2020-10-25 19:39:37 更新

概要

元海兵が海軍に復帰。提督として歩んでいくお話し第肆話です。


前書き

『佐伯湾の裏』について知った東雲。

果たして東雲はどう出るのか?


佐伯湾泊地の裏……提督として……(後)




 赤城と榛名は青葉の協力を仰いで泊地内の防犯カメラを精査していた。


 精査を始めてから5時間半が経過。証拠はつかめなかった……


 

赤城「……やはり駄目なのでしょうか………」


青葉「あのー……これって何を調べてるんです?? 青葉にも教えてくださいよ……」


榛名「もし証拠が掴めたらお話しします。あと、この件は誰にも言ってはいけませんからね」



 榛名は笑顔で背後から青葉の喉元へ袖に隠していた脇差をかざした。



青葉「は……榛名さん……洒落にならないんで……青葉の喉元にある物だけは勘弁してもらえますかね……」


赤城「榛名さん!?」


榛名「え?……人を脅す時にはこうした方が良いと霧島が……」

   

 

 金剛型は皆、軍部の間では『超純粋』で有名だ。姉妹や身近な人たちが言う事は結構真に受けてしまう。



青葉「ちきしょー……なんて事教えてんですか霧島さんは!! わかりましたよ! 聞かないでおきますから!!」


榛名「はい! お願いします!」



 青葉は全身冷や汗を搔いた。一刻も早く終わらせて着替えたい気分だった。


 その時、赤城がある映像を発見した。



赤城「青葉さん。時間を1分程戻してください。それと、カメラの場所は『待機室』です」


青葉「わかりました」



 赤城の言う通りにカメラの時間をずらして、カメラの映像を1つにする。


 映像を流すと……



榛名「あっ!」



 映像には特警隊と佐伯湾提督の姿が写っていた。


 佐伯湾提督は特警隊と話している。そして帰る間際に何かを手渡している様子だった。



赤城「状況が詳しく分かれば……」


青葉「知ってます? この泊地の防犯カメラって音声も拾えるんですよ」


榛名「そうなんですか!?」


青葉「はい! ちょっと待っててくださいね…」



 青葉は昨日を操作させて音声が聞こえるようにした。



青葉「一応声が漏れたらアレなので……ハッキングがバレたら青葉もまずいので……イヤホンしてください」



 青葉はイヤホンを繋げた。片方は自分用。もう片方は赤城と榛名が聞く用に渡した。



青葉「それじゃ、再生しますよ」



 再生ボタンが押下された。




佐伯湾提督『……お疲れ様』


特警隊A『お疲れ様です!』


佐伯湾提督『かしこまらなくていい………まだバレてないよな……』


特警隊A『はい……軍令部や海軍省には見つかってませんよ。しかし……』


佐伯湾提督『どうした?』


特警隊A『これを見てもらえますか?』


佐伯湾提督『……………これは!』


特警隊A『万が一に備えて洞穴にも防犯カメラを設置しておいて正解でしたね。新たに2人の艦娘が写りましたよ。秘書艦の赤城。それと榛

    名の2人です』

 

佐伯湾提督『……バレたのか?』


特警隊A『まだ確証はありません。しかし、赤城に関しては2回程この場所を訪れています。もしかしたら摩耶と会っている可能性もありま

    す………それに1回目の時は赤城が洞穴に入った後、提督が入られています。赤城とは合流していませんか?』


佐伯湾提督『いや……合流は………摩耶の野郎……あの時匿っていやがったな』


特警隊A『可能性はあるかと。万が一、赤城と榛名が秘密を知っている可能性があるということを念頭に置いて動かれた方が良いですよ』


佐伯湾提督『わかった……』


特警隊A『それにしても、なんで非合法にボーキサイトを集めてまで空母を運用されるのでしょうか?』


佐伯湾提督『俺は空母が好きなんだよ。他の艦娘はどうなろうと興味ないな。榛名も戦艦のエースとして頑張っているが、俺にとっては眼中

     に無い。向こうは気があるかもしれないが……俺は何とも思ってない』


特警隊A『うわぁ…それは酷い。榛名ってお淑やか美人で、各地にいる提督の間では人気が高いんですけど……』


佐伯湾提督『俺は空母さえいればいいんだよ。もうすぐ昇進も決まっているしな…じゃあ俺は戻る……あ、忘れてたよ。はい謝礼』


特警隊A『……確かに頂きました』


佐伯湾提督『情報ありがとな。引き続き頼む』



 佐伯湾提督が待機室を出たところで、青葉は映像を止めた。


  

