2016-09-28 21:23:22 更新

概要

クズな提督が地獄に落ちるお話です。
クズ過ぎ、胸糞注意。


前書き

艦娘の死の表現。
非常に胸糞悪い話です。


…皆さんこんにちわ。ドリメタです。
この話、「因果応報」は、俺の作品を全部読んで下さった人からすれば、色々と分かってくれる部分があると思います。
で、ZK作戦のラストで色々と言及されている言葉の数々…勿論、伏線を投げ出した訳では無かったのです。

色々な作品を書いてきました。
LOSシリーズ。LOSBGS。LOS?
とりあえず、この作品は「それらの最終章」的な扱いなので、是非ともそれらに目を通して下さい。
まだ色々と語られませんが、前から予定していた通りの流れになります。
「ミュー鎮は、LOS?で成仏した者達が現実に戻って行き着いた最果て」
「ミュー鎮は、前は黒色鎮守府と言う名前だった」
「黒色鎮守府は酷い場所だった」
…下の二つはBGSに書いてあります。
さて、詳しい事は書かれてませんが、ミュー鎮では「黒色鎮守府の提督も亡くなった」と書かれてます。
そして…ZK作戦。
問題だったスネオこと、「骨皮」も死にました。

全て、5月5日です。
この日付…LOS作品のどこかの提督が失踪、亡くなった命日です。
つまり…誰かが仕組んでいた…?

的な痛い話ですw
是非、何も言わずに見て下さい。

もっかいスニーク公開中。


因果応報の鬨




骨皮と言う提督達の上官は、自分の部下へと無理難題を吹っかける。

ここに、とある鎮守府…。


20X5年3月。

骨皮は、そこに住まう艦娘達全てに病気をかけた。

病名は「中二病」。

誰も彼女もが言う事を聞かなくなり、単身大破に敵陣へと突っ込む事態が多発。

全員を指揮する提督はやむを得ず、自身が魔王の如し中二病を演じ、

それらを手中に収める事が出来た。


そして…。


20X5年5月8日…。



…。

祭壇の上に提督。

辺りを包む、黒いフードを被った艦娘達の影。


騒然となった頃、提督は言い始めた。



提督「…諸君。ようやく…ようやく待ちに待って待ち続けた「リスト」を手に入れた…」


提督「ずっとずっと…喉から手が出るほどに欲しかった「金曜日」のリストだ…」


提督「あぐらをかいて銭勘定にうつつを抜かす土曜日ではなく、安息の日とのたまってその鎮守府から灯の消える日曜日でもなく、万年の童貞共がその裸体を肴にして酒に溺れさせる月曜日でもなく、雄弁に蓄えた黒金をジャックポットのようにひり出す火曜日でもなく、痛みつける事を自分のバイアグラとするような水曜日でもなく、汚物を纏い喰らって喰らわせる木曜日でもなく…。金曜日のリストだ」


提督「見るぐらい許そう。SEXぐらい許そう。SMぐらい許そう。スカトロぐらい許そう。だが…だが、「金曜日の連中」を許すことは出来ない…!」


提督「友の娘を見渡し、犯し、鞭を打ち、糞を食らわせ、視姦し、輪姦し、拷姦し、糞姦し、おかずにし、オナホにし、サンドバッグにし、大便器にし…。病ませて病ませて病ませて病ませようが…まだ取り返しのつく話だ…。その過去を亡き物にする事など、艦娘が解体される時に受ける記憶の切除を用いれば、誰だって過去を忘却の彼方に押し込む事など造作も無い。切除されマイクロチップに保存された記憶ですら、磁石に乗せて海に放れば永遠に追求される事もない。艦娘を無理やりに戦場へと駆り出させる為の、ドランカーの記憶を追放する為の「ブレインメモリー」と言う機械を使えば、その記憶を忘れられるのだ。そんな世界を無かった事に出来るのだ。また、やりなおす事が出来るのだ…!!」


提督「では問おう。ここで言う金曜日のリスト。それらに書かれた悪黒色に染まったこの名前の一覧は一体全体どんなクズの集まりなのか!?」


提督「…取り返しのつかない事をしでかし、やがて深海棲艦を、我々の敵共を増やしてしまうこいつ等は何者なのか!?」


提督「…答えは簡単。全員提督共だ」


提督「今の世に存在する何千…いや、何千万にも及ぶクズの集まりだ。そしてクズの中でも飛び抜けて異臭を放つこいつらは、まさに核廃棄物と言っても過言は無い…」


提督「今一度胸に手を当て考えろ…今の自分達を作ったのが誰かでは無い。そんなクズはやがて殺す。取り返しのつかない行為を平然と悠々と嬉々として行ったクズの事を考えろ!!」


