2020-05-03 20:44:39 更新

概要

世界の全てが、明かされる。
貴方は、この世界にいなかった。
そしてこの世界は、もうすぐ終わる。
貴方はどうしますか?


前書き

エル・ローゼン
 王国第二皇女。城を抜け出し健一と同居。表向きは頼めるお嬢様だが、裏は○乱。本当に健一としてしまった唯一の人物でもある。

能力:全知
 全てを知っている。何かよく分からない空間にアクセスし、調べられるため本当に全部知っているのである。(地球の○棚じゃないか)
 この応用で異常な速度の回復が可能。


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エル『貴方は一体誰なのですか?』


健一『いや、誰って、そりゃ君達の…』


エル『検索を続けて分かったことがあります。この世界は、本来存在しない世界だと。』


リン『どういうこと?』


ノート『ていうか、何言ってるのよ!?』


エル『貴女達は気づいていないのですか?この世界の“違和感”に』


ノート『……確かに言われてみたら、あの人こんな積極的な人じゃないような』


リン『そういえば、健一さん最近、リンに甘えなくなったような…』


健一(逆じゃない?)


アリス『……』


エル『アリスその表情、何か知ってそうですね』


アリス『ああ』


エル『話してください。貴女が知ってることを』


アリス『分かった。だがその前に、健一、お前はこの場から離れてくれ』


健一『えっ、何で?』


アリス『……君には話したくない』


健一『…分かった(バタン)』



~真実と~

アリス『ふう…さてあいつもいなくなったし、全て話してやるか』


ノート『それで?エルの検索は事実なの?』


アリス『ああ、全て事実だ』


リン『ええっ?じゃあこの世界って本当はなかったの?』


アリス『……存在しないよ』


ノート『じゃあ、何であなたが知ってるのよ!』


アリス『簡単だ。』



    私がこの世界を創ったからだ。



ノート『えっ、それって……』


アリス『少し語弊があるか。正確には、私が君達をこの世界に呼んだ、と言ったところか』


エル『そういうことでしたか…』


リン『でも、何でそんなことしたの?』


アリス『少し長くなる…



数ヶ月前、私は世界同士の“歪み”を見つけた。その歪みはやがて世界を融合させ、全ての世界を無に帰すものだった。その前に私は手を打った。

私は別の世界に飛んだ。この歪みを止めることのできる者…私の“代わり”を探すために。

 だが私は簡単な真実に気づいていなかった。向こうの世界では、自分の能力を使えないことだ。

 そして私は不運だった。飛んだ場所に偶然車が接近していた。1回目は避けられたが、2回目ーー


       

        ドンッ!



 私は出逢ってしまった。“佐藤健一”という、ある意味『奇跡』のような存在に。


私は彼に異世界転生=私の世界への来訪を提案した。彼は承諾した。私は彼に私の能力の一部を授け、リン達を含めたメンバーとの同居をさせた。


ノート『ちょっと待ちなさいよ!だったら私達を呼ぶ必要ないじゃない!』


エル『ええ。エル達にとっては、知らない間に知らない人を愛した人として接することになるのですよ?』


アリス『君達を呼んだのは、反らすためだ。』



正直、私一人だといざ歪みを止める、といった時に嫌がる可能性があった。それどころか私自身がとても後悔する可能性すら残っていた。だから融合しようとしていた世界から同じ健一を愛していた君達を呼んだ。


 

  彼を慕うちっちゃい『リン・ナタリア』

  ツンデレ貧乳名字のない『ノート』

  表は全知、中身は○乱『エル・ローゼン』



ノート『誰が貧乳よ!』


エル『誰が○乱ですか…』


アリス『そこに関してはどうだっていい。とにかく、こんなに性格も体格も違う人を三人も集めれば、健一もどこか一人くらいならなつくだろうと、そう思った訳だ。そして世界が分離する時に記憶を消して元の世界に返せば全てなかったことになるのでハッピーエンドって訳だ』


ノート『ちょっ、ちょっと待ちなさい!大体私達を呼ぶくらい力があるのなら、直接あなたが歪みを直せばいいじゃないのよ!』


アリス『それは無理だ……私はそれくらいの力は持っていない。平行世界にアクセスし、君達を連れて来るので精一杯だった。そしてこの禁忌の方法は私のような“創造者”にはとても犠牲が多すぎた。何せ止めた時、おそらく生じるであろう歪みの余波で死ぬ恐れがあるからだ。そして私=創造者の死と同時にこの世界は無条件で消滅する。この世界、果ては5つの世界の全てを失うのと、たった一人の犠牲、どっちがいいか?』



リン『え?じゃあアリスが死んだらこの世界は消滅するってこと?』


アリス『そうだ』


ノート『ちょっと待って!じゃああなたがあの人に冷たい態度を取ってたのって…』


アリス『ああ、好かれたら困るからな』


エル『もしかして、ゲーセンの時も…』


アリス『お前いなかっただろう…まあ、あの時は予定外だったよ。あ、転生して最初のモンスターは私が召喚した訳だが、あれはチュートリアルみたいなものだ』


リン『え?じゃああの時は?』


アリス『奴の件か。思い出したくもないが、結果的にあいつの能力レベルを上げられたからオーライだったよ』※5章参照


ノート『じゃあ何!?今までの数ヶ月は、あなたの計画通りってこと!?』


アリス『計画、か。まあところどころ予想と異なっていたのだが、結果的にはそういうことになるか。だが私が選んだあいつには3つの計画外な素質が備わっていた。』

 