青葉「……マジ?」


榛名「……ぐすっ」


赤城「榛名さん……」



 榛名は涙を流していた。


 無理もない。空母が大好きだと言う提督でも、戦艦のエースである自分だけには良く接してくれていたからだ。


 真実を知って榛名はショックだった…



榛名「……大丈夫です……少し驚いただけです」


赤城「そう……それと……」


榛名「はい……私達の行動がバレてますね……」


青葉「あのー...これって一体……それに非合法にボーキサイトを集めてるって……」


赤城「青葉さん…」



 赤城は1枚の紙を青葉に託した。



赤城「その紙には今、私達が調べていることの全てが書いてあります」



 そう言って、赤城は榛名を連れて青葉の部屋を出て行った。



青葉「一体何だったんでしょう……」



 青葉は赤城から貰った紙を読む。



青葉「……マジで!?…………ふむふむ…………大スクープですぅ……とりあえず、この映像と音声をDVDに焼いておきましょう」




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 赤城は榛名を部屋へと連れて行った。


 明日、赤城は秘書艦業務は休日で休みだった。


 本来なら明日は待機組の艦娘以外は休みなのだが……舞鶴鎮守府との演習が入っており、榛名が編成に入っていた。

 


赤城「榛名さん……今日はもう寝ましょう……」


榛名「はい……おやすみなさい」



 榛名を送った後、赤城も自分の部屋に戻って眠りについた。


 そして翌日……事件は起こった。




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 榛名達は演習のため、舞鶴鎮守府へと向かった。


 本来なら、舞鶴鎮守府までは各鎮守府や泊地が所持する護衛艦で向かうのだが……



飛龍「護衛艦が故障!?」


佐伯湾提督「すまん! 今日中には直りそうにない…」


蒼龍「どうするの……今日って日本海側は午後から天気が荒れるって……」


佐伯湾提督「だとしても演習を断れないしな……舞鶴提督は士官学生時代の先輩なんだよ……それに丁度良かった。島根から佐賀まで貨物船

     の警備任務が急遽入ってね。待機組を出すよりも、そのまま君達にお願いしようかなって思ってるんだけど……」


翔鶴「でしたら……私達の足で行きましょう」


佐伯湾提督「ありがとう……向こうに事情を説明して補給出来るようお願いしとくから。俺も後を追って行く」


飛龍「わかった。それじゃあ行こうか」


榛名「はい……」


佐伯湾提督「榛名?? どこか体調でも悪いのか? あれだったら比叡とか霧島と変わるぞ」


榛名「いえ!……榛名は大丈夫です…」


金剛「榛名の面倒は私が責任もって見ておくデース!」


佐伯湾提督「そう? ならいいんだけど……よし行ってらっしゃい」


演習組’s「「了解!!」」



 演習組は海から舞鶴へと向かっていった。


 赤城はその様子を寮内から見ていた。



赤城「(こんな時に限って護衛艦が故障するなんて…………何か嫌な予感がします…………)」




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 演習組が出発する姿を見送った8時間後……


 赤城はどのようにして佐伯湾提督と特警隊の網をくぐってこの事を伝えようかと考えていた。


 演習組は既に舞鶴鎮守府に着いた頃だろう……


 そう色々考えていると、寮内の廊下を誰かが走っている音がした。


 その足音は赤城がいる部屋の前で止んで、勢い良く部屋のドアが開く。



青葉「赤城さん!!」


  

 青葉は顔面真っ青で部屋に入ってきた。



赤城「青葉さん!? 一体どうしたのですか!?」


青葉「これ聞いてください!!」


 

