2015-12-28 13:34:11 更新

概要

のび太がしずかにプロポーズする話です。原作の『雪山ロマンス』のくだりは入れていません


前書き

2005年3月18日、僕はこの学校を卒業する。そしてそれは僕にとって、彼からの卒業でもあった。


         ドラえもん のび太のプロポーズ


2005年3月18日、僕はこの学校を卒業する。そしてそれは僕にとって、彼からの卒業でもあった。

先生「ええ、今日で君達ともお別れだが、全員無事に卒業してくれて先生はとても嬉しく思うよ」

何年も僕らの担任をしてくれていた先生が涙を流して喜んでいる。

僕はこの先生に怒られてばかりだったけど、僕が努力して来たのが分かると

自分の事の様に喜んでくれる。本当はとても優しい先生だ!

玉子「のび太、卒業おめでとう!」

のび助「春休みが終わればお前も中学生、大人の仲間入りだな。」

パパとママも喜んでくれた。そして彼も凄く喜んでくれた・・・・と思う。

僕は卒業式が終わると階段を駆け上がった!卒業証書を一番見て欲しい彼にドラえもんに見せたくて

のび太「ドラえも~ん!見て!卒業証書だよ。卒業出来たのは君のお蔭だよ。」

僕が部屋に入るといつも笑顔で『おかえり』と言ってくれる親友の姿はなかった・・・・。

部屋を調べると押入れは整理され、スペアポケットと四次元くずカゴが無かった

のび太「まさか!ドラえもん!?」机の引き出しを開けるとタイムマシンの入り口はなく

ただの引き出しになっており、手紙だけが残されていた。

ドラえもんの手紙『のび太君へ。黙って未来へ変える事を許してください

君は立派に成長しました。6年生になってからは遅刻もしなくなったし

0点も取らなくなったね。僕の役目は終わりました。今日は卒業式

君は卒業したんだよ。小学校をそして僕からも、だから最後にこの言葉を送ります。

卒業おめでとう!のび太君』

のび太「ドラえもん・・・・ドラえも~ん!!」僕の声は家中に・・・・町中に響き渡る様な声だった

ジャイアン「ドラえもんの奴、今度会ったらただじゃおかねえ」

スネ夫「今度って、ドラえもんは22世紀から来たんだよ。」

しずか「ドラちゃん・・・・きっと、卒業式の日に帰るって決めていたのね。」

パパとママは家族と、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫は未来から来た友人との突然の別れを

とても悲しんでいた。


それから、13年の月日が流れた。

僕は中学、高校を卒業し大学には補欠で合格し大学卒業後は

『アニマル惑星(プラネット)』と言う会社に就職した。この会社は自然動物

などを密猟から守ったり、絶滅寸前の動物を保護したりする会社だ。

しずかちゃんはOLにジャイアンは『スーパー・ジャイアンズ』を経営し

スネ夫は父親の会社で重役(将来の社長候補)として働いている。

僕が最も好敵手意識していた出木杉も一流会社のエリート候補社員と

して頑張っている


大原部長「野比君!!何だね。この報告書は誤字だらけじゃないか!書き直しなさい!」

のび太「はいっ!部長、すみませんでした。」

咲子「はい、野比君。お茶よ」

部長に叱られ、席に戻るとお茶を出してくれた女性が笑いながら、慰めてくれる彼女は花賀咲子さん

昔、ドラえもんの出してくれた『ガールフレンドカタログメーカー』という秘密道具で僕とこの会社で

会うことが決まっていた女性だ。いつも、僕が部長に叱られるとお茶を出して慰めてくれる

優しい女性だ。

のび太「咲子さん、いつもありがとう!」

咲子「それにしても、本当によく叱られるわね。野比君ぐらいじゃない?

