2020-08-01 19:15:52 更新

概要

3作品目です
相変わらずの更新速度になると思いますが、よろしくお願いします
多少のキャラ崩壊はあるかも

何かご指摘があればじゃんじゃんお願いします



前書き

一応の注意書きをば
・深海棲艦の正体に関する独自の考察が含まれます。できるだけゲームやアニメ、劇場版からの設定を順守しているつもりですが、一応のご理解もご了承をお願いします
・オリジナル武装が登場します。そこまでぶっ飛んだものはありませんが、ご了承ください。


......もう限界だ


そんな言葉が口をついて出る


時津風「しれー?なんか言った?」チラッ


提督「い、いや......何でも」ハァ


もう俺にはあの頃の気持ちはほとんど残っていない。


艦娘の建造結果に一喜一憂することも、海域の攻略方を必死になって学ぶことも、資材がないと嘆くこともない。


未だに続けているのは艦娘達の労いぐらいだ。だがそれも


時津風「......最近、司令構ってくれないよね...」


提督「.....すまん」


.....最近はやれていないのが現状だ




プルルルルル ガチャ


提督「こちら、呉鎮守府です」


大将A「大本営だ、今月もまた君らの鎮守府が最下位じゃないか、何をしているんだ?」


提督「申し訳ありません」


大将A「こんなことだったら前の提督の方がよかったな、少なくとも戦果は君よりよかったからな」


提督「.......」


大将A「来月こそは最下位を脱却しろ、以上だ」


ガチャ


前の提督の方が良い......か


確かに軍人としてはその通りだろう。ロクに出撃はせず、任務も日勤のものばかり。だが俺は断じて危険と判断した任務はやらなかった。何故なら....



艦娘を失うことが嫌だったからだ



軍学校では艦娘は兵器であると教えられた。優しく接することはせず、高圧的に接し反乱させる気を無くせとも教えられた。しかし、実際に鎮守府に派遣されて候補生として過ごすうちに、艦娘は人である、と思うことしかできなくなってしまった


モヤモヤーン(回想スタート)



3年前 呉鎮守府



提督(候補生)「今日からこの鎮守府で学ばさせて頂きます、黒柳徹男です!よろしくお願いします!」ビシッ


元呉提督「うむ、よろしく頼む」ビシッ


提督「では、何をすれば良いでしょうか?」


元呉提督「それじゃ、鎮守府の掃除を頼む」


提督「掃除......ですか?」


元呉提督「そうだ、私の言う事が聞けないと?」


提督「失礼しました!それではやって参ります!」ダッ


ガチャ バタン


元呉提督「.....ププッ」


元呉提督「あんなガキにこの立場を渡してたまるものか」


元呉提督『大本営め.....私の不正に気づいたのか?それであのガキを寄越した.....まぁヤツには適当に雑務でもさせときゃいいか』




提督「さて....どこから始めるか.....」


提督『それにしても、艦娘の姿がないな....前見学に行った鎮守府ではもっと和気藹々としてたんだがなぁ』

ジャー



提督「よし.....まずはここの廊下から....」


??「ひゃっ!?」ガッ


提督「うおっ!?」フラッ


バシャーン!


提督「.......」ビチャビチャ


??『白い制服.....まさか!?』


??「も、申し訳ありません!」


提督「.....」スッ


??『また叩かれる!』ビクッ


フキフキ


提督「大丈夫か?ごめんな、服濡らしちゃって」


??「え......?」ポカーン


提督「あ、名前言ってなかったな。俺は今日からここで提督業を学ばせてもらう黒柳徹男だ!よろしく頼む」


??「候補生の方でしたか!本当に申し訳ありませんでした.....」ペコ


提督「それはもういいって、曲がり角を気にかけなかった俺に責任があるし。っと、そういえば君の名前は?」


親潮「陽炎型駆逐艦四番艦、親潮です!よろしくお願いします」ビシッ


提督「よろしくな。それじゃ、俺はそろそろ掃除に戻るから」


親潮「はい、それでは!」クルッ


提督「.....?」


ガシッ


提督「待った」


親潮「え?」


提督「その痣は?深海棲艦の攻撃で痣がつくとは思えないんだが.....」


親潮「!.....これは、その、ぶつけたんです」


提督「そうか.....そうだ」ゴソゴソ


提督「ちょっとスーッとするぞ」ペタ


親潮「っ、これは?」


提督「湿布だ、お前さんたちは海でよくやってくれてるんだろ?それをバックアップするのが俺たちの仕事だと思ってるからな。もっとも、まだ見習いなわけだが」


親潮「!ありがとうございます!」ポロッ


提督『涙?』


親潮「あ、すいません.....それでは!」ダッ


提督「行っちまったか.....」


提督『それにしても....何で泣いたんだ?』



夜 食堂



提督「今日からここで研修をする黒柳徹男だ、よろしく!」ペコ


元呉提督「挨拶は済んだか?」


提督「あ、はい。時間取ってしまって申し訳ありません」


元呉提督「明日も早くから仕事してもらうからな、早く食べて寝ろよ」


提督「了解しました」


元呉提督『なんか感じ悪いなぁ』




翌日


元呉提督「今日は倉庫の資材整理だ、やる事はこの紙に書いてあるから、よろしくー」


バタン


提督「さて、今日もやりますかねーっと」



呉鎮守府 資材集積所



提督「おー、ここかぁ」


提督「さてと、何をすればいいのかなっと.....」ペラ


紙 白紙


提督「(やる内容が)入ってないやん、どうなってんのこれ(困惑)」


提督「妖精さん助けて!」


妖精「よびました?」


提督「あ、ここの妖精さんですか?」


妖精「はい、ここのしゅうせきじょのかんりをしてます」


提督「俺は候補生の黒柳徹男だ、よろしく頼みますよ」


妖精「よろしくおねがいしますー」


提督「早速なんですけど、提督にここの手伝いをしろって言われて来たんですけど....この司令書に何も書いてなくて」ピラ


妖精「え?....ちょっと待ってください」カチッ


ピカー


提督「文字が浮かび上がってきた!?」


妖精「ブラックライトをあてたんですけど.....なんでわざわざ?」


提督「うっかりマジックペンで書いちゃったとか?」


妖精「........」


妖精『まさか......わたしたちのおくったSOSにかんづかれましたかね?』


提督「とりあえずここで遠征の資材搬入の手伝いをしろって書いてあるし、それをやりますかね」



??「同志妖精さん、資材持ってきたよー」


妖精「はーい。こうほせいさん、さっそくしごとですよ」


提督「ほーい」タッタッタッ



??「ん?君は昨日の....」


提督「あぁ、候補生の黒柳徹男だ。君は?」


タシュケント「嚮導駆逐艦、Ташкентだよ、よろしく!同志」


提督「おう、よろしくな」


妖精「それじゃあこうほせいさん、このドラムかんをそこのたなまでもっていってください」


提督「わかった.....って重!?」ズシッ


妖精「そりゃそうですよ、それ50キロはありますし」


提督「それ最初に言ってくれよ.....」


タシュケント「えっと.....同志?」


提督「ん?」


タシュケント「妖精さんと話せるのかい?」


提督「そうだけど、それが?」


タシュケント「妖精さんと話せるのは妖精さんに懐かれた人だけなんだ。あたしが知ってる中では同志だけだよ」


提督「え、そうなの?」


淫夢妖精「そうだよ(便乗)」


妖精「さてと、まだまだありますよー?」


タシュケント「同志、あたしも手伝うよ」ヨイショ


提督「ホントか!ありがとう!」



タシュケント「うわっ!?」ガッ


提督「危ない!」ガシッ


タシュケント「ありがとう、同志.....でも.....」


提督「あぁ、鋼材のことか?拾い直せばいいさ」


タシュケント「違う....違うんだ同志」ガタガタ


提督「落ち着けタシュケント、何がそんなに怖いんだ?」


タシュケント「嫌だ....また叩かれるのは嫌だ....」ガタガタ


ガチャ


元呉提督「すごい音がしたが.....またやらかしたのか?タシュケント」


提督「提督、何故ここに?」


元呉提督「ん〜?偶々、この近くにいたからな。大きな音が聞こえたから来てみたんだが」


タシュケント「あ....あぁ.....」ビクビク


提督 チラッ


提督『あの怯えよう....仕方ない』


提督「....私が足を引っ掛けてしまいまして....鋼材をぶちまけてしまいました。申し訳ありません」ペコ


元呉提督「そうか.....なら罰を受けてもらおう。拒否権はないぞ?」


提督「.....分かりました」


元呉提督「それでは執務室に来い、待ってるぞ」ガチャ


バタン


タシュケント「ど、どうしてだい?同志」


提督「.....タシュケントの様子を見て、黙ってられる奴は人間じゃない。」


提督「タシュケントはここの片付けを頼んだ。俺は罰とやらを受けてくる」ガチャ


バタン


タシュケント「同志.......」ポロポロ




数時間後


元呉提督「そろそろいいだろう。以後、気をつけるようにな」ガチャ


バタン


提督「.....」ボロッ


提督『殴られ蹴られて3時間....ようやく終わったか』


提督『急所を狙って殴る蹴るをしてた辺り、中々にやり慣れてるようだったが.....』


提督『親潮の痣はこういう事だったのか.....』


提督『ちょっと眠いし.....このまま寝るかな』ガクッ




し!.......うし!.......同志!


提督「う〜ん.....」パチ


タシュケント「同志!良かった!」ダキッ


提督「痛え!?」ズキッ


??「タシュケントちゃん、候補生さんは怪我してるから寝かせておいてあげて」


提督「君は.....?」


明石「工作艦の明石です!医療と建造、開発を担当してます」


提督「明石か、よろしくな。この怪我は.....」


明石「......分かってます。タシュケントちゃんを庇って提督にやられたんですよね?」


提督「なぜその事を?」


明石「全部見てましたから.....偶々資材の確認に資材集積所に行っていたんです」


提督「なるほど.....」


タシュケント「同志....ごめんよ、あたしが転んだばかりに....」


提督「タシュケントが痛い思いをしなかっただけで、俺は満足だ。だから気にしなくていい」ナデナデ


明石「候補生さんの怪我はかなり重かったんですが...どういう訳か回復がすごい早いんですよね...これも妖精さんの力でしょうか?」


提督「どうだろうな.....でも、深海棲艦を倒せる武器を作れる妖精さんなら、人体の高速回復くらい出来そうだがな」


明石「とりあえず、自室で寝ててください、明日の朝からは動いても大丈夫だと思いますから」


提督「分かった」ムクッ


明石「あっ、候補生さん」


提督「なんだ?」


明石「.....あなたの事を、信じてます」


提督「へ?」ガチャ


バタン


提督「..........」


提督「一体何を信じているってんだ?」




翌日


元呉提督「今日は演習で君がどれだけ真面目に軍学校での授業を受けたか見せてもらおうと思う」


元呉提督『まぁもっとも、お前を勝たせる気はないがな。心をポッキリ折ってやれば提督になろうなんて気も失せるだろう』フフッ

 

元呉提督「私は第一艦隊の指揮を執る。君は?」


提督「そうですね....この鎮守府の名簿を見せていただけますか?」


元呉提督「そこの机の上に置いてある」


提督「そうですね.....」ジー


提督「決めました、この編成でお願いします」スッ


元呉提督「.....正気か?」


提督「もちろんです」


元呉提督「分かった、30分後に演習開始だ、準備しておけ」


元呉提督「もし私が負けるようなことがあれば、その時は何でも言う事を聞いてやるよ、精々頑張りたまえ」ハッハッハ




提督「皆集まったか?」


扶桑山城川内朝潮親潮タシュケント「集まりました」


提督「君たちを集めたのは今日の演習のためだ」


扶桑「演習相手は誰なのですか?」


提督「指揮官はここの提督、編成は大和、武蔵、赤城、加賀、北上、大井だ」


一同「.......」


山城「第一艦隊と戦う事になるなんて.....不幸だわ.....」


提督「そいつらに一泡吹かせられるとしても、か?」


一同「!?」


朝潮「そんな事ができるんですか!?」


提督「充分可能だ」


タシュケント「でも同志.....あたしたちと彼女たちじゃ、練度が違いすぎるよ?」


親潮「私も同感です....練度40の差は流石に....」


川内「しかも候補生さんは実際に指揮を執るのは初めてなんでしょ?」


提督「君たちは砲撃と雷撃、指揮官に従うことができるか?」


一同「もちろんです!」


提督「上出来だ。必ず君たちに勝利を掴ませよう」



工廠


扶桑「私達に渡したいものがある?」


提督「あぁ、妖精さんに言われたんだ」


装備妖精「あ、こうほせいさーん!」フリフリ



山城「これを私達に?」


装備妖精「はい。特殊攻撃機、晴嵐です。そうこにねむってたのをみつけたのでもってきました!」


提督「具体的に瑞雲と何が違うんだ?」


装備妖精「とくにあげるとすればぶそうですかね。瑞雲は250キロばくだん1つがげんかいでしたが、試製晴嵐をちょちょいといじった晴嵐は800キロばくだんひとつか45センチぎょらいいっぽんをのせられます!」


提督「かなりの進歩だな、とくに魚雷を積めるのはありがたい」


提督「これならより簡単に、大和型を仕留められるかもしれない」




演習場



大淀「それでは提督と黒柳候補生による演習を始めます!編成は」



元呉提督             提督


 大和              扶桑


 武蔵              山城


 北上              川内


 大井              朝潮

 

 赤城              親潮


 加賀            タシュケント


大淀「です!それでは......はじめ!」




北上「で、どーすんの?」


元呉提督「特に何も考えずいけばいいだろ。相手は二軍にも入らない奴らだぞ?特に扶桑と山城の二人は欠陥もいいとこだ。あいつはロクに勉強してこなかったらしいな」ハハハッ


艦娘たち「.......」



提督「さて、始まったか」


扶桑「どうされますか?」


提督「総員、目の前の島に張り付いて索敵機の目をかいくぐれ、張り付いたら扶桑と山城は晴嵐を発艦」


一同「了解!」





山城「敵艦隊発見したけど.....制空権が完全に取られてる以上、攻撃なんて無理よ?」


提督「航空機は飛んでなきゃいけないなんて誰がきめたんだ?」


山城「どういう事?」


提督「扶桑、山城。晴嵐を付近の島に隠してくれ。森の中が好ましいな」


扶桑「妖精さん、できそう?」


妖精「それくらいあさめしまえさ!」ブゥゥゥゥン


ズザー ピタ


妖精「ちゃくりくせいこう!」


提督「よし、そこから敵のスポットし続けてくれ」


妖精「まかされた!」


提督「川内と朝潮、親潮にタシュケントは敵艦隊に可能な限り接近、指示を待っていてくれ」


川内朝潮親潮タシュケント「了解!」



提督「さーて。扶桑、山城。敵空母に砲撃開始、中破させたら次の指示をだす」


扶桑「了解しました、主砲、撃てえっ!」ドォーン!


山城「敵を視認しないでやる砲戦というのも新しいわね!」ドォーン!



バシャーン バシャーン



大和「砲撃!?どこから?」


赤城「敵艦隊、以前見つかりません」


元呉提督「案ずるな、敵戦艦の主砲は35.6センチだ、それにまず当たるわけが.....」



ドカーン!


赤城「きゃあっ!」中破!


加賀「赤城さん!?ぐっ!」中破!


武蔵「提督!赤城と加賀が中破した!」


元呉提督「な!?奴らの主砲は初期の砲のはず.....」


北上「......たぶん三式弾だと思うよ、水柱の大きさが異常だったし」


大井「貫徹力が低いとはいえ、戦艦以外だったら貫徹できますからね」



山城「敵空母中破、攻撃能力を奪ったわ!」


提督「よし、次は敵艦隊の雷巡と戦艦の間に砲撃、水柱のカーテンをかけてやれ!」



元呉提督『クソッ、空母が潰れたせいで敵の位置が...』


大和「提督!」


元呉提督「今度はなんだ!」



海上



バシャシャシャーン!


大和「急に水柱の密度が高く....」


武蔵「北上と大井が見えなくなった.....まさか!」


大井「提督!敵巡洋艦と駆逐艦3隻に詰められてます」


元呉提督「な!応戦しろ!魚雷を寸分の隙間なく発射しろ!」





川内「敵雷巡、魚雷発射確認!」


朝潮「一列になってこちらに向かってきます!回避は間に合いません!」


提督「敵魚雷の進路に爆雷投射、誘爆を確認したら即座に突撃して敵雷巡を叩け」


親潮「りょ、了解!爆雷投射!」ポンポンポンポン


カッ バッシャーーーーン!!!


タシュケント「魚雷の破壊確認!突撃だ!Ура!」



提督「雷巡の魚雷装填には時間がかかる。雷撃能力を奪ってしまえば後は囲んで叩くだけだ」


提督「魚雷を使い切ってもいい!なるべく急いでくれ」


扶桑「提督、三式弾の残り後僅かです、弾幕が張れるのもあと3分が限界かと」


提督「タイムリミットは3分だ、気合いれてけ!」


川内朝潮親潮タシュケント「了解!」



大和「ようやく水柱が晴れた....これで北上さんたちの援護に行けます!」


北上「どうやらそれは、ちょっと遅かったみたいだね」

大破!


大井「ですね、完全にしてやられました」大破!


武蔵「.....残ったのは私達だけか。どうするんだ提督?これではいつもと同じ結果だぞ」


元呉提督「うるさい!まだお前らが残ってる。さっきの戦闘で敵水雷戦隊の魚雷は尽きた、お前らが奴らにやられる心配はない!」


大和「.......!敵航空戦艦発見!」


元呉提督「何?.....奴もぬかったな、大和型と正面から撃ち合って勝てるわけがないだろう!やれ!」ニヤ



提督「敵からの砲撃に当たらないように回避しつつ、晴嵐を全機発艦、航空機隊の到着まで耐えるんだ」


扶桑「山城、大丈夫?砲戦よ!」ドォーン!


山城「姉さまとなら!」ドォーン!



妖精「晴嵐ぜんき、こうげきじゅんびかんりょう!」


提督「了解、川内達は晴嵐隊と敵戦艦の間に対空弾幕を展開、妖精さんたちを雷撃可能距離まで守ってくれ!」


水雷戦隊「了解!」



武蔵「む?対空砲?」チラッ


元呉提督「陽動だろう、そんなことより貴様らは早くあの欠陥戦艦どもを落とせ!」



妖精「エスコートかんしゃする、こうげきたいせいにはいる!」


提督「弾幕止め!」


妖精「そこか!ぎょらいとうしゃ!」バシャン



シューーーーー



提督「奴は大和型なら扶桑たちに勝てると思っている」


扶桑山城「突撃!」


提督「狙いを定め、砲弾を放ち、装甲をぶち抜く。」


武蔵「なんだ?突然詰めてきた?」


提督「だが最も基本的なルールを忘れてはいけない」


バシャーン!


大和武蔵「!?!?」


提督「真の提督は、まず足元を警戒する」


扶桑「体勢が崩れた!」


山城「艤装下部が丸見え!」


扶桑山城「いっけぇー!」ドドーン!!




大淀「そこまで!演習は黒柳候補生の勝利です、おめでとうございます!」


ワー!パチパチ




山城「本当に勝てるなんて.....」


提督「君たちは不幸だったんじゃない。上に立つものが無能だっただけさ」


扶桑山城 キュン



元呉提督「何故だ......何故あんなガキに...」ブツブツ


提督「提督、演習お疲れ様でした」ビシッ


元呉提督「.......」


提督「それで、提督殿の何でもしてやるという発言ですが.....大本営に問い合わせてもよいでしょうか?」


元呉提督「な、何をだ?」


提督「発言したとはいえ、大本営に確認を取って置かなければと。もしかしたら問題になるかもしれませんし、駄目と言われればあの発言はなかったことにします」


元呉提督『そうだ、俺にはまだ大本営がいる。コイツを送ってきたのはたぶん憲兵だろうし、元帥が俺を簡単に切り捨てるはずがない』


ピッピッピッ プルルルルル


提督「もしもし、黒柳徹男です.....はい、はい.....げ、元帥殿!?今からそちらに向かう?わ、分かりました」


ピッ


提督「元帥殿がこちらに来られるようです。あと1時間ほどでこちらに到着する、とも」


元呉提督「分かった、準備をしておこう」




一時間後



キキーッ ガチャ バタン



提督「元帥殿、お待ちしておりました」


元帥「黒柳君か、出迎えご苦労なこった」


提督「提督は執務室におられますので、お連れします」


元帥「わかった、あとそんなに固くならなくていい。もっと気楽にいこうじゃないか」


提督「それは......」


元帥「......それでは命令だ、もっと楽にしろ」


提督「.......分かりました」


元帥「それでいい」




執務室


コンコン ガチャ


提督「提督、元帥殿がお見えになりました」


元呉提督「......誰だ?」


元帥「やあ、呉の提督君。君とは始めましてかな?」


元呉提督「まさか.....!」


元帥「前の元帥が癌で亡くなってな、変わったんだよ」


元呉提督「そんな.....申し訳ありませんでした!」バッ


元帥「いいって。あっ、そうだ(唐突)」


元帥「黒柳君、君にここの提督に着任してもらうことになったから」


提督「ファッ!?」


元呉提督「な、何故です元帥!?」


元帥「俺が元帥になってから艦娘の待遇に対して見直しが入ってね、艦娘に対する暴力は厳しく取り締まることになったんだ」


元呉提督「し、しかし!」


元帥「もちろん、君の功績はよく知っている、これまでたくさんの海域を攻略してきたことも」


元呉提督「ならば!」


元帥「だが蓋を開けてみたらどうだろう?第一艦隊を運用してまで本気で勝ちにいったのにまさか候補生に負けるなんて」


元呉提督「あ......あぁ」


元帥「これで分かったよ、君が有能だったんじゃない、艦娘達が優秀だったってことがね」


元帥「ちなみに、艦娘に暴力を働いたこともわかってる。君の処遇は追って連絡するから、とりあえず荷物をまとめて大本営の宿舎に泊まってくれ」






呉鎮守府 玄関


提督「本当に俺なんかに任せて良かったんですか?」


元帥「むしろ君でなきゃ駄目だ、妖精に選ばれた君でなきゃ」


提督「......まさか今回俺がここに研修に行かされたのって.....」


元帥「...どうだろうな?それじゃあ、ここを任せたぞ」


ブロロロロロ



提督「任せたって......まだロクに研修してないんですがそれは......」


提督「とりあえず、皆に伝えるとするか.....」




食堂



提督「ということがあって......今日からここの提督になった黒柳だ、よろしく頼む!」


提督『とは言っても、執務なんかは全く分からんわけだが』


白露「....ホントに私達の事叩かない?」


提督「それは約束する。俺も君たちの事は全く分からないから手探りでやっていくしかない。すぐに俺のことを信じなくてもいい、ゆっくりとお互いを知っていこう」


それからの日々は大変だった。前の提督のせいで人間不信になってしまった艦娘との軋轢を解消するのは本当に大変だった。だけど少しづつ信用してくれるようになり、時々笑顔を見せてくれるようにまでなっていった。



モヤモヤーン(回想終了)




ガチャ


大淀「提督.....?」


提督「あ、大淀。どうした?」


大淀「いえ.....何かお悩みのようでしたので....」


提督「.......」


大淀「鎮守府の貢献度のことですか?」


提督「.....それもある」


大淀「元帥がまた変わってから、前のような貢献度重視になりましたからね.....」


提督「一部じゃ前の元帥は今の元帥に暗殺されたとか言う話も出てるくらいだしな。まぁ、あの人の考えをあまり良く思わなかった人も多かったらしいしな」


大淀「どうして提督は最近出撃しないのですか?私達が沈まないのは誰よりも知っているのでは?」


提督「.....俺の悪い癖でな。情が湧くんだよ、敵にも」


提督「俺たちは今、深海棲艦と戦争をしているだろ?虐殺じゃない」


提督「戦果稼ぎに深海棲艦を狩る....海の平和を守るためと言えば聞こえはいいが、やってることはただの虐殺に過ぎないんだ」グッ


大淀『.....やっぱり。提督は』


大淀『優しすぎるんです.......』



提督『やっぱりもう、限界だ』



夜 食堂



提督「何故俺を誘ったんだ?曙」モグモグ


曙「何、悪い?」モグモグ


提督「いや...珍しいなと」


曙『今日こそ、今日こそ素直になるんだ!』


曙「クソ提督、その.....」ボソ


提督「そうだ、曙」


曙「私が話そうとしたのに遮るな!このクソ提督!」


提督「す、すまん.....だが一つ聞きたいんだ」


曙「何よ!?」


提督「俺がここからいなくなったらどう思う?」


曙「ふん、いつも迷惑かけられてるからいなくなったら清々するわ!」


曙『しまった!ついいつもの癖で.....』


提督「.....そうか、俺は必要ない、か」ガタッ


曙 ゾク


曙「え、あ、その....」


提督「ありがとう曙、俺のやつ食っといていいぞ」


スタスタ 



提督自室



提督「.......俺は必要ない、か」


提督「その言葉で俺は救われたよ、曙」



翌日 大本営


大将「ようやく辞めてくれるのか」


提督「はい、私はもうあの鎮守府には必要ないでしょうし」


大将「まぁせめてもの情けだ。住む土地と家くらいは用意してあるから、そこで次の職を探したまえ」


提督「ありがとうございます。あ、鎮守府の艦娘たちに、これを渡しておいてください。それでは」


ガチャ バタン




ブゥゥゥゥン キキーッ



提督「おー、ここかぁ..... ええやん」


提督「海も近く、庭付き。俺一人には広すぎるくらいだな」


提督「さーて、荷解きから始めるとするかな」




呉鎮守府 食堂


島風「提督起きてくるのおっそーい!」


時津風「確かに.....提督が寝坊なんてしないと思うし、何かあったのかな?」


天津風「.....私、見てくるわ」



提督自室



コンコン ガチャ


天津風「あなた、朝よ」


天津風『あれ?布団が盛り上がってない?』


バサッ


天津風「やっぱりいない.....一体どこに?」



食堂



天津風「いなかったわ.....」


島風「えー?じゃあどこにいるんだろ?」


あきつ丸「天津風殿、提督殿の場所を知らないでありますか?」


天津風「自室に起こしに行ったんだけど....いなかったのよね.....」


あきつ丸「そうでありますか.....今日は朝食を提督殿と食べようかと思ったのですが.....」



えぇーーー!?


