2020-08-07 15:27:40 更新

概要

後編です。

リクエストありがとうございました!なるべく詰め込んでみました!

キャラ改変がありますのでご注意ください。


前書き

青葉「前回までのあらすじ!」

川内「ちょっと。なんで連れてこられたの」

青葉「だから前回までのあらすじですって」

川内「え?牛すじがなに?」

青葉「はーい!というわけで青葉です!」

川内「川内だよ」

青葉「突拍子もない川内さんの行動によって始まった提督への夜這い作戦(健全)!騒動は起こさない協定の下に皆さん様々なアプローチをかけていくお話です!」

川内「絶対いつか破綻する協定だよね」

青葉「むしろ壊れるところが見てみたい!おっと本音が。いえいえこれは健全で健康で献身的な提督への癒しサービス!艦娘の明日と提督の貞操は如何に!?」

川内「いい加減誰かに手を出してはくれないもんかね。私とかに」

青葉「それでは行ってまいりましょう!後編の始まり始まり~!」

………

……



ヨルダヨ…


提督「これは球磨、こっちは那珂。これは…ゴーヤか。沿岸輸送…そろそろ高波に…早いかな?随伴で長良をつければ確実か?任務内容はさほど重要ではないが大事をとって…」ブツブツ


カラ…


カラカラ…


ソロー…


金剛「あっ」


提督「ん?…おお、金剛か。出会い頭にタックルしてこないから誰かと思ったよ」


金剛「人をレスリングの選手みたいに言わないでほしいネ」


提督「夜のレスリング…」


金剛「お望みなら今でも大丈夫デスガ?時間も場所もぴったりネ」


提督「場所はあかんやろ」


金剛「……まだ就寝前でしたカ、ごめんなさい」


比叡「ありゃりゃ。早すぎましたか」ピョコッ


提督「あれ?比叡も?」


金剛「その、流石に寝ている提督のベッドに潜り込むのは恥ずかしくて…///」


提督「なに乙女みたいなことを」


金剛「乙女デース!!純然たる純潔デース!!」


提督「"(-""-)"」


比叡「顔が。司令の顔が」


金剛「で、でも早すぎましたネ。待ちマス」


提督「あーいいよいいよ。寝るの待たれるとかむしろプレッシャーで寝れんし。入って入って」


金剛「え、で、でも…」


比叡「お邪魔しまーす」モゾッ


金剛「!?」


提督「ふぁーあったかい」


金剛「ちょちょちょちょ!?何でそんな躊躇なく…!?」


比叡「え?だっていいよって言われましたから…」キョトン


金剛「………」ゼック


提督「入らんの?」


金剛「は!入り、マース!」


モゾ…


提督「……」


金剛「……」


比叡「スピー…」


提督「あのさ」


金剛「はい」


提督「さすがに、狭いね」


金剛「デース。一人用に大人三人は無理がありましたネ」


提督「どこうか?」


金剛「本末転倒デース!」


比叡「ンニャ…お姉さまうるさいです…」ムニャムニャ


提督「こいつ寝るの速すぎない?」


金剛「なんという…」


比叡「スー…」


提督「邪気のない顔してまぁ」


金剛「……。提督、少し、いいデスカ?」


提督「なぁに?」


金剛「提督は無理とかしてまセンか?」


提督「無理?」


金剛「私たちとの関係とか、いつものお触りとか。色々デス」


提督「無理してるように見える?」


金剛「……分からないんデス。提督は、いつも大事なところは隠しますカラ」


提督「そら人間、大事なものは葉っぱ使ってでも隠すものよ」


金剛「ほら、すぐ誤魔化すデス」


提督「無理はしてないさ。これは本当。職務だの責務だのを除いても、お前たちと絡むのは楽しいんだぜ?この地獄みたいな状況であっても笑顔でいられるくらいには癒されている。大事なものは何かと問われれば、オレは間違いなくお前らだと答えるくらいにな」


金剛「大変だと思うことは?」


提督「そらぁ毎日よ。同じ出来事を前にしても反応は千差万別、同じ艦娘でだって気分によって変わる。オレからすりゃ全くの予測不能、敵の行動を予測するよりお前らを予測するのが難しいくらいだぜ」


金剛「…ごめんなさい」


提督「……だから、生きてるな、って感じる」


金剛「え?」


提督「ちゃんと、オレの世界の外側にいる。オレのいない場所で、時間で、オレでないものを感じている」


金剛「…???それは、当たり前デース」


提督「そう。当たり前だ。人として当たり前だ。何も感じない兵器なんかじゃない。さして疑問を抱くほどのことでもない、当たり前のことなんだ」


金剛「……提督。私たちって」


提督「艦娘さ。人と艦の両方の特性をもつ存在。お前らと接するうえで元軍艦、現役の兵器であることは疑いようもない。だが、それと同等にお前らは人の側面を持ち合わせている。お前たちをただの兵器と使い捨てにはしないが、だからといって物知らぬ女子と侮る気もない。ゆえにお前らは艦娘だ。何かと問われれば、艦娘と返すのが正鵠だろう」


金剛「普通の人間ではない、と?」


提督「ああ、そうだな。その感性も常識も、平和な世界では危険視される類のものだ」


金剛「……デスか。まぁ納得デス。一部の方たちは艦娘内でも戦闘狂扱いデスもん」


提督「気に病むな。それをどうにかするのがオレなんだから。全てが終わった後の世界で、お前らを解き放つためにいるのが、オレの役目なんだから」


金剛「……デス」


提督「ふふっ、寝物語にしては物騒すぎたかな。さ、お前もそろそろ寝…」


金剛「……スゥ」


提督「……。おやすみ金剛。今も昔もこれからも。オレはお前らを愛しているよ」ナデナデ


………


……




チュンチュン…


提督「朝チュンウェイクアップ」ムクッ


金剛「スゥ」


比叡「スピー」


提督「…寝起きよくなったか?オレ」グパグパ


金剛「スゥ…」


比叡「スコー」


提督「オレより寝とるやん?いいけどさ」ノソノソ


ペラッ


提督「少し早いが…先に仕事に手をつけるか。えーっと今日の演習は~」


………


……




金剛「何もされなかったデス」


比叡「そりゃあそうですよ。私たち寝てましたもん」


金剛「据え膳だったのに。もー!」


比叡「司令って不機嫌だったりノーリアクションの相手には攻めませんよ、基本。盗撮とかしないじゃないですか」


金剛「うう…せっかく新しいのだったのに…」


榛名「何が新しいんですか淫乱お姉さま?榛名わかんなーい☆」


金剛「なーにカマトトぶってるんデスカこの腹黒妹は」


榛名「はい?」


金剛「ハァ?」


比叡「あーこらこら朝から始めない」


霧島「榛名あなた…」


榛名「榛名だけです!仲間外れは!大丈夫のだの字もありません!」ヤサグレ


ツカツカツカ…


バンッ!


榛名「榛名です!」


提督「お?お、おう…?」


妙高「ノックをしてください」


榛名「っ」バコン!ゴカン!


執務室ドア「八つ当たりはやめてクレメンス」ボロッ


提督「それ…ノックなの…?」


榛名「榛名!仲間外れです!」


提督「??????」


榛名「だから!どうして榛名と寝てくれないんですか!」


提督「おう?…おう。……え?うん?あれってオレから誘うイベントだっけ?」


妙高「ちょっと榛名さん。こっちに」グイッ


榛名「はーるーなーはー!大丈夫じゃー!」ズルズルズル…


バタン


妙高「ちょっと榛名さん!どういうことですか!」


榛名「榛名だけ仲間外れです」


妙高「順番はくじでって言ったじゃないですか…!」


榛名「榛名、そんなの知りません」


妙高「え?」


榛名「榛名、そんなルール聞いてません」


妙高「えっ。…あの時……」


榛名「榛名、海水くんでました」


妙高「あっ」


榛名「……だから榛名。ルールなんて知りません。突撃します」ニヤッ


妙高「ちょっ!?それはダメです!」


榛名「はーるーなーはー!大丈夫でーすー!」


妙高「あなたじゃなく提督ご本人に迷惑が…!ッ!榛名さん!怒りますよ!」


榛名「ううううう!」ガルルルル…


妙高「ッ」ブチッ


ドンガラガッシャーン!


春風「ヒッ!?か、雷…?でしょうか…??」ビクッ


提督「あー。これは妙高さんキレたな」


春風「みょ、妙高さんなんですか?こんな雷鳴みたいな…」


提督「怒ると怖いんだよねー。地震妙高火事女房ってな。怒らせると怖いんだ」


春風「怒らせてはいけないとは聞いていましたが、もっとこう、凍り付くようなのだとばかり…」


提督「溜め込むタイプだからねー。噴火するときは噴火するよ」


春風「そうなんですね…」


提督「しかし榛名、何を伝えたかったんだろう?」


春風「え?」


提督「んー?何か直訴したそうだったじゃん。何だったんだろうね」


春風(……冗談?冗談なんですよね…??)