毎日、部長さんに怒鳴られているのは」

それを聞いて僕は昔を思い出した。小学生5年生の頃は良く先生に叱られていたなと。

6年生になる直前の冒険で大切なことを学び、変わった事。

卒業式の日に生涯で最も悲しい別れをした事。


あの日、ドラえもんとの突然の別れをしてから、僕はその悲しみを忘れる様に努力した

彼女・・・・しずかちゃんを幸せにするために親友との約束を守るために頑張って来た

僕としずかちゃんは高校の時から何となく一緒に居る事が多くなっていた。

別に告白をした訳では無いが一緒に食事に行ったり出掛けたりする事も多い。

でも、それはあくまで『友人関係』としての付き合いだ・・・・・。

出木杉に誘われれば断らないし、彼女の会社の同僚に誘われれば断る事は無いと言う話だ

のび太「・・・・ドラえもん、僕はしずかちゃんをを幸せに出来るかな?」

誤字だらけの書類を直しながら、最近はそればかりを考えていた・・・・。

大原部長「・・・・・・。」


考えながら書類を直していたせいですっかり日は暮れ、気が付くと7時前だった。

のび太「ふう・・・・やっと、直せた。みんな帰ったし書類は明日部長に渡そうかな。」

背伸びをしながら、そんなことを考えていると後ろから咳ばらいが聞こえた。

大原部長「野比君!書類は直せたかね?」

のび太「はっ、はい!」まるで先生に叱られたように直立不動で立ち、部長に直した

書類を渡す。部長は厳しい顔で書類を手に取り、チェックをし始めた。

その間はまるで昔闘った、悪魔を相手にしていた時の様な緊張感が続いた。

大原部長「よし・・・良いだろう!しかし、君はよく間違えるものだな

しかし何故か動物達に好かれやすい、初めて面接に来て実習に来た時は

重役達が驚いていたよ。」

そう、頑張ってきたものの僕の成績は中高、大学と結構ギリギリで

この会社の入社試験も筆記は合格点よりも下だった。

でも、実習で何故か動物達は僕に懐いてその能力を見込んで合格って事になったそうだ

子供の頃から犬に追いかけられたり恐竜を育てたり、犬人間に会ったりと動物達に

関わる事が多かった影響かもしれない。


大原部長「どうだい野比君?少しだけ付き合わんか?」

のび太「はっ、はい!」

会社を出て僕と部長は部の人間でよく行く、焼き鳥屋さんに入った。

二人で飲んでいると、部長が僕の方を見て呟いた。

大原部長「野比君・・・・最近、何を悩んでいるのかね?」

のび太「えっ!」僕は驚いた、何で部長が僕が迷っている事を知ってるんだろ

大原部長「最近になって細かいミスが多くなっておる。君みたいな真面目な人間は

何かに悩むとそう言った悩みが多くなるという話だ。ワシの年になるとそう言う事に

敏感になってな。お節介かもしれんが聞いてやろうと思ってな。」

僕は部長に話した小学生の頃から好きな女性がいる事をでも、その女性には僕よりも

相応しいかも知れない男性がいる事も、部長は無言で僕の話を聞いていた。

大原部長「君は優しいな。でも、もしかするとその女性は君の『言葉』を待っているんじゃ

ないのかい?」

のび太「えっ!?でも・・・・。」

大原部長「君は優しくて一生懸命な男だ。失敗してもくじけても起き上がる『強い心』を持っている。」

のび太「昔、おばあちゃんと約束したんです。『ダルマ』の様な強い男になると」

大原部長「なら、その心で気持ちをぶつけてみなさい!」

そう言われると僕は部長に挨拶して駅に向かい電車に乗った。しずかちゃんに会うために・・・・。


のび太「この町に帰って来るのも久しぶりだな。」

昔、母親に頼まれ、買い物をした商店街を眺めながら歩いていると、前から大柄な男と少し小柄な男

が歩いて来るのが見えた。

ジャイアン「のび太!」

スネ夫「お前この町に帰って来たのか!?」

のび太「うん、まあね。」

ジャイアンは今『ジャイアンズ』と言うスーパーを経営している。以外に商才があった様だ

スネ夫も会社の重役として多忙な日々を送っているが、この2人はよく会っていると聞く。

のび太「ジャイアン、スネ夫!悪いけど急いでるから、話はまた今度に」

