2015-06-15 14:39:25 更新

概要

提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です

注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い
EXパートは思いつき小ネタです


前書き

16回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね

それではこの番組は

提督「お前ら暇なら、ちょっとお迎えに行って来い」
卯月「お迎えぴょんっ、任せるぴょんっ」
菊月「良いだろう、それも先輩の勤めってやつだしな」
皐月「あ、二人共名前ぐらいは…」
三日月「いっちゃった…」
望月「ま、なんとかなんじゃない?こーんな所に、用事があるやつなんて、限られてるって」

夕張「そういえば、今日だっけ?」
瑞鳳「ああ、新しい娘が来るとか言ってたっけ?」
睦月「きっと戦艦だしっ」
金剛「Hey,睦月、戦艦ならMeがいるデースっ」
文月「金剛さんは凄いんだぞー、46cm砲だって使えるんだぞー」
金剛「ふふん♪文月は分かってますねっ、ご褒美のクッキーを上げましょう」
文月「えへへ♪やった♪」
如月「…(あざといわ」
弥生「…(あざといかも」
長月「だが実際、そろそろ大型艦は欲しいな」
木曾「まともな奴なら、なおよしだな」
多摩「それは多摩達がまともでないと?」
球磨「ほぅ、木曾にしてはいい度胸だな」

大井「北上さーん♪お茶が入りましたよー♪」
北上「もう、大井っちたら。そんぐらい自分でやるのに」
大井「そんな、北上さんがやるだなんてっ、私がやりますっ、いえ、やらせて下さいっ」
北上「そ、そう?そんなに、いうならまあ…」

