2015-12-14 00:00:00 更新

概要

記憶を失ってしまった津田タカトシ。
生徒会役員共や見知った人達は、津田の記憶が無いのを良いことに、津田へ好印象を持たせようとするが……!?

part2に移ります


前書き

生徒会役員共に最近ハマり、書いてみようと思いました。私的に生徒会役員共は描写なしの方が似合うと思いますので、会話の練習込みで書かせてもらいます。
原作をあまり知らず、アニメ知識なので助言して頂ければ幸いです。

※毎日数回更新


始まり


ーー放課後の生徒会室ーー


タカトシ「会長ー、本当に出たんですかー?」


シノ「あ、ああ!確かに目撃したのだ」ガクガク


タカトシ「……どこにも居ませんよ?」


シカ「何を言うか!奴は狭い隙間や、テーブルの下にも潜む事が出来る!早めに見つけなければ……!」


タカトシ「たしかに、まだ居るなら早めに見つけたいですよね。でも、こんな寒い時期にGなんて出るんですか?」



シノ「じ、Gだなんて……つ、津田!女子の前でそんな下ネタを使ったら駄目なんだぞ……///」


タカトシ「人が折角気遣ったのに何を言っているのんだ貴女はー!!」


シノ「何って、ナ……

タカトシ「もうそれ以上言わなくて良い!」


シノ「ちぇっ……」


タカトシ「ったく……それはそうと、見たかぎり棚の後ろに居るかもしれませんね」


シノ「むっ……それは困るな。また、いつ出るか分からん」


タカトシ「ですね。萩村や七条先輩が来る前に片付けちゃいましょうか」


シノ「だな」


シノ「津田は棚の後ろを見てくれ。私は念のために棚の中を調べてみる」


タカトシ「分かりました」


♦️♦️♦️


タカトシ(ん?よく見えないなぁ……少し前にずらして──あれ、重い……)


タカトシ(上の方を引っ張ってみるか)グイ


シノ「……おい津田、傾け過ぎだ。書類が散らばってしまったではないか」ヒョイ


タカトシ「あ……すいません会長……」


シノ「私がしゃがんだからといって、パンチラを期待すr

タカトシ「しません!」


タカトシ「俺が拾いま──」パッ


タカトシ(なっ!?棚が倒れて!!)


タカトシ「会長!!危ない!!」ドン!!


シノ「え……?」


津田の目に映ったのは戸惑った顔の生徒会長と、自分を覆う大きな影


シノ「津田ーーーー!!!」


生徒会室に響く騒音

夕日の光が砕けたガラスを通し、赤色と透明な液体を照らした


サイレン


ーー桜才学園校内・渡り廊下ーー


スズ「はあ……まさかネネに部室の整理頼まれるとは思わなかったわ。……コケシにボタンがあったような気が……いや深く考えないでおこう」スタスタ


アリア「あ、すずちゃん!」


スズ「七条先輩。今から行くところです?」


アリア「そうよ~、前じゃなくて後ろでだけど♪」


スズ「さいですか……」


スズ(駄目だ。ネネの件で色々と疲れてツッコむ気力でない)


ピーポーピーポー


アリア「あら?救急車の音ね」


スズ「桜才学園に入ってきましたよ?誰か怪我したのでしょうか」セノビ


アリア(……え、担架で運ばれてるのって津田君……?)


スズ(七条先輩の顔色が……?誰が運ばれてるんだろ……ギリギリ見えない)


スズ「えいっ」テスリニミヲノリダス


スズ(あれ、もう救急車に入ってる。それはそうとギャラリー多い……。畑さんブレないなぁ──ん?今、急いで乗り込んだ青い髪の人って)


スズ「か、会長!?」


ピーポーピーポー


アリア「…………」


スズ「…………」


アリア「すずちゃん……津田君が運ばれてるのが見えたわ……」


スズ「え!?津田が!?それで会長も同行して……」


スズ「……七条先輩!私達も行きましょう!」


アリア「えぇ!出島さんに車を出してもらうわ。すずちゃんは先生に連絡して頂戴!」


スズ「分かりました!」


シノside


ーー病院ーー


シノ「…………」


桜才学園生徒会長、天草シノは身体中の震えが止まらないでいた。

少し瞼を閉じれば、あの時の光景が脳裏を過ぎる。

──……あんなにも、人間の体には血が詰まっているのか。

テレビ越しに見る血とは全く持って違った。平和な環境下に置かれているシノにとって、自分の足元まで広がる血は津田の命に直結すると、無意識に思ってしまう。救急車に乗っていた消防士の、深刻な表所を見れば尚更。

鈍器で殴れるだけでも人間は簡単に死んでしまう。それも今回に限っては人間が振るえる重量を越しているのだ。


シノ「…………」


今も尚、赤いランプを灯す【手術中】の文字が憎くてしょうがない。

──あれが消えれば津田の安否が確認できる。しかし、それと同時に不安も押し寄せくる。

内心では、早くしてくれと脳内でベルが鳴り響く傍ら、結果を知るのが怖いと思う自分もいる。


今回の事件に関して、津田の自業自得と感じる人が殆どだろう。津田の不注意による事故。シノに責任はないと。

それでも、私に非がある。と、シノは思う。


……昆虫程度、自分でどうにかさえしていれば

……私が津田に棚を頼まなければ

……私が自力でよけていれば


シノ「はは……津田が起きたらなんて言ってやろうかな」


不安が積もり、それは独り言として溢れ出た。


──……よくも心配かけたな?

──……これで君の頭が少し良くなったかもしれないと、からかうか?

──……むしろ、大胆に津田ーー!!と言いながら抱きつくか?

──……アリアに頼んで、生徒会や皆と一緒にまた旅行に行くか?


