2016-01-04 23:53:36 更新

概要

野球部の復活・・・。
それは、彼女たちの夢でもあり叶わない希望でもあった。
そして、彼女たちはあの地を目指して進み始める。

性格、口調の変更あり。
オリキャラ出す予定です・・・。


うだるような暑さの中、あの人はあの場所に立っていた。

ブラスバンドの音、絞りだされる声援、球場を包み込む熱気。

??「私、決めた!」


??「なにを決めたんですか?」


??「ことりも、気になる!」


??「私ね・・・絶対音ノ木高校に行く・・!」



2年後・・・


穂乃果「はぁー・・・。今日もキャッチボールだけか・・・。」


海未「仕方ないじゃないですか、今や9人いないのですから・・・。」


ことり「そうだね・・・。」


穂乃果「いやだ!!1年生も入学してきたんだし、1人くらい見学来てくれてもよくない?!どうしてこないの?!」


ことり「そうはいってもね・・・今じゃ、部活に来てる先輩もにこ先輩しかいないしね・・・。」


穂乃果「にこ先輩練習もしないでアイドルのビデオばっかり見てるじゃん!意味ない!」


にこ「聞こえてるわよ。」


穂乃果「ひいいい!にこ先輩?!」


海未「すみません・・・。」


にこ「はあ・・・。別にいいわよ、事実にかわりないから。」


ことり「あの・・・にこ先輩は、どうして練習しないんですか?」


にこ「・・・。」


穂乃果「にこ先輩?」


にこ「努力なんてしたって意味ないのよ。努力に時間はかかっても、なくすことなんて一瞬なのだから。」


穂乃果「そんなことないですよ!」


にこ「へえ・・・、穂乃果、ずいぶん意地をはるじゃない。」


穂乃果「努力は・・・絶対裏切りません!」


にこ「無駄よ、仮に今から始めたとしても予選まで2か月。もう手遅れよ。」


穂乃果「そ、そんなこと・・・。」


海未「もうやめましょう、穂乃果。にこ先輩に謝って・・・。」


穂乃果「だけど・・・。」


にこ「はあ・・・。あんたも頑固ね。そうね、もしあと部員を2人集められたら考えてあげるわ。」


穂乃果「わかりました!それじゃ!!」


海未「ちょ、待ってくださいよ!」


ことり「あ、置いていかないで!!」


バタン


にこ「え・・・。冗談だったんだけど。」



ーーー


海未「あてはあるんですか。穂乃果。」


穂乃果「うーん、野球やりたい人はオーラが出てるよ!」


ことり「あははは。相変わらず無茶苦茶だね・・・。」


穂乃果「あ、あの人とかやりたそう!」


海未「待ってください、彼女は陸上部ですよ!」


穂乃果「ねえねえ、野球やろうよ!」


??「え・・・、野球部復活するんですか?」


こおり「嘘!本当に、興味があるの?!」


??「ま、まあ・・・中学では野球部にいたにゃ・・・。」


穂乃果「にゃあ?」


??「い、いたからです。」


穂乃果「そっか!じゃあ、興味湧いたら2-A来てよ!待ってるからね。」


海未「ほ、穂乃果!もう行くんですか?」


??「野球・・・。」


ーーー


先輩「お疲れー、凛。」


凛「お疲れ様です、先輩!」


先輩2「あんまり無理すんなよー。」


先輩3「本当、凛はよく遠くまで投げられるよなー。」


凛「そんなことないですよー。」


先輩「またまたー。」


先輩2「ははは、じゃ、お先ー。」


凛「お疲れ様です!」


??「・・・。」


凛「・・・野球。」


??「凛ちゃん・・・。」


凛「かよ・・・なんですか、小泉さん。」


花陽「さっき話してたのって・・・野球部の高坂さん達だよね・・・?」


凛「な、なんで知ってるんですか?」


花陽「たまたま、見かけて・・・。」


凛「・・・。」


花陽「野球・・・またやらないの?」


凛「・・・。」


花陽「凛ちゃんは、すごく足が速いし器用だし・・・すごく野球に向いてると思うの・・・!」


凛「・・・。」


花陽「凛ちゃん・・・?」


凛「凛がなんで野球やめたか知らないくせに。」


花陽「え・・・?」


凛「凛は、高校に入っても小泉さんと野球ができると思った、したかった。なのに・・・約束を破ったのは小泉さんでしょ?」


花陽「そ、それは・・・。」


凛「関わらないでください!凛は・・・凛は自分で自分の道を決めることにしたの!」


花陽「り、凛ちゃん!」



ーーー


凛母「凛ー?起きてるの?起きてるならご飯食べちゃいなさい。」


凛「・・・。」


凛母「凛?起きてるの?」


凛「・・・。」


凛母「もう・・・。いつも通り冷蔵庫に入れておくから・・・ちゃんと食べるのよ・・・?」


凛「・・・。」


いつからだろう・・・家族と一緒にご飯を食べなくなったのは・・・。

本当はわかっている。野球の道をあきらめてからだ。

違う・・・本当は、親友に裏切られてからだ。

かよちんとは、小さいころから家が近所だったこともありよく遊んでいた。幼馴染というやつだ。

そんなかよちんに野球を薦められたのは、小学校に入ってからだ。

当時、甲子園にも女子でも参加できることになったり、女子リーグの誕生から野球ブームが女子の中でも起きていた。

私達も軽い気持ちで、最初は見学に行った。しかし、そこでみたものは一人一人がとても輝いているものだった。

私とかよちんは、あっという間に野球の虜になった。

最初こそ、私がかよちんより慣れるのが早くレギュラーにもなれた。

それでも、かよちんはコツコツと努力を積み重ねて中学校では私より早くレギュラーになっていた。

かよちんと一緒に甲子園を目指すのは、当たり前のことだと思っていた。

高校入学前、かよちんに突然言われた。


「野球、やめるね。」


私の中でなにかが弾け飛んだ。

