2020-04-05 03:44:14 更新

概要

後書きは先に見ないでください。


前書き

新型コロナが収まる気配がまったくないんですが…。就活が…。


どのくらい走ったんだろう。どのくらい遠くに来たんだろう。今頃、優香たちはどうしてるだろう。


そんな事を、ベンチに座って考えていた。


自分自身が嫌になった。優斗の事ばかり考えすぎて、妹たちの事はほとんど後回しにしてしまった。

そのせいで、妹である咲は…。優斗に怒りをぶつけるという事が起きてしまった。…あってはならない事だ。


そして、私は…。逃げ出した。



ーーどこかの公園にてーー

白露「…」


白露(どうしよう…。逃げてきたのはいいけれども…。どうすればいいんだろう…)


そもそも、ここが何処かよく分からない。そう考えると、私はかなり遠くに逃げてきたみたい。


白露「はぁ…、私…。お姉ちゃん失格だなぁ…。咲がどうなるか予想はついたかもしれないのに…」


下を向いたまま、動けなかった。けれども、少し経つと雨が降ってきた。


白露「あ、雨ぇ…? ど、どうしよう、傘持ってきてないし…。とりあえず、雨宿り出来るところ探さないと…」


??「あ、茜~」


白露「え…。お、お姉ちゃん!?」


朱里「お姉ちゃんですよ~。まぁ、今はそんな事は置いといてっと…。とりあえず、着いてきなよ」


白露「え、あ、うん…」


私は、お姉ちゃんの言われるがままに着いていった。着いていくと、そこには優斗や祐樹の鎮守府よりかは少し小さい鎮守府に着いた。


白露「ここって…」


朱里「私の鎮守府だよ~。まぁ、いいから早く入りなって。びしょ濡れになって風邪ひくわけにはいかないでしょ?」


白露「う、うん…」


そのまま、お姉ちゃんの鎮守府へと入っていった。入ってからすぐに、大浴場へと連れて行かれた。


朱里「とりあえず、ゆっくりお風呂にでもつかってゆっくりしなよ。…事情は分かってるから、話は後で、ね?」


白露「う、うん…。あ、でも着替えがない…」


朱里「じゃ、ここに替わりになりそうな服置いとくよ。とりあえず、今はゆっくりしなって」


白露「う、うん…」


お風呂でゆっくりと過ごした後、執務室へと向かった。そこでは、お姉ちゃんが駆逐艦の娘と一緒にいた。


響 「だから、司令官…。頭を事あるごとに撫でるのはやめてって言ったじゃないか…」


朱里「響ちゃんが可愛いから、仕方ないの~!」


暁 「響ったら、そんな事を言ってる割には、喜んでるじゃない!!」


雷 「まぁ、どこかの1番艦さんは頭を撫でられたら喜んでないフリして、部屋に戻ったら喜んでるけれどもね」


電 「どこかの誰かさんは、なのです」


暁 「そ、そんな事はやってないわ!!」


雷 「あら? 私と電は、どこかの、としか言ってないわよ?」


暁 「あっ…」


朱里「も~。暁ちゃんは素直じゃないんだから~」(暁の頭を撫でながら)


