2015-07-20 15:21:45 更新

概要

第4話追加しました。これにて始動編は完結です。
バイク×ラブコメ オリジナルSSです。 


前書き

初めまして。何か物語を書いてみたくて、勢いで書いてしまいました(笑)
あまり見かけないオートバイを扱ったオリジナルSSにしてみました。バイク×女子高生のばくおん!!にラブコメを追加したらどうなるのかなと思いながら書いてみました。バイク知識が微妙なところがありますのでそこはご勘弁下さい。
拙い文章かとは思いますが是非ご感想をお願いします。


第1話


入学式が過ぎ桜も散り始め、多くの新入生は親しくなった相手と各々と学校に向かっていた。

俺はというと、なんとかぼっちになることもなくクラスで打ち解けられる友人も作ることが出来た。

今日は、入学前に配られていた宿題の確認テストがあるためか教室が騒がしい。

その喧騒を落ち着かせるようにチャイムが鳴り教室は静かさに包まれ…


「うおおおおおおぉぉぉ…」

ガラッ

「…ハァ…ハァ…ッ…セーフ!」


静けさは、廊下から飛び入ってきた奴によってログアウトしてしまった。

「残念だが、河咲(かわさき)…遅刻だ」

うちの若い担任がやりきったようにしている河咲に無慈悲な判決を告げる。

「えっ…ぇぇえぇ…」

と崩れつつ自分の席に着く。

「せ、先生!今のはコントロールラインである昇降口をチャイムというチェッカーフラッグが振られる前に過ぎているのでこのラップタイムは有効だと思います。よって、遅刻ではないです!!」


「昨日も同じようなこと言ってたな?河咲」


「い、いえ!昨日のは隣の6組の土屋君を抜かして、私の方が彼より早く教室に入ったのに彼だけ遅刻はギリセーフで許されていたから、フィニッシュの早い私も自動的にセーフだと申し上げたのです」


「そんなことは知らん。チャイムがなった時に先生が確認したらお前は着席しておらんかったのだから遅刻だ。」


「うっ…うぐっ…はい…すみません(´・ω・`)」


「では今日の本題の確認テストだが…」


このようにして、嵐は過ぎ去っていき、テストという苦痛の今日が始まった。

〜〜〜〜

♪チャイム


(ふぃ〜、終った終った♪今日はあと弁当食って部活紹介のオリエンテーションしておしまいか。とっとと帰って昨日の深夜アニメ見ないとな)


「なあなあ、貴志。昨日のアニメ見たか?」

貴志ってのは俺の名前。今話しかけてきたのは温宮信士(あつみやしんじ)、一昨日の席替えのあと俺が持ってるラバストを見た途端目の色を変えて話し掛けてきやがった。うんうん…同類を見つけたらそうなっちまうよな…

貴志「いや、昨日のは録画しててまだ見てねぇ。てか、今日テストだっただろ?早く寝たよ...まさかお前...」


信士「当たり前だろ。アニメはリアルタイムで実況しながら見なきゃ。翌日なんて鮮度が落ちちまうぜ...フフッ」


貴志「あーそうですねー鍛えられた視聴者様は違いますね(棒)」


信士「フフ~ン(ドヤ顔) まあ、テストは酷いもんだったけどな!」


貴志「そのドヤ顔、全く意味ないな」

高校生らしい、くだらない会話でお昼時間はあっという間に過ぎていった。


~~~~

(放課後)


信士・貴志「(´・ω・`)(´・ω・`)」


信士「アニメ研究会、去年の三年を最後に潰れたってマジか...」


貴志「らしいな...おかげで部活何するか決められなくなっちまったよ。どーすんべ」


キュルルルル...ルル...ドゥルルン...ドゥル...ドッ...ドッ...ドッ...


貴志「あれ?この音...」


信士「どした?あ、あれか。知らないのか。この学校、都内じゃ珍しくバイク通学可なんだぜ。なんだ、貴志バイク好きなんか?..」


貴志「いや、そうじゃなくて、この単気筒サウンドは...あー、やっぱアイツか」

車種はCBR250Rパールヒマラヤズホワイト、ヘッドライトが特徴的な形でパンツライトと呼ばれている。実は姉妹車の125Rにはポジション球が内蔵されており装備の贅沢さでは負けていたりする。

どうやら、バイクの主は俺の視線に気づいたようでフルフェイスのヘルメットを被りながらこっちを見てきた。


「?...なんだ、貴志か。帰りなら乗ってくか?」


信士「?...河咲さん...え?貴志お前知り合いだったのかよ?ってか、バイク乗るの?!」


貴志「うん。まあ、幼馴染ってやつでご近所さんだよ。光希(みつき)、先帰っていいぞ、俺は今日チャリだ」


光希「あ、そうなの?せっかくタンデムできると思ったのにぃ~。てか、お前もはよ免許取れよ」


また始まった...この河咲光希はどうしようもないほどバイク馬鹿なのだ。そして、事あるごとに俺にバイクに乗ろうと薦めてくる。勘弁してくれ。高校生始まったばっかの俺にそんなお金の余裕なんてねえよ。こういう時はいつもどおり...


貴志「免許持ってたって車体がねぇよ。じゃなー」


キランッ...

ん?なんか今アイツの目が光ったぞ...


光希「ところがぎっちょんちょん、実はですねぇ。我が愛しのお兄さまが来月の誕生日で大型に乗り換えるのですよ。今乗ってるグースちゃんはノーマルに戻すのめんどいし、大して買い取り価格つかないから残すんだってさ。それでね、聞いてみたら貴志にだったら譲ってもいいってさ」エッヘン


貴志「お、おう。でも悪いから...いいよ」


光希「悪くないんだな~これが。兄貴もOKしてるし、あんたもさっき車体があれば教習通うって言ってたし問題一個もないじゃん?じゃん?」

光希「ということで、このまま教習所に連れてってやるから。はいメット被って」


貴志「チャリどうすんd...って勝手にメット被せんあ...うわっ引っ張んな」


光希「はい乗った乗った。明日の朝は、あたしが学校まで送ってくから大丈夫だって!!」

光希「ごめんね!温宮くん!!今日はコイツ、あたしンのだから!また明日ね」


バァォン!バァォン!…ドゥドゥドッ...ドゥォォォォオォォオン...


信士「・・・」


信士「んだよ!!アイツ、幼馴染とかラノベの主人公かよ!!しかも、光希って呼び捨てにしてたぞ!羨ま私刑!!!」


