2015-12-12 01:59:12 更新

概要

東方を知らなくても読める作品にします、少しでも気になったらご覧いただければ光栄っす
※キャラ崩壊注意
ラブコメ?ギャルゲー的な何かを書こうとした作品です。

ルーミアなう


前書き

実は合作です!→http://sstokosokuho.com/ss/read/4255 ( 銃士・十一式さん 作:東方守矢記)という作品っす
(幻想郷入り前と紅魔郷攻略後しか登場しないんで今のところほとんど登場しませんが。)
よければこちらもお願いします~~

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キャラ崩壊・原作設定無視が起こる可能性があるので注意してくだしあ。
「あ、うん。そうかい」くらいの気持ちで読んでいただけると(決して深い意味はございません

↓作品紹介
人生つまんないと思って神社にお参りにいったところ、見知らぬ世界へと召喚?された一般人の主人公。
巫女?の姿をした彼女は「子守を頼むわ」と指を向けた方向は森しかみえなかった。彼女いわく進んだ先に吸血鬼が住む館があるとか。

森、湖、そして館の女の子と出会いながら主人公は歩んでいく。

作品はZUN氏の「東方紅魔郷~ the Embodiment of Scarlet Devil.」を元にしています。


幻想郷に一人の男が召喚されこの物語は始まる


 朝起きて、飯を食べて、意味は分かるが受ける意味が分からない教育をうけ、飯を食べて、教育を受けて、帰って、…。

 正直なところこの人生に飽きていた。


 身の拠り所はあるが心の拠り所はない。

 やることはあるがやる意味は見いだせない。


 何をしても達成感がない。

 何をしても退屈は生まれた。


「はぁ…意味が分からない…。」


 もちろんこの人生においてだ。

 何のために生きている?何のために生活をする?何のために…。


「やめだ、やめ!考えても意味はないんだから考えても仕方がないだろう!…ネットでも漁るか」


 そう、俺は将来について意味が見いだせない、就職希望の高校2年、つまり17歳男子。

 いや、就職なんて不確定な要素は考えない方がいいかもしれない…とは思ったが考えないといけないと理性が告げる。

 

「あぁ、もう!就職なんて三年になってから考えてやる!とりあえず…何をするか…」


 勉強?したくない。

 

 ということでいつも通り、ネットサーフィンをすることにした。


 いつも通り私生活を語り楽しみを共有せし者、不安の捌け口を求めて某スレに凸る者。


「…ばかばかしい…あっ」


 某スレのURLをクリックしたところ、トロイなどではないが広告サイトにつながってしまった。


「…なんだこれ?」


 そこには「幻想郷に行く方法見つけた」「幻想郷?なんだそれオシエロ」「まーまー、焦るなって」

 

「こいつらも飽きないなー…絶対中の奴は一人なんだろうなあぁ~」


 普段見かけない単語を気になりマウスのローラーを回していく。

 

「そもそも幻想郷ってなんだよ…」


 一通り目を通したが、そのURLには役に立つような情報はなかった。ネットのタブを増やしてその言葉を打つ。だが案の定意味を解説するところはなく、先程目にした画面が映し出されるだけだった。


 結局何の収集もないままその日は終わった。



 後日。いつも通り学校生活を送る。しかし、ここで考えもしなかった収穫を得た。


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「よ」

「おはよう」


 こいつは幼馴染だ。髪は少し癖がついていてショートを伸ばした黒髪。恰好はもちろんだが学校の制服だった。一つ難点なのが男なのである。


「そういえば「幻想郷」って知ってるか?」

「…え?昨日単語くらい知ったくらいだけど」

「流石ニートだな…」

「うるせぇ、でなんだよ」


 彼が一瞬言わない方がいいか?という顔をしたが言葉はあっさりとでてきた。


「いや…実はあのサイト書いたの俺なんだよ…」


 …こいつが?

 あ、いや。一応ネットはやっている。可能性はある…のだが性格上そんなことはしないと思う。


「…まぁ、お前がいうならそういうことにするけれども…」

「いや、そうなんだって」

「…それで、それが実現する確証はあるのか?」


 単刀直入に聞きたいことを聞いてみる。回りくどいことをしても結局は同じなのだから。


「夢だ」

「…だまされた…か」


 俺の興味はなんだったのか。


「いやいやいや、ちょっとまて。この夢が妙にリアルで…」

「んまぁ、暇だし話くらいは聞いてやるよ」

「なんだその言いざま…まぁ、いいよ、聞けよ」


 まぁ、暇つぶしくらいにはなるはずだ、夢物語でも。


「いやぁ…妙に記憶がリアルでな。「博麗神社」ってとこに巫女がいてな…」

「ほう…博麗神社、ねぇ。知らないな…」


 地理に知識もあるはずがなく、しっている神社なんて清水寺…あ、あれ寺だ。

 このくらい知らないはずなので例え彼のいう神社があってもわかるはずはない。


「その巫女…名前は聞き忘れたんだが恰好がおかしくてな…きになるか?」

「いやまぁ、ここまで来たんなら話せよ」

「だよなぁ…いやぁ、巫女って言えば巫女なんだろうけど…普通巫女って上半身とか腰あたりは白色で下は赤一色だろ?」

「…たしかそうだったよな」

「だけど、そこの巫女は前後左右あるエプロンみたいなかんじで、何故か腋が出てたんだよ…」

「腋?腋ってここ?」


 右腕をあげて場所を示す。


「そそ、しかも両腕とも。いやぁ、なんでだろう…」

「しらねぇよ…」


 当然である。


「でさぁ、いきなりお賽銭は?って言われたんだよ」

「…金っすか」

「でさぁ、ポケット探って財布だして」

「財布あったんかい」

「おう。小銭が500円しかなくてよ…」

「あらら…んであげたのか?」

「まぁ、夢から帰りたければって言ってたし」

「…随分調子の良い巫女さんだこと」

「だよなぁ…んで500円渡して夢から覚めたんだけどよ」

「おう」

「その財布のなかにあったはずの500円がなくなってたんだよ」

「…お前って財布の中身覚えてるのかよ…?」

「…自信はない」

「いやぁ、だけどお前さん、財布の中身にでかいかねいれとけよ?」

「はいはい、お疲れさん」


 論破終了、会話は終わり


「あ、そろそろ授業か」

「さっさと帰れ~」

「はいはい」


 そして各々授業に臨んだのだった。


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 それ以外に特に収穫はなく、今は家で午後7時。飯を食べ終わりベッドの上でスマホをいじっていた。