 青葉はDVDプレーヤーに差し込んだイヤホンを赤城に渡す。


 赤城が耳にイヤホンを装着すると、青葉は動画を再生した。


 動画は執務室に設置されている防犯カメラの映像だった。


 時間は今日の朝5時頃の映像だった…丁度榛名達が出発する1時間前だ。


 そこには佐伯湾提督1人が電話をしている映像が映っていた。



佐伯湾提督『……俺だ。急で悪いが頼みがある。今日、俺の艦隊が日本海を通って舞鶴に向かっている…………あぁ。その中に秘密を知った

     奴がいてな…………写真は後で送る……………なんだ察しが良いじゃないか。その娘の艤装を爆発させるからすぐに亡骸を保護。

     後に処分して欲しい…………あー……生きてたらかぁ……まぁいいや、そん時は殺せ…………そうだ。島根から貨物船と一緒だか

     ら貨物船ごと爆破させてもいいぞ………爆破ポイントはそうだな……山口県萩市沖としよう……………頼むぞ』


佐伯湾提督『…はぁ。秘密を知ったお前が悪いんだ…それと赤城はどうすっかな……空母を無くすのは惜しいが、また出撃や建造で迎え入れ

     ればいいか………さて、俺も舞鶴に行くか。榛名の最期を見届けないとな』



 青葉はそこで映像を切った。



赤城「なんてこと……」



青葉「朝目が覚めてから防犯カメラの映像を見てて…そしたらこの映像を見つけたんです………このままでは榛名さんが危険です!!赤城さ

  んもどこかに身を潜めてください!!」


赤城「……私も海から舞鶴に向かいます」


青葉「無茶ですよ!!それに……青葉たちの艤装にも……」


赤城「えぇ……爆弾が仕込まれています…ですが……私は空母です……いくら私が敵に回っているとはいえ、空母好きの提督が私の艤装に爆

  弾は仕込まないと思いますよ」


青葉「それは……そうかもしれませんけど………」


赤城「……後、頼みます」



 青葉が見た赤城の顔………凛々しくも、何か覚悟しているようだった。


 青葉だって察している。恐らく赤城の艤装にも爆弾は仕込まれている。赤城も同じように思っているだろう。


 それでも赤城は青葉には『仕込まない』と言い切った。


 そして最後の言葉……万が一、自分と榛名の身に何かあっても後は頼むということだ。


 赤城が佐伯湾泊地に着任してから約半年……着任順では青葉の方が先輩だ。


 赤城が着任した当時は既に一航戦『加賀』、二航戦『飛龍』『蒼龍』、五航戦『翔鶴』『瑞鶴』が着任しており、皆練度は高く、特に二航戦は2人とも『改二』になっていた。


 そんな中…赤城はこの半年間で周囲との差を埋め、さらには追い越していった。


 今では空母のリーダー格でもある。誰も彼女には顔が上がらない。


 誰にも頼らず、孤高に高みを目指してきた赤城が初めて他人を頼った。他人に願いを託した。



青葉「……お任せください。無事に帰投してきてください」


赤城「はい」



 赤城は寮を飛び出し、特警隊の目をかいくぐって艤装を展開。舞鶴鎮守府へと向かった。




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 それから2時間後、舞鶴鎮守府では演習を終えて佐伯湾泊地の艦娘達は燃料の補給を行っていた。



舞鶴提督「やぁ。久しぶりだね。士官学校以来かな? いきなりごめんね。急に演習頼んじゃって……駆逐艦達の訓練になればと思ってさ……

    ほら、私んとこ秋月型いないからさ……良い演習になった。助かったよ。相変わらず空母の運用だけは上手だよね」


佐伯湾提督「恐縮です……」



 舞鶴と佐伯湾の提督達が執務室でお茶を飲んでいた。



舞鶴提督「昔から変わってないよね。空母ばかりの編成で……」


佐伯湾提督「空母が好きなので」


舞鶴提督「でもさ……そこまで空母にこだわって運用してたらさ……ボーキサイト足りる?」


佐伯湾提督「えっ…えぇ……何とかギリギリですけどね……キツキツでやってます……あ、あはは……」


舞鶴提督「……ならいいけど」



 佐伯湾提督と舞鶴提督は士官学校の先輩後輩の仲だが、佐伯湾提督は舞鶴提督の事が苦手だった。


 彼女は勘が鋭いからだ。



舞鶴提督「この後はどうするの? 大分から来たんだし……もう少しここにいる?」


佐伯湾提督「島根で貨物船の護衛任務が急遽入ったんですよね…ここに来ている娘達にお願いしたので帰りますよ」


佐伯湾提督にとってここにいるなんて考えは微塵もない。付き合い上お茶をしているが、正直な所帰りたいと言う思いでいっぱいだ。




  コンコン…



 

