2016-09-20 20:48:18 更新

概要

叢雲と提督の0話です。
今回は提督視点の0話を執筆してます。
どうして提督は提督になったのか、詳しい全容が判明します。(思いっきり途中だけどな!)スピンオフなので1話とかどうこう気にせず読んでね!


前書き

本編の方も是非読んでね!
それでは始まり始まり〜



これは提督が着任する少し前のお話、、、、、



俺の名前は俺、一応普通の大学に普通に通っている普通の大学生。最近は(しんかいせーかん)とかいう訳の分からんヤツに色んな物が破壊されたようで、、、自由の女神は下半身のみとなり海上石油掘削基地は海の藻屑になり、漁船はおろか客船・輸送船まで次々と沈没させられ死傷者は百万近くに登った。色んな国の軍隊が頑張ったみたいだが日に日に状況は悪くなり10ヶ月ほどで制海権は奪われた。そのせいで世界経済はほぼ壊滅、ようやく決まった俺の内定先は突如倒産、望みの無い就活を再開した所である。


ガタンゴトン

俺『はぁ、、、これで185社目やで、、、電車代も馬鹿にならんわ』

ガタンゴトン

俺 (このままだとマズい、非常にマズい、ガソリン代はとうとうリッター千円を越えたせいでバイクは使えへんし、、、それどころか車検近いのに車検代が捻出でけへん、、、)

ガタンゴトン

俺『はぁ、、、』

ガタンゴトン

爺さん『ぐがー、ぐがー』


俺 (えらい身なりの良い爺さんやな、さっきからずっと寝てるけど軍のお偉いさんか?)


爺さん『はっ、そろそろか、、、』


爺さん『そこの若いの、苦しい時代だが頑張るんだぞ?』


俺『は、はぁ、、』


爺さんは電車を降りていった。


俺 (何やけったいな爺さんやったな、まぁ悪い人じゃないみたいやしほっといていっか、、、ん?)


爺さんが座っていた真上の荷物棚には凄く高級そうな本革製の鞄と書類が大量に入っているであろう大きな封筒が置いてあった。


俺 (爺さんの忘れもんか?高そうなやつやな、、、とりあえず持ってこか、このご時世やと置き引きされてもおかしないで)


俺『俺も次降りるか、、、』


〜俺自宅〜


俺『気が付いたら持って帰って来てしもた、、、えらいこっちゃ』


俺(でも盗んだ訳じゃない、盗んだ訳じゃないで、他の人がほんまに盗る前に助けてあげたんや!そういう事にしとこ!)


俺 (ほんでもってまだあの爺さんの物と決まった訳じゃない、中身気になるし誰のもんか調べるついでに開けよか)ガチャガチャ


俺(よし開いた、中身は、、、書類に書類に書類、、、あったサイフ!免許証かなんか入ってないかな?、、、うわ、ごっつ入ってるやん諭吉さんがひぃふぅみぃ、、、ひゃぁぁ!どんな金持ちやねん!)


俺 (はっ、あかんあかん、免許証探さな、、、もう!保険証すら入ってないやん、、、書類に会社名とかあるならそこに届けよか)ガサゴソ


俺 (なんや?極秘資料?そんなん関西人に秘密とか言われたらめっちゃ見たいやん♪♪)


この時俺は知る由も無かった、どうせ会社の新商品とか新技術で自分には何も関係が無いと思っていた。だが現実は違った。


俺『なんや、、、これ?』


いつくかの写真、そこにはクジラのような化け物。口の中には大砲らしき物が見える。やたらと色の白い女の子が砲撃をしていたり。レポートらしき物も見つけた。


俺『なんでこんな旧軍風な書き方なんやろ、、、?読めるしいいけど』


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深海棲艦ニ関スル報告ト其ノ対策


・深海棲艦トハ、大東亜戦争ニ於ヒテ沈没及戦没シタ物ノ怨念等ガ何ラカノ発端ニ人型或ヒハ鯨型ノ兵器、兵士トシテ発生シタ物ト推測サレルガ、未ダニ確証ハ無シ。

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気が付いたら三時間ほどかけて全ての書類を読んでいた。どれも最後には山本六十六との名前があった。


俺(ふむふむ、、、、よーするにしんかいせーかんがいっぱいいて好き放題やってるけど最近ふねむすめ?なんて読むか分からんが艦娘とか言うのが見つかって研究も進んでうんたらかんたらってか、海軍の本部まで持って行ってあげよかな?ケーサツ持ってくんは事態の悪化に繋がりそうや、自衛隊の時にそんな事件あった気がするしな)


俺『明日にでも行くこか、駅からやと海軍本部まで遠いし久しぶりにバイク使うで!』



ー翌朝9時ー

俺 『よっしゃ行くで!』


俺 (しかし敵味方共に女の子が武装して戦うてインフィニットストラ◯スとかストライクウィッチ◯ズじゃあるまいし、、、)


俺 (女の子か、、、、最近は縁の遠い話やで) (´・ω・`)


ー考えながら走ってたら到着ー

午前10時12分



俺『ふぃー!ついたで!』


俺 (駐輪場が近くて助かった。あ、昨日の爺さんや、ちょうど良かったで)


爺さん『どうしたものか、あんな国家機密の塊である書類を民間人の巣窟である電車の中に置いてきたなんて、、、明日の会議に必要なのに、、、』


俺『あ、、あの〜、海軍の方ですか?』


爺さん『いかにも私は海軍中将山本六十六だ』


俺 (書類にあった名前や!)


俺『あのですね、電車の中に忘れ物しませんでした?』


爺さん『?!?!!!?』


俺『中将ともあろうお方が電車でご通勤とは驚きですよ。で、昨日電車に忘れ物しませんでした?』


爺さん『貴様、儂の荷物を知っているのか?!』


俺『知っているも何も今持ってますから、こんなに大事な書類もっと厳重に保管しないと、置き引きされても知りませんよ?お金も沢山入ってましたし』


爺さん『お若いの、ちょっと来てもらえるか?』


俺『は、はぁ、、、』


そうして本部の中に連れ込まれ応接間らしき部屋に連れ込まれた。

木材の床に白い壁紙、高そうな絨毯が敷いてありその上に重厚な机、それを挟むようにして赤いソファーがある。


爺さん(以降山本)『改めて自己紹介するが、儂の名前は山本六十六、海軍中将である。まずは礼を言わせて貰うぞお若いの、名前は?』


俺『私は俺という者です』


山本『とりあえず身分証明書あるかな?偽名だったりしたら困るから』


俺『免許証でいいですよね?はいこれ』(一体何事や?!)


山本『本物だな、、、よし返そう』


山本『で、本題だが、何処まで見た?』


俺『というと?』


山本『書類の事だ。何処まで見た?』


俺『えっとですね、、、、』(あ、、、下手したら殺されるやつかな?)


山本『別に怯える事は無い、殺したりはせんよ、正直に答えなさい』


俺『全部です、、、すいません、、』


山本『全部?!』


俺『しんかいせーかんの事とかふねむすめ?の事とか、、、書類にある事は全て、、、』


山本『儂と直接会えて助かったな俺君よ、下手しなくても死んでいたぞ』


俺『てっきり何か製造業の企業機密かと思いまして、、、持ち主の名前が何処かに書いてあればいいなー程度に思い気が付いたら全部読んでました、、』


山本『まぁ責めはせんよ、君がいなければ儂は今頃懲戒免職だったからな。だが君は知ってはいけないものを知ってしまった。この意味が分かるかい?』


俺『あの、、、、、催眠術とかで何か頭の中に細工でもするんでしょうか、、、?』


山本『はっはっはっ!!ぶふっ!くっくくくくく!!!いやすまんすまん、、、くくく、、、はっははは!

ひぃ、、、ひぃ、、』


山本『ごほんっ、映画の見過ぎだ、そんな事はせんよ。今ので色々と吹っ切れたわい、俺君の事が気に入ったよ。もうこの際今回の件は不問としよう』


山本『だが一つ聞こう、この資料について何か口外はしてないだろうな?』


俺『そりゃ勿論ですよ!こんなにえげつない資料ネットに上げたらすごい事になりますもん!』


山本『それは後々調べればわかる事だが君が信じるに足る人物というのは渡してくれた何も盗られてない財布が証明してくれたしな。こんなに不景気なのに中身を一銭も取らないのは感心だ』


俺『いえいえ、、、』


山本『ところで俺君、君はこの海を取り戻したいとは思わんかね?』


俺『そりゃ当たり前ですよ!あんなのに蹂躙されっぱなしじゃ腹の虫がおさまりません!』(だって内定先が潰されたんやもん!)


山本『どうやら儂の期待に応えてくれそうだ。来なさい俺君』


そうして5分ほど歩かされ本部の裏にまで連れて行かれた。


山本『あそこにいる女の子達が君の言うふねむすめだ。正しくは艦娘(かんむすと)読むんだよ』


俺『かんむす、ですか?』(みんなビックリするくらい可愛い子勢揃いやん!こんなんハーレムの塊やで!)


