2016-02-24 00:38:54 更新

概要

彼女たちは悪政を打倒すべく立ち上がった。
しかし、待ち受けているのは敵の猛攻だけではなかった。
裏切り、憎しみ、罠・・・信じている友が愛している恋人さえもが敵となる世界。
絶対的な力を手に入れたその時、彼女たちに待つ運命とは・・・(元裏切りと信頼と欲望と愛情と)


前書き

(なぜか続きを書けなくなったので新しいSSを立ち上げました)
昔、昔。
人類はオーバーテクノロジーである魔法を手に入れた。
しかし、平和は続かなかった。
ネウロ国は魔法の最先端技術を独占するためバース国に侵攻。
バースを滅ぼすことに成功する。

しかし、仮初めの平和は長く続くはずがなかった。
月日は流れネウロ国内の反乱軍が反旗を翻した。
しかし、革命は失敗。
死者10万人といわれるこの革命は血の遊戯と言われた。


人間は慈悲深く残酷な生き物だ。


生きるために多種多様な生物の命を奪い、またあるときは隣人を助ける。


そして交わることのない永遠の螺旋となる。


だが、人類はやはり愚かで残酷な生き物である。


理想も、信念も、願いさえもなく欲にまみれたその手で血肉を食べ人を愛し己をめでる。


実に皮肉であり実に滑稽である。


鳳暦 582年 ネウロ国、バース国に侵攻開始


同暦 584年 バース国全面降伏。バースは、ネウロに完全吸収。ネウロ公国の成立。バースの王家は一家皆殺しされる。


同暦 586年 反乱防止法制定。反乱軍または、反乱軍に協力する者は徹底的に取り締まりをうける。


同暦 同年  治安制定法成立。機動警察なる組織が新たに設立。国内にスパイを置き取り締まり強化。また、暴動が起きるあるいは、暴動の事前抑制         としてあらゆる武力の行使が認められている超法規的組織となる。


同暦 594年 反乱軍最大の反抗作戦を展開。しかし、密告者の存在などから事前に知っていた機動警察に鎮圧されわずか半日で反乱軍は壊滅打撃          をうけ崩壊。10万人の死者をだし2万人の反乱軍が拘束される。通称「血の遊戯」


鳳暦 596年 1つの時代が始まろうとしていた。



ーーー


反乱軍


最高指揮官ドロワ軍団長


海上部隊専任齋藤司令


情報部専任ジューク中将


陸軍最高司令エンケ司令


空挺団副団長ブリッツ大佐


ローデン地方司令葛城大佐


(園田 海未少佐


 高坂 穂乃果中尉


 矢澤 にこ大尉


 星空 凛 曹長→少尉


 小泉 花陽技術中佐


 南 ことり秘書官)


トライデント ネウロ公国技術士官の手により復元された古代兵器。様々な種類があるらしいが、現在確認されているのは4タイプである。試作品らしい         が・・・。(クライブ・バスター・ガイア・アーチャー)


魔装部隊 対スレイヤー部隊として作られた。強力な雷属性の魔法の扱いに特化しており、スレイヤーを内部から爆散させることが出来る。


飛空艇 古代の遺物とされているが、今なお現役である。隠密作戦にたびたび使用される。


プリアート ジェスタ港に停泊してあった潜水・飛行機能をもった最新飛空艇。推進力は、魔術タンクであり、主に自然系の魔素が必要であるため、一定        時間日の光にさらす必要がある。




ネウロ公国



エリーチカ女王


東条 希内大臣


西木野 真姫親衛隊長及び機動警察隊長及び軍部司令


?? 雪穂隊長 王族直属部隊Phamtom所属


亜里沙技術長官


スレイヤー 公国の決戦型人型二足機動兵器。トライデントを基にして作られており、まだ完成されていない。(真姫専用機としてグリフォンが存在する)


トラギガント 人類最初の決戦型人型二足機動兵器とされている。その性能は今だ、不明である。


ヒロポネ ネウロ公国の兵士内で使われる精神向上剤。実際は、幻覚や幻聴を引き起こす成分が多く含まれてあり、多量摂取したものは廃人となる。


透和石 魔法の対価の代わりとなることが出来る貴重な石。もともとは、バース領からのみ採掘することができた。


親衛隊専用移動空中要塞 ルーネ 親衛隊の作戦展開時に使われる空中移動要塞。隠密性も高く、空飛ぶ戦艦ともいわれている。このほかにも要塞は存在する。



ーーー

海未『か、からかわないでください!あれは事故です。』


凛『な、なにがあったんだにゃ!』


海未『な、なんでもありません!』


穂乃果「なにもなかったことに・・・しちゃうの?」


海未『な・・・。』


にこ『あんたがスピーカー越しでも赤くなるのがわかるわよ。』


葛城『話してるところ悪いが、オープン回線だぞ。』


全員「・・・。」


ことり『ま、まあ。みんなもうすぐ出撃だからね・・・。』


ことり『軍団長より全反乱軍兵士へ放送があります。』


ドロワ『軍団長のドロワである。強者どもよ、本作戦への参加をわしはこころより感謝している。公国の暴走が始まりも20年もたっている。民は飢え国は疲弊する一方である。しかし、そんななか私腹を肥やし己の欲望のままに殺し、蹂躙していく一部の上層貴族たちもいる。間違ってはいないだろうか?国があっての民であるか?違う、民があっての国である。勘違いをしたものには、正しき考えを知識をあたえねばならぬ!我々は何年も訴えてきた。言葉で!気持ちで!武力で!しかし、一度たりとも我々の懇願は届くことはなく弾圧され続けてきた。』


ドロワ『そのような日々も今日、この作戦をもって終わりとなる!我々はついにあの山を超え!あの川を超え!あの海を越え!地をかけ!空を飛び!この地までやってきた!諸君に問おう!望みは何だね。己の欲望を満たすことかね?隣人を傷つけることかね?恐怖と憎しみで国を満たすことかね?違う!諸君らの望みは、愛する者を慈しみ、隣人さえを助け喜びと自由で国をみたすことであるはずだ!』


ドロワ『今、まさに決戦である!この戦いで得るものは土地でもない、富でもない、武力でもない。しかし、我々人類が一番枯渇している自由を手に入れることが出来るのだ!立つのだ諸君!武器をとるのだ諸君!我々の夢をかなえる日は、我々の夢がかなう日はすぐそばまできているぞ!我々は手に入れたのだ!破滅するアバロンに対して聖槍を投げ再び人の地へと!神に地へと返す力を!恐れるな!臆するな!我々には解放という名の大義があり自由と名の神がそばにいるのだ!憎しみではない!悲しみでもない!慈しみで我々は勝ち進むのだ!』


反軍『おおおーーー!』


ドロワ『さあ、行くのだ!聖騎士たちよ!今こそルビコンを渡るのだ!賽は投げられた!敵はルネ島にあり!』



ーーー


穂乃果は静かに目をつぶってた。

コックピット内は、トライデントが起動している低く思いエンジンの音が響くだけだった。

誰からの通信もない。

パイロットはこの時なにを考えるのだろうか。

戦闘に対する恐怖なのか?

己の技術に対する自信なのか?

帰還後のことだろうか?

あるいは、軍にはいるはるか前の幼かったころの思い出だろうか?

穂乃果は違った。

彼女が考えているのはただ復讐することのみであった。

純粋なまでで無垢に近い、ただの復讐。

穂乃果を異様なまでに駆り立て、強くする根源であった。


反軍『第一次攻撃隊及び左翼攻撃隊より入電。我ラ攻撃成功ナリ。今コソ雷鳴ノゴトキ鉄槌ヲ。』


葛城『全パイロット、全兵士に告ぐ。本艦はこれより急速タービンを解放。一気に戦闘空域まで移動する。ハッチ解放後出撃するように。敵はおそらく我々が二足歩行兵器を所持していることを予知しているだろう。発艦後の攻撃に注意せよ。』


反軍『タービン解放カウントダウン始め。10,9,8,7,6,5,4・・・。』


にこ『死ぬんじゃないわよ。』


反軍『3』


凛『当たり前にゃ!』


反軍『2』


海未『生きて必ず帰りましょう。』


反軍『1』


穂乃果「・・・後ろは任せたわよ。」



急激なGが乗務員を襲った。

パイロットスーツを着ていてもこれだけ感じるのである。

生身の人間は大丈夫であろうか。

超急速タービン。前世期の遺物である飛空艇に積まれたこれまた前世期のシステム。

内部システムを一時不能にし、艦尾についている巨大タービンをフルスロットの状態にしてマッハ3の速さを出すことが出来る超高速移動が可能のシステムである。


反軍『戦闘区域まで残り2000。』


ことり『全パイロットに通達。下駄を着用せよ。』


下駄・・・超高速射出装置である。穂乃果は超高速移動中の艦の中を慎重に移動し始めた。

今回は、33mmガトリングを腰へ追加装備してもらっていた。移動速度が落ち近距離機体へのデメリットしかないように覚えるが間合いを取るのが苦手な穂乃果には必要な装備であった。