 1つは、彼が私達のことを知っていた、ということ。まあこれはこの世界に慣れやすいから結果良かった訳だが。


 2つ、彼の能力に対する“容量”と成長の速度が予想以上だったこと。本来はもう少し準備の時間を想定していたが、既にこの時点で十分な力とその慣れがある。


エル『では、結果オーライということですか?』


アリス『そうでもないんだよ…肝心なのはもう1つ、これが私の予想に大きく反していた』


 

   ……彼が私を選んだということだ。 



ノート『えっ、そうならないために私達を呼んだ訳よね?じゃあ私達を呼んだ意味って』


アリス『意味自体はあったんだよ、ただそれでも彼は私を選んでしまったんだよ。もちろん私は彼に嫌うように冷たい態度を取ってたんだよ、ただどうもそれが彼に刺さったらしく…という訳で今私自身も非常に嫌なんだよ…なぜかって?私が彼のことを好きになってしまったんだよ。本来犠牲になるだけの存在なのに……私も馬鹿だよなぁ』



健一『そういうことか』


リン『えっ健一さん?』


ノート『全部聞いてたの!?』


エル『盗み聞きとは人聞きが悪いですね…』


健一『いやあんなやり方で除外されたら嫌でも聞きたくなるわ』


アリス『まあそうだよな』


健一『じゃ俺は歪み止めればいいのか?』


ノート『ていうか、世界の歪みって止められるようなものじゃないでしょ!』


アリス『そうでもないんだよ。というのも…』


      

       ゴゴゴゴゴゴ……



リン『えっ?』


ノート『な、何よこれ!?』


エル『うう……こわいです(キュ)』


健一『えっ!?』


ノート『ちょっと、何やってんのよ!』


リン『じゃあリンも!(ダキッ)』


健一『おいおいリンもかよ!』


ノート(えっ、私も行きたい……!でも恥ずかしいわよ…)


健一『ていうかこの揺れ何だよ!?』


アリス『ずいぶん早く来た……!』


ノート『…って!何よこれ!?』



アリス『歪みの正体だ。私は仮にXとしている』


リン『じゃああれを壊せばいいの?』


アリス『そうだ、それが健一、私がお前を呼んだ理由だ』


健一『そういうことなら!』


エル『ですが、あれを壊せば世界は再び別れる、つまりエル達は離れ離れになるのでは?』


三人『『『ええっ!?』』』


リン『嫌だ!健一さんと離れ離れなんて!』


健一『おいくっつくな!』


ノート『私も嫌よ!アリス、私達でどうにかできないの!?』


アリス『無理だ』


エル『もしそうなったら、エル達の記憶はどうなるのですか?』


健一『俺の能力でどうにかできる!』


リン『だめ!健一さんと離れたくないよう!』


ノート『そうよ!嫌よ!』


エル『(ぐぐぐ…)離れないでください』


健一(…アリス、頼みがある)


アリス(……分かった)


リン『世界がなくなっても、健一さんはリンとずっと一緒!』


エル『このエルのものですよ』


ノート『どっちも違う!私のよ!』


健一『お前らしばらく寝てろ!』(キイイイイン)


リン『あ、あれ?何か眠く……(バタッ)』


三人『『『zzz…』』』


~こんな結末を予想しただろうか~

健一(何て大きさだ……)


  100kmはありそうだった。止められるのか?

 迷っている暇はない。俺は叫んだ。


      『止まれ!』


止まる気配はない。他の能力がぶつかっている。時を止める能力。万物を燃やす能力。何かよく分からない能力。なら、俺も…


      『止まってくれ!』


駄目だ。俺は彼女に選んでもらったのに…


   

    『創成:全包囲ミサイル!』



『リン!?お前何で……』


『アリスが起こしてくれたんだ!リンが少しでも頑張ったら、健一さん死なないと思うから』


『ああ…』(リンに負担をかける理由には…!)

 

 

  『加速“限凸”(リミットブレイク)!!』



『ノート、お前もか!?』


『あなたが頑張ってるのに、私が何もできないなんて、そんなの嫌よ!』


『なら、外周バリアを頼む!』


『ええ!』(飛んで行く)


『なら……』(とはいえ、もう体力が…)


    『全回復(オールヒール)』


(体力が…そうか、エルの力か…これなら!)


(……健一、そうだよ。もうお前はこの世界にいていいんだ。私が巻き込んだことと、こんなことをさせていることのお詫びだ。創成者の力の全てを、お前に託して……!)

  

   

   『創成者技:フルスロットル!』



(……アリス、俺に託してくれるのか?なら、託されたんだ、俺は、これで全てを終わらせる!)


   

   

    『止まれええぇぇぇっ!!』




 その瞬間、Xは消え去り、世界崩壊の危機は去った。俺は全てを使いきり、このもうすぐ終わりを迎える世界での役割を終え、倒れた。


(ああ、終わったんだな…俺の役割、俺がここにいる理由もなくなった。そうだ……終わったんだな)


                  続く


後書き

次回、完結。
健一の生死は……
リンの、ノートの、エルの、

アリスの思いは…………


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