提督「我らは核廃棄物の収集家。それを正当な手順で消化するだけの存在だ」


提督「我らはゴミの集積家。それらを正当な順序で処理するだけの存在だ」


提督「我らは敵の殲滅家。それらを正当な攻撃で排除するだけの存在だ」


提督「では…御国の為に害意を持ってそれらを行う彼らを排除するのは有罪か?」


提督「そして、それらを決めるのは我々なのか?」


提督「答えは違う。それらは我々が決める事では無い。我々はただ、我々の思うままに行動する中二病鎮守府」


提督「ならば今の敵は誰になるのか。この私怨を晴らすために誰を殺せば良いのか?」


提督「叛逆に手を染め、友を守る為に闇に墜ちたSS、小説、アニメ、ゲーム。それらの闇共は格好良いだろう?」


提督「俺はそれが見たい。ただただ、この金曜日のリストに書かれた死すべき者共が、苦痛にのたまいながら死んでいく様を見ていたい」


提督「その為に今から言う言葉は、我々の私怨を正義として扱うのだ」


提督「…諸君」


提督「諸君、私は金曜日のリストを手に入れた」


提督「ここに書かれた50人近くもの提督達の名前。そして鎮守府の場所」


提督「これらを全員に回す…」


提督「…私が何か言うまでも無く、今回の事を知ってるお前達は動くだろう。私の私怨を追うだろう…が、あえて言う…!」


提督「そこに書かれたクズ共を、全員黒い棺に押し込め…!」


提督「棺に埋葬し、大腿骨の折れる音を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、カエンタケを喰らった時の絶叫を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、指を裁断する音を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、焦げ付く鉄板で背を焼く音を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、α波が体の内から沸騰させる音を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、シュレッダーが肩まで巻きこむ音を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、胃を握りつぶされる音を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、ススメバチを放った時の羽音を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、玉を極限まで引き潰される音を響かせろ!」