ことり『クライブ、バスター、ガイア、アーチャー、その他スレイヤー下駄の着用を確認。後部ハッチオープン。』


穂乃果「システムとのリンク完了。最終安全装置解除。座標修正完了。全システムオールグリーン。」


にこ『同じく完了。』


凛『おわったにゃ!』


海未『完了です。』


ことり『全パイロットへ射出5秒前。』


にこ『ぶっぱなすわ。全機私の射線に入らないように』


ことり『4』


スレイヤー隊(以降スレ隊)『了解、隊長!』


ことり『3』


凛『さあ、暴れるにゃ!』


ことり『2』


海未『守りは私に任せてください。全機各自判断で戻るように。』


ことり『1』


穂乃果「・・・いくよ!」


ことり『全機出撃。』


再びGがかかる。先ほどよりは軽いのが幸いだった。

光が近づいてきていた。出口だ。

空域に飛び出した瞬間、強烈な対空砲火が浴びせられた。何機かは耐え切れず爆発していった。


にこ『最初から飛ばすわよ!1番から10番まで砲撃開始!』


バスターから巨大な噴煙が上がる。

10門もの砲塔から88mm弾が30秒にわたって発射され続けた。

近づいてくる敵はひるんだように侵攻をやめた。


海未『今です!』


アーチャーはサイコシールドを展開すると突っ込んでいく。

その後ろにブレイズがぴったりとくっつき近づいてくる敵をなぎ倒していった。

さらに後ろではガイアを殿としてスレイヤー隊が続いていた。

クライブは、ブライスソードの出力を最大に引き上げた。

ブライスソード・・・機体の排出エネルギーを再利用して表面に高熱をまとわせ切るというよりは焼き切ることを可能にした大剣だ。

だが、出力を上げるということは当然機体にも負荷がかかりパイロットにも負荷がかかっていた。


穂乃果「これくらいで・・・!」


アーチャーの後ろを抜けたクライブはカービンライフルを取り出すと照準を定めた。

しかし、狙う機体は次々と撃破されていく。


にこ『穂乃果!あんたは雑魚にかまっていで早く敵の旗艦を落としなさい!』


穂乃果「・・・!了解。」


ブレイズはガトリングで間合いを取ると目の前の敵を切っていった。

まさにそれは鬼神の進撃でありもともと赤い機体であるがまるで返り血を浴びているようであった。


凛『母艦の近くの敵は一掃したにゃ!これからそっちにむかうにゃ!』


海未『わかりました。では、信号弾あげます!』


アーチャーは止まると信号弾をあげる。

赤い花が空に開いたようだった。

そして、巨大なサイコシールドを展開すると弓を構えた。


海未『ターゲットロック開始・・・。私の矢からは逃しません!!』


海未『ラブアローシュート!』


無数の光の矢が敵スレイヤーに突き刺さっていった。

矢は時間差で爆発していき敵を行動不能としていった。

ブレイズは仲間の援護を受けながらも一気に突き進んだ。


穂乃果「見えた!」


目の前に公国のマークを大きく掲げた船が見えた。

大きさはヤマト級。しかし、ブライスソードの出力を最大にしていれば断ち切れない大きさではなかった。


穂乃果「いっけえええ!」


ブレイズは旗艦の援護に現れるスレイヤーを打ち倒しながら、切り倒しながら側面へと回り込んだ。


穂乃果「ここから私たちは!」


ブレイズはその大剣を大きく振り上げた。


ーーー


反兵「第一陣敵旗艦まで到達。」


ことり「順調ですね。」


葛城「・・・。」


反兵「司令部より入電・・・これは!我が陣の左翼が敵の奇襲にあっています!」


全員「ええ・・・どういうことだよ。」


動揺が艦内にはしった。


葛城「司令部につなげ。」


反兵「だめです、本艦から発信される電波にジャミングがかかっています。」


葛城「・・・。」


反兵「続けて入電・・・これは!本艦の部隊に敵の増援!数300!!」


ことり「信号弾は!」


反兵「5分前に園田少佐が打ち上げています。」


葛城「特殊回線で良い、ジューク中将につなげ!」


反兵「了解・・・。」


突然通信兵の体に電流が走った。

大きく体をそらすと通信兵はそのまま絶命した。


ことり「そんな・・・マジックトラップ・・・。どうして味方なのに・・・。」


葛城「・・・はめられた!!!」


葛城「葛城だ。出撃中及び本艦の諸君に次ぐ。我々は現在孤立状態である。直ちに帰投せよ。艦首180度回転!砲雷激戦用意!」


ことり「電磁シールド最大。機関室!次は何時ブーストを使えるの?」


花陽『機関室。だめです、あと400秒は使えません。』


ことり「そんな・・・。」


反兵「我が陣のスレイヤー損耗率甚大!各トライデントも足止めされて帰投できません!」


葛城「主砲発射用意!目標前方スレイヤー隊!撃てっ!」


振動が艦内に走った。

艦上についている100mm3連装砲が火を噴いたのだ。

最大射程距離3000m。これが葛城たちのできる最大の援護だった。


葛城「南!指揮はまかせた!」


ことり「大佐は!」


葛城「円卓コードで団長に直接つなげる!」


反兵「大佐!フルオープン回線で放送が!」


葛城「・・・つなげ!」


エンケ『反乱軍及び公国軍よ。私は反乱軍陸軍最高司令のエンケである。みなのもの交戦をやめよ。』


ことり「な、なにを・・・。」


エンケ『我々反乱軍は確かに、公国の転覆を狙っている。しかし、我々は目を覚ましたのである。真の敵、我々が争わなくてはいけない火種を作る物・・・それは、我が軍の司令の1人葛城である。』


ことり「回線をジャミングして!」


反軍「無理です!特殊な魔素を流し込んでいて我々では侵入できません!」


エンケ『手を取り合おう、和解をしようなどとは言わん。しかし!今我々が戦い、多くの戦友の殺すことに意味はない!否!敵は共通である!葛城を攻撃せよ!』


葛城「どうなっている・・・。」


反兵「友軍機との回線遮断!第三次攻撃隊がこいらにむけて侵攻を開始しています!!」


葛城「ほかの部隊は!」


反兵「以前動きありません!」


葛城「エンケ・・・ジューク・・・はめたな。」


ことり「そんな・・・どうしてこのタイミングで・・・。」


葛城「考えるのは後だ、なんとしてもトライデント隊を収容しろ。このまま本陣にかえってもしかたない。ローデン基地に戻るぞ!艦首4時の方向に!収容次第すぐにブーストを使い戦線離脱をはかるぞ!」



10分前


ジューク「エンケ司令、葛城の部隊が進行を始めたようです。」


エンケ「そうかそうか、ここまでは計画通りだな。」


ジューク「本当です。これが死への道のりとも知らずに。」


エンケ「まったく口が悪いじゃないな。まるで我々がわざと殺すようにいうではないぞ。」


反兵『エンケ様。トライデントが母艦を離れました。』


エンケ「そうかそうか、距離が2000開いたら再び連絡をよこせ。」


反兵『はっ。』


エンケ「葛城!これで貴様も終わりだ。孤立無援、四面楚歌。さて貴様は生き延びれるかな・・・。」


ジューク「このまま邪魔なブリッツも排除する。まったく、素晴らしいですな。」


エンケ「そうだ。あの新参者どもめ。我々の地位を犯しおって。身を挺して思い知るがいいさ。」


ジューク「まったく、本当のことです。」


反兵『エンケ司令。お時間です。』


エンケ「うむ・・・・では始めようか。粛清の時を。」


艦内のスクリーンにエンケの姿が映し出された。

うしろでは、ジュークを薄ら笑いを浮かべている。


エンケ「反乱軍及び公国軍よ。私は反乱軍陸軍最高司令のエンケである。みなのもの交戦をやめよ。我々反乱軍は確かに、公国の転覆を狙っている。しかし、我々は目を覚ましたのである。真の敵、我々が争わなくてはいけない火種を作る物・・・それは、我が軍の司令の1人葛城である。」


エンケ「手を取り合おう、和解をしようなどとは言わん。しかし!今我々が戦い、多くの戦友の殺すことに意味はない!否!敵は共通である!葛城を攻撃せよ!」


エンケとジュークの混成兵で組まれている第三次攻撃隊が一斉に葛城たちへと向かっているという報告が入ってきた。

左翼から攻撃していた敵も引いていっているようだ。


エンケ「ふふふ・・・ははは!!計画通りだ。」


ジューク「おめでとうございます。あとは・・・葛城を首を手土産に・・・。」


反兵『緊急通信です。ドロワ団長とブリッツ大佐、齋藤司令です。』


エンケ「さて・・・つなげ。」


sound onlyという文字が画面に浮かび上がった。


ブリッツ『どういうことだ!』


エンケ「まあまあ、落ち着きたまえ。」


ドロワ『エンケ司令。説明を求めたいのだが。』


エンケ「はっつ。実はでしてね。情報部・・・ジューク中将にひそかに葛城を調べるようにいていたのですが・・・ついに、公国のエージェントと接触している決定的な瞬間をつかみました。」


エンケ「やはり、裏切っていたのは葛城だったのですよ。」


ブリッツ『し、しかし!』


エンケ「黙れ女!すべては貴様が葛城を3年前助けたのが始まり・・・やはり敵の将など信用に値せんわ!貴様の目にもな!」


齋藤『さすがに言い過ぎだぞ。』


エンケ「・・・さて、これからですが葛城を・・・いえ裏切者たちを一掃するべきかと。」


ドロワ『うむ・・・。しかし、それはつまり貴重な兵もトライデントも失うということではないのか。』


ジューク「ご心配に及びません。我々はすでに公国と密約を結びしばらくの休戦を約束しています。」


ドロワ『うむ・・・。』


エンケ「団長、おわかりください。これは粛清なのですよ。」


ーーー


穂乃果「援軍はまだ!?」


海未『わかりません!たしかに信号弾をあげたのですが・・・。』


にこ『まずいわよ・・・そろそろ弾切れよ!。』


凛『3時の方向から機影確認したにゃ!』


海未『友軍です!』


反乱軍カラーの青いスレイヤーと旧式の戦闘機が穂乃果たちへと近づいていた。


スレ隊『逃げてください!!』


海未『そんなこと言わずに耐えてください!!あと少しです。』


スレ隊『違うんです!』


突然ロックオンされた警報が鳴り始めた。

周囲にそれだけの戦闘力を残した敵スレイヤーはいないはずだった。

ほとんどが、貫かれ大きな穴をあけているかパーツのどこかを切断されているからだ。


にこ『いったいどこから!』


海未『くっ!穴たちが早く友軍機の援護を受けてください!』


友軍機はぐんぐん距離を縮めていく。

肩についたミサイル管の蓋が開き小型ミサイルが顔を出した。



スレ隊『友軍機が敵なんです!』


突然無数のミサイルが穂乃果たちを襲った。

爆発が小さいため機体へのダメージは少ないが、アンチマジック物質も積まれており魔力供給が機体へいきわたらなくなった。


穂乃果「くそ!!」


にこ『これじゃ・・・バスターの武装がほとんど使えないわ!』


海未『サイコフィールドが!!』


凛『だいじょうぶかにゃ!』


かろうじてよけていたガイアが近づいてきた。

友軍機は次弾の準備をしている。


ことり『全パイロットに告ぎます。落ち着いて聞いてください。』


ことり『・・・葛城大佐が報復対象になりました。罪状は裏切り。しかし、私は大佐がそのようなことをしたと信じることはできません。』


ことり『大佐から提案があります。』


葛城『私だ。南が言った通り。私は報復対象になった。私があなるということは私の部隊も全員対象だ。』


葛城『だが、万が一だが、友軍への反抗をやめ白旗を振れば保護してくれるかもしれん。そこで選択肢を2つ用意した。』


葛城『私についてくるもの。これは、一時ローデン基地まで撤退戦をする。ただちに艦に戻ってこい。もう一つは、白旗を振るほうだ。どちらを選んでも不正解などない。自分は満足する選択ができれば、それが正解だ。猶予は10分。考えてくれ。』