提督「それより春風。レッスンの続きだ。さっき見せたようにこの演習メンバーだったらどういう展開を思いつく?可能な限り挙げてごらん」


春風「えっと。重巡2軽巡2駆逐2の編成で敵方は戦艦2空母1軽空母1駆逐2ですから…」


………


……




ズガーン!


ズドドドドーン!


那智「……うむ?午前から元気なのがいるな」


足柄「あら?この駆動音…重巡ね」


羽黒「というか妙高姉さんのですね」


那智「なんでまた」


足柄「さぁ?痩せたいんじゃない?」


羽黒「足柄姉さん…」


那智「おおかた、また誰かが怒らせたんだろう。艤装の音が乱暴だ」


足柄「キレると乱暴になるわよね~」


………


……




提督「……よし。今日はここまで」


春風「はい。ありがとうございました」


提督「随分と暗くなったな…。今何時?」


春風「えっと…もうお夜食の時分ですね」


提督「けっこうかかっちまったな。今日はもう上がっていいよ」


春風「はい。ご指導ありがとうございました」ペコリ


提督「あいあ~い」ノシ


パタン


提督「……もしかして今日の執務ずっと長門に任せっきりだった?」


長門「もしかしなくても代理は私だったぞ」


提督「すまん」


長門「謝るな。遊んでいたわけじゃないのは知っている」


提督「まーね」


長門「で?どうなのだ」


提督「どう?」


長門「春風のことだ。見込みはあるのか」


提督「さぁ?」


長門「さぁ!?」


提督「見込みあるなしで言えば、なし。…かな?特別に指揮の才能があるわけではないしね」


長門「な、なら何故あそこまで目をかける。……まさか、好みなのか?」


提督「オレの好みじゃない艦娘はいないよ。普く全ての艦娘を愛してる」


長門「……」ジトー


提督「あいつに艦娘としての何かを求めてはいない。才能だけなら、Jervisのが圧倒的だ」


長門「なら何故…」


提督「艦娘以外の分野…って言えばいいのかな」


長門「?」


提督「「こっち」の話さ。気にするな。それにまだ春風も芽吹いてすらいない。今はとにかく土壌を整え日当たりを調整し水を与え…の準備段階だ」


長門「芽吹く…か」


提督「どちらにせよ、近い将来どーせ仕事量も増える。お茶請けの一人もいてもいいだろ?」


長門「そうだな。他でもない提督の判断だ、それを信じよう」


………


……




春風「えっと…」


教本の山「おう、勉強しろよ」ドッサリ


春風「え、えへへ…すごい量ですね……」


ペラッ


春風(でもこれ、司令官様は「最低限」だと…。これをすべて頭に入れて、ようやく半人前。道は険しいですが…)


チラッ


松風「はぁー疲れたー」


朝風「明日はこれより多いって!」


旗風「あっ!春姉さん!」パァ…!


春風(みんなのためにも、頑張ります!)ニコッ


………


……




提督「春風の成長が楽しみだな。さて、おやすみなさーい」


モフッ


提督「……最近、このベッドも色んな匂いがするようになったな」


スゥ…


スゥ…


??「……」モゾッ


………


……




提督「色んな匂いがするとは言ったけどさ。こうじゃねぇよ」


陽炎「あらー?嫌だったー?」


不知火「……ヌイ///」


黒潮「おはようさん、司令はん♪」


提督「おはようさん。……さすがに狭いっつーか不知火はんはどうして司令はんの上におるんどすえ?」


不知火「す、すぺーすが。なくて。ですね…///」カアァ


陽炎「やーん司令も隅に置けないわねぇ♡」


提督「そらお前さんらが両脇挟んで中央にいますからね。ぬいぬいに至ってはオレの上にいるし。つかお前らオレをベッドにしてるだろ、もはやこれ」


陽炎「そういうことでしょ?この企画」


提督「違うわ。提督さんはライオンとか虎の足ふきマットちゃうぞ」


陽炎「えー?でも喜ぶ人もいるらしいわよ?」


提督「えぇ…」


黒潮「司令はんは嫌なん?」


提督「まぁ提督さんもね?お前らにそういうのされて嬉しくないわけじゃないし…ってなに言わせとんねん」


不知火「あの。お邪魔なら退きましょうか」


提督「なしてそんな捨てられた子犬みたいな顔しとんねん」


黒潮「素直になれない不知火お姉ちゃまは~司令はんに拒まれてるのを怖れてるんよ~」ニヤニヤ


不知火「な、なにをぬい…っ!?」


黒潮「その噛み方はわざとらしいわ」


不知火「ほっといてください!」


提督「拒みゃしないよ。暑いという一点を除けば。お前ら体温高いな」


陽炎「女性のが体温高いんだっけ?よく知らないけど」


提督「ってよりも純粋な筋肉量かな。筋肉質だと熱量もつって言うし」


陽炎「なによ人をゴリマッチョみたいに」


提督「ゴリマッチョじゃないけどそれ以上やん。筋肉の「質」が違うというか、もはや常人の域をはるかに超えてるというか」


陽炎「少女マンガ読むとびっくりしちゃうわ。少女なら自販機の一つや二つ投げてみなさいよ」


黒潮「それはうちらでも鍛えな無理や」


不知火「着任したばかりの低練度の方々は、驚くほど微力ですからね」


提督「オレからすると着任したばかりでも驚くほどの怪力なんだけどね」


不知火「「かつて」から振り返ると、軽く落ち込みます」


提督「まずもってサイズが違うじゃん。あと年代も。そこらへん根を詰めると、長門は利根に勝てないよ」


陽炎「実際どうなの?長門さんあんまり前に出ないじゃない」


提督「あいつは途中で内政担当に振っちゃったからなぁ。舞鶴の長門には殴り合いでまず勝てない。呉は…いたっけ?大湊のとこのには勝てそう」


不知火「大湊様はそもそも司令からして…」


提督「これこれ。陰口は言うもんじゃないよ」


不知火「すいません」


提督「中指立てるならちゃんと面と向かわなきゃね」


陽炎「堂々と喧嘩を売るのね」


提督「同じ階級と認めたくないからね」


黒潮「大丈夫。司令はんが実力一本なぶん、一枚上手やで」


提督「…ありがとう」


黒潮「信じられへん?」


提督「いいや信じるさ。それこそオレにとっちゃ勲章以上の勲章なんだから」ナデナデ


黒潮「えへへ。ぬいぬいもこれくらい気の利いたこと言わんとあかんで?」


不知火「む、難しいですね…」


提督「(´・ω・`)」ソンナー


不知火「い、いえ!これは私が口下手という意味でして決して言いたくないというわけでは…!」


ソウインオコーシ!


