2015-05-03 17:11:10 更新


人間には必ず選択をしなくてはならない時がある。

それはいつ来るかもわからないし、選択者にとってどんな内容かもわからない。

だから大概の人は選択に戸惑い、うやむやな答を出してしまうことが多々ある。

では、その選択がやってくる時と内容を知っている者はどのような答を出すことができるのか?

心構えができる分明確な答が出せるだろうか?

答は否である。

そう、少なくても俺ー比企谷八幡には。

だが俺も彼女らもこの部活を通して成長してきた。

ここで答をうやむやにするのは自らを否定し、彼女らを失望させてしまうことになる。

それに俺自身答を出したいと強く思っている。

だから俺は残された時間の中で足掻き続けてやろうと思う。

必ず自分の答を出すために…









二年生が終わり、いよいよ受験勉強に本腰を入れる三年生になった。

我が奉仕部は明確な引退期間が決まっていなかった。

そして誰もそのことについて触れようとしなかった。いや、触れられなかった。

ー今ある関係が変わってしまうー

俺たちはそれを恐れていた。変わりたくないと思っていた。

だから誰も引退について言い出すことができなかった。

だがそれは唐突に終止符を打たれてしまった。



静「君達の奉仕部での部活動活動期間は来週までとする」

いきなりだった。

八幡「なっ、いきなりなんで?」

静「いきなりではない。我が校の他の部活動の三年生はすでに引退している。ただ、時期が来ただけだ」

心なしか先生の表情が暗く見える。

結衣「でも先生!私この部活もっとやりたいです!!」

雪乃「私もです。それにこの部活は言うほど大変ではありませんし、勉強との両立は可能かと?」

静「君達の気持ちは痛いほどわかるがこれは決定事項だ」

結衣「せめて夏休み前までだけでも!」

静「それもできない。第一、私が君達を引退させようとしているのは周りが引退したのとは直接は関係ない。間接的にあるのだよ」

雪乃「どういう意味ですか?」

静「君達は今年受験だろう?君達の進路希望は軽々と叶うものではない。大学受験は君達が想像している以上に難しいものなんだ。そして君達の志望する大学はレベルの高いところだ。当然競う相手もレベルの高い人間になる。そんなレベルの人間が勉強している時間、部活動をしていては勝てる可能性が低くなってしまうだろう?だから引退させようとしているんだ」

ごもっともな理由だった。三人とも理屈ではわかっているのになかなか返事をすることができなかった。

静「この一年は君達の将来を決める大切な時期なんだ。私も本当の事を言うと君達には引退してほしくないんだ」

そういうと、先生は強く拳をつくった。

結衣「先生…」

静「当たり前だろ!君達は私の中でも贔屓してしまうほどかわいい教え子達だ。今までこの部活の顧問をやっていたが、これほど引退させたくないと思ったことはない!だから…わかってくれないか?」

ああ、そうかこの人は選んだんだ。俺らを引退させること。それが俺らにとっても先生にとっても辛いことになっても。俺らのことを第一に考えてくれた答なんだ。やっぱこの人はかっこいいな。この優しすぎるところが結婚できないことにつながるんだろうか?声に出すと二度と喋れなくなるから出さないが…

俺がやるべきことはきまっている。

先生の気持ちに答えなければ。

八幡「わかりました。俺たちは来週で引退します」

俺がそう言うと雪ノ下も由比ヶ浜も下を向いて何かをこらえていた。

静「そうか、わかった。今日はもう終わりにしたまえ」

そういうと俺と平塚先生を残して2人は別々に早足で帰っていった。

静「すまないな、本当に」

八幡「本当ですよまったく」

ふふっとお互い目を合わせて笑ってしまった。

静「君に私からか卒業認定依頼をだそう」

そういうと先生は少し考えこんだ。

静「期限は卒業まで、やり方は任せる。いずれどういう意味かわかるはずだ。私からの依頼は…

ーあの2人を頼むー

どうか逃げないで向き合ってほしい」

俺は無言で頷いた。

静「君の成長に期待しているよ」



まだ先生の依頼はよくわからない。でも俺はどうしたいのだろうか?何をすべきだろうか?

