2015-12-27 12:45:01 更新

概要

http://sstokosokuho.com/ss/read/3806
の続きですね。
内容?吾輩シリアスもの以外かけないですよ。
4部構成のためまもなく完結予定・・・。
この話は、ね。


前書き

電「なのです。はじめに見て欲しいのです。作者は艦これssは初めて書くのです。口調や語尾がおかしいの愛嬌っておもってほしいのです!出番少ないキャラもいるけど嫌いなわけじゃないのです!」

コツコツコツ

(3章からなんとなく木曾の口調を戻しました)

電「提督がくるのです!題名は某作品のパロなのです!えーと…あ!実装されてないの?って思うものもあるかもしれないけど無視して欲しいのです。どんな装備なんだろ…。」

来栖「電ちゃん、独り事?」

電「はじまるのです!」


作戦司令室 


空気は重いものとなっていた。

特に、熊野は顔面蒼白にしている。

普段は気丈にふるまっている彼女であったが、さすがに答えているようだ。


来栖「・・・かなり重いものを見せてしまった、特に熊野には申し訳ないと思っている。だが、現状を知ってもらうためにはどうしても見てもらわなくてはいけなかった。」


熊野「か、構いませんわ。私は、これしき耐えられましてよ。」


龍驤「熊野・・・無理せえへんでいいやで?」


熊野「だ、大丈夫ですわ。提督。どうか、お話しの続きをお願いしますわ。」


来栖は、先ほどの決起集会ご艦娘全員を作戦司令室に集めた。

大本営から依頼された件は、いずれ自分たちの脅威となりうるものだと判断したからだ。

気はのらなかったが鈴谷の轟沈映像を見せたばかりであった。


来栖「すまん・・・。」


熊野「だ、大丈夫ですって。つ、続きを・・・。」


来栖「・・・。」


長門「熊野も気を使っているのだ。そこは、熊野の気持ちを買ってやってくれないか。」


来栖「・・・わかった。この海域は比較的、軍艦島鎮守府に近いため我々に依頼が回ってきたというわけだ。ここまでで質問は。」


赤城「当時、深海棲艦の反応はなかったのですか?」


来栖「当時目視の範囲では、ほかの艦戦類の姿は見られなかったようだ。当日は、霧もなく快晴だったため見落とした・・・ということもなさそうだ。」


雷「なら、穿つ?だっけ。あれみたい超長距離砲撃をされた可能性とかはないの?」


来栖「ああ。あそこは、まさに大海原のど真ん中だ。あれだけの長距離射撃を行うにはしっかりとした地盤が必要だ。なのでその可能性も薄い。」


隼鷹「新型兵器・・・とかは。」


来栖「それなんだが、深海棲艦は基本的に我々以上の技術力はないようだ。現に兵装も、我々が旧式と呼ぶものをつかっているようだしな。」


響「・・・潜水艦。」


加賀「確かに、潜水艦なら姿を見せることなく攻撃できますね。」


曙「だけど、たしか潜水艦は攻撃する際は魚雷のスクリュー音が反応するはずじゃない。」


北上「そうだねー。」


来栖「ともかく、正体不明の敵に正面からぶつかる道理はない。まずは地道な索敵から始めたいと思う。」


来栖は、そういうと小隊編成が書いてある紙を貼りだした。


来栖「幸いにも、この近海は前回のMI作戦の際深海棲艦の90%の撃滅が確認されている地域だ。よって、今回はこのような編成で行きたいと思う。」


第一索敵隊


加賀 旗艦

龍驤

北上

大井




第二索敵隊


熊野 旗艦

飛鷹

隼鷹

球磨

時雨



後方援護艦隊


金剛 旗艦

榛名

長門

陸奥

木曾




来栖「今回の任務は、撃滅や殲滅ではなくあくまでも目標の確認と索敵だ。よって、空母を基本とする広範囲索敵・軽巡、駆逐による水中探査をを主とする。後方援護艦隊は、まんがいちに備えてだ。」


加賀(赤城さんと違う艦隊・・・)


大井(北上さんと同じ艦隊!!)


長門「ふむ・・・では、いつでも出撃できるようにしておけばいいわけだな。」


来栖「そういうことだ。出撃は、本日0100だ。いいか、もう一度言う。今回は撃滅でも殲滅でもない。あくまでも索敵だということを忘れるな。深追いは禁物だ。以上。」


それぞれ編成ごとに集まると話しながら艦娘と士官たちは司令室を後にしていった。


龍驤「提督。」


来栖「ん?どうした。」


龍驤「熊野なんやけど・・・あんまり刺激しないでくれへんか?」


来栖「あぁ・・・本当にすまないと思っている。あとで、改めて謝りに行くつもりだ。」


龍驤「それなら、いいんやけど・・・。」


龍驤は、なにやら含みのある言い方をすると黙ってしまった。

不審におもった来栖が話を切り出す。


来栖「なんだ?」


龍驤「いや・・・あの話なんやけど・・。」


来栖「あぁ・・・。なにかあるのか?」


龍驤「・・・いや。ともかく、責任もって片づけさせてもらうわ。」


来栖「あぁ・・・。頼むよ。」


龍驤は、そういうと去っていってしまった。

来栖は一人取り残されると、龍驤が何を言いたかったのかを考え始めた。


ーーー


鎮守府近海 1700


第一索敵隊


加賀「なかなか見当たりませんね。」


龍驤「せ、せやな。彩雲も飛ばしまくってるんやけど・・・。」


大井「いるのは、深海棲艦の残党だけですか。」


雷「そうはいっても、逃げ遅れた傷ついたト級ばかりじゃない。」


電「でも、誰かが攻撃を受けて傷つくよりはいいのです。」


北上「そうだねー。」


加賀は、空を見ると焦りを感じ始めた。

そろそろ日没である。

旗艦として全員で安全に鎮守府まで帰還するには急いだほうがいいからだ。


加賀「そろそろ彩雲を着艦させましょう。」


龍驤「なんや、もうやめるんか?」


加賀「そろそろ日没です。それに、この海域は夜なると潮の流れが激しくなるので電探での捜索も難しくなりますし。」


龍驤「せ、せやな。」


北上「じゃあ、そろそろ帰ろうかー。」


電「なのです。」


その時だった。

突然雷は悲鳴を上げると倒れこんだ。

心配そうに電は近づいていくと顔色を変える


大井「どうしました!」


電「す、スクリュー音なのです!」


加賀「どこからですか!」


電「わからないのです!」


再び水柱が上がると北上が膝をついた。

幸いにもかすり傷であったため北上は、再び立ち上がると陣形へと戻った。


大井「潜水艦?!」


電「い、雷ちゃん!」


雷「大丈夫よ。それよりも・・・おかしいわ。スクリュー音しかきこえないなんて。」


北上「そうだねー。普通は、航跡が見えるはずなのに・・・。」


電「ま、また来るのです!」


加賀「全員散会してください!」


一定の間隔をあけて第一索敵隊は離れた。

しばらくすると後ろの海で水柱が上がる。


大井「スクリュー音が聞こえてから着弾が速いですね・・・。」


加賀「彩雲は、着艦終了しました。機関全開。急ぎ鎮守府へ戻りましょう。このままでは、分が悪いです。」


龍驤「・・・。」


電「龍驤さん!急ぐのです!」


雷「きたよ!!2時の方向から・・・3本くるよ!!加賀さん!よけて!」


加賀は、急ぎ反転するも最後の一本に当たると中破判定を受ける。

見えない敵と、未確認の兵装を相手にするには装備も人員も彼女たちには足りなかった。


北上「20連装の魚雷!2回行きますよ!」


北上と大井が反撃とばかりに計80本もの魚雷を放つ。

しかし、敵に当たった様子はない。


電「ま、真下からスクリュー音!!て、敵は真下なのです!!」


加賀「そ、そんな!」


龍驤「・・・まさか。」


加賀「頭にきますが、これでは全滅しかねませんね。急いで撤退しましょう。」


加賀は改めて陣形を整えると、急ぎ鎮守府も目指した。

しかし、龍驤はその場で反転すると進みだす。


大井「な、なにしてるんですか!」


龍驤「殿はまかしいや!ウチが足止めするで!」


加賀「対潜装備もない私たちでは相手になりません!」


龍驤「安心しいや!ウチには、九十七式艦攻があるで!」


加賀「ですが!」


電「今は、龍驤さんに任せましょう。私たちは早く、提督に報告するべきなのです。」


加賀「・・・。」


北上「無茶しないでよ・・・。」


龍驤「すぐ、おいつくで!」


加賀たちの姿が遠くなるのを確認すると龍驤は深呼吸をした。


龍驤(未確認の兵器・・・そして真下を通る戦術・・・。まさか、こんなとこで会うとはおもわなかったで・・・!)


龍驤は、無理やり全航空機を発艦させ始める。

途中で何機かは落ちてしまったが構ってはいられなかった。

何本かの魚雷が真横を通り、龍驤は冷や汗をかいた。

しかし、龍驤は臆することなくゆっくりと進み始める。

しばらくすると、潜望鏡がゆっくりと上がりだすのが確認できた。


龍驤(しめたで・・・!)