~~~~

タンデムなう


そんなわけで、俺は大◯洋ばりに拉致られてCBRのタンデムシートにいるんですが...はぁ...男が後ろとか情けねぇな。


光希「あーもう、今日は信号のタイミング最悪ね。ゴーストばかりで...って、なにぼーっとしてんのよ?ちゃんと捕まらないと加速の時落ちるよ。( ゚д゚)ハッ!まさか飛び降りようなんて考えてないでしょうね?」


貴志「そんな切羽詰まってねえよ。てかさ、タンデムってどこ捕まればいいの?お前にくっついてれば良いの?」


光希「べ、別にあたしでもいいけど.../// 後ろの触覚みたいなグラブバー捕まってればいいから」


貴志「なるほどね。いやてっきり後ろから抱きつくのかと思ったわ。おまえの体、平らだから掴みづらいんだよな」


光希「あ””?誰が貧乳だって?(怒)」


貴志「いや、そこまでは言っt...」シグナルダッシュ!バァォォン!「おい!殺す気か!?...ちがっ...ごめんなさいマヂゴメンナサイ」


この後、光希は教習所まで鬼のような加速を繰り返して俺に100回くらい謝らせた。本当に酷い女だ(`;ω;´)



~~続く~~

次回予告

教習所に通うことになった貴志は無事に卒業検定に受かるのか!?

はたして、カリカリチューンのグースを乗りこなせるのか!



第2話

前回までの登場人物

本多貴志(ほんだたかし) :本作の主人公...のはず。

河咲光希(かわさきみつき):貴志の幼馴染。バイク馬鹿。

温宮信士(あつみやしんじ):貴志のクラスメイト。アニオタ。


~前回のあらすじ~

俺は本多貴志、富士第二高校最初のテストも終わり部活探しをしていると下校しようとしていた幼馴染みの河咲光希の口車に乗せられなぜか教習所へ連れてこられた。



光希の貧乳コンプレックスに触れてしまいジェットコースター以上の恐怖を味わいつつ、気づけば教習所の入り口に俺はいた。


貴志「...怖かったぁ...ねぇ、マジで中に入んの?」


光希「当たり前っしょ。何のためにはここまで連れてきたと思ってんのよ。さ、いくよ」


貴志「…引っ張んなって、わかったわかった。ったく、お前っていつも強引だよな。顔はいいって評判なのにこの強引さのせいでモテないの知ってる?」


光希「う、うるさいわね。い、今は関係ないでしょっ!」


貴志「…へいへい。さーせん」


光希(いつも不意打ちなのよね…これはずるいわ)


貴志「えっと受付は…あそこか。そっちの椅子で待ってて、すいませーん」

貴志「普通二輪で通いたいんですけど…はい高校生です…あーなるほど…はいはい…あー…」


光希(何やってのかしら、とっとと入りますっていえばいいのに、てか、勢いで連れてきちゃったけどあいつお金あるのかな。高校入ってまだバイトしてないだろうし…ん?…高校生…もしかして…)


貴志「光希、なんかさ、高校生は保護者の同意書がないと入所無理なんだってさ。書類は貰ったけど、わざわざ来たのに二度手間だなコリャ」

光希「あ…ごめん。あたしの時はお父さんいたから気付かなかった。それより、勢いで連れてきちゃったけど、入校できるお金持ってんの?」


貴志「いいよ別に。どうせ免許取るつもりだったから貯めてたのあるし、車体はタダだし、断る理由はなくなったかな。ホントは全部自分でコッソリ用意して光希を驚かしてやろうと思ってたんだけど…まあいいやとりあえず駐輪場戻ろう」