天津風「今の声は....大淀さん?」


大淀「はい.....はい....」


ピッ



大淀「.....明石ぃ!」ウルウル


明石「大淀!?どうしたの?」サスサス


大淀「提督が....提督がぁ!」グスッ


一同 クルッ


ポーラ「提督にぃ、何かあったんですかぁ?」


大淀「提督が.....」


大淀「大本営に辞表を提出した.....とのことです」



提督自宅



提督「荷解きは終了、それにしても仏壇を備え付けといてくれるなんてな」


提督「.......よし、これでいい」


提督『最近ロクに墓参りに行けてないし、行ってやらないとな』


提督『........これで、艦娘の皆が死ぬことはない。これで良かったんだ....』


提督「結局また一人、か」ゴロン




墓地



提督「久しぶりだな、隆史」


墓標


提督「最近は仕事が忙しくてな......会いにこれなくてすまんかった」


提督「でもまぁ、仕事は一段落ついたんだ。そろそろ......」


提督「俺もそっちに向かうとするよ」




提督自宅 リビング



提督「これでよし、っと」ギュッ


提督『後は首にかけて、一歩踏み出せば皆の所にいける......』



提督『後一歩.......』



提督『何故だ....覚悟は決めたはずなのに.....足が動かない.....』


提督『死の恐怖は捨てたのに......!?』


その時、ふと頭に艦娘の皆の顔が浮かんだ



提督「........」


提督「..............やめだ」スッ


提督『まだ未練が残ってた.....か』


提督「父さん、母さん。そっちに行くのはもう少し先になりそうだ」


提督『艦娘の皆と直接関わらなくても、皆を手助けすることはできるはずだ。それを見つけよう』


提督「そうと決まれば早速......」


ドカーン!


提督「うわっ!?」フラッ


提督『あ、やべ。首が縄に入っちまった』


グラッ


提督『お、落ちる!』


ギリギリギリ!


提督「っ.........ぁ.......!」


提督『意識が........』ガクッ



??「提督さーん、います......か!?」


??「提督!?今おろすね!」スルスル


??「.....脈がある、早く連れて行こう!」タッタッタ


??「う、うん!」タッタッタ






呉鎮守府 会議室



長門「......」


長門「それにしても......」チラ


タシュケント矢矧鳳翔伊401「.......」


長門「集まったのはこれだけか......」


長門「他の子たちの様子は?」


タシュケント「駆逐艦寮はとても静かだったよ...島風ちゃんでさえ部屋から出てこなかったから......」


矢矧「巡洋艦寮も似たような感じよ.....酒匂も布団にくるまっちゃってて.....」


長門「そうか......」


鳳翔「それで.....何故招集を?」


長門「理由を考えたいんだ。提督が辞めた理由を」


しおい「そうだよね......なんでやめちゃったんだろ」


タシュケント「最近元気がなさそうだったのと何か関係があるのかな」


鳳翔「最近は出撃もほぼなかったですし、何か関係がありそうですね....」


矢矧「.......これ言っていいのかしら?」


長門「?矢矧、何かあるなら何でも言ってくれ」


矢矧「......大淀さんから聞いたんだけど。提督、大本営から早く出撃するように圧力をかけられてたみたいなの。それもかなり前から」


一同「!?」


矢矧「そして提督は、それを真っ向から拒否したとね」


長門「.......出撃拒否か。おそらくそれに関係が.....」


ドアバーン!


大淀 ハァハァ


鳳翔「大淀さん?そんなに慌ててどうしました?」


大淀「大本営から.....手紙が.....おそらく提督からの手紙かと.....」ハァハァ


一同「!?」


長門「分かった、皆を集めよう」


矢矧「場所は食堂でいいかしら?」


長門「そうしてくれ、大淀はここで休んでいてくれ、私が放送をしてくる」


大淀「頼みました」





????



提督「うーん......」パチ


提督『ここは.....どこだ?俺は確か.....あれ?ってことはここはあの世か?』


提督『見たところ洞窟のみたいだが.....それにしては頭の後ろが妙に柔らかいような......それに何か撫でられてる?』ムク


レ級 Zzzz ナデナデ


提督「ファッ!?レ級!?」ズザーッ!


提督『一体どういうことなの.....(困惑)』


レ級「んゆ........?」パチ


提督『あ、俺死んだな(察し)』


レ級「あれ....寝ちゃってた?そうだ... 提督は...」チラ


提督レ級 メトメガアウー


レ級「提督!良かったぁ....ちょっと待っててね、皆を呼んでくるから!」タッタッタ


提督「.......俺のことを知ってる.....のか?」




ヲ級「提督!目が覚めたんですね!」


提督「お、おう......ちょっと状況が飲み込めないんだが.....」


ル級ヲ級レ級 ジー


提督「三人は、どうゆう集まりなんだっけ?」


ル級「え、えっと.....」テレ


ヲ級「私達は......」テレ


レ級「提督に助けられたんだよ、覚えてないか?」


提督「????」


提督「(覚えて)ないです。というか深海棲艦とこうやって面と向かって話すのも初めてだからある訳がないんだよなぁ......」


ヲ級「本当に分かりませんか?」


提督「うーん、君たちと戦ったことはあるけど.....特に特別なことをした覚えなんて.....」


ル級「私、鎮守府まで行ったことあるんですけど.....」


提督「......え?まさかだけど.....あの時のル級?」



モヤモヤーン




提督「大ホッケ海北方での迎撃作戦も成功、ようやく大規模作戦も終了か.....」ノビー


提督『うーん、流石に連日の徹夜しての指揮は流石に来るものがあるな.....』


提督「艦娘の皆を労う意味も込めて、明日明後日ぐらいは休暇にしようかなー」


コンコン


提督「?いいぞー」


提督『そういや大ホッケ海北方での戦闘の後に艦娘と邂逅したっていってたっけ、その子かな?』


ガチャ


ル級「き、貴様が提督というヤツか?」


提督「.........え?」


提督『疲れてんのかな.....?何かル級みたいなのが見えるんだけど』


ル級「.........」


提督「.........」


提督『これは夢......そう、夢なんだよ!とりあえず...』


提督「よーしル級、悪いことは言わないから早く帰りなさい」


提督『海に返せば目も覚めるだろ(錯乱)』


ル級「エット.....アンゴウノショルイッテドコニアルノ?ソレガアレバカエレルカラ.....」


提督「えーっと、確かこれ」スッ


ル級「アリガト......ジャ」ガチャ


バタン


提督「......これホントに夢か?」


モヤモヤーン



提督「あの後暗号1から変えるハメになって大変だったなぁ......」シミジミ


ル級「ごめんなさい......」


提督「というかあの頃と比べてめちゃめちゃ日本語流暢になったよな?」


ヲ級「それはあの子に教えてもらいましたから」


提督「あの子.....?」


レ級「そろそろ帰ってくると思うぜ?」


くタダイマー!


ヲ級「噂をすれば.....帰ってきましたね」


駆逐棲姫「あ、司令官!目を覚ましたんですね!」ギュー!


提督「駆逐......棲姫?」


駆逐棲姫「はい!私のこと、覚えてますか?」


提督「あぁ.....足の調子はどうだ?」


駆逐棲姫「ばっちりです!明石さんには感謝してもしきれません!」


ヲ級「提督と駆逐棲姫は知り合いなの?」


提督「あぁ、いろいろあってな.....」


提督「というか聞きたいことが山ほどあるんだが、いいか?」


駆逐棲姫「何ですか?」


提督「まず、こ↑こ↓どこ?」


駆逐棲姫「ここは南太平洋に浮かぶ小さな島です、私達五人にとっては広いですけどね」


提督「南太平洋か......」


提督「次の質問、ここに至るまでの経緯を頼む」


駆逐棲姫「分かりました」


モヤモヤーン



洞窟 ヲ級の部屋



ヲ級「大本営の機密情報って案外簡単に見れるものね〜」カチカチ


ル級「私達に関係ありそうなのはある?」


ヲ級「特にはなさそうかな.....っと、更新?」カチ


ヲ級「!?」


ル級「ヲ級?どうしたの?」


ヲ級『この名前...それに所属鎮守府の名前も一緒...間違いない!』


ヲ級「ル級、皆を集めて。」


ル級「え?何かヤバいことでも見つかった?」


ヲ級「いや...寧ろ最大級のチャンスだよ」



レ級「で?何で集めたんだ?」


駆逐棲姫「かなり重要な事らしいですけど....」


ヲ級「皆、集まった?」


ル級「えぇ、全員いるわ」


ヲ級「よし、今回集めたのは.....これ見て」カチカチ


レ級「?なんだそれ」


ヲ級「これは日本海軍の機密情報をやり取りしてるところ。ここを見て」カチ


駆逐棲姫「黒柳徹男、辞表を提出.....!?」


ル級「え!?その名前って提督よね?」


ヲ級「そう、私達を助けてくれた呉の提督よ」


レ級「でも何で突然辞めたんだろうな?」


ヲ級「それは分からないけど.....提督に私達の想いを伝えるなら今じゃない?」


駆逐棲姫「そうですね。こんな機会、逃したらいつまた巡ってくるかわかりません!」


ヲ級「よし!提督の居場所も分かったし、早速行こう!」


四人「おー!」



提督宅 玄関前


ル級「緊張するわね......」ドキドキ


駆逐棲姫「久々に会うけど...私のこと覚えてるかなぁ」


ヲ級「.....よし。インターホン鳴らすよ」ポチ


ドカーン


四人「!?」


レ級「爆発!?」


ル級「見に行きましょ!」



リビング


駆逐棲姫「提督さーん、います......か!?」


レ級「提督!?今おろすね!」スルスル


ヲ級「.....脈がある、早く連れて行こう!」タッタッタ


ル級「う、うん!」タッタッタ



モヤモヤーン


駆逐棲姫「こんな感じです!」


提督「インターホン押したら爆発するとか欠陥工事もいいとこだろ......」


提督「というかそんなに大本営のセキュリティってガバガバだったのか.....(困惑)」


ヲ級「あんまり知識はありませんけど...あのPC使えば結構簡単に行けました」


レ級「なあ提督、質問していいか?」


提督「なんだ?」


レ級「なんであんな所にロープがあったんだ?まさかとは思うが...」


提督「.......」


レ級「.......なんでそんな事しようとしたんだ?」


提督「........これ、ウチの鎮守府の艦娘たちにも言ってないんだが.....聞きたいか?」


ル級「は、はい。お願いします」


提督「.....分かった。あれは俺の10才の誕生日の日だった」


モヤモヤーン



11年前



提督「焼肉美味しかったぁー」テクテク


提督母「そうね、また行きましょうね」


提督「うん!僕は大きくなったら海軍の兵士になるんだ!それで、海を守ってお金をもらえたら、お父さんとお母さんにうんと焼肉を食べさせてあげる!」


提督父「.......そうか、父さんは.....」


ブゥゥゥゥン!


提督母「きゃあ!?」


提督「トラック!?」


提督父「っ!?えぇぃ、くそっ!」ガシッ


提督「え?」ツカマレ


ブゥン


モヤモヤーン



提督「投げ出された時の両親の顔は今でも忘れられない。いや、忘れられるはずがないんだ」


提督「トラックに撥ねられた両親は二人とも脳挫傷で即死。しかも事故を起こしたトラック運転手は結局逮捕されなかったんだ」


駆逐棲姫「え?な、何故です?」


提督「トラックの運転手が見つからなかったんだ...防犯カメラもその時メンテナンス中で映ってなかったし」


一同「..........」


提督「だがこれだけなら俺はこうはならなかっただろうな」


レ級「まだあるのか......?」


提督「事故の後、俺は父の実家で過ごしていたんだが、どうも反りが合わなくてな。俺が16の時、海軍の兵士の募集があって、それに俺は参加したいといったら、二人も俺と離れられると言う事で嬉々として参加をさせてくれたんだ」


提督「.....海軍の兵学校で、あの事件は起きた」


モヤモヤーン


6年前


提督「なぁ隆史、お前はどの科に進むつもり?」


隆史「うーん、まだ決まってないんだよなぁ.....」


提督「ならさ、一緒に提督科に行かねぇか?」


隆史 ゾクッ


隆史「徹男、それはやめといたほうがいいかもしれない」


提督「そうなのか?.....もしかしてお前のよく当たる直感さんがなんか言ってるのか?」


隆史「あぁ.....まぁでも、自分のやりたいことをするのが一番だと思うぞ。お前がどんな選択肢を取ろうが、お互い仲良くやっていけばいい」


提督「.....そうだな。それじゃ、また明日!」


隆史「おう」


翌日


提督「......今、なんて?」


友人「隆史が自殺したらしい.....睡眠薬の過剰摂取らしいが.....」


提督「そんな.....でも、あいつは」


友人「分かってる.....あいつが自殺なんて考えられないよな.....」


友人「でも事実、隆史は死んじまったんだ.....受け入れないと、いけないんだ.....」ポロ


提督「っ........」ポロ


友人「.....あいつの分まで、頑張っていこうぜ」


提督「そう.....だな」


モヤモヤーン


提督「提督になった後仲良くなった元帥も、一年と経たないうちに暗殺された」


提督「これで分かったか?俺と親しくした奴は死んじまうんだ」


レ級「.....まさか提督のお父さんの親と反りが合わなかったってのも?」


提督「..........」


ヲ級「でも.....さっきの話を聞いてて、提督の過去は分かりましたけど.....提督を辞める理由が分からないんですが」


提督「.....出ちまったんだ」


ル級「え?誰かが轟沈でも......?」


提督「いや......正確には轟沈しかけたんだ」


駆逐棲姫「どういう事ですか?」


提督「艦娘同士で演習をさせてたんだが.....演習弾で艦娘は轟沈しないんだ、なのに.....」


提督「海風は...沈んだんだ...」


提督「いつでも持たせてるお守りにダメコンを入れといたから良かったものの.....」


提督「3日前だったか。あの日、忘れかけてたことを思い出したよ。」


提督「俺は一人でいなきゃダメなんだって。だから」


提督「皆も、俺には関わるな。命を落とす事になるぞ」


四人「.......」


ヲ級「......提督。私はあの時、もう一度深海に落ちる筈でした。でも私は今、こうしてあなたの前にいます」


レ級「提督にもらったこの命、提督のために使っちゃ悪いか?」


提督「.........」


ル級「提督の友人も言っていたように、自分のやりたいことをさせてもらいます」


駆逐棲姫「提督は私達と過ごすのは嫌.....ですか?」


提督「.......本当に、いいのか?」


ル級「はい。私達は貴方の全てを受け入れます!」


提督「っ......!ありが.....とう!」ポロ


提督『こんな気持ちになるのは.....鎮守府の運営に必死だった頃以来だな......』



同刻  食堂



長門「.....俺が提督を辞めた理由はこんなところだ。最後に、次の提督はもっと厳しいだろうから、頑張ってくれ。皆の健闘を祈る。提督より」


長門「.....以上だ。」


皐月「そんな...それ、ホントに司令官からの手紙なの?」


明石「筆跡鑑定もしました.....でも.....」ウツムキ


如月「そんな.....」グスッ


長門「......皆、部屋に戻っていいぞ。私も少し横になりたい」


ゾロゾロ



海風・江風の部屋


江風『姉貴から明らかに近づくなオーラが出てる...』


海風『私があの時、思いとどまっていればこんな事には......』


モヤモヤーン


海風「提督にドッキリ.....ですか?」


白露「そう!最近提督が私達の事かまってくれないでしょ?ならこっちから行ってあげようって思ったの」


時雨「でも大丈夫なのかな?」


村雨「ドッキリにかけるのに遠慮してちゃダメだと思うわよ?」


夕立「それで?どんなドッキリをするっぽい?」


白露「ふっふっふ、それは既に決めてあるぞ夕立君」


白露「その名も、喧嘩ドッキリー!」


山風「喧嘩ドッキリ......?」


白露「うん、仕掛け人はあたしと海風で、時雨達はサポート!」


海風「え!?私も仕掛け人なんですか?」


江風「姉貴、ファイト!」グッ



翌日 演習場


村雨「そろそろ提督が演習場に来るわ、準備はいい?」


白露「大丈夫だよー!」


海風「準備万端です!」


時雨「提督、こっち!」ガチャ


村雨「よし、作戦開始!」



白露「海風ェ!改白露型一番艦とか抜かしてるらしいけど、あんたは白露型の7番艦でしょうがー!」ドーン!


海風「いーや、私も一番なんですー!」ドーン!


ワーワー!


提督「な、なんであの二人が喧嘩なんて...... ?」


白露「私がいっちばん最初にスマホを使いこなしたんだからー!」ドーン!


海風「なら私はいっちばん大きな胸部装甲を持ってますー!」ドーン!


提督『な、なんなんだ!?』


提督「二人とも!なんで喧嘩してるのか分からんが止めろ!」


村雨「そろそろ戦いにオチをつけて、その後ネタバラシよ」


江風「ドッキリ大成功の看板準備完了だぜ!」


白露「了解、魚雷発射ァ!」バシュ!


海風『来た!後はあれにあたって...ネタバラシですね』


ザー ドカーン!!!




海風「......あれ?」ズブズブ


村雨「え.....?海風、なんで沈んでるの?」


白露「っ!?海風、掴まって!」スッ


海風「うぁ......?」ポヤー


海風『頭がまっしろになっていく.....』


海風『て.....ちから.....はいらない』ズブズブ


提督「っあ.......あぁ!?」


白露「ッ〜!?」


白露『海風の体.....鉛みたいに重い.....!』ググッ


ズルッ


白露「っあ!海風!」


夕立「そんな......海風.....どうして...」ポロ



ピカーッ!


一同「ッ!?」バッ



海風「......あれ?私.....?」


提督「海風!無事か!?」ザバァ


海風「てい.....とく?」


提督「とにかく陸に上がるぞ、白露も手伝ってくれ」


白露「う、うん!」



モヤモヤーン



海風『あの時、何故実弾が混じっていたのかは分からなかった。でも、あの一件が提督に決心させる材料になったのは間違いない.....』


海風「責任を.....取らなければいけませんね」スク


江風「ど、どうしたんだ姉貴?」


窓 スー


江風「な、何をしてるんだ姉貴?」


海風「今回の件は私に責任があります。皆さんに合わせる顔がありません」


海風「私は.....責任を取らなければなりません」スッ


江風「な!?だ、ダメだ姉貴!」ダッ


ビュォォォ!


江風「っ!?」


海風「それじゃあ、さようなら」タッ


江風「ま、待ってくれ!」



江風『風が収まった.....』


江風 ジー


江風『下に姉貴はいない.....ならまだ生きてる!』


江風「とりあえず、長門さんに伝えなきゃ!」タッタッタ


???「..........」



廊下


サラトガ「.....」コツコツ


サラトガ『提督が辞めてしまった理由の一つ、自分と親しくした人間は全員が死んでしまっている.....』


サラトガ『本当に、提督が不幸なだけ?』



通信室前



サラトガ「確かこの部屋にはPCがあったはず....少し調べてみましょう」ガチャ


アイオワ「Hmm....」カタカタ


サラトガ「あら?アイオワ、何をしてるの?」


アイオワ「oh!Sara. Admiralが言ってたreasonについて調べようと思ってたんだけど.....私にPCはdifficultでね.....」


サラトガ「私も同じ理由で来たの、一緒に調べない?」


アイオワ「Sure!サラ、thankyou!」


サラトガ「Me too! さて、早速調べましょう!」




提督たちの島


洞窟


提督「皆はここに住んでるのか?」


駆逐棲姫「はい、かなり広い洞窟なので住む場所としてはいいですよ」


提督「そうか.....岩肌ばかりで住みにくいと思ったんだが、皆がいいならそれで.....」


ヲ級「提督はどんな所に住みたいんですか?」


提督「そうだなぁ.....ログハウスとかはどうだ?」


レ級「ログハウス?どうしてだ?」


提督「小さい頃に読んだ本でログハウスを作るってのがあったんだ。それに憧れがあってな」


ル級「なるほど.....」


提督「一応DIYとかが趣味だったから基本的な事はできるが.....資材も道具もないだろ?流石に無理だよな...」


駆逐棲姫「木ならたくさん生えてますけど.....」


提督「図面もないしな.....セルフビルドするならキットを使うのが一般的なんだが」


レ級「......」


提督「レ級?どうした?」


レ級「.....ちょっと待ってて!」タッタッタ


数分後


レ級「ただいま!」


提督「お、おう。何があったんだ?」


レ級「図面ってさ、これのこと?」スッ


提督『ログ組み図面.....間違いない』


提督「これだ!でもなんでレ級が持ってるんだ?」


レ級「この島の反対側に座礁してる貨物船で見つけたんだ。行ってみる?」


提督「あぁ、案内してくれ!」



島の反対側


ヲ級「確かこの辺りに.....ありました!あれです」


提督「はぇ〜、すっごいおっきい.....」


レ級「あそこの梯子から登れるぜ」


提督「随分大きな船だな.....」


駆逐棲姫「私達もまだ全部は調べきれてないんですよね.....」


提督「そうなのか.....と、ル級」スッ


ル級「あ、ありがとうございます」


提督「よいしょっと。さて、どこから調べるべきか...」


レ級「そういや、あの艦橋は調べてなかったな」


提督「おし。じゃあそこから見てくか」



貨物船 艦橋


提督「たぶん積み荷のリストがあるはずだから、そいつを探してくれ」


ヲ級「了解しました!」


一同探索中.....