木曾「まともか?」
多摩「…ちっ」
球磨「命拾いしたなっ」
木曾「てめぇらな…」

大鳳「装甲空母・大鳳。出撃しますっ!」

以上のメンバーでお送りします


↑前「提督と大本営」

↑後「提督と文月」



提督と大鳳


ー大本営・母港ー


雲ひとつ無い空、どこまでも突き抜けて行きそうな、青色を切り裂くように、戦闘機が飛び交っていた

唸るエンジンの音、風を叩くプロペラの音、そしてそれらを追いかけるように機銃の銃声が鳴り響く

次第に青空が黒煙と爆炎に上塗りされていった


大鳳「優秀な子達、本当の力を見せてあげて!」


ダメ押しとばかりに機銃の音が激しくなる

それに追い立てられるように、幾つもの爆発が続き、次第に青空が静けさを取り戻していった


龍鳳「お見事…制空権確保です」


龍凰が胸元で小さく拍手をする


龍鳳「ここまで出来れば、何処の鎮守府に出しても恥ずかしくはありませんね」

大鳳「そう…だといいのだけれど。自分じゃ良くわからないわ…結局、貴女にも勝てず仕舞いだったのだし」

龍鳳「ふふっ、そんな簡単には負けてはあげません。あの子を守るんだって決めてますから」


自分の提督の顔を思い浮かべながら笑顔で返す


大鳳「そうだったわね…私も、そこまで言える提督に出会えると良いのだけれど」

龍鳳「そうね。けど、私に出来るのはここまで…」


龍鳳が大鳳の肩に手をかける

そのまま後ろを向かせて背中を押した


龍鳳「後は貴女の頑張り次第」

大鳳「ん、今までありがとう龍鳳。いってくるわっ」


振り返らずに大鳳が歩き出す


龍鳳「行ってらっしゃい、大鳳。貴女に良い風が吹きますように…」


優しい風が吹く…

小さく手を振って見送る龍鳳

その想いを伝えるかのように、そっと大鳳の背中を押していた


龍鳳「…そんなに気になります?」


大鳳を見送った後、何処へとでもなく話しかける


大鳳「それは、まあ…同型艦ってのもあるしね」


その声に応えるように、大鳳が龍鳳の後ろに立つ

同型艦…姉妹艦とは違い元が同じ艦なだけあって

双子かそれ以上に似通った容姿だった


大鳳「でも大丈夫。装甲空母は伊達じゃないって、自分が一番知ってるもの」


凛と胸を張る大鳳

その顔は装甲空母としての自信と誇りに満ちていた


大鳳「そんな事より龍鳳?」

龍鳳「なんでしょう?」

大鳳「おひいさま が探していたわ。おやつはまだか、ですって」

龍鳳「ん?」


龍鳳が顔を上げる。お天道様がいい感じに傾いていた


龍鳳「あらほんと、もうそんな時間だったのね」


あらうっかり、なんて様子の龍鳳


大鳳「あそこで、あの子の見送りしてるみたいだし、今のうちに」

龍鳳「そうしましょうか。お腹すかせてご機嫌斜めになったら、大和に悪いし」

大鳳「さすがに そこまで子供じゃないと思うけれど…」

龍鳳「ふふっ、さぁ、どうでしょうね?」


含みのある笑みを浮かべる龍鳳だった


ー鎮守府・正門ー


大鳳「ここね…」


鎮守府の正門前で足を止める

掲げられているのは「○○鎮守府」の看板だった


大本営で建造されはしたが、当初よりここに配属になる予定だったらしい

なんでも「一人前になった貴女をプレゼントして、あの提督を心酔させてやるんだからっ」との事らしかった

色恋沙汰かとも邪推したけれど、出来の悪い部下へのアメ、と言った方がニュアンスとしては近そうだった

ともあれ、ここで自分が下手を打てば、私をここまで育てくれた皆の顔に泥を塗ることに…

なんて考えると多少なりと緊張も深くなるけれど…


大鳳「すぅ…はぁ…」


大きく深呼吸した後、足を一歩踏み出した

きっとこれが私の最初の一歩なんだろう

これより先は、この鎮守府の装甲空母・大鳳として胸を張って歩いて行こう


一歩ずつ噛み締めながら大鳳が正門をくぐった


卯月「フリーズぴょんっ!」(しゃきーんっ

菊月「ここから先を通りたければ、私達を倒してからにするんだなっ」(きらんっ


うづき と きくづき が あらわれた


大鳳「…はい?」


見覚えのある制服…資料の通りならば睦月型の…卯月と菊月で良いんだろう

それが何故 自分の前に立ち塞がっているのかは分からないけれど…


大鳳「えっと…私、この先に用があるのだけれど…通しては貰えないのかしら?」

卯月「今のうーちゃん達は機嫌が良いぴょんっ、特別にもう一回言ってやるぴょんっ」

菊月「私達を倒してからにするんだなっ」


きらきらしゃきーんっと2人が妙なポーズを決める…別に理由はない、暇なだけである


大鳳「倒してからって…」


見た所、敵意も悪意の欠片も見受けられない2人

というか、暇そうにしか見えないのだけれど…そういう事で良いのかしら


大鳳「いいの?」


念のための再確認


卯月「ばっちこーいっ」

菊月「睦月型だからと言って侮らないで貰おうか…」

大鳳「そう…それなら…んっ」

卯月「へ?」


身を屈めた大鳳が一息で卯月との合間を無くす


大鳳「はい、捕まえた」(←捕まえてる

卯月「ぴょーん…」(←捕まってる


あっという間に、卯月が大鳳の腕の中に収まっていた


菊月「縮地か…」(←そういうの大好き

大鳳「あら、詳しいのね?…それで、倒せって事らしいけれど…」


卯月を抱きすくめた大鳳が、笑顔を浮かべて卯月の顔を覗きこむ


卯月「うっ、脅しなんて怖くないぴょんっ、やるなら一思いにやるが良いぴょんっ」


どこかしら震え声の卯月。虚勢が丸出しだった


大鳳「それじゃ、敗者には罰ゲームね…こちょこちょこちょ♪」

卯月「へ、ひゃふっ、や、やめるぅぅ、ふひひっひひっ…」


卯月の服。その間から覗いている脇腹を、大鳳が撫で回す

爪が触れないように指を立て、やさしくしっとりねっとりと、お腹の回りを掻き回す


卯月「ひぃうぅぅ、た、ただでは負けないぴょんっ」

大鳳「あら?」


卯月が両手を背中に回す

そして、自分の後ろで好き勝手してくれている、大鳳のお腹に指を回し

仕返しとばかりにくすぐり始めた


卯月「…お腹…ガチガチぴょん」

大鳳「誤解を招きそうな言い方ね…」


別に大鳳の腹筋がガチムチしてたわけではない

厚手の生地が、コルセット宜しくしっかり巻かれてるせいで、卯月の指が阻まれていた


大鳳「ふふっ、残念でした。そろそろ負けを認めてもいいんじゃない?」

卯月「ぴょーん…」


がっくりと項垂れる卯月


菊月「だが、勝利宣言にもまだ早いな」

大鳳「え?」


ふいに背中から聞こえる菊月の声

それに気付き、後ろを向く頃には菊月の指が、大鳳の開いている脇の下に届いていた


菊月「…今度は貴様の番だ」


こちょこちょこちょ…菊月の細い指が大鳳の脇の下を攻め立てる


大鳳「ちょっ、やだ、くふぅ…んんぅ…」

菊月「ほらほら、潔く負けを認めるんだな…そうすれば楽になるぞ?」

大鳳「そんな、簡単に…やぁっ…」


こそばゆさから逃げようと身を捩ってみるも

卯月を捕まえたままでは上手く逃げられずに、菊月に良いように弄ばれる


大鳳「もうっ、やめっ…私の負けで良いから…」


負けを認めた大鳳が、卯月を開放する


菊月「ふふっ、これで私の勝ちだな」(きらきらきら


菊月がドヤ顔で、勝利の余韻にどっぷりと浸かりこんだ

その横で…頬を染め、荒い息を吐きながら、卯月と大鳳が地面に崩れ落ちていた


大鳳「はぁはぁ…ねぇ、卯月…」

卯月「ふぅふぅ…ぴょん?」

大鳳「1人だけ無事なのって…許せないと思わない?」

卯月「…たしかに…」


乱れた呼吸を何とか整えた2人。その視線が菊月を捉えた


菊月「ん?なんだ?」


むくりと起き上がる2人


大鳳「卯月…いいわね」

卯月「任せるぴょん…」


大鳳がその場から消える


菊月「その技はさっきも…」


睦月型に同じ技は二度通じないとばかりに、菊月が後ろに振り返る

が、一度目と同じ速度なんて保証は無く…


大鳳「見えた所で、対応出来なければ意味は無いわね…」


一度目よりも、一拍分速度を上げた大鳳が、菊月を捕まえていた


大鳳「はーい、ばんざーい」

菊月「ちょっ、やめ…」


大鳳に腕を掴まれ、強制的に ばんざい をさせられる菊月

そのがら空きになった横腹に、卯月の魔の手が迫り来る


卯月「うぷぷぷぷ…菊月、君は良い妹だったが、君の姉上がいけないんだぴょんっ」(←姉上

菊月「貴様のことだろうっ」(←妹君

卯月「問答無用っ」

菊月「や、くるなぁぁぁぁっ」


卯月の手が菊月の服の下へ

白魚のような細く白い指が、菊月のお腹の上を這いまわる

指が動く度に、柔らかいお腹が面白い様に形を変えていった

そのお腹の上を、無遠慮に撫でていく卯月の指

制服の上からでも、卯月の指が舐めまかしく動いてるのがよく見える

撫でる度にビクビクと小刻みに揺れる菊月の小さな体

脇腹を通り、おへそに指を忍ばせ、胸元まで広がっていく…

口から漏れる吐息は次第に荒くなり、その熱を持った吐息が頬を染めていく様で…


菊月「やーめーろー!!」


菊月が降参するのにそう時間は掛からなかった



