ…」


青葉「あ、そう言えば神風さん達は司令官の戦闘風景は見たことが無かったんでしたね。」


ガングート「………な、何という…」


タシュケント「…………同志…こんなにも速く動けたなんて…想像を遥かに上回ったよ… большой……」


ヴェールヌイ「……ガングートとタシュケントも初めて見たようだね…」


リセイ「ぬおおおおおお!どぉおりゃあぁあ!!!」




ドバァアァアン!!!


リセイは刀を真上に振り上げ、とてつもない波動の風を上空へと放った!


ビュウウウウウ!!!ゴオオオオオオオ!


ビスマルク「きゃあ!?」


大鳳「くっ…!す…すごい風…!目が開かない…っ!」


サラトガ「oh my god…!真上に放っていた風がこちらにも影響があるなんて…」


レ級「ッ……!!規格外にも程があるよリセイ…!」



リセイ「……ふぅ…」グイ…


ガンッ!


リセイは刀を地面に突き刺し、汗を左腕で拭い去り、両手を腰に当てて一息ついた。


スタスタスタ…


榛名「……提督…お疲れ様です。」スッ…


榛名はリセイの元へ歩み寄り、汗を拭くタオルをリセイに差し出した。


リセイ「…ん?お、ありがとう榛名。」フキフキ


天津風「あなた…このところずっとそうやって修行をしているけど…大丈夫なの?」


リセイ「…何が?」


天津風「何がって…疲れてはいないのって事よ!」


リセイ「……ジンは俺が来るのを待ってるんだ。苦しみながらな…あいつが苦しんでるのに、俺は休んでられねぇよ。」


明石「でも…身体を壊してしまったらどうにもなりませんよ…」


リセイ「心配すんな。俺だって力尽きてまで修行するほどバカじゃねぇよ。お前らがそんなに心配なら、今日はもう休もう。後20日を切ってるし、余裕のある時に休んどかないとな。」


ろー「ほんと!?やった!じゃあろーちゃんと一緒に遊んで欲しいですって!」


雷「だめよ!司令官は今日私たちと遊ぶんだから!」


リセイ「おいおい…俺は何人も居ないんだからそんなに遊べねぇよ!やるなら全員でやった方が手っ取り早いだろ?」


ゴーヤ「んー…それもありでち!ほら!てーとく!早く下におりよ!」


リセイ「わかったわかった。今行く。」


リセイは潜水艦や駆逐艦達に噴水広場に連れて行かれた。


長門「……皆、元気なものだな。」


赤城「そうですね。元気が一番良いんですけどね…」


鈴谷「…覚えてる?提督が初めて正王鎮守府に来た時の事…」


不知火「はい。忘れもしません。司令がここに来た時、不知火や皆は司令のことを敵だと思っていた頃でしたね…」


翔鶴「みんな提督の事を怖がっていたのに…いつの間にかみんなが、提督無しじゃ生きてはいけないって言うほどですものね…」


摩耶「……一応この鎮守府の事は前に聞いたけどさ…提督って一体何者なんだ?本当に…」


北上「未だにそれだけが疑問なんだよね…でもやっぱり提督は提督だよ。本人は人間だって言ってるんだからそれで良いんじゃないの?」


大淀「今更ですけど…全ての能力が並外れた人間なんて居るんですね…」


神通「指揮、運動神経、体力、工作、整備、執務など、完璧にやり遂げるのはこの世では提督ぐらいのものなのでしょうか…」


時雨「……時々疲れて、抜けているところもあるけど、それを補えるほどに全部やり切るからね…」


艦娘s「………………」


武蔵「はっきり言って…私は嫌だな…提督がいなくなるのがな…」


香取「武蔵さん…」


リセイ「聞いてて恥ずかしくなるようなことばっかり言いやがってお前らは…」


艦娘s「!?」ビクッ!


いつの間にかリセイが空中に浮かびながら、腕を組み、あぐらをかいた状態で艦娘たちの会話を聞いていた。


朝潮「し…司令官?いつからそちらに…?」


リセイ「鈴谷が俺が来たときのことを覚えてる?って言った辺りから。」


鈴谷「ほぼ最初じゃん!?全部聞いてたんだ…」


リセイ「……一つ言っとくぞ。俺やアレクやエイジはちゃんとした人間だ。どれだけ俺たちが規格外の力を持っていようと、いずれは終わりが来る。人間を辞めない限りな…」


山風「………」


リセイ「百歩譲って、否!万歩譲って人間をやめたとしよう。俺は絶対に後悔をしてしまう。なぜなら、人間を辞めることにより、俺の周りには敵がどんどん寄り集まって来るかもしれないからだ。」


大和「敵を寄せ集める…?」


リセイ「命ある者は力を使わずにはいられない。それは人間や深海棲艦や艦娘も例外じゃない。もちろん、その他大勢の存在だってそうさ。力を持て余している奴が、力を振りまいてしまうと、他の強い力を持った奴が、敵意を剥き出しにして闘いをおっぱじめてしまう。要はそう言うことだ。人間を辞めてしまえば、力は人間よりも化け物じみたものになる。俺は人間ではあるが、人間ならざるものの力を得てしまっている。けど、俺がちゃんと人間であるから、他の奴らは俺の存在を見つけることができない。」


霧島「アレクさんやエイジさんも同じ…そして、司令が人間を辞めてしまえば、私達が危険に晒さられる‥と言うことですか…?」


リセイ「………そうだ。何にせよ、俺自身が人間を辞めたくないんだよ。人間として生まれたなら、人間として死にてぇんだよ。」


艦娘s「……………」


リセイ「そーんな顔をすんなお前ら!時間はまだまだたっぷりあるんだ。俺の生涯はここで費やすって決めたんだから、俺は死にはしねえよ。」


満潮「もう…!いつまで経っても意味わかんない…」


夕立「……(シュン)…」


オーイ!オーイ!


テートク!シレイカーン!


ハヤクオリテキテヨー!


リセイ「お、悪い悪い!今いくぞー!……そう言うわけだ。俺がジンと戦うまで、後、20日以下だが、戦いが終わった後は、ずっとこの鎮守府に居るからさ…もう思い詰めんな。俺はもう1人じゃねぇしな…」


艦娘s「!!」


リセイ「頼りにしてるぞ。俺の大事な仲間達!」


ビッ!


艦娘s「……はい!!」(ああ!!)(了解!!)


ビッ!


リセイ「………(ニ…)」


ハーヤークー!オッソーイ!


リセイ「おうおう!わかってるって!」


ヒュウウン!スタッ!


リセイは下にいる艦娘達のもとへ向かった。


明石「………ほんと…最後の最後まで読めない人ですね…」


ポーラ「……流石に飲む気にはなれませんね〜…」


ザラ「え…?ポーラが飲むのをやめるなんて…明日は槍でも降るのかしら…」


ポーラ「ザラ姉様酷い!ポーラだって飲まない時ぐらいありますよ〜!」


タシュケント「………日頃の行いだよ…きっと…」


長門「酒は飲むべし、飲まるるべからず。と言うことわざがあってだな…」


ポーラ「え〜?酒は百薬の長とも言いませんか〜?」


漣「ちょwwwなんでポーラさんが日本のことわざを知ってるんですか…くふっふ!ひひひ…w」


北上「というか普通ならそのことわざは反対なんだけどね…ポーラっちがあれだけ飲んでたらそう言う意味になると思うよ。」


ヴェールヌイ「ど正論という奴だね」


武蔵「…フフッ…」


飛龍「ぶふっ…!」


村雨「…………(ピクピク)」⇦笑いを堪えてる




ダハハハハハハ!!アーーハッハッハッハ!!ヒーッヒヒヒ!


正王鎮守府の屋上からは、けたたましいような笑いの声が響いていた…


リセイ「……なんの話をして笑ってんだか…まったく…」


島風「提督!次はかけっこしよ!今度こそ負けないんだから!」


睦月「私も頑張ります!」


大潮「アゲながら行きましょう!」


リセイ「へいへい…じゃ、位置についてよーい…ドン!」


ドドドドドドドドドド!!


イク「提督ーー!!ちょっとは加減して欲しいのねーーー!!」


島風「うりゃぁぁぁあ!!負っけるもんかぁぁあ!!」


悪雨「………どっちも化け物だね…」


レ級「それあんたが言う?」


悪雨「……………ふふっ…」























〜転生神界〜













リンネ「……時間だけが過ぎていくわ…」


ライド「…焦るとまた目的を見失っちゃうよ姉ちゃん。」


リンネ「わかってますー!それはともかく、あの子の存在が何なのかを突き止めないと…」


???「その必要は無いさ…」


リンネ・ライド「!?」


リンネ「…………あら…お久しぶりですね…『マルト』さん…」


ライド「…………」ギッ…!


マルト「……ライド…そんな目で見るなよ。せっかく良いことを教えにきてやったのにそれはないだろ?」


ライド「…………」


リンネ「……はぁ…また封印を解いたんですか?何度となく封じこめておいているのに…何故易々と出てこれるのですか?」


マルト「しつこいなぁ…何度も言わせんなよ。俺だって転生神さ。お前達2人の封印を解くぐらいの力はあるさ。」


ライド「黙れ!罪のない世界に悪い奴ばかりを飛ばして遊んでるお前なんて転生神じゃない!!」


マルト「人聞きの悪い…俺はただ必要のない世界を潰して回ってもらってるだけだよ。それに今回俺が封印を解く気になったのはリンネのせいなんだぜ?」


リンネ「…………」


ライド「…!?」


マルト「…リセイって奴…俺がお前ら2人に封印されている最中に、リンネがそいつを戦艦擬人化の世界に送り込んだ人間が居るだろ?」


リンネ「それが何か?」


マルト「実はそいつには弟が居てさ…俺、そいつを利用させてもらった。」


リンネ「‥利用…?一体何を…」


ライド「…………」


マルト「そいつの名はジン。俺がそいつを生き返らせたのさ。まぁ、半分死んでる状態だがな。生きかえらしたついでに、誰にも負ける事のない力とジンの望まない感情を植え付けておいた。」


ライド「………まさか…」


マルト「…(ニヤ…)そう…お察しの通り、お前らがリセイ、アレク、エイジに討伐を頼んだ存在だよ。」


ライド「……全部お前の差し金か…!!」


リンネ「………目的は何ですか…なぜ私を直接狙わず、リセイ君達を巻き込んだのですか!」


マルト「解らないか?フッ…ならもっと理解しやすいように説明してやろう。一言で言うなら、リンネ、ライド。ただのお前らへの嫌がらせだ。何度も何度も俺を封印したお前らを俺は許せねぇ。しかし、お前らがリセイ達に助けを呼ばないとも限らない。だからリセイ達を足止めのつもりでジンをけしかけたのさ。」


ライド「……何で…何でリセイの弟なんだよ…」


マルト「別に?誰かを使うなんて考えてねぇよ。適当に選んでやったぜ。」


リンネ「…………」ギロッ…


リンネはマルトを鋭く睨みつけた!


マルト「フフフフフッ!そうそれだ!その目つき!それが本当のお前だよなぁ!?リンネェ!!」


ライド「……僕らに復讐のつもりで…リセイ達を弄ぶなんて…許せない…!」


リンネ「…もう貴方の言葉を聞いてはられません。ライド、構えなさい。マルトを捻じ伏せます!!」


ライド「……うんっ!」


マルト「ハッ!今度は上手く行くかねぇ…」







カァッ!







ドゴォオオオオオオオオン!!!
























決戦当日…









〜10:00〜



〜正王鎮守府屋上〜










ビュウウウウウ…




風が吹き荒れる中、リセイは決戦前に屋上から地上を見つめて佇んでいた…





リセイ「……さて、いよいよ今日だな…時間も時間だし、アレクとエイジのところへ行くか…」



ガチャン!ドドドドドドド!!


屋上の扉が勢いよく開かれ、金剛がリセイに抱きついてきた!


金剛「テートクー!!!」


ガバッ!


リセイ「おお!?…金剛!どうした?ってお前らまで…」


金剛だけではなく、ほぼ全ての艦娘達が屋上へ訪れた…


朝潮「司令官…もう…行ってしまうのですか…?」


リセイ「時間だからな…もう行かないと…アレクは時間にうるさい奴だからな…」


海風「………帰って…来てくれますよね…?」


リセイ「…帰るさ。必ず…な。」


艦娘s「……………」


弥生「……司令官…」


霰「待ってます…みんな…一緒に…」


大和「……提督…」


リセイ「…フッ…おっと、そろそろ行かないと…金剛…もう離してくれないか?」


金剛「ウ〜…テートク…まだ離れたくないヨ…」


リセイ「おいおい…」


雪風「金剛さんばかりずるいです!雪風も!」


ガバッ!


夕立「夕立も飛びつくっぽーい!」


ガバッ!


リセイ「ちょ!お前ら!そんなに抱きつかれたら苦しいって!」


山風「嫌!提督!もうちょっとだけここに居て!まだ行っちゃ嫌だ…!」


リセイ「‥…どれだけ時間が経とうと、俺は行くぞ。」


島風「そんなことわかってますよ…でも…」


プリンツ「後もう少しだけ…こうさせて…アドミラールさん…」


リセイ「甘えたがりだなぁお前らは…しょーがねぇ…あと10分だけだぞ。それがすぎたら俺は行く。」


鈴谷「……うん!」
















〜アレクとエイジの隠れ家〜











アレク「……チッ…何をもたもたとしてんだあの野郎…」


エイジ「おおかた艦娘達が引き止めてるんじゃないの?そんなにジンの元へ行きたいなら、僕たちでリセイを迎えに行こうか?」


アレク「ふん!そうしてやるとするか。ジンがいつ暴れにきてもおかしくないんだからな…」


エイジ「……じゃあ、行くよ!」



バン!ドン!


アレクとエイジは空を飛び、リセイのいる正王鎮守府へと向かった!































〜正王鎮守府屋上〜









タシュケント「同志〜…やっぱり行っちゃうと寂しくなるよ…行かないって言うのは駄目?」


リセイ「だめ。」


明石「………一回決めたことはやり遂げるまで気の済まない人ですからね…止めても無駄ですよ…」


リセイ「さすがは明石。よくわかってらっしゃる。」


春風「もう!司令官様…」


リセイ「…お前らそんな顔をすんなって…全く…

…!!」


ドオオオオオオオ!!キキイィィィ!!


艦娘s「!!」


アレク「よう…リセイ。しばらく見ねぇ間にまた腕あけてんだろうな…」


エイジ「………………」


アレクとエイジは空を移動して、正王鎮守府へと辿り着いた!


武蔵「…!あれが…アレクとエイジ……!」


曙「………ッ!」


時津風「………」キッ!