シノ「ふふ……」


微笑と同時に目尻から二筋の涙が零れ、それを拭き取った。

次から次へと、楽しい思い出やこれからの事を想像してしまう。

その度に津田の笑った顔が思い浮かび、それはだんだん薄くなる。


……嫌だ。生徒会役員は皆揃って生徒会役員なんだ。津田が必要なんだ。津田が居なくなるなんて嫌だ。

塞き止められていた不安はいとも簡単に流れ初め、大粒の涙がシノの頬を伝う。


シノ「やっぱり私は……」





……津田の事が、異性として好きなんだな。





シノ「津田が戻ってきたら、絶対に言おう……この気持ちを打ち明けよう。」





……だから




シノ「無事に……帰ってきてくれよ……津田ぁ……」


胸元で両手を固く結び、少女は祈る姿勢をとりながら叫んだ。


真っ白な世界


ーー手術室近くーー


スズ・アリア「会長(シノちゃん)!」ダッ


シノ「萩村!アリア!」ゴシゴシ


アリア「…………」


スズ「会長、津田に何があったのですか!?先生方は津田が怪我をしたと聞きましたが……」


シノ「……実はだな……」カクカクシカジカ


♦️♦️♦️


スズ「そんなことが……」


シノ「ああ……」


スズ「大丈夫……なんでしょうか……?」


シノ「はっきり言って分からん……私のせいだ……津田に何かあったr

アリア「シノちゃん!」


シノ「!アリア……?」


アリア「シノちゃんは自分に責任があると思ってるんじゃない? 」


シノ「だって、私が頼まなければ……こんな事に」


アリア「それは違うわ!私は津田君が悪いとは思わないけれど、それと同じにシノちゃんも悪くないと思うの。でも、津田君は優しい人だからきっと自分を責めるわ。それなのにシノちゃんは自分を責めるの?そしたら津田君はもっと自分を責めるわ。こんな思いをさせてしまった、ってね」


シノ「…………」


スズ「…………」


アリア「それに」


シノ「……?」


アリア「津田君がシノちゃんを助けたと言っても過言じゃないでしょ?津田君の優しさを踏みにじる行為はだめだよ。いくら自分が起こした事とはいえ咄嗟に動くなんて、普通の人なら出来ない事だもの」


シノ「アリア……」ジワ


アリア「それでも辛いなら、私に言ってごらんなさい!大舟に乗ったつもりでね!」ポヨン


シノ「きょ、今日だけは大胸に沈んでやるーー!」ボフッ


アリア「よしよし」ナデナデ


スズ「…………」ニコッ


バッ


スズ「あ、ライトが……」


アリア「終った……ようね……」


シノ「…………」ゴクリ




医者「…………」ガチャ


シノ「せ、先生!津田は……!!」


医者「その事について話しをするから、お友達も一緒に来なさい。なあに、命に別状はないよ」ニッコリ


シノ「よ、良かった……」ヘタ


医者(『命には』だけどね……これからどうなるか……)


♦️♦️♦️


ーー診察室ーー


シノ・スズ・アリア「「「記憶喪失ーー!?」」」


医者「大脳にダメージがいってるから可能性が高いというだけだけどね。まぁ……打ちどころが悪かったと言うしかないね。えっと、棚のしきりの部分がちょうど頭にきてたらしいじゃないか。彼は普段から運のない人なのかい?」


シノ「今回だけかもしれませんが……。もしそうだったとして、記憶は治るのでしょうか?」


医者「なんとも言えないね。記憶喪失の例は沢山あるけれど、どうしたら戻るかは今の科学じゃ確定できない。」


シノ・スズ・アリア「…………」


医者「怪我自体は大した事無いから、明後日には退院出来ると思うよ。ただし激しい運動は駄目だ。明日は土曜日だから休みだろう、良かったら彼に会うのはどうかね?」


医者「まあ記憶がなかった時は、思い出話をしてやったり、思い入れのある場所や物を見せたら戻ったという例もあるから、してみるといいよ」


シノ「分かりました……本当にありがとうございました!」ペコリ


スズ・アリア「ありがとうございました」ペコリ


♦️♦️♦️


ーー帰り道ーー


スズ「無事で何よりでしたが……後は記憶の問題ですね」


シノ「だな。津田には悪いが……何故か肯定で話してしまう」


アリア「あ、私も」


スズ「私もです……」


シノ・スズ・アリア(((何でだろう)))


アリア「そういえば思ったのだけれど」


シノ「む、どうした?」


アリア「記憶がいつ戻るか分からないなら……下ネタとか言わない方が良いのかな?その……良い印象を持たせるなら」


スズ・シノ「!」ピク


アリア(分かり易いなぁ……♪)


シノ「つ、津田からして、私達はたしかに初対面になるものな!流石に初対面の人に言うと悪い印象を持たせてしまう」


スズ(会長は津田に初めてあったとき、下ネタかましてた気が……いや言わないでおこう)※アニメ一期1話参照


スズ(でも……もしかしたら素直に接するチャンスかも……津田が私に好印象を持ってくれたら……えへへ///)


シノ(記憶がなかったら言えないじゃないか……下ネタではなく、気持ちを)