ー執務室ー


皐月「大鳳さんのお迎え…あの2人に任せてよかったのかい?」


机の上で書類を片付けている皐月が、顔も上げないままに提督に話しかける

あの2人…卯月と菊月が執務室で暇そうにしてたものだから

提督が「ちょっとお迎えに行って来い」なんてお使いを頼んでいた

それはいい、新人さんが来るって言うなら、お迎えに行くくらいは別に構わないが

暇を持て余した2人が、まともにお出迎えの任を果たすとは思えずに

皐月の胸中は不安が渦を巻いていた


提督「良いんじゃない?暇そうだったし」

皐月「…」


「暇そうなのは司令官もでしょ」

なんて言おうか言うまいか皐月が逡巡していると


三日月「はい、鏡です❤」


笑顔の三日月が、すっと提督に手鏡を差し出した


提督「ほぅ…鏡見て言えとな。言うようになったねぇ、三日月」

三日月「もう慣れました」


やれやれ といった体で軽く首を振る三日月


望月「三日月も随分と司令官の色に染まってきたねぇ…」


すっかり執務室の置物と化してる望月が、ソファーに寝っ転がっていた


三日月「そんな事言って…望月のほうがよっぽど染まってるじゃない」

望月「あたし?あたしは普通さね、具体的には三日月とおんなじくらいにはな」


にひひ…と笑みを浮かべる望月


三日月「ふーん…じゃ、そこまででもないんだ」


毎度のごとくからかってくる望月に、努めて冷静に対処する三日月だった


提督「…」


なるほど。いつもなら あたふたしてる所なのに…

慣れとは恐ろしいな、とはいえ…


提督「えー、私は三日月の事こんなにも大好きなのに…」

三日月「うっ…そんな事ばっかり言って…しりません」


ニヤけそうになる頬を押さえつけ、頬を染めようと、集まってくる血液を閉めだして

なんとか普通を装う事に成功した三日月


望月「…(へぇ、今回は頑張るねぇ)」


そんな姉の頑張りに、ちょっと感心する望月

けれど、そんな三日月の頑張りを嘲笑うかのように

ニヤリ…と提督が微笑んだ


「しりません」と、そっけない態度の三日月

だが、ほんの一瞬、その表情が緩むのを提督は見逃してはいなかった

先ほど三日月から押し付けられた手鏡を、くるっと手の平で回し、持ち手を三日月の方へ向ける


提督「みっかづきちゃん♪、鏡いるかい?」


返って来た手鏡、別に呪いの手鏡ってわけではないのだけれど


三日月「…」

提督「…(お、なかなかレアな顔をしているね)」

望月「…(あ、おもしろい顔してるな)」


三日月の肩がワナワナと震えだす

その顔は怒っている様で、照れている様な、何とも言えない顔をだった


三日月「い・り・ま・せんっ!」


きっぱりと拒否すると、そのままふいっと後ろを向いてしまう三日月


提督「ふふふっ…(かわいい)」(←真理

望月「くくくっ…(かわいい)」(←確信


提督と望月、2人が視線を横に向けると自ずと目が合った

サムズアップ

2人でニヤリと笑みを交わす、きっと手が届く位置だったならハイタッチをしてただろう


皐月「三日月…ま、頑張った方じゃない?今回は…」

三日月「うん…ありがと…」


皐月が健闘を讃えていた



ー正門前ー


菊月「ひぃ…ひぃ…ふぅ…」


菊月が完全に出来上がっていた


卯月「悪は滅びたぴょんっ!」


腕を真っ直ぐ伸ばし、ぴんっと大空を指差す卯月


菊月「あ、悪はお前だろう…」


消え入りそうな声で、菊月の口から抗議が漏れる


大鳳「…大丈夫?」


地べたに へたり込んでいる菊月を大鳳が優しく抱き起こした


菊月「あ、ああ…」

大鳳「そう。ならいいけれど…ごめんなさいね、少しやり過ぎたわ」

菊月「いや、いい…このくらい、平気だ」


乱れる呼吸を押さえつけ、なんて事ないアピールをする菊月


卯月「あ、そういえば…まだお名前聞いてなかったぴょん」


唐突に卯月が疑問を口にする


大鳳「名前?ああ、そういえばまだ名乗ってなかったわね…」


出会って早々この騒ぎなものだから、すっかり忘すれられていた


卯月「あ、私は卯月でっすっ。うーちゃんって呼ばれてまっすっ♪」


人に名前を尋ねるときは自分から、意外と礼儀正しい卯月


菊月「自称だろう…」

卯月「うっさいぴょんっ」

菊月「と、私が菊月だ、共にいこう」


卯月の抗議を無視する菊月

きらり☆ミ と、短いながらも彼女なりのカッコよさに溢れた自己紹介だった


大鳳「ふふっ、それじゃあ私の番ね」

卯月「よっ、まってたぴょーん♪」


ぱちぱちぱちっと卯月が小さく拍手を送る


大鳳「装甲空母の大鳳よ、お出迎えありがとうね、二人とも」


別に当人たちからそう聞いたわけではなかったけれど

あんまりにもタイミングよく現れたものだから、多分そうなんだろうと、当たりを付けていた大鳳だった


卯月「装甲…」

菊月「空母だと…」

大鳳「ん?どうしたの?」


神妙な顔をする2人。が、それも一瞬だった


卯月「すごいぴょんっ、かっこいいぴょんっ」

菊月「強そうだなっ」


装甲空母、その単語だけでキラ付けが完了した2人だった


大鳳「ふふっ、ありがとう。けど名前だけじゃないわ、性能だって折り紙つきなんだから」

卯月「折り紙つきぴょんっ」

菊月「折り紙付きかっ」


折り紙つき…オウム返しにその言葉を繰り返した2人だったけれど

同時に頭に疑問符も浮かんでいた

「…?」と、その疑問符に一瞬口を塞がれる


卯月「折り紙つきだぴょんっ」(←分かってない

菊月「折り紙つきだな」(←同じく


それも束の間、とりあえずその場のテンションで誤魔化す2人だった


大鳳「…(なるほど、分かってないわね)」


何となく事情を察した大鳳が、すこし腰をかがめて2人に目線を合わせる


大鳳「ねぇ、二人共。分からないことは素直に人に聞いたほうがいいと思うわ?」

卯月「…」

菊月「…」


沈黙した2人が顔を見合わせる

そして、しばし線を交わした後、頷きあった


卯月「大鳳大鳳」

大鳳「なぁに?」


手を上げて「質問でっす」って感じの卯月に、笑顔で応える大鳳

続く言葉は「折り紙つきってどういう意味?」

これが大鳳の初仕事だった



ー海上ー


大鳳が着任して少しの後

いつもの静かな鎮守府海域を少し抜けて、その奥。お隣の海域に足を踏み入れていた

提督はあんまり乗る気では無かったのだけれど、大本営からのお達しだった上に

「そんなにやって欲しけりゃ、航空戦力の一つや二つ持ってこい」

とか言った結果、即戦力な練度まで引き上げられた大鳳を、回されたものだから

やらざるを得ないといった具合だった


卯月「大鳳大鳳♪」


大鳳の回りを卯月がくるくると回っている

兎というより子犬といったような風体だった


大鳳「どうしたの?」

卯月「えへへへ、大鳳にもこれあげるぴょんっ」


差し出されたのは、折り紙で出来た名札

卯月にも同じものがぶら下がっていた


卯月「折り紙つきぴょんっ、うーちゃんとお揃いぴょんっ」

大鳳「ふふふっ、なるほどね」


この間の説明が、折り紙持ってる=強い、そんな感じに変換されたのだろう

強さの証明書付き、なんて意味合いとしては間違ってはないのだけれど


大鳳「ありがとう、卯月。大事にするわね」

卯月「ぴょんぴょん♪」


大鳳が卯月の頭を優しく撫でると、卯月が嬉しそうにその場で飛び跳ねる

すっかり懐いていた


瑞鳳「はぁ…大鳳。あんまり甘やかすとそいつ、調子に乗るわよ?」


作戦行動中だというのに、相変わらずゆるゆるの卯月に、瑞鳳が苦言を呈す


卯月「そんな慌てなくても、瑞鳳の分もあるぴょんっ。卯月は心が広いの、感謝するが良いぴょんっ」


卯月の手には折り紙の名札で「づいほう」


瑞鳳「いらないわよ…てか、名前間違ってるし…」

卯月「ぴょん?」

瑞鳳「づ じゃなくて ず よ、ず」

卯月「ぴょんっ♪」

大鳳「ふふ、良いじゃない。いつでも余裕があるっていうのは良いことだと思うわ」

瑞鳳「余裕っていうか…」


ふざけてるだけなんじゃ?と、思わなくもない


卯月「ま、しゃーねーぴょん。瑞鳳の余裕は全部胸元にいってるからなっ」


名札の名前をペンで直しながら、瑞鳳をからかう卯月


瑞鳳「…(かっちーんっ)」


堪忍袋が破ける音がした


瑞鳳「ねぇ、卯月?あなた、鶴って折れるかしら?」

卯月「ん?んなもん折れるわけねーぴょんっ」


胸を張って言うことでもないが、胸を張っていくスタイルの卯月


瑞鳳「そう、じゃあ今から教えてあげるね?」(←折り紙なし

卯月「ぷぷぷぷw。折り紙も持ってない瑞鳳がどーやって?」

瑞鳳「あんたが折り紙よ…」


瑞鳳の声が一段下がると同時に、タービンが唸りを上げる


卯月「…」(←脱兎


その音を聞いた途端、卯月が反転してその場から離脱した


大鳳「胸元の…余裕…ああ、なるほど。上手い事を言うのね」


卯月を追いかける瑞鳳。その背中を見送りながら大鳳が1人納得していた


北上「いやーごめんね。騒がしくって」(←折り紙つき

大井「あんなんでも、戦闘になれば役には立つから。安心してくれていいわ…」(←折り紙つき