 ただなんとなく、無性に気になってしまう「幻想郷」についてネットを漁るが結果は同じだった。


「んー…」


 背伸びをする。


「あ、そういえば財布に金入れておけっていってたな」


 そう、幼馴染に。


「まぁ、信じるわけではないがお守り程度にな…いれていて損はないだろうし」


 机の引き出し。その奥に…あったあった、肌色の封筒。


「そういえば今いくらあるんだっけ…1、2、3、…5万か」


 ふ、俺はバイト代はすぐ銀行から卸して本物をためる主義でな…ためてる割りには5万か…次のコミケ間に合うかな。

 まぁ、いっか。面倒だし全部財布の中いれておくか。落とさないように明日からバッグの底の方にいれておこう。


「しっかしまぁ…神社ってどんな感じだったっけな」


 博麗神社、そもそも神社というところから調べる必要があるか。

 ネットで調べようか…そう思ったときに金をもったことを思い出した。


「せっかくだしコンビニでなんか買いながら神社いくか」


 たしか近所に神社か寺かったはず。参考程度にはなるだろう。


 階段おりってっと


「母さん、暇だしでかけるー」

「彼女~?」

「違う、なんか神社とかきになってね」

「何突然…。風呂わかすからすぐ帰ってきなさい」

「あいよーそんじゃいってき」

「いってらー」


 相変わらず軽いな、と思いながらも玄関を出て自転車に乗りコンビニへと向かう。


 万札。その考えが頭に浮かんだ瞬間に勝負に負けた。


「…焼き鳥10本、パンにお菓子に飲料水、、そしてなんで漫画まで…」


 合計1万。コンビニでこんな買ったのは初めてだ。しかも両手が重い。


「よいしょっと」

 

 お、ぎりぎり入った。自転車まじ神。


「転ばないように気を付けないとな…」


 こけたら一大事だ。これはフラグではない。



「…と、ここはなんだって」


 看板には二宮神社、と書いてあった。


「神社か…んあ、鳥居あるのね」


 石でつくられた身長の3倍くらいの鳥居の手前。

 自転車は置いてきたが荷物はもってきた。取られたら嫌だし。


「せっかくだし参拝でもするか…」


 建物は全体的に木でできている。

 そこまでの道のりは大体が石でできている。真ん中に建物に続く一本道と、その道以外は砂利?庭にある踏むと音がでる石が落ちている。変な塔も石でできているのかな。


 石の階段に足をかけて1,2段。鳥居をくぐる。


「…ん?」


 一瞬闇に包まれた。心なしか目線を感じた。


「…ん?あれ?…ん!?」


 建物ってこんな貧弱そうな造りだったか!?

 ちょっとまて、なんで立っている所が土なんだ!?!?


「え、ええ!?」


 とりあえずなんだ、驚きが隠せない。声に出てしまう。


「るっさいわね…参拝客?入場料は?」


 ん…誰だ。


「こっちよ」


 声が聞こえた方を向くと神社の右の扉が無い物置みたいな場所?に座っている巫女の姿があった。


「…ん?」


 学校での記憶が蘇る。


 「だけど、そこの巫女は前後左右あるエプロンみたいなかんじで、何故か腋が出てたんだよ…」

 by幼馴染


 そう、そんな感じ…いや、その恰好だった。


 付け足すのであれば服装以外の情報か。

 綺麗な艶のある黒髪は月明かりを照らし、存在を主張する。顔は太っておらずかつ痩せていない、健康的な顔つきで、目が夜の空のように…ってあれ、これって2次元?現実ではありえない顔なのだが…。


「何こっち見て黙ってるのよ」

「あ…いや、すみません。綺麗だな、と」

「あ、そ」


 出したことのない本心をつい口にだしたが流された。なんか悔しい。


「それで?」

 

 腋巫女がこっちに近づいてきて手をだした。


 …あ、入場料だったっけ。たしか財布の中にコンビニの時の小銭が…。

 あ、そういえば幼馴染が大きい金がいいって


「はい」

「…え?」

「一万円札」

「…は?」

「いや、知り合いが渡すんだったら大きい金の方がいいって」

 

 と言うと、目の前の腋巫女が札を持ったまま頭をかかえた後


「…あいつか…」

「知り合いなんですか?」

「いや、たまにここに来るのよ」

「…へぇ」


 そうなんだ。


「あ、ちょっと失礼」


神社に来たのだから賽銭をいれるべきだろう。


腋巫女の右側を通ってから進んで賽銭(5円)をいれて礼をして「退屈な世界が終わりますように」と願った。


「こうでしたっけ?」

「聞くのであれば答えてあげる…そもそもなってない!というか鳥居を通る時から」

(以下略)



「…すみません」

「分かればいいのよ、次から気を付けなさい」

「はい…」


 あ、腋巫女が札をしまった。


「なんか悪いわね…」

「何が?」

「いや、なんかもらいすぎかな、と」

「しまってから言うかそれを」

「まぁまぁ。1つくらい願いを叶えてやってもいいけど?」

「…え?」


 …見返り大きくね?


「まぁ、私が叶えることができるなら、だけど」

「なら…」


 そうだな、興味のない世界はいやだな…。


「なら、俺が興味をもてる世界につれていってくれ」

「…世界、か」

「やっぱり無理か?」

「いや…方法はあるわ」

「…なら!」

「しかし、元の世界からは忘れられるわよ?」

「…え?」


 忘れられる…?それはある意味死ぬということか?


 いいだろう。望むところだ。何度死のうかと思ったことか。


「よし、頼むわ」

「そう…ならこの札をつけて一日過ごしなさい。条件としてあなたの記憶が残っている可能性が少しでもある人物や者全てに会うこと」

「…忘却の札、っていったところか?」

「そう。それが一枚一万ね」

「…たけぇ」

「明日また金もってきなさい。帰った帰った」

「わかったよ…ありがとな」

「…はいはい」

「俺は新庄 渉。あなたは?」

「博麗霊夢。さっさと帰らないと」

「はいはい!わかりましたから!それでは」


 適当に手を振って鳥居をくぐる。と、一瞬の闇と目線。そして元の風景があった。


「ほう…面白くなりそうだ!」


 明日の準備をしなきゃな。


 札をポケットに入れてペダルに足をかける。


~~~

幻想郷では

「紫、どういうつもりよ」


 霊夢、腋に服がない巫女の目線の先には空の境界線の中に住む妖怪、紫がいる。

 見た目は見慣れない、頭を覆うフリルのついた帽子に腹くらいまでの少々癖のはいった金髪。目は見る者を魅了してしまいそうな暗い青、紫いろ。大人の雰囲気を醸し出していた。服は紫いろのワンピースにフリルがついていた。何か印象と合わない服なのは触れてはいけない。

 

「あらぁ、面白いじゃない?」

「…ったく」

「そ、れ、に。まんざらでもなさそうだったし?」

「なんか、ね。金の力?」

「まったくあなたは…」


 紫がわかっているように溜息をつく。


「冗談として…多分あいつの能力だろうけど」

「新しい能力、といったところかしら。故に面白そうでなくて?」

「…つまらないけど面白い、というべきか」

「条件さえ発動してしまえば最強。どうやって発動させるか、見ものね」

「そうね…」


 怪しい夜会は終わりへと近づいた。

~~~


 後日。今日はうきうきが止まらない!

 いつもは二度寝するはずだが目覚ましが待ち遠しかった!


