2020-12-10 18:26:53 更新

概要

普段通り、海軍本部で元帥と会話をする 『 辺境の黒髪艦隊 』提督。そんな光景を妬む、他の提督達。その時は何の気にも留めていなかったが……提督に不満を抱く者達が、実力行使に出る。


前書き

ども!ひっじょおおおおに御無沙汰しています。初めての方は初めまして、そうでない方は……御無沙汰しております、柔時雨です。

ゲームがプレイできなくなって、少し疎遠になっていたのですが……久しぶりに某2525さんで久しぶりに艦これのMMD動画を見ていて
無性に艦これのSSを綴りたくなり、戻って参りました。(何か一時的にまた書けなくなっていた時期もありましたし……)

久しぶり過ぎて、以前のような感覚を取り戻すのにかなり時間が掛かるでしょうが……
久しぶりに覗きに来てくださった方々、そして今回初めて覗きに来てくださった方々。

相も変わらない拙い作品ですが、どうぞ!ゆっくりしていってくださいね。


海軍本部・廊下



元帥 「いやぁ!今回も助かったよ。」


提督 「補給物資を持ち帰ってきてくれる輸送部隊は、艦隊運用の要。その護衛を頼まれたんじゃ、断れねえよ。」


元帥 「うんうん。君の友人も、君達の後輩も、それぞれ頑張ってくれておるようだし、儂は良い教え子に恵まれたことを常々嬉しく思っておる。」


提督W 「おい……あの提督って……」ヒソヒソ

提督X 「あぁ。あそこに居る元帥のお気に入りとかいう理由で、本部に居る艦娘を幾つか貰っているらしいな。」ヒソヒソ

提督W 「ずるいよな。ろくに海域解放してないみたいなのによぉ……それで、レア艦を貰えるなら、俺だって欲しいぜ。」ヒソヒソ


元帥 「提督……」


提督 「ん?あぁ、別に気にしてねえよ。反論して変に騒ぎを大きくしたいわけでもないですし。」



◇◇◇



先日の輸送部隊護衛任務から数日後


鎮守府 ・ 執務室



提督 「……………はぁっ!?何だ、こりゃ!?」


那智 「どうしたのだ?旦那様。」


提督 「本部からの通達なんだけどな……ウチに居る初月と14を直ちに本部へ返せ。この条件を呑まねえ場合、この鎮守府を解体して俺を更なる僻地に飛ばす……だ、そうだ。」


那智 「なっ……!?何だ、そのふざけた書状は!?」


提督 「この捺印……爺さんの物じゃねえな。おそらく、他の提督からの直訴を受け、他の元帥が動いたか。」



別に本部には爺さんしか元帥が居ないってことはない。俺と関わりが無いってだけで他の元帥だって、大将や少尉……俺より地位の高い奴等なんてゴロゴロ駐屯している。



提督 「とにかく、この書類が正式に受理された物である以上、どっちかを選ばねえとな……那智。すまねえけど、初月と14を呼んでくれるか?」


那智 「承知した。」


~ 数分後 ~


那智の館内放送を聞き、初月と14が執務室に入って来た。


14 「どうしたの?那智。至急、執務室に来てくれ……って。」


初月 「僕達に頼みたい仕事でもあるのかな?」


提督 「2人共……悪い、こいつを見てくれ。」



俺は申し訳ない気持ちがいっぱいのまま、2人に例の通達書を見せる。



14 「本部に戻れ……さもないと、この鎮守府を解体!?しかも、提督が更なる僻地へ飛ばされちゃうって……!」


初月 「こんな……こんな脅しのような物が許されていいのか!?」


那智 「それには私も同意見だ……が、『 組織 』という名の化け物の上層部が下した決断だ。たとえそれがどれだけ理不尽でも、従わなければならないことだってあるのだ。」