山本『現在深海棲艦は人類の既存の兵器では相手に出来ないほど増えている。艦娘達は深海棲艦と戦い、目を見張る程の戦果を上げてくれているよ』


山本『儂は今この艦娘達を指揮する立場の頂上にいる。俺君、提督にならないか?』


俺『提督、、、ですか、、、』


山本『提督だ、艦娘達を指揮する指揮官だ。興味ないかい?』


俺『勿論!やらせて頂きます。それにこうなったのも何かのご縁でしょうし。この国、延いてはこの世界の大洋の平和を取り戻す事が出来るなら喜んで!』


山本『そう言うと思ってたよ。それに艦娘の子達も可愛いと思わんか?』


俺『それも理由の一部ですよ』

(`・ω・´)キリッ


山本『はっはっは!!やっぱり気があうね俺君!もう少し歩こうか』


そうして港に出て歩きながら話していると女の子が凄い速度で走って来た。


???『長官!おっはよーごさいまーす!今日もおっそーい!』


山本『おう島風!今日も早いな!』


俺(すげぇ、中学生くらいなのにあんな格好、、、しかもTバックて、、、)


島風『おぅっ?!この人誰?!新しい提督?!ねぇねぇ提督なのっ?!わっかーい!おじさんじゃない!』


俺『え?えっと、、、山本さんの、、、』


山本『こらこら島風、困ってるじゃないか、この人は未来の提督だよ。もう向こうへ行ってなさい』


島風『はーい!』


俺『すごい子ですね、、、』


山本『正直儂も何処に目をやればいいか分からん、、、』


今度は小柄な女性が近づいてきた


???『あら、長官おはようございます。例の資料は見つかりましたか?』


山本『心配かけてすまなかった。無事見つかったよ。ありがとう鳳翔』


鳳翔『ところでそちらのお方は?』


山本『儂の恩人、というところかな?』


鳳翔『まぁそれはそれは、どうも初めまして、鳳翔と申します』ペコリ


俺『初めまして、俺です。』ペコペコ


鳳翔『海軍学校の方でしょうか?にしては少々楽な格好ですが、、』


山本『ちょいと色々あってな、完全に一般市民だ』


鳳翔『長官!懲戒免職ものですよ!どういうおつもりですか?!』


山本『まぁ明日の会議で艦娘の存在を公開するかどうか判断される。それ次第だな』


\シッレェェェカァァアン/


そう遠くないところから女の子が走って来た。


???『バーニングぅぅ!ラァァァァブ!!』


山本『しまった!俺君避けろ!』


危険に気付いた時にはもう遅かった。走って来た女の子に猛烈なダイビングハグを喰らい吹き飛び地面に押し倒されていた。


???『もう司令官ってばー、、、アレ?司令官少しslimになりましたネー?』


山本『金剛、儂はここだ、、、』


金剛『、、、?』


俺『い、、、いてぇ、、、』


金剛『オーマイゴッド!!!ヘイボーイ!大丈夫ですカー?』


慌てて起こされるも頭を打ったせいかかなり目眩がする。


俺『だ、大丈夫、、、多分』


鳳翔『金剛さん!何をしてるんですか?!あらあらあら、、、』


山本『やはり頭を打ったようだな。思いっきりゴツンって鳴っていたし。鳳翔』


鳳翔『はいっ、俺さん早く医務室へ。歩けますか?肩お貸ししますよ?』


俺『一応は歩け、、、ま、、す』   パタリ


薄れゆく意識の中で叫ぶ鳳翔とかいう女の人と慌てふためく金剛という女の子、心配そうにこちらを覗く山本さん。。。意識は徐々に闇に飲まれていった。



神は言っている、、、、まだ死ぬ時ではないと、、、、



俺 (おいおいこんなネタいらねぇよ)


俺(あれ?夢?ここは夢なのか?!それとも死んだのか?!うっすらと声が聞こえる気もするが、、、)


???3『#/#%;$#&a;$%☆ん!...くん!』


俺(あれ?この声鳳翔さん、、、?かな?)


???1『ヘイ!流石にそろそろ起きるネ!』


???2『お姉様、脳震盪の人を揺らすのはいかがなものかと、、、』


俺 (うっ、頭が、、、起きないと、、、1人は金剛か、、)


俺『うっ、、、』


???3『大丈夫ですか?無理して起きないでくださいね』


???4『ちょっと失礼、チェックワンツーっと、、、一応は大丈夫ですね』


俺『こ、、ここは?』


???4『医務室です。この度は姉がご迷惑を、、、』


金剛『ソーリー俺君!でも私がちゃんとここまで運んだネ!』


俺『あぁ、、うん、、で此方の方々は?』


???2 『お姉様と殿方を二人きりにはできませんから!』


金剛『hey比叡!そんな事はハッキリ言っちゃNOデスよ!』


比叡『ひぇぇ』


???4『あと逃げられたりしたら色々と困りますからね。ここは国家機密で溢れかえってますから。私は霧島と言います』


???3『榛名です』


榛名『起きたようなら長官をお呼びしましょうか』


比叡『なら気合!入れて!私が行ってきます!』


榛名『頼むわね比叡』


俺『どのくらい寝てたんですか?』


霧島『概ね四時間です。喉が渇いたでしょう?水です』


俺『どうも』


金剛『ホントに大丈夫?Are you ok?』


俺『I’m ok,don;t worry.』


金剛『英語話せるんダネ!ちょっとびっくりネ』


俺『一応現役で大学生ですから、、、』


榛名『学生さんでしたか、、、でも海軍学校の生徒さんでさえ無いのにどうしてここに?』


俺『私もよく分かりませんけど山本さんの忘れ物届けたらここにいました、、、』


金剛『忘れ物って昨日司令官が散々探し回った例の書類ですカ?!』


霧島『駅に忘れたかもしれないとか大騒ぎでしたね、万一漏洩でもすれば大事ですから』


俺『その資料、ガッツリ読んでしまって、、、』


金剛『oh....』


俺『皆さん本当に艦娘なんですか?』


金剛『勿論デース!艤装は外してますカラ見た目は分からないデショ?』


榛名『榛名も含めてここにいる女の子は全員艦娘です』


俺『かつての軍艦の魂が人型へと変化した特殊生命体。ですか、、、やっぱり人にしか見えないですよ』


霧島『私達も最初は戸惑いましたよ?なんで人の形なんだ!って』


榛名『それに全く同じ艦娘がたくさんいますし、、、とても怖かったです』


俺『金剛とか霧島って言うと金剛型巡洋戦艦の事ですよね。そのカチューシャみたいなのは艦橋に付いてた距儀器か何かですか?』


榛名『詳しいですね!榛名ビックリです。ここの提督さん達榛名達のこと全然知らなくて、、、』


俺『榛名さん、でしたっけ?終戦直前の呉の空襲で大破着底した。伊勢型戦艦と共同で二機ほど撃墜したんですよね?』


榛名『榛名の最期を知っているんですか?!』


俺『実際見てないですけど、、、でも終戦直後に録画されたフィルムは見ましたよ、みんな文字通りボロボロでした』


榛名『そうですか、、、』


俺『辞書ほど詳しくありませんがいろんな事を程々には知ってますよ。霧島さんはソロモン海戦でアメリカのワシントンに攻撃されて大破。曳航するか雷撃処分するかですったもんだしてるうちに転覆、そのまま沈没でしたね。』


霧島『そうでしたね、、、遠い遠い前世の記憶です、、、』


俺『ヘンダーソン飛行場の砲撃とかも有名ですよね!元より金剛型のデザインはカッコいいと思います。観艦式は壮観でした!』


金剛(元気になったみたいで良かったネ)


ガラガラー


山本『おっ!元気になって良かったぞ。今日はもう帰ってくれて結構だ。あとこれを持って帰ってくれ。帰ったらすぐに読むんだぞ?』


榛名『俺さん、これ荷物です』


俺『ありがとうございます榛名さん』(よし、中身はちゃんと入ってそうだ)


山本『ここまで電車か?よかったら海軍で車を出させてもらうが?』


俺『今日はバイクで来たので、、、そんなに気を使ってもらってもらわなくても大丈夫ですよ?ただの学生ですから、、』


山本『何を言っておるか!俺君は儂の恩人だ、しかもわざわざ直接持ってもらったのに礼の一つや二つさせてくれ。』


山本は俺への礼として何かさせてくれと聞かない。俺は出口まで見送ってもらえればそれでいいと言うもののやはり聞かない。


山本『むむむ、そういえばバイクに乗っていると言っていたね?』


俺『はい、最近はガソリンがどんどん高くなってまともに運転できてませんけどね』


山本『ならば、合成石油なんてどうだ?石炭から作った燃料だ。使えるように少し改造が必要だがその改造をお礼代わりにさせてくれ』


俺 (しつこいなこの爺さん、アレか?口止め料代わりにお礼させてくれってか?やからしつこいのか、、、ここはYesと言って事を収めよ)


俺『じゃ、、、じゃぁお願いします』


山本『そうと決まれば俺君のバイクを取りに行かねばな!』


俺『えっ?今すぐ改造する気ですか?』


山本『当たり前だ!善は急げと言うからな。無論帰りは送らせてもらうぞ』


俺『すぐそこの駐輪場ですから本部前まですぐ回してきます』


山本『金剛、護衛代わりに付いてやれ』


金剛『了解デース!じゃあ俺君、ちょっと出口で待ってて欲しいネ、私この格好だと少し目立ってしまいますカラ着替えてきマース』


俺『わっかりましたー』



約15分後。本部出口


俺(腹減った、、、)


金剛『俺君〜!』


手を振って走ってきたのは完全に私服の金剛であった。淡いピンク色の少し丈の長いニット、茶色の地に白いレースでふちを飾ってあるショートパンツ。真っ黒いタイツに白いスニーカー。いかにもお洒落な女子大生といった風貌である。


俺『おおぅ?!金剛サン?!カワイイデスネ』


金剛『サンキューね!どうせなら私とデートでもしまスカ?』


俺『really?!』


金剛『冗談デース☆でもこんな格好したらちょっと遊びたいfeelingネ』


俺『ならちょっとだけ遊びますか?遊べる所ならいくつかアテはありますよ』


金剛『まずは your motorcycle の所に行ってからデース』


俺『イギリス生まれの金剛さんなら多分気に入りますよ〜』


金剛『それはgood ネ!』


〜歩き始めて約3分〜道中〜


金剛『まだデースかー?』


俺『もう見えてますよ』


金剛『これが俺君の言ってたmotorcycle parking デスか?』


俺『イグザクトリーでーす』


金剛『私の真似はやめてヨ!別に片言English にする必要は無いネ』


俺 (どの口が言うんや!)


俺『ははっ、このバイクっすよ』


金剛『wow,,,,確かにcoolですネ!』


俺(今日ほどヘルメット二個載せといて良かったと思った日は無いで!)