駆逐棲姫「司令官、これじゃないですか?」ピラ


提督「おぉ、よく見つけたな駆逐棲姫!」ナデナデ


提督「うーむ.....お、多分これだな」


レ級「なんか見つけたのか?」


提督「コンテナ番号893を見てみよう。面白いものが入ってると思うぞ」



甲板


提督「見つけた。金具をずらして.....」カチャ


ギィィィィ


ヲ級「木材の香り.....?」


ル級「ライトつけますね」ピカー


レ級「スッゲー!これ全部木か?」


提督「しかもただの木じゃないぞ、ログハウスのキットだ」


駆逐棲姫「キット.....ですか?」


提督「あぁ。深海棲艦が出るまでは人気があってな。自分たちでログハウスを組めるんだ」


ル級「ならこれで.....」


提督「ログハウスが作れるってことだな。やったぜ」


ヲ級「何処に建てますか?」


提督「できれば平坦な土地がいいんだが.....どっかいいとこ知らないか?」


レ級「それならRJ平野なんてどうだ?あそこなら起伏も一切ないし、建てやすいと思うぞ?」


提督「そこ、ここからどんくらい離れてる?」


レ級「歩いて20分くらいかな」


提督「となるとわざわざ毎回ここまで部品を取りに来るのは面倒だな.....せや!」



駆逐棲姫「いきますよ!せーの!」


グイ


ル級「あら、かなり軽いですね」


提督「それ軽いんやない、君らが力持ちなだけや」


レ級「よし!じゃあRJ平野に向けてしゅっぱーつ!」



RJ平野


提督「この辺りでいいだろう。下ろすぞー、手を挟まないようにな!」


ズシーン!



提督「皆、お疲れ様!」ナデナデ


レ級「むふー!」キラキラ


駆逐棲姫「ありがとうございまふ〜」キラキラ


提督「さて、次は....」


ル級「え....?私達は?」ジー


ヲ級「........」チラッチラッ


提督「......配慮が足らずすまなかった」ナデナデ


ル級「ん....許します」キラキラ


ヲ級「気持ちいい.....」キラキラ


提督『こうやってる分には普通の女の子と変わらないよなぁ.....』


提督「気を取り直して、早速組み上げと行きたいところだが.....」


レ級「......西日が眩しいな」


提督「って事で、今日はこれで終わり!閉廷!明日から組み上げよう」


駆逐棲姫「そうですね.....それじゃ、洞窟にもどりますか」


ヲ級「.....そういえば、昨日で洞窟においといた缶詰は切れちゃいましたね。取りに行きませんか?」


提督「取りに行くってどこに?」


ヲ級「さっきの貨物船です、確かまだかなりのストックはあったと思いますから」


提督「食うもんがないなら仕方ない。取りに行こう」



貨物船


提督「電気がついてないとここまで暗いのか.....」


駆逐棲姫「司令官.....」ギュッ


提督「よしよし......大丈夫、大丈夫」


ヲ級「よし、それでは食料庫に行きましょう」



食料庫


ル級「ここね」ガチャ


レ級「お、まだまだあるな」ガサガサ


提督「......」ジー


駆逐棲姫「司令官?どうかしましたか?」


提督「いや......皆はここで食事したことあるか?」


駆逐棲姫「私は記憶にありませんが.....それがどうしたんですか?」


提督「.....ま、いいか。変なこと聞いてすまんな」


レ級「おーい、そんなとこで話してないで手伝えよー」


提督「すまん、今行くー」


提督『食堂の机の上には食事の乗った皿が並んでいた』


提督『もっとも、乗っていた料理は腐ってしまっていたが.....座礁する直前に料理を用意するか?』


提督『これじゃまるで.....人だけが消えたみたいじゃないか.....』


ヲ級「こんなものですかね。さて帰りましょう!」



ブイン基地


艦娘A「ねぇねぇ。昨日演習した鎮守府の娘から聞いたんだけどさ、消えた貨物船って知ってる?」


艦娘B「知らないわね....」


艦娘A「少し前の話らしいんだけど。大本営が米国との接触を図ろうとしたんだって」


艦娘B「なんで?」


艦娘A「詳しくは分からないけど、米国が何か深海棲艦に関する重大な情報を掴んで、それを日本に輸送するためだったらしい」


艦娘A「それで米国から一隻の貨物船と護衛の艦娘が出港したの」


艦娘B「米国って艦娘が作れるんだ.....それにしては米国との合同作戦の話も聞かないけど.....」


艦娘A「そういえばそうね....ある噂だととある潜水艦に情報を持たせて米国本土に艦娘の製造方法を送ったって話もあるけど」


艦娘A「っと、話が逸れたけど.....出港したタンカーと護衛の艦娘は南太平洋を横断していた時」


艦娘A「毎朝5時の定時連絡を最後に消息を断ったの」


艦娘B「それは.....撃沈されたの?」


艦娘A「いや.....そこに調査に向かった艦娘の話だと、戦闘の痕跡は一切見られなかったそうよ」


艦娘A「貨物船と護衛の艦娘達がなんの痕跡も残さずに消えた.....ミステリーよね!」


艦娘B「不気味ね.....」


ブイン提督「二人ともー、そろそろ遠征の時間じゃなかったかー?」


艦娘A「提督!いつからそこに?」


ブイン提督「二人が話し始めたぐらいからずっといたぞ」


艦娘B「そんな事より!早く準備しに行くわよ!」


艦娘A「そうだった!提督、失礼しまーす!」タッタッタ


ブイン提督「気をつけてなー!」


ブイン提督「........消えた貨物船.....か」


ブイン提督『お前は何処に消えちまったんだ、徹男...』


(ブイン提督→友提督)



呉鎮守府 サラトガの部屋


サラトガ「さて.....それじゃあ昨日見つけた資料に関して話しましょう」


アイオワ「OK!」


しおい「.....何故あたしも呼んだんですか?」


サラトガ「あぁ、あなたにも聞きたいことがあって...とりあえず、この資料を見て」


サラトガ「これは米国からの貨物船派遣について分かった事をまとめた資料。ニュースサイトには午前5時の定時連絡を最後に消息をたったと書いてあった」


しおい「.........」


サラトガ「でもね、試しに海軍のデータベースを見てみたの。そしたら......」


アイオワ「出てきたの、全く同じ時間に行われた作戦が」


アイオワ「内容は貨物船の乗組員及び護衛の米国艦娘三人の排除」


しおい「.......」


サラトガ「そして最後に、潜水艦伊四○一の排除.....

一体何があったのか、教えてくれませんか?」


しおい「......」


しおい「分かりました、真実をお話します。ですが覚悟はしておいてください」


アイオワ「わかったわ」


しおい「まずは結論から。米国からの護衛の艦娘というのはサラトガさん、アイオワさん。お二人のことです」


しおい「私は大本営に所属していました。深海棲艦と戦うことはほとんどなく、脱走した艦娘の撃沈が主な任務でした」


しおい「配属された当初は断固拒否していましたが.....耐え難い仕打ちを受けて、痛みから逃れるために任務に従事していました」


サラトガ「.........」


しおい「ある時、艦娘の脱走がぱったりとやんだんです。そんな時でした」


しおい「私に下ってきた任務は、米国からの艦娘を撃沈せよ。でした」


アイオワ「それって.....」


しおい「そうです、アイオワさん、サラトガさん。お二人を襲撃したのは」


しおい「紛れもなく、私です.....」


アイオワサラトガ「........!」


しおい「お二人を撃沈した後、私は一度船上に上がるように言われました。浮上した私に降り注いだのは」


しおい「......大量の爆雷でした」


サラトガ「......あなたはもう、用済みだったのね」


しおい「はい.....。多数の爆雷をくらった私は気を失いました。そして目覚めたときには」


アイオワ「この鎮守府近くの砂浜に、私達と一緒に流れ着いていたってわけね」


しおい「はい、そのとおりです。その後は提督に保護されて、今に至ります」


しおい「これが真実です.....私のことは煮るなり焼くなりどうしても構いません」


サラトガ「.....そんな事、する訳ないじゃない」


しおい「え......?で、でも、お二人は私のせいで死にかけたんですよ!?」


アイオワ「それはそうかもしれないけど.....あなたも私達と同じ、被害者でしょ?それに.....」


アイオワ「私達は仲間でしょ!そんなことしたらAdmiralが悲しむわ!」


しおい「.....本当に許してくれるんですか?」


サラトガ「はい!」


アイオワ「Of course!」


しおい「っ!ありがとうございます!」




サラトガ「そういえば、なんで日本海軍は私達を襲ったのかしら?」


アイオワ「そうよね?rumorじゃ深海棲艦に関するinformationがどうたらこうたらって聞いたけど」


しおい「そこは私にも分かりませんけど.....無線で何かを運び出すと言っていたような覚えがあります。それに何か関係があるのかもしれません」


サラトガ「何かが運び出されたという記録はデータベースにも残ってませんでしたし.....まだ何かありそうですね.....」


ドタドタ


しおい「.....誰かが廊下を走ってる?」


サラトガ「今は皆ショックで引きこもってる筈ですけど.....それに、なにか焦っているようにも感じますね」


アイオワ「ちょっと見てくるわ!」ガチャ


廊下


江風「早く.....伝えなきゃ!」ハァハァ


ガチャ


アイオワ「Oh!カワカゼ!what happened?」


江風「アイオワさん!実は.....」


アイオワ「そんな事が.....OK!私達に任せて!すぐに追いかけるわ!カワカゼはナガトに伝えておいて!」


江風「了解しました!」


タッタッタ


アイオワ「さて、二人に.....」


サラトガ「聞こえてたわよ。さぁ、行きましょう!」


しおい「追跡は任せてください!」


アイオワ「What?どうやってやるの?」


しおい「私達が海上を進むと、ある物質が出るんです。それを追いかければ追いつける筈です」


サラトガ「OK!それじゃあ.....」


アイオワサラトガしおい「出撃!」



翌日 提督たちの島


駆逐棲姫「司令官、起きてくださーい」ユサユサ


提督「うーん.....朝か?」ゴシゴシ


駆逐棲姫「はい.....司令官は朝起きるのが苦手なんですか?」


提督「そんな事ないが.....ここは日が入らないし、昨日は疲れてたからな.....起こしに来てくれて助かったよ」


駆逐棲姫「今日の朝ごはんはご飯と、お魚と、ヤシの実です!」


提督「魚とヤシはいいとして、米はどっから調達したんだ?」


駆逐棲姫「昨日の貨物船からです。でも、書いてある文字が読めなくて.....」


提督「そうなのか?んじゃ、見に行ってみるか」


駆逐棲姫「レ級ちゃんとル級さんが帰ってくるまでに炊き方がわからないと困るのでお願いします!」


食料庫


提督「おー、これかぁ」スッ


提督 ジー


提督『これ英語か.....?ふむふむなるほど.....』


提督「よし、だいたい分かったぞ。こいつは保存食らしい」


駆逐棲姫「ほぞんしょく?」


提督「長期保存ができて、災害の対策とかで備蓄しとくのに最適なんだ。米の保存食なんて初めて聞いたが...」


駆逐棲姫「へぇー.....あ、作り方は分かりましたか?」


提督「ん?あぁ。袋の中にお湯を入れて15分くらい待てばできるらしいぞ」


駆逐棲姫「お湯を入れるだけ.....?凄いですね、これ」


提督「だよなぁ.....どこの国が作ったんだこれ」ジー


提督「.....あ、米国か。ならこれくらい作っても驚かんが.....なぜに米?」


駆逐棲姫「とりあえず、作ってみますね」


提督「おう。そうだ、俺にもなんか手伝えることってないか?」


駆逐棲姫「え?手伝ってくれるんですか!それなら...机を拭いておいてくれますか?」


提督「おっし、任せろ」



レ級「ただいまー!今日もたくさん釣れたぜー!」


ヲ級「二人ともお帰り。ご飯出来るまでちょっと休んでていいよ」


ル級「ねぇヲ級。もし良かったら私に料理を教えてくれない?」


ヲ級「いいけど....突然どうしたの?」


ル級「別に?少しやってみたいと思っただけよ」


ル級『提督に食べてもらうためなんて、言えるわけないじゃない....』


レ級「ん?何してんだー?」


ヲ級「今からル級に料理を教えるの」


レ級「へー.....面白そうだな、オレにも教えてくれ!」


ヲ級「もちろん!」



提督「これでよし.....っと」


提督「駆逐棲姫ー、机吹き終わったぞー」


駆逐棲姫「了解ですー。朝餉もそろそろできるので、ちょっと休憩しててくださーい」


提督「わかったー」



ヲ級「それじゃあ.....」


一同「いただきまーす!」


レ級「なあ、この白い奴はなんだ?」


駆逐棲姫「それは米っていうんです。日本の主食ですね」


ル級「へぇー.....ん、美味しい」モグモグ


提督「.....保存食とはなっているが...普通に炊いた米と遜色ないな」


駆逐棲姫「そうですね...私もそこは心配だったんですけど、思ってたより美味しくてよかったです!」


ヲ級「そういえば何で駆逐棲姫はこれの事を知ってるの?」


駆逐棲姫「私が鎮守府で保護されてた時に食べてたんです。久しぶりに食べましたけど、いいものですね〜」


提督「この魚美味いな。釣ってきたのか?」


レ級「おう!オレとル級で釣ってきたんだぜ!」


ル級「毎朝やってますから慣れたものです」エッヘン


提督「釣りねぇ.....いつかやってはみたいんだがなぁ」


ヲ級「今日はログハウスの組み上げをするの?」


提督「あぁ。食べ終わって洗い物したら行くから、そのつもりでいてくれ」



RJ平野


提督「さーて、やるか!」


レ級「まずはどうするんだ?」


提督「本当は基礎が欲しいところなんだが.....ないもんは仕方ないし、まずは土台材を敷こう。こんなやつ」スッ


ル級「うーんと....あ、見つけた!」


提督「よし、皆で運ぶぞ.....せーの!」グッ


駆逐棲姫「何処に敷きましょう?」


提督「さっきまな板みたいに平らな場所見つけたから、そこにしよう」


ズシーン


ヲ級「ふぅ、次は?」


提督「この図面のとおりにログを一つ一つ組み上げていくんだ。あ、断熱材を忘れないようにな」


レ級「了解!頑張るぞー!」



ル級「そういえば、駆逐棲姫と提督が知り合ったのは具体的にいつなの?」


提督「えっと.....2年前の秋だったか?」


駆逐棲姫「そうですね.....懐かしいです」


ル級「どんな感じだったのか聞かせてくれない?」


提督「いいけど話に集中しすぎて手とか挟むなよ?」


モヤモヤーン



2年前 秋



提督「第二次渾作戦は水雷戦隊かぁ.....誰を出撃させるかな...」


矢矧「あら、それなら私が出るわよ?」


提督「お、そうだな。でも今日は秘書官だろ?明日出撃なんてして大丈夫か?」


矢矧「大丈夫よ...というか提督が過保護すぎると思うのだけど...」


提督「そうなのか.....?まぁまだ作戦も考えてないし、とりあえずそれからだ」


矢矧「今日の業務も午前中で終わっちゃって暇だし...私も手伝うわ」


提督「いいのか?」


矢矧「だから大丈夫だって。それに、一人より二人のほうがいい作戦が思い浮かぶと思わない?」


提督「.....そのとおりだな、頼む」


矢矧「任せて!」



翌日 執務室


提督「今日の出撃は先日確認された駆逐棲姫の撃沈が目標。編成は旗艦に矢矧、白露、時雨、村雨、夕立、春雨だ。何か質問はあるか?」


春雨「あ、あの...この人選に何か意味はあるのでしょうか?」


提督「いや、特にはないが.....あっ!」


矢矧「提督?どうしたの?」


提督「春雨が戦没したのはこの海域だったのを思い出したんだ.....すまない、配慮が足りなかった。別の子に出撃を.....」


春雨「司令官、私は大丈夫です。寧ろもう一度あの戦いに参加できると聞いて燃えてきました!今度こそ戦い抜いて、ここに戻ってきますから!」


提督「.....そうか、だが無理はするなよ。フラッシュバックでもしたらすぐに報告するんだ。トラウマってのはそう簡単に消えるもんじゃない」


時雨「僕たちもいるから、任せて」


提督「あぁ、頼んだ......まだ何かあるか?」


提督「.....ないようだな、それでは出撃せよ!」


矢矧「第二水雷戦隊、預かります。矢矧、抜錨する!」


一同「出撃!」




ビーク島沖



矢矧「提督、指定座標付近に到着したわ」


提督『了解、周囲を警戒しつつ目標を探してくれ』


春雨 キョロキョロ


春雨『うぅ.....司令官にはああ言ったけど...やっぱりちょっと怖い...』


春雨『でも、いつまでも過去を引きずってちゃ.....』


時雨「春雨!」ガシッ


春雨「ふぇ!?」グイッ!


バシャーン!


白露「っ!私は右行きます!」


矢矧「分かったわ!村雨ちゃんは白露ちゃんの掩護、私達は左をやるわよ!」


夕立「了解っぽい!」



戦闘終了後


村雨「春雨、大丈夫?」


春雨「は、はい.....」


矢矧「.....無理はしないほうがいいわ、一度戻りましょう」


春雨「そ、それは...」


矢矧「提督がいつも言ってるでしょ?戦場では迷った者から死ぬって。私は今、春雨ちゃんが戦うのは無理だと思うわ」


時雨「や、矢矧さん!そこまで言わなくても.....」


矢矧「どうなの、春雨ちゃん」ジー


春雨「.....」


春雨「私は、戦います」


春雨「今までは旅客機を見るたびに思い出すあの記憶から逃げてきました。でも」


春雨「私はもう、逃げたくないんです。ここで、決着をつけたいんです!」


白露「春雨.....」


矢矧「.....だそうよ?提督」


春雨「え?」


提督『春雨、お前の気持ちはよーく分かった。それだけの覚悟があるなら問題はないだろう。やってこい!』


春雨「....はい!」


矢矧「さーて、そろそろ行くわよ!」


一同「おー!」



夕立「!敵艦隊発見っぽい!」


矢矧「数は?」


夕立「えーっと...軽巡ツ級、駆逐ハ級後期型2隻、駆逐ロ級後期型2隻で単縦陣」


夕立「それと、先頭に見慣れない深海棲艦がいるっぽい」


矢矧「それが例の駆逐棲姫かしら?」


夕立「うーん、遠すぎて詳しいところは分からないっぽい」


矢矧「了解よ、それじゃあいつもどおり随伴艦から。二人一組を崩さないようにね!」


一同「了解!」


ドドドドドッ!


時雨「雷撃、来るよ!」


ザー!


村雨『このばら撒き方.....まさか!』


村雨「みんな気を付けて!この魚雷は孤立させるのが目的よ!」


矢矧「回避優先!1度体勢を.....ああもう何なのよ!この忙しい時に!」ビーッビーッビーッ!


矢矧「こちら呉鎮守府第一艦隊!」ガチャ


大将A「こちら渾作戦総指揮官のAだ。もう後十分ほどでそちらの海域に輸送船が到着する」


矢矧「は!?そんなの聞いてないわよ!?」


大将A「そんなもんは知らん。もし輸送船に被害が出たらそれ相応の責任は取ってもらうからな。以上だ。健闘を祈るよ」フフッ


ガチャ


矢矧「ッー!何なのよもう!」


春雨『矢矧さん、突撃を意見具申します!』


矢矧「え?突撃?」


春雨『はい!この魚雷の目的が戦力の分散である以上、時間をかければかけるほど敵艦隊の撃破は困難になるかと!』


白露『私もそれ賛成!』


夕立『夕立もっぽい!』


矢矧「.....わかったわ、それじゃあ水柱が晴れたと同時に突撃よ!」


一同「了解!」



駆逐棲姫「.......キタナ」


春雨「...!あなたが駆逐棲姫」


春雨『私にそっくり.....』


駆逐棲姫「ヤラセハ…シナイ…ヨ……ッ!」ドーン!


春雨「っ!望むところです!」ドーン!



矢矧「皆、いる!?」


白露「.....春雨がいない!」


春雨『こちら春雨です!駆逐棲姫と単独で交戦中!』


村雨「了解!直ぐに援護に.....」


残りの深海棲艦s「........」ズズズ


時雨「.....僕達は春雨を助けに行かなきゃならないんだ。だから」


矢矧白露村雨時雨夕立「邪魔を、するなぁーッ!」ドドドドドーン!!!!



駆逐棲姫「ヤラセハ...シナイ...ヨ......ッ!」ドーン


春雨「てー!」ドーン


ドカーン!


駆逐棲姫「グッ!」


春雨「ッ!」


春雨『戦えば戦うほど分かる.....この子は私と同じ...』


春雨『.....少し、聞いてみましょう』


春雨「駆逐棲姫ちゃん!あなたは何のために戦うの?」

ドーン


駆逐棲姫「ナンノ.....タメ?」ピタッ


春雨『?動きを止めた?』


駆逐棲姫「.....ワカラナイ...ワタシニハ、ナニモナイ。アルノハタダノニクシミダケ」


駆逐棲姫「ネェ、アナタハナンデタタカウノ?」


春雨「.....私は、司令官と皆を守るために戦っています。司令官は私の.....いや、皆さんの大切な人ですから」


駆逐棲姫「..........」


駆逐棲姫「..........ホシイ」


春雨「っえ?」


駆逐棲姫「ワタシニソレ、チョウダイ?」


春雨「.....ダメです。それは出来ません」


駆逐棲姫「ソウ.....ナラ」


駆逐棲姫「チカラズクデ、ウバウマデ!」ガチャガチャ!


春雨「.....っ!」ガチャ!



ドーン! ドーン!



駆逐棲姫「グッ.....マダマダァ!」ガチャ!


春雨「ハァハァ.....これで終わり、です!」バシュ!



駆逐棲姫「ッアァーーーッ!」バシャーン!


ザー


春雨「........」


駆逐棲姫「...ワタシノマケ.....カ」


春雨「.....はい、そうですね」


駆逐棲姫「イツカワタシニモ、タタカウイミガミツカルカナ」


ダキッ


駆逐棲姫「エ?」


春雨「見つかると、いいですね...きっと見つけられますよ」ポロポロ


春雨「あなたは私とおんなじなんですから...」ポロポロ


春雨『あなたは負の私。あの時に2つに別れてしまったけど』


駆逐棲姫「ソウ.....カ」シュワー


春雨「!?」


春雨『ドロップとは明らかに何かが違う.....』


春雨『駆逐棲姫から黒い煙?が上がってる........』


矢矧「春雨ちゃーん!大丈.....何してるの?」


春雨「あ!皆さん!実は......」カクシカ


村雨「そんな事が.....」


夕立「それで?この子どうするっぽい?」


駆逐棲姫  グッタリ


時雨「.....この子本当に深海棲艦なのかい?全くそんな気配を感じないんだけど.....」


白露「私もそれ気になってた。深海棲艦特有の禍々しさが全然ないんだよね」


春雨「......わたし、この子を鎮守府に連れていきたいです」


一同「えぇ!?」


矢矧「何考えてるの春雨ちゃん!駆逐棲姫は深海棲艦よ!?」


春雨「で、でも!」


村雨「正直私も反対かなぁ.....さっきの話を信じないわけじゃないんだけど.....流石に深海棲艦を勝手に鎮守府に入れるのはね?」


春雨「なら司令官に許可を取れば.....」


夕立「でも、それを待ってたら輸送船団が来ちゃって私達が深海棲艦のスパイと思われちゃうかもしれないっぽい」


春雨「うぅ.....」ピーピーピー


矢矧「提督?どうしたの?」


提督「あ、いや。皆から作戦完了の報告がないから心配になってな。特に何もなさそうでよかった」


矢矧「いや、それがそうでもなくて.....」


かくかくしかじか


提督「なるほどな.....よし、そこまであと5分でいけりゃ間に合うんだよな?」


矢矧「え?そ、そうだけど.....」


提督「おし、近くの島で待っててくれ。3分で行く」


ピッ


矢矧「........え?」



呉鎮守府


提督「お、ちょうどよかった。秋津洲ー!」


秋津洲「提督?どうしたかも?」


提督「二式大艇でビーク島沖まで頼みたいんだが」


秋津洲「わかった!アレは使うかも?」


提督「あぁ、出力全開でOKだ」


秋津洲「了解!」



ビーク島沖


矢矧「そろそろ3分経つけど.....どうやって来るつもりなのかしら?」


白露「最近配備された秋なんとかならいけるかも?」


村雨「秋水のこと?でもあれって航続距離殆どなかったはずよ?」


時雨「それに秋水は局地戦闘機。まず着陸が出来るかも.....」


ゴォォォォォ


夕立「なんの音っぽい?」


春雨「対空電探に反応.....友軍機ですね、それもかなり大型の」


矢矧「.....え?」ジー


白露「どうしたんです?」


矢矧「...私の目に間違いがなければ、なんだけどね?」


矢矧「ロケットブースターのついた二式大艇がすごい勢いでこっちに来てるわ」


一同「????」



ザバー!