光希「ナニソレ…なんか踊らされてたみたいで馬鹿みたいじゃんあたし」


貴志「馬鹿は元からだろ」


光希「!?っ〜〜〜〜」ジタンダヲフム


貴志「ニヤニヤ…とりあえず今日は帰ろう。ちゃんと家まで送ってくれよ」


光希「…えっ…ヤダ…なんかムカつくから近くの駅から電車で帰ってよ」


貴志「み…光希さん?マジで言ってんの?…ちょっと勘弁してくださいよ…お願いします。送ってください」


光希「そこまで言われたらしょうがないなー。送ってやるかー」


貴志「…こんな理不尽な世の中...ポイズン」


光希「なんか言った?」


貴志「い、いえ何でもないです。光希様に送っていただけるとはありがたき幸せでございます」


光希「うむ、近うよれ。そなたにメットを授ける」


冗談を言いながら光希はCBRのセルを回した。


キュルル…ブボォォン…ドッ…ドッ…ドッ…


セルを回す時に軽く煽るのが光希の癖だ。前に、煽らなくても良いだろ?って言ったら、貴志はロマンをわかってないなと上から目線で返してきた。どうやら、彼女なりの思いがある動作らしい。


光希「ところでさー、ちょっとお腹空かない?パフェでも食べていこうよ」


貴志「なら、あそこな。線路沿いの…

  光希「はいはい、喫茶ドラゴンね」

 …そうそれ」


光希「じゃあ、出しますよーちゃんと捕まってて」


貴志「ういー……ん?…」


光希「なに?…また捕まるとこが平たいって言うの?」


貴志「いや、違います…平たいのは違くないけど…何でもないです…って…だから急発進はヤメロォォ…」


やっぱり、コイツのタンデムは恐ろしい。気になったのは教習所に入っていく富士二の制服を来た女生徒がいたからだ。女子はリボン、男子はネクタイが学年で色分けされている。俺が見たのは爽やかなレモンイエローで今年の1年が着ける色だった。まあ、バイク登校ありだしそんなに珍しいこともないか…

しかし、可愛い娘だったな。明日、信士と探し回ってみよう。


ドォルゥゥン…ドットトッ…トトッド…ブォォンカチッ…


出た、光希のもう一つの癖。FI(フューエルインジェクション)車なのに吹かしながらエンジンを切る。これ、キャブ車だけにしか意味ないのに…まあ、これまたロマンらしい。


光希「着いた着いた〜、ここ入り組んでるから入りにくいんだよね。一通(一方通行)だし。よっと!」


貴志「でも俺はここのパフェ以外食う気はないぞ」


ここのマスターが作るパフェは甘味が抑えられており、チョコもカカオの風味がしっかりとする逸品なのである。


光希「はいはい」


〜カランコロン〜


マスター「いっらっしゃーい、お、光希ちゃん今日はタカくんとかー」


光希「・・・・・・」


貴志「・・・今日”は”?」


光希「う、うるさいなぁ!いいでしょ!あたしここのパフェ好きなんだもん」


貴志「ほー、この前連れてきたときは、まあまあねとか言ってたクセに…」ニヤニヤ


光希「…フンだ。マスター、いつものパフェふたつね」


マスター「合点承知の助!!しばしお待ちを」


喫茶ドラゴンは俺が中学時代にチャリンコで街を散策している時に見つけた店だ。線路沿いの目立たないところにあるけど、鼻のいい常連さん達を抱えている。マスターはちょび髭を生やしておりちょっとヒョロめの毛利小五郎といった感じでとてもいい人だ。味と雰囲気だけでなくマスターの人柄もお店が長く続いてる要因だろう。


貴志「そういや、さっき教習所出てくる時に、うちの一年女子が入っていくの見かけたけど誰だか知ってる?」


光希「ほえー、あたし以外にバイクに興味ある娘いるんだ。駐輪所は男ばっかで、いても上級生で原付きくらいだよ。原付きなら教習所行く必要ないしね。」


貴志「そうだよな、いくらバイク可でも女子なんて余程の物好きじゃない限りはな...チラッ」


光希「すいませんね。物好きで...フンだ」


光希「だいたいね。最近の男どもが乗ってんの生っちょろいバイクばっかじゃない。男ならレーレプかせめて私みたいにスポーティバイク乗りなさいよね。FTRやSRみたいに味のあるバイクならまだしも、イカ釣りビクスクばっかでため息でちゃうわ。しかも、半ヘルでさらにツバ逆向きにしてさ。イキがってる高校生かよ!!」


貴志「うん、彼らは高校生だよ...」


光希「わ、わかってるわよ。言葉の綾よ」


<ハーイ パフェ オマチドウサマ


光希「きたきた!((o(´∀`)o))」


貴志「んじゃ、いただきま~す」

<ハーイ メシアガレ-


さっきの反応の通り、光希のバイクへの思いはだいぶ偏っている。いや、小さい頃からMotoGPとか見てたらこうなるのは当たり前か。ただ、スクーターが嫌いというわけでなく、この前ジムカーナ仕様に足回りをチューンしたアドレスV125を見た時はロマンの塊だとかですごく褒めていた。どうやら、彼女の中ではバイクはロマンを感じれるか否かというのが重要らしい。まあ、こちとらアニメオタクだし、ロボットアニメだって見るから分からなくもない。ドリルにロマンを感じるようなもんなんだろ、きっと。

