2016-10-04 21:03:05 更新

概要

これは【おんぼろ鎮守府と歩み続ける提督】の続きになります

あの時あの場所で俺は後悔をした

助けられなかった

救えなかった

動けなかった

それらがあって今がある

着いて来てくれる仲間達が嬉しくもあり悲しくもあった

だけど歩みを止めない

ふらふらだけど確かな一歩を踏み出して行こうと思う

この大切な鎮守府で

手を差し伸べて共に歩もう


前書き

これは【捨てられた鎮守府と捨てられた提督】の続編の【おんぼろ鎮守府と捨てられた提督】の続編の【おんぼろ鎮守府と歩み続ける提督】の続編になります。まず、それらから見てもらわないと全く分かりません

専門用語とかは全く分かりませんし、文章もおかしかったりしますが、中傷コメなどはせず、気にいらない方はそっと戻るボタンを押して忘れてください

それでも良い方はどうぞ見てやってコメントを残してやってください

キャラ崩壊注意ですよ!


電「おんぼろ鎮守府の面々達なのです!(予定もあるのです!)」


【サンドバッグ】


提督「誰がサンドバッグじゃあ!」


【しょんべん小僧】


???


【超一流艦娘】


電「なのです!」ムフン!


【二流艦娘〜三流艦娘〜クソ以下】


如月、不知火、まるゆ、鳳翔、???、???


【ポイズンキラー】


間宮「・・酷いです・・グスッ」


【空気さんもとい役立たず】


???


【ただの老婆還暦間近?】


明石「あぁ?電・・ふざけんなよ!」


夕張「ちょっと話しがあるからツラ貸せよ」


【???艦娘】


???


電「よろしくお願いしますなのです!」


明石「にぱーー!」


夕張「ふふふ〜」


電「はわわわ!!」ダッ


明石「待てこら!!」ダッ


西提督の苦悩



ー西提督船ー


西提督「荒潮がやられたか・・」


提督よ中々やるな


だが、まだ雷がいる


それに二人は囮で本当は正面から気配を消した伊168が奇襲をかける


西提督「さて、これをどう乗り越えるか見ものだ提督」


西提督「朝潮、敵の反応はあるか?」


朝潮『こちら朝潮、今の所はありません。少し先へ進んでみます』


西提督「分かった油断するなよ?」


朝潮『はい』


西提督「攻めて来ていないのか?守備で精一杯なのかそれとも・・・」ピッ


西提督「祥鳳、前進してくれ提督の駆逐漢へ向かう」


この船の運転を任せている祥鳳に言うが


祥鳳「・・・・・・・」黙祷


西提督「祥鳳!おーい!祥鳳!」


返事はない


この船は本当は今日が処女航海なのだ


提督には駆逐漢だ!と強く言ったが提督の船と違い機銃も主砲も付いているが奴等にも艦娘達にもダメージというダメージは与えられない代物だ


どうしても艦娘達の主砲などを普通の船に積むと効力をなくしてしまい奴等に効かなくなってしまう


まぁ、もし効くならば彼女達を海に出さず人間達が戦うのだが


それも叶わない


だが、提督の船は違う


話で聞くと駆逐艦レベルではあるが耐久性と主砲と機銃も駆逐艦レベルはあるらしい


俺も少しだけ駆逐漢を見せてもらったが雰囲気というかオーラ?が違う


ただの船とは思えない程だった


納得出来るには充分だった明らかに他の船とは違う


明石と夕張にその事を聞いてみたが極秘だと言われてしまった


しかし、これが大量に生産されれば彼女達は戦わなくて済む


だが、明石が言うには大量に造るのは無理で造れてもこれ一隻が限界らしい


何か表には言えない事をしているのか?


ますます気になるが極秘だという事もありそれ以上は聞かなかった


いつか教えて欲しいな


話しがそれてしまったが、俺は艦娘達だけを海に出し自分は安全な場所で命令などしたくはない


だから、妖精さんに頼み船を造って貰った


だが、いきなり実戦に使うのは危険だ


演習で試しに使ってみようと思っていた


しかし、俺と同じ考えを持つ者はいなかった。いや、今となってはその時はいなかったと言うべきか


互角で同じ条件で使わないと意味はない


つまり相手の提督も船で演習に参加してもらわないといけない


だが、そんな勇気のある奴は中々現れなかった


だから、ずっと使わずに置いていた


しかし、提督が現れて俺と同じ考えを持っていた


いや、あれは俺以上だな


遂に使う事が出来ると思ったが


運転方法を知らない・・・・


使う機会がなかったので後回しにしてしまっていた


とてもじゃないがすぐには運転技術は取得出来ない


自分で言うのもなんだが・・あまり頭が良くないからな


そう言えば祥鳳が船に興味を持っているのを知って演習メンバーに組み込んだ


案の定、祥鳳はすぐに運転出来るようになった


妖精さんが造ったからだろうか普通の船とは違い運転方法も特殊だったらしく教えて貰ったがさっぱりだ


今見てもやはり分からん


西提督「もういいだろ?艦載機は壊れたが妖精さんは無事なんだろ?」


祥鳳「・・・・・・はい」黙祷


西提督「ならー」


祥鳳「ちょっと黙っててください」


西提督「・・・・・・あぁ」


祥鳳「・・・・・・・・」黙祷


黙祷・・・彼女がどれだけ艦載機の事を思っているのかが分かる


彼女の目から涙が出ている・・


仲間の死を敬う事は悪い事ではないし、そうする事で何かしら得る物があるのも事実


必要な事だという事も分かる


現に祥鳳は出撃して艦載機が落とされる度にどんどん強くなっているように思える


まだ、数回しか出撃をさせていないが・・空母としての彼女の力はかなりのものだ


偵察の時点で敵を沈めてしまう事も多々あった


だが、あまり出撃させたくない


戦場の真ん中で黙祷されると色々やばいからだ


つまり何が言いたいかというと


頼むから動いてくれ・・・・


黙祷も長時間はやめてくれ


西提督「祥鳳・・・・・・・」


祥鳳「・・・・・・・・」黙祷


西提督「祥鳳!いい加減にしろ!」


祥鳳「・・・・・・」黙祷


西提督「っ・・・・・」


やはり女は苦手だ・・・あいつがいてくれたらな・・ビシッと言うんだろうが


無線が鳴る


西提督「ん?朝潮かなんだ?」ピッ


朝潮『敵の反応があります。こちらに向かって来ています』


西提督「なんだと!」


朝潮『一人みたいなので行かせてください』


西提督「いや、待てそんな正面から堂々と来るなんて何かあるかもしれない一度こちらに戻っー」


朝潮『もう遅いです』


西提督「なに?」


朝潮『不知火さんですよね?』


西提督「不知火?おい!おーい!くそっ!無線を切ったか!」


正面から一人で行かせる?それ程までの強さなのか?それとも罠か?


どちらにせよ!見たい!戦いを見たいぞ!


西提督「祥鳳!目を開けろ!開けるんだ!黙祷終わりだ!船を動かせ!」


だが、祥鳳は黙祷を続けた


西提督「祥鳳!俺は見たいんだ!提督の艦娘達の力を!」肩揺さぶり


祥鳳「・・・・・・・」グラグラ


祥鳳が大きく揺れるが黙祷を貫いている


西提督「祥鳳!!頼む!」更に肩揺さぶり


祥鳳「・・・うっ・・・」グラグラ


反応があった!肩を掴んだ手を離し頭を掴み更に揺さぶる


西提督「うぉおおおお!目を開けろぉおお!」頭揺さぶり


祥鳳「あ・・うう〜〜〜」


好機!


全力だ!!


これだけ頭を揺さぶらせては嫌でも目を開けないと酔ってしまうぞ!


祥鳳、黙祷の時間は


終わりだ!


西提督「どりゃぁあああ!!」


祥鳳「や、やめ・・・うっ・・」


強情な奴だ


なら、更に全力の先を!集まれ俺の筋肉!


西提督「うぉおおお!」筋肉2倍増し


西提督「こうなってしまっては前ほど甘くはないぞ?目を開けろぉおおおお!!」全力フルパワー揺さぶり


余りの速さに他から見ると祥鳳は全く動いていないように見えるだろう


全力を腕に込めて頭を揺さぶる


祥鳳「や、やめぇええ・・それ以上は・・吐き・・うっ!!」


西提督「っ!!」


祥鳳「ピーーーーーーーー(自己規制)」


西提督「し、しまったぁあああ!」


何があったかはあえて言わないでおこう


お互いの為に


西提督「痛いな・・・」頬に手の跡や引っ掻き傷多数


西提督船「」中破


西提督「無線・・壊れてしまったな」


連絡出来ないし


祥鳳は帰ったし・・


運転出来ないし


朝潮は・・・なにしてるのだろう


西提督「女って奴は・・本当に・・」


これからどうしよう


眼力を持つ者達


ー西提督船から少し離れた所ー


朝潮「もう遅いです」


西提督『なに?』


朝潮「不知火さんですね?」


西提督『不知火?おい!おーっ』


朝潮「・・・・・・・」ピッ


不知火「はい、朝潮さんですね?」


朝潮「はい、お一人ですか?」


不知火「はい、そちらもお一人ですか?」


朝潮「はい、無謀なんですね。一人でのこのこ来るなんて」


不知火「ふっ」


朝潮「・・・・・・」イラッ


不知火「その言葉そのままお返しします」


朝潮「それは・・・どういう事でしょうか」


不知火「そのままと言いましたが?朝潮さんこそお仲間と一緒に来ないなんて無謀ですね?」


朝潮「そうですか」ギロッ


不知火「ぬい!」ギロッ


不知火「本当は少し偵察をしていただけだったんですが一番気になる気配を感じまして案の定朝潮さんでしたよ」


朝潮「それは?私に会いたかったという事でしょうか?」


不知火「はい、貴女とは一度会ってお話しがしたかったものですから」


朝潮「残念ですが近くに西提督がいます。呼べばすぐに来るでしょうし、もしかしたらもう向かってるかもしれませんよ?私と西提督それに祥鳳さんに一人で勝てますか?」


不知火「ぬ、ぬい!」


朝潮は無線のスイッチを入れて西提督へ繋げる


朝潮「西提督、すぐこちらー」


西提督『や、やめろ!悪かった!吐くとは思わなかったんだ』


バシッ


西提督『も、もういいだろ?俺も着替えたいのだ臭うー』


バシッ


西提督『いたたっ、ひっ掻くな!な、なに!ぎ、艤装は展開するな!洒落にならない!振り上げたその手を・・』


祥鳳『この馬鹿ぁあああ!』


バッシンッーー


西提督『うぉおお!頬が裂ける!』ゴロゴロ


祥鳳『うわぁぁあああん!実家(西鎮守府)に帰らせていただきます!』


西提督『ちょっと待ってくれ!演習はまだ終わってー』


西提督『え?・・艦載機が!』


ドドドドドド


西提督『ぬぉおおお!俺は味方だ!』


プツリ


そこで無線は切れた


朝潮「・・・・・・・」


不知火「きょ、今日はこのくらいで勘弁してー」


朝潮「やはり二人の方がいいですね」


不知火「さぁ、何処からでもかかってきてください」ムフン!


朝潮「西提督の安否も気になりますし全力でいかせてもらいます」ギロッ


朝潮の本気の睨みつけるが発動!


西鎮守府で睨んでない奴はいないと言うほどの彼女の眼光はまさに龍


鯉が滝を登りきるとなってしまうあれ


西提督ならまだ大丈夫だが、並の提督ならちびるぞ


彼女と会う時は替えのパンツを持っておこう


ちなみに提督なら漏らす


替えのズボンも必要だ(提督のみ)


不知火「こちらも提督が心配ですから時間はかけられません・・ぬい」ギロッ


不知火の本気の睨みつけるが発動!


東鎮守府での幾多にわたり書類を捌いて来た彼女の眼光はまさに虎


耳の後ろが黒いあれ


こちらも西提督なら大丈夫だが、並の提督なら足の震えが止まらないだろう


彼女と会う時はダボダボのズボン(土木作業用のズボン)で震えを誤魔化そう


そして言わずもがな提督なら漏らす


替えのズボンが必要だ(提督のみ)


二人の睨みがお互いを貫く!


朝潮「っ!」


朝潮(なんて目なんですか!こ、これは)


不知火「っ!」


不知火(この目は・・)


朝潮、不知火((怖い!))ガクブル


ちびるほど怖い


しかし、二人は顔には出さない


元々表情には乏しい二人だからこそ出来る完璧なポーカーフェイス


ある意味で最悪の状況


朝潮(これがおんぼろ鎮守府の実力・・・負ける未来しか見えない)


朝潮は不知火の眼力に勝機を失い


不知火(流石西鎮守府です。この不知火・・勝てる気がしない)


不知火は朝潮の眼力に自信を失う


朝潮(降参するのも手・・)


早くこの眼光から逃れたいと思う朝潮


不知火(負けを認める事もまた勇気・・)


プライドなど二の次だと思う不知火


朝潮、不知火((だけど、怖くて動けない))


今二人は蛇に睨まれたカエルでありカエルを睨む蛇でもある


お互いが睨み


お互いがその眼光に恐怖している


そして、お互いが動けなくなっている


朝潮「・・・・・・」


不知火「・・・・・・」


二人は睨み合ったまま動けない


不知火(視線をそらせば)


朝潮(動こうとすれば)


朝潮、不知火((その瞬間殺られる))


お互い全神経を集中させ指一本の動きまで見逃さないようにしている


これはかなり体力を消耗してしまう


しかも、今日は晴天だ。太陽の光をもろに浴びている


気温も高い


それにともない二人の脳内では色々な思考が巡っていた


朝潮(このままではやばいです。手が痺れてきたし・・)


不知火(今、少し手が動いたような) ビクッ


朝潮(なんですか今のは、何を仕掛けてくる気ですか)ビクッ


不知火(ビクッってなりました!何をするつもりでしょうか!)ゴクリ


朝潮(絶対に何かしてきます!)ゴクリ


不知火「どうしました?来ないんですか?」


朝潮「先に譲ってあげているんですよ?どうぞ」


不知火(この余裕の表情・・・切り札があるに違いない・・くっ)


朝潮(あの余裕の言葉・・格が違い過ぎます・・)


不知火、朝潮((誰か助けてください))


それからも無言の睨み合いは続き


どのくらい時間が経ったのだろうかも分からない


まだ、数分なのか?それとも数時間は経っているのか


それすら考える余裕もなかった


不知火「・・・・・・・・」


朝潮「・・・・・・・・・」


不知火「・・・・・・・・」


朝潮「・・・・・・・」


不知火「・・・・・・」ピクッ


朝潮「・・・・・・・っ」ビクッ


不知火「っ・・・・・・」ビクッ!


二人の体力は限界を超えていた


もう立っているだけでも不思議なくらいに


集中力も切れてフラフラになっていた


不知火「はぁ・・はぁ・・んぐっ」汗ダラダラ


朝潮「ふぅ・・ん・・・はぁ・・」汗ダラダラ


不知火(いけません・・視界がぼやけて来ました・・汗が目に入って更に見にくく・・喉が渇いてきました・・海水って飲めましたっけ?提督は無事でしょうか?)


朝潮(あれ?私は何をしてるの?ああ、演習でしたね・・・ふふふ、汗で服が透けてますね・・提督さんは何処にいるのでしょうか?見られたら恥ずかしいですね)


不知火「提督・・・・・」


朝潮「提督さん・・・・」


不知火、朝潮「「ん?」」


不知火「あれ?提督いつの間にいたんですか?」


朝潮「提督さん・・いつの間に・・あの、そんなに見ないでください」


不知火「提督、私やりました褒めてください」ダキッ


朝潮「きゃっ、提督さん・・だ、駄目です。い、今は・・演習中ですから・・・その・・後でなら、って!何言ってんでしょうか・・忘れてください」


不知火「提督ーー」ギュッ


朝潮「はう〜〜」ズキューーン


ー西鎮守府ー


大和「これは・・・・」


武蔵「お互いが提督に見えてしまっているようだな。中々激しいな」


大和「悠長に言ってないで!これは危険よ!すぐに連絡をして止めさー」


不知火、朝潮『『あ〜〜〜』』バタッ


武蔵「力尽きたようだな」


大和「朝潮、不知火、轟沈判定!回収!!」


武蔵「と言うことで回収を頼む。わりと危険だから急いでな」


阿武隈「はい!」ダッ


大和「ちょっと待って!これ持って行って脱水症状になっていると思うから」スポーツドリンク


阿武隈「分かりました!なら、氷も」


武蔵「うむ、着く前に多分溶けるぞ?」


大和「とにかく急いで!阿武隈走れ!飛べ!」


阿武隈「あ、はい!って飛ぶのはむー」


大和「早く行け!!ノロマ!!」


阿武隈「ひぃーーー!」ダッ


阿武隈は思った


なんで私怒られてるんだろう


なんでノロマって言われなければ・・


阿武隈「・・・グスッ・・不知火ちゃん、朝潮ちゃん、今行くからね」


それから少しして提督達に不知火と朝潮の轟沈判定が報告された


提督達の所も何かあったようで


この時点で残りは提督と西提督だけになっていた


何があったかと言うと


少し時間を戻して不知火と朝潮が睨み合ってる時に提督達に近づく影があり


そして、駆逐漢での初の戦闘が始まる


その様子をとある不思議な娘達が見ていたのであった


時雨『ふふふふ、これは面白い』


夕立『ぽい?』


二人の観察者


彼女達は何者なのか


それは誰も知らない


そう、彼女達自身も


時雨『今から面白い事が起こりそうだよ』


夕立『なになに!』


彼女達は実体がない


そして誰にも見えない


自由に空を飛び未来と過去を行ったり来たりする事が出来る彼女達にとって


今いる場所もただの道でしかない


目的地のない永遠に続く道


そんな場所での唯一の楽しみは観測だった


彼女達は色んな所へ行き色んな人や植物や動物などを観察していた


それしか彼女達には出来なかったから


触れる事も話す事出来ない二人だけの世界


彼女達に終わりはあるのだろうか


ないのだとしたらそれは辛い


凄く辛い事だ


時雨『最近はこの人ばかり見てるんだ。面白くてね』


夕立『人間嫌いの時雨にしては珍しいっぽい?』


時雨『まぁ、見てみると良いよ。きっと夕立も気にいるよ』


夕立『でも・・人間は・・』


時雨『まぁ見てみてよ退屈はさせないからね。そうだ今から起こる事を解説してみようか。そしたら分かりやすいよ』


夕立『なにそれ!楽しそう!』


時雨『じゃあ、今から僕は講師だからね!』


夕立『今日はなにを教えてくれるのかな〜』


時雨『今日は潜水艦の釣り方を教えるよ』


夕立『潜水艦を釣り方?』


時雨『そう、手順をちゃんとすれば明日から夕立も出来るよ』


夕立『潜水艦って釣れるわけないっぽい!』


時雨『そう思うよね?まぁ、着いて来てよ』


夕立『何処へ行くの?』


時雨『海だよ。ほら、あれが今回潜水艦を釣ってくれる人達だよ』


駆逐漢


夕立『船っぽい!』


時雨『駆逐漢って言うらしいよ正式名称は長いから割愛するね。演習中のようだね』


雷「よしよし〜〜」ナデナデ


提督「あ、あの・・・」膝枕されている


夕立『演習中?そんな風には見えないっぽい』


時雨『面白いでしょ?彼は見ていて飽きない。こんな時でも雷にされるがままを受け入れている。彼女を傷付けない為にね』


夕立『周りの娘達はあまり良い顔はしてないっぽい?やきもちっぽい?』


時雨『そうだね、そこに気付いてないのも彼の面白い所さ見ていて飽きない』


提督「雷そろそろ演習中なんで・・」


雷「そうなの・・残念・・提督ちゃん頑張ってね!」


提督「はい!」


ぐぅ〜〜


提督「あ、」


雷「お腹空いたのね!待っててね!」ダッ


提督「あ、雷」


まるゆ「・・・・・・」ジトーーー


鳳翔「ふふふ、満足しましたか?」


提督「いや、あの・・すみません・・つい流れで・・・」


時雨『ここで手順1、まずは釣る為には潜水艦の事をある程度知っていなければいけない』


夕立『全く知らないっぽい・・・』


時雨『と言っても今回はある事を知るだけで良いんだ』


夕立『ある事?』


時雨『この駆逐漢には冷蔵庫を積んでいるんだ。そしてその中のある物を雷が持って来れば分かるはずだよ』


夕立『ぽい?』


雷「提督ちゃん!冷蔵庫にプリンがあったわ!」


時雨『ビンゴ!流石雷』


提督「あ、それは」


まるゆ「それはまるゆのだ!」グワッ


夕立『凄く怒ってるっぽい!』


時雨『冷蔵庫の中には今朝の食事にあったプリンを入れていたんだ。武蔵から貰った物だね』


夕立『演習中なのにおやつを持ってくるなんて・・・のんきっぽい』


時雨『いや、彼女にとって演習中だろうが戦場に行く時は食料を必ず持って行くようにしているんだ。もしもの時の為にね。そういう面では一番戦場慣れをしていると言えるね』


夕立『成る程それが今回は偶然プリンだったという事っぽい』


時雨『違うよ。あれは彼女が単に食べたいから持って来ただけで非常食は別の場所に隠してるね』


夕立『やっぱりのんきっぽい・・それで?これで何が分かるの?』


時雨『ん?雷がプリンを持って来た時最初に言ったじゃないか』


夕立『??』


時雨『凄く怒ってるっぽい!』夕立の真似


時雨『言ったっぽいよね?最初に言ったっぽいよね?ぽいぽい』


夕立『う、うん・・言ったから真似をやめて』


時雨『ちょっと怒り方が異常じゃない?』


夕立『確かに・・・』


時雨『何処調べかは言えないけど実はとある機密機関の大本営調べで・・』


夕立『大本営って言ってるし・・全然機密じゃないじゃん!』


時雨『まぁまぁ、些細な事さ』


夕立『機密情報を些細な事って・・』


時雨『・・・・・・・』


夕立『なに?』


時雨『ぽいって言わないね。その方が僕にとっては重要なんだ』


夕立『もう真似しない?』


時雨『しない約束するよ』


夕立『なら良いっぽい』


時雨『うん、それでこそ夕立だね』


時雨『それで、大本営調べで100人の潜水艦に聞いてみたと言うものがあってね』


夕立『ん?何を聞いたっぽい?』


時雨『甘いものと提督どっちを取るかって事を聞いたんだ。そして、100人中100人が甘いものって答えたんだ』


時雨『他の艦種でも調べたけど100人中100人は潜水艦だけだったんだ。その事から潜水艦は他の艦種に比べて甘いものに執着があるって分かるよね?』


夕立『甘いものと提督って・・比べるものがおかしいと思うっぽい・・ただ、提督が好かれていないだけだと・・・・』


時雨『ん?そうかな?僕は同等だと思うよ?』


夕立『人を食べ物と同等と思う時雨はきっと壊れだと思うっぽい』


時雨『僕は正気さ。この世界が壊れているのさ僕が正しくて世界が間違ってる。つまりこの世界は僕にとって敵さ』


夕立『世界を敵にしたっぽい!まぁ夕立はそれでも時雨について行くけど』


時雨『ありがと夕立、僕も世界と君なら迷わず君を選ぶよ』


夕立『えへへへ時雨〜』スリスリ


時雨『無駄話しが過ぎたね。まるゆを見て分かる通りにプリンに異常な反応をしている。それは他の潜水艦にも見られる事で潜水艦は他の艦種より特に甘いものに目がない』


時雨『つまりは潜水艦を呼び寄せるには甘いものが必要って事だ』


夕立『え?それってもしかして・・』


時雨『さぁ彼らを見てみよう』


まるゆ「それを返せ!!」ダッ


雷「あ、ごめんなさい。名前が書いてないから貰って良いものかと思って・・返すからね」


まるゆ「勝手に人様の冷蔵庫漁ってんじゃない!」


雷「ごめんなさい・・つい・・」


鳳翔(確かに言う通りですね。ですがもうこの場所(駆逐漢)を自分の家のように使えるなんて・・・雷ちゃん・・色んな意味で恐ろしい子)


