2016-02-10 19:44:28 更新

5年前、数百年にわたり圧政をしいていたニシズミ帝国がクーデターにより崩壊した。それを成し遂げたのは、たった一両の漆黒の戦車。その正体は今も謎のまま・・・。人々は畏れと敬意をこめてこう呼ぶ。


黒き軍神と。


          *


王立大洗士官学校・女子大浴場にて


エリカ「・・・おい変態、死ぬ前に何か言うことはないか?」


みほ(えーっと、何か言わないと)


みほ(そうだ、女の子はとにかく褒めた方がいいって、仕事先のおじさんが言ってた!)


みほ「可愛い・・・ですよ」


エリカ「ふぇ?」


みほ「全体的に子供・・・いえ、幼い感じなのに胸は結構あって、えろいです!」


みほ(死んだ・・・)


mob達「きゃああーーーーー!!!!」


みほ「み、皆さん落ち着いて!誤解です!」


エリカ「・・・・・・」


エリカ「この痴れ者がぁぁーーー!!!!!」


          *


牢獄にて


みほ(はぁ・・・どうしよう、今日も午後から仕事の予定が入ってたのに・・・)


ダージリン登場


みほ「あっ、聞いてください。これは誤解なんです。猫にポシェットを取られちゃった女の子がいて・・・」


ダージリン「・・・これがあなたのソードデバイス?」


みほ「えぇ」


ダージリン「二本も持ってるなんて珍しいわね」


杏「おー、ダージリンじゃないか、何やってんだこんなところで」


ダージリン「可愛らしい覗き魔を見に来たのよ」


杏「あーなるほどな」


みほ「だから覗き魔というのは誤解で・・・」


ダージリン「あなた、イギリスのこんな格言を知ってる?」


ダージリン「真実が靴を履こうとしている間に、嘘は既に世界の半分に広まっている」


みほ「ひどい」


          *


みほは杏とそどこに引っ立てられて学園長室に来た。


蝶野(学園長)「ようこそ、王立大洗士官学校-アカデミー-へ」


蝶野「つまり、今回は不幸な事故ということでいいのよね、旧帝国王子・西住みほ君?」


みほ「すみません、こちらに向かう途中にこんなことに・・・」


そどこ「旧帝国王子?」


杏「ですが学園長!」


蝶野「まあまあ、仕事で呼び出したのはこちらだし、みほ君の無実は昔からの知り合いである私が保証するわ」


蝶野「この子にそんな度胸無いわよぉ。ムッフフフ」


みほ「あのぅ」


蝶野「あーハイハイ本題ね」


蝶野「この学園のことはみほ君も知ってるわよね?」


みほ「はい。新王国が管理する戦車騎士-タンクナイト-の学園ですよね?」


蝶野「えぇ、新王国は5年前のクーデター以来他国に負けない戦力として戦車騎士の育成に力を注いでいる」


蝶野「この学園は一般的に男性よりも適性が高いとされている女性の戦車騎士の育成を目的としたものなんだけど」


蝶野「みほ君にはここで働いてもらおうと思って」


杏・そどこ「えぇ!?」


みほ「わ、私は♀♂ですよ???」


蝶野「あなたのような子は貴重なのよ?その腰に二本もぶらさげてるのは飾りじゃないんでしょ?」


みほ「うぇぁぁ・・・」


杏「学園長!」


そどこ「ちょちょちょ」


エリカ「ちょぉーっと待ったぁー!(乱入)」


エリカ「私はまだその痴漢変態を認めたわけではないのだが?この学園で働かせるなんてありえない!」


みほ「君はあのときの!」


そどこ「おーいエリカ樣ぁ。あんまり近づくと押し倒されちゃいますよー」


杏「君達も気をつけたまぇ~」


mob達「きゃああーーーーー」


みほ(なんか話が大きくなってる・・・)