と、黙考しているうちに二人のパフェは半分以上なくなっていた。


貴志「そういや、お前ってパフェ食う時は黙ってるんだな。この前の時も口数少なかったし。女子って普通パフェ食う時はキャッキャ喋りながら食べんじゃねえの?」


光希「...アニメの見過ぎだよ。幻想ばっか見てないで現実見な。それにあたしは今この瞬間パフェに対して全身全霊で向き合ってるの。邪魔しないでくれる?」


貴志「お、おう。すまなかった」

なんなんこの人。これが世に云う幻想殺しってやつですか。ええ、俺の幻想はたった今見事にぶち壊されましたよ。もうヤダ、かえってアニメ見よ(`;ω;´)


~~~~


光希「はー!美味しかった。マスターまたくるねー!」


マスター「光希ちゃんならいつでも歓迎だよ。ただ、今度は高校のお友達連れてきてくれるといいなー」ニヤニヤ


光希「はーい、マスターの要望通り女子高生沢山連れてくるね!」


マスター「さすが、光希ちゃん!おじさんの事よくわかってんねー。それなりに広めてくれたらパフェサービスするよ」


光希「やったぁ!マスター忘れないでね!それじゃ、ごちそうさまー」


貴志「アイツほどの頻度じゃないけどまた来ますね。ごちそうさまー」


マスター「待ってるよー毎度ありー」


〜カランコロン〜


キュルル…ブボォォン…ドッ…ドッ…ドッ…


さて、帰ったら親父に同意書書いてもらわないとな。まあ、親父もバイク乗る人間だから楽勝でしょー♪


〜〜〜〜

夜(本多宅)


貴志父(洋介)「ダメだ」


貴志「....えっ?」


洋介「お前がバイクの免許をとることを許可できないと言ったんだ」


~続く~


~次回予告~


バイク乗りの親父から、同意書のサインを断られてしまった貴志。

翌日そのことを光希に報告したところ、光希が我が家に乗り込んできた。

しかも、兄の玲(あきら)さんまでやってきた。

はたして、貴志は無事に教習所に通えるのか?今日見かけた謎の少女は誰なのか?

ドラゴンには女子高生が沢山くるのか?

次回もレヴっていきまっしょいっ!!


第3話

ここまでの登場人物

本多貴志(ほんだたかし):本作の主人公...のはず。

河咲光希(かわさきみつき):貴志の幼馴染。バイク馬鹿。

温宮信士(あつみやしんじ):貴志のクラスメイト。アニオタ。

本多洋介(ほんだようすけ):貴志の父親。元バイク乗り。


~前回のあらすじ~

俺は本多貴志、光希の口車に乗せられて教習所に向かったはいいものの高校生は親の承諾が必要だった。親父は元バイク乗りだし同意書なんて楽勝~なんて思っていたら...



洋介「ダメだ。教習所には通わせない」


貴志「えっ...親父、それ冗談だよな?」


洋介「冗談言ってどうする。これは親としての回答だ。愛する息子が危険なバイクに乗ることは許可できない」


貴志「うぐっ...」


元バイク乗りの親父に危険だからやめろと言われてしまってはぐうの音も出ない。てっきり、おーお前もか。遺伝子は争えないなガハハハッって感じにうまくいくと思ったんだけどなぁ。どうしよ...明日光希に相談してみるか。