「ふはは、夢ではないぞ…ついにこの世界からもお別れだぁ!」


 我ながら口調がおかしいとは思う。それほどテンションが高い。

 夜が待ち遠しい。


 札を胸に張る。


---------------------


 いつも通り家族と接して


-------------


 いつも退屈を過ごし  


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 いつも通り帰宅した。


-


 叔父と叔母も家が近いのであってきた。


 だが


「そういえば…幼馴染がいなかったな…」


 そう、幻想郷の拡散人物というかその本人である。


「一応…サイト確認してみるか」


 彼は「いや…実はあのサイト書いたの俺なんだよ…」と言っていた。

 もし風邪なので休んでいたとしたらサイトが更新されていてもおかしくはない。


 「幻想郷」と検索する。だが


「おかしい…」


 サイトはおろか、ネット上からその言葉は消えていた。


「念のためにIEも使ってみるか」


 先程はGoogleだった。もしかしたらその会社が消したので他のところで残っている可能性がある。


 だが


「…何故だ?」


 一瞬昨日の下りは本当にあったのか?夢ではないか?と思った。が、記憶はたしかに残っていた。


「…不安だな。けど、ここまで来たら引き返すわけにはいかない」


 きっと、大丈夫だ。新しい世界が俺を歓迎してくれるはずだ。


「とりあえず準備するか…新しい世界だ。サバイバルできるくらいの装備は少なくともあったほうがよい」


 昨日コンビニで買ったパンなどの食品、飲料水。後携帯とか…一応包丁とガスコンロ、鍋と肉とか野菜とかも詰めてみた。


「おもっ…」


 上半身くらいの大きさになったバッグは重力に忠実だった。少し減らそうかとも思ったが持っておいて損はない…はずだ。


「後は財布とかをポケットにいれてっと」


 一応財布の中身を確認して…大丈夫だ。残り2万とちょっと、ってところか。


「あ、そうだ」


 神社の参拝の仕方をみてから出かけようっと。


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「なんか緊張するな…」


 いつもより体重のせいか軽く感じたペダルをこいで昨日の神社、二宮神社にきた。

 昨日のせいか、なぜかこちらを見て笑っているようなそれは、心なしか不気味に感じた。


 石の階段に足をかけて1,2段。一礼をして右足が先にくるように鳥居の端をくぐる。


「ふぅ…」


 慣れない動作のせいか何故か疲れる。


「…あれ?」


 一瞬暗くもなりもせず、足元は石のままだった。

 おかしい。視線を神社のほうにむけるが…あざ笑うように頑丈そうなそれがこちらに向いていた。


「……何故だ?」


 いや、正常と言えば正常なのだが。


「…こうしちゃいられないな…」


 何故だろう、ここでじっとしていても何も起きないような気がする。


 回れ右、そして右足から鳥居を出る。


 階段を流れるように降りて、自転車にまた跨る。


「っといってもどこにいく?」


 昨日の博麗霊夢がいた場所…あそこは土と木が風景…つまり山?

 そうだ、あんな美人が街中にいたら有名になるはずだ。つまり自分辺境なところに住んでいる…はず。加えてあの自然だ。

 鳥居をくぐるときにワープした、という感じだろう。


「っていっても山…かー…」


 あたりを見渡す。が時間は結構たっていて見えるはずはなかった。


「くそ、準備に時間を使いすぎたか…」


 今頃後悔してもおかしいが。


「…ん?」


 なんか一瞬、変な気配がしたような。


「ただの気のせいか…さて、どこにいくか…」


 行く宛てはなかった。


 あ、いや


「とーりあえず行ってみるか」


 先程変な気がしたような左方向に向かって無心にペダルを漕ぐ。



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「はぁ、はぁ…」


 坂多い、し、なんだ、この通路…すごい道ががたがたしてる、し…


「…ふぅ…。自転車はここに置いて山頂に向かって歩くかね…」

「あなた、渉っていう名前?」

「そうだよ…」


 はぁ、疲れのせいか幻聴が聞こえる…落ち着くか…


「とりあえず、ここらで一回休むか…」


 バッグを下して中からスポーツドリンクを取出し、蓋をあける。そして飲む。

 …冷えてないのと口にまとわりつくような甘さはおいといてとりあえず水分補給完了かな。

 …疲れたし寝っころがるか。…あ、地面が冷たくて気持ち良い。


「私にも一口頂けるかしら?」

「あ、はい。どうぞ」


 前から声が発せられたような気がしたが、起き上るのが面倒なのでスポーツドリンクを上にあげる。

 と、視界の下から見慣れない帽子とフリル時のワンピースを着た金髪のお姉さん?が出てきた。顔は少し疲れているのか心なしか大人に見える…ような気がするが綺麗に整っている。ついで昨日の博麗霊夢と同様この世のものとは思えない。


「あ、間接キスでよければですが」

「うふふ、頂くわ。ちょっと疲れてね…」


 彼女は「ひさびさに働いたわぁ…」と呟きながら口をつけた。

 …なんか恥ずかしいな…。


「あら…頬赤くして可愛い…」

「ふえぁ!!?」


 なんだ突然いきなりどうした!?


「あら、いえいえ。気にしないで頂戴」

「…は、はい…」


 なんだこの人は…何の疑いもなく。

 あ、人物確認されてたんだっけ今。


「俺は新庄 渉、ですがどうかなさったんですか?その、お姉さん?」

「あら、お姉さんと言われるのは嬉しいですが名前は紫と言いますわ…」

「むぅ…なら紫さん、私に何か御用で?」

「…なんでだと思う?」


 こちらに笑みを向けながら聞いてきた。…意地悪だな…紫さん。


「ちょっと考えるのでお待ちを」

「はい♪」


 乗って来てくれたのを喜んでいるのかわからんが納得してくれたようで。


 …さて、この紫と名乗る彼女とは面識は…ないな。そもそも恰好が見たこともないし。

 大体金髪自体学校の外国の先生以外見ないし…


 あれ?何かおかしい…「おかしい」?

 おかしい…恰好…昨日の博麗霊夢もおかしいというか見慣れないような恰好をした。

 …顔。博麗霊夢と似ている顔…。


 博麗霊夢とは…あの変な感覚の後に現れた人物。

 あの変な感覚の後の瞬間移動…「幻想郷」?


 幻想郷…おかしい…そして俺の名前を知っていた…?だが面識はない…

 博麗霊夢?いや、あの人は「あんた誰?」という声を漏らした。鳥居のときの感覚…おかしい…面識はないが知っている…つまり


「一つ考えが」

「どうぞ」

「凄くバカバカしいと自分でも思いますが…最近の経験からして…」


「この世と幻想郷の、境界を操っている人…ですか?」


 すると、紫さんは一瞬驚いたような、警戒をしたような、なんだろう、まぁそんな顔をした。


「…なかなか鋭いわね」

「そ、そんな怖い顔しないでください!あくまで推論ですし、こんなことできる人なんていないでしょう!?」


 これは正論だろう。


 しかし、この正論は「この世」限定のことなのをこの後の経験で知ることになる。


「人、ならね」


 と言うと、紫はスポーツドリンクを持っている反対の手で弧を描く。


 綺麗な曲線だな…と思った。それは、見事な曲線となったのは自分で驚いたのだが。


 そこには目のような形をして、周りの闇よりも更に深い闇をつくりだしていた。さらに、その中からは夥しい数の目がこちらを向いていた。


「どうかしら?」

「す、すごいですね…」


 言葉がこれくらいしか浮かばない。何か刺激をする一言いった瞬間に目に殺される、そんなことを思ったからだ。


「でしょう…」

「そうですね…」


「では、いきなさい」

「行くって、ここにですか?」

「そう」


 つまりその目玉の中に。


「やっぱり怖いわよね…また引きずり込むことに…」

「ちょっと、心の整理をしてもいいですか?」

「そうね、いいわよ。戻ってこれないかもしれないし、ここで逃げるのも一つの手かもね?」


 笑った。その笑顔は逃がさない、ともとれたし「この世から」逃げるための手段。とそんな言い方だった。


「大丈夫ですよ、俺は元の世界は飽きたのです」

「…そう」


 そろそろ行かなくちゃ飽きられるかな?