かよちんが野球をやめる・・・?私は、何度も何時間も説得をした。

だけど、明確な理由も得ることが出来ず高校に入学してしまった。

私は、名前だけの野球部に入部せず陸上部のやり投げ選手となった。

かよちんは、どこの部活にも所属しなかった・・・。

なにかが、いつも物足りなかった。

何十年もそばにあり続けた、野球とかよちんというライバル・・・。

心の隙間を簡単に埋めることはできなかった。


凛「なんでやめたんにゃ・・・かよちん・・・。」


部屋の隅には、ピカピカに磨き上げられたグローブとスパイクが置いてあった。

習慣というものは恐ろしく、やめたあとでも抜けることはなかった。


凛「2-A・・・。」


ーーー


??「あの・・・高坂先輩はいますか?」


ことり「穂乃果ちゃんを探してる?」


??「は、はい。高坂穂乃果先輩です・・・。」


ことり(この子何を恥ずかしがっているんだろう?)


穂乃果「なにない?!呼んだ?!あ、もしかして入部希望者?」


??「あ・・・いや、そういうわけじゃ・・・。」


穂乃果「もう、遠慮しないの!あ、そうだちょっと屋上いこう!」


??「ええ!?だ、誰か助けてー。」


ことり「ほ、穂乃果ちゃん?!」


海未「どうしたんですか・・・って、また穂乃果ですか。はぁ・・・行きますよことり。」






凛「かよちん・・・?」






ガチャ


穂乃果「よーし、第二グラウンドとうちゃーく!」


花陽「第二グラウンド?」


穂乃果「うん!今はさ、人数いないから校庭使わせてもらえないけど絶対、部活を復活させて使えるようにするんだ!」


花陽「なんか・・・すごいですね!」


穂乃果「さあ、やるよ!」


花陽「やるって・・・グローブを渡されても・・・。」


穂乃果「キャッチボールだよ!いくよ!」


花陽「ええ?!」


穂乃果「ナイスキャッチ!!うまいね!!えーと・・・。」


花陽「小泉花陽です・・・。」


穂乃果「花陽ちゃん!」


花陽「こ、高坂先輩!」


穂乃果「ふっふふー!よーし、肩もあったまってきたしそろそろ行くね?」


花陽「え・・・?」


穂乃果は、静かに振りかぶった。目つきは先ほどまでのものとは全く違た。

流れるような動きで、左手をわきへ引きムチのような動きで右手からボールが放たれた。

剛速球というわけではないが、キレのあるホップする弾が花陽にグラブに飛び込んできた。


パァーン。


という気持ちのいい音がした。


穂乃果「おお!花陽ちゃん、ナイスキャッチ!」


花陽「す、すごい球・・・。」


穂乃果「えへへへ。これでもスカウトとか来たんだよー!」


花陽「もしかして・・・バードシニアの高坂先輩・・・?」


穂乃果「あれ・・・?よくわかったね。」


花陽「ほ、ほんとうですか?!私、フラワーシニアで野球やってたんです!高坂先輩は伝説ですよ!その唸るような弾に正確なコントロール。落差のある高速縦スライダーに緩急をつけたチェンジアップ。ついた名は、パーフェクトマシーン・・・。」


穂乃果「もう・・・言い過ぎだよー!」


花陽「こ、こんな場所であえて、しかもボールまで受けられて本当に幸せです!」


穂乃果「もう、言い過ぎだってばー。でも、中学でも野球やってたんだから高校でもやるよね?」


花陽「・・・。」


穂乃果「花陽ちゃん・・・?」


花陽「・・・。」


穂乃果「・・・なにかわけがあるのかな?」


花陽「私は、小さいころから野球をしてきました。私には、とても大切な友人がいます。そんな友人は、スポーツならなんでもできて運動神経もよくて私の憧れでした。」


穂乃果「へえ・・・。憧れの選手か・・・。」


花陽「だけど・・・中学に入ると先にレギュラーになったのは私でした・・・。その時からです、友人に劣等感を覚え始めたのは。おかしいですよね、私がレギュラーをとったとに劣等感を覚えるなんて。でも、怖かったんです。私たち外野手がレギュラーになれるのは3人。人数の多い部活でしたから、レギュラー争いも熾烈でした。」


花陽「そんな中、友人をさしおいて私だけがレギュラーになった。怖かったんです。それが原因で恨まれるんじゃないか、嫌われるんじゃないか・・・。」


穂乃果「・・・。」


花陽「私の中では、実力は友人のほうが上だと今でも思っています。だから・・・、いつ嫌われるかもしれない・・・そんな思いはしたくないんです。だから・・・私は野球をやめました。」


穂乃果「嫌われるのが嫌だ・・・か。」


花陽「友人の名前は、星空 凛って言います。高坂先輩が昨日話しかけていた陸上部の子です。お願いします、彼女にまた野球をやらせてあげてください。お願いします。」




凛「・・・。」


海未「黙って見ていていいんですか?」


凛「え・・・。」


ことり「凛ちゃんがどう思っているのか・・・伝えるべきなんじゃないかな?」


凛「確かに・・・かよちんには怒っています・・・だけど、そこに凛のことを思う優しさがあったなんて・・・考えもしなかったにゃ・・・。なんて言えばいいか・・・。」


海未「にゃあ・・・?」




花陽「それに・・・私は、凛ちゃんの心を傷つけました・・・。たぶんレギュラーをとったあの日から・・・。」


穂乃果「それは違うんじゃないかな?」


花陽「え・・・?」


穂乃果「フラワーシニアが、人数が多いチームで実力もあるチームっていうことはよく知ってるよ。だけどさ、凛ちゃんが怒っているのは花陽ちゃんのその考え方じゃないかな?」


花陽「考え方・・・・?」


穂乃果「レギュラーにはなりたい。試合にも出たい。だけど、それよりも・・・何年間もやってきた仲間と信頼できると友と競えあえるライバルと野球がしたかったんじゃないかな?」