阿武隈「くっ…!」


艦娘達は2人を警戒していた。しかし艤装を展開しなかった…

いや、出来なかった…

リセイと互角に戦う人物達に恐れを抱いてたからである…


リセイ「おう。わざわざ迎えに来てくれたのか?悪いな。俺の部下達が往生際が悪いもんでね。」


艦娘s「………」


エイジ「…まぁね…リセイが決めた時間に来ないリセイが来ないなんておかしいしね。僕の予想は当たってたわけだ。」


リセイ「図星も図星。この通りだよ。確かに、危険な戦いだけど、いずれは行かなきゃならないもんだからな。」


霧島「司令…」


アレク「…おいリセイ。」


リセイ「…ん?」


ブオン!キン!ガン!ドス!ガッ!ガキン!


艦娘s「!?」


アレクはリセイに腕試しのつもりで刀でリセイに斬りかかった!


レ級「リセイ!」


しかしリセイはそれをもろともせず、かわしながら刀で防御していた!


エイジ「……………」


アレク「フン…流石に怠けちゃいなかったな…」


リセイ「当然だ。その辺で遊んでいるわけにもいかなかったしな。」


艦娘s「………」


高雄「………」唖然


江風「す、凄え…」


リセイ「さてと、そろそろ行くぞ。……俺たちの戦いはスクリーンで見届けてくれ。行ってくる!」


アレク・エイジ「………………」


時雨「提督…」



ザッ!


ドオオオオン!バシュン!ズァ!!


リセイは勢いよく空を飛んで、わずか数秒で見えなくなった!アレクとエイジもリセイの後を追い、共に姿を消した…



マックス「提督ー!必ず帰って来てよーー!!」


ウォースパイト「Admiral!Come home alive!」


…………………


春雨「……あっというまに見えなくなっちゃいました…」


村雨「…帰ってくるわよ。提督なら絶対に…」


ヴェールヌイ「私は講堂にいるよ。司令官の様子をずっと確かめていたい…」


間宮「そう言うと思いました。皆さん!提督には内緒で、講堂で食事を取りましょう。提督の様子を唯一知る事ができる講堂から、離れる気がないと言うのなら尚更です。」


陸奥「講堂で…ね…私は大賛成。みんなは?」


涼月「否定する理由がありません。私も提督が心配です…」


艦娘s「コクッ」


皆、頷き合って全員で講堂に向かった。


朝風「司令官…頑張ってよ…」

























〜???〜














キキキィ!!





アレク「……ここだ。」


エイジ「そのようだね…空に浮かぶには明らかにおかしい物質がある…」


リセイ・アレク・エイジの三人は上空を猛スピードで飛行し、目的の場所へとたどり着いた。

三人の目にした物体は、不気味な空間が怪しく渦を作り出し、空間が歪んでいた…


リセイ「………邪気や妖気は感じない…本当に波動だけでこれを作り出したってのか…」


エイジ「…空間に関することは僕はあまりわからないけど、この渦に入れば…当分今のこの世界には戻ってこれないと思う…どうする?今ならまだ引き返せるよ…」


リセイ「冗談じゃない。ここまで来て尻尾巻いて逃げるなら、俺は俺自身を許せねぇよ…」


アレク「……フッ…そうこなきゃな…さっさと行くぞ。もう迷いもねぇんだろ…?」


3人「………」



シュンシュンシュン!


リセイ達は迷いもせず、渦巻く空間に入り込んだ!






















〜ジンの世界・禁忌の間〜















ブォオオン!









漆黒の空に真紅の空間に、3人の人間が降り立った…






シュタタタ!






リセイ「……なんだここは…」


辺り一面が紅く、猛々しい熱気がほとばしるその空間は、リセイ達の体力を早く奪っていた…


エイジ「………熱気…?」


アレク「まためんどくせえところだ…なんだってこんなところに…」


リセイ「どうやらそんな簡単にはジンには会えないようだな…次への道がどこかにあるはずだ…そこを探すぞ!」


エイジ「待って。その前に、この暑さが気にならないようにしないと…」


リセイ「……頼む。」


エイジ「………」スッ…


エイジは腕を払い、リセイ達の身体に冷たい風を纏わせた。


アレク「暑さ寒さなんかで俺たちの気を紛らわそうってか?片腹痛えわ…」


リセイ「嫌がらせでもなければ、遊んでいるわけでもなさそうだな…やっぱり待ってるのさ。こんな子供騙しでうろたえるようならジンのところへなんか行けはしない。」


アレク「行こうぜ。時間が惜しい。」


エイジ「………」コクッ…
























20分後…










ドドドドン!







3人「!」







突如として三人の周りに無数の魔物達が現れた!






アレク「よーし…そろそろ来ると思ってたぜ。やるかぁ?」


リセイ「ああ。足ひっぱんなよ?」


アレク「お?てめぇからぶん殴ってやろうか?」


エイジ「喧嘩してる場合じゃないよ!来る!」










戦闘BGM:ポケットモンスターDP・戦闘!トレーナー

















アレク「てめぇらなんぞ刀を出すまでもねぇよ!おらおらおら!」



アレクは勢いよく目の前の敵に飛びかかり、顔面に向けて拳を振り下ろした!


ドン!



バキィ!



ヒューーーン!



ドゴオオオン!


魔物「グゴオ!!」


リセイ「うぉりゃーーー!!」



ドカァァァァン!!!



リセイはアレクの吹っ飛ばした魔物を真上に向けて、片足で蹴り飛ばした!


ボボボボボボボボ!!


エイジは手から気弾を何発も放ち、周りの魔物達を一掃していった!


エイジ「……こいつら…!数が多いだけじゃないね…!」


アレク「ああ…1匹ずつがかなりのバケモンだぜ…」


リセイ「……例えるなら…俺たちが強い人間なら、奴らなら少し強い人間ってことだな…」


エイジ「そう言うのが何匹も居てるんだ…油断したら命を簡単に刈り取られるよ?」


リセイ「わかってる!行くぞお前ら!」


アレク「うるせぇ!言われねえでも行ってやる!」


エイジ「ハッ!」




ドン!



ビシュン!ドバァン!


エイジが巨大な光弾を上空に放つと同時に、リセイとアレクは神速の速さで魔物の群れに突っ込んだ!



リセイ「うおおおおおお!!!」


アレク「でぇやぁぁぁぁあ!!!」









ボガァァァァン!!!!






ドン!バァン!バゴーン!ズダン!


バシィ!シュン!フォン!バッ!バッ!


ズダダダダダダッ!


ガッシィ!ガス!ガン!











リセイ達は協力し、おびただしい数の魔物達を事も無げに10分足らずで蹴散らした!







ズザザザァ!


シュタッ!



エイジ「さて、ここで道草を食うわけにはいかないよ…」


アレク「さっさと行くぞ。雑魚にいちいち構ってられるか…」


リセイ「ああ…」
















〜ジンの世界・無限の間〜
















イメージBGM:幽☆遊☆白書・「戦闘開始」








次にリセイたちが降り立った場所は空も空間も漆黒の色に染まる、ただただ広い世界が目に映った…





リセイ「………?ただ真っ黒に染まってる世界だぞ…」


アレク「闇だろうな…無限に続く闇を利用して俺たちの心に揺さぶりをかけてやがる。」


エイジ「おそらく次の場所に着くまでに、全力で空をとんでも10分はかかるね…」


リセイ「………なるほど…というより、移動手段は空を飛ぶ以外にないようだな。そうと決まればさっさと行くぞ。」


エイジ「…うん。」



ダッ!バッ!ドン!



リセイ達は地を強く蹴り、空高くに飛び上がった!




ヒュウウウウウウ!!



アレク「ふん…空を飛ばなきゃわからなかったが…地上にはめんどくせぇ連中がウヨウヨ居やがるじゃねぇか…」


アレクがそう言った後、リセイとエイジの2人は地上を見下ろした。


エイジ「………やっぱり空を飛んで正解だったね…」


リセイ「こんなところで体力も力も使うわけにはいかないからな…」


見れば竦み上がるほどの敵の数を目に映しながら2人はそう呟いた…


ギュオオオオオオン!!!














10分後…








スタッ!



リセイ「…ふぅ…やっと着いたな…空を飛び続けるのにも一応体力が要るからな…」


エイジ「まぁね…空を飛ばないで行ってたら軽く10日はかかる距離だからね…」


アレク「……くだらねぇ…さっさと行くぞ…」


エイジ「はいはい…」


リセイ「ちょっと待て…誰かいる…」


アレク・エイジ「!」


リセイが2人を引き留め、前方に注意を向けた…


アレク「そうみたいだが…なんだあいつ…」


オズリック「ムシケラどもめ!ここは通さん!」



ブォン!ブォン!



エイジ「知性が感じられないね…」


リセイたちが目にしたのは一戸建ての2倍はある大きさの化け物だった。恐ろしく大きな金棒を持ち、ブンブンと振り回すたび、強烈な風圧を放っている


アレク「へっ…この根暗な世界から抜ける前の番人ってわけか…」 スタスタスタ…


エイジ「…!アレク…君が行くのかい?」


アレク「俺1人で十分だ。テメェらは高みの見物でもしてな…」


リセイ「おう。任せたぞ…」


オズリック「ハッハッハァ…!ちょうどいい…腹が減っていたところだ!お前を食ってやる!そこ動くなぁ!」


ドン!バゴオオオオン!


シュン!


アレク「…遅すぎて話になんねぇ…」


アレクはオズリックの勢いよく振り下ろした金棒を軽く避けた!


リセイ「…エイジ…」


エイジ「わかってる。巻き添えを喰らわないように空に浮遊しておこう…浮かぶだけなら体力は使わないしね…」


リセイ「………」


ダッ!ダッ!



アレク「…さぁーてと…何を見せてくれるかな…?ぬぉりゃあ!」



〜 アレクVSオズリック〜



戦闘BGM:マリオ&ルイージRPG3「ザ・ジャイアント」

(見つかりにくいのでURLを貼っておきます)

https://youtu.be/T2qV1CmQoAc









ドダダダダダダダダ!!


ダン!


ブォン!


ドッゴオオオオオ!!




なんとアレクはとんでもないスピードで走り、オズリックの腹部を跳び上がって回し蹴りした!



オズリック「グオオ!ぬ゛ええい!!」


ブオォン!


ビシュ!


蹴りを受けたオズリックはすぐさま反撃した!右斜め上に金棒を振り上げ、アレクを吹っ飛ばそうとしたが、いつのまにかアレクは後ろに回り込みオズリックの背に向けて気弾を込めながら正拳突きを放った!


アレク「どりゃあ!!」


ボゴォオオオン!!


明らかに素手で放った音ではないものが辺りに響き渡った!


オズリック「オオオオオ!?むううう!!どおお!」


オズリックはダメージこそは受けているものの、いまだに倒れずアレクに攻撃を仕掛けている。


リセイ「何…?あの正拳突きをくらってまだ動けるのか?」


エイジ「どうやら見た目どおり、タフなようだね…アレクにとっては良いストレス発散の相手になりそうだよ…」


アレク「おらおらおら!ウスノロ野郎!とっとと立てやぁ!」


ボン!バッ!ドゴォン!


オズリック「デュウ゛エイ!」


ブゥン!


ボガァアン!!


アレク(力だけの攻撃が俺に当たると思ったら大間違いってね…だがまぁ…その力だけは見事なもんだったぜ!)

「死ねオラ!」


ザシュ!

ジャキィイィン!


アレクは刀を取り出し、オズリックの身体を縦に真っ二つに切り裂いた!!


ドサ!ドサ!


シュタッ!


アレク「……チッ…テメェじゃ退屈しのぎにもなりゃしねぇ…」


スタッ!タッ!


オズリックとの戦闘に勝利したアレクの元に、リセイとエイジが降り立った。


エイジ「流石はアレク。あんなにでかい奴を6分で片付けるとはね…」


リセイ「…今度お前と戦うときはかなりヤバイかもな…」


アレク「………さっさと次行くぞ。せっかくの戦いだったのに不完全燃焼だぜ…」


リセイ「ああ…そうだな…」

















〜ジンの世界・混沌の間〜









次にリセイ達が訪れた世界は、その場全体が紅い謎の物質が奇妙に蠢く世界であった…

普通の者がそれを目にすれば、あまりの気持ち悪さに吐くかもしれない光景だった。





アレク「ケッ…汚え世界だ…」


エイジ「……その割にはえらく親切な世界だね。ここはすぐに次の世界に行く次元の扉があるよ。」


リセイ「…………つまりは早速大物が来るってわけだな…」


アレク「そうだろうよ…!!上だぜ!」


リセイ・エイジ「!!」


スタンッ!


ゴォオ!!


ガキィィン!!


突如として上空から、何者かがリセイ達を目掛けて鋭い剣で斬りかかった!

しかし、その攻撃はエイジが手刀の氷の刃で防いでいた。


エイジ「……なるほど…闘うためだけの人形…か…」


ヘルズ「…………」


バッバッ!


リセイ「!どうやらここはエイジに任せた方が良さそうだ。」


アレク「ふん…俺の居ないところでも修行してたんなら…その力を見させてもらうぜ…」


リセイとアレクはエイジと謎の剣士から距離をとって離れた!


〜エイジVSヘルズ〜




戦闘BGM:ドラゴンボールZ3・Powerful Man From The Darkness」

(見つかりにくい為、URLを貼っておきます)

https://youtu.be/PKkRAa1Nhus







ギィン!!



キンキンキン!ガキン!ガキィン!ギギギギギ!



エイジとヘルズの互いの刃が鈍い音を立てて交わり、2人の闘気を更にヒートアップさせた!


ヘルズ「斬!」


ビシュ!


ブォン!


エイジ「!速い…」


ヘルズの繰り出した瞬速斬りがエイジを狙ったが、それは当たらなかった!


ガシッ!


ヘルズ「!!」


エイジ「捕まえたよ!ハァッ!」


グオン!バァン!


エイジは氷の刃を消し、ヘルズの肩と腰を掴み上げ、上空に強い反動を与えながら吹っ飛ばした!


ギュオン!!


ドッズン!!!



何とエイジは吹っ飛ばしたヘルズの真下に一瞬で移動し、に全力を込めて足蹴りを真上に向け腹部に放った!


ヘルズ「!!!!!!!」


スッ!ギュン!


エイジ「でぇやぁ!!!」


ドゴォオン!!


ズダァァアン!!


エイジは更にヘルズの腹部を蹴り上げた直後に、

ヘルズの真上に移動し、腹部を蹴られ悶絶しているヘルズの背中に向けて、突進するように再び蹴りを入れた!!

ヘルズは抵抗する間も無く、簡単に地に叩きつけられた!


スタン!


エイジ「……喋れないまま攻撃を受けるのって…想像を絶する苦しみだと思うよ…けど…君は人形だからそんなものは無いはず…だったら遠慮は要らないよね…」


アレク「……へぇ…面白いじゃねぇか…速さが格段に上がってやがる…」


リセイ「一つ一つの斬撃や打撃が確実に重いものになってるな。だが…」


ヘルズ「……………」ムクッ…


アレク「敵もそう簡単にはやられてはくれねぇようだぜ…」


ヘルズ「闘!!」


エイジ「……!」


ヘルズは剣を振りかぶってエイジに斬りかかった!


ガッ!ヒュン!ドカァン!


しかしエイジはヘルズの後ろに瞬時に移動し、腰に回し蹴りをくらわせた!