 だが、怖かった。しかし、行きたい。


「その、紫さん」


 手を指し延ばす。紫さんの「また引きずり込むことに…」という言葉が切なかったから


「俺が引きずり込むんで…ついてきてください」

「…怖いだけでしょう?」

「はい。だから、安心するために」


 彼女は手を逃がそうとはしなかった。


「これで…どんな結末があっても後悔はありません、紫さん、ありがとう」

「言っておくけどここの境界は安全だからね…まぁ、そういう意味ではないと思うけど」

「ばれましたか…その時、あの世界が恋しくなったらお願いします」

「やっぱり、人間ね…」


 彼女はこちらを見て笑った。世界を笑うように。


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「あら、手を繋いで参上とはいいご身分ね」

「ほあ!!霊夢!!」

「あぁん?」

「霊夢さん!!じゃなかった博麗さん!!」

「はぁ…」


 あれ?紫さんは?まぁ、博麗さんのところまで送って頂きありがとうです。あ、荷物が木に立てかけてある。


「では博麗さん、お先にどうぞ」

「はいはい…」


 俺がたっていたのは鳥居の前だった。俺がそう言うと博麗さんは歩き出した。

 霊夢さんは慣れた様子で入っていった。


「よし、っと」


 端に移動して鳥居に一礼。右足から鳥居にはいる、っと。


 次は水で手を洗う…と。手水舎はっと、あそこか。右側の端を歩いたらつきそうだな。


 ゆっくり、音を立てないようにっと。


「えーと、たしか」


 右手でこの掬うのをとって左手を洗って…つめた!

 次は左手でもって右手を洗って

 さらに右手にもちかえて水をためて口をゆすいで

 持つところに水を流すっと…水少ないな…


「下手ね?」

「す、すみません」


 次は参拝か。


 端は鉄則。よし、移動完了。

 お賽銭はできるだけ音をたてないように…あ、荷物…。


 あ、そうか、財布はポケットにいれてたんだ。危ない危ない


「良かったわね」

「ほわ!よ、よかったです」


 心の中を見られたか?あ、いや、動きがおかしかったか。


 えっと、お賽銭を投げないように置くようにして入れてっと

 鈴、あれか。鈴をならして~


「リズムにのらんでいい」

「あ、はい、わかりました」


 2回礼をして2回拍手!


 おっと、たしかまだ終わってないんだった。


 名前は新庄 渉と申します。いつも見守って下さり光栄です。お賽銭をどうぞお使いください!住所は…あっちからきました!


 そして


 霊夢さんかわいいです!!ありがとうございます!!


 ふぅ。


 後一礼して


「どうでした!!?霊夢さんじゃなかった博麗さん!完璧だったでしょう!?」

「ぷっ…あははははは!!なかなか傑作じゃないの!!」


 おぉう?


「参拝方法については、合格点として、何よ最後!!ふざけてるの!?あははは!!」

「え、最後ってちょっとまって…」


 …あ、霊夢さんって財布探してる時に心見透かしたような発言したよね…


「おぉぉぉおおぉおおうう!!??」

「まぁ、まぁ!悪い気はしないから合格よ!!」

「ちょっち、まって!すごく恥ずかしいんだけど!!?」

「うっるさいわね!黙りなさい渉!」


 …いろいろと弁解がしたい…いや、可愛いのを可愛いといっておかしいですか?神様??


「まぁ正直なのはいいと思うけど、あれっは!あはは!」

「わーらーわないで下さいよ!!」


 大体霊夢さんが落ち着くまで1っ分ほどかかった。


「お賽銭少ないですかね?」

「お賽銭に金額なんて問わないわ。あったらうれしいけど大事なのは気持ちだわ」

「そうなのですか…その、霊夢さんってやっぱり」

「ん、なに?」

「神様、なのですか?」


 霊夢さんは少し考えた。


「なんで?」

「いえ…人の心をわかるのは巫女の能力としてあるのかもしれない…と思ったのですけど」

「けど?」

「一連の動作で神様に対する礼儀が無くて…まるで自宅で過ごしているような感覚を覚えて」

「あら、そう?」

「はい…失礼なことだと自覚はしています…すみません」


 返答はすぐには帰ってこなかった。


「神様…か」

「どうしました?」

「いえ、特には。渉の回答に関しては無回答、ってことでいい?」

「あ、はい。すみません」


 なんだろう、闇に触れてしまったような気がした。


「それともうちょっとリラックスしたらどう?あなたも人間なのでしょう?」

「あなたも?」

「私は人間、あなたも人間。分かっているとおもうけどここは幻想郷よ?」


 やっぱり、ついに来たのか。


「もしかして…」

「そう。ここには妖怪とか吸血鬼とか神様とか種族は様々よ。人間から神ななったやつもいるしね」

「そ、そうですか…」


 もしかして大変なところにきてしまったか?