そう言う2人の胸元にも、折り紙の名札が風に揺れていた


大鳳「あら、2人も貰ってたのね、それ」

北上「ん、まーねぇ。私たちが折り紙つきだなんてさ、ちょっと嬉しいじゃん?」


昔はあんま活躍できなかったからねーっと


大井「それに…断った結果があれよ?」


大井の指差す先には、追いかけっこしてる卯月と瑞鳳


大井「大人しく貰っておくほうが早いって…ま、邪魔にはならないしね」

金剛「I Know.知ってるデース。大井のそれはツンデレってやつですネっ」(←折り紙つき


がばっと、大井の後ろから抱きつく金剛


大井「ち・が・い・ま・すっ。私がデレてるのは北上さんだけですぅ。ていうか重いんだからちょっと離れなさいなっ」

金剛「ぶー、重いのは艤装デース。金剛が重いみたいに言わないデっ」


振り解こうともがく大井に、さらにがっちりしがみつく金剛

あっちこっちも大騒ぎだった


大鳳「みんな元気で何よりね」

北上「元気過ぎじゃないですかね…」


はしゃいでる皆を眺めながら、眩しそうに目を細め、笑顔を浮かべる大鳳

そして、そんな見慣れた光景に、呆れ気味に目を細め、苦笑する北上様だった




卯月「いったーいっ!!」


海上に卯月の悲鳴が響き渡る


卯月「そ、そこはそんな風にはまがらな、いたいたいたいたい」(←捕まった

瑞鳳「艦娘には215本も骨があるのよっ、一本ぐらいなによっ」(←捕まえた


瑞鳳に締めあげられる卯月。関節があらぬ方向に曲がろうとしていた


卯月「いっぽんでもニンジンぴょんっ、痛いものは痛いのっ」

瑞鳳「冗談言える余裕があるなんて、もう少しいけそうねっ」

卯月「ぎゃぁぁぁぁぁあ!?」

瑞鳳「…ん?」


ふと、瑞鳳の動きが止まる


瑞鳳「卯月っ」

卯月「ぴょんっ」


瑞鳳の締め上げが緩む。その隙間を縫って卯月の手が背中に伸びる

展開される艤装、発砲される主砲、そして艦載機が1機水面に消えていった


瑞鳳「はぁ…続きは帰ってからね」

卯月「そんなに うーちゃんと遊びたいだなんて、瑞鳳はさびしん坊ぴょん」


言いながらも、卯月が瑞鳳の手に折り紙の名札を押し付ける

づX→ず

づに射線が引かれて、ず になっていた


瑞鳳「ふんっ、言ってなさいよ」


悪態を吐きながらも、それを胸元に取り付ける瑞鳳

全艦娘折り紙つきである。強い(確信




大鳳「すごい、わね…」


遊んでいる2人を眺めていた大鳳

その2人が、事も無げに偵察機を無力化する

そんな光景に、素直に感嘆の声が漏れていた


北上「大鳳さんっ、出番だよっ」


ぽんっと大鳳の肩を叩く北上


大鳳「あ、そうね。ごめんなさい、見とれてる場合じゃなかったわ」

大井「それじゃ、装甲空母の実力。見せてもらいましょうか?」

大鳳「ええ、期待してくれていいわ」


侮るような大井の言葉に、大鳳が胸を張って返す


金剛「OK♪艦隊旗艦より各艦へ。OpenCombat、勝利を提督にっ、OK?」(←艦隊旗艦殿


開戦の宣言をする金剛


北上「あいよー」

大井「はいはい…いちいちカッコつけてんじゃないっての…」

卯月「折り紙の付きの卯月の力、見せてやるぴょんっ」

瑞鳳「あんたの出番はないわよ…制空権は空母の仕事」


バラバラだった


金剛「HeyGirls!ここはっ、皆でっ、「OK!」っていう所デショ!」

大鳳「まあまあ、みんなやる気みたいなんだし…」

金剛「大鳳もっ」

大鳳「あ、うん…そうね」


ご不満の金剛を、大鳳が宥めるも、一喝されてしまう


「…」

皆で顔を見合わせると「しゃーねーな」って空気が蔓延した


金剛「勝利を提督にっ!」(←Take2


「OK!」と、せーので声を合わせる一同

戦闘開始である



ー執務室ー


カリカリカリ…皐月が動かすペンの音

すーすー…静かな寝息が2人分

概ねいつも通りの執務室だった


提督「ん…」


ふと、提督が目を覚まして起き上がる


皐月「司令官?眠れないのかい?」


とは言っても、とうにお日様は昇っているけれど


提督「はぁぁぁぁぁぁぁ…」

皐月「ちょっと…起き抜けに、そんなため息吐かないでよ…」


地獄の底から、這い出るかのようなため息だった


提督「皐月」

皐月「は、はいっ」


珍しく芯の通った、真面目な声音で名前を呼ばれ、皐月の背筋が伸びた


提督「出撃準備…」

皐月「へ?どうしたのさ、急に…」


提督が窓際に歩み寄り、忌々しそうに海を…その水平線を睨みつける


提督「急ね…よーいどんっで、戦争できりゃ楽なもんよね」

皐月「…分かった…すぐに出るよ。球磨さん達にも…」

提督「ああ。10分でな」

皐月「ふふっ、5分でいいよ」


皐月がペンを置く

一度は使ってみたい言葉。その一つを達成して、立ち上がった


皐月「ほら、望月。寝てない、で…望月?」

提督「あっち」


いつも寝ているソファーの上に望月の姿はなく

その変わりにと、提督が指さしたその先に…


皐月「え、あ…ちょっとまってよ…」


皐月が気付いた時には、ちょうど執務室から出て行くところだった


ー海上ー


戦艦ル級、空母ヲ級x2,重巡リ級、駆逐ハ級x2


彩雲が持ってきた情報を纏めるとこんな感じだった


彩雲「赤(elite)に黄色(flagship)がないだけマシって感じっすね」

瑞鳳「そうね…色付きじゃないなら。いけるかな…」


烈風用の矢を番える瑞鳳


瑞鳳「大鳳さん、制空はこっちでとるから…」

大鳳「良いの?慢心じゃ…ないわよね?」

瑞鳳「確信よ、信じてくれていいわ」


この程度なら、制空権を奪える自信はあったし

万一被弾しても、制空権の確保に専念してる分には、大して問題にもならないとの判断だった


北上「そんじゃ大鳳さん、北上様は攻撃機を所望するよ。なるだけ、たくさんねっ♪」

大井「…」(←だいたい察しが付いてるって顔


北上の期待の篭った眼差しが、大鳳に向けられる


大鳳「攻撃機を?ええ、わかったわ」


流星(601)のマガジンをクロスボウにセットする


大鳳「第601航空隊…」

瑞鳳「瑞鳳の航空隊…」


「発艦!}


流星と烈風。2種の艦載機が編隊を組み敵艦隊へ向かっていく


大鳳「そう…この編隊を見たかったの…」


嬉しそうに目を細めながら、編隊を大鳳が見送る


卯月「お、あっちも見えてきたぴょん」

金剛「卯月、対空戦闘用意デス」

卯月「ぴょんっ」


海を挟んで向こう側、敵の艦載機と艦隊が姿を見せる


北上「ほれ卯月、お主も魚雷を撃ちたまえよ…遠慮はいらんぞよ?」


ちょんちょんっと北上が卯月を小突く


卯月「ぴょん?でもうーちゃん、魚雷下手っぴぴょん」


至近距離ならまだしも、こんな遠距離じゃまず無理って感じだった


北上「いいからいいから」

大井「ま、枯れ木も山のっていうしね」

卯月「ぴょーん…金剛?」


確認を取るように、金剛を覗きこむ


金剛「OK,少しだけデスよ?」

卯月「ぴょんっ♪」


卯月が魚雷を起動させたのを見て、北上達も構えを取る


北上「選り取り見取りってかね…じゃあ、行くよ大井っち」

大井「はいっ♪、北上さん」


片舷20門、両舷40門、そんな意味の分からない数の魚雷発射管から魚雷が射出された、しかも2隻分

計80射線、さらに上空には流星が78機ほど…おまけに卯月の分も少しだけ加わった


上空で制空権の奪い合いが開始される

撃って撃たれて、飛んで回って、落ちて落とされ…それらを繰り返す内に次第に深海側の数が減っていった


瑞鳳「いいわ、そのまま押し込んで。大鳳、今ならっ」

大鳳「ええ、ありがとう。各機、突入開始してっ」


流星から次々に投射される酸素魚雷

描く軌跡は波間に消えて、一見しては静かな海にもみえる


それも束の間

突然、天地がひっくり返ったかの様に海面が沸き立った

無数の爆発が各所で起こり、巨大な滝がひっくり返ってる様な錯覚さえ覚える


北上「ひゅ~♪壮観だねぇ、大井っち」

大井「そうね、ちょっと清々しいわ」


お祭りの打ち上げ花火でも見るかのようなテンションの2人


金剛「Oh…」

卯月「ぴょーん」


いっそ、深海棲艦に同情しそうになる光景だった


金剛「はっ!…私の…金剛の出番は…」

卯月「多分ないぴょん…」


あの攻撃の中で、生き残ってる艦がいるとも思えなかった

色付きなら兎にも角…


北上「大鑑巨砲は衰退しましたっ」

金剛「Nooooooo!!」


頭を抱えて、叫びを上げる金剛だった


大鳳「ちょっと待って…まだ、ん。ル級が残ってるわ」

大井「ちっ、しぶとい…」

瑞鳳「駆逐艦の後ろに下がってたみたいだから、多分そのせいでしょうね…」

北上「よし、行けっ金剛さんっ、皆が君を待っていたっ」


ビシっと、ル級を指さして、調子のいい事言う北上様


金剛「まっかせるデース!!」


気合を入れて46cm砲を照準する


金剛「撃ちます! Fire!!」


轟音と共に、撃ちだされた46cm砲の徹甲弾が着弾した、海面にっ!