アリア「とりあえず、明日は津田君のお見舞いに行きましょう♪」


シノ「ああ!」


スズ「了解です!」


アリアside


病院に駆けつけると、シノちゃんが手術室近くの椅子に座っていた。

私とスズちゃんを確認したとたん、慌てて涙を拭き取った。その表情はいつもと変わらないように見えて、気持ちは凄く暗いのだろう。

親友だからこそ心情が分かる。いえ、分からなくちゃいけない。

そして、慰めて元気にさせてないといけない。

私は知っている。

シノちゃんは外観こそ、威厳溢れる──いわばカリスマ的存在だけど、内面は脆くて儚い普通の女の子。

それも今回はシノちゃんが想いを寄せてる人ときた。

心配と祈りのせいで疲労も表情から確認できる。

相当神経をすり減らしてるのだろう。


シノちゃんから話しを聞き、私は確信した。

──……この娘は自分を咎めている。

自分のせいで津田君が怪我をしたと、心底後悔してる。

その事に私が入り込む筋合いなんてない。これは二人の問題。


でも、私にだっめ出来ることはある。

目の前の弱い子羊を救うとまでは行かないけれど、安心させ和らげる事は親友の私には出来る。

少しだけ、私が津田君の代わりになろう。

そう思った私は、思ったとおりにシノちゃんへ言葉を投げかけた。



全て言い終わるとシノちゃんはまた涙を浮かべた。

だけどさっきのような、消えてしまいそうな涙ではなく、暖かい涙。



これで少しは楽になれたかな……?


母は何を見る?


ーースズの部屋ーー


9時前


スズ「はぁぁぁぁ……疲れたわ……」バフッ


スズ「それにしても津田が記憶喪失の可能性が高い、かあ……信じられないわ」


スズ「でも素直に接するチャンス……よね」


スズ「津田には悪いけど、頑張れ私!」


萩村母「なになに!?スズちゃんやっと津田君に告る決心したの!!?明日は赤飯炊こうかしら〜♪」


スズ「わ、わぁぁぁぁ!!入るならノックぐらいしてよ!って、私が前々から告るか悩んでたみたいに言うなー!!」


萩村母「あら、津田君が好きなのは否定してないのね?♪」ウフフ


スズ「うぐっ……」


萩村母「でも好きなのよね?」


スズ「…………///」コク


萩村母「告白しないの?」


スズ「む、ムリムリムリムリ!恥ずかしすぎて出来ないわよ……それに、その、本人は自覚してないけど津田って結構モテるし……」


萩村母「あらあら、ツンデレのスズちゃんには難しいかしらぁ」


スズ「ツンデレ言うな……」


萩村母「でも、スズちゃんは津田君が誰かと付き合っても平気なの?」


スズ「それは……」


萩村母「お母さんもスズちゃんぐらいの時は色々あったけど、青春って短いのよ?」


スズ「…………」


萩村母「どうするかはスズちゃん次第よ」


スズ「……うん」


萩村母「けど……」


スズ「?」


萩村母「付き合う事になったら言って頂戴、津田君連れてきたとき家空けるから♪」グッ


スズ(そのグッドおかしいよねー、せっかく良い話で終わりそうだったのになー)


♦️♦️♦️


萩村母「それじゃあお休みなさいー」ガチャ


スズ「うん、お休み」


スズ(眠い……9時半かあ……)


スズ(告白……///)ボッ


スズ(いやいやいや!)ブンブンブン


スズ(でも、どうしたいんだろ私……)


スズ(……今は分かんないけど、とにかく明日津田の様子を見ない……と……zzz)


重なる想い


ーー七条家前ーー


スズ「あ、すいません先輩方。遅れました」



シノ「まだ10分前だ。気にしなくていいぞ」



アリア「うんうん」



スズ「ありがとうございます。それにしてもお二人とも早いですね」



アリア「私とシノちゃんもついさっき来たばっかりだよ」



アリア(スズちゃんとシノちゃん、いつもよりオシャレしちゃって……可愛いなぁ♪)



スズ(会長……いつもより大人びてるなぁ……やっぱり会長も……)チラッ

シノ(萩村……いつもより可愛らしいな……やはり萩村も……)チラッ



スズ・シノ(津田の好感度を求めて……!)



アリア「そろそろ行こっか♪」



シノ「あ、あぁ、だな」



アリア「出島さん宜しくね〜」



出島「はい、お嬢様」



♦️♦️♦️



ーー車内ーー



スズ「相変わらず凄い車ですねー」



アリア「でも、その分手入れも大変みたい」



シノ「ふむ……だが手入れは大切だ」



スズ「たしかに、手入れをする事で長持ちしますし、何より綺麗になりますよね」



シノ「うむ」



アリア「シノちゃんも何か手入れしてるの?」



シノ「ああ!勿論だ!特に夏場は気を使う。なんせ毛が飛び出るのは恥ずかしいからな」



スズ「……はい?」



アリア「だよね〜、スズちゃんも?」



スズ「わ、私?」



シノ「おいおいアリア。萩村はまだ生えてないだろう」



アリア「ああ〜!そうだったわね!ごめんねスズちゃん」



スズ「いらんお世話だー!!!」




ギャ-ギャ-ギャ-


出島(……お嬢様の手入れは私がしてもよろしいのに……グヘヘ)


♦️♦️♦️



シノ「そういえばアリア、萩村。津田へのお見舞いの品は何にしたのだ?」



アリア「私はフルーツの盛り合わせ」



スズ「私は花を買ってきました」



シノ「む、偶然だな。私も花だ」



アリア「どんな花にしたの?」



スズ「私はリナリアという花を」スッ



アリア「まあ、可愛い花ね♪まるで鈴みたい……名前とかけたのかしら?」



スズ「え!?えぇ!ま、まあそんなところです」



シノ「…………」



スズ(……言えない……花言葉で選んだなんて)



アリア「シノちゃんはー?」



シノ「私はハナミズキだ」スッ



アリア「赤くて綺麗〜♪シノちゃんは何故これを選んだの?」



シノ「た、単に綺麗と思っただけだ!」



スズ「…………」



スズ(私は知っている、会長の持ってきた花の花言葉を……)

シノ(私は知っている、萩村の持ってきた花の花言葉を……)