まるゆ「とにかく返せ!今すぐだ!」


提督「まるゆ落ち着いてくれ返すって言ってるだろ」


まるゆ「プリーーン」ドン


雷「きゃっ!」


まるゆがそのままの勢いで雷に飛びかかりぶつかった衝撃で皿の上に綺麗に乗っているプリンは雷の手から離れて


夕立『あ、プリンが飛んだっぽい』


時雨『手順その2だね』


空を舞ったプリンは提督の顔に当たり


提督「んぐっ!」ベチャ!


時雨『食べちゃ駄目だよ』


そして海へと落ちた


チャポン


落ちた


時雨『よし!』


提督「うわぁ・・顔がベトベトだ」


鳳翔「ハンカチをどうぞ」


提督「すみません」ふきふき


まるゆ「ああ〜〜まるゆのプリンが〜」


雷「そ、その、ごめんね」


まるゆ「・・まだ・・・食べられる!」


ガシッ


提督「よせ!落ちた物しかも海に沈んだプリンなんて食べるな!」


まるゆ「隊長・・・ですが・・隊長・・」ポロポロ


提督「後で買ってやるからな?」


雷「必ず後で返すから・・」


まるゆ「・・・・分かった」


鳳翔「良かったですね」ナデナデ


まるゆ「・・・・・」プリンの落ちた場所をガン見


時雨『手順その2エサ撒きは完了だよ』


夕立『落ちたプリンに寄ってくるとは思えないっぽい』


時雨『今回釣り上げるのは伊168なんだけど彼女は元野良艦娘なんだ』


夕立『野良艦娘から鎮守府所属になるのは珍しいっぽい』


時雨『そうだね。大抵は人を恨んでるから話しも聞かず襲いかかってきて返り討ちにあって沈むのが多いね。でも、実はこの西鎮守府のほとんどが元野良艦娘なんだ』


夕立『それは凄い!』


時雨『そして潜水艦の野良艦娘ってのは結構珍しかったりするんだけど彼女の場合は結構その期間が長かったんだよね。それこそ海の底の藻を食べたり沈んだ艦娘達から燃料を取ったりしてどうにか生きていた』


夕立『でも、今は西鎮守府にいるっぽい』


時雨『それでも限界はあったんだよ。ずっと生きていけるわけでもないからね。まぁ、色々あって西提督に拾われたんだけどそこは割愛するね』


時雨『ここまで言えば分かると思うけど彼女は潜水艦であり元野良艦娘である』


夕立『う〜〜ん分からないっぽい』


時雨『仕方ないね答えを言うよ。彼女は簡単に言うと超の付くほどのアウトドア派なんだよ。目の前に食べ物があれば海の底だろうと何処だろうと彼女にとってはご馳走なんだよ。それが甘いものなら尚更ね』


時雨『習慣ってのは中々なくならないものでね。食べ物があれば本能的に食いついちゃうんだよ彼女は』


夕立『でも、演習中だしそう上手くは・・』


ー水中ー


伊168「ふふふ、至近距離で魚雷をぶつけてやれば一発よ。悪いけど提督さんには西鎮守府の実力に惨敗するのよ」


伊168「もうすぐ着きそうね。あまり近づき過ぎても万が一にも見つかったらやばいしここから魚雷をお見舞いしてあー」ピクッ


伊168「甘い匂いがする!何処?」クンクン


伊168「こっちね!」駆逐漢の方へ向かう


夕立『うわ〜本当に反応してる』


時雨『プリンが落ちてなかったら今頃駆逐漢は魚雷で沈んでいたね』


夕立『提督は運がいいっぽい!あれ?でもどうやって釣るの?釣り竿は?ないっぽい』


時雨『そこは大丈夫だよ。そろそろ反応がある筈だよ』


時雨『手順3だよ』


ー駆逐漢ー


鳳翔「あれ?提督さん!ソナーに反応が」


提督「なんだって!漁船に元々付いていたかなり旧型でかなり近い距離しか反応せず反応しても影が大雑把に写るだけのあまり意味のないソナーに反応があっただって!」


鳳翔「はい、これです。駆逐漢のすぐ近くを動き回ってます」


提督「これは・・この動いてる場所ってさっきプリンの落ちた場所だよな?」


鳳翔「えぇ、そうですね。もしかしてプリンに反応してるとか?ってありえませんよね」


提督「いや、そうかもしれない」


鳳翔「え?」


提督「プリンに反応・・いや、食べ物に反応してる・・・・」


鳳翔「分かりますか?」


提督「大体は分かったよ後は確定させるだけだ」


鳳翔「がんばってくださいね」


時雨『彼の脳内を見てみよう』


提督アナグラム(ダンガンロンパ2の真似)


ヒントを元に文字を並び替えて答えを導き出すんだ!


グ、ダ、マ、ヨ、ロ


提督(このキーワードを並び変えれば答えは見つかる!)


提督(まずプリンに反応してるんじゃない。食べ物に反応している!最初の文字はマだ!なんとなくマだ!)


マ、ダ、グ、ヨ、ロ


提督(そして動き回っている止まることなく。いや、止まれないんだ!次はグだ!グだと思いたい!)


マ、グ、ダ、ヨ、ロ


提督(そして、最も重要なのはこの海域を事前に調べて分かっていた事がある。それは・・・ここら辺の海域はマグロが目撃されている)


提督(だから、俺は事前に夕張さんに資材に余裕があれば対マグロ用の釣り竿を頼んだ。最初は露骨に嫌そうな顔をしていた。無理もない・・マグロは今では高級の中の高級魚、食べた事もない人がほとんどだ・・だから俺は夕張にマグロの素晴らしさを語った。そしてどうにか夕張は了承してくれた。まぁその所為で資材が足りなくなったんだけどね・・・先に釣り竿を造っちゃったから足りなくなった事には後で気づいたわけで・・本当なら駆逐漢を造るだけなら足りていた。極秘に頼んだ所為で夕張も詳しくは言えなかったらしく如月達にはマグロを釣り上げた暁にはご馳走しようと心に決めていた。本当は演習外で釣るつもりだったが・・・)


提督(おっと、アナグラムを完成させなければ次の文字はロだ!誰がなんと言おうとロだ!)


提督(さあ!これで答えが)


マ、グ、ロ、ヨ、ダ


提督(ん?マグロヨダ?ヨダはいらない捨てろ)


マ、グ、ロ


鮪!!


提督(完成だ!答えはマグロだ!)


夕立『なに?この茶番は・・・』


時雨『相変わらず面白い事を考えてるね』


夕立『全然答え違うっぽいし』


時雨『だからこそ釣り上げるんだよ。潜水艦だと思ってたら釣り上げようとは思わないよ普通』


夕立『釣り上げる為の解説をしてる時雨は普通からかなり離れてるっぽい』


時雨『うん、僕だからね。僕は自分と夕立しか信じてないからね。他人の考えに合わせるなんてしないよ』


夕立『も、もう・・時雨ったら・・不意打ちは禁止っぽい』スリスリ


時雨『さて、考えが纏まったようだね』


提督「マグロが食べ物に反応して駆逐漢に寄ってきたんだ!」


鳳翔「マグロってあの大きな魚ですか?」


提督「そうです。鳳翔さん近くに敵の反応はしますか?分かる範囲で良いんで教えてください」


鳳翔「はい、えっと、今の所はそんな戦意的なものは感じませんね。不知火ちゃんみたいに遠くまでは分かりませんけど」


提督「いえ、充分です。鳳翔さん彼処にあるの何か分かりますか?」


鳳翔「彼処?あの掛けてある竿ですか?随分と太いですね。気にはなっていましたけど」


提督「対マグロ用の竿だ!」


鳳翔「え?まさか・・本気ですか?」


提督「あぁ、手伝ってくれるか?」


鳳翔「断りませんよ提督さんの言う事なら」


提督「ありがとう。まるゆ!雷にまとわりつくのはやめてこっちへ来るんだ」


まるゆ「はい!」


雷「ふぅ・・疲れた」


提督「雷も手伝ってくれるかな?最高のマグロ料理を約束する」


雷「勿論よ!提督ちゃん!」


夕立『まさか、演習中にマグロを釣ろうとするなんて』


時雨『しかも、気づいてないと思うけど彼は竿は用意したけど肝心のエサを用意してないからね。本当にマグロを釣ろうとしたら近くにマグロがいても釣れずに終わってるね』


夕立『馬鹿っぽい』


時雨『これが手順3だよ。潜水艦を発見するだね。もっと高いソナーを使えば安易に発見出来るよ』


夕立『針が小さいけど大丈夫っぽい?』


時雨『特注だからね。一度刺さると中々外れないよ。あれは小さいからダメージも少ない』


夕立『まさに潜水艦を釣るには最高の竿って事っぽい』


時雨『うん、そうだね。あ、海へ入れたね』


夕立『この時点で餌が付いてない事に気づいてないのは・・』


時雨『ふふふ、馬鹿だからね。水中を見てみようか』


ー水中ー


伊168「甘い甘い!塩プリンの味がする〜美味しい〜」ペロペロ


伊168「あっちの方が甘い〜栄養補給っと〜」


夕立『完全に演習だって事忘れてるっぽい』


時雨『彼女にとっては生きる為の行動だからね。まぁ、結構緩和されて生きる為と単に娯楽の為と半々くらいになってるね』


夕立『あ、近くに針が降りたっぽい』


時雨『このままだと・・』


サクッ


伊168「っ!」


時雨、夕立『『刺さった!』』


時雨『見事に口の中に入ったね』


夕立『いきなりで混乱してるけど』


時雨『その振動は上へと伝わり』


ー駆逐漢ー


提督「っ!」キュピーン


鳳翔「提督さん!」


提督「あぁ!奴が掛かったぞ!」


雷「なら、一気にみんなで引っ張って」


まるゆ「みんなで引っ張れば簡単ですね」


提督「いや、それは少し待ってくれ一気に引っ張ると針が外れてしまう場合がある。ここからは奴と俺の一騎打ちだ。チャンスが来たら言うからそれまではみんなは周りを警戒していてくれ」


まるゆ、鳳翔、雷「「「了解!」」」


雷「あれ?私って・・・まぁ良いか」


夕立『一気に引っ張れば良いっぽいのに』


時雨『甘いね。こう言うのは少しずつ引っ張る事で相手の体力を奪い弱ったところを引っ張るのが良いんだ元気なうちは暴れたりして針が取れちゃうからね。そこのところはちゃんと分かってるみたいだね。これが手順4だよ』


時雨『ここからは腕次第だよ』


夕立『どっちを応援すれば良いのか・・』


ー水中ー


伊168「ひゃに!ひゃんなの!(なに!なんなの!)」


伊168「くひのなはがいひゃい!(口の中が痛い!)」


グイッ


伊168「っ!ひっぱれてるゅ!(引っ張られてる!)」


伊168(しまった!罠だったのね!私とした事が!一度逃げて・・その前に口の中の針を)


グイッ


伊168「いひゃい!(痛い!)」


伊168(引っ張られて取れない!)


グイッグイッ


伊168「うひゃあ!こうなゃれば!ひっぴゃりおとひぃてやりゅ(うぎゃあ!こうなれば!引っ張り落としてやる)」グイッ


ー駆逐漢ー


提督「っ!うわっ!なんて力だ!お、落ちる!」


ガシッ


鳳翔「提督さん!」後ろから腰に手を回して支える


提督「鳳翔さん!」


提督(背中に胸の感触が・・)


夕立『変態っぽい!』


まるゆ「やはり隊長一人に戦わせるなんて出来ません」竿を一緒に持つ


提督「まるゆ!」


提督「ありがとう!二人とも」


雷「頑張って提督ちゃん!」


提督「あぁ!」


グイッ


提督「くっ!中々強いな!」


まるゆ「艤装展開してるのにそれでもこの力・・やります!このマグロさんは」


雷「カメラがあったらその勇姿を撮るのに・・残念・・」


時雨『ふふ、運動会で我が子を撮影しようとするお母さんかな?』


鳳翔「くっ!まだなんですか」


提督「まだだ相手が力を弱めた瞬間がチャンスです」


まるゆ「でも!長くは持ちません!」


提督「まだ!まだだ!今は耐えろ!」


ー水中ー


伊168「ふぐぐぐ!!なゃかなゃかやるゅわにねぇ(ふぬぬぬ、中々やるわね)」


伊168(ふぅ、ちょっと一息)


ー駆逐漢ー


提督「っ!!」キュピーン!


提督「今だぁああ!全力で引っ張れ!」


鳳翔「はい!」ギュッ


提督(ひゃぁあ!感触が!)


まるゆ「とりゃぁあ!」グイッ


雷「提督ちゃんのお隣を失礼してっと、えい」グイッ


提督「うぉおおお!」グイッ


ー水中ー


伊168「っ!!」


伊168(駄目!引き上げられる!こうなれば!)


ジャバーーン!


伊168「ていひょくひゃくご!(提督覚悟!)」魚雷


時雨『水中から伊168が飛び出す。その手には魚雷があるね』


夕立『投げつける気っぽい!』


時雨『ここで最後の手順!潜水艦を強引に船へと引きずり込む!』


夕立『やはり最後はそうなるっぽい・・』


時雨『最後にものをいうのは力だからね。力なき正義はなんとやらってね』


夕立『ぽい・・・』


時雨『ふふ、見て提督達の顔を題名をつけるならマグロかと思ったら潜水艦だった時の顔』


夕立『そのまんまっぽい』


提督「へ?」ポカーン


鳳翔「マグロ?可愛いマグロですね」


雷「イムヤ・・だったのね」


時雨『こういう時に瞬時に動けるかも必要だよ』


夕立『みんなポカーンってしてるっぽい魚雷直撃確定っぽい』


時雨『そうかな?一人だけ即座に現状を把握して動いてるよ。伊168が出てきた瞬間にすぐに機銃の所へ向かった娘がね。速すぎて気づかなかったかな?』


夕立『え?あ・・』


まるゆ「くらいやがれぇええ!」機銃連射


ドドドドドドドドド


伊168「いひゃひゃひゃひゃ!!(いたたたたたた!!)」中破


まるゆ「隊長!今です!」


提督「っ!みんな!引っ張れ!イムヤを釣り上げるぞ!」


鳳翔、雷「「はい!」」グイッ


伊168「っ!」


ドサッ!


伊168「うぎゃ」


夕立『釣り上げ成功したっぽい!』


時雨『煮るなり焼くなり好きにすると良いよ。でも、リリースは駄目だよ?その海域の資材環境が乱れるからね』


伊168「いてて・・あ、針取れた・・けどこれは・・詰みかな」


まるゆ「動いたら撃つ」機銃


鳳翔「あ、これはマグロの血抜きようですからね?」包丁


雷「・・・・・」


提督「まだやりますか?」


伊168「はぁ・・降参します」


雷「私も遅いと思うけどするわ」


時雨『うん、やっぱり彼女は優秀だね。流石最後のまるゆだけはあるね』


時雨『全てのまるゆの記憶を受け継いでしまった彼女は不運とか不幸とかのレベルじゃない程苦しんでる筈なんだ。だからこそなのかな?彼女は格が違う』


夕立『それだけじゃないっぽい。彼を心から信頼してる・・羨ましいっぽい』


時雨『モテモテだね提督は、夕立まで虜にしちゃったかな?』


夕立『そんなんじゃない・・・そんなんじゃ・・・』


時雨『・・・・・・・・』


時雨『夕立・・僕はねー』


提督「まるゆ!良くやったぞ!」ダッ


まるゆ「隊長〜〜!」ダッ


カチッ


まるゆ「あれ?なんか蹴った?」


魚雷


伊168「あ、魚雷しまい忘れてたごめん!」


雷「爆発する!!」


まるゆ「隊長を!!」


提督「あわわ!!」


ガシッ


提督「へ?」


鳳翔「提督さん!全機発漢してください!」全力投げ


提督「ひゃあああああ!」海へ


ドボーーン


まるゆ「隊長お元気で・・総員!対爆防御!」


ピカッ


ドカーーーーン


駆逐艦「」中破


まるゆ「げふっ・・生きてる」大破


鳳翔「痛いです・・・」大破


雷「提督ちゃーん!無事なの!ねぇ!うわぁーーん」大破


伊168「ごめん・・みんな・・ぐふっ」大破


電「はかったな・・司令官・・」大破


提督「みんなーー!無事か!今行くぞ!」


時雨『・・・・・・・』


夕立『・・・・・・・』


時雨『これ以上は見ているのは辛くなりそうだね。行こうか夕立』


夕立『うん・・・』


時雨『人もまだまだ捨てたものじゃないね』


夕立『でも、提督は穢れだよ。人じゃない』


時雨『その言葉は嫌いだよ。彼は穢れかもしれない。でも、正真正銘人間だよ』


時雨『見て分かった筈だよ』


夕立『・・・・・うん、そうだね』


夕立『ねえ・・・』


時雨『なに』


夕立『あの人を見ていたい』


時雨『本気かい?』


夕立『うん、本気っぽい・・』


時雨『なら、僕は止めないよ』


夕立『さよならっぽい?』


時雨『・・・・僕も彼を見ていたい』


夕立『なら、一緒に行くっぽい!』


時雨『良いの?僕も』


夕立『うん、時雨とはずっといるって約束したっぽい!』


時雨『そうだったね。行こうか夕立』


夕立『ぽい!』


彼女達は提督に近寄った


彼女達は見つけたのだ目的地を


ー駆逐漢ー


提督「ふぅ・・どうにかみんな無事だったか良かった・・だが、これで味方は不知火だけになってしまったか」


提督「不知火・・・・心配だ」


時雨『・・・・・・・』


彼女の姿は提督には見えないし声も聞こえないし触れる事も出来ない


それでも時雨は言った


時雨『提督・・君と出会えなかった事を悔やむべきか見ていられる事を喜ぶべきか正直複雑だけど・・これからの君に・・』


時雨『祝福を』


チュッ


提督「ん?・・今何か頬に・・暖かいな」


夕立『・・・・・・・・』


提督「っ!誰?」


夕立「っ!」


夕立「むぅぅ・・・時雨の奴余計な事を」


提督「あ、あの?」


夕立「もうやけっぽい!」ガシッ


提督「へ?あ、あのよく分からないけどやけになるのは良くないですよ?」


夕立「うるさい!黙って聞くっぽい!」


提督「はい!」


夕立「貴方のこれからを見せてもらうっぽい!人間がまだ手遅れでない事を証明して!」


提督「証明?」


夕立「あ、貴方に、しゅ、しゅちゅっふくを!」顔真っ赤


チュッ


提督「っ!ーーーーーーぷはっ!!」


提督「な、な、キ、キスされた!」


いくら取られる!いくら取られるんだ!