金剛「…」

北上「…」

彩雲「…姉御、もうちょい右」

金剛「Fire!!」


彩雲からの観測を受け、再びの射撃

今度は狙い過たず、徹甲弾がル級を貫き、水底に引きずり込んでいった


金剛「Yes!!」


金剛さんガッツポーズ


北上「今、外したよね?」

金剛「Hey北上。敵は沈んだ、何も問題はない。イイネ?」

北上「あ、はい…」


これにて完全勝利S




夕張「私たちも、鎮守府の防衛に入らなくて良かったのかな?」


提督が出撃命令を出してから、きっちり5分後

鎮守府のレーダーも深海棲艦を捉えていた

それを避ける形で先発した、夕張達

その任務の程は、「ちょっと金剛達迎えに行ってきて」だった


如月「迎えに行けって言われてもねぇ…」


戦艦に、空母2,雷巡と揃っているのに、負ける道理も無さそうな編成だった


弥生「ん…多分、これが理由かも…」


弥生の聴音機が、水中の潜水艦を捉える


三日月「潜水艦?」

睦月「にゃしぃ…こっからは何も見えないよ」


水中を覗きこむ睦月

少なくとも彼女の視界の範囲には、それらしいものは映ってはいなかった


望月「いやいや、見える所まで上がってきてたら嫌過ぎるっての」

夕張「嫌過ぎるっていうなら、あれもかもね…」

望月「なにさって…げ」


夕張の言葉に、望月が顔を上げてみれば、上空に艦載機が飛んできていた

その奥にはもれなく軽空母2隻、おまけに軽巡が一つと


如月「困ったわね、引くにしろ進むにしろ…」

三日月「敵をどうにかしないと、動けませんね…」


とは言え、考えてる時間を敵がくれるわけもなく

敵 艦載機はどんどん距離を詰めてきたいた


夕張「弥生、潜水艦お願いできる?」

弥生「ん、睦月と如月借りるけど?」

夕張「OK,望月と三日月はこっち手伝ってね」

三日月「了解です」

望月「あいよー」




弥生「…」


弥生が目を閉じて、海中の精査を開始する


睦月「…(じー」


待ってる時間が焦れったいのか、睦月が弥生をガン見していた


如月「ん、あっちでも始まったみたいね…派手にやってるわね、夕張さん」


騒がしくなった後方に目を向けると、丁度向こうでも戦闘が始まった頃合いだった

そんな中、夕張から高密度の弾幕が大量にバラ撒かれる

雨あられ どころか、集中豪雨だった


睦月「やーよーいー、まだなのっ」


ぐいーっと、弥生に顔を近づける睦月


弥生「うん、見つけた…顔、近いよ?」

睦月「にゃんとっ」


弥生が目を開いてみれば、目の前に睦月の顔

波間の弾みで唇が触れ合いそうな距離だった


弥生「如月…」

如月「はいはーい」


すっと、弥生の側による如月


弥生「それじゃあ…あっち、こっち、そっちに爆雷投げて?」


弥生が3箇所、それぞれ指で指し示す


睦月「?・?・?…どっちっ」


ちょうど疑問符3つ分の間を開けて、睦月がワンモアプリーズと催促する


弥生「だから、あっち」

睦月「こっちっ!」

弥生「じゃない、そっち」

睦月「ここかっ!}

弥生「もうちょっと、そっち」

睦月「にゃしー…」


睦月の頭から煙が出そうになっていた


如月「弥生って…結構雑よね?」

弥生「そう、かな?」

如月「そうよ」


断定するお姉ちゃんの言葉が、耳に届いたのか

弥生が小首を傾げて、少々考えこむ


弥生「…ん。そう、かも」


如月が言うのなら、そうなんだろうと、あっさり納得する弥生と

姉妹の新たな一面を発見した、お姉ちゃんだった


睦月「それじゃあ、せーので行くよっ」

如月「はーい」

弥生「うん」


爆雷を手にとって構える

結局、弥生様の「じゃあ、その辺に…」って

最上級のアバウトさを内包したご命令が下ったのだった

まあ、如月からしてみれば、弥生がしっかり獲ってくれるだろうって信頼もあったし

睦月からしてみれば、とりあえず投げればいいんだねって事で落ち着いたので

これはこれで、良かったのかもしれない


「せーのっ」


3人が一斉に爆雷を放り投げる

多数の波紋が波間に浮かび、打ち消し合っては消えていく

3・2・1・・・水中から地鳴りのような音が響き、海面を沸騰させた


睦月「やったかっ」

如月「それ、ダメな奴じゃない…」

睦月「やってないなっ」

弥生「…余計ダメ」

睦月「どうしろっていうのっ」

弥生「こうする…」

睦月「およ?」


弥生の手に主砲が握られる

その先端、砲門の先…水中から浮かび上がる気泡と共に、潜水艦が頭をあげる


弥生「…」


引き金が引かれる

浮上直後で、まともに動けぬままの潜水艦が、そのまま水底へと叩き返された


弥生「夕張さん、終ったよ」


潜水艦にトドメを刺した後

何事も無かったかのように、作戦完了の報告をする弥生


睦月「…我が妹ながら、末恐ろしいですな」

如月「そう、ね…」


淡々と状況を完遂した弥生に、どこか畏怖さえも感じる2人だった




夕張「それじゃ、手短に説明するわ」


接近しつつある、敵艦載機を横目に見ながら、夕張が作戦を通達する


夕張「私は航空機を止めるから、あなた達は軽巡を抑えて」

望月「駆逐艦に軽巡の相手をさせるだなんて、夕張も艦娘使いが荒いねぇ」


やれやれと首を振る望月


夕張「そう?じゃあ、あなた達があっちね?」


あっちとはつまり、上空の艦載機


望月「よーし、行くよ三日月」

三日月「望月?ちょっと、待ってよ」


その途端、回れ右をして、軽巡に進路を取る望月だった


夕張「素直で宜しい。それじゃ、私も…」


上空に飛来する艦載機を睨みつける

「あたれー、なんて叫ぶ奴はなぁ、当てる自信のない甘ったれぴょん」

前に卯月がそんな事を言ってたっけ


夕張「射撃なんてものは、引き金を引いた時にはあたってるものぴょーん…」


ついでにそんな事も のたまっていたかな…まったく卯月大先生ったら


夕張「できるわきゃねーって…言ってもられないか」


故に夕張は考えた


夕張「艤装展開、25ミリ3連装機銃集中配備を乗るだけ」


ずらりと夕張の艤装を埋め尽くす機銃群


夕張「何も当てる必要はないわ…じゃ、試してみましょうかっ!}


一斉に火を吹く夕張の機銃群

銃弾が雨あられ から集中豪雨に変わり、はてまた津波のようにさえ見えてくる

射程内にいた艦載機は、もれなく飲み込まれ、難を逃れた艦載機はそれ以上は近づけない

弾幕を超えて弾壁へ。これだけ撃ちこめば、秋月型もにっこりでしょう


望月「うへっ、なんだよあれ…」

三日月「うわぁ…」


もの凄い射撃音に上空を見上げてみれば

時折、輝く曳光弾が流星の様に過ぎ去り

粉微塵になった艦載機がパラパラと降ってくる

艦載機じゃなくてもミンチになりそうな迫力だった


三日月「ま、まあ…これなら、上は大丈夫そうね?」

望月「後は、あたしらだねぇ…」


前方の軽巡に視線を移す

こちらがとちって、夕張が行動不能にでもなれば

上空の艦載機は一気に襲い掛かってくるだろう

そう考えると、薄ら寒いものを感じないでもなかったけれど


三日月「うん、それじゃあ…三日月、突撃します・・・」


望月から離れて、一気に加速する三日月


望月「あいつ、意外と脳筋だよな…」


姉の影響か…


望月「負けず嫌いが…ま、私も本気出すか」


くるくると肩を回す望月

主砲を握りしめて、軽巡に狙いを定めて発砲する

とりあえず、三日月に当たらなければ、なんでもいいとばかりに

やたらめったらに撃ちまくる事にする

となれば当然のごとく、砲弾は軽巡から逸れまくって、その周囲に降り注ぐ事になるが

軽巡の足を鈍らせる事には成功していた

狙ってやってるのか、適当にやってるのかは本人のみぞ知る


三日月「砲雷撃戦、いきます!}


望月の援護を受けて、さらに軽巡との距離をつめる三日月

望月からの砲弾が、掠めそうになっても構わずに

軽巡の主砲が三日月を向く。それが火を吹くその前に、射線から逸れる

反撃にと、握った主砲を矢次ばやに撃ち込んでいく


望月の援護射撃で、回避行動を制限された軽巡に、次々と砲弾が突き刺さる

そのうちの一つが、主砲に直撃し炎上した

軽巡からの砲火が緩む。その隙を狙って、三日月が更に踏み込んだ

残った軽巡の主砲が、三日月を捉える

距離が近い、直撃は避けられそうだけれど


三日月「これなら、いけそうね…」


防盾を前にだし、砲火に飛び込む

軽巡の主砲が、防盾に直撃し弾け飛ぶ

だが構わない、もとより盾なんだから、役目は果たしたって事になる

寧ろ、ないならないで動きやすくて良いぐらい、とさえも思う


三日月「この距離、もらったっ!」


酸素魚雷を射出して、すぐにその場から離れる

軽巡の動きを止めるために、主砲で牽制しながら後方へ

間を置かず、軽巡の足元から爆発が起こり、その身が傾ぐ


望月「ま、適当にっとっ」


それでも足の止まった的を外すほど、下手ではないよと

三日月が望月の元に戻る頃には、入れ替わりに望月の放った酸素魚雷が軽巡に直撃し

その身を海へと返していた


望月「おっつかれー」

三日月「うん、援護ありがと」


2人でハイタッチ

乾いた音が、広い海上に響いた




夕張「ん、やるじゃない二人共。それに…」


「夕張さん、終ったよ」との通信も受け取っていた


夕張「じゃ、派手に行きますか」


艤装切り替え…12cm30連噴進砲x4

露払いの機銃群から、動きを封じる方向へと


夕張「さ、どうなるかしら?」


夕張が指を弾く

その途端に一斉に火を吹く噴進砲

夕張の後方が燃え上がり、海の表面が蒸発して蒸気が立ち上る

そして…上空が一気に燃え上がった。太陽が降りてきたかと思うくらいに、煌々と


夕張「あなた達は3つほど間違いを犯したわね…」


1つ、私たちをただの水雷戦隊だと思ったこと

2つ、私をただの軽巡だと思ったこと


艤装切り替え…5連装酸素魚雷x4

重雷装艦のそれには及ばない数だけれど、残った2隻の軽空母を沈めるには十分な数だった

潜水艦はもういない、軽巡も沈めたし、目障りな艦載機は噴進砲で追っ払った

形成された安全地帯で魚雷を構える


夕張「3つ、私をただの軽巡だと思ったことよっ!!」


一斉に射出される酸素魚雷が、迷うこと無く突き進む

そして、狙い過たず軽空母に突き刺さり、海の藻屑へと返していった

兵装実験軽巡の面目躍如になったかな?