アリア(案の定だったけど、私華道をやってるから知ってるのよね〜♪)


初めまして


ーー病院前ーー


出島「いってらっしゃいませ」



アリア「ありがと〜」



シノ・スズ「ありがとうございました」ペコ



出島「私は近くでナンパして遊んでますので、ごゆっくりなさってください」



アリア「病院だし、ごゆっくりは違うと思うよ?」



出島「あ、失礼しました」



スズ「いやそっちかよ!!」


♦️♦️♦️



ーー病院中ーー



看護師「津田様の部屋は702号室です。あまり大きな声は出さないようお願いします」



シノ「はい、分かりました。ありがとうございます」





スズ「会長、津田はどこの病室だったんですか?」



シノ「702だそうだ」



アリア「シノちゃん的には一階が良かった?」



シノ「そうだな……」



スズ「ああ、会長高いところ苦手でしたね」



アリア「違うよスズちゃん」



スズ「え?」



アリア「一階だったら072号室でオ○ニーになるからよ」



シノ「うむうむ!」



周りの人「…………」ジト-



スズ「そっちかよ!一階だから172ですよ普通!!」



シノ「おい萩村、そんな大声だすから周りの人に注目を浴びてるぞー」



スズ「私のせいじゃないよね!?」



看護師「すいません……病院内では静かにお願いします」



スズ「」



♦️♦️♦️



ーー7階ーー



シノ「とうとうだな」



スズ「ですね」



アリア「だねー」



シノ「全校生徒の前で発表するより緊張するぞ……」



アリア「発表は、皆から注目浴びるから羞恥プレイに含まれてるんじゃない?」



スズ「もうすぐだってのにつっこませないでください……」

スズ「それはそうと、最近の病院って結構綺麗ですよね」



シノ「塗装は精神を落ち着かせる色にしてあるからな。イメージが強いのかもしれん」


シノ「お、ここか」



コンコン



シノ「し、失礼しまーす」



開けてみると心地よい風が彼女達を突き抜け、カーテンが揺れているだけだった。

個室の空間には白いベッドが置いてあるだけで、居るはずの人が居ない。

ベッドにはシワの入ったシーツがあり、先程まで使っていた感じがした。



スズ「あれ、居ませんね……」



アリア「リハビリとかあるのかな?」



シノ「明日には退院なのだから、運動に支障はないと思うがな……」







「あの……ここ俺の病室なんですが……」



シノ・スズ・アリア「!?」ビク



3人の肩が一斉に跳ねた。突然聞こえた、聞きなれた声。

振り返らずとも、音主が誰だか特定出来た。


ゆっくりと振り返ると、副会長が気まずそうに頬を掻いていた。


改めまして


シノ「あ、えっと、その……」アタフタ



「部屋間違えたのかな?分からないなら教えるけど」



シノ(優しい……!記憶失っても津田は津田かーー!!)



スズ「わ、私達はアンタと同じ生徒会役員よ。本当に何も覚えてない?」



アリア「色々話したんだよー?」



スズ(……体外はピー音が入るんだけど)



「知り合いだったのか……ごめん、俺、何も思い出せなくて……」



シノ「コホン……記憶を失ってるとはいえ、知り合いとは心外な。私達はな、津田、お前の友人だぞ」



タカトシ「あ、ごめん……」

タカトシ (ゆ、友人……?こんな可愛い女子3人も!?俺ってそんな人だったのか……?)



スズ「とにかく中で話しましょう。廊下で話すのもあれですし」



シノ「うむ。思い出話に花を咲かそうではないか!」


♦️♦️♦️



シノ「改めて自己紹介だ。私は天草シノ、津田の通う桜才学園三年生、生徒会長だ」



アリア「私は七条アリア。同じく桜才学園三年生、生徒会書記」



スズ「私は萩村スズ……桜才学園でアンタと同じ二年生、生徒会会計よ」



シノ・アリア(あ、いつものフレーズ言わないんだ)



タカトシ「──で、俺が桜才学園副会長と」

タカトシ(なんだ、そういう関係か)ホッ



シノ「そういうことだ、何か思い出した事でもあるか?」



タカトシ「いえ、まったく……。萩村……さん?は飛び級なのかな?凄いね」



シノ・アリア(い、いきなり地雷!?)











スズ「ううん……私こう見えて津田と同じ年よ。それと私の事は萩村で良い……わ///」モジモジ









シノ・アリア(何この可愛い娘──!?)



タカトシ「あ、すまん……萩村」ドキ



シノ「あ、わわわわわ私の事は!し、し」



タカトシ「……し?」



シノ「シノ先輩と呼んでくれ!!」


スズ(私も思い切ってスズって言えば良かったかなぁ……///)


タカトシ「分かりました。シノ先輩」ニコ



シノ「………///」プシュ-



アリア「私はいつもどおり、七条先輩で〜」



タカトシ「はい、七条先輩」ニコ

タカトシ(いつもどおり……?)



シノ「それはそうと津田!お土産があるのだ!」



タカトシ「わあ、ありがとうございます」



アリア「私はフルーツの盛り合わせ」スッ



シノ「私と萩村は花を持ってきたぞ」スッ



スズ「ん……」スッ



タカトシ「本当にありがとうございます」パァァァァ



シノ「平気に歩いていたが、どうやら体は大丈夫なようだな」



タカトシ「ええ、おかげさまで。ついさっきまで気分を紛らわせる為に、花の本を読みに言ってたんですよ」



シノ・スズ(花の本……!?)ビク



タカトシ(あれ……萩村とシノ先輩がくれた花の花言葉ってたしか……──まさか、な)



タカトシ「何度も言った通り、記憶も思い出せない状況です。自分がなんでこうなったかすら思い出せません……ハハッ」



シノ「…………」ズキ



アリア「…………」



スズ「…………」



タカトシ「?」



アリア「──まあ!記憶戻すには話も良いみたいだから、思い出を話しましょう」



シノ「!あ、ああ!」








ワイワイワイ





話をしていると不思議なことに、時間が経つのは早い。

楽しかった思い出や、大変だった出来事。

ついこないだのように思い浮かぶそれを話せば、気持ちは和らいでいく。

しかし、二名ほど時間の流れの中、違和感が突っかかり落ち着かない様子でいた。




シノ・アリア((下ネタが言えないってこんなにも辛いのか(ね)……!))