俺『金剛さん、はいこれかぶって』


俺はオリーブドラブ色のジェットヘルメットを渡す


金剛『Hi ネ!、、、っと、これでok?』


金剛はどうやらDリングのつけ方がわからなかったようで紐が締めれてなかった


俺『ちょっと失礼しますよー』


金剛『ンー、間違ってましたカー』


紐をしっかり固定してあげる。


俺『これで良しっと』


俺は俺で黒いフルフェイスを被る、大学入学前にお年玉や郵便局の年末アルバイトの金を全てつぎ込みようやく買った一個である。金剛の方のヘルメットは彼女ができる事を想定して備えていた (だから髪の毛が崩れにくいと謳っていたのをわざわざ選んだ) が大学では全く必要が無かった、、、


俺『んじゃ行きますから乗ってくださーい』


金剛『OK♪よいしょっ』


俺『しっかり掴まっててくださいよ!』


金剛『こうデスカー?』ぎゅっ


俺『ひゃいっ!?』(これは嬉しい誤算!)


俺『俺っ!行きまーす!』


ブォーン ブォー ブォー


金剛『huuuu!!!』


俺『大丈夫ですかー?!』

ブォーン

金剛『大丈夫ネー!』


規制速度をほんの少し超えたところでアクセルを戻し速度を安定させる。全身で風を切り裂く様に進み景色は次々と通り過ぎて行く。数ヶ月前までは車でごった返していたが最近はめっきり減った、ごく稀に商用車が走っているかどうかだ。寂しくも感じるがほぼ自分だけの道という錯覚がとても心地いい。少し先の信号が変わったのでスピードをじわじわと落とす、車は居ないが歩行者や自転車はしっかりといるので信号無視は出来ない。


ヴーン↓ドッドッドッド


俺『どうですかー?』


金剛『so excitingデース!!』


俺『よれは良かったデース!』


金剛『でも本部はとっくにスルーしてるヨ?どこに行くのデスかー?』


俺『ちょっとお茶してから帰りません?金剛さんもちょっとだけ遊びたいんでしょ?』


金剛『tea timeは大事にしないとネ!俺君は話がわかってマース!』


俺『そろそろ信号変わりますし掴まってて』


ブォーン ブォォォン ブォー ブォー



ー数分後ー

大通りを抜け小道の小さな商店街の小さな赤レンガの店の前で止まりエンジンを切った


俺『ついたよ金剛さん』


金剛『金剛でイイね、このお店からは懐かし感じがしマース』


チリンチリンと鈴の音が鳴り店の扉が開きマスターが出てきた。見た目からマスター感が漂っている。


マスター『俺君じゃないか!久しぶりだね!就活が終わって以来じゃないか?』


俺『久しぶりマスター!色々あったんやで!ほんまに大変やったわ!』


金剛 (what’s up ?! 俺君が突然関西弁を話しだしタ?!すごいギャップデース、、)


マスター『そちらは彼女さん?やっとかこの色男〜』


金剛『what?!』


俺『そういう事にしときますわ、まだ店仕舞いしてなくてほんま良かった』


金剛 (/////)


マスター『早く入って入って!今お客さんいないから』


店は暗い色の木材を基調としてレトロな雰囲気を漂わせている。大正時代をイメージしたそうだ。金剛と俺はテーブル席に案内された


俺『マスター!俺はいつものでお願い』


金剛『umm、、、』


金剛『hey master オススメは何デスカー?』


マスター『ケーキセットかな?』


金剛『じゃぁそれでお願いしマース』


マスター『飲み物は何にする?』


金剛『紅茶が飲みたいネー』


マスター『ミルクティーかい?それともレモン?』


紅茶『straight でお願いしマース!』


マスター『畏まりました』


俺『お、マスターのマスタースイッチが入った』


マスターは手際良く皿やカップを取り出しケーキを皿に乗せコーヒーを淹れ紅茶を淹れ、流麗なその動きはさながらタクトを振る指揮者の様である。数分足らずで運ばれてきた。


マスター『お待たせ致しました、カプチーノ、本日のケーキ苺のタルト、ストレートティーでございます』


金剛『thank you デース』


マスター 『いえいえ』ニコ


マスター『俺君の彼女さん可愛いね』ヒソヒソ


俺『でしょでしょ』ヒソヒソ


マスター『こほんっ、ではごゆるりと』ぺこり


金剛『いい香りネ』ススー


金剛『master、コレはセカンドフラッシュのダージリンですカ?』


マスター『大正解だ!君は紅茶マイスターか何かかい?』


金剛『ただの紅茶好きネ』


マスター『味の分かる人で嬉しいよ』


俺『マスターのコーヒーはいつ飲んでも美味しいで』


マスター『ボクに胡麻なんか擦っても何もしてやれないぞ、こっちはそろそろ経営が危ないんだ』


俺『やっぱ今はどこも大変やね』


マスター『シンガポールよりマシさ、あそこもう人口半減してるだろ』


世間話等をしながらゆったりとした時間を過ごす、気がついたら一時間近く経っていた。



俺『そろそろ帰るか』


金剛『そうするネ』


マスター『また来てくれよな』


俺『次来るまで潰れへんように頼むで』


金剛『master!紅茶美味しかったデース!』


マスター『おう!お嬢ちゃんなら半額にしてあげるよ』


金剛『thank you ネ!』


金剛『海の平和は私達が取り戻すカラ、、、』ボソ


マスター『ん?何か言った?』


金剛『何も言ってないデース!また来マース!bye☆』


チリンチリン


俺『よいしょっと、金剛ヘルメット被れる?』


金剛『Yes♪もうベルトの通し方は分かったネ』


俺『おう、んじゃ乗って乗って』


こうして喫茶店を後にした二人はまた30分程かけて本部に戻った。



ー海軍本部ー


比叡『おねぇぇぇえさまぁまぁぁあああ!!!!』


榛名『どこに行ってたんですか!心配したんですよ?!』


霧島『私の推測によると、、、逢引でしょうか?』


比叡『ひぇっ?!私の金剛お姉様に、、、ゆ、、、許さない!!!』


金剛『hey hey比叡?少しcalm downするネ』


山本『、、、』


金剛『hey司令官も!そんなに恐い顔しないでヨー?確かにチョット寄り道したのは謝るネ』


俺『すいませんでした、あの、えっと、、、』


金剛『私が紅茶が飲みたいって言ったら本当に飲ませてくれたネ、だから悪いのは私デース!次は皆で行きマショー!』


俺『いえ!私が勝手に連れ出したんです!だから金剛さんを責めないでください!私を煮るなり焼くなりしてください!』


山本『まぁ、、、何も無かったらそれでいいんだがな、金剛に免じて今度そこに連れて行ってくれたら許そう』


金剛『さすが司令官!I love you so much!!!』


俺『あの、本当にご迷惑を、、』


山本『それはもういい、しかし中々いい趣味してるじゃないか』


俺『そうですか?』


山本『儂も昔乗り回してたもんでな。こういうのが特に好きなんだ』


山本『さて、後で持って行っておくからここに置いといて。車が待っている』


金剛『see you 俺君!また会える日を楽しみにしてマース!』


俺『おう、また会えたらね』


山本『そろそろ行くぞ』


俺『あ、はいっ』


榛名『お気をつけて』


比叡『また恋のライバルが増えてしまった、、、』ぼそ、、、





ー車ー


山本『しかし、金剛と仲良くなったみたいだな』


俺『紅茶奢っただけなんですけどね、、、』


山本『それじゃ俺君、もう一度確認するが本当に提督になりたいのかね?』


俺『勿論です。覚悟は決まってます』


山本『わかった。ならばあらゆる手続きは私達がしておこう。』


俺『あ、この辺りで降ろして頂ければいいですよ』


山本『帰ったらすぐにその紙を読んでくれ、あと、身の周りに気をつけるんだぞ』


俺『ありがとうございます。失礼します』



海軍の車に送られて家から徒歩20秒強の所で降ろしてもらい、黒いセダンが道を曲がるまで見送った。


俺『あああぁあ!!!疲れた!!』


俺『ほんまに色々ありすぎたわ。はよ帰って渡されたの読んで寝る!』



〜俺自宅〜


玄関の鍵を開けてして部屋に入る。特に朝と変化は無い。鍵を閉めて靴を脱ぎ居間の椅子に座り渡された封筒を開けた。


俺『なにが入ってるんやろ、、、?』


中身は手書きの手紙だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーー

俺君へ


君が提督になるに当たって必要な作業が幾つかあるのでその説明を簡単にさせてもらう。

・大学の中退手続き

・引越しの準備

この二つが君にしてもらう必要な作業だ。残りのややこしい作業は私でやっておくので心配は無用だ。

この件は他言無用なので絶対に誰にも言わないこと。親御さんには就職先が海軍になった程度に言っておきなさい。引越し準備に関しては明後日夕方までにしておいてくれ。

もうすぐ卒業の君には悪いが大学は辞めてもらう。事は急を要するのでな。詳しい事は明後日引越し荷物を受け取る時に教える。


日本国海軍中将 山本 六十六

______

|海軍本部|

 ̄ ̄ ̄ ̄

ーーーーーーーーーーーーーーーー



俺『、、、、、』



ぇぇぇええぇぇぇええぇえぇぇええぇえ?!?!?!!?!


俺 (マジかよ、大学は明日手続きして、引越しの準備急がなきゃ)


ー翌日、大学事務部ー


俺『諸々の諸事情により大学をやめる事になりまして、、、退学手続きをうんぬんかんぬん、、、』


事務員『分かりました、これらの書類を書いて学生証を添えて提出してください』


俺『分かりました』


ー約一時間後ー


カキコカキコ、、、

俺『よし書けたしハンコも押した。提出だ、あとは親のハンコとサインだけ』


俺『親になんて言お、、、全く説明つかんし、、、明日相談するか、、、帰りにダンボール買って引越しの準備せな』




ー自宅ー


俺『だぁぁぁあ!ダンボール重たいねん!』はぁはぁ


俺『ありったけ持ってきたぞ!さすがに家具以外は全部入るな』


俺『じゃぁ早速やろか』


少しずつだが着実に荷造りは進む。

春夏秋冬の服をダンボールへと次々と入れ、空いたスペースにCDや本を収め、フィギュアや昔作った下手くそな飛行機のプラモを緩衝材で丁寧に包み一つ一つ計算しながら入れる。ダンボールに入らないギターはケースに入れた。作業が終わると時計は午後9時を指し部屋はベッドと冷蔵庫のみとなった。空腹よりも眠気の方が強くなっていた。少し寝るつもりでベッドに入ったが、目覚めるとちょうど夜明けで太陽が顔を覗かせカーテンの隙間からオレンジ色の光が差し込む。


俺『朝やん、、、飯、、、飯』


広く淋しくなった部屋だと孤独感が強くなる、この感覚はあまり好きではない、どうせ引越しするなら早くしたい。そう思った矢先だった。

玄関の外から男の声がした。耳を澄ますと、、、


男1『ターゲットはこの部屋で間違いないのか?』


男2『間違いない、手早く済ませて帰るぞ、バレると面倒だ』ジャキッ


男1『おいチャーリー、ベランダは固めたか?』


チャーリー『okだ、万一ベランダから逃げようなら俺が一撃さ』


俺(めっちゃバレてるぅぅうう!?)