14 「……でも、ちょっと安心した。提督が14と初月のことを 『必要無いから、本部へ送り返す 』って言ったんじゃないんでしょ?」


提督 「当たり前だ!!俺はできることなら、このメンバーで終戦を迎えれればと……」


14 「うん。だよね。それを聞けて良かった。だったら、この鎮守府は残さなきゃだよね?」


提督・那智 「「14……」」


14 「提督。短い間だったけど、一緒に戦えて……此処で皆と過ごして楽しかった!」


初月 「……そうだね。僕がわがままを言ってたら、この鎮守府が解体……きっと、提督の下に集まった皆がまたバラバラになってしまう……提督。残念だけど、僕も戻るよ。14も言ってたけど、この鎮守府は残しておきたい場所だからね。」


提督 「14……初月……すまん!すぐにとは言えないけど、非番の日ができたら、いつでも遊びに来い!2人なら、いつでも大歓迎だからな。」


初月 「うん!そのときは、秋月姉と一緒に遊びに来るよ。」


14 「同じ鎮守府で……じゃなくなるけど、お互い、海の平和のために頑張ろうね!」


提督 「おう!那智、他の皆にもこの件を報告……それと、今夜は2人を盛大に送り出してやる、豪勢な酒宴を催してやりたい。その準備も頼む。」


那智 「あぁ、皆を食堂へ呼んで全て伝えよう。」



*****



盛大な宴会を終えた翌朝……


母港で初月と14を見送った後、俺は執務室へ戻り、事の顛末を元帥に電話で伝えていた。



元帥 『なんと、そのような……儂の所には一切、そのような報は入っておらんかったが……』


提督「たぶん、昨日陰口を叩いてた奴等を可愛がっている元帥の独断……みてえなもんじゃねえかな?証拠が無いから、何とも言えねえけど……とにかく、初月と14がそっちに戻ったら、他の馬鹿が何かする前に、爺さんが迅速に彼女達の力になってやって欲しいんだ。元々そっちに居た娘達だ。できるだろ?」


元帥 『もちろんじゃ!後は全て儂に任せておけ。』


提督 「あぁ……宜しく頼む。」



俺は元帥との通話を終え、受話器を置いた。

電話越しだったけど、ありゃ、相当怒ってるなぁ……爺さんが怒りを露わにしていたのは、本当に久しぶりの事のように思う。



提督 「ふぅ……」


五十鈴 「残念ね。せっかく仲良くなったばかりだったのに……」


提督 「まぁ、お互いに生きていりゃまた会えるさ。少なくとも、ウチは轟沈に繋がるような危険な進軍は絶対に許可しないから、そのつもりでいてくれ。」


五十鈴 「えぇ。頼りにしてるわよ、提督。」ニコッ



◇◇◇


午後一三〇〇


食堂で5人と楽しく食事した後、俺は再び執務室で書類と睨めっこしていた。



提督 「……最近、海外の艦娘が増えてきたみたいだな。名前を覚えられそうにない。」


那智 「ふふっ。そんなことでは困るな、旦那様。演習で会ったり、本部の会議で話題になったりするだろうからな。ちゃんと覚えておかないと、失礼にあたるぞ?」


提督 「うっす。頑張ります。」


磯風 「ふふっ…………ん?司令。海軍本部から入電だ。」


提督 「本部から?爺さんとは今朝話したばかりだが……わかった、繋いでくれ。」



非番で執務室に居た磯風に電話を繋いでもらい、俺は受話器を手に取った。



提督 「もしもし?何だ、爺さん?」


『もしもし!?よかったぁ、繋がったぁ。司令はんの御友人はんですか!?』


提督 「ん?この声……もしかして、リア友のトコの黒潮ちゃんか?」


磯風 「黒潮姉さんが?」


黒潮 『せや~。ウチです~。』


提督 「何で本部から?まさか……舞鶴で何か遭ったのか!?」


黒潮 『実は……舞鶴鎮守府から海路で海軍本部へ向かう途中、深海棲艦と……艦娘の襲撃に遭うてしまいまして……』


提督 「は?深海棲艦はともかく……艦娘?」


那智 「司令官。現状把握は後だ!すぐにでも援軍に……」


黒潮 『那智さんの声、聞こえてました。気持ちは嬉しいけど、大丈夫です~。攻めてきた深海棲艦は無事に成敗しましたから~。艦娘達の方も、一当てしたら撤退していきましたし。』