タカトシside


ーー少し前ーー


目が覚めると医者が俺の顔を覗きこんでいた。その顔は優しい表情。

体を起こし周りをぐるっと見渡すと、一面が白で統一してあり、自然と心が安らいだ。


──……なんで俺は病院に?


そう思った瞬間、電撃を撃たれたと錯覚してしまうほどの、鋭い痛みが脳内を貫いた。

頭痛とは到底思えないその痛み。俺は無意識にも頭を抑えうずくまっていた。

医者は心配と焦りの表情を抱え、俺の背中をゆする。



その痛みの中、医者は淡々と説明を始めた。



難しい内容は頭に入ってこなかった。

でも、俺が記憶喪失というのは嫌でも分かった。



いつからだろうか。

この白い病室が俺を世界から区切っているような、俺だけ取り残されているような感覚になったのは。



♦️♦️♦️



気分転換に図書室へ行ってみた。

俄然、記憶は戻っていない。

それでも何かのきっかけに思い出せるような気がして、俺は自然と足を運ばされていた。



本はたくさんあるものの、何を読めば良いか検討がつかない。

迷いながらもゆっくりと巡回していた。

そんな中、ふと足を止めたのは景色の本をまとめて置いてあるところだった。


──……思い出の中に景色があるかもしれない。


そう思った俺は本を3冊取り、机へと向かう。

パラパラとめくり記憶の糸を辿るように、目に力を入れて見た。




でも、何も思い出せない。

3冊目に手をかけようとした時、疑問が湧いた。

本の名前は花言葉一覧。

景色の中に混じっていたらしい。

──……みたい本がない。



なら、これでも読んでいようかな。



♦️♦️♦️



結局、予兆すら無かった。

それでも幾度か気分転換にはなったので、良しとすれば良いだろう。

病室と同じような、塗装が施されている廊下を歩く。

自分と関係のある顔すら頭に浮かばない。言葉では言い表せない絶妙な心情。



俺の病室が見えた。

扉の前に3人の女性が話をしていた。

一目見て、可愛い顔立ちをしていると単純に思えた。


青いまっすぐとした髪の持ち主に、赤いウェーブのかかった髪の持ち主。

それに加え、あの人達の妹?だろうか?身長が低く、金髪にしてツインテールの女の子。


俺の病室を開けた。

別に見られて困るようなものはない。

けれど、その3人の顔は横から見ても唖然としていた。

どうやら部屋を間違えたらしい。

出来るだけ悪く思われないような言葉を言おう。



けれども、言葉が思い浮かばない。

しかし距離はだんだんと縮まっている。もう言葉をかけれる程に。

仕方ないと思った俺は、無意識に頬を掻き言葉を紡ぐ。











「あの……ここ俺の病室なんですが……」


副会長


シノ「──皆には秘密にして欲しい?」



タカトシ「はい」



アリア「でも難しくないかしら?記憶ないのを隠し通すなんて」



タカトシ「萩村は記憶力凄いみたいですし、俺の周りの事を聞きます。後は俺の演技次第ですけど……。頼めるかな?萩村」



スズ「任せなさい!」



シノ「津田が決めた事なら、それで良いのかもしれんが……本当に良いのか?皆に知ってもらったほうが何かと楽ではあるぞ?」



タカトシ「いえ、その……なんていうか……皆に心配かけたくないですし……」



シノ・スズ((やっぱり優しい……///))



