2015-12-27 13:23:46 更新

概要

vol.1「悲劇」


前書き

注意

この作品はLOVE LIVE × LIAR GAMEの続編です。
そちらを先に読んだ方が分かりやすいです。

ラブライブ!と東京喰種の設定をミックスした、クロスオーバー作品です。
キャラ崩壊など沢山あります。

オリジナルキャラ多数出てます。モブ?キャラも多数出てます。

注意多いです。ごめんなさい。


















〜音ノ木坂某所〜





咀嚼音。




くちゃくちゃと汚い音が響く。





「ごちそうさまでした、と。」



彼はその場を去る。




その場には、人の死体があった。




あちこち、噛みちぎられたような跡が残っている。



「あーあ…もう少し楽しめると思ったのに」




すると、近くから鈍い大きな音がした。

衝突事故の様な音が。






「おっ」






「面白そうな事、みっけ。」
















〜音ノ木坂学園体育館〜





音ノ木坂学園、集会。



理事長は驚くべきことを発表した。




理事長「音ノ木坂学園のイメージアップに努めてきたアイドル研究部、μ’sには特別捜査官として、2カ月ほど職場体験をしてもらうことになりました!」




凛「にゃ!?」



穂乃果「えええ!?捜査官!?なにそれ海未ちゃん!?」



海未「警察で職場体験をするってこと…ですよね?」



ことり「どうして突然…?」



学園の生徒全員が驚いていた。


あのアイドルグループ、μ'sがまさか警察官の体験をするとは誰も思っていなかったからだ。




理事長「指導役に当たる石川さん、漣さんよりお話があります。どうぞ。」







石川「特別捜査官の指導役、石川 龍之介と申します。2カ月ほどですがよろしく!」





漣「指導役、漣(さざなみ) ミライだ。よろしく。」






石川「ちょっと、漣センパイ…」





漣「うるさい。挨拶は嫌いなんだ…」



漣「あ、ちなみに私は女だ。男勝りとか言ったらはっ倒すからな?」






穂乃果 海未「(なんだか怖い人…)」











集会が終わり、μ'sのメンバー全員は別室に呼び出された。






石川「突然で本当に申し訳ない。君たちは「グール」という存在を知っているか?」



絵里「グール…?」



希「なんやそれ」




漣「人を狩り、人の肉を喰らう者…それが「グール」だ。これなら分かりやすいだろ。」



真姫「で、そのグールってのがどうしたのよ」



石川「最近、音ノ木坂近辺でグールの出現率が高くなっている。そこで、君たちに手伝ってもらいたかったんだ。」



穂乃果「でも、どうして私達が?」



漣「音ノ木坂学園には、おそらく3〜4体のグールが潜んでいる。」



石川「僕らが直接探してもいいんだけど、それはそれで怪しいでしょ」



石川「そこで!君たちに手伝って欲しいという事。お分かり?」



海未「なんとなく分かりましたが、どうやって?」



石川「テテテテン!グール探知機〜!」



石川は携帯端末のようなものを取り出した。



漣「これもって学園内歩いていればいい…始めはな。」



凛「見つけたらどうすればいいにゃ?」



石川「さっきも言ったけど、グールってのは人の肉を喰らう者。そいつらを討伐するのが僕ら特別捜査官の仕事なんだ」


漣「見つけたらその探知機の下のボタンを押せ。そしたら駆けつける。」



にこ「討伐って…殺すの?」



漣「ああ。勿論」



ことり「ひどすぎ…ない?」



漣「殺人鬼を野放しにして置くわけにはいかないだろ」


石川「まあー…仕方ないからね」



石川「それじゃ、よろしく頼むよ。後々戦闘も任せるかもしれないから。」






希「…銭湯?」






〜音ノ木坂学園内〜


2年生サイド


穂乃果「それでー…」



穂乃果「歩いてればいいの?これ」



海未「そう…だと思います」



ことり「久々の校内散歩だねっ」



穂乃果「うーん…つまんない!」



海未「穂乃果…」


3人が探知機を持ちながら歩いていると、探知機が震え始めた。バイブレーション式だった。



ことり「ほ、穂乃果ちゃん!」