蝶野「そうねぇ、それじゃあ処分は本件の被害者であるあなたに任せるわ、逸見エリカさん」


エリカ「ふん、なら私と勝負しろ!この学園にふさわしい戦車騎士かどうか私が見極めてやる!」


杏「いいな面白い」


そどこ「やっつけちゃえ!」


蝶野「そんなに簡単にいくかしら」


蝶野「王都のトーナメントで賞金稼ぎをしていて未だ無敗。無敗の最弱という異名で知られているそうよ」


エリカ「変態のくせに無敗だと?気に入らないな」


エリカ「いいか勝負は戦車での一騎討ちだ。私に負ければお前は犯罪者として牢獄ゆき。勝てば無罪放免で働いてよし。いいな?」


みほ「コクリ」


エリカ「学園のみんなにも言いふらすぞ。新王国の姫が旧帝国の王子を打ち負かす見世物だとな」


みほ「姫?」


エリカ「お前の帝国を5年前に滅ぼした新王国の姫だ」


          *


沙織の部屋にて


沙織「もう・・・みぽりんは何をやってるの!」


みほ「ごめん・・・あれ、君は座らないの?」


華「はい。適切な距離を取らないと、息だけでスカートをめくられると言われてますから。」


みほ「僕をなんだと思ってるの!?」


沙織「もう、みぽりんが捕まってしまったら、私だけでどうやって借金を返せばいいの?」


沙織「5年前のクーデター以来、旧王族である私達は咎人。その恩赦の代わりに課せられた額は、とても私一人で返せるものじゃないんですよ?」


沙織「みぽりんには国民の雑用係としてしっかり働いてもらわないと」


みほ「私もそのつもりで頑張ってたんだけどね・・・」


沙織「このままみぽりんが牢屋行きになってしまったら困るよ。なんとしてでも逸見エリカ樣に勝たないと」


みほ「逸見エリカという人は強いの?」


華「エリカ様は学園内において現在無敗です」


沙織「でも、誰にも負けてないというのなら、みぽりんも同じようなものでしょ?」


みほ「はぁ・・・」


          *


蝶野「それでは逸見エリカ対西住みほの戦車試合を只今より開始する!」


観客「わーーーーきゃーーーーー」


エリカ「みほ。私が何故お前に勝負を挑んだと思う?」


みほ「私が旧帝国の王子だか・・・ら?」


エリカ「私に勝ったら教えてやる」


みほ「・・・・・・」


みほ「来たれ、Pz.Ⅳ(D)!」


西住みほの目の前にソードデバイスで呼び出したPz.Ⅳ(D)が現れる。戦車騎士はその魔力によって一人で操縦装填及び砲撃を行うことが出来るのだ!


エリカ「なんだ、ただのPz.Ⅳ(D)か西住みほよ」


エリカ「神装戦車ティーガーⅡ。私の戦車は、そこいらのものとは格が違うぞ?」


みほ「神装・・・戦車・・・」


沙織(観客席)「神装戦車。汎用戦車とは違う希少種の古代兵器。相当の実力者しか扱えない・・・」


蝶野「バトルスタート!」


エリカ「踊りは得意か?西住みほよ!」


ティーガーⅡ「ズドン!」


みほ「旋回!」


Pz.Ⅳ(D)のシュルツェン「スコン」


ティーガーⅡ「ズドン!」


みほ「前進!」


Pz.Ⅳ(D)の砲塔正面「スコン」


エリカ「私の砲撃を操縦技術だけでかわすとは・・・」


みほ「あの・・・1つお願いしてもいいですか?」


エリカ「なんだ?」


みほ「もしこのまま引き分けになったら、あの件は手打ちってことにしてくれませんか?お風呂のことは謝りますから」


エリカ「・・・・・・」


エリカ「なるほど、ただの馬鹿ではないようだな、この大馬鹿者め!」


エリカ「本性を現せ、APCR!」


そどこ(観客席)「砲弾を追加した!?」


杏(観客席)「てか、ここにいる私達もやばくない?」


エリカ「警告しておく。Pz.Ⅳ(D)を解除し、もう一本のソードデバイスを使うが良い」


みほ「悪いけど、こっちの戦車は使うわけにはいかないんだ」


エリカ「ならこの場で果てろ、旧帝国の誇りと共に!」


エリカ「・・・むっ」


力を使いすぎたせいでティーガーⅡが暴走を始めた


みほ「危ない。早くティーガーⅡから降りて下さい!」


エリカ「くっ・・・私がここで負けるかぁーー!」


その時


グオアアアアアアア


謎の戦車が学園を襲ってきた。


沙織「あれは・・・幻車-アビス-!遺跡からしか現れない筈なのになぜ・・・」


華「しかもあれは・・・パーシング型・・・!」


杏「みんな落ち着け!」


そどこ「校舎に避難して!」


パーシング「ズドン!」


エリカ「・・・はっ」


みほ「危ない!」


みほはエリカをかばって被弾した。


エリカ「みほ・・・」


みほ「エリカ様、1つお願いしてもいいですか?」


華「あっ、西住さんが・・・」


西住みほは一人で幻車に立ち向かっていた。


そどこ「幻車に汎用戦車で向かってくなんて、無茶スギィ!」


沙織「いいえ」


沙織「敵はどうやら一体・・・なら負けないよ、みぽりんは!」


エリカ(あの壊れかけのPz.Ⅳ(D)で何をする気か知らんが、あてにさせてもらうぞ、没落王子)


みほ「撃て!」


Pz.Ⅳ(D)「ドン!」


パーシング「スコン」


パーシング「ズドン!」


Pz.Ⅳ(D)「ボコッ」被撃破


そどこ「あっ、やられた」


杏「いや、しかし今ので奴に隙が!」


エリカ「ふっ、そこだぁーーーー!」


ティーガーⅡ「ズドン!」


パーシング「バコッ」被撃破


弾薬庫に誘爆し、幻車は大爆発した。


エリカ「守りの堅いものが隙をさらしたら全力をもって一撃でしとめる。セオリーだな」


みほ「やった・・・」気絶


          *


回想


みほ「なんで・・・どうして殺したの・・・」


みほ「犠牲は・・・最小限にって・・・」


まほ「俺が皆殺しにしなければ、連中に暗殺されていたぞ」


みほ「おねぇ・・・ちゃん・・・」


まほ「お前は何も分かってない。王の器なんかじゃないのさ」


まほ「最弱よ」


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