提督「はははは!…ほら、朝だぞ起きるよん」


陽炎「はーい♪」


………


……




浦風「いいなぁ。うちも入り込みたかったわ」ウラヤマー


谷風「浦風はクジ運なかったねぇ~」


浦風「うぅ…」


浜風「むぅ。残念でした」


谷風「あれ、ところで磯風は?」


浜風「早朝に自主練していたところを摩耶さんに見つけられ…」


谷風「あー…」


浦風「摩耶さんもかなり好戦的な方じゃけぇの」


浜風「かなりというか、闘争心の権化というか」


谷風「こりゃ今頃ドックかねぇ」


………


……




カポーン…


摩耶「はー!やっぱ運動後の朝シャンはいいなー!」ジャブジャブ


磯風「うぅ…そ。そう、ですね…」タイハ


………


……




提督「大井っちー。これをスパ姐んとこにしくよろー」ペラッ


大井「ええ。いいわよ」


提督「それと妙高さんに例の統計終わったか聞いてくれると助かる」


大井「分かったわ。あ、今月の演習結果いるわよね?」


提督「いいね。艤装データも付随してくれる?」


大井「ええ。五十鈴さんに言っておくわね」


春風「司令官様。先月までの貿易収支について国会で詳しい説明が欲しいと、大臣から要請が入りました」


提督「オレめっちゃ詳しい情報を書類で提出したやん。オレは政治家ちゃうぞ」


春風「はい…しかし、実際に指揮をなさっている司令官様が直接お話しくださることが、なにより大きな意味を持つと仰られて…」


提督「………」


春風「……司令官様?」


提督「ん。や、ごめんな。お前に愚痴るこっちゃなかったわ。で?いつ出頭よ」


春風「三日後です」


提督「もちっと早くに言ってくれませんかねあの耄碌ジジイども…神通」パチンッ


神通「はい。予定を調整してまいります」


提督「だぁー!お仕事多いなぁもう!」


………


……




シャリ…シャリ…


提督「お。叢雲だ」


叢雲「なによ。……言っておくけど、いま不埒なことしたら怪我するわよ」シャリシャリ


提督「分かってるって。さすがに薙刀研いでるやつに吶喊しかけないって」


叢雲「それは海軍司令官としてどうなのかしら」


提督「危機管理のできる有能で優しくてイケメン提督でしょ」


叢雲「自分をイケメンだと思ってるムカつく打算野郎でしょ」


提督「わーお言葉の切れ味も研がれていらっしゃる」


叢雲「権力欲しかないクズ豚よりはマシよ」


提督「叢雲さん叢雲さん。棘が。棘が危険な方向に向いていらっしゃる」


叢雲「あいつらの肩もつの?」


提督「もたんけど。いずれカチ合うけど。大人の世界では表向きには握手しとかなきゃいけない場合もあるの」


叢雲「……気に入らないわね」


提督「あっはっは。根っからの武人だなぁ。裏表ないのは好きよ?」


シャリン


叢雲「……ッぶな。指落としかけたわ。いきなり変なこと言わないでよ」


提督「おかしなこと言った…?」


叢雲「……自覚がないのが腹立つところね」


提督「好きを好きと言っただけなのに?」


ジャリンッ


叢雲「ッッ…。あんたはイタリア人なのかしらァ?よく回る舌ねぇ」


提督「嘘はつかんさ」


叢雲「だから悪質なのよ」


提督「むぅ…」


叢雲「気が散る。あっち行ってて頂戴」


提督「じゃあ口頭で」


叢雲「無傷よ無傷。体調もすこぶるいい。これでいいかしら?」


提督「無理してない?」


叢雲「してないわ。あなたに言われたくないわよ」


提督「む?」


叢雲「気のせいかしら?ちょっと疲れて見えるわよ?」


提督「むはははは!疲れない仕事など仕事ではない。提督さんこれでもお仕事をしていらしてよ?」


叢雲「はいはい分かったわお疲れ様。今日も平和で良うございますわね」ハァ


提督「そっちこそお疲れ様。缶コーヒー、ここ置いとくね」


叢雲「あら。ありがとう」


提督「間違っても缶は研ぐなよ」


叢雲「分かってるわよ」


テクテクテク…


叢雲「まったく。…………♪」フフッ


………


……




提督「おやすみ☆」


………


……




提督「…なに?最近の流行りは詰め合わせセットなの?大安売りなの?よくないよ?自分を安売りのするの」


村雨「嬉しいハッピーセットでしょ?これがホントの抱き合わせ商法」


提督「やかましいわ」


時雨「ホントはボクだったんだけど…」


白露「面白そうだから来ちゃった☆」


村雨「村雨はぁ、たまたま隣のベッド使ってただけでーす☆」


夕立「……すぅ」zzZZZ


時雨「こいつら…」ピキピキ…


提督「どうどう。姉妹なんだから仲良くしなさい」


時雨「姉妹だからいがみ合てるんだよ」


提督「そうなのか」


時雨「我が物顔で提督の股の上で丸くなってる黄色いメス犬に対してはわりと本気の殺意を抱いてるよボク」


提督「仲良くしようよ…」


時雨「それでいてガチ寝してるのが特にね」


夕立「……」スピー…


時雨「起きろよ駄犬!!朝はご主人様より早く起きて新聞とってきて朝ごはん作って化粧して悠々と裸エプロンに着替えてご主人様を顔舐めまわして起こすのが忠犬の嗜みだろォ!?」ゲシッ


夕立「!?」ビクッ


提督「それ全国の忠犬に対する熱い風評被害」


村雨「静かにしなさいよ…」


夕立「蹴った!!提督さん!!この黒いの蹴ったっぽいよ!!」


時雨「なんで被害者ヅラする時は寝起きがいいんだァー!!」


白露「うるっさい!叩くよ!?」


時雨「白露もなにしれっと提督の胸の上陣取ってんだよ!?ボクが当てたクジだぞー!!」


村雨「落ち着きなさいよ。当選率上げるために組織票にしたんじゃない」


時雨「提督ガチ勢でもないくせにいいポジション陣取ってんのがむかつくんだよ!!」


提督「なぁに提督ガチ勢って。怖い単語聞こえたんだけど」


村雨「ごめんなさい提督。ちょっと黙ってて」


提督「やんわりと断られた!?オレの胸の上の闘争なのに!?動けねぇ!さすがに艦娘四人は動けないよ提督さん!?」


夕立「提督さん!夕立怖いっぽい!!」ダキッ


時雨「どこに抱き着いてんだ変態!そこはボクも頬ずりしたいんだ!!」


村雨「これでまったく無垢な夕立が信じられないわね」


白露「それよりこれで微動だにしてない提督の下半身に疑問を持たないの?」


提督「わんこが体の上にいるからって興奮はせんやろ…」


夕立「夕立、娘ですらないっぽい!?」


村雨「落ち着いて。会話が混線してる」


時雨「さっきから村雨はなんなんだよ!?場を仕切ってさ!わざとらしくデカ乳乗せるのやめなよ!!」


村雨「わ、わざ…っ!?これはたまたまこうなっちゃっただけよ!け、けっしてわざとじゃないわ!?」


白露「ねー。うるさいんだけど」


時雨「我関せずのくせに一番いいポジとってる白露もたいがいだかんね!?」


神通「さっきからごちゃごちゃと…。ここは休憩室です……よ………」ガラッ


提督「……」on the bed


白露型1~4番艦「……」on the admiral


神通「えっと。これは…?」


提督「女体盛り」


神通「私の知っている女体盛りは女体「に」盛るものだとばかり…」


提督「地味に重いんだよね。息苦しい」


白露「怒るよ」


神通「いいから早く退いてください。もう起床時間ですよ」


………


……




時雨「むっすー」


村雨「自分で言っちゃう…?」


時雨「ボク、何もできなかった」


村雨「じゃあ今やってるのは何よ…」


時雨「マーキング」スリスリ


提督「あの、ちょ。時雨さん?お箸持ってる腕にしがみついて頬ずりまでされちゃうと提督さん食べにくい…」


時雨「なんなら食べさせてあげようか?」


村雨「はい、あーん♡」


提督「おいちい」モグモグ


時雨「……」イラッ


スッ


時雨「提督。口移ししてあげよっか」


提督「それ酔った隼鷹にやられて凝りてる」


時雨「!?」


ブフッ


チョットジュンヨウ!?アンタ…!!


ヤ、アレハネ?ヨッタイキオイトイイマスカネ…


ジュンヨウサン。ゴハンヌキデス


ソンナ!?


時雨「う…ぐ……」グスッ


提督「ちょ!?時雨!?」


時雨「ボ、ボグだっでぇ…出来るのに゛ぃ…!」グスッ


提督「わーわー!泣くな!泣くなて!な?おーよしよし。提督さんが後で間宮さん奢ったげるから!ね!?」


時雨「二人きり。二人きりがいい゛」エグエグ


提督「分かった分かった。約束な?」


時雨「う゛ん」


白露(うっわぁ)


時雨「……ヘッ」ニヤッ


村雨「ぶん殴りたい。あの笑顔」


夕立「ゲス顔はなはだしいっぽい」


プルプル…!


北上「あはははは!大井っちもあれくらいやればよかったのに!」ケラケラケラ


大井「し、知りません!なんのことですかっ!」プルプル


………


……




提督「ほい」パチン


利根「むぅ…」


提督「ほい」パチン


Warspite「えっと…」


提督「ほい」パチン


Jervis「くっ…」


提督「ほいさっさー」パチン


春風「うぅ…」


利根「……負けじゃ」


Warspite「もう無理ね」


Jervis「取られたー!」


春風「……」ゼック


提督「もうちょい頑張ろうよ…」


Jervis「強すぎるのよ!なんで四対一で勝てないのよ!?」


Warspite「囲碁将棋チェスオセロ…四者四様で挑んだのに…」


利根「オセロに至っては…」


春風「全部シロに…」ゼック


提督「春風は…もっとオセロの基本的なところから覚えようか…」


春風「はい…」


利根「相変わらず恐ろしい手腕じゃのう。プロでも目指せるのではないか?」


提督「平時だったら、それも良かったかもね」


Warspite「まるで簡単と言いたげね」


提督「ンなぁことたぁないさ、オレなんか凡俗凡俗。ちょっと30連勝の記録を最年少で更新するくらいだよ」


Jervis「それを人は天才と言うと思うんだけど」


提督「でも個人的にはAIの方を作るかも。いや、いっそ必勝法とか編み出しちゃったりな」


Warspite「業界を潰そうとしないの」


利根「本当にやりそうだから怖いの」


Jervis「ねー!もう一回!置き石増やしていいでしょ!?」


Warspite「こらJervis。それじゃあ意味がないわよ」


Jervis「えー!だって勝てないじゃない!」


利根「さて。もう一局」


提督「あの。勝ち逃げで悪いけどそろそろ…」


利根「ほぉ?ではそれがハンデじゃの。小会議までの30分…準備をいれて10分前までかの?20分の早指しじゃ」


Warspite「いいわね。時間までにどれだけ優勢かで勝敗を決めましょう?」


Jervis「粘れば勝ち…!」パァ!


春風「……負けないように、なら…」


提督「えぇ…」


パチン…!