提督「皆ー!大丈夫かー?」


村雨「ホントに3分で来たの!?」


提督「まぁな。説明したいところなんだがもうすぐそこまで輸送船団が来てる。駆逐棲姫を乗せて一旦鎮守府に戻るぞ」


時雨「提督がそう言うなら.....急ごう!」


提督「秋津洲は駆逐棲姫の容態を。処置が必要そうならしてやってくれ」


秋津洲「了解、操縦は任せたかも!」


提督「おう、任された。全員乗ったなー?」


一同「はい!」


提督「それじゃあ出発するぞー」


ブォォォォン!



機内


提督「とりあえず皆お疲れ様、そこにお菓子おいといたから食べといていいぞ」


一同「..........」絶句


時雨「.....提督、二式大艇って旅客機だっけ?」


提督「20ミリの防護機銃で武装した旅客機ってなんだよ.....」


白露「でも時雨の言いたいことは分かるよ?だってさぁ.......」チラ


暖房!浴室!ベッド!


白露「これ見て軍用機だって言う方が難しいよ...」


提督「ちなみにトイレと個室にはWi-Fiもあるぞ」


矢矧「やっぱり旅客機じゃない.....」


秋津洲「でも長距離偵察とかするときにはすっごく便利かも!」


春雨「だとしても過剰な気が.....」


提督「聞いて驚け、この特別仕様の二式大艇の滞空時間は最大丸7日だ!」


矢矧「うぇぇ!?」


提督「一週間も風呂に入らないとか無理だろ?がってんしていただけましたでしょうか?」


夕立「流石にそこまで言われたら納得するしかないっぽい.....」


白露「あ、そういえばどうやって3分で鎮守府からここまで来たの?ロケット機ならなんとかなるかもしれないけど.....」


提督「お、白露鋭いな。まさにそのロケットエンジンを使ったんだよ」


春雨「え?でもロケットエンジンは燃料をすごい使うって聞きましたよ?」


提督「さっきも言ったとおり、こいつは丸7日滞空できる搭載量があるんだ。だから大量のロケットブースターで加速して3分でここまで来たわけだ」


村雨「もう何でもありね.....」


秋津洲「提督ー。駆逐棲姫の容態だけど、特に問題ないかも?」


提督「何故疑問形?」


秋津洲「この子両脚が欠損してるの.....これってはじめから?」


春雨「はい、確かそうだったと思います」


提督「うーん、それは可哀想だな.....明石に頼んで義足作ってもらうか」


矢矧「そういえば提督、どうして駆逐棲姫を連れて行くの?」


提督「別に解剖しようとかじゃないぞ。交戦の意思のない敵を沈めるのはどうかと思ったんだ。俺たちがやってるのは戦争、虐殺じゃない」


提督「まぁ俺のエゴに過ぎないわけだがな」


矢矧「まぁ、提督が言うならそれに従うわ」


提督「ありがとう。ただまぁ俺が間違ったことしようとしてたら一発ぶち込んで目を覚まさせてくれや」ハハッ


提督「ロケット燃料は切れちまったからもう少しかかるし、テレビでも見てゆっくりしてていいぞー」



夕方 鎮守府



提督「すっかり暗くなっちまったな.....」


ゴトランド「おかえり!提督」


提督「ただいま。何か変わったことはなかったか?」


ゴトランド「うん、大丈夫だったよ。あ、そうだ。海域突破の報酬で防空駆逐艦の秋月ちゃんが着任したから、顔合わせしといてね」


提督「分かった。矢矧たちもお疲れ様。ゆっくり休んでくれ」


矢矧たち「了解!」


秋津洲「駆逐棲姫はどうするかも?」


提督「一応明石にも見てもらうか、まだ起きそうにないんだろ?」


秋津洲「うん、それじゃあ運んでおくね」


提督「頼んだー」



執務室


ゴトランド「提督、お疲れ様」コト


提督「ありがとう....ふぅ。やっぱりゴトの淹れるお茶は美味いな」


ゴトランド「ふふっ、良かった」ニコ


コンコン


提督「入っていいぞー」


ガチャ


秋月「防空駆逐艦、秋月です!ご挨拶に参りました!」


提督「おう、俺がここの提督だ。他の子たちには挨拶は済ませたか?」


秋月「はい、既に済ませました」


提督「皆いい子達だから仲良くな。後はそんなに固くならなくていいぞ。マナーとかも最低限守ってくれればいいから」


秋月「それは失礼に当たるのでは.....?」


ドアバーン!


秋月「!?」クルッ


タシュケント「同士ー!」ダダダダダッ!


提督「今日もか.....さぁ来い!」バッ


ダキッ


タシュケント「おかえり同志!」ギュー


提督「あぁ、ただいま」ナデナデ


提督「まぁ、こんな感じだから...ここの雰囲気に慣れてってくれ」


秋月「は、はい.....」


タシュケント「同志秋月もどうだい?すっごく気持ちいいんだよ!」


秋月「えっと.....」


提督「遠慮しなくてもいいぞ?」


秋月「.....それじゃあお、お願いします」ズイ


ナデナデ


秋月『何これ...蕩けちゃいそう...』トローン


数分後


提督「そろそろいいかな?」


秋月「....あ、はい!ありがとうございました!」


提督「それじゃあゆっくり休んでくれ、明日からは忙しくなるからな」


秋月「分かりました、失礼しました!」ガチャ


タシュケント「おやすみ、同志!」フリフリ


バタン


提督「さーて...今日は早めに寝るか.....」


ゴトランド「そうね、早く寝ましょ」寝そべり


提督「.....分かった」モゾモゾ


ゴトランド「ノリが良くて嬉しいわ、おやすみなさい」ギュ


提督『今日は寝れなさそうだぁ.....』



翌日 医療室


駆逐棲姫「ン.....」パチ


駆逐棲姫『マタクライウミノソコ......ジャナイ?』


駆逐棲姫「ココハイッタイ.....?」


駆逐棲姫『ワタシハ駆逐艦トタタカッテ、ソレデ.....』


ガチャ


駆逐棲姫「!」


提督「いやほんとごめんて.....」


明石「ホントですよぉー。第一、深海棲艦を治療なんてどこの記録にも載ってないんですよ?奇跡的に春雨ちゃんの体と殆ど同じだから良かったものの.....」


提督「.....どうしたら許してくれる?」


明石「うーん、そうですねぇ.....じゃあ、大規模作戦が終わったら買い物に付き合ってくれませんか?」


提督「そんなんで許してくれるならお安い御用だ」


明石「よっしゃ!」ガッツポーズ


提督「そこまですることかなぁ.....?」


駆逐棲姫「......アノォ」


提督「ん?あ、駆逐棲姫目覚めたか!」


明石「あ、お目覚めですか。何かいつもと違う所とかあります?」


駆逐棲姫「ハイ.....トクニアリマセンガ...」


提督「あ、状況を説明してあげないといかんか」


提督、ここまでの経緯を説明中.....


提督「てことがあって、君は今ここにいるわけだ」


駆逐棲姫「ソウナンデスカ.....」


提督「俺としては君が完全に回復したら君の好きにしてもらおうと思う。海に帰ってもいいしな」


駆逐棲姫「エッ?ジャアナンデワタシヲ?」


提督「それは...ん?」ガチャ


春雨「春雨です。駆逐棲姫ちゃんが起きたと聞いて来ました」


春雨「自己紹介がまだでしたね。白露型駆逐艦5番艦の春雨です。あなたのお名前は?」ペコ


駆逐棲姫「ナマエ.....?」


駆逐棲姫「......ナイ、デス」


提督「え?あ、そうか。俺らが勝手に駆逐棲姫って呼んでるからか」


春雨「そのまま駆逐棲姫ちゃんって呼ぶと少し問題がある気が.....それにちょっと長い気がします」


提督「にしても二人はホントに似てるなぁ.....」


明石「そうだ!春雨ちゃん似の深海棲艦って事でわるさめちゃんなんてどうです?」


春雨「別にこの子は悪い子じゃありません!」


駆逐棲姫「ワルサメ.....」


明石「気に入ってくれました?」


駆逐棲姫「ハイ!」


明石「良かったぁ!あ、私は工作艦の明石。よろしくね、わるさめちゃん」


駆逐棲姫「ヨロシクオネガイシマス!」ニコッ


駆逐棲姫『ナマエ.....ハジメテモラエタモノ』


駆逐棲姫『.....タイセツニシヨウ』


提督「そういやそろそろ朝食の時間か?」


春雨「あ、ですね。行きましょう」


明石「わるさめちゃんって歩けるんですかね?」


駆逐棲姫「ダイジョウブ」フワー


提督「ホバー移動できるのか.....」



食堂


鳳翔「あら、おはようございます提督。もう皆さん食べてしまわれましたよ?」


提督「いやまぁ、色々あって.....」チラ


駆逐棲姫「ハジメマシテ、ワルサメデス」ペコ


鳳翔「あー.....あの話は本当だったんですね...」


提督「あぁ、変に気を使わせて済まなかった。まぁでも傷は完治してるみたいだし、本人が望めば帰ってもらうつもりなんだが...」


駆逐棲姫「ヤダ、カエルノハイヤデス」ギュ


明石「毎回こうなるんですよねー」


鳳翔「本当にこの子は深海棲艦なんですか?」


提督「ん?そうだが...どうした?」


鳳翔「いえ...深海棲艦特有の雰囲気がないので...」


春雨「やっぱり鳳翔さんも感じませんよね?」


提督『深海棲艦の気配か.....春雨からの報告で謎の黒い煙のようなものがわるさめから出てきたと報告があったが.....何か関係があるのだろうか?』


明石「提督?何か考え事ですか?」


提督「ん?あぁ、ちょっとな」


提督「まぁ何だ、とりあえず飯食おうぜ」


鳳翔「今持ってきますね」


春雨「手伝います!」



春雨「どうぞ」コト


駆逐棲姫「......」ジー


駆逐棲姫「ナンデスカ?コレ」ツンツン


一同「......」


明石「これは.....」


提督「社会常識くらいは教えてやらんといかんかな...」


鳳翔「ですね.....」


駆逐棲姫「?」


鳳翔「いいですかわるさめちゃん.....」



食後


一同「ごちそうさまでした」パン


駆逐棲姫「ゴ、ゴチソウサマデシタ」パン


鳳翔「よしよし、よく出来ました」ナデナデ


駆逐棲姫「〜♪」


提督明石春雨『流石は艦隊のお艦.....』


提督「明石、頼んどいたのはどれくらい出来てる?」


明石「あ、それならもう出来てますよ。早速やります?」


提督「まぁ慣れもあるだろうし.....よし」


提督「わるさめ、鳳翔からの指導が終わったら執務室まで来てくれ」


駆逐棲姫「ワカリマシタ!」


提督「鳳翔、わるさめを頼んだ」ガチャ


鳳翔「おまかせください」


明石「わるさめちゃん、頑張ってね!」


駆逐棲姫「ハイ!」


バタン


鳳翔「さーて、それじゃあ皿洗いから始めますか」


駆逐棲姫「ヨロシクオネガイシマス」


鳳翔「はい、宜しくお願いします」ニコ



執務室



ガチャ


駆逐棲姫「シツレイ、シマス」


提督「お疲れさま、わるさめ。しっかりやれたか?」


駆逐棲姫「ハイ、ガンバリマシタ!」


提督「よしよし、それじゃあ早速だが.....」


明石「こちらの義足をつけて貰います」


駆逐棲姫「ナンデスカ?コレ」


提督「わるさめには足がないだろ?特には困ってないみたいだが.....なんかこう、痛々しくて」


明石「少し待ってくださいね.....よし、これでいい筈です」カチ


駆逐棲姫「ワワッ!?」ヨロ


提督「おおっと!」ガシッ


駆逐棲姫「アリガトウ、シレイカン」


提督「ちょっと練習するか?」


駆逐棲姫「ハイ、オネガイシマス」


明石「私も手伝いますね」


一時間後


駆逐棲姫「モウダイジョウブデス!」タッタッタ


提督「流石はわるさめ。飲み込みが早い」パチパチ


明石「特に違和感とかはないならそこのボタンを押してください。そうすると義足が生体認識をして完全な足になりますから」


駆逐棲姫「コレカナ?」ポチ


ウィィィィン シュウウウウ


提督「すげぇ.....あんなにメカメカしかった義足が.....」


駆逐棲姫「コレガワタシノアシ.....アリガトウゴザイマス、アカシサン!」


明石「どういたしまして!何かあれば直ぐに言ってくださいね!」


駆逐棲姫「.....モウコンナジカン!」


提督「なんかあるのか?」


駆逐棲姫「ホウショウサンカラゴハンノツクリカタヲオソワルンデス」


提督「なるへそ、頑張ってなー!」


駆逐棲姫「ハイ!シツレイシマシタ」ガチャ


バタン


12:00  食堂



提督「.....これホントにわるさめが作ったのか?」


駆逐棲姫「ハイ、ガンバリマシタ!」


提督「それじゃ、いただきます......うまい!」


駆逐棲姫「ッ!ヨカッタァ」


鳳翔「すごい上達が早くて.....ビックリです」


提督「わるさめは何を食べるんだ?」


駆逐棲姫「エーット、カツッテイウヤツデス」


提督 ピク


提督「カツ.....カツか」


鳳翔『一瞬だけど、提督がすごい悲しそうな顔をしてたような?気のせいかしら』


食後


提督「ご馳走さまでした.....ん?」ドタドタ


島風「ねぇねぇ、あなたがわるさめちゃん?」


駆逐棲姫「ア、ハイ...アナタハ?」


島風「私は島風!こっちは連装砲ちゃんっていうの。よろしくね!」スッ


駆逐棲姫「ヨロシクオネガイシマス!」ギュッ




それから一週間、わるさめは鎮守府で様々な事を学んだ。友達を作り、洗濯を覚え、日本語も流暢に話せるようになった。

......絶対ムリだと思った。私はずっと一人なんだと思っていた。仲間を作るのも無理だと思っていた.......。

だが違った。


駆逐棲姫『私も、司令官の役に立ちたい。戦争を終わらせて、ずっと皆と一緒にいたい。だから.....』



食堂


鎮守府一同「ここを出ていくー!?」


駆逐棲姫「はい」


春雨「な、なんで?」


駆逐棲姫「私はここで沢山のものを貰いました。名前、居場所、そして仲間。私もそんなものを守るために、戦いたいんです。同じ深海棲艦同士なら、話し合いで解決できる事もあると思うんです!」


長門「わるさめ......」


提督「.....わるさめが決めたなら、俺は止めない」


駆逐棲姫「司令官...」


提督「だが覚えておけ。何か辛いことがあったなら、すぐに戻ってくるんだ」


提督「お前の仲間はいつだって、ここにいるからな」


駆逐棲姫「....!はい!」



翌日 埠頭


わるさめ「それでは、そろそろ行きますね」


春雨「わるさめちゃん.....」


ダキッ


春雨「!」


わるさめ「本当にありがとう、春雨ちゃん。あなたのおかげで色々なものを貰えた。また、会いましょう?」


春雨「そう.....ですね、また会えますよね...はい、また会いましょう!」


提督「全員、わるさめに敬礼!」ビシッ!


ビシッ!


提督「.....頑張ってな」


駆逐棲姫「はい!皆さん、また逢う日まで!」ビシッ!




モヤモヤーン





提督「ってな感じだな」


レ級「へぇー...そんな過去があったのか」


提督「そんな事話しつつやってたらもう外装は完成か...流石に作業効率がダンチだな」


駆逐棲姫「次はどうしますか?」


提督「んー...そろそろ昼だろ?飯食ってからやろうぜ」




海上


サラトガ「皆さん、眠くはありませんか?」


アイオワ「Im ok!さっきアキツシマからもらったdrinkで完全復活よ!」


秋津洲「みんなの口に合って良かったかも!」


しおい「皆さん、そろそろ海風さんの燃料が切れる頃合いだと思います。絶対に連れ帰りましょう!」


サラトガアイオワ秋津洲「了解!」



海風「.....」ザー


プスプス....


海風「ここまで、ですか」


海風『結局、手がかりすら見つからなかった。でもそんな事なんて、最初から分かってた』


海風『結局何も、変われなかった。最期も皆さんに、迷惑をかけただけだった』


オーイ!


サラトガ「やっと見つけました!探したんですよ?」


海風「サラトガさん...」


アイオワ「fuelももうnothingでしょ?提督を探すのは一度stopして、鎮守府に戻りましょう?」


海風「ですが.....ああいって出ていった手前、私を迎え入れてくれるとは.....」


しおい「そんな事ないですよ!皆さん心配してるんですから!」


海風「え...?そうなんですか?」


秋津洲「うん、みんな立ち直って提督の居場所をどう探すか検討中なの。そこで、いろんな人の意見が必要かも!」


サラトガ「ですから海風さん、一度戻りませんか?」


海風「.....わかりました。私も提督を見つけるお手伝いをします!」


アイオワ「Great!それを待ってたわ!」


秋津洲「これ、帰りの分の燃料かも!」スッ


海風「ありがとうございます、よし!」カチ


サラトガ「それじゃあ帰りましょう!そういえば近くに深海棲艦の基地があるから、見つからないようにね」


アイオワ「what?どこにあるの?」


海風「それってウェーブ島の廃鎮守府ですよね?確か正面に小さく見える.....」


ピカッ!


アイオワ「wow! Thunder?」


秋津洲「でも上に雲なんてないように見えるけど.....」


サラトガ『あの光.....まさか!?』


サラトガ「皆!衝撃に備えて!」


しおい「え?どういうことですか?」


サラトガ『あの光は間違いなく.....』


ビュオオオオ!!!


海風「きゃあ!?」


海風『私、空を飛んでる?』


バシャーン!



同刻 提督達の島



提督「よーし!飯も食ったし、配線に取り掛かるかな.....」


ビュォーー!


レ級「突風!?皆、何かに掴まれ!」



ル級「.....収まったみたいですね」フゥ


ヲ級「でもこんな風が吹いてもこの家ビクともしてないですよ、すごい!」キラキラ


提督「んだなぁ.....よし、改めて配線するぞー!」



提督「俺は中の配線をしてるから、皆は協力して外壁に防腐塗料を塗るのと、窓やドアの取り付けをしてくれ」


レ級「任せろ!」


提督「怪我と熱中症には気をつけてな。こまめに水分を取るんだぞ」


四人「了解!」



提督「さーて始めますかねっと」カチャカチャ


提督「電気工事士資格持ってて初めて役に立ったな...」




駆逐棲姫「それでは始めましょう!」E.刷毛


ル級「高い所の作業は私とヲ級でやるから、二人は下の方をお願いね」



ヲ級「〜♪」ヌリヌリ


ル級「中々面白いわね〜」ヌリヌリ


ヲ級「そうね、お母さんが見たらどう思うかしらね?」


ル級「....あ、そうじゃん」


ヲ級「?」


ル級「お母さんが帰ってきたら多分洞窟に行くでしょ?新しい住む場所はここだって教えてあげなきゃ」


ヲ級「あ.....じゃあ、私が洞窟に置き手紙置いてくるわ」


ル級「分かった、ついでに下に置いてある水が切れそうだから持ってきてくれない?」


ヲ級「分かったー」ヒュッ



夕方



カチャカチャ、カチン!


提督「ふぃ〜ようやく終わった....」ゴシゴシ


ガチャ


レ級「提督、外壁塗り終わったぜ!」


提督「お疲れ様。こっちも終わったから、後はコンテナの中の家具を入れるだけだ」


ル級「何から入れますか?」


提督「うーん.....そろそろ夕飯の時間だよな?」


駆逐棲姫「ちょっと待って下さい.....はい、現在時刻ヒトナナマルマル。そろそろ準備をしたいですね」


提督「なら最初に台所周りを搬入しよう。んで作ってもらってる間に残りをやろう」


一同「了解!」

 



同刻 ウェーブ島近海


??「そろそろ着く筈だけど.....この辺りに基地なかったかしら?」


??「残ってたら酒を拝借しようと思ってたのに...まぁいいわ」


??「あの子達も待ってるし、早く帰ってあげなきゃ」




提督達の島



提督「なぁヲ級?」


ヲ級「どうしました?提督」


提督「なんか個室の数が一人分多くないか?」


ヲ級「あぁ、そこはお母さんの部屋です。そういえば提督には話してませんでしたね」


提督「お母さんか.....」


ヲ級「最近は忙しくて帰ってこれてないですけど、また近いうちに帰ってくると思います」


提督「そ、そうか。ならいいんだが。」


駆逐棲姫「みなさーん!そろそろ出来ますので下へ降りてきてくださーい」


提督「わかったー!」




駆逐棲姫「今日はカレーにしてみました!」


ル級「美味しそう.....」


提督「んだなぁ...それじゃ」


ガチャ


提督「?誰だ?」


??「ただいま〜。皆凄いじゃない!一体どうや....っ....て....」


提督「.....え?」


レ級「お母さん?提督?どうしたんだ?」


??「ななななななんでもないわよ!?!?!?」アセアセ


提督「そそそうだぞ!何にもないぞ!?」アセアセ


四人『怪しい.....』


提督「そ、そうだ。ちょっと話したい事があるから四人は先食べといてくれ」イソイソ


??「そ、そうね。ちょっと長くなるかもしれないから!」ガチャ


バタン






提督「.....」


??「.....」


ギューッ!