穂乃果「・・・。」


にこ『あんたたち!考えるも何もないわ!明らかにあいつらは私たちを殺そうとしている!とにかく母艦に戻るわよ!』


海未『それが・・・最善策でしょうね。』


穂乃果「・・・そうだね。」


凛『また、きたにゃ!早く行くにゃ!』


海未は弓を前方へ放った。

何機かには当たったが速度を緩めることなく突っ込んできていた。


にこ『しつこいわね!』


凛『あとどれくらいにゃ!』


海未『そうですね・・・あと・・・。』


穂乃果「海未ちゃんどうしたの?」


海未『どうもしていません・・。』


明らかにアーチャーは機体を左右に不安定に揺らしながら進んでいた。

機体の問題というよりはパイロット自身の操縦にもんだいがありそうだった。



にこ『あんた・・・まさか。』


海未『すみません・・・先ほどの魔法回路を修復の際に右手を・・・。』


穂乃果「くっ!」


ブレイズは振り向くとガトリングを放った。

敵は避けるように編隊を2つにわけた。


穂乃果「ここで時間稼ぎを・・・!」


にこ『無理よ!』


凛『凛がいくにゃ!』


にこ『しょ、正気なの!』


海未『や、やめてください!私のせいで・・・!』


凛『そんなんじゃないにゃ!』


ガイアが変形し四足歩行モードとなる。


凛『ガイアが一番早い機体にゃ!大丈夫すぐ追いつくにゃ!』


ガイアがブースト一気に解放して敵へと突っ込んでいった。

編隊はガイアを囲むように距離を縮めていった。


海未『りーーん!!』


ーーー


反兵『トライデントきます、3・2・1.』


反兵『トライデントにアーム固定完了。』


反兵『緊急冷却開始!ひどいな・・・魔法回路がめちゃくちゃになってる。』


葛城「どれくらい時間がかかる。」


反兵『わかりません・・・全力はつくしますが・・・比較的被害の少ないブレイズは数時間で復帰しそうです。』


葛城「・・・そうか。」


反兵『ちょ、待ってください!しょ、少佐!』


突然司令室の扉が開くと銃を持った穂乃果が入ってきた。

見張りが取り押さえようととびかかる。


穂乃果「グラビティ!」


見張りは何かに押さえつけられるように地面に腹ばいになった。

穂乃果は葛城に銃を向けた。

うしろには海未がいた。


穂乃果「どういうことよ!仲間を見捨てさせる・・・?」


葛城「・・・。」


ことり「いい加減にしなさい!大佐は!」


海未「大佐。今回の指揮には私も疑問です。」


ことり「海未ちゃんまで・・・。」


葛城「・・・全滅するわけにはいかなかった。」


穂乃果「だからって凛1人を残して私たちまで還る必要が本当にあったわけ!」


葛城「・・・。」


海未「大佐!」


葛城「黙れ。貴様らは、だからわからないのだ。俺を糾弾する暇があったら一刻も早く出撃をできるよう努力しろ。」


穂乃果「お前はあああああ!」


反兵『ガイア交戦中!』


花陽『凛ちゃん・・・。』


葛城「ブースト秒読み開始。」


花陽『た、大佐!置いていくのですか。』


葛城「それが・・・星空の望みだ。」


海未「ウソ・・・ですよね。」


反兵『ガイア脚部損傷!高速戦闘機本艦に接近中!」


葛城「小泉!」


花陽『・・・ごめん・・・凛ちゃん!!ブースト点火完了。3・2・1・・・。』


強力なGがかかった。

飛空艇は速度をグングン上げていった。

いつの間にかモニターに映っているものはなくなっており、ただ暗闇だけが広がっていた。


ーーー


凛「ぐうう!弾切れにゃ。」


凛「早くいくにゃ!」


凛はバックカメラにうつる飛空艇を意識しながら敵陣へ斬りかかっていた。

推進剤の入っているタンクは破壊され、銃器はすでに弾切れだった。

残っている武装といえばわずかな威力しかない硬化金属ブレードのみだった。

突然爆発音がした。

モニターには左足がもげた機体の図面が浮かび上がる。


凛「いくにゃああああ!」


ガイアはおろかにも近づいてきた機体を真っ二つに切り裂いた。

ほかの機体がわずかに後ろに下がる。

しばらくするとモニターに映っていた飛空艇が高速で去っていった。


凛「やっと・・・いったにゃ。」


凛は再び操縦桿を強く握りなおした。

トライデントはパイロットと深く結びついている。

機体が傷つけばパイロットも傷つく。

頭部からは出血をし、体中に切り傷がついていた。

すでに凛はもうろうとしていた。


凛「道連れにしてやるにゃああ!!」


凛はペダルを強く踏み込んだ。

ガイアは最後の雄たけびをあげると荒れ狂う弾薬の雨の中に突っ込んでいった。


ーーー


真姫は急ぎ足で格納庫を横切るとグリフォンへ乗り込もうとした。


雪穂「どちらへ行くんですか?総司令。」


真姫「戦闘宙域よ。突然の反乱軍からの放送、反乱軍同士の殺し合い。ここじゃなにがおこっているかわからないわ。」


雪穂「そうですか・・・まるで反乱軍を心配しているみたいですね。」


真姫「違うわよ!宙域にいる兵士たちの混乱を抑えるためよ!」


雪穂「本当にそうなんですか?将軍が心配なんじゃ?」


真姫は、ビクッを体を震わせると雪穂のほうへ振り向いた。

雪穂はにやにやと笑っている。


真姫「何の話よ。」


雪穂「とぼけなくてもいいじゃないですか。葛城将軍。元第3機構兵団団長。そのカリスマ性と正確な指揮能力、圧倒的な破壊力をもつその軍団を指揮する彼を人は闘将と呼んだ。」


雪穂「しかし、彼はそんなことを望んではいなかった。殺すことが嫌いだったからだ。そのうち内部に敵を作りいつのまにか消息不明。」


雪穂がゆっくりと手を挙げた。

後ろから黒いどくろマークの紋章をつけた兵士たちが現れた。

手には、AK47が握られている。


真姫「機動警察がなんでこんなところに・・・!」


雪穂「終わりよ、西木野真姫。」


雪穂がふふ・・・と薄笑いを浮かべる。


雪穂「現時刻もをもって西木野真姫の全権利をはく奪。罪状は国家転覆罪!被告人は反乱軍と密接な関係を持ち公国に不利な情報を流した疑いがある。よって拘束する。」


兵士たちが一斉に距離を詰めた。

真姫は、必死に逃げようとしたがついに挟まれ布袋をかぶせられた。


機動警察「おとなしくしろ!」


真姫「雪穂!!」


雪穂「どうしたのかしら?」


真姫「あんた!」


雪穂「話は後でゆっくり聞かせてもらうわ。私たちのやり方でね・・・。」



ーーー


重い空気の流れたまま地下へと続くエレベーターは降りていった。

ゆっくりとエレベーターが止まると照明が一斉に点火した。

流星型のフォルムに中央にある独特の4枚羽、艦上には巨大な砲台があり、側面にも対空砲がある。

いつの日か、拿捕したプリアートだ。


葛城「・・・今から選択肢を言う。私についてきて公国をつぶし、さらに反乱軍の腐敗の元を断ち切るか。それともここよりさらに地下へいき脱出艇で逃亡するか。」


全員「・・・。」


葛城「どちらを選んでもかまわん。逃亡したところで私の顔写真以外が手配されることもないだろう。」


葛城は、背を向けるとゆっくりと船へ入っていた。

一層、重苦しい雰囲気があたりを包んだ。

無駄話をする者もいなければ動くものもいない。


ことり「ことりは・・・ついていきます。」


にこ「・・・私もよ。凛を探しに行かなきゃいけないでしょ。」


反兵「そ、そうだな・・・。」


反兵「俺たちにもできることがあるはずだ。」


ぞろぞろと兵たちが船へと乗り込んでいった。

穂乃果と海未の2人だけが残った。


穂乃果「海未ちゃんは行かないの。」


海未「私は・・・。」


穂乃果「・・・信用できなくなった。」


海未はうつむいたまま黙ってしまった。

穂乃果は、そんな海未をみるとため息をついた。


穂乃果「ここは戦場。裏切り?上官への不満?それをため込んで生きるしかないんじゃないの?」


海未「・・・。」


穂乃果「私は行くよ。」


海未「・・・!待ってください。」


穂乃果「・・・。」


海未「行きます。」


穂乃果と海未は歩き出した。

司令室のほうから視線を感じる。

きっと葛城だろう。


穂乃果(いいわ、あなたにかけてあげる。)