俺(ヤバい!これは暗殺とかそんな匂いやで?!しかもジャキッって!ジャキッって音したよ!)


俺(隠れな!隠れな!!!)


慌てて荷物を固めた部屋に戻り隠れようとするも荷物の隙間に入る余地は無いし荷物と荷物の隙間に隠れようにもバレそうである。ふと目に付いたのは一番大きなダンボール。

だがダンボールのみだと熱探知をされた場合絶対にバレる。全力で考えた結果毛布を思いついた。毛布に包まりダンボールに隠れてやり過ごす事にした。


ダンボールに隠れた時、玄関の鍵が開けられた。足音が聞こえる。


男1『いねぇのか?』


男2『微妙だな、どっか隠れたとかじゃねえのか?』


男1『そう思うならさっさと赤外線使え!』


男2『お、おう』ピピッ


足音がどんどん近づく、全力で息を殺した。


男2『反応がねぇな』


男1『運のいいやつだ、泊まりで出掛けるとはな』


男2『しっかしでけぇダンボールだな、中身なんだ?』ガサガサ


ダンボールの蓋が開けられた、殺される、息を止めるのも限界だ。


俺(頼むから早くどっか行け!)


男2『冬用の布団かよ、面白くねぇな』


俺(も、、、もう無理、、、)


男2『一般人のくせに金剛ちゃんとデートなんかしやがって!許さねぇ、、、畜生!』


男1『それより総督は何を考えてるのか分からん、なぜ一般人を、、、』


男1『居ないようなら帰るぞ』


男2『くそっ!』


男二人は帰ったようだった。体感で五分ほど粘りダンボールを出た。


俺『し、、死ぬかと思った、、、』


俺『とりあえずここで粘れるだけ粘ろ』


冷蔵庫に入っていたバナナを朝食にしてひたすら部屋で時間を潰した。


俺『暇や、、引越しの迎えはいつ来るんや、、、』


ー12時35分ー

雨が降り出してきた。ひたすら部屋の隅でぼーっと壁を眺めていた



ピンポーン


俺『だ、、誰や、、?』


匍匐前進で玄関へと向かう。

のぞき穴から外を覗くと男が1人立っていた。


ピンポーン


男『引越し業者のものなんですけどー!!俺さんー?!』


???『君は横須賀の提督でしょ?こんな所で何をしてるんだい?』


大人びた中学生もしくは少し幼い高校生くらいの声がした。


男『し、、、時雨?!なぜこんな所に?!』


時雨『総司令官に頼まれてね』


??『ってゆーか提督さん引越し屋さんに見えないっぽい!』


時雨『夕立!ついてきちゃ駄目だって言っただろう?』


夕立『夕立も司令官さんから頼まれたっぽい!』


男『くそっ!』


男は逃げていった。


時雨『俺って人も大変だね、、、』


ピンポーン


俺(出、、、出た方がいいのか)


夕立『夕立もピンポーンってしたいっぽい〜』


ピンポーン


夕立『いないっぽい?』


俺(どうする?どうする?!)


悩んだ結果ドアにチェーンをかけて玄関を開ける事にした。


ガチャ


俺『だ、、、だれ?』


時雨『俺さん?僕は白つっ、、艦娘の時雨、山本総司令官の命令で来たんだ』


夕立『夕立もいるっぽいよ!私は夕立っぽい!』ひょこっ


俺『う、、うん、、、な、何か用?』ガタガタガタ


時雨『そんなに怖がらなくてもいいよ?さっきの人みたいに危害を加えるつもりは無いからさ』


夕立『中に入れて欲しいっぽいっ』


俺『、、、、、、、ちょっと待って』


ガチャガチャ、、、、ガチャン


時雨『信用してくれてありがとう、引越し業者が来るまで僕達で護衛させてもらうよ』


夕立『ぽいっ!』


俺『う、うん。入ってよ』


時雨と夕立と名乗る女の子二人を部屋に通した。


俺『何か飲み物飲む?』


時雨『ありがとう。手伝おうか?』


俺『大丈夫だよ。オレンジジュースでいいかい?』


夕立『夕立それ好きっぽい!』


コップに注ぎ二人に渡す


夕立『ありがとっ』


時雨『ありがとうね』


一口飲むと時雨が神妙な面持ちでコップを置いた


時雨『その、、ごめんね、来るのが遅くなって。その様子だと朝に何かあったよね』


俺『文字通り死にかけたで、助かったのはほんま奇跡としか言いようが無い』


時雨『本当にごめんね』


俺『時雨ちゃんが謝る必要は無いよ。で、引越し業者はいつくらいに来るんだい?』


夕立『五時までには来るっぽいよー?』


俺『なら昼飯とおやつ買いに行くか?』


時雨『なら僕が行くよ。俺さんが行くと危ないからね。夕立、頼んだよ?』


夕立『ぽいっ』


俺『時雨ちゃん、お金は?』


時雨『大丈夫さ、ジュースのお礼って事にしておいてよ』


ガチャン


時雨は玄関を開け小雨の中へ出て行った


夕立『俺さん俺さん、夕立と遊ばない?』


俺『いいけどなにするー?』


夕立『ゲームするっぽい!』


俺『パソコンのでいい?てかゲームらしいのそれしか無いねん』


夕立『別に気にしないっぽい』


俺『んじゃ、、これっと、、、、』


夕立『カールオブ、、、でゅーていー?』


俺『ごめんな、持ってるのがこんなんしか無いねん、あとコールオブデューティーな』


夕立『暇が潰せるなら何でもいいっぽい!それじゃあ素敵なゲームパーティーしましょ?』


俺『望むところやで!ほい、コントローラー、これとこれで、あーなってこーなって狙って撃ってばーってなって、、』


ひとしきり教えた後ゲームを始めた、初心者をいじめるわけにはいかないので優しく相手していたが夕立の戦闘スキルは異常なまでの成長を見せ、小手先で遊んでやる予定が数戦もするとガチファイトでも勝てなくなってきた。


俺『夕立ちゃん!ちょwwwwえっwwぎゃー!!』


夕立『俺さんどーしたのー?あっ!やられちゃった』


俺『夕立ちゃん強すぎやで〜、っっと!

危ないっ』


夕立『えー、外れたっぽいー、お返しっ!』


俺『今の動きを当ててきたか!』


開始30分といったところで時雨が帰ってきた。


俺『おかえり時雨ちゃん』


夕立『おかえりっぽい?』


時雨『ここって便利だね、色々近くにあって、あ、これ買ってきたよ』


微笑んで近所のスーパーのレジ袋を少しだけ揺らす、結構な量を買ってきたようで中身を確認してみるとお惣菜のポテトフライとソーセージのパックが2つと小さなケーキ系のお菓子がいくつか、カン○リーマアムの割と大きい袋が1つ、チョコパイも同じく、あとは1.5リットルのミルクティーとざっと2千円分ほどの買い物だったようだ。


俺『おぅ、結構買ってきたね』


時雨『多かったかな?男の人の食べる量ってよく分からないから』


俺『食べ切れるやろしそっち方面は気にしなくていいねんで、重かったろうに〜』


時雨『そっちこそ気にしないでよ、これくらい重いのうちに入らないさ』


夕立『夕立お腹すいたっぽい〜時雨ちゃん早く食べよー』


俺『そういや二人ともこっち来る時食べてから来たの?』


時雨『朝食べたきりかな、それがどうかしたかい?』


俺『いいや、なら早く入って、手洗いうがいしてはよ食べよ』


時雨『そうするよ』(なんか微妙におばちゃんっぽい)


夕立『なんか俺さん妙におばちゃんっぽい!』


俺『完全におかんの影響や、関西やしまぁ仕方ない』


時雨が靴を脱ぎながら聞く


時雨『関西って俺さんのお母さんは大阪かどこかかい?』


俺『俺含めてみんな京都やで』


夕立『意外っぽい!京都って【何してはるんー?】とか言いそうっぽいのに!』


俺『いや、ドラマとかでそんな人よーおるけどあんな喋り方する人はまぁ希少やね、大抵の人は大阪の関西弁マイルドにした感じやわ。てかはよ食べよーよ』


夕立『ぽい!』


時雨『了解』


俺『んじゃレッツおやつタイム』


そうして時雨を部屋へとあげ、買ってきたものを広げる、ある種ホームパーティのようである。


もぐもぐ、、、

夕立『ほへはんほへはん(俺さん俺さん)』


時雨『行儀が悪いよ夕立、飲み込んでから喋りなよ』


夕立『ごっくんっ、、ぽいっ!』


夕立『俺さんってなんで司令官とお知り合いになれたっぽい?』


時雨『それは僕も気になるな、教えてくれない?』


俺『おう、、、すっごい機密資料を山本さんが電車に忘れて〜、それを俺が全部読んだ上で山本さんに返したのがきっかけやね』


夕立『機密?』


時雨『あぁ、あの報告書と意見具申書の事だね、司令官大騒ぎだったよ』


夕立『確かに凄かったっぽい!わしゃクビじゃぁぁとか言って鳳翔さんと千歳さんがなだめてたっぽい』


俺『大変だったんやね、、、』


時雨『俺さんが渡してくれて助かったよ』


時雨はそう言った後壁にかけてあった時計にチラリと目をやった。


時雨『ヒトサンヨンゴー、もうそろそろだね』


俺『???何かあるの?』


時雨『テレビって映るかい?』


俺『テレビ?一応映るはずだけど(何や?見たいアニメでもあるんかな、、?)』


夕立『そう言えばそろそろ司令官さんがテレビにでるっぽい!』


俺『パソコンに一応の一応はチューナー入ってるけど、、、映るかな?』

パソコンカチカチ、、、カチッカチカチッ


俺『あ、ついたついた、番組どれ?』


時雨『国営放送だね』


言われた通り国営放送にすると官房長官とかがよく記者会見をするあそこが映っていた、テロップで間も無く海軍より重大発表というのが流れている。


俺『何が発表されるの?』


時雨『資料読んだのなら多分分かるよ』


夕立『もぐもぐ、、、』


時雨『夕立、晩御飯食べ切れなくなってもしらないよ?』


夕立『大丈夫っぽい!』


〜15分後〜


14時になると山本さんが壇上に上がり一礼すると話し始めた


山本『えー、海軍中将山本六十六です。この度総理大臣より深海棲艦対策大臣の任を受けました。マスメディアの皆様は深海棲艦の事を各自なりに調査し、その上で様々な所で憶測が飛び交いましたでしょう。我々海軍も全力で調査いたしました。これまで無用な心配や混乱を招くとの懸念から機密とさせていただきましたが度重なる会合の結果、機密指定を解除し、公開する事となりました。まずこの写真を見ていただきたい』