その好機を龍驤は見逃さなかった。


龍驤「今や!」


龍驤の指示で艦攻は、一気に距離を詰めると雷撃を始める。

しかし、敵は緊急浮上するとその魚雷をかわし、お返しとばかりに魚雷を投げつけてくる。

その姿は、龍驤が想像をしていたものだった。


龍驤「かわしきれ・・・!」


3発もの魚雷を浴び龍驤は、大破判定をもらうと行動不能となる。

既に、飛行甲板からは火の手が上がり艦載機たちが着艦できる状況ではなかった。


龍驤「まさか・・・こんな形で会うとはおもわなかったで・・・!」


??「・・・。」


敵が再び潜航を始める。

既に龍驤にはかわすだけの力が残っていなかった。

心配そうに艦載機たちが龍驤の上空を旋回し始める。


龍驤「ごめんな・・・せやけどな、もう1つ頼みがあるんや。」


艦載機妖精(以降艦妖)「・・・。


龍驤「ええな?敵は○○○や。これを、提督に伝えるんや。」


艦妖「リュウジョウ・・・?」


龍驤「必ず!一機でも鎮守府にたどり着くんや!ええな!頼むで!」


艦妖「イヤダ・・・。」


龍驤「いくんや!それが、ウチの最後の命令や!はよせんと、対空砲で撃ち落とすで!」


艦妖「ワ、ワカッタ・・・。」


艦載機たちは、残り少ない燃料と龍驤の行く末に不安を抱きながらも鎮守府へ飛び立ち始めた。

龍驤は、一人になると大きく息をつく。

龍驤に向けすでに1本の魚雷が向かっていた。


龍驤「ええんや・・・これで。」


龍驤は、まともに魚雷を受けると爆発を起こす。

海面に姿勢を保つことは不可能となっておりゆっくりと沈んでいくのみとなっていた。


龍驤「ウチ・・・ちょっと・・・疲れたわ・・・ごめん。」


1740

軽空母龍驤 轟沈


ーーーー


第二索敵隊 1700


飛鷹「大丈夫熊野?」


熊野「え、ええ!もちろんですわ。」


熊野は、ぎこちない笑みを浮かべると前を向きなおした。

飛鷹と隼鷹は、心配そうに目配せをするものの何も言うことはなかった。


球磨「そろそろ日没だクマ。」


響「・・・そうだね。」


熊野「では、そろそろ艦載機をもどしていただきましょうか。」


隼鷹「わかったわ。」


飛鷹と隼鷹は艦載機を着艦させ始めた。

その間も、熊野達は敵の姿がないか探し続ける。


飛鷹「・・・!」


曙「どうしたのよ。」


飛鷹「お、落ち着いて聞いてください。まだここからは遠い海域ですが飛行場姫の姿が確認されたようなの・・・。


時雨「そ、それって!」


飛鷹「ええ・・・。しかも、ヲ級とル級も大量に確認されたらしいわ・・・。」


熊野「どれくらいの距離なのですか?」


飛鷹「ここから22km先よ。幸いにも・・・反対方向に向かってるらしいわ。」


隼鷹「私も、同じ報告を受けたわ。」


時雨「僕たちの任務外のことだよ。提督に知らせるためにも早く戻ろう。」


熊野「ですわね・・・。しかし、そのような脅威がそばにあるとは・・・思いもしませんでしたわ。」


飛鷹「わかったわ・・・。早く戻りましょう。」


熊野(それにしても、この海域は前回の作戦で完全に制圧したはず・・・なぜ、いるのでしょうか・・・。)



ーーーー


鎮守府


大淀「提督!」


大淀は荒々しく扉を開くと中へ入ってきた。

あまりにも、必死な形相だったため、来栖はノックをしろというのも忘れてしまうほどだ。


来栖「どうした。」


大淀「第一索敵隊が戻ってきたのですが、加賀・雷が負傷・・・。龍驤さん・・・行方不明です・・・。」


来栖「どういう・・・!」


来栖は駆け出した。

途中で誰かに、どうした、と声をかけられたはずだが構っていられるはずがなかった。

港へ行くと加賀が赤城に支えられうつむいている。


来栖「な、なにがあった・・・。」


加賀「・・・。」


来栖「加賀・・・。」


北上「龍驤が・・・。龍驤が殿になって・・・ウチたちは撤退したの・・・。」


来栖「・・・!」


北上「敵は、たぶん潜水艦・・・龍驤は艦攻があるから大丈夫って言ってたけど・・・。」


来栖「し、志願したのか・・・。」


北上「うん・・・。」


大井「提督・・・。申し訳ありません。」


来栖「ま、まて・・・。まだ龍驤がやられたと・・・。」


熊野「どういうことですの?」


気が付くと第二索敵隊の面々が来栖の後ろに立っていた。

話声が聞こえていたらしくその表情は誰もが暗いものとなっていた。


曙「何とか言いなさいよ!クソ提督!」


来栖「・・・すまん。俺もよくわかっていないんだ。」


隼鷹「ちょっと待ってよ!なんで提督が把握してないの!そんなことありえないでしょ!」


電「や、やめるのです!」


雷「そうよ!争ってもしかたないでしょ!」


長門「やめろ!」


長門の一声で静寂が流れる。

来栖は、ただ混乱していた。

敵は潜水艦だというのに自ら殿を志願した龍驤の意図が見えないからだ。

来栖だけでなく、全員がそう思っているはずだった。


時雨「あ!!あれ!龍驤さんの彩雲じゃない!」


時雨の指さす方向から一機の艦載機がふらふらと飛んできていた。

ボロボロの姿となっており、ほかに艦載機の姿もなかった。

赤城は、飛行甲板を出すと彩雲を着艦させた。


赤城「・・・!」


来栖「どうした!」


陸奥「どうしたのよ。」


赤城「・・・龍驤さんは・・・轟沈したそうです・・・。」


熊野「いやあああああああ!」


熊野は叫ぶと地面へふさぎ込んだ。

再び沈黙が流れる。

赤城は、苦痛そうな悲しそうな説明もつけられない表情をするとタンタンと語りだした。


赤城「龍驤さんは・・・敵の正体に感づいたらしく1人残り奮戦しました・・・。しかし、海中深くに潜る潜水艦に有効な打撃を与えることなく・・最後は魚雷で・・・。」


来栖「・・・正体は。」


赤城「・・・戦時中の英雄。かつて横須賀訓練所で無音の戦士と呼ばれた艦娘。」


木曾「まさか!」


球磨「そ、そんな・・・。彼女は味方のはずクマ・・・。」


赤城「潜水艦伊168。通称、イムヤ。」


ーーー


後日、来栖は飛鷹から飛行戦姫の目撃情報をうけたものの龍驤がいなくなったとされる海域、に強行侵入し龍驤の艦装を発見し轟沈したとみとめざる負えなくなっていた。

龍驤は、その性格から鎮守府内のムードメーカーも担っていた。

そんな、彼女がいなくなったのだ。

鎮守府全体に重い空気が流れていた。

来栖は、1人提督室にこもっていた。

机の上には、大量の書類と酒瓶が置かれているがあけられてはいない。


来栖「どうしたものか・・・。」


なぜ、潜水艦の正体に気が付いたのか。

いや、もしかしたら龍驤は薄々感ずいていたのではないか。

だからこそ、あのとき俺に何かを言おうとした。

伊168のことを知っているものは、かなり古参の艦娘といえた。

かつて、訓練生でありながら初めて参加した大型反抗作戦にてヲ級を2体、ル級を1隊、ト級を1体を奇抜な作戦で沈めた彼女はまさに英雄としてあがめられた。

しかし、彼女が訓練学校を卒業後どこに配属されたかを知る者はいなかった。もちろん、それは来栖にも言えたことだった。

ある日突然、彼女は姿を消したのだ。

そして、同じく突然仲間である帝国海軍の艦艇や艦娘を攻撃する狂人として現れることとなった。

ノックの音が司令室に響いた。

3日ぶりの来訪者だった。


来栖「どうぞ。」


扉が開くと赤城が深刻な顔つきで立っていた。


来栖「どうした。」


赤城「提督にお話ししたいことが。」


来栖「・・・話してくれ。」


赤城「少し昔話になりますが、お付き合いお願いします。」


そうして赤城は語りだした。


赤城「まだ、深海棲艦との戦いが始まったころです。人類は、まだ抵抗する力もなくただ蹂躙されていくだけでした。そんな時、私たち艦娘が誕生しました。しかし、当時は有用性の有無について話しているほど艦娘に対しての理解もありませんでした。もちろん、一部の上層部は艦娘に目をつけましたが艦娘を使っての戦術のノウハウもなく、今よりも艦娘は自由に動けると同時に命の危険が大きかったとも言えます。」


来栖「開戦当初・・・。なるほどな。たしか、俺がいたところでも艦娘の話題でもちきりだった。」


来栖(あぁ・・・ついこの間も同じような表情をしていたな。苦しそうな、悲しそうな言葉には表せられない表情を・・・)


赤城「私は横須賀第二訓練所でトップの成績を維持しました。そして、龍驤と熊野と・・・イムヤは第一訓練所に所属していました。その中でも、特に中の良い3人でした。表面的には、龍驤とイムヤはトップ争いをしていてどちらも感情表現が苦手なようでしていつも喧嘩をしていましたが・・・。」


来栖「あの3人が同じ訓練所にいたことは、知っていたさ。」


赤城「ええ・・・。それは、予想していました。そんなある日、各地から提督と呼ばれる人物を集め鎮守府という艦娘が所属する新たな基地を設立する話が出てきました。もちろん私たちは喜びました。あ、私もいちお彼女たち3人とは、面識があったので。」


来栖「ふむ・・・。」


赤城「そこまでは、他愛のない昔話です。悲劇はこのあとにおこりました。」


来栖「悲劇・・・?」


赤城「私は呉、熊野は仙台へ配属することが決まりましたが龍驤とイムヤ・・・どちらが横須賀へ残るかであの2人はもめました。結果的には、当時の教官がより成績優秀者であるイムヤを最前線へよりちかい鎮守府へ派遣するという話でまとまりました。龍驤は、自分が選ばれなかったことをひどく恨んだそうです。」


来栖「なるほど・・・。そこでそれぞれ別の道へ行ったのか。」


赤城「その通りです。そして、私たちが訓練所を卒業して数年後、奇妙なうわさが流れました。数年前最前線といわれ派遣された艦娘は、本当は特別な実験施設へと送られ生体実験をさせられている、と・・・。」


来栖「・・・まさか。」


赤城「・・・噂は本当でした。ある日、憲兵がある鎮守府を強制捜査をした際いくつもの管でつながれたイムヤを発見したそうです。イムヤは生きてはいたそうですが、すでに廃人となっておりまたどこかへ姿をくらましました。龍驤は、またひどく恨みました。今度は運命を恨んだのです。あの時、自分が選ばれてさえいれば親友であったイムヤが苦しむことはなかった。ウチが選ばれてさえいれば・・・と。」


