2019-10-09 21:06:39 更新

概要

もしも未来の悟飯たちが、精神と時の部屋に入って修行をすれば…。


前書き

未来の悟飯とトランクスが、精神と時の部屋で修行して人造人間撃破を目指す話です。
今までと方向性を変えて、地の文ってヤツを書いてみようと思ったんですが…むずっかしいですねコレ…
一応、地の文書くに当たっての目標として、知らない人が読むのかとか置いといて、DB知らない人にも伝わるようにってつもりではいるんですが…むずっかしいですねコレ…

愛宕テンクスのほうは…こっち満足するまで休憩で…
今こっちで頭いっぱいなんで…


これは、未来の世界を生きた戦士たちの、あり得たかもしれない「もしも」のお話…


砕けゆく希望


突如、世界は姿を変えた。

二人の悪魔が、地獄に変えた。

それまで多くの災厄を退けてきた戦士たちも、一人、また一人と、悪魔たちの手で命を落とした。


ピッコロが死んだ。

命を共有する神が死に、ドラゴンボールは輝きを失った。


クリリンが死んだ。

最強の地球人が、なにも出来ずにあっさりと。


ベジータが死んだ。

戦闘民族の王子にして、千年に一人の伝説の戦士、超サイヤ人であっても。


そして、これまで何度も地球を救ってきた孫悟空は…。

海底から甦った大魔王を倒し、異星からの侵略者を倒し、地球に訪れた宇宙の帝王を倒し。

何度も地球を救ってきた孫悟空は…戦ってすらいない。

病に倒れ、悪魔を見ることもなくこの世を去った。


悪魔の名は人造人間。

かつて孫悟空の手で壊滅したレッドリボン軍、そこに在籍していたドクター・ゲロの手によって改造(つく)りだされた殺戮兵器。


彼らはドクター・ゲロの報復のため、孫悟空を殺すために改造られた。

だが彼らが目覚めた頃には既に、孫悟空はいなかった。

とりあえず、拉致された挙げ句、勝手に改造されてムカつくから、ドクター・ゲロは殺した。


孫悟空を殺すための兵器たちは、目覚めた途端に存在理由を失った。

彼らは暴走した。


突如現れた二人の悪魔に、地球の希望は砕かれた。

ただ二人、偉大な戦士たちの忘れ形見を残して…。



孫悟飯とトランクス


「はぁ!てりゃりゃりゃ…!!」



少年は忙しなく畳み掛ける。

四肢をフルに稼働させ、一撃を見舞わんと懸命に。



「そんなモノか!ハンデはこれじゃ足りないか!?」



青年はあしらう。

右腕でしか接触していないが、いとも容易く捌いてみせる。



「くっ…!でっ…りゃあ!!」



両親に似て負けず嫌いな少年は、渾身の右拳を叩き込む。

威力、スピード、タイミング。

いずれも最高の一発。


が、やはりあっさり受け止められた。



「!…今のは悪くなかったぞ!少し休憩にしよう、トランクス」


「はい…」



少年の名はトランクス。

あのベジータとブルマの息子。

若年ながら、地獄のような世界を変えるため、全力で修行に励む。



トランクス 「ふぅ…。やっぱりスゴいや、悟飯さんは…。片腕しか使えないのに、ちっとも追い付かないや…」


「そんなことないさ。トランクスも凄い速さで成長してるよ」



青年の名は孫悟飯。

あの孫悟空とチチの息子。

幼き日の彼を知るものが見れば、驚嘆に値する成長を遂げていた。

片腕しか使わない、のではない。

人造人間との戦いで、左腕を失った。



悟飯 「もう超サイヤ人になれてもおかしくなさそうなんだけどなぁ…」


トランクス 「超サイヤ人…。それになれれば、人造人間たちも…!」



超サイヤ人。

純血はすでに滅びた、宇宙最強の戦闘民族と呼ばれるサイヤ人。

その中で更に、千年に一人現れると言う、伝説の戦士である。

二人は、そんな戦士たちの血を引いている。

悟飯は既に、その血に眠る超サイヤ人を目覚めさせていた。

だがトランクスは…。



悟飯 「そう上手くは行かないさ。現に俺は超サイヤ人になれるけど、人造人間には勝ててない。仙豆も尽きちゃったしな…」


トランクス 「…仙豆さえなくならなかったら、その腕も元に戻ったのにね」


悟飯 「うん…。でもまぁなくなっちゃった物はしょうがないさ。あの時逃げられただけでも幸運だと思わないと…」


トランクス 「悟飯さんの左腕もあれば、人造人間なんかに…!」



伝説の超サイヤ人を持ってしても、人造人間には及ばなかった。

トランクスを庇いながら意識を失い、気が付いた時には既に左腕はなかった。

最後の仙豆を悟飯自身が使うことも出来たが、死にかけの彼は、同じく死にかけたトランクスに与えた。



悟飯 「どうかな…。俺もサイヤ人の血のおかげで、気自体は大きくなった。けど、それでも勝てるかどうか…」


トランクス 「…俺が超サイヤ人になれれば、二人で戦えるのに」



超サイヤ人を目指すため、人造人間を打倒するため。

若い戦士たちは、戦いの合間に修行を重ねている。



悟飯 「…そうだな。けど、今のままじゃ無理だ。ハッキリ言って足手まといにしかならない」


トランクス 「うっ…」



心優しい彼はそれでも…いや、だからこそ断言する。

いつ死んでもおかしくない、命懸けの戦いだ。

生半可な力では、プラスにならないどころかマイナスにさえなる。


…そこに、悟飯にとっては久しく、トランクスにとっては初めて耳にする声。



「超サイヤ人二人でも、まだ勝てない」


悟飯 「!」


トランクス 「誰だ!?」


ポポ 「ミスターポポ」


トランクス 「…」



なんだこの男…男でいいのか?

乗っているこれは…空飛ぶ絨毯か?

なんにせよ怪しすぎる。

トランクスは即座に臨戦態勢に入る。

未熟とはいえ、ベジータの血を継ぎ、悟飯に師事しているだけのことはある。

一方悟飯は、遠い記憶を掘り返していた。



悟飯 (…どこかであったことがある、ような…?)