ヘルズ「!!!」ズザァ!


ヘルズは蹴られて体勢を崩した!


エイジ「体力は無駄には使いたくない。もう終わりにしよう…じゃあね…」


キュイイイイイン!!

ポォッ!!


エイジは強く念じ、両手に気を溜め、それを合体させた気弾をヘルズに向けて撃ち放った!!


バゴォーン!!!


ヘルズを跡形もなく散らせたエイジは一言呟いた。


エイジ「………人形なら人形らしく、無垢な存在に遊ばれてるのが一番良いのさ…」



スタッスタッ!



アレク「ふっ…見直したぜエイジ。テメェもなかなかやるようになったじゃねぇか。」


リセイ「……末恐ろしいもんだな。」


エイジ「君たち2人ほどには強くなんてなってないよ。現にさっきのアレクよりも遅く倒したし…」


アレク「俺は楽しめたからそんなもんはどうでも良いさ…」


リセイ「行こう。邪魔は消えた。」


エイジ「うん…」
























一方…転生神界では…























ドオオオオオオオオオオオ!!!!






スタッ!


ドン!


キキィ!!




マルト「チィ…勝負がつかねえな…」


ライド「……自分でも思うよ…もう丸30日は戦ってるよね…」


リンネ「もう!マルトさんのせいであちこちに次元の歪みが出来てしまったじゃないですか!」


ライド「それをほとんど僕が直してるよね!?」


マルト「仲良し姉弟ごっこは俺が居なくなってからにしろや…」


ライド「うるさい!お前に言われたくない!!」


リンネ「さて…もうひと暴れしますか…?」


マルト「上等だゴラァ!」


ライド「全くもう!!」





























そして…












とある世界…









???「ふぅ…のどかだねぇ…」


???「全くだ…艦娘達も休日を楽しんでるみたいだしな…」








ブォン!!


バチバチバチバチ…!!



???「うわっ!?何あれ?いきなり出てきたけど…」


突如として、謎の次元の歪みが空に現れた!!


???「………あの感じ…まさか…!!」


???「ま、まさかあの歪みに行く気じゃ…」


???「行くに決まってんだろ!ほら!〇〇〇もついて来い!行くぞ!」


???「わ…わかったよ〇〇…!」


???「よし!来い!『ナルガクルガァ』!!」


ナルガクルガ「クガァァァァ!!!」































〜ジンの世界・終界〜








リセイ達が降り立った世界は何も無かった。

黒い空間が無限に続くような世界が目に広がった。











リセイ「どうやらここが最後らしいな…あの長い距離の世界と似ている…(無限の間の事)」


アレク「っ!この感触…あの時の波動か…!!」


エイジ「肌がピリピリする…近くにあいつが居るよ…!」






ジン「…………誰?」


リセイ「……………ジン…お前…」


ジン「………やっと来たね…ずっと待ってた…」


アレク「リセイ!」


ジン「君たち2人には用はないよ。消えてくれ…」


バン!


ジンは何かを呟き、アレクとエイジの前に敵を召喚させた!


アレク「なっ!?こいつらはさっきの…」


オズリック「ハッハッハァ!またお前を食ってやる!」


ヘルズ「殺!」


エイジ「……やっぱり…さっきまで戦ってたのも、最初に乱闘をした奴らも、みんなジンの僕(しもべ)だったのか…当然と言えば当然だけどね…それに…さっきまでとはまるで違う…!2匹とも僕たちとほぼ互角レベルになってるよ…」


アレク「上等!そうこなきゃ暴れがいがねぇぜ…!」


リセイ「……くっ!やめろジン!お前が殺したいのは俺だけだろ!だがなぜ俺を殺そうとするんだ!一体お前に何が起きたんだ!!答えろ!!!」


ジン「……………………」


リセイ「………………答えたくないのか…答えられないのか…どちらにせよ…力ずくでも聞き出してやる…!!行くぞ!」


アレク・エイジ「!」ザッ!


ジン「……………」スッ…


オズリック・ヘルズ「!」ドン!


〜リセイ・アレク・エイジ〜


VS


〜ジン・オズリック・ヘルズ〜




戦闘BGM:幽☆遊☆白書「幽助、パワーアップ!」(二回目)(3ループぐらいで丁度いい程度です。)







〜リセイVSジン〜




リセイ「おおおお!」ブォン!


ジン「………」スカッ…


バギィ!


リセイ「うっ!っ…はぁ!」


ジン「考えたことある?兄ちゃん…」スパン!


リセイ「!?」ガッ!ブン!


ジン「置いてきぼりにされて…みんな死んで…自分だけ生き延びたことを考えた事をあるかって聞いてるんだよ…」パシッ!ヒュン!


リセイ「っ!何度も考えたぞ!俺だけおめおめと生恥を晒して情けねぇってな!!所詮俺はてめぇで死ぬ度胸もねぇぐらいの軟弱者だよ!」ガシ!ゴン!


ジン「………耳が痛い…」バッ!ドン!


リセイとジンは互いの思いをぶつけ合いながら格闘戦を続けていた!!








〜アレクVSオズリック〜








オズリック「ぬ゛ぇえええい!!」


ブァン!!


ドゴォン!


アレク「チィ…!風圧だけで空間を歪めるとはな…いちいち手加減してらんねぇな…うぉらぁ!!!」

スッ!ドォン!


オズリック「ムン!」


ガキィン!!


アレク「何っ!?」


ボォン!!!


アレク「ぐはっ…!!」


なんとオズリックはアレクのスピードを見極め、アレクの刀の攻撃を金棒で防ぎ、アレクを金棒で叩き飛ばした!!


ドン!ドン!ガン!ゴロゴロゴロ…!


アレク「う…ブホッ…!」ベチャ…


アレクは堪らず、血を吐き出してしまった…


オズリック「ハッハッハァ…!今度は逃さん!」


アレク「…や、野っ郎……!!」




先ほどの戦いとはまるで話が違うような戦況に、アレクは苦戦していた!!












〜エイジVSヘルズ〜










ガキンキンキンキン!!シュバ!バシィ!

ガキィン!!





エイジ「くっ!リミッターを外したのか…!さっきとまるで別の存在じゃないか…!」


ヘルズ「散!!」


エイジ「!!」シャッ!


キィン!ぐるん!

ドシュウ!!


エイジ「ぐああぁぁ!!!」


なんとヘルズはエイジの攻撃を受け流しながら自らの体を回転させてエイジの背を深く斬り込んだ!


ヘルズ「………………」チャキ…


エイジ「ぐっ…うっ…じょ…冗談じゃないよ…なんて柔軟な身体なんだ…」



エイジもヘルズの驚異的な強さの変化に遅れを取ってしまっていた…!














〜リセイVSジン〜








ガァン!!


バキィ!ドン!ガッ!


ドドドドドドド!!!


バシュン!シュン!


ボゴォオン!!


ズダン!ダン!


リセイ「…ハァ…ハァ…」ポタポタ…


ジン「………もう死んでくれよ…兄ちゃん…」


リセイ「…そいつはできない相談だ…俺はまだ死ぬわけにはいかないんでな!」ムクッ…


ジン「兄ちゃんじゃ僕には勝てないよ…そんなに血だらけになってなんでまだ僕と闘おうとするのさ…?痛々しいだけだよ…」


リセイはジンに攻撃を全て返され、ジンの攻撃をまともに受け続け、身体中からはおびただしいほどの血が流れていた…


リセイ「…………諦めねぇ…絶対に…俺には、帰りを待ってくれてる奴が居るんだ!!そしてお前も助けてみせる!ジン!!」


ジン「……しつこい…ムカつくね…抵抗しても無駄なんだよ…」


リセイ「ッ!!」









〜アレクVSオズリック〜












アレク「ハァ…ハァ…へっ…リセイの時以来だな…こんなに楽しい戦闘はよ…!」


オズリック「うううう゛!!しつこいぞ!ムシケラァ!」


アレク「……てめえごときに構ってる暇はねぇんだよ!!邪魔だぁぁぁ!!」


キュイン!ドン!


シュイイイン!!



アレク「どおおりゃぁぁあ!!!」



ズァボォン!!!!



アレクは刀全体に全力を込めて縦に薙ぎ払った!!


オズリック「おおおおお゛お゛!!!」


ドオオオオオオオオオオオ!!!!


アレク「…チッ…あんな奴に手こずるとはな…ぐっ…!」ガク…


オズリックを跡形なく吹っ飛ばしたアレクは片膝をついた…




















〜エイジVSヘルズ〜








キィン!


ドドドドドドドド!!!


ガキン!!


ザザザァ!!


キキィイ!!


エイジ「…くっ!スピードもなかなか上がってる…まだ僕がわずかに勝っている程度だけど…あいつは人形だからスタミナが減らない…何か手は…」


ヘルズ「壊!!!」


エイジ「!!」


ボゴォン!!


エイジ「!よし!これだ!今決着をつけてやる!」


ヘルズ「殺!!」


エイジ「……………」スッ…














ジャキィイイイン!!



エイジはヘルズの剣ごと真横に氷の刃を振り払い、ヘルズの体を真っ二つにした!!


ドササッ!


エイジ「…………勝負あったね…うっ…けど僕も結構やられたな…」


ヘルズ「……!!!」


エイジ「まだ生きてるなんて…さすがは人形…痛みを感じない分、やっぱり全部を消さないと倒せないか…

まぁ、僕の言葉がわかるとは思えないけど、君が負けた理由を言っておくよ…」


ヘルズ「……!!」


エイジ「君はスピードやパワーは格段に上がってはいたよ。僕はそれに翻弄されてこうやって傷だらけになったんだ。だけど、攻撃の先読みまではアップしなかったみたいだね。君が負けた理由はただ一つ。戦闘の『経験』さ。すぐに作り出された君は学習能力はあっても、経験が無かったらその能力も、君の強さも無駄なんだよ。だから僕が勝った。」


ヘルズ「………!!」


エイジ「先読みや先制攻撃もできない君なんて…リセイや深海棲艦よりも弱いよ…ハッ!」


ポォ!ポォ!

ボガァァァァァアン!!


パラパラ…


エイジは気弾を発射し、ヘルズの身体全てを細胞残さず吹っ飛ばした!




















〜リセイVSジン〜











ジン「………どうしてかな…何で?そこまでして死ぬことに抗う意味が分からない…」


リセイ「生きたい意志があるからに決まってるだろ…!お前だって生かせてみせる!」


ジン「……僕はね…憎いんだよ…兄ちゃんが…兄ちゃんは昔、とても良い兄をしていたんだ。人が良くて、誰にでも優しくて、その癖に優柔不断で…だけどそんな兄ちゃんは嫌いじゃなかった…」


リセイ「………………」


ジン「………なのに…なんで僕たちを助けてくれなかったの?僕たちは流行りの伝染病で死に、墓に埋められた…それも兄ちゃんに…でも、僕が生き返ったとき、変な声が聞こえた…「お前の兄は裏切り者だ。自分のためにお前らを見殺しにしたんだ」ってね…」


リセイ「違う!!!俺の力じゃ人を生き返らせたり、病気を治したりするのは無理だったんだ!!俺じゃお前らを助けることができなかったのは確かだが…それでも俺は!お前らを見捨てるかなんてこれっぽっちもなかった!!」


ジン「見苦しい…そんな事今更言ったって遅いよ。遅すぎる…

兄ちゃんにも教えてあげるよ…僕の憎しみを…兄ちゃんの仲間を全て…殺す。」


リセイ「!!!」


ジン「そうだなぁ…まずはあの『艦娘』とやらから殺しに行くか…」


リセイ「やめろ!!やめてくれ!!!狙うなら俺だけにしろ!!あいつらは関係ない!!」


ジン「関係あるさ…兄ちゃ………お前と関わったすべての人間を殺してやる。同じ苦しみを…悲しみを…与えてやる!!」


リセイ「……!!!ゔぁぁぁぁぁあ!!!!!」


スッ!

ダオオオオオン!!


リセイは叫びながら刀を取り出し、凄まじい速さでジンに向かって斬りかかった!!


ジン「………………」


ズドォオオン!!!!


しかし、リセイが刀を振り下ろす前に、ジンの掌底打がリセイの腹部にめり込んだ!!


メキ…


リセイ「っ!ぶぅほぉ!!」ビチャ!


ドスン!ガァン!ドン!バン!グルングルン!


リセイは紙のように吹っ飛ばされて地に叩きつけられた!!


ジン「まだわかってないの?もうお前には守るべきものは何もないんだよ…僕はここからでも、お前の住んでる場所に直接波動弾を送ることもできる…どう言うことかわかるよね…」


リセイ「やめ…ろ…頼む…やめてくれ…」


ジン「絶望を知れ…!僕と同じ苦しみを思い知れ!!」


ギュン!


リセイ「!!!」


ジンが波動を込めた拳を空間に叩きつけようとしたその時!


ダンダンダンダン!!ドン!


アレク「うぉりゃあ!!!」


ズドォォォォン!!!


ジン「……っ…あの強化した2匹を倒すなんて…お前達もなかなか強いんだね…」


ジンはアレクの全力の蹴りを両腕でガードした!


アレク「けっ…まるで効いてねぇ…」


エイジ「…リセイ!!」


リセイ「エイジ…アレク…!」


ジン「邪魔だよ。お前達は引っ込んでてよ…リセイに苦しみや悲しみを与えてやるんだから…」


アレク「ハッ!胸糞悪りぃ面してカッコつけてんじゃねぇよ!!俺は力にねじ伏せられるのが大嫌いなんだよ!」


リセイ「おおおおお!!」


エイジ「はぁあああ!!」


ジン「お前達2人には…用はないって言っただろ!!」


バシュシュシュン!!


ドオオオオオン!!




アレク「ゴワァ!!」ズザザザザザ!!


エイジ「ゔぅう…!!」ヒュン!ドサ!


リセイ「っ!!ぬぁぁぁぁあ!!!」


ジン「…でや!はぁ!」



ガキンキン!ガン!ドズン!バキィ!ドカァ!


バン!ドドドドドドドド!!ズタァン!ボン!ブォン!ザシュ!ガシッ!ゴガァン!!


リセイ「ゲホッ…ハァッ…!ハァッ!」


ジン「………ごめん…もう飽きた…さようなら…兄ちゃん…」


ブォォォン!!!


リセイ「…!?」


ジンはそう言うと、右腕を振り上げ掌から信じられない大きさの波動弾を出現させた!!


エイジ「あ、あれは…!?とてつもない破壊力のエネルギー弾だ!あんなのを今の状態のリセイがくらったらひとたまりも…」


アレク「…………」


ジン「……死ね!」


ブン!


ジンは腕を振り下ろし、リセイに向けて波動弾を撃ち放った!!!


リセイ「…ぐっ!!」


ズビィ!!


エイジ「!?アレク!!何を!?」


リセイ「!!!アレク!?」


なんとアレクはリセイの身体を隠すように波動弾の前に仁王立ちした!!


アレク「ぬおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


エイジ「アレクーーーーーー!!!」


カッ…






ドオオオオオオオオン!!!