「ま、あなたが帰りたいというまで私たちは動かないわ。もし何かあったら言いに来るといいわ」

「頼りになります…霊夢さん」


 好意には甘えておこう。なんせこの世界だし。


「…霊夢でいいわ」

「あ、はい。ありがとう、霊夢」

「なれなれしい!」

「…基準が解らないっす…」


 あ、そうだ


「霊夢、この2万で2枚、護符と交換できないか?」

「あら、そう来るのね」

「はい」

「どんな護符がいいかしら?」

「そうですね…防御系の魔法と…あと一枚…これで」

「あら、本当にこんなのでいいの?」

「はい、なんとなく、ですが」


 手には見慣れない護符と見覚えのある護符が渡された。


「別れは、いやですからね」

「あら、そう。そうだ、渉に一つ頼みたいことがあるの」

「はい、なんでしょう」

「最近吸血鬼がうるさくてね…また異変起こしそうだから子守してきてくれないかしら?」

「…場所は?」

「あっちらへんよ。まぁ、今日は遅いから明日からお願いするわ」

「わかりました…今日の寝床どうしましょう」


 バッグの中には一応防寒用の毛布とかもあるし大丈夫だと思うが一応聞こう。


「今日は泊りなさい。招待した責任もあるわ」

「よっし!きたこれ!」


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「霊夢、今日の食事は?」


 居間で座布団に胡坐をかきながら聞く。


「そうね、少し豪華にしようかしら?」

「お、いいね~」

「メニューは白米と味噌汁と焼き鮭でいいかしら?」


 和風…あ、ここ神社か。


「いつもそんなメニューなんですか?」

「さ、さぁ?」


 …この人絶対嘘ついてる。


「まぁ、俺は霊夢の飯だったらなんでも喜んで頂きけど…というか食わせてもらってる俺がいうのも難だけど」

「…わかったわ、焼き鮭を鯛の酒蒸しにすればいいんでしょう?」

「うっし、ありがとう」

「…はぁ・・・」


 霊夢なりの歓迎だろうか?甘えるとやってくれる。


「少し手伝ったら?」

「そうですね…料理作れないけど大丈夫ですか?」

「…大人しく待ってなさい」

「あいさー」


 申し訳ないけど事実、しょうがない。努力もしたくないけど。


「勉強くらいはしときなさいねー」

「そですな…霊夢、料理教えて下さいな!」

「はいはい、こっち来なさい」


 座布団が俺の領域だが…仕方ない。


「まずは白米の研ぎ方から。まず鍋に米をいれるわ」

「…炊飯器は使わないんですか?」

「あー、働かないからね、あれ」


 あ、そういえば家の中もろうそくだったな。


「一応人里にいけば使っているところもあるとは思うけど興味はないわ」

「なるほど」

「次は研ぎ方。お米によって研ぐ回数とか変わってくるわ。これは…そこそこ新しいから回数は必要ないわね」

「なんで?」

「古米はアクとか多いからね。新しいのはにごり=うまみって考えてもいいわ」

「なるほど?」


 つまりはとぐ回数とかはそこそこにしろ、ってことか


「なんで別の容器に水をいれてるんすか?」

「これは一気に水を注ぐためよ。研ぐときはできるだけ早くするの。なんでかっていうと米が水を吸収するからね」

「なるほど」

「水をいれたら5秒くらい軽くかき混ぜて…急いで水を捨てるわ」

「米落ちてないっすか?」

「いいのよ、あとで拾えば…」

「あ、そうっすか(不器用なんだな)」

「あぁん?」

「す、すません」


 睨まないで怖いっす。


「まぁ、いいわ。これをもう一回して…っと。次は米に軽く傷をつける作業よ」

「傷ですか?」

「そうよ。なんでだと思う?」

「…水を吸収するためですか?…いや、その場合さっき一気に注いだ理由が説明できない…」

「理由はおいといて答えは合っているわ。さっきの理由は米にもともとついてた汚れも吸収してしまうからよ」

「ほう、なるほど…」

「さて、傷をつけていくわ。水はいれずにこの鍋にはいっている状況で20回くらいかき回していくわ。かき回したら水をいれて汚れを落とす。これを2回繰り返すわ」

「なるほど」


 1回目終了。次は2回目か。


「やってみる?」

「あ、はい。やってみます」


 手を洗ってと。


「あぁ、袖が濡れちゃうわ…」

「あ、すみません」

「いいわ、やるから大人しくしてなさい…っと」


 左袖を直してくれいるをみるとつむじが見えた。そこを中心に流れる髪からは良い匂いがした。次に右袖を。終えるまた左側に戻っていった。


「ほら、やりなさい」

「ありがとう。えっと、こうだっけ」

「だーめ、米は力をいれちゃダメよ。指でかき回すようにするの」

「こうっすか?」

「なんで指を広げないのよ…こうよ」


 霊夢が俺の手を握りながら指を鷹の爪みたいな形にする。

 先程水に触れていた霊夢の手は、ほぼ直前まで水に触れていた俺の手にとっては暖かくて、とても柔らかかった。

 それに、指一本一本に触れているから、普段ありえない感触は俺を…


「こら、今は米をといでいるんでしょ」

「あ…す、すみません」


 そういえば考えていることわかるだっけ。なんかもうどうでもいいんじゃね?


「色々妄想されても困るんだけど…」

「まま、男の性なんで」

「はぁ、…そろそろかしらね、水を入れなさい」

「はい…っと」


 米は逃げなかった。


「ふっ」

「何笑ってるのよ、殴るわよ」


 …霊夢が立っている左側は見ないようにしよう。

 

「次はなんかあります?」

「まぁ、米ぬかを落とす作業もあるけど別になくてもいいわ。最後に水をいれましょう」

「…どんくらいですか」


 鍋だから目盛がない。


「…こんぐらいね」

「え、計らないの」

「大体でいいわ、いつもこんくらいだし問題はないわ」

「…ここでそれか…」


 まぁ、霊夢が言うならそれでいいや。


「それを2時間ほどおいておくわ。紙をかけてそこにおいときましょう」

「了解っす、よいしょっと」


 えぇと、今晩のメニューは白米と味噌汁と鯛の酒蒸しだっけ。


「次は味噌汁ですか?」

「そうね。味噌汁の作り方は…」


--------------------


「ふぁぁ、疲れたぁぁ」

「こんくらいで何いってるのよ、料理3品ほど作っただけでしょ」

「そうだけど…慣れてないから仕方ないですよー」


 コトン、と音をしてそちらを見ると机の上にお茶が置かれた。


「それでも飲んで休んでなさい。料理も後30分もあれば完成するわ」

「すみません…」


 なんか惨めだな…しかし休めと言われたんだから休もう…そうしよう…


「お、このお茶うまい」


 一人の居間は声は一つだった。と考えていると


「にゃーん」


 ん?振り向くとそこに猫がいた。


「こっちおいで~」


 手で招く。

 

 と、猫はこっちに来た。


 綺麗な黒く、手入れされたかのように流れるような毛が全身に覆われていて、上から下に撫でると手は摩擦を知らないように流れていく。下から上に撫でると手を止めるように毛は引っ掛かり、手が通るとすぐ戻った。

 こっちをじっ、とみる目は赤一色の虹彩と縦を通るひとみが特徴で、とても美しい。が、全身黒と赤の猫は不気味のような気がした。

 首輪はしていないので野良ねこかな?

 って、尻尾2本か…例の化け猫ってやつかな?

 

「にゃーん」

「おう、そうかそうか…」


 化け猫…らしい?

 顔の下、顎と喉の間を撫でると抵抗することなく、目を細めながら撫でられていた。やっぱ可愛い。化け猫だって猫なんだ。可愛いならばそれで良い。


「あら、燐じゃない。どうしたの」

「にゃーん」

「その姿じゃわからないわよ…」

「にゃーん」


 猫はこちらをちらっ、とみるとホワーンという音とともに体が回る赤い線に隠されながら…


「うおぉ!何がおこった!?」

「まぁ、見てなさい」


 …その中から猫耳をつけた少女がでてきた。

 耳は外側は黒く、中は赤く。なんとも見慣れない耳だ。髪は赤く、二つ編みがある。長さは胸に届くか、くらい。スタイルは健康的。霊夢と同じくらいかな?

 服は緑色のフリルが長い黒のワンピース。柄は…緑色と青色の花かな…?


「じゃじゃーん」

「…どうしてこうなった?」

「まぁまぁ」


 まぁ、可愛いからいいや。声は標準的な綺麗な声だ。


「あぁん」

「ヒィ」

「まぁいいわ。燐、料理は渡さないわよ。ついでに燃料にするのもやめて頂戴ね…」

「お姉さん、あたいもこの男に惚れちまったよ…」


 …俺何者?


