2014-10-18 14:57:06 更新

パリーン、皿が割れた


割ったのは僕だ


トーカ「テメェ、何してんだよ。本当ドン臭い奴だな」


カネキ「ごめんトーカちゃん。ちょっとボーとしてて……」


なんだか、夢を見ていた気がして


トーカ「仕事中に夢現とはいい度胸だなオイ」


カネキ「いや、違うよ!なんだか現実味がないって言うか、嘘みたいていうか」


トーカ「あぁ、わかったわかったよ。掃除はアタシがしとくからアンタは他のことしといて」


言いたいことがあったはずなのに、言葉が見つからず何も言えなかった


大切ことだった気がするのに


そのままあんてぃーくの仕事も終わって僕は帰路についた


この東京にどれだけの喰種がいるのだろう


ふとそう思った


鳩が喰種を狩り、逆に喰種が鳩を狩る


拮抗状態に見えても勢力の差は歴然だ


たとえ戦車をもっていても百万人の歩兵には勝てないんだ


たとえ赫子をもっていても十人の鳩にはかてない


いずれ喰種はこの東京から駆逐されるだろう


人間とは相容れないと決めつけ殺し潰し破壊する


人間がしていることは喰種と変わりがない


人口が多い方が正義なのだろか?


弱者が正義なのだろうか?


強者は悪なのだろうか?


カネキ「こんなことを考えても意味はないんだけど……」


でも、考えずにはいられない。ヒナミちゃんの目の前で殺された


母親のことを


喰種だって人間と同じように出産をして子供を産む


それにはもちろん痛みもあるし生まれた赤ちゃんには愛情を注ぐ、


人間を食べることは悪いことだ、でも僕達あんてぃーくは人を殺して生きているわけじゃない


自殺した人から命をもらっている


真っ当だとは言いきれないけれど、悪ではない


カネキ「おかしいよ。こんなの……間違ってる」


ブブブとスマホのバイブレーションが鳴る


画面にはヒデの名前が映っていた


―次の日―


大学の講義を聞いてあんてぃーくに向かう途中、CCG本部の前を通った


いつ見ても威圧的だなぁと思わされる


喰種を否定して殺すために作られた部署


人間を守るために作られた部署


ちょっと前まで人間だった僕としては複雑な気分だ


僕はどちらなのだろうか……


人間を食べなきゃ生きていけない点では喰種だけど、完璧に喰種というわけではない


臓器以外、この片目も人間の部分だ


一体僕は何なんだろう


何者なんだろうか……


『僕は喰種だ……』


―!!


後ろを振り返ってもさきほどの声の本人はいなかった


後ろからというより頭の中から聞こえた気がする


ポリポリと頭をかいて「気のせいだ」と決めつけ僕はあんてぃーくへと足を進めた










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