ポポ 「ずっと昔な会ってる。お前たちがナメック星に行く前、病院で。覚えてないか?」


悟飯 「…あ!宇宙船!」


ポポ 「そうだ。お前、母親に怒鳴った」


悟飯 「あはは…!懐かしいなぁ。ご無沙汰してます」


ポポ 「ひさしぶり」


トランクス 「…知り合い?」


悟飯 「大昔にお世話になったんだ。確か神様と一緒に暮らしてたんですよね?」


ポポ 「今も神様の神殿で暮らしてる」



ミスターポポは、神の住んでいた神殿に、共に暮らしていた。

ピッコロの死により神も消滅した今、神殿の管理を行っている。

…とはいえ、特別管理が必要なものもないのだが。

なにせ今はミスターポポ一人である。



トランクス 「…気も感じなかった」


悟飯 「どうしてここに?」


ポポ 「お前たち、人造人間に勝てない」


トランクス 「なにをっ…!」


悟飯 「よせトランクス!…それで?」


ポポ 「ポポ、いいとこ知ってる。修行に役立つ」


悟飯 「修行…」


ポポ 「そうだ。鍛えれば、お前たち強くなる」



そんなことは分かっている。

だからこうして、二人で修行を重ねている。

トランクスは苛立ちを隠さない。

が、悟飯の制止を受けた手前、口を開きはしなかった。



トランクス 「…」


悟飯 「確かに…。特にトランクスは、とんでもない才能を眠らせているはずなんです。でも…」


ポポ 「なんだ?」


悟飯 「…修行は今もしています、時間が許す限り。けどその時間が足りない…」


トランクス 「…」


悟飯 「人造人間がいつ暴れだすか、予想も出来ません。いざその時が来て、修行で体力を使い果たしていたんじゃ…。今は仙豆もありませんから」



彼らの破壊に前兆はない。

気まぐれに街を訪れ、気まぐれで地獄に叩き落とす。

連日暴れることもあれば、三日以上音沙汰ないこともある。


故に、来るべき戦いに備え余力を残したい悟飯とトランクスは、修行に全力を注げずにいた。



ポポ 「時間、ある」


悟飯 「え?」


ポポ 「お前たち、一年修行してもらう」


悟飯 「なっ…!」



何を言うのか。

ただでさえ一年後、人類が滅びているかも分からないというのに。

悟飯の制止を受け不服ながらも口をつぐんでいたトランクスだが、いよいよ抗議する。

本来であれば素直で礼儀正しい彼だが、思うように強くなれない焦りと、突如現れた不審者の意味不明な発言に、思わず語気も荒れる。



トランクス 「ないよそんな時間!一年もほっといたら人造人間が!!」


ポポ 「ほっとくのは一日」


トランクス 「…は?」


悟飯 「あの…ミスターポポ、話が見えないんですが…」



当然だ。

明らかに矛盾している。

だがミスターポポは表情を変えず、淡々と話を続ける。



ミスターポポ 「お前たち、精神と時の部屋を使え」


悟飯 「精神と時の部屋?」


トランクス 「…なんだよそれ」


ミスターポポ 「一日で、一年過ごせる場所」


トランクス 「なに言ってんの?」


ミスターポポ 「精神と時の部屋で一年過ごすと、外の世界で一日経つ。一日で一年修行出来る場所」


悟飯 「そんなものが…!?」


トランクス 「…悟飯さん、こいつヤバイよ!そんな話あるワケないよ!そんなの母さんにだって作れない!」



母のブルマは、他に類を見ない天才科学者である。

ピーピー言うことで舐めた者の腹を下させる『ピーピーキャンディ』。

装着しボタンを押すことで体を掌サイズ以下にまで縮小出来る『ミクロバンド』。