夕張「ふぅ、みんなお疲れ。怪我のある人は?」


皆して首を横にふる。負傷者0とも思ったけれど


夕張「三日月は、大丈夫なの?」

三日月「あ、平気です。盾がなくなっただけなので。むしろ動きやすいくらいです」


パタパタと両手を動かしてみせ、無事をアピールする三日月


夕張「そ、そう?ならいいけれど」


意外と剛気なのね、とは夕張の感想だった


如月「でも、こうなってくると金剛さんたちが心配ね?」

睦月「早く助けにいくしっ」

望月「いやぁ…あたしらより心配いらんと思うんだけど…」

三日月「でも、他に敵がでても厄介だし…」

弥生「うん、いそごう。卯月が心配…」


サクッと向きを変え、本来の航路に戻る弥生だった


夕張「あ、ちょっと弥生、置いてかないでって。ほら、皆も行くよ」


「はーい」


さっさか進む弥生を追いかける一行だった



ー鎮守府・母港ー


皐月「さて、この状況…どう思う、球磨さん?」

球磨「別にどーとも思わぬクマ…」

皐月「相変わらず冷めてるね…」

球磨「冷めてるわけじゃない、熱くなるほどの事でもないだけ…」

皐月「ふーん…見た目だけなら、結構ピンチだと思うんだけど?」

球磨「ありえん、全部沈める。これで問題解決クマ。くまくまくまくま♪」


謎の笑いを零しながら、球磨が出港する


皐月「あ、ちょっとまってよ。ボクも行くって」


その後に皐月も続いていった


木曾「ったく、脳筋が…」

多摩「ま、しょうがないにゃぁ…」


あくびを隠しもしない多摩ちゃん


長月「…おい、あんたは何処に行くつもりだ?」


こそこそと、一緒に海に出ようとしている提督を長月が呼び止めた


提督「…(きょろきょろ)」

長月「お前だよ、バカもの」


気づかない振りをする提督。その足を、長月がつま先で小突く


提督「提督を足蹴にするなんて、そんな娘に育てた覚えは…」

長月「育てられた覚えもないがな」

提督「最後まで言わせて…」


がっくりと項垂れる提督


長月「あんたは此処に居ろ、いいな?」


「いいな?」なんて、質問をしてるくせに回答はYES意外を認めない、そんな口調だった


提督「提督の居場所はいつだって貴女の…いったいっ!」

長月「ふんっ!」


黙れ、の代わりに提督の脛を蹴りあげる長月


長月「よし、まずは足を潰そう…」


主砲が足を抱えて蹲る提督に向けられる


菊月「…姉さん、そのくらいで…」


あまりの剣幕に、菊月が若干引いてた


球磨「長月、そんなのほっとくクマ。相手にしたら負けクマ、海上で見つけたら球磨が誤射(故意)するから、今はほっとけ」

長月「…大人しくしてろよ、まったく。行くぞ菊月」

菊月「あ、ああ…」


先行する長月の後を、菊月がおっかなびっくりついていく


文月「しれいかん はお留守番だからね?…何処にもいかないでね?…ね?」

提督「はいはい…」


司令官の耳元で囁く文月

声音や口調こそ笑顔であったけれど


提督「ああいうのが一番怖いよな…しかし、この状況…」


遠方に機動部隊を配置して、こっちの主力を引きずり出す

そして別働隊で退路たって挟撃…手薄になった鎮守府にって


提督「偶然か?…ま、いい。球磨じゃねーけど、あれはあれでもっともな答えだ」


どーとも思わん。怖いものは全部潰してしまえばいい…それで問題解決だと

なんて考えながら皆を見送る提督だった


ー鎮守府近海ー


木曾「さて、文月。敵は捉えてるな?」

文月「うんー、見えてるよー?」(←電探ガン積み

菊月「…ほんとにいいのか?皐月たちと合流しなくて?」

長月「構わん…というか、最悪 邪魔になりかねん」


皐月たちと別れ、敵艦隊の側面

戦艦の主砲、その最大射程の外。そんな遠距離に陣取る、木曾達


木曾「甲標的、一番二番発進…俺だって、前に出られるならそうしたいけどな」

文月「いるよねー、好きな事と出来る事が真逆の人」

木曾「うっせ。そんな冗談より、敵の位置情報をよこせっての」


姉2人が魚雷ガン積みしたもんだから、別の事をやってみようと

甲標的を搭載してみた結果、意外と器用に使ってしまったものだから、さあ大変

その結果、インファイト趣味の木曾さんが、アウトレンジの戦法を取るはめになっていた


文月「えへへへ。それじゃ送るねー、えーい。長月と菊月にも、えーい」

木曾「よし、確認した。おまら、いけるな?」

長月「いつでも問題ない」

菊月「同じく…」


開戦を告げるかのように、海上に風が吹いた

その風に、菊月の胸元に引っ付いていた、折り紙製の名札が揺れていた


長月「ん?菊月…その、名札はなんだ?」

菊月「これか?折り紙だ、これが付いてると強いらしいぞ」


ぐっとガッツポーズをとる菊月


長月「…」

木曾「…くっ、ふふふふふ」

長月「木曾?」


木曾の口から笑いが溢れる


木曾「いや、悪くないな。折り紙つきか、カッコイイじゃないか?」

長月「お前まで何を言って…」

木曾「へたなお守りよりは、よっぽど良いだろう?」

文月「木曾さんも折り紙いる?」


いつの間に用意したのか文月の手には折り紙が


木曾「貰おうか」

文月「はーい。長月にも、どーぞー」

長月「やれやれ…」


などと言いつつも、自分の胸元に名札を取り付ける長月


菊月「うむ、これで皆折り紙つきだな」


満足そうな菊月


木曾「じゃあ、いくぞ。長距離雷撃支援、状況を開始する」


木曾がサーベルの柄に両手を重ね、海上に突き立てた


「了解」

3人の声が重なる。それと同時に、大量の魚雷がバラ撒かられた




球磨「見えてきたクマ」

多摩「ノルマは1人2殺かにゃ?」

皐月「いや、そう単純な話かな?」


到達した海域で発見した敵艦隊

ただの水雷戦隊、といえばこちらと同じではあるのだが

お供の駆逐艦ですら、後期型のように見えるし


皐月「あれ、ツ級だよね?」


資料でしか見たことなかったけれど、新型の軽巡とかいう話だったか


多摩「それならまだ可愛い方。あっちは駆逐のお姫様みたいにゃ…」

球磨「ふむ…」


球磨が少し、考えこむ素振りを見せる


皐月「どうする?木曾さんたちと合流…」

球磨「否」


一言で皐月の言葉を遮る球磨


多摩「球磨は否でも、多摩は嫌にゃ、面倒」


素直な感想を述べる多摩


球磨「ほう、では多摩には駆逐艦と遊ぶ権利をやろう」

多摩「人の話を…」

皐月「いやぁ、向こうもおしゃべりの時間はくれないみたいだよ?」


いくら駆逐や軽巡の主砲とはいえ、そろそろ射程に入りそうな距離になっていた


多摩「しょうがないにゃぁ、後5秒待つにゃ」

球磨「5秒だ?」

皐月「何かあるのかい?」

多摩「2・1・0」


突然の爆発。敵艦隊の前で上がる水柱

それも一つや二つではなく、艦隊の取り囲む様に次々と


球磨「…突撃する」

多摩「ほんと、インファイターにするには惜しい娘」


最大戦速で突撃する球磨。その後を多摩がすいーっと追いかけていく


皐月「…姉妹の感ってやつ?」


木曾たちが待機してるであろうポイントに顔を向ける


皐月「まあ、いいや。皐月、出るよっ」


球磨達を追って皐月も状況に介入した




球磨「たかが駆逐艦の1隻、球磨が押し出してやるクマぁっ!」


先制雷撃が作り上げた水煙を突き破って、球磨が突進する

目の前にいた駆逐艦。その1隻をひっ捕まえて、軽巡ツ級の方に蹴り飛ばす

長門型に匹敵するハイパワーな蹴りが炸裂して、海上をもの凄い勢いで滑っていく駆逐艦


「…」

無言のまま、それを迎えるツ級。それが不意に魚雷発射管を動かした

射出された魚雷が、駆逐艦を吹き飛ばし海の藻屑に変えていった


球磨「ほぅ…躊躇なしか。いい根性してるクマ」

ツ級「…」


言葉は不要か…以前に通じてるかも怪しいが


駆逐姫「ヤラセハ、シナイヨッ…ツ!?」


対峙する球磨とツ級。その間に割り込もうと駆逐姫が動く

が、その頬を一発の砲弾が掠める

すっと、白い肌に赤い線が引かれた…


駆逐姫「ダレ!」

皐月「だれでもいいでしょ?キミの相手はボク、あんだすたんど?」


にっと挑発するように笑みを浮かべる皐月

それとは対象的に、お姫様からは昏い憎悪がありありと滲んでいた




多摩「かんべんして欲しい…」


それ以外に言うことが無かった

駆逐艦と遊ぶ権利をくれてやるって、自殺点を食わされた1隻を除けば

敵の駆逐艦が全て多摩の回りに集まっていた


多摩「自分たちの お姫様は放りっぱなしで良いのかにゃ?」


「…」

などと言った所で詮無い話。そも、通じてるわけもないだろう

そりゃ、ここで多摩を仕留めれば残り全部で援護に回っていけるだろう

合理的といえばそう。ツ級と姫クラスがタイマンでそう簡単に沈むでもないだろうし

数の暴力とは恐ろしい


多摩「…弱い所から突き崩すつもり?」


実際、あの2人に比べれば多摩のが弱いだろうけれど


多摩「にゃぁぁぁ…」


隠しもせずにあくびを零す多摩


「…」

それを好機と判断したのか、多摩を囲っていた駆逐艦が一斉に動き出す

各々、主砲を中心の1点に向け、立ち尽くす多摩に向かって発射する


多摩「…」


狙いは完璧だったであろう。丁度3隻が囲むその中心点で、砲弾同士がぶつかり爆発を起こした

その直下、海面にへばり付きそうな程に姿勢を低くした多摩

その溜りに溜まった全身のバネを開放した

桜色の軌跡を描き、弾丸のように疾走する多摩

その影が、瞬く間に駆逐艦に迫る


ただ一度、一発限りの砲撃音


煙を吐き出す連装砲。煙を吐き出す駆逐艦。煙たそうにしている多摩

穿たれた15・2cmの砲弾跡から煙を吐き出し、駆逐艦が沈降していった


多摩「あまり…多摩を本気にさせないで欲しい…」


湧き上がる闘争本能に、多摩の広角が持ち上がる

その無防備な背中に、残った駆逐艦の主砲が照準される

味方が沈んだにも係わらず、理路整然と機械のように


多摩「にゃぁぁぁ…」


呑気にあくびを零す多摩。まるでもう終ったと言わんばかりだった

突然、多摩の背後で水柱が上がる

その根本には駆逐艦。海に引き返す水柱に、為す術もなく飲み込まれていった

多摩の視界の端に、甲標的の影がちらりと映る


多摩「ほんと、インファイターにするには惜しいにゃ」


去りゆく多摩、その肩にひらりと桜の華が落ち、雪のように溶けていった




球磨「舐めるな、クマぁぁぁ!」

ツ級「…!!」


いつしか砲撃戦が加熱し、距離が縮まり

お互いの手が届きそうな位置まで接近していた


ツ級の巨大な腕が球磨の上から振り下ろされる

それを両腕で受け止めて、がら空きになったツ級の腹部を球磨が蹴り飛ばす


ツ級「…!」


たたらを踏んでツ級が後ろに下がる

再び砲撃が可能なほどの距離が開いた


球磨「ぶっとべぇぇぇ!」


球磨が20・3cm砲を発射する

それを、体勢を立て直したツ級がが5インチ砲で応戦した

5インチ砲に逸らされた20.3cm砲が、ツ級の足元に着弾する

そんな事に構いもせずに、5インチ砲を球磨めがけて乱射する

すぐに回避行動に移る球磨。その腕の表面を、5インチ砲の砲弾が掠めていく

球磨の両手に15・5cm砲が展開される


球磨「ちぃぃっ!」


球磨の回避運動の先、その軸線に重なるようにツ級から魚雷が発射された

迎撃しようと、球磨が15・5cm砲を海面に撃ち込もうとした時

ズキリと、先ほどの腕の傷が痛み狙いがそれた


球磨「…(っ、思ったよりも深かったか)」


今さら傷の程度を把握した所で、魚雷の進行が止まるわけでもないが


球磨「ままよっ!」


球磨が足元に到達した魚雷を踏みつける

爆発する海面、叩き上げられる海水

その勢いに弾き飛ばされて、球磨が空中に飛び上がった


球磨「これで、終いだクマァァっ!!」


魚雷発射管から魚雷を引き抜き、上段に振りかぶる

そして、落下の勢いに任せて、ツ級の頭部に魚雷を叩きつけた


ツ級「!!!!」


ツ級の頭部で大爆発を起こす魚雷、同時にツ級の体が崩れ落ちる


球磨「ほぅ、まだ息があるクマ?案外とタフだな」


球磨の体にしなだれ掛かるツ級の体

その体を支えにしながらも、両腕が動き、未だに交戦続行の意思を伝えてくる


球磨「この間、球磨は一つ良いことを学んだクマ…」


ドンっとツ級の腹部に大口径の砲門が突き付けられる


球磨「規格外だか何だろうが、この距離なら外さない…」


握られたのは私製46cm単装砲。いつぞやに遊びと称して使ったものだった

実際、オモチャ程度にしか使い道は無さそうだったが、その威力だけは本物だった


球磨「任務ご苦労、さよならクマ」


引かれる引き金。そして、今度こそ完膚なきまでにツ級の体が消し飛んだ


球磨「かったぞぉぉぉぉぉ!」


右手を振り上げ勝利宣言する球磨


球磨「くま…おっととと」


が、途端にバランスを崩す


球磨「無理しすぎたクマ」


魚雷の爆発の際、バルジを展開して盾にしたのは良いが

流石に無傷というわけにもいかなかったようだった




戦場に桜の華が舞っている

飛び散る波しぶき、上がる砲火

入れ替わり、立ち替わりと、二人の少女が交差する

1人は黒い影と金色の軌跡を引き連れながら

1人は黒い影と白色の軌跡を描きながら

それはいっそ、踊ってるかのようにも見える


駆逐姫「オマエ、ジャマダッ」

皐月「ボクからしたらキミが邪魔」


再度交わされる砲火、だがお互いに頬を掠める程度で決定打には至らない


皐月「というか…ほんとにこいつ、駆逐艦なの?」


何度かの交差の際、2・3発直撃させたような気がしたが

怯む様子も何もなかった。装甲の表面は多少抉れた見たいだったけど

そんな調子だと、いったい何発撃ちこめばいいのか、日が暮れそうな気がしてくる


皐月「だったら!」


皐月が姫との距離を詰める、狙いは必殺の酸素魚雷

相手もそれに気付いたのか、迎撃の砲火が激しくなる

だとするなら、酸素魚雷を直撃させればダメージは通りそうなものだけど

そう、すんなり行きそうにもなかった


皐月「っ、お互い手詰まり、かな?」


確かに膠着状態ではあったけれど

耐久力の差を考えれば、長引くほどに自分が不利なのは何となく察していた

どこかで賭けに出る必要はあるが


皐月「球磨さんだったら、どうするかな…ふふっ、ないね」


苦笑して、その想像を断ち切る

どうするかなんて、そんなの突撃するに決まってる

とてもこの状況で真似できるものでもない


皐月「じゃあ、どうする…」


砲火の中を掻い潜り、応戦しながら思考する

勝利条件は、酸素魚雷をぶつける事

欲しいのは、それを実行する為の相手の隙

じゃあ、その手段は?

内的要因に求めるか?大破覚悟で突っ込むか…最終的にはそうなるだろうけど

外的要因に求めるか?では誰に?では何に?