………


……




妙高「はい。では以上になりますね。提督、総括を」


提督「……」


妙高「…提督?」


提督「……」


神通「……提督。お考えのところ、失礼します」


提督「ン。…おお、悪い悪い」


長門「どうしたんだ。何か気になるところでもあるのか?」


提督「ん?ああ、会議の内容は大丈夫だと思うよ。これでいいはず。みんな頑張ろうね☆」


長門「…どうした?」


提督「どうしたとは」


長門「心ここにあらず、といった感じだったぞ」


提督「当面の憂慮すべき問題はない…はず。が。取り過ぎかと思ってね」


妙高「取り過ぎ?」


提督「今回はいいとして、妙高、次の利権は大湊に譲れ」


妙高「そんな…!?たしかに北方ですが…実力はかなり怪しいですよ?」


提督「海域保持能力が低いことは分かってる。譲ればまずまた海域を奪われるだろうな」


妙高「でしたら…」


提督「これ以上海域を取ったらこっちの安定率に響くのと…勝ちすぎて政敵を作っちまう」


長門「三陸海岸の件もある。何の対策なしに利権を明け渡してはこちらが損をするぞ」


提督「心得ている。むこうが海域保持に尽力している間に、内地の復興計画でこっちが噛めるところを噛みにいくつもりだ。民間企業とのパイプを太くしよう」


Warspite「いい考えね。復興なら長い間お付き合いできるわ」


提督「イグザクトリィ。長い目で見ればこちらが得をするよう立ち回ろう」


妙高「……了解しました。では今後新規攻略の目途が立っている北方海域のいくつかは、大湊様に維持を要請しましょう」


………


……




提督「あーやだやだ。あっちもこっちも敵だらけ。人気者も楽じゃあないね。おやすも☆」


………


……




提督「すげぇ」


Jervis「え?」


提督「すげぇ広い」


Jervis「それは淑女に対する褒め言葉ではないわよね?」ムッ


提督「あ。ごめんごめん。ただここ数日複数人に寝入られることが多くてさ。綺麗だよ、my fair lady」


Jervis「今言われても嬉しくない…」


提督「しかしまぁ何というか…随分とお洒落な寝巻ね。ネグリジェ?でいいのかい?」


Jervis「ええ、その類ね。可愛いでしょ?」ピラッ


提督「この状況が限りなくいかがわしいことを除けばとても可愛いよ」


Jervis「いかがわしいかしら?」


提督「うん。とっても」


Jervis「どうして?」


提督「お人形さんみたいに美麗なネグリジェ姿の金髪碧眼少女と冴えないおっさんが同衾している絵はさすがに事案ものよ?」


Jervis「…………え。今更?」


提督「うんそうだね、ここの内情を鑑みるとまったくもって今更だったね」


Jervis「急に常識を出さないで。ここは治外法権よ」


提督「法律は治外でも倫理は治内だと思うのボク」


Jervis「いかがわしさだけで成り立ってるDarlingに言われたくないわよ」プンスカ


提督「……なんだろう、この感覚。お前もすっかり染まったな」


Jervis「そりゃあ染まるように頑張ったんですもの」


提督「無理して自分変えなくていいのよ?」


Jervis「あなたがいるところに艦娘あり。Darlingのせいなんだからね?」


提督「会話の内容までいかがわしく聞こえるわ!」


Jervis「私悪くないもん!」


ソウインオコーシ…コレデイイノカ?


アッテルアッテル


オコーシ!


ニドイワナクテイイカラ!


提督「そういやNelsonは初の総員起こしだっけか」


Jervis「……Jervisの日なのに」プクー


提督「ごめんて。妬かないで?」


Jervis「妬かせないで!」


コンコン


シツレイシマス


ガララッ


提督「おっはー」


Jervis「おはようございます」


神通「……。なんでしょう。今までのどの方々よりもいかがわしく見えるのは気のせいでしょうか…?」


提督「な?」


Jervis「な?って言われても。私知らないもん」


神通「早く起きてください。間違いが起こっていないと分かっていても……その、非常に性癖を疑われかねない絵面です」


提督「あい。起きよっか」


Jervis「はーい…………♪」


………


……




Jervis「でね?やっぱりJervis的には模様よりも実利の方を優先したいから、辺が堅いほうがいいと思うの」


提督「好みは自由だけど…お前、その割に四線ばっかで入られるじゃん」


Jervis「三線にも入れてるもん…」


提督「オレに入られてからね」


ヘンノジョウセキッテドンナノガアルノ?


アー?ットダナァ…


天龍「……」


摩耶「……」


天龍「何の話だ、ありゃ」


摩耶「知らん」


皐月「囲碁でしょ」


天龍「……分からん」


摩耶「あの手のゲームは苦手だ」


………


……




瑞鶴「ずいっずいっ、ずいっころばし、ごまみそずいっ、と!」


パシュンッ


葛城「…それ、合図としてどうなんです?」


瑞鶴「いーのいーの!これは弓でも艤装でもないから!」


パシュンッ


葛城「……まぁゲームですけど」


瑞鶴「こういう非リアルなFPSもいいもんだねー」


葛城「非リアル…まぁ非リアルですけど。どうしてバトルロワイヤルでわざわざボウガンだなんて選ぶんですか。他にも銃ならありますのに」


瑞鶴「手に馴染んじゃってるというか、これじゃないとしっくりこないというか」


葛城「ゲームなのに?」


瑞鶴「ゲームなのに」カコカコ


龍驤「なんやまた物騒なゲームに手ぇ出してんなぁ」ポリポリ


葛城「あ。龍驤さん!」ビシッ


龍驤「えぇえぇ。ゆっくりし。休めるうちに休まんと」


葛城「ありがとう、ございます…」ジッ


龍驤「ん?これ?ジンギスカンキャラメルや」


葛城「…??」


瑞鶴「……えっ」


龍驤「知らんのかい。食べる?」


葛城「じゃあ、いただきます」


パク…


葛城「~~~!?!?!?!?!?!?!?!?」


龍驤「あははははははは!」


………


……




瑞鶴「…って、ことがあったのよ。今の若い子ってジンギスカンキャラメル知らないのね」


加賀「はぁ…」


提督「若い子って…お前と葛城、艦娘の年齢だと艦歴よりも歳の差ないだろが」


加賀「またくだらないことを…」


瑞鶴「そーいう加賀さんはどうなのよ?悪食でも舌は肥えてるんでしょ?」


加賀「……演習場は空いていましたよね。行きますよ」


瑞鶴「煽り耐性低くない…?」


加賀「すぐに拳の出ない艦娘はセクハラをしない提督と同じです」


提督「待って。さりげに君ボクを詰ってる?」


瑞鶴「提督さんは別にセクハラしなくてもいいんだよ…??」


加賀「セクハラをしない提督など思春期を迎えていない中年オヤジです」


提督「待てや。色々間違ってるしディスがひどいぞ。男として終わってるってか」


加賀「……」


瑞鶴「さっきから堂々と覗き込んでる提督さんも提督さんだけどね?」


提督「覗かない提督さんは提督さんじゃない」


瑞鶴「あってるじゃん。加賀さんの指摘」


提督「ちぇっ」


瑞鶴「で?どうなのよ加賀さん。ジンギスカンキャラメル」


加賀「もちろん食べたことはあります。味は……」


提督「まぁ、美味い美味いと頬張るものではないな」


加賀「吐き出すことはありませんが、あれを商品として売り出す気が知れません」


提督「名物に旨い物なしを体現してるよなぁ。完全にネタ枠を狙ってるし」


加賀「げに人の世は不思議なものです」


ガララッ


飛龍「じゃあ今日の練習の事、覚えておいてね♪」


春日丸「はい。ありがとうございました!…あ。提督……と、加賀さん」ビクッ


瑞鶴「あれっ私は…?」


春日丸「ごきげんよう提督。では、私はこれで…」ソソクサー


提督「お?……逃げちゃった」


飛龍「まー怪しい人を見たら近づくな、って言うし?」


提督「提督さん泣いちゃうぞ」


飛龍「綺麗な女性の涙で世界は救えるかもしれないけど、提督のじゃあねぇ」ケラケラ


スタスタスタ…


加賀「……」


提督「難しい年頃ってのは、あるもんだねぇ」


瑞鶴「それ私たちに言う?」


加賀「ごめんなさい」


提督「は?」キョトン


加賀「あの子がよそよそしいのは、おそらく私が原因です」


提督「なんじゃい。百合がこじれたか」


瑞鶴「なんでそうなるのよ」


加賀「五航戦の前で話すのは癪ですが、その…私の教育方針に……」


提督「あー。はっきり言うもんねぇ」


加賀「そのままを指摘しているだけなのですが…」


瑞鶴「率直すぎるのよ。気遣う言葉とかないの?」


加賀「軍属に必要ですか…?」


提督「もっともだ…」


加賀「未熟な点を指摘し、優れた点を褒める。提督や五十鈴さんの真似をしてきたんですが…」


瑞鶴「うっそでしょ。それで真似とkコヒュッ」ガシッ


加賀「やはり、私には向いていないのでしょうか…」ギギギギギギ…


提督「とりあえず、瑞鶴の首をぞうきん絞りするのはやめたげて?女の子がしちゃいけない顔になってるから」


加賀「はぁ…」パッ


瑞鶴「ケホッ…ゲホッ。憂いたいのはこっちよ。このDV女…」


提督「これ家庭内暴力の範囲内だったんだ…」


加賀「皆さんが強くなるなら嫌われても構わない所存でしたが…」


提督「神通も同じこと言ってたなぁ。あまりいい傾向ではないと思うけど」


加賀「しかし…」


提督「言いたいことは分かる。第一に優先すべきは軍属の責務つまり戦争への貢献と勝利であり、女性としての在り方は二の次以降あるいは捨てるべきだと。それこそが艦娘なのだと、そう言いたいんだろう?」