もはやなんの役にも立たないが、ドラゴンボールの放つ電波を掴み、在処を示す『ドラゴンレーダー』。

等々、数限りない発明を繰り返してきた。


そんな母であっても、時間の早さが違う部屋など、まず作ることは出来ない。

まず現実的ではない。


しかし悟飯は、一蹴出来ないでいた。



悟飯 「…」


ポポ 「ある。昔、悟空も入った。少しだけ」


悟飯 「父さんが!?」


ポポ 「子供の頃。キツすぎてすぐに出てきた」


悟飯 「あの父さんが…」



生前の父は、修行の虫だった。

暇さえあれば修行、修行。

母に働けとどやされる父の姿を見たのは、一度や二度ではない。

その父が、修行のツラさに根を上げたというのか。



トランクス 「…悟飯さん?」



考え込む悟飯を見上げ、トランクスは不安そうに問う。



悟飯 「いや、でも…すみません、ミスターポポ」


ポポ 「嘘じゃない」


悟飯 「いえ、ミスターポポは信じます。けど、今の俺たちは、一日だって人造人間を放っておけないんです」


ポポ 「…」


悟飯 「一日放って、そのタイミングで暴れられれば、奴等は確実に街一つを消します。やらないでしょうが、その気になれば地球を滅ぼすことも出来ます」


ポポ 「やらないなら大丈夫」


悟飯 「消される街と人々は大丈夫じゃないんです!」



ここに来て、初めて悟飯が声を荒げる。

対してミスターポポは、もはや感情の概念があるのか疑わしいほど、ただ淡々と。



ポポ 「お前たちが弱いまま殺されれば、もう誰も戦えない」


悟飯 「!」


ポポ 「それじゃ結局滅ぶ。滅ばないには、お前たちが強くなるしかない」


悟飯 「それは…」


トランクス 「簡単に言うな!!それって消される街の人たちを見捨てろってことじゃないか!」



悟飯が踏み込めずにいた核心に、トランクスが踏み込んだ。

それでもやはり、淡々と。



ポポ 「そうだ」


トランクス 「なっ…!出来るワケないだろ!!」


ポポ 「地球が滅ぶよりマシ」


トランクス 「それでも見捨てるなんて出来ない!!」


ポポ 「悟飯もそうか?」


悟飯 「…」


トランクス 「そんなの入らなくても、俺が強くなって超サイヤ人になれば!」


ポポ 「それまで殺されない保障はない」



悟飯は迷う。

トランクスの言う通り。

助けられるかも知れない人々を、それでも見て見ぬフリをするなど…。

しかし、ミスターポポの言うことも、また正論である。



悟飯 「…奴等はその気になれば、いつでも俺たちを殺せた」


トランクス 「…悟飯さん?」


悟飯 「確かにその、精神と時の部屋を使わず、今まで通り修行しながら戦い続けても、いずれ勝てるようにはなるかも知れない。けど」


ポポ 「そうなる前に死んだらどうする」


悟飯 「…」



感情では受け入れられない。

戦う力があるのに、戦わずに見捨てるなんて。

だが現実は甘くない。

負けてはならない戦いなのに、今は勝てるだけの力がない。

悟飯は迷う。


そして、バシッと拒否してくれると思っていたトランクスは。



トランクス 「…部屋使う気なの?悟飯さん、殺される人たち見捨てる気なの!?」



幼い彼には割りきれない。

父であり、兄であり、師匠であり、絶大な信頼を寄せる悟飯に、初めて非難の目を向けた。



悟飯 「けど、ドラゴンボールで生き返らせることも、もう…」



無駄なこととは知りつつも、思わずにはいられない。

『ドラゴンボールさえあれば…』