来栖「また・・・第五機関か・・・!」


赤城「・・・それからです。龍驤は前ほど明るくなくなったのは。そして、この鎮守府へと送られてきたのは・・・。」


そこまで言い切ると、赤城は涙を流した。

来栖は、ハンカチを渡したが受け取ろうとせず何かをグッとこらえ話をつづけた。


赤城「龍驤は・・・龍驤は、イムヤを救おうとしたんです!!決して・・・手柄や欲にはしったわけではありません!」


来栖「もう、いい。」


来栖は、赤城を優しく抱きしめた。

赤城も戸惑いつつもそれにこたえる。


来栖「もう、わかった。そうか・・・すまなかった。龍驤・・・赤城・・・熊野・・・。もう、ゆっくりと休んでくれ・・・。」


ーーー

暗闇の世界。

夜も深くなり、鎮守府内は静かなものだった。

1人、悲しみと殺気を隠すことなくドックへと行く少女を除いて・・・。


電「どこへいくのですか?」


熊野「・・・。」


電「熊野さん!」


熊野「どこへ行こうとも、私の勝手ではなくて?」


電「そうなのです・・・。けど、艦装をつけるには司令の許可が必要なのです。」


加賀「そうね。」


熊野「か、加賀さんまで・・・。」


加賀「かたき討ちなんていいことないわ。」


電「なのです・・・。」


熊野「・・・かたき討ちなんてそんな崇高なものではなくてよ。私は、ただ殺しに行くだけですわ。そこには、優しさも同情なんてきもちもなくてよ。」


電「熊野さん!そうなら・・・!どうして泣いているのですか!」


熊野「え・・・。」


熊野は、頬にてを触れた。

流しているとは、気づかないほどではあるがそこには確かに彼女の本当の気持ちを示すモノがあった。

彼女は、震えた。叫んだ。


熊野「それでも・・・!私は・・・!」


加賀「なにも、あなた1人行くことはないじゃない。」


熊野「1人・・・。」


その一言で出撃ドックの扉が開かれた。

そこには、鎮守府に所属する艦娘が誰一人としてかけることなく立っていた。

誰もが思っていた。

龍驤の敵をとりたいと。

そして、一部は思っていた。

イムヤを救いたいと。


熊野「みなさん・・・。」


電「まずは、司令に許可を取るのです。」


加賀「そうね。」


熊野「・・・わかりましたわ。」


ーーー


来栖「これは?」


来栖は長門から手渡された一枚の紙を指さした。

そこには、艦娘1人1人の名前が書かれていた。


長門「今は、代表である私と赤城しかいないがこれが私たちの思いだ。」


来栖「・・・。」


赤城「提督。どうか、イムヤ鹵獲作戦の許可を!」


来栖「・・・。」


赤城「提督!」


来栖「待て。確かに、イムヤの存在は深海棲艦なみの脅威を持っている。だが、なんの策もないままお前たちを行かせるわけにもいかない。」


長門「それならば、問題ない。すでに、明石に頼み爆雷を大量作成済みだ。今回は、軽巡と駆逐に爆雷を装備していきいつでも対応できるようにさせるつもりだ。」


来栖「・・・。」


来栖は、クルリと背を向ける。

長門は、来栖のぬらりくらりした態度に腹が立っていた。


長門「貴様!感情がないのか!熊野の・・・龍驤の・・・私たちの無念がわからんのか!」


来栖「わかっているさ!」


長門「・・・!」


来栖「わかってはいるさ。俺だって悔しいに決まっているだろ!だがな、あの海域で飛行場姫の姿が確認されている。そんなところへ、対潜装備をさせた艦隊を送り込めると思うか!」


赤城「ですが!」


来栖「いいか。飛行場姫が単独で行動していないことは予測がつくだろう。そして、イムヤにしても単機でありながらあれほどの戦果をあげるのだ。しかも、未確認の兵器まである。対潜と対空を同時に行うなど不可能だ!」


長門「なら、どうしろというのだ!」


来栖「・・・簡単だ。どちらかの脅威がさるまで動かない。」


長門「それでは、遅すぎだろう!私たちは、いつまでこの悲しみを抱えなければいけないのだ・・・!」


来栖「・・・わかっている。わかってはいてもな、行動することが毎回できるとは限らないだろう。」


赤城「提督は・・・それでいいのですか。」


来栖「・・・。」


赤城「提督は、なにもしないままただ時がたてば解決してくれるとどこかで思っているのではないのですか?」


来栖「そんなわ・・・。」


赤城「本当ですか!それならば、なぜ信じていただけないのですか?」


来栖「・・・。」


赤城「私たちは、提督を信じることにしました。ですが・・・提督は、私たちを信じてはくれないのですか?」


来栖「・・・。」


赤城「提督のお心遣いはありがたいです。ですが・・・動かなければ変わらないこともあるはずです。」


来栖「・・・深海棲艦には強力な機動部隊と水上打撃艦隊がそろっている。さらに、海中には無音の戦士という脅威・・・。この状況、お前たちならどうする。」


長門「まず、機動部隊をたたくさ。制空権さえ確保できればどうとなる。」


来栖「だめだ。とるにしても、飛行場姫がいる限りよほどの覚悟と戦力がいる。物量戦ではこちらが不利だからな。」


赤城「それなら、制空権をあきらめ水上打撃艦隊の制圧からすればいいのですか?」


来栖「それも、だめだ。その間誰が赤城たちの護衛をする。」


長門「やはり・・・鬼門は飛行場姫か・・・。」


赤城「なんとか・・・イムヤだけを誘い出す方法さえあれば・・・。」


来栖「・・・これは、独り言だ。聞かなくてもかまわないぞ。」


来栖は、そういうと後ろを向いたまま話し出した。

それは、土台が推測でしかないもろい作戦であった。

しかし、その推測は正しくそして確実に2つの脅威を取り除くことが出来た。


長門「なるほど・・・。」


赤城「それでいくしかありません。」


来栖「・・・いいんだな。」


長門「ああ。」


赤城「はい。」


来栖「・・・明朝0800時。出撃せよ。目標、敵飛行場姫の排除並びにイムヤの鹵獲。以降甲22号作戦と呼称する。」



ーーーーー



来栖「ん・・?」


有光「おい、聞いてんのか?」


来栖「あぁ・・・、すまん。」


有光「たく。お前は余裕だな。」


来栖「そんあことはないさ。」


来栖(ここはどこだ・・・)


来栖は、あたりを見回した。

奇妙な模型や設計図があたり一面に広がっている。

やや、腐臭もしているが誰もがわき目もふらず仕事にかかっていた。


有光「んで、お前だけど。とりあえず、今日からここで勤務な。」


来栖「・・・なぜだ。」


有光「俺が推薦したからだ。」


来栖「・・・左遷か。」


有光「おいおい、ひでぇこと言うな。ここに来ると左遷だと?馬鹿言え。むしろ逆だ。」


有光は、大げさな身振りで笑うと立ち上がった。


有光「俺たちが、深海棲艦と戦争を始めてもう10年たつ。これから考えるべきなのは、この戦いの後の人類の行く末だ。」


来栖「行く末?」


有光「そう。俺らがいつまでも手を取り合って仲良くしていると思うか?いいや、そんなことはない。必ず、艦娘という兵器を手に入れた国々は戦いを始める。」


来栖「兵器というな。」


有光「そう怖い顔すんなって。いいか?上はいまだに大和型3番艦なんて夢を見ている。違うな、これからは艦娘の時代だ。機動性、汎用性すべてにおいて優れ、なんといっても自ら考える力!最高ではないか!」