提督「棺に埋葬し、筋繊維を一本一本、鋸で引かれる音を響かせろ!」


提督「そして!そして!!」


提督「…」


提督「棺に埋葬し、200tの鉄槌が全てを押しつぶす機械音を響かせろ…」


提督「この金曜日のリストに刻まれた戦犯共を…」


提督「片っ端から拉致して来い…」


提督「誰にも見つからず闇に紛れ、麻酔針で身動きを封じ麻袋に押し込んで、何人がかりでも良いから…」


提督「こいつ等を一人残らず攫って来い…」


提督「…それが復讐の合図だ」



今日も中二病鎮守府は全快に、誰の為でも無い行動を繰り返す。




21「未来へ」



-----

「レッド」


…。

俺がアイツの訃報を聞いたのは、俺が海外遠征から戻ってから数日後の事だ。

その報告を聞いた時、ケッコン相手である加賀ですら心配するほどに青ざめた。


車でアイツの鎮守府に向かう。

もう死んでしまったはずなのに、間に合ってくれと不思議な事を思った。


雨の中、鎮守府に到着した瞬間に、2人の提督から声を掛けられた。

酒場で馬鹿しあった仲の2人。

同期で肩を組んだ仲の2人。

その場のノリで、戦隊物よろしく色を振りあった仲の2人。

「グリーン」と「ピンク」が居た。


3人で話していると、後ろから駆け寄ってくる音。

「ブルー」の到着だ。

そして、さっきの俺みたいに、顔を青くしながら話しだす。


…。

最後に…。

遠く、東北地方の鎮守府から…。

「イエロー」が、やって来た。


同期5人。

戦隊物の全部の色が揃う。

…だが、足りないメンバーを思い、言葉は出なかった。


やがて…。


やがてイエローは封筒を取り出す。

「ブラック」が書いた手紙だ。


そこには…事の全てが書かれていた。


-----

「ブルー」


…。

親友の死を知ったのは、ろーちゃんの一件が済んでから一ヶ月後の事だった。


電車で親友の鎮守府に向かう。

もう亡くなってしまったと言うのに、とにかく急いだ。


雨が降り続く中、鎮守府には既に親友の3人が集まっていた。

同期で支えあった仲の3人。

いつでも友を考えてくれる3人。

その場のノリで、戦隊物よろしく色を振りあった仲の3人。

「グリーン」と「ピンク」と「レッド」が居た。


…。

あと一人。

遠い、東北の鎮守府から…。

「イエロー」が、やってきた。


同期5人。

戦隊物の全部の色が揃う。

…だが、足りないメンバーを思い、言葉は出なかった。


やがて…。


やがてイエローは封筒を取り出す。

「ブラック」が書いた手紙だ。


そこには…事の全てが書かれていた。


-----

「グリーン」


…。

俺が親友の訃報に青ざめたのは、

鎮守府ボードゲーム大会が終わってすぐのことだ。


あいつの鎮守府は近い。車を飛ばして向かう。

俺は訃報を信じられなかった。…あいつが死ぬ訳がない。


鎮守府に到着した時、雨の中で佇む「ピンク」を見つけた。

週に一回のペースで集まっては飲む、5人の中の1人。

2年も前から、一緒に作戦を遂行してきた、5人の中の1人。

その場のノリで、戦隊物よろしく色を振りあった、5人の中の1人。

「ピンク」が居た。


ピンクと話していると、車のスキール音。

「レッド」がやって来た。

咥えタバコの火も消えたまま、雨の中を走って来る。


3人で話す。

未だに友達の死を受け入れられなかったから。

そして、それらをかき消すように、ダッシュで誰かが向かってくる。

「ブルー」がやってきた。


…。

そして…あと一人。

東北の遠い遠い場所から…。

「イエロー」が、やってきた。


同期5人。

戦隊物の全部の色が揃う。

…だが、足りないメンバーを思い、言葉は出なかった。


やがて…。


やがてイエローは封筒を取り出す。

「ブラック」が書いた手紙だ。


そこには…事の全てが書かれていた。


-----

「ピンク」


…。

親友の訃報が飛んできたのは、

俺に着いた変な香水が落ちてから一月近く経った時の事。


あまりの内容に、俺は車を走らせて向かう。

そんな訳がない。俺達の後輩が死ぬ訳が無い。…そう信じて。


雨の中、ようやく鎮守府に着いた。

門には鍵。…今だけは、鍵を壊したくなる…。


やがて、けたたましいエンジン音を響かせて彼が到着する。

「グリーン」だ。

雨の中、傘も持たずに駆け寄ってくる。


2人で状況を話し合っていると、今度はスキール音を轟かせて彼がやって来た。

「レッド」だった。

今度は、3人で考え込む。


最後は足音。

全力で走る姿に見覚えがある。

「ブルー」がやって来た。


…。

いや、最後じゃない。…あと一人。

東北の…。

現、「白色鎮守府」の提督の…。

「イエロー」がやって来た。


同期5人。

馬鹿やりあって、馬鹿な話を肴に飲んだ5人。

未だに徹マンしたり、考える事は馬鹿な5人。

それでも、いつだって友達を想う5人。

ようやく…戦隊物の全部の色が揃う。

…だが、足りないメンバーを思い、言葉は出なかった。


やがて…。


やがてイエローは封筒を取り出す。

「ブラック」が書いた手紙だ。


そこには…事の全てが書かれていた。


-----

「イエロー」


…。

俺が「ブラック」の訃報を聞いたのは、

大淀とのケッコン式が終わってから一週間後の事だった。

幸せいっぱいに暮らす中、その訃報はやって来たんだ。


…俺は新幹線でそこに向かう。

「ブラック」の鎮守府だ。

だが…。

正直、向かいたくないと言う気持ちでいっぱいだった…。


…この、手紙を渡さなくちゃいけないんだろう…。

そして、あいつがやって来た事を話さないといけないのだろう…。


俺は、自分が責められるのが、少し怖かった。

親友達の友情や信頼関係が壊れるのが…少し怖かった。


鎮守府に着くと、傘もささずに4人の親友達が待っていた。

…先日まで、カスガダマで宝探しにふけっていた「レッド」。

…一ヶ月前、嫁さんとのゴタゴタで大変な事になっていた「ブルー」。

…ボードゲーム大会で大敗して、優勝者を嫁にした「グリーン」。

…変な香水で、死ぬほどモテてしまい、助けを求めてきた「ピンク」。


…そう、親友達だ。

だけど…。

「2人」足りない。

「ブラック」と「ホワイト」の2人だ。

いつもの居酒屋で飲んでいた時、偶然会った後輩の2人。