球磨と多摩をちらりと横目で見る…どっちも戦闘中、ボクがこいつ押さえてないと逆に危ない感じがする

じゃあ、他に使えそうなのは


皐月「そうか…そうだね。持久戦にはならないかな…」


皐月が攻撃方法を変更する

相手に当てる事よりも、相手の動きを止めることに

主砲を撃ち、魚雷を織り交ぜながら姫の動きを押し込めていく

回避より、攻撃に重点を置いた分、皐月にもかすり傷が増えてはいくが、そんな事は気にしてられなかった


皐月「そろそろ、いけるかな?」


魚雷を発射する皐月。幾つかは姫の主砲弾に叩き落とされはしたものの

残った魚雷を回避しようと、姫が皐月の主砲に当たるのも気にせずに横にそれる


駆逐姫「ナ、ニ?」


姫が回避行動をとったその先に、皐月の放った主砲弾が、装甲の一部を弾き飛ばす

小さな爆発こそ起こりはしたが、それでどうにかなるほどの傷では無さそうだった


皐月「でも、足は止めたよね?木曾さん…信じてるよ」

駆逐姫「ガァァッ!」


皐月の期待に応える様に、姫の足元から爆発が起こる

そして、当たる当たらないに係わらず、姫の周囲で一斉に爆発が起こり、その場に張り付けにする


皐月「さっすが木曾さん♪愛してるよっ」


皐月が突撃する。迷いもなく一直線に

いまだ収まらぬ水煙を断ち切り、皐月が姫の前に立つ


駆逐姫「ツ、オチロ!」

皐月「甘いよっ」


姫の主砲が皐月に向けられる、それを右手の主砲、そのグリップを叩き付けて射線を逸らす

左手の主砲を手の中で、くるっと回し砲身を掴む皐月

持ち手の部分を姫の肩に引っ掛けて、自分のもとに引き寄せた


皐月「沈んじゃえ!!」


右手の主砲を姫の体に押し当て、撃てるだけ撃ちこむ


駆逐姫「グアッ!」


衝撃で姫の体が仰け反る

その体を踏みつけるように足を叩きつけ、酸素魚雷を発射した

姫を中心に爆発起こる

それから逃れるために、姫を掴んでいた左手の主砲を離すと

爆発に押し出されるように、その場から離れた


皐月「はぁはぁはぁ…ははっ、これじゃ球磨さんの事言えないかな…」


自分でも結構無茶をしたかなとも思うけど

これでダメなら、どうしろって感じだった


駆逐姫「グ・・・グァ・・・」

皐月「うわ、どうしよ…」


ボロボロになりながらも、まだ駆逐姫はそこに立っていた

今にも崩れそうな体を震わせながら、皐月を睨みつけていた


駆逐姫「ナニッ!」


突然、駆逐姫を掠めて、砲弾が海面を吹き飛ばす

それは明確なまでに大口径の主砲のものだった


皐月「って、嘘っ。球磨さん、なんてもの持ちだしてんのさっ」

球磨「なんでも良いから、そいつ片付けるクマっ!」


再び私製46cm単装砲を構える球磨


駆逐姫「…ツギハ、ゼッタイニ」


それを見た姫が、反転してその場を離れる


皐月「次があったらね…」


皐月の頭上を、脚付きの爆撃機が、傷だらけの駆逐姫を追いかける


駆逐姫「ア…」


姫が爆撃機の音に気付き顔を上げるが、既に反撃する力もないのか、その場に立ち尽くす

角度を下げ、急降下を開始する爆撃機

爆弾が投下され、爆炎が駆逐姫の体を飲み込んだ


駆逐姫「…ツキガ」


炎の中に崩れ落ちる駆逐棲姫

水平線に夕日が消えいく、その傍らで満月が顔を覗かせていた


駆逐姫「月が…きれい…」


浮かぶ笑顔、流れる涙

そんな言葉を残し、波間に溶けるように沈んでいった



ー鎮守府・放送室ー


そんな騒動があって、数日後。大鳳が1人、放送室の席に付く

古い放送機材と、真新しい通信機材が、狭い部屋に押し込められていた

埃被った機材と新品の機材のアンバランスさが目を引くそんな部屋


大鳳「はい、今回の戦闘での鎮守府への被害はゼロ。艦娘達も大した怪我もなく、大成功で良いかと」


真新しい通信機材を使用して、大鳳が何処かへと連絡をとっていた


大鳳「はい、ありがとうございます。おひいさま もどうかお元気で」




大鳳「立ち聞きなんて、趣味が悪いわ」


放送室が出た大鳳が、扉を閉めると何処へとも無く話しかける


「立ち聞きではないよ、たまたま聞こえただけだよ?」


何処へとも無く話しかけられた声に、何処からでもなく答えが返る


大鳳「それじゃあ、どうして隠れているの?」

??「隠れている訳じゃないよ、君が見つけられないだけだよ?」


再度のやり取り、相変わらずその姿は見えないけれど


大鳳「此処でしょう?」


大鳳の手が空を摘む

何もない筈の指先に力を込めて、すっと引っ張った


提督「…」

大鳳「ごきげんよう提督」


にっこりと微笑む大鳳

そして、大鳳に服の裾を摘まれた提督が、ひょっこり姿を表した


大鳳「それで?こんな所で何をしていたの?」

提督「…大鳳を驚かそうと思って、隠れていました」


あっさり白状する提督


大鳳「素直で宜しい。もう…だめよ提督?悪戯ばっかりしていたら」

提督「悪戯しないと死んじゃいますのん」


暇すぎて、とまでは口にしないけれど


大鳳「仕方のない人…程々にね?」

提督「やめろとは言わない?」

大鳳「ええ、だって…」


そこで、小さく笑みを浮かべる大鳳


大鳳「死なれても困るもの」

提督「ああ、そうね…」


悪戯をしに来たのに、逆にからかわれてる気になった提督だった


大鳳「それで、私は驚けば良かったのかしら?」

提督「え?、あ、うん…そうしてくれれば満足だったけれど…」


今さらそう言われた所でって感じなんだけれど


大鳳「いいわ。さあ、提督。どっからでもかかってらっしゃい」

提督「えぇ…」


脅かされる準備は出来ているとばかりに、構える大鳳


「あ、この娘、ちょっとずれてる」とは提督の感想だった


「ちょっと、あなた達。廊下は走るんじゃ…きゃっ!?」

「ぷっぷくぷー♪」 「にげるにゃしー」

「まーっちなさいっ!」

「大井っち、廊下は走るんじゃあ…聞いてないかぁ…」


なんてやっていると、背後より聞こえる喧騒の音


卯月「お、司令官と大鳳ぴょんっ」

睦月「早く逃げないと鬼がくるしっ」

大井「誰が鬼ですってっ、誰がっ」

卯月「窓を見なっ」

睦月「ほらそこにっ」


「鬼は何時でもそこにいるっ」


「ぷっぷくぷー♪」「にゃしししししっ」「こぉぉらぁぁぁっ!!」


ものすごい速度で3人が走り去っていった


北上「…で、提督と大鳳さんはなにしてんの?」


そんな中、後からとっとこ北上が歩いてきた


大鳳「私、提督に悪戯されそうになってたのよ」


誤解を招きそうな発言だった


北上「提督さぁ…さすがに引くよ?北上様にだって限度はあるんよ?」


新入りに、行きなり手を出すとは何事かと


提督「まてまてまて。悪戯(セクハラ)じゃなくて、悪戯(わるふざけ)だよ?」

北上「気をつけなよ、大鳳さん?この人、好きな娘のスカートはめくる派の人だから」


提督の良い訳を無視して、北上が大鳳の肩を抱き、そっと耳打ちする


大鳳「あら、そうなの?あ、でも私スパッツ履いてるから、多少見えたくらい…」

北上「そういうのがご褒美の人もいるんだよ、気をつけないと」

大鳳「それはまた…奥が深いのね…」


奥が深くても、底の浅そうな会話だった


北上「おっと、そうだ提督。金剛さんがてぃーたいむ の時間だってさ」

提督「ああ、そんな時間か」

北上「たまには付き合って上げなよ?そいじゃ、私は先に行くよー」


「後は若い2人でごゆっくり」なんて言葉を残し、去っていく北上様だった

そんな北上の背中を、残された大鳳と提督が見送る


大鳳「…あ」


ふと、思い出したように自分のスカートを抑える大鳳


提督「…いやいや」


ご期待通りに捲ってやろうか、とも思ったけれど此処は我慢の提督さん


大鳳「ふふ、冗談よ。ねぇ、提督…」

提督「ん?」


廊下の先を見つめる大鳳。その瞳が、すぅっと細められる

なにか眩しい物を見つめるように、何か羨ましい物を見つめるように

思い返しているのは、はしゃいでいた3人か。提督をからかってた方なのか


大鳳「いい艦隊ね、ここは」


儚げな微笑みと共に送られる賛辞の言葉

そう言われて悪い気はしないけれど…一つ不満を述べるなら


提督「なに他人事みたいに言ってるんだ、お前の艦隊だぞ?」

大鳳「…」


その言葉にきょとんとする大鳳


提督「なに?変な事言った?」

大鳳「ううん、そんな事ないわ。そうね、私の艦隊なのよね…」


私の艦隊…その言葉を噛みしめるように、口にする大鳳


大鳳「提督、行きましょ?」


提督の手を取る大鳳


提督「お、おぅ…」


その返事を待たずに、そのまま歩き出す


大鳳「金剛さんを待たせても悪いわ」

提督「待たせてもって言うけどなぁ…」


偶には付き合ってあげなよ、とは北上様の言だったが

ほっといても数時間後には、また遭遇するんだから、何時でもいい気がする


なんて考えながらも、提督の視線が握られてる大鳳の手に落ちる

ほんのちょっぴり、冷たいその手。その滑らかな感触が心地いい…

手を繋いでいる事よりも、そんな感想を覚えてしまった事に、顔を赤くせずにはいられなかった


提督「…」


急に静かになった提督が気になって、大鳳が振り返る


大鳳「提督…もしかして、照れてるの?」

提督「うっさい…」

大鳳「ふふふ、可愛いのね♪」

提督「…」


楽しそうに笑う大鳳。それに沈黙でもって抗議する提督だった



ーおしまいー




EX みつよ様の華麗なる一日


初めましての方は初めまして、2度めの方は2度めましてねっ

大日本帝国、大本営付きの大元帥、御代みつよ よっ

愛情を込めて みつよ様と呼ぶがいいわっ


今回は大本営側の一幕よっ、そうねっ私の出番ねっ、喜びなさいっ

状況としては、うちの大鯨(龍鳳)と大和のお料理対決よっ

食事当番の奪い合いみたいねっ、私のために争うなんて…素敵ねっ、もっとやりなさいっ

勝った娘はいっぱい褒めてあげるわっ、負けた娘はいっぱい応援してあげるわっ

色々言ったけれど、一言で言えば小ネタよっ、本編でやる機会がないだけねっ

それじゃ、そろそろ始めるわっ、その耳と目と心でいっぱい妄想するがいいわっ



ー大本営・食堂ー


冗談みたいな部屋だった

アニメとか漫画とか映画とかで見かけるような部屋だった

広間に長机、暖炉に壁画、天井にシャンデリア、壁には蝋燭

冗談みたいな部屋だった


その上座にちょこんと座る少女「御代 みつよ」

そして、同席している大淀と大鳳(←みつよ様のとこの

食事が終ったのか、既にテーブルの上は片付けられ、食後のティータイムの出番になっていた


みつよ「さて、これで2人の料理が出揃ったわけだけれど」


優雅にお茶を嗜む みつよ様


ー1日目ー


空腹の差で勝敗に差がついては行けないと、2日にわたって開催された料理対決

1日目の龍鳳、コーンポタージュ、ポテトサラダ、タルタルソースなエビフライに、甘酢のかかったミートボール

そして、メインのオムライスにはグリンピースが散りばめられ、見た目も鮮やかに、デザートにはプリンと飲むヨーグルトが添えられていた


みつよ「これは…お子様ランチねっ」

龍鳳「はい、正解です♪」


ぽんっと胸の前で手を合わせる龍鳳

「ディナーなのに、ランチとか…」なんて大和の突っ込みはスルーされた


みつよ「子供扱いする気ねっ、いい度胸だわっ」

龍鳳「でも、おひいさま?このメニューが嫌いな子は、そんなに いないと思いますよ?」

みつよ「ふふ、大鯨それでは誤解を招くわっ、私にっ、嫌いな食べ物などっ、あんまりないのよっ」

龍鳳「そうですね、牛乳意外はね?」

みつよ「…分かってるなら、この白濁の液体を何処かにやりなさい…」


飲むヨーグルトの注がれたグラスを脇に退かす みつよ様

いつもの覇気が、なりを潜めていた


龍鳳「でもそれは、牛乳ではなくヨーグルトですよ?」

みつよ「なにが違うのよ…」

龍鳳「大豆と納豆くらいには?」

みつよ「…返答に困る差異ね…」


白い目で白い液体を見つめ続ける、みつよ様


龍鳳「そう、ですよね…」

みつよ「なによ…」


急にしゅんっとする龍鳳に、みつよ様がちょっと狼狽えていた


龍鳳「おひいさま の牛乳嫌いが少しでも良くなればと、ご用意させて頂きましたのに…いえ、いいんです