花陽「あ・・・。」


穂乃果「野球は9人しかレギュラーにはなれなよ。だけどさ、楽しみ方は人それぞれだよね。悩み方も人それぞれ。凛ちゃんは、レギュラーになるよりも花陽ちゃんと野球がしたいんじゃないかな・・・?」


花陽「私は・・・私は・・・・なんて・・・。」


穂乃果「安心して!私たちの野球部は9人も集まらないかもしれないからさー。だから、勝ち進むことは難しいかもしれない。だけど、それ以上に大切なものを実感できるんじゃないかな?」


花陽「・・・大切なもの。」


穂乃果「野球・・・・やろう?」


花陽「・・・はい。」


穂乃果「やったー!っていうことで、凛ちゃんもやるよね?」


凛「にゃにゃ?!」


海未「ごめんなさい、LINUで凛がいることを教えていました。」


ことり「ごめんねー。」


凛(南先輩、顔が笑ってる・・・・)


花陽「凛ちゃん・・・。」


凛「・・・。」


花陽「え・・・?」


凛「もう、絶対野球やめるなんて言わないで!」


花陽「・・・うん!」


凛「かよちん!!」


花陽「凛ちゃん!」


穂乃果「いやぁー、穂乃果頑張ったなー。」


海未「いつもやることが突然なんですよ。」


ことり「でも、そこが穂乃果ちゃんのいいところでもあるよね。」


穂乃果「ところでさ、凛ちゃん。」


凛「なんだにゃ?」


穂乃果「その・・・にゃあってなに?」





ーーーー

理事長「わかりました、この件は私のほうで処理しておきます。」


??「よろしくお願いします。時に、野球部が復活するという噂を聞いたのですが・・・。」


理事長「そうみたいね。2年生の高坂さんが部員を集めてるみたいよ。」


??「・・・。」


理事長「あなたも、復帰してみたらいいんじゃないかしら。元エースさん。」


??「もう、私が選手としてグラウンドに立つことはありません。失礼します。」


ガチャ


??「エリチ・・・。」


絵里「希・・・どうしたのよ。」


希「本当に・・・野球やらないん・・・?にこっともなんだかんだ、エリチの復帰を待ってるんよ?」


絵里「・・・。」


希「エリチ・・・!いつまでもくすぶっていても仕方ないやん。」


絵里「・・・希、私はもう野球にはかかわらないの。」





希「ウソ・・・なら、その手のマメはなに・・・?バッターとしてなら復帰できるって一番考えてるのはエリチやん・・・。」



ーーー


にこ「ええ?!も、もう2人集めちゃったの?!」


穂乃果「そうだよ!しかも、2人ともフラワーシニア出身だから即戦力だよ!」


にこ「そ、そう。てか、アンタさりげなく敬語忘れてんじゃないわよ。」


海未「すみません、にこ先輩。」


ことり「でも、これでにこ先輩も練習してくれるんですよね?」


にこ「む、むぅ・・・。」


にこ「ま、まだよ!あと1人、私の指名した人が入部したら考えてあげるわ!」


穂乃果「ええ・・・嘘つきじゃないですか・・・にこ先輩。」


にこ「う、うそつきじゃないわよ!考えてあげるって言ったじない。だから、あと1人入部したら練習に参加してあげるわ。」


海未「ちなみに、誰ですか?」


にこ「1-Aの西木野 真姫よ。」


凛「ああ!しってるにゃ!いつも、本を読んでる子だにゃ!」


花陽「凛ちゃん、よく知ってたね。」


凛「カンニングさせてってお願いしたら断られたから覚えてるにゃ!」


花陽「凛ちゃん・・・カンニングはやめようね。」


海未「にこ先輩と西木野さんは、どういうご関係なんですか?」


にこ「・・・後輩よ。」


海未「後輩・・・?」


にこ「ライオンズシニアの後輩よ。」


全員「ええ?!」


にこ「な、なによ。そんなに驚くことないじゃない。わ、私だって後輩思いっていうことよ。」


穂乃果「にこ先輩ってシニアにはいってたんだ。」


ことり「ほ、穂乃果ちゃん声大きいよ。」


海未「ですが、私も初耳です。」


凛「あの身長でどこ守れるんだろうね。」


花陽「り、凛ちゃん!だめだよ。」


にこ「・・・あんた達丸ぎ声よ。」


にこ「はぁ・・・、まあ初めていったしね。知らないのは当然よね。まあ、私だってそれなりの経験があるてことよ。」


穂乃果「でも、なんで真姫ちゃんにこだわるんですか?」


ことり(まだあったこともないのにちゃん付け)


凛(もしかしてなんだけど、穂乃果ちゃんって少しおバ・・・)


花陽(だ、だめだよ!)


海未(事実ですから否定できないところが辛いものです)


にこ「あんた、知らない?おととし引退したオーリズの西木野選手。真姫は、娘よ。」


穂乃果「そうなんですか!それは、期待ですね!」


にこ「ま、絶対無理よ。」


穂乃果「さっそくいってきますね!」


にこ「ちょ、最後まで聞きないさよ!」



ーーー

真姫「はぁ・・・。」


私は憂鬱だった。

これから何が起こるかわかっているわけではない。

これまで何かがあったわけではない。

とにかく、憂鬱で振り払えない靄が私の周りを漂っていた。


??「超理論バッティング?」


真姫「え・・?」


??「なんか難しそうな本読んでるね!」


真姫「ヴェェェ?!」


??「ほ、穂乃果!突然話しかけたら驚くに決まっているじゃないですか。」


??「ま、まあ。海未ちゃん・・・。ごめんね、西木野さん。」


??「ことりは、穂乃果に甘すぎます。」


穂乃果「ことりちゃーん!海未ちゃんがいじめるよ。」


海未「ほーのーかー!」


真姫「・・・どうでもいいけど、なんか用でもあるの?」


??「り、凛が話すにゃ!」


真姫「・・・?」


凛「久しぶりだね!真姫ちゃん。」


真姫「・・・あぁ、カンニングさんね。」


穂乃果(うわああ・・・。)