山本さんの背後にあったプロジェクターにこの前見たクジラ型深海棲艦の写真が映し出された。この辺りのものは深海棲艦が出始めた頃からある程度は知られていたので記者たちはそこまで反応しなかった。


山本『この深海棲艦を我々はイ級と命名してます。このイ級は最も数が多く数は1万ないし10万と予測されます。』


記者たちがざわめくが山本さんは続ける


山本『当初生物かと思われていたイ級ですがどうやら機械と生物どちらにも属さず口の中にある大砲により攻撃します。その意思は不明でただ人類の作ったものを無差別に破壊している点から何か大きな意思が関わってる事は分かっているのですがその何かは依然調査中です』


山本『各国の海軍が殲滅させられたのはこのイ級のみのせいではありません。この程度ならば対処が可能でした。深海棲艦は種類にして10以上確認されてます。主に最新の武器を駆使する海軍がやられたのはこの深海棲艦らです』


次の写真が映された、記者たちの戸惑いの声でざわめく。女の子が砲撃をしているあの写真だ


山本『この深海棲艦はタ級、イ級と違い外見は完全に女性です。イ級とはあらゆる面から能力が違います。その主砲は米空母も一撃で戦闘不能にされ、こちらのイージス艦の主砲、ミサイルは全く歯が立ちません』


山本『徐々に我々の反撃規模は小さくなり国費は新しい艦の建造に費やされ財政を圧迫しつつあり戦況の打開が望まれている時でした』


山本『そんな時、一筋の希望が見えます。ある日深海棲艦と交戦する少女がいたと米軍から連絡が入りました。直後にいずもを向かわせ捜索を開始し、数時間後、報告にあった少女を発見しました。彼女は旧日本海軍の艦艇の名前を自称し持っていた武装はその艦艇が装備していた物に酷似していました、発射させてみたところ威力もかつての軍艦とほぼ同じでありました。』


山本『藁にもすがり猫の手も借りたい我々としては彼女達 を戦力として迎え入れたい、しかし果たしてそれは倫理的にどうなのか?海軍内でも大きく意見が別れました。彼女に質問してみた所、私は戦うために生まれたとの二つ返事で了承を得たので新戦力として運用する事を決めました。彼女の様な少女を艦娘と我々は命名しました』


夕立『ぽい!そろそろ吹雪ちゃんが登場するっぽい!』


時雨『どうなるのかな、、、想像つかないよ』


山本『ではここでその【彼女】を紹介しましょう、吹雪、こちらへ』


すると会場にガッチガチに緊張しロボットのようなカクカクした動きで吹雪が登場し壇上の山本さんの隣に立った、山本さんが吹雪に耳打ちをする。きっと落ち着けとか自己紹介しろとか言った事を言っているのだろう


夕立『吹雪ちゃん〜頑張れ〜!』


夕立のテンションはお遊戯会で劇に出てる我が子を応援する保護者みたいになっていた



吹雪『あっ、、あのっ、、とっとっと!特型駆逐艦の吹雪です!はっ!初めまして!』


記者団は戸惑いの声やほっこりした笑いでざわめくが山本さんは続けた


山本『彼女はかつての大戦で活躍した駆逐艦の生まれ変わりといった所で艦の記憶を持っています、深海棲艦との戦闘では目を見張るほどの戦果を挙げてくれています、吹雪さんに所信を表明していただきましょうか』


吹雪『この世界の海を平和にする為、この身果てても私は戦います!その為にも皆さんからのご理解とご協力が必須なんです!どうかよろしくお願いいたします!』


吹雪が大きく頭を下げると

そんなに大きくない拍手が会場に響く。吹雪は少し安堵した表情になり、山本さんがまた吹雪に耳打ちした。今度はよくやったとかお疲れ様とか言ったのであろう。


山本『記者の皆さん、これより5分ほど質疑応答とします。何か聞きたい事は?』


記者1『深海棲艦は複数いる事は分かりましたが艦娘にも種類といったものが存在するんですか?』


山本『えー、単刀直入に言いますと、戦艦から潜水艦まで、旧日本海軍艦艇の殆どが艦娘になっていることが確認されております』


記者2『艦娘は一体何人所属してるんですか?またどの様な待遇なのでしょう?』


山本『所属人数は防衛の機密上言う事は出来ませんが、待遇に関しては衣食住の保証はされており給料に関しても国家公務員と同額の基本給に危険手当等がついてます』


記者3『えー、吹雪さんに質問です、戦闘は怖くないんですか?』


吹雪『怖くないと言ったら嘘になりますけど、この海を取り返す為です!覚悟は決まっています!』


記者4『吹雪さん!出身はどこですか?』


ここぞとばありに吹雪は即答した


吹雪『舞鶴海軍工廠です!』


記者4『真面目に答えてください』


吹雪『えっ?本当なんです、、けど?』


記者4『どこ出身なんですか?お父さんお母さんは?』


吹雪『えっ?えっ?』


記者4『いやだから、出身地を答えて』


吹雪『信じて、、くれないんですか、、?』


山本『吹雪、大丈夫だ』


記者4『どうして答えられないんですか?』


山本『吹雪はしっかり答えていますよ、国家公式の立場の人間が公の場で嘘なんて国の信用を落とすだけの事です。納得出来ません?』


記者4『出来るはずないだろ』


会場に重〜い空気が流れ凍りつく。


山本『貴方、肩に何かついていますよ?』


記者4『、、???』チラッ


妖精『コンニチハ!!』


記者団の視線は全て記者4の肩に注がれ大量のフラッシュが焚かれるが会場の固定カメラではテレビに映らない、山本さんがニヤニヤしてるだけだ


記者4『うわぁぁあぁぁああ!!!なんだこれはぁぁ?!?!取ってくれ!取ってくれぇぇええ!!!』


記者4『ぁぁあ!!!!』パタリ


記者が失神し警備員に運び出される。


記者2『大臣!これは一体何ですか?!?!』


山本『これは妖精と呼ばれる謎の存在です。艦娘と同時に発見され艦娘の補佐的役割を果たしますがそれ以上は何も分かってません』


山本『もう我々の常識や科学は通用しない、この子達を信じる他道はない。という事は理解出来ましたでしょうか?』


山本『これより人類の反撃が始まる。といったカッコいいタイトルでもつけて頂けるとありがたいです。ではこれにて終了という事で。』


一礼すると山本は吹雪を連れ会場を出た。画面から二人が消えるとニュース番組が始まった。スタジオへとカメラが切り替わりキャスター二人の呆然とした顔で口をあんぐり開けていた。


夕立『吹雪ちゃん頑張ったっぽい!』


俺『いやしっかし面白かったなあの記者、白目むいて泡吹いてたで。てかまだキャスター何も喋らんやん、、、

おぉ喋った喋った』


時雨『何も無ければこの後司令官がくることって僕言ってたっけ?』


俺『、、、?!』


夕立『俺さん凄い顔してるっぽい』


時雨『大丈夫さ、俺さん提督になるんでしょ?その説明だと思うよ』


俺『忙しいんちゃうの、、?』


時雨『そうでもないよ?僕たち艦娘もけっこうお手伝いしてるしーー』


時雨が喋ってる途中部屋の片隅に忘れ去られているケータイが鳴った。


俺『おぉ、珍しい、電話鳴ったで』


画面を見ると身に覚えのない番号からかかって来ている、恐る恐る出てみる


俺『もしもし?』


山本『もしもし俺くんか?』


俺『?!?!や、ややや山本さん?!』


山本『おう、ワシ今からそっち行くからよろしく頼むな』


俺『ど、どうして俺の番号を?』


山本『国家権力を使えばこんなの容易いものさ、そこに時雨がいるなら代わってもらえんか?』


俺『時雨ちゃん、山本さんが』


そういって時雨にケータイを渡す


時雨『代わったよ司令官、、、うん、大丈夫みたい。そうだね、うんわかった。。あとどれ位で着きそう?、、、、わかった、夕立に近くまで行ってもらうよ、じゃあ気をつけてね』