那智 「む……そうか。」


黒潮 『ただ、そん時に司令はんが怪我してしもうたんと……ごめん、とにかく今、本部の医務室に司令はん居るから、ちょっと会いに来たってくれませんか?』


提督 「もちろんだ!すぐに向かう。」


黒潮 『おおきに~。ほら、司令はんに伝えておきますんで、うちはこれで……』


提督 「あぁ。報告ありがとうな。」


- 通話終了 ―


提督 「2人共、聞こえてただろうけど、これからちょっと本部へ行ってくる。そうだな……磯風、護衛として一緒に来てくれるか?」


磯風 「私が?」


提督 「俺の思い過ごしだと良いんだけど……黒潮ちゃん、何かいつもより元気が無かったような気がしたんだよ。何か遭ったってんなら、話し相手くらいしてやったらどうだ?と思ってな。」


磯風 「ふむ……そうだな。気遣い、感謝する。」


提督 「那智。悪いけど、今回は留守を頼む。そうだな……今から行くから、帰りは明日の昼過ぎになると、皆に伝えておいてくれないか?」


那智 「うむ、承知した。御友人殿……重症でなければ良いな。」


提督 「あぁ……そうだな。」



****


同日・一九〇〇


海軍本部 ・ 医務室


俺が駆けつけると、包帯を巻かれたリア友提督が、ベッドの上で本を読んでいた。



提督 「何だ?思ったより何とも無さそうだな。」


リア友提督 「あっ、来てくれたん?」


提督 「お前んトコの黒潮ちゃんから電話があってな。何か、深海棲艦と艦娘に襲われたって聞いたんだけど……本当なのか?」


リア友提督 「ホンマや。どこの鎮守府かはまだ判ってへんみたいやけど……十中八九、深海棲艦と内通してるやろなぁ。」


提督 「くそっ!どこか判ってたら、俺がすぐにでもそこの提督を殴りに行ったんだが……」


リア友提督 「暴力沙汰巻き起こしたら、君にも何かしらの処罰が下るから、その判断はアカンなぁ。後のことは爺さん達に任せて、法の力で処罰せな。」


提督 「それはそうかもしれねえけど…………1発くらいなら、手が滑った!ってコトで済まされねえかな?」


リア友提督 「アカンて。せや!ちょうどえぇわ。実は君に頼みたいことがあったんや。」


提督 「俺に?」


リア友提督 「うん……実は、今回の襲撃で……1人、轟沈してしもうてな。」


提督 「そっか……その娘は、お前んトコで建造した子……もしくは、ドロップ艦ってヤツだったのか?」


リア友提督 「うん。前者の方で……しかも、けっこう初期から居った娘やねんけどな……僕等を逃がすために、身を挺してくれてな……」


提督 「で?俺に頼みってのは、その時居たメンバーのカウンセリングでもしたらいいのか?」


リア友提督 「カウンセリング……うん、まぁ、そうか……実はな、その沈んだ娘が、君から預かってた娘の姉妹艦でな……お願いいうんは、その娘をまた、君の鎮守府に迎え入れてあげて欲しいんや。」