 執務室の扉を叩く音がした。



舞鶴提督「どうぞ」


?「失礼します。佐伯湾泊地の娘達の補給が終わりました」


舞鶴提督「わかったよ。教えてくれてありがと……古鷹も今日は秘書艦業務終えていいよ。ごめんね…折角の休みだったのに……」


古鷹(舞)「いえ! 大丈夫ですよ。では、失礼いたしました」


佐伯湾提督「私もこれで失礼します」


舞鶴提督「お疲れ様」



 佐伯湾提督が鎮守府を出て波止場に向かうと、蒼龍と榛名が待っていた。



榛名「お疲れさまです……」


佐伯湾提督「お疲れ。ほんと…大丈夫か? 元気ないぞ」


榛名「大丈夫です…」


佐伯湾提督「本当か? まぁ…大丈夫って言うならその言葉信じるぞ。それじゃ、貨物船護衛頼む。俺は新幹線で先に帰ってるから。何かあっ

     たら連絡してくれ」


飛龍「了解!」




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 演習を終えて佐伯湾泊地へと帰港途中。一度島根県沖で停泊している貨物船と合流した。


 天気予報通り少しづつ空模様が暗くなり、風と波が次第に強くなってきていた。



飛龍「やっぱり荒れてきたね……」


蒼龍「何も無いと良いけど……」


榛名「・・・。」


金剛「榛名ー?」


榛名「はいお姉さま!」


金剛「大丈夫? 榛名朝から元気ないネー…」


榛名「大丈夫……です……」


金剛「そう?……何かあったらすぐに言うデース!」


榛名「はい…」



 榛名は昨日の事を引きずっていた……


 それもそのはず。信頼していた上司……提督に『眼中に無い』と言われれば誰だって落ち込む。



瑞鶴「翔鶴姉ー。今どの辺?」


翔鶴「もうすぐ山口県沖に入るわね」


瑞鶴「行くときに思ったけどさ……やっぱ遠いよ。大分から京都まで……」


金剛「護衛艦が故障だから、仕方ないネー...」


蒼龍「だとしてもさぁ……きちんと整備しといてよね……まぁ、私達の所には明石と夕張がいないから仕方ないけどさ……」


飛龍「提督も、護衛艦の操舵は出来るけど、整備の知識は空っきしだからね……」


瑞鶴「えっ!? それじゃあ今まで誰が整備してたの?」


翔鶴「特警隊の人よ。あの人、元自衛隊で護衛艦の機関員だったらしいから」


瑞鶴「へー……」


榛名「・・・。」



 榛名はこの後に起こる事態を予想する事も出来なかった…




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赤城「はぁ……はぁ……」


 

 赤城は全速力で榛名達がいる方へ向かっていた。


 関門海峡をくぐって、山口県長門市沖へとたどり着いていた。



赤城「間に合ってください……」


  

 赤城は必死に至急無線を送っていた。


 時は一刻を争う。届け……届けと……赤城は祈るように無線を送っていた。


 すると……




  『………こちら蒼龍』




赤城「!?」

  



===============================================================




 その頃、榛名達は山口県入りして萩市沖にたどり着いていた。



瑞鶴「山口県か……静かな所だよね……空と海は大荒れだけど……」



 萩市沖に着いた頃には暴風雨となって、波が荒れていた。



翔鶴「でも美味しい食べ物とか有名じゃない。河豚とか瓦そば、けんちょうとか……萩だって夏みかんが有名だったはずよ」


金剛「翔鶴詳しいですネー」


翔鶴「いつか行けたらなーって思ってまして……周南市という場所には鶴が飛来するらしいので……」


瑞鶴「それほんと翔鶴姉!! 今度一緒に行こうよ!!」


翔鶴「えぇ!」


蒼龍「!!………至急無線傍受!繰り返す!! 至急無線傍受!!」



 蒼龍が至急無線を傍受した。



蒼龍「こちら蒼龍!!こちら蒼龍!!応答願う!!」


飛龍「内容は!」


蒼龍「……貨物船護衛中の艦隊。応答せよ……繰り返す。 貨物船護衛中の艦隊。応答せよ……」


金剛「誰からデース?」


蒼龍「分かりません………こちら蒼龍。只今、貨物船輸送中………………………そんな!」



 蒼龍の顔が一気に青ざめる。



翔鶴「蒼龍先輩!? どうしたんですか!?」


蒼龍「………其方らの護衛する貨物船……爆発の恐れ有り……」


飛龍「はぁっ!?」


蒼龍「爆発予想地点……山口県萩市沖………」


瑞鶴「って、ここじゃんか!!」


蒼龍「……至急、その場から離れたし……繰り返す……その場から離れたし……あ……か……ぎ……えっ!? 赤城さん!?」


飛龍「ねぇあれ!! 遠くからこっちに向かってるの赤城さんじゃない!?」



 飛龍は視界不良の中、進行方向の先から艦娘がこっちに向かっているのを視認した。



赤城「皆さん! 直ぐに離れてください!!」



 赤城は必死で叫び続けた。



瑞鶴「この声……赤城先輩!」


蒼龍「……赤城さんを信じよう……よし、全員貨物船から離れて!!」


艦娘’s「「了解!」」



 皆一斉に貨物船から離脱した。


 ……1人を除いて。



榛名「・・・。」



 榛名だ。


 昨日の事を考えていて、蒼龍の指示が耳に入っていなかった。



  金剛「榛名!」


  飛龍「榛名さん!! 貨物船から離れて!!」


  榛名「……!?」


 