暁 「あ…。ちょ、ちょっと!! 頭を撫でないでよ!!」


白露「…。あの~。入っていいですか?」


朱里「あ、茜~。入っていいよ~。暁ちゃんたちは、一旦部屋に戻っててね」


暁たち「は~い」


暁たちが部屋に戻っていく。部屋には、朱里と茜の2人だけになった。


朱里「さて、と…。じゃあ…」


白露「その前に聞きたいんだけれども…。なんで、私を見つけれたの…?」


朱里「ああ、それね。祐樹から連絡があってさ~。茜が鎮守府から逃げ出したってね」


白露「逃げ出したって…。まぁ、そうかもしれないけれどもさ…」


朱里「…優斗、記憶なくしちゃったんだよね」


白露「…」


朱里のその一言で、空気が一気に変わる。優斗の事が、脳裏に浮かぶ。


白露「うん…。何やっても…。思い出せないみたいで…」


朱里「うん」


何故か、言いたい事がスラスラと口から出てくる。


白露「頑張っても、頑張っても…。結局は無駄になっちゃって…」


朱里「うんうん」


白露「それで、咲たちの事を見れなくて、ゆーくんを傷つける事になっちゃって…」


ギュッ。


白露「…え?」


朱里「もう、それ以上言わなくてもいいよ。それ以上言ったら…。茜、壊れちゃいそうだったから」


朱里が更に力をこめて抱きしめる。同時に、茜の頬を涙が流れ落ちた。


朱里「今日は…。我慢しなくてもいいんだよ。むしろ…。一人でよく頑張ったね。茜。だから…。今だけは、思いっきり泣いてもいいんだよ」


白露「お姉、ちゃん…。私、わたしぃ…。うわぁぁぁ…」


朱里「よしよし…」


茜の頭を、朱里が優しく撫でる。

茜は、ずっと我慢して来た。自分が泣いていたら、妹たちが心配するから。支え合うって、約束していたけれども…。

妹たちに頼りっきりにするわけにもいかないと思って、結局我慢した。

けれども、いつまでも耐えれるわけもない。そして、逃げ出した。


朱里「まったく…。困った時は、誰か頼れる人に助けてもらえばいいのにね…」


白露「うう…」(´Д⊂グスン


朱里「まぁ、とりあえず落ち着くまで、ここでゆっくりしていきなよ」


白露「うん…」


朱里「あ、あと言い忘れてたんだけれどもさ。しばらくの間はこっちの鎮守府にいてもいいってさ」


白露「え…?」


朱里「いや、祐樹から電話あったんだけれどもね。茜がお風呂入ってるとき」


白露「うん」


朱里「祐樹曰く、しばらく休養する期間を設けておいた方がいいと思うってさ。まぁ、私も同意見なんだけれどもね」


白露「でも…。あと、少ししかないんだよ!? 優斗が鎮守府からいれなくなるまで…」


タイムリミットの4月5日まで、もう数日しかない。


朱里「それは…。なんとかしてみせる!!」


白露「雑すぎる!!」


朱里「ウソウソ。冗談だって…。ちゃんと、情報収集はしてるから…。けれども、どれほど効果があるかは分かんないけれども…」


白露「大丈夫、なの…?」


朱里「まぁ、うん…。頑張ります」


白露「えぇ…」


朱里「とりあえず、今日はここに泊まっていきなよ。外も暗くなってきたし、天気もあんまり良くないからね…」


白露「うん…」


白露(大丈夫かな、優香たち…。みんな、置いてきちゃったし…。特に咲は…)



ーー優斗の鎮守府ーー

優斗「…」


ありとあらゆる本を読んだ。白露さんが、教えてくれた所に何回も行った。けれども、なぜ思い出せない!?

なんでこんなに使い物にならないんだ、僕の脳みそは!!


優斗「クソっ! クソっ!! クソがぁ!!」


祐樹「落ち着け、優斗!! そんな事しても何にも思い出せないぞ!!」


優斗「けども!! 僕の所為で、白露さんたちは、傷ついてしまったんですよ!!」


祐樹「そう、だけれども…」


優斗「…明日から、もう一度行った事のある所を回って見ます」


祐樹「そ、そうか…。じゃあ、俺も使えそうな資料とかを探してみるよ…」


優斗「すいません…」


祐樹「…無茶だけはすんなよ。お前がやられちまったら、白露が悲しむからな」


優斗「はい…」



翌日から、様々な所を再び回り始めた。けれども、何も僕の頭には浮かんで来なかった。

白露さんは、朱里さんの鎮守府でしばらくは過ごしていた。恐らく、心のダメージが深かったんだろうな。



…そして、遂にきてしまった。4月5日が。



(4月5日)