提督 「なるほど……わかった。とりあえず、その沈んだ艦娘を教えてくれないか?」


リア友提督 「せやな。僕等を守ってくれたんは重巡洋艦 利根型1番艦 ・ 利根。」


提督 「利根!?っつうことは……」


リア友提督 「うん。君の所に迎え入れてあげてほしいんは、利根型2番艦 ・ 筑摩や。」



◇◇◇



海軍本部 ・ 母港


防波堤に座り、1人で佇む筑摩の姿を見つけた。



筑摩 「…………」


提督 「よっ!久しぶりだな。」


筑摩 「……提督!?御無沙汰しております。……舞鶴提督殿のお見舞いですか?」


提督 「まぁ、そんなところだ。隣……良いかな?」


筑摩 「えぇ、どうぞ。」



筑摩の許しが貰えたので、俺は筑摩の隣に座り、同じように海を眺める。



提督 「リア友から話は聞いた。その……あいつや仲間を身を挺して守り、轟沈してしまったのって、お前の姉さんなんだってな。」


筑摩 「はい……それでも、あの利根姉さんのことです。そのうち『 戻ったのじゃ! 』って、笑って言いながら、私達の前に戻って来るのでは?と……」


提督 「筑摩……」


筑摩 「えぇ……そんなことはないと、解っています。仮に提督の運に任せて建造をして利根姉さんを呼ぶことができたとしても、それは……おそらく、艦としての記憶はあるので、私を筑摩と……妹として認識はしてくれるのでしょうが、今日まで築いた思い出とかを引き継いでるかどうかは……そんな夢のような奇跡みたいな話が、あるとは思えません。」


提督 「まぁ……そうだろうな。」



『 あるいは 』『 おそらく 』『 もしかしたら 』できるのかもしれない。けど……実証は無い。

かつての戦艦の魂を宿した女の子を生み出す技術だけでも奇跡みたいなモンだってのに、さらにそこへオマケで何か……っていうのは、さすがに都合の良すぎる話だ。


そんなことを考えていると、そっと……筑摩が俺に寄り添ってきた。



提督 「筑摩?」


筑摩 「ごめんなさい、提督……少し……ほんの少しだけ、胸を貸していただけませんか?」


提督 「あぁ、もちろん。好きなように使ってくれ。」



俺がそう言うと、筑摩は俺の胸に顔を埋めた。

彼女の型が震え、俺の軍服を掴む手に力が入り、胸の辺りが少しだけ湿ってくる……


下手に茶化して空気をぶち壊す真似なんてする気が起きるわけもなく、俺はとりあえず筑摩の頭を撫で続けてやった。


~ 数分後 ~


筑摩 「ふぅ……提督、ありがとうございました。」


提督 「もういいのか?」


筑摩 「はい。あんまり長いと、利根姉さんに 『 いつまで泣いておるのじゃ!? 』 って、怒られてしまいそうですから。」


提督 「そっか。なぁ、筑摩。」


筑摩 「はい。」


提督 「リア友がな……お前のことを俺に託してきた。」


筑摩 「それは……つまり……?」


提督 「元々ウチに着任してくれたから、この言い方はちょっと変なんだけど……おそらく、舞鶴に居たら、また利根さんのことを思い出してしまうだろうからって理由なんだと思う。」


筑摩 「そんなこと…………いえ、そうかもしれませんね。今も頭ではしっかりケジメをつけたつもりですが、おそらく心はまだ……」


提督 「それが 『 いけないことだ! 』 なんて言わない。けど、その状態が長引くのも良くない……とも思う。」


筑摩 「なので、生活環境を変えて……ですか。でも、宜しいのですか?私は……以前は提督の鎮守府を守れず、今回は実の姉を守れなかった弱い艦娘です。このまま解体の方向で話を進めてもらっても……」