あまり持ち合わせはないぞ


提督「あれ?いない?」


周りを見渡すがさっきまでいた少女は何処にもいなくなっていた


提督「・・・・・・・」


唇を触ってみる


さっきの感触は確かにあった筈だ


でも・・・本当にあったのか分からない


さっきの事なのに分からない・・・・


顔も声も薄っすら・・・覚えているのか?


分からない


でも、一つだけ分かった事がある


提督「負けられないって事かな」


何か大切な物を託されたそんな感じがするから


その後すぐに無線から不知火と朝潮の轟沈判定があった事を聞いた


残りは俺と西提督だけか


まるゆ達は船の内部で休ませている


本当なら早く入渠させてやりたいが


少しだけ我慢してくれ


船のエンジンをかける


まだ動くようだ流石明石さん達の造った船だ頑丈に出来てる


みんなが頑張って此処まで来たんだ


ここで負けるわけにはいかない!


提督「よし!行くか!」


ブォオオオオオオオン!


提督「ん?」


駆逐漢のエンジン音ではないな


西提督船「」ブォオオオオオオオン!


提督「へ?」


西提督「提督!!」


西提督の元へと向かおうとしたら向こうからやって来た


しかもボロボロになった船で


黒煙出てるし


何があった


提督「それ以上はぶつかりますって!止まって!」


西提督「止め方を知らない!!」


提督「なっ!ぶつかる!!」


ガシャーーン!!


駆逐艦と西提督船が正面衝突した?


影の苦労者


ー少し前ー


ー西提督船ー


西提督「・・・・・・」カチャカチャ


西提督「ふむ・・・・・」


部下には見捨てられ、船は動かせず、無線は壊れている


この色々と絶望的状況


普通なら諦めて切腹でもしているところだが


俺は違う


とりあえず工具を使い無線を直している


西提督「うむ・・・・とりあえず分解だ!」カチャカチャ


だが、思うように外れない


西提督「うむ・・こういう時は」


力任せに限る


バキッ


無線のカバーを強引に外した


案外脆いものだ


これで結構高いのだから精密機器はあまり好まない


西提督「うむ・・分からん」


ごちゃごちゃしたコードや色々付いていてどれが故障の原因かも分からない


それにカバーが粉砕してしまい戻す事も出来なくなってしまった


西提督「さて、どうするかこれではみんなの様子が分からない」


朝潮はどうなったのか?イムヤもそろそろ駆逐漢へと到達しているはずだが


勝ったのか?負けたのか?それすら分からない


だが!気になって仕方がない!


やはりなんとしても無線を直さなければ


西提督「くそ!動け!動くんだ!」カチャカチャ


適当にカチャカチャしてみる


一瞬でも良いから生き返ってくれ!無線!


無線『ガーーー』


西提督「お!」


無線『』


西提督「一瞬だけなのか!もう少し頑張れ!」カチャカチャ


無線『ガーーーピーーー』


西提督「良いぞ!」


無線『ガーーこーーちらーー武蔵だーー応答ーーーしーーろ』


西提督「おお!繋がったぞ!武蔵聞こえるか?戦況はどうなったんだ!朝潮と不知火の戦いの行方は?イムヤは駆逐漢を沈めたのか?雷は何処にいるんだ?祥鳳は無事に家(西鎮守府)に帰れたか?どうなんだ!なぁ!」


無線『』


西提督「この野郎!!」ガシッ


こんな根性もない奴など!


西提督「こんな物いるか!!」床へ叩きつける


ガンッ


無線『ガーーー』


西提督「ん?」


無線『ガーーー、祥鳳ーー帰ってきている、戦況はーーー朝潮はーーーでーーー伊168はーーーだーー雷はーーーで轟沈判定だ。残りはーーーー』


どうやらこちらの質問は聞こえていたようだ


所々聞き取れない


頑張れ無線機


無線『ガーーーー提督と西提督だけになったがどうすーーーー』


プツン


無線『』


無線はどうやら最後の力を振り絞り逝ってしまわれたようだ


よく頑張ったな。祥鳳がいたならきっと黙祷を数時間してくれただろう


だが、俺は今猛烈に燃えている!


すまないが黙祷などしている暇はない


壊れた無線を持ち大声で叫んだ


西提督「続行だ!!」


俺と提督だけになったその言葉だけで容易に想像出来るぞ!提督達の激闘が


互角の戦いをして両者が倒れる艦娘達


残ったのは大将同士


提督も戦いたくてうずうずしているに決まってる


そして今まさに提督は待っている


この俺を!


提督『さぁ・・場は出来たぞ!来るがいい!大将戦といこうじゃないか!』


そう提督は言ってるに決まっている


なら、俺は行かなければいけない


どうでもいい奴や弱い奴の言う事なら無視しているだろうが


奴は、強い!そして俺の友となる奴かもしれない


西提督「提督今行くぞ!!」


ー西鎮守府ー


武蔵「切れてしまったな・・・中止にするべきか悩むが・・うむ!続行するか」


大和「意味があるの?」


武蔵「さぁな?だが、ないとも言えないだろ?私は見てみたいぞ!てか、見たい!」


大和「それが本音ね・・・」


大和「・・・・・・・・」


武蔵「嫌いな提督がボコボコにされる姿が見れるかもしれないぞ?」


大和「別にそんなの見たいとも思わないし、勘違いしないで嫌いなんかじゃないから・・」


大和「大っ嫌いなの!」


武蔵(意識してるという事でもあるのか?提督よモテモテだな)


祥鳳「あ、あの・・・私はいつまでこうしていなければ・・」


武蔵、大和「「あぁ?」」


大和「なに?」


武蔵「なんだ?文句でもあるのか?」


祥鳳「い、いえ・・なんでもありません・・」正座


武蔵「反省するんだな」


大和「自分の提督を置いてけぼりにするなんてあり得ないから」


祥鳳「はい・・すみませんでした」


武蔵「次はないぞ?」ギロッ


祥鳳「ふぇ!」ビクッ


祥鳳が西鎮守府に帰ったあと大和と武蔵に怒られ反省として正座させられていた


そして彼女の首には私は敵前逃亡者ですと書かれたプラカードが掛けられている


如月達のように戦った末の結果なら良かったが彼女の場合は少しばかり真剣味が足りていなかったようだ


演習中だろうとこんな事ではいけない


もしそれで西提督が死んでしまえば祥鳳の居場所はなくなってしまう


ここの娘達は西提督を提督として慕っている


だからこそ、そんな事になってしまえば祥鳳は責められ蔑まれ下手をすれば鎮守府を恨む様になる


勿論、祥鳳の方に着く人達もいるだろう


そうなれば西鎮守府は内部分裂が起こり


鎮守府崩壊もあり得てしまう


悪いがこれも審判員の仕事だ


見逃せる範囲を超えていた


だが、そうなるには余程提督が慕われていないといけない案外ドンマイで終わるかもしれないが、あり得る危険はしないに越した事はない


祥鳳「・ふぇ・・・すびばせんでした・・」涙ポロポロ鼻水ドバー


武蔵「・・・・・・・」


だが、少し怒り過ぎたかもしれないな


つい本気で睨んでしまった


仕方ない


武蔵「とりあえずそれを拭け見れたものではない正座も崩して良い」ハンカチ


祥鳳「っ!」


大和「ちょっと!」


武蔵「もう良いだろう。西提督にはちゃんと謝っておくのだぞ」


祥鳳「はい!」


武蔵「よし、もう休め」


祥鳳「ありがとうございます!」


大和「武蔵・・・・」


武蔵「はぁ・・分かってる」


甘いな私も・・・まだまだ元帥の様にはなれないな


あの冷酷な男の様に


ー西提督船ー


西提督「さて、どう動かすか」


提督の所へ向かうにも船を動かさないといけないが


西提督「うむ・・・全く分からない」


たくさんのボタンにレバー


俺の知ってる船とはやはり違う


ペダルも何個もあるが特殊過ぎないか?


西提督「そう言えばこれを造る時に」


『これは言わば兵器になる乗り物だ。普通の人では運転出来ないように難しくしてくれ』


『見ても分からないレベルでいや!触っても分からないレベルだ!』


西提督「という事を言ったような?」


要は自業自得という事だろうか


西提督「適当に押してみるか?」ポチッ


反応はなしか


レバーを適当に上げ下げするが反応はない


どうやら順番通り動かさないと意味はないようだ


これだけのボタンとレバーだと何通り試せばいいのか考えただけで頭が痛くなる


西提督「むう・・・・・」ポチッポチッガチャガチャポチッポチッガチャガチャポチッガチャポチッポチッガチャ


適当にやっていると煙が出てきた


壊れたか?


途中レバーが何個か取れたが気にしない


西提督「そう言えばあいつが言ってたな・・あれは確か」


『むう、このテレビ映りが悪いなそろそろ替え時か』


『うちの鎮守府にそんな余裕があると?こういう時は簡単に直す方法がありますから』


『ほう、それはなんだ?』


『こうやって斜め45度から叩けー』


西提督「そうだ!確か斜め45度から」シャキン


腰に付けている軍刀を抜いて


西提督「刺すだったか?」ガシュ!


操縦桿に刺した


斜め45度で


分度器がないので勘の45度だが


西提督「ぬぅ!!これは痺れる!」ビリビリビリ


ボンッ!


そんな音がしたかと思うとエンジンがかかり


西提督船「」ブォオオオオオオオン!


全速で走り出した


西提督「おお!動き出したぞ!こうすればいいのか?」グリグリ


刺した軍刀をグリグリする


更に速くなる


西提督「おお!!もっと奥に刺せば!」


更に速くなる


そして止まらなくなる


西提督「これなら提督の所へすぐ行けるぞ!はははは!」


その頃そこから少し離れた場所では


二人の艦娘が仰向け状態で海に浮いていた


二人とも器用に顔だけを海から出していた


徐々に沈んでいたりする


不知火「お互いさっきの事は忘れましょう」ぷかぷか


朝潮「はい、お互い何もなかった。それでいきましょう」ぷかぷか


不知火「では、これからどうしましょうか?」


朝潮「私達は敵同士分かっているでしょ」


不知火「そうですね。では、かかってきてください」


朝潮「いえ、そちらからどうぞ」


不知火「・・・・・・・」


朝潮「・・・・・・・」


不知火、朝潮「「動けません」」


不知火「どうやら共倒れということですね」


朝潮「そのようですね。引き分けという事です」


不知火「もしかしたら既に轟沈判定をされているかもしれません」


朝潮「そのようですね」


不知火「今回は引き分けですが次は負けませんよ」


朝潮「こちらこそ負けません。ですが今回の睨みは中々でしたよ。少しだけほんの少しだけビビりました」


不知火「そうですか、私は全くビビりませんでしたが、少しだけ驚きましたよ。極小ですが」


朝潮「・・・・・・・」


不知火「・・・・・・・」


朝潮「ビビったと言ってもほんの少しで取るに足らない程度で仕方ないからビビってあげたって言うレベルですから不知火さんのように驚くなんて事はまずあり得ませんでしたよ」


不知火「極小と言いましたが?それこそミリ単位で驚いていただけです。専門家が見ても驚いてるか分からないくらいの極小ですから。どんなに少しでもビビったりなんて普通はしません普通は」


朝潮「言ってくれますね・・・心臓バクバクだったんじゃないんですか?」


不知火「いえ、全く止まってるのかってくらいに静かでしたよ。そちらこそ汗が凄かったですが冷汗では?」


朝潮「汗っかきなんです。知りませんでしたか?朝潮型は汗っかきなんですよ。荒潮なんて年中汗で全身濡れてるくらいですから。それに不知火さんだって汗は凄かったですよ」


不知火「陽炎型は体内の循環が良く汗がたくさん出るだけです。汗っかきとは違いますから」


朝潮「何が違うんですか?」


不知火「健康管理です」


朝潮「私は出来てないと?」


不知火「いえ、荒潮さんの事です。年中汗で全身濡れてるのは異常です」


朝潮「・・・・ごめん荒潮」ボソッ


不知火「・・病院へは行きました?」


朝潮「大事な妹を侮辱するとは・・やりますか?」


不知火「ん?侮辱はしてませんがそちらがその気なら・・望むところです!」


朝潮「とお!」


不知火「ぬい!」


朝潮「・・・・・・・」


不知火「・・・・・・・」


朝潮、不知火「「はぁ・・・」」


不知火「・・・・・・やめましょうこんな事」


朝潮「はい・・・無用な戦いはしたくありませんし動ける気がしません」


不知火「私もです・・こうやって海に浮いているのが限界です」


朝潮「そうですね・・・いえ、正確には沈んでいってますがね」


不知火「ぬい・・・」


朝潮「不知火さんお互い本音を言いませんか?」


不知火「良いですよ?」


不知火「朝潮さんの睨みはそれなりに驚きました」


朝潮「不知火さんの睨みは人並みにはビビりました」


不知火「ふっ・・・・」


朝潮「ふっ・・・・」


二人はお互いを小さく笑った


その笑いにはお互いを認めたという感情が入ってる事に二人はまだ気づかない


阿武隈「二人とも!助けに来たよ〜生きてるー!」


朝潮「どうやらお迎えが来たようですね。やはり轟沈判定は出たようです」


不知火「ぬい・・・」


朝潮「きっと提督さんは褒めてくれますよ。彼は優しいですから・・本当に」


この時朝潮は自分の顔が赤くなっている事に気がつかない


不知火「言われなくても提督の事なら分かります・・・・・だからこそ辛いんですよ・・」ボソッ


朝潮「・・・・・・」


阿武隈「もうこの阿武隈が来たからには二人とー」


阿武隈「なんだろ?何か来る?」


ブォオオオオオオオン!


阿武隈に近づく船が一隻


不知火「ん?」


朝潮「何か近づいて来ますね」


音で気付く二人


不知火「阿武隈さん?」


朝潮「いえ、阿武隈さんはこんなに煩くはないです。艤装はですけど」


西提督船「」ブォオオオオオオオン!


西提督「提督今行くぞ!!」


阿武隈「え?西提督さん?ちょっ!止まって!止まっー」


ドンッ


阿武隈「ふぎゃぁああ!」


朝潮「音が遠ざかりましたね。なんだったんでしょうか」


不知火「さぁ?それより阿武隈さんが来ませんね。声は確かにしたんですが」


朝潮「阿武隈さんは無駄に声の大きい方ですから遠くから声を掛けてきたのかも知れません今こっちに向かってますよ」


不知火「そうですか、途中何か当たる音とふぎゃぁああっと聞こえましたが」


朝潮「ウミネコ同士の喧嘩では?私達には関係ない事ですよ」


不知火「それもそうですね」


朝潮「そうです」


不知火「来ませんね」


朝潮「来ますよ」


不知火「来ませんよね?」


朝潮「来る筈です」


不知火「・・・・・・・」


朝潮「・・・・・・・」


不知火「来るのですか?」


朝潮「来る・・かな・・」


不知火「本当に?」


朝潮「・・・・・・はい」


不知火「気配も感じませんが?」


朝潮「・・・来ないかもです」


不知火「・・・・・・・」


朝潮「来ないです・・・・すみません」


不知火「そうですか・・・そろそろ沈みそうな気がします」


朝潮「私もです」


不知火「・・・・・・」


朝潮「・・・・・・」


不知火「空が綺麗ですね」


朝潮「涙で見えません」


不知火「そうですね・・・・私もです」


不知火「もし生まれ変わることが出来るなら提督のパンツになりたいです」


朝潮「不潔ですね・・・ですがー」


不知火「朝潮さんは西提督さんのパンツになれるように祈ります」


朝潮「うぇ〜」ぶくぶく


不知火「あ、沈んでしまいました・・」


不知火「・・・・・・・」


不知火「これでは私痴女ですね・・」


不知火「」ぶくぶく


二人は沈んだ


次は何に生まれるかな?出来るなら提督の側で・・・


ガシッ


その時遠ざかる光から天使の手が私達を引っ張った


不知火、朝潮「「ぶはぁーー!」」


愛宕「二人共み〜っけ!危ないところだったね」


不知火、朝潮「「大天使愛宕様!」」ポロポロ


私達はもう一度あの青い空を見る事が出来た


どうにか回収成功


ー西提督船ー


西提督船の暴走は止まらず走り続ける


西提督「今何かに当たったような気がしたが・・気の所為か?」


阿武隈「なわけあるか!よいしょっと」よじ登り


阿武隈「ああ〜死ぬかと思った」


西提督「ん?阿武隈サボりか?いかんぞ!」


阿武隈「ちゃんと仕事してましたよ!なのに西提督さんがいきなり轢いてきてそのまま走るものだから船の舳先に張り付いたままでどうにかよじ登って来たんですよ!」


阿武隈「あたしは船の大紋になった覚えはありません!」


西提督「それはすまなかったな怪我はないか?」


阿武隈「ないですけど・・舳先が少し凹んでしまいましたよ。いえ、かなり」


西提督「それは気にしないが演習区域内に何の用だったのだ?」


阿武隈「あ!そうだった朝潮ちゃん達の回収に来てたんだけど!急いで戻って轟沈しちゃう!」


西提督「なんだと!しかし・・・」


阿武隈「本当に轟沈しちゃって良いんですか!」


西提督「止め方を知らないんだ・・」


阿武隈「そんな!それじゃあ西提督さんはこのままだと」


西提督「俺の事は気にするな朝潮達の所へ行け」


阿武隈「で、でも・・」


西提督「行くんだ!!」


阿武隈「もう!行くから!その前にこの船を止めます!」


西提督「なんだと!提督の所へ着くまでは止めないぞ!」


阿武隈「煩い!とにかく止める!」


操縦席へ行くと


操縦桿に軍刀が刺さっていた


阿武隈「なんでこんなことになってるの!しかも抜けない!うーーん!」


無線が鳴る


阿武隈「こんな時になに!」ピッ


阿武隈「え?朝潮ちゃん達を回収完了したって?良かった・・・うん、ありがとあたしも用事が終わったらすぐ合流するね」


阿武隈「ふぅ・・・・」


西提督「良かったな間に合って」


阿武隈「って!落ち着いてる場合じゃない!止めないと!」


西提督「むむ!提督の気配がするぞ!」ダッ


阿武隈「あ、ちょっと!もう!」


阿武隈「軍刀を抜かないと!ふぬぬぬぬ!!」


ビリビリビリビリ


阿武隈「あひぃいいいい!」バタッ


西提督「提督の駆逐漢が見えて来たぞ!」


良い顔になっている!少し見ない間に成長したな提督


西提督「提督!!」


提督「それ以上はぶつかりますって!止まって!」


このぐらいで狼狽えては強くなれないぞ!


どんと来いくらい言って欲しいものだ


阿武隈「と、止めないと・・」ピクッ


阿武隈「このまま・・まだ死ぬわけにはいかない!」艤装展開


阿武隈「っ!」ドドドドドド


操縦桿ドカーーン!


阿武隈「後は!船を!」ダッ


船から飛び降り走る


阿武隈「うぉおおらぁああ!」ゴォオオオ!


西提督「止め方を知らない!!」


提督「なっ、ぶつかる!」


阿武隈「させない!」


船と船がぶつかる瞬間


間に阿武隈が入り込み


駆逐漢》阿武隈《西提督船


阿武隈「ふん!!」


ガシャーーーン


船との衝突を自らの手で止めた


それでも衝撃は凄いものだった


船に乗っている二人にもその衝撃は来るだろう


しかし、これが精一杯だった


もしぶつかっていればどちらかはペシャンコになっていた


いや、両方なっていたかもしれない


それを回避出来ただけでも充分


もう、目の前で誰かが死ぬのは見たくないから・・・


船は止まったようだ


両方の船の舳先同士がくっついてる状態で止まっている


その間の隙間に阿武隈はいた


二人からは見えない


阿武隈「疲れた・・・・」ドサッ


その場に倒れこむ


後はこの二人に任せて少し休もう


今日は本当に仕事の多い日だ


でも、不思議と幸福感に満たされている


目の前の大切な人達を守る事が出来たからかな?


あたしでも守る事が出来るって分かったからかな?


きっと両方だ


阿武隈「空が綺麗だな〜ふふふ」


ここ(西鎮守府)に来て良かった


心からそう思った


阿武隈「二人とも頑張ってね〜」


そう言って阿武隈はそっと目を閉じるのだった


演習最終決戦


ー駆逐漢ー


ガシャーーーン!


提督「ひゃぁあああ!」ガシャーン


ギリギリ駆逐漢から落ちなかった


しかし、突っ込んで来たにしては想像していた衝撃よりかなり弱い


駆逐漢も向こうの船もあまりダメージがないように思えるが


それは互いの船が頑丈だったという事なのだろうか?