ことり(な、なかなか毒舌だね)


花陽「り、凛ちゃん!息して!」


凛「カンニングで覚えられてたにゃ・・・。」


真姫「うるさいわね。結局、何のようなのよ。」


穂乃果「へっへーん。野球やろう!」


海未(ストレートに行きましたね)


真姫「・・・やらないわよ。」


穂乃果「そんなこといわずに!ね?」


真姫「いやよ、野球なんて。汗臭くてドロドロになって。バカみたいじゃない。嫌いよ、野球。」


ことり「その割には、そんな本読んでるんだね?」


真姫「こ、これは・・・!」


凛「とにかく、真姫ちゃん!いっくにゃー!」


真姫「ちょ、ちょっと!離しなさいよ。」


穂乃果(私の仕事が・・・。)


全員(穂乃果(ちゃん・さん)タイプが二人も・・・?!)





凛「いくよ!それっ!」


真姫「キャッチボールなんて・・・なんで私が・・・。」


花陽「その割には、真姫ちゃんもいい球なげるよね。」


真姫「べ、べつに・・・!」


園田(本当にいい球をなげます。ですが・・・)


ことり(楽しそうじゃないよね・・・)


穂乃果(・・・。)


凛「やっぱり、真姫ちゃん!一緒に野球やろうにゃ!」


真姫「一緒に・・・。」


凛「お願いにゃ!」


花陽「り、凛ちゃん!少し強引だよ。」


真姫「うるさいわね!」


全員「・・・!」


真姫「どうせ、私のパパの名前を使って・・・私をマスコットのようにするつもりなんでしょ!私は、パパみたいにセンスもないもの!やきゅうなんて 嫌いよ!」


凛「あ、まってにゃ!」


穂乃果「凛ちゃん!今は・・・まとう・・・?」


凛「・・・わかったにゃ・・・。」


花陽「凛ちゃん・・・。」


花陽「あれ・・・、学生手帳?」



ーーー


花陽「ここ・・・かな?」


ピンポーン



ガチャ


真姫母「あら?どちらさま?」


花陽「あ、あの。私、音ノ木学園で真姫さんと同じクラスの・・・。」


真姫母「もしかして、真姫の友達?!さあさあ、あがってあがって。」


花陽「は・・・はい・・・。」


真姫母「紅茶とコーヒーーどちらがお好み?」


花陽「そ、そんなお気遣いなく・・・。」


真姫母「いいのいいいの、紅茶だけどいい?」


花陽「あ、ありがとうございます。」


真姫母「それにしてもうれしいわ。真姫友達なんて。」


花陽「あ、あの。私落とし物を届けに来ただけで・・・。」


真姫母「あ、そうなの・・・。ごめんなさい。私の早とちりで・・・。迷惑よね。」


花陽「い、いえ!そんなことありません。私は友達になりたいんですけど・・・認めてもらえるか自信なくて・・・。」


真姫母「・・・あなた、野球やってるわね?」


花陽「え・・・?」


真姫母「その日焼けの後を見ればいやでもわかるわ。きっと、あの子も内心ではうれしいはずなのよ。話しかけられて。けれど、どこかで父親と比べられてしまうかもしれない・・・そんな恐怖心があるのよ。」


花陽「恐怖心・・・。」


真姫母「まあ、あの子の性格にも問題はあるのだけれどもね。だけどね、根は優しくて野球が大好きなの。」


真姫母「諦めないで、誘ってもらえないかしら?」


花陽「え・・?」


真姫「ただいま。」


真姫母「おかえりなさい、お友達来てるわよ。」


花陽「真姫ちゃん・・・。」


真姫「な!何の用よ。入らないって言ったでしょ!。」


花陽「学生手帳落としてたから・・・。」


真姫「そ、そう・・・。ありがとう。そこに置いておいて。じゃあ。」


花陽「真姫ちゃん!」


真姫「なによ。」


花陽「待ってるから!明日も・・・必ず来てね!」


真姫「・・・。」


ガチャ


花陽「だめ・・・でしたかね。」


真姫母「そんなことないわ。あの子も葛藤しているのよ。自分のプライドと。」



ーーー


私は何をしているのだろう。

私は、野球なんて嫌い・・・そう思い込むことしかできない。

人より才能があっても、ひとより努力をしても報われることはない。

ただ、比べられるだけ。

私は、私よ。どうして、他人と比べるの?

そう思い始めてからだ野球をすることが苦痛になったのは。


けれど・・・あの子・・・花陽だったかしら・・・彼女は、本当に私が欲しいの・・・?

私だから、スカウトをしたの・・・?


にこ「いつまでウジウジしてんのよ。」


真姫「に、にこちゃん?!」


にこ「ちょ、いちお先輩よ。ちゃん付けやめなさい。」


真姫「にこちゃんが前に先輩はやめてって言ったんじゃない。」


にこ「そ、そんな昔のこと忘れたわよ。」


真姫「・・・。」


にこ「・・・。」


にこ「どうすんのよ。入部するの?」


真姫「え・・・?」


にこ「悔しいけど、あの子たちはあんたの心を揺さぶることができた。あんたを欲しがってる。」


真姫「にこちゃん・・・。」


にこ「勘違いしないでよね、別に私があんたを紹介したわけじゃないんだから。むしろ、入部しないほうがいいわ。あんたが入部したら私まであの辛い練習の日々をまたおくることになるもの。」