提督 「解体はしねえよ。そんな、利根さんが身を挺して守った命を無駄にするような真似……俺は絶対にしない。」


筑摩 「……っ!」


提督 「筑摩、安心しろ。俺はお前を弱いなんて思ったことは無い……仮にもし、そうだったとしても、それなら皆と一緒に強くなれば良いだけの話じゃねえか。」


筑摩 「提督……」/////


提督 「あの時、お前と一緒に被害に遭った扶桑も祥鳳、五十鈴も俺の所に戻って来てくれて、力を貸してくれている。だから、筑摩も……また、一緒に戦わないか?」


筑摩 「扶桑さんと五十鈴さんは同じ舞鶴で御厄介になっていたので存じていましたが、祥鳳さんも無事だったんですね。よかった……」


提督 「どうする?筑摩。」


筑摩 「申し出を断る理由などありません。改めて……宜しくお願いしますね、提督。」ニコッ



俺が差し出した手を、筑摩が微笑みながら両手で握り返してくれた。



提督 「さてと……風邪も強くなってきたし、館内に戻るか。俺はこの後、顔を出さなきゃいけねえ所があるから、そっちに行くよ。筑摩は明日、俺が迎えに行くまで、ゆっくり休んでいてくれ。」


筑摩 「え?あっ……はい。そうさせていただきますね。」



◇◇◇



本館の中に入り、筑摩と別れた俺は元帥の部屋を訪問した。


部屋の中では静かに座りながら……でも、漂うオーラで怒りを表現している元帥が待っていた。



提督 「爺さん。リア友を襲撃した艦隊は判ったのか?」


元帥 「うむ。幸いと言って良いのか……現在、この大本営に駐屯している提督が、通信で自分の鎮守府とやり取りしていたところまで判明できた。まさか、深海棲艦と結託しておったとは……」


提督 「俺も前に鬼ごっこした時、この本営に居る深海棲艦には協力してもらって、良い奴も居るんだなぁ……と、思い始めていたのに……まさか、結託して味方を……俺の親友を攻めて来るなんて……!」


元帥 「どうする?そやつが泊っておる部屋なら既に分かっておるが?」


提督 「決まってんだろ?今から天龍と憲兵さん達と一緒に、そいつを殴り倒しに行ってくる!」


元帥 「君ならそう言うと思った……どれ、今回は儂も同行するとしようかの。」


提督 「へっ……珍しいな、爺さん。」


提督 「今回ばかりはな……儂の大事な教え子を怪我させたうえに、味方の艦娘1人を轟沈させたのじゃぞ!?拳骨の1発でもかましてやらんと、気が済まんわっ!!」


天龍 「提督、元帥の爺さん!来たぜっ!」



ドアを開け、天龍と憲兵隊の皆さんが来てくれたので、俺達は行動を開始した。



✝✝✝



提督 「それじゃ、今回は俺が先陣を切らせてもらうぜ。」


天龍 「おう!遠慮は要らねぇ、やってやれ!提督!」


元帥 「うむ。怒りの全てを、その蹴りに込めるが良い!」


憲兵 「提督殿がドアをけ破ったら、天龍殿、元帥殿と共になだれ込むぞ!」


憲兵's 「「「「「応っ!!」」」」」


提督 「いくぜ……うおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ダイナミックエントリー!!(# ゚ Д ゚ ) 」



元帥に教えてもらった扉を蹴り開け、天龍達と中に入ると……件の容疑者である提督が、艦娘……おそらく駆逐艦の衣服を剥ぎ取り、ベッドに押し倒していた。



提督X 「えっ!?ちょっ……何だ、お前達!?」

提督 「駆け込み1発!」


俺は彼の問いを無視して、右の拳を容疑者提督の顔面に減り込ませた。


提督X 「げふぁぁぁ……っ!」


提督 「天龍!その子は無事か!?」


天龍 「おう!上は引ん剝かれちまってるけど、パンツ1枚は死守したみたいだ。おそらく未遂だぜ!」


元帥 「君……今回のこれは、君と彼、2人の合意のものだったのかね?」


石垣 「ひっ……ぐす……私は嫌だって……でも、提督が……『今回、標的の艦隊の艦娘を全員始末できなかったのは、お前達のせいだっ!』って……私達は、本当はそんなことしたくなかったのにっ!!」


元帥 「そうか、そうか。よく言ってくれたのぅ。」ナデナデ


提督X 「くそっ……このっ……!」



顔面を押さえながら起き上がった容疑者提督の両脇を、憲兵がガッチリと取り押さえる。



提督X 「なっ……何だ!?貴様等!!」


提督 「爺さん……どうぞ。」


元帥 「うむ。……お前は艦娘を何だと思っておるんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!(# ゚ Д ゚ ) 」