パラパラ…










アレク「…や…やるじゃ…ねぇ……か…ぐっ…」


ドサッ!


リセイ「……っ!アレク?おい!アレク!しっかりしろ!!アレク!!!」


ズビィ!


エイジ「アレク!!気を失うなアレク!!目を開けるんだ!!」


エイジは倒れているアレクの背を持ち、抱えながら叫んだ!


アレク「………………リ…セ…………イ…」


リセイ「!!アレク死ぬんじゃない!お前!なんで俺を庇った!!」


アレク「……テメェは…こんなもん‥じゃ…ねぇだ…ろ…俺をがっかりさせんじゃ…ねぇ…ぞ…クソッタレが…」




スッ…



ガクッ





アレクは震える手をリセイに向けて伸ばしたが、力なく腕を落とし、そのまま何もしゃべらなかった………






エイジ「!?アレク!!駄目だ!気をしっかり持つんだ!!アレクーー!!」


リセイ「…………………」


ジン「ふん…命拾いしたね…けど今度外さない…次はお前の番だよ。リセ…













ビィィィィィィィィィィ!!!!バチチチチヂヂヂヂヂ!!!


突然、リセイの身体の周りが想像を絶する波動を放ち、周りの空間を次々に破壊していった!!








戦闘BGM:寄生獣「HYPNOTIK」(3回目)











エイジ「うっ!?リセイ!?」


リセイ「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ……!!!お゛お゛お゛おおおおおおおおおおーーーー!!!!」


ジン「……………僕が憎いのか…?それでいいよ…それで僕と同じ気持ちが少しでもわかるなら…お前を怒らせた甲斐があったと言うものだy…」




ズバァン!!


バッギィィィィ!!!


リセイはジンが言い終わる前に一瞬で移動して、ジンの胸部に全力を込めた殴りを与えた!!!


ジン「ぐぁ……!?」


リセイ「ゔあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ビシュウ!!


ボキィ!!


ジン「!!!!うぐぁ!!ああああーー!!!」


なんとリセイはこともなげにジンの肋骨を一撃で殴り折った!!



リセイ「ぐあ゛あ゛あ゛あああああ!!!!」


ブォン!シャン!


リセイは結界の板を目の前に貼り、そこへジンを押さえつけるように叩きつけ、猛烈な超速の拳の雨を放った!!!


ズダダダダダダダダダダダダダ!!!ダァン!!ダァン!!ガァン!!バギィ!ドゴォ!ガンガンガンガンガンガン!!!!ゴドドドド!!ズガン!バギィ!!!


エイジ「リセイ駄目だ!!!それ以上やれば君の弟が死ぬぞ!!!」


エイジが必死で呼びかけるも、リセイにはもう他の声が聴こえなくなるほど、怒りに満ちていた…!!


リセイ「ヴゥゥゥヴヴ!!!!おおおおおおおおおおおお!!!!」


ドガァン!バンバンバンバン!ズガンガンガガン!



ガッシィン!!


リセイ「!!!!」


エイジ「!?」


ジン「……ぐっ…このっ…いつまでも…やられてるかぁ!!!」


なんとジンは激しい拳の乱打を片腕で受け止め、もう片方の腕で刀でリセイの心臓を目掛けて突き刺そうとした!!


スッ!

ガギィン!!


しかしリセイは瞬時に刀を取り出し、突きかかる刀を防御した!!


ぐらっ…!


エイジ「!!まずい!今の突きでリセイの体勢が崩れた!!」


ジン「うぅう!!貰った!!」


リセイ「!!!!」


スッ…チャキ…


ヒュン!パシッ!


ザッドゴォォォォン!!


なんとリセイは崩してしまった体勢を利用し、弾かれた刀を背中に回して右腕から左腕に持ち替えて、ジンの右手首を突き刺し、結界に叩きつけた!!


エイジ「なっ!?そ…そんな攻撃が…出来るなんて…」


ジン「ぐっ!?」


リセイ「!!!!」ギリィ…!!









ジン「!?」










ゴッ…!!!


















ッパァァァァァァァァァアン!!!!






ガッシャァァァァアン!!



リセイはジンを結界に突き刺したまま、ジンの左頬を右手で全力で殴り、結界を粉砕しながら1000m以上の距離まで吹っ飛ばした!!!







ドォン!ドォン!ドガンガンガン!


ドズッズゥゥン…!








リセイ「……ハァ…ハァ…」ガクン…


リセイは力を使い果たし、その場に膝をついた…


エイジ「!!リセイ!しっかりするんだ!」


リセイ「…エイジ…?俺は一体どうなって…」


エイジ「!?覚えていないのかい!?たった今ジンをリセイが殴って吹っ飛ばしたじゃないか!!」


リセイ「………いや、いや、覚えてるぞ…!

!!ジン!」


ビシュン!


リセイはジンの元へ向かった!



エイジ「リセイ…怒りで周りが見えていなかったのか…アレクの為にそこまで怒るとは…

アレク…っ!

…………僕も行こう。アレク…担ぐよ…」


アレクの返事を聞かないままアレクを担ぎながらリセイとジンの元へ向かった…






















リセイ「ジン!おい!起きろ!ジン!!」


がくがく!


ジン「…………………」


リセイはジンを何度も揺さぶって目を覚まさせようとする…しかしジンは気がつかないまま、ぐったりとしていた…


リセイ「……っ!!ジン!俺が…俺がやったのか…!!俺はお前を…!!」


エイジ「リセイ……」


いつのまにかリセイとジンのところへ来ていたエイジは、リセイに何と声をかけていいかわからなかった…」


ジン「………………兄ちゃん…」


リセイ「!?ジン!!しっかりしろ!」


エイジ「!息を吹き返した!」


エイジは担いでいたアレクをそっと寝かせて、リセイと同じようにジンの前に屈んだ…


リセイ「エイジ!お前の力でなんとかなんないのか!?」


エイジ「………だめだ…これじゃ手当てをする前に死んでしまうよ…もう手遅れだ…」


リセイ「そんな…こんな事でまた…お前と別れちまうのかよ…ジン…!!!」


ジン「……兄ちゃん…僕が…不甲斐無いばかりに…また兄ちゃんに迷惑かけてしまったよ…ご…めんよ…」


リセイ「…!!お前は悪くねぇ!!何一つ!お前は何も悪くねぇんだ!!悪いのは…!!」


ジン「兄ちゃんじゃ…ないよ…ああなる事は仕方なかったんだ…僕が殺してしまったそこの人が死んじゃったから…兄ちゃんは怒りに我を忘れて…僕をこんな風にした…悪いのは兄ちゃんじゃない…僕が…転生神なんかに操られなきゃ…」


エイジ「!?転生神!?」


ジン「……『マルト』って言ってた…その転生神の名前…」


エイジ「……リンネさんやライドさんとは違うのか…」


ジン「そのマルトが…僕に言った…『リセイを…お前の兄を殺せ』って…『俺の邪魔が入らないように全部殺せ』って…」


リセイ「…………そいつは今どこに居る!?見つけ出してぶっ殺す!!」


ジン「………どこにも居ないよ…神様の世界にしか居ない…兄ちゃんやあんた達2人の力じゃ…あの世界には行けないし…勝てっこない…よ…」


リセイ「転生神界の事か!っ!俺たちじゃ行けないだって?それは一体どう言う事なんだ!?」


ジン「神さまの力は…計り知れないんだ…いくら兄ちゃんや2人が束になってかかっても…神様達は無傷で…兄ちゃん達を返り討ちにしちゃうよ…」


エイジ「……やっぱりリンネさんやライドさんは僕達に実力を隠してたんだね…」


ジン「っ!ゴホッ!ゴホッ!」


リセイ「わかった!わかったからもうしゃべるな!今治してやる!俺が治癒能力を使って…」


エイジ「リセイ!君が今それを使えば君も危険になる!!」


リセイ「うるせぇ!!!ジンを助ける為なんだ!!俺自身のことなんぞどうだって良いんだよ!!」


エイジ「リセイっ!」


ジン「………もう…いいんだ…ありがとう…兄ちゃん…」


リセイ「……ジン…!」


ジン「…………………さ…最……後に…兄…ちゃ…んの…顔を見れ……て…よかっ………た………………」






















ガクッ…







ジンは…そのまま目を覚さなかった







リセイ「……………おい…ジン?」


ジン「……………………………………」


エイジ「………」


リセイ「……嘘だろ…?なぁ…こんな死に方すんのかよお前…俺に殺されて死ぬのかよ…お前…!!」


ボロッ…ボロ…ボロッ


ポタポタ…


リセイ「俺が…俺がジンを………うっ…ぐっ…うう……」







リセイ「うああああああああああ!!!!」



エイジ「…………リセイ…」





リセイ「俺は…!俺はこれから何を信じて生きて行ったら良いんだよ!?」


リセイ「何が提督だ…!何がジンの兄貴だ…!!何がアレクのライバルだ…!!!畜生!!畜生ーーーーー!!!!」


ポロポロ…


ガン!ガン!ガン!


リセイは自らの情けなさに地を強く殴りつけ、悲壮の感情から抜け出すことができなかった…



エイジ「……………」















提督!!!





リセイ「……!!」


エイジ「……!?」



提督!泣かないで!帰ってきて!




エイジ「これは…艦娘達の声…?」




ジンの世界に突然、リセイの部下である正王鎮守府の艦娘達の声が響き渡った…!!


みんな貴方が帰ってくるのを待ってます!

司令官!!お願いです!!その世界から逃げてください!帰ってきてください!!


リセイ「……………………お前ら…」






このクズ!帰ってこないと許さないったら!!


お前が帰って来ないと寂しいじゃないか!!悲しいじゃないか…!!


嫌だよ提督!!そんなところで死んじゃ嫌ぁ!!


提督さん!


司令官!


提督!!


帰って来い!!提督ーー!!!










リセイ「………俺は…俺は…」




ガバッ!


エイジ「!?」


グァ…!


バギィ!



リセイ「ッ!?」


アレク「リセイ!!!しっかりしやがれ!!テメェが死んじまえば泣いてしまう奴が居るんじゃねぇのかバカったれがぁ!!!」


エイジ「あ、アレク!?」


リセイ「お前………生きて…」


なんとアレクが目を覚まし、リセイの顔を思いっきり殴った!!


アレク「ぐっ…っ…ほっといたら死ぬがな…テメェに情けねえツラでくたばられたら俺の胸糞悪い気分が治らねぇんだよ…ボケが…」


エイジ「アレク…生きて…たんだ…」


アレク「バカが…勝手に殺すな。」


リセイ「…………良かった…」


アレク「………キメェ…というより…さっさとこの世界を脱出しねえとヤベェぞ…」


エイジ「!?」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………


リセイ「やはりジンは死んでしまったか…ジンの作り出したこの世界が崩れ始めてる…」


エイジ「………」


リセイ「……気ぃつかうなエイジ…もう大丈夫だ…俺は死なねえよ…アレク…サンキューな…」


アレク「……………」


エイジ「世界が崩れ始めたせいか…艦娘達の声も聞こえなくなったね…」


アレク「…!おい!ジンの死体が…」


リセイ・エイジ「!?」




シュウウウウ……パッ…




ジンの身体に黄金色の円形の結界が包み、光と共に消えてしまった…



アレク「………消えただと…」


エイジ「今のは僕たちの力じゃないね…神の力…?」


アレク「しらねぇよ!さっさと行くぞ!」


リセイ「……………」


ドサッ!


アレク・エイジ「!?」


リセイは身体の限界が来たのか、その場に倒れ込んでしまった…!


エイジ「リセイ!?しっかりするんだ!!」


アレク「この野郎!今になって気絶かよ…!この土壇場で…」


エイジ「…………どうすれば…良いんだよ…」


リセイは気絶、アレク・エイジはジンとの壮絶な死闘で空を飛ぶ力さえも無かった…

諦めたくなくても、諦めるしかないのか…

アレクとエイジはそう思ってしまっていた…










しかし…!







ボゴォン!!





アレク・エイジ「っ!?」




真っ黒な空間を破って何かが現れた!!







戦闘BGM:FF10「急げ!!」(ジンの全ての世界から脱出するまでお聴き下さい…もちろんスルーでも全然おけです。)





ナルガクルガ「クガァァァァア!!!」




黎斗「うわっちょ…何だこの世界!?崩れかけてるじゃねぇか!!」


シロル「あ!黎斗!下見て!3人居るよ!」







何と現れたのはかつてリセイと戦った黎斗とその相棒シロルがナルガクルガに乗ってやってきた!




アレク「な…なんだあいつらは…!」


エイジ「……亜龍…!?」



ドン!ゴオオオオオオオ…!


スタッ!


ナルガクルガを操り、黎斗は地に降り立ち、アレクとエイジに話しかけた。


黎斗「…あんた達!ここで何やって…ってそこで寝てるのはまさか…リセイ…!?」


アレク「何!?テメェ何もんだ!?なぜリセイを知ってる!?」


エイジ「……!!」ギッ!


シロル「ちょ!ストップ!ストーップ!私たちは怪しい者じゃないよ!リセイ君をなぜ知ってるのかはちゃんと説明するから!まずはこの世界から逃げましょう!」


アレク・エイジ「……………」


黎斗・シロル「……………」


エイジ「……わかったよ…要は僕達を助けてくれるという事だね?」


黎斗「そうだ。あんた達のその傷やリセイがボロボロで寝てるなんてただ事じゃないしな…とにかく!話は後だ!全員この龍の背中に乗ってくれ!!早くこの世界から脱出するぞ!!」


アレク「………いいだろう…」


エイジ「リセイ…!駄目か…まだ目を覚まさない…」


アレク「ったく世話が焼ける!俺が担いでやるから先に乗ってろ!」


エイジ「…わかった!」


シロル「早く早く!もうこの世界は限界だよ!?」


アレク「っ!よしっ!乗ったぞ!行け!」


黎斗「OK!!行くぞ!振り落とされんなよっ!」


ナルガクルガ「クガァァァァア!!」



バサッ!バサッ!ゴオオオオオ!!


エイジ「あそこの次元の扉に入ってくれ!そこでここからは逃げられる!!」


黎斗「おう!わかった!ナルガクルガ!あの渦巻へ突っ込んでくれ!」


ナルガクルガ「クガァァァァァ!!]



5人の転生者達はジンの世界・終界から脱出した!
















〜ジンの世界・混沌の間〜











バサッ!バサッ!







シロル「うわ…何ここ…なんだか気持ち悪い…」


アレク「…どうせ次の世界はすぐそこなんだ。さっさと行ってくれ!」


黎斗「はいよ!」


ゴオオ!シュン!




ジンの世界・混沌の間はすぐに出入り口の次元の扉がある為、1分もたたずにその世界を抜け出した…






















〜ジンの世界・無限の間〜








ゴオオオ!!