俺にできることは…



そして、引退日


雪乃「二人とも、いままでありがとう、色々あったけれど私にとって充実した楽しい部活になったわ」

結衣「私もだよゆきのん!」

八幡「まぁ、そうだな」

結衣「素直じゃないなーヒッキー!」

八幡「うるせぇ」

雪乃「比企谷くんらしいわね」

言葉にしたら、こらえてるものが溢れ出しそうだった。

雪乃「あのね、比企谷くん。話があるの」

八幡「なんだよ?」

雪乃「単刀直入に言うわ比企谷くん。私はあなたのことが好きです。私と付き合ってください。

八幡「…」

雪乃「次はあなたの番よ由比ヶ浜さん」

結衣「あのねヒッキー、私もヒッキーの事が好きだよ。だから、付き合ってくれないかな?」

思考がしばらく止まっていた。

雪乃「私も由比ヶ浜さんもあなたの事が好きだったのをお互い知っていたから今日にしたの。これ以上は言わなくてもあなたならわかるわね?」

そうか、そういう事か全部繋がった。

平塚先生が言ってた事も、あいつらが今日を選んだのも

結衣「ヒッキーがどっちをえらんでも恨みっこなしだから!!」

小学生かよ

でも言いたいことはわかった。

八幡「2人の気持ちは伝わった。ありがとな」

そういうと2人は顔を見合わせて笑っていた。

八幡「答は卒業式の時でいいか?」

雪乃「私達もそうしてもらいたかったのよ」

八幡「そうか、じゃあそれまでは受験に集中しような」

結衣「そうだね!」



こうして俺らは部室を後にして平塚先生の奢りで飯を食って帰った。



それからという日々は受験勉強に三人とものめり込んだ。

俺は文系私立志望なので英語を中心に毎日勉強した。




そして、俺は都内の私立大学に、由比ヶ浜は県内の私立大学に、雪ノ下は都内の国立大学に合格した。

皆第一志望合格だった。


静「三人ともお疲れ様。よくがんばった。明日の卒業式は胸を張ってでたまえ」

そうか、明日なんだな

雪乃「では、私は先に」

結衣「私も帰るよ」

八幡「じゃあ俺もっっ!?」

強引に腕を掴まれた。

静「比企谷はお説教だ」

八幡「なんでだよ」


雪ノ下と由比ヶ浜が帰ると腕を離してくれた。


静「依頼の事おぼえているな?」

八幡「はい」

静「ならいい、帰りたまえ」

最終確認ってわけか、大丈夫ですよ先生。逃げませんから



卒業式当日

何も問題なく卒業式は進んだ。一つ問題があったとすれば先生が泣きすぎておかしくなっていたことか?

こんな俺でも卒業となると名残おしく感じていた。いや、ボッチだろ俺?

卒業式が終わると俺は由比ヶ浜と雪ノ下を部室に呼んだ。


八幡「長い間待たせちまったな、悪い。2人とも気持ちは変わらないか?」

雪乃「ええ」

結衣「うん」

2人とも真剣な表情だった。俺は、2人の気持ちに答えなければ。


八幡「俺は雪ノ下の事が好きだ。こんな俺でいいなら付き合ってもらいたい」

雪乃「ありがとう。こちらこそお願いするわ」

結衣「負けちゃたなー」

八幡「由比ヶ浜、俺の数少ない友達なんだ。これからもよろしくな!」

結衣「しょーがないなー」

八幡「ありがとな」

結衣「じゃあ私は打ち上げいくね!どうせ2人とも来ないんでしょ?」

八幡「まぁな」

雪乃「ええ」

結衣「じゃあね2人とも!たまには遊びにさそってよね!!」

八幡「おお」

雪乃「当たり前じゃない」

結衣「ありがとう!またねー!」

そういうと由比ヶ浜は部室を出て行った。


雪乃「なぜ私だったのかしら?」

八幡「理由なんてない。俺の素直な気持ちだよ」

雪乃「そう、ありがとう」

八幡「ああ」








7年後


春香「おとーさん起きてー!!」

八幡「あと5時間」

春香「寝すぎだよー!!」

雪乃「ほら、あなたいい加減起きなさい!今日は三人で出かけるんでしょ?」

八幡「ねみぃ」

雪乃「あれだけ働かないといっていたのに、今じゃ立派な社畜ね」

八幡「しょーがねーだろ。めちゃくちゃ大切な人が2人も出来たんだから」

雪乃「あなた…」

春香「あー朝からおとーさんとおかーさんがちゅーしてる」

雪乃「これ以上は我慢しなさい///」

八幡「当たり前だろ///」

春香「なんのこと?」

八幡「よし、買い物いくぞー春」

春香「やったー!!」

雪乃「よかったわね春香」

春香「うん!」

八幡「よし、じゃあ春。準備してきな」

春香「はーい」

八幡「よし、じゃあ俺らもっっ!?」

雪乃「続きは夜ね?///」

八幡「お、おう///」


何を選べば正解だなんてわからない。正解があるかどうかすらもわからない。けれど今、この時だけは間違っていないと、そう思うことができる。



end













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2016-08-15 17:30:24

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3件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2015-05-03 18:29:50 ID: 1zG421hr

春香www
はwるwかw

2: SS好きの名無しさん 2015-09-29 02:22:56 ID: AekKoaTS

ツマンネー。ヒッキーの性格考えたら両方とも選択せず1人でいるだろ。ゆきのん選ぶとか作者の感情を書き出しただけじゃん。しかも春香ってなんだよwww

3: SS好きの名無しさん 2015-10-13 01:06:23 ID: GNarHMee

せんせえええええええええええええええええええ


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