仲良く、戦隊物のお助けキャラのように色が振られた2人。

…どっちも…。

最高に幸せで、最高に優しく艦娘達に接していた2人だ。


…。

俺は先日、ブラックからとある話をされた。

最初は拒否したが…受け入れざるを得なかった。

そして、これが結果だ。


…。

懐から手紙を取り出す。

俺達、初期面子の5人に向けられた手紙だ。


そこには…事の全てが書かれていた。


…。



全ての始まりは、2年前へと遡る。



1「特務強制推薦」



20×4年4月28日



涼しい風が頬を撫で、サァ…と静かに音は鳴る。

それに紛れて波の音と磯の匂い。

鎮守府は昼下がり、今日も満ちている。


ふと、再び頬を撫でられた気がした。

だが今度は、涼やかな風ではない。

また撫でられる。

今度は頬ではなく、頭。


誰かに触れられている。

ふと、目を覚ます。


提督「…あ」


大淀「あら…提督、おはようございます」


提督「…」


長い黒髪、黒縁メガネ…。

間違いない。


提督「…おはよ、大淀」


大淀「いい天気ですね~」


提督「…あ、悪い…。膝、借りてたか…」


大淀「全然。構いませんよ」


大淀は俺に膝枕をしてくれていた。

その温もりは嬉しかったが、提督としての仕事が山積みなのだ…。

…ここ数日寝てないなぁ。


提督「…もうそろそろ起きるよ…」


大淀「…あ…起きちゃうんですか…」


寂しそうな目と言葉。

…ふと愛らしく想ってしまう。


提督「…いや、もうちょい寝ようかな…。膝、貸してくれ」


大淀「はい♪どうぞ♪」


提督「よいしょ…」


大淀「~♪」


提督「…良い天気だな」


大淀「そうですね…。風も心地良いですし」


提督「うん…」


大淀「あ、春と言えばお花見ですね!近々開きませんか?」


提督「もう桜も散り始めてるぞ?」


大淀「大丈夫ですよ。皆、花より団子な娘達ばかりですから」


提督「くっく…w。間違いない」


大淀「ですねー!」


提督「…あぁ…ダメだ。全然眠れない」


大淀「あ…お話で起こしちゃいましたか…?」


提督「違う違う。普通に明るくて眠りにくい感じ」


大淀「そうですか…」


提督「…」


笑顔を向ける大淀。

ただ、少しだけ名残惜しそうな目をしている。


提督「…」


大淀「…春。ですね…」


提督「ああ…。ただ…」


大淀「ただ?」


提督「…もうすぐ4月も終わるな…って」


大淀「28日ですからねー…」


提督「…」


提督「特務ってなんだろうな…」


大淀「さぁ…?」


幾度となる戦闘。そして勝利。

白色鎮守府は栄光の末に、お国から特務を授かる事となった。

その内容を聞かされるのが今日。

数時間後に上官がやってくる。


だが、そんな輝かしい実績は、同時に執務の量を加速させるばかり。

夜通し読んで判を押し、作戦を練っては提出し…。


そして毎日、気が付けば昼。

イ草の上で寝転んで、数秒と経たずに夢の中。

それを大淀が見つけると、また、膝を貸してくれる。


…それが日常だった。

この鎮守府の光景だった。


…そんな毎日が続くと思ってた。




骨皮「おーっすw」


提督「お疲れ様です!」


特使、上官がやって来た。

チャラチャラとうるさく鳴るピアス。

金髪、小麦色の肌、そしてアロハシャツ…。


名を「骨皮」。


…舐めてんのか。

と、心の底で思ってしまう。

いつでも適当な指示ばかりする思えば、

業務中に誇張したホラ話に付き合わされたり…。

また、酒に酔った時に言った

「大佐のコネで軍に入ったwww」と言う言葉も忘れられない。


俺は、コイツが嫌いだ。


骨皮「すげェじゃん!南方海域、超ヨユーの突破だってw?」


提督「ご謙遜を。皆の力があってこそ…」


骨皮「あ、そう言うのいいから」


提督「…」


やっぱり嫌いだ。


骨皮「あ、そうそう。特務だっけ?」


提督「はい、そのように聞いておりますが…」


骨皮「…特務ねぇ…」


提督「…違うのですか?」


骨皮「って言うか頼みごとだったんだよね」


提督「…頼みごとですか…」


骨皮「…ま、二つあるから聞いてくンない?」


提督「…どうぞ」


骨皮は玉露を味わう事なく呑み干し、苦い顔をして語り始めた。


骨皮「えっと、一週間前ぐれェなんだけどさ、爆撃があったの知ってる?」


提督「…は?」


骨皮「爆撃」


提督「いえ…知りませんが…」


骨皮「あっそ。まあ、隠してたから知るわけねェんだけどさ」


提督「…」


じゃあ聞くなよ。


骨皮「じゃあ、なんで隠されてたか…。なんだけど、場所が問題だったんよ」


提督「…まさか大本営が…!」


骨皮「ばぁーか!…んな訳あっか」


提督「…」


骨皮「…表向き「死傷者は居ないこと」になってる場所だ」


提督「…つまり、裏?」


骨皮「そ。簡単に言えば、俺らが使ってる売春街さ」


骨皮「…まぁ、未成年どころの話じゃねェ連中も居る場所だったからさ、そこの調査を公にできねェって事」


提督「俺らってって、「俺は」使ってませんよ」


骨皮「俺らだっつってんだろ?いつお前を含んだよ。使いたきゃ偉くなれ。偉く」


提督「…」


骨皮「でまあ、ぜェーんぶ焼け野原になっちまったって訳よ」


提督「…はぁ」


骨皮「そ・こ・で…」


骨皮「まァーねぇ…ほら、俺らお偉いさんの使う場所が無くなっちまったんだよ」


骨皮「完全にご無沙汰」


提督「…で?」


骨皮「あーあーあーあー!にっぶいなぁー!お前なー!」


知るか。


骨皮「…お!」


骨皮「見てみろ、ほら。外で遊んでる艦娘ども」


提督「彼女達は訓練中で…」


骨皮「だまってろ」


骨皮「おーおー…提督が良いからかねぇ?良い体してるよねぇ…?」


提督「…」


骨皮「そう。良い提督だよオメェーは…」


骨皮「さて。そんな提督にしてやったのは誰だ…?」


骨皮「昔からのツテって言うか、わざわざこんな良い場所を任せてやったのは誰だ?」


提督「…」


骨皮「いいよ喋れヨ」


提督「…それは、骨皮殿の…」


骨皮「だろ!そうだよなー!お前の事助けてやったもんなー!!」


…配属場所を適当に決めただけだろうが…!

しかも別段助けてもらったりしてねえよ!