来栖「・・・お前。」


有光「今に見ていろ、俺は必ずこの戦いをビジネスとして成功させるぞ!そして、日本帝国は世界を支配するのだ!」


来栖「・・・。」


有光「力を貸せ、来栖。お前と俺は似て非なる者。だがな、手を取り合えば、これ以上ない相棒どうしになれる!そうだろ!」


来栖「もし・・・相棒というなら、いい加減艦娘がどうやって作られているのか教えろ。」


有光「・・・ふふふ。いいか?知らないほうが良いこともあるんだ。その件にそれ以上首を突っ込むな。」


来栖「どういうことだ!」


有光「時間だ。」


有光は立ち上がると部屋を出ていこうとして。

後をおいかけようとするも、なぜか来栖の体に力が入らなかった。


来栖「有光ーーー!!」






??「・・・令。」


??「お・・・てください。」


??「司令!」


来栖「はっ!」


電「大丈夫ですか?」


来栖「あぁ・・・心配をかけたな・・・。」


電「そんなことないのです。それよりも、時間なのです。」


来栖「・・・わかった。行くとしようか。」


ーーー


ヲ級「今ドノアタリダ。」


ヲ2「モウスグダ。」


ヲ級「ヨシ。全航空隊発艦開始。目標ヲ発見次第攻撃セヨ。」


ヲ2「マッタク、飛行場姫様モ心配性ダナ。ナニモ、自ラ出テクルコトハナイノニ。」


ネ級「オイ、敵ノ数ハ予想デキテイルノカ。」


ヲ級「当リ前ダ。潜水艦、数ハ2。コレダケノ戦力デ来テイルノダ。殺レナイ相手デハナイ。」


ト級「ヲ級様!前方ニ展開シテイタ、ト級2隻ガ大破シマシタ。」


ヲ級「バカナ!発見ノ報告ハ、入ッテイナイゾ。」


ト級「電探ニモ反応ハ、ナカッタノデスガ・・・。」


ヲ2「イイカ、全部隊ニ通達セヨ。陣形ヲ維持。アレダケノ数ヲ殺セルノダ。単機デハナイゾ!イイカ!飛行場姫様ノオ手ヲ煩ワセルコトナク、速ヤカニ排除セヨ。」


ト級「了解シマシタ。」


ネ級「コンナニモ早ク来ルトハナ。」


ヲ級「大丈夫ダ。マダ、予想ノ範囲内デシカナイ。」 


ネ級「ナルホド・・・。オット、マタ来タゾ。」


ト級「報告!敵、艦載機編隊ガ出現。我ラ対潜部隊ニ甚大ナ被害アリ。マタ、我ラ主力艦隊全滅。」


ヲ級「馬鹿ナ・・・。戦艦クラスガ3隻イタンダゾ。」


ツ級「敵機直上!!」


ヲ級「ドコカラ来タ!」


ツ級2「ワカリマセン。6時ノ咆哮ト3時ノ方向カラ来マス!」


ト級2「何トシテモヲ級ヲ守レ!」


ツ級「左舷スクリューニ被弾!魚雷来マス!」


ツ級「対空砲ガ追イツカナイ!」


ホ級「駆逐艦クラスガ全滅シタ!」


ホ級2「モウ無理ダ!」


ト級「報告!後方第2機動部隊ニモ爆撃機ガ飛来。甚大ナ被害アリ!」


ヲ級「・・・何故ダ。」


ネ級「考エテイル暇ハ、ナイ!コノママデハ飛行場姫様ニモ被害ガ出ルゾ!」


ヲ級2「ソレダケハ、阻止シナクテワ!」


ネ級「クッ・・・。無線封鎖ヲ解除!全艦ニ通達!コード221発令!今ハ、引クゾ!我々ガ殿ヲ務メル!他ハ、飛行場姫様ヲ護衛セヨ!何トシテモ、守リヌケ!」


全艦『了解!』


ヲ級「スマンナ・・・。損ナ役回リヲ引キ受ケテ・・・。」


ヲ級2「気ニスルナ。」


ネ級「ムシロ光栄ナ事ダ。」


ヲ級「フッ・・・。我ラ、第一機動部隊。コレヨリ敵ノ追撃ヲ撥ネ退ケル盾トナル。名誉アル仕事デアルゾ!全員、最後ノ一艦トナッテモ屈スルコトナク戦イ続ケヨ!」


ーーー


数分前


電「スクリュー音なのです!」


雷「どうやら、交戦を始めたらしいわ。」


隼鷹「そうみたいだな。彩雲からも同じ情報が入っているぜ。」


赤城「わかりました。それでは、これより第一段階に移ります。全艦載機発艦始め。」


赤城、加賀、飛鷹、隼鷹からありったけの流星と艦戦が発艦を始める。

来栖が提示した、甲22号作戦の内容はいたってシンプルだった。

深海棲艦の目的は、おそらく伊168の撃退のはずだ。

ならば、伊168の戦闘に乗じて敵機動部隊と主力艦隊をたたけばいい。

深海、海上、上空。

三方向からの一斉攻撃で飛行場姫を撃滅せよ。

イムヤが先に深海棲艦に気付くという条件付きではあったが、結果論で言うとそれは成功となった。

そして、作戦はついに本格的な攻撃へと移行したのだった。


飛鷹「第一次攻撃隊が敵機動部隊を発見。攻撃を開始。」


加賀「ヲ級の甲板に穴が開いたわ。これで、制空権はとったわね。」


赤城「上々ね。第二次攻撃隊発艦開始。」


次に発艦したのは、烈風である。

敵機動部隊の撃滅後の目標である主力艦隊をより有利に攻撃するために制空権を確固たるものとするためだ。


赤城「長門さんと金剛さんにつないでください。」


雷「わかったわ。聞こえる?」


長門『こちら、第一水上打撃艦隊。」


金剛『感度良好ネ!』


赤城「制空権は確保しました。予定通り、長門さんたちはそのまま敵主力艦隊の撃滅を。金剛さんたちは追撃の準備をしてください。」


長門『まかせろ。』


金剛『いくネ!』





金剛「いくネ!」


金剛、榛名の41cm砲が火を噴く。

砲弾は、逃げまとうネ級ル級へ直撃する。

反撃をしようとル級は、反転するがそこへ北上大井ペアの計80本物魚雷が彼らを襲い轟沈していく。

何機かの敵機は近づいてきているが、それも三式弾や響・曙の対空砲火に耐えることがなく落ちていくのみとなっていた。


曙「なによ!余裕じゃない!」


響「ここまで問題ない。」


榛名「敵機動部隊反転!お姉さま来ます!」


金剛「あれが、きっと殿ネ!みんな気を引き締めていくデス!」


全員「了解。」


瞬間、ヲ級の甲板からいくつもの艦載機が飛び立っていった。

数こそ多いが、ほとんどの機体が傷ついておりそこまでの脅威となると金剛たちは考えていなかった。


熊野「行きますわ!」


木曾「任せろ!金剛たちは、ヲ級をたたけ!」


熊野・木曾・曙・響の4名が対空攻撃を始める。

敵艦載機のほとんどが爆撃機であることもあり、比較的容易に撃滅できると考えていた・・・。


熊野「きゃあ!」


木曾「クソ!こいつら、怖くわないのか!」


金剛「みんな、大丈夫ネ?!」


曙「なんで突っ込んでくるのよ!」


響「これは・・・まずいことになった。」


敵艦載機は最初から、雷撃攻撃などするつもりはなかったのだ。

その機体を直接相手にぶつける・・・特攻攻撃。

まさに、ヲ級達の必死の抵抗であった。

敵艦載機たちは、水面ぎりぎりを跳んできた。

そうすることで、海面の反射を利用して対空砲撃の的とならないようにするためだ。

だが、そんなことをいつまでも続けられるわけでもなかった。

熊野の必死の抵抗も功をそうし、ついに艦載機は全機撃ち落とされた。

しかし、それだけで終わるはずがなかった。

今度は、ヲ級自らが特攻してきたのだ。いくら、大破寸前とはいえ敵は空母である。その装甲は固くなみの攻撃ではビクともしなかった。


金剛「わるいけど・・・沈んでもらうネ!」


榛名「お姉さまのために!」


金剛と榛名の主砲が火を噴く。

ヲ級は、爆炎をあげながらも確実に金剛たちへと迫っていた。

その覇気に金剛は思わず、身震いをした。


金剛「な、なんネ!なんで、沈まないネ!」


榛名「くっ!させない!」


再度、榛名の全砲門が火を噴いた。

ヲ級は、すべての攻撃をくらい雄たけびをあげると忌々しそうに金剛たちをみながら沈んでいった。

そう、まるで一緒に地獄の底へと落とすかのような目線であった。





球磨「よし、イムヤを見つけたクマ。」


長門「よし、そのまま追跡を継続しろ。」


北上「りょーかーい。大井っち、いくよ!」


大井「わかりました!」


陸奥「こっちも片付いたわ。あとは、あなたたちに任せたわ。」


時雨「大丈夫、ちゃんとできるよ。」


長門・陸奥はそのまま金剛達の元へ向った。

代わりに、熊野・飛鷹と合流すると即席ながら、対潜艦隊を組みイムヤ追跡へと向かった。

イムヤも無傷というわけはなく、低速でどうやら基地へと帰っているようだった。

しかし、イムヤのあとにはぴったりと彩雲が張り付いており、逃す可能性は限りなく0に近かった。


熊野「どこまでいくのかしら。」


北上「さあね。けど、そこが本拠地だとしてウチたちだけで足りるかなー。」


飛鷹「最悪、長門たちを待つしかないね。」


時雨「どちらにせよ、今は目を離さないようにしないと。」


大井「それにしても、イムヤが向かう場所には誰かいるのでしょうか。」


熊野「わかりませんわ。ただ、昔からイムヤは大勢でいることを嫌っていましたわ。」


時雨「けど、現実的に考えて艦娘が一人で整備して補給して・・・ってやるのは無理があるよね。」


飛鷹「だれかが、裏で糸を引いてるってことかしら。」


球磨「どちらにせよ、球磨達の仕事は居場所を突き止めるまでクマ。そこからは、みんなで行くクマ。」


熊野「・・・そのことですが、私たちだけで行くわけにはいかないでしょうか?」


大井「く、熊野さん?!正気ですか?なにがあるか、わからないんですよ!」


熊野「もちろんですとも。ですが・・・イムヤと直接話させていただけないでしょうか・・・・。お願いいたしますわ。」


北上「ちょ、ちょっと。熊野っち。頭をあげてよー。」


時雨「・・・そこまでいうならどうかな・・・。」


飛鷹「・・・そうね。ただ、もし危険だと判断したら申し訳ないけれど問答無用で攻撃させてもらうわ。それくらいの覚悟でいかなくちゃ。」


熊野「・・・わかっていますわ。この熊野、このご恩を一生忘れませんわ。」



ーーーー


かつて、そこは鎮守府として機能していたのだろう。

否、深海棲艦との開戦間際、鎮守府としてではなく補給基地として各地に入渠ができる施設が作られていた。

まさにここがそうだった。

しかし、鎮守府が全国で正式に稼働するとともに補給基地の存在は忘れられ、今や知る者はほんの一握りの者だけだ。

その施設の一室に彼女はいた。

アヘンの香りで部屋は充満しており、そこら中に使用済みであろう煙管が捨てられている。


熊野「・・・イムヤ!」


イムヤ「・・・。」


球磨「なにか言ってるクマ・・・。」


時雨「よく聞こえないね。」


イムヤ「・・・なきゃ。・・・なきゃ。」


飛鷹「え・・・?」


イムヤ「殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ。」


大井「・・・・!気味悪いですわ。」


イムヤ「殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ。みんなを守るために殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ。目の前にいるのは、敵・敵・敵・敵。」


北上「ちょっと、これはやばいかなー。」


熊野「イムヤ!」


熊野の叫び声でイムヤはゆっくりと顔をあげた。

無表情だった顔が、みるみる青ざめていく。


イムヤ「バレたバレたバレたバレたバレたバレた・・・。」


北上「ちょっ!」


イムヤは、転がっていた拳銃を自らのこめかみへあてると引き金を引いた。

・・・しかし、イムヤが死ぬことはなかった。

そこにいる誰もが、なにが起きたのかを理解するまでに数秒時間を要した。


熊野「あなたは!どうして!」


イムヤ「ひっ!」


熊野は拳銃を放り投げるとイムヤを殴りつけた。

一発、二発・・・普段の冷静な彼女からは想像もできない姿だった。

だが、誰一人止めることはできなかった。

熊野が、泣きながら殴っていることに全員気が付いているからだ。


熊野「あなたは・・・大馬鹿です・・・。あの日・・・龍驤は・・・あなたを送り出したことを後悔していました・・・気高き戦士であるあなたを、邪悪な獅子へと堕としてしまったと・・・。それなのに・・・!いつまであなたは、現実から目を背けているつもりなのですか!」