加賀「はい」


提督「正論だ。全くもって正しいよ。この時代に艦娘として生まれてきたからには戦うこと勝利することが最たる目標だ。だがな?コミュニケーションの円滑化とそれとは果たして相いれないものなんだろうか?どう思う?瑞鶴」


瑞鶴「両立できるでしょ。現にしてるし」


提督「そのメリットは?」


瑞鶴「作戦行動の円滑化、阿吽の呼吸、ストレス解消……まぁ、挙げればキリないわよね」


提督「だそうだ」


加賀「理解しています。しては、いますが……」


提督「やり方が分からない?」


加賀「はい…」


提督「そうさなぁ。……いっそセクハラする?」


加賀「それももう悪くない手かと…」


提督「ごめん冗談。お前がやったらなんかヤダわ。オレが」


瑞鶴「うん。見たくない」


提督「そーいや瑞鶴は平気なんだな?」


瑞鶴「へ?」


提督「加賀になんら臆せず立ち向かうじゃん」


瑞鶴「立ち向かうって。なんでだろう、加賀さんには歯向かってなんぼな感じがして」


提督「なんちゅうこっちゃい」


瑞鶴「「昔」の影響かなぁ」


加賀「腹立たしい」


提督「さっきも言ったけどやっぱり率直すぎるのが怖いんじゃない?威圧的というか、批判的というか」


加賀「私はいいところはいいと」


瑞鶴「相手が新人さんなのに責めすぎなのよ」


加賀「しかし褒めるだけでは相手のためにはなりません」


提督「うん…難しいなぁ。蒼龍飛龍のやり方とか参考に出来ない?」


加賀「あの子たちは少し優しすぎます…」


瑞鶴「不覚にも優しい刑事怖い刑事の構図になっちゃってるのよねぇ」


提督「独自の生態系が出来上がっちゃってるかぁ。それはそれで崩しづらいな」


瑞鶴「もう新人さん育成、加賀さんやめたら?どっちかって言うと上級者向けの指導のが向いてるって」


提督「やもえん。お前は語るより腕で示すのが向いてるかも。実戦形式の演習とかどう?」


瑞鶴「いいかも。加賀さんクラスはみんなそうでしょ?神通さん除いて」


提督「北上摩耶天龍…あそこら辺は実戦大好きだからなぁ」


瑞鶴「でも摩耶さんみたいに演習だからって楽しげに人の手足もいでくるのも怖いけどね」


提督「あれは……。まぁ、アレだ。うん、あれ」


瑞鶴「説明になってないわよ」


提督「今度いっぺん五十鈴交えて育成方法について再検討しよっか。それと個人的に人との会話とか勉強した方がいい。試しにそこのずいずいを真似てみたら?」


瑞鶴「ずいずい」ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ


加賀「それだけは絶ッ対に嫌です」


瑞鶴「なんだとォ!?」


………


……




提督「人との関わり方…ね。提督さんもあまり上手ではないよなぁ」


シーン


提督「ダメだ。暗闇でこんなこと呟くのは健康に悪い。さっさと寝よう。すみ!」ボフッ


………


……




提督「……」


??「あれ?起きないなぁ」


提督「……」


??「最近は寝起きがいいって聞いたのに」


提督「……」


??「……。起きてるでしょ」


提督「よくお気付きで」


飛龍「お気付くわよ流石に。おはよっ提督」


提督「おはざいます」


飛龍「……どうしたの?テンション低いけど」


提督「ちょっと。離れて」


飛龍「!?」


提督「頼む。至急、早く、ハーリー」


飛龍「な、ななな?なんで?」スッ


提督「…………痒い」


飛龍「痒い…?あっ」


提督「多聞丸ぅ…」


飛龍「ごめん、猫の毛ついてた!?」


提督「痒い。目がしばしばする。鼻がむずむずする。喉がいがいがする…」グズッ


飛龍「わわわごめん!ごめんなさい!?」


提督「うぅ…寝れなかった…」


飛龍「ご、ごめんね提督そういうつもりじゃ…」オロオロ


提督「うごぉ…」


飛龍「ちょ、え、あれ?何か必要!?目ぇ真っ赤だよ!?」


提督「うぉお…」ゴシゴシ


飛龍「提督ー!?目ぇ擦っちゃダメだよー!?」


………


……




多聞丸「にゃーお」


飛龍「あんたが、悪い訳じゃ、ないんだけどさ…」ズーン


蒼龍「かわいそうに」


飛龍「あの後、提督は明石さんの所へ連れてったよ。神通さんが」


蒼龍「大丈夫だった?」


飛龍「長時間無理してたから炎症がひどいって」


蒼龍「……どんまい」


飛龍「悪気は、なかったんだよ…」orz


………


……




ザザーッ


涼風「てぇーやんでぇー!」


酒匂「たぁー!」


ズドンッ!!


ズドンッ!!


提督「あいつとはいずれ決着をつける必要がある」


五十鈴「は?」


提督「あのネコ野郎。ぜってぇに許早苗」


五十鈴「ああ。聞いたわよ?してやられたんでしょ」ニヤニヤ


提督「うっせ」


Prinz Eugen「酒匂~頑張れ~」ノシ


Saratoga「酒匂~いい調子よ~」ノシ


白露「酒匂さーん。やっちゃえー!」ノシ


時雨「酒匂さーん!ぶちのめしちゃえー!」ノシ


酒匂「ありがとー!」


涼風「あたいの応援は!?」


村雨「す、涼風~がんばれ~」ノシ


提督「あいつらもだいぶ戦えるようになってきたな」


五十鈴「まだ演習場内だけだけどね。だいぶ形にはなってきたわ」


提督「そろそろ卒業?」


五十鈴「もうちょっとかしらね。まだ姿勢制御に無視できない難点があるわ。晴天ならいいけど悪天候は怪しいわ」


提督「砲撃精度は?」


五十鈴「及第点。欲を言えばもっと上がってほしいけど」


提督「うーむ。場数の問題かしら」


五十鈴「近海に放り込んでみるのも経験にはなるでしょうけど、相応の覚悟は必要よ」


提督「ハイリスクハイリターン、と」


五十鈴「成長にはそれが必要なのかもね」


提督「よっこいせ…じゃあそのへん調整してみる?」


五十鈴「ええ。いいわよ。予定表は…執務室ね?」


提督「おう」


テイトクイドウチュウ…


提督「で。あいつらを海に出すとしたら…」


五十鈴「やっぱり最初は大島までの鉄板ルートじゃないかしら」


提督「かねぇ。いい加減、あそこも綺麗にしたいんだが」


五十鈴「本土がこんななのに島はまだ無理でしょ」


提督「東京湾は直ってきたのに」


五十鈴「湾の入り口に鎮守府があるからでしょ」


提督「そろそろ国も沿岸の掃除くらいしてくれないかね…治安が悪くなってて怖いんじゃ」


五十鈴「不届き者はどの時代にもいるのね」


提督「はぁ。お。予定表あったあった」


五十鈴「えっと…直近でヒマそうなのは…」


提督「お。こいつらよさそうじゃん。あ、そうだ。昨日加賀に相談受けたんだけど」


フッ


五十鈴「え?」


………


……




提督「……あれ?」


五十鈴「……」


提督「なんで五十鈴さんオレを膝枕してるんです?びっくりするんですけど」


五十鈴「びっくりしたはこっちの台詞よ!?いきなり倒れて!!」


提督「??オレが、倒れた?」


五十鈴「あんたねぇ…!こっちがどれだけ驚いたか…!いきなり電池切れたみたいに意識飛んでたわよ!?」


提督「……どれくらいたった?」


五十鈴「時間にして30秒くらい…かしら。明石さん呼ぼうとしてたのよ?」


提督「む。それはすまん」


五十鈴「いきなり魂抜けたみたいにぶっ倒れて…えと、大丈夫なの?」


提督「過労…かな?」


五十鈴「またなの?」


提督「知らん。そう見える?」


五十鈴「自己分析できてないじゃな………自己分析?」


提督「ったく。この体もポンコツだな。えーっと、それでさっきの続きだけど…」


五十鈴「……提督。ひとつ、聞かせてほしいのだけれど」


提督「うん?」


五十鈴「「それ」って、いつから?」


提督「それ」


五十鈴「あなたの睡眠習慣よ。あの子たちが問題視すべきだったのは、むしろ「こっち」だったのね」


提督「……??」


五十鈴「あなた。寝るのが苦手とか不眠症とか、そういうのじゃない。体の疲労に気付けないんでしょ」


提督「疲労…?ちゃんと管理してるつもりだけど」


五十鈴「いいえ出来てないわ。自分の疲労を誤魔化してるとか無理してるとかそんな可愛い次元じゃない、もっと深刻なレベルであなたは自分の疲労…蓄積された疲労を認識すらできていないんじゃない?」