元帥の拳骨が、容疑者提督の脳天へ、上から下へまっすぐ勢いよく振り下ろされた。



提督X 「ぐおぉぉぉぉっ……!」


元帥 「提督、君ももう1発かましてやりたまえ!」


提督 「おう!」


提督X 「え?え??ちょっ……」


提督 「仕置く前に1つ訊きたい……何故、リア友の艦隊を襲った?」


提督X 「お……お前等、碌な戦果も上げてないのに、そこに居る元帥に可愛がられて、優遇されてムカつくんだよ!」


提督 「子どもか……それで、リア友の艦隊を襲ったって?」


提督X 「そうさ!お前んトコの艦娘を本部に戻せって書状を送り付けたのは、俺の友人だけどな!あの関西弁野郎の艦隊を襲撃させたのは、俺の艦隊さ!あと、内通して居る深海棲艦共がホントに援軍としてくるのかも確かめたかったしね……威嚇射撃だけで済まそうと思ったら、まさか本当の戦闘にまで発展して、しかもあのいけ好かない提督を負傷させたどころか、あいつが指揮する艦隊の艦娘1人を沈めてしまうなんて……俺からしてみれば、上々の戦果だ……まぁ、全員沈められなかった悔しさがあったから、そこの石垣に慰めてもらおうと思っ……ごふッ!?」



俺は容疑者提督の話を聞き、途中でまた顔面に右拳を減り込ませるように叩きつける。



提督X 「おっ……おまっ……!?」


提督 「てめぇのクズっぷりは、よぉく解った。俺のトコはいい、『 まだ 』 いい。『 艦隊を解体するぞ! 』という脅しはかけられたが、それを免れるために身を引いてくれた初月と14は、まだ元気だからな。けど……俺の親友を怪我させたばかりか、大事な筑摩の姉さんである利根を沈めやがって……!おまけに、こんな小さな子相手に、艦隊全滅させられなかった憂さ晴らし?ふざけんのもいい加減にしろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!(# ゚ Д ゚ ) 」


提督X 「ちょっ……!?悪かった、謝るから!これ以上は……っ!待っ……!!」



両脇を固めていた憲兵さんが離れたところで、俺は容疑者提督の左頬へ上段回し蹴りを叩きこんだ。



提督X 「ぐぼぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



蹴りを受けて吹っ飛んだ容疑者提督が、箪笥に顔面を思いっきり打ち付けた。



提督 「謝ったってなぁ……筑摩の姉さんはもう、帰って来ねえんだよ。憲兵さん!俺達はもういいんで、そいつに死んで地獄へ堕ちるまで、この世の地獄を見せてやってくれ!!」