穂乃果と海未が乗船すると敵襲の警報が鳴った。


反兵『基地上空に機影あり!友軍です・・・しかし、攻撃してきます!』


ことり「黄色い旗・・・。」


葛城「ブリッツ・・・。」


葛城「急速発進。この先は海底だ。急げ。」


花陽『タービン回転数上昇。艦内冷却システム解除。アーム固定解除。制御を司令室へ移します。』


反兵『全武装ロック解除。』


反兵『ハッチオープン。前方に機影なし。』


反兵『タービン上昇数・・・97・・・99・・・100。上昇完了。』


葛城「戦艦プリアート発進。」


その巨体はゆっくりと動き出すと海の暗闇へと紛れていった。


ーーー


絵里「あら、真姫。いったいどうしたのその姿は。」


絵里は真姫の腐りにつながれた姿を見ると嬉しそうに笑った。

そのまま顔へ手を近づけるといとおしそうになでる。


絵里「こんなにおびえちゃって・・・かわいいわね…。」


絵里は、その手を首筋へ体へと這わせていく。

不快だった。真姫はその手をにらみつけるように見つめた。

突然体に激痛が走る。


絵里「まったく、なんて生意気な目で見るのかしら。」


絵里は、右手から白い手袋を外した。


真姫「や、やめて・・・。」


絵里「何を言っているのかしら?」


真姫「や、やめ・・・きゃあああああ!」


絵里の右手が真姫の右目に突き刺さる。

ドロリともグチョリとも表現できない音が拷問室に響いた。

絵里はそのまま、目玉を抜くと楽しそうに手の中でもてあそんだ。


絵里「いったいなにが不満なのかしら。」


再び絵里の手が真姫の頬に触れた。

赤く染まったその手は、なんとも感触が悪かった。


真姫「こんな世界まちがってる・・・。」


絵里「間違ってる?違うわ、力ある物が作るのが世界。あなたたち下級どもは私に従えばいいのよ?」


真姫「そ、そんなことない・・・。」


絵里「あるわ。現にあなた今まで何人の反乱軍を殺したの?何人の政治犯を検挙したの?何人の罪のない人をでっちあげたの?あなたは、とっくにこちら側の人間よ?」


真姫「違う・・・私は、気づいたの・・・これじゃいけないって・・・。」


絵里「はぁ・・・。」


再び激痛が走った。

絵里の手がわずかに腹部へとめりこんだ。

そのまま手を抜くとまるで噴水のように血が沸き上がる。


真姫「あああああああ!」


絵里「いい?あなたが今更何を思うと何に気づこうと何をしようと、所詮は歯車なのよ。かみ合わせの悪い歯車は処分するだけよ?」


真姫「私は・・・。」


絵里が顔を近づけると見計らったように真姫は唾を吐いた。

絵里の顔が見にくくゆがむ。


絵里「人間風情が!」


真姫「その人間様に負けんのよ!」


絵里「ほう・・・貴様、なかなかいうな。もう手加減はしないぞ。」


絵里が詠唱を始める。

真姫の顔が凍り付いた。

精神支配の術。

それは、対象に対しての精神的肉体的が大きすぎるため禁忌のものとされていた。


真姫「や、やめ・・・。」


絵里「ナイトメア!」


真姫「いやあああああああああ!」



ーーー


ジューク「それにしても、上手くいきましたね。」


エンケ「ふん。当たり前だ。俺を誰だと思っている。」


ジューク「・・・。」


エンケ「ところで、本当に公国へ亡命する手はずは整っているのだな?」


ジューク「ええ。あなたは、反乱軍を売った英雄としてその富と地位を守られるでしょう。」


エンケ「言葉を選べ。売ったわけではない、真に正義とみたものの味方となっただけだ。」


ジューク「ふふ・・・それを人は売ったというのですよ。」


エンケ「いい加減にしろ!」


エンケが机の上の灰皿を投げた。

吸殻をまき散らしながらジュークの頭部へとぶつかると重い音を立て床に落ちる。

ジュークの頭部から一筋の血が流れてきた。


ジューク「司令。なにを熱くなっているのですか?所詮は、言葉遊びではないですか。」


エンケ「貴様…!言い訳するのか!」


ジューク「・・・はぁ。これだから老がいは。」


エンケ「なに・・・?」


ジュークは突然態度を変えると銃を抜き部屋の衛兵を撃ち殺した。

エンケの顔が青ざめる。


エンケ「な、なにを・・・!」


ジューク「いいか、エンケ。貴様が亡命できたのを俺のおかげだ。いや・・・正確に言おう貴様を利用させてもらったんだよ。」


エンケ「なに・・・?」


ジューク「ふふ・・・!女王陛下は、仲間を売るようなやつを迎え入れたりはしない。そう、すべては葛城将軍を抹殺するための計画さ。」


エンケ「な、なにを言っている!俺は、たしかに密約を結んだぞ!」


ジューク「その密約文章を持ってきたのは誰だ?」


エンケ「・・・!」


エンケが椅子から転げ落ちる。

その後を追うようにジュークは銃を構えた。

エンケが恐怖のあまり失禁する。


エンケ「い、いつから!」


ジューク「最初からさ、俺の名は女王直属部隊Phantomの一員さ。さて・・・見事な最期を見せてもらおか。」


エンケ「や、やめ!」


ジュークが引き金を引いた。

エンケは、頭から血を流しながら倒れていった。

タイミングを見計らったように基地の警戒警報が鳴り司令室の壁が破壊される。


ジューク「ああ!隊長!お待ちしておりました!任務は完了いたしました。」


黒いトライデントは何も言わずにジュークをつかみあげた。

ジリジリと締め付けていく。


ジューク「・・・!そうか、私も所詮は捨て駒・・・。雪穂隊長・・・。あとは、よろし・・・・。」


グチャッという音が響くと部屋中に肉片が飛び散った。


雪穂「・・・。」


黒い機体は何もせずに去っていった。


ーーー


絵里「全公国民よ。エリーチカである。」


絵里「先に行われた海戦において我が公国は多くの被害を受け、また戦死者を出した。痛ましいできことである、悲しいできことである、苦しいできごとである。正義を秩序を守ろうと奮戦し、悪を滅ぼし闇を絶ちきろうとする志は邪悪なる凶弾を前に倒れてしまったのだ。だが、しかし。そのままでいいのだろうか?現状維持という安易な幼稚な考えから抜けだすことはせず、ただ滅びるその日まで震え隠れ逃げまとう民となっていいのだろうか?」


絵里「立てよ公国民よ!海へ散った志高き魂の鎮魂をするべく!立てよ公国民よ!憎しみを力と変え、悲しみを糧とし悪しき敵を撃つのだ!!」


国民「「おおお!」


絵里「力を貸そう、場を提供しよう!さあ、今やらねばいつやる!見せてくれ公国民よ!そなたたちの力を一つにしたものを!!」


国民「おおお!」


絵里「以上だ。」


国民「エリーチカ万歳!ヴァリディーティ!エリーチカ万歳!ヴァリディーティ!」


希「では、これより反逆者に判決を言い渡す!」


真姫が衛士につれられ広間に出される。

後ろでは雪穂が薄気味悪く笑っている。


希「この者は、軍事最高最高責任者でありながわが公国を絶望へ陥れようと裏切りを働いた!これは許されざる行為である!よって、明日!この者を霧の広場にて死刑と処する!」


国民「しねえええ!!」


国民「裏切者!」


絵里「なにか言いたいことはあるかしら?」


真姫「絵里・・・あなたの好きにはさせない!」


絵里「どうかしらね・・・。明日が楽しみだわ。」



ーーー


ことり「全員集まりました。」


トライデントパイロットと花陽は、葛城の部屋へと呼ばれていた。

艦内にある一室のため基地の部屋よりはせまいが小綺麗に整理だけはされている。

葛城の性格なのだろう。


葛城「うむ・・・。南、状況を頼む。」


ことり「はい、数時間前公国放送を傍受したところこのような映像が放送されていました。」


スクリーンが現れると映像が映し出される。

赤い紙の女の子が衛士に取り押さえられている。

奥のほうでは金髪の少女がおもしろそうに笑っている。


穂乃果「綾瀬・・・!」


全員が金髪の少女を凝視する。

公国第57代女王、エリーチカ。本名綾瀬絵里。

すべての悪の痛みの悲しみの苦しみの根源。


にこ「その赤髪は誰よ。」


ことり「元公国軍事最高司令官の西木野真姫です。」


海未「ちょ、ちょっとまってください!西木野ってあの西木野ですか?」


ことり「そうだよ。私たちはレッドって呼んでた。」


海未「まさか・・・むこうの内通者が軍事の最高責任者なんて・・・。」


花陽「あの・・・なんで花陽は呼ばれたんですか・・・?」


葛城「後で話す。」


花陽「・・・。」


ことり「今回の任務は、この西木野真姫の奪還、および救出にあります。」


穂乃果「ちょ、ちょっとまってよ!敵の将校を助けるの?しかも、敵の本陣にまで?」


ことり「・・・。」


穂乃果「それは話が飛躍しすぎでしょ・・・。」


葛城「西木野は長年俺と交友がある仲だ。あいつなら、なにか有益な情報をまだもっているかもしれん。それに奪還後は反乱軍のパイロットとして一肌脱いでもらうつもりだ。」


海未「敵の・・・将を仲間にですか・・・。」


にこ「仲間になる確証はあるわけ?確かに、彼女がスパイだった事実は認めるわ。けど、それだけよ。所詮は、私たちの仲間を殺してきた事実は消せはしない。」


ことり「だけど・・・ここで見殺しにしたら公国に一矢報いることがさらに難しくなるよ。」


にこ「・・・。」


花陽「あの・・・花陽は賛成です。大佐が考えたことですし必ず正解だと思います。」


穂乃果「ちょっと、待ってよ!穂乃果はやっぱり納得できないよ!こいつは・・・仲間を見捨てておきながら敵を救おうとしてるんだよ!」


葛城「・・・。」


海未「ほ、穂乃果・・・。今は・・・。」


ことり「穂乃果さん!大佐には・・・!」


葛城「まて。確かに、高坂の言うとおりだ。この作戦も強制はしない。だが、1時間以内に答えが欲しい。」


葛城「納得できないところが多いだろう。だが、俺は星空を殺したいわけではなかった。結果として消息不明となってしまったことに関しては本当に申し訳ないと思っている・・・。俺がアイツを信じすぎていたし頼りすぎていた。アイツならなんとかして還ってくるのではないかと感情的になっていた。高坂の言う通り俺は矛盾していることを支持している。すまない。」