それにしても


提督「西提督さん!無理し過ぎです!下手したら両方沈んでいましたよ!」


西提督「とお!」ピョン


西提督はこちらの船へと飛び移った


西提督「両方が無事だったのだから良かっただろ?」


西提督「それより・・・よく俺以外の奴等を倒す事が出来たな正直予想以上だ」


提督「仲間達のおかげです。俺はあまり役に立ちませんでした・・」


西提督「いや、お前の指揮の賜物だ。そこは誇ることだ。それが仲間達への頑張りの評価にもなる」


西提督「お前の仲間の実力はお前の実力だ覚えておけ」


提督「はい!」


西提督「では・・・分かっているな?今度はお前自身の実力を見せてやらなければいけない。仲間達にそして俺にだ!」


提督「みんながくれたチャンスなんだ・・絶対に無駄にはしない!」


このまま終われるとは思っていない


西提督は一人になっても来るというのも分かってた


そして西提督は俺を認めてくれようとしている


だったら俺もそれに応えてやらないとな


だけど・・・


提督「西提督さん・・勝つのは俺です!」


西提督「本気で来い!」


提督「はい!」


西提督「いくぞぉおおお!」ダッ


提督「待ってください!」


西提督「なんだ!」ピタッ


提督「まだどんな勝負するかを決めていないですよ」


西提督「は?そんな分かっているだろ!」


提督「え?う〜〜ん・・・」


提督「ちょっと待っててください」ダッ


西提督「おい、ちょっと!・・たく、早くしろよ」


提督「すみません待たせました。こういう場合どんな勝負になるとかってのはやはり決まっているんですよね?でも、俺は分からないんです。用意出来るものはこれだけなんですが」


西提督「囲碁に将棋にトランプにウノに花札?」


西提督「貴様ふざけているのか!」


提督「俺は本気です!」


正直言おう


大体流れでどんな勝負なのかは分かっている


殴り合いだろう


だが、あの筋肉に真っ向勝負で俺が勝てるだろうか?


まず無理だ


出来る事なら避けたい


だから、ほんの少しの期待を込めて別の勝負へ持って行こうと思ったんだが無理のようだ


覚悟を決めるか・・・・


西提督「お前は仲間達はボロボロになって戦ったのに自分は無傷で終わらせようとしているのか?それで海に出る覚悟があると言えるのか!」


覚悟・・・・・


提督「・・・・・・・・」


してるつもりだったんだろうな・・俺は


でも


西提督「見損なったぞ提督!所詮お前も口だけだったのか!」


西提督「期待していたのだが・・・もういい・・俺の負けで良い」


提督「・・・・・・・」


西提督がここまで言ってくれたんだ


もう逃げるのはやめよう


西提督「少しは夢を見せてもらったからな・・報酬はやるからもうー」


提督「逃げるのですね」


どの口が言ってんだろうな


西提督「なに?今なんと言った」


提督「逃げるのかと聞いたんだ!西提督!」


西提督「貴様・・・」


提督「先程の事はすみませんでした。覚悟しきれていないというのがありました。口だけと言われても仕方ありません。ですが・・・」


提督「覚悟を決めましたよ・・今度は絶対に折れない!逃げませんから!」


そう言って俺は上半身の服をバッと脱いで鍛えに鍛えられた肉体を晒す予定だったが


提督「俺の覚悟!見せてやりますよ!」ぬぎぬぎ


提督「うんしょ・・・」ぬぎぬぎ


提督「ボタンが外れない」あせあせ


提督「よいしょっと・・・」


提督「ふぅ脱げた」


服はそんなふうに脱げたりはしないし


筋肉?なにそれ?食えんの?


執務仕事で鈍りに鈍った肉体が姿を晒す


提督「来い!」


西提督「・・・・・・・」


あれ?もうだめなパターンか?


西提督「ふふふ、ふははははは!なんだそのヘナチョコな身体は!そんなので戦おうというのか!」


西提督「だが・・・・・お前が俺との戦いを避けようとしていた理由は理解出来た」


西提督「鍛えていないのだな!提督」


提督「忙しかったんだよ・・・」


西提督「だが、それでも俺と殴り合う覚悟を決めた・・お前のその覚悟に免じてもう一度だけ・・・お前を認めよう!本気で殴り合う敵として!」


瞬間西提督の上半身の服が弾け飛んだ


そして鍛えに鍛えられた肉体が姿を現わす


無駄のない筋肉


ちなみに提督の正装服はかなり高い


今ので数万は飛んでいるだろう


提督「ゴクリ・・・」


勝てるのか?いや、勝つんだ!


西提督「さぁ!今度こそ行くぞ提督!」ムキムキ


提督「はい!」


西提督「いくぞぉおおお!」ダッ


提督「ぬぉおおおお!」ダッ


お互い走り相手へと向かう


もうさっきとは違う


お互いの本気での戦い(演習)が始まった


ドゴッ


西提督「ぐっ!」


提督「ぐあっ!」


同時にお互いの攻撃が当たる


西提督「っ!」ギロッ


提督「っ!」ギロッ


ドゴッ


西提督「っ・・良いパンチだ!」


ドゴッ


提督「っ!、まだまだぁああ!」


二人の戦いを聞きつけた近くを警備してる艦娘達が集まりだした


それもそのはずだ


本来は艦娘同士を戦わせてそれを人間が見る


それが当たり前だった


勝ったとしてもそれは提督達の功績になり艦娘達はただ疲れ傷つく


それが今の演習なのだ


得るものも何もない


ただの人間達の自己満足


しかし、今戦っているのは人間同士


しかも、お互いの艦隊の勝利の為に戦っている


そう、艦娘達の為に人が戦っている


己が肉体を傷つけ戦っている


ただその先にある皆の勝利の為に


それを聞いたら見ずにはいられない


そう思った彼女達は自分の任務も忘れ駆逐漢へと集まった


そして気付くと駆逐漢の周りには


西鎮守府の艦娘達が集まって観戦していた


その中にはおんぼろ鎮守府の仲間達もいた


駆逐漢の中で休んでいたまるゆ達は邪魔にならないように船から降りて外から見ていた


まるゆ「隊長かっこいいです!」


鳳翔「・・・・・提督さん」


雷「提督ちゃーーん!やめて!そんな危ないからーー!」


電「うっさいのです!黙って見てるのです!司令官!腎臓辺りを殴るのです!腎臓を殴れ!」


伊168「こんな事・・初めてよ・・うう!西提督さん!頑張って!」


先程まで沈みかけていた二人ですらその姿を見る為に来ていた愛宕と一緒に


愛宕「凄い賑わいね〜〜二人共頑張って〜」


不知火「提督!そんな筋肉敵じゃありません!」愛宕にしがみつき


朝潮「・・・・・・・」愛宕にしがみつき


朝潮「提督さん頑張って」ボソッ


愛宕「あら〜〜ふふふ」


阿武隈「なんか凄い事になってるし・・警備はどうしたの!みんなぁああ!」


ー西鎮守府ー


武蔵「うぉおお!私も参加したいぞ!!よし!行く・・いくぞぉおおお!」


大和「ダメだから!行かせないから!武蔵が行ったら洒落にならないから!」


武蔵「そこをどけぇええ!」


大和「だめぇええ!!」


如月「提督・・お願いだからあまり危ない事はしないで・・心配させないで」


明石「男ってのはこうでなくちゃね。うんうん」


夕張「あわわわ!と、止めないと!」


祥鳳「私が逃げたから・・・私の所為だ・・西提督さーん!」


明石「いや、多分いてもいなくても変わらなかったと思うけどね」


ー駆逐漢ー


提督「ぐわぁ!」


西提督「どうした!その程度か!」


提督「ぐっ、はぁ・・はぁ・・」


最初こそ互角に見えていたかもしれないが


そんなのはだだの幻影ですぐに筋肉と言う名の実力に剥がされる


マラソン大会でスタート直後だけ陸上部の速い奴と一位を争い激走するが数分後には後ろの方でデブの奴と最下位を争い歩いている(主の実話)


勢いは最初だけだ


西提督は毎日自分を鍛えている


それに比べて俺は何もしていない


経験も筋肉も実力も全てに劣っている


それに・・・・


提督「おらぁあ!」ブンッ


ドゴッ


西提督「効かんぞ!」シュッ


ゴスッ


提督「ぐぇ!」


しかも西提督は俺の攻撃を全て避けず受けてからやり返してくるという余裕まで見せられている


提督「うぅ・・ゲホッゴホッ・・うぇ・・」


腹を殴られて思わずうずくまる


これで何度も目だろうか?もう吐き出す物なんてないぞ


提督「うぇえ・・・何も出ない・・」


これは恥ずかしいな


さっきまでの賑わいはなくなり静かになっている


あの時と似た状況・・・・


まさか・・・・・


怖い・・・・・


いや、信じよう


せめてまるゆ達だけでも


勇気を振り絞って周りを見る


提督「・・・・・・・・」


真顔で見てる娘


気難しい顔をしている娘


不安そうに見てる娘


泣きそうな顔をしてる娘もいる


みんながそれぞれの表情をしている


でも、一つだけみんな共通してる事がある


それはみんな・・そう、演習中で何度も見た


戦う艦娘の目をしている


真剣にこの戦いを見ている


茶化してる奴なんて一人もいない


みんな真剣だ


状況は同じだった


でもあの時は全然違う


そう、あの時・・・・あれは中学生の時だったか


段々と思い出してくる


海軍は今より良くは思われていなかった


父に捨てられ孤児院暮らし


それなのに海軍の息子という肩書きと捨てられた息子というのだけは付いてきた


父に捨てられ孤児院暮らしの海軍の息子


負の肩書きの集合体と言ってもいい


その所為もあり周りからの風当たりも強く虐めや無視なんてことは日常茶飯事


だけど、俺はその頃はまだ諦めていなかった


自分の置かれた状況を認めたくなかった


その所為で俺は嫌な現実を見てしまった


ー中学生時代ー


毎日陰湿な嫌がらせが続き


遂に我慢の限界だった


主犯格は分かっている。そいつの元へ向かった


提督「いい加減にしろよ!毎日毎日嫌がらせばかりしやがって!」


アホ「あん?なに?俺とやる気?良いぜタイマンだ!こらぁああ!」ガシャーン


机を蹴り倒してビビらせているつもりなのだろうか


こんな奴に俺は!


そんな毎日も今日で終わりだ


タイマンだと言ったからには一対一だ


これなら喧嘩をあまりしなかった俺でも勝てるかもしれない


しかし、これはタイマンであってタイマンではなかった


確かに相手は一人だ


しかし、周りの見てる奴らは俺を蔑んだ目で見たり茶化してきたり


悪口や物を投げてきたりしていた


投げられた物はゴミとかでダメージはない


悪口だって言われ慣れてる


だけど・・・・・気づいたんだ


この中に・・いや、この教室に俺の味方になってくれる人は誰もいないって


そう思うと周りが怖くなって


些細な悪口が心に深く刺さった


投げれた物が痛みとして心に更に突き刺さる


『提督なんてやっちまえ!』


『提督死ね!』


『提督くんビビってんじゃね?』


『ひゃはははは!だせぇー!』


『弱!キモ!』


『風紀乱して何やってんだよ』


『本当迷惑!』


『学校来んな!』


提督「う、うわぁあああああ!」ダッ


『あ、逃げた!追え!』


提督「来ないでくれ!」


あの時は本当にみんなが怖かった


藁をもすがる思いで職員室へ行くけど


提督「先生助けてください!」


先生「ん?どうした?」


提督「み、みんなが・・・」


先生「ふん、そんなのは知らないな。先生は忙しいんだ!」


提督「そ、そんな・・・」


先生「なんなら助けて貰えば良いじゃないか?君の父は海軍の提督なんだろ?」


提督「っ!」


先生「俺たち市民は助けないが息子くらいは助けてくれるんじゃないか?ん?まぁそんな暇があればだけどね」


提督「・・・・・・」


先生「もう行け邪魔だ」


アホ「うぃーす!お、いた」


先生「おう、連れて行ってくれ」


アホ「うぃーす、おら来いよ!」


提督「・・・・・・・」


その日を境に俺は期待する事をやめた


もう周りを気にしたりなんかしない


だって意味のない事だって分かってしまったから


提督「・・・・・・・」


もう嫌だ・・・


アホ「ひ、ひぃぃい・・た、助けて〜」


提督「・・・・・・」ガシッ


アホ「は、離しやがー」


ガンッ


アホ「あー!頭が!」


ガンッ


アホ「や、やめてくれゆー」


ガンッ


アホ「ぎゃぁああ!」


提督「・・・・・・・・」ポイッ


アホ「ぐへぇ・・頭から血がぁあ!」


『こ、こいつやりやがった!』


『だ、誰か救急車!』


先生「提督!お前は!」


誰か助けてくれよ・・・こんな人生が続くのはもう嫌だ・・・


提督「先生・・・・俺には味方はいないんですか?俺は・・」ポロポロ


先生「黙れ!誰がお前の味方になる奴なんているか!みんなお前がいなくなればと思っているんだぞ!」


先生「提督、お前はもうこの学校に居させるわけにはいかない。すぐに去れ!」


『そうだ!二度と来るな!』


『そうだそうだ!』


『帰れ!帰れ!』


帰れコールが教室内に響き渡る


言われなくても二度と来ないよ


提督「・・・・・」トボトボ


もう、この学校に味方は一人もいない


いや、もしかしたらこの世界に


俺の味方は・・・


提督「いないんだな・・・・」ポロポロ


それから俺は今を受け入れ


変えることを諦めた


この時から・・・・あの日まで


ー現在ー


西提督「立てないのか?負けを認めるか?」


提督「っ・・・・・」


嫌な事を思い出してしまった


二度と思い出す事はないと思っていたんだけど


でも、不思議と嫌ではない


もう、あの時とは違う


周りは真剣に事を見守ってくれている


悪口も茶々も入れない


俺をちゃんと真剣に見てくれている


見届けてくれている


これが本当のタイマンだ


いや、でも違うかな


うずくまった姿勢からゆっくりと立ち上がる


やっぱりよく考えたらタイマンじゃないな


だって


みんなが


提督「うぅ・・まだ!」


みんなのその視線が


温かくて心地よくて


あの時とは違って


力が湧いてくる


気がする


もうあの時の事を笑い話しにだって出来る


多分


みんながいる


信頼


俺は此処に居て良いんだ


提督「まだだぁああああ!!」


艦娘達「「「きゃ〜〜!」」」


ちょっと反応が大袈裟のような・・


まるゆ「隊長!凄く・・凄くカッコ良いです!」


提督「ありがとな・・まるゆ」


西提督「ほう・・目つきが変わったか」


提督「待たせたな・・・このスーパー提督に勝てるかな?」


西提督「スーパー提督?なんだそれは?何が変わった」


提督「ある事に気付いただけですよ。あの時から見ないようにしていた周りって奴をね」


西提督「ふむ・・・よく分からんが先程のようにはいきそうにないな」


提督「あぁ、もう諦めるのはやめた。此処から再スタートだ!」ダッ


西提督「来い!」


提督「しゃぁあああ!」


西提督へ向かって走る


さっきとは違いほんの少しだけ足が速くなったような気がする


みんながいるって思えるだけでこんなに気が楽になるなんて


最高だ!


西提督は最初は攻撃を受けてくれるだろう


だから悪いけどその一撃で


右手に力を込めて!


思い出せ・・・・・


何度も殴られた筈だ!


思い出せ!!


提督「なのですインパクト!!」ドゴッ


名ばかりのただのパンチが西提督の鍛えに鍛えられた腹筋にめり込む


西提督「っ!」


電「腎臓なのです!腎臓を殴るのです!パクった事には後で話しをつけるのです!」


電の声が聞こえる。必死に声をあげてくれてる少し声がかすれてるぞ


後半部分は聞こえなかったが(すっとぼけ)


西提督はやり返そうと攻撃動作にはいる


させない!


西提督は筋肉がとにかく凄い所為かパワーはあるが動きが少し遅い


当たるのを覚悟して


腎臓辺り?多分横腹?右だっけ?左だっけ?


まぁいい両方だ!


左右両方の横腹を殴りまくる


提督「左右左右左右左右左右右右左!」ドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッ


西提督「ぐぬぅ!」


少し動きが止まった!


まるゆ「隊長!足です!巨体はバランスを崩せば良いんです!」


足か!


考えるより行動


すぐにしゃがみ込んだ


その時にすれすれで西提督の攻撃をかわす事が出来た


腎臓への攻撃で少しだけ動きが止まったのが良かったようだ


そしてしゃがんだ後は足を蹴る!


提督「っ!なんて筋肉だ!硬過ぎる」


こっちの足が折れそうだ


痛みをこらえて考えろ!


足で柔らかそうな所は!


少しでも動きを止めてしまえば反撃をくらう


そうなればお終いだ!


提督「っ!」


思い出す記憶!なんか警告音が聞こえるけど気にしない!


提督『やばい!漏れる!』ダッ


夕張『あ、提督だ。そうだ、ふひひひ』テクテク


夕張『くらえ!膝カックン!』カックン


提督『ふぎゃぁあああ!』膝カクン


夕張『やったぁ!大成功!でも、反応が大袈裟過ぎだよ』


提督『・・・・・大成功ってなんだよ』ジョロロ〜〜


夕張『あちゃ〜・・・』


提督『笑えよ・・・・18が漏らしたんだぞ』


夕張『笑えないよ・・・雑巾持ってくるね・・ごめんね・・・』


提督「ぐはっ!」嫌な記憶ダメージ


倒れるわけにはいかない!


俺の命!この髪の毛を引きちぎってでも戦ってやる!


この時提督のその強い決意の言葉で


ドクンッ


異変が起きた


提督「っ!」


提督「膝裏っぽい!」


艦娘達「「「っ!」」」


手を軸にして勢いつけてしゃがんだ状態から膝裏を蹴った


こんなに動いてるのに疲れが全く感じない


チャンスだ!


提督「次は!」


西提督「調子に乗るな!」


提督「しまっ!」


身体を思いっきり蹴られ吹っ飛ぶ


提督「ぐぅううう!」ズザァアア!


吹っ飛ばされるが体勢を立て直し着地


すぐに走り込んで


西提督「なっ!」


提督「どりゃぁぉあ!」


驚いているその顔を殴った


しかし、同時に西提督の殴りも顔面をとらえた


提督「ぐっ!こんなの痛くないっぽい!」


当たった拳を押し返した


西提督「っ!」


そして西提督の顔を殴った手をそのまま西提督の顔ごと地面に叩きつけた


ドン!


西提督「ぐあっ!」


提督「まだまだやれるっぽい!」


不思議だ・・全然痛みを感じない


本当に強くなったのか?


西提督「やる・・な・・だがお前」


まだ、立ち上がるのか


でも、俺は全然疲れていないし痛みもない


やれる!


提督「ぽーーい!」ダッ


西提督「戦い中にカラコンなんてしてんじゃない!割れたら危ないだろ!すぐに外せ!」


提督「は?するわけないっぽい!」ドゴッ


西提督「うぐっ!」


提督「大体カラコンなんて買う金なんてないっぽい!」


あれって結構したりするからそんな意味のない厨二病促進道具なんて買わない


提督「隙ありっぽい!」


西提督「っ!ぽいぽい!煩い!」シュッ


提督「ぽいなんて言ってないっぽい!」シュッ


こちらの攻撃が当たる前に向こうの攻撃が当たった


でも、痛くない


手加減してるのか?


まだ、足りないというのか?


受けた攻撃をはね除け殴る


そっちがその気なら本気を出させてやる!


縦横無尽殴りまくった


西提督も負けずと応戦してくるが全然ダメージを感じない


やはりこれくらいでは本気も出してくれないのか


そう思ったのだが


西提督「ぐっ!・・・」片膝を着く


効いてないようには見えない


西提督「はぁ・・はぁ・・見た目で侮っていたわけではないが・・どういう事だ・・あれだけ攻撃が当たったのに何故立てる」


提督「西提督さんが手加減してるっぽい!本気でくるっぽい!」


西提督「悪いが俺はお前を相手にすると決めた時から手加減なんて考えていない」


提督「それって・・・」


西提督さんは見た目に反して弱い?


それとも俺が強過ぎた?


いや、いくらなんでも周りの考え方が変わったくらいでそんなに変わるわけはない


ならなんで?


提督「本当に本気っぽい?」


西提督「あぁ、それとお前さっきからなんだ?夕立の真似か?」


提督「え?夕立っぽい?」


西提督「語尾にぽいなんて付けてるのは夕立くらいだ。それにさっきまで普通に喋っていただろ」


提督「え?でも・・」


俺は普通に喋っている


ぽいなんて言った覚えもないし


夕立という駆逐艦なんて知らない


あれ?なんで駆逐艦だって分かるんだ?


ハンモック張ってる駆逐艦なんて俺は知らない


あれ?ハンモック?なんで知ってるんだ?


夕立に会った事あるとか?


分からん


まぁいいや


とにかくぽいなんて言ってない


夕立なんて知らない


提督「西提督さん、今は演習中っぽい会話なら終わった後にしましょう」


西提督「・・・・そうだな、お互い体力もあまりないみたいだし次で決めるぞ!」


提督「ぽい!」


俺はまだ余裕あるけどね


西提督「来い!」


提督「っ!」ダッ


ドクン


提督「っ!」


その時身体中が激痛に襲われる


提督「うわぁぁあああ!」


痛みでどうにかなりそうだ


まるで今まで感じなかった痛みが一気に来たようだ


西提督「終わりだぁあああ!」シュッ


西提督の渾身のパンチが近づいてくる


痛みであまり考えられない


頭がぼーっとする


何が来てる?当たればいいの?それとも避ければ良いの?