    お食事中に、こんな白濁の液体を用意した私が悪いんです、そんなガラス瓶は床にでも放り投げていただければ…(およよよよ」


すっごいわざとらしい泣き真似だった


みつよ「あーもーうっさいわねっ、わかったわよっ、飲むわよっ、牛乳のまがい物なんて、私にかかればイチコロなんだからっ、へいきよっ、余裕よっ

     あ、でも一番最後よっ、最後に飲むんだからねっ」

龍鳳「やった♪」


小さく、両手でガッツポーズをする龍鳳と

好きなものは最初に食べる主義のみつよ様だった


ー2日目ー


冗談見たいな部屋とは先刻通り

そして、大和が用意した料理もまた冗談みたいな内容だった

サーモンがマリネにされ、素朴なコンソメスープに香り豊かなバターロール

それが終われば、白身魚のムニエルに、口どけも爽やかなソルベが提供される

そして、メインには仔牛がローストされ、生クリームの甘さと、イチゴの酸味が引き立つショートケーキと相成った

俗に言う所のフルコースだった


みつよ「さすが大和ね、今日も素晴らしい出来だわっ」


一挙手一投足に至るまで、無駄のない動きで食べ進める みつよ様

お嬢様だけ合って、割りと食べ慣れてはいるらしい


大和「ありがとうございます。本日も腕によりを掛けさせていただきました」

みつよ「当然ねっ、手なんか抜いたら承知しないんだからっ」


抜くどころか、過剰なまでに手が込んでる気がする

みつよ様の一挙手一投足を観測し、最高のタイミングで次の料理を出していく大和

それを当然のごとくに受け入れ、優雅に食べ進めていく みつよ様

こと、食事に至るまで、息のあってる2人だった


そして…




食後のティータイム、優雅にお茶を嗜む みつよ様


みつよ「さて、そろそろ判決の時間にしましょうか」


「…」

部屋の中が静けさに包まれる

判決を待つ2人、どちらも勝利を確信しているのか、随分と余裕の表情を浮かべていた


みつよ「大鯨、あなたの勝ちよ」

龍鳳「やった♪」(←winner

大和「なっ…」(←Loser


小さくガッツポーズをする龍鳳と、愕然とする大和の顔が相対的だった


大和「お、おひいさま、これは一体…」

みつよ「ん?だってこれ、お料理対決じゃなくて、料理当番争奪戦でしょう?」

大和「は、はい…」

みつよ「私はね、大和…高級料理のフルコースがお家の味なのっ、なんて自慢したくはないわ」

大淀「ごもっとも…」

大鳳「そうね、そんな事言ったら、少し嫌味ったらしいし」


みつよ様の言に審査員2人も同意する

それは確かに、ただの料理勝負だったのなら大和の勝ちは譲らなかったのだろうけれど

そこで大和は間違えた、本来の目的を忘れたが故の敗北だった


みつよ「それに、毎食これだと、ちょっと重いわ…」

龍鳳「あら、大和さん重いんですって」

大和「重いっ!?」

みつよ「…」

大淀「…」(←肩が震えてる

大鳳「…」(←無表情


うふふっと黒い笑みを浮かべる龍鳳

大和が重い。別に何が、とは言わないけれど、そんな言葉に会場に静けさの権化が舞い降りた


みつよ「ふふっ、大鯨っ、ブラックジョークってやつねっ、ちょっと面白かったわっ」

龍鳳「お粗末さまです♪」

大和「お、おひいさま…りょ、りょうりのお話ですよね?」


ふるふる と、動揺に体を揺らしながら大和が みつよ様に縋りつく


大和「例えばそう…体重だとか、艤装だとか、燃費だとかではなく…ま、ましてや…愛だとか、そんなんじゃ…」

みつよ「もぅ、なによ大和っ、ちょっと重いわよっ、離れなさいっ」

大和「…」(←重い女


がーんっと、テロップを出しても良いくらいに、大和が崩れ落ちた


大淀「ぷふっ…ふふふふ…」(←俯いてる

大鳳「…」(←無表情


そんな光景に耐えかねたのか、大淀がお腹と口元に手を当てて、なんとか漏れ出る笑い声を押さえつけていた

その対面では無表情の大鳳。内心爆笑していたけれど、さすがの装甲空母は鉄面皮だった

ーEXおしまいー



そんなこんなで、大和の懐にあった食事当番をもぎ取った龍鳳

そして、暫くの間「重い女」と、からかわれる大和だった


ー大和は称号を獲得しました「重い女」ー


後書き

はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです

それではこの番組は

金剛「ぶー、北上っ、提督はまだですカっ」
北上「いやー、大鳳さんとイチャついてたからねぇ…何時になるやら」
多摩「ま、こないならこないで…このお菓子は多摩のもの」

球磨「てめぇらっそこに直るクマっ!」
睦月「球磨が怒ったしっ、逃げろ逃げろー」
大井「もぅっ、なんで私までっ」
卯月「それも全部木曾ってやつの仕業ぴょんっ」
球磨「きぃぃそぉぉぉぉっ!!」
木曾「ちょっっとまてっ、俺は関係ないだろっ」

菊月「今更なんだが…何故空母なのに「大砲」なのだ?」
長月「…」(←頭痛い
睦月「だいじょうぶだよっ、平仮名でかけば問題解決するよっ」
如月「そうね、それはそうだけれど、ね?」
弥生「うん、字が違うね…字が」
菊月「…知ってたさ」

提督「そんなに笑うならもう手離せよ…1人で歩けるし」
大鳳「い・や♪提督、貴方と勝利を刻むって言ったでしょう?」
提督「初耳だし…」
大鳳「ええ、今決めたもの…」
提督「さいで…」

文月「ふみづきでーす♪次回はきっと私のお話だよ、やったね♪出番が増えるよっ、それじゃーねー、ばいばーい」

以上のメンバーでお送りしました


ー以下蛇足に付きー


♪教えて皐月ちゃんのコーナー♪

皐月「祝♪、提督と○○第一話 PV3000突破」
提督「ぱちぱちぱち♪」
皐月「まさか、ここまで行くとはね」
提督「1000いった時も、結構感慨分かかったね」
皐月「3000突破記念にMMDにでもする?」
提督「無理」
皐月「即答なんだね…」
提督「話作るだけでこんな時間掛かるんだぞ?紙芝居するにしたって、どれほどの手間になるやら」
皐月「あーうん、まあね。定期的に上げてる人たちはほんと凄いと思うよ、ボクも」
提督「PCのスペックがって問題もあるし…ま、超絶可愛い皐月のモデルでもあれば考えるよ」
皐月「はい、次行くよー」
提督「流しやがったな…」

皐月「さて、今回は大鳳さんだったね」
提督「鎮守府に大人のお姉さんが欲しかったの」
皐月「…」
提督「いったろう?ロリコンじゃなくてロリもいけるだけって」
皐月「あー、はいはい。あ、そうだ同型艦の話をしよう」
提督「本編でもさらっと言ったけど。睦月で例えるなら」

睦月の同型艦は睦月だし
睦月の姉妹艦は如月以下略だし

提督「ま、便利な言葉だったからね。そんな感じで分けてみたんだよ」
皐月「とはいえ、本編であんまり同型艦を出すと、こんがらがっちゃうだろうから、被らないようにはするけれど」
提督「ちょっとした、脳内設定の小ネタってことだね」
皐月「後は、夕張さんがカチャカチャ艤装切り替えてた所は?」
提督「スロットは一度に扱える妖精さんの量です。妖精さんを連れてくだけなら、特に制限は決めてないね」
皐月「ま、装備は一杯使える方が、後先考え無くていいしね」
提督「大人の事情と、個人的な趣味だね」
皐月「追伸、あの時代の噴進砲は焼夷弾を大量にばら撒くタイプのものだったので、あんな演出にしてあるよっと」

♪皐月ちゃんラジオ♪

提督「それじゃ、お手紙という名のコメント返しな」
皐月「はいテロップ」

・幼女大元帥
・長門型以上のロリコン率
・もっちー可愛い
・くまねこダイヤモンド
・提督たまにかっこいい
・次回もまってるね

皐月「さ、上からいこう」

・幼女大元帥

提督「ちなみに、こちらが想定してた年齢幅は子供が作れるくらいだよ」
皐月「何が怖いって、結婚できる年齢とは言ってない所だよね…」
提督「変な所に気づくねぇ…ま、そういう事だよ…」
皐月「あー…次行くよ」

・長門型以上のロリコン率

皐月「ま、ここ大和さんに限って言えば。あの人の好意対象は みつよ様限定だから」
提督「みつよ様コンプレックス、みつコンだな」
皐月「なにさ、それ…タンクローリーに入ってそうなんだけど」
提督「その例えこそ、なんなんだよって…ま、既存の言葉を使うなら、ロリコンよりはシスコンのがニュアンスは近いでしょ」
皐月「それで、長門型以上はって話だけど」
提督「ギャップ萌えじゃない?」
皐月「あー、そうなるのかな?」
提督「あと…言っちゃなんだが。紅茶、お姉さま、大丈夫です、マイクチェック、瑞雲、不幸、不幸、デカイ暁と並べると
   長門型以上って割りと普通に見えるんだよね…」
皐月「伊勢さん忘れてない?」
提督「思いつなかったの…」
皐月「あ、うん…それで、ネタに使うにはロリコンにするぐらいが丁度良かったってことかな?」
提督「多分ねぇ…ま、半分くらい「ながもん」のとばっちりな気もするけど」
皐月「あははは…そいじゃ次ね」

もっちー可愛い

提督「知ってる。あと上げない、あれは私のものだ。ケッコンするなら自分家の望月とするがいい」
皐月「あーはいはい、落ち着いて、落ち着いて
    あ、望月と言えば、やどかり様が2周年記念絵描いていたから、まだだったら是非」
提督「つぎつぎー」

・くまねこダイヤモンド

皐月「良かったね、司令官。気に入ってもらえたみたいで」
提督「うん、頑張って書き直したかいがあったね」
皐月「最初は、球磨さんに吹っ飛ばされる、木曾さんと大井さんだったね」
提督「そのつもりだったんだけど、木曾と大井を喧嘩される下らん理由が思いつかなくて」
皐月「大人しく金剛さんを弄り倒したほうが良さそうだと、相成りました」
提督「ちなみに、オーガニック的な会話は意図的に引用してたけど…」
皐月「ダイヤモンドは砕けないってジョジョのサブタイだったんだね」
提督「どっかで聞いた覚えはあったから、そのまま利用したんだけれど」
皐月「そんなわけなんで、どこかにジョジョネタの匂いがしたら、きっと偶然」
提督「そいじゃ、次な」

・提督たまにかっこいい

提督「しってるよっ、ボクの司令官はいつだってカッコいいよっ」
皐月「…なにさ、それ?」
提督「言ってくれないの?」
皐月「うわー、司令官カッコいいー」
提督「棒読みね…」
皐月「そりゃね…」
提督「…(←先に言われたら、顔赤くなりそうだったんで、先手とって潰したって人の顔)」
皐月「…(←言おうかと思ったら、先に言われて言い出せなくなったって娘の顔」

・次回もまってるね

皐月「うんっ、また見てくれると嬉しいなっ」
提督「どんどん長くなってくけどね…」
皐月「もう、縮める気無いでしょ?」
提督「今回に限って言えば、3方面作戦とかしちゃった影響もあるんだろうけど…どうだろうな」
皐月「へんなEXパートも増えてるし…」
提督「本編であんなのねじ込めないからね」
皐月「また、小ネタ思いついたら、ねじ込んでいく気だね?」
提督「そりゃ、折角ですもの」



皐月「今回はここまでだよ。ここまで読んでくれて、ほんとにありがとうね」
提督「よかったらまた次回もよろしくお願いします」
皐月「それじゃ、まったねー♪」
提督「ばいばーい」

提督「でも、文月なぁ…正直あの娘とどうやって遊んだらいいか」
皐月「ふわっとしてるからねぇ…文月は」

ーおしまいー


このSSへの評価

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SS好きの名無しさんから
2015-06-03 00:02:17

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2015-06-02 23:31:46

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SS好きの名無しさんから
2015-06-03 00:02:20

SS好きの名無しさんから
2015-06-02 23:31:45

このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2015-06-03 00:03:23 ID: eGdFEOXE

三日月ちゃんもふりたいわー
ここのキャラは皆好き
次回も楽しみだゾ

2: SS好きの名無しさん 2015-06-10 08:11:16 ID: cLCouWgF

ロリコンではない、父性だ父性


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