葛城はそれだけを言うと部屋を出ていった。


にこ「なにがどうなってるのよ。」


海未「・・・。」


ことり「客観的に言うと、確かに大佐の言う通り西木野を救出した際のメリットは大きいと思うんだ。だけど、こんなに気持ちがバラバラのままじゃ成功させること自体が難しいと思うよ。」


穂乃果「・・・花陽は本当にいいの?」


花陽「え・・・?」


穂乃果「花陽は、本当にあの大佐を信じてついていけるの?」


花陽「・・・。」


海未「穂乃果!先ほどからあなたは、何も考えない発言が多すぎます!」


穂乃果「だからなに!みんなが葛城の意見に従わなければいけないような窮屈な場所なの?!」


海未「で、ですが!」


花陽「「しょ、少佐!いいの・・・。正直に話すよ。」



花陽は、顔をあげた。

その眼には涙がたまっているようであったが決意に固まった表所を見て誰も何も言えなくなった。


花陽「凛ちゃんは、必ず生きてる!花陽には・・・それがわかるの・・・だからたとえ敵を助けることになったとしてもそれで私たちが勝てる確率が上がるなら・・・どんなことをしてでもやるべきだと思うの!そうしないと・・・安心して迎えに行けないでしょ?」


海未「花陽・・・。」


穂乃果「・・・わかった。花陽がそういうなら私は文句ないよ。助けよう。あの人を。」


ーーー


葛城『いいか。作戦を説明する。今回の成功のカギはいかに早く作戦を終わらせることが出来るかだ。矢澤隊は、沿岸にある警備棟を制圧し陽動作戦を展開。広間へは、園田と高坂の少数精鋭で行く。奪還成功後、小泉の作ったブースター試作Mk2を使い一気に戦線離脱せよ』


にこ『了解。』


園田『わかりました。』


穂乃果「わかったよ。」


ことり『スレイヤー隊全機準備完了。ブースターコネクト接続開始。』


反兵『全ユニットに通達。現在天候は晴れ。風は北北西に微風。公国内は西木野処刑のためほとんどの兵力が広間に集まっています。』


にこ『全機私に続きなさい。火力で押し切るわよ。』


スレ隊『了解。』


海未『背中は任せましたよ、穂乃果!』


穂乃果「任せなさい。生きて帰るわよ。」


反兵『後部ハッチ解放、側面ハッチ解放。システム異常なし。敵影なし。高度2万フィートからの出撃です。エンジン凍結に気を付けてください。』


反兵『スラスター点火開始。下駄の正常な作動を確認。カウントダウン開始。3・・・2・・・1・・・。』


にこ『矢澤隊!押していくわ!』


海未『園田機アーチャー。参ります!』


穂乃果「穂乃果、クライブ・・・出るよ!」


加速と共にGがかかる。

すべてが音速の世界に呑まれていく。

トライデント3機スレイヤー11機の総勢14機のスレイヤー中隊は真姫奪還へと一時公国首都アバンズを目指すのであった。




沿岸警備棟襲撃部隊


にこ「コマンダー1より各機へ。これより敵防空圏内へと侵入する。無人機と対空砲火に気をつけよ。」


スレ隊『やー。』


スレ隊『敵ドローン発見。』


にこ「コマンダー隊は私に続きなさい。ファング隊はスレ隊長に続くように。」


スレ長『了解。続け。』


にこ「いくわよ。こころ、ここあ、こたろう!」


こころ『了解です!』


ここあ『矢澤隊の本気は怖いんだから!』


こたろう『・・・え、あ。うん。』


こころ『対空砲火きます!』


にこ「電磁フィールド展開一気に降下して砲台をたたくわよ!」


全員『了解。』


矢澤隊は一気に降下を始めた。

強烈なGがかかる。

後続の部隊をより安全に戦地に届けるためにはこの砲台の破壊は必須事項だった。


にこ「見てなさい・・・誤差修正完了・・・安全ロック解除。いきなさい!」


バスターの全砲門が一斉射を始める。

ほとんどがレーザー砲へと換装されており邪魔されることなく砲台を貫いていった。


こたろう『敵スレイヤー来るよ。』


こころ『問題ないよ。』


スレイヤーは反転すると新たに装備されたチャージ砲を構える。

強力な電磁魔法を放つことのできる武器だった。

3本の稲妻は敵スレイヤーをとらえると誘爆させ小隊クラスの数を全滅させた。


にこ「よくやったわ。」


ここあ『当たり前です!』


ファング隊『こちらファング隊。警備棟の占領率が7割を超えた。引き続き援護を頼む。』


にこ「了解。」


こたろう『新しいの来たよ。』


こころ『な、なにあれ!』


ここあ『超巨大スレイヤー。』


はるか彼方から現れたのは二足歩行兵器とよぶよりは浮遊戦艦とよぶのが正しいと思われるものだった。

その無数の砲塔から砲撃が始まる。


にこ「電磁フィールド展開!」


電磁フィールドがある程度の衝撃を防ぐものの確実にフィールド残量を減らしていった。

にこは操縦桿を握りなおす。


にこ(こんなところで)


にこはバスターのブーストを前回にすると敵の懐へと潜り込もうとする。


にこ「あんたたちは、そこで待機よ。」


こころ『で、ですが!』


こたろう『了解。』


ここあ『こ、こたろう!』


にこ「任せなさいって。」


バスターは誘導ミサイルを撃ち落としながらも無数のレーザー兵器の間をすり抜けていった。

気が付くと電磁フィールドは切れていた。


にこ「予想通りね。」


敵の腹の部分はにこの予想通り兵器はなく配管がむき出しの状態となっていた。

これだけ巨大なものを動かすとなると、魔力量も膨大なものとなるため戦闘とは関係のない場所の装甲や装備を薄くし、魔力を抑える必要があったのだ。


にこ「これでおわりよ!」


バスターはカノン砲とガトリングを腹へと叩き込んだ。

敵は巨大な爆発と爆炎を起こすと高度を落としていき墜落していった。


にこ「どうよ!」


ファング『警備棟の占領に成功!』


ここあ『やった!』


にこ「わかったわ。これからそっちにいくわ。」


にこ(後は頼んだわよ)


