2019-10-19 12:53:31 更新

概要

眠気が酷いマスターの悩みです。


ノウム・カルデア内-マイルーム




「…おーい。そろそろ起きた方がいいんじゃないかい?」


「んんー…」


「起きないと怖~い後輩ちゃんが無理やり起こしに来るぞ~。というか、僕が呼びに行かなきゃいけなくなるから自分で起きてほしいな」


「んぁ…。……。おはよぅ、マーリン…」


「うん。おはようマスター。でも、その体勢だとまた寝ちゃいそうだから体を起こそうか?」



そういってそっと背中に手を添えて俺の上体を起こしてくれる大魔術師。花のいい香りが起きがけの鼻腔をくすぐる。


最近眠気が酷い。一度起きてカルデア内のみんなに挨拶を一通り終えた後、燃料が切れたみたいに体が動かなくなって眠りに落ちてしまう。

それは戦闘時も例外ではなく、種火集めの際にも眠りに落ちてしまうことがある。俺の体は一体どうしてしまったのだろうか。




前と変わらないようで革新的な進化を遂げた新たな拠点を歩く。優秀な後輩や天才的な芸術家、頼れる名探偵に挨拶をしに行くためだ。勿論マーリンも一緒に。

食堂…よりは管制室の方がいる可能性が高いか。おっと、もう一人忘れてはいけない存在がいた。

目的地に向かうがてら会う人会うサーヴァントに挨拶をしていく。



「おはようございます。マスター?最近表に出る時間が少ないのではなくて?」


「…おはよう、メルト。俺自身も良く分からないんだ。すぐ眠っちゃう原因がさ。」


「理由なんて聞いてません。もっと頭を働かせて、周りをよく見ろということです。」


「うーん、ん?…ごめん」


「謝罪が欲しいわけではありません。もういいです。」


「うん…。ごめん、心配してくれてありがとうメルト。この埋め合わせは必ずするから」


「…フン」



メルトは二人きりの時か物凄くテンションが上がっている時くらいしか素直にものを言ってくれない。普段はそういうところにいじらしさを感じたりもするが、今回は違う。今のメルトは敬語だった。メルトは怒っている時、相手に悟らせないためか、自分を律するためかわからないけど言葉遣いが丁寧になる。固い言葉遣いで相手を牽制する意味もあるのかも。とにかくメルトは怒っていた。明らかに原因は俺。後でちゃんと謝って、埋め合わせをしなくちゃならない。いや、俺がそうしたい。


「ますたー…」


「あ、巴さん。おはよう」


「おはようございます…。最近、お体の調子が優れないと聞いたのですが…」


「あぁいや、そんな大した事じゃないよ。心配しなくても大丈夫!ほら!こんなに、元気っ!」


「それならば良いのですが、巴は心配で…」


「…ありがとう。でも本当に大丈夫だから。」


「お?っと。おはようさん、寝坊すけマスター」


「おはようロビン」


「…あんましとやかく言うのは嫌いだけどな。これだけ言わせてくれ。

サボりは俺の特権みたいなもんなんでね、おたくにサボられると俺がサボりにくくなる。だからほどほどにしてくれよ?」


「うん。わかった。ありがとうロビン。

巴さんも。…また後で。」




本当に良いサーヴァントに恵まれたものだと思う。俺は、世界でも有数の幸せ者なんじゃないだろうか。今の状況じゃ幸せかどうか図る術もないようなものだけど。


「彼らは本当にきみを慕っているんだね」


「…本当に、ありがたいよ。…マーリンは違うの?」


「野暮だねぇマスターも。僕はあらゆる人間の味方さ」


「んふふ、うさんくさ」


「酷い言いようだなぁ。僕だって傷つくんだぞぅ」


「うさんくさいのは本当だけど、マーリンの事は心から信頼してるよ。いつもありがとう」


「嬉しい事を言ってくれるね。同じくらい厳しいこともね…」




マーリンと談笑しながら歩いていると目的の管制室に着いた。

慣れた手付きで扉を開ける。最初は、以前のカルデアの管制室に比べてセキュリティが強化され過ぎて開けるのに手こずったものだ。ダヴィンチちゃんに手伝ってもらったり…


「あっ、おはようございます!先輩!」


「おはようマシュ。」


「マーリンさんも、おはようございます。」


「うん。おはよう。」


「おはようマスター君。早速だけど君の体の状態の分析結果が出たよ。」


「おはようダヴィンチちゃん。…それで、俺は大丈夫なの?」


「端的に言えば体には何の異常もない。ただ、精神に若干の変化が見られたんだ」


「精神に?」


「そう。…以前までのキミの精神状態と現在との差異を調べた結果。”飽き”だと分かった」


「…飽き?」


「君の中に潜在的意識として存在していた快楽主義的な部分が表立っているのが今。そしてその快楽に対して異星の神討伐、及びその準備というものが含まれていない」


「なっ…」


「簡単に言ってしまえば飽きてしまったんだ。キミは。この世界に。」


「先輩…?」


「っ…。…。いや、確かに、そうなのかもしれない…」


「こんな大変な時期なのに、やれイベントだやれif世界線だといって夢の中でまで戦わされて…この間のネロ祭、もといバトル・イン・ニューヨーク復刻のボックスガチャ開封数が幾つだか知ってるか?0だぜ、”0”。

やってないんだ。一度も。最近忙し過ぎてまともにゲームが出来ないせいかあらゆるゲームに興味がなくなってきてる。あれだけゲーマーだった俺が。


確かにスマホゲー、ソシャゲーと呼ばれるものはカスみたいなものが多い。昔出た名作と呼ばれる重量感のあるタイトルに比べれば手軽さと引き換えに失ったものが多すぎる。だとしても…飽き。でも、それが真実、何だろうな。


毎朝起きて起動して、支給品(ログボ)を受け取ってお知らせ軽く見てガチャライナップみて『いらね』と一瞥して閉じる日々。最近まともにやってるといえるのがシャドバってもう終わってるだろ…FGO→シャドバってなんでゴミゲーからゴミゲーに移ってんだよ頭おかしいだろ…しかも俺ほとんど対人戦やらないしね!ストーリーとプラクティスばっか!ルムマはやるけどフリーマッチなんか3か月に一回、ランクマに至っては0!!また出た0!!やらない誓いを立ててる。

『ランクマやったらAA3くらいまでなら余裕で行けるよ君』と友人に言われても尚行かない!!報酬に目が眩まない生粋のコミュ障…!!もはやコミュ障と呼ぶのもおこがましい。よくそんなんでオンラインFPS出来てたな!」


「ッ、ハァ…ハァ…」


「「「先輩…マスター…マスター君…」」」


「もういい、もういいんだよ。休んでも」


「そう。何も考えずにやるのがゲームの醍醐味でしょ?なら快楽主義のキミがそれをやらなくてどうするのさ」


「そうです…そうですよ先輩!私たちの事は気にせず、色んな事をするべきです!気が向いたらまた、戻ってきてくれればいいんですから!」


「だからそれまで、おやすみ。マスター…」


「うん…うんっ…ありがとう、ありがとう…!」


congratulation、congratulation、congratulation、congratulation、congratulation、congratulation、


congratulation。


嫁に、ありがとう



きのこに、ありがとう



そして、全てのマスターに




おめでとう


後書き

睡眠=ログイン外、ゲームを閉じている。
眠気=閉じがち(以前は開きっぱなしが当たり前だったため)


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