鳳翔「提督さん!避けて!」


提督「っ!」サッ


西提督「っ!」スカッ


言葉に反応して咄嗟にしゃがんで避けた


提督「ぐっ!」ズキッ


身体が悲鳴をあげてるようだった


疲れもどっと来ていた


西提督は盛大に大きくスカぶり隙が大きく出来る


だけどなにをしたら?まだ頭がぼーっとしてる


もう動きそうにない・・・・


視界が歪む


提督「っ・・・・」


不知火「チャンスです!決めてください!」


チャンス?


電「決めるのです!」


決める?


電「昇竜拳なのです!」


提督「っ!」


昇竜拳!


練習はしていた


提督『昇竜拳ー!昇竜拳ー!』ピョンピョン


しかし、電にやられてからはやっていない


出来るのか?


てか、本当に出来るなんて思ってない


いや、やるんだ!


そのガラ空きの顎にこの拳を!痛みなんて気にしない!疲れも知らん!


提督「歯を食いしばれ!提督流奥義!昇竜拳!!」シュッ


ドゴッォオオン!


西提督「ぐぉおおお!!」


顎に命中!ただのアッパーだけど


衝撃だけでこっちもダメージが


提督「うっ!」フラッ


西提督「っ!!」ギロッ


ガシッ


提督「っ!」


西提督「ここまでよくやった!お前は強い!だが!これで終わりだ!」


西提督「うぉおおら!!」ブンッ


提督「うわぁあああ!」


掴まれ船の外へと大きく投げられた


このまま海へ落ちれば


もう上がる体力は残ってない


身体はあちこちが痛いし暑い


海に落ちれば冷んやりして気持ち良いかもしれない


よく頑張ったよ俺は・・だからもう


良いよね?


提督「・・・・・・」


あれ?いつまで経っても海に落ちない?


冷たくない寧ろ温かい


背中にたくさんの温かい感触を感じる


良い香りもする


なんだろう凄く安心する


提督「っ!」


艦娘達「「「・・・・・・」」」


提督「みんな・・・・」


海に落ちていなかった


みんながその手で俺を支えてくれていた


そう、ここにいるみんなが一箇所に集まって敵味方関係なく手を伸ばして俺に触れていた


数が多い所為で触れていない娘もいたが


みんなが俺の為に手を上げキャッチしていた


こんな最後の最後であっさり投げられて負けた俺を


みんなが優しく見つめてくる


中には顔を真っ赤にして俯いている娘もいる


そうか、俺今上半身裸だからかな?


でも、その娘もしっかりと手を上げて俺に触れていた


汗や血で汚れてるのにも関わらず支えるようにしっかりと


ああ・・・・・なんて俺は幸せなんだ


あの時一人でも味方になってくれる人がいてくれるだけで良かったのに


こんな俺に


こんなにたくさん


支えてくれる人がいたなんて


本当・・・・


提督「幸せものだ・・・」ポロポロ


西提督「・・・・・・・」


まるゆ「隊長!まだ終わってません!号令を!」


みんなが頷く


そうか、そうだよな


まだ、俺は沈んでいない


提督「みんな力を貸してくれ!」


涙声で聞こえにくいかもしれないけど精一杯叫んだ


艦娘達「「「っ!」」」ガッシリ


今度はみんなが俺をシッカリと掴む


西提督「お、お前達!ま、まさか」


提督「ジェノサイド提督砲!準備」


艦娘達「「「ジェノサイド提督砲準備!」」」グッ


皆が準備を開始する


不知火「提督これを」スッ


提督「これは・・着けてくれるかな?」


不知火「はい」スポッ


不知火からカツラを貰った


頭が温かい


少し匂うけど


朝潮「提督さんクシを使ってください」


提督「頼めるかな?」


朝潮「はい!」提督の髪をクシでとかして馴染ませる


不知火「どうぞ」鏡


提督「これが俺・・・・」ロン毛


愛宕「ごめんね私両手塞がってるから〜」朝潮と不知火持ち上げ


愛宕さんが二人のお母さんに見えてしまう


言ったらやばそうなので言わないけど


他の艦娘達が俺の身体に何かを付けている


プロテクターを足や腕に付けてくれていた


安全対策だろう


ペタッ


提督「ひゃん!」


誰だ今湿布貼った奴


いきなり貼られると冷たくてビックリするから言ってね?


でもありがとう


そこは痛くない所だけど


この姿はまるで若手芸人が身体を張ったロケをする時の格好のようだ


身体中に湿布やらカットバンが貼られる


湿布は外れにくい良い物を使ってる


カットバンはなんかのアニメキャラのが混じっている。やはり女の子なんだな


一部だけそのカットバンが大量に貼られてるので一人が貼りまくったのだろう


だが、貼りすぎなようにも思える


阿武隈「ここも、あ、ここにも、ついでにここにも」ペタペタペタペタペタペタ


誰かがズボンの裾を上げている


足にテープが巻かれてる?


まさか・・・・よせ!


伊168「え〜い♪」一気に剥がす


バリバリバリバリ


提督「うぎゃぁあああ!」


すね毛がぁああ!


伊168「うん、綺麗になった」


すね毛を抜く意味はないぞ!


鳳翔「はい、ヘルメットです」


提督「それは・・・」


それを被れば朝潮さんがとかしてくれた髪が台無しだ


朝潮「・・・・・」シュン


提督「それはいらない」


朝潮「・・・・・・」パッ


鳳翔「ですが・・危険です。万が一があったら」


提督「良いんだ・・このままが、分かってくれ鳳翔さん」


鳳翔「提督さん・・はい、分かりました!」


西提督「な、なんなんだ・・艦娘達の上で提督が治療されたり装備が付けられたりしている・・・これは」


西提督「羨ましいぞ!」


電「この拳で決めるのです。相手だけを見るのです!腹に一発入れてやれ・・なのです」包帯を手に巻き巻き(バンテージ)


提督「あぁ!」


雷「提督ちゃーーん!」火打石カチカチ


提督「行ってくるよ。母さー、雷」


雷「母さんでも良いのよ?」


提督「・・・・・・」


恥ずかしい・・・


艦娘達「「「ジェノサイド提督砲準備完了!」」」


提督「目標補足!」


提督が西提督を睨む


これで決めてやる!


西提督「っ!」


艦娘達「「「目標補足完了!」」」


まるゆ「号令を」


みんなありがとう


俺は俺は!西提督と言う名の筋肉の壁を越える!


提督「よーい!てぇーー!!」


艦娘達「「「いけぇええ!」」」ブンッ


西提督「なっ!!」


投げられた砲弾(提督)は西提督へと


提督「うぉおおお!」ゴォオオオオ!


西提督「提督!そこまでしてお前は・・・」


西提督「ならば!全力で受けてやる!来い!!友よ!!」フルパワー(筋肉3倍増し)西提督


提督「うぉおおお!これが俺の覚悟だぁあああ!」フルアーマー(湿布とかカットバンとかその他諸々)提督


この拳にみんなの想いを乗せて!


ドゴォオオン!


提督「っ!!」


メキメキ


骨の軋む音がする


西提督「ぐはっ!ぐぉおおおお!!」ガシッ


まだ勢いは残っている!このまま押し切る!


身体が限界だと言っている


いや、限界なんてとっくに超えている


これ以上はやばいかもしれない


だが!ここで止めたらきっと二度と自分を信じる事が出来なくなる


本当の意味で諦めてしまう


これは西提督との戦いでもあるが自分との戦いでもある


どちらにも負けるわけにはいかない!


根性見せろ!


提督「っ!!」キュピーーン


西提督「むむ!!」ググッ


なんて硬い腹筋なんだ


提督「がはっ!いけぇえええ!!」


俺を掴んだ西提督が少しずつ後ろへ下がっている


西提督「ぐぅううう!!おおおおお!!」


後少しで!西提督に勝つ!


提督「おおおおおおおおお!!」


ジュウ〜〜っと音がして床の焦げる匂いがする


西提督はまだ立っている


提督「ぐっ・・・くそ・・」


そこで勢いは消えた


止められた


でも全力をぶつけられた悔いはない


提督「・・・完敗で・・・す」ドサッ


まるゆ「隊長ぉおおお!」ダッ


鳳翔「すぐに西鎮守府へ!急いで!」


朝潮「不知火さん行きましょう!」


不知火「提督〜」ガクッ


朝潮「不知火さん?不知火さん!」


愛宕「あら〜疲れたのかな?うん、じゃあ帰ろうね?」


朝潮「あ、でも提督さんがー」


愛宕「みんなに任せれば良いのよ。レッツゴ〜」


朝潮「あ〜〜」


西提督「・・・・・・・・」


伊168「西提督さん!ごめんなさい!なんか流れで・・・ごめんなさい!」


西提督「・・・・・・・・」


雷「司令官・・怒ってる?」


阿武隈「はいはい、どいてね〜どれどれ?」


阿武隈「うん、二人とも安心して怒ってないみたい。西提督さん凄い不気味な笑顔で立ったまま気絶してる」


阿武隈「凄く嬉しそう」


伊168「うわ〜怖」


雷「ほっ・・・あ、提督ちゃーーん!」ダッ


阿武隈「でも・・命令違反とかでは後で怒られるだろうな・・はぁ・・」


伊168「そうだよね・・はぁ・・」


それからすぐに演習の終了が宣言された


勝敗は・・・・・おんぼろ鎮守府の提督側の反則により


西鎮守府の勝利となった


番外編【提督達のキラ付け東提督編】


東提督「・・・・・・・・」育毛剤


提督「・・・・・・・」育毛剤


東提督「・・・・・・・」ツンツン


提督「・・・・・・・・」どばっどばっ


東提督「うむ」キラン


提督「うむ」ポタポタ


東提督「・・・・・・・」クシ


提督「・・・・・・・」クマ手


東提督「・・・・・・・」トントントン


提督「っ・・・・・・・」ガンガンガン


東提督「うんうん!」キラキラ


提督「うんうん!」ポタポタ


不知火「提督強く叩き過ぎです。後付けすぎです・・・それに水滴が・・赤いです」


育毛剤は適量をかけてクシで優しく叩くように馴染ませよう


番外編




母との再会


天国というものは本当にあるのだろうか?


あると言っている人もいればないと言う人もいる


じゃあ、どっちだよってなるけど結局は分からない


だって、死んだ人が行く所なんだから生きてる人にその事を伝える事は出来ない


死んで初めて分かる


天国はあったんだ


ー???ー


提督『此処は・・・・・』


見渡す限り花畑だ


俺の知る限りではこんな場所は知らない


てか、ずっと花畑しかない場所なんて普通はない


本当にずっと花畑だ。それ以外何も見えない


でも、大きな樹がある


それにも花が咲いていた


綺麗だ・・しかも見た事ない花だ


花畑なんだから天国なんだろうけど


花粉症の人なら地獄なんだろうな


此処らは花粉だらけで息も出来ないだろう


なんか花がムズムズしてきた気がする


俺死んだのか・・・・あんだけ無茶したんだ当たり前か


提督『みんな・・ごめん』


守ると言ったのに・・・情けない


でも、俺は地獄に連れて行かれると思っていたんだけど


まさか天国とは


いや、天国じゃない別の場所かもしれない


だって天使がいないし、三途の川をまだ渡ってない


てか、川すらない


でも、一つ言えるのは此処は死後の世界だという事だ


何故そう思うかと言うと


目の前に居るはずのない人物がいるからだ


提督『母さん・・・・・』


母はスコップで穴を掘っていた


花が・・・・・


母『ふぅ・・あら?』


提督『母さん、そ、その久しー』


母『提督、丁度良い所に来たわね。ちょっと手伝って』


提督『え?手伝うって?』


まさかこの穴掘りとか言わないよね?


母『穴掘り』


提督『なんで穴掘ってんだよ』


母『川を作る為よ』


提督『はぁ?川?母さんそんなスコップ一つで作れるわけないだろ』


母『誰が決めたの?出来ないなんてやらない人の言い訳よ』


提督『でも、川なんて作っても』


母『はぁ・・提督は分かってない本当分かってない』


提督『なにがだよ』


母はビッシッと指をさして言った


母『ドリームよ!』


提督『はぁ?ドリーム?なに言ってんだか・・』


母は生前よく訳の分からないことを唐突にする事が多かった


それでいて呑気で自由奔放だった


俺はいつもそれに振り回されていた


孤児院を始めたのもその一つだった


その時から俺は孤児院の子となってしまったが・・・


大体の理由はなんとなくだったけど


父の事だけはいつも真剣な顔で言っていた


好きだったから


それは父に捨てられた時も変わらずそう言い続けていた


そして孤児院を始めて一年で母は亡くなった


俺が小学生の時だったかな・・・


その時も最期までその言葉は変わらなかった


好きだったから


提督『はぁ・・・・・』


母『さぁ!スコップ持って』


提督『はいはい』


こうなった母は飽きるまでやめない


付き合ってやるしかない


でも、悪くない


母さんとこうして話せるなんて


母『よーし!三途の川作るわよ!』


提督『出来るかぁああ!』


母『なんでよ!諦めたらそこで試合終了なのよ!』


提督『そんな途方もない物を作ろうとするな!大体そういうのは既にあるだろ?』


母『ないけど?』


提督『え?』


母『だから、三途の川ないのよ』


提督『まじ?』


母『まじ!だから作ろうと思ったのよ。みんな楽しみにしてるでしょ?六文銭持ってさ?船どこかな〜って探してもないのよ!もう!怒りのあまり六文銭全力投球しちゃったのよ!楽しみだったのに・・』


提督『いやいや、そんな普通は楽しみだとは思わない・・・よね?』


母『それが結構多いのよ?前に来た重次郎さんなんて三途の川何処ダァァああ!って叫んでたんだから』


提督『その人は?』


母『この先に門があってそこへ入れば天国へ到着らしいわ。煩いから連れて行った』


提督『え?て事は此処はまだ天国じゃないのか?』


母『えぇ、そうよただの道よ』


提督『母さんは行かないのか?』


母『入るのに六文銭がいるって・・・全力投球したから何処に行ったか分からないのよ』


提督『なんという事を』


母『それで考えたのよ。三途の川を作って川の渡し賃を貰うのよ!そうすれば手に入るでしょ?』


提督『それで作ろうと?』


母『まぁそうね。でも一番の理由はドリームよ!やっぱ川渡れず天国なんて行けるかっての!提督もそうでしょ?ね?ね?』


提督『ははは・・・狂ってやがる』


母『私は正気よ!さぁ始めるよ!ほら!掘れ掘れ〜〜』


提督『でも、本当に・・母さんは変わらないな』


懐かしいな・・・・


何年、いや、何十年何百年何千年掛かるか分からないけど


母『ほらほら、ぼーっとしてないでさっさと働け!二人で三途の川作ってがっぽり儲けるのよ!』


提督『はいはい、よし!仕方ないやるか!』


時間は無限にあるんだ


ゆっくりさせてもらおうかな?


母『提督!掘れぇええ!』


ゆっくりは出来ないか、ははは


提督『よっしゃぁああ!』ザクッザクッ


提督殉職


提督が穴掘りを頑張っている時西鎮守府では西提督と提督の治療中だった


西提督は意識こそないが命に別状はなかった時期に目覚める


だが、提督がかなり重傷で意識がなく危うい状態だった


どう転んでもおかしくない


誰もが最悪の事態だけはと祈ったが


その最悪の事態が来てしまった


ー西鎮守府医務室ー


ピーーーーーーーー


提督「」


夕張「嘘よね?提督・・ねえ!!提督!」ゆさゆさ


明石「心臓が止まっても少しならまだ間に合う!」


武蔵「っ!電気ショックの準備だ!早くしろ!」


大和「分かった!」ダッ


まるゆ「隊長!隊長!!」


鳳翔「まるゆちゃん落ち着いて!」


武蔵「危ないから離れてろ!」


電「っ!」


大和「電気ショックいきます!3、2、1!」


ドンッ!


提督「」


武蔵「もう一回だ!」


電「や・・・る・・す」


雷「提督ちゃん頑張って・・」


大和「3、2、1!」


ドンッ!


提督「」


武蔵「もう一回!」


電「やめる・・す」


大和「3、2、1!」


ドンッ!


提督「」


武蔵「くっ!まだー」


電「やめるのです!これ以上司令官を傷つけるな!」


武蔵「電・・・だが・・」


大和「・・武蔵、もうこれ以上は無理よ・・もう死んでる・・」


不知火「」バタッ


朝潮「不知火さん!」


武蔵「くっ!提督!此処で終わるのか!お前はそれで良いのか!何か言え!」


提督「」


武蔵「西提督になんて言えば・・・」


阿武隈「あたしの所為よ・・あたしが・・・」


愛宕「私もよ・・・・私達が殺したようなものよ」


伊168「・・・・」スネ毛の付いたテープ


大和「・・・・・このバカ」


みんなが悲しんでいた


そして諦めた


荒潮「ふぅ〜良いお湯だったわ。あら?みんな集まってどうしたの?」


シーーーーーーン


荒潮「な、なにこの空気・・長風呂し過ぎたから怒ってるの?そうなの?」


阿武隈「違うよ荒潮ちゃん・・提督さんが・・」


荒潮「え?」


阿武隈「亡くなっー」


如月「ちょっとどいてくれる?」ドン


阿武隈「うわぁ!」フラッ


頭ゴンッ


伊168「いたぁ!」


鳳翔「如月ちゃん・・・提督さんはもう」


如月「どいて」


鳳翔「如月ちゃん・・・・」


雷「提督ちゃん・・・・・」


電「・・・・・・」通せんぼ


如月「どいて電」


電「もう!これ以上司令官にー」


如月「・・・・・」ギロッ


電「っ・・・・」ブルッ


如月「電ごめんね」ナデナデ


電「っ!」


電「ふぇええ・・・司令官」ポロポロ


夕張「うぇええん!提督!」ポロポロ


明石「・・・・・・・」


如月「邪魔よどいて?」


明石「如月・・・」


夕張「いやいや!絶対にどかない!うぇええん!!」提督にしがみ付く


武蔵「如月・・・すまなかった助けられなかった」


大和「ごめん・・・」


如月「・・・・・・ねぇ?どいてよ」


夕張「離れないもん!」


明石「もう少しこのままにさせてあげー」


如月「どきなさい!!」


如月以外全員「「「っ!」」」ビクッ


如月「提督は死なせない・・この子だけは」艤装展開


武蔵「もう手遅れだ・・・・」


如月「・・・・ううん、まだ方法はある」


如月「ごめんね・・・・・」


そう言って提督を抱えて部屋を出て行った


誰も着いて行こうとはしなかった


如月「ごめんね・・ごめんね・・」


如月はずっと提督に謝り続けていた


大切な人達の居る場所へ


ー???ー


提督『ふぅ〜結構掘ったかな?』


頑張って掘った穴の数々を見る


後で穴と穴を繋げれば大きな溝が出来るからとりあえず穴を掘りまくったんだ


そう、掘りまくったんだ


掘りまくったんだけど・・・


穴がない


母『どう?掘れた?全然駄目ね』


提督『穴がない・・・・』


母『やっぱりダメか・・』


提督『ん?やっぱり?』


母『何回掘っても少し経つと元に戻るのよ。本当に迷惑』


提督『意味ないじゃないか!』


母『意味ならあったわ。そうでしょ?』


提督『ねぇよ!何も得る物なんてなかったじゃないか!』


母『ふふ、そう?提督の話し聞いてて楽しかったよ?』


提督『え?聞いてたの?』


ずっと掘り続けるだけでは飽きてしまうと思い母に色々話しかけていた


母は穴掘りに夢中で聞いていないと思ったがバッチリ聞いていたようだ


母『良い子達ね。みんな』


提督『うん、みんな俺を信じて着いて来てくれる』


提督『大切な存在だよ』


母『大切な存在か・・・』


母『・・・・・・・・』


母『提督』


提督『なに?』


真剣な顔になる


久しぶりに見たけどやはり普段の母とは全然違う


母『提督が本当に大切と思える存在は一人じゃダメよ?』


提督『大丈夫だよ。俺の鎮守府はみんな大切なー』


母『そういう意味じゃないの』


母『提督もそろそろ好きな異性とかいるでしょ?そういう子よ』


提督『い、いや、それはまだ・・』


母『え!提督の話し聞いてれば最低でも三人は夜這いしても受け入れてくれるのに!何してるのヘタレ!』


提督『息子に何言ってんだ!手なんて出せるかよ!』


母『馬鹿!そっちが出さなくても向こうが待ってんでしょうが!良い事?絶対に大切な人を数人作りなさい!分かった?』


提督『分かったよ。約束する』


どうせ戻る事は出来ないんだし適当に返事しておくか


出来ないんだよな・・・・・


母『そして必ず一人は大切な人を側に置いておくのよ?常によ?分かった?』


提督『分かったよ。絶対に離れない』


母『絶対よ?』


提督『約束する絶対だ』


母『そうすればあの人の様にはならないから・・・』


提督『え?あの人って?まさか・・』


母『後は自分で知りなさい。元気でやるのよ?』


提督『母さん・・でも、俺はもう・・』


母『あの娘が待ってるから行ってあげなさい』


そう言うと辺りを見回して地面を掘り出した


母さんのアホ毛が凄い勢いで動いてる


母『まだ、諦めてないみたいよ。なら私も頑張らないと』ピコピコ


提督『え?』


諦めてない?誰が?頑張るってどういう事だ?