海未「近くに、いるのですか?」



穂乃果「よーっし!行こう!」







1年生サイド




真姫「暇ね」



凛「3人でお散歩、楽しーにゃー!」


凛は楽しそうに走り出した。



花陽「凛ちゃん!走ったら危ないよ!」



楽しそうな2人を見た真姫は、



真姫「(まあ、たまにはこんなこともいいのかしら)」









真姫の携帯に電話がかかってきた。



真姫「はいもしもし」



真姫パパ「真姫!今すぐ西木野総合病院に来い!」



真姫「どうしたのよ」



真姫パパ「友梨が…友梨が…」


真姫「ママがどうしたの?」










凛「真姫ちゃん?」




真姫は何も言わずにその場から走り去った。



真姫の父からの電話。




それは真姫の母が交通事故に遭ったとの電話だった。












〜西木野総合病院〜







真姫「どうして…」






真姫「どうしてママが…こんな…」




病院のベッドの上で横たわる女性。


医療器具を沢山身につけ、包帯を巻かれたその姿を見た真姫は、恐怖を憶えた。



真姫パパ「…どうやら病院へ向かう途中にトラックに轢かれて…こんな…くそッ!!」



真姫「ママは、生きてるの!?ねぇ!パパ!」



真姫パパ「…意識が戻らない。このままの状態が続くと危険だ…。」




真姫「…!」









どうして。






こんなにも私に。





不幸ばかり続く。








都合の悪いことばかり。




私は。



私は。



わたしは。





ワタ







































…すまない。













真姫「…!」




真姫「寝てたのね…」




真姫は知らないうちに寝てしまっていた。

外はすっかり暗くなっていた。



さっきまでの出来事が、夢であると信じていたが、そうもなかった。



母の姿は何も変わっていなかった。


真姫は母の手を握ったまま眠りについていたのだ。






真姫「今日は、帰るわね。おやすみ…ママ」















〜帰り道〜







真姫「…あ」





真姫「学校…抜け出してきちゃった」





真姫「…明日謝ろう」













くちゃっ






真姫「…?」






くちゃくちゃ





真姫「…なんの音?」



路地裏の方…?





ぶちっ



ぐちゃ




真姫「近い…」



完全に路地裏ね…




ぶちぶちっ



ぐちゃ




真姫「…?」



何かしら…










真姫「!?」











??「!…クッソ…最悪だぜ…」






真姫は言葉を失った。

赤い服をまとった男は、肉塊を貪るように食べていた。



それが人間だと気付いたのはほんの数秒のことだった。




真姫「…うっ」



真姫は思わず嘔吐した。




人が。




人を…食べてる?





??「…メシが増えたって思えばいいか。」









人を狩り、人の肉を喰らう者…






真姫「グー…ル?」






??「…!……てめぇなんで知ってやがる!」




真姫「わ、私は…!」




??「捜査官の連中かぁ…?まあいい!同種だろうが、捜査官だろうが関係ねぇ!」




??「俺様の「カグネ」で殺してやんよ!」





真姫「!?…何…これ…!」




謎の男は腰のあたりから赤い尻尾のようなものを出した。



??「ゲヘヘ…よく見たらいい女じゃねぇか!」





真姫はその場から逃げようとした。


後ろを向き、走り出そうとした瞬間。





真姫の腹を男の尻尾が貫いた。










??「死んだかぁ?」





??「さあーて、お楽しみタァーイム!」












この世のすべての不利益は、



当人の能力不足。





薄れゆく意識の中で、真姫はその言葉を思い出した。





未だこの言葉の意味がわからなかった。




能力不足?




能力があれば不利益なんてものはない?




この言葉は一体。



いつ。






どこで聞いた?