ーーー


艦載機『まもなく、首都領空圏内にはいるため我々は帰還します。』


海未『了解。気を付けて。』


艦載機『ご武運を。』


旧式の戦闘機は大きく反転するとプリアートへと帰っていった。

クライブとアーチャーは低空飛行を続け領空圏へと侵入を開始した。

幸いにも誰にも見つかることなく広間までつきそうだった。


穂乃果「・・・私が西木野を奪取する。海未ちゃんはシールド展開して援護よろしく。」


海未『わかりました。敵の激しい抵抗が予測されます。早めに離脱しますよ。』


穂乃果「・・わかってる。」


アーチャーとクライブは市街地へ入ると一気に加速を始めた。

道行く人は何事かと空を見上げるが、まさか反乱軍がここまで来ているとは思っていないようだ。


海未『行きます!』


アーチャーはサイコフィールドを展開すると広間へと降り立った。

憲兵たちが走り寄り、絵里と希を保護するとライフルで撃ち始める。

もちろん、装甲に傷さえつかない。


穂乃果「綾瀬・・・。」


海未『急いで下さい!増援が来ます!』


穂乃果「・・・。」


クライブは真姫の前に降り立つとコックピットを開いた。

真姫は、目を丸くしたまま動かない。


穂乃果「早く乗って!」


真姫は、急に思い出したかのように走り出した。

戦車まで出してきたがサイコフィールドのおかげで弾が飛んでくることはなかった。

息を切らした真姫がコックピットの中へなだれ込む。

その体は痛ましく、傷がない箇所がなかった。


真姫「どうして・・・。」


穂乃果「話はあと!今は逃げるよ!海未ちゃん!収容した!」


海未『わかりました!煙幕行きます!』


アーチャーは、腕部からスモークを出し始めた。

たちまち広間は、煙で視界がふさがれる。

同志撃ちを避けるため公国軍も発砲が止まる。

アーチャーとクライブは、ブースターを点火した。


穂乃果「しっかりつかまっててね。」


真姫「え・・・?」


普段の何倍ものGがかかる。

クラブはマッハ5の速度を出すとエルゲ海へとまっすぐに進んでいった。


海未『うまくいきましたね。』


穂乃果「そうだね。」


しかし、そう簡単に公国も逃がしてはくれなかった。

すぐに敵機襲来を知らせる警告音が鳴る。


海未『穂乃果は、ターゲットを抱えています。先にプリアートへ帰還してください。』


穂乃果「海未ちゃんは!」


海未『私は、ここで足止めをします。すぐ追いつきます。』


穂乃果「でも・・・。」


海未『早く行ってください!』


穂乃果「・・・わかった。」


クライブはそのまま飛び立っていった。

アーチャーは、ブースターをパージすると反転した。


海未『さあ・・・かかってきなさい!』





海未「反応は1機ですか。」


海未は、レーダーをにらみながら考えていた。

単機で攻めてくるとは・・・よほどの自信家あるいわうつけか・・。

突如黒いトライデントが現れると砲撃を開始した。


海未「トライデント?!」


アーチャーは回避行動をとるも敵の機体のほうが機動力が高く先回りされた。


海未「なんて速さ・・・上位機体・・?」


アーチャーはサイコフィールドを展開すると矢を射った。

しかし、高圧力で空気を圧縮した矢は敵にたどり着く前に爆散すると跡形もなく消え去った。


海未「な!」


アーチャーは大きな衝撃を受けると大きくよろめいた。

その間にも敵は一気にきょるを詰めてきた。

敵のブレードとアーチャーの槍がぶつかった。

火花が散り爆音がした。


??『はぁ・・・はぁ・・・ははは!!』


海未「オープン回線?!」


??『楽しいわ!私の名前は、王族直属部隊隊長雪穂!』


海未「あなたが・・・!機動警察の!」


雪穂『ふふふ!!無駄よ!私のトラギガントにかなうはずがない!』


海未「・・・!」


トラギガントはじりじりと力を詰めると槍をはじきアーチャーに一太刀をいれる。

かろうじて避けたもののアーチャーの装甲から火花が上がる。

トラギガントはそのまま突っ込んでくる。

アーチャーは、サイコフィールドを展開するがそれを突き破りトラギガントがアーチャーの右腕を切り落とす。

フィールドの磁場が安定しなくなり破られると、追い詰めうるようにトラギガントの銃弾にアーチャーは悲鳴を上げた。


海未「うぐ・・・。」


雪穂『ははは!さすがはトラギガント!』


海未「こんなところで・・・!」


雪穂『無駄よ!あなたは・・・。う、うええええ!!』


回線から悲鳴が上がるとトラギガントが黒い機体を真っ赤に染め上げる。


海未「なにが・・・。」


突如こみ上げる恐怖や不安という感情に海未は吐血をする。

しばらくすると同じようにアーチャーも光り始める。

回線からは、すでに悲鳴は聞こえなくなり血液がまるで滝のように流れ出る音がしていた。


海未「これは・・・いけません・・・。」


海未は、震える右手を無理やり抑えるとスロットをあげその場を立ち去る。

幸いにも、トラギガントの動きは止まり追ってくるものもいなくなっていた。


海未「いったい何が・・・。」


海未は、薄れる意識の中必死に操縦桿を握りなおした。


ーーー


反兵「緊急冷却しろ!!」


反兵「コックピット内からの応答なしです!」


反兵「かまわない!強制パージだ!!」


反兵「わかりました!」


警告音がドック内に響く。

アーチャーは、心臓部からコックピットを強制パージさせると電源を失った。


反兵「少佐!少佐!医務班!!」


海未は、満身創痍の状態で帰還するとそこで意識を失っていた。

整備班の迅速な対応により、命をおとすことはなかったが全身から出血しており非常に危険な状態だった。


花陽「大佐・・・。」


葛城「園田は。」


花陽「やはり、トライデント内のシンクロ機能が暴走したことが原因のようです。さらに、連日の戦闘ですでに園田少佐自身の魔力もなかったようで・・・。」


葛城「・・・トライデントに食われたか。」


花陽「ええ・・・幸いにも、魔力中毒にはなっていないようですが・・・。正直、もうトライデントに乗ることは難しいです。」


葛城「・・・そうか。下がっていいぞ。」


花陽は、一礼すると司令室を後にした。


ことり「大佐・・・。」


葛城「・・・いつかこうなることはわかっていたさ。だが、いつなるかは私にも予測できなかった。園田には本当にすまないことをした。」


ことり「・・・ほかのパイロットにはお話にならないのですか?トライデントは、もはやただの二足歩行兵器ではないと。」


葛城「・・・。」


ことり「大佐・・・。」


葛城「わかっている。だが、今話したところで理解を得られるだろうか。」


ことり「珍しいですね。弱気なんて大佐らしくありませんよ。」


葛城「・・・そうだな。矢澤と高坂に西木野の病室に集まるように言ってくれ。」


ことり「はっ。」


葛城「もう、頼れるのは彼女たちだけだ。」



ーーー


穂乃果「話って。」


葛城「・・・その前に紹介しよう。私の元部下でもある西木野真姫だ。」


にこ「ちょ、ちょっとまって!大佐。元部下って・・・。」


葛城「私は、元公国軍の将校だ。知っているものも多いだろうが。私は、2年前。ある戦いの敗走中ブリッツにつかまった。そして、今はこの地位にいる。」


にこ「そ、そう・・・。」


ことり「にこちゃん・・・。大佐は裏切っていないよ・・・。現に、こうやって公国とのパイプを作って私たちを勝利に導こうとしていたじゃない。」


にこ「・・・わかっているわ。今更、疑いはしないわ。」


真姫「・・・。」


穂乃果「それはわかった。それで話って。」


葛城「お前たちに実は教えていないことがあった。」


にこ「なによ。」


葛城「お前たち、このままトライデントに乗り続けると・・・死ぬぞ。」


穂乃果「は・・・?」


静寂が走る。

ことりだけが、すまなそうにうつむいたままだ。


にこ「どういうことよ・・・。あれは!ただの、兵器なのでしょ?」


葛城「その通りだ。だが、ただのスレイヤーと同じような二足歩行兵器ではない。」


穂乃果「・・・説明してよ。」


葛城「・・・トライデントは、より人体の動きに近づけるため。より、搭乗者との感覚をあわせるため魔力回路を直接機体へつないでいる。そのため、機体が受けるダメージは、どこかでかならず搭乗者の体をも傷つけている。そして、あれは莫大な量の魔力を消費する機械だ。動かせば動かすほど、搭乗者は魔力切れとなりかけ・・・いつか、枯渇しする・・・。」


ことり「魔術者の魔力の枯渇・・・。すなわち、死。」


穂乃果「・・・!」


葛城「トライデントとは、そういう兵器だ。」


穂乃果「どうして・・・今まで!」


葛城「言っても乗ったか?」


にこ「そういう問題じゃないでしょ!あんたが黙っていたせいで・・・いま、海未が苦しんでいるのよ!」


葛城「・・・すまないと思っている。だがな、もう後に引けないこともわかっているだろ?いいか、これはただの戦いではない。公国民の何万の命を守るための戦いでもあるんだ。」


にこ「大佐。今まであなたを疑ったことはなかったわ。だけど、秘密を作るって言うなら信用するのも難しいわ。わかるでしょ?」


葛城「・・・。」


ことり「にこちゃん・・・。違うの。大佐は・・・。」


にこ「あなたの言う通り、私たちはあれにのって戦い続けるしかないのは理解したわ。だけどね、それは私たち自身が生き残るためよ。公国民何万の命を守るため?冗談じゃないわ。聖戦を戦っている英雄に浸りたいのなら別の場所でやりなさいよ!」


ことり「どうして・・・どうして理解できないの!」


葛城「やめるんだ、南。いいさ、どう考えようとそれは個人の自由だ。だがな、私の指揮下であるうちはなにがあろうと最後まで命令を破るな。」


穂乃果「命令を聞くか聞かないかも個人の考えだよ。」


穂乃果たちはそういうと部屋を出ていった。

海未だけが、申し訳なさそうに葛城を見るも出ていく。


ことり「・・・申し訳ありません。」


葛城「・・・南が謝ることでもない。私がいけないのだ。」



ことり「・・・大佐。」


葛城「すまない。少し、西木野と一緒にいさせてくれないか。」


ことり「・・・わかりました。」


ことりは、お辞儀をすると部屋を出ていった。

静寂だけが部屋を包み込む。

葛城は、疲れ切った体を椅子へと放り出すと頭を抱えた。


葛城「・・・起きているんだろ。」


真姫「・・・やっぱりわかってたのね。」


葛城「どうした、私を試したか。」


真姫「まさか!!葛城大将が素晴らしいお方だということは私が一番分かっています。」


葛城「よしてくれ。今は大佐だ。」


真姫「・・・。」


葛城「知ってたか。」


真姫「・・・はい。スレイヤーとは違う、あれだけの高機能兵器を使うとなると代償はそうとうなものとなるでしょうし。」


葛城「・・・これが、公国の・・・いた私のやり方だ。」


真姫「・・・仕方ありません。今は、あのようにいうしか他なかった・・・。」


葛城「・・・攻めていいのだぞ。」


真姫「やめてください・・・。大佐は・・・私の恩人であり・・・ただ一人の・・・。」


葛城「その先は・・・・終わってから聞こう。」


真姫「・・・はい。」



ーーー


こころ「おかえりなさい、隊長!」


こたろう「んー。」


ここあ「おかえりなさい。」


にこ「え、ええ。」


こころ「何かあったのですか?」


にこ「そんあことないわよ。」


こたろう「・・・。」


にこ「なによ、皆して私を見て。もうー、人気者だなー。だけど、ダメダメ!にこは、皆の者だよ!」


こたろう(久しぶりに聞いたけどさむ・・・)


こころ(えぇ・・・。)


ここあ「最高です、隊長!」


こたろう&こころ(・・・!?)