「…どうしてこうなった?」

「…ちょっと表に出なさい」

「まぁまぁ、争う気はないよ。あたいが本気になるのは死体を運ぶときと惚れた男を落とす時だからね」

「え?死体?えぇ?」

「安心せい、お兄さん。今は殺しはしないよ」

「未来永劫殺さないでくださいおねがいします」

「それは気分次第よ…」


 …刺激しないように気をつけよう。

 あ、待てよ…男を落とす時に本気になる=死体を運ぶ…わけだから

 さっさと落とされるか落とされないように抵抗するか…後者だな。


「りーん。ちょっと表に」

「お、お姉さん、やるのかい?」

「ちょ、ちょっとまった!!二人ともやめて!?」

「「あぁん」」


 …もしかしてこれ修羅場?


「と、とりあえず飯にしよう?燐の分は…」

「分けたら許さないわよ?」

「…あ、そうだ。俺のバッグに食糧はいってるじゃん…たしか缶詰もあったな、それでいいよな?」

「お、お兄さん気が良いね!」

「まぁ、渉のものだったら何もいえないけれども…」

「へぇ、お兄さん渉っていうんかい。渉ぅ?」


 右腕に柔らかい感触。

 見てはいけない。ここで見てはいけない。あの妖艶な赤い目は俺を魅了する。見てはだめだ。

 あぁ、無理に存在せずにある、標準的なサイズのそれは…夜眠るベッドを思い出す…。とても安心してきた…


「ちょっと、飯にするんじゃなかったのかしら?いい加減に」

「す、すみません!飯だぞ!?なぁ、燐!?」

「あらぁ、釣れないなぁ」


 …大丈夫かな、今の状況。


「あ、霊夢。俺も持ってくよ」

「あ、悪いわね。ならこれ頼むわ」

「おうよ」


 二人分のご飯か。なんか寂しいな


「なぁ、霊夢」

「何?」

「いや、どうしても燐の分は用意できないのかな、って」

「…ったく、分かったわよ」


 と、霊夢は御椀にご飯を盛り始めた。


「ありがとう」

「まぁ、多い方が賑やかでいいからね。その変わりに食器は洗いなさいよ」

「…了解した」


 食器洗い代。まぁ安いもんだろ。


 俺が飯を運び、並ばせた頃には味噌汁とメインがもう並べられていた。俺仕事遅いな。


「それでは頂きますか」

「いっただきまーす」

「お姉さん、結局だしてくれたのかい」

「渉の頼みだからね。勘違いするんじゃないわよ」

「はいはい、ありがとさん」


 燐は口元を歪めながらそう言い、御椀を持ち飯を食べた。ついでに俺も。


「お、白米の味がする、うまいな」

「はいはい」


 霊夢は味噌汁を啜っていた。俺も味噌汁を飲むか。

 と味噌汁の椀をもったら燐もそれを持った。


「…うん、塩分がちょうどいいな」

「御口にあってなによりよ」

「あ、あたい思いついたよ」

「お?どうした燐」

「いやぁ、味噌汁と白米を混ぜたら旨そうだろう?」


 なるほど?


「はぁ、だから猫は嫌いなのよ。別々に食べなさい。見た目が悪くなるわ」

「燐、ここは大人しく従おうぜ」

「…わかったよ、すまないねぇ」


 さて、次は鯛か。


「うん、鯛の味がしっかりしている。口に入れた瞬間広がるころまろやかな味は…」

「いいから食べなさい。私が全部食べるわよ」


 霊夢は笑いながらこちらを見ていった。


「ふっ、そうだな。一度のご馳走かもしれないし、そうするわ」

「ほう!いけるね!」

「あ、ちょ!そこ美味しいところ!」

「良いだろう、お姉さん。半分分けるから許してくれるかい?」

「…私が作ったんだけど?」

「わたしゃ客、あんなはここの主だからね!」


 あぁ、また喧嘩してやがる…


「まぁまぁ!燐も旨いっていってるんだしここは食わせてやろうぜ!?」

「…わかったわよ。自重しなさいよ、燐」

「…わかったよ」


 と、燐は食べるスピードを落とした。その代りに


「お兄さん、今夜一緒に寝るかい?」


 あ、呼び方はお兄さんになったのか。多分名前呼ばれたときに反応しないようにしたからかな?自我がもつしこっちの方が良いけど。


「猫の姿に戻ったら考えてもいいけど。その姿はまずいかな…」

「何がまずいのかい?あたいの体が貧しいって言うのかい?」

「いやいや、そうじゃなくて」


 ほら…霊夢とか紫とか状況的に?…単語出したら殺されそう。


「ほら、燐も女の子なんだから穢れたら男としてな?」

「女の子?あたいはあんたよりはるかに年上だけど…100年いきた化け猫の…(以下略」

 

 あ、そういえば化け猫だから妖怪であって、見た目の成長はないのか。


「まぁ、女の子としても女として見られるんなら悪くはない…どうだ?」

「どうだ…って!ちょ!」


 胸元開けないで!!こっち見ないで!理性が持たなくなる!


「霊夢…この飯旨いな。そういえば風呂はどうするんだ」

「準備してくるわ。食べ終わったら片付けて洗っておいて」

「お、おう…ってちょっと待て霊夢!!」

「あら、釣れないなぁ」


 燐を解いて霊夢へと走る。


「何よ。燐といちゃついてればいいでしょ?」

「いやその、まずいだろ?それは流石に」

「まぁ、そうね」

「風呂の準備俺もするから許して、な?」

「…私ってつくづく甘いのよね…なら薪割りからよ」

「あいあいさー、やり方教えてくれればやってくるから飯食べててもいいけど」

「もういいわ、それに燐も食べたがってるでしょ」


 あら、お優しい。


 神社を出て裏方に回る。というか神社に風呂なんてあるんだ。


「つけたわ」

「なるほど」

「それじゃ、薪割り開始ね。この台に木を立たせて斧で割って。以上」

「了解、えっとこうして…よっと!」


 パッカーン。あ、なにこれ楽しい。


「ちゃんと縦にわってよね」

「がんばるぜ…おら!」


 パッカーン。難しいなこれ。


「私はお茶でもつくってくるわ。任せたわよ」

「あいさーっ」


 パッカーン。


-----------


「お疲れ様」

「おう、すまねぇ霊夢」

「お兄さん、どうかしたのかい?」

「いや、薪割ってたら腰が…」

「あらら、流石人間だねぇ」

「渉が運動神経ないだけよ」

「…そう言わんといて…事実だけどさ…」


 燐が抱き着いてこない。疲れてるから気を使っているのかね?