 榛名は皆に遅れ、慌てて貨物船から距離を取ろうとする。


 その瞬間だった。



  

  バァァン!!




榛名「きゃっ!!」



 榛名の艤装が突如、爆発を起こした。


 榛名は艤装を操る力を失い、海上に膝をついてしまった。



金剛「榛名!!!」


赤城「まずい!!」



 赤城は全速力で榛名の救助に向かう。   



榛名「やっぱり……榛名……消されてしまうのですね……」


赤城「消されてたまるもんですか!」



 赤城が榛名の手を引っ張って無理矢理にでもこの場から離脱を試みた。


 その時……




  ドォォォォォン!!!!!!!




 貨物船が轟音と共に大爆発を起こした。



赤城「!?......ここまでですか……」


榛名「ごめんなさい……」


赤城「貴方の所為ではありませんよ……後は青葉さんに託しましょう」


榛名「はい…」



 赤城と榛名は爆発に飲み込まれた。



金剛「榛名ー!!!!!」


空母’s「「赤城さん!!!!」」



 その後、海保と警察、消防が到着。貨物船は消火が終わると同時に沈没……貨物船の乗員は半数が遺体で発見された。赤城と榛名の両名は懸命な捜索が行られたが、発見には至らなかった……




===============================================================



東雲「……そうだったのか……あの爆発はお前らが関わってたのか」


 

 東雲は赤城と榛名の話を聞いて驚愕する。



赤城「すみません……今まで話せなくて」


榛名「ごめんなさい……」


 

 赤城と榛名は東雲に頭を下げた。

 


東雲「顔を上げてくれ……まさかこんな事になってたとは……」


榛名「記憶が戻るまでは……完全に忘れてしまってました……」


東雲「いや……思い出してくれて、そんで俺に教えてくれてありがとう……その後の佐伯湾提督については何か知ってる?」


赤城「少し前にテレビで見ました。変わらず提督を続けています」


東雲「……摩耶……だっけ? その娘達が心配だな……よし、大淀の所に行こう。赤城、この件を簡潔でいいからメモにまとめてくれ」


赤城「了解」

 



===============================================================




 建設現場では皆作業を再開していた。


 大淀は東雲の基地に関する変更を受け、予算の再計算をしながら総長からの電話を対応していた。



鞍馬総長『大淀! 東雲の提督着任に関する辞令が下りた!! 俺の名で各鎮守府や泊地に通達するから。そのように東雲にも伝えておいてく

    れ。それと、東雲の階級は特例で『大佐』から『中将』になった!』


大淀「了解しました」



 大淀は建設予算の再計算を再開した。



東雲「大淀ー!」



 プレハブ小屋の外から東雲の声がした。


 大淀が外に出ると、丁度目の前に東雲がいた。


 榛名と赤城も一緒だった。

  


大淀「大佐! 丁度良かったです。たった今辞令が交付されました。今日よりこの新基地の提督です。それと階級は『中将』になりました」


東雲提督「そうか……尚更ちょうどいい。鞍馬総長の内線番号を教えてくれ! 今すぐ!」


大淀「えっ……あ……はい。分かりました」



 大淀は海軍軍令部の電話番号と、総長室の内線番号を東雲に教えた。




  プルプルプル……プルプルプル……




鞍馬総長『はい。総長室』



東雲提督「総長。俺です」



鞍馬総長『東雲か! 大淀にお前の辞令が交付されたと聞いたか?』



東雲提督「えぇ…さっき聞きましたよ。それで……この基地には俺以外の軍人の着任がありますか?」



鞍馬総長『あぁ……特警隊の者を派遣しているぞ。俺達がよく知ってる奴だ。特警隊と兼務で医療室を担当してもらい、お前が不在の時は副

    司令官として動いてもらうことになっている。他にもう1人着任させるからお前入れて軍人は3人だな』


 