骨皮「さ、大体俺の言いたい事分かっただろ?」


提督「…ここをそう言う場所にしたい、ってならお断りしますよ」


骨皮「…あ?」


提督「…彼女達は、自らお国の為に前線で戦おうと手を挙げたんです…」


提督「だからここは、そう言う場所じゃ…」


骨皮「で?お前大淀とヤってんだろ?」


提督「…!」


骨皮「自らお国の為に前線で戦おうと手を挙げた女とヤってんだろ?違うか?」


提督「…答えかねます」


骨皮「あ?答えろよ。ほら命令」


提督「…」


提督「…先に恋をして、それからしっかりとケッコンと言う手順を…」


骨皮「なに言い訳してンの?」


提督「…」


骨皮「愛とか恋とか、ンな事聞いてないの。分かる?」


提督「…」


骨皮「「女」ってのは「社交場」だ。どうすんだよ、上の連中にヘソ曲げられたりとかしたらどうすんの?何かそこの損害だ、支援だ、信頼だ。…お前に取り戻せンの?」


提督「…」


骨皮「…な?ここが一番色んな娘集まってて都合が良いンだよ」


骨皮「な?」


…。

揺らがない。


提督「…はぁ。お断りします」


骨皮「あ?断れると思ってンの?」


提督「お断りします。絶対に」


骨皮「地位も名誉も…」


提督「要りません」


骨皮「…」


ふと、骨皮が唇の端を噛んだように見えた。

だが、ひるむ事は出来ない。


提督「断って降格されようと、俺は絶対にそんな事を許しません」


提督「もしもそんな動きが見えたら、俺の独断で全員解体します」


提督「全員、普通の女の子に戻って貰います…!」


提督「…もしもそれが特務だと言うのであれば、申し訳ありませんが他を当たって下さい」


骨皮「…」


…小さく舌打ちの音。

そして…骨皮の目から光が消えた。

まるでドス黒い闇のような…。


骨皮「…それでいいの?」


提督「はい」


骨皮「本当に?」


提督「はい」


骨皮「本当だな?もうチャンスはねェからな?」


提督「…はい」


骨皮「…」スッ…


提督「…?」


骨皮が自分のかばんに手を伸ばす。

蛇柄のセンスの悪いかばんだ。

パチリ…と留め金を開け、中から出てきたのは…。


骨皮「ほら」


ドサドサ…


提督「…これは?」


骨皮「さっきの話は無かった事にして良い。だが、な…?」


骨皮「代わりに、この任務を受けろ」


提督「…失礼します」


作戦書。

題名はグシャグシャとボールペンで塗りつぶされている…。


提督「…」


骨皮「西方海域のとある小せェ島があんの知ってっか?」


提督「…いえ」


骨皮「島…って言うか、夢の島だ」


提督「…どう言う意味です?」


骨皮「埋め立てられてんだ。そこだけ。島になってンだよ」


提督「…どこがそんな埋め立てを…?」


骨皮「敵さんだよ」


提督「はっ…!?」


骨皮「連中共の基地になってンだよ」


提督「…深海棲艦の…大型基地…!?」


骨皮「この指令は、その大型基地を叩き潰す…っていったとこか」


提督「こんな危険な任務…!どこが先陣を…」


骨皮「おめェーだよ」


提督「…!」


骨皮「さっきの話、呑みゃお前は後方支援だったンだよ」


提督「…」


骨皮「勘違いすンなよぉ~!?ほら、俺。お前の事好きだかっさァ~!?」


骨皮「出来る奴ってのは知ってっからよォ~!?」


骨皮「大切で大切で大好きなお前を先駆けにさせたくねェンだよォ~!?」


提督「…」


骨皮「…」


提督「こんな…!こんなの…!出来る訳…」


骨皮「あ?何?ここをそーゆー場所にしてくれるって?」


提督「する訳ないでしょう!?」


骨皮「…あ、そ」


提督「…」


骨皮「…」


提督「…指名は…?」


提督「「主力」…には、誰を連れて行けば良い…!?」


骨皮「おーおー。敬語忘れんな。別に誰でも良いンじゃねーか?」


骨皮「お前が嫌ってる奴を入れりゃ良いンじゃねーの?」


提督「…」


骨皮「じゃ、俺帰るから。お前と違って暇じゃねーし」


提督「…」


骨皮「あーあ…可哀想だなぁ~…気持ち良い思いをするか、痛い思いをするか…」


骨皮「…おめェだかンな!?選んだの!?」


提督「…!」


骨皮「じゃーね」


カツカツカツ…

バタン!!


提督「…」


提督「…!」


歯を…唇を…。

強く噛む事しか出来なかった。



…。

…。

…。


骨皮「さ、先ニ恋ヲシテェ…」


「カッカッカwwwwww」


タンッ!


「恋wwwwww恋wwww恋ってwwww」


「何それwwwww愛とか言うんじゃねェーのwwww腹いてェwwww」


骨皮「マジ「殺すぞ」とか言おうかと思ったわ」


タンッ!


骨皮「ポン!」カチャッ…


「なんだよ兄貴wwwもう入ってんのかよwww」


骨皮「入るワケねェーだろ」


タンッ!


「つか、マジ頭おかしいっすねwwwその白いのwww」


骨皮「自分は白いのたっぷり出しといてよく言うよな」


「「wwwwwwwwwwww」」


タンッ!


「いやwwwwいやwwwwマジで腹立つなそいつwww」


骨皮「だろ?お情けかけてやってンの分かンねェーんだろうな」


「立場とか踏まえろよカス提督がwww」


タンッ!


「で?結局「箱」に出来そうなんかいw?」


骨皮「余裕だろ」


「つか兄貴…俺、前の箱が爆撃受けたなンて聞いて無いンスけど…」


骨皮「爆撃なンざある訳ねェだろ馬鹿」


タンッ!


「…ウス」


「前ンとこ、確かお前が潰したンだろ?」


骨皮「そーだよ」


「え!?潰したンすか!?あの売春街!?」


骨皮「馬鹿、箱って言え「箱」…!」


タンッ


「…箱、潰しちゃったンすか?俺、買おうとしてた娘いたンすよ?」


タンッ


骨皮「そいつはご愁傷サン…今頃お偉いさんの腹ン中だ」


「…うわ…まだそいつらとつるンでンすか…?」


骨皮「黒金も大事だが、需要作りゃ赤金はキロ単位で入ンだよ。捨てられねェーよ」


「…キロ?」


「千万1kg」


「うわっ…!ボロ商売じゃねェーか…」


タンッ


骨皮「ちっ…3人売ったぐれェーで変な噂立ちやがンの…」


「事実だからしょうがないっすね」


骨皮「…今回も早く箱作ンねェと…」


「でも愛だ恋だの、頭おかしい提督がいンだろ?」


骨皮「…あ?いねェも同然だ。あんなン」


「何?まだ嫌がらせの手筈があンの?」


タンッ!