真姫「にこちゃん・・・!」


にこ「ちょ、な、なんで抱き着くのよ。」


真姫「・・・ありがとう。」


にこ「・・・。」


真姫「私、また野球やるわ。










  だって野球が大好きだもの。」



にこ「・・・じゃあ、行きましょうか。」





絵里「・・・。」


穂乃果「あれ?もしかして、入部希望者!?」


絵里「…何を言っているの?私は生徒会長よ。」


穂乃果「え?!上級生!ごめんなさい。」


絵里「まぁ・・・いいわ。」


絵里「今すぐに、野球部の活動はやめなさい。」


穂乃果「え・・・?」


絵里「あなた達みたいなお遊びじゃ、どこにも勝てないわ。悲しい思いをすることがわかっているなら、最初からしないほうがいいわ。」


穂乃果「お遊びなんかじゃありません!」


絵里「そう?だけど、最低人数の9人いない、顧問すらいない。こんなものを部活としては認められないわ。」


海未「生徒会長。」


絵里「・・・なんですか。」


海未「聞くところによると、あなたは元野球部だったみたいじゃないですか。どうして、そんなにも敵対心を持っているのですか。」


絵里「・・・にこね。」


絵里「昔の話よ。とにかく、あと部員を2人、顧問を見つけないと部としての活動はさせないわ。」


穂乃果「・・・。」









希「なんで、そんなに強くあたるん?」


絵里「なんでもよ。」


希「本当は、野球やりたいんやないんか?」


絵里「そんなことないわ!」


希「なら、そのマメはなに?!」


絵里「・・・!」


希「エリチ・・・。野球のポジションはピッチャーだけやないんや。そては、エリチがよくわかってることやろ?」


絵里「・・・先に帰るわ。」


ーーー


にこ「・・・。」


海未「・・・。」


ことり「・・・。」


真姫「・・・。」


花陽「・・・。」


凛「・・・。」


穂乃果「・・・。」


理事長「顧問ですか・・・。」


ことり「お願い!前から野球部はあるんだし、いるよね?教えて!」


理事長「いないこともないですが・・・。」


穂乃果「本当!やったね、海未ちゃん。」


海未「まだ決まったわけではないですが・・・。」


理事長「その・・・そうね、まずはメンバーを集めることが先よ。そうしないと、あの人は動きませんから。」


ことり「あの人?」


理事長「とにかく、人数を集めてください。」


真姫「難しいことを言うわね・・・・。」


凛「真姫ちゃんのときみたいに、強引にやらせればいいにゃ。」


花陽「それは・・・難しいんじゃないかな・・・。」


海未「理事長。」


理事長「なんですか?」


海未「なんで、生徒会長が野球をやめたのか教えてください。」


理事長「・・・それは。」


にこ「私が話すわ。」


真姫「にこちゃん?」


にこ「絵里は・・・もともとは野球部だったし、それこそマスコミも注目する超高校級の選手だったわ。」


にこ「だけど・・・悲劇は起きてしまった。あれは・・・そうね一昨年と話よ。ちょうどこんな風に蒸し暑い日だったわ。絵里は、一年にしてエースを任せられていた。連戦に続く猛暑。絵里の体力は限界だった。それでも、彼女は投げ続けた。期待を裏切らないためにと、恩を返すためにと・・・。」


にこ「試合は、均衡をたもったまま延長へ入った。ウチのミスはここで絵里をさげなかったことよ。本人の強い希望もあり引き続き絵里はマウンドへ上がった。11回裏ランナー満塁、2アウト。カウント3ボール2ストライク。絵里は、ゆっくりと構えるとモーションに入ったわ。全員が異変に気付いた時にはもう遅かった。一瞬よ、なぜかボールがポトリとマウンドへ落ちた。判定はボーク。敵チームは喚起していたわ。だけど、私たちは倒れた絵里のそばに駆け寄った。」


にこ「その時絵里は言ったのよ。まだ投げられます・・・って。そのご絵里は病院へ緊急搬送。結果は、右肩靱帯断裂、右ひじの骨折。」


穂乃果「それって・・・。」


にこ「そうよ、絵里は一生投げられない体になったの。」


ーーー


絵里「・・・誰。」


にこ「・・・。」


絵里「にこ・・・。また始めたの?野球ごっこを。」


にこ「絵里。穂乃果たちは真剣よ。ごっこなんて言うのやめて。」


絵里「ふん。高校生の野球?そんなもの遊びのほかなにものでもないわ。時に私たち女がやる野球は。注目を浴びたからといってプロにいけるわけでもない。あるのは、破滅の未来だけよ。」


にこ「それは、あんた自身のことを言っているの?」


絵里「私は・・・!」


にこ「私は何よ!そのごっこ遊びに命かけた絵里はどこに行ったの!今のあんたは、誰よ。」


絵里「私は!私は・・・まだ・・・!」


にこ「まだなによ。そうやってウジウジして自分の気持ち隠して動かない!そのくせ嫌味だけはずいぶんうまくなったじゃない。」


絵里「にこに何がわかるのよ!」


にこ「なにもわからないわよ!けどね、私は2年前のあの日!あなたの異常には気づいてたこと知ってるわよね!けど・・・止められなかった・・・。絵里の気持ちがわかったから・・・!けどね、今のあんたの気持ちなんかわかりたくもないわ!」