提督「久しぶりだな!足柄!」


重巡棲姫(足柄)「えぇ!久しぶり、提督!ごめんね?最近会いにいけてなくて」


提督「それはしょうがないだろ?そっちにも事情があるのは分かってるから。それにお前がそうなったのは...」


重巡棲姫「もう!またその話してる!」


提督「す、すまん.....」


重巡棲姫「何度も言ってるでしょ?私が沈んだのはあなたのせいじゃないって。もう言わないでよ?」


提督「分かった、約束する」


重巡棲姫「それでよし!.....と、そうだ」


重巡棲姫「提督と会えた嬉しさで頭から完全に抜けてたけど.....提督はなんでここにいるの?」


提督「あー、それは今から説明するわ。でも長くなるから中でカレー食べながら話そう」


重巡棲姫「分かったわ」



夕食&説明後


提督「とまぁ、そんなこんなで今俺はここにいるわけだな」


重巡棲姫「なるほどね.....鎮守府の子達はいいの?」


提督「大丈夫。彼女らに俺は必要ないよ。大本営は俺にやめてほしかったみたいだし、新しく来る提督に任せるよ」


重巡棲姫「.....それ、あなたの悪い癖出てるわよ」


提督「.......」


重巡棲姫「そうやって自分で相手の事を決めつけて、自分はまた逃げるの?」


提督「仕方ないだろ!俺にはもう耐えられなかったんだ.....」


重巡棲姫「...今度ちゃんと話をしにいくこと、いい?」


提督「...善処する」


重巡棲姫「ならこの話は終わり!お酒でも飲みましょ!」コト


提督「...そうだな、そうしよう」


重巡棲姫「久しぶりにカツでも揚げようかしら?」


提督「頼む。俺も久々に足柄のカツが食べたい」


重巡棲姫「嬉しいこと言ってくれるわね、任せといて!」



少し前 提督たちの島 砂浜



海風「うっ......」ググッ


海風「ここは.....?一体何が.....?」


秋津洲「あ!海風ちゃんやっと起きたかも!」


海風「秋津洲さん.....?そうだ!皆さんは?」


アイオワ「Yes!Im good...とは言えないわね。ammoはlostしちゃったし」カンカン


海風「え?ホントだ.....」カラッポー


サラトガ「幸い燃料は残ってますけど.....戦闘は逃げるしかなさそうですね」


しおい「そうですね.....」


秋津洲「そういえば、あの爆風は一体何だったかも?」


サラトガ「.....恐らく、核爆弾だと思います。あの光、見覚えがありますから」


海風「核!?なんでそんなものを日本が.....?」


アイオワ「そもそもJapanは核を持てないはずよね、なんであるのかしら?」


サラトガ「...それは後で考えましょう。まずは現在地の把握と鎮守府への帰投が最優先です」


秋津洲「.....」ジー


秋津洲「あそこ、少し明るくないかな?」


海風「あ、ホントですね」


アイオワ「Just in time!ここがどこか教えてもらいましょ!」



RJ平野



サラトガ「あれですね」


秋津洲「見た感じログハウスかも?」


しおい「それにしてもなんで一軒だけ?」


アイオワ「Hmm.....確かに少しstrangeね。窓から少し覗いて見ましょう」


五人 ヒョコ


提督「ふぅ...酒を飲むのも久々だな.....」ゴクゴク


重巡棲姫「あぁ.....そういえばあなた酒癖悪かったわね」フゥ


提督「まぁ体に悪いって分かってるのを飲むのもどうかとは思うがな。結局チューハイだし」


重巡棲姫「チューハイだったら大丈夫だったっけ?」


提督「そーそー、ただすぐ眠くなるのは変わってないけど」


窓の外


海風「どう.....なってるんですか」ヘナヘナ


しおい「提督が.....まさか、そんな」


アイオワ「ッ!」ダッ


秋津洲「待って!アイオワさん!」ガシッ


アイオワ「Don't stop me now!」


サラトガ「アイオワ、落ち着いて!弾薬がないのに姫級相手にどう戦うの?」


アイオワ「.......」


秋津洲「万全の状態で、もう一度来ましょう」


アイオワ「.....OK」


しおい「現在地の把握は完了、いつでも帰れますよ」


サラトガ「OK、それでは帰投しましょう」


五人『待っててね、提督』



呉鎮守府 執務室



ガチャ


秋津洲「海風捜索隊、無事帰投したかも!」


長門「お疲れ様。海風も無事で良かった」


海風「すみません...今後は衝動的に動かないように気をつけます」ペコ


長門「あぁ、頼む」


秋津洲「そうだ長門さん!提督の居場所が特定できたの!」


長門「な!?本当か!?」ガタッ!


秋津洲「うん、でも姫級の深海棲艦と一緒にいて手が出せなくて.....」


長門「そうか...提督は拷問とか受けていなかったか分かるか?」


秋津洲「....それが」


秋津洲「提督、深海棲艦とお酒を飲んでたの。楽しそうに会話をしながら」


長門「なんだと.....?」


秋津洲「会話の内容は聞こえなかったけど、とても親しそうに話してた」


長門「一体どういう事だ.....?」


ガチャ!


扶桑「長門さん、扶桑以下五名、帰投しました」


長門「扶桑たちか.....」


山城「.....提督の事ですか?」


長門「...あぁ」


説明中


あきつ丸「そんな.......」


長門「正直、事の詳細が分かるまで皆に公開するのは避けたい。余計に混乱するかもしれない」


明石「ですね。それがいいと思います」


海風「扶桑さんたちはどちらに行かれていたんですか?」


扶桑「提督が移っていた家に行っていました」


長門「何か残ってないかを探しに行ってもらっていたんだが.....何か見つかったか?」


山城「荷物等はすべて片付けられてしまって残っていなかったわ」


長門「やはりか.....」


あきつ丸「その代わりにこんな物を見つけたであります」スッ



少し前 提督の家



扶桑「ここですね」


山城「.....殆ど燃えカスになっちゃってますけど」


明石「まぁ何かあるかもしれませんし、見ていきましょう」


リビング


親潮「何か落ちてる.....写真立て?」ヒョイ


あきつ丸「親潮殿、何か見つけたでありますか?」


扶桑「提督と.....足柄さんのツーショット写真かしら?」


山城「変ね、うちの鎮守府に足柄は居ないはずよね?」


明石「いつ撮られた写真か分かる?」


親潮「うーん、ダメですね。裏の日付が潰れちゃってます」


あきつ丸「持って帰って一度調べてみる必要がありますな」


山城「そうね、それじゃあ探すのを...」ガッ


ガラガラガラ.....


明石「や、山城さん?大丈夫ですか?」


山城「.....不幸だわ」ハァ...


親潮「汚れ落とすの手伝います」パッパッパ


山城「助かるわ.....ん?これは何かしら」チャリン


扶桑「鍵.....?」


明石「どこかに使える場所でもあるんでしょうか?」


あきつ丸「探してみるでありますか」



数十分後


親潮「特に使えそうな場所はありませんでしたね...」


扶桑「まぁ収穫はありましたし、一度鎮守府に戻りましょう」


四人「了解!」



長門「ふむ.....写真と鍵か.....」


扶桑「どこか鍵が使える場所に心当たりはないでしょうか?」


秋津洲「それなら提督の私室にあるかも?あと提督の物があるとしたらそこぐらいしか思いつかないし」


山城「そうね、提督の私室を調べましょ」



提督の私室


長門「さて、調べよう。見逃しがないように気をつけよう」



あきつ丸「この机、随分年季が入ってるでありますな.....」


秋津洲「それは提督のお父さんが使ってた机かも」


扶桑「提督のお父さん.....?」


明石「そうね、あの人が現役だった時使ってた物だからかなり前の物ね」


あきつ丸「そうだったでありますか.....提督殿の父上が提督だったというのは初耳であります」


山城「パッと見何も怪しいところはないわね」


長門「.....この机、おかしくないか?」


秋津洲「え?」


長門「左の方の足の部分、引き出しが付いてるわけでもないのに何故板が張られているんだ?」


明石「.....よくよく考えたらおかしいですね」


親潮「ちょっと待っててください...」スー


親潮「...?内側に小さな穴が空いてます」


あきつ丸「灯りをどうぞであります」カチッ


親潮「助かります.....鍵穴...ですかね?」


扶桑「これ、挿してみてくれる?」チャリン


カチャン


山城「開いた!」


親潮「開けます...」ガラガラ


明石「カラ.....?」


秋津洲「...いや、よく見て」スッ


カポ


長門「二重底、か」


あきつ丸「ここまで厳重に保管された物.....気になるでありますな」


扶桑「これは.....」


本 深海棲艦に関する考察及び今後の深海棲艦への対応



提督たちの島



提督「おーい、レ級起きろー」ユサユサ


レ級「ん〜...もうちょっとだけ〜」


提督「こら、起きなきゃダメだぞ」


レ級「むぅ〜、分かった」モゾモゾ



リビング



重巡棲姫「提督、レ級起こしてこれた?」


提督「おう、今顔洗いに行ってる。朝飯の方はどうだ?」


重巡棲姫「もうそろそろ終わりそうよ。そこに置いてあるの持ってっておいて」


提督「りょーかい」スッ


駆逐棲姫「気をつけてくださいね」トントントン


重巡棲姫「ル級、ヲ級。あなた達も手伝ってー」


ル級ヲ級「はーい」



レ級「おはよー」


重巡棲姫「レ級も席について、それじゃ」


一同「いただきまーす!」パン


提督「...うん、やっぱり美味いな」


ヲ級「.....?」モグモグ


ヲ級「ねぇお母さん、卵焼きの味付け変えた?」


重巡棲姫「え?あぁ、提督の好きな味付けにしたからね」


ル級「結構甘いわね...砂糖?」


提督「そうだな。俺の母が作る料理は結構砂糖が入っててな、頼んで作ってもらってるんだ」


重巡棲姫「でも瑞鳳にはどうしても再現度で劣るのよね...」


提督「瑞鳳のはホントに似てるからなぁ...」


駆逐棲姫「私はこの味も好きです!」


重巡棲姫「それは良かったわ」


レ級「.....なんかさ、こうやって和気藹々としてるとさ」


レ級「家族、ってやつみたいだよな」


提督「家族.....家族、か」


提督「悪くない。何ならお父さんって呼んでもいいぞ?」


駆逐棲姫「お父さん!」ピョーン


提督「おぉ...わるさめは甘えん坊だなぁ」ナデナデ


重巡棲姫「あらあら」


ヲ級「私は.....お父さんってよりはあなたって呼びたいなぁ」カァ


ル級「そうね、たとえお母さんだとしても譲れないわ」


重巡棲姫「あなた達.....ふふっ、受けて立つわ」



駆逐棲姫「今日は何をするのおとーさん?」


提督「随分変わったな.....まぁいい」


提督「今日は風呂に使う薪をとって来ようかなと考えてる」


ヲ級「斧なら洞窟から持ってきてるから、私達にも手伝えるよ」


提督「お、手伝ってくれるのか」


ル級「もちろん。私達は、家族だからね」


提督「ならお願いしよう。でも怪我には気をつけるんだぞ?」


一同「はーい!」





提督「よーし、これだけあれば充分だ」


レ級「後は持って帰って、コンテナの中に入れとけばいいんだよな?」


提督「そうだな、行くぞ」ヨイショ





ヲ級「ただいま、お母さん」ガチャ


重巡棲姫「あら、おかえりなさい」


ヲ級「その人は?」


深海海月姫「こんにちは。お邪魔してます。深海海月姫といいます」


重巡棲姫「私の友達なの、お酒とかも海月姫から貰ってるのよ」


深海海月姫「酒はあなたが勝手に持っていってるだけでしょ.....」ハァ


ヲ級「へぇ〜。ヲ級です。よろしくお願いします」

ペコ


深海海月姫「.........」ジー


ヲ級「...?どうしました?」


深海海月姫「...貴方からは憎しみの心を一切感じなくて。やっぱり、提督の影響?」


ヲ級「お父さんに何かするつもりなの?」ガチャ


重巡棲姫「ちょっとヲ級!」


深海海月姫「別に何もしないわよ。でも、これで分かったわね」


深海海月姫「徹男くんにも手伝ってもらうことにしましょう」


提督「俺に何を手伝ってもらうって?」


レ級「ただいまー...って、今どういう状況?」


提督「久しぶりだなシャングリラ。だがどうした?あそこの基地でゆっくりするって言ってたろ?」


深海海月姫「お久しぶりです。私もホントはそうしたかったんですけどね.....話を聞いて頂けますか?」


提督「もちろん。困ってるやつがいたら助けないわけにはいかんからな」


深海海月姫「ありがとうございます。それでは一番最初に.....」


深海海月姫「私、実は神なんです」


一同「......え?」


提督「いやちょっと何言ってるか分かんない」


深海海月姫「ですよねー...」アハハ


駆逐棲姫「神って具体的にどんなものなんですか?」


深海海月姫「端的に言ってしまえばこの世界の創造主です。ただし、この世界に干渉する事はできませんでした」


提督「つまり、見ていることしか出来なかったわけか」


深海海月姫「そうです。ですがこの地球は素晴らしく、美しい世界でした。木々は生い茂り、花は咲き乱れ、鳥の歌声が響く.....人間が現れるまでは」


提督「......」


深海海月姫「人間たちは物凄い勢いで自然を壊し、自らをこの世界の王だと確信しました。そしてついには、自らの利益のために同族同士で争う.....私は見るに耐えませんでした」


提督「...さっきまでの説明だと海月姫はこの世界に干渉出来なかったわけだよな、だが今こうしてここにいるのはなぜだ?」


深海海月姫「それも今からお話します」


深海海月姫「かの大戦が終わってからとある場所で恐ろしい爆発実験が行われました。その炎はすべてを飲み込み、無に返す恐ろしい物でした」


深海海月姫「徹男さん、1946年の7月1日と25日。聞き覚えがないですか?」


提督「...クロスロード作戦か」


深海海月姫「ご名答。私の体、誰かに似ていませんか?」


提督「.....サラトガ、か?」


深海海月姫「そうです。私はいわば艦娘であるサラトガの負の側面を借りてこの世界に臨界できたんです。」



呉鎮守府 提督私室



長門「深海棲艦の正体.....」


親潮「......開きます」スッ


ペラ


深海棲艦に関する考察及び今後の深海棲艦への対応



数年前より突如として出現し、今も猛威を奮っている深海棲艦。先日海軍科学研究所より発表された深海棲艦の正体は沈んだ艦娘ではないか、という仮説が発表された。だが私は別の仮説を提唱する。


私の仮説はこうだ。


「深海棲艦の正体は、かの大戦で生まれた怨念、または沈んだ艦娘である」


秋津洲「かの大戦の.....怨念?」


海研の発表である深海棲艦の正体は沈んだ艦娘であるという仮説。確かに一部の姫鬼級と定義された深海棲艦は艦娘に非常によく似た容姿をしている者もいるため、説得力はある。

しかし、それを真とするならば最初の深海棲艦は一体どこから来たのだろうかと言う話になる。それに、水上艦型の深海棲艦は説明できても、港湾棲姫などの陸上型深海棲艦はどの艦娘が沈んだのかなどが説明できない。

また、沈んだ艦娘の数と深海棲艦の数で言えば明らかに深海棲艦のほうが多い筈だ。しかし数は一向に減る気配がない。

しかし、私の仮説を真とするならば、それらの説明もつく。そしてさらに、大きな問題も見えてくる。



1.イロハ級


最も遭遇の報告が多く、人の形をなさないイ級をはじめとする深海棲艦。ここでは便宜上エビ級と呼称する。

個々の能力は低く、脅威度は一番低く見ている者たちも多いだろう。

しかし、ここに私の仮説を当てはめると、このエビ級こそが一番の脅威となり得る。

海研でのイ級の解剖結果の資料には、イ級の体内には生存に必要な器官がほぼ全てなかったとある。

殺戮を行うためだけに特化し、他の機能を全て捨てた...

いわばエビ級は、純粋な怨念の塊である。と言えるのではないか?

その憎しみの塊を沈めたところでその憎しみの心は鎮まるどころか、むしろ増幅すると考えるのは当然だろう。

また、深海棲艦の体は99%が艦娘と同じ素材で出来ているとの調査結果も出ている。

ここから導き出されるのは、深海棲艦をいくら沈めようが数は減ることがなく、むしろ増えていくということだ。


明石「数が...増える?」


増幅した憎しみの心はある一定の所で分裂し、新たな深海棲艦を生み出す。最近報告が増えているオーラを纏った深海棲艦、eliteクラスやflagshipクラスも、憎しみのレベルが上がった深海棲艦なのだろう。

我々が深海棲艦を沈めれば沈めるほど、彼女らは力を増し、数を増やし、いつか手がつけられないほど強力に、そして膨大な数になってしまう。


2.姫鬼級


姫鬼級の正体については私も一部海研の仮設に同意する。最初の姫鬼級が確認されたのは西方海域のカスガダマ沖。初遭遇の2日前に同海域で航空戦艦が一隻轟沈したとの報告がされている。

やはり、沈んだ艦娘が姫鬼化しているものと見て間違いないだろう。

しかし姫鬼級が違うのはやはり数。今のところそこまで大量の姫鬼級が確認された事例はない。

それには艦娘のドロップが関係していると考えている。


3.艦娘のドロップ


深海棲艦を撃沈すると艦娘が手に入ることがある。これをドロップドロップ呼んだりするが、この原理はよく分かっていない。しかし私はこう考えている。

「深海棲艦と艦娘は表裏一体。彼女らは戦いの中で2つの陣営を行き来している」

深海棲艦を撃沈した時、何らかの影響で憎しみの心が消えると深海棲艦は艦娘として、我々の前に現れるのだろう。

だがしかし、全ての深海棲艦を艦娘にすることはまずできない。深海棲艦は一部を除き、6隻の艦隊を組織して行動している。

そして一度の戦闘でドロップする艦娘は一人だけ。

つまり、深海棲艦を一人艦娘にするだけで、深海棲艦は5隻に増えるのだ。これでは問題は解決できない。


3.これからの方針


深海棲艦を減らすためには沈める以外の方法で無力化するか、または憎しみを持つ魂ごと消し去る以外方法がない。

しかし、それらの方法はまだ確立されていない。よって当面は攻勢を控え、防衛に徹することが望ましい。

上で話題になっている核兵器などもってのほかだ。

核兵器に対する憎しみは計り知れないし、深海棲艦が突然変異する可能性も否めない。

いつの日か、息子たちの世代が安心して海を渡れるように、私は努力する。

       呉鎮守府提督  黒柳 和也



一同「..........」絶句



山城「...私達が、私達が今までやってきたことは...」


扶桑「提督はこれを知ってて深海棲艦を撃沈でなく、撃退していた.....?」


秋津洲「いや、それはないかも。その本、長い間開かれた形跡がなかったから」


親潮「ならば提督の方針はこれとは関係ないんですね...」


ガチャ


瑞鳳「皆ー、お昼ごはんできたよーって、何でこんなに空気が重いの?」


明石「瑞鳳さん...これを読めば分かります」スッ



瑞鳳「.........」


瑞鳳「...信じたくはないけど、あの人が言うならそうなんでしょう」


長門『秋津洲といい明石といい瑞鳳といい...何か意味深な事を言っているが.....それよりまずは提督だ』


長門「皆、感情に浸っている暇はないぞ!」


あきつ丸「そ、そうでありました!提督殿の救出に向かわねば!」


山城「どんな編成で行くの?」


長門「相手は姫級が一隻いるのは確定、その他にもいることを考えれば戦艦や空母で総攻撃をかけたいが...」


秋津洲「ネックになるのはここからの距離。ここから戦艦や空母の連合艦隊で進んだら最低でも3日はかかるかも」


扶桑「例の二式大挺は使えないのですか?」


明石「あのジェットエンジンを制御出来るのは提督だけなんです。輸送用に何機かありますけど、あれでも丸一日はかかります」


長門「一日か.....誰か一人でも斥候として送り込めないだろうか?」


親潮「...タシュケントさんならいけるんじゃないですかね?」


明石「確かに.....タシュケントちゃんの速力と改良型のウォータージェット推進を使えば半日足らずで到着できると思います」


長門「よし。斥候をタシュケントに担当してもらい、その間に我々も向かうぞ」


秋津洲「私は二式大挺の整備に向かうから、出撃準備は任せたかも!」タッタッタ


親潮「では、タシュケントさんを呼んできます!」


長門「第一陣はここにいるメンバーと海風救出隊とする、各々準備を頼む!」


一同「了解!」



タシュケントの部屋


タシュケント「.....」ボー


コンコンコン


親潮「タシュケントさん、入ってもよろしいですか?」


タシュケント「いいよ〜...」


親潮「失礼します。提督救出の件で連絡です」


タシュケント「!場所がわかったのかい?」


親潮「はい。タシュケントさんには提督と行動を共にしている深海棲艦が何か提督に危害を加えようとしたら、それを阻止する役目をお願いします」


タシュケント「同志.....深海棲艦に囚われているのか」ハイライトオフ


親潮「敵勢力の正確な規模は不明ですので、充分お気をつけを!」


タシュケント「任せて」ガチャ バタン


親潮「さて、私も出撃準備をしましょう」ガチャ


バタン



出撃ドック



タシュケント「随分燃料缶が多いね.....これじゃ武装積むスペースがないよ...」


明石「距離が距離ですから.....その代わり、これを」


タシュケント「これは?」


明石「秋津洲さん発案の小型ロケットランチャー、TH-10です」


タシュケント「形としてはグレネードランチャーに近いね」


明石「撃ち出す弾が少々特殊なので運用も少し異なります。具体的には敵艦の艤装を狙って打ち込んで下さい」


タシュケント「艤装?ウィークポイントじゃなくてもいいのかい?」


明石「はい、テルミット反応によって高熱になった弾頭が艤装を溶かして突き刺さり、開いた穴からダイレクトに炸薬を投入し、艤装内部で爆破するので装甲厚は考慮しないで大丈夫です」


タシュケント「了解、上手く使いこなしてみせるよ!」


タシュケント「あたしの提督に手を出したこと、後悔させてやる」ハイライトオフ


明石「...よし!艤装のセッティングは完了、出撃準備完了です!」


タシュケント「хорошо、よし!Ташкент 出撃だ!」


ブォォォォン!




大本営 会議室


元帥「ヒトフタマルマル、時は来たようだな」


元帥「これよりサンライズ作戦、及びマスキング作戦を開始する。裏切り者には制裁を、我が国には勝利を!」


大将s「ハッ!」ビシ



ブイン基地


プルルルル


友提督「ん?大本営からの連絡なんて珍しいな...」


友提督「こちらブイン基地」


大将B「貴鎮守府に特殊作戦の指令だ」


大将B「先日、呉鎮守府の提督が辞職、失踪した事は知っているな?」


友提督「!...はい」


大将B「実はその元提督が、深海棲艦側のスパイだった事が分かった」


友提督「な!?そんなはずが...」


大将B「君の気持ちはよく分かる。幼馴染を疑いたくないのは当然だろう」


大将B「...君の友人だった隆史君を覚えているか?」


友提督「?はい.....」


大将B「彼を殺害したのは、紛れもない呉鎮守府の提督だ」


友提督「そ、そんな.....」


大将B「これで分かったろう?彼は信頼できる友ではない。我々に危害を加える深海棲艦の一員なのだ」


友提督「........」


友提督「.....私達に下った命令は何ですか?」


大将B「呉鎮守府提督が潜伏している島に攻撃を仕掛け、彼を確保することだ」


大将B「この作戦が成功すれば、ブイン基地に多大なスコアを与える。待遇の改善も考えよう」


友提督「...了解しました」


大将B「頼んだ。連絡は以上だ」


ツー


友提督「.....隆史、仇はとってやるからな」




呉鎮守府



巡洋艦寮


ドアバーン!


憲兵「突入!」タッタッタ



ザラ・ポーラの部屋


コンコンコン


ザラ「はーい」スタスタ


ガチャ


ザラ「ご用はなんです....っあ!?」


ポーラ「ザラ姉さま?どうしました?」


ザラ「ポーラ.....逃げ....て」バタ


ポーラ「!?」


憲兵「貴様らにはスパイの容疑がかかっている!少々手荒だが暴れられると困るからな」バチッバチッ


ポーラ『スパイ.....?いや、これは大本営の策略?』


憲兵「さぁ、お前にも少し眠ってもらうぞ」


ポーラ「ッ!」ダッ


パリーン!


憲兵「チッ、窓から逃げられたか...」


プルルルル


憲兵A「巡洋艦寮、制圧完了しました」


憲兵A「ですが、軽巡洋艦矢矧を取り逃しました.....」


憲兵「分かった。これより追跡を開始する」



工廠


長門「.....よし、そろそろ第一陣は出撃するぞ」


しおい「了解しました。アイオワさんたちを呼んできますね」


長門「あぁ、頼む」


ドタドタ


しおい『?だいぶ焦っているようですが.....アイオワさんたちですかね?』


バーン!


矢矧 ハァハァ


しおい「や、矢矧さん?そんなに慌ててどうしたんですか?」


矢矧「だ、大本営の憲兵が.....私達にスパイ容疑がかかっているって.....」ハァハァ


長門「っ......」


長門『提督を消したがっていた大本営。提督に関係している者は全員消しにかかってきたか.....』


しおい「他の人たちがどうなったか分かりますか?」


矢矧「それは分からないわ.....部屋に戻ろうとしたら阿賀野姉の悲鳴が聞こえて.....部屋の中で話してたのを盗み聞きしただけだから.....」


パリーン!