既に死んでいった人たちを、これから死んでいく人たちを生き返らせることが出来たなら、迷う必要もなかった。

それでも辛い決断ではあるが。


迷う悟飯と、憤るトランクス。

ミスターポポは斬り込んだ。



ポポ 「お前たち、ワガママ」


トランクス 「なんだと!?」


ポポ 「お前たちが弱いからこうなってる。人造人間より強ければこうならずに済んだ」


トランクス 「あいつらの強さも知らないで!」


ポポ 「…」



わずかな間。

言葉に詰まっているのか。

事も無げに見捨てろと言ってのけたこの男が。



ポポ 「知ってる。神様と一緒に見てた。神様が消える瞬間まで」


トランクス 「!」



少しだけ声が震えた、気がした。

およそ感情など持ち合わせていなさそうな不審者が、初めて、僅かながら感情を見せた、ように思えた。



悟飯 「ミスターポポ…」


ポポ 「そのあともずっと見てた。だから分かる。今のお前たちは勝てない」


トランクス 「…」



少し気持ちが落ち着いた。

ほんの一瞬言葉に詰まり、ほんの一瞬声を震わせた事実が、トランクスをなだめた。

ただ冷酷で無神経なだけではないのだ、と理解した。



ポポ 「お前たち、考えが甘い。お前たちが死んだら、地球が滅んだのと同じ」


悟飯 「…」


ポポ 「特にトランクス、殺されないと思ってる」


トランクス 「そんなこと…」


ポポ 「玩具扱いされてるから、壊されないと思ってる。強くなるまで時間稼げる。それ違う。飽きたら壊す」


トランクス 「!!」



図星だった。

何度も繰り返し挑戦して、勝てるようになるまで見逃される。

無意識下で思い込んでいた。

他者から指摘され、初めて自覚した甘え。



ポポ 「次の戦いで飽きられるかもしれない」


トランクス 「…」



そもそも、トランクスは聡い。

『精神と時の部屋』なる物の真偽は別として、ミスターポポの言い分自体は筋の通った物であることを、心のどこかでは理解していた。

それを感情が拒絶していた。


悟飯もトランクスのことを、あるいは本人以上に理解している。

トランクスには結論は出せない。

なにより幼いトランクスに残酷な決定を強いることを、自身の良心が許さなかった。



悟飯 「…使おう」


トランクス 「悟飯さん!?」


悟飯 「ミスターポポの言う通りだ。俺たちが死んだら終わりだし、あいつらはいつでも俺たちを殺せる」


ポポ 「次は負けそうと思ったら殺せる」


トランクス 「それは…けど、人が…!」



二人の言うことは分かる。

従うべきだとも分かっている。

それでも心が拒絶する。

そんな葛藤に苛まれるトランクスに、悟飯は優しく手をさしのべた。



悟飯 「ミスターポポ。その部屋、一年経たなくても出ることは出来るますか?」


ポポ 「出来る。さっき言った。悟空はキツすぎてすぐ出た。」


悟飯 「聞いたろトランクス。一年が一日ってことは、一ヶ月で人造人間より強くなれれば外ではたった二時間だ。早く強くなって、速く出よう」



口で言うほど簡単なことではない。

いくら余力を気にせず没頭できるとはいえ、超サイヤ人に変身することも、人造人間より強くなることも、並や大抵のことではない。

当然悟飯も分かっている。


分かった上での悟飯の優しさであることを、トランクスもまた分かっていた。



トランクス 「悟飯さん…。分かりました…」


ポポ 「よかった。絨毯に乗れ」


悟飯 「はい。…さ、トランクス」


トランクス 「…俺は、自分で…」