優斗「…」


祐樹「悪いが、今日が…」


優斗「分かってます。けれども…。粘れるところまで粘ってみせます」


祐樹「…そうか」


優斗「その前に、一つだけ聞きたい事があるんですが…」


祐樹「ん? 何かあったのか?」


優斗「この机の、ここの引き出しだけ鍵がかかっているんですが…。僕が鍵を隠して置きそうな所って分かりますか?」


祐樹「それは…。分かんねぇ。あ、もしかして金庫とかに隠してんじゃねぇか?」


優斗「金庫? あ、引き出しの下に…。でも、パスワードが分からないんですよね…」


祐樹「困ったなぁ…。とりあえず、俺も考えてみるよ。お前は、外に行ってきな」


優斗「はい…。じゃあ、金庫とかの事が分かったら連絡お願いします」


祐樹「オッケー」


優斗「じゃあ、行ってきます」


優斗が鎮守府を後にした。その時間をほぼ同じ時間に、白露と朱里が鎮守府に向かい始めた。


朱里「…ホントにいいの?」


白露「もう二度と、優斗に会えなくなるよりかは…。マシだから」


朱里「今日が最後のお別れになるかもしれないけれども、ね」


白露「うん…」


更に時間が経つ。時間は、お昼を過ぎた。


祐樹「クッソ…。パスワードがさっぱり分からん…」


朱里「祐樹~。いる~?」


祐樹「いるけれども…」


朱里「あの後、何か進展はあった…?」


祐樹「…。残念だけれども…」


朱里「そう…」


白露「…」


朱里「茜…」


祐樹「…」


執務室に、重い空気が漂う。完全に絶望的な感じだ。

そのまま、執務室から出る事は出来なかった。



~~~~~~~~~~~


更に時間が経過した。もう、太陽が沈み始めてきている。


祐樹「ヤバい、な…」


朱里「…」


白露「…」


食堂に移動したのはいいものも、食事がのどを通る気もしない。それは、白露以外もだ。

そもそも、この鎮守府にいる全員がそうだろう。



ーー執務室ーー

優斗「あれ…? 誰もいない…。まぁ、そうだろうなぁ…」


結局、何も思い出せなかった。


…僕は、無力だ。


優斗「最後のあがきも無意味だった、か…」


天井を見上げる。けれども、何も思いつかない。


優斗「はぁ…。窓でも開けるか…」


窓を開けようと、椅子から立ち上がる。その時、机から何かが落ちた。


優斗「あれ…。これって…。カレンダー?」


カレンダーを見ると、4月5日のところだけ赤い丸が付いていた。


優斗「なんだこれ…? あ、もしかして…」


金庫の鍵に4と5を入れてみる。


優斗「まぁ、開くわけないだろうけれど…」(0405と入力する)


ガチャ。


優斗「え?」


開いた。あっさりと。


優斗「適当だなぁ…。僕。あれ…。何か入ってる。これって…。ノートと…、鍵だ。もしかして、この鍵は…」


金庫の中には、ノートが数冊あった。そこから鍵を取り出すと、引き出しの鍵穴に刺す。すると、すんなりと開いた。


優斗「開いた…」


そこには…。


優斗「これって…。まぁ、一旦これは置いておこう。後は、このノートたちか…」


ノートを開く。


優斗「これ…」





そのノートを見てからすぐに。





「俺」は。





数冊のノートと、引き出しに入っていたモノを持って、走り出した。





ーー食堂ーー

大淀「元帥さん!! 大変です!!」


祐樹「どうかしたのか!?」


大淀「大変です!! 提督が…。提督が執務室からいなくなりました!!」


祐樹「はぁ!? アイツ、執務室から脱走したのか!?」


朱里「いや、脱走は可笑しいでしょ…。けれど、何処かに行っちゃったら大変じゃ…


祐樹「全員、優斗を探せ!!」


艦娘たち「了解!!」


白露「ゆう、と…?」



月が、空に浮かんでいた。雲一つない、いい天気だ。最後の夜。



起こるのは、奇跡か。それとも、絶望か。



後書き

優斗は何処に行ったのか。
茜はどうなるのか。

いよいよ終幕。


次回、最終回。「優斗と茜」

この物語は、これで終わりを告げる。


このSSへの評価

2件評価されています


SS好きの名無しさんから
2020-04-02 22:27:03

SS好きの名無しさんから
2020-03-31 11:51:09

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SS好きの名無しさんから
2020-04-02 22:26:56

SS好きの名無しさんから
2020-03-31 17:46:39

このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2020-03-31 17:50:33 ID: S:icMZ5D

始まりがあれば終わりがくる。
ついに来てしまったのかと言う感じですね。
次回も楽しみですけど、
いろいろと大変な時期ですので、
体調に気をつけてください。

2: 白露型提督になりたい 2020-03-31 19:42:16 ID: S:-6Uq_p

※1
次回も頑張ります!!


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