骨皮「ロン」


バラッ…


「アッー!!!???」


骨皮「無きゃ上に「出来ます」なンざ報告しねェーよ。いいからチッチ払え」


骨皮「見てろ…どンな小汚ねェ手使ってでも箱にしてやるよ」



…。

…。

…。



4月30日…。



提督「どう言う事ですか!?」


外はザアザアの雨。

ドン!と強く机を叩きつけながら、スマホに向かって疑問を怒鳴り散らす提督。


提督「ふざけないで下さいよ!!こっちにも人選があるんですから!!」


「あ?誰がふざけてるっつってンの?」


「こっちにも事情があンだよ!!事情が!!」


提督「どんな事情ですか!?このタイミングで大幅な異動なんか聞いてないですよ!!」


骨皮が無茶を押し付けてから二日。

一本の電話から状況は一変した。


その内容は人事異動…と言うよりも、艦娘の一時的な遠征だ。

西にある鎮守府へと、いくらか艦娘を貸す…と言った、普段ならばよくある事なのだが…。


今回はその数。

およそ30艦。


白色鎮守府で活躍する艦娘の数を考えれば…どれだけの痛手かは想像に固くない。

そして…そしてその30艦のうちのほとんどが…。

軽巡洋艦だった。


提督「馬鹿にしないで下さい!!見え見えですよ!?」


「あ?何が見えてンの?ヒロポンキメたりとかしてねェーよな?」


提督「するか!!そんなもん!!」


「いいから貸せよ。西は西で大変なンだよ」


提督「貴方の管轄ではありませんよね!?」


「あー俺のエリア俺のエリア」


提督「ふざけるな!!!」


「おい。ごちゃごちゃ言ってンじゃねェよ。別に作戦に投入する艦の数は足りてンだろ?」


提督「こっちにも適材適所を選ぶ責任が…」


「じゃあ俺が負うよ。悪かったな責任押し付けて。残りの奴で固めろ。失敗しても責任は押し付けねェから。じゃあな」


提督「ぐっ…!!!」


プッ…

つー…つー…


怒りを喉元で抑えているうちに…その電話は切れた。

何が責任だ何が足りてるだ何が大変だ…!!