黎斗「ここは?」


シロル「私たちが最初に来た世界と似てるね…」


エイジ「この龍の速度なら、40分ぐらいで次の扉に着くよ…うっ…」


シロル「!そうなの?それなら着く前に、貴方たち3人の傷を治してあげるよ。」


アレク「……何だと…?」


黎斗「シロル…そうしてやってくれ。リセイもその2人も相当酷い傷を受けてる。むしろ生きてるのが凄いぐらいにな…」


シロル「うん。あ、私にはあらゆるものを治療する能力があるの。どんな病気や怪我も治してあげるよ!」


アレク「それが本当なら…先にリセイとエイジを治してやってくれ…2人とも死にそうなんだよ…」


エイジ「アレク…」


シロル「怪我の酷さを見る限り、一番優先した方がいいのは…えっと…」


アレク「…俺はアレクだ…」


エイジ「僕はエイジ…」


シロル「そう…アレク君が一番で、その次にリセイ君、エイジ君の順番にした方がいいね…」


黎斗「ま、誰がどう見ても一番ひどいのはアレク…?の怪我だからな…そうしてやってくれ…」


エイジ「…………恩にきるよ…」


アレク「……チッ…勝手に話を進めやがって…」


黎斗「まぁそう言うな。シロルの治癒能力は驚くぞ?何でも一瞬で治しちまうんだからな!」


シロル「でも…この世界には能力封じがかけられてるね…転生した人には効果が薄いみたいだけど…」


エイジ「………君たちも転生したのかい…?」


黎斗「もちろん!でなきゃナルガクルガの背にのって空飛んで移動なんかできねぇよ。」


アレク「……この龍の名か…」


シロル「まぁ、お互い話したいことは山ほどあると思うけど、ひとまずは傷を治すよ!」


ポン!

ポワワワ…


シロルはそう言うと、アレクに手をかざし、一瞬でアレクの傷を治してしまった…


アレク「て…てめぇ…ほんとに能力を制限されてんのか…!?」


エイジ「………なんて速さだ…傷の跡形もない…」


黎斗「それだけシロルの治癒能力が凄いってことさ。俺も最初見たときは驚いたぞ…」


シロル「……んーー本当ならもっと一瞬で治せるんだけど…やっぱりこの世界そのものが私たちを邪魔してるみたいだね…」


アレク・エイジ「……………」


シロル「あ、あとは血を拭いてね。傷を治すことはできても外見全てを治す事はできないから…」


アレク「……一応礼を言っとく…」


バキュン!


4人「!?」


突然真下からのビーム攻撃がナルガクルガに乗った5人を狙った!


エイジ「っ!今度は気付かれた!」


黎斗「気付かれた?」


エイジ「僕達はこの世界を通るとき、空を飛んで移動したんだ…けど、このナルガクルガって言う龍が飛んでいる高度が低すぎたんだ…だから下の魔物達が僕たちに気付いた…!」


シロル「なるほど…って空を飛べるの!?道具とかも見たところ持ってないし…」


黎斗「……そう言うことか…リセイも俺と会ったとき、何もつけずに空を飛んでたな…アレクとエイジもそうだって言うのか?」


アレク「……ああ…」


黎斗「……大したもんだぜ…リセイも…あんたらもな…」


バシュンシュン!ドンドン!


黎斗「おっと!話してる場合じゃないな!」


装備「轟銃槍【虎砲】」!


アレク・エイジ「!?」


シロル「黎斗!」


黎斗「空中と地上は任せろ!ナルガクルガを操りながらだが…なんとかなる!」


エイジ「……シロルって言ったよね!?僕の傷を治して!早く!」


シロル「え?う、うん!わかった!でも…」


エイジ「急いで!リセイは気を失ってる上に酷い怪我だ!君にはリセイの治療を頼みたい!僕とアレクはその間に周りの敵を蹴散らす!お願いだ!」


黎斗「…………戦えるってことか…まぁ、リセイが戦えて、あんたらが戦えないなんてことはないよな…シロル!そうしてやってくれ!」


シロル「黎斗まで…!わかった!じゃあじっとしててね!」


ヒュン!ポワァン…


エイジの傷が全快し、アレクに戦闘の合図を出した!


エイジ「アレク!行くよ!」


アレク「へっ!しゃーねぇ…!付き合ったるぞおらぁ!」



バッ!シュバッ!


黎斗「なっ!?」


シロル「えぇ!?2人とも!?何してるの!?」


なんとアレクとエイジはナルガクルガの背から飛び降り、全力を出しながら地上を空中を突き進んだ!!


アレク「うおおおおお!!!邪魔だぁー!!どけぇ!!オラァ!ずりゃ!消えてろ!!!」


ズドドドドド!!!


エイジ「はっ!!せいっ!ふんっ!でやぁ!!!」


バシュウウウ!!ザシュ!ドゴォ!バァン!


黎斗・シロル「……………………」アングリ


黎斗とシロルは、アレクの闘術、エイジの超能力の凄まじさに驚きを隠せなかった…


黎斗「………さすがはリセイの仲間達だ…雑魚共を蹴散らしながらナルガクルガのスピードについてこれるんだからな…」


シロル「……アレク君はすんごい速度で走って付いてきてる…エイジ君もさっき言ってた空を飛んで移動してる…それに…黎斗。スピードだけならあのエイジ君の方が速いんじゃない?」


黎斗「……たしかに…俺じゃエイジには追いつかないかもな…って!シロル!リセイの治療を頼む!」


シロル「あ!うん!わかった!」


ぽわぁ…


シロルはリセイの治療を始めた…


シロル「…酷い怪我…こんなの初めて見た…全身の筋肉にガタが来ちゃってる…その上、出血多量…おまけに胸部辺りの骨が全部…そりゃこれだけダメージを受けてたら気を失って当然だよ…生きているのが本当に不思議なくらい…

待ってて…すぐに治してあげる!っ!この世界じゃなかったら一瞬なのに…アレク君やエイジ君のようにすぐには終わらないね…」


ポワワワァ…



キン!ドドドドン!ドキュン!


黎斗「せいや!おおりゃあ!無駄だぞ!俺達にはかすり傷一つ付けられねぇよ!」


ドォン!ドォン!ガキン!


黎斗は下からの銃撃などの飛び道具に、銃槍で対抗し、ナルガクルガと治療中であるシロルとリセイを守っていた!!












ドドドドドドドドドドド!!



アレク(……あの女…大したもんだぜ…動かすことも難しかった全身が軽い…んでもって…あの黎斗とか言うやつ…ただもんじゃねー…目の光がギンギラギンに光ってやがった…一体なにもんだあいつらは…)











ギュオオオオオオン!!!




エイジ(………リセイは今、あのシロルって人が治してくれている…僕もアレクもシロルに治してもらった…ジンの作り出した世界に来る前以上の身体の軽さだ…一体…あの2人はリセイとどう言う関係なんだろう…)









アレク「!出口が見えた!行くぞてめぇらぁ!」


3人「!」



バシュシュシュシュ!



アレクが大声で叫び、エイジ、黎斗、シロルの三人は、アレクに続いて、次元の扉に入っていった!



















〜ジンの世界・禁忌の間〜












バシュン!!






シロル「うっ!?暑い!何この世界!」


エイジ「ここは炎が燃え盛る世界。普通の人間がこの世界に来れば、たちまち炭と化してしまう…君たちがそうならないのは、やっぱり僕たちと同じ、転生人なんだね…」


エイジは空を飛びながら、そう言った。


黎斗「あんた達こそ…この暑さが気にならないのか…?」


エイジ「うん…僕たちの身体には冷気の風を纏わせてるからね…黎斗とシロルにもこの世界を脱出するまではそれをかけてあげよう。」


ブン!


シュン!


エイジは腕を振り、黎斗とシロルの身体に冷気を纏わせた!


シロル「……あれ?暑くない…むしろ涼しい…」


黎斗「へぇ…!ありがたいな!サンキュー!」



ガシッ!


黎斗・シロル「!?」


何とアレクはナルガクルガの尻尾を掴んでそのまま背に上がってきた!


エイジ「…無茶するね…アレク…」


いつのまにかエイジもナルガクルガの背中に足を下ろしていた。


アレク「黙ってろ。そろそろジンの世界からは出られるしな…」


シロル「わ!?エイジ君!?いつのまに…」


黎斗(アレクもなかなか速い…こいつ…今どうやってナルガクルガの背に…)


アレク「…何を見てるんだ…」


黎斗「……いや、アレクって言ったよな?あんた今どうやってここまで…?」


アレク「このナルガクルガって奴の尻尾を掴んで這い上がった。それだけだ。」


エイジ「そうなる前に勢いよく飛び上がってからつかんだよね。」


アレク「…………ふん…」


シロル「…凄い…」


黎斗(おいおい嘘だろ…エイジがここまで来れるのはともかく、俺たちは今空を飛んでる状態だぞ?それを飛び上がっただけでナルガクルガの尻尾を掴んでここまで来たってのか…?バケモンかよ…)


アレク「………オメェ程じゃねぇさ…」


シロル「え?」


アレク「なんでもねぇよ…!」


黎斗(…………アレク…リセイ以上に心を探れるようだな…ほんと、リセイの仲間も常軌を逸してるな…!)



エイジ「!あれが出口だ!急いで!!」


黎斗「お!わかった!掴まってろよ!!」


シロル「っ!」ガシッ!


エイジ「!!」ガシッ!


アレク「チッ!」ガッ!





















バシュウウウウウウウ!!!


















































16:00






〜中部海域上空〜
















ブオン…





ドン!キキキィィィ!!




ブォォォォン…シュゥゥゥゥゥ…


リセイ達は無事、ジンの作り出した世界から脱出することに成功した!

同時に、不気味な空間の歪みが、跡形もなく消え去っていった……









イメージBGM:FF10・「プレリュード」









アレク「…………はぁ…肩の荷が落ちた…」


エイジ「…先にお礼を言わせてもらうよ。ありがとう。リセイを…僕たちを助けてくれて…」


黎斗「へへっ!良いってことさ!俺は一度リセイに命を救われたんだ。これぐらいは朝飯前だ。」


リセイ「………………っ…」


シロル「あ!目が覚めたみたい!」


アレク「…いつのまに治療が済んでやがったんだ…」


エイジ「!リセイ!わかるかい!?」


リセイ「………エイジ…アレクも無事か……………っ!?く、黎斗!!」


アレク「……やっぱ…知ってんのか…」


黎斗「よう…久しぶりだなリセイ。気分はどうだ?」


リセイ「ど、どうしてお前がここにいるんだ…?それに…なぜ俺の傷やアレク達の傷が無くなってるんだ?」


シロル「私が治したからね!」


リセイ「……君は…」


シロル「私はシロル。黎斗の…仲間だよ…!」


黎斗「…おいシロル?なぜ今、間があった?ん?」


シロル「怪我は完全回復させたけどあんまりムチャしすぎると怪我が癖になるから気をつけてね!」


黎斗「無視かい!!」


エイジ「まぁまぁ…」


リセイ「そうだったのか…ありがとう。感謝してもしきれないな…」


黎斗「全く…

それにしても…また一段と面構えが変わったな…リセイ…」


リセイ「……………」


エイジ「………」


アレク(……チッ…見ているこっちの気が滅入るぜ…自分を追い込みすぎなんだよてめぇは…)


黎斗「………訳ありか…なら、詳しくは聞かないさ。にしても、無事でよかった。」


リセイ「…………お前達は、どうやってこの世界に来たんだ?」


シロル「あ…それが…」


黎斗「良いよシロル。俺が話す。」


シロル「う…うん…」


黎斗「実はさ、俺たちもよくわかってないんだ…」


リセイ「!」


黎斗「俺とシロルは休日ってこともあって、一応外で散歩的なことをしてたんだが…急に空の一部が黒く割れてな…俺はその時に感じたんだ。あの時と一緒だって…もしかしたらリセイがいるかもしれないってな………」


シロル「あ、私がついてきたのは黎斗1人だと心配だったからなんだけどね…」


黎斗「置いてくって言っても付いてくるだろうからな。だから連れてきたのさ。」


シロル「もう…!」


リセイ・アレク・エイジ(…………こいつら付き合ってんの…?)


黎斗「まぁ、そんなわけで、あんまりこんなこと言いたくないけど、俺たちがリセイ達の前に来たのはたまたまだったってわけさ。」


エイジ「………奇跡だったってわけね…」


リセイ「まだツキは俺たちを見放してなかったってか…」


黎斗「ん?」


リセイ「お前たち2人が来てくれなかったら…俺たちは今頃…」


シロル「…そんなこと言わないで…?だってあなたも提督なんでしょ?みんな待ってると思うよ?」


リセイ「な、何故それを!?」


黎斗「俺が話したのさ。あのとき、リセイに元の世界に帰してもらった俺は、一休みした後に、俺の部下達やシロルにめちゃくちゃに聞かれたからな…『どこ行ってたの!!』って…」


シロル「し…仕方ないでしょ!心配してたんだから…///」


リセイ・アレク・エイジ(…………もう付き合えよ……)


アレク「……フッ…少しだけ合点がいったぜ。お前ら2人も提督って訳だな…」


エイジ「そうじゃなけりゃ、リセイとこんなに親しく話すなんて無理だろう…何より、そんな優しい目をした2人が、リセイの敵だなんてとても思えないし…」


黎斗「あんた達2人の見抜く力もずば抜けてると思うがな…」


シロル「うん…だって私達一言も提督だーなんて言ってないもんね…」


リセイ「俺以上に鋭いぞこいつらは。」


アレク「………ふん…」


エイジ「………ふふ…」


黎斗「俺達も聞いて良いか?」


リセイ「……あぁ。」


黎斗「あの世界はなんだったんだ?一体リセイ達に何が起きたんだ?リセイや、さっき見せたあんた達の強さがありながら、なんであんなに酷い怪我をしてたんだ?」


リセイ「………」


パチン!


リセイは黎斗とシロルに、記憶を見せた…












〜〜〜〜〜〜〜〜











黎斗・シロル「……………………」


リセイ「…………………」


アレク「……………」


エイジ「……………………」


シロル「あ…あの…ごめんなさい…なんだか嫌なことさせちゃったね…」


リセイ「いいんだ。ジンは転生神によって操られていただけだった。だから助けてと願っていた。ジンは俺が転生した経緯をすべて知った。だから俺に助けを求めた。あくなき殺意を植え付けられてな…」


黎斗「…………悪いな…デリカシーがなかった…」


リセイ「気にするな…今の俺があるのは、お前や、シロルや、アレクやエイジや、そして俺の部下達のおかげだからな…」


4人「………………」


シロル(…………さっきの記憶の中で見たリセイ君…あれはリセイ君なの?………正直言って…あんなに怖い人は初めて見た…)


黎斗(…………ありえねぇ…リセイがキレちまったらあんなに凄いパワーを出せるのか…俺は…あんな化け物と闘ってたのか…?俺だってあの時は全力じゃなかったが…リセイはそれ以上に手を抜いていたのか…?まさか…な…

だが…俺は負けない…たとえリセイでもな…!)