~~~~


光希「えぇぇーーーーーーっっっ?!」


貴志「しっ!声がでけぇよ」


光希「ごめん。いやでも、親父さん元バイク乗りでしょ?ご近所になってからはうちのお父さんとよくツーリングしてたって聞いてるよ?」


貴志「いや、それは俺らが生まれる前だろ?親父、俺が生まれてからは買い物くらいでしか乗ってねぇぞ。ランツァのタイヤが真ん中だけ減ってて泣ける」


光希「そっかー。うちのお父さんはまだツーリングとかたまにしてるけどね。こんど、あたしのこと奥多摩に連れてってくれるって言ってた」


貴志「羨ましいな。まあ、俺が生まれてからってのを聞くと家族のために遠慮したのかな。うちの親父は」


光希「かもねーだから、あんたの免許取得に反対なのかも」


貴志「しかし、参ったな~どうすりゃいいんだよ」


光希「あたしに任せて!秘策があるの」


貴志「秘策...なんだ?色仕掛けか?やめとけ、お前の体じゃむr...っておいばかやめろ、めがねレンチなんてどこにしまってたんだよ」


光希「いや、ちょっと万死に値する言葉を聞いたので...フフッ」


貴志「ハリセンならまだしもめがねレンチはヤバイいって。マジでしぬ!!」


光希「うるさい!闇の炎に抱かれて消えろーーッ!!」ブンブン


貴志「なんでそんなの知ってんだよぉ-!?」スタコラサッサー


~~~~

放課後~学食~


どうやら、昼休みに購買のラスクをお詫びとして机の上に置いといたら機嫌は戻ったらしく、俺の対面でうーんうーん唸りながら対策案を考えている。この女、ちょろいぜ!


光希「ちょっと!今、ラスクごときで機嫌直るなんてこの女チョロいぜ☆キラッっとか思ってたでしょ」


貴志「い、いえ!そんな滅相もございません。免許の対策に乗ってくれて優しいな-まるで女神だなーと考えていました」


光希「め、女神///...まあそこまで頼られちゃしかたないわね。朝のことは水に流してあげましょう」


うわー、コイツめっちゃチョロいわー。

なんて、冗談は置いておいて。真面目に対策考えないとな。


貴志「部活も決めなきゃだし、免許のことは今日中に解決したいな」


光希「そうね。私はまだ決めてないけど、あんたはどっか検討つけてんの?」


貴志「アニメ研究会」


光希「それは、去年で廃部になったでしょ」


貴志「だから、迷ってんですよねーモタスポ部はレースとかガチっぽいしそこまでバイクにかかりきりにはなりたくないかなー」


光希「そ、そう...それならなおしっかり部活探しやらないとね」


貴志「そのためにも、この問題をちゃっちゃと片付けたい。朝言ってた秘策は?」


光希「秘策って程でもないんだけど、兄貴に親父さん説得してもらおうと思ってた。だめ...かな?」


貴志「あーいいかも、高校生でガッツリバイク乗ってる玲(あきら)さんの意見聞けば少し緩くなるかも」


光希「でしょ!そういうことで今日の夜お邪魔するから。親父さん帰ってきたらメールしてね」


貴志「わかった。じゃまた」


さて…放課後暇だし昨日の可愛い娘を探しに行きますか。信士は...たぶんテニスコートの前にいるだろ。


信士「ムフッ…いいスポットを発見してしまった件」


「ちょっとそこの君!ニヤつきながら女子生徒みて何をしてるのかね?」


信士「あ、いや別に僕はテニス部を見ていただけで…ってなんだよ貴志かよ」


貴志「いよう、まさかほんとにテニスコートにいるとは思わなかったよ…水泳部は見たか?」


信士「水泳部?あーダメダメ。あそこは屋内プールでちっとも覗きにいけないよ。それに…見えそうで見えない方が夢も膨らむだろ?ムフフッ」


貴志「まあな、それはわからんでもない…」


<キャッ!


信士・貴志 チラッ…ジーッ


信士「惜しいもうちょっとこう角度が…で、何しに来たんですか?リア充さんは」


貴志「いやな、昨日教習所でウチの一年でめっちゃ可愛い娘見かけたからお前と探してみようかなって。ちなみに、俺はリア充じゃねぇよ。リア充だったら深夜アニメ見て萌えたりしねぇ…」


信士「なんだと!それを早く言え!さっさとその娘見つけないとな!」


どうやら俺の弁解の方は聞こえていなかったようだ。好色過ぎだろこの男…


信士「それじゃあ、早速一年の教室しらみ潰しに探すぞ!付いてきたまえ、本多二等兵!」


貴志「はっ!地獄までお伴いたします。兵長殿!」


富士第二高等学校、通称富士二(ふじに)の校舎は空から見ると『王』の字の形をしており、北側校舎から一年、二年、三年棟。特別教室や事務室等は二、三年棟にある。一年棟には教室と職員室、資料準備室があるくらいだ。学校の規模としては私立では小さく生徒数は1100人ほどで一学年で30人教室が12クラスだ。ちなみに、駐輪場は自転車とバイクで別れておりバイク駐輪場の方が校舎に近い。このようにバイクが優遇されているのは校長の趣味だと言われており今までに何度か保護者から苦言が呈されたようだが校長は聞く耳をもたないらしい。まあ、バイク好きの若者にとってこの学校は天国のような環境である。


信士「まだ見つからないのかよー俺はそろそろ飽きてきた」


貴志「お前が、しらみ潰しにって言ったんだろ。この12組で最後だから待ってろ...」ガラッ


貴志「はい、お疲れさんでしたー」ピシャッ


信士「えぇーーーっ!? 収穫なしかよ」


1年12組は吹奏楽部が練習に使用していたので一年生はほとんどいなかった。

ちなみに、ユーフォニアム吹いてた2年の先輩は可愛かった。


貴志「よくよく考えたら、放課後だし仮入部してるか教習所行ってるかも」


信士「バカ野郎!!」パコンッ


貴志「痛いぞ。ちどr...じゃなくて信士」