憲兵 「はっ!!ほらっ、さっさと立て!!」


提督X 「あ……ぐあぁぁ!!いてぇよぉ……頼む、まずは医務室へ連れて行ってくれ!」


憲兵 「甘ったれるな!!貴様を医務室へ連れて行くかどうかは、我々が判断する!少なくとも、そうやって話せているうちは、まだまだ大丈夫だ。連行しろ!!」


憲兵's 「「「「「はっ!!」」」」」


提督X 「は?おい、嘘だろ……いっ、嫌だ……離せっ!離してくれぇぇぇ!!」



騒ぎを聞きつけて集まって来た艦娘達や、他の提督達の視線を浴びながら、容疑者提督は連行されていった。



提督 「天龍。女性同士、その子の相手を頼む。」


天龍 「任せな!……へへっ、提督。武器が無くてもやるじゃねぇか。」


提督 「まぁな。」


元帥 「それじゃあ、儂も戻るとするかのぅ。君も早く休みなさい。」


提督 「おう。そうさせてもらうよ。」



襲われかけた艦娘に付き添う天龍と、元帥を見送った後、俺も部屋の外に出た。



磯風 「司令!これは一体、何の騒ぎだ!?」



騒ぎを聞きつけてこの場に居たのだろう磯風とが声を掛けてきた。



提督 「ん?あぁ。何か、艦娘に淫行をしようとしていた提督が居たそうでな……通報を受けて駆け付けた憲兵さん達の手によって、無事に捕まった。それだけの話だ。」


磯風 「そ……そうか……こんな大本営の中にも、そういう悪辣なことを考える者が居るのだな。」


提督 「アホな真似した提督の後始末は憲兵さんに任せて、俺達もそろそろ休もうぜ。」



俺は磯風の頭をポンッポンッと軽く叩いて、用意された部屋へと向かった。



*****



翌日 ・ 一四〇〇

鎮守府 ・ 座学室


戻って来た俺は筑摩が艦隊に復帰した経緯を、留守番してくれていた4人に伝えた。



扶桑 「そうでしたか……利根さんが……」

五十鈴 「良い人だったのに……」



舞鶴に居た時に面識があったんだろう。扶桑も五十鈴も、利根さんの訃報をとても悲しんでいた。



提督 「それで、此処に帰って来る前に元帥から教えてもらったんだけど……リア友を襲って、利根さんまで沈めた艦隊を指揮していた提督、鎮守府が判明。艦隊は解体、所属していた艦娘達は本部へ連行され、一時的な謹慎が言い渡されて……指揮していた提督は艦隊を襲わせた件に加えて、深海棲艦と内通していた罪を問われた結果、地位を剥奪されたうえに、憲兵さん達に確保された。おそらく、もう生きているうちに塀の外へ出ることも無ければ、日の光を拝むこともできなくなるそうだ。」


那智 「当然の結果だろう!いや、それでも生ぬるいのではないか?」


提督 「リア友の言う 『 法の力 』とやらで、利根さんを沈めた艦隊を指揮していた提督には、この世の地獄を身を持って体験してもらっている。仇討ちってほどでもないけど……ちゃんと罰は与えてるから、筑摩も安心して休むといい。」


筑摩 「はい。ありがとうございます、提督。」



筑摩の復帰を全員が喜ぶ中……祥鳳だけが少しだけ、距離を取っていた。



提督 「まぁ……もう何度か見てる光景だから、察しては居るけど……」


祥鳳 「うぅぅ……五十鈴ちゃんだけじゃなく、筑摩さんも改二になってました……しかもあの衣装……」


提督 「確かに、あのスリット(?)は……ドキッとするな。」


筑摩 「あら?提督……気になりますか?」


提督 「え?えぇ、まぁ……健全な男性といたしましては……( ̄∇ ̄;)ハッハッハ」



一応返事を濁したつもりだったが……那智と磯風と五十鈴がすっげえ睨んでる!(((((( ; ゚ Д ゚ )))))