シノ「そ、そうか!ならば了承しよう。私達も出来るだけ協力しよう」



スズ「ええ」



アリア「うん!」



タカトシ「本当に助かります……!」



アリア「あ、でも」



シノ・スズ・タカトシ「?」



アリア「ご親族の方にはどう言うの?流石に連絡しないというわけにはいかないと思うけど」



タカトシ「あぁ……昨日、学校と病院が母と父に電話したらしいです」



スズ「それで?」



タカトシ「2人とも海外の出張で、直ぐには帰れないみたいです」



シノ「ふむ……津田からは電話しないのか?」



タカトシ「電話……?」



タカトシ「──あっ!そういえば今日しないと駄目だったんだ!!」



アリア「あらあらぁ」



タカトシ「今からしてきます!」



シノ「私達もついて行くか」



♦️♦️♦️



タカトシ「────」ゴニョゴニョ



スズ「ついてきたは良いですけど、何か気まずいですね」



シノ「うむ」



アリア「だねー」



♦️♦️♦️



タカトシ「うん、本当に心配かけてごめんなさい……」



津田母「母親の顔も思い出せないとは本当に親不孝なんだから……そういえばタカトシ、その生徒会長さんが今居るの?」



タカトシ「ん?あぁ、居るよ」



津田母「話があるから、ちょっと変わってくれるかしら?」



♦️♦️♦️



シノ「────」ゴニョゴニョ



スズ「なんて言われたの?」



タカトシ「親不孝だとか、人様に心配かけてとか。それもしょうがないんだけど」



タカトシ「でも、凄い心配してくれてるのが分かった」



スズ「そう……」



シノ「────えぇ!?」



スズ・アリア・タカトシ「!」ビク



シノ「えぇ、でも──」



シノ「──はい……分かりました」ガチャ



タカトシ「シノ先輩、なんて言われたんですか?相当驚かれてましたけど」



シノ「……それが……」
















シノ「直ぐには帰れないから、津田の家に泊まって面倒見てくれって……」





我々は


ーー病院ーー



スズ「か、会長が泊まるんですか!?」



シノ「いや確かにそうなのだが、私「が」ではない。私「も」だ」



タカトシ「も……?」



シノ「その……コトミちゃんだけだと不安だから、我々に世話をして欲しいそうだ。前に泊まったこともあるしな。」



スズ「なるほど……って、我々?」



シノ「言っただろう、私「も」だと。萩村とアリアも含まれてるぞ」



スズ「!?」



アリア「あらあらぁ」



シノ「強制ではないので出来ればでいい。私は無論、頼まれたからには泊まることにする」



タカトシ「ちょ、ちょっとまってくださいシノ先輩!」



シノ「どうした?」



タカトシ「理由が理由なんですが……なぜそれで泊まることになるんですか?その……俺も男ですし」



シノ「ああ、それは簡単な理由でな」



シノ「親しい人と交流すれば記憶も戻るかもしれないからだそうだ」



タカトシ「…………」



シノ「それに、我々は津田の事を信用している。実質何回か宿泊はしているしな」



タカトシ「!はい、分かりました」



スズ(絶対お母さん、私を応援するわよね……津田の家に泊まるのか………///)



妹再開




コトミ「タカ兄〜!」ダッダッダ



タカトシ「えっと、シノ先輩あれが……」



シノ「ああ、津田の妹だ」



コトミ「タカ兄!タカ兄!記憶がないって本当!?」



タカトシ「ああ……ごめん……何も思い出せない」



コトミ「私のこと何も思い出せないの……?」



タカトシ「本当……ごめん」



コトミ「あの夜兄妹の一線を超え……スズ「わあー!わあー!ストップストップ!!」



タカトシ「?」



スズ「ちょっと来なさい」ソデヒッパル



スズ「耳かして」



コトミ「何ですか?」カガム



スズ「(津田が今記憶失ってる以上、会長も七条先輩も下ネタ厳禁にしてるのよ)」ヒソヒソ



コトミ「あぁ〜」



コトミ「(好印象、持たせたいんですね!スズ先輩!)」グッ



スズ「(わ、私だけじゃないわよ)」///



コトミ(あれ?なんか素直?)



コトミ「(まあ任してください!)」



スズ「(頼んだわよ……)」



シノ「ん、話は終わったのか?」アイコンタクト



スズ「はい」アイコンタクト



タカトシ「何の話をしてたんだ?」



スズ「え、えーと」



アリア「今日私達が泊まることを伝えてたのよ」



コトミ「え、えー!!?止まるんですか先輩方!」



タカトシ「え?話したんじゃ」



アリア「っていう予想だったけど、外れちゃったわねぇ」



タカトシ「は、はぁ……?」



ーーなんやかんやで1時間後ーー



ワーワー


スズ(コトミちゃん、全然喋らないわね……何故かは大体予想出来るけど)



シノ(……下ネタなしにもだいぶ慣れてきたな)



アリア(欲求って溜まるわねぇ……何か考えましょうか【 自己規制 】)



コトミ「…………」ウズウズ



シノ・スズ(心配だ……)


乙女




──なんやかんやあって皆さん帰りました



ーーシノ家ーー


インtheベッド



シノ「はぁ……明日は津田家に泊まりか……」ゴロゴロ



シノ「家族の了承は取れたものの、やはり緊張する……」



シノ「!」ピコ-ン



シノ「こういう時は人の字を書いて飲めば良いんだよな」ウン



シノ「んっ」ゴク



シノ「…………」










シノ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!駄目だ緊張するぅぅ!!」バタバタ



シノ「前にも泊まったのに何故だ……記憶が無いからって私は期待してるのか?いや、それは喜ばしい事じゃない……でも、アリアにも言われたしな」



シノ「はっ!もしかして眠れないパターンか!?これは!」



シノ「……アリアに電話しよう」





ーースズ家ーー



スズ母「スズー、お風呂入ってきなさい」



スズ「あ、うん」トテトテ




ーーお風呂だお!



スズ「んしょ」チャプ



スズ「はぁ……明日津田家に止まるのよねぇ……」



スズ「緊張するなぁ……///」



スズ「津田が明日退院して、家に行ったあと出かけるのよね……」



スズ「頑張れ!私!」



スズ「って、あれ?」








スズ「記憶ない今、私が津田の彼女って言ったらどうなるんだろ……?」







電話





purururu



アリア「もしもしー?シノちゃんどうしたの?」ガチャ



シノ『あぁ、アリア。その……なんだ、緊張してだな』



アリア「緊張?ああ!明日の事ね」



シノ『うむ……それはそうと、アリアは明日行けるのか?』



アリア「ええ、大丈夫よ。シノちゃんみたいに緊張はしてないけれど」



シノ『うっ……私だって好意を寄せる相手にぐらい緊張するぞ!』



アリア「ふふ、ごめんなさい。でも何回か泊まってるじゃない」ニコニコ



シノ『チャンスと思うとついな。津田には本当悪いと思っているのだが、これが惚れた弱みと言うのか……』



アリア「シノちゃん、だいぶ素直になったわね」ニコニコ



シノ『ばっ!素直とかそんなのではない……自分を再確認しただけだ』



アリア「その結果素直になったんでしょう?」



シノ『ぐっ……やはりアリアには勝てんな……』



アリア「ふふ……」



シノ『……心拍数が上昇して鎮まらん……』



アリア「初夜だと思えば和らぐんじゃない?」



シノ『──おぉ!確かに!』



アリア「でしょ?」



シノ『ありがとな、アリア。──そういえば思った事があるんだが』



アリア「なぁに?」



シノ『私達下ネタ言わないのにだいぶ慣れてきたと思わないか?』



アリア「確かに、シノちゃん口数へったね」



シノ『アリアはどうだ?』



アリア「私は抑えられる分寧ろ性欲が溜まるから、これは新手の束縛プレイ!と思ってるわ」



シノ『……相変わらずだな』



アリア「ふふ。津田君に好印象を持たせるのも良いけれど、逆に調教するって手もあったのにねぇ」



シノ『ゴクリ』



シノ(ん……?)