夕立『私がお迎えに行くっぽい?』


時雨『五分後にそこの角に立って欲しいだってさ』


夕立『ぽいっ!』


俺『お湯沸かしとこ、、、山本さんてお茶派?コーヒー派?』


時雨『どっちも飲むよ。コーヒーなら僕も欲しいな』


俺『おっけー』


〜5分後〜


夕立『んじゃ司令官さん迎えに行くっぽい!』


時雨『気をつけてね』


俺『いってらっしゃーい』


ガチャン


俺『時雨ちゃんてコーヒーに砂糖とミルクは入れる?』


時雨『両方とも入れるよ、少し甘めかな』


俺『ほーい』


高速湯沸かし器(ティ◯ール)のスイッチを押して沸くまでの間にドリッパーにコーヒーを入れる。


時雨『珍しいね、輸入品なんて滅多に手に入らないのに』


俺『ちょっと前に喫茶店のマスターに分けてもらってん、美味しいで』


時雨『それは楽しみだな』


俺『あぁ、なんか緊張してきた、、』


時雨『緊張するだけ無駄だと思うよ?司令官は基本優しい人だから』


玄関のドアが開く


夕立『ただいまっぽい〜!』


夕立が帰って来たようだ


俺『はわわわわわ、、、』


山本『邪魔するぞ〜』


俺『ひゃいっ!』


山本『何を今更緊張してるんだ俺君よ?上がらせて貰うぞ〜』


俺『どどどどっどうぞ〜』


山本『よしよしいい子だ、しっかり準備出来てるじゃないか。』


俺『忙しいのにわざわざお越し頂いて、、、お手数おかけします、あ、コーヒーです』


山本『ありがとうありがとう、、、と言うかそんなに畏まるな、ワシのことは親戚のおじさん程度に思ってくれりゃあいい。なんならロクちゃんとか呼んでもいいぞ?』


俺『そんな訳にもいきませんよ!何言ってんですか?!』


山本『偉くなり過ぎて友達が居ないんだ、、、』(´・ω・`)


俺『ろろ、ろ、、、ろくさん、、、とか、、、?』


山本『(*゚▽゚*)』


時雨・夕立(あ、、、司令官さんガチで嬉しいやつだ)


山本『ごほんっ、では本題に入る。今日来させてもらったのは俺君に提督業の説明とワシの家へ引っ越してもらう準備だ』


俺『山本さんの家?!?!』


山本『説明の方は言わずとも分かるだろうがワシの家に来てもらうのは監視という意味もないわけじゃないが本命は君の身柄保護だ。身に覚えあるだろう?』


俺『今朝走馬灯を初めて見ました。。。』


山本『まぁ今朝の数名はもう既に逮捕され軍法会議にかけられる事が決定している。同じ奴に狙われる事はまぁないだろう』


山本『では説明だ、メモの準備した方がいいぞ?』


俺『あ、はい』


山本『まずこれからの予定を言うぞ、今日中に引っ越しをしてワシの家に住む、そこで提督になるための教育を私や艦娘から受けてもらう。』


俺『はい』 メモメモ、、、


山本『ある程度終わったら今度は試験だ、まぁ合否に関係なく提督になってもらうがな』


山本『ほんでもってあーでこーでそーなってここでそーでそんでもっててんやわんやでかくかくしかじかで、、、』


山本さんの話はかれこれ二時間にも及んだ


山本『まぁざっとこんなもんだな』


俺『、、、』(白目)


山本『、、、大丈夫か?』


俺『久しぶりに頑張った気がします』


山本『まぁこれからずっと頑張ってもらうんだ、これくらい余裕綽々でやってもらわんとな』


俺『うぃっす』


山本『そろそろトラックが来る頃かな』


俺『なら早くパソコン片付けな』

ガサガサ


山本『時雨、ワシ何人呼んだっけ?』


時雨『僕が知るはずないでしょ』


山本『まぁ十人くらいだろう』


夕立『夕立も手伝うっぽい!』


山本『よしよしいい子だ夕立』ナデナデ


夕立『ぽぃぃいぃ〜』


時雨『来たみたいだね、僕が出るよ』


トラックがアパートの前に止まった、時雨が玄関を出て誰かと話している。何かブツブツ文句を言ってるようだ。


ー外ー


??『不幸だわ、、、』


??2『欠陥戦艦だから雑用なんて、、私だけならともかくお姉様まで』


時雨『扶桑!山城!』


扶桑『あら、時雨ちゃんじゃない』


山城『あなたも雑用でここまで?』


時雨『雑用って、、そんな訳ないじゃないか、司令官に信頼されてるから頼まれたんじゃないかい?二人とも毎回捉え方がネガティブすぎだよ』


すると運転席のドアが開いた


??『ありがと時雨、ボクらが幾ら言ってもご機嫌斜めだからさ』


??2『モガミンは運転が上手って事に驚きですわ、ぶつからないなんて、、、』


最上『ボクがぶつかるのは多分三隈くらいのものさ』


三隈『ちょっとそれは酷くない?!』


時雨『まぁまぁ、早く作業開始しようよ』


ー俺宅ー


俺『よし、これでもう出れる』


ガチャン


俺『はーい、今日はよろしくお願いします、、、ぅ?!』


山本『よく来てくれた、では早速作業に入ってもらう。』


俺『俺も手伝いますよ〜?あっ、どうもです、俺って言います初めまして』ペコリ


最上『ボクは最上さ、よろしくね』


三隈『三隈ですわ』


扶桑『ふ、扶桑です』


山城『山城です』


挨拶も程々に作業に入る、四人共女の子とは思えない力でひょいっと重たい家具を持ち上げてトラックに積み上げていく。俺は時雨や夕立と一緒に持ったり衣料品の入った段ボールを運んだ。(途中お隣さんから質問攻めにもあったりした)


〜約一時間後〜


三隈『よいしょっと。これで最後ですわ』


山本『お疲れさん!それじゃあワシの家行こうか、俺君、忘れ物の確認と大家さんに連絡しときなさい』


俺『分かりました〜』


一階に住んでいる大家さん宅を訪れしばらく家を空ける旨を話した後ざっと部屋を何もない部屋を見回し忘れ物がないか確認した。(紙くず1つ落ちてないのでぶっちゃけ30秒もかかってない)


トラックの荷台に揺られて約20分どうやらついたようだ。着いたのは郊外と市街地の中間辺りにある大きな日本家屋であった。


山本『俺君よ、ここがワシの家だ、君には離れを丸々貸すよ、家賃代わりにしっかり勉強するんだぞ?』


俺『なんて言ったらいいか、、、言葉になりません、、、有難うございます』


山本『おう!んじゃ早速作業だ、ワシは嫁さんとイチャイチャしてくるわ』


そういって母屋の奥に入って行った


俺『山本さんの奥さんてどんな人?』


時雨『綺麗な人だよ、司令官帰ったら真っ先に仏壇に手を合わせるんだ』


最上『綺麗な愛だよねー、ボクもそんくらい愛されてみたいな』


夕立『とりあえず運ぶっぽい〜』んしょんしょ


三隈『夕立ちゃん大丈夫?手伝いますわ』


俺『んじゃさっさとやろっか』


積み込みの時より遥かに速く降ろされていく荷物達、荷解きも含めてものの15〜20分で作業がおわってしまった。終ったとほぼ同時に山本さんが離れを訪れた。


山本『おうお疲れさん!大丈夫だったか?』


俺『はい、しっかし大っきいお宅ですね〜、趣もあって、こういう家大好きです』


山本『気に入ってくれたか!よかったよかった!』ニヤニヤ


山本『お前らはどうする?一応頼んだ事はこれで全部だから帰ってもいいぞ?約束通り礼は明日以降いつでも甘味奢ってやる』


夕立『夕立間宮さんの特盛ぱふぇが食べたいっぽい!』


最上『ボクもそれがいい!』


三隈『私モロ◯フのプリンが欲しいです!』


時雨『僕もそれでいいかな』


扶桑『なら私も、、、』


山城『私も姉様と同じで』


山本『覚えておくよ、じゃあ気をつけて戻りなさい』


敬礼をして全員がトラックに乗り込み出発する。トラックが見えなくなったところで山本さんが口を開いた。


山本『んじゃ家の中案内するぞ、まず嫁さんを紹介する。』


母屋に通され、仏間に案内された。仏壇には黒くて長い髪の綺麗な女の人の遺影が飾ってある、時雨の言った通りであった。正面に正座し静かに手を合わせる。少し質問しようと口を開きかけたら山本さんから話してくれた。


山本『30年くらい前だったかな、、飲酒運転の車が信号無視をして自転車に乗っていた彼女を撥ねたんだ、そのままその車も電柱に激突して運転手も死んだ』


俺『、、、なんかすみません』


山本『気にするな、30年も経ちゃぁ流石に立ち直る。それに娘とかいろんな人に助けられたからな』


山本『んじゃ次行くぞ〜、母屋のトイレはこことそこの角ね、台所はこの部屋で君の教室になるのはここの客間だ。んであーでこーで、、、、』


〜10分後〜


山本『こんな感じだ、迷う程広くはないが分からない事があればまた聞いてくれ』


俺『わかりました〜、ロクさんロクさん』


山本『どうした俺君?』


俺『お腹減りました』


山本『安心しろ、ワシもだ。何かリクエストはあるか?』


俺『んー、特には、、、』


山本『引っ越ししたんだから、蕎麦なんかどうだ?出前取ろう』


俺『いいですね〜!』


山本『では早速電話するぞ』


〜30分後〜


蕎麦屋『まいどありぃ〜』


山本『よっしゃ食べるぞ〜ここの蕎麦屋は旨いんだ』


俺『そういや関東の蕎麦食べるのは初めてです』


山本『そうなのか?!なら丁度いい体験じゃねぇか、食え食え』


俺『いただきまーす』


オイシイデス ソウカソウカ


〜食後〜


山本『しかし俺君は京都出身だったとはな、しかもお父さんはアラブ系と来たもんだ、どうりでこんなに格好良くなる訳だよ』


俺『あり?俺そんな事言ってましたっけ?』


山本『あぁ、すまんすまん、最初の段階で身辺調査させてもらってるからね、万が一俺君が他国のスパイだったら困る』


俺『まぁここまで来たら何されても驚きませんよ』


山本『ははは〜なんかすまんな。さ、明日は早いぞ〜、風呂入ったらとっとと寝ようか』


俺『了解でーす』


〜深夜〜

俺(寝れん!!今日は色々ありすぎや!!)


俺(朝は殺されかけ昼は中学生と遊んで怪力女子に引っ越しを手伝ってもらい海軍のトップの家で寝てるやて?!)


俺(笑えるわ、、、今までの人生モロにモブやった俺が主人公やって、、)


ガサガサ


俺(なんや今の音?、、、まさかG?!あ、スリッパが丁度いいとこに)


俺は静かに起き上がり部屋の灯りをつけるべくスイッチを入れる、一呼吸おいて照明が光りだす、、、、



俺(さぁゴキちゃ〜ん、、、いるなら出て、おい、、、、??)