親潮「だ、誰!?」ガチャ


ポーラ「ポーラです!窓割っちゃいましたけど、今そんなこと気にしてる場合じゃなかったんです!」


長門「ポーラも憲兵に会ったのか?」


ポーラ「はい。ザラ姉さまがスタンガンらしきもので気絶させられてしまって.....」



憲兵「工廠の中にいる者共に通告する!貴様らはすでに包囲されている!」


憲兵「残っているのは貴様らだけだ、降伏を推奨する!」


長門「くそっ.....他のところは既に制圧されたか...」


長門「..... 明石、今稼働できる艤装は?」


明石「えっと.....長門さんの艤装以外は全て稼働できます」


長門「私のはどれくらいかかりそうだ?」


明石「後一時間はかかるかと.....」


長門「...仕方ない」


長門「秋津洲!二式大挺で今いる全員を乗せて出撃してくれ!」


秋津洲「ええ!?でも飛ぶまでに妨害されて飛べないかも!」


長門「安心しろ。私が残って食い止める。艤装は使えないが、少しの足止めにはなるだろう?」


明石「.....私も残ります。流石に一人ではキツイでしょう?」


長門「明石....ありがとう」



憲兵「突入準備!」


長門「さぁ、行け!」


瑞鳳「長門さん、明石。任せました!」


明石「そっちこそ、提督を任せたわよ?」


瑞鳳「うん!任された!」


機内


秋津洲「それじゃあ行くかも!エンジンフルスロットル!」グッ


ゴゴゴゴゴ、ブルルルルルルル!



長門「行ったか.....」


明石「ですね。さて」ガチャ


憲兵達「引っ捕らえぇー!」


長門「やるぞ!」ハァッ!



提督達の島



深海海月姫「以上が深海棲艦のメカニズムです」


提督「.....深海棲艦の数が一向に減らなかったのはこういうことだったのか...」


深海海月姫「私は貴方と戦ってからは戦いたくないという深海棲艦達を集め、基地で暮らしていた」


深海海月姫「それからは何もしていないというのに...人間は、また私達を.....」


提督「.....俺に手伝ってほしい事って何だったんだ?大体想像はつくが」


深海海月姫「.....人間の根絶です」


提督「.....すまない。それには協力できない」


提督「俺は民間人を守る父に憧れて提督になったんだ。民間人の命を奪うなんてことはできない」


提督「それに.....皆を巻き込むわけにはいかない」


深海海月姫「.....そうですか」


重巡棲姫「もう帰るの?」


深海海月姫「えぇ。皆さんも気持ちの整理がついていないでしょう?私も戦力を集めなければなりませんので」ガチャ


提督「見送りに行くぞ」


駆逐棲姫「はーい」



海岸


提督「何か困った事があれば言ってくれていい。助けられることなら手伝ってやれる」


深海海月姫「ありがとうございます。それでは.....あら?」ピピッ


ル級「?電探に感ありです....っ!艦娘!駆逐艦です!」



タシュケント「見えた!同志〜!」


タシュケント『深海棲艦が周りに.....怖いだろうな....』


タシュケント『同志、今助けるよ』



レ級「駆逐艦の相手なら任せな!」バッ



タシュケント「.....あたしは同志を助けに来たんだ。邪魔しないで」ガチャ


レ級「提督は俺たちのお父さんになったんだ、お父さんはオレたちと暮らすんだ!」ガチャガチャ!


タシュケント「何を言ってるんだ?同志は僕たち艦娘と過ごすんだよ」


タシュケント「これまでも。そして、これからも。だならさ.....通信?」ピーピー


提督『繋がった!タシュか?』


タシュケント「ど、同志!?大丈夫なのかい?」


提督「あぁ!だから一度落ち着け、話をしよう」


タシュケント「話.....?何を言ってるんだい?同志」


提督「えっ.....?」


タシュケント「同志を助けに来たんだから話なんていらない。怖かった話は鎮守府で聞いてあげるから、そこで待ってて」


提督『な、ちょ、ちょっとま』


ピッ


タシュケント「同志を洗脳までするなんてね.....ますます許せなくなってきたよ」


レ級「洗脳なんてしてない!」


タシュケント「もういい。沈め」カチ


バシュ!


レ級「っ!」バッ


ドスッ ジュワ...


レ級『.....不発か?』


レ級「ラッキー!見たことない兵装だけど何とかなりそうだ...」


カチカチカチ カッ!


ドカーン!!


レ級「っあぁ!?」大破!


タシュケント「なるほど....こりゃいいね」


レ級『刺さった弾が中に入ってきて.....油断した...』


タシュケント「さーて、止めと行きたいところなんだけど、あいにく時間も弾薬もないからね」


レ級「クソ...ま、待て!」


タシュケント「艤装がそんな事になってたらロクに動けないでしょ?じゃあね」スイー


レ級「っ.....」ピーピー


提督『レ級!大丈夫か!?』


レ級「大破しちまった....新兵器を持ってるから気をつけて...」


提督『あぁ分かった。今ヲ級を迎えに行かせるから、それまで我慢しろよ?』


レ級「うん、分かった」



提督『新兵器.....秋津洲の言ってたあれか?』


提督『だとすると一発もらったら即アウトか...皆の実力がどんなもんかも分からんし...一体どうすれば』


重巡棲姫「私が止めるわ」


提督「...相手の攻撃は良くて大破、最悪一撃轟沈もあり得る。大丈夫なのか?」


重巡棲姫「大丈夫。私を信じて」


提督「.....分かった。だが約束してくれ」


提督「死ぬな、絶対に」


重巡棲姫「...あなたを残して死ねるもんですか。止めてみせるわ、あの子を」



タシュケント「...まだいたんだ」


重巡棲姫「あなたの提督、話したがってたのに聞かなくていいの?」


タシュケント「同志はお前らに洗脳されちゃってるから、何言っても無駄だからね。鎮守府で洗脳を解いてから話は聞くよ」


重巡棲姫「.....そう。分かったわ。なら一度眠ってもらうわ」ザーッ!


タシュケント「望むところ!」カチ バシュ!


重巡棲姫「シールド展開!」パカッ


ドス ドカーン!


重巡棲姫「ふぅ...流石の明石製、耐弾性能はバッチリね」


タシュケント「チッ...シールドとは小癪な...」


タシュケント『...でも見る感じ、攻撃用装備がない...あのシールドがかなり重いんだろうか?』


タシュケント『なら勝機は十分にある、機動力の差で裏を取って打ち込めば行ける!』


ブォォォォン!


タシュケント「Ураааааааа!!」


重巡棲姫「正面から挑まず、回り込む。いい判断ね」


重巡棲姫「ならこれでどう?」カチ


ピカッ!


タシュケント「ッ!?!?」


タシュケント『眩しくて何も見えない.....!』


バッ


タシュケント「むぐ!?」


重巡棲姫「暴れないで.....暴れない...」


タシュケント「う、羽毛...」


タシュケント『なんだ...段々眠く.....』フラッ


タシュケント( ˘ω˘)スヤァ


重巡棲姫「.....ふぅ」ピピ


提督「足柄!大丈夫か!?」


重巡棲姫「えぇ、この子は無力化したわ」


提督「そうか.....一度タシュを連れて戻ってくれ」


重巡棲姫「了解よ」ピッ


重巡棲姫『この子の動き...まるで瑞鳳を相手してたみたいだった.....気のせいかしらね?』







ヲ級「レ級連れてきたよ!」


提督「そこのベッドの上に寝かせといてくれ。ル級はまだ艦娘が来るかもしれないから、洋上警戒を頼む」


ル級「分かった」


提督「無理に戦おうとはするなよ?見つけたら連絡をくれ」


ル級「任せて」


ガチャ


重巡棲姫「あなた。この子どうすればいい?」


提督「そこのソファーに.....」


提督『あ、確か...』


提督「足柄。タシュの艤装の内側に開けられる所がないか?」


重巡棲姫「え?ちょっとまってね.....これかな」パカ


提督「その中にあるものを渡してくれ」


重巡棲姫「えーっと...はい」ポイ


提督「サンキュ」パシッ


重巡棲姫「それは何なの?」


提督「これ見れば分かるか?」カポ


重巡棲姫「この色.....高速修復剤?」


提督「そう。緊急時の応急処置として持たせてたんだ。だがあくまで応急処置。中破ぐらいにまでにしか直せないが.....」クルックルッ


提督「レ級、少ししみるかもしれんけど我慢してくれ」


レ級「うん、分かった」


タパー


提督「...どうだ?」


レ級「うん...少し良くなったみたい。ありがとう、お父さん」


駆逐棲姫「おとーさん、海月姫さん帰っちゃった」


提督「そうか...分かった」


提督「駆逐棲姫もル級と一緒に洋上警戒を頼めるか?」


駆逐棲姫「うん、分かった!」



タシュケント「ん.....一体何が」ムク


提督「.....起きたか、タシュ」


タシュケント「同志...」


提督「...何故、俺の話を聞こうとしなかったんだ?」


タシュケント「それは.....」


提督「俺はいつも言ってたよな。感情に身を任せて戦うなって」


タシュケント「.........」


提督「...お前の冷静さは一体どこに行ったんだ?」


タシュケント「...ごめんなさい」


タシュケント「あたし、同志が捕まったって話を聞いて、目の前が真っ暗になったんだ」


タシュケント「どうしていいかわからなくて.....でも、提督救出作戦のセッコウ?っていうのをやってくれって頼まれて...あたしにもやれる事があるって」


タシュケント「それで早く助けたいって思いで.....周りが見えなくなってたんだ」


提督「おま....斥候って偵察とか監視役って意味だぞ...」


タシュケント「えぇっ!?そうなの?」


提督「大体お前一人で向かってくるなんておかしいと思ったんだ.....」


タシュケント「...今何時か分かる?」


ヲ級「えーっと、マルハチマルマルよ」


タシュケント「ならそろそろ第一陣が来る頃じゃないかな...」


提督「ここまで来るなら二式大挺か.....ヲ級、ケミカルライトってあったよな」


ヲ級「うん、夜に便利だったから洞窟から倉庫に持っていってあるよ」


提督「んじゃタシュはそいつらに現状の説明を。俺は着水の手伝いをしてくる」



海岸


提督「よいしょ...お、光った」ポキ


ゴォォォォォ


提督「来たか.....通信?」ピーピー


秋津洲「提督かも?」


提督「おう」


秋津洲「話はタシュケントちゃんから聞いたかも」


秋津洲「.....色々聞きたいことはあるけど、まずは着水してから聞くかも」


提督「...あぁ。そうしてくれると助かる」


秋津洲「それじゃ、管制をお願いするかもー」


提督「ほいほーい」



バシャーーーーーーーーン


提督「.....」


パカッ


秋津洲「提督ー!心配したよー!」ギュー!


提督「...すまんかった」


扶桑「提督...よくぞご無事で...」


提督「立ち話もなんだ。とりあえず来てくれ」






提督「ただいまー」ガチャ


あきつ丸「お、お邪魔するであります.....」


ル級「お帰り。その人たちが例の?」


提督「そうそう。駆逐棲姫は?」


ル級「今お母さんと調理中よ」


提督「分かった。それと洋上警戒お疲れ様」ナデナデ


ル級「ん.....ありがと」


山城「.....随分仲がいいのね」ジー


提督「まぁな」


駆逐棲姫「ご飯できましたーって、えぇ!?」


親潮「わ、わるさめさん!?」


提督「あ、そういやわるさめは鎮守府メンバーと知り合いだったな.....」


矢矧「また来るって言って全然来なかったから心配したのよ?」


駆逐棲姫「私にも色々あって.....ご飯食べながら話しましょ?」



提督「んじゃ」


一同「いただきまーす!」


駆逐棲姫「.....ってことがあってですね...」


瑞鳳「へぇ〜大変だったのね〜」モグモグ


重巡棲姫「........」


提督「どうした足柄。具合でも悪いのか?」


重巡棲姫「い、いえ...」


重巡棲姫『間違いない....でもどうして?』ドクン ドクン


ポーラ「そろそろ、提督がどうしていなくなったのか、教えて下さい」


提督「.....分かった」



提督説明中.....



提督「...と、いう訳だ」


艦娘一同「.......?」


提督「ど、どうした?」


タシュケント「あのさ、同志は何か勘違いしてない?」


提督「勘違い.....?」


しおい「まず最初の私達に提督はいらないと言う発言ですが.....」


バァン!


しおい「ふざけないでください!」


提督「!?」


しおい「私達にとって提督は、戦う意味だったんです...いろんな人から裏切られても、提督だけはどんな時も私達を見捨てなかった、愛をくれた!そんな人が、いらないわけないじゃないですか...」ポロポロ


提督「.....」


秋津洲「そのとおりだよ.....それに...」


秋津洲「もう、大切な人を失いたくないの」


提督「...え?」


秋津洲「提督には黙ってたけど...私と瑞鳳、それに明石さんと大淀は黒柳和也提督...提督のお父さんの鎮守府所属の艦娘なの」


提督「な.....!?」


瑞鳳「ホントはもう少しいたんだけど.....提督のお父さんが死んでしまった時、私達もバラバラになっちゃってね...もう一度集まれたときにはこれだけしか集まれなかったの」


秋津洲「提督が研修生の時に足柄が沈んじゃったのが最後だったかも....?」


提督「...それって、矢田岬の研修場か?」


瑞鳳「えっ?何で知ってるの?」


重巡棲姫「...私が、足柄よ」


一同「!?」


重巡棲姫「この艤装を見れば分かるかしら?」ガチャ


秋津洲「...携行型閃光シールド。間違いないかも」


瑞鳳「そんな.....でもどうして深海棲艦になったのに意識が残ってるの...?」


重巡棲姫「...多分、提督に対する強い思いだと思うわ」


重巡棲姫「海月姫もそんな感じのこと言ってたし...」


秋津洲「.....そんなことよりも、また会えてよかった!」ギュー


瑞鳳「そうだよ!姿見が変わっても、私達はずっと一緒だよ!」ギュー


重巡棲姫「二人とも.....ありがとう」グス


提督「.....俺は鎮守府に戻るべきなのか?」


親潮「.....あっ!そうでした!提督にお伝えしなければ行けないことが...」


提督タシュケント深海一同「憲兵に捕まったー!?」


扶桑「はい.....長門さんと明石さんが囮になってくれなければ私達も捕まっていました.....」


提督「一体何故.....」


ヲ級「ちょっと待ってて、大本営の通信ログにアクセスしてみれば何か分かるかもしれない」パカ


海風「え?ヲ級さんそんな事出来るんですか?」


ヲ級「まぁね...っと、行けたよ」カチッ


ル級「最新の更新はこれね」


あきつ丸「敵諜報人追撃作戦.....でありますか」


提督「.....俺スパイって事になってる?」


親潮「そうみたいですね.....」


ヲ級「作戦概要はっと.....作戦担当はブイン基地って所だけど、聞き覚えある?」


提督「ブイン!?」


重巡棲姫「何か心当たりでもあるの?」


提督「.....俺の友人が提督をやってる鎮守府だ」


提督「...作戦概要を見る限り、ここに相当な戦力がいるってのは分かってるらしいが...あいつは特別作戦海域とかも他の鎮守府と共同で行う堅実なやつなんだ。それなのにいきなり単独での特別作戦てのは考えにくくてな」


秋津洲「...それじゃあ何か事情があるのかも?」


瑞鳳「ぶっちゃけそれが一番ありそうよね。何か友提督さんにはないの?ほら、弱みとか」


提督「あいつは誠実なヤツだからなぁ...そういうのはないと思うが...本人に聞くのが一番早そうだな」


山城「それ教えてくれるかしら.....?」


提督「それは分からん...何か俺が知らない裏事情でもあれば話は別だが...」


提督「と、その作戦開始っていつだ?」


ヲ級「えーっと、10月24日のヒトマルマルマルですね」


一同 時計見


Oct 23 23:00


一同「.......」


一同「................」


一同「明日じゃねぇか(ですか)!!」



ブイン基地


友提督「さぁ行くぞ。弔い合戦だ」キュッ


陸奥「.....大丈夫なの?」


友提督「...もちろんだ」


陸奥「了解、抜錨!」




呉鎮守府 巡洋艦寮



ガッ カランカラン


スタッ


ゴトランド「ふぅ.....隠れててよかった」


ゴトランド『もう夜...一体何が起こったのかしら...』


ゴトランド「大きな音が工廠でなってたわね.....行ってみましょう」



工廠


ゴトランド「酷い有様ね.....」


ゴトランド『壁に銃弾がめり込んでる...銃撃戦があったのかしら?』


ゴトランド「.....何か光った?」ヒョイ


ゴトランド「手帳...かしら?」


ゴトランド『憲兵隊の物ね...』


ガチャ!


憲兵「やべぇやべぇ、早く手帳を見つけねぇとどやされる.....うぉ!?」グイ


ゴトランド「暴れないで。私の質問に答えるの、いい?」


憲兵「わ、分かった!」


ゴトランド「あなたはどこの所属?」


憲兵「だ、海軍大本営憲兵隊だ!今は特務で横須賀警備所で捕まえた艦娘の警備をしてる!」


ゴトランド「そう、次の質問。あなた達は何をしてたの?」


憲兵「お前らにスパイの容疑がかかってたんだ、だから捕まえに来た!」


ゴトランド「.....そう。ありがと」ゴキッ


憲兵「が!?」


バタッ


ゴトランド「服は借りていくわ。じゃあね」バサッ



門前


ゴトランド「車か.....オートマなら乗れるけど...よし、オートマね」ガチャ


ブルルルルル


ブォォォォン......



10月24日 07:00



矢矧「提督、沿岸防衛陣地の構築完了したわ」


提督「ありがとう...こんなの初めての経験だから本当にこれでいいのかわからないが...」


駆逐棲姫「おとーさん、全員集合したよ!」


提督「分かった。よし!それではブリーフィングを始める!」


提督「本作戦は初めての島嶼防衛作戦だ...それに補給も望めず、撤退も不可能だ。よって戦闘の早期終結を目指す」


提督「具体的には艦隊を3つに分ける。戦艦と空母を主軸とした第一艦隊には敵本隊の足止めを行う。この時間稼ぎの間に俺が友提督と交渉する」


提督「そこで何とかなればいいが...決裂した場合、巡洋艦を軸とした第2艦隊で敵本隊を挟撃する。この時敵艦隊の退路を確保し、撤退するように仕向けてくれ」


提督「そしてタシュケントとあきつ丸二人の第三艦隊は呉鎮守府の現状確認及び資材を回収してきてもらう。万が一長期戦になったときの補給として必要だからだ。」


提督「編成は第一艦隊、旗艦秋津洲。扶桑、山城、レ級、ル級、瑞鳳、ヲ級、親潮、しおい、足柄。第2艦隊、旗艦矢矧、ポーラ、海風、駆逐棲姫。第三艦隊はさっき言ったとおりタシュケントとあきつ丸だ。何か質問は?」


提督「.....ないようだな。俺は友提督との交渉をするから戦闘指揮は難しい。よって各艦隊の指揮は旗艦に一任する。幸運を祈る!」


一同「了解!」


提督「秋津洲、戦いが終わったら教えてくれないか?俺の父さんのことを...」


秋津洲「分かった。そのためにも、頑張って戦うかも!」


提督「あぁ。そっちは任せたぞ」




横須賀警備所


長門「ん.....」


明石「おはようございます、長門さん」


長門「あぁ...私達も捕まったか...」


明石「はい...大挺が無事出発できていればいいのですが...」


ビー!


スピーカー「朝の食事を配る。檻の前から離れて座っていろ」


スピーカー「食事を終えたら今君たちが置かれている状況を説明する。できるだけ早く食事を済ませてくれ」


長門「現状の説明か.....」


明石「誰がいるのかも分かりませんし、ここが何処かすら分かってないですからね...ありがたいです」



食事後


大部屋



憲兵「ここだ」ガチャ


長門「皆...」


憲兵隊隊長「再開できて安堵しているところ悪いが説明させてほしい。座ってくれ」


長門「すまない.....」


隊長「ありがとう。さて現状の説明をしよう」


隊長「知っている者もいるかもしれないが君たち呉鎮守府の艦娘にはスパイの容疑がかかっている。理由は単純、君たちの提督にもスパイの容疑がかかっているからだ」


艦娘一同「......」


隊長「...信じられない、といった所だと思う。私だって信じられないのだから」


朧「...どういう事ですか?」


隊長「彼がスパイだという情報は元帥閣下から下ってきた物なのだが.....」


隊長「正直、最近の海軍上層部出の情報は些か正確性に欠ける。証拠として提出されていた写真があるんだが...」ゴソゴソ


秋雲「...一緒に写ってる深海棲艦の影、明らかにおかしいね」


不知火「え?ど、どこですか?」


隊長「拡大画像を出そう」ピッ


秋雲「ここ、本当だったら影の向きが反対のはずなのよ。それに妙なテカりもあるし」


加賀「流石、同人誌作家の名は伊達じゃないのね。」


秋雲「一言余計ですよ加賀さん...」


隊長「...話を戻そう。正直今回の件、君らはシロだと思っている。無論、君らの提督もね」


天津風「ならどうして...」


隊長「いくら憲兵とはいえ所詮は本営の直属の憲兵隊。元帥の命には背けないんだ」


隊長「だが、君らの提督の無実を証明できればなんとかなるかもしれない。だから君たちには少し大人しくしていてほしいんだ。ここで暴れられでもしたらそれこそ私達はスパイだって言ってるようなもんだからね」


川内「.....ねぇ憲兵さん、提督は濡れ衣を着せられたってことなんだよね?」


隊長「うむ、そういうことだな」


川内「ならさ、そこまでしていなくさせたい提督の無実を証明するまで大本営は待ってくれるのかな?」


隊長「.......うぅむ」腕組み


瑞鶴「確かに...普通は全力で潰しに来るはずだよね」


翔鶴「だとしたら待ってたら提督が本当にいなくなってしまうんじゃ.....」


隊長「それは全く考慮していなかった...確かにそれも一理あるか.....」


大淀「...そういえばゴトランドさんは?」


ザラ「.....確かにいないですね。二式大挺に乗っていったのでは?」


明石「いや、ゴトランドさんは工廠には来てなかったですよ?」


赤城「なら一体何処に...?」


コンコン


隊長「入ってくれ」


ガチャ


??「失礼します」コツコツ


隊長「見ない顔だな...新入りか?」


カチャ


ゴトランド「手を上げてそこに跪いて。声は出さないでね?」


鳳翔「ゴ、ゴトランドさん!?」


隊長「き、君たちの仲間か?」


ゴトランド「黙って」カチャ


長門「ゴトランド落ち着け!少し話を聞いてくれ」


ゴトランド「...........」


ゴトランド「...分かりました」スッ



隊長事情説明中



ゴトランド「ほんっとにごめんなさい!」ペコ


隊長「いや、君の気持ちも分からないことは無いから...大丈夫だよ」


白露「...これからどうするの?」


アイオワ「...I have a good idea.」


春雨「ほ、本当ですかアイオワさん!?」


アイオワ「Yes!それはね.....」



09:50 提督たちの島近海



秋津洲「...そろそろかも?」


ヲ級「マルキューゴーマル。そろそろ偵察機に引っかかってもおかしくないね」


瑞鳳「.....敵艦隊発見。blockB、編成、戦艦一、空母四、駆逐一」


秋津洲『さて.....やりましょう』ギン


秋津洲「了解。偵察機は他の艦隊が接近していないかの監視を続行」


秋津洲「艦隊陣形を輪形陣へ変更。親潮は対潜警戒」


親潮「了解!」


秋津洲「しおいは敵駆逐艦のソナー範囲外で待機、何か目に見える変化があれば報告を」


しおい『了解』


秋津洲「瑞鳳、ヲ級。直援機を発艦させて」


瑞鳳「了解、久々の出番ね。震電!」バシュッ!


ヲ級「攻撃は得意じゃないけど、防御なら!」ブーン


瑞鳳「奮龍流星隊はどうする?」


秋津洲「出し惜しみはナシよ、飛ばしちゃって」


瑞鳳「了解。さぁ、お願いね!」バシュッ!