…提督は、自分に嫌がらせの矛先が向けられていた事を理解した。



…。

…。

…。


5月1日



提督「…大淀」


大淀「…晴れましたね…提督」


提督「大淀…!」


出航まであと1時間…。

提督と大淀は港にいた。


大淀「…あれだけザアザアの雨でしたから…視界が悪くなるんじゃないか…って心配していたんですけれど…」


提督「…」


大淀「…そんなに暗い顔をしないで下さい」


提督「…大淀…」


大淀「…大丈夫。絶対に帰って来ますから…」


提督「…」


大淀「…それに、他の娘達が見たら勘違いしちゃうかも知れませんよ…?「大淀だけがあんなに心配してもらえてる」…って」


提督「違う…!違う!そんな事…!」


大淀「…そう…ですよね…」


…風が冷たく流れ、大淀の髪を弄ぶ。


大淀「…簡単な任務でも…。どんなに強い娘でも…。貴方は本当に心配してくれますもんね…」


提督「…」


大淀「…帰って来ますよ。絶対に…」


提督「…」


大淀「これだけの練度まで鍛えてくれたんです…。そんなに簡単にやられるわけ…ありませんよね?」


提督「…」


大淀「…」


俯くように座る提督…。


分かってる…そんな事は分かってる…。

今から作戦に向かわせるのは…少なくともうちの鎮守府の第一線に選抜されるつわもの共だ…。

分かってる…そんな…そんな悲惨な事にならない…と。


ただ…心の底では…。

その不安が黒いもやのように燻っているんだ…。


提督「…」


大淀「…」


提督「大淀…」


大淀「はい」


提督「…ごめんな…」


大淀「はい…?」


提督「こんな…こんな無責任な言葉しか…俺はお前に…いや、皆にかける事しか出来ない…」


大淀「…」


提督「…頑張ってくれ…!」


幾度と無く。どんな娘にも。どんな簡単な任務でも。困難な任務でも…。

今まで、ずっと出撃する娘達に送ってきた言葉…。

今、これだけ頼りなく…そして、どれだけ他人事な言葉だったのか…思い知らされた…。


それでも…。


大淀「提督…」


提督「…」


顔を上げると…。


大淀「私…」


提督「…」


大淀は…。


大淀「頑張ってきますね…!」


提督「…!」


いつもの笑顔で…笑いかけてきたんだ…。



…。

…。

…。



5月4日。

緑の萌えようとする季節…。

過酷な一週間の戦争に…ようやく終止符が打たれた…。


結果として我が鎮守府は見事海域を奪還し、甲と刻まれた勲章が提督へと贈られる事となった…。

だが、急遽開かれようとしていた名誉の式典に提督は現れず、彼は執務室の机に朝から突っ伏したままだった。



コンコン…


長門「…提督」


提督「…ああ」


提督は顔を上げずに答える。


長門「式典は延期…。ただ、明日は予定通りに…」


長門「…予定通りに…」


長門「…奪還海域にて、軽巡大淀の捜索を開始する…」


提督「…そうか」


長門「…以上だ」


提督「…」


提督「ご苦労だった…」


提督「風呂にでも浸かって…今日はゆっくりと休んでくれ…」


長門「…ああ。では…」


カツ…カツ…


長門「…提督」


提督「…なんだ?」


長門「…その…」


…。

言えない。

元気を出してくれ…などと…。

大丈夫か?などと…。

言えない…。


今も、震えるような声で…出来るだけ優しく聞き返していると言うのに…。

…。


長門「…失礼した」


カツ…カツ…


パタン…



提督「…」


…。

結局…のところ…。

…彼女は…大淀は…帰投しなかった…。


一度、中継地点まで撤退を行い…そして勝利した戦い…。

その撤退の最中に彼女は…。


…。

その撤退の後、すぐに救助隊の編成が行われたが…奪還しきれていない、敵の本拠地とも言える海域に出撃するなど…。

不可能だった…。






…。

そして、五月の五日…


20X4年5月5日…


この日を命日として…


白い提督は行方をくらませた…。




彼の遺体が、鎮守府裏手の山中で発見されたのは、それから10日近く経ってからの事だった…。



2「白い提督と白い天国」


20X4/5/15


[ブラック]


…。

空は白と黒とが混じり合い、涙のような重い雨を降らせている。


今日は葬式だ…。

一人の…偉大な男の葬式だ。


提督「…ご愁傷様です…」


…闇色鎮守府提督。

通称「ブラック」は、受付で一人ひとりに礼を掛ける長門の前でそう言った。


長門「…ありがとう」


…柄にもなく、素直に礼を言う彼女。

その瞳からは光が消えている…。


提督「…あいつ。どうしちゃった…んですかね…」


長門「…分かりません」


提督「…?長門さん、俺の事、分かります…?」


…彼女の受け答えに、俺は不安感を煽られた。

「起きないか馬鹿者共!!」…なんて、裸になって酒で潰れた俺と白い提督を叱りつけた彼女が…だ。

…そう、長い付き合い。

俺に対し、堅苦しさなんて無いはずなのに…。


長門「え…?あ…。なんだ…黒だったか…」


提督「…よかった」


長門「…何がだ」


提督「…「なんだ」ってさ…。ようやく戻って安心したよ…」


嘘だ。安心などしていない。

それでも、彼女は僅かに光を取り戻したのを見て、僅かな作り笑顔で俺は答えた。


長門「…すまないな」


提督「…?」


長門「…いや…葬式に…来てくれて…」


提督「すまないもんか。兄弟の葬式に…来ない訳無いだろ…」


…白い提督は、まさに世の憧れだった。

それだけ、人を安心させ、人のために尽くす…。

…そんなあいつと長く過ごして…。

俺達は、いつしか兄弟と呼び合うようにまで仲良くなっていたんだ…。


提督「…だから、礼も何もいらないよ…。今日は…。あいつの顔だけ見て…帰ろうと思ってた」


長門「…遺影…か」


提督「…そうだ」


…。

遺影。

それは、素敵な笑顔が収められているものだ…。

旅立つ人の…それは素敵な…。素敵な…。


…ただ、何故笑顔なのだろうかといつも思う…。

死んで嬉しい訳ないだろ…?それどころか、残された人たちは…。

もう、その笑顔を見れないんだぞ…?

もう見れないから…さらに悲しくなるんだぞ…?