イムヤ「ひいいい!」


熊野「あなたを知っている人が!あなたを慕っている人が!まだいることを、どうしてわからないのですか!」


イムヤ「・・・。」


球磨「も、もうやめるクマ!」


大井「そうです!それ以上は!」


熊野「・・・。」


イムヤ「・・・く・・・ま・・・の・・・?」


熊野「イムヤなのですか・・・?」


イムヤ「・・・悪い夢を見ていたきがする。」


熊野「・・・遅いですわ。」


イムヤ「もう・・・疲れた・・・。」


熊野「イムヤ!」


時雨「大丈夫!突然薬から覚醒して、意識を失っただけだよ。」


熊野「・・・。」


時雨「いまのうちに鎮守府へ運ぼう。」


北上「そうだねー。」


大井「では、球磨が背負っていってください。」


球磨「だから、なんでいつも球磨だクマ!」


熊野「・・・イムヤ。」


ーーーー


??「提督。」


有光「zzzz。」


??「提督。」


有光「zzzz.」


??「起きないと、12.7cm単装高角砲で撃ちますよ。」


有光「はい!おはよう!」


??「まったく・・・実験中なのに・・・。」


有光「まあまあ。それで、データはそろったか夕張。」


夕張「それなりに良いデータとれましたよ。」


有光「有能有能。ただ、でかい装備積んでるだけじゃないんだなー。」


夕張「さあ、いろいろ試してみて、いいかしら?主砲発射用意。」


有光「わかったわかった。ごめん、ごめん。ブラックジョークだよ。」


夕張「・・・。」


有光「ほお・・・成功したか。」


夕張「ええ。これで、提督の夢も実現に近づきましたね。」


有光「ふふふ・・・。あとは、彼女をどこで試験するか・・・。」


夕張「そこね。公に運用するわけにもいかないし・・・。」


有光「まあ、そのへんはどうにかなるさ。どうせもうすぐ彼らも用済みだ。」


夕張「・・・?」


有光「ところで・・・そろそろばれる頃だろうか?」


夕張「頃もなにも、すでにイムヤは軍艦島鎮守府へ保護されましたよ。」


有光「なに?!」


驚きや怒りの感情をあらわにする上司を夕張はこの時初めて見た。

普段は、おちゃらけているが周りからの評価は高く頭の中では常に一手二手先を読んでおり冷静沈着。

夕張の驚いた顔に気が付いたのか、有光は咳ばらいをすると深く椅子に座りこんだ。


有光「ふふふ・・・やってくれるじゃないか、来栖!いったいどうやって・・・あれだけの深海棲艦もいたんだぞ・・・。」


夕張「推測ですが、イムヤの無差別攻撃性を利用したのでは?イムヤの探知内にさえいなければ攻撃されませんし。」


有光「なるほど・・・。さすがは、夕張といったところか。」


夕張「・・・。」


有光「そうなると、あの魚雷のカラクリもバレちまうのか。」


夕張「・・・。」


有光「いよいよ、本気で起こさなきゃいけなくなっちまったじゃないか。あー、めんどくせー。」


夕張「そういう割には、楽しそうね。」


有光「当り前だろ?俺はな、前代未聞とか前例なしって言葉が大好きなんだよ。まあ、見てろって。明日中にはなにもかも終わらせてやるよ。」



ーーーー


来栖「新型魚雷?」


明石「ええ・・・。それも、航続距離が従来の3倍。生産性もあり、なんといっても航跡をほとんど残さずほぼ無音。」


来栖「なるほど。それで、突然攻撃をされたような現象が起きるのか。」


熊野「ほ、本当にすごい技術ですわね。」


時雨「・・・。」


電「もしかして・・・。」


来栖「あぁ・・・。おそらく、第五機関が作った新型兵器だ。おおかた、運用試験でもしていたんだろう。」


時雨「第五機関なら・・・いや、有光ならやりそうなことだね。」


来栖「薬漬けにした過去の英雄を使って・・・か。」


電「許せないのです。」


明石「とりあえず、回復はしているみたいだけど・・・。これからどうします?彼女は、どこの鎮守府にも属さないはぐれ者ですし。」


来栖「・・・。」


熊野「あの・・・。できれば、ここで一緒にいることはできないのでしょうか?」


時雨「・・・ここにいる僕たちはいいかもしれない。だけど、龍驤と親しかった人・・・主に空母の人たちは認めないだろうね。」


熊野「ですが!イムヤは・・・正気じゃなかった・・・。」


時雨「そんな理屈がとおるわけないよ。ここは、戦場だ。ある意味誰もが正気じゃない。」


熊野「・・・。」


電「電も、イムヤさんはここでいたほうがいいと思うのです。」


明石「そうだね。私もだよ。」


時雨「電と明石まで・・・。」


熊野「提督は、どうお考えですの?」


来栖「ふむ・・・。おそらく、ここで彼女を海へ帰すとなると再び第五機関につかまるのがオチだろう。」


時雨「・・・。」


来栖「だからといって、そう簡単にうちにおけるわけでもない。」


熊野「・・・。」


来栖「だが・・・時雨には悪いが、しばらくは俺たちと一緒にいたほうが良いだろう。聞きたいこともやまほどある。あとは・・・彼女がどう思っているかだ。」


熊野「・・・。」


来栖「熊野。お前は、支えられるか?イムヤが壊れそうなときそばで。」


熊野「・・・当り前ですわ。だって・・・友達ですもの!」


電「熊野さん・・・。」


時雨「・・・。」


明石「熊野・・・。」


来栖「・・・そうか。当面はここで面倒を見よう。あとのことは・・・これから考えよう。」



第三章 lance ran 完




加賀「失礼します。」


来栖「あぁ・・・。悪かったな、わざわざ、呼んで。」


加賀「いえ。今日は、電さんはいないのですね。」


来栖「まあな。少し野暮用があったようで。」


加賀「・・・?」


来栖「加賀。お前、ここにきてどれくらいたつ。」


加賀「そうね、3年くらいかしら。」


来栖「そうか。この鎮守府は、国土への侵攻最終防衛圏拡大のために作られた比較的新しい場所だ。3年というとかなり古参になるな。」


加賀「なにがいいたの。そんなに暇じゃないのだけれど。」


来栖「・・・イムヤをどう思う。」


加賀「・・・。」


来栖「加賀?」


加賀「どうも思わないわ。龍驤を沈めた張本人だと知っていてもそれまでよ。」


来栖「ふむ・・・。それは、お前の素直な気持ちか?」


加賀「どういうこと。」


来栖「くだらない建前も嘘もいらない。素直に話せということだ。」


加賀「・・・。」


来栖「お前たち空母がイムヤに対して何もしていないのは知っている。正直、報復しようなんていう輩が出ると思っていた。もっとも、熊野達がそこはうまくたちまわったようだが。」


加賀「・・・。」


来栖「なにもしないというのは、時に暴力と同じことだ。責めることもしない、優しくすることもない。ただ、傍観者として眺めるだけ・・・。このままでいいのか?」


加賀「提督は、なにが言いたいのですか。」


来栖「・・・加賀。お前、イムヤと一日一緒に過ごせ。」


加賀「・・・!」


来栖「どうした?」


加賀「・・・なんおメリットが。」


来栖「さあな。まあ、潜水艦と空母。普段はなかなか一緒にならない2人だ。たまには、いいじゃないか。」


加賀「どうして・・・私が。」


来栖「・・・自覚を持て。お前がする行動、言う言葉のすべてが影響を与えていることに。」


加賀「・・・。」


来栖「以上だ。」


ーーー


加賀「どうして、私が・・・。」


イムヤ「あの・・・。」


加賀「はい。」ジロ


イムヤ「い、いえ・・・。その、今日はよろしくお願いします。」


加賀「そこまでかしこまらなくても。あなたほうが古参よ。」


イムヤ「い、いや・・・。そうですけど・・・。」


加賀「・・・。」


イムヤ「ひぃ・・・。」


加賀「まずは、案内から始めましょうか。」


イムヤ「は、はい・・・。」


加賀「・・・。」ジロ


イムヤ「な、なに・・・。」


加賀「・・・加賀よ。」


イムヤ「イムヤです・・・。」


加賀(なにを怖がってるのかしら)


イムヤ(めっちゃ、睨まれる・・・)



ーーー


加賀「ここが、工廠よ。」


イムヤ「工廠・・・?」


加賀「・・・ここで艦装をつくるの。」


イムヤ「あぁ・・・。」


加賀「早く行くわよ。」


イムヤ「は、はい。」


加賀「明石さん。」


明石「はいはーい!あ、加賀じゃーん!」


加賀「イムヤを連れてきたわ。」


明石「あー、初めまして。明石よ。よろしくね。」


イムヤ「・・・イムヤよ。」


明石「それにしても、初めて見たなー!どう、海の中って。」


イムヤ「え?」


明石「潜水艦型の艦娘・・・。いることはしっていたけどなー!ちょっとどうなってるか詳しく見せてよ。」


イムヤ「え、ちょ!」


加賀「明石さん。まだ、予定がたくさんあります。あまり悪ふざけはしないでください。」


明石「何言ってるの。私はまじめよ。」


加賀「それに、今は私のものです。」


明石「何なにー?妬いちゃったの?」


加賀「・・・頭にキました。」


明石「う、うそ。冗談だよ。ね?」


加賀「・・・。」


イムヤ「あの・・・。」


明石「ん?」


イムヤ「私の艦装は・・・。」


明石「あー。まあ、時期が来たら渡すよ。その時は、提督から何か言われるだろうし。」


イムヤ「はぁ・・・。」


明石「今は、ゆっくり休みなってことだよ。」


イムヤ「・・・休んでいる暇なんかない。」


明石「え?なんかいった?」


イムヤ「い、いえ・・・。なにも。」


明石「ふーん。」


加賀「そろそろ、行きます。」


明石「あ、ごめんね。じゃあねー。」






明石「・・・提督は何を考えているんだろう。」


ーーー


加賀「次は、兵舎です。今は、ほとんどの艦娘が出払っているので残っている人は少ないですが・・・。まあ、そのうち挨拶をしてください。」


イムヤ「は、はい・・・。」


イムヤ(どうしてにらむんだろう)


加賀(・・・意外とかわいいところあるのよね)


金剛「ハーイ!あなたが、イムヤネ!」


イムヤ「は、はい・・・。」


金剛「そんなに怖がらなくても大丈夫ネ!」


イムヤ「・・・。」


金剛「・・・気にしすぎネ!龍驤は龍驤で考えがあったことネ!それに、イムヤも大変な状況だったネ!」


イムヤ「・・・。」


加賀「金剛さん。あまり踏み入った質問は、好ましくないわ。」


金剛「ソーリーソーリー!そんなつもりは、なかったネ!」


榛名「おねーさまー。」


金剛「榛名が呼んでるから行くネ!」


加賀「・・・金剛山も悪気があったわけじゃないわ。」


イムヤ「・・・それはわかています・・・。」


加賀「・・・ならいいわ。」


北上「さあ、行きますよ!」


大井「北上様のためならどこまでも!!」


球磨「なんで、球磨もいかなきゃいけないクマ・・・。」


北上「えー。だって球磨っちも潜水艦狩り好きでしょー。」


球磨「勝手に球磨を変なキャラにしないでほしいクマ・・・。」


大井「北上様に文句を言うなんて大きく出たわね!」


球磨「事実を言っただけクマー!」


加賀「ちょうどいいところだわ。」


北上「あ、イムヤっちだよねー。」


イムヤ「は、はい・・・。」


大井「あなたが、イムヤですか。」


球磨「おー、もう大丈夫なの?」


球磨「た、たぶん・・・。」


北上「それはよかたよー。あ、ウチは北上ねー。よろしく。」


大井「大井ですわ。」


球磨「球磨だクマ。」


加賀「雑用係もあるわ。」


イムヤ「北上さんに大井さん、雑用係・・・。」


球磨「そんなこと覚えなくていいクマ!」


北上「いくよー。」


大井「あ、待ってください!行きますよ、雑用係!」


球磨「球磨をなんだとおもってるクマ!」


加賀「・・・相変わらずね。」


イムヤ(め、目が笑ってない・・・!)


