シンジ「あ、もうこんな時間か」

アスカ「早くご飯作んなさいよバカシンジ」

シンジ「あぁ、ごめん。今日はちょっと用事があるんだ」

シンジ「ご飯はコンビニかなんかで買って食べてよ」

アスカ「はぁ、まったく…仕方ないわね」

シンジ「じゃあ、出かけてくるね」

アスカ「…は？」

アスカ「ちょっと待ちなさいよ」

シンジ「え？なに？あぁ、ご飯ならコンビニかなんかで…」

アスカ「それはさっき聞いた」

シンジ「なら、僕は出かけてくるから」

アスカ「待てったら」

シンジ「なに？」

アスカ「いつ帰ってくるつもりなの？」

シンジ「う～ん、今日はちょっと遅くなるかも」

アスカ「は？」

シンジ「え？」

アスカ「どこに出かけるの？」

シンジ「綾波の家だよ」

アスカ「は？」

シンジ「あぁ、別にずっと綾波の家で過ごすわけじゃないよ」

シンジ「ただ集合場所がそこなだけ」

アスカ「そんなこと誰も聞いてないわよ」

シンジ「じゃあ、もう僕は行くから」

アスカ「いや待てったら」

アスカ「どういうこと？」

シンジ「いや…だから今日は僕ご飯作れないから…」

アスカ「それはもういいわよ」

シンジ「…？」

アスカ「だからアンタはこれからなにすんの？って言いたいの」

シンジ「綾波と過ごすんだよ」

アスカ「私の名前って綾波だったっけ？」

シンジ「何言ってんだよアスカ、病院行った方がいいよ」

アスカ「そうね、アンタと一緒にね」

アスカ「なんでエコヒイキと出かけるわけ？しかも今日」

シンジ「なんでって言われても…」

シンジ「前から約束してたし」

アスカ「今日？」

シンジ「今日」

アスカ「今日は何日？」

シンジ「12月4日」

アスカ「そうよね、うん、私が間違えるはずないし」

シンジ「うん、じゃあもう僕は行くよ」

アスカ「待てっちゅーの」

シンジ「まだなにかあるの？」

アスカ「逆になんかないの？」

シンジ「なにが？なにに？」

アスカ「アンタが、私に」

シンジ「意味分からないこと言うね」

アスカ「意味分かんないのはアンタよ」

シンジ「あ、1つだけ言い忘れてたよ」

アスカ「とりあえず聞くわ」

シンジ「今日は帰り遅くなるからご飯は…」

アスカ「それもう4回目なんだけど」

シンジ「じゃあもう僕は行くよ」

アスカ「待て」

シンジ「痛っ！突然殴るなんてアスカどうかしてるよ」

アスカ「どうかしてるのはアンタの方よゴミシンジ」

シンジ「ゴミ…？なんだよ、綾波と出かけることの何が悪いんだよ！」

アスカ「そこに関しては見逃してるわよ、非常に不本意だけれど」

シンジ「あっ、このままだと約束の時間に遅れちゃうよ」

アスカ「そろそろ殴るわよ」

シンジ「いてっ！なにが『そろそろ殴るわよ』だよ、もう2発目じゃないか」

アスカ「もっと大事なこと忘れてるくせにそんな細かい事いちいち覚えてんのねアンタ」

シンジ「忘れてる？あぁ、だから今日のご飯は…」

アスカ「それは5回目よアホシンジ」

アスカ「一応聞いておくけどこれはサプライズとかじゃないのよね」

シンジ「サプライズ？」

アスカ「もうこの際そういうのいらないから」

アスカ「…普通に祝ってもらえれば十分よ」

シンジ「なんの話してるの？」

アスカ「…………」

シンジ「痛い！痛い！痛いって言ってるでしょ！放してよ！」

アスカ「もう決めたわ、アンタ今日は外出禁止」

シンジ「なんだよ、僕と綾波が出かけたってアスカには関係ないだろ！」

アスカ「…………」

シンジ「痛い！！！！」

アスカ「だから、サプライズとかいいって言ってんのよ」

アスカ「その代わりせめて今日くらいは私と一緒にいなさい」

シンジ「意味分かんないよ、僕と綾波は前から約束してたんだってば！」

アスカ「…………」

シンジ「だから痛いよ！！！！」

アスカ「痛くしてんのよ」

シンジ「やめてよ！！！！」

シンジ「もう…なんでそんなに不機嫌なんだよ」

アスカ「……ふん」

シンジ「言ってくれなきゃ分かんないよ…」

アスカ「……イヤ」

シンジ「まさか誕生日を僕に祝ってもらえなかったから怒ってるとかじゃないだろうし」

アスカ「ん？」

シンジ「ん？」

アスカ「…………」

シンジ「…………」

シンジ「……祝ってほしかったの？僕に？」

シンジ「いやまさかな…僕なんかに祝ってもらって嬉しいわけないよね」

シンジ「アスカのことだからきっとたくさん人呼んで豪華なパーティするんだろうしね」

シンジ「あ、そういえばまだ言ってなかったね、おめでとう」

アスカ「…………」

アスカ「覚悟はできてる？」

シンジ「…ん？なんの？」

アスカ「散々苦しんで苦しんで苦しみぬいてから死ぬ覚悟以外に何があるのよ」

シンジ「え？嘘でしょ？えっ？」

アスカ「死ぬ前に私と過ごすのと死んでから私と過ごすのどっちがいい？」

シンジ「ごめん、ごめんよ、今日は綾波の家に行くのはやめるよ、みんなを呼んでパーティしよう、ね？」

アスカ「…………」

シンジ「さて、そうと決まれば食材の買い出しに行こう、ケーキも買わないとね」

アスカ「…………」

シンジ「アスカも友達とか呼んでいいよ、今日はたくさん人を呼ぼう」

アスカ「…………」

シンジ「……アスカ？」

アスカ「イ・ヤ！！」

シンジ「痛い痛い痛い痛い！！！！ごめんって言ってるでしょおおおおお！！！！許してよ！！許してよアスカ！！！！」

終劇