絵里「・・・!」


にこ「いい加減気づきなさいよ!あんたの中に野球に魂をささげた大馬鹿野郎がいるってことに!」


絵里「・・・かえって。」


にこ「言われなくても。」





希「・・・。」


絵里「いつからいたの、希。」


希「にこっちやっぱり知ってたんやね。」


絵里「・・・そうよ。にこはあの日、私を止めたわ。だけど私はそれを無視した。仕方ないでしょ?それしかなかったんだもの。私が投げなきゃ誰が投げるのよ。」


希「やっぱり、エリチは根っからの野球バカやん・・・なら、いいかげ・・・。」


絵里「希・・・。私、野球がしたいわ。」


ーーー


凛「・・・。」


真姫「・・・。」


花陽「・・・。」


ことり「・・・。」


にこ「ちょ、なによ!グラウンドにいるなら言いなさいよ。どうしていつも私には連絡してこないわけ?」


凛「にこちゃん空気読んでにゃ。」


にこ「な、な!」


真姫「そうよ、にこちゃん。」


にこ「真姫まで!」


花陽「にこちゃん・・・いまは・・ね。」


ことり「うーん・・・ことりも今は静かにするべきだと思うな。」


にこ「扱いひどくない!?なにがある・・・。」


にこ「え・・・?これどういうこと?」



数分前


穂乃果「このままじゃ、人数集まらないよおおお!」


海未「口にモノを入れながら話してはいけません。」


ことり「ハハハ・・・。」


ガラッ


花陽「大変です!!」


穂乃果「どうしたの、花陽ちゃん。」


花陽「せ、生徒・・・。」


絵里「失礼するわ。」


海未「生徒会長!」


穂乃果「・・・。」


希「ウチもいるで。」


ことり「副会長まで・・・。」


絵里「そんなに怖がることない、高坂さん。」


穂乃果「部員はまだ集まっていませんけど、まだ私たちはやめるつもりありませんから!」


絵里「はあ・・・人の話は聞くもんよ。」


穂乃果「・・・。」


絵里「いいグローブね。キチンと磨き上げられている。あなたのかしら?」


穂乃果「はい。」


絵里「・・・勝負しなさい、高坂さん。」


穂乃果「え・・・?」


絵里「三振、内野ゴロなら高坂さんの勝ち。私と希が野球部に入るわ。顧問も紹介しましょう。」


凛「かよちん、これどういう状況?」


花陽「よくわからないよ・・・。」


絵里「だけど、私が安打を打ったら私の勝ち。即刻部活は活動停止にするわ。どうするかしら、高坂さん?」


穂乃果「・・・。」


海未「穂乃果!無理する必要はありませんよ。」


絵里「あなたの友達も言っている通りなにも勝負から降りてもいいのよ。だけど、一気に部員が2人入ってしかも顧問もみつかる・・・こんなチャンス二度とないでしょうね。」


穂乃果「・・・。」


絵里「臆病風に吹かれたかしら?」


穂乃果「・・・やります。勝負します!こんなチャンス二度とないし、それに元4番エースと対決なんてワクワクしますから!」


絵里「・・・!根性あるのね。いいわ、グランドに行きましょう。」


希「ほな、ウチが審判やるで。」


穂乃果「海未ちゃん、キャッチャーやって。」


ーーー


にこ&凛&花陽&真姫 視点


にこ「穂乃果はバードシニアのパーフェクトマシーン。」


真姫「対して生徒会長は、元エースで4番・・・。」


凛「でも、実際穂乃果先輩が勝つことに変わりなさそうだにゃ。」


花陽「私もそう思います。穂乃果先輩の4試合連続完全試合記録はまだ抜かれてませんし・・・。」


にこ「はぁ・・・あなた達はバカね。」


真姫「にこちゃんに言われたくないわよ。」


凛「同感にゃ。」


花陽「ははは・・・。」


にこ「ちょっ!まぁ・・・いいわ。いいえ、ウチの学校もね2年前以降はこの地区ではかなりの強豪校だったのよ。だから、それなりの選手も集めてきたしいわゆる青田刈りもしてきた。絵里はね、まさにそのなかで トップクラスの選手なの。」


真姫「でも・・・聞いたことないわよ。」


にこ「当り前よ。彼女が活躍したのはわずか3か月の間。それでも、最後のシニアの大会では万年一回戦敗退チームをベスト4まで導いた。ロシアで習っていたバレエの柔軟さを生かした、独特のフォームの投球。ミートゾーンの広いバッティング。彼女もまたパーフェクトマシーンの1人よ。」


花陽「そうなんですか!全然知らなかったです。」


にこ「まあ・・・見ていればわかるわ。この勝負、本当にどっちが勝つか予想ができないわ。」



穂乃果視点


こんな風に誰かと真剣に勝負するためにここに上がるのも久しぶりだな。

少し土のかかったマウンドプレートに足をかけ、歩数を数える。約2.5歩。私の投球フォームのかなめである足の開く距離。

些細なことかもしれないけど、ピッチャーになってからこの癖を変えたことはなかった。

マウンドの上で一つ深呼吸をついていると、生徒会長が左バッターボックスへ入った。

やや足の開いたオープンスタンス。


穂乃果「打ちそうだな・・・。」


生徒会長の覇気に押されたように何気なく、つぶやく。


いかんいかん。穂乃果は相棒のミットを見た。

インコース低めにチェンジアップ。

ぎりぎりストライクの場所に落とす。


穂乃果「相変わらず無茶な要望だよ、海未ちゃん。」


ゆっくりと腕を振り上げる。

このと私はこの地球上で一番孤独となる。

だけど、同じくらい私は地球上で一番強い存在にもなる。

左手をグッと引きながらキッチリ2.5歩分足を開き、右手を思いっきり振り切った。


希「ストラーイク!」


生徒会長と希ちゃんが驚いた顔をした。

海未ちゃんは満足そうに笑っていた。

それもそのはずだ、一瞬ウチごろのインコース低めのボールが突然球威を変え落下していくのだ。

まさに、魔球。

私のウイニングショット!


穂乃果「今日も良い感じ!」


海未ちゃんからの返球を受け取るとすぐにモーションに入った。


ごめんなさい、生徒会長。

私のペースに・・・引き込むよ!


放たれた速球は轟音をあげアウトローへと向かっていく。


キン!


軽快な金属音がなった。


穂乃果「ウソ!」


打球はライトポールぎりぎりをそれていった。



希「ファール!」


海未ちゃんも驚いた顔をしている。

それもそのはずだ、インローのチェンジアップをみたあとに迷いなくアウトローを振りぬける打者はそうそういない。

やっぱり、この人は強い!