「そう言えば風呂はいつわきそう?」

「そうね、後30分くらいかしら。お茶でも飲んでのんびり待ちましょう」

「あいさー…」


 机に突っ伏す。

 あれ、なんか眠いな…仮眠するか。…



「…わたる、渉、風呂入りなさい」

「おう…ありがとう」


 霊夢と燐はまだ風呂に入ってないのか。

 えっと、バッグは玄関においてたんだっけか。洋服取り出してからっと。


「んじゃお先失礼するわ」

「ごゆっくり~、風呂はそこ出て左いってたらつくわよ」

「おう、了解」


 えっと居間を出て左に進んで…あ、明かりがついてるあの部屋か。


部屋に入ると、奥に進むと風呂場、右に棚があった。広さは1、2畳ほど。


「へぇ、意外としっかりしてるんだな…」


 感心をしながらも疲れたので早く入りたい。

 服を脱いでさっさと中にはいる。


「まずは体を洗うか…」


 湯気がむわ、っと襲ってくるような感覚もあったが驚くことでもないだろう。

 左にあるシャワーと椅子のところへ移動し、蛇口を捻る。


「うへ、やっぱ冷たいな」


 そこで立ち尽くす。


「…っと、こんくらいでいいだろう…うん、あたたかいな」


 湯になったのを確認して椅子に座る。


 まずは頭を洗おう。


「シャンプーは…これか」


 水色のボトルに手を伸ばす。


「こっちよ、渉」

「お、ありがとう」


 緑のボトルが渡されたのでヘッドを押しシャンプーを出す。


 …きにするな。気にしてはだめだ。


「…ねぇ」

「へぇあぁ!?はぁい!?」

「やっぱ、わかってるわよね…」

「見てませんのでまだ大丈夫です!」


 目をつむりながら頭を洗う。

 実際見ていない。ボトルをとるときにうす肌色の腕がみているだけだ。


「その…少しは意識してくれたって」

「ぶほっ!!」

「あぁん?」

「すみません!意図していない言葉が聞こえたもので!」


 え?昨日あったばかりだよね?え??


「えっと、ノズルは…」

「はぁ…」


 手の下の腕のところを掴まれてノズルの場所へと誘導される。


 俺の手とは違いやわらかく、風呂の中のせいかあたたかい。


「…ちゃんとバスタオル巻いてるから大丈夫よ」

「あ、そうだったの」


 霊夢の方を向く。


 いつもつけている髪飾りを外し、布一枚となった姿。

 谷間が少し見える胸元と、その胸は、とても


「…エロイ」

「流石男ね…」

「すみません、性ですので」

「まぁいいわ。背中洗ってあげる。前は自分で洗いなさいよ」

「お、すまんな」


 ここで前を洗って、といったら殺されるかな?


「分かってるでしょ」

「はい…」


 二人してボディーソープのノズルを押す。


「んじゃ、頼むわ」

「はいはい」

「…っほい!」

「きゃっ!どうしたの!?」


 そりゃ驚く。なんせ素肌と素肌だぜ?


「ごめん、俺が意識しすぎた。たしかに体洗うときは手が一番良いんだよな」

「ま、5回とか10回とかこすらないとダメだけど、傷つけずに洗える方法よね」

「んま、続けてくれ」


 柔らかいそれは、意識するとやばい。地球がヤバイ。


「よし、終了。やっぱ男なのね」

「おう…?まぁ、ありがと。ちょっとタオルもってきてないから後ろむいててくれ」

「はいはい」


 あれ、驚かないんだな。


「もしかして…、見た?」

「…気にしたら負けよ。私は勝負にまけてはいけないの…」


 後ろを向いているせいで顔は見えないが、言葉から見たと分かる。


「まぁ、どっちでもいいがな…そうだ霊夢」

「なに?」

「俺は洗わなくていいのか…?」

「いいわよ、自分で洗える」


 あら、そう。


「むふふふ」

「ん?霊夢何かいったか?」

「いえ、何も…」


 嫌な気が…する。扉の方をみると、猫が一匹。


「お兄さん、お姉さん、もうちょっと積極的でもいいと思うのだけど…」

「ばっ!そんなことできるわけないでしょ!?」

「そうか?ならあたいが…」


 扉がガラガラ、と音をたてて開けられる。


 煙のせいかよく見えない!!そうだったら平和だったのに。


「渉!何見てるのよ!こら!」

「ふあぁ!だって男だもん!」

「いいからあっち向いてなさい!!」

「あ、ちょ!桶もって何するの!?やめて?あぁー!」コーン


 強烈なおでこの痛みで後ろに倒れる。


「むごっ」

「「…あ」」


 後頭部を強打。あ、やばい、意識が…


「だいじょぅ…」


------------------


 …ん…ん…


「…んあぁ!」


 頭痛が蔓延る。


「そうか、あの時倒れて…」


 あぁ、燐の裸綺麗だったなー。


「いって!…寝てるか」


 大人しく休もう。


-----

--


「あら、やっと一人なのね」


 …ん…誰だ。よっと、ちょっと起き上るか。


「私よ、紫」


 紫さんが空間の狭間?目?から机に肘をつくように身を乗り出している。

 

「あ、おひさしぶりです…紫sうぅ!」

「あら、呼び捨てだなんて…良いわね」


 …意図的ではないです。頭が痛いのです。


「なんで、ここに?さっさとそこから出たらどうです?」

「うーん、霊夢は寝てるかしら…?まぁいいわ。失礼するわ」


 だって、霊夢。


「そういえば、なんでここ…うわぁ!」

「あなたが恋しくなった、っていったら驚くかしら?」

「え…えぇ…」


 えぇ…。


「だからって病人をいきなり押し倒すか?」

「良いじゃない。我慢できなくなったのだもの」

「…そうですか…痛っ!」


 我慢できなくなったのでお構いなしか…まぁ、なんか言ったら怒られそうだからやめておこう。


「たしか、後頭部でしたっけ」

「ぶつけた箇所はそうですが…って!」


 先程、目から身を乗り出した紫さんの姿が思い浮かんだ。


「…見ていたんですか?」

「えぇ、こっそりね」

「…そうですか」


 …いろいろ言いたいことはあるが言ってはいけない。


「良ければ痛みの境界を操りますけど?」

「いや、紫の力はもっと使うべき時に使うべきだよ…」


 ま、突然痛みがなくなってもそれはそれでおかしい。


「ほ、ほら。せめてもの戒めってかんじで?」


 紫が納得してなさそうだったので一言加える。


「あら、そういう意味で…」

「そう。俺ってまだ人間だからね。痛みは感じるべきだと思うし」

「たしかにそうですけど…」


 話を逸らそう。


「そして紫、なんでここ…もしかして一緒に寝たいんですか?」

「えぇ、そうよ」

「まさかそんなことない…ってえ?まじで?」

「まじですわよ?」

「…了解っす」


 …ね、寝るくらいだったらね…?


「わ、分かりました。襲わないでくださいね。いろいろな意味で?」

「そんなこと言って、期待して…」

「い、いませんってば!いや、嘘はいっていますがそうしないと常識的にね!?」

「あら、そう…」


 人の家で、しかもその持ち主でない人と交わるのは間違っているだろう。


「そうですね…俺の家が建ったらその時は」

「お邪魔させてもらうわ」

「はい…」


 その言葉と同時に紫が布団にもぐった。帽子は敷布団の外において。

 おそらく先程の言葉は二つの意味…なのかな?