加賀(赤城さんとあんなふうに絡めるといいのだけど)


キーンコーンカーンコーン


イムヤ「かね・・・?」


加賀「来ましたね・・・。」


イムヤ(殺気?!)


加賀「それでは次へ行きますよ。」


イムヤ「あ、あの・・・。」


加賀「なんですか?急いでいるので手短に。」


イムヤ「何処に行くんですか?」


加賀「戦場です。」


ーーー


加賀「こんにちは、赤城さん。」


赤城「あら、加賀さん。イムヤさんの案内は終わったのですか?」


加賀「いいえ、ですが順番的にちょうどここだったので。」


赤城「そうですか。それは、タイミングがいいですね。」


加賀「ええ。赤城さんだけの抜け駆けは許しませんよ。」


赤城「抜け駆けなんて。そんな、人聞きの悪いことを。」


加賀「ははは。」


イムヤ(なにこの二人怖い)


間宮「はーい、それじゃ限定20食ランチ始めます。」


加賀「いきます。」


イムヤ「え?え?」


イムヤ(ちょ、この人早すぎ!)


赤城「負けません!第一次攻撃隊発艦開始。」


加賀「そんなものまで使うとは・・・。」


赤城「当り前です、今日のメニューは牛タンカレー定食。最低でも15食はいただきたいですね。」


加賀「奇遇ですね。私もそうおもっていたところです。」


イムヤ(限定食数超えてるよ・・・)


赤城「あと少し!」


加賀「私の・・・。」


赤城「勝ちです!!!」


赤城&加賀「はぁ・・・はぁ・・・。」


間宮「あら、いらっしゃい。」


加賀「ま、間宮さん・・・。」


赤城「限定ランチを・・・。」


間宮「あー・・・。」


加賀「どうしたのですか。」


赤城「早く…燃料を補給しなくては・・・。」


間宮「それがね、実は今日予約が入ってたの。」


加賀「予約?!」


赤城「そんな制度が・・・!」


間宮「いや、普段はないんだけどね・・・。なにせ、提督がイムヤちゃんと駆逐艦たちにあげてほしいっていったから。」


加賀「・・・。」


赤城「・・・。」


間宮「ごめんね、また来てね。あ、今日は何を食べていく?」


加賀「赤城さん。」


赤城「加賀さん。」


加賀「第一次攻撃隊発艦開始。」


赤城「続いて、第二次攻撃隊発艦開始。」


イムヤ(こ、怖すぎ・・・。)








来栖「なんで、烈風がいるんだよおおおおおおお!!」


電「牛タンカレーおいしいのです。」


来栖「ちょ、電ちゃん!助けて!!」



ーーーー


イムヤ(結局今日も終わりか・・・。)


加賀「・・・。」


イムヤ(加賀さんは・・・何を考えているのだろう。)


加賀「イムヤさん。」


イムヤ「は、はひ!」


加賀「そんなに緊張する必要は、ないわ。」


イムヤ(目が怖いってば・・・)


加賀「ここはどんな鎮守府かわかりましたか。」


イムヤ「は、はい。」


加賀「では、感想を。」


イムヤ「ええ?!」


加賀「なにか問題でも?」


イムヤ「な、ないですけど・・・。」


加賀「・・・。」


イムヤ「そうですね・・・。賑やかで温かくてすごい良い鎮守府だと思います。」


加賀「・・・。」


イムヤ(な、なにかまずいこと言ったかな・・・)


加賀「・・・普通ね。」


イムヤ「え・・・?」


加賀「その言葉だけで本当にあなたの気持ちだというなら残念だわ。」


イムヤ「・・・。」


イムヤ(・・・そんなわけないじゃない)


加賀「・・・。」


イムヤ「・・・わからないです。本当に温かくて賑やかな鎮守府だと思いました。久しぶりに人の温かさに触れました。イムヤがいた場所は・・・毎日毎日実験をされて・・・出てくるのは冷たい食事・・・誰とはなすこともなくもう二度と上がることのない深海にいるようでした。」


加賀「・・・。」


イムヤ「そして・・・ある日突然捨てられて。気が付くと敵も味方も殺す殺戮兵器となり下がっていて・・・。人としてはもう生きてちゃいけないって・・・。」


加賀「・・・。」


イムヤ「自分の友達を殺しておいて・・・いまさらこんな場所でやり直すなんて・・・。そんなことできない!イムヤは、幸せになっちゃいけないんだ。みんなの分・・・イムヤが殺してきて人の分イムヤは悲しみを憎しみを恨みを背負って不幸な生活を送らなきゃいけないんです!」


加賀「・・・。」


イムヤ「今日は、ありがとうございました。だけど、今晩イムヤはもう行きます。もう、二度とだれのことを壊すことのないように・・・ずっと1人でいます。そうすれば・・・みんなが幸せだから。」


加賀「・・・。」


イムヤ「・・・さようなら。」


加賀「・・・頭にキマシタ。」


イムヤ「え・・??きゃあ!」


加賀「あなたは、それで何がしたいのですか。」


イムヤ「え・・・?」


加賀「殺してきた人の分不幸を背負う?なら、殺した人の分の幸せは誰が背負うのですか?あなたにどんな事情があったかなんて関係ないわ。あなたは私たちの仲間を殺した。」


イムヤ「・・・。」


加賀「だけど、誰かを殺したら不幸になるのならば私たち艦娘は一生幸せにはなれないわ。人じゃないかもしれない。けれど、身を守るため私たち艦娘は何体もの深海棲艦を殺してきた。だけど、誰かを殺したら不幸になるしかないというなら私たちは、なにを希望にいきていけばいいの。」


イムヤ「・・・!」


加賀「時間はかかるわ。泥臭いわ。けれど、それでいいじゃない。そうやって、誰かの幸せを奪ってしまったと思うなら誰かを幸せにすれば。不幸なんてものは、たった辛いって一言嘆けば楽になれても幸せになるための魔法の言葉なんてないわ。」