そう言うとジャイアンは少し怒ったような表情をして

ジャイアン「お前・・・・もしかしてしずかちゃんを探しているのか?」

のび太「うっ、うん!」

気持ちを見透かされたのかと思い少し、照れながら答える。

スネ夫「しずかちゃんなら、きっと『あの場所』にいるはずだよ。」

ジャイアン「まったく、のび太のくせに・・・・ささっと行け!良い報告を待ってるぞ」

のび太「ジャイアン、スネ夫、ありがとう!」と言って走って行き、姿が見えなる。

スネ夫「のび太の奴・・・大丈夫かな?」

ジャイアン「大丈夫さ!あいつは俺に実力で勝った男だぜ!根性だけは俺でも

叶わないんだ。」かつて、喧嘩で負けたことを思い出しながら、見えなくなった友の

背中を見送っていた。


子供の頃は乱暴される事も多かったけど、ジャイアンやスネ夫は今でも大事な僕の親友の一人だ

僕は走った。初めてジャイアンに喧嘩で勝った公園を抜け、いつもみんなで遊んでいた空地を通り

でも向かったのはしずかちゃんの家ではない。しずかちゃんのいる場所はスネ夫が教えてくれたからだ。

その途中、少し嫉妬しそうな美形の男が向かって来るのが見えた。


出木杉「のび太君!」

のび太「出木杉!」彼は出木杉 英才。僕らの仲間内では一番の出世頭で科学者をしている。

出木杉「元気そうだね。」

のび太「うん・・・・。」彼に会う事で僕は心が少し揺らいだ。彼は優秀だ

昔も・・・そして今も。

出木杉「昨日、しずかちゃんやスネ夫君にも会ったよ。」

のび太「そう・・・・。」僕はなんだか少し歯切れの悪い返事をしてしまった。

出木杉「のび太君・・・どうかしたのかい?」

のび太「出木杉・・・・君はしずかちゃんにプロポーズしないのかい?」

僕は思わず聞いてしまった。もし仮に「もう、した」なんて答えが返って来る事も

考えずに。

出木杉のび太君にはまだ話してなかったけど。僕、結婚するんだ!研究の助手をしてくれている女性と。」

のび太「へっ!?」思わぬ答えに、僕は魔界の手先に石にされた時の様な感覚に襲われた。

出木杉「それに・・・・僕はしずかちゃんを幸せに出来るのは君だけだと信じているんだよ。」

その言葉に僕はそれが彼の本心だと言う事がわかった。

のび太「ありがとう!何だか決心が付いたよ。またね。」と走って行く

出木杉「のび太君・・・・僕は昔から『しずかちゃんの事で、君には敵わない』と思っているんだよ。」

見えなくなったのび太の後姿を思い浮かべて、そう呟く。


ここは色々と苦い思い出もある、僕の通っていた小学校。その前には少し老いた男性が立っていた。

先生「野比!」

のび太「先生!」学校の前にいたのは僕を5~6年と担任してくれた田中 栄一郎先生だ。

先生「久しぶりだね。元気そうで何よりだ」

のび太「先生もお元気そうで、何よりです。」先生は今、この学校の校長をしているそうだ。

先生「懐かしいね。君の事はよく叱ったね。でも、君は人より劣っていたが、優しさは優秀だった。

そんな君を一人前に卒業させたい。それが私の願いだったんだよ。

のび太「先生・・・・。」

先生「さっき、源君をみたよ。裏山に向かっていた様だ。君の何かを決意した目もそれに関係しているんだろ?」

のび太「はい」

先生「じゃあ、行きなさい。女性をあまり待たせるものじゃないよ。」

僕は再び走りだそうとした。その時

先生「野比!!」久しぶりに聞く先生の大きな声に僕は背筋が伸びる。

のび太「はいっ!」

先生「『人生最大の100点満点』期待しているぞ!!」

のび太「はいっ!」僕は先生を振り向き、小さく拳を握って元気よく返事した。そして再び走り出した。

先生「頑張れよ。野比。」かつては小さく見えた大きな背中を見せる教え子を送り出して

寂しそうにのび太の背中を見送っていた。


2度目・・・・僕は5年生の終わり頃に一度だけ100点を取っている。それは今でも

僕の大切な宝物だ。

のび太「この場所は変わらないな・・・・。」

涼しい風に吹かれ、千年杉の下で僕は空を見上げた。この場所は子供の頃から大好きだった裏山だ

この場所へ来るといろんな事を思い出す。数々の冒険・・・・ドラえもんとの日々