でも、もしかして帰れるのか?だとするなら


母『ふぅ〜腰が痛い』ピコピコピコピコ


アホ毛取れるんじゃないかってくらいには動いてる


提督『母さん俺も手伝うよ』


母『そう?じゃあ、お願いね』


母『そこの二人も手伝ってくれる?時間があまりないみたいだから』


提督『二人?』


母『さっきからずっと見てたわよ?此処まで追ってくるなんて提督やるわね。でも、ストーカーはダメよ?』


提督『まじか!』


夕立『無理矢理連れて来られたっぽい・・』ムスッ


時雨『本当に綺麗な場所だね』


提督『あ・・・・・・』


何処かで見た事が・・


提督『っ!』


提督『ビッチ!』


夕立『喧嘩売ってるっぽい?』


時雨『ふふふ、それなら僕もそうなるけどね。ビッチかな?』


提督『あ、初めまして』


時雨『うん、初めましてだね。時雨だよ』


提督『時雨さんだねよろしく』


時雨『呼び捨てで良いよ提督』


提督『あぁ、分かった』


夕立『・・・・・・』イライラ


時雨『提督、夕立にも』


提督『ん?ビッチさんこんにちわ』


夕立『もう怒ったっぽい!夕立には夕立って名前があるっぽい!』


時雨『まぁまぁ、時間がないのは本当の事だし遊んでる場合じゃないよ?』


夕立『遊んでなんかいないっぽい!』


提督『ふむ・・・』樹の枝


夕立『なに?やるっぽい!』身構え


提督『・・・・・・』樹の枝ふりふり


夕立『っ・・・・・』ピクッ


これはもしや・・・試してみるか


提督『取って来い!』ポイッ


夕立『ぽい!』ダッ


提督『夕立って犬みたいだね』


時雨『可愛いよね』


夕立『はっ!・・身体が勝手に・・く、殺せ』樹の枝手渡し


提督『返してはくれるのな』樹の枝ポイッ


夕立『ぽーい!』ダッ


提督『一家に一人欲しいね。ペットとして』


時雨『僕はいらないの?ショックだな・・』


提督『え!い、いや、時雨はね?飼うというよりはね?』


時雨『ふふふ、分かってるよ。じゃあ、その時は娘として迎え入れてね』


提督『ははは、あぁ、その時はね』


時雨『約束だよ』


母『いちゃいちゃしてるところ悪いけど本当急がないと』


夕立『くっ・・・こ、こんな物!』樹の枝


夕立『返すっぽい・・・』樹の枝手渡し


提督『ん?いらん捨てといて』


夕立『や、やっと解放された・・・っほい・・・』ガーーン


提督『言葉と表情が違うぞ』


本当に可愛いな・・・ペットとして


時雨『掘れば良いの?』


母『うん、お願いね』


時雨『了解だよ。夕立』


夕立『分かった・・・っぽい』


提督『よし、やるぞ!』


それから少しして


母『発見よ!消える前で良かった』


黒い穴『』ゴォオオオオ


提督『ブラックホールがなんで地面の下に・・・』


夕立『・・・・・・』


時雨『・・・・・・』


母『さぁ!行きなさい!』


提督『はい?』


ここに?入れと?


正気か?


母『どうしたの?行きなさい』


提督『いや、でも、これやばいやつじゃないかな?なんか入ったら分子レベルで分解されそうな』


母『だから?良いじゃない分子レベルに分解してもらいなさいよ。そしたら後頭部が薄くなくなるかもよ?』


提督『嫌に決まってんだろ!大体薄いって言っても人より髪の毛が細いだけだ!』


母『どうして髪の毛は父親に似てしまったんだろうね・・母親似なら綺麗な髪だったのにね。薄い癖に遺伝子だけは濃いのだから』


提督『母さんみたいな髪ね・・・』


母『綺麗だったのよ』


提督『うん、綺麗だよ母さん今も』


母『私に言っても仕方ないでしょうに・・』


提督『え?』


母『あ、やべ』


提督『母さん今のはどー』


黒い穴『』ゴォオオ


夕立『小さくなってるっぽい!早く行く!』


時雨『提督早く閉じてしまったら君は本当に死んでしまった事になる』


提督『だ、だが・・・母さん』


母『もう言うことはない行きなさい』


提督『母さん・・・・・』


母『・・・・行きなさい』


提督『分かったよ。これ以上は聞かない。でも、これだけは言わせてくれ俺にとって母親は母さんだけだから』


母『・・・・・・・』


時雨『別れが済んだなら早くしないと』


提督『・・・・・あぁ』


行くしかないが


黒い穴『』ゴォオオ


中は見えないし空気が重い


怖い


足が動かない


提督『っ・・・・』


『ごめんね・・ごめんね・・』


提督『っ!』


確かに聞こえた。その声は如月の声だった


なんで謝ってんてだ?謝るならこっちだろ


死んでしまってごめんって


提督『如月・・・・・』


母『・・・・やっぱりそうなのね』


『こんな身体にーーーでごめんね』


提督『身体がなんなんだよ』


何を謝ってんだ


どうしてそんなに辛そうな声なんだ


声は黒い穴から聞こえる


提督『如月・・・・・・』


あの向こうにいるのか?だったら・・


夕立『もう消えるっぽい』


時雨『提督どうするの?』


『私も・・・すぐ逝くからね』


提督『っ!』ダッ


黒い穴に飛び込んだ


もう怖いとか言ってられない!この向こうに如月がみんながいるなら


また、会えるなら・・・


提督『うわぁあああああ!落ちるぅうう!』


黒い穴『』ゴォォ


母『しっかりやりなさいよ提督』


夕立『行くっぽい』


時雨『そうだね』


母『貴女達は此処に残るのも良いと思うけど?二度と来れないわよ?』


母『わざわざ死ねない世界に戻るのもどうかと思うけど?』


時雨『僕らは彼に着いて行くって決めたんだ』


夕立『見ていたい・・・』


母『そう・・なら、提督の事お願いね』


時雨『それは彼次第だけど分かったよ』


夕立『さよならっぽい』


母『うん、いつか貴女達が海へ出たいと思えるように祈ってるからね』


時雨『うん、それは分からないけどね・・でも・・』


母『焦らなくていいから』


時雨『うん・・・』


夕立『・・・・・・・』


黒い霧の先に


黒い穴の中には道があり黒い霧で先が見えにくい


だけど止まってはいられない


進もう


提督『・・・・・・』


『ごめんね・・ごめんね』


提督『・・・・・っ』


『提督ごめんね・・・・』


如月の声が聞こえる


もう謝らないでくれ


もう聞きたくない


悪いのは俺で如月は悪くない


如月が何を謝ってるのかは分からない


でも、どんな事だろうと俺は許す


だから・・・・・・・


提督『俺を追って死ぬのだけはやめてくれ如月』


早く如月の元へ行かないと手遅れになる


突如黒い霧が濃くなり視界を奪う


提督『っ!』


先が見えないし息苦しくなってきた


提督『ぐっ・・・・』


身体が重い


少しでも歩みを止めようとすれば動けなくなる


やがてその黒い霧は無数の手の形になり俺を掴む


何処かへと引きずり込もうとしている


提督『ぐっ!邪魔をするな!俺は行かないといけない!ぐぉおお!』


掴んでくる手を払い除けながら時に噛み付いたり蹴ったりして進む確実に一歩更に一歩


黒い手『逃がさない〜〜』ガシッ


提督『っ!!』ガブッ


黒い手『痛い〜〜』パッ


提督『ぺっ!まず!』


無数の黒い手『待て〜〜』ガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッ


提督『ああー!!離せ触るな!』バシッバシッバシッ


提督『っ!!』ガブッガブッガブッガブッ


必死に抵抗するが


黒い手はどんどん増えて


ガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッガシッ


提督『っ!!』


黒い手が全身を包んだ


払い除ける手も、蹴りつける足も、噛み付く口も全てが黒い手に覆われる


そしてその手が一つの巨大な黒い手になった


締め付けるように掴む


提督『ぐぁああ・・・・くそ・・』


もうだめだ・・・・・


提督『ごめん・・・みんな・・如月』


夕立『ぽぉおおおい!!』ガブッ


巨大な黒い手『ぎゃぁああ!』パッ


提督『っ!夕立!』


時雨『提督こっち!』手を引く


提督『ありがとう助かった』


時雨に手を引かれて先へ進む


提督『時雨待ってくれ!夕立が!』


時雨『夕立なら大丈夫!それより君がここで呑み込まれてしまえば僕達もそうなってしまう』


提督『なんで!』


時雨『説明は後走るよ・・提督?』


提督『ごめん・・やっぱり夕立が』


時雨『君は優しいね・・でも優し過ぎるのも君の悪い癖だ。信じてあげて欲しい僕も夕立も君の仲間と同じように』


提督『信じたいけど・・仮に一人で倒せるとしても女の子に任せて逃げるなんて男じゃない。やっぱり戻る』ダッ


時雨『あ、提督!』


夕立『っ・・・・・・』ダッダッダッダッダッ


提督『夕立無事だったか!』


夕立『早く逃げるっぽい!!』


提督『へ?』


無数の巨大な黒い手御一行様『待てーー!!』


提督『ぎゃぁああああ!』


夕立どれだけ頑張ったんだよ!あちらさん本気じゃないですか!


提督『走れぇええ!』ダッ


逃げる時雨と夕立を追い越して二人の手を握って走る


提督『絶対に離すなよ!』


時雨『提督・・・うん』ギュッ


夕立『・・・・仕方ないっぽい』ギュッ


無我夢中で走った


後ろも見ず


どれだけ走っただろうか


黒い霧はなくなり


光が見える


その先へ


提督『出口だ!』


しかし


提督『な!行き止まり!』


道がない下は見えない落ちたら確実にしー


時雨、夕立『『いけぇええ!』』ドンッ


提督『うひゃぁあああ!!』


落とされた


提督『お前らぁああ!覚えてろよぉおお!』


ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーー


ドクン!


提督「ぶはっああ!!」ビクッ


如月「っ!提督」


提督「うう!ぐぅうああああああ!」


如月「提督頑張って!」ギュッ


提督「うぁああああ・・・あ・・あ」


如月「提督私が分かる?」


提督「き・・・さ・・ら・・・ぎ」


如月「うん、そうよ。提督お帰り・・お帰りなさい!」ポロポロ


提督「た・・・だ・・いま・・」


如月「ーー!」ギュゥウ


提督「・・・・・・」


どうやら帰ってこれたようだ


まだ、上手く喋れないし身体にもあまり力が入らないけど


良かった間に合って


如月・・そんなに強く抱きしめたら


あばばばばばばばは!!


提督「っ!!」ビクッ


如月「どうしたの?」全裸


提督「な・・・・ここっ・・て」


如月「入渠ドッグだけど」全裸


あ、俺は今如月と同じドッグで混浴してるのか、ははは


周りにはたくさんの使用済バケツがあるけどそれよりも


入渠ドッグつまり風呂だ


如月が全裸なら俺も・・・・


自分の身体を恐る恐る見る


提督「・・・・・・」全裸


あかん


如月「本当に良かった」ギュゥウウウ


提督「う、う・・・うひゃぁああああ!!」鼻血ドバーーー


如月「提督?提督!!しっかりして!提督!」


武蔵「何があった!如月!」


武蔵「なんだと!救急車だ!救急車を呼べ!!」


曖昧な記憶


その後俺は病院へ運び込まれ


検査を受けて当分入院する事になったらしい


らしいというのはその日から3日間俺はずっと眠っていた


だからこの事を知ったのは3日後でその前に何があったのかはよく覚えていない


演習で西提督と戦って倒れたまでは覚えているんだけどそれからずっと眠っていたのかそれとも何かをしていたのかはあまり覚えていない


両方の様な気もするけど、所々覚えている?ような記憶はあった


これが妄想なのかそれとも本当にあった事なのかも分からない


その中でも一番やらないといけないと思っている事があった


それは母さんの墓参りだ。しかも六文銭を持って


かなり重要なような気がする


これをしないと母さんが何か馬鹿をやらかしそうな気がしてならない


おかしいよな死んだ人間を心配するなんてな


母さんなら天国できっと大人しく・・・はしてないか


近いうちに葬儀場に寄って六文銭の紙を貰ってからに行こう


紹介したい娘たちもいるし


目が覚めた後


西提督や西鎮守府の艦娘達それにおんぼろ鎮守府の仲間達も来てくれた


喜ばれたり、泣かれたり、謝られたりと大変だったけど


嬉しかった


でも、この病院でも看護婦に目をつけられてしまいナースコールを押せば稀に鳴るだけになった


鳴っても来ないけど


ナースコールを連打したのは如月と雷と何故か朝潮さんの三人なのに・・


それから更に一週間が経ち退院の目処がたった


おんぼろ鎮守府の仲間達は元帥から部下達だけでも帰らせろという事で俺以外はもう鎮守府に帰っている


心配ではあるが明石さんが言ってくれた


明石『安心しなさい。彼女達には元帥だろうと指一本触れさせないから』


と言ったので信用している


なんでも明石さんは元帥の弱味を知っているらしい


教えてはくれなかったけど


それから帰らせる為に仲間達を説得するのはかなり大変だったけど最後には聞いてくれた


それからは毎日雷がお見舞いに来て世話を焼いてくれた以外は平穏な病院生活を送れた


雷に何度駄目男にされかけたか


朝潮さんもよく来てくれたな


いつも花を待って殺風景な病室に花を飾ってくれた


隣の入院患者さんがくしゃみを連発しだしたのもそのくらいからだったかな?


花粉がダメなのかな?と思ったが朝潮さんの持ってくる花を二番目に楽しみにしていた人でもあったし違うよな?一番目は勿論俺な


涙を流しながら綺麗だって言ってたし


風邪を引いてないと良いが


そして退院した


西提督から大事な話しがあるから一度西鎮守府に来てくれと言われ


タクシー(西提督払い)で西鎮守府へ向かったのだった


第二の帰るべき場所


ー西鎮守府入り口ー


さて、着いたわけなのだが、まずは西憲兵に通してもらわないといけない


前の事もあるし通してくれるだろうか


あくびを交えながら立っている西憲兵に声をかける


提督「西憲兵さんこんにちわ。通してもらえませんか?」


さて、覚えているのか・・・


西憲兵「これは提督殿お疲れ様です!西提督用ですよね?なら執務室でお待ちです。案内しますのでどうぞ」


提督「あ、はい、お願いします」


なんか最初の時と全然態度が違うな


まぁ、最初は遅刻したからだろうけど


西憲兵「西提督のご友人との事なので粗相は出来ません。どうぞどうぞ」


そういう事か


提督「そんなかしこまれても困りますし最初の時と同じ様にで良いですよ?」


西憲兵「そんな事をすれば西提督に酷い目に合わせられますので・・助けると思ってお願いします。このままでいさせてください・・」


提督「なんか大変なんですね憲兵って」


西憲兵「そうなんですよ・・あの方が亡くなられてから憲兵達は一気に弱くなってしまい・・はは」


余程惜しい人を亡くしてしまったのか・・きっと実力がかなりある人だったのだろう


でも、どんなに強かろうとも人はいつか死ぬ


仕方ない事だ


でも、歓迎されてるのは嬉しいな


それは西鎮守府の中でもそうだった


みんなが笑顔で出迎えてくれた


そして言ってくれた


お帰りって


たく、ここは俺の鎮守府ではないのにな・・


はぁ、最近涙腺緩くていけない


みんなに涙が見えないように拭い言った


提督「ただいま」


なんか照れくさいな・・・


それから執務室へと向かう間


出会う艦娘達に挨拶をされ一言二言会話をして向かう


最初のあの視線もなくなっている


心なしか熱い眼差しで見つめてくる娘もいるような気がするが気の所為だろう


あり得ないな。結局負けてしまったんだから


カッコ悪かっただろうな


西憲兵「ここです。どうぞ」


提督「ありがとうございます。西憲兵さんお仕事頑張ってください」


西憲兵「勿体無いお言葉ありがたき幸せ!では、失礼します!」


提督「お、おう」


やはり態度が違い過ぎて若干罪悪感もあるのだが


ノックをして返事を待ってから入る


こういうの大切だよね


本当の勝敗


ー西鎮守府執務室ー


西提督「退院おめでとう提督」


提督「ありがとうございます。西提督さん」


西提督「何度も言ってるがさん付けや敬語などいらないと言っているんだ俺とお前は友なのだからな」


提督「もしそうだとしてもやはり西提督さんは俺にとって尊敬する先輩です。だから、これだけは譲れません」


西提督「うむ、頑固な奴だ。ますます気に入ったぞ!」


西提督「どうだ?一杯付き合え良い酒がある」棚ゴソゴソ


提督「いや、あの俺未成年で・・」


西提督「関係ない!あれ?見つからないな」


???「西提督これですか?」高そうな酒


西提督「おお!そうだそれー・・・み、妙高いつの間に」


妙高「ずっと居ましたが?一緒に書類を片付けていたではないですか?溜まりに溜まった書類を・・ね?」ニコニコ


西提督「そ、そうだったな、ははは」


妙高「西提督!!」グワッ


提督「ひぃ」ビクッ


西提督「はい!」ビクッ


妙高「未成年お酒を進めるのはダメですよね?それに昼間から飲もうとなんて・・・ふざけてるのですか?」ギロッ


西提督「だがこれは本当に良い酒で中々見つからないやつで友と飲む為に特別に取り寄せた」


妙高「ダメですよね?」


西提督「ぬぅ・・・そうだな。すまない・・本当に良い酒なのに・・・」


妙高「ダメです。飲むなら夜にお一人でどうぞ」


西提督「はい・・・・」


提督「おお〜」


あの西提督が押し負けている


流石第1艦隊旗艦であり秘書艦


妙高型1番艦重巡洋艦妙高


眉毛が特徴的な真面目なイメージのある人だ


病院で紹介された時は優しい笑顔で優怒ったりしなさそうだなと思っていたがそれは間違いで怒らせると怖いと言うのが分かった


気をつけよう


聞いた話しでは妙高さんは西提督が此処に着任する前から居たらしい西前提督のメンバーらしい


基本前提督が定年でやめてしまえばその艦娘達も一緒に辞めてしまう事が多いが彼女は残ったらしい


まぁ、でも辞められる事は最近は出来なくなって強制的に残す事も出来るらしいけど


そこは前の提督の判断になる


残れと言えば残らないといけないし好きにしろと言えば好きに出来る


上からの圧力に耐える必要があるけど


そう思うと西前提督は優しくて根性のある人だったというのが分かる


何故なら妙高さん以外はみんな新メンバーだからだ


妙高さんは望んで残ったのか?それとも・・・杞憂だな


つまり艦娘達の任期は提督の任期に比例するという事だ


だから、如月達の任期は俺の定年までという事だ


ちなみにその提督が殉職で空席になったり提督業をやり続けるのが困難になってしまい命令が出せない状態の時は上層部預かりになり大抵みんな残れと言われる


如月達の為にも簡単には死ねないという事だ


それこそ帆を張ってでも生き残る覚悟だ


あれ?何故に帆?何言ってんだ?俺は


提督「???」


妙高「それと提督さん」ギロッ


提督「ひいっ!は、はい」


妙高「そんな情け無い声を出さない!貴方は海軍人であり男です。私ごときに怯えるような事があってはなりません!もっと堂々としていなさい。分かりましたか?」


提督「は、はい!」


妙高「ハッキリ言いなさい!演習中の貴方はこんなじゃなかったですよ!偽者なんですか?本物なら大きな声で言いなさい!」


提督「はい!本物です!多分・・」


妙高「どっちなの!」


提督「俺は俺です!本物です!」


妙高「よろしい!堂々としなさい!」


提督「はい!」


西提督「・・・良い酒なのに」ションボリ


提督「・・・・偽者って」ドンヨリ


西提督「(提督よ。すまない任務から帰ってきた時から何故か機嫌が少しばかり悪いようで・・いつもはもう少し優しいのだが・・・)」


提督「(寿命が縮みましたよ・・)」


西提督「(時期に慣れる。もう一度言うが何時もはもう少し優しい。ほんの少しの差だが・・)」


提督「(慣れたくないですよ・・何か言ったりしたんじゃないんですか?帰って来た時おかしな事とかありませんでしたか?)」


西提督「(それが全く身に覚えがなくてな・・・そう言えば帰って来た時俺の顔を見た時一瞬だけ驚いた顔をしていたな)」眉なし丸坊主


提督「(てことは任務に行く前と行った後で西提督さんが変わったところを探せば)」


西提督「(うむ・・特には・・お前と友になったぐらいしか・・その事をたくさん話したりはしたが)」眉なしハゲ


妙高「・・・・眉毛」ジーー


提督「(まさか!やきもちを焼いているのかもしれません。女心って複雑ですね・・)」


西提督「(そ、そうなのか?喜んで良いのか迷うな・・しかし、妙高がやきもちか・・ふふふ)」ニヤニヤ


妙高「・・・・何をニヤニヤしてるのですか?そろそろ本題を話した方が良いのでは?」


西提督「うむ、そうだな!そうしよう」


やはり西提督は妙高さんの事が好きなんだ。心に決めた人がいるって言ったけど妙高さんだ


間違いない!


これは応援してあげないとな


俺に今出来ることは


提督「では、後は若い二人に任せて俺は」


二人の空間を作ることだ


妙高「ふざけてるのですか?」ゴォオオ!