続けて2球ボールが続いた。

インハイとアウトローの釣り玉だ。

生徒会長はピクリともしなかった。


穂乃果「やっぱり・・・強いな。」


海未ちゃんからのサインを見る。

穂乃果はモーションにゆっくりと入った。




絵里視点


絵里(所詮は2年の球・・・すぐにあなたの自信を打ち崩してあげるわ。)

ゆっくりと打席に入り、右足で打席の前に穴をあける。

いつもの癖だ。

そう、私は落ち着いている。

マウンドを見る。

先ほどとは違う気・・・・妖気のようなものがマウンドから漂っていた。


絵里(そんなもんので・・・!)


穂乃果がゆっくりとモーションに入った。

右腕をグッと引くつけ体に力をためていく。

インコース低めのストレート。


絵里(残念、私の得意球よ!)


スッ。

そう、たしかにボールはインコース低めに来ていた。

しかし、急速に球威を落としたボールはゆっくりと落ちていき、ついには絵里のバットの真下を通っていった。


希「ストラーイク!」


絵里(はは・・・なるほど!これがパーフェクトマシーン!!)


絵里(おもしろい!)


あらためてマウンドを見る。

その人は本当にオーラのようなものをまとっている。

先ほどより腕をしめる。

再び右手からボールが放たれた。

アウトコース低め。


絵里「悪いわね!」


絵里は無理やりそのボールを引っ張った。

アウトコースのボールは流すのが定石だ。

しかし、打球は弾丸ライナーのような速さでライトスタンドへ飛んでいった。


絵里(いけ!)


しかし、打球はわずかにポールの外側を通っていった。


希「ファール!」


穂乃果が驚いた顔でライトスタンドを見ていた。

続けて2球が投げられた。

いいコースではあるが私にはみせ球にもならない。

穂乃果の雰囲気がまた変わっていた。


絵里(くる・・・!)


しなるような右手から球が放たれた。

インコース低め。


絵里(ここに投げ・・・いや・・・違う!)


弾は高速で縦回転をしながら落ちていった。

そう、絵里だから、絵里だからこそ気づいたのだった。


高速スライダーだと。


腕をたたみシャープにしかし力強く振り切った。


キンッ!


金属の快音と共にバックスタンドへ白球は伸びていった。


希「ホ、ホームランや・・・。」


真姫&凛&花陽&にこ 視点


花陽「ウソ・・・。」


凛「ほ、ホームランにゃ・・・。」


真姫「すごい・・・。」


にこ「・・・。」


にこ「これが絵里の実力よ。目立たないだけど、ウチの部の中だったら確実にトップクラスよ。」


凛「穂乃果先輩・・・。」


花陽「先輩・・・。」


にこ「大丈夫よ。穂乃果それくらいじゃめげないわ。」


にこがマウンドを指さした。

そこには、マウンドにくやしいなー、と笑いながら叫ぶ穂乃果の姿があった。


真姫「能天気っていうかなんていうか・・・。」


花陽「せ、生徒会長?!」


絵里は、バットを置くとゆっくりとマウンドへ歩いていった。

その表情は険しい。

海未が慌てたようにおいかけようとするぐ希がそれを抑えた。


真姫「ちょっと、大丈夫なの?」


にこ「大丈夫よ。絵里は・・・きっと。」



穂乃果視点


あの柵だ。

そう、あそこをボールを超えていった。

もう、超えさせない・・・超えさせないと誓ったはずなのにだ。


穂乃果「どうして・・・。」


誰かが歩いてきた。

肩にそっと手を乗せてくる。


絵里「いいボールだわ。」


穂乃果「だけど・・・打たれました・・・。」


絵里「・・・そりゃ、打つわよ。あのコースは私が一番得意なコースだもの。」


穂乃果「・・・。」


絵里「いい?私が勝ったんだから私の言うことを聞きなさい。私は野球部に入るわ。もう一度・・・夢を見たいのよ。」


穂乃果「え・・・?」


穂乃果は振り向いた。

そこには、今にも泣きだしそうな、しかし朗らかな笑顔の絵里がいた。


絵里「よろしくね。穂乃果。」


穂乃果「いいんですか?」


絵里「いいのよ、私が決めたの。」


穂乃果「よろしく・・・お願いします・・・生徒会長・・・。」


希「絵里ちゃんって呼んであげなよ。」


後ろから希と海未は顔を出した。

海未はどことなく心配そうな顔つきだ。


希「もう、チームメイトなんや。試合中先輩付けよんだりしないやろ?だから、呼び捨てでもええんやないかな?」


海未「理に適ってはいますが・・・。」


穂乃果「・・・わかったよ、希ちゃん。だけど、希ちゃんも入ってくれるの?」


希「もちろんや、あんなしびれる勝負見せられたんや。ウチもしてみたくなってしまったんや。」


海未「あの・・・気にはなっていたんですが・・・もしかして苗字は東条ですか?」


希「そうやね・・・。」


海未「ええ?!あの、シニア中学関西地区代表校タイガースの4番の?!」


希「そ、それは昔のことや。」


穂乃果「す、すごいんだね、希ちゃんって。」


希「て、照れるからやめてな・・・。」


こうして集まったメンバー9人。

残すところは、顧問だけであった。


ーーー


穂乃果「かんぱーい!」


全員「かんぱーい!」


絵里「いやあ、一打席後のオレンジジュースは最高ね!」


希「えりち・・・まるでお酒を飲んでるみたいにいったらあかんよ。」


にこ「このチキンおいしいわね。」


真姫「子供みたいね・・・。」


凛「はーい!あーん。」


花陽「はむっ!んーーー!!おいしい!!」


海未「ほ、穂乃果!私もあーんしてあげますよ。」


ことり「おいしい?穂乃果ちゃん。」


穂乃果「うーん!!おいしい!」


海未(ことりことりことりことりことりことりことりことりことりことりことり)