のび太「ドラえもん・・・・僕は変われたかな?」

???「のび太さん!」

突然後ろから声がして振り返ると、そこに居たのはまさに、これから会いに行こうとしていた僕の想い人だった

のび太「しずかちゃん!」

しずか「今日、ここに来たら、のび太さんに会える様な気がしたの。」

そう言うとしずかちゃんは僕の隣に来て、同じように空を見上げた。

しばらくお互いに沈黙が続いたけど、やがて

しずか「のび太さんって本当にここが好きよね。」

とクスッと笑いながら、僕の方を見ながら言った

のび太「ここにはたくさんの思い出が詰まってるから・・・・チッポの星へ行ったり、時には宇宙へ行ったり

僕らの冒険がここで始まって終わる事も多かったしね。」

しずか「そう言えば宇宙で迷子になったスネ夫さん達を探すためにドラちゃんの宇宙船で飛び立ったのも

ここだったわね。」

同じ様に冒険の日々を思い出した彼女も、少女時代の様な愛らしい笑顔で話していた。

やがて再び、僕らは空を見上げ長い沈黙の時間が続いた。

のび太「しずかちゃん・・・・。」

しずか「何?」

のび太「僕、これからも何度も転ぶだろうし、挫ける事もあると思う」

しずか「うん・・・・。」

のび太「でも、起き上がる。何度でも起き上がるから!僕と一緒に歩いて欲しい。」

しずか「・・・・・。」

のび太「結婚してくれないか!?」

しずか「のび太さん、私が傍にいないと、危なっかしくて見てられないもの」

のび太「しずかちゃん、それって!?」

しずか「私、のび太さんの一生懸命な所が昔から好きだったのよ。のび太さん

普段はドラちゃんに頼りっきりだったけど、冒険中はいつもみんなに優しかった。」

しずか「私、のび太さんと結婚します。」

僕達が好きだった思い出の裏山で、僕はしずかちゃんと結婚する事を決めた


その後、僕としずかちゃんは僕の家に向かった。パパとママに報告するために

玉子「あら、のび太!どうしたの?こんな時間に」

のび助「久しぶりだな。おや?しずかちゃん、よく来たね。」

しずか「こんばんは、おじさん、おばさん」

のび太「パパとママに報告したい事があって来たんだ」

しずかちゃんが一緒なのが分かるとパパとママは僕らを見て微笑んだ。

玉子「・・・・そう、決めたのね?しずかちゃんとの結婚を

とにかく二人とも入りなさい。」

家の中はダンボールに包まれた荷物が多く積まれている、もうすぐこの家は取り壊され

僕らはマンションへと引っ越す事になるからだ。

玉子「のび太、先にドラちゃんに報告して来なさい」

のび太「えっ!?でも・・・・。」

のび助「いいから、行って来なさい!ドラえもんは今でも野比家の一員なんだから」

パパにそう言われると、僕は2階へ上がりかつての自室へと向かった。

のび太「この部屋ってこんなに狭かったんだな・・・・ドラえもんが帰ったばかりの頃は

広く思えたような気がするけど」

しずか「のび太さんが大きくなったのよ。」僕に続いて部屋に入ってきたしずかちゃんが

微笑みながら、答える。

机にはドラえもんの写真が飾ってある。別に死に別れた訳では無いが未来へ帰った以上

二度と会えないし、家族みんなで撮った写真なので僕が家を出る前に飾って置いたんだ

のび太「ドラえもん、久しぶりだね。」

しずか「ドラちゃん・・・今日、のび太さんがプロポーズしてくれたのよ。

ちょっと照れながら『僕と一緒に歩いて欲しい』って」

のび太「ドラえもん、君とは二度と会えないけど、君はいつもここにいる

僕の心のポケットに。君が望んだ未来が生まれる様に頑張るからね。」

そう言った後に僕らは部屋を出た。でも、出るときに君の声を聞いた気がする


ドラえもん「フフフ、のび太君・・・・幸せになってね。」


終わり


後書き

のび太は裏山が一番好きだと言っていたのでプロポーズするなら、ここしかないと思いました。
のび太の最後のセリフはドラえもんの映画1と2作目ED『ポケットの中に』の歌詞から取りました


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