な、なんか後ろにオーラ的なものが見える!


や、やばい!


提督「じょ、冗談です!すみませんでした!」


妙高「本当にしっかりしてください。貴方の事はそれなりに期待してるのですから」


提督「え?・・はい!」


西提督「俺は?」


妙高「一々言わないと?」


西提督「すまん・・言ってくれないか?」


妙高「・・・・期待なんてしてません」


西提督「そうか・・・・」


妙高「信頼はしてますが・・・」ボソッ


提督「ほう・・・・・」地獄耳発動


これは両思いでは?


妙高さんは西提督以上に頑固なようだ


ツンデレとは少し違うな


うん、リア充爆発しろ


西提督「気を取り直して本題に入ろう」


提督「はい」


流石切り替えはすぐに出来るんだな


こういうところも見習わないと


西提督「まずはなんやかんやで有耶無耶になった演習の勝敗についてだが」


提督「え?それは大和さんから聞きましたけど」


病院でまだ入院してる時に大和さんがお見舞い来てくれたのだ


一番来ないだろうと思っていただけありかなり嬉しかったが


大和『演習は提督の負けだから反則負けよ』


それだけ言って色々ボロクソに惨敗と書いてある演習報告書にサインをしたらさっさと帰って行った


書類の最後ら辺が空白だったのは少し気になったけど


元帥は書類で空白を残すと煩い。びっしりと書かんかって怒る


それぐらいなら大和さんは知ってると思うのだが


テーブルの上にフルーツの詰め合わせが置いてあった


惨敗祝いと書かれてる


優しいね・・・・本当


でも、そうだろうねって納得も出来た


だって最後のはどう見ても演習メンバー以外も参加していたし轟沈判定されてる娘もいた


あの時点でもう俺は負けていた


だから演習報告書にサインした。それはもうアイドル並みにサインした


大和さんへとも書いた


スルーされたけど・・


西提督「演習の数日後に改めて色々と話し合ったりしたんだが大和だけはお前の負けだと言い張ってな」


提督「そうだったんですか・・でも、それって」


大和さん以外は


西提督「そうだ。大和以外はお前の勝ちだと言っている勿論俺も含めてな」


提督「待ってください!俺は反則したんですよ?大和さんが合っているに決まってるじゃないですか」


西提督「いや、俺はそうは思わない。戦った俺が言うんだお前の勝ちだ。大和以外は認めてる」


提督「ですが!もう報告書は元帥に」


西提督「ふふふ、それはこれかな?」


その手には演習報告書があった


俺のサイン付きの


大和さんへと書いてるから間違いない


提督「それは!どうして・・」


西提督「武蔵と川内に協力してもらってなギリギリでおんぼろ鎮守府の勝利と書かれた報告書と交換した」


提督「ん?」


交換?奪ったの間違えでは?


西提督「川内はうちの鎮守府の艦娘ではあるんだが今は少し用で出ていてな時期に会うだろう」


提督「は、はぁ・・・」


川内さんね・・・名前だけ言われても分からん


提督「あれ?でも、報告書には過程も書かないと」


妙高「報告書の過程などは私が書きました。何度も映像を見ながら。サインは真似て書きました」


それは犯罪ですよ・・・っとも言えず


提督「それはまた・・大変な」


妙高「ええ、夜通しで書きました。特にサインには苦労しました。個人的にイムヤを釣り上げたのが一番驚きでした」


提督「そこまでしなくても」


妙高「そうは思いましたが大和さんの報告書は提督に対して私情が挟まれてると思いました。これは審判員として失格ですし、もしばれてしまえば彼女自身が危険になります」


西提督「無論俺はその報告書が出されたとしても元帥に直接言うがな。そしてそれが受理されれば大和は処罰を受けるだろう。最悪解体もありえる」


提督「西提督さんが言わなければ」


西提督「それは出来んな負けを負けと認めない事は俺のルールに反する。何がなんでも認めさせる」


提督「・・・・・・・・」


西提督「まぁ、だが大和の書いた報告書なんだが読んでみてなボロクソびっしりとは書かれてるが最後の文章がな・・」


提督「ん?びっしり?最後ら辺は空白だった筈では?」


西提督「やはりか・・ふふ、ツンデレめ」


妙高「私はあまり褒められた事だとは思いませんが・・」


提督「見せてください」


西提督「うむ・・悪いが大和の為にも提督には見せられない。なんせ不発してるわけだからな。お前だって渾身のネタをスルーされたらそれを見せてくれと言われても嫌だろ?」


分かるような分からないような・・


提督「ですが気になりますよ・・」


西提督「許せ友よ」


そう言われるとな・・・ずるいな


提督「分かりました。その報告書に関しては諦めます・・ですがやはり俺は・・・」


妙高「シュレッターにかけておきます」


西提督「どうやらお前自身認めてないようだな」


提督「はい、これがもし演習ではなかったら、あんな事はまず起きません。起きないという事は無意味なんです。みんなが手を貸してくれたのは嬉しかったですけど、それとこれとは別です。反則は反則です」


提督「私情が挟まれてるのはこちらなんじゃないんですか?」


妙高「私は審判員と同じような目線で書きましたが?」


提督「なら、やはり負けになるはずですよ反則を犯しましたしそれを無しにしても最初に倒れたのは俺です」


妙高「演習ですよ?本番とは違います」


提督「分かってます・・だけど本番と変わりません。少なくとも俺はそういう心意気で臨みました」


妙高「西提督以上ですね・・西提督お願いします」


西提督「うむ、言ってる事は合っているし自分に厳しい点も評価出来る。だが、お前は演習の本当の意味に気付いていない」


提督「意味?」


西提督「そうだ。演習前に言った事は覚えているな?」


提督「演習の目的はお互いの得るものがあれば勝敗はあまり意味はないでしたっけ?ですが、全く意味がないわけではありません。それにさっきも言いましたが勝敗以前に反則を犯してるわけですからその時点で負けです」


西提督「確かに勝敗に全く意味がないわけではないし反則など以ての外だ。処罰の対象になる事もある」


提督「はい、だから・・処罰があるなら受けます。ですが、他の娘達は関係ありません。悪いのは俺だけですから処罰は俺だけに」


妙高「ふふっ」


提督「え?」


笑った?可愛い


妙高「いえ、ごめんなさい。あの時にいたうちの娘達も同じ事を言っていたものでしたから。提督さんは悪くないから処罰なら私達が受けるって態々言いに来たのよ?」


妙高「とりあえず外周50周走らせました」


提督「みんなが・・・」


ごめん・・俺も走るから50・・いや、40・・20・・5周くらい走るから


西提督「そうだ。後からどうなるかも分かっていたのにも関わらず彼女達は提督に手を貸した」


西提督「その意味が分かるか?それ程のリスクを背負ってまで彼女達は動いた一人の人間の為に」


提督「・・・・・・・・」


妙高「私も後から聞きましたがこんな事今まで一度もありません。失礼ですけど最初は何かしらのマインドコントロールの類を彼女達にしたのかと思いましたが映像を見てもそういうのは見られませんでした」


西提督「それにな、俺はあの時お前がやった・・・えっとなんだっけか?なんたら砲だったか?」


提督「あ、それは・・・」ピクッ


やばい、あの時はノリで言ったが後々考えるとなんだよジェノサイド提督砲って


何がジェノサイドなんだよ!しかも最後に自分の名前入れてるし


ジェノサイド提督砲?は?


そんなショボいジェノサイドで提督な砲なんて初めてだよ!


大体ジェノサイドの意味もよく分からないし


あ、これって厨二病か?


頼む忘れててくれ黒歴史を開かないでくれ


妙高「ジェノサイド提督砲だと映像では叫んでいましたが」


あああああああ!


提督「うぅ・・・・」


西提督「そうそう、そのジェノサイド提督砲をする時の彼女達は真剣そのものだった」


西提督「真剣に自分の持てる力を注いでいたって、提督どうした?顔が真っ赤だぞ?」


提督「な、なんでもないです・・」


西提督「ん?そうか」


妙高「ふふふ、私は良い名前だと思いますよ?」


提督「やめてぇえええ!」


西提督「あまり茶化すんじゃない。大事な話し中だろ」


妙高「はい、すみませんでした、ふふ」


提督「うぅ・・・ジェノサイド提督砲ってなんだよ・・・」


西提督「話を戻すが良いか?名前くらいではしゃぐな」


提督「あ、はい・・」


西提督「みんなが各々のできる事を探して力になろうとしていた。そして提督はそんな彼女達に自分の身全てを預けていた」


西提督「それを見た時俺は・・・これが本来あるべき人間と艦娘の姿ではないのかと気付いたんだ。今までどうしたいのかという明確な目的はなかった。こうなって欲しいというのも合間でしかなかった」


西提督「艦娘達が支えてそれを人間が信頼して受け止め力として艦娘達と共に戦う。これが本来のある姿なんだ」


西提督「人間と艦娘は平等であり相棒であると気付かせてくれた。長年気付けなかった事を気付かせてくれた。それだけでもう俺はお前に負けたんだ」


西提督「お前は俺の先を行っていた。最初から勝負はついていた」


西提督「あの時の拳効いたぜ・・心にも体にもな完敗だ俺の」


提督「西提督さん・・・・・」


提督「良いんですか・・こんなヒヨッコ以下の提督に負けたなんて分かれば周りからどう言われるか」


西提督「周りがどう言おうが知らん言わせておけ。だが、俺の大事な友にちょっかいを出そうとするふざけた輩が現れたらその時は・・」


提督「そ、その時は」ゴクリ


西提督「西鎮守府の全ての力を持ってそれを排除する」


提督「お、恐ろしい・・・」


妙高「そういう事です。提督さんは何も心配する事はありません。ですから今回の演習はおんぼろ鎮守府の勝利という事でよろしいでしょうか」


西提督「駄目だろうか?俺はお前にこの勝利を貰って欲しい」


提督「西提督さん・・・・」


今まである事ない事無理矢理言わされたり決めつけられたりしていた


特に学生の頃は酷かった


誰かの物がなくなれば一番に疑われ


結局俺の所為にされる


でも、勝利を半端強引に決めつけられたのは初めてだ


西提督さん達がここまで言ってくれてる


此処まで信用して俺の為に動いてくれた


初めて認められたんだ・・人という存在に


たくさんの人達に


俺と俺の仲間達と俺の大切な居場所を


認めてくれた


此処までされたらもう断わるなんて出来ない


提督「西提督さん、妙高さん、ありがとうございます。その結果を受け入れます」


西提督「うむ!では、改めてこの演習おんぼろ鎮守府の勝利とする!異論はないな!」


妙高「はい」


提督「はー」


ガチャ


西艦娘達「「「はい!」」」


ツルッ


西艦娘達「「「うぎゃあ!」」」ドシン!


提督「なっ!みんな」


みんながドアを開けて一斉に入ってきた所為でみんな一斉に転けて重なるように入り口に挟まった


西艦娘達「「「っーー!」」」ぎゅうぎゅう


必死に出ようとしてるけどみんながみんな動いてるから意味がない


妙高「お前達なにをしてる・・」ギロッ


西艦娘達「「「っ!」」」ビクッ


西提督「みんな気になっていたようだな。だが、こっそり聞くなんて褒められた事ではないぞ?今回は見逃してやるが次はないぞ?お前達」


西艦娘達「「「はい!」」」ぎゅうぎゅう


妙高「本当に次はないからね?」


西艦娘「「「は、はい!」」」ぎゅうぎゅう


西提督「じゃあ、提督よ。勝利の一言を貰おうか」


提督「はい!」


この初めての演習での勝利は一生忘れる事はないだろう


みんなが認めてくれた証であり、俺達の鎮守府の仲間達も大きく成長する事ができた


形にはないけど確かに此処にある


嬉しくてはしゃぎたい気持ちを抑えて


みんなを見据える


提督「えっと・・あの、その〜、え〜、ゴホン、う〜」


やばい言葉に出来ない


こうなんていうかこの気持ちをどうしても言葉に出来ない


西提督「ふむ・・・・・」


妙高「提督さん落ち着いて」


雷「提督ちゃーん!代わりに言ってあげようか?」ぎゅうぎゅう


阿武隈「それ意味ないからね?」ぎゅうぎゅう


愛宕「思った事をそのまま言えば良いんですよ〜」ぎゅうぎゅう


祥鳳「・・・・・ぐふっ」ぎゅうぎゅう


伊168「みんな待ってるから早く。てか、圧迫されて苦しくなって来た・・・吐きそう」ぎゅうぎゅう


朝潮「皆さん重いです・・・」ぎゅうぎゅう


阿武隈「あ、あたしそんなに太ってないし!」ぎゅうぎゅう


朝潮「皆さん・・どいてください・・本当にやばいです・・」ぎゅうぎゅう


荒潮「」一番下


やばい早く終わらせないとみんなが


提督「えっと!う、嬉しいでー」


提督「って!言ってる場合じゃないだろ!」ダッ


俺はみんなを救出するべく走った


だって荒潮さん・・白目むいてたし洒落にならないしイムヤさんは真顔で黙りだしたし


提督「みんな今助けるからな!」


西提督「うむ・・ドアは確実に壊れてるな」


妙高「みんなの給料から差し引きます」


提督「二人とも手伝ってくださいっ!」


結局救出は困難を逸した


ドアに挟まってるし重なるように倒れているので早くしないと下にいる娘から重みで潰れてしまう


時に力任せに!


提督「ふぬぬぬ!!」引っ張り


阿武隈「あいたたたた!もっと優しく!」


時に頭脳を使い


提督「愛宕さんは大きいから先に小さい雷から救出して隙間を作ってそれから」


雷「提督ちゃん!小さくても良いじゃない」


愛宕「あらあら〜大きいって・・なにが?ん?」


提督「っ、寒気が」ビクッ


時に走り


提督「入渠ドッグは何処だぁあああ!」朝潮と荒潮を抱え


荒潮「」


朝潮「て・・いとく・・さん・・」


提督「うぉおおおおおお!」全力疾走


時に叫んだ


提督「西提督さんも!妙高さんも見てないで手伝ってください!」


西提督「煩いぞ!書類を片付けてるのだ!邪魔をするな!」カキカキ


妙高「溜まりに溜まってるのです!」カキカキ


祥鳳「邪魔してはいけませんよ?」ぎゅうぎゅう


提督「それで良いのか!」


数十分に渡る数時間のような救出劇を乗り越え


提督「大丈夫か?」背中サスサス


伊168「うぅ・・ごめん・・」


遂に考えて考え抜いた勝利の一言とは


提督「みんな無事で終われて良かったです」


だった


ともあれこれで本当の意味で演習は終わった


これでひと段落かな?と思ったのもつかの間


この後、新たな任務を西提督から言い渡されるのだった


西提督「そう言えば退院したら元帥からお前にと任務を預かっていたんだ。休めると思うなよとの事だ」


提督「へ?」


本当・・・元帥禿げてしまえ


鎮守府研修


深夜の西鎮守府の自室にスタンドのライトだけを照らしてベッドの上にダンボールを置き書き物をしている


自室と言っても四人で共用しているので俺だけの部屋ではないし二段ベッドが二個設置されてるだけで後は人が一人ギリギリ通れるかぐらいのスペースしかない部屋で他の人達を起こさないように細心の注意を払いつつ書いていた


起こすと煩いし


ちなみに俺は下の段だ


提督「・・・・・・・・」カキカキ


任務報告書


名前【提督】


階級【 】←階級がない


歳【18】


任務内容【西鎮守府での一週間の研修をして西提督から合格印を貰って来る事】


提督「はぁ・・なんでこんな事を書かなければ・・・」


鎮守府研修6日目にして報告書の存在を思い出して


報告書を書いていた


なんやかんやで明日が最終日だ


あの後、言われた任務というのが、明日から始まる鎮守府研修に研修生として参加しろだった


本来ならこれは海軍養成学校の上級生が行う卒業カリキュラムであり


実際の現場で働き、その鎮守府の責任者である提督から合格を貰える事で卒業出来るのだ


良い成績を残せばそのままその鎮守府でその提督の下に着く事もあるらしい


ともあれ下級生だった俺は数カ月で退学したわけで普通受けて良いものではない


と言いたいが、なら尚更鎮守府の提督なんてやってるのがおかしい


文句を言わずやれとの事だ


そして俺の指定された鎮守府は西鎮守府だった


そして、その他にも養成学校から三名がこの西鎮守府で研修を受ける


俺を含め計四名になる


彼らは勿論養成学校の上級生で卒業間近なわけで


俺のある意味で先輩になるわけだ


俺は下級生止まりだし


そして一番気になった事が鎮守府研修の始まる時期だ


確か鎮守府研修はもっと先の時期にあるはずなのだが


今年は日にちの急遽変更があったらしく彼らが受ける本来の時期から早い


何故早める必要が?怪しい・・・


しかもその変更がされたのが丁度俺の退院日が決まった時だった


そして、退院した次の日から研修が始まるようになっていた


偶然か?いや・・・違うだろうな


という事で俺は研修生として上級生の提督候補の人達と研修を受ける事になった


言われた次の日から研修は始まった


まぁ、そこで俺は大きな思い違いをしていたわけなのだが・・・


提督「あの時は怒りで元帥の頭の髪の毛を引きちぎってやろうかと思ったな・・」


提督「そう言えば西提督も怒っていたけど・・最終的にはなんか納得してたな」


そっと目を瞑り


鎮守府研修が始まる前日から思い出す


覚えてると良いが


研修前日


ー西鎮守府執務室ー


妙高「以上が元帥から言われた任務の内容です。これ以上の事は言うなと言われていますので質問は受け付けません。この期間中は貴方も研修生として動いてください」


提督「鎮守府研修ですか・・・」


まさか、受ける事になるとは


まぁ、学校に居ればいつかはやらなければいけない事ではあるが


だけど、もし、今も学校に居たとしても俺は下級生で受ける事は出来ない筈だ


提督「俺と養成学校の人とでは違い過ぎますよ」


彼らの方が俺より遥かに上だ


知識量や経験も彼らの方があると思う


そこに俺が入っても孤立してしまうし彼らに追いつけるわけもない


海軍養成学校は四年制で彼らは四年間勉強しているわけだし


正直・・・不安だ


西提督「そうだ。その通りなんだ。俺も正直言うとお前と養成学校のヒヨッコとを一緒にされるのは腹が立つ・・提督を俺は認めてる今更研修なんて必要ない。彼奴らヒヨッコと一緒にして良い筈がない」


提督「いえ、そういうわけではなく逆ですよ彼らの方が俺より遥かに上だし・・着いて行けるか・・それに彼らと同じ場所に立って良いのか・・俺は学校をちゃんと卒業出来たわけではありませんし」


妙高「成る程・・元帥の考えが大体理解出来ました。」


西提督「お前・・・・・そうか、分かった。これはお前の越えるべき壁なのだな」


提督「え?越える?」


西提督「本当なら無理にも元帥に止めさせるつもりだったが、そうかそういう事か。なら、友の為に俺は鬼になろう」


提督「西提督さん?」


妙高「今のその気持ちを変えないと先へ進む事は出来ませんよ」


西提督「そういう事だ。明日からお前は研修生だ。厳しい事も言うかもしれないが・・・それは・・お前の為だ!許してくれ!提督!!」


提督「2人とも何を言ってるかよく分からないんですが・・」


西提督「妙高、例の物を」


妙高「はい、これをどうぞ」


提督「これは・・・在学証明?って!これ俺のじゃないですか!四年生?嘘ばかり書いてる・・それに聞いた事ない学校ですし」


これは普通に犯罪だ


憲兵待ったなし


西提督「明日からお前はおんぼろ養成学校の四年生として来てもらう」


提督「待ってください!こんな事をしてもしばれたら・・」


西提督「上にも多少の責任は問われるだろうが、お前が勝手にやったと言われ捕まるだけだろうな」


提督「そんな・・・・」


西提督「だか、その程度元帥なら裏で何かしてるだろうから嘘だとばれる事すらないかもしれないがな」


提督「だとしても・・・こんなの」


西提督「できる限りのフォローはする。だからやってみろお前にとって良い風に動くかもしれん」


こんな騙すようなやり方はしたくない


でも、今の俺にはそれを変えるだけの力なんてない


一つ言える事は俺は自分の居場所を大切な如月達を守りたい


その為なら・・・やってやろうじゃないか!


提督「・・分かりました。どうせ此処で駄々をこねても仕方ありませんし試してみますよ今の俺がどのくらい着いて行けるかを」


西提督「その意気だ!期待してるぞ!今日はもう休め明日からよろしく頼む」


妙高「私達とは初めて会う。良いですね?そう皆さんにも言っておくので」


提督「分かりました。明日からよろしくお願いします」


妙高「明日は集合場所まで案内しますので朝早く起きてくださいね」


提督「集合場所?」


そして次の日朝早く西鎮守府を出た


こうして一週間の鎮守府研修が始まったのだった


さて、何があったか思い出さないとな


提督と研修生達


早朝五時に妙高さんに叩き起こされ


とりあえず渡された服を着る


学校の制服のようだ。胸元にはおんぼろ養成学校と刺繍されている


今日から研修生なので提督服は着てはいけない


何時ものように提督服に着替えようとしてしまい怒られたのは言うまでもない


提督服は没収された


三人の簡単なプロフィールを見せられ


学生としての説明を簡単に受けた(主に今の流行とか)


提督「プロフィールに写真もないし学年も書いてないけど」


妙高「元帥からそれ以上の情報を渡すなとの事です」


提督「そうですか・・」


何を企んでんだ?