壁に張り付いていたのはゴキ、、、ではなくニンジャっぽい女の子であった、状況が上手く呑み込めないので電気を消す。そうだ見間違いだ、俺は疲れているんだ。1度スイッチを切り、再び灯すとやはりそこにいる。


俺はスリッパを全力投球した


???『痛い!!!ちょっといきなり何すんのさ!!』


俺『夜中に人の部屋の壁に張り付いてるってどないやねん!!!アホか!こちとら今日色々ありすぎて疲れとんねん!!!トドメか?!トドメ刺しに来たんか?!俺は寝たいねん!十中八九お前艦娘やろ?!もういいわ!』


???『ちょっとちょっと、そんな怒んないでよ〜、こっちは君の顔見に来ただけで別に起こす気無かったんだから。夜が明けたら嫌でも会うんだし』


俺『明日教えてくれる先生か?もう何でもいいわ、、、もう寝る、、』


俺はもういい、もういい、とブツブツ呟きながら灯りを消して布団に入る、、、呟きは次第に寝息へと変わっていった


???『ちょっと可哀想な事しちゃったかなぁ?神通、そこいるんでしょ?』


神通『もう川内姉さんは、、、来たらだめだとしっかり夕方言いましたよね?』


川内『ごめんごめん、どうしても気になっちゃってさ、そういや那珂は?』


神通『夜更かしは肌の敵、アイドルの敵なんだからって言って来てませんよ』


川内『じゃ、帰りますか』


二人の少女は月明かりの中を歩いて行った。


〜翌朝、5時〜


山本『俺君起るんだ、素振りするぞ』


俺『は、、、、はい?』


かすれた視界の中、眠い目をこすりながら中庭へ出る。よく分からないのはお構い無しに木刀を渡された。


山本『剣道はした事あるかい?』


俺『高校の時授業でちょっとかじっただけですけど、、、こう持って、、、足はこーで、、めぇん。でしたっけ?』


山本『まぁ一応型は出来てるな、よし、100回したら顔洗って飯だ』


俺『ふぁ〜〜い』


あくびしながら素振りをする。100回がどんなものかよく分からないが力の抜けた声でてぇいとか言いながら振り下ろしていく。30回目くらいから腕がだるくなり70回目で変な音を関節や筋肉が立てはじめ、100回目が終わるともう腕が上がらくなった。隣で一緒に素振りしていた山本さんが話しかける。


山本『目はさめたか〜?これから毎日するからよろしく頼むぞ』


俺『は、はい、、、お腹空きました、、、』


山本(眠いんじゃなくて腹空いてたのか!?!)


山本『すまんすまん、なら早く食べよう』


朝食は結構立派な和食でした


〜食後〜


山本『よし、では30分後に授業といくかな。第一回はワシだ』


俺(そういやこれ誰が作ったんだろ?、、、まいっか、美味かったし)


俺『よろしくお願いします』


山本『片付けはワシやっとくから部屋で準備してなさい。では30分後に』


俺『失礼します』


〜離れ、自室〜

ガラガラ〜


俺『、、、、』


川内『、、、や、やぁ』


俺 ε=(・д・`)


川内 『えっ?!』


俺『もう何があっても驚かない』


川内『よく分かんないけどなんかごめん』


俺『艦娘ってのは分かるけど、名前は?』


川内『私?川内だよ、よろしくね俺君』


俺『で、なんでここに?』


川内『盗聴器探し、かな?』ホレ


川内が見せてきたのは簡易的な検知器らしきものと電子機器(たぶんこれが盗聴器)だった


俺『いくつ見つけました?』


川内『2つ。かな?多分これで終わりだと思うよ。そこのぱそこんとかいうやつも調べたけど付いてなかったし』


俺『山本さんからの指令か何か?』


川内『そうだよ、荷物に紛れてたら面倒臭い事になりそうだってさ』


俺『まぁそだね』


山本『俺君準備できたか〜?お?川内来てたか、幾つ見つかった?』


川内『二つです、この機器で発見出来るのはこれで終わりだと思いますが見た限りはもう大丈夫でしょう』ビシッ


山本『まぁ簡単な機械だからな、ご苦労。ワシの次の授業はしっかり頼んだぞ』


川内『はっ!』


山本『じゃあ俺君始めようか、教室は少々ホコリ臭いがそこの蔵だ。』


俺『蔵まであるんすか?!』


山本『元々商人の家だったらしいからな、色々あるんだよ』


〜蔵〜


蔵の中はカビやホコリの匂いは思っていた程ではなく。椅子に机・ホワイトボード・音響装置・プロジェクター・ノートパソコンとかなり充実しており自分一人のためにここまでしてくれるのは嬉しいが少し申し訳ない気持ちにもなった。


山本『それでは第一回と行こう。まず敵である深海棲艦についての説明と行こうか?艦娘からがいいか?どっちからがいい?』


俺『深海棲艦からでお願いします』


山本『わかった、深海棲艦は文字通り深海に存在していて無条件に海上の人工物に反応し破壊活動をする、その実態の殆どは謎だ、この辺りは例の資料を読んだ俺君は知っているだろう?だがアレはほんの一部でかくかくしかじかで云々ーーーーーーーー』


山本は深海棲艦の事、艦娘の事、艦隊指揮の基本を簡潔に30分丁度で説明した。


山本『ーーーーっといった感じだ。入門はこんなもんかな、時間丁度で終わるとは我ながら大したもんだな。何か質問はあるか?』


俺『山本さんの説明が上手でしたので特には、、、』


山本『おぅおぅ!そう言われると嬉しいぞ!』


山本『それじゃ5分休憩だ、次は川内が講義をする。ワシは今から本部で仕事だ、帰るのは多分7時頃だろう。頑張れよ俺君。』


俺『いってらっしゃいロクさん』


山本『おう!』


山本と入れ替わりに川内が部屋に入る。


川内『あ。大丈夫大丈夫、まだ休憩してていいよ、そういや横須賀本部が俺君の話題でもちきりだったよ?』


俺『まぁ一般人があんな所入ればそうなるでしょうね、、、』


川内『青葉って子が個人的に出してる艦娘向けの新聞でね〜、『謎の好青年戦艦金剛と逢引きか?』って見出しで特集組まれてたみたいでね。私読んでないからよく知んないけど』


俺『ぉう?!』


川内『金剛派の提督達が怒って『コノ怨ミハラサデオクベキカ』って俺君の暗殺未遂って事件になっちゃったもんだから青葉がショック受けちゃってさ〜、謝りたいんだってさ』


俺『まぁ無事ですし気にしてないって言っといてください』


川内『伝えとくね。あと私には敬語なんて使わなくてくれていいから!仲良くやろ!』


俺『わ、、分かった、、』


川内『んじゃ授業始めるよー!私が教えるのは夜戦ただ一つ!』


川内の夜戦に関する熱弁は3時間に渡った、、、、


川内『ーーーで、☆#/というわけ!わかってくれたかな?』


俺『、、、つまり駆逐艦でも一撃で戦艦を仕留める大番狂わせが可能だけど向こうも同じだけ当ててくる時もあってそれがスリリングで快感だと?』


川内『まぁすっっごい要約したらそんな感じだね!とにかく夜はいいよ〜』


その時ゆっくりとドアが開いた


???『川内ちゃん終わった?』


川内『あぁ羽黒!ごめん!長引いちゃった!』


羽黒『いいの、気にしないで』


俺『???』


羽黒『あなたが俺君ですか?初めまして、あの、羽黒です』


俺『初めまして、よろしくお願いします』


羽黒『えっと、、、あの、、、ごめんなさい!』


俺『はぇ?!』


川内『羽黒はね、緊張すると何故か謝っちゃうんだよ』


俺『えっと、、羽黒さんは何の先生で?』


羽黒『艦隊陣形とその運用方法です、、、』


俺『単縦陣で丁字戦とか同航戦とかのアレですか?』


羽黒『しってるんですね、、、』


川内『んじゃ、私は行くね〜』


がしっ


川内『??』


羽黒 ・ー・・・ ・ー ・ー・・ ・ー・ ・ー ・ー・ーー ・・

(オ・イ・カ・ナ・イ・デ)


川内『えーっ、大丈夫だって!緊張するだけ無駄だと思うよ?』


羽黒 ・ー・・・ ーー・ー ・ー・・ ・・ ・ー

(オ・ネ・ガ・イ)


羽黒 (´;ω;`)


川内『あーもうわかった!仕方ないなぁ』


羽黒『ありがとう川内ちゃん』


羽黒『それでは始めますね、、、まず初めに単縦陣、一番使いやすい陣形でカクカクシカジカーーー』


川内『zzz....』


〜45分後〜


羽黒『以上で終わりです。お疲れ様』


俺『ありがとうございます。そういや質問なんすけど』


羽黒『どうしたの?』


俺『こうやって来てくれる艦娘さんってみんな山本さん直属の艦隊なんですか?』


羽黒『そうですよ、みんな山本さん直属です。初めて発見された艦娘は皆さん司令官直属です。ちなみに私は初めて建造された艦娘って聞いてます。』


俺『ほぇー、すごいですね!』


羽黒『そんな事ないです。すごいのは司令官さんです。私は全然、、、』


川内『ふぁぁぁああ、あ、羽黒終わった?』


羽黒『おはよう川内ちゃん、それじゃあ帰ろうか』


川内『はーい、じゃぁね俺君!』


羽黒『頑張ってくださいね』


俺『ありがとうございます』


二人は出て行き部屋に一人残された。


〜数分後〜


ドアが開いた。


???『すまない、少し遅れたようだ』


現れたのはヘソ出し和装モドキのよくわからないツノみたいなものを生やした艦娘だった


俺『えっと、、よろしくお願いします』


???『あぁ、よろしく頼む』


???『私は長門型戦艦の長門だ、砲雷撃戦から鎮守府内の施設の説明をさせてもらう』


長門『何か質問はあるか?』


俺『長門ってあの長門ですか?』


長門『その長門だ、くだらん質問は遠慮してもらいたい』


俺『俺ファンなんですよ!日本の誇りであり日本国民の誇りです!41センチ連装砲4基8門!2度の核爆発にも耐え最期まで抗った戦艦の中の戦艦じゃないですか!』


長門『!!?!/////』


長門『ほほほ、褒めたって何も出んぞ!』


声がひっくり返り顔を真っ赤にして照れる。


長門『そそそそんな事より講義だ!講義!』


〜〜1時間半後〜〜


長門『ーーーである。例え擦り傷でも入渠させてやってくれ。』


俺『分かりました』


長門『以上だ。何か質問は?』


俺『特には。』


長門『そうか、では終わろう。』


俺『長門さんの説明分かりやすかったです。ありがとうございました』


長門『それはよかった。今日はこれで終了だ。一日ご苦労だったな』


俺『こんくらいちょろいもんです!』


長門『これで失礼する。もうすぐ長官が帰ってくる。離れで待っておくといい。』



そう言い残して長門は去っていった。直後聞こえたウヒヒという笑い声は彼女のものだったのだろうか。。。?