にこ「ふふーん。で、整備は終わったの?」


こころ「はい。だいぶ損傷はありましたが、駆動系やエンジン部分に対しての被害は少ないので明日には終わるでしょう。」


にこ「そう・・・。それはよかったわ。」


こたろう「・・・仕方ないですよ。」


にこ「え・・・?」


こたろう「誰も死なない戦いなんてないですよ。」


にこ「こたろう・・・。」


ここあ「そういえば、どうして大佐に呼ばれたのでしょうか?」


こころ「そうですね。不安です・・。」


にこ「あ、あぁ・・・。それはね・・・。」


こたろう「・・・。」


にこ「そ、そうよ!この戦争が終わったらどうしようか話していたのよ。」


こころ「戦争が終わったら?」


にこ「そうよ!いつまでも、戦うわけにはいかないでしょ?」


ここあ「それもそうですが・・・。」


こたろう「隊長・・・。」


にこ「と、とにかく!決戦の日は近いわ。いい?気を引き締めなさいよ。」


全員「はい!」


ーーー

海未「入りますよ。」


穂乃果「・・・なに。」


海未「お話があります。」


穂乃果「・・・いいとか言う前に入ってるし。」


海未「穂乃果にお伝えしなくてはいけないことがあります。」


穂乃果「・・・なに?」


海未「次の作戦は、おそらくどちらかが死ぬでしょう。」


穂乃果「な!何言って!」


海未「穂乃果。私は、真面目に言っています。」


穂乃果「・・・。」


海未「次の作戦さえ成功させれば・・・我々革命軍の願いはかないます。おそらく現政権は転覆し我々がより人道的な政権を作り上げるでしょう。しかし、その中にこの艦のメンバーが全員いるとは、思っていません。」


穂乃果「何が言いたいの?」


海未「穂乃果・・・。私は、あなたをこれでも慕っています。操縦技術や戦闘スキルに関してはもちろん、人としても冷たい態度をとりながらもだれかを気遣う心・・・。」


穂乃果「・・・そんなことない。」


海未「ですが、先ほども言いました通り2人とも生きて帰るなんてことは無理でしょう。私になにかあっても立ち止まらないでくださいね。私も、穂乃果になにがあっても立ち止まりません。」


穂乃果「・・・海未ちゃんは葛城の言い分を信用するの?」


海未「「・・・。」


穂乃果「あいつは!私たちに秘密を作っていたんだよ!」


海未「そうですね。許されざるべきことです。ですが、仮に知らせれていたら私たちはあれほど勇敢に、勇猛に戦えていたでしょうか?」


穂乃果「それは・・・。」


海未「なにを知ったとしても、なにがあったとしても私のやるべきことは変わりません。穂乃果はどうですか?」


穂乃果「穂乃果のやるべきこと・・・。」


海未「そうです。穂乃果のやるべきことはなんですか?」


穂乃果「・・・わかったよ。」


海未「はい!それではそろそろ寝ましょうか。」


穂乃果「「ちょ、わかったけどなんで同じベットに入るの?!」


海未「いいではありませんか。」


穂乃果「ちょ!だめだってば!!」


ーーー


花陽「凛ちゃん・・・。」


花陽「明日には、すべてが決まるかもしれない。だけど・・・私怖いよ・・・。このまま先へ進んでいいのか・・・。」


花陽「凛ちゃんは・・・。どう思う・・・?」


凛『かよちんの信じるほうで良いと思うにゃ。』


花陽「え・・・?!凛ちゃん?!」


凛『かよちんは、いつも難しく考えすぎにゃ。』


花陽「・・・。」


凛『かよちんは、どんなに迷っても悩んでもいつも正しい道を選んでるにゃ。だから、自信をもって選ぶにゃ。』


花陽「・・・そうだね。私決めたよ!」


ーーーー


??『今更何のようだ。』


葛城「・・・どうしているかと思ってな。」


??『ふざけるな!!貴様の勝手な行動がどれだけ味方に混乱を及ぼしたことかっ!』


葛城「勝手な行動・・・。お前たちがどのように説明をうけているか知らないが、あの日俺たちの部隊は正式な命令通り行動した。」


??『ぐっ!』


葛城「・・・お前の立場上行動記録もみたはずだ。なにか不審な点はあったか?」


??『・・・。』


葛城「利用されるぞ。そのまま使い捨てられるぞ。もはや、反乱軍に昔の面影などない。己の利権のみに目がくらみ誰かを守るという志を忘れた者達になんお価値がある。」


??『そんなことはない!!みなが、いつの日か真の自由を手にする日を願っている!』


葛城「あぁ、その通りだろう。それを理由に俺たちは戦わされている。違うか?!本当に望んだ戦いだとお前は、言いきれるか!」


??『そ、それは・・・。』


葛城「お前は、胸を張って部下全員に今なしていることを語れるか?!それとも、すでに堕ちたのか?」


??『・・・。』


葛城「答えろ!!逃げてばかりで為すべきことも為さぬものが成し遂げられるものか!」


??『私だって!おかしいと思っている・・・!だがな、私のような小心者にはな・・・ここを離れることなどできん・・・。離れたところでどうやって部下を守れるというのだ!!!部下一人として幸せにできぬものが、見ず知らずの誰かを幸せにできるものか!!言っておくがな、私の信念は少しも変ってなどいない!』


葛城「ふっ。それでいいじゃないか。それでこそお前だ。」


??『試したのか?!』


葛城「どうだろうな。明朝、我々は最後の大反抗作戦にでる・・・。これが何を意味するか分かっているな?」


??『・・・・。』


葛城「為してみせろ。言葉だけでなく行動で。選んだ道は正解なのではない、正解の道を常に選ばなくてはいけないのだ。」


ーーー


翌日 プリアート ブリーフィングルーム


ことり「全戦闘兵集合しました。」


副長「同じく、全非戦闘員集合完了。乗員350名全員集まりました。」


葛城「・・・いいのだな。」


全員「・・・。」


葛城「これは、ある意味私怨にか限りなく近いことをやろうとしていることは、俺がよくわかっている。」


全員「・・・。」


葛城「だがな、みなと同じよう平和を望む気持ちに嘘偽りなどない。幾体もの屍を超え、幾筋にも及び血を流してきた。だが、生者として・・・死者の無念を願いを果たすことこそが我々に義務ではないのだろうか。隣に立つ戦友がいつ逝くかわからない。それでも、前を向くしかない。後ろには、我々が戦ってきた呪いしかない。だが、前を見よ。前には何がある?そこには必ず願いがあるはずだ。我々がつかむべきものがあるはずだ。」


葛城「・・・心臓ささげよ!ここに集まる兵どもよ!!我に続け!」


全員「はっ!」


葛城「では、本作戦の概要を説明する。本作戦は、桜蘭作戦と呼称する。南、あとは頼む。」


ことり「はっ。桜蘭作戦は多きく3つのフェイズに別れています。まず、本艦は大気圏ぎりぎりまで上昇します。この際、敵防空網に引っかからぬようにするためフルバーストで一気に上がります。ここからが、第一フェイズです。上昇後本艦から降下ポッドを分離。この際、中には西木野中尉率いる第一スレイヤー中隊を投入。西木野隊は、まず敵首都防衛基地を強襲・制圧をしてください。西木野隊降下後約500秒後、プリアートは首都に向け降下を開始。最大出力でアンチフィールを展開し首都防衛網を一気に走破します。」


兵「あの・・・。西木野中尉は信用に値するのでしょうか?」


ことり「はい、公国軍の密告者は西木野中尉です。その事実だけで十分、信用に値すると思われます。」


兵「わ、わかりました・・・。」


真姫「・・・。」


ことり「続けます。首都近海エーデル海に侵入後プリアート甲板上にて矢澤隊、園田隊、高坂隊を展開。艦防衛に努めてください。ここからが第二フェイズです。プリアートが無事首都への走破後、第二機甲化部隊が降下を開始。各所に存在する公国軍シェルター及び駐屯施設を制圧。この際、高坂隊は首都西岸にある対空レーダーを完全に破壊。園田隊と矢澤隊は、宮殿へ急行します。」


海未「正面突破ですか・・・?」


ことり「そういうことになります。そして第三次フェイズです。首都の公国軍の戦力を漸減後、宮殿への艦砲射撃を開始し一気に攻め落とします。」


穂乃果「勝算は?」


ことり「・・・みなさんの頑張りしだいです。」


全員「おいおい・・・。」


ことり「ですが、やれない作戦ではありませんよね?我々葛城隊です。生ある限り任を全うしてください。」


全員「はっ!」


葛城「以上が作戦の概要だ。南、ご苦労だった。質問がある者は。」


穂乃果「はいっ。確かに、軌道衛星上からの奇襲は公国からも予想はできないでしょう。ですが、公国にある対空レーダーは脅威に変わりないです。また、このレーダーはすべてが一つの電源から動いており一つ一つ潰したとしてもキリがありませんが・・・そこはどうなっているのでしょうか。」


葛城「・・・すべては敵首都防衛基地に通じていることが判明している。よって、西木野の第一目標はこの電力供給施設を破壊することにある。」


穂乃果「そのような大事な任務を彼女に任せると?」


葛城「・・・。」


穂乃果「いくら、公国の密告者だとしても最近正式にこちら側に付いた者を信用しろなんて・・・ムシが良すぎませんかね。」


葛城「そうだな。だが、俺から言わせれば高坂。お前のことについてのほうが知らないことが多い。」


穂乃果「・・・!」


葛城「ほかの者もなにか言いたいことはあるか。」


にこ「どうして、にこ達には任せてくれないの。」


葛城「矢澤たちは、超長距離砲撃を担当してもらう。よって無理だ。」


海未「・・・。」


葛城「園田は、なにかないのか?」


海未「・・・私は、大佐を信じます。」


葛城「・・・わかった。」


葛城「ほかに誰かいないか?」


全員「・・・。」


葛城「以上でブリーフィングは終わりだ。作戦準備に取り掛かってくれ。任を全うしろ、決して無駄死にするな。為すことを為せ。」


全員「はっ!」


ーーー


整備兵『高坂中尉。機体は、いかがですか。』


穂乃果『…問題ないよ。」


整備兵『わかりましたっ!俺たちの命・・・預けましたよ。』


穂乃果「・・・わかってる。」


ネメシス2(以降ネメと省略)『隊長。間もなく、プリアートが軌道上へ上がります。』


穂乃果「全機、いつでも出れるように。」


全員「了解。」


ネメ3『高坂隊長。自分、隊長と同じ隊に入れるなんて幸せっす。」


穂乃果「・・・そう。」


ネメ4『自分もっす!』


ネメ6『こら、あまり無駄な通信は控えなさい。』


ネメ4『もう、厳しいなー。だからいつまでたっても彼氏できないんだよ。』


ネメ6『なんですって!』


穂乃果(私は・・・こいつらを守れるのか・・・。今日初めてあったこいつらは、私を信用してくれている…。それに答えられるのか・・・)