「じゃぁ寝ますか…」


 俺も布団にもぐる。


「そうね…おやすみ…」ギュ

「おやすみなさ…え?」


 紫さん。紫さーん。


「ゆかりs…あれ」

「スー、スーー…」


 寝てしまった。

 状況を説明しよう。


 両手+全身でホールドされている。


 無理に逃げようとしたら起こしてしまうし、起こしてまでこの状況をなんとかする意味も…ないか。

 まぁ、それに嫌な気はしないしな。


「なんか、紫ってこう見ると…エロイな」


 大人の魅力ってやつ?


「スー、スーー」

「まー、寝るか」


 暖かい。柔らかい。

 いつもと違う、あの世界で忘れてしまった温もりを感じながら、瞼を閉じた。


----------

---

ほおずきみたいに紅い妖魔夜行



----少年起床中---


「ふぁぁ…あ、紫さんがいない」


 抱き枕にされて寝るのに時間がかかったが、安心感のおかげか寝起きが良い。


「さて、と。飯くって吸血鬼にでも会いに行くか」


 起きて部屋の隅においた荷物から服をとりだし着替える。


 そんで、居間に行く。


「おはよ、霊夢」

「あら、丁度ご飯できたところよ」


 飯は白米、味噌汁。朝だから食欲がわかないので丁度良い。


「ありがとう、顔洗ってくるよ」

「はーい」


 そういえば燐の姿が見えないな、と思いながら台所へと向かう。


 水がつめたいな…まぁ、これが目覚めの決着になるか。顔をあらう。


 タオルはたしかここに…


「ほら」

「お、助かる」


 霊夢がタオルを手の位置に置いてくれた。


「今日は異変…じゃないけど解決よろしくね」

「善処はするよ」


 一体何が起こるのかわからないけど。


「それと」

「ん?」

「「弾幕」には気をつけなさいよ。あなたは戦闘になったらまず勝てないから」

「なるほど…わかった」


 弾幕…か。

 シューティングゲームでいう弾だな…ここの妖怪とかはそんなもの使ってくるのか。


 飯を食べて荷物を持ち、外にでる。


「あっちの方にいけばやがて着くはずよ。がんばってね!」

「いって!」


 肩を叩かれる。


 森しか見えない…


「まー、そのうちつくから。道も舗装とかされてないけどできているからね」

「お、そうか。んじゃいってくるわ」


 鳥居の端を通ってその方向へと向かう。


-------



「さーて…森だな…」


 真っ直ぐ前には道。右手には木、植物。左手にも木、植物。


「しっかし荷物重いな…まぁ、仕方がないか」


 いろいろ入ってるしな。


 そういえば生もの大丈夫かな…?まぁ焼けば問題ないよね。


「…ん?」


 視界の隅に何かが通る。


 と、宙には妖精だろうか?羽が生えた子供が追いかけっこをしていた。宙で。


「流石幻想郷だな…」


 あの世では見ない光景に感心。


 と。


「…なんだあれ?黒い塊…?渦…?」


 50mくらい前だろうか。目の病気か?と思ったがそうではない。

 天気は悪くない。むしろ晴れなのに一部分だけ、黒い空間ができていた。


 


 ギロッ


「…!なんだ…一瞬紅い光が…」


 気のせいか?すごく睨まれた気がした。


「き、気のせいだよね…す、すすもう!」


 道を外すわけにもいかないので歩みを進める。


 と、黒い塊は右往左往。やがて10m奥くらいまで来た。


 だが、黒い塊はなくなった。


 だけならよかった。


 塊の原因と思われる妖怪?が倒れたのだ。


「…!どうした!?大丈夫か!?」

「う…うぅ…」


 金髪にリボン。フリルのついたYシャツの上から半袖の羽織る服、スカートの童顔少女が倒れていた。

 苦しそうに何かを喋る。


 覗く口は、犬歯が全部の歯となっているかの如く鋭かった。


「食…糧……」


 か細い。声だけではない。体もか細い。

 顔も細い。


 まさか、食べていないのか?食糧を


 ならば早急に手当てをしないとまずい。死んでしまうかもしれない。


 …!


「食糧…が欲しいのか!まってろ!」


 荷物を急いで降ろし、中の荷物を外に出しながら探す。


「これか…!食え!」


 パンを彼女の口元へと持っていく。だが


「ちが…」


 くそ、違うか!そうだ、水分!


「ほら、飲料水だ!のめ!」


 スポーツドリンクの蓋をあけて、彼女の口へと流し込む。


 だが


「ゲホッ!」


 彼女は吐き出した。顔にそれがかかる。


「チッ!どうすれば…!!」


 何をたべる?どういう手当をする!?彼女はなんなんだ!!!


 いや…待てよ…落ち着け。


 彼女は…なんなんだ?…どの種族…か?


「お前は、妖怪か!」


 …コクッ。


 話す余力もないのか頷く。


「いつも何も食べる!!?」


 彼女は閉じていた目を薄ら開けた。覗くひとみは赤く、黒い。燐の目を見ているようだ。


「なんで何もいわないんだよ…くそが!!」


 待て。落ち着け。ここで頭に血が上っても意味がない。

 考えろ。…考えろ。


 記憶を漁る。


 あの黒い塊。きっと彼女は妖怪だ。

 だから、スポーツドリンクが飲めなかった。


 では飲めるのはなんだ?食べれるのはなんだ??


 落ち着け…考えろ。


 紅い光はこちらを見据えた。まるで睨むように。

 閉じることのできない歯は、鋭い。爪は、普通だ。

 

 …噛みつくため?何に?


 「…ちが」


 …違和感。ここの世界に来てからパンは一度もみていない。


 それを、知らない人が差し出して、「違う」というか??


 そして、彼女には「水分」が必要だ。食糧よりも先に。


 …そうか。


 彼女は「血が」欲しいのか。

 

 彼女は、口をあけ、いつも食べている「人」を見ている。


「くそ…!」


 助けた。こんなところで助けることのできる命を見捨てるのは間違っている!


 包丁…あった!これで…!やってやる…!


 包丁を、記憶のある場所へと当てる。

 手首に。


「くっ!…飲め!」


 彼女の口に血を流す。


 …大丈夫か?


 …何も起こらない。


 しかし、口から血があふれ出すこともなく、吐き出しもしなかった。


「良かった…いって!!」


 何が起こった…?


 …あ、そうか。


 歯が、手首に噛みついていた。


 痛い。


「いって!くそ…!」


 このままでは腕が食いちぎられる!!


 どうする!??


 …肉?


「そうか、荷物に生肉があるはずだ!」


 彼女が人肉を食べるのであれば、他の肉を食っても大丈夫な可能性。

 いや、それにかけるしかない!


 腕は痛みから痺れのような感覚になってきた。ドクンドクン、と血が流れ出す、あふれ出す。


「どれだ…これか!」


 ラップを急いで外して中から鶏肉を取り出す。


「こっちを…食えよ!!」


 彼女の頬にそれを押しつける。


 瞬間。


 腕は外れ、右手にもった肉が半分に千切られた。



 


 


後書き

ご覧いただきありがとうございます。

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