エイジ「…………ひとつ聞きたいんだけど…」


黎斗「…?」


エイジ「黎斗とリセイってどうやって知り合ったの?」


黎斗「ああ、それな。俺は一度この世界に来たことがあってな?どういうわけか俺は気を失って南西海域の無人島でぶっ倒れてたんだ。そこをリセイが助けてくれたのさ。」


アレク「命の恩人ってのはそう言うことか…」


リセイ「………その話はなんだか恥ずかしいな…」


黎斗「同感…言った俺も恥ずかしいし…」


シロル「…そうだったんだね…私はリセイ君の事とか、次元に関することしか聞かなかったからそれは初めて聞いたよ…」


黎斗「……だって恥ずかしいから…」


シロル「もう!でも、リセイ君。黎斗を助けてくれてありがとう!」


リセイ「気にするな。お互い様だ。」


黎斗「ふっ…そのセリフ…前にも聞いた気がするな…」


リセイ「…(二…)……さて……お前達はこれからどうする?元の世界に帰るなら、俺が扉を開いてやる。」


シロル「え?そんなことできるの!?」


黎斗「あ、ああ。俺たちの記憶からその次元を探し出して、空間を思いっきり殴ってな。

前に俺を帰してもらったときは次元の歪みを弄って直してたけど…」


シロル「………………………」


リセイ「説明どうも。どうする?今すぐ帰るなら準備はいつでもいいが?」


黎斗「そうだな…いつまでも違う世界に干渉するわけにはいかないしな。ここらへんでお暇するとしようか…」


シロル「そうした方がよさそう…」


リセイ「わかった…」




グォン!グォン!


バッゴォォォォン!!


リセイは左腕で右腕を押さえながら、右腕をぶん回して空間を殴った!






バチバチ…バチバチ…



シロル「ほ…ほんとに空間を殴って裂いちゃった…」


黎斗「…今のは見るのは初めてだったが…やっぱ凄え…!」


エイジ「……僕たちはそろそろナルガクルガから降りよう…」


アレク「……ああ…」


リセイ「…………」



シュン!バッ!ダッ!



リセイ、アレク、エイジの三人はナルガクルガから飛び降り、宙に浮かんだ…




黎斗「またお別れか…」


リセイ「会えるさ。必ずな…」


シロル「本当にありがとう!少しの間だけだったけど、楽しかったよ!」


黎斗「あぁ。全くだ。…………じゃあな。今度会ったときは、また俺と闘おう!」


リセイ「望むところだ…!」


黎斗「よし!ナルガクルガ!待たせて悪かった!あの空間に進んでくれ!」


ナルガクルガ「承知した…!」


シロル「ゔぇ!?喋った!?」


リセイ(……こっちの世界限定で喋れる能力を解くのを忘れてた…)


黎斗(………なるほど…だいたいわかった…)


バサッ!バサッ!


キュウン!


パッ!



リセイが開いた空間と共に黎斗達は姿を消した…








イメージBGM:キングダムハーツ2「Dearly Beloved 」








エイジ「……僕たちはどうする?」


リセイ「…………好きにすれば良い…俺たちの共同戦線はもう終わりだ。俺を殺すなら今のうちだぞ。かかってこいよ…」


アレク「……………………もうお前を殺そうなんて気はねぇよ…」


リセイ「………………」


エイジ「…アレク?」


アレク「……………今の今まで…悪かったよ…俺ぁお前と戦うことしか考えず、お前の気持ちをろくに考えてなかった。あのとき、なぜ俺がジンの攻撃からお前を庇ったかわかるか?」


リセイ「……!」


アレク「……もうたくさんだったんだよ…お前やエイジや、誰かが傷つくのを見るのはな…俺は…認めて欲しかったんだよ…俺自身の強さを…俺は誰よりも強いと思ってた。この世界で一番強いと思ってた!だが、上には上が居た…だから言わせてもらうぜ…」


エイジ「アレク…」

















アレク「………てめぇの勝ちだ…リセイ…俺の完敗だ…」








リセイ「…!!アレク…!」


アレク「………二度は言わねぇぞ…ボケ!」


くるっ…


アレクはリセイから身体を逸らし、そっぽを向いた。


エイジ(アレク……リセイに分かって欲しかったんだね…そしてリセイは君の全てをわかってくれた…だから…)













エイジ(泣いてるんだよね…)











リセイ「…………?」














アレク「…………っ!!」ギリッ…

ツーーー…


リセイは気がついていなかったが、エイジはアレクの様子を見て、そう確信した…




エイジ「……リセイ…僕たちはもう帰るよ。僕たちの隠れ家にね…」


リセイ「……そうか…」


エイジ「……また会おう。近いうちにそっちに行くよ。」


リセイ「ああ…いつでも来い。」


エイジ「…………ふふっ…」


アレク「…………………」



ドギュン!!バァン!


アレク、そしてエイジも自らの帰るべき場所へ去っていった…












リセイ「…………さらばだ…強き者たちよ…」




夕焼けに身を焦がしながら…1人、そう呟くリセイだった…







































〜転生神界〜









バッ!


キキィィィィ!!



マルト「!?バカな!?リセイめ…自らの弟を殺したのか!?」


ライド「………リセイを舐めきってるね…僕はリセイが最後の最後まで諦めるような奴じゃないことはよくわかってるつもりだけど…」


リンネ「………どうやら、リセイ君達はもはや心配は要らなそうですね。ふぅ…これで遠慮なく、貴方を倒せます。マルト…さん?」


ギン!


マルト「ぐわっ!?き、貴様何を!?」


ライド「あ…リン姉ちゃん眼光でしびれさせちゃったの?それじゃもう僕の出番は要らないじゃないか…まぁいいや…戦うのも飽きたし…」


リンネ「………貴方は転生神の器ではありません。もう二度と復活出来ないよう、魂まで無に返して差し上げましょう…」


マルト「おのれぇ!!貴様らが居なければ!今頃はリセイのいる世界は滅んでいたものを!おのれぇ!!」


ライド(………もうダメだな…リン姉ちゃんがキレるぞ…耳塞いどこ…)


マルト「許さん!この俺だけが世界の汚物共を始末できるのに!邪魔をしやがっt…」


ドン!!!



マルト「!?」


ビシュウ…!!!


ぐわぁぁぁぁあ……



リンネが杖をかざすと、マルトの身体は黄金の光に包まれて、粉になるように消えていった…














リンネ「………はぁ…疲れました…ライド。リセイ君達が落ち着いたら、私達の方から会いに行きましょう。ジン君の事も…話してあげないとね…」


ライド「……わかった…それまではゆっくりしよう。僕も何日間も戦い続けて疲れたよ…」




































〜ガイア泊地〜












黎斗「ナルガクルガ!ありがとうな!」


ナルガクルガ「クガァァァァア!」


ブォン!




黎斗の呼びかけで、ナルガクルガも空間の中へ去っていった。


シロル「はぁ…一時はどうなる事かと…」


黎斗「…まさかリセイの弟があんなに大変なことになってるなんてな…可哀想なんて…分かったような口を聞けた立場じゃないが…とりあえず、リセイやあの2人を助けることができてよかったな。」


シロル「リセイ君達…あの後どうするんだろう…」


黎斗「……時間が解決するさ…あいつらには、あいつらの人生があるからな…」


シロル「…………そうだね……」


黎斗「よっし!俺達もそろそろ提督の務めに戻るか!みんな今頃何やってんだか…」


シロル「……うーん…私達がこの世界を離れてから時間が経ってないように見えるけど…」


黎斗「え?そうか?あ、本当だな…まだ12:00じゃねぇか…ほんとに時間が経ってないな…」


シロル「…まぁ、色々手間が省けるんじゃない?」


黎斗「だな…」





ア!シレイカーン!


ハラショー


イッショニアソボウ!


イイゾー


ワタシモツキアウヨ!


イェー!



























〜アレクとエイジの隠れ家〜











アレク「………」


エイジ「アレク…」


アレク「………エイジ…俺はよ…テメェにも迷惑かけちまったな…悪かったよ…」


エイジ「……迷惑をかけて悪いと思うなら…これからもかけ続けたらいいさ…」


アレク「…?」


エイジ「……迷惑をかけないで生きて行くなんて、そんなの死ぬ以外の何ものでもないよ。僕だって君に迷惑をかけっぱなしだったんだ。お互い様だよ。これからもずっと迷惑をかけあって生きていこうじゃないか。それが人間なんじゃないのかい?」


アレク「………へっ…情けねぇツラでカッコつけんじゃねぇよ……」


エイジ「ふ…それは君もだよアレク…」


アレク「…………………」


エイジ「……アレク……」







数日ぐらい経ったら、またリセイに会いに行こう。

そう言って、エイジはその場を後にした。

そのあと、涙を堪えきれなかったかのような声が洞窟の中に響いた…





























そして………


































17:00



〜正王鎮守府中央庭園〜









スタン!







リセイは空を飛んで、正王鎮守府に帰ってきた…





リセイ「……………俺は…帰ってきたのか…」




ドバァアン!!


リセイ「!?」


突然、鎮守府内に入る扉が大きな音を立てて開かれた!


どどどどどどど!!


白露「提督ーーーっ!!!」


ガバッ!









エンディングテーマ:プロメア「inferno」






リセイ「…っ!白露!?

!!うわっ!」


ドドドドドドドドド!!!!



何と白露に続いて、他の艦娘達がリセイに飛びかかった!!


睦月「うわぁぁぁぁぁあん!!!提督ーー!!」


吹雪「あぁぁぁぁあ!!司令官!!帰って来たんですね!うぁぁあぁーん!!」


リセイ「…………ああ…帰ったぜ…待たせたな…」


満潮「うぅ…バカ!ほんとに何やってんのよ!!!心配…したんだからぁ…!!!」


鈴谷「うっ…うぅ…提督…無事で…良かった…ぁ!!」


リセイ「……………」


鳳翔「…提督…ずっと‥見ていました…貴方達の戦いを…」


リセイ「…お前らのことだ。どうせ講堂を食堂がわりにして明石の改造で俺達の戦闘や出来事を見れるようにしてたんだろ…」


夕張「……全部お見通しですね…グスン…」


リセイ「………何も責めやしねぇよ…今さら怒る事もないし…お前らの顔を見たら安心できたし…」


武蔵「……良かった…相棒よ…生きて帰って来たのだな…」


リセイ「…ハハッ武蔵の泣き顔なんかなかなか見れたもんじゃないぞ。目に焼き付けておこう。」


武蔵「笑い事か!殴るぞ!!」


リセイ「やめろ!?死んじまう!」


マックス「……提督……大丈夫なの?貴方は…」


レーベ「だめだよ!その先は…言っちゃ…」


リセイ「……ジンの事か?……辛くない…と言えば嘘になる。はっきり言って今も死にたい気分だ…!けど、俺は死なない。なぜなら…お前らが俺に帰ってこいと言ってくれたから…アレクやエイジや、共に闘った戦友が居たから、俺はここに戻ってこれて、こうやって話をする事ができてるんだ…

………生きるって…すごく良いことなんだな…」


海風「うぅう…提督っ!」ギュ…!


赤城「本当に……良かった……!」ポロポロ…


弥生「………うう…グスン…」


那珂「提督…生きてて良かったよ…那珂ちゃんは…アイドルなんかより…提督と一緒の方がいいんだよ…」


リセイ「…………とりあえず…中に入ろう。ここだとちょっと寒い…」


村雨「………はい…」ゴシゴシ…


リセイはそう言い、泣きじゃくる艦娘達をなんとか宥めて、皆を鎮守府内へと誘導した…























19:00












〜講堂〜














リセイは講堂に皆を集めて、室内全体が静まり返るその空間のなかで、口を開いた。















リセイ「…………お前ら…ずっと見てたんだな…」


大和「………はい…私達は、ずっとこの講堂で、提督と、アレクさんとエイジさんとの共闘や、提督の弟であるジンさんとの戦いも全て…見ていました…」


霞「………司令官が、自分の弟を殺してしまったとき…あんたが…泣き叫んでるときに、途中で私達の声が聞こえてきたでしょ…」


リセイ「ああ…」


明石「……あれは、通信装置なんですけど…提督の元へ繋いだ時にはすでに壊れていて…」


時雨「起動するにはしたんだけど…それは少ししか起動しなかったんだ…」


リセイ「……なんで?」


蒼龍「…実は、提督が完全に怒ってた時に、それを映し出していたこのスクリーンにも電撃が走ったんです…」


鹿島「提督さんの波動は、次元をも歪めてしまう程でした…当然、その光景を映し出すスクリーンを歪めるのも例外ではなかったみたいで…」


リセイ「波動の破壊で、通信機能がイカれちまったってわけか…」


大淀「………はい…」


リセイ「……なるほど…」


大淀「……申し訳ありません…提督…私たちにはどうしても、提督の行方を知らずにはいられなかったんです…提督には気づかれずに、明石や夕張ちゃんや、他のみんなにも手伝ってもらいました…」


青葉「……司令官が行った後すぐ、青葉達は講堂でそれをみんなに伝えました。スクリーンの改装に関わっていた人たちはみんな驚いてましたよ。でも…」


朝潮「……司令官…私は…朝潮は!決して司令官を信じていなかったんじゃないです!司令官が…心配でしかたなかったんです…ごめんなさい…っ!」


リセイ「………………」


サラトガ「……提督…サラも心配していました…提督は必ず帰ってくるって…そう思ってました…でもサラだって…提督が居なくなるのは嫌でした…そんな思いから逃げたくて、私もスクリーン改装を手伝いました…」


神風「私たちだって…」


夕立「夕立も…」


長門「……………」


北上「…………」


翔鶴「……提督…ごめんなさい…」


リセイ「………謝るな…」


艦娘s「………え?」


リセイ「俺に黙ってそんな改装をしたお前らは流石に褒められるような行為をしたとは言えないが…俺はお前らのその身勝手さに助けられたんだ…」


照月「提督…」


リセイ「……俺はお前らが悪いことをしたとは思ってない。お前らは何も悪くない。俺が心配でそんなストーカーじみたことをしてるのは…俺がちゃんとお前らを安心させてやれなかったからだ。俺の方こそ、すまなかった…現に…本当にお前らに心配をかけてしまった。」


卯月「司令官が謝ることはないぴょん!うーちゃん達は…」


リセイ「いいさ…俺は結局お前らに心配をかけっぱなしだったわけだからな…」


間宮「………提督…」



リセイ「……みんなが…艦娘と言う存在が俺を助けてくれた…俺の落としてしまった命…それをお前らが拾い上げてくれたのさ…お前らが居なけりゃ今頃俺は…死んでたんだ…だからよ…ありがとう…」


瑞鶴「提督さん…!うん!うん…!こっちこそ…帰ってきてくれてありがとう…っ!」


白露「…提督!あたしが一番に言わせてもらうよ!」


リセイ「…ん?なんだ?」


白露「おかえり!提督!!」


リセイ「……白露……」


伊良湖「提督さん!」


加賀「提督…!」


黒潮「司令はん!」


山風「提督…っ!」


春風「司令官様…!」


時津風「しれー!」


陸奥「提督!」


大井「て、提督!」


曙「…k…提…督!」


春雨「司令官!」


ザラ「提督!」


由良「提督さん…!」


初月「提督…!」


レ級「リセイ…!」


深雪「司令官!