イムヤ「・・・。」


加賀「生きなさい。生き恥をさらしなさい。幸せになりなさい。誰かを幸せにしなさい。それが今まであなたが犯してきた罪への贖罪となりあなたが生きていく希望になるわ。」


イムヤ「・・・はいいいい!」


加賀「・・・世話の焼ける子ね。」



ーーーー


来栖「・・・それでどうしてこなった。」


加賀「・・・。」


大井「・・・。」


来栖「・・・お前らなにがあった。」


加賀「いえ、なにも。ただ、そこの魚雷バカが余計なことを言ったので。」


大井「何を言うんですか。私は、ただ真面目にいっただけです。」


加賀「言い方に問題がなくて?」


大井「あなたの沸点が低いのでしょ。」


加賀「ぐぬぬ・・・!」


大井「むうう・・・!」


来栖「お前ら、またここで戦うつもりか。勘弁しろ。」


電「や、やめてほしいのです・・・。」


加賀「・・・。」


大井「・・・。」


来栖「・・・まあ、めったに熱く語らない加賀が語っていたらそりゃ驚くだろうな。だけど、大井もからかうのは程ほどにしておけよ。」


加賀「当り前です。」


大井「わかっています。」


来栖「加賀も変なところで艦載機使うな。整備が大変だろ。」


大井「まったくもって。」


加賀「わかっているわ。」


来栖「二人とも早く入渠して寝ろ。以上だ。」


加賀「・・・失礼しました。」


大井「失礼したわ。」


来栖「はぁ・・・。仲良くできないもんかね。」


電「加賀さんと大井さんは、本当はなかよしなのです。」


来栖「電ちゃんはよく見てるていうか、なんていうか。」


電「そんなことないのです。」


来栖「・・・電ちゃん。今日はもういいよ?」


電「ふえ?まだ、終わってないのです。」


来栖「その辺は、俺のハンコとか必要だからさ。直接目を通しておくよ。」


電「・・・わかったのです。司令官、おやすみなさい。」


来栖「あぁ・・・。お休み。」






来栖「時雨。状況を報告してくれ。」


時雨「・・・わかったよ。」



ーーー


同日 大本営 



青柳「ふむ・・・。」


椎名「はぁ・・・。」


仁科「むむ・・・。」


鵜久森「おのれ!どういうつもりだ!!!」


鵜久森の叫びと共に部下を連れた有光がさっそうと現れた。

腰には珍しくサーベルがさしてある。


有光「大変長らくお待たせしました。」


鵜久森「貴様っ!!呼び出しておいて待たせるとはなにごとだ!!」


有光「もうしわけありません。」


仁科「まあ、その辺にしておきましょう。」


鵜久森「むう・・・。」


有光「本日お集まりいただいたのは、一つお知らせがあるためです。」


鵜久森「知らせ?」


有光「その前に、お聞かせ願いましょうか。あなたたちを本意を。」


鵜久森「本意?なにを馬鹿な。我々人類の願いはただ一つ。深海棲艦の殲滅のみだ。」


有光「・・・。」


鵜久森「なんだその目は!」


有光「・・・本当でしょうか?」


椎名「そこまで言うのでしたら何かしらの証拠があるのでしょうか?」


有光「・・・おかしいと思っていました。かつて英雄と称された船は世界中に数多くあります。ですが、なぜ日本のみが艦娘という存在を作れることが出来るのか・・・と。」


鵜久森「何が変なのだ!我らの技術が水準が高いというだけではないか!」


有光「そうですか。」


椎名「それに、我が国の船は多くの偉業をなしているものが多くあります。他国の船と比較されたとしても・・・笑うしかないですね。」


有光「では、これを見てください。」


鵜久森「これはっ・・・!」


椎名「な!」


仁科「ここまで・・・!」


青柳「・・・。」


有光「あなたたちは我々に隠し事をしているようだ。いけないですね。」


仁科「有光。そこまで言うのなら我々の目的を知っているのかね?」


有光「ええ・・・。そもそもあなた方は本当にこの時代の人なのですか?」


鵜久森「なっ!」


有光「ねえ、青柳元帥。」


青柳「・・・そうかね。実に愉快だ。愉快な妄想、空想。あれだけの予算をかけたというのに貴様はくだらない研究をしていたというのか。まったく、悲しいのう。」


有光「元帥。私はなにもあなた方の陰謀をつぶそうとしているわけではない。だが、持っている技術を使いビジネスをしようとしているのです。」


椎名「ビジネス?」


有光「ええ。あなた方の持っている技術を世界へ売る。深海棲艦大戦ごの日本を強大なものとするために。」


椎名「戯言を。」


有光「椎名 卓法務大臣。数年前突如、法務省に入省して以来数々のクーデターを取り締まり功績をあげ現在の地位になる。」


椎名「・・・。」


有光「みなさんの経歴を調べさせていただきました。おかしなことに、みなさん5年前からあらわれたダークホースのようで・・・。5年前。深海棲艦が現れたころですね。」


青柳「・・・。」


有光「どうなのですか?元帥殿。」


青柳「ふふふ・・・はっはっはっは!!いいだろう、教えてやろう。いいか、我々の目的は一つ。来る粛清の日を乗り切ることのみ。」


有光「粛清の日・・・?」


仁科「粛清・・・。人類は試されるのだよ。今よりも強大な敵に。」


鵜久森「そうして絶望する。希望など、どこにもなかったのだと。」


椎名「そうして気づく。人類の罪深き歩みを。」


青柳「我々は、ただ生き残るためこの時代に来たのだよ。」


有光「はは・・・。はははは!こいつは酔狂だね。自分で言っておいてなんだが、なんだこれは?まさか海軍上層部が狂人集団だったとわね。」


青柳「貴様がどう考えようと構わん。だが、いずれ誰もが知ることになる。なぜ、平和という仮初のぬるま湯につかり続けていたのか、という後悔に。」


鵜久森「貴様、ここまでしっておいて生きて帰れると思うなよ。」


椎名「まあまあ、そういうなむしろここで言うことは違うであろう。」


仁科「そうだな、どうだ我々と手を組まぬか?」


有光「手を組む・・・?」


青柳「悪いようにはせん。ここ我々が手を組めばこの時代の安全は保障してやろう。だが、その先は我々の駒となってもらうがな。」


有光「・・・たしかに悪い話じゃないな。」


青柳「であろう?」


有光「だがな・・・。ごめんだっ!」


一発の銃声が響く。

青柳は、苦しそう顔をゆがめると倒れる。


鵜久森「きさまっ!」


仁科「なにをしているのか、わかっているのか!」


椎名「処刑だ!!やつを殺せ!」


しかし、誰一人とも憲兵は動こうとしなかった。

むしろ彼らに銃口を向けてきたのであった。


鵜久森「なにをしている!」


仁科「・・・!」


椎名「このようなこと・・・。」


有光「やれ。」


無数の銃声が響き渡る。

彼らは体を激しく痙攣させると1人また1人と倒れだす。



有光「・・・これでいい。全鎮守府への回線を開け。」


憲兵「わかりました。」


有光「全鎮守府、並びに全海軍兵に告ぐ。私は海軍参謀有光だ。我々は、軍上層部の不正の実態を暴いた。しかし、彼らはすでに自決をしていた。指揮系統の混乱を防ぐため次席である私が指揮を取る。どうか落ち着いて聞いてほしい。我々は、さらにこの不正に軍艦島鎮守府が関係していることを突き止めた。よってこれより、命ずる。明朝0100時までに軍艦島鎮守府を完全攻略せよ!」


有光「・・・邪魔者は排除せよ。」


ーーー


時雨「これが、今日僕が盗聴できいたすべてだよ。」


来栖「動き出したか、有光!」


時雨「予測だと、72時間以内にこの鎮守府は攻撃を受けるよ。偽善と欺瞞信じ込んだ猛者たちによって。」


来栖「・・・。」


時雨「こうなったら、道は2つしかない。投降か反抗か。」


来栖「寝ぼけているのか、時雨?」


時雨「いいや、僕はちゃんと起きてるよ。」


来栖「そいつは、よかった。」


来栖「徹底抗戦だ。明日、第五機関攻撃を仕掛ける。大義はそうだな・・・上官暗殺罪、並びに人類を守るためなんてどうだ。」


時雨「わらっちゃうくらいセンスないね。だけど・・・いい響だ。」


ーーーー


来栖「・・・全員集まったか。」


電「みんな集まったのです。」


来栖「そうか・・・。」


全員「・・・。」


来栖「知っての通り。現在、海軍省は有光参謀に抑えられている。」


全員「・・・。」


来栖「そして・・・有光は、我々に濡れ衣を着せ全軍でこの鎮守府を攻撃をしようとしている。」


北上「本当、いやになっちゃうね。」


来栖「そうだな。しかし、ただやられるだけの我々でいいのだろうか?」


二宮「いえ!徹底抗戦するべきです!」


全員「そうだそうだ!!」


来栖「そうか・・・。諸君の気持ちは大いにわかった。我々は、正義のために戦った仲間の信頼を裏切ることのないよう生きていかねばならない。見渡す限りの海・・・。そこにどれだけの、戦友が散っていたことか。祖国を守るため、愛する者を守るため、命がけで盾となり矛となった彼らに勝利の未来をみせなくてはならない。そのために・・・軍にはびこる悪を排除し、義を重んじ恩を返す清廉潔白なる正義を打ち立てる必要がある。我々がなろうではないか!我々こそが、正義であり尽くしてきた過去をに恥じることのないよう生きていこうではないか!行くぞ!」


全員「おおお!!」


来栖「作戦結構は、今夜0100!作戦名は、明星作戦と呼称する!」


ーーー


その影・・・いや影たちは隊列を組みながら静かに進んでいた。

暗い海を光をつけずに進んでいく非常に危険な航海である。

しかし、光をつけたとたん敵に見つかるのは必須だった。

敵と戦うか、暗闇に紛れて進むか・・・答えを選ぶまでに彼女たちに数

秒も必要なかった。

寒い冬である。

深海棲艦は寒さに弱い・・・なんて噂があるが案外本当なのかもしれない。


金剛「うう・・・さすがに12月にもなると寒いネ。」


榛名「お姉様!榛名が温めてあげましょうか?」


熊野「まったく、なぜ私がこのようなことを・・・。」


加賀「おなかがすきました・・・。」


球磨「みんなもう少し緊張感をだすクマ。」


電「そうなのです。」


長門『こちら第二艦隊。目的地に到着。これより偵察機を飛ばして付近を索敵後待機モードに移行する。』


電「わかりました。そちらの海では最近潜水艦が多くいる様ですから気を付けてください。」


イムヤ『心配いらないよ。イムヤがいるんだから!』


加賀「前方に光源体を発見。きました、ここが目的地です。」


電「全員止まってください。これから索敵をします。作戦開始時間はマルフタマルマルです。」


その小さな影は無線機に向かって話した。


金剛「それにしても・・・こんなに近くまであっさり近づけちゃって逆に不気味ネ。」


熊野「そうですわね・・・。まるで敵は息を潜めているかのようですわ。」


榛名「敵がいないほうがいいはずなのですが・・・。」


球磨「先行したイムヤがうまく陽動してくれたはずクマ。」


加賀「この作戦も、明け方までに終わらせなければならないとなるとさすがに緊張するわね。」


電「今は、このまま長門さんたちが索敵を終えるのも待ちましょう。」


金剛「それじゃ、私たちも索敵機だすネ。」


電「よろしくお願いします。」


金剛「発艦ネ。」


榛名「頑張ってください。」


加賀「私は、戦力を温存しておくわ。」


電「それでお願いなのです。」


球磨「あれ、あそこで何か光ってないクマ?」


熊野「本当ですわ。モールス信号じゃないかしら?」


榛名「なにか嫌な予感がします。」


加賀「そうね。だけど、放っておいたら鎮守府に、もっとひどい罰を与えられることになるわ。」


電「こまったのです・・・。」


金剛「だったら、私と熊野でいってくるネ。」


熊野「私ですか?!」


金剛「Yes!対潜装備は電ちゃんと熊野しかないデース!でも、電ちゃんをここから話すわけにはいきません。」


熊野「はぁ・・・承りましたわ。それでは、行きましょうか。」


榛名「気を付けてくださいね、お姉さま。」


電「頼みます。」


球磨「それにしても、長門さんたちから報告が遅いクマ。」


長門『・・・ろ。』


電「はわわわ。ちょうど来たのです。」


長門『・・・めろ。」


電「長門さん・・・?」


長門『やめろ。』


電「どういうことなのです?」


長門『救援信号を気にするな!やつらは敵だ!』


電「・・・!」


金剛『電ちゃん!!見たこともない、艦娘が攻撃してくるネ!数は3!』


電「わかりました。第一艦隊の総力をもって排除するのです。全艦出撃!」


全員「了解!」


ーーーー


同時刻 第二艦隊


長門「くそっ!なんだあいつらは!」


陸奥「ちょっとー!固すぎよ!」


大井「くらいなさい!!」


北上「あわせて80門の魚雷よー!」


時雨「12.5cmじゃ歯が立たないよ。」


雷「もう、なんなのよ!」


長門「回避ーー!!」


巨大な水柱が上がる。

誰一人として被弾しなかったことは奇跡だが、彼女たちの心はすでに俺かかっていた。


北上「これは、ちょっと厳しいかなー。」


大井「彼女たちは、艦娘なのでしょうか・・・?」


時雨「顔立ちが、日本人ぽくないね。」


雷「それっておかしくない?艦娘は、日本帝国の技術なんでしょ?」


長門「ふむ・・・。みたところ、戦艦級が2、重巡が1、駆逐が1だろうか。」


陸奥「どちらも、航空戦力はなしと・・・。」


北上「ってことは・・・。」


大井「腕が鳴りますね。」


長門「どちらが、おおく被弾させられるかが勝負だな。」


時雨「でも、僕たちは正直戦力になれないよ。」


雷「悔しいけど、魚雷くたいしか使えないわね。」


陸奥「いやいや、ここは数の力を使うわよ。」


長門「そういうと?」


陸奥「私と長門が、戦艦級。重巡を北上と大井。駆逐を時雨と雷で倒すのよ。」


北上「なるほどねー。」


大井「それでいきましょうか。」


時雨「よし、いこうか。」


雷「負けないわよ!」


長門「よし、作戦開始!」


ーーー


夕張「提督。」


有光「・・・。」


夕張「ビスマルク・グラーフ・プリンツは、電を旗艦とする艦隊と交戦を開始。イタリア・ローマ・リペッチオ・レーベは、長門を旗艦とする艦隊と交戦を開始しています。」


有光「戦況は。」


夕張「素晴らしい成果です。圧倒的な火力の前に、近づくことすら不可能のようです。」


有光「ふふふ!!さすがだ、艦娘の技術は日本だけが独占していいものではない。我が国だけで、上は独自の発展をさせたかったようだが・・・今は、この技術を広め一刻も早く深海棲艦を殲滅する方が先だ。そして・・・技術提供というなの支配を我が国は始める。」