信士「この無駄にした時間どーすんだよ。罰として今週中にその女子特定してこい」


貴志「...前向きに善処します」


<ポーン 5時ニナリマシタ カンゼンゲコウ ジコクデス


貴志「というわけでまた明日な。アディオス!」ダッシュ


信士「あ、おい!...逃げられた...」


昨日、置いて帰ってしまった自転車を取りに向かっていると母(本多美穂)からメールがきた。


『帰りにプリンを買ってきてください。できたら、ヤンマ屋の手作りプリンがいいです。家族分お願いします。』


ヤンマ屋のプリンは親父の好物だ。何か今日は祝い事でもあるのかな?と思いながら俺は自転車を漕ぎ始めた。あ、夜来る光希と玲さんの分も買っておくか。


〜〜〜〜


貴志「ごっそさん」


美穂「お粗末さま。自分の食器くらいは自分で洗いなさいね」


貴志「へいへい。いつもやってるんだから言わなくていいよ」


我が家では夕飯に限らず使った食器は自分で洗うことになっている。たまに、家族の分も洗ったりするので皿洗いだけは自信があるのだ。

夕飯の前に光希にメールしたからそろそろ来るかな。健康のためにと酒を飲まなくなった親父はリビングで録画した海外サッカーを見ているし時間は大丈夫そうだな。


<ピンポーン


美穂「はいはーい、あ!光希ちゃん!それに玲くんまで…どしたの?」


光希「おばさん、こんばんは。実は…」


よほどテンションが高かったり大きな声じゃない限り、玄関での会話はキッチンまでは聞こえないが、どうやらここまでの経緯を光希が母に説明しているようだった。


ガチャ


リビングのドアが開いて河咲家の二人が入ってくると流石にサッカーに夢中な親父でも気がついた。


洋介「おっ!光希ちゃん久々だねー。おお、玲君なんて数年ぶりじゃないか」


二人を見て親父はしみじみとした顔をしていた。母は全員分のプリンを準備している。


貴志「なあ、親父。この二人を加えてちょっと話があるんだけどいいか?」


洋介「ええ…今いいところなのに…」


貴志「昨日の続きなんだ…」


そう言うと親父は察したのかサッカーを一時停止にしてこちらに向き直って…くれなかった。

一時停止にした画面ではとびっきり美女なサポーターが露出度高めな格好で応援していた。しかも、おっぱいが大きい。さすが海外である。


コホンッ


光希の咳払いで男三人はやっと画面から目線を外し、親父はテレビの電源を切った。


光希「えっと…貴志に免許を許可しないって本当なんですか?ここに高校生でも安全にバイクに乗っている見本が二人いますよ」


洋介「本当だよ。おじさんは今まで20年近くバイクに乗ってきた。知り合いもそんな中で何人か事故って亡くなった人もいたんだ。私を含めて君や君らのお父さんが事故ってないのは本当に運がいいだけなんだと思うよ。だから、運だけで息子の人生が変わってしまうのがイヤなんだ。わかってくれるかな?」


親父の父親としてこれだけは譲れないという強い思いがその言葉にはあった。こんなに想ってくれていたらえーいーじゃんなんて言えない…

そんな重い空気を感じてか、母が紅茶とプリンを持ってきた。


美穂「話はおしまい?久々に来たのだから二人も食べてゆっくりしていきなさいね」


洋介「お!ヤンマ屋の手作りプリンじゃないか!先週買ってきておいたのは貴志に食われちまったし、やっぱり母さんはわかってるねー」


美穂「今日は貴志が買ってきてくれたのよ」


洋介「ほう、いい心がけだ…パクッ…うむ。やっぱりここのプリンは美味いな!貴志免許とっていいぞ!!」


貴志・光希・玲「は…??…えーーーっっ!!?」


貴志「まさか…親父!…プリン食われた恨みで免許ダメだって言ってたのかよ!?」


洋介「はてなんのことやら?ほれほれ、俺の気が変わる前に同意書持ってきなさい」


貴志「っ〜〜〜〜!」


光希・玲( ゚д゚)ポカーン


貴志「はいこれ、お願いします…」イラッ


洋介「ほいほい…っと。あ、貴志。免許取ったらお父さんとツーリングしようぜ」


貴志「あ、うん。ありがとう」


あ〜〜〜もう!なんだよそのポケモンバトルしようぜ!みたいなノリは。まあ、なんにしても免許取れるようでよかった。明日、申し込み行ってこよ。てか、そんなことなら二人に来てもらった意味ないじゃん…


光希 ジトー


うわなんかすごい目でこっち見てるんですけどぉ!


貴志「光希、玲さん、とんだ茶番に巻き込んでしまってすんませんした」


玲「いいよ。別に。貴志が俺のグース乗ってくれるなら俺はそれで満足だよ」


貴志「ホント、車体まで譲ってもらって申し訳ないっす」


光希「ねぇ、あたしにはなんかないの?」


貴志「どうぞ、プリンでも食っててください」


光希「ムッ…まあ、プリン美味しいし今回は許してやる」


そのあと、久々にうちに来た河咲兄妹は母から質問攻めにあい大変そうだった。

親父はプリンを食って満足したのか、サッカーの巨乳お姉さんのところでチャプターを作って続きを見ていた。


〜〜〜〜

玄関


貴志「今日はごめんなさい。俺のせいで迷惑かけて」


玲「もういいよ。そのことは。とにかく教習頑張ってね。グースしっかりとメンテしておくから」


光希「免許取れたら、通学路の裏道たくさん教えてあげるよ」


貴志「サンキュ、でもそれ玲さんに教えてもらったやつだろ?」


光希「バレたか…テヘッ」


貴志「あざとい」


光希「な、なんだよ。あんたが昨日、可愛くしてればいいって言ったからやったのに…」


貴志「あー、それか。強引さなくして普通にしてろってことだよ」


光希「もういい…帰る…プイッ」


玲「ということなので、またね。プリン美味しかったよ」


貴志「はい、また来てくださいね!おやすみなさい」