川内「提督!」


悪雨「…リセイ…!」


皆が一人の青年に対し、名を呼びかけた後、声を揃えてこう言った!






































お帰りなさい!!












リセイ「………………」


































































ただいま…!





























































それから数日後…











11:00




〜正王鎮守府屋上〜















ブン!




チャ…



ブォン!




リセイ「……ふぅ…」


ガンッ!


リセイは相変わらず、刀の素振りに明け暮れていた。

一息つく為、刀を地面に突き刺した。




リセイ(………提督として…時間を過ぎるのを待つだけ…と言うのも悪くない…な…アレクとエイジはこれからどうするつもりなんだ…)


ガチャ…



旗風「あ!司令!やっぱりここに居たんですね…」


リセイ「お前らか…」


松風「まだ素振りしてんの?もしかしてまた戦いに行くのかい…?」


屋上の扉が開かれた先には神風型の五人の姿が見えた。


リセイ「行かないさ…。俺の命を狙う奴なんてもういやしない。多分だけどな…」


朝風「…じゃあ‥なんでまだ素振りを…」


リセイ「…なんでかね。これをしないといつも中途半端な気分なのさ。」


神風「司令官…」


春風「……私はまた司令官様が危ない目に遭わないか心配です………」


リセイ「…大丈夫だ。そりゃ俺は家族を二度も失ったが…俺にとっちゃお前らも俺の家族なんだよ。」


5人「…!」


リセイ「この前も言っただろ?お前らが居なけりゃ俺は今ごろ死んでるって。こんだけ心配されて何もわからないほど俺の頭はパーブリンではないぞ。」


松風「……司令官…」


リセイ「…さて、俺はもう少し素振りを続けとく。お前達は一旦席を外してくれ。今は1人で集中したい。」


神風「………わかったわ…無理しちゃダメだからね?」


リセイ「もちろんだ。」


5人「…………」



ガチャ…バタン







〜〜〜〜〜



松風「…家族かぁ…そんなこと言われるとは思わなかったよ…」


旗風「司令は私たちの事も気にかけて…本当に大丈夫なのでしょうか…」


朝風「……大丈夫…って言いたいけど…私だってやっぱり心配になるわよ…」


春風「朝風お姉様…それは私もです…司令官様は今も無理なさってるのだと思います…」


神風「………司令官はまだ心の傷が全部癒えた訳じゃないみたいね…私達は見守ってあげましょう。それしか、…今はできる事がないみたいだからね…」


松風「ああ…」


〜〜〜〜〜〜〜



















リセイ「…ん?何かが…来る!」


ガキン!チャキ!


リセイは何かを感じとり、突き刺した刀を引き上げ、構えた!


ゴオオオオオ!!



キキィィィィ!!



リセイ「なんだ…お前らだったか…」


スッ…


エイジ「…4〜5日ぶりだね。リセイ。」


アレク「………………」


現れたのはアレクとエイジであった。

リセイは安心したのか、刀を消した。


リセイ「……何か用か?お前らがここに来ると言う事は何かしらいけないことが起きてると見たが…」


アレク「……別に…特に何も起きちゃいねえよ。」


リセイ「…ほうほう。じゃ何しにきたんだ?」


エイジ「僕たちはやはり戦わずにはいられない…だから君もこんなところでまた刀の素振りなんてしてるんだろ?」


リセイ「…………」


アレク「……俺はてめぇと戦いたいだけだ。だが命はとらねぇ。お前と楽しい勝負をしにきただけだ。」


リセイ「………一つ言いたいことがある。」


エイジ「…なんだい?」






リセイ「お前らもここに住んじまえよ。」






エイジ「……………………え?」


アレク「……お、おい…今なんつった?」


リセイ「いや、だから、この正王鎮守府にお前らも住めよって。」


リセイの発言に、2人は驚きを隠せなかった…!


アレク「何を考えてんだてめぇ…」


リセイ「お前達は俺の敵じゃないんなら、わざわざ離れた場所からここに通うより、いっそのことここに住んで毎日やりあえば済む話じゃないか。」


エイジ「……リセイがよくても…艦娘達がそれを許してくれないよ…僕やアレクは、君の命を散々危険に晒したんだよ?なんでそんなことが言えるのさ…」


アレク「…………」


リセイ「……わかってないな…俺は誰にも殺されねぇ…まぁ、ジンには殺されかけたが…

お前らはただ自分達と同じ境遇に遭った奴を探してただけだったんだろ?それに、襲われた俺が許すって言ってんだ。いちいち気にすんじゃねぇよ。」


アレク「……ふっ…ふっふっふっ……バカだろ…お前…」


リセイ「頭の悪さを言うならお前も似たようなものだろうが。」


エイジ「………リセイ………」


リセイ「………」


アレク「………」


スッ!スッ!


ガキィン!!


凄まじいスピードでリセイとアレクの鍔迫り合いが辺りに響き渡った!!



ゴゥ…………!!


刀同士がぶつかっただけで強烈な風圧が辺りに漂う…


エイジ「……………」


リセイ「……フッ…この攻撃は、住まわせてくれって言う答えでいいか?」


アレク「やかましい!!黙ってやられてろ!!」


リセイ・エイジ(台詞と顔が合ってないぞ…)


アレクは嬉しそうに笑みを浮かべながら、リセイと戦闘を始めた!


ガキン!キン!キン!キンキン!



ガチャン!


金剛「提督!!凄い音が聞こえて…って!!」


霧島「あれは!?アレクとエイジ!!」


比叡「っ!司令が襲われています!助けないと!」


ビシュン!


4人「!?」


エイジ「………」


リセイとアレクの刀のぶつかり合いは正王鎮守府全体に響き渡る程であり、これに気づかない艦娘は居るはずもなく、いち早く屋上にたどり着いた金剛達が屋上のドアを勢いよく開いて、リセイに助太刀しようとしたが、エイジがそれを静止した!


エイジ「…待って。大丈夫。リセイもアレクも本気で戦ってなんていないよ。」


榛名「!邪魔をしないでください!貴方も砲撃されたいのですか!」


エイジ「落ち着いて…あの2人の顔をよく見てみるんだ…」


比叡「…2人の…顔を…?」




バン!キンキンキンキン!ガッ!ヒュン!ヒュン!ギィン!!!


リセイ「…………」ニヤ…


アレク「…………」ニ…




4人「………」ゴクッ…


エイジ「………」


リセイとアレクは戦闘をしているにも関わらず、2人とも顔を綻ばせながら、戦っていた!


霧島「……司令が…」


金剛「テートクが…笑って…」


エイジ「………もう知っているはず…僕達はリセイの敵じゃない。仲間になったんだ…あれはただの修行さ。」


榛名「………エイジさん…貴方は…」


エイジ「……詳しくはリセイから聞くといいよ。僕が説明したって、君たちはまだ僕とアレクを敵だと認識してしまっているだろ?」


比叡「そ…それは…」


エイジ「………………」





ガキィン!!シュパッ!ドゴォン!ドカン!キンキンキン!



ズザザザザザ!!


キィィィィ!!


リセイ「……………」


アレク「……………」


エイジ「…そこまで。もう十分だろ?」


アレク「………チッ…」


リセイ「……!金剛達か?」


金剛「テートク!大丈夫ですかー!?」


リセイ「あぁ…まぁな。」


金剛達はリセイの元へ走り、怪我がないか心配する。


ドドドドドド!!!


リセイ「…………はぁ…ほとんどの艦娘を呼び集めるなんてな…」


エイジ「……ふ…」


長門「提督!!大丈夫か!?」


ウォースパイト「It sounded amazing!!Are you okay!?」


金剛達に続き、全艦娘達が屋上に上がってきた!


木曽「!!あいつら!アレクとエイジだ!」


蒼龍「まさか提督がまた襲われて!?」


リセイ「だいじょーぶだから少し落ち着けお前ら。俺は見ての通り、ピンピンしてるだろうが。」


潮「で…でも…」


リセイ「……アレク、エイジ、ちゃんと話してやれ…」


リセイはいつのまにか刀を消し、手をポケットに突っ込みながら説明を促させた。


エイジ「………」コク…


アレク「……………ふん…」




2人は素直に応じて、自分達はこれからどうするのかを、艦娘達に話した…















〜〜〜〜〜〜


















10分後…














秋月「………アレクさんとエイジさんが仲間に…ですか…?」


摩耶「っ……!信じられるかよ…」


荒潮「……ごめんなさい…私もいまいち信用できないわね〜…」


アレク「………ほらな…みんな信用ならないって言う意見だぜ。」


暁「じ、自業自得よ!」


ヴェールヌイ「ほう。暁も言葉の使い方が出来てきたね。」


雷・電「ぷっ…!」


暁「う…うるさいわね!///」


レ級「……………アタシはどっちだっていいよ…アンタ達2人がここに住むもよし、どこかへ行くのもよし、勝手にすればいいさ。アタシと悪雨も似たようなもんだしね。」


エイジ「……………」


悪雨「……別に貴方達を敵だと思ってるわけじゃない。だけど、まだ信用できないの…リセイを殺そうとした貴方達を…」


アレク「………………」


リセイ「…………もう心配いらんさ。」


その場の全員「………え?」


リセイ「スクリーンで俺たちの全ての戦いを見てたのなら、アレクが俺に何をしたのかはもうわかってるはずだ。そしてエイジも俺を、最後の最後まで見捨てなかった。だから俺はここにいるんだ。もちろん、お前達のおかげでもあるがな。」


アレク「……………ケッ……//」


エイジ「リセイ…」


リセイ「もし万が一、こいつらが俺を殺すと言う思いがまだあるなら、俺はいつだって迎え撃ってやる。力及ばず…なんてことにはなりゃしないさ。」


艦娘s「……………」


大潮「……大潮は…司令官が決めたことに従います…」


ポーラ「私もですよ〜提督…

アレクさんとエイジさんも悪い人じゃないとは、ポーラもそう思いますから〜」


愛宕「そうね…私も同じ気分よ…!」


陽炎「心配なことに変わりはないし…むしろ不安が募るだけだし…でも…司令がそう言うなら…私も信じる…」


ワタシモダ!


ボクモ!


アタシダッテ!


フンッ!






リセイ「だ…そうだが…?」


アレク「…なんだよ。なんの答えを求めんだおめぇは…」


エイジ「…君達の大事な人間を襲ってしまって…済まなかったよ…だけどもう僕たちはリセイを狙わない。迷惑ついでだけど…君達が良ければ…僕達をここへ住まわせてくれないか…?」


すっ…


リセイ「……!」


艦娘s「!?」


エイジは艦娘達に頭を下げてまで願った。


アレク「……………」


すっ…


何とアレクもエイジに続き、会釈程度ではあるが、頭を下げた…!


艦娘s「…!」


リセイ「………アレク…」


大和「………………私は構いません…皆さんは…?」


叢雲「……良いんじゃない…?好きにしなさい…」


大鳳「……そこまでして…

……わかりました…私も構いませんよ…」


ビスマルク「…ただし、少しでも提督に変なことをすれば、容赦は無いわよ…?」


エイジ「………うん…わかっているつもりだ…」


リセイ「……………やっと終わったな…」


明石「えっ…」


リセイ「……いや、何でもない。もうそろそろ昼時だ。みんなで間宮食堂に行って、どんちゃん騒ぎをやらかそうじゃないか。間宮さん。今回だけはお願いします。」


間宮「……今回だけですよ…?でも、あんまり暴れると許しませんからね?」ニコッ…


アレク・エイジ(……………ゾワ…)


アレク(…なんだあの女…とんでもねぇオーラを感じたぞ…)


エイジ(…………艦娘にも恐ろしい人が居たもんだね…)


リセイ(…相変わらずこっわいなぁ…)







リセイ・アレク・エイジの三人が、共に修行をしながら強くなる事になった。


3人とも、転生して初めての幸せを感じるようになった…


なんとも奇妙な喜びではあるが、この転生者達とっては、この上ない望みが叶った瞬間である…






































































































































































































































3年後…




















〜大本営元帥専用執務室〜




















リセイ「………今月の成果は以上です。」


元帥「うむ。ご苦労。深海棲艦もこのところ大人しくしているが、まだまだ油断はできんぞ。だが、しばらくは休むことを考えた方がいい。特に、正王鎮守府の皆はな…」


リセイ「勿体ない言葉です。……それはそうと…あれからもう3年程度経ちますが…Sの様子はどうですか…?」


元帥「Sか…3年たった今でもまだこの大本営の地底に幽閉されている…しかし、Sに会いに行くのは私ぐらいしかいないからな…それに、私はSのことが気になって仕方がないのだよ…あれでも昔の友でな…」


リセイ「……お気持ちをお察しします…」


元帥「はっはっは!気を使わんで構わんよ。私がこうして元帥を続け、Sの様子を見ることができるのは、リセイ君。君のおかげなのだからな。」


リセイ「ありがとうございます。」


元帥「では、次の鎮守府の成果も確認しなければならんのでな、すまんがこれで席を外してくれたまえ。また今度ゆっくり話をしよう。」


リセイ「はっ!失礼します!」


ガチャ…バタン


元帥「……ふむ…結局、わからなかったのは深海棲艦惨殺事件だけだった…リセイ君ならば何か知っていると思ったが…どうやら、思い違いだったようだな………考えていても仕方あるまい…次の鎮守府の提督を呼ぶとしようか…」


































〜正王鎮守府屋上〜






武蔵「うおおおお!!」



パシッ!ブン!ガッ!



アレク「力が浅いぞ武蔵。もっと一点に集中させろ!」


武蔵「む!わかった!おおお!」


鬼怒「よく飽きないね…ほんと…」


プリンツ「アレクさん!武蔵さん!fire!fire!」


神通「2人とも並外れた体力ですね…」


山風「……アレクはやっぱり手を抜いてるね…」


江風「そりゃそうだろ山風の姉貴。アレクさんが本気出したらここら一帯軽く吹っ飛ぶぞ?」


海風「全く持ってその通りね…」


満潮「……同感ね…」


霰「……やっぱりちょっと怖いです…」


霞「……アレクもエイジも本気でやる相手なんて、司令官とかお互いだけでしょ…」


海風「で…ですね…」





エイジ「…ふっ…今日も暇つぶしの修行…か…リセイは提督の業務で忙しいし…」


妖精「エイジさ〜ん!肩に乗っていい?」ふわふわ…


エイジ「うん。いいよ。」


妖精「うわーい!」トン!


エイジ「……妖精もよく懐くようになったし…3年も経てば変わるもんだね…」


レ級「…エイジ。隣に座ってもいいか?」


エイジ「…レ級。悪雨も一緒だね。どうぞ。」


悪雨「……右側失礼…」


トスン、トン


レ級「……ほんと、変わったな。アレクもアンタも。みんなアンタ達2人に敵意の目を向けてくるやつなんかとっくの昔に居なくなってるんだろ。」


エイジ「まぁね…そうさせてくれたのはリセイのおかげだけど…」


悪雨「…月日は流れていくだけ…それをものにしながら、みんなの信用を得ていくなんて、すごく難しいことなんだよ…アレクもエイジも本当に凄いと思う…」


エイジ「………ありがとう。」



ボガァァアン!!