夕張「・・・。」


有光「俺が怖いか。」


夕張「さあ。怖いというには、その姿は禍々しく畏怖を込めるにしては、その理想は崇高なものだと。」


有光「相変わらず、逃げるのがうまいな。」


夕張「どうも。」


有光「別にほめてはないが・・・。」


夕張「それより、この艦隊はおろさく軍艦島鎮守府の・・・。」


有光「来栖・・・。お前には、わからないか。いや・・・俺もお前がわからないさ。」


夕張「・・・。」


有光「同じ理想を追い、夢を叶えようとしている。だが、道が違いすぎた。あいつは、人としてどうするかを考え続けた。だが・・・俺は、人としていることに限界を感じ修羅の道を選んだ。交わることなんておそらくありえない。」


夕張「提督・・・。」


有光「だけどな、俺はあいつが好きだ。多分、あいつも俺のことを心の底から嫌っているわけではない。お互いわかっているんだ。俺たちが鏡だと。」


夕張「・・・。」


有光「だからこそ・・・俺は、アイツを欲した。」


有光「叶わぬ夢になったがな・・・。」


夕張「提督・・・。私は・・・。」


有光「いいんだ。ここまでついてきてくれたお前には感謝している。」


夕張「・・・。」


有光「10年前、あの船から投げ出された俺が誰もいないはずの海で見たのはお前だった。」


有光「最初は驚いたさ。正直、気味が悪かった。だが・・・それ以上に神々しく見えた。俺の知らない世界は、こんなに美しいのだと。」


夕張「はい・・・。」


有光「負けるわけには・・・いかないんだよ。」


ーーーー


第二艦隊


長門「くそっ!なぜ当たらん!」


陸奥「もう、いやになる!!」


長門「くそ!なんて、早すぎる!!」


陸奥「きゃあああ!」


長門「陸奥っ!」


ヴェネット「・・・日本ノ艦娘。」


ローマ「今降参ヲスレバ、苦シマズニ殺シテヤロウ。」


長門「ふっ。馬鹿を言うな。まだ、負けてなどおらん!」


ローマ「ソノ傷デ、私達ニ勝テルワケガ無イ。」


陸奥「悪いわね。長門型は、あきらめが悪いのよ!」


ヴェネット「仕方ガナイ。引キ続キ任務ヲ続ケル。」


長門と陸奥は、ヴェネットとローマと距離をとると大きく弧を描き始めた。

常に動いていなくては、砲弾の餌食になることは目に見えていた。


陸奥「それで、なにか策はあるの?」


長門「ふむ・・・。」


陸奥「なによ、まさか姉さん無策じゃないでしょうね?」


長門「いや・・・ありはするが・・・。」


陸奥「まさか・・・。」


長門「そのまさかだ。」


陸奥「それは・・・無理よ!まだ、こんなに真っ暗なのよ!」


長門「だが、やつらの装備を見る限り脅威なのはあの主砲だけだ。あれさえよけられれば。」


陸奥「・・・。」


長門「だめか?」


陸奥「だったら、姉さんがやって。」


長門「それはだめだ!私がすべてを受け止める!」


陸奥「それはだめ、姉さんは試作51cm砲を積んでいるんだよ!もしものことがあってはいけない!」


長門「だが・・・。」


陸奥「それに、姉さんのほうが砲撃は上手いでしょ?」


長門「・・・。」


陸奥「お願い。私ならできる。」


長門「・・・わかた。チャンスは一度だ。」


陸奥「うん、ありがとう。」


ローマ「作戦会議ハ、終ワッタカ。」


ヴェネット「ドウデモ良イヨ。早ク終ワラセヨウ。」


陸奥「行くわよ!!」


ローマ「フン!トチ狂ッタナ!」


ヴェネット「突ッ込ムダケカ!」


ローマとヴェネットが同時に砲撃をする。

陸奥は、ぎりぎりまでひきつけた。


長門「いまだ!!」


長門の声で陸奥ははじかれるように横に避けた。

砲弾は陸奥の頬をカスったが致命傷となることはなかった。

代わりに、陸奥の裏から現れたの零式水上観測機だった。

観測機は、水面反射を利用して砲弾を避けると一気に距離をつめた。


ローマ「馬鹿ナ!」


ヴェネット「コンナ暗闇デ、観測機ヲ飛バスダト?!」


長門「悪いな!こっちは、そっちと違ってて育ちが悪くてな!!時には、野生の勘と本性で戦うんだよ!!」


長門の51cm砲が火を噴いた。

観測射撃をした砲弾は、ローマとヴェネットどちらにもクリティカルヒットした。

大破した2人は、混乱しながらも元来た鎮守府へと引き換えしていった。


陸奥「ふう・・・。危なかったー。」


長門「よくやったな。」


陸奥「姉さんこそ。」


北上「おわったよー。」


大井「にひ・・・・。これで、私の評価も・・・。」


時雨「僕たちも終わったよ。」


雷「まったく、何本魚雷を撃たせるのよ・・・。」


長門「よし、全員無事だな。」


全員「はい!」


長門「それでは、艦砲射撃位置へと移動を開始する!」


ーーー


第一艦隊


金剛「あー!もう、なんで倒れないネ!」


榛名「お姉さま危ない!」


熊野「させませんわ!」


球磨「魚雷発射クマー!!」


電「みなさん、確固撃破を狙うのです!」


熊野「そうしたいところですが、あの空母の艦載機は夜間飛行もできるのですかっ!?」


グラーフ「・・・。」


加賀「私が、制空権をとります。」


金剛「NO!夜間飛行なんて無理ネ!」


加賀「私にできないはずがありません。」


球磨「敵機直上だクマ!!」


熊野「対空砲が間に合いませんわ!」


榛名「敵の戦艦級と重巡級が発砲!!」


電「回避なのです!」


榛名「きゃあ!!」


金剛「榛名!」


熊野「榛名さん!大丈夫ですのっ?!」


榛名「榛名は・・・大丈夫です・・・。」


球磨「中破してるクマ・・・。」


加賀「やはり、私が。」


電「か、加賀さん!」


加賀「大丈夫、みんな優秀な子たちですから。」


加賀から放たれた矢が烈風へと姿を変える。

烈風は、編隊を保ちながらunkwonの機体へと近づいていく。


グラーフ「・・・。」


ビスマルク「愚カナ。我ガドイツ艦隊ニ勝テルワケガ無イダロ。」


プリンツ「マッタク、日本ノ艦娘ナドコノ程度。」


グラーフ「油断ハ、スルナ。」


プリンツ「フン。グラーフハ、心配性ナノサ。」


ビスマルク「マッタクダ。砲撃用意!Feuer!」


金剛「砲撃ネ!!」


電「やれせないのです!!」


電が短機関銃を放つ。

驚くことに、その精度はたかく向かってきた砲弾のすべてを撃ち落としてしまった。


ビスマルク「ナッ・・・!」


プリンツ「ナカナカ、ヤルナ。」


ビスマルク「ダガ!グラーフ!艦爆ヲ出セ!」


グラフ「・・・ッ!」


ビスマルク「グラーフガ押サレテイルダト!」


金剛「こっちも畳み掛けるよ!」


榛名「榛名行きます!」


熊野「いきますわよ!!」


グラーフ「グアッ!」


プリンツ「シマッタ!」


加賀「もらいました!」


ビスマルク「グアアア!雷撃ハ、ヤメロ!!」


プリンツ「クソッ!退クゾ!」


球磨「敵が逃げていくクマ!」


電「加賀さん!!」


加賀「はぁ・・・はぁ・・・やりました。」


金剛「加賀!血だらけネ!」


加賀「問題ありません。それより、早く。」


熊野「・・・ですわね。はやく決着をつけなくてはいけなくてよ。」


電「・・・わかったのです。全員砲撃ポイントへ移動するのです。ただし、加賀さんと榛名さん一度後方へ戻ってください。」


榛名「でも・・・。」


電「誰一人・・・死んではいけないのです。」


加賀「・・・わかりました。行きましょう。」


榛名「・・・はい。」


金剛「電・・・Thank youデース。」


電「そんなことないのです・・・。誰にも死んでほしくない気持ちに嘘はないのです。」



http://sstokosokuho.com/ss/read/4907 3に続く


後書き

人物紹介

来栖提督
xx鎮守府へ赴任してきた、4人目の提督。
詳しいことはまだ不明。
第五機関にいたらしい・・・?

二宮 和重
鎮守府の副官。
二宮の父は来栖たちの教官だったこともあり、来栖とは面識があった。

電(秘書官)
長門(主力艦隊旗艦)
陸奥
金剛
榛名
加賀
赤城
龍驤
隼鷹
飛鷹
明石
熊野
木曾
大淀
北上
大井
球磨


夕立→移動

時雨(2章より)

大本営

青柳大将
鵜久森参謀長
椎名法務長
仁科大将
有光参謀


鎮守府情報

西ノ海にある孤島に建築された鎮守府。
大本営からは遠く近くに東鎮守府がある。
半年で3人の提督が変死を遂げている。

第五機関
謎の新兵器などを研究、製造しているらしい・・・?

呉湾轟沈事件
外洋航行訓練帰還途中の艦がタ級に襲われた事件。
艦長の二宮 重清は、乗艦していた海軍参謀参謀に射殺されたと噂があるが真偽は定かでない。


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2015-11-11 20:29:55

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