玲「おやすみー」


これで、準備は整った。あとは、教習頑張るだけだな!

………

てか、俺先週プリン食ってないんだけどなー。まあ、母さんが買って来てって言ったのがタイミングよくてラッキーだったけど…あれ?待って…つまりそれって…ああぁぁああーーーーー!!親父のプリン食っちゃったのって母さんじゃねぇーの!?あんのババァ!!


〜続く〜


次回予告

ついに始まった貴志の教習。

実技も学科も詰め込みで覚えること多くて大変!

そんな時、貴志の前に現れたのは!?

次回もレヴっていきまっしょい!!



第4話

ここまでの登場人物

本多貴志(ほんだたかし) :本作の主人公...のはず。

河咲光希(かわさきみつき):貴志の幼馴染。バイク馬鹿。

温宮信士(あつみやしんじ):貴志のクラスメイト。アニオタ。

本多洋介(ほんだようすけ):貴志の父親。元バイク乗り。

本多美穂(ほんだみほ)  :貴志の母親。ちゃっかりしている。

河咲 玲(かわさきあきら):光希の兄貴。光希のバイク馬鹿は大体この人のせい。


~前回のあらすじ~

父からバイク免許にNOをつきつけられたが、プリンでご機嫌取りしたらあっさり許可が降りたけど未だに謎の一年女子見つからない。



父からバイク免許の許可が出た貴志は教習所への期待が強すぎて今日の授業はほとんど頭に入ってこなかった。


…んだ…ほんだ…


「本多っ!!」


貴志「!?…あ、はいなんですか?」


先生「なんですかじゃないだろ、この問題を解くにはどうすればいいんだ?」


貴志「え…っと…判別式D=b^2−4acを用いるとD>0なので異なる2つの実数解を持っているのがわかります。なので、えーと…この問題の場合は解の公式でxの値を導くのが楽ですね。以上です」


先生「よろしい。今のように判別をしたあと必要であれば代入法、解の公式と試していくと答えが見つかるのでこの問題は解ける。本多、あんまりボーッとしてるとまた当てるからな」


貴志「あ、はい。以後気をつけます」


デアルカラシテー


ずっとこんな調子なのである。光希や信士に話しかけられても空返事ばかりでまともな会話にならない。昼休みなんか、信士がアニメの話しようと寄ってきたのに俺の反応が薄すぎて腹を立てたのか気づかないうちに俺の弁当の唐揚げを食われてしまった。


〜〜〜〜

放課後(駐輪場)


光希「貴志、教習所でしょ、乗ってく?」


貴志「…あー、帰りもあるからチャリで行くよ。サンキューな」


光希「そっか、今日から実技できると良いね!」


貴志「うん。じゃあまた明日な」


光希「また明日〜」ニヤニヤ


俺はその時、光希のニヤつき顔に気付かなかった。ああ、そうだ。教習所行く前にお金おろしておかないと。


〜〜〜〜

教習所(受付)


貴志「すいませーん、同意書書いてきてもらったので普通二輪申し込みたいんですけど」


受付「こんにちは。ああ、一昨日の富士二の方ですね」


どうやら、バイク通学可の富士二の生徒はここのお得意さんらしい。


受付に必要な書類を出して申し込み完了。お金を払う時に額が額なだけに緊張で少し手が震えてしまった。

あとは、照明写真を撮ったり教習の説明を受けた。ラッキーなことにこの後の学科と実技の枠が空いていたので予約しておいた。予約はスマホでも取れるらしい。教習所って意外とハイテクなんだな。

まずは学科。交通規則について学ぶわけだけど案の定眠たくなる50分間だった。法事でお坊さんのお経を聞いてるときの方がマシなレベル。

苦行のような学科が終わり実技まで1限分空いた時間をWi-Fi付きの休憩室で過ごしていると


「あれ?...貴志くん?」


名前を呼ばれた。顔を上げてみると目の前には美少女がいた。

視線を落とし美少女ゲーによくあるテキストボックスが無いことを確認する。よし、これは現実だ。けして俺の妄想ではない。しかし、美少女に声をかけられるなんて初めてだったので...


「!?...新手のナンパかな??」


とわけのわからないことを発していた。なに俺、テンパりすぎ...


美少女「ナンパだったら、あっちのイケメンにするよ。同じクラスの珠洲城貴音(すずしろたかね)だよ...これで覚えてくれた?」


珠洲城貴音、聞き覚えはある。クラスいや学年で一番可愛いのではと男子の間で話題になっている。しかし、俺には今の所クラスで話す相手なんて光希と信士くらいだ。あれ...これって友達作り失敗してる?俺の高校生活ってもしかして黄色信号なのか...


貴志「それにしても、よく俺みたいな地味なやつのこと覚えてたな」


隣に座ってきた彼女を見てやっと彼女が私服だと気が付いた。制服とだいぶ印象が違うんだな。


貴音「河咲さんとよく話してるでしょ?」


確かに、光希は目立つ。あいつ騒々しいわりには周りからは好かれてるからな。女子にも男子にも。中学の時もそうだった。


貴志「騒々しいやつだからな。今度注意しておくよ」


貴音「あ、いやそういう意味で言ったわけじゃないの。河咲さんと仲良いねってことで覚えてたの」


貴志「なるほどね」


つまり、おまけで覚えられていたのか。ちょっと期待してしまった自分が恥ずかしい。


貴音「それに、同じ...『貴』だしね」


彼女はすこし照れながらはにかんでいた。

あ、ちょっと期待してもいいんじゃないですかこれは...?!

なんて、夢を見るほど俺は単純ではない。この人はこういう雰囲気の人なんだろう。光希から強引さをなくして品の良さを加えて少しお淑やかにしたらこんな感じになるかもしれない。いや、そこまでやったら別人だな。


貴志「珠洲城さん、それあんまり他の人にはやらないほうがいいよ」