 自分が良く知っている奴……特警隊…………医療…………東雲の頭の中には1人の顔が浮かんでいた。



東雲提督「………芹沢ですね」


鞍馬総長『その通り。もう時期そっちに着くころだと思うが』


東雲提督「……総長。お願いがあります」


鞍馬総長『なんだお願いなんて……気持ち悪い』


東雲提督「……事情がありまして、今から佐伯湾泊地に向かいます。芹沢にはここに着き次第、提督としての権利を一時的に委譲。そして特

    警隊を佐伯湾泊地に派遣してください。間に合わなければ陸軍から憲兵でも構いません」


鞍馬総長『……何かあったのか?』


東雲提督「時間が惜しいので、内容はメモ書きにして大淀に渡しておきます。大淀から聞いてください」


鞍馬総長『……わかった。お前が動くってことは……何かあったんだな。よし、すぐに特警隊を派遣する。芹沢には俺から連絡したおこう』


東雲提督「……助かります。特警隊には俺が合図するまで佐伯湾泊地の周辺で待機するよう伝えてください。憲兵も同様に」


鞍馬総長『わかった。そのように連絡しよう。佐伯湾泊地まではどうやって行くつもりだ?』


東雲提督「……私有車で行きます」


鞍馬総長『今は1500か……それだと日が暮れるぞ』


東雲提督「その方が助かります……夜の方が動きやすいですし……それに目的は佐伯湾泊地所属の艦娘以外の者……提督と特警の確保ですの

    で」


鞍馬総長『おまっ……今何て言ったか!?』


東雲提督「じゃ、そゆことで」


鞍馬総長『ちょっ……おい!!』


 

 東雲は電話を切った。



大淀「……提督? 今何て……正気ですか?」


東雲提督「あぁ、正気だよ。詳しい事はこのメモを見てくれ。後で芹沢っていう『やかましい奴』が来ると思うから、俺が帰ってくるまでは

    そいつに提督権限を委譲する。大淀はそいつのサポートを頼む」


大淀「えっ……あ……はい……わかりました……あと、芹沢隊長はそこまでうるさくは無いですよ」


東雲提督「なんだ、面識あるのか…………じゃあ、ちょっと出かけてくるわ。芹沢によろしく伝えといてくれ」



 東雲は大淀に、さっき赤城が『佐伯湾の裏』についてまとめたメモを渡して自宅に戻って行った。


 榛名と赤城もそれに続く。



大淀「……一体何が……どうなってるの?」



 大淀は渡されたメモを確認する。



大淀「………えっ!?………総長に連絡しないと!!」



 大淀は急いで鞍馬総長へ電話をかけた。



===============================================================



 赤城と榛名は倉庫に戻って艤装を回収した。


 東雲は自宅にある地下倉庫にいた。



東雲提督「……まさか、これを使うことになるとはな……」



 地下倉庫にはクローゼット1台と2段の小さい箪笥1台が置いてあった。


 東雲がクローゼットの扉を開ける。


 そこには東雲が海軍にいた時……『105部隊』時代の戦闘服一式が入っていた。


 『105部隊』の戦闘服は黒色の制服で、背中には菊紋とその背面には『深滅』という文字が刻印されている。


 東雲はそれに着替え、帯革を装着。箪笥を引き出して9mm拳銃を装備。


 さらに太刀型の軍刀を携帯して、地下倉庫を出た。


 外に出ると、艤装を装備した赤城と榛名が待っていた。



東雲提督「……悪い。待ったか?」


赤城「いえ、大丈夫ですよ」



 2人とも艤装を装着しているのを見ると、やっぱり艦娘なんだなと思った。



東雲提督「……その艤装どうするつもりだ?」


榛名「はい! 収めます!」


 

 榛名の発言に『は?』と思ったが……


 2人は突然装着していた艤装を消した。



東雲提督「……どういうこと?」


赤城「艤装を装着していれば、展開と収納が自在にできるんです。先程の大淀さんや明石さんみたいにですね……まぁ。艤装が正常に作動し

  ていればの話ですけど……」


東雲提督「なるほど……よし、行こう。作戦はいたって簡単だから。車の中で説明する」


赤城・榛名「「了解!!」」



 東雲たちはC〇-8に乗って大分県佐伯市へと向かった。




―続―


後書き

次回。

東雲と赤城、榛名は佐伯湾泊地がある大分県佐伯市へと向かう。

東雲たちは佐伯湾提督を捕えることができるのか。


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