アリア「私たちが津田君の彼女だと言って、寝取りプレイも出来たかも」



シノ(んんん?)



アリア「あら、充電が切れそうだから切るわね、頑張ってねシノちゃん」



シノ『……あ、あぁ!だいぶほぐれた、またなアリア』



アリア「ええ、また明日」



ーーシノsideーー




シノ「ふぅ……」

















シノ「津田の記憶がない今、私が津田の彼女だと言ったらどうなるんだ……?」









「星が……綺麗だ」



病室から覗ける満点の星空に津田は歓喜な声を上げた。

既に訪れた人は居らず、しんみりとした空気の漂う病室。

彼はシーツを膝にかけ、ベッドに座る状態で外を眺めていた。

彼の目先に映るのは、この壮大に散りばめられた星と花瓶の中の花が2輪。



(このハナミズキとリナリア……花言葉は)



──……これは偶然なのだろうか。

2つの花が指す言葉は恋絡みであり、選ぶ花としても不自然と言えば不自然である。

津田は、送り主の2人の少女を頭に思い浮かべる。

知ることは記憶を埋めるためには欠かせないかもしれいないと思うと、2人の事をもっと知らなければと意識してしまう。

意識するとたちまち顔が赤くなる。



思い馳せる少女2人をよそに、記憶を失った少年の方は進み始めていた。


問題の日



ーー津田の病室ーー


シノ「…………」



タカトシ「…………」



シノ「なあ津田」



タカトシ「……はい」ダラダラ



シノ「私は昨日何と言ったか覚えているか?」



タカトシ「『明日また迎に来るから、荷物をまとめておけ』……です」



シノ「時間も伝えたよな?」



タカトシ「はい……11時前後と……」



シノ「この病院の外でアリアと萩村、もっといえばドライバーの出島さんが待っている」



タカトシ「はい……」



シノ「今、何時だ?」



タカトシ「……………」チラッ



タカトシ「……12時です」



シノ「最後の質問だ」






シノ「津田、昨日は何時に寝た?」








ーー時と場所は変わって車内



シノ「──まあ一通り叱ったから、直ぐに来るだろう」



スズ「まったく、津田は記憶を失っても変わらないですね」



アリア「津田君らしいわね〜。それはそうと予定は決めたの?」



シノ「まだ決めてなかったな、そういえば」



スズ「駅近くのデパートで買い物で良いんじゃないですか?ご飯作らなきゃいけませんし」



アリア「でも、津田君何時間も買い物付き合えるのかな?」



シノ「デパート内にゲームセンターがあっただろう。それを巡れば良いと思うぞ」



アリア「ゲームセンターかぁ……あまり行ったことないなぁ私」



シノ「む?思えば私もだ」



スズ「え?私もです」



アリア・シノ・スズ「…………」ウズウズ←興奮←意味浅



シノ「楽しくなりそうだな……──と、ようやく来たぞ」





タカトシ「ほんっと遅れてすいませんッ!」


理念


ーー車内


タカトシ「──へぇ、デパートですか」



シノ「あぁ!色々見て回った後ゲームセンターにでも行こうと思ってな」



タカトシ「楽しそうですね」ニコ



スズ「あぁ、そうだった!津田、夕飯は何が食べたいの?」



タカトシ「夕飯?うーん……任せる」



アリア「こら、津田君?任せるって一番困るのよ?」



スズ「そうよ、何でも良いのよ?」



タカトシ「すいません……じゃあカレーで」



スズ「分かったわ!」



シノ「まあ夕飯の前に昼ご飯だな」



スズ「色々ありますし、迷いますよね」



アリア「見てから決めましょうよ」



サヤカ「皆様、もう直ぐ着きますのでご準備を」



「「「「はーい」」」」



ーーーー


ーーー


ーー


この時、二人の少女にはある理念が脳裏を過ぎっていた。

三大欲は言わずもがな、睡眠欲、食欲、性欲。その中の性欲に当てはまる「恋」という悩み。

この状況だからこそ想いを伝えれる場だと信じ、少女達御一行はそれぞれの思いを胸に寄せていた。





遊ぶぞ!


ーーーデパート内・ゲームセンターーー


ジュンジョウカレンデアレ~♪


シノ「む、難しいな」<ドドカカドカドカドカドカ



スズ「…………」プルプル



タカトシ「えーと…七条先輩」



アリア「どうしたの?」



タカトシ「萩村とシノ先輩が太○の達人をしてるのは分かります」



アリア「してるね~」



タカトシ「でも、なんで萩村はあんなに頑張ってるんですか!?」



スズ「」ピク



タカトシ「身長が足りないなら──スズ「黙りなさい津田」



スズ「人にはね……超えられない壁があるの」ドンドンドン



タカトシ「だから補助台を……」



スズ「甘いは津田!!他者から助けてもらっても意味がないわ!自分で乗り越えてこそ成長できるの!」ドドドカ



タカトシ「萩村が輝いてる……!(普段から立派なのかな……)」



アリア(でも身長は成長しないわよね、そこを頑張っても)



スズ「うぉぉおおぉぉ!!」カッカッカカカカ



アリア・タカトシ(ドンはともかく、カはやりにくそう……)




──フルコンボだドン!