エイジ「!」


武蔵「し、しまった!地面が…!」


アレク「ほら、お前の負け。どこかを壊してしまったら負けというルールだからな。」


武蔵「ぬぬぅ…参った…」


サラトガ「…!勝負ありましたね!」




エイジ「…妖精さん。ちょっと降りてくれるかい?」


妖精「え?うん!」ぴょん!ぴとっ!


妖精は勢いよく飛んだあと、悪雨の頭に飛び移った。


悪雨(私の頭に飛び乗らなくても…)


妖精「〜〜〜♪」


レ級「……エイジ…?」


エイジ「……」すくっ…


エイジは屋上の端に下ろしていた腰を上げ、アレクのもとへ向かった。


エイジ「アレク!今度は僕が相手だよ。久しぶりに戦いたくなった…!」


アレク「……!」


ガングート「…!?アレクとエイジがまた戦うのか!どれ、これは面白い事になりそうだな…!」


川内「へぇ!じゃあ私はアレクを応援しよっ!」


グラーフ「ふむ…私はエイジだな…」


アレク「……生意気言うようになったじゃねぇか…いいぜ!来な!」


エイジ「……いつまでも僕が下にいると思わないことだね!…っ!」


アレク「ぬん!」


ドン!!!




ドガァァン!!




ブォッ!!





2人の交わる拳が、大きな風を巻き起こした!!


























































〜正王鎮守府司令室〜







ガチャ







白露「あ!提督!お帰り!」


リセイ「おう。ただいま。」


村雨「外は肌寒いのに平気なの?」


リセイ「軍服ってのは意外と厚いんだよなこれが。」


夕立「提督さん!このあとは何か予定ある?無いなら一緒に遊んで欲しいっぽい!」


リセイ「…悪い。今日はあと一つ片付けないといけない用があるんだ。」


時雨「え?執務の方はもうとっくに終わってるし…と言うよりその花束は…?」


春雨「何かあったんですか?司令官…」


リセイ「なんてことないさ。家族の墓参りに行かなきゃならなくてな。」


5人「…え…」


リセイ「……最近行ってやることが出来なかったからな。今日ぐらいに行っておかないとたたられるような気がして怖い…」


5人「………」


リセイ「なんならお前らもついてくるか?」


村雨「…え…い、いいの?私達が提督の家族のお墓のところへ行って…」


リセイ「約束しちまったんだよ。いずれ部下も連れてくるって。」


春雨「……はい!行きます!連れて行ってください!」


夕立「…夕立も行く!」


リセイ「決まりだな。じゃ5人とも、俺の背に触れろ。」


5人「はい!」




スッ…







キュイン!




パッ!














































































〜秘密の楽園〜







パッ!






時雨「……ここって…」


村雨「うわぁ…綺麗…」


白露「…………凄い…」


白露達は秘密の楽園の景色に心を奪われた…



リセイ「……景色に見惚れるのは良いが、あんまりぼーっとしてると置いてっちまうぞ?」


夕立「あ!提督さんごめんなさい!早く行くっぽい!」


リセイ「ああ…」

















リセイ「……………よう…久しぶり。また来たぞ。」


リセイは墓の一つずつに花束をそっと置いた…


春雨「……司令官……」


リセイは四つの墓の前にあぐらをかいて座った。


リセイ「どうした?白露達も来いよ。」


白露「う…うん!」


白露達はリセイの後ろへ正座をして座った。


リセイ「………今度はちゃんと連れてきたぞ。この女の子達が、俺の部下達だ。」


5人「……………」


リセイ「親父も母さんも、俺に部下が出来るなんて考えもしないだろ?俺自身もそう思ってたしな…でも、後ろにいるのは、紛れもなく、俺の大事な部下兼、仲間。俺の命を預けられるくらいの大切な仲間達だ。」


5人「……!!」


リセイ「ジンもよ…せっかく生き返ったってのに…俺がまた死後の世界にとんぼ返りさせちまった…ごめんな!謝って済む問題じゃない!けど!俺は…!あんたら家族を忘れたことなぞ、一度もない!」


時雨「………」


リセイ「…………相変わらず俺は酒が飲めない身体だけどさ…もっと歳をとったら、そのうち飲めるかもしれないな…そのときは、またここにきて一緒に飲もうぜ!特に親父!」


村雨「……ふふっ…提督ったら…」


リセイ「………さて、短い懺悔だったけど、そろそろ行くよ。日も暮れてきたしな。………じゃあな…」


すくっ…


白露「提督…」


リセイ「帰るぞ。もう大丈夫だ。」


夕立「………うん…」


リセイ「……帰る前に、ここら辺で少しなら遊んで良いぞ。」


白露「…!うん!あたし達浜辺で遊んでくるよ!」









イッチバーン!


シラツユズルイ!


マッテクダサーイ!


イイカンジ!


ポイッ!







リセイ「…………………」





















〜〜〜〜〜〜〜〜





3年前…間宮食堂での宴会後…













00:00








〜正王鎮守府屋上〜












リセイ「…………」


アレク「……何1人で黄昏てんだ…」


エイジ「……………」


リセイ「……!アレク…エイジ…」


エイジ「どうかしたのかい?」


リセイ「なんでもない…風に当たりたかっただけさ…」


アレク「……そうかよ…」


エイジ「……………」








キュオン!



3人「!?」





3人の目の前に、突然眩い光が舞い降りた!







パァァァァァァア………!










リセイ「……なんだ?」


リンネ『…お久しぶりですね…リセイ君…』


ライド『やっほー!元気してた?アレク!エイジ!』


アレク「…な!?あんたら…一体どうやって…」


ライド『やだなぁ、転生神なんだから君たちと同じ事をするのぐらいは基本中の基本だよ?』


リセイ「まぁ、今更そんな事じゃ驚かないっすよ…」


エイジ「……どうかしたんですか?」


リンネ『…………こうやって話せるのもわずかな時間ですので、要件だけを言います。』


リセイ「…!」


リンネ『…リセイ君…本当にごめんなさい…私達がジン君を助けてあげられなかったばかりに…』


ライド『……君達はもうマルトの存在も目的も知ってるはずだよね…全てはあいつが仕組んだことだったんだ。けど安心して!マルトは僕達が倒したから!』


リセイ「………リンネさん…謝らないでください。俺は…あんた達が居なけりゃこんな世界にも来れてないし、アレクやエイジにも会うことはなかった。ましてや艦娘達なんて…ジンの事もあんた達のせいじゃない。俺の代わりに、マルトを潰してくれて…ありがとうございました…」


リンネ『………転生し、生き返った者がもう一度死んでしまえば、もう二度と転生させることは出来ないんです…私は何度かジン君の蘇生を試みましたが…やはり…』


エイジ「……やっぱり、ジンの世界で見た、ジンを消した光は貴女達の仕業だったんですね…」


ライド『…僕とリン姉ちゃんで力を合わせてもやっぱりダメだった…リセイ…ごめん…』


リセイ「あんたは確かライドさんって言ったな…ライドさん…俺こそすみませんでした…あんた達に多大な迷惑をかけてしまった…

リンネさん…ライドさん…頼みがあります…』


リンネ『なんでしょう?ジン君を生きかえらせること以外なら、出来ることならどんなことも致しましょう…!それがせめてもの償いです…』


リセイ「……ジンの遺体を…俺が墓を建てた場所へ戻してください…!」


ライド『……本当にそんなことでいいの?僕たちは君の弟を…』


リセイ「…いいんですよ…もう…あんた達2人のその思いやりだけで十分だ…それにジンは…俺が殺したにも関わらず、とても満足そうな目をしてた…あいつはやっと真の眠りにつけたんです。もうそっとしておいてください…だからお願いします!あいつを…元の墓へ…」


リンネ『………わかりました…それが貴方の望みなら………



キュイン!ポワワ!



これでいいでしょう…ジン君はあなたの立てた墓に返しておきました…』


リセイ「………ありがとうございます…」


アレク「………………」


エイジ「……………」


フォン…フォン…


リンネ『……時間が来てしまいましたね…ではまたいずれ…』


リセイ「……はい…お世話になりました…」


ライド『うぉい!?そんなこと言わないでよ!またいつか会えるからさ!』


アレク「……ふっ!あんたも意外と寂しがりなんだな…」


エイジ「…………珍しく同じことを思ったよ…」


ライド『う、うるさいなぁ!ほっといてくれよ!///』


リンネ『ふふ…それでは…』



パシュウウウウウウ…


転生神を映しだす光は跡形もなく消えていった…





エイジ「…………これでよかったのかい?」


リセイ「………ああ…これでもう…あいつは安らかに眠ることができるんだ…誰にも邪魔されずに…」


アレク「………………」






























































現在…






〜秘密の楽園〜


















リセイ「……………また……来るよ…」


リセイがそう言い…白露達の元へ行こうとした…
















リセイ!今度は美味い酒を持ってこいよー?



あんたがそんなに立派になってるなんてねぇ…頑張りなよ!



リセイ…あんなに可愛い子達が部下になってるんだ…泣かせんじゃないよ…?











兄ちゃん………ありがとう………









リセイ「っ!?」バッ!






リセイは後ろから聴こえた声に反応し、振り返るが…誰も居なかった…











リセイ「…………………ああ!またな……!」















白露「提督ー!そろそろ帰ろうよ!あたしお腹空いちゃった!」


夕立「ぽい〜…夕立も空いたっぽい…!」


村雨「私も…」


リセイ「ああ。そうするか…それじゃ、俺の背に触れな。」


春雨「はい!」


時雨「うん!」















パシュウ!


































〜正王鎮守府屋上〜

















パシュウ!




エイジ「!」


アレク「…!」





山風「あ!白露姉…!?みんなも…提督!」


時雨「海風!山風!江風!ただいま!」


リセイ「何やってんだお前ら…」


エイジ「リセイこそ…一体何を…」


リセイ「俺達は墓参りに行っててさ、ちょうど帰ってきたところにお前らが暴れてんだよ…」


アレク「……なるほどな…そう言うことなら深くは聞かない方がいいだろ…」


リセイ「そうしてくれるとありがたい…で?お前らは?」


エイジ「…ちょっと組み手をしたくなってね…久しぶりにやり始めたらスイッチが入っちゃてさ…」


リセイ「………ちょうどいい…その組み手、俺も参加するぞ!」


朝潮「え!?司令官もですか!?」


リセイ「安心しろ。お前らには影響がない程度にまで手加減しておくさ…」


アレク「おいこら。それは遠回しに俺たちを馬鹿にしてないか?あ?」


エイジ「…まぁまぁ…せっかくリセイがやる気なったんだ…僕も本気で行くよ!」


村雨「…ちょっとだけ距離をとった方が良さそう…」


球磨「……そうした方がいいクマ…」



リセイ「さて、行くか!」ザッ!


エイジ「…………!」ニコッ…


アレク「………」ニヤ…


リセイは軍服の上着を脱ぎ、黒Tシャツと白い軍のズボンを履いたまま構えた!


ビシュン!





リセイ「うぉおりぁ!!」



アレク「どぉりゃぁあ!!」



エイジ「でやぁぁぁぁぁあ!!」








ドッゴォォォォォオ!!








キュイィィィン!!!ドオオオオオオオオオオオ!!!!




リセイ・アレク・エイジの3人が拳をぶつけ合った瞬間、巨大な気の柱が屋上から発射された!!














































そして…

















ザザァ…サァァァァ………






ス〜〜〜〜…








ザザザザザザ……








ザァ…ザァ………
















秘密の楽園に安置されている四つの墓に供えられた花束が、島全体による風で、心地よく揺らめいていた…







































































全シリーズ主題歌…





















Superfly:alright!!










































































一人の青年と艦娘達の物語



最終章


















































THE・END…








































































































































































ここまで見ていただき、ありがとうございます。


アルティです。


このシリーズ、一人の青年と艦娘達の物語は完結いたしましたが、このシリーズの続編を検討中です。


例の一部としては、リセイ達の日常とか、艦娘達とアレクやエイジとの会話、馴れ合いなどを書いていこうと思ってます。





こんな駄作シリーズを今の今まで見てくださった皆様方、本当にありがとうございました。




それではまた、更新するその日まで。








もう一度言わせていただきます。


本当にありがとうございました!
























































アルティ


後書き

全般的な主題歌は以下のもので。

OP BOSS:alright!
地獄先生ぬ〜べ〜:バリバリ最強No. 1
アイシールド21:breakthrough
貧乏神が!:make my day!
プロメア:inferno
NARUTO:透明だった世界 New!
遊戯王:voice

ED BLEACH:乱舞のメロディ
艦これ:海色
クレヨンしんちゃん:ファミリーパーティー
中島美嘉:GLAMOROUS SKY
SEAMO:continue
ONE PIECE:One day
ケロロ軍曹:くっつけはっつけワンダーランド New!


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このSSへのコメント

6件コメントされています

1: 気まぐれ主人公 2019-08-18 07:52:31 ID: S:ziZa1W

これで最終章なんですか…アルティさんの作品はどれも最高でした!

2: SS好きの名無しさん 2019-09-08 19:53:17 ID: S:HyTE32

個人的な強さのランク付け


一位・リセイ、ジン

二位・黎斗(コラボ)、アレク

三位・エイジ、ペスト(コラボ)


だと思ってしまう。

ランク付けも真剣に考えてしまうほどの最高のSSです!

続きが見たい…

3: SS好きの名無しさん 2019-11-15 21:16:31 ID: S:6WtYwW

はっきり言ってコラボ相手の黎斗さんよりリセイさんの方が遥かに強いと思います!
でも気まぐれ主人公さんの作品も好きだから…
あくまで個人の意見ですけど。
お2人ともこれからも応援してます!

4: SS好きの名無しさん 2020-05-23 22:32:32 ID: S:hfug1N

最近読み始めてすっかりハマってしまいました
それとこの作品には日常編が存在していたそうですが消えてしまったのでしょうか? もしも消えているなら出来ればもう一度日常編を投稿してほしいです! ご検討宜しくお願いします

5: アルティ 2020-05-24 02:13:49 ID: S:GYtv7Q

名無しさん
コメントどうもありがとうございます。
せっかく興味を持って頂いたところ悪いのですが、日常編の保存をし忘れていたこともあって、再投稿するモチベーションも上がりきらないので、アズレン編をお待ち頂いてもらえば嬉しいです。

6: SS好きの名無しさん 2020-05-29 17:22:48 ID: S:4dc3eP

4です
わかりました ではモチベーションが上がったらでよろしいのでお願いしてもよろしいでしょうか?
アズレン編楽しみにしています!
体調にお気をつけて執筆なさってください


このSSへのオススメ

2件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2019-08-19 18:20:30 ID: S:Q9UYAI

いつも見させていただいています
これからも頑張ってください!!

2: Chrome 2019-11-28 16:02:49 ID: S:kdvPix

完結お疲れ様でした!


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