扶桑と祥鳳は苦笑いで済ませてくれて、爆弾を投下した本人である筑摩は楽しそうに笑っている。


十中八九冗談なんだろうけど……冗談を言えるだけの余裕が出来たんなら、よかった。



筑摩 「提督なら……昨夜、憲兵の方々と共に、舞鶴提督を怪我させて、利根姉さんを沈めた艦隊を指揮していた提督を制裁してくれた提督になら……」


提督 「え?あの……筑摩さん。もしかして……見てた?」


筑摩 「はい。」


提督 「どこから?」


筑摩 「そうですね……提督が 『 ダイナミック・エントリー!』と叫びながら、ドアを蹴り開けたところから……でしょうか?」


提督 「思いっきり、最初からですやん!?」


磯風 「どういうことだ?司令。あそこで言ってたのは、嘘だったのか?」


提督 「はぁ……秘密にしておきたかった相手にバレてるんじゃ、隠す必要も無いか。実は…………」



俺は昨夜あった本当のことを、リア友と筑摩には余計な気を遣わせたくなくて嘘を吐いていたことを正直に話した。



那智 「旦那様の気持ちは解らなくも無いが……あまり私達の居ないところで、無茶なことをしないでくれ。」


提督 「うっす。すんませんでした。」


筑摩 「ですが、私は本当に……提督に感謝しています。」


提督 『てめぇ……俺の親友を怪我させたばかりか、大事な筑摩の姉さんである利根を沈めやがって……!おまけに、こんな小さな子相手に、艦隊全滅させられなかった憂さ晴らし?ふざけんのもいい加減にしろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!(# ゚ Д ゚ ) 』


提督 『謝ったってなぁ……筑摩の姉さんはもう、帰って来ねえんだよ。憲兵さん!俺達はもういいんで、そいつに死んで地獄へ堕ちるまで、この世の地獄を見せてやってくれ!!』


筑摩 「私や……利根姉さんのために、あんなに怒ってくださって、件の艦隊を指揮していた提督に拳とキックを叩きつけて……」


五十鈴 「へぇ、やるじゃない。熱いわね、提督。」


提督 「やめて、恥ずかしい!!」/////


筑摩 「おそらく、今回の件は同伴していた青葉さんの手によって、リア友提督殿や、舞鶴に居る皆さんの知るところになるでしょう。」


提督 「マジで!?青葉も艦隊メンバーに居たのか!?うわぁぁぁ……やらかしたぁ……絶対、新聞になるじゃん。」


扶桑 「別に旦那様が悪事を働いたわけでは無い……むしろ、成敗した側なのですから、そこまで気落ちすることは無いのではないのでしょうか?」


提督 「まぁ、そうなんだろうけど……あっ、そうだ。」



些細なことだけど大事なことを思い出し、俺は椅子から腰を上げ、筑摩の前に立つ。



提督 「そういえば……まだ、ちゃんと言ってなかった気がするな。お帰り、筑摩。」


筑摩 「はい!ただいま戻りました。提督……それに皆さんも。改めて、宜しくお願いしますね。」ニコッ



無理した作り笑いじゃない……たぶん、本心からの笑顔を筑摩は俺達に見せてくれた。

事の発端である提督は憲兵さんに叩きつけたけど、利根を失った筑摩の心の傷はまだ完全に癒えていないはず……


ゆっくりでいい。とにかく、俺達のやり方で筑摩を元気づけて……皆が楽しく笑い合える鎮守府に、していければいいなぁ。


後書き

今回、久しぶりにSSを綴らせていただくにあたり、自分の鎮守府に居た艦娘達に……主に祥鳳に改二が実装されたのか調べてみたら、まだでした。
妹は改二があって、祥鳳さん自身も美人なのに……MMDにめっちゃ可愛いモデルあるのに……改二の基準って、何なんでしょうね?

はい!ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます!
ウチくらいですよね、こんなに艦娘の異動が多い作品……今回は初月と伊14です。

そして……筑摩さん、戦線復帰です!漂うお色気……
何か、世間様では筑摩さんのあの布の下、『艦これアニメの利根さんが下着穿いてる設定だったから、敢えて資料には無いけど筑摩さんも穿いてる派』と、『筑摩さん穿いてない派』の論争?みたいなのが、未だに決着つかずのようですが
俺は『穿いてない派』を支持したいと思います。なので、俺の作品の筑摩さんは『穿いてない』です。OK?

さてと!ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!
久々に綴る前に自分の作品で誤字を見つけたので、その修正は夜中するとして……
また、ボチボチとネタが思いつき次第、投稿させていただくと思います。

それでは、お疲れ様でした。また次話で御会いしましょうです。


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1: SS好きの名無しさん 2022-04-12 23:37:04 ID: S:bYdC8D

続きマダー?|д゚)チラッ

2: SS好きの名無しさん 2022-05-13 14:33:01 ID: S:4_qk4b

|´-`)チラッ
がんばりや


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