親潮「流星...?」


瑞鳳「あの流星に積んであるのは少し特殊な武器でね、昔の海軍が試作した地対空ミサイルの奮龍に改良を加えて流星で運用できるようにしたの」


親潮「なるほど...しかも流星ならば発射後も強力な固定武装を活かして制空に加われる、ということですか」


瑞鳳「そのとおり!」


ヲ級「.....航空戦開始!艦隊に近づけさせるな!」


数分後


瑞鳳「...かなり落としたけど一部突破されたわ。上空には気をつけて」


秋津洲「了解。そろそろ戦艦主砲の射程に入るわ。準備を」


ル級「了解。久しぶりだけどやってやるわ」ウィーン


扶桑「...敵航空機視認!」


秋津洲「対空戦闘よーい!」ウィーン 


レ級「対空戦闘よーそろー!」ウィーン


一同「ってー!」バババババッ!


山城「チッ、3機残った」


重巡棲姫「問題なし。シールド展開!私の後ろに入って」ガチャガチャ!


ピュー.......


ビィィィィィィン!!!


親潮「!?水上、対潜電探共に停止しました!」


秋津洲「それだけじゃない.....操縦系統も全てやられた...まさかEMP?」


瑞鳳「偵察機との連絡が途切れた...これじゃ敵のようすが分からない...」


ヲ級「予備機が少しあるけど.....どうする?」


秋津洲「.....基地に1機送って。第2艦隊に救援を要請」


ヲ級「了解、お願いね」ブーン


ツーツートン ツー


秋津洲『...しおいからモールス信号?』


秋津洲「.....なるほど」


秋津洲「...敵艦隊は戦艦と駆逐艦を残して後退、代わりに戦艦4隻が出張ってきたらしいわ」


親潮「今の操艦が不可能な状況...戦艦のいい的ですよ」


ル級「っ!敵砲弾の飛来確認!どうするの!?」


山城「慌てないで.....爆弾投下」


ヒュオオオオ ドカーン!


バシャーン!


重巡棲姫「...敵砲弾を爆風で逸らすなんて...やるわね」


扶桑「さて、次はもうないですよ?どうします、秋津洲さん?」


秋津洲「.......」


秋津洲『.....やるしかない、か』


秋津洲「全員、錨を下ろして!」


瑞鳳「い、錨?」


秋津洲「いいから早く!」


親潮「わ、分かりました!」ガチャン


カラカラカラカラカラカラ.....


レ級「錨なんか下ろしたって...皆死ぬぜ!?」


カラカラカラ


秋津洲「...死は避けられない」


カラカラカラ


秋津洲「あなたは死ぬし、私だって死ぬ」


ヒュオオオオ!


秋津洲「皆いつか死ぬ.....」


カラカラカラ


秋津洲「......でも今日じゃない」


ガチン!


山城「っ!?」グラ


扶桑「山城!」ガシッ


ザーーーーッ!


バシャン!バシャン!


重巡棲姫「痛いのをぶっ食らわせてやるわよ!」カチャ


秋津洲「ってー!」


ドドドドドーン!!!!


レ級「撃ちまくれー!」ドォーン!


ウィィィィィン...


親潮「!操縦系統、及び通信機器復旧!」


秋津洲「錨を放棄して!」


ヒュオオオオ ドカーン!


ヲ級「ル級!大丈夫!?」


ル級「.....戦艦が簡単に沈むか!」バッ


秋津洲『矢矧、援護に来てくれる?』バシャーン


矢矧『今向かってる!もうちょっと耐えて!』


秋津洲『できれば逃げた空母部隊の牽制も頼める?また通信妨害なんてされたら溜まったもんじゃないの』


矢矧『分かった、任せといて』ピッ


秋津洲「被弾には最大限注意して!」


重巡棲姫「私が正面で受けるから私の後ろからの砲撃は任せたわ!」



貨物船 通信室



提督「これでブレーカーを上げてやれ、ば!」ガチャン


パッパッパッ


提督「よし...次は」カタカタカタカタ


提督「B-1...多分このチャンネルだ」ピッ



友提督「こちら、ブイン鎮守府提督」


提督「よし、繋がった!友近、俺だ」


友提督「.....この裏切り者がぁ!」


提督「ち、違うんだ友!お前は勘違いをしてる!」


友提督「勘違い?そんなわけないだろ!深海棲艦とお前が一緒に写った写真があるんだ!」


提督「......」


友提督「大将Bから聞いたぞ...お前が殺したんだってな?隆史をよぉ!」


提督「そんな事してない!」


友提督「ずっとお前を信じてたがもうお前は信頼できない。俺が必ずお前を引っ捕らえてやるから覚悟しとけ!」


ブツッ


提督「友近!.....クソッ!」


提督『大将B.....何故そんな嘘を友近に?』


提督「それよりも.....」ピッ


秋津洲『提督?交渉の結果は?』


提督『交渉は決裂。まともに取り合ってもらえなかった』


秋津洲『.....』


提督『これより艦隊の指揮を取る。まずは撃退しよう。話し合いはその後だ』


秋津洲『...了解、矢矧にも伝えとく』


提督『あぁ、頼んだ』




矢矧「.....えぇ、了解よ」


矢矧「さぁ第2艦隊、行くわよ!」


ポーラ「あの日常を取り戻すための第一歩、頑張りましょう!」


海風「シラフのポーラさん.....まるで別人です...」


ポーラ「提督がいなくなってからずっとワインなんて飲んでないですよ。次に飲むのはあの日常を取り戻してからです」


駆逐棲姫「凄い...初めてあった時のアル重からは考えられないような言葉です」


矢矧「そろそろ着くから準備を。ポーラは私と戦艦の相手、海風ちゃんとわるさめちゃんは空母部隊を釘付けにしておいてね!」


3人「了解!」



ポーラ「敵艦隊発見!」


矢矧「位置についたわ、攻撃準備完了よ」


秋津洲『了解、こっちも反撃を開始するわ』


提督『空母舞台の牽制の指揮は俺が取る。空からの攻撃は気にしなくていいぞ』


矢矧『了解。助かるわ』



秋津洲「さて、本格的に攻撃開始!」


重巡棲姫「攻撃装備に切り替えるから、弾受けは本職に任せるわね」ガチャ ウィーーーン


山城「私達に期待されても無理よ?装甲薄いんだから」


レ級「んじゃ正面の抑えは俺とル級でやるか」


ル級「え、私!?」


トトトトトトトト


親潮「ト連送、攻撃了解!」


親潮「皆さん、まもなくしおいさんの攻撃が始まります、攻撃完了と同時に突撃を!」


瑞鳳「そろそろ夜か.....夜間攻撃機出すけど火力は落ちるからね!」


一同「了解!」


矢矧『了解よ!』


ポーラ『了解!』



海中



しおい「......」


しおい『...照準器に艦娘を入れるとあの時を思い出して嫌になっちゃうなぁ...』


しおい『.....でも提督はこう言ってくれた。力を他人を傷つけるために使うんじゃなく、みんなを守るために使えって...』


しおい「...それが今!」バシュッ!



バシャーン!!!


ヲ級「巨大な水柱を確認!」


秋津洲「さぁ行くわよ、機関最大!」


一同「我、夜戦に突入す!」




大笠原沖



タシュケント「パパ島が見えたってことはあと少しだね」


あきつ丸「そうでありますな.....ですが自分らが本営に背いているのは恐らく周知の事実。より一層の警戒をしてほしいであります」


タシュケント「了解。となると電灯は消したほうがいいね」カチ


あきつ丸「今夜は新月でありますからな.....見つかりにくいのは良いことでありますがロクに前が見えないのも考えものであります」


タシュケント「それもそうだね.....っと、電探に感あり。隻数一、小型艦だよ」


あきつ丸「こんな時間に一隻でありますか?」


タシュケント「.....少し怪しいね、友軍の識別反応も出てるから間違いないとは思うんだけど」


あきつ丸「万一偽の信号を発する深海棲艦の可能性も無きにしもあらず。確認をするであります」


タシュケント「賛成、それじゃライトを.....」


あきつ丸「っ!タシュケント殿!」バッ


キィンッ!


タシュケント「!?」


あきつ丸「...何をする、神州丸」ググッ


神州丸「...気安く、呼ぶな!」バッ


タシュケント「...知り合い?」


あきつ丸「陸軍時代の同胞であります。佐世保鎮守府の所属だと聞いていたのでありますが...」


神州丸「ハァ.....ハァ.....」


タシュケント「明らかに様子がおかしいね...」


あきつ丸「...神州丸、少し話をしたい」


神州丸「貴様ら深海棲艦に...話すことなどない!」


あきつ丸『過労による錯乱.....』


あきつ丸「自分と同じでありますな」ボソ


タシュケント「えっ?」


あきつ丸「...仕方ない。少し痛いかもしれないけど、我慢するのだぞ?」スッ


神州丸「...なめるなぁ!」ザー!


ドガッ!


神州丸「カハッ.....」


ガクッ


あきつ丸「感情に任せての攻撃.....らしくないな、神州丸」


タシュケント「艤装はあたしが持つよ」ヨイショ


あきつ丸「助かるであります」


タシュケント「これからどうするんだい?」


あきつ丸「まずは鎮守府へ戻るであります。神州丸の回復を待つ間に資材の回収を済ませるであります」


タシュケント「了解!」



呉鎮守府 執務室



あきつ丸「さて、神州丸はここに寝かせておいて...そうだ、書き置きを残しておくであります」カキカキ


タシュケント「それがいいね。さて倉庫に向かうかい?」


あきつ丸「そうでありますな」



倉庫



タシュケント「.....まぁ大体想像はついてたけどさ、見事に何にもないね...」カラッポー


あきつ丸「見事なまでにすっからかんでありますな」


タシュケント「どうするの?持って帰れそうなのはここのテーブルくらいだけど?」


あきつ丸「心配御無用。実は提督殿から隠し倉庫の場所を教えてもらったであります」


タシュケント「隠し倉庫?」


あきつ丸「この鎮守府には毎月貰えるお小遣い制度があるでありますよね?」


タシュケント「うん、自由に使っていいってやつだよね」


あきつ丸「あれ実は提督殿の懐から出てるのであります」


タシュケント「え!?同志は大本営から出てるって言ってたよ?」


あきつ丸「というかここまで艦娘の待遇がいい鎮守府はここ以外だとブイン基地くらいでありますよ?」


タシュケント「そ、そうなんだ.....」


あきつ丸「前にできたサウナも提督殿の出費であります」


タシュケント「ってことは隠し倉庫も.....?」


あきつ丸「そういうことであります」


タシュケント「.....やっぱり同志は同志だね」


あきつ丸「ふふっ...全くでありますな」



地下 隠し倉庫



タシュケント「ここが地下倉庫...」


あきつ丸「民間人の避難も想定されていただけあって色々揃ってるでありますな」ズラー


タシュケント「どれくらい持っていけそうかな?」


あきつ丸「ん〜...鉄鋼やボーキはあの島の沿岸でも取れる公算大。食事と装備、高速修復剤を持っていくであります」


タシュケント「了解。そういえば神州丸さんって揚陸艦だよね?」


あきつ丸「そうでありますな、神州丸は大発部隊を戦闘に使う変わった戦法を得意としてるのであります」


タシュケント「ならさ、神州丸さんにも協力してもらえばもっとたくさんの物資を運べないかな?」


あきつ丸「なるほど.....冴えてるでありますな、タシュケント殿」


タシュケント「そうと決まればちゃっちゃと整理して神州丸さんの回復を待とう!」


あきつ丸「了解であります!」


タシュケント「...ねぇ、あきつ丸さん」


あきつ丸「どうしたであります?」


タシュケント「さっき言ってた自分と同じって...どういうこと?」


あきつ丸「.....聞かれていたでありますか」


タシュケント「もちろん無理にとは言わないよ?何か特別な事情があるなら別に...」


あきつ丸「いや、別に隠していた訳ではないでありますから、聞きたいなら話すであります」


あきつ丸「タシュケント殿、我々艦娘は人間と比べて遥かに体力がある事は知っていると思うでありますが、その艦娘にも限界があるのであります」


タシュケント「限界.....」


あきつ丸「疲労が限界を超えた艦娘は錯乱状態に陥り、幻覚、幻聴などの症状を引き起こし、暴れまわるのであります」


タシュケント「さっきのはそういう事だったんだね...」


あきつ丸「自分がこの鎮守府に来たのは第三次渾作戦の時でありました」


タシュケント「第三次渾作戦?渾作戦は第二次までしかないってあたしが見た資料には残ってたけど.....」


あきつ丸「.....あの作戦は、所謂捨て艦が大量に用いられた作戦でありました。自分は貴重な揚陸艦ということもあり、様々な鎮守府へ移動しては出撃するのを毎日行っていたでありました。毎回の6隻で出撃しても、帰りは良くて二隻、酷いときには単艦での帰投もあったでありました」


あきつ丸「あの作戦の突破報酬艦であったプリンツ・オイゲン殿を手に入れようと鎮守府の提督たちは、あの手この手で海域の突破を試みたのでありますが.....どの鎮守府も突破することはできないでいたのであります」


タシュケント「.....沈んだ艦娘は深海棲艦になる。それも捨て艦で沈んだとあれば...」


あきつ丸「そのとおりであります。日が経てば経つほど深海棲艦はより強力に、膨大な数へとなり、敵主力艦隊と砲火を交えることさえ難しくなったのであります」


あきつ丸「それ故あの作戦は無かったことにされたのであります。それと同時にプリンツ殿も『書類上』は無かったことにされたのであります」


タシュケント「書類上.....」


あきつ丸「...大本営に最後の出撃と言われ、送られたのがここ、呉鎮守府でありました」


モヤモヤーン



提督「君があきつ丸か...今日はよろしく頼む」


あきつ丸「..........」ポー


提督「...大丈夫か?」


あきつ丸「ハッ!?も、申し訳ないであります...」


提督「疲れているように見えるが...辞めとくか?」


あきつ丸「い、いえ!大丈夫であります!」ビシッ


提督「......分かった」


提督「それでは編成の確認をするぞ。今回は連合艦隊での出撃。第一艦隊、旗艦赤城、金剛、比叡、霧島、由良、あきつ丸」


提督「第二艦隊、旗艦北上、大井、木曽、多摩、綾波、夕立だ」


提督「あきつ丸は皆と違って深海棲艦との殴り合いは本業じゃない。したがって輸送作戦時の陣形を取ることになることだけ覚えといてくれ」


一同「了解!」


夕立「提督さん、帰ってきたら前作ってくれた抹茶アイス食べたいっぽい!」ピョンピョン


綾波「あ、それ賛成です〜」


提督「こらこら、慢心は駄目だぞ?帰ってきたら作ってやるから、まずは作戦に集中してな」


赤城「アイス.....」ジュルリ


提督「お前もか赤城.....」(´Д`)ハァ…


アハハハッ.....


あきつ丸「......」


由良「どうかされました?あきつ丸さん」


あきつ丸「あ、いえ...こんなに明るい雰囲気の鎮守府、始めてみたものでありますから...」


由良「そうなんですか...?ここ以外の鎮守府は訪れたことがなくて...」


あきつ丸「...それに、提督がというのが艦娘から慕われているのも、初めて見るであります」


由良「ここの鎮守府は提督さんありきよ。提督さんの為なら何でも、それこそ沈んだっていい」


由良「そんなこと言ったら提督さんに怒られちゃうけどね」フフッ


あきつ丸「.....」


由良「何か分からない事があればいつでも聞いてくださいね」


あきつ丸『この鎮守府は...何処か安心するであります。これまでの鎮守府からは感じられなかった...まるで家族のような暖かさがこの鎮守府にはある』


あきつ丸「...提督殿。本作戦の終了後、自分をここの所属にすることはできないでありますか?」


あきつ丸『もっと知りたい。艦娘を大切に、家族のように扱う提督殿の事を』


提督「え?うーん、それは分からんな...確か君の所属は今陸軍だったはずだから、陸軍に掛け合ってみないことには...」


金剛「ヘイ提督ゥ〜!陸軍のお偉いさんカラお電話デース!」


提督「ん、サンキュー金剛...変わりました。呉鎮守府の提督です」


陸軍大将「あぁ、突然連絡してすまない。今君の所にいる艦娘のあきつ丸のことについてなんだが...」


陸軍大将「正直、我々陸軍には艦娘の運用は分からん。今は海軍に貸し出しという形を取っているが、戻ってきてもらっても有効に使える確証はない」


陸軍大将「そこで、だ。君の鎮守府に置いてはくれないだろうか?呉鎮守府は艦娘をとてもに大事にする鎮守府と聞いている。そこなら安心して任せられるんだが...どうだ?」


提督「そうですね.....」クルッ


あきつ丸 コクコク


提督「...分かりました。お任せください」


陸軍大将「感謝する。要件は以上だ」


提督「了解しました。失礼します」


ガチャン


提督「.....と言うわけで、決まったな」


比叡「今日からよろしくお願いします、あきつ丸さん!」


あきつ丸「よ、よろしくお願いするであります!」


北上「んー、また賑やかになるねぇ」


大井「いいことですね」フフッ


木曽「なぁ、そろそろ出撃の時間じゃねぇか?」


提督「おっと完全に忘れてた...よし!歓迎会は後で、とりあえず仕事を終わらせるぞ!」


一同「オー!」




赤城「敵艦隊発見!戦艦棲姫、戦艦タ級、空母ヲ級、軽巡ツ級、駆逐ハ級後期型、二隻です」


提督『了解、戦艦棲姫は無視。随伴艦から叩いてくれ。切り込みのタイミングは多摩、お前に任せる』


多摩「ニャ、了解ニャ」


提督『全員、砲雷撃戦に突入せよ!』



北上「ほんじゃ行きますよーっと」ガシャガシャン


大井「私達の安全を脅かす悪い子達には、お仕置きしなきゃね?」ウィーン


木曽「姉さん...目に光がないぜ?」


大井「仕方ないじゃない。この出撃がなければ提督と買い物でも行こうと思ってたのに...」


北上「んぉ、抜け駆け?幾ら大井っちでもそれは許さないよ?」


提督『お前ともまた行ってやるから今は作戦に集中してくれ.....』


北上「はーい」


木曽「雷撃位置まで30」


大井「了解。さっさと終わらせて帰りましょう、せーの!」


3人「魚雷発射ぁ!」バシュシュシュシュッッッ!!



多摩「そろそろ突撃ニャ、準備はいいニャ?」


綾波「もちろん!」


夕立「行けるっぽい!」


多摩「それじゃあ水柱が立つと同時に突撃ニャ。絶対に止まるんじゃないニャよ?」


二人「了解!」



木曽『多摩姉、着弾まで後15秒だ』


多摩「了解ニャ、機関最大!」


ブォォォォン!



北上「はい3.2.1」


バシャーン!


綾波「突撃です!」ドォン


夕立「ぽい!」ドォン


大井『タ級とヲ級は大破。残ったのはハ級二隻とツ級よ』


提督『了解。多摩はツ級を、綾波と夕立は駆逐艦だ!』


多摩「砲戦なんて久々ニャ...だからといって、やらかす訳にはいかない...ニャ!」ドォーン!


綾波「駆逐艦の本分は夜戦ですが...私、結構昼もやれるんですよ?」ザーッ!


夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」ドドォン!



多摩「ツ級は落としたニャ」


綾波「こちらもそろそろ...きゃあ!?」


夕立「綾波ちゃん!」


綾波「うぅ...食らっちゃいました...」中破


多摩「戦艦棲姫からのヘイトがそろそろマズイにゃ。提督、離脱するニャ」


提督『了解。夕立が煙幕を展開しつつ海域から離脱してくれ』


多摩「了解ニャ。北上たちもついてくるニャ」


北上「りょーかい、右翼側行くから左翼側頼むよー」


大井「了解です」


夕立「煙幕展開完了っぽい!」


多摩「離脱開始。後は頼んだニャ」


赤城『お任せください』



赤城「航空戦開始...敵駆逐艦、撃沈。後は戦艦棲姫だけです」


金剛「そろそろ射程に入るネ、My sisters.Are you ready?」ウィーン


比叡「もちろん!気合、入れて、行きます!」


霧島「弾道計算、よし。敵艦との位置、よし。準備完了です、お姉さま」


金剛「よーし、それじゃあ全砲門、fire!」


ズドドドドドーン!!



由良「あれが戦艦棲姫...禍々しい艤装ね...」


あきつ丸「自分も初めて見たであります...」


由良「え?ここにはかなり来ているんじゃ?」


あきつ丸「...毎回戦艦棲姫の姿を拝む前に壊滅して撤退の繰り返しでありましたから」


由良「.....」


あきつ丸「でも今度こそ...今度こそは突破できそうであります」


あきつ丸「...突破しなければ、沈んでいった彼女らに顔向けできないのであります」


由良「...そうね、私達が仇をとってあげましょう」


あきつ丸「そうであります...ぁッ!?」ドクン!


由良「あきつ丸さん!?」


あきつ丸『なんでありますか.....?急に体が...』


あきつ丸『あぁ...頭がまっしろに...なにもかんがえられない』


あきつ丸「ゆらドの...じブンから...はナレルデありま...ス...アァッ!!」


由良「提督!あきつ丸さんが!」


提督『ど、どうした!?』


由良「あきつ丸さんが急に苦しみだして...どんどん肌と髪が真っ白に...」


提督『なんだそれは.....』


由良「電探があきつ丸を深海棲艦と認識...どうすれば!?」


赤城「...あきつ丸さんは私と由良さんでなんとかしましょう。金剛さんたちは戦艦棲姫を!」


金剛「OK!こっちは任せるネー!」


あきつ丸『...もはやこれまで...じぶんが...じぶんであるうちに』スッ


モヤモヤーン


あきつ丸「...ここで自分の記憶は途切れたであります」


タシュケント「......」


あきつ丸「由良殿の話だと、自分は首を落とす寸前で完全に自我を喪失。暴れまわったらしいであります」


あきつ丸「次に自分が目を覚ましたのは、鎮守府の医務室でありました」


あきつ丸「その時の話を聞かされたとき、自分は自害を図ったであります。仲間に攻撃したのでありますから、当然でありましょう」


あきつ丸「その時提督殿からこっぴどく叱られたであります。命を自分から捨てる奴があるか、と」


あきつ丸「あの時の提督殿の顔は怒ってはいましたが...どこか悲しそうな顔をしていたでありました」


タシュケント「.....同志は両親を事故で亡くした」


あきつ丸「...その分、何かを失うということに敏感になっている、ということでありましょう」


あきつ丸「...こうして鎮守府の一員に加わった自分でありますが...これを見てほしいであります」ピラ


タシュケント「写真...?」


あきつ丸「それは自分が建造されたときの写真であります。何か気づくことはないでありますか?」


タシュケント「うーん.....ん?」


タシュケント「肌の色が少し違う...?写真の方は今と違って完全に白じゃなくて少し肌色だよね...ま、まさか...」


あきつ丸「.....タシュケント殿の思った通りであります。深海棲艦に完全にはならなかったものの、体にはその影響が色濃く残ってしまったのであります」


タシュケント「...てことは神州丸さんも?」


あきつ丸「正直そこを一番心配してるであります。神州丸の肌に変化は見られなかったでありますが...その他にも何か変化がある可能性も拭えないのであります」


タシュケント「とりあえず執務室に戻るかい?」


あきつ丸「そうでありますね。では.....」ガチャ


神州丸「!あきつ丸!」


あきつ丸「し、神州丸!目を覚ましたか!」


神州丸「うむ、書き置きがあって来てみたが...」


神州丸「現状の説明を頼めるか?」


現状説明中.....