??「ほんとだ、うめーな。これ。」


にこ「でしょ?おしいわよね。」


??「なんともいえないジューシー感がたまらないな。」


ことり「・・・?」


海未「あ、あの・・・どちらさまでしょうか?」


??「ん?あー、生徒会長様に顧問をやってくれるように頼まれてさ。佐久間って言うんだ。よろしくな。と、いうか2年の国語担当なんだけど・・・。」


穂乃果「顧問の先生?!やった!これで本格的に野球部再設立だね!」


佐久間「ちょっと待て。俺はまだ引き受けたわけじゃない。」


にこ「なら、なんでここであんたも食べてるのよ。」


真姫「そうよ。」


佐久間「は、はははは。まあ、条件って言っても週末に実は、練習試合を組んできたからその試合の取り組みを見せてくれってだけだ。」


絵里「・・・。」


佐久間「まあ、勝たなきゃいけないってわけじゃないんだ。気楽に行こうぜ。」


ーーー


穂乃果「絵里ちゃん遅いなー・・・。」


絵里「ごめん、お待たせしたわ。」


佐久間「すまんな・・・俺が迷っちまって。」


海未「どうでもいいです。」


ことり「はやくベンチに入ろう。もう、敵チーム待ってるよ。」


佐久間「んじゃ、俺ちっと挨拶してくるからあとは適当にやっててくれ。」


にこ「あんなので大丈夫なの?」


絵里「ま、まあ・・・。いちお古い付き合いなのよね。」


真姫「と、いうかあの人を知らないって時点でみんなまずいわよ?」


凛「そんな有名人何だにゃ?」


花陽「凛ちゃん!もしかして知らないの?」


穂乃果「え?教えてよー。」


希「佐久間 駿。若干28歳にしてあの春夏2連覇を果たした和実高校を率いた監督やね。それまでの和実はどうがんばっても予選準決勝まで行くのがやっとのチームやったんやけど。」


海未「た、たしかの・・・それはすごいですね。」


穂乃果「へえ・・・。すごい人なんだね。」


??「あ、もしかしてキャプテンいますか?」


絵里「え、ええ・・・。いちお私よ。」


??「あ、今日は練習試合よろしくお願いしますね。御幸って言います。」


絵里「綾瀬です。」


御幸「さっそくなんですけど、メンバー表の交換いいですか?」


絵里「え、ええ・・。どうぞ。」


御幸「ありがとうございます。楽しみにしてたんですよ。音ノ木と戦うこと。そういっても・・・負けるつもりはないですけどね。」


御幸「じゃ。」


にこ「なんか・・・ずいぶん自信があるわね。」


ことり「県予選4位以内に入る常勝校だもんね・・・。」


穂乃果「ねえねえ!それよりメンバー発表してよ!」


絵里「そ、そうね。言うわよ・・・。」


全員「ごくり・・・。」



1番 ショート 凛

2番 セカンド ことり

3番 キャッチャー 海未

4番 ファースト 絵里

5番 ライト 希

6番 センター 真姫

7番 レフト 花陽

8番 ピッチャー 穂乃果

9番 サード にこ



にこ「ちょっとまちなさいよ!!なんで私が9番なのよ!」


真姫「しかたないじゃない。にこちゃん力ないけど小技わとくい。だけど、ことり程じゃないってなるとね。」


希「そうやね。」


にこ「このメンバー考えたの誰よ!」


絵里「監督よ。」


にこ「抗議してくるわ!」


海未「そ、そんなにこ待ってください。」


ことり「そ、そうだよ。まだ監督もにこちゃんの本当の力知らないんだよ。」


にこ「本当の力?」


花陽「そ、そうだよ。本当の力!」


凛「そんな力どこにあるにゃ。」


絵里「凛、今は黙りなさい。」


にこ「ふふん。そこまで言うなら仕方ないわ。今日は我慢してあげるわ。」


穂乃果(単純だね・・・。)


海未(言わないでくださいよ・・・)


ことり(心配だな・・・)


後書き

おまけ1

凛「ことり先輩は、いつから野球やってるんですか?」

ことり「わたしたちも小学生になてからだよ。穂乃果ちゃんが海未ちゃんとことりを誘てくれたの。」

花陽「そうなんですか!じゃあ、ライバルでもあるんですか?!」

ことり「うーん、ことりは外野手だからな・・・。でも、穂乃果ちゃんと海未ちゃんはライバルかもね。」

凛「海未先輩も投手なんですか?」

ことり「ううん。海未ちゃんはキャッチャーだよ。ずっと穂乃果ちゃんとバッテリー組んでるの。だけどね、最初は海未ちゃんも投手志望だったんだ。」

花陽「海未先輩もうまいですしね。」

海未「だけど、曲がったことは嫌いだって言って変化球を覚えないし・・・コントロールなくてさ・・・。球速は、すごくあるんだよ?」

花陽&凛(曲がったこと嫌いとかいいそうだな(にゃ)

おまけ2

凛「そうえば、にこちゃんって野球うまいんのかにゃ?」

にこ「ちゃん付け・・・。」

海未(真姫がにこちゃんと呼んでいたのが原因ですね)

ことり(あと、穂乃果ちゃんも・・・。)

花陽(あんまり気にしないで上げよう?)

穂乃果「守備位置はどこだったの?」

にこ「いや・・その・・・。」

真姫「はっきり言いなさいよ。」

にこ「わかってるわよ・・・その・・・。」

真姫「はぁ・・・。サードよ。といっても、エラーばかりでエラー製造機って言われていたけど。」

にこ「そこまでいうことないじゃない。あんただって暴投女王って言われてたじゃない。」

真姫「そんなことないわよ!」

にこ「あんたが知らないだけよ!」

全員(なかいい(ですね・にゃ)


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2016-09-26 20:42:36

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2015-09-29 09:40:58

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SS好きの名無しさんから
2016-09-26 20:42:33

xxxvさんから
2015-09-21 23:30:28

このSSへのコメント

1件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2015-09-18 05:16:40 ID: zokfmYh7

ツマンネ


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