提督「なにを冗談を。ンなんだったら、とっくにくたばってるだろ?」


五十鈴「そう…だといいのだけれど。でも提督。あなたのそれは明らかに常軌を逸しているわよ?生まれつきか、昔からの習慣か、それとも提督になってからか…。どちらにせよ、見ていて心配になるわ」


提督「ご忠告ありがとう…。正直、ピンとこないが」


五十鈴「その「ピンとこない」が一番危ないのに…」ハァ


提督「けど、どうしようもないだろ?もはやオレのライフスタイルになっちゃってるんだから。提督さんに変えろと言われても変えようがないぞい?」


五十鈴「いつかポックリ逝きそうで怖いわ。私たちが仕事量を分散させてる今でも、こんなに危ないんだもの…」


提督「うーん。そう言われましても。オレ一人じゃ体が足りないのは事実だし」


五十鈴「そうね。あなたが複数人いれば解決できるかもしれないけれど。……あの子、提督お目かけの春風ちゃんはどうなの?長門さんみたいな「提督代理」じゃなくって「次期提督」として育ててるんでしょう?早くに投入は出来ないのかしら」


提督「提督業が一朝一夕でできるなら人類こんなに苦労はしてない」


五十鈴「そうね。そうだったわ。あなたこう見えて高級将校通り越して中枢そのものだったわね…」


提督「こう見えて…」


五十鈴「おいおい…じゃなくって早急に解決させとくべき案件だと具申しておくわ。今あなたに倒れられたらまた世界はリセットだもの。今後いきなり意識を失うだなんてバカなこと、しないでよ?」


提督「うっす」


五十鈴「……」ギュッ


提督「?」


五十鈴「……………これでも、本当に心配しているのよ。役職云々を抜きにしても、あなたを個人的にも応援しているんだから」


提督「あら。デレ?」


五十鈴「ええ、そうよ。ありがたく受け取りなさい?」


提督「どーもー」


五十鈴「「不沈」を冠するんなら。私たちを死なせないと誓っているなら。まずあなたが斃れないことを肝に銘じなさい。「提督」あっての「艦娘」、なんでしょう?」


提督「……………ああ。そうだな」


五十鈴「あなたがこれをどう思っているかはなんとなく分かるけど、でも今は。これがこの世界のルール。役割と約束あってのロールプレイ。あなたが「提督」なのを、しっかり自認なさい」


提督「……」


五十鈴「気軽に即答しないだけ、重みを理解してるわね」クスッ


提督「無邪気に「はい」と言えるほど、簡単な世界じゃないからね」


五十鈴「だったら最も簡単なところこそ大切にするのよ」


提督「…………」


五十鈴「そこは即答するとこよ、お馬鹿さん」


提督「はい」


五十鈴「本当に分かっているのかしら」


提督「「たまには」じゃなくって「存分に」頼ってくれていい、ってことでしょ?」


五十鈴「ええその通り。よくできました」


提督「オレぁ生徒ですかい」


五十鈴「ふふふ。だったらとんでもない問題児ね」


提督「訓練生時代を思い出すよ」


五十鈴「でしょうね。………説教おわり!~ダメね、教官だなんてやってると話が長くなっちゃうわ」


提督「ありがと先生。今度個人授業やってね。女教師コスで」


五十鈴「はいはい却下却下」


………


……




神通「提督!」ガタッ


提督「はい提督」


妙高「お体ご無事ですか!?」ズイッ


提督「ごめんその件はもう終わった☆」


妙高「しかしまた倒れたと…!大事ないのですか!?」


提督「見ての通り」グパグパ


妙高「どうして無理をしていると言ってくださらなかったんですか…」


提督「感覚的には平気なんすけどね。五十鈴曰く疲労の認識が出来ていないんですとさ」


神通「身辺を警護しておきながら…不覚」


提督「そう気に病むな。身近だからこそ気付かんこともある」


妙高「今日はもう休んでください。代わりは我々が」


提督「だいじょーぶ大丈夫!倒れた回数は艦娘のが多いんですから。気にするこっちゃないっすよ」


妙高「……私たちは書類業務で倒れたことはありません」


神通「体の作りが違いすぎます。提督はご自身の限界をしっかりと把握すべきです」


提督「お前が言う?」


神通「私だから言うんです」


提督「そう…じゃあ進言通り休もうかな。今日のお仕事」


妙高「それが賢明かと」


………


……




提督「て言われても暇なもんは暇だ。あとこればっかりは譲れないし」


漣「なにがじゃい」


提督「セクハラ」


漣「お還りくださいご主人様☆」


提督「迸る殺気が凄い」


漣「そーゆーことは、ぼのたんかうしおっぱいにやってあげるべきだと思いますぜ?」


提督「たまにはお前みたいな五月蠅いのも悪くないかなと思って」


漣「漣より五月蠅いのごまんといません?」


提督「言動はともかく性格がうるさい」


漣「性格がうるさい!?」


提督「よくそんな電波なキャラやってんな」


漣「なんすか人格批判っすか。人権団体に訴えますよ」


提督「その手の愉快な外野はマジで五月蠅いだけだからNG」


漣「もしくはセクハラを訴える?」


提督「余計に相手をしたくない連中が出てくるからNG」


漣「事務所NGばっかとかそんなんじゃ売れませんぜ?」


提督「提督さん割と売れっ子な気がするんですけど」


漣「気のせいでしょ」


提督「つれないなぁ」ペラッ


漣「……で。それは?」


提督「ん?明日のお仕事」ペラッ


漣「仕事しないんじゃないンすか」


提督「「今日の仕事」は。してないぞ」


漣「屁理屈っすか」


提督「休みたいから休みまーすだとか、オレぁ学生やってんじゃないんだぞ」


漣「ワーカホリックすね」


提督「勤勉と言っておくれよ」


漣「っすね」クスッ


提督「お前は休んでていいぞ。最近忙しかったろ」


漣「隊長のが大変っすけどねー」


提督「今日も球磨出撃だっけか」


漣「毎日出撃っすよ隊長は。一日ここにいる日のが珍しいじゃないすか」


提督「部隊、やっぱ増やそうかなー」


漣「増やしても隊長の負担は変わらないっしょ。むしろ過激な任務が増えそう」


提督「無理してる、ってなら遠征部や潜水艦部隊だからなぁ」


漣「仕事と割り切ってますぜこちとら。そりゃ休みは享受したいっすけど、半端な善意で喜べるほど初心な少女でもないっす」


提督「そっか」


漣「女の子は内面の成長が早いンすよ♪」


提督「野郎はいつまでもガキなのにな」フフッ


漣「エロガキめ」


提督「欲望に忠実なんですー」


漣「あそうそうご主人様」


提督「ほ?」


漣「旗風ネキの装備の改修、してあげてくだせーや」


提督「旗風の?」


漣「地味に砲が未改修なんで。使う機会は少ないとはいえ、ね?」


提督「そうだなぁ。オレからはおっけー出すよ。明石に打診しておっけー出たらその場でやっちゃっていいよ」


漣「っすね。言っときます」


提督「どんな感じよ」


漣「一生懸命ついてきてる、って感じっす。遠征要員の計画的育成方法の模索…でしたっけ?わざわざ低練度のうちからブラック労働させるとか鬼っすよね。それでも頑張ってる旗風ネキは偉いっすよ」


提督「性能の数値は絶対ではないが指針にはなるからな。オレの代ではオレが艦娘一人一人を見て配置できるからいいとしても、次の代以降の奴にそれが出来るとは限らん。やはり艤装データと配属の相関関係は具体的な資料として確立させたいんだよ」


漣「人事のシステム化ってやつっすか」


提督「ワンマンパーティーは頭が崩れれば弱い。組織的欠陥はシステムで補わなければなるまいよ」


漣「合理的っすねー」


提督「違う。オレがサボれる口実を作ってるだけだよ」


テイトク…?