…。

でも、今日はそれで良いんだ。

そうじゃなきゃ…。


腐り始めのグズグズでボロボロに、蛆が目玉を食いつぶしたような顔しか見れなかったから…。


…。

10日。

あいつが失踪して…。10日。

捜索隊を、俺が結成して…。山中を探して探して探して…。


俺が…見つけたんだ…。

白い提督を…。


とっくに、変わり果ててしまった…。

彼を…。


…。

…。

…。


だから、俺は…。

彼の最後の顔を上書きしたい。

遺影を見て…彼の笑顔を…。彼の最後にしたかった…。



長門「…なぁ、黒よ…」


提督「…なんだ?」


長門「…ありがとう」


提督「…だから…礼なんて…」


提督「…いらないよ」


…。

助けられなかった。

そんな俺に礼なんて…。

貰っても…さらに自責が積もるだけだった…。


長門「…違うさ」


長門「…来てくれて良かった…」


提督「だから…」


長門「相変わらず話を聞かないな…?」


長門「そうじゃない…そうじゃなくて…」


長門「…彼の思いを…伝えられる」


提督「…」


長門「…彼は…いつもな…?黒の事を楽しそうに語ってたよ…」


長門「あいつは良い奴だ。結局俺に似てる。話してて楽しい。…いつまでも親友でいたい…」


長門「…作戦が始まるまで…。彼はそう言ってたさ…」


長門「最後には…最後には…!」


拳を強く握る長門…。

ぶるぶると震え、目には涙を溜めて…。


言ったんだ。彼の言葉を…。


長門「…兄弟と…!呼んでいたんだ…!」


長門「だから…!私も…!皆も…!」


長門「…顔のよく知れた…黒が来てくれて…!」


長門「…本当に…。今…」


長門「…救われた…」


長門「…来てくれて…。心から礼を言う…!」


長門「ありがとう…!」


…。

そのありがとうは…。

最後がかすれて…よく聞こえなかった…。

それでも…伝わった…。


同時に…俺は彼に会った気がする…。

その言葉は、まるで彼から託されたかのような…。


そんな…気がして…。

俺は…。


自分の頬をなぞる思い水に…。

気がつかなかった…。


提督「…」


長門「…私からは…それだけだ…」


提督「…」


提督「長門…」


長門「…なんだ…?」


提督「…お…抑えられなくて…」


提督「声を…!叫び…!そうで…!」


提督「…いいか…?ここで…?」


長門「…ああ」


提督「…ありがとう」


提督「…」


…。

なあ、白い提督…。

なあ、兄弟…。


救えなくて…。



ごめん…な…。



提督「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」


提督「うああああああああああああああああ!!!うああ!!!!ああああああああああああああああああ!!!!!!!」


…。

…。

…。


およそ、数十秒。

大雨の中、誰もが驚き目をくれて来た…。


でも…まるで止まる気配は無くて…。

…ただ、叫び続けてしまったんだ…。


…。

…。

…。


ザアア…と、雨の音が俺の嗚咽よりも大きくなった頃…。

ふ…と、縮んだ俺の背中に当たる雨を感じなくなった…。


見える地面に…見慣れた靴…。

雨の音は、俺よりもずっと高い位置で鳴っていて…。


その優しさに…頭を地面に着けてしまった…。


…そうだ。

皆…受け継いでるんだ…。


兄弟の思いを…。



…。

…。

…。


提督「長門…」


長門「なんだ?」


提督「…さっきは済まなかった。取り乱してさ…」


長門「気にするな」


提督「…そか」


提督「…なぁ、長門…」


長門「なんだ…?」


提督「…もし…良ければ…なんだが…」


提督「…皆…。ここに居る皆…」


提督「…俺の鎮守府に…来ないか…?」


長門「…ほう」


提督「…あいつほど…は無理かも知れないけどさ…」


提督「…なるべくあいつに近づけるように…努力するから…」


提督「うちに来ないか…?…皆を…守りたいから…」


長門「…」


長門「…素敵な話だな…。悪くない…」


提督「…だろ?な?な…?」


長門「…だが…。遠慮しておこう…」


提督「…それは…な…なんで…?」


長門「…」


長門「…私達も…守りたいんだ…。鎮守府を…」


長門「この…白い提督の居た…。白い提督の思いの鎮守府を…。皆で守っていたい…」


長門「…黒の元に行けば、きっと安泰もあるだろう…。でも…。私達は、白い提督の思いを…ずっとずっと守っていきたいから…」


提督「…どんな提督が来るか…分からないぞ…?」


長門「…大丈夫。逆に私達の色に染めてやるさ…」


提督「…白く…?」


長門「そうだな…。白くしてやろう…」


提督「…分かった…」


長門「…黒よ」


提督「なんだ?」


長門「…礼を言う」


提督「…どういたしまして」


長門「…ああ」


提督「…じゃあ…顔を見て…焼香あげて…。俺は帰るよ…」


長門「…いってらっしゃい」


提督「…?」


長門「…家族が行くのならば…そう声を掛けるだろ?」


提督「…ちょっと臭いな。でも…ありがとう」


長門「…ああ」


…。

…。

…。


これが。「白色鎮守府の長門」と話した最後だった。



3「誰も助けてはくれない」


20X4/8/?


○○鎮守府地下牢


「…ねぇ。安心して…」


「私が…。私が最後にするから…!」


「…だから…信じて…?」


「…あなた達は…。ただ…」


「…自分を失わないように…。ただ…」


「…歌っていて…」


「…希望を捨てないように…」


「…歌って…踊って…」


「ずっとずっと…。現実から…目を背けていて…」


「そうすれば…いつか…助かるから…ね?」


「大丈夫…」


「ずっと歌ってて…」


「私の悲鳴が聞こえないくらい…楽しそうに歌って…」


「…自分を消すように…別の誰かになりきるように…」


「…そうして…私の事は…忘れてもいいから…」


「…今は…自分を…大切にして…ね」


…。

…。

…。


「誰も・・・来ては・・・くれな・・・い♪」


「この・・・暗闇の中♪」


「誰も・・・助けては・・・くれな・・・い♪」


「この・・・闇の中♪」


「・・・ねぇ、今日、何曜日・・・?」


「・・・さぁ」


「・・・もう、何日でも・・・いいよ」


「・・・昨日、木曜日」


「・・・じゃぁ・・・」


「・・・今日、一人・・・死んじゃうんだ・・・」


「・・・祈ろう」


…。

…。

…。


「・・・ごめんね」


「・・・すまない」


「・・・ごめん・・・な」


「・・・ごめんね」


「・・・ごめん」


「誰も・・・助けてはくれない・・・♪」


「・・・この・・・地獄・・・から♪」


「・・・それでも・・・信じている・・・♪」


「きっと・・・素敵な・・・♪」


「世界が・・・♪」


「来る・・・はず・・・♪」


「だー…かぁ…ら…」



後書き

ここまで
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