そんなもの、もうわからない。






どうせ私は、死んでしまうのだから。



















??「うおっ!?」






真姫「…?」




真姫は立ち上がった。


自分の意思とは正反対に。






真姫「あれ…?お腹…」






先ほど貫かれた真姫の腹部は、綺麗に塞がっていた。





??「てっ、てめぇ…」






??「グールだったのかよ!!」



















〜数時間前、音ノ木坂学園〜



反応する端末を頼りに、穂乃果達は進んでいった。





穂乃果「これって…近づいてるってことかな?」





海未「おそらくそうでしょう、けどー…。」



海未「何か、嫌な予感がします…」





ことり「ボタン押せばあの人達来るんだよね?」



穂乃果「じゃあ呼んでおこうかー」







穂乃果が端末のボタンを押そうとしたその瞬間、端末は真っ二つに切り裂かれた。





穂乃果「ーーーーッ!?」



海未「うわっ!?」


ことり「きゃっ!?」





目の前には、音ノ木坂学園の生徒が立っていた。







??「なんで…それを持ってるの」



穂乃果「え…?」



地味な姿をした学園の生徒は、穂乃果達に質問を投げかけてきた。



??「もう…こんなところまで…あなたたち、何者なの?学園生徒に混じったスパイなの…?」





??「答えてよ」







海未は質問に答えず、逆に質問を返した。



海未「…あなたがグールという者なのですか!?」





??「…!」





??「ーーーーッ、…ない…」




ことり「えっ…?」










??「お兄ちゃんの邪魔はさせないッ!!」




謎の生徒が大声を出したと同時に、彼女から赤黒い尻尾のようなものがでてきた。




穂乃果「なに…これ…」




謎の生徒は赤黒い尻尾のような「もの」の先端を穂乃果達に向けた。


とても鋭く尖っていて、表面は魚の鱗のような見た目をしていた。






??「死…ねッ!」
















ミライ「てりゃああああっ!」





後ろからさっきの捜査官が飛び込んできた。






両手には刀のような武器を持っている。







石川「間一髪、かな?」



海未「石川さん…!?なぜここが…」




ミライ「ボサッとするな!くるぞ!」





謎の生徒は尻尾のような「もの」で攻撃してきた。


ミライはその攻撃を両手に持った刀のような武器で弾き返す。





??「邪魔をするなぁッ!」





ミライ「この赫子(かぐね)…もしかして」



石川「ミライさん!奴は…!」





ミライ「危険レベルSS、「八岐大蛇」だ!」


ミライ「仕留めるぞ!」





??「…チッ」




謎の生徒は窓を突き破り、逃走した。




海未「…あれが、グール…」



ミライ「…」




ミライ「オイ」



ことり「えっ…?」





ミライ「死にたいのか」




ミライ「敵を前にして行動しないとは貴様らなめてるのか?」



石川「ミライさん…さすがに言い過ぎでは」






ミライ「ふん、まあいい。奴の詳しい姿を報告しろ」




海未「…あまり目立つ姿ではありませんでしたが…変装の可能性もあるのかと」




穂乃果「3年生のリボンつけてました!」



ことり「…よく覚えてません」




ミライ「…チッ」





ミライ「また明日、頼むぞ。石川、他の奴らにも連絡をとれ」





石川「…了解です」














〜音乃木坂某所〜






??「テメェ…殺してやるっ!」





真姫「(何がどうなってんのよ…これ)」





謎の男は再び攻撃を仕掛けてきた。


真姫はその動きがはっきり見えていた。




??「かわされたっ!?」



真姫「(こんなにも感覚が研ぎ澄まされるのは初めて…もしかして、夢なのかな)」





??「チキショオオオ」


??「オロッ」




真姫「!?」




一瞬の出来事だった。怒りに満ちた謎の男の首が高く舞い上がり、血しぶきをあげながら落ちてきた。




「死神の「裁き」を」






「死をもって償いを」






真姫「誰…?」




死神「俺は死神。悪しき魂を裁く者。」