コンコン


妙高「ご休息のところ失礼します。今、提督の声が…」


提督「あ」


妙高「あ」


書類「あ」


妙高「…………。……そんなに信用無いでしょうか、私たち」ブワッ


提督「ちょ!?ちがっ…!!」


漣「あーあ。泣ーかした泣かした」


………


……




提督「結局。あの後ボクは軟禁されたよ…」


妙高「当然です」


提督「で。なんでここにもいるの」ポフポフ


神通「提督が寝ている間にも執務を執り行わないか心配なので」


提督「君いまとっても頭悪いこと言ってるって気付いてる?」


妙高「やりそうで怖いんですよ」


提督「えぇ…?」


妙高「提督。正直にお話しください。……お疲れではないですか?」


提督「この仕事やってて疲れないことはないと思うんすけど」


妙高「そうではなくて。これが提督の負担になってはいないか、ということです。うたい文句は何であれ、私は提督を想ってこれを始めました。それが負担になっているのであれば、すぐにでも取りやめます」


提督「おう…」


神通「提督」ボソッ


提督「ん?」


神通「妙高さんは今回提督がお倒れになったことに責任を感じているんです」コソッ


提督「あー…」ナットク


妙高「……」ショボン…


提督「誰が悪いかと言えば、オレが悪いですよ。自己管理もできない無能と嗤ってくださいよ」ハハハ


妙高「しかし気付きすらしなかった私は…」


提督「重い重い。そんな重く考えないでくださいや。オレは誰も責める気はありませんし咎めもしません。というより終始責任はオレにあるんだから、他の誰かが悪いと考えるのはお門違いです」


妙高「……はい」


提督「それより妙高さん。明日以降の出撃についてだけど備蓄の消費量を確認したいんすけど」


妙高「い、今からですか?かまいませんが、帳簿を暗記しているわけではないので調べないと…」


提督「寝る前の試算ですよ。小心者のオレの日課でね。だいたいでいいんで」


妙高「はい。では…」


………


……




チュン…チュン…


妙高「ン…んぅ…」モゾ…


提督「……」ジー


妙高「……ハァ………ンッ。ハァ……」スゥ…スゥ…


提督「……」ナデナデ


妙高「アッ……フ、フゥ…♪ テイ、トク………♪」


提督「……」


神通「……」


妙高「ンゥ…フフッ」ムニャ


提督「なんとまぁ。邪気のない…」


神通「幸せそうですね」


提督「あれ?怒ってる?」


神通「いえ。別に」ツーン


妙高「……テイトク…ンッ………フゥ…♡」


提督「吐息がやたらアレなんだけど…」


妙高「ウフ…。………ァン…」モゾ…


提督「……いい夢見てるとこ悪いけど、朝ぞ。起きろー」ユサユサ


妙高「アッ。ヤッ!ハァン!」ビクッ…ビクビクッ


神通「提督!どこを揺すっているんですか!?」


提督「こういう時じゃないと触れないかなって思って」


神通「無抵抗ですよ…!?」


提督「あ、そっか。好奇心に負けてしまった」


神通「………………」


提督「すごい顔になってるぞ神通」


神通「いーえ!」ゲシッ


提督「わ!ベッドを揺らすな!?」グラッ


妙高「ひゃ!?て、てて、敵襲!?」ガバッ


提督「違う。味方襲だ」


妙高「あ。提督。その、ま、まだ続けるんです、か…?///」ポッ


提督「は?」


妙高「へ?」


提督「なんの夢見てたかは知りませんが、もう朝ですぞ?」


妙高「…」


提督「起きました?」


妙高「……」


提督「おーい」


妙高「………」


提督「あれ?まだ寝ぼけてる?」


妙高「…………」


提督「妙高さーん」


妙高「私を……解体してください…………」


提督「え?」


カイタイシテクダサーイ!!


………


……




妙高「………」メソメソ


那智「どうしたんだ一体…」


足柄「聞かない方がいいわよ。面倒くさくなるから」


羽黒「本当です。朝帰りかつ提督の匂いを纏わりつけてる時点で聞くに堪えません」


シクシク…


山城「不幸だわ。本当に不幸だわ。本当に本当に不幸だわ」


最上「どうしたの山城さん…」


扶桑「昨日、例の企画の抽選に珍しく当たったと喜んですけれど…。直前で妙高さんに強奪されて……」


山城「ルール違反よルール違反。こんなの……納得できない…!!」グギギギギ


最上「般若になってる…」


ジメー…


巻雲「うっへぇ。すっごくジメジメした空気になっちゃってますねぇ」


秋雲「……」


巻雲「どうしたんです?」


秋雲「……ほーん」


………


……




ガチャ


秋雲「やっぴー」


提督「やっぴー」


神通「ノックをしてください」


秋雲「……今、平気?」


提督「お?うん。大丈夫だけど」


秋雲「……」チラッ


神通「…?」


提督「……はぁ」クイッ


神通「…………失礼します」ペコリ


パタン


提督「で?なぁに?二人きりにまでして。愛の告白にはちょっと憂いが混じってない?」


秋雲「いい加減愉悦してるのも飽きてきてさ。ちょっと介入」


提督「というと…」


秋雲「あれだよあれ。夜這いだか朝這いだかのあれ」


提督「おー。え?お前、参加したいん?といってもオレはこれシステムよく理解しとらんし、受付は…青葉か?青葉になるかm」


秋雲「やめといた方がいいんじゃない?」


提督「お…ぅ?」


秋雲「負担になってるでしょ?私たちと寝るの」


提督「いやそれはないわ。だってあいつらだぜ?そりゃ落ち着かない感じはあるけどそれはやっぱ男だからっつーの?そういうリビドー的なサムシング…」


秋雲「気付いてないのか気付いてないふりなのかは分かんないけどさ。秋雲さん目線で解説いれたげよっか?」


提督「……っ」


秋雲「提督は寝起きがよくなったんじゃない。眠れてないんだよ。自分が無防備になる瞬間を警戒してる。すぐにでも起きれるように体が準備をしている。違う?」


提督「……どうだろ。分からん」


秋雲「じゃなかったら五十鈴さんの前で倒れるなんてことしないじゃん。いっつも提督が倒れるのって、連日連夜の徹夜の時でしょ?」


提督「だからオレが起きてると?」


秋雲「うん」


提督「考えすぎだろ」


秋雲「どうかねぇ。緊急時に備えていつでも起きれるように浅い眠りをするのは軍人として基本の「き」だし。おかしくないと言えばおかしくないんじゃなーい?」


提督「こじつけじゃん」


秋雲「でも明らかにおかしい。提督の不眠解決だとか艦娘の戦意高揚だとか理由をつけてやってるけど、恩恵を受けてるのは艦娘だけで提督には目に見えて分かるダメージが入ってる。じゃなきゃ倒れない」


提督「……」


秋雲「その点は同意してくれるみたいだね」


提督「その実感はないが、実例がある以上は、な」


秋雲「つまりメカニズムはどうであれこのイベントは提督にとっての利益はないんだよ」


提督「しかし艦隊全体を見れば利益あるものになってるだろう?」


秋雲「艦隊「全体」?よく見なよ。得してるのは艦娘「個々人」だよ?同衾した子だけが戦意高揚して、出来なかった子はイラついたり落ち込んだり…マイナス面のが色濃く出てるでしょ」


提督「……」


秋雲「艦娘の戦意を高めるなら他に効率的な方法なんていくらだってあるし、今までもやってきた。わざわざ非効率的な方をとるのは鎮守府運営にはナンセンスだし、それに…」


提督「それに?」


秋雲「同衾した子たち。本当に「戦意」が高揚してる?」


提督「なに?」


秋雲「途中から気付いてたんでしょ?何人かは気力を養うためなんかじゃなく、はっきり言っちゃえば性欲を満たすために提督の懐に潜り込んでる。違う?」


提督「……はっきりとは否定できんな」


秋雲「性欲なんて本来艦娘には不必要なもの。純粋に戦力向上を目論んで行動をおこすんなら、このイベント、不必要どころか邪魔じゃない?」


提督「なるほど。だからやめた方がいい、と」」


秋雲「うん」


提督「ありがたいけど…どうしてそんな忠告を?」


秋雲「助長したのは自業自得だけど、そんなになるよう諭したのは秋雲さんだしね。セクハラ癖を逆手にとる子たちの言動に責任を感じないわけじゃないんだよ、ってこと」


提督「……確かに、困ったのもいるな」


秋雲「さすがに生活…ってか生命活動に支障が出るのはやめといた方がいいと思って。提督が何を考えてるかは分かんないけどさ、あなたが目指してるものはこんなちっぽけな懺悔じゃないんでしょう?目の前の甘い蜜に飛びつくのはやめた方がいいですよ」