神州丸「なるほど...」


タシュケント「それで?何か変なところとかはないの?」


神州丸「...少し電気を消してもらえるか?」


あきつ丸「電気?了解」パチ


神州丸「...ありがとう。もうつけてくれて構わない」


あきつ丸「何か分かったか?」


神州丸「...信じられんが、どうやら目に暗視と熱源探知の効果がついたらしい」


タシュケント「アンシ?ネツゲンタンチ?」


神州丸「簡単に言えば暗闇の中でも戦闘ができる訳だ。深海棲艦にはこんな力もあるとは...面白いものだな」


あきつ丸「自分はただ肌が白くなっただけというのに...」ズーン


神州丸「だ、大丈夫だ!あきつ丸が気づいていないだけだ.....多分」


あきつ丸「慰めになってない.....」ズズーン


タシュケント「ほ、ほら!神州丸さん、そっちは一体何があったの?」


神州丸「ん、そうだったな。正直、本艦も詳しいことは分からんのだが...」


神州丸「二日前の昼。ウェーブ島の占領された廃鎮守府の偵察をしていたのだが、その途中で何か巨大な爆発に巻き込まれてな.....」


神州丸「幸い沈みはしなかったが帰投中に意識がぷっつり切れてな...目が覚めたらソファの上だった」


タシュケント「二日前のウェーブ島.....アイオワさんたちが巻き込まれたのと同じ爆発だね」


神州丸「それで?これからどうするつもりだ?」


あきつ丸「ここの物資を回収して一度拠点に戻るつもりだ。だが積載量が少し足らなくてな...協力しては貰えないか?」


神州丸「.....それは貴様らが大本営に追われていると知っての頼みか?」


タシュケント「.....」カチャ


あきつ丸「タシュケント殿、待つであります」


神州丸「.....だが旧友を見捨てられるほど、落ちぶれたわけじゃない」


神州丸「協力しよう」


あきつ丸「感謝する!」


タシュケント「神州丸さん、ありがとう!」


神州丸「それでは早速積み込もう。なるべく夜が明けぬうちに本土近海から離れたほうがいい」


あきつ丸「それもそうだな」



三十分後


あきつ丸「.....よし、積み込み終わったぞ!」


タシュケント「電探に感なし、今なら行けるよ」


神州丸「タシュケント、これを」スッ


タシュケント「マント...?」


神州丸「本艦の予備のマントだ。少しでも被発見率を下げたほうがいいだろう?」


タシュケント「そうだね...ありがとう!」バサッ


あきつ丸「さて、それでは出撃!」




タシュケント「...そういえば神州丸さん?」


神州丸「なんだ?」


タシュケント「神州丸さんの装備の大発についてたメロンの刻印って何?」


神州丸「あー、それは艤装の改造を担当した夕張の印だ」


あきつ丸「夕張だからメロンか...」


神州丸「彼女の作る武装は少し癖はあるが使いこなせれば随一の性能を持つからな。性能は保証する」


タシュケント「なるほどね.....明石さんの刻印と少し似てるところがあったから気になったんだけど、関係なさそうだね」


タシュケント「っと、電探に感あり。十一時の方向だよ」


あきつ丸「了解、十分警戒を。これより帰投する」



同刻 横須賀警備所



アイオワ「...こんな感じのstrategyよ!」


榛名「書類上存在しない艦娘のみで結成された艦隊ですか...」


長門「それなら確かに誤魔化しはきくが...そんな艦娘がいるのか?」


憲兵長「ちょっと待ってくれ...えーっと確か...」ゴソゴソ


憲兵長「これが俺たちに渡された呉鎮守府の所属艦娘のリストだ。これで確認してみてくれ」スッ


大淀「ありがとうございます。えーっと...」


大淀「アイオワさん、サラトガさん、プリンツさん、青葉さん、衣笠さんの記述がありませんね...」


鳳翔「アイオワさんとサラトガさんのお二人は鎮守府近くの砂浜に倒れているのを提督が見つけたんでしたね」


オイゲン「私は?特に変なことは無かったと思うんだけど...」


明石「うーん...確かに何ででしょう?」


川内「いやそれより気になる人たちがいるでしょ」


衣笠「正直私にも分からないんですけど.....?」


青葉「.....あのぉ」


青葉「...こんな状況ですから言っちゃいますね」


青葉「私達、司令官の両親について調べていたんです」


江風「提督の両親?」


青葉「ガサ、司令官の部屋に入ったの覚えてる?」


衣笠「うん、確か寝起きドッキリの為にカメラ仕掛けたときだよね、覚えてるよ」


モヤモヤーン


提督辞任の前日


青葉「これでいいかな?」


衣笠「ん〜、バッチリ!いやー、明日が楽しみだねぇ」


青葉「最近司令官元気ないからね...私達で前みたいな元気な司令官に戻してあげよう!」


衣笠「そうね...っと、そろそろ戻らなきゃバレるよ」


青葉「だね、それじゃあ...ん?」


衣笠「どしたの青葉?」


青葉「いや、この写真立てが倒れてて...これ、なんの写真だろ」


衣笠「見せて見せて.....小さな男の子と大人が二人...親御さんかな?」


青葉「...あ、これ司令官だ。顎のところにホクロあるし」


衣笠「おー、提督のご両親ってどんな人なのかな?」


青葉「気になったら取材!ガサ、司令官に聞きに行くよ!」タッタッタ


衣笠「ちょ!ま、待ってってばー!」タッタッタ



執務室



提督「俺の両親?」


青葉「はい!どんな人なんですか?」


提督「.......」


衣笠「...提督?」


提督「...君らが知る必要はない.....いや、知らないほうがいい」


青葉「な!ど、どういうことですか?」


提督「どうもこうもない...これで話は終わりだ」


バタン



衣笠「なんだろ.....いつになく提督冷たかったね」


青葉「.....ふふふ、ここで引き下がるほど青葉はヤワじゃないですよ?」


衣笠「でもどうするの?これ以上提督は何も教えてくれなさそうだけど...」


青葉「あの写真をもう一度しっかりと見て、特徴を探すの。それをインターネットで調べれば出てくると思う」



通信室


衣笠「服的に提督のお父さんも提督やってるっぽい?」


青葉「えーっと...現役ではないみたい。司令官の名字と合致する現職の司令官は他には見つからなかったし」


衣笠「んー、じゃあ提督の名字と事件って入れて検索かけてみたら?何かあったならそれで出てきそうじゃない?」


青葉「りょーかい。お、出てきたよ!」


衣笠「D街通りひき逃げ事件...?」


青葉「.....なるほど。そういう事.....」


衣笠「...提督には悪いことしたわね」


青葉「だね...後で謝りに行こう」


衣笠「だね.....ん?」


青葉「ガサ?どうしたの?」


衣笠「.....提督のお父さんも提督やってたんだよね?」


衣笠「なのになんで職業不詳になってるのかな?普通分かるもんだと思うんだけど」


青葉「確かに...なんか不都合なことでもあったのかな?」


衣笠「.....もうちょい調べてみない?」


青葉「...賛成」カチッ



青葉『調べていくうちにどんどんきな臭くなってくる...』


衣笠「...これ、提督のお父さんは大本営に暗殺されたと見て間違いないんじゃないの?」


衣笠「監視カメラといいトラックのナンバーが海軍のトラックと一致するところといい...偶然とは思えないんだけど」


青葉「.....なら、大本営は何故提督のご両親を...?」


衣笠「それが分からないよね.....」


青葉『.....大本営は信用できない』


青葉『.....そうだ、もしも司令官の身にも何か起こったときに対応出来るようにしたほうがいいよね.....』


青葉「.....Ghost watcher」ボソッ


衣笠「え?なに?」


青葉『私達がこの鎮守府にいない事にすれば...何か起こっても私達がいない前提で作戦が組まれているはず』


青葉『これなら司令官を守れる...確かここから轟沈艦が報告できたっけ...』


青葉「ごめんガサ、先戻ってて」


衣笠「青葉は?」


青葉「ちょっとやる事があるから...」


衣笠「分かった、あまりやりすぎないようにね?」


青葉「りょーかい」


モヤモヤーン



衣笠「そんなことを...」


青葉「正直、大本営はもっと色々な事を隠蔽していると思います。これは氷山の一角に過ぎない、と」


憲兵長「...まぁ、なんだ。結果的に狙い通りにはなったわけか」


長門「大本営.....」グッ


憲兵長「とにかくだ、それだけの戦力ならとりあえず君らの提督のところまでは行けるだろう」


憲兵長「ここにいる全員の無実が証明されるまで、守ってやってくれ」



5人出発後



春雨「アイオワさんたち.....頑張って!」


村雨「あのメンバーなら大丈夫だと思うけど.....私達は何をすればいいのかしら?」


憲兵長「うーん...おとなしくしててくれればいいだけだからな...特にやることも無いし」


瑞鶴「提督さんが危険な目にあってるかもしれないのに行けないのはホントにもどかしいわね...」


コンコン


憲兵長「ん?どうぞー」


ガチャ


??「よぉお前ら、久しぶりだなぁ?」


大和「...何故あなたがここに?」


??「色々あったんだよ、色々とな」


武蔵「...貴様と話す気はない。早く消えろ」


??「おうおう、かつての上官にそんな態度を取るのか。やっぱり今の提督が平和ボケしてるからかぁ?」


長門「......それ以上提督を貶すのは辞めろ」


??「お前もか長門...ちょうどいい」スッ


ドスッ


一同「!?」


長門「何を.....」


??「ちょっとした注射だ。なぁに、死ぬこたぁない。ただちょっと素直になるだけだ」


長門「......」


??「お、効いた見てぇだな。んじゃこいつら取り押さえて注射しとけ」


長門「.....了解」ガシッ


古鷹「や、止めてください!長門さん!」


ドスッ


古鷹「あが.....」


数分後


??「よし、終わったか」


憲兵長「今のは.....?」


??「お前がここの責任者か?」


憲兵長「ハッ!ここの艦娘を呉鎮守府から連行した隊の隊長を務めております」


??「あぁ、あの隊か。いやな、最近海研で開発された新薬を投与したんだ」


??「元々は暴走した艦娘に投与してコントロールするのが目的なんだが...まぁ問題はないだろう」


憲兵長『この男...何が目的でこんな事を...?』


??「あ、この薬品は安全上艦娘にしか効かんから安心してくれ、例えば...ふんっ」ドス


??「.....とまあ、こんな感じで大丈夫だから」


憲兵長「わざわざ実演する意味とは...?」


??「突然現れて謎の薬品使われたら不安になるだろ?とりあえず安全だってことを伝えたかっただけだから」


憲兵長「は、はぁ.....」



同刻 海上


ツーツートト


プリンツ「モールス信号?」


サラトガ「...うちの暗号表とは合わないですね、別の鎮守府のものでしょうか?」


青葉「電探に感あり...深海棲艦です」


アイオワ「Talkしてる暇はnothingね...行くわよ!」




タシュケント「...6時の方向に感あり」


神州丸「ちっ...勘付かれたか」


タシュケント「大型艦が5隻...逃げるが勝ちだね」


ピーッピーッ


あきつ丸「通信?」


青葉『こちら青葉です!司令官に何か起こってはないですか?』


あきつ丸「自分には分からないであります。今は鎮守府近海にいるでありますから...」


青葉『鎮守府近海?それって大笠原の近くですか?』


あきつ丸「そうでありますな...あ、そういう事でありますか」


あきつ丸「タシュケント殿、神州丸。電探に映ってるのは青葉殿たちだ。合流しよう」


神州丸「了解した」


タシュケント「探照灯つけるから、これを目印にして」カチ


青葉『探照灯の光、確認できました!今から向かいます』


衣笠「タシュケントちゃん...無事で良かった!」


タシュケント「色々あったけどね.....」


神州丸「...貴様らは?」


アイオワ「My name is Iowa.What your name?」


神州丸「...名前がアイオワってことだけは分かった」


サラトガ「あ、えーっと。貴方の名前は?」


神州丸「あぁ.....神州丸だ。すまない、英語?とやらはさっぱりでな...」


あきつ丸「っと、青葉殿らは憲兵に捕まっていたのでは?」


青葉「あ、それはですね.....」


説明中.....


タシュケント「なるほど...向こうからしたら存在しない筈の艦娘だけで結成された艦隊。さしずめПризрачный флотってところだね」


ピーッピーッ


あきつ丸「もしもし?」


提督『俺だ。そっちはどうだ?』


あきつ丸「問題なく物資は回収出来たであります...ありますが.....」


提督『何か問題でもあったか?』


あきつ丸「...色々ありすぎて帰ってから説明したほうが早いと思うので後にするであります」


提督『そ、そうか.....』


提督『こっちは何とか敵艦隊を撤退させることができた。だからゆっくり帰投してくれて構わない』


あきつ丸「了解、最速で帰投するであります」


提督『えぇ.....』


あきつ丸「帰ったらいっぱい甘えさせてもらうであります。こんなに頑張ったのだからそれぐらいは許されるのでは?」


提督『...分かった。ならなおさら気をつけてな』


あきつ丸「了解であります」



提督たちの島



提督「ふぅ.....とりあえずは何とかなりそうだな...」


瑞鳳「提督、第一、ニ艦隊帰投したよ!」


提督「おかえり。よく頑張ってくれたな」ナデナデ


瑞鳳「でしょー?あ、ル級さんなら今秋津洲が手当してるから、大丈夫だよ」


提督「分かった。にしてもすごかったな、空母4隻相手に二隻で制空権確保するなんて正直思わなかった」


瑞鳳「機体のスペックもあるけど...それを使いこなす妖精さんの技量があってこそだよ」


提督「なるほど...」


瑞鳳「だからさ、妖精さんたちも褒めてあげてほしいの。今から来てもらうから」


提督「分かった。俺も少し聞きたいことがあるからな」



妖精さんs「おじゃましまーす!」


提督「まずは一つ。よく頑張ってくれた、お疲れさま」


提督「これからも君たちの力が必要だ。引き続き頼む」


妖精さんs「りょうかい!」


提督「そしてもう一つ、聞きたいことがあるんだが...」


提督「この機体の搭乗者は誰だ?」スッ


戦闘機隊長「わたしです!」ビシ


提督「君か。もう一機、これは?」スッ


攻撃隊長「あたしよ」ピシ


提督「二人に聞きたい、君らが隊のトップだよな?」


戦闘機隊長「そうですね、戦闘機隊はわたしがしきしています」


提督「なら何故尾翼ある数字は002なんだ?一番機なら普通001だと思うんだが...」


攻撃隊長「.....まぁ、ていとくさんにならおしえてもいいか」


攻撃隊長「ていとくさんはCometのうわさをごぞんじですか?」


提督「それなら前に聞いたことがある。操縦から攻撃まで一人でこなす、非常に優秀な艦爆乗りって話だったかな?」


攻撃隊長「そう、その妖精こそわたしたちのぶたいのいちばんき。真のたいちょうよ」


提督「なるほど...」


提督『あれ?確か...』


戦闘機隊長「それならSpider lilyはしってますか?」


提督「スパイダーリリー...あれか、真っ黒な機体に真っ赤な彼岸花のマークが描かれた伝説の戦闘機」


戦闘機隊長「そうです、そのきたいの搭乗員がわたしたちの隊長でした」


提督「.....俺の記憶が正しければ、その2機は撃墜されていると思うんだが」


攻撃隊長「.....そうよ。いや、そうなっていると言ったほうがただしいかしら?」


提督「?」


戦闘機隊長「2機がおとされたじょうきょうはしってますか?」


提督「確か新米妖精さんに操縦を教える為の訓練飛行中に雲間から現れた数機の敵戦闘機にロケット弾を打ち込まれて爆砕されたって話だったか」


攻撃隊長「そう、でもわたしたちはふたりがしんだとはおもえないの」


攻撃隊長「ふたりはそらのうえならどんなときでもきをぬかなかった。くんれんでまわりをみなければいけなかったとはいえ、ふたりが奇襲をうけるとはかんがえにくいの」


戦闘機隊長「それになぜ機銃でなくわざわざロケットなんかでこうげきしたのかというところにも疑問がのこります」


提督「確かに.....爆撃機ならともかく小型機にロケットで攻撃するなんておかしいな」


戦闘機隊長「だからわたしたちはふたりがいきている。いつかかえってきてまたしきをとってくれる...そう思っているから001はのこしてあるんです」


提督「...ありがとう。これが落ち着いたら皆で二人を探そう」


攻撃隊長「...えぇ、約束よ」


提督「今日はもう遅い。次の出撃に備える意味でもしっかりと休息を取ってくれ」


戦闘機隊長「そうさせてもらいます。それでは」


妖精s「しつれいしましたー!」


バタン


提督「.....幻の飛行機乗り、ね...」


瑞鳳「私も二人が戻ってきた時に笑われないように頑張らなきゃね」


提督「それもそうだな...とりあえず瑞鳳も早く寝たほうがいいぞ」


瑞鳳「.....提督が一緒に寝てくれるならいいよ?」


提督「え?俺が寝たらマズいだろ」


瑞鳳「提督はすーぐそうやって...今日こそはしっかり休んで貰うんだから!」ガシ


提督「ちょ!おまっ!」


ポスッ


瑞鳳「えへへー、これで提督は逃げられないよぉ?観念して私と一緒に寝て?」ギュー


提督「ぐぅ.....」


提督「...分かった。だが手元に通信機は置かせてくれ」


瑞鳳「分かった、おいたら電気消すね」



提督「よし、それじゃあおやすみ」


瑞鳳「おやすみなさーい」パチッ


ガチャ


秋津洲「提督、ル級さんの手当終わったか.....も?」


瑞鳳「あっ.....」


秋津洲「ず〜い〜ほ〜う〜?前に決めたこと忘れたのかなぁ?」


瑞鳳「ち、違うの。提督がまた徹夜しようとしてたから.....」


提督「そ、そうだぞ!何を決めたのかは知らんが瑞鳳は俺の為に...」


秋津洲「...なら私だっていいよね?」


秋津洲「私だって提督と一緒に寝たいかもー!」ダイブ


提督「うおっ.....ってかその発言中々に危ないぞ.....?」


秋津洲「え?.....あー、でも提督になら.....」


提督「.....え?」


瑞鳳「もー、二人とも!寝るよ!」


提督「えぇ.....」


秋津洲「提督、抱きしめてほしいかも〜」


提督「えーっと、こうか?」ギュ


秋津洲「んっ.....温かいかも〜」


瑞鳳「ずるい、私もー!」


提督『これじゃ寝れねぇよぉ........』



翌日


あきつ丸「マルゴマルマル...もう朝でありますな」


タシュケント「ちょっと疲れたから少し寝たいなぁ...」


アイオワ「.....あのislandだったかしら?」


サラトガ「煙も上がってるし、間違いなさそうね」


神州丸「あきつ丸.....手鏡を持ってたりはしないか?」


あきつ丸「手鏡?持ってないな」


神州丸「そうか.....」


プリンツ「なんで突然手鏡なんて?」


神州丸「...今は違うとはいえ、目上の方に見苦しい姿を見せたくないと思っただけだ」


青葉「.....ホントは?」


神州丸「いや...別に提督殿の艦娘に対する優しさに惚れたから提督殿に少しでも可愛く見てもらおうなんて思ってないぞ?」


衣笠「...乙女ね」


タシュケント「девушкаだね」


プリンツ「Fräuleinですね」


神州丸「......」ポッ


一同『可愛い.....』



ログハウス


ガチャ


あきつ丸「第三艦隊、帰投したであります」


提督「あー、おかえり.....」ポー


タシュケント「提督眠そうだね.....?」


提督「まぁ...な、それよりも、だ」


提督「...なんか増えてない?見たことない子もいるだけど?」


あきつ丸「それでは順を追って説明するであります」


タシュケント「あたしは少し寝てくるよ.....」



説明中...


提督「なるほど...あれはそういう事だったのか...」


青葉「あれ?」


提督「いや...なんでもない。んでだ」


提督「神州丸、だったかな?」


神州丸「は、はい!強襲揚陸艦の神州丸であります!」


提督「まずは謝らせてほしい。このような事に巻き込んでしまってすまない」ペコ


神州丸「い、いえ!本艦が望んで参加したのでありますから...」


提督「だとしてもだ。俺の無実が証明されなければ俺に味方していたと分かればまず終わりだぞ?」


神州丸「.....提督殿の噂は昔からあきつ丸から聞いていたであります。艦娘を誰よりも大事にする提督だ、と」


神州丸「あきつ丸も提督殿に助けられたと聞いたであります」


神州丸「友を助けた人を助けず、恩を仇で返すわけにはいかないのであります」


提督「.....そこまで言うならいいだろう。...ありがとうな」ナデナデ


神州丸「はうっ!」ビクン


提督「おわっ!?だ、大丈夫か!?」


サラトガ「多分大丈夫だと思いますよ?神州丸さん、提督に惚れてるみたいですからね」


提督「え、えぇ.....」


衣笠「まぁそのうち目を覚ますでしょ。あ、そうだ提督、帰投中に変なモールス信号が送られてきたんだけど...」


提督「変なモールス信号?どういう事だ?」


衣笠「私らが使ってるのと照らし合わせて見たんだけど、どうやら違うみたいなんだよね。提督なら分かるかもと思って」


提督「どれどれ.....」


提督「...Nödsituationer, tro inte på oss...?何語だこれ」


アイオワ「Hmm...Europa系というのは分かるけど...」


あきつ丸「何語か分からないのに書くのはできるのでありますか?」


提督「こんな言葉知らないはずなんだが...不思議とペンが動くんだ」


プリンツ「う〜ん、どういうことでしょうか?」


提督「俺に言われてもなぁ...強いて言えば昔こんな感じの字を教えてもらった事があった気がするんだよな...」


青葉「誰から教えてもらったんです?」


提督「それが思い出せないんだ...その直後に両親が轢かれたのもあって、そこらへんの記憶が曖昧なんだ」


提督「ただ、大人でなかったのは覚えてる。確か俺と同い年くらいの女の子だったかな?」


あきつ丸「とりあえず他の艦娘にも聞いてみては?」


提督「それしかないな。よし、皆を集めてくれ」



続く.....


後書き

とりあえず一区切りです。ここからの展開はまだ構想しかないので下書きを書く間、活動報告でもお知らせしたように「帰ってきた世界に艦娘が来ました」のリメイクを検討しています。何かご意見があればお願いします


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2022-02-20 14:12:53

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1: 獄都の憲兵 2020-05-06 21:23:37 ID: S:mvQY7k

新作か・・・・・・







これは親潮がヒロイン枠かな?
続きが楽しみです!

2: SS好きの名無しさん 2020-05-08 11:52:10 ID: S:elGEmJ

良い展開ですね。
ツンデレ・暴言キャラが自業自得にはまる流れ…
最高です!

3: SS好きの名無しさん 2020-05-09 03:46:24 ID: S:ZsnKRi

この提督本物の無能だな。絶対に人の上に立っちゃダメなタイプ。

4: DELTA ONE 2020-05-10 18:38:36 ID: S:Si2y4A

面白いです"(ノ*>∀<)ノ
ただ最後のめちゃ長い空白がきになりました

5: 50AEP 2020-06-23 22:52:48 ID: S:4Zjd1D

まさかの再開!かと思いきや、誤解が生じてしまった(まあ、そうなるな。)
いろいろと伏線の多い話で、この先も楽しみです!

6: はるちょ 2020-06-28 12:02:29 ID: S:rorIoX

1〜5←
最近忙しくてSSの更新に手いっぱいになってしまっていてコメントに返信することが出来ておらず申し訳ありませんでした!
しっかりとコメントは読ませていただいておりますので、今後とも本作品をよろしくお願いします!





7: 農業好きな提督…雪だるま! 2020-07-07 05:50:32 ID: S:7lp5v9

提督に関われば、その人は死んでしまう...。いえば死神のような存在やな。


けど新しい発想と物語はとても好きです!
更新頑張って下さい!

8: SS好きの名無しさん 2020-07-19 01:33:44 ID: S:MCRjT9

面白いです。これからも頑張ってくださいね!

9: J-ROCK 0105 2022-05-15 01:17:18 ID: S:6YADtZ

凄く面白い。
提督が無能って言ってるアホ居るけどアホが無能なだけやん😁


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