「死神」を名乗る男はメモ紙を真姫に渡し、言った。



死神「その男の元へ…彼なら必ず導いてくれる」





死神「さらばだ」






真姫「!まって!」




「死神」は「カグネ」と思われるものを使い、闇夜の空へと羽ばたいた。


その「カグネ」は翼に見えた。





真姫「彼が導いてくれる…?何よ、もう」




メモ紙には「クロハネ タツヤ」と書いてあるだけだった。




真姫「帰ろう…明日、ミライさん?だったっけ…グールのことについて聞いておこう…」








真姫は謎のグールに言われた言葉を思い出した。



「テメェ、グールだったのかよ!」





真姫「私がグール…?」











真姫「意味わかんない」













〜西木野の家〜



真姫「ただいま…」



真姫「お腹空いた…」



真姫は帰ってきてすぐ、冷蔵庫を開けた。





真姫「ママがいないのよね…適当に何か食べよう…」






冷蔵庫に入っていたパンに手を伸ばし、袋を開けた。




一口。


二口。



真姫「んんッ…⁉︎」




パンの味が変だった。とにかく不味かった。




真姫「うっ…」



真姫はトイレに急ぎ、嘔吐した。


あまりの不味さに気分がとても悪くなった。





真姫「けほっ、けほっ…」


真姫「パンが腐ってたわけじゃ…ないわよね」



パンをもう一度確認する。


綺麗に焼きあがっているパンだった。


もう一口。



真姫「ううッ!」



不味かった。


真姫「なによこれ…」



真姫はパンを捨てた。





自分の部屋に行き、財布からお金を出してポッケに押し込む。




真姫「どこかで食べてこよう…」








真姫が玄関を出た瞬間、目の前に男が立っていた。



??「こんばんは。」




真姫「ーーーーッ!」




??「おっと、ストップ。あまり大声出さないでね」




真姫「…だれ?」




竜也「黒羽 竜也(くろはね たつや)。よろしくね」



竜也「とりあえず着いてきて!」



真姫「なによ、いきなり!」



竜也「…?」





真姫「私、これからご飯食べに行くの!邪魔しないで!」



竜也「ご飯って…」









竜也「人間の?」



真姫「はあ?当然でしょ?」





竜也「その様子だと気付いてないか…」


真姫「何が?」





竜也「君はその体に違和感を感じない?」



真姫「違和感…?」




思い当たる節はたくさんあった。


腹を貫かれてもふさがったり、


「お前もグールだ」と言われたり、




パンが、不味かったり?


まさか、と思った真姫は質問した。




真姫「私は…?」




竜也「まどろっこしい事はやめようかな」












竜也「君は、グールになってしまった。」



真姫「ーーーーッ…」




竜也「と、言ってもグールが何かわからないよね…」





真姫「…わかるわ」


竜也「へ?」



真姫「学校に警察みたいな人が来て、それについて説明してた。…人を喰らう悪鬼だ、って」



竜也「…咲夜が慌ててた理由はそれか」


真姫「?」



竜也「いや何でもない。その人って何人かいた?」



真姫「…2人」


竜也「2人か、少し面倒だな」



竜也「とりあえず場所変えようか、ご飯分けてあげるからさ」




真姫「…ご飯?」


竜也「説明は後々!」



そう言って竜也は真姫の手を握り、走った。



真姫にとっては、男性に手を握られるのは父以外で初めてだった。












〜音ノ木坂某所〜






竜也「今帰ったぞ!咲夜!」



竜也に連れてこられた場所は、使われていなかったビルの地下だった。


東京にこんな場所があるとは思いもしなかった。



真姫「…頭がこんがらがって、何にも理解できない。説明して」




竜也「とりあえず座って。ゆっくりコーヒーでも飲みながら話そう」



真姫「コーヒー飲めないんだけど」



竜也「もうコーヒー「しか」飲めないから大丈夫」


真姫「はあ?」




竜也「ちょーっと待っててなー」




真姫は真っ黒なソファに座った。


部屋はあちこち古びているが、きちんと掃除してあるのが見てわかる。



…私がグール?