貴音「?...よくわからないけど、クラスで『貴』がつくのは私とあなただけ。他の人には言わないよ」


貴音「それと、私のことは貴音でいいよ。みんなそう呼ぶもの」


みんなってそれ、ほとんど女子でしょ。まあ、この人の場合は他意のないものなんだろうけど。これ、絶対今まで多くの男に勘違いさせてきただろ。


貴志「魔性だな...」ボソッ


貴音「...?...?」


貴志「いや、ちょっと考え事してて。ところで、すずし...じゃなくて貴音さんはなんで教習所に?彼氏でも待ってるの」


貴音「なに?彼氏のいない私に喧嘩売ってるんですか?」


貴志「ごめんそういうことじゃなくて...他に理由がわからなくて」


貴音「あなたと同じよ。それ」


珠洲城が指を差したのは、俺の教習マニュアルだ。教官にハンコとか押してもらうやつ。それの表紙にはスーフォア(CB400SF)の絵が描いてある。


貴志「え、バイクの免許取るの?!珠洲城さんが?」


貴音「私がバイク免許取っちゃいけない決まりでも?」


貴志「いや、そうじゃないけど。意外だなーって」


貴音「いいでしょ。好きなんだから!」


あ、今のところだけ録音して何度も聞きたい。

しかし、光希といい珠洲城といい。うちのクラス、バイク女子率高くないか?まあ、富士二ならありえるか。


貴志「じゃあ、もしかして、そのために富士二に?」


貴音「当たり前じゃない。バイク乗りたい意外に志望動機があると思う?あの学校に」


貴志「いやまあ、進学実績とか地味にいいじゃんうち」


貴音「そうね。それもあったわね。おかげで受験勉強大変だったわ」


富士二は、バイク登校ができるけど決して偏差値が低いわけじゃない。年によるが62前後といったところ。二年生から特進クラスも編成されるし、一年生からの授業進度もわりかし早い。さらに、生徒数が少ないので教員がゆとりを持って生徒一人一人に緻密な指導できる。部活はモータースポーツ部以外は目立った実績がないからお金もかからないし校舎設備も近所の都立高校とさして変わらないので私立といっても学費はそこまで高くない。この、バイク、進学、学費の三要素によって色んな層から地味に人気を得ている学校なのである。ちなみに、モータースポーツ部は若者の自動車・二輪車への周知・親睦などの効果が高いとのことで日本自動車連盟などから支援金が出ているらしく後はレースの賞金で賄っているようで学校的負担は少ない。


貴志「ちなみにさ、一昨日も教習所来てた?」


貴音「来てたよ。申し込みと学科だけで終わってしまったけどね。昨日から乗り始めたんだけど、やっぱりバイクっていいわ!!」


つまり、あの可愛い子は珠洲城だったのか。通りで可愛かったわけだ。てか、めっちゃ目キラキラしてんな。


貴音「ちなみに、駐輪場であなたと河咲さんがイチャイチャしてたのも見たわよ。口出しするのは好きじゃないけどもうすこし周りの目を考えるべきじゃないかしら」


貴志「ばっ、あれはそんなんじゃなくて。光希が...」



<ポーン 次の時間 実技を予約している方は待機所までお集まりください。間もなく教習を開始いたします。



貴音「あら、河咲さんのことは名前で呼ぶのね。妬けちゃうかも」


貴志「いや、それはっ...」


貴音「私も次の学科あるからいくわ。初実技頑張ってね。それじゃ明日また学校で会いましょう...フフフ」


なんだあいつは。


<ポーン 次の時間 実技を予約している方は待機所まで至急お集まりください。もう間もなく教習を開始いたします。


おっと、俺も楽しみにしていた初実車が始まるんだから急がないと。


教官「はい、みなさんこんばんわ。これが今日の最終時限ですね。暗くなってきたので、ライト等で目がチカチカするので気をつけてやってくださいね」


ハーイ


教官「それでは、教習に入る前に怪我防止のため軽く準備運動をしますので広がってください。よろしいですか」


イッチニー サンシー


ゴウロク シチハチ


準備体操も終えて、一限目は発進と停止、一速〜三速までの小コースでのシフトチェンジが課題だった。このくらいは、空き地で玲さんのグースで教えてもらった事だから特に難しいことではなかった。ただ、それでも自分でアクセルスロットルをひねってバイクが進んで行くという感覚は終始俺の頬を緩ませていた。そうか、珠洲城もこんな感じだったんだろうな。


教官「いいねー、富士二の生徒さんは皆、そんな感じでバイクを楽しんでくれるから教えがいがあるよ」


貴志「まあ、そういうやつらが集まってくる学校ですから」


教官「若いうちから乗れるのはいいぞー」


そんなこんなで、楽しい時間は過ぎていき第一回目の教習はあっという間だった。帰宅の準備をして駐輪場に出た時ふと珠洲城の姿はないかと周りを見たがどうやら先に帰ってしまったようだ。まあ、明日ねって言われちゃったしな。しかし、バイク乗った後に自転車乗るってすごい変な感じだな。足の間スカスカだし接地感もなくてむしろ怖い。そんなことを考えながら俺はこれからの教習を一層楽しみにしていた。


グゥ〜


そういや、もう夕飯の時間か、帰りつくまで持ってくれればいいんだけど...


グゥ〜


始動編 完



〜暖機編へ続く〜


次回予告

教習が始まりバイクライフに一歩進んだ貴志。

玲の手によって着々と出来上がるグース。

タンデムシートを悲しそうに見つめる光希。

バイク屋を物色する珠洲城。

バイクライフの用意が徐々に揃ってくるなか貴志に突きつけられた現実とは。


暖機編もレヴっていきまっしょい!


後書き

暖機編第1話鋭意制作中。
よろしければ暖機編もお付き合いください。


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