提督「……どこまで知ってる」


秋雲「さぁ?何も。でも「在る」ことだけは知ってる。ブラックホールと同じで、形は分からなくても気配を感じる。領域を認識できる……芸術家の勘と言ってもいいよ?」ニパ


提督「そういうことに、しておこうか」


秋雲「そうそ。そうしといて」スクッ


ガチャ


秋雲「じゃ提督!考えといてね~」ノシ


神通「……」


提督「おお神通。すまんな追い出しちゃって」


神通「いえそれはいいのですが…いったい何を?」


提督「ンやん、秘め事を暴こうとしちゃダメよん?」クネクネ


神通「ごめんなさい二度と詮索しないのでその顔をやめてください」


提督「そこまで引くなや。次の同人誌のさ、ネタの相談で。まだあどけない神通には聞かせられん話だったわ」


神通「提督…。あれはもう風紀が乱れるのでやめるべきだと何度も…」


提督「うわははは」


………


……




提督「やめた方がいい、ね」


妙高「はい?」


提督「妙高さん。やーめた」


妙高「は???」


提督「朝這いイベント。おしまいにします」


妙高「え、あ。え。え。……え?」


提督「これからのシーズンきっと忙しくなりますし、みんなの生活リズムの足並みそろえないとですし。ね?」


神通「ではすぐに通達してきます」タッ


提督「行ってら…。なんか機嫌よくなったな」


妙高「……」シュン…


提督「?残念そうな顔ね」


妙高「そ゜!そんなことはありませんよ!?て、提督の判断が第一ですし!昨日もすぐに対応すると言いましたし!」


提督「一日数人しか相手できないのにずっとやるのは非効率っちゃあ非効率ですし。もっと他のやり方探しましょ」


妙高「…はい」


提督「つきましては!終わることに際するあれこれをそっちでやっておいてね☆」


妙高「え?」


提督「絶対に反動あるからそこら辺のごたごたを片付けといてちょ。今回に関しては提督さん主導じゃないし、手は出さんよ?」


妙高「ああ、はい」


………


……




青葉「こうして。一連のイベントは幕を閉じたのでしたー」


川内「どしたの急に」


青葉「幕引き宣言くらいはしといた方がいいと思って」


川内「あっけない幕引きだったねー」


青葉「そんなもんでしたか、って感じですよね」


川内「まー恒常化するとは思ってなかったよ」


青葉「しっかしまぁ。始まりにも一波乱ありましたが終わりも終わりで波乱ありましたね。」


川内「キレるのは多かったねー。妙高さんヘイトが特に」


青葉「順番抜かししたのは事実ですし、自分の番で終わらせたのも事実ですし、当然ですね。自分勝手だという意見は否定しようもありません」


川内「でもなんでそんな急ぎ足で終わらせたんだろ」


青葉「青葉情報ですが、なんでも司令官の体調が悪くなったとか何とか。繁忙期に入るからとか非効率だからとか色々理由はついてますけど、第一に司令官ご自身の体調になにかあったと判断するのが妥当でしょう。妙高さんはあれでいて鎮守府運営よりも司令官を優先する人ですし」


川内「それはうちのバカ妹にも言えるかなぁ。姉妹の絆より提督だし」


青葉「司令官周りの方は多いですよねぇ」


川内「あんたもそうでしょ」


青葉「もちろん。ガサか司令官なら司令官ですとも」


川内「衣笠さん可哀想に」


青葉「つっこむべきところは多かったですが、謎の多い司令官についていくつか収穫がありました。同衾なさった艦娘全員と情報を共有しましたので、まず事実でしょう」


川内「お。珍しくまっとうに仕事したのね」


青葉「鎮守府広報担当のこの青葉。ただイベントに乗っかったわけではありません。司令官について探るためにわざわざこうやって皆さんを焚きつけたんですから!」エッヘン


川内「うへぇ」


青葉「まっ正面から司令官に聞いてもはぐらかされるのは目に見えてますから、回りくどく皆さんを使って情報収集をさせたわけです。青葉個人でやってたら黙っててもすぐに見破られたでしょうし、あえてド素人を、本人たちにも気付かないように上手に送り込んだんです。妙高さんが取り仕切ったこともあり、青葉はうまく隠れられました」


川内「おお」


青葉「司令官の好みの女性を探る。これに焦点を当てて調査をしているんですが、口八丁手八丁では司令官には絶対にかないません。加えて情報操作力も人心掌握力も行動予測力も青葉とは段違い。頭を使った読み合いでは司令官はまさに大将です。出し抜くことを前提に動いていたらまず負けます」


川内「ダメじゃん」


青葉「ですので、愚直な勝負に出たんです。いかに司令官であれ生理現象は本物であると。嘘をつけない土俵を選んでみたんです」


川内「……つまり?」


青葉「男性でもっとも正直な箇所なんて決まってるじゃないですか。ペニスですよペニス」


川内「はっきり言ったね」


青葉「男性には夜間陰茎勃起現象…いわゆる朝勃ちと言われる生理現象があるんですよ。特に理由がなくとも就寝中もしくは寝起きに下半身が起立してしまう現象なんですって。それで、多くの男性はその朝勃ち時に女性と同衾していると性的興奮を覚えるとか覚えないとか。「朝起きたら彼女にエッチなことされたい欲求」とかがあるらしいんですよ」


川内「一気に下世話な話になったね」


青葉「もともとそういう話でしょうが。で、司令官でも当てはまるだろうと調査してみたところ…」


川内「ところ?」


青葉「それが確認できませんでした」


川内「………。ごめん、だから何?」キョトン


青葉「だ・か・ら!正常な男性にあってしかるべき生理現象が確認できなかったんですよ。無防備な股間の反応具合で好みを探ろうと思ったんですが、これは予想外です」


川内「そこも徹底してカバーしてたんだね」


青葉「悠長なこと言ってられませんよ。明石さん曰く、よほどのことが無いかぎり若い男性は明朝には固まるものだとか。それが無いとすれば…」


川内「すれば?」


青葉「司令官。ED説が色濃くなってきました」


川内「えっ」


………


……




後書き

はい、こんな感じで。

つづく!……のかな?どうでしょうね。

たくさんのリクエストありがとうございました!そしてピックアップできなかった方々には申し訳ありませんでした。また次のネタの時に優先させていただきますね。
提督と各艦娘との関係性を書いてみたいと思ったら、登場人物が多かったのでこういう形式になりました。ですので次やる時はなるべく被らないようにします。

設定云々は投稿していく中で徐々に明かしていこうと思います。ガバガバとはいえそれなりにありますので、小分けにしていきます。とりあえず、はえ~と流しておいてください(いつも言ってるなこれ)。

八月はみんな大好きなネタでいこうと思っています。

これからもよろしくお願いします!


このSSへの評価

11件評価されています


シルビア@凛さんから
2020-11-21 12:33:07

DELTA ONEさんから
2020-11-28 17:08:12

エクシードさんから
2020-08-22 23:01:07

SS好きの名無しさんから
2020-08-19 08:12:44

斯波提督さんから
2020-08-16 16:58:25

SS好きの名無しさんから
2020-08-14 06:14:49

seiさんから
2021-02-25 01:00:51

SS好きの名無しさんから
2020-08-08 01:35:09

SS好きの名無しさんから
2020-08-08 00:09:47

TMネオさんから
2020-08-07 23:11:36

ぴぃすうさんから
2020-08-07 20:59:07

このSSへの応援

10件応援されています


シルビア@凛さんから
2020-11-21 12:33:13

DELTA ONEさんから
2020-10-15 01:41:49

SS好きの名無しさんから
2020-10-05 02:56:48

SS好きの名無しさんから
2020-08-17 21:19:07

斯波提督さんから
2020-08-16 16:58:33

SS好きの名無しさんから
2020-08-14 06:14:45

seiさんから
2020-08-10 21:49:05

SS好きの名無しさんから
2020-08-08 01:35:10

TMネオさんから
2020-08-07 23:11:46

ぴぃすうさんから
2020-08-07 20:59:09

このSSへのコメント

8件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2020-08-08 07:24:24 ID: S:YD4vA8

待ってました。

毎日、朝ヒル夜に更新ボタンを押すのが日課です

2: ぴぃすう 2020-08-08 11:23:59 ID: S:y40Qut

こんちは~♪

五十鈴さんがお姉さんポジで活躍しましたねー♪おぉ…ブラボー♡(笑)

それにしても…秋雲ちゃん何者なんでしょうね?(笑)

3: ポチという名のネコ 2020-08-08 13:08:16 ID: S:ySRSuv

コメント、応援、評価等をくださりありがとうございます!

秋雲は…何なんですかね。分かりません(無責任)

これは8月分ではないので、また今月中に投稿します。
これからもよろしくお願いします!

4: 斯波提督 2020-08-16 17:05:21 ID: S:o0P02l

浦風、叢雲ありがとうございました(^-^)
叢雲の色気と言うか何と言うか、もう駆逐艦じゃない気がw

5: エクシード 2020-08-22 23:04:12 ID: S:FBiA3a

リアルでいそいそしてて見るのすっかり忘れてて

久しぶりに見に来たら来てた(笑)

五十鈴はイイゾォ

6: ポチという名のネコ 2020-08-23 20:22:06 ID: S:6wL3qv

コメントありがとうございます!

ひっそり投稿するのが売りのポチネコでございます。

色気に関しては完全に私の趣味ですね。ロリコンジャナイヨ。

今月分はそろそろです。八月中に投稿しますのでよろしくお願いいたします。

7: SS好きの名無しさん 2020-10-05 02:56:41 ID: S:1jUFLN

あなたの書いた作品がとても好きです、定期的に読みたくなります。更新が止まり一月ほど経ちますがいつか続きが読めるのをずっと待ってます。昔投稿して辻褄合わせのためにと回収した空母、重巡、軽巡、駆逐をどう思っているのかの話もまた読んでみたいです。文章下手ですみません。

8: sei 2021-02-07 22:51:47 ID: S:2s_PDQ

いつまでも気長に待ってます!

なのでポチという名のネコさんがお元気であることを願っております!


このSSへのオススメ

1件オススメされています

1: sei 2021-02-07 22:52:25 ID: S:1pwrF3

やっぱり設定といい、話のもって行き方といい。面白いなぁ


オススメ度を★で指定してください