そもそもグールがよくわからない…


なんなの?この体は…








「たっだいマーーーーッ!」




真姫「!?!!?」


大声を出しながら入ってきた女の子に、真姫は思わず奇妙な声を出してしまった。





竜也「うるせぇ!静かにしろよ!」


竜也「咲夜!」




咲夜「ごめんなさぁーい、お兄ちゃん」



入ってきたのは、竜也の…妹?だろうか。



咲夜「…お客さん?」



竜也「新しいグール見つけてきた」



咲夜「あ、そうだお兄ちゃん!学校!学校にね…」



竜也「捜査官?」



咲夜「そうそう…ってあれ?なんで知ってんの?」







竜也は真姫を指差し、言う。



竜也「こいつ、捜査官の関係者」










咲夜「はあああああああああ!!!???」




咲夜「あ、あいつらの…仲間?!?!!?」



真姫「え…えっと」



竜也「落ち着けって。とりあえずコーヒーでも」





咲夜「イタダキマス…」


咲夜は震えた手でコーヒーカップを持ち、コーヒーをすする。


竜也「どんだけ動揺してんだよ…」





真姫「…?」













竜也「で、えーと…何から話す?とりあえず自己紹介しとく?」



真姫「そうね、お願いしたいわ」



竜也「じゃ、俺から。黒羽 竜也(くろはね たつや)。19歳、羽赫のグールでーす」


咲夜「黒羽 咲夜(くろはね さくや)18歳!鱗赫のグール!よろしくね!」



真姫「まってまって」



竜也「?」





真姫「な、なに?その…「うかく」とか「りんかく」って…」


咲夜「自己紹介はよ」



真姫「…」



真姫「西木野 真姫(にしきの まき)。16歳。スクールアイドルやってます…」




竜也「おけおけ。真姫ちゃんね。よろしく」


竜也は手を伸ばした。握手をしようとしていた。


真姫はその手を握り返す。


咲夜「よろしくね!真姫お姉ちゃん!」


真姫「お姉ちゃんって…あなたの方が年上じゃない」



竜也「細かいことは気にしなーい。グールについてのお勉強の時間だ、耳かっぽじって聞きやがれ!」


咲夜「イエーーーイ!」



真姫「…(なんなのこの人たち…)」



竜也はコーヒーを飲み干すなり、グールについて語り出した。





竜也「まず俺たちグールについて、軽く説明するよ」



竜也「グールってのは人間から突然変異した生き物。人の肉を食べることで栄養を補給し、赫子(かぐね)と呼ばれる特殊器官を放出する。」



咲夜「グールはねー、個体それぞれで色んな赫子(かぐね)が使えるんだよ!」



真姫「あの尻尾みたいなやつ?」



竜也「そうそう!全部で大体4種ぐらいかな?」


咲夜「お姉ちゃんの赫子も見てみたいなー」



真姫「出せないわよそんなの」






竜也、咲夜「…」



竜也「…やるか」



咲夜「やりますか!」



真姫「?」



竜也と咲夜は突然立ち上がり、少し距離を開けて向かい合った。



竜也「どっからでもこい!咲夜!」



咲夜「いっくよーーっ!」



咲夜が一歩踏み込んだ瞬間。


咲夜の腰辺りから赤黒い尻尾の様なものが生えてきた。


その尻尾は竜也に一直線に向かっていく。



竜也「遅い遅い!」


竜也はギリギリでそれをかわし、肩甲骨少し上辺りから霧状の何かを放出した。青と黒の混ざった綺麗な色だった。



竜也「そーらよっ!」



霧状の何かから、刃の様なものを咲夜に飛ばす。マシンガンのごとく、何発も打ち込まれる。



咲夜「まだまだぁ!」



竜也「少しはできる様になってんじゃねえか!」



真姫は2人の戦いをじっと見ていた。


これが。


グールと言われる生物の戦い…


自分の彼らと同じ生物になったと考えるとさらに恐ろしい。



真姫「ねえ」



竜也「?」



真姫「私もそれ、出せる?」



竜也「もちろ」


竜也「へぶぁっ!!!」


咲夜の赫子に見事に吹っ飛ばされた。竜也が余所見していなければ回避できただろう。



咲夜「あ…お兄ちゃんごめん」




竜也「は…げふっ」



咲夜「あー!そうだ」


咲夜「グールはヒトと違って、舌とか臓器の作りが少し違うから、ヒトが食べるものを食べることができないの」



真姫「…」


真姫「はあ!!?!?!??」




咲夜「すっっっごく不味く感じるんだって!でも水とコーヒーなら飲めるらしいよ」



真姫「…他は無いの?」


咲夜「ヒトのお肉」






どうやら私は、想像もつかないくらい、最悪な体になってしまったらしい。




真姫「人の肉を食べなきゃ、生きられないってこと…?」


咲夜「うん」



真姫「そんなの…できるわけないじゃないッッ!!」







咲夜「グダグダ甘ぇーこと言ってんじゃねーぞクソガキ」


真姫「!?」


咲夜は突然怒り出し、右手で胸ぐらを掴み真姫を軽々と持ち上げた。


真姫「あ…ッ…ぐッッ」


咲夜「そーなっちまったんだから、そーするしかねぇんだよ。ヒトを喰ってでも、生きたいから。」



咲夜「今じゃ同種だって敵だよ。ナワバリ争い、エサの奪い合い…数えるときりがない。」



咲夜「てめーみたいな甘ぇーこと言ってる奴が、あの下郎どもに真っ先に殺されんのさ。そうに決まってる」




竜也「はーいはいはいそこまで!咲夜も怒らない!」


竜也は仲裁に入り、咲夜の手を真姫から放した。


竜也「とりあえず真姫ちゃんは狩りとかの時はお留守番で、偵察とかの時はついてくるってことで」


真姫「お留守番って…家に帰りたいんだけど」


竜也「…」




竜也「真姫」


真姫「なによ」




竜也「…君はもう、あの世界では暮らせない」



竜也「君がグールになった、その時点で君は「ヒト」ではなくなったんだ。」


真姫「…なによそれ」



真姫「大好きなママやパパにも、友達にも会えないの!?ねぇ!?」


真姫は竜也の肩を揺すった。





竜也「そのヒトたちは「ヒト」だろう?」



竜也「君はライオンと鹿が、同じ檻で共存できると思ってるのか?」



竜也「ケジメを、つけてくれ。」





真姫「…」





竜也「明日の正午、ここでもう一度待つ。どうするかは、自分で決めろ」











後書き

遅くなりました、総集編です。


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