ネメ3『隊長?怖い顔してどうしたんですか?』


穂乃果「いや、なにもない。それよりも、安全装置の解除を忘れないように。」


全員「はいっ!」


穂乃果「・・・。」


穂乃果「聞こえてるわね。」


真姫『・・・ええ。』


穂乃果「あなたに言っておきたいことがあったの。」


真姫『・・・構わないわ。疑って罵りなさい。それくらい覚悟よ。』


穂乃果「生きて帰ってきなさい。」


真姫『え・・・?』


穂乃果「穂乃果はわかってる。あの時のスレイヤーのパイロットでしょ?」


真姫『・・・。』


穂乃果「必ず決着つけたいの。」


真姫『・・・。』


穂乃果「やるったら、やるの!わかった?」


真姫『ふっ・・・。』


穂乃果「な、なによ。」


真姫『いいえ・・・なんでもないわ。あなた面白わね。そうね、必ず決着をつけましょう。』


穂乃果「そうこなくっちゃ!」



ーーー


真姫「帰ってきたら・・・か。」


ローズ1『隊長。』


真姫「なにああったのかしら?」


ローズ2『そういうわけではありませんが、我々は隊長に感謝しています。』


真姫「え・・・?」


ローズ3『その通りです。もし、ずっとあそこいたら・・・息が詰まって私死んでいました。』


ローズ4『隊長が亡命するとおっしゃった時正直不安でした。ですが、後悔はありません。我々はどこまでも隊長についていきます!』


真姫「みんな・・・。」


ローズ5『ですから、かならず生き残りましょう!』


ローズ6『その通りです!』


ローズ7『我々、西木野親衛隊の力を見せる時です!』


ローズ8『我ら、定員にもみたない中隊が師団以上の働きをすることを見せてやりましょう!』


ローズ9『ですからっ!隊長、私たちを信じて下さい!』


真姫「馬鹿ね。」


全員『・・・。』


真姫「最初から、ずっと信じてるに決まってるじゃない。」


ローズ2『隊長・・・。』


真姫「さあ、もう少しで降下ポイントよ。最終点検をしなさい。」


全員『了解!』


真姫「・・・本当馬鹿ね。まったく、これじゃあ絶対死ねないじゃない。」


真姫(・・・葛城大将、私・・・どうやらまだ死ぬことは許されないようです。)


ことり『西木野中尉。プリアートは、無事軌道上へ撃ちあがりました。30秒後、降下ポッドをパージします。』


真姫「了解。聞いたわね、総員対ショック用意。」


ローズ隊『了解!』


葛城『・・・西木野。』


真姫「大佐!」


葛城『・・・良い船だろ。』


真姫「・・・ええ。逆境の中なのに誰も諦めてない。馬鹿らしくなるくらい全員が真剣に前を向いている・・・。すごく良い船です。」


葛城『お前も、この船の一員ということを忘れるな。』


真姫「・・・!はい!」


ことり『パージ秒読み開始。5,4,3,2,1・・・パージ開始!』


真姫「ぐっ!」


機体内に重力がかかる。

上空3万フィートから一気に敵地へと降下。

無謀な作戦にであるが、奇襲としてこれほど良策は存在しないだろう。

真姫は、頭をうちつけ失神しないよう守りながらひたすら地面へと到着するのを待った。

モニターに表示される地上までの距離がみるみる減っていった。


真姫「のこり、5000を切ったわ!!」


ローズ2『隊長!!ローズ8が、敵対空砲に撃たれて!』


真姫「くそ!全員、なんとしてもたどり着きなさい!」


ローズ3『う、うわあああああああ!』


ローズ7『ローズ3!』


ローズ5『死んでたまるかああああ!!』


真姫「こんなところで、死ねるか!!!あたるなああああああ!!」


ドンという衝撃が、スレイヤー内に走った。

メーターはすでに、0となっている。

降下部隊数は15。

しかし、地表に付いたのはその半数以下の7機であった。


真姫「各機、兵装自由!まずは、降下地点付近の敵を一掃するわよ!」


全員『了解!』


真姫「近づくなあああああああ!!!」


モニターに表示されている弾数が勢いよく減っていく。

真姫の乗るグリフォンの特徴は、二丁マシンガンと数多くの暗器を所持していることだ。

降下ポッドには、予備の弾薬と推進剤が搭載してあった。

ローズ隊は、交互に補給をしながら群がるドローンや敵スレイヤーを倒していく。


ローズ5『隊長!3時の方角が薄くなりました!』


真姫「よし、全機補給をしておきなさい。」


ローズ7『補給終わってます!』


ローズ13『同じく。』


ローズ9『補給開始します!』


ローズ2『隊長、敵増援部隊来ます。』


真姫「なんとしても抑え込めるわよ!」


ローズ10『補給終わりました!』


ローズ9『補給完了。』


真姫「全機、姿勢の低さを維持!突破する!」


全機『了解!』


真姫「いけえええええ!!」


全スレイヤーが敵の間を縫うように飛んでいく。

一糸乱れぬ編隊で飛んでいく、ローズ隊を敵は補足することができず同志撃ちをするしまつだった。


ローズ2『まもなく、敵集団抜けます。』


真姫「全機シールド展開!砲撃来るわよ!」


ローズ13『ぐわあああああ!』


ローズ9『おい!!ローズ13!!』


真姫「・・・っ!諦めなさい!」


ローズ9『くそおお!なんだってんだよ!!』


ローズ2『高速飛翔体急速接近中!』


ローズ7『ミサイルです!!』


真姫「フレア展開!!」


ローズ2『しまった!!クラスター弾だ!』


真姫『中隊!2時の方向へ!!』


ローズ10『間に合いません!!うわああああああああ!!』


ローズ5『やめろおおおお!!』


ローズ2『・・・ローズ10並びにローズ5のマーカー消失。』


ローズ7『も、もうむりだ・・・。』


真姫「諦めるな!ここで屈服してしまったら・・・私たちは一生恥さらしをすることになるわ!」


全機『・・・!』


真姫「何をしにこんな死地に来たの!!私たちの国の悪は、私たちがつぶすためでしょ!!諦めるな!!」


ローズ9『了解!』


ローズ7『くそおおおお!!やってやる!』


ローズ2『ふっ。久しぶりに熱い演説を聞いたぜ。』


真姫「べ、べつに当然のことを言ったまでよ。」


真姫(残り4機・・・。このままでは・・・!)


ローズ7『みえた!!あれが入口だ!!!』


真姫「全機、今は目標への到着だけを目指しなさい!!」


ローズ9『ぐああああ!!』


ローズ2『ローズ9!!』


真姫「あと・・・100m!」


ローズ7『・・・!!右の崖にスナイパー!!』


ローズ2「なっ!やらせるかああああ!!!」


ローズ7『させるかああああ!!』


真姫『ローズ2!ローズ7!」


ローズ7『行ってください!俺たちの飛翔ユニットはいかれちまいました。入口で敵を食い止めます!』


真姫「でも!」


ローズ2『いけえ!我々ローズ隊の名誉はここにあり!!隊長!あとは任せました!』


真姫「・・・ごめん!」


ローズ5『いきましたね。』


ローズ2『あぁ・・・。そっちはどうだ。』


ローズ5『だめですね、推進剤も漏れているぽいです。攻撃はできますが、動けません。』


ローズ2『そうか。いつは、両足の関節ユニットがいかれちまってな。』


ローズ5『ははは。さながら、固定砲台にでもなりますが。』


ローズ2『それも悪くないな。殿を務めし我ら、進むことも退くこともなく。ただただ、目の前の敵を撃破すべし!これを、誉と心得んとしてどうするか!』


ローズ5『了解!お姫様のとこには行かせねえぞ!!』




真姫「これが・・・電力供給設備。」


真姫(ふっ・・・。ばかばかしいわ。こんなもののために私の隊は全滅しかけたの・・・?)


真姫「本当、馬鹿馬鹿しいわ。」


真姫「答えなさいよ、大将。私の・・・選択は間違ってないのよね?」


『・・・。』


真姫「いいわ・・・いいわよ・・・。このやろおおおお!」


グリフォンが唸りをあげる。

ありったけの鉛玉を供給設備へと撃ちこむと、設備は火花を散らし爆発を開始する。


真姫「はぁ・・・はぁ・・・。」


その時だった。

モニターにworningの文字が浮かび上がる。

公国の後続部隊が入口を突破してきたのだった。


真姫「くっ・・・。」


真姫は、のこりの弾倉をすべて銃器へ装填すると地面へと突き刺していった。

それはあらゆる手段を使って敵を殲滅する悪魔に見えたと、のちにこの時戦った兵士は語った。


真姫「さあ、来なさいよ!」


ーーーー


プリアートブリッジ


ことり「公国の対空レーダーの無効化を確認!西木野さん・・・やりましたね・・・。」


葛城「・・・西木野。」


ことり「大佐・・・お下知を。」


葛城「全降下部隊に通達!これより、本艦は軌道降下を開始する。300秒後全ユニットは発艦せよ。」


全員「了解!」


操舵手「両舷一杯!全速前進!」


プリアートに振動に包まれる。

窓の外は紅蓮の炎で染まっていた。

電離層を突破するとプリアートは、公国首都への軌道へと入ると一気に降下していった。」

決死の吶喊作戦だ。

だが、対空レーダーの死んでいる公国に対してこれほど脅威になることはなかった。

空から突然、戦艦一隻と無数の機動部隊が舞い降りてくるのだ。


ことり「ルート固定完了!まもなく公国の自動砲台の射程に入ります!」


葛城「主砲発射用意!撃てっ!」


ことり「砲台の破壊を確認!速度3000kmを維持。まもなく、機動部隊降下地点です!」


葛城「園田、矢澤、高坂。聞こえているな。」


3人「はい。」


葛城「お前たちの働きに我々の命運はかかっている。自由はかかっている。頼むぞ。」


矢澤『なんか、大佐らしくない言葉ね。』


園田『はい。そんな言葉はよしてください。』


高坂『なにがあっても公国は倒す。それだけだよ。』


葛城「ふっ・・・頼もしい限りだ。」


ことり「降下30秒前!」


葛城「健闘を祈る。」


後書き



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