〜離れ〜


ガラガラ


山本『入るぞ俺君』


俺『はいはい?』


山本『お前さん何か長門に言ったか?』


俺『どうかしました?』


山本『さっきすれ違ったんだがな、すごい嬉しそうにニヤニヤしてスキップまでしてるときた。あんなの初めて見るぞ』


俺(あの人めっちゃちょろいやん)


俺『長門って良い艦ですね〜的な旨を言っただけなんですけどね』


山本『成る程、そりゃ喜ぶわけだ』


30分ほど会話を交わし夕飯となった


〜母屋食堂〜


長門『あぁ、丁度出来上がったところだ』


山本『お、唐揚げか!短時間で頑張ったな』


長門『この程度、この長門には簡単な事だ、戦闘の傍でも出来る』


俺 ??


山本『あ、ここ最近は交代でワシの飯作ってもらってな、一緒に食べてるんだ、今回は長門に来てもらった』


長門『どうかしたか?私の料理が不満か?』


俺『いやいやそんな事は欠片ぽっちもないんですけど、料理すごい上手やな〜って思いまして』


山本(褒めて遊んでるのかそれとも天然か、、、)


この後の長門は顔真っ赤で食事の量も通常の半分以下らしく山本さんがかなり心配した。(それでも山盛り2杯を平らげてた)


〜食後〜


山本『そういや俺君は呑めるのかい?長門もイケる口だから一緒に呑まんか?』


俺『いいですよー、何飲むんですか?』


山本『日本酒だ。一応ウィスキーとかもあるぞ』


俺『何でも呑めますしお気遣いなく、ロクさんの好きなもんでいいですよ?』


山本『んー。なら、長門!あの、下の段の右端あたりの古都とかいうの取ってくれ』


長門『了解した』


俺『京都の有名どころのヤツじゃないですか!』


山本『知っとるのか?流石出身地だと違うな〜』


俺『知ってるも何も近所でしたし、、、』


長門『そう言えば京都出身だったな、どの辺りだ?』


俺『御所の近く、まぁ二条城も行ける範囲ですし、、、分かりやすい場所が近所にないんですよね』


長門『京都か、、1度は観光してみたいところだ』


山本『だな』(修学旅行で行ったはずだが覚えてないな、、、)


小慣れた感じで長門が全員に注いでくれた。


俺『そういや俺のバイクって改造終わったんですか?』ゴクゴク


山本『イイ呑みっぷりじゃないか。明後日にはこっちに来るはずだ。明石と妖精達が本業の傍やってくれとる』


俺『ほっ、、』


山本『どうした?心配か?』


俺『大事なバイクですもん』


長門『工廠にあったのは俺のものだったのか、提督の誰かの物かと思っていた。派手に改造されていたな』グビグビ


俺『はえ?』


長門『全部分解されていたぞ、こんなケチくさい部品なんて使えんとか言っていたな、随分と楽しんでる様子だったぞ』

ゴクゴク


山本『心配せんでも大丈夫さ!酒の肴に金剛を連れて出てった時の話してくれんか?』


俺『まじすか』


山本『マジも大マジだ』グビッ


長門『青葉の号外の事か、私も聞かせてもらおう。あの金剛をどう口説いたんだ?』ホレホレ


俺『金剛さんか、、なんか最初からすげぇフレンドリーな人でしたよ?あの金剛ってどういう事すか?』ゴク


山本『最初があのダイビングハグ誤爆だったもんな?お、もう一升瓶が空だ、さすがに酒豪三人だと速いな。トイレついでにとっておきを出してくるわ、お二人さんで続けといて』


ー山本退席ー


長門『長官がいつも避けてるアレの直撃を受けたのか、それは災難だったな』チビチビ


俺『まぁアレで仲良くなったんですかね?して『あの金剛』とはどういった意味で?』


長門『彼女が着任した時は艦娘は私を含めて四人だった』(遠い目


俺『長門さん結構古参なんですね』


長門『まぁな、まだ艦娘という名称さえ決まってなかったからな。そんな頃だ、金剛は自身の海上にいた所を吹雪がたまたま発見した、大層怯えてたそうだ』


俺『自身て、沈んだ金剛の船体の上って事ですか?』


長門『そうだ、ちなみに私は何故か金曜島の沖合い数十キロだった。ゴホンッ、金剛は極度の人間嫌いで傲岸不遜な態度ばかりとっていた。我々艦娘にはそれが幾分マシといった程度だ』


俺『それがヘーイ!とか言うようになるんですか?』


長門『今でも人間では長官しかそれは聞けないぞ。傲岸不遜はほぼ無くなっているがな、まぁ素の金剛は人間には貴重だという事だ。後から建造で出てきた金剛はそうでもないみたいだがな』


俺『あ、そういやいっぱい同じ艦娘がいるんでしたね。で、金剛さんが山本さんに懐いたキッカケって何ですか?』


長門『当初金剛は戦闘に出ると死にたがる行動ばかりとっていた。いつも敵の渦中に一人突入して血塗れで帰って来たからな、ある日長官の堪忍袋の尾がとうとう切れた』


長門『長官が怒鳴ったのはあれが最初で最後だったな。お前は何故死にたがる?お前の体はお前だけのものではない!!オレの大切な部下である限り勝手に死ぬ事は許さん!とな、凄まじい声量だったぞ』


俺『ほぇー』


長門『金剛もそれなりに驚きはしたようだったが内容あまり響いていない様だった。

上からモノを言うだけのオジサンに何を言われても何も思わないわ、戦ってるのは私の勝手よ、ならあなたが戦ってきたら?と言い放って出て行ったんだ。ここだけの話その後自室で泣いていたんだぞ?』


俺『素直になれなかったんですね』


長門『その通りだ。すると1時間もしないうちに長官がフラっとどこかへ消えてな、それはそれは大騒ぎも大騒ぎだ。やっと見つけたかと思えば沖で深海棲艦と戦ってたんだぞ?!勝手に吹雪の主砲を持ち出して一人だけでな!』


俺『つよいですね』


長門『我々が救出に向かってた時だ。凄まじい速度で金剛が追い抜いてきてな、凄かったぞ?あっと言う間もなく敵は倒せた、、、がしかし提督は満身創痍だった』


山本『長官サンは本当馬鹿デース、アナタが死んだら誰が指揮するんデスか?って涙ながらに言われてな。そっからだな。結構甘えたりしてくるようになったのは』


俺((わぁ、モノマネ上手い、、))


長門『遅かったな、というかあんな事二度とするんじゃないぞ?あんな思いは二度とごめんだ』


山本『ワシも二度と御免被るしもう出来んよ、アレのせいで腰痛が悪化した』


山本『さぁとっておきのウィスキー20年モノだぞー、ロックなり炭酸なり好きにしてくれ』


俺『ありがとうございま〜ふ』


長門『なんだ?もう酔っているのか?』


俺『噛んだだけっすよ』


山本『ささ、金剛を連れて行った事話してくれ』


俺『駐輪場で、、、、、うんたらかんたら』


〜10分後〜


山本『つまり紅茶で釣った訳だなw』

チビチビ


長門『まぁ元々気には入ってたみたいだがな』グビグビ


俺『そうなんすか?!』ゴクッ


長門『無許可の外出に関しての査問の時に聞いたんだ』


山本『あ、アレお前さん担当だっけか?』


長門『たまたま鳳翔さんが出掛けていたからな』


山本『成る程ね』


俺『なんで俺なんか気に入ったんでしょうね?』


長門『金剛曰くいい匂いがして懐かしい感覚を覚えたそうだ』


山本『あいつ匂いフェチだったのか?初耳も初耳だぞ?!』


俺『なんか照れくさいな、、』


長門『私もよく分からん、とにかく何か懐かしさを感じたと言っていた事は確かだ。俺の纏っている雰囲気は長官のそれと似ているからきっとそれもあるのだろう。いずれにせよあの金剛が初対面の、しかも人間にあそこまで打ち解けたんだ、漏れなく全員驚いている』


山本『ちなみにワシが一番驚いた。医務室で一体なにがあったんだ?』


俺『気絶してたのに知る余地なんてあるはずないっすよ。そういや帰ってきた時のあの時の怖い顔は、、、?』


山本『心配もそれなりにはしたがあの顔は驚きとちょっとした嫉妬だな』


長門『長官がヤキモチとはいい歳して可愛いものだな。』クスクス、、、


山本『ワシがあれだけ命張ってようやく打ち解けられたのをあんなにいとも容易くやられるとな、、、俺君は大物になるかもしれん』


俺『そんなにほめないでくださいよ〜』


長門『まぁこの期間しっかりと学べばそうなる日も近い。頑張る事だな』


その日は遅くまで呑んで全員その場で眠りこけてしまった。。。


続く、、、





後書き

いつもながらこんな初心者のSS読んでくれてありがとうございます。
誤字脱字、変な所、ご指摘があればすぐにコメントください。
ご感想も添えてくれれば俺っち頑張れます!


このSSへの評価

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2018-03-04 22:58:15

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このSSへのコメント

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1: SS好きの名無しさん 2018-03-04 23:00:18 ID: 25lfc-i5

YouTubeで見つけて読んだらとても面白かったです。続き楽しみです


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