ポポ 「ダメ。部屋に入れるのは二人まで。ミスターポポ、一緒に入れない。移動しながら説明する。乗れ」



差し出された悟飯の手を握り、トランクスは空飛ぶ絨毯に乗る。

人や街を見捨てる決意の儀式のように思えた。


精神と時の部屋


ポポ 「ついた」


悟飯 「ここが神殿…。クリリンさんたちから話に聞いたことはあったけど…」


トランクス 「で、あれが…」


ポポ 「精神と時の部屋」


トランクス 「…小さいね」


悟飯 「あぁ…」


ポポ 「中は違う」



道中、部屋についていくつか説明を受けた。

その内の一つが、部屋の大きさ。

地球と同じくらいの広さという、なんとも頭の悪そうなスケール感。


トランクス 「…」


ポポ 「入れば分かる」


悟飯 「そうですね。時間に余裕があるワケでもない。早速入ろう」


ポポ 「待て」


トランクス 「え?」



これまで一切表情を変えなかったミスターポポの目が、真剣みを帯びる。



ポポ 「一つ約束。お前たち、二人とも人造人間より強くなるまで出ちゃダメ」


悟飯 「…」


ポポ 「二人とも、確実に勝てるほど強くなれば、いつ出てもいい。それまでは出るな。約束」


悟飯 「そのつもりです。俺たちが負ければ、それでおしまいですから」


トランクス 「すぐにあいつらより強くなってやる!」


ポポ 「ならいい。早く入れ」


トランクス 「自分が引き留めたクセに…」


悟飯 「ははは…。さ、行こうかトランクス」


トランクス 「はい!」



ドアノブに手をかけ、扉を開く。

何もない、真っ白い空間が広がっていた。

扉を閉めることも忘れて感嘆する。



トランクス 「わっ!本当に広い…!」


悟飯 「…疑っていたワケじゃないが、実際目にすると驚くな」


ポポ 「さっきも言ったが、過酷な環境。気を付けろ」


悟飯 「はい、ありがとうございます。それじゃ」



ようやく扉を閉め、改めて辺りを見回す。

説明を受けた通り、大きなベッドがある。休む場所には困らなさそうだ。

こっちの壺には水。隣には…これが食料となる粉か。

いくら飲み食いしても減らないらしいが…しばらくこの粉しか食べられないのか。

それだけで既にキツそうだ。

環境は確か…



トランクス 「わ!?」


悟飯 「どうした!?」


トランクス 「スゴいや!本当に体が重たい!」


悟飯 「驚かせないでくれ…。この建物を出ると重力が十倍に…ぐっ!」



真っ白なだけの空間に、一歩足を踏み出す。

途端にのしかかってくる外気に、体の動きを阻害される。

二人とも、これまで高重力下に身を置いたことがない。

別の時代の戦士たちにはもはや無も同然、この時代の彼らもすぐに克服出来るはずの十倍といえど、初めて体験するには衝撃だった。



悟飯 「これは…いい修行になりそうだ…!」


トランクス 「うん…!これだけで結構キツい…!」


悟飯 「この重力に加えて、気温の変化だからな」


トランクス 「50度から-40度って言ってたよね…」


悟飯 「あぁ…。相当負担が大きいな、これは…。俺たち自身の為にも、早く終わらせた方がよさそうだ」


トランクス 「悟飯さん、お願いします!」


悟飯 「よーし、始めるか!」



重力は地球の十倍。

気温の高低差は90度。

食料は得体の知れない粉だけ。

極限の環境で、二人の修行が始まった。


後書き

幸せになって欲しい。(こなみかん)


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