シノ「ふふ、なかなか楽しかったな!」



タカトシ「シノ先輩、ちゃっかりフルコンボしてますね」



スズ「ぐぬぬ……」



アリア「ま、まあカは打ちにくかっただろうし、しょうがないわよ。ねえ、津田君?」



タカトシ「え?あ、うん。萩村も萩村なりに頑張ったと……思うよ」ニコ



萩村「……///」



シノ「むー……」



◆◆◆



シノ「次はエアホッケーだ!」



アリア「チームはグッパで決めましょう」



一同共「「「「グーとパーで別れましょ」」」」



◆◆◆



青side タカトシ&シノ



シノ「津田!頑張るぞ」



タカトシ「はは、、、足を引っ張らないように頑張ります」



赤side アリア&スズ



スズ(津田と一緒が良かったな……)



アリア「スズちゃんスズちゃん」



スズ「あ、はいっ」



アリア「(相手に回ったの方がタカトシ君に見てもらえると思うけど?)」ゴニョゴニョ



スズ「!」



◆◇◆◇


アリア「じゃあ行くよ〜」カン



タカトシ(あ、来た。本気で打たずにかるーく……)



シノ「もらった!!」カッ



タカトシ「えっ……?」



アリア(シノちゃんったら必死ねぇ。返さなきゃ)



スズ「七条先輩!ここは私が!」カッ



アリア(……スズちゃんも)



シノ「甘いぞ萩村!」カッ



タカトシ(これ1on1になってるような……)



スズ「ふっ!」カッ



シノ「なんのっ!」カッ



スズ(津田に──)



シノ(活躍を──)



スズ・シノ((──見てもらう……!))



アリア(こう、強く玉を打ってるところを見ると何かしら感じるものがあるわ)ゾクゾク



◇◆◇◆



スズ「ハァ……ハァ」



シノ「ゼェ……ハァ……」



アリア「二人ともお疲れ様」



タカトシ「結局、0対0の引き分けなんですね」スゴイヤ



スズ・シノ「あ!」



シノ「す、すまん!津田!つい夢中になってしまった!」アセアセ



タカトシ「あぁ、いえ!見てて凄かったですし良いですよ」



シノ「そ、そうか……」ホッ



スズ「七条先輩!すいません!単独でやってしまって」



アリア「良いのよスズちゃん」



スズ「先輩……」



アリア「これはこれで楽しませてもらったから」ハァハァ



スズ「!?」(この人、性の禁断症状出始めてるんじゃ……)


























後書き

何卒、よしなに。
遅れて申し訳ありません。


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8件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2014-11-04 11:29:58 ID: JIvk93wk

いや〜 また面白いSSを見つけましたよ!!
続きが早く見たいです!!
その前に…テスト頑張って下さい

2: SS好きの名無しさん 2014-12-20 12:57:01 ID: 9X0Zsg59

赤点取ったら、許さねーからなっ!!

3: SS好きの名無しさん 2015-02-21 23:58:19 ID: 0BRartyw

なんというクオリティ…
テストの心配もいらなそうですね♪
頑張ってください(●´ー`●)

4: SS好きの名無しさん 2015-04-02 18:17:08 ID: nDGLiJvM

とてもいい作品だと思います、勉強頑張ってくださいね。続き楽しみにしてます。

5: SS好きの名無しさん 2015-04-07 01:01:13 ID: 6OFKNZo4

面白そうです。是非完結を。
途中でアリアがマリアになってます。

6: SS好きの名無しさん 2015-09-24 22:29:19 ID: gkfGIMG2

結構面白い。

7: SS好きの名無しさん 2016-02-15 03:37:56 ID: lpB-dLw0

背中揺すっちゃダメでしょ先生

8: SS好きの名無しさん 2021-07-25 12:23:36 ID: S:ekpWQD

読者です。作者ではありません。
勝手に続きを妄想しました。

タカトシ「あ、これか!ルー!」
(ん?甘口…?……。あ、なるほど…。)

スズ《ジトー》

タカトシ「萩村、もしかして、このルー取りたい?」

スズ ( ゚д゚)ハッ!「いやっ!大丈夫よ。取ってくれる?」

タカトシ「あぁ、うん。わかった。」

スズ(まだよ。まだ、もう少し、様子をみましょ)

シノ「津田ぁ…。( ゚д゚)ハッ!まさか、桜才の誰かに見つかったとか…。」

アリア「シノちゃーん!何してるの?あれ?津田君は?」

シノ「それが、私が、戻った時には、既にいなくてな…」
(まさか。萩村が、抜け駆けか?…。そんな事。無いと思うんだが…)

タカトシ「あ、シノ先輩!七条先輩!戻って来てたんですね、スミマセン…。」

スズ「すみません。会長、七条先輩。カレーのルー、高い所に置いてあって、届かなくて…」

シノ「なーんだ!そういう事だったのか!いや。全っ然気にしてないからな!」

タカトシ&スズ「あ、はい…?」


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1: SS好きの名無しさん 2014-11-09 12:53:45 ID: zu3rrbzB

記憶がないから~という発想も面白い

2: SS好きの名無しさん 2014-11-21 17:11:40 ID: QnYkcRhc

続きが読みたいです!
面白い!

3: SS好きの名無しさん 2015-01-04 20:25:02 ID: xpBXKKZN

なんか誤爆多いな

4: SS好きの名無しさん 2015-09-22 13:24:18 ID: pUiy-90e

やべえっ!


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