考えても仕方ないので集合場所である西鎮守府入り口へ行く


そこには既に今回研修を受ける三人が待っていた


地味なメガネの青年、図書館とかによく居そう


以降メガネと名称


金髪のヤンキー、なんで此処に居るのか不思議だ


以降金髪と名称


後にその金髪は刈り上げられ坊主になるが金髪という名前に変わりはない


黒髪ロングの少女、見た目は中学生くらい?いや、小学生にも見える間違えて来たとか?


以降黒髪と名称


妙高「では、今から貴方は研修生ですよ。良いですね?私は後から時間を少し置いてから行きますから」


提督「はい」


西憲兵「夜勤明けは・・・きつい」ふらふら


自分に暗示をかけるように心の中で復唱する


西憲兵「夜勤明けきついよ〜」


此処に来るのは初めて此処に来るのは初めて此処に来るのは初めて此処に来るのは初めて此処に来るのは初めて此処に来るのは初めて此処に来るのは初めて此処に夜勤明けはきつい来るのは初めて此処に夜勤明け初めて此処に夜勤明け初めてきつい


あれ?頭がこんがらがってきた


うん、もういいや!


俺は学生だ!それだけ覚えてればいい!


提督「よし!」


三人に駆け寄る


提督「みんな今回はよろしくお願いします!」


メガネ「・・・・・・・・」


金髪「あぁ?遅えぞ!こら!」


黒髪「ギリギリの時間に来るなんて・・随分と余裕なんですね」


提督「え?ギリギリの時間?」


正確な集合時間なんて聞いてなかったが余裕があると思っていた


どうやらギリギリのようだ


妙高さんに案内されるがままで時間を気にしていなかった


後ろから視線を感じて振り返る


妙高「っ・・・」ヒョコ


妙高さんがみんなから見えない所から顔を出してごめんなさいと言うような顔をしていた


そしてすぐに引っ込んだ


時間まで出てこないつもりか


ともあれいきなり最初に悪い印象を与えてしまった


こういう場合は


提督「すみませんでした!」


すぐに謝るとにかく謝る


金髪「団体行動になるんだからよ!ちゃんとしろよ?先輩」


先輩?案外見た目の割にちゃんとしてる?


メガネ「・・・・・・・・・・」


無言で睨まないで


黒髪「本当にこの人が上官で大丈夫かな・・不安になってきた」


ん?上官?俺が?


提督「え?上官ってどういう事?」


黒髪「ふざけないでもらえますか?学年が一番上なんだから当たり前ですよね?」


提督「へ?みんな四年生だよね?上級生だろ?同期なんだよね?」


黒髪「私は一年です。貴方は?」


金髪「一年に決まってんだろ」


提督「え!君は・・・」


メガネの青年を見る


メガネ「・・・・・・・・」


提督「・・・・・・・・」


提督「あの・・・・」


メガネ「・・・・・・・・」


メガネ「・・・・・・いー」


黒髪「そいつも一年よ同じ学校だから分かる」


メガネ「・・・・・・・・」


提督「待ってくれ鎮守府研修は四年生でしかやらない筈じゃあ・・」


黒髪「今年から一年生もやるようになったんですよ。そのくらい知っておいてもらえますか?」


金髪「だけど俺らはまだあまり授業も受けてるわけじゃないし?いきなり一年だけとか舐めてんじゃん?各研修鎮守府に1人四年生が付いてくれるって事になってんだよ。俺らはその人に付き従って勉強するって事になってる」


黒髪「そして同時に四年生は人を使うという事を覚えるわけです。思い出しました?」


メガネ「・・・・・・・・・」


提督「まじか・・・」


元帥の野郎!こういう事だったのかよ!俺に恥をかかせようとしてるんだな


黒髪「本当に四年生なんです?プロフィールが嘘とか?」


やばい怪しまれている


こうなったら元帥の思い通りになんてさせない!最高の上官を演じてやるよ!


提督「あ、当たり前じゃないか!そ、そうだった思い出したよ。これからよろしく頼むぞ」


金髪「よろしくー!」


軽いね・・・上官なんだけど


黒髪「よろしくお願いしますね。せ、ん、ぱ、い!」


なにかトゲのある言い方だった


メガネ「・・・・・・・・」


無言だ


提督「・・・・・・・・」


メガネ「・・・・・・・・」


提督「・・・・・・・・・」


メガネ「・・・・・・よー」


妙高「研修生達ですね」


今まさに来ましたよという感じに現れる妙高さん


実はこっそりとこちらを見ていたとは知らないだろうな


金髪、黒髪、メガネ「「「っ!」」」ビシッ


素早い動きで敬礼をする三人


流石養成学校の学生


動きが染み付いているようだ


妙高「うむ」ビシッ


提督「・・・・っ」ビシッ


出遅れる俺


妙高「おい、お前・・今敬礼が遅れたがどういう事だ!」ギロッ


三人「「「っ!!」」」


提督「ひいっ!」


妙高さんの眼光は強力だ。二度目でもやばい


いきなりされると漏らしかねない


妙高「またそんな情けない声をだして!提督はもう少し・・・あ」


提督「あ、」


俺と妙高さんはあくまで初対面


今のはどう聞いても初対面の人の話しではない


これでは俺が此処に来た事があるとばれてしまう


やばい


提督、妙高「「・・・・・・」」ちらっ


金髪「」敬礼姿勢のまま固まっている


メガネ「・・・・・・・」メガネが割れている


黒髪「あわわ」涙目で震えている


どうやらセーフのようだ


三人はそれどころではなかったようだ


提督「(気をつけてくださいよ)」


妙高「(すみません・・つい・・)」


妙高「次からは気をつけるように」


そう自分に言い聞かせてるように言った


提督「はい!」


妙高さんは案外ドジっ子なのかもしれない


西提督の前だとしっかりしてるのに


その後どうにか三人を正気に戻して


西鎮守府へと入り執務室へ行き


西提督からありがたい言葉を貰ってお互いの自己紹介も終えた


おんぼろ養成学校というふざけた名前の学校名を聞いても特に反応はなかった


興味ないだけだろうけど


ちなみに西提督の言った事は結構長かったが簡単にまとめると


西提督『基本は学校が教えてくれるから必要ない。中途半端に身に付けるのは危険だからな』


まだ、学び始めたばかりの一年生に教えられる事はあまりないと言っているのだろう


西提督『礼儀は最低限で良い。一々敬礼もいらない髪を染めてるのも・・まあ許す・・身の安全は保障はしないが』


最後の一言が気になるけど・・まぁ俺じゃないし良いか


西提督『艦娘達もお前達の上官に当たる事を忘れるな』


学校では艦娘の事をどんな風に教えているかは分からないけど研修生よりは上なのは当たり前だ


西提督『四年生である彼の言う事は絶対だ。君達は彼の部下だ必ず聞くように』


西提督の部下は四年生である俺でその俺の部下になるのが彼ら彼女らだ


でも、そこまで言われるとプレッシャーがかかるな


西提督『基本は好きに動いて構わない。必要な時は呼ぶが朝礼には参加しろ』


朝早くにある朝礼はその日の予定を言ったりする重要な集まりだ遅れると大変な事になる


西提督『お前達は一週間で鎮守府の1日の動きを知る事が出来ればそれで上出来だ。あまり気負いせず気軽にやれ』


まだ、一年だからそう焦るなという事だろう


西提督『さて、書類仕事が忙しいのでこれで話しは終わりだ。質問はあるか?』


手を挙げる人はいない


そりゃ、忙しいと言われれば挙げにくいな


と言っても気になる事は先に全部言ってもらったし質問する必要はない


西提督『書類仕事だが誰か手伝ってくれても良いぞ』


誰も反応しない


西提督『遠慮するな』


西提督『いや、本当に』


西提督『手伝って』


西提督『お願い』


土下座しそうな勢いの西提督にみんなドン引き


最後は妙高さんに怒られていた


巻き添えをくらう俺たち


三度目の眼光はどうにか耐えた


三人はまた固まったけど


そして此処から俺を含む四人の鎮守府研修が開始された


二段ベッドなら断然二段目を選ぶ


その日は説明など鎮守府内の案内であっという1日を終えようとしていた


みんな割と真面目に聞いていた


やはり提督を目指すだけはあるか


金髪が特にメモを取ったりしていたのは意外だったし字が凄く綺麗だった


黒髪は質問と細かい指摘の嵐で案内役の阿武隈が半泣きになっていた


どっちが上官か分からないな


時折こちらを見て助けを求めていたが俺はそっと視線を逸らすことしか出来なかった


学ぼうとしてる人の邪魔は出来ないごめん


メガネは終始喋らず


所々頷いてはいるので聞いてはいるのだろう


そして朝潮さんが物陰から金髪を睨んでいたのはなんだったんだろうか


恋かな?やめておいたほうが良いけどな


そして俺たち提督班は自分達の寝床になる部屋へ向かっていた


提督「言われた部屋はっとこれかな?」


研修生部屋と書かれたプレートがドアに付いている


金髪「開けるぜ!どんな豪華な部屋かな!」ガチャリ


メガネ「・・・・・・・・」


二段ベッドが左右に二つあるだけであとは真ん中に人が一人通れた良いなって言うくらいのスペースがあるだけだ


幾多の研修生達が此処で枕を涙で濡らしたのかと思うと少し緊張して来てたりする


俺も枕を涙で濡らす事になるのかな


ー研修生部屋ー


提督「こんな部屋あったんだな。凄く狭い」


金髪「こんな部屋見るのは小学生の頃の青少年自然の家以来だぜ!ひゃーこれはこれでテイション上がる!」


メガネ「・・・・・・・・」


黒髪「やっぱり男女別にはならないよね・・・せめてカーテンくらい欲しかったけど」


提督「そりゃ一応軍人だから男女のー」


黒髪「聞いてませんから」


提督「あ、そうですか・・・・」


心が折れそう


金髪「俺は上な!」右側二段目


メガネ「・・・・・・」左側二段目


二段目を二つとも取られてしまった


俺も上が良かったんだけどな・・・下だと上の奴が落ちてきそうで怖いし


残りは左右の一段目だけだ


せめて黒髪に選ばせてやろう


俺は上官だからな


提督「黒髪、右と左どっちが良い?」


と聞いた時には既に黒髪はベッドへと行っていた


黒髪「なにか言った?」左側一段目


提督「いえ、なんでもないです・・」


みんな勝手だな・・・


一応上官なんだけど・・・一番に選ばせろとは言わないけどさ・・


渋々残った右側の一段目へと行く


金髪「ひゃはぁー!」ぴょんぴょん


提督「っ、あまりドシンドシン揺らさないでくれ埃が落ちてくる」


金髪「ごめんよ〜」ぴょんぴょん


提督「だからやめろって!ぴょんぴょんするな!お前は電か!」


金髪「電ってだれっすか」


提督「な、なんでもない。忘れろ」


金髪「なんすかー」ぴょんぴょん


提督「あーもう!近所のババアだよババア!」


金髪「ババアと一緒かよ!」


メガネ「・・・・・・・・」


黒髪「二人ともうるさい!黙ってください!」


提督、金髪「「ごめんなさい」」


黒髪「本当最悪・・こんな人が部下だなんて・・はぁ」


金髪「頼んますぜパイセン!」


メガネ「・・・・・・・」


提督「はい・・・・・グスン」


俺は一週間此処で耐える事が出来るのか・・別の意味で枕を涙で濡らしそうだ・・・


こうして最初の1日は終わった


この時点でメンタルはかなりやばい


この日学べた事と言えば人は見かけに寄らずという事くらいかな?チャラそうに見えても必ずしもそうとは限らない


報告書の1日目の欄にそう書く


2日目は何があったかな・・・思い出してみる


そう言えば、夜に・・・


上官達の洗礼


みんなは夜這いって知ってるだろうか?


夜にこっそりと忍び込み相手に性的な何かをする事だ


それがどうしたかと言われればどうもなく


夜這いとは全く関係なくもないけど関係ない事が起こった


それはみんなが寝静まった頃に起きた


先行きが不安な俺は眠れずにいた


数えた羊が5桁に差し掛かる


桁が増える度に覚えていないといけないわけで目が冴える


でも、明日もあるし数えつつも目だけでも瞑っていたのだが


ドアの開く音で目を開けた


数えた羊達が柵から逃げ出す


提督「むぅ〜〜」


誰かトイレにでも行っていたのだろうか?なんせこの部屋にはトイレがない


それはさて置き


誰だ?


暗くて誰かは分からないが確実に誰か部屋に入ってきた


???「・・・・・・・」キョロキョロ


誰かを探してる?


相手がこっちを向いた


咄嗟に寝たふりをする


提督「ぐがぁ〜〜〜」


???「提督さんか・・・ううん、それよりあいつを・・」


どうやら俺を探してるわけではないようだ


それに俺を知ってるという事は此処の誰かか?


相手は俺の反対側に向く


そして


???「見つけた」


俺の反対側の一段目のベッドを見て言った


左側の一段目のベッドには黒髪が寝ているはずだ


黒髪に用があるのか?


誰なんだ


小声で誰か特定出来ない。だか、一つ言えるのは相手は女性だ


艦娘の誰かなのか?


そういういやらしい目的ではないと思うが・・そういう同性同士の愛もあるのも俺は知ってるが此処の娘達にはいないと信じたい


同性愛を否定してるわけではなくせめて面と向かって伝える事をして欲しいという事だ


同意のない夜這いはいかんよ


とりあえず見てしまっている以上見て見ぬふりは出来ないな


丁度相手は俺に背を向けてるし


だが、そういう目的でないかもしれないしな・・


???「昼間の恨み・・・」キュポ


確定だ


手に何かを持ってる


その手に持ってるキャップのような物を外して黒髪に何かをしようとしてる


あれはもしや・・・・・いやだが・・そんな物を持ってるとは思いたくない


だが、黒髪に危害を加えようとしているのは確定だ


瞬時に起き上がり相手がこちらに気付く前に後ろから掴む


ガシッ


???「っ!」


勿論、大声を出さないように口を手で押さえる


もう片方の手で相手の身体をがっちりと動けないように掴む


風呂を出てすぐなのか石鹸の良い匂いがする


ちょっとくらくらした


もう少し嗅いでいたいというのが正直な感想だが、それどころではない


提督「誰だ」


相手の耳元に小声で問いかける


口を押さえていた手を離す


???「ん・・・・・あ・・」


相手の吐息が聞こえる


少し強めに掴んでいるからだろうがやりにくい


提督「誰だと言ってる」


???「提督さんなの?」


提督「そうだ。何をしようとしていた」


???「そ、それは・・・」


提督「とりあえず部屋の外に出るぞ?離すけど逃げるなよ?」


???「はい・・・・」


みんなを起こさないように部屋の外へ出る


その際にみんな寝ているかを確認


提督「それで?」


壁にもたれつつ腕を組み少し怒り気味に言う


提督「何をしようとしていたのか教えてくれるよね?阿武隈さん」


阿武隈「・・・・・・・」


提督「黙ってないで言ってもらえますか?」


いくら阿武隈さんでも期間的にとは言え俺の部下に手を出したらどうなるかだって分かっている筈だ


何か理由があるにせよ。寝込みを襲うなんてそんな事は間違ってる


気に入らないことがあるなら直接言うなり俺に言うなり出来た筈だ


提督「それとも夜這いか?」


阿武隈「ち、違う!」


提督「なら、やっぱり何かしらしようとしていたんだな?」


阿武隈「・・・・・・」ウルウル


そんな泣きそうな顔をされても


提督「阿武隈さん話してください。じゃないと俺は阿武隈さんを人の部下の寝込みを襲う最低な奴としてしか見れなくなる」


提督「俺は阿武隈さんをそんな目で見たくない。お願いです。どうしてそんな事をしようとしたんですか」


それから少し沈黙が続いたが彼女は口を開いた


阿武隈「・・・・・ムカついたから」


提督「何故です」


阿武隈「あたし・・この日の為に勉強して分かりやすくみんなに教えられるように頑張ったんだよ・・なのに・・あの女は・・指摘ばかりしてきて・・途中からなんてあたしの話しも聞いてくれなくなって」


提督「それでこんな真似を」


彼女は首を横に振った


阿武隈「ううん、それは単にあたしの勉強不足だって事で言ってる事もあってたし・・あたし以上に鎮守府に詳しかった」


阿武隈「正直凄いと思ったよ。態度や言い方は悪かったけど・・それでも別に良かったんだよ。あたしがどれだけ馬鹿にされても元から慣れてるし」


慣れてるか・・余程苦労をしてきたんだろう


提督「じゃあ、なんで・・」


阿武隈「提督さん所々あたしが質問に詰まってる時とかに此処はこうだとか言って助けてくれたでしょ?」


提督「助けたつもりはなかったんだけど一応俺も提督だから分かる所はそれとなくでも教えてやりたかっただけだよ。まぁ必要なかったみたいだけど」


阿武隈「そう、あの女は提督さんの優しさを突っぱねるように」


阿武隈「先輩には聞いてませんから黙っててもらえますか?」黒髪の真似


阿武隈「だって!折角提督さんが好意で教えてくれたのに!そんな態度で提督さんは上官でもあるのに!なによあの女は!」


提督「まさかだけど・・俺の為に怒ってくれたの?」


阿武隈「さっきも言ったけど、あたしは何を言われても良い。でもね?あたしの尊敬出来る人を馬鹿にされたら許せない」


提督「尊敬か・・そう思ってもらえるなんてありがとな阿武隈さん」


阿武隈「提督さんはもっと自分に自信を持ってください。提督さんを此処のみんなは認めてくれてるんです。それだけでも凄い事なんです。あんなヒヨッコに馬鹿にされるなんてあり得ない事なんです」


阿武隈「もし、あの女が態度を変えないならあたしだって・・・」


提督「やめてくれ」


阿武隈「え?」


提督「俺の為にやってくれてる事ならやめてくれ」


阿武隈「なんで?ムカつかないの?」


提督「あぁ、全然寧ろ文句を言いながらでも先輩と言ってくれてる事に感謝したいくらいだ」


阿武隈「提督さんは自信がなさ過ぎるんです!だから・・」


提督「うん、だから、きっと西提督さんはこの鎮守府研修を承諾したんだと思う。俺に自信を持たせたかったんだと思う」


阿武隈「だったら!」


提督「怒るのか?もっと敬えと?階級を振りかざして脅すか?」


阿武隈「それは・・・」


提督「それは俺が一番嫌いな事なんだ。この鎮守府研修は自信を持たせる以外にもう一つ目的があると思うんだよ」


阿武隈「目的?」


提督「器だよ。この鎮守府研修で自分の器を知る事も目的にあると思うんだ。だからというのもあるけど俺は俺のやれる事をやってありのままの自分を試してみたいんだよ」


提督「俺という器をね」


阿武隈「提督さん・・・・」


提督「だから、俺の為に怒ってくれるのは嬉しい。でも、それなら俺を信じて見守ってくれると更に嬉しい」


阿武隈「見守る・・・・」


提督「だから、ありがとう阿武隈さん俺なら大丈夫だから」


阿武隈「・・・・・・・・」


阿武隈「分かった・・提督さんがそこまで言うなら信じる」


阿武隈「でも、あたし以外にもそう思ってる娘たちはいるからね?あたしからは何も言わないよ」


提督「あぁ、その時になったらその娘に直接言うからありがとうって」


阿武隈「うん、お願いね」


阿武隈「でも、はぁ・・不完全燃焼か・・どうしようこのイライラ」


提督「阿武隈さんその手に持ってる物は?」


阿武隈「水性ペンだよ。こっそり顔に落書きしてやろうかと思って」


提督「そうだったのか、てっきり俺は傷の残るような事をするのかと」


阿武隈「いくらなんでもそんな事はしないよ。研修生の人達だって将来は一緒に戦う仲間なんだから。傷つけたりなんかしない。更にやるとしてもこれが油性に代わるくらいかな?」


提督「はは、それは怖いな。成る程なでもそういう事なら」


提督「もう一本あるか?」


阿武隈「12色揃えてますぜ。しかも肌に優しいタイプです」


提督「ほうほう、それは準備が良い事で、ふひひ」


阿武隈「やるんですね」


提督「なに、ちょっと化粧してやるだけだ」


阿武隈「提督さんも悪よの〜」


提督「ふふふ、阿武隈さん程では」


ミッションスタートだ!確かに黒髪の態度には少しばかりイラっときていたりするし少しくらいなら良いよね?


ちょっとだけ


ガチャリ


部屋へ入り黒髪の元へ


お互い音を立てずゆっくりと


黒髪「すぴーーー」


やはり黒髪はよく見ても可愛いに分類される程可愛い


なんか事案が発生するレベルの悪い事をしてるような気もするが大丈夫だろう


提督「寝てますな」キュポ


阿武隈「寝てますね」キュポ


提督「ではでは」かきかき


阿武隈「ふむふむ」かきかき


提督「赤ある?」


阿武隈「今使ってる・・はい、どうぞ、白ありますか?」


提督「どもども、はい白」


阿武隈「起きないね」


提督「寝が深いんだな羨ましい」


黒髪はまったく動かず寝息も静かなので描きやすかった


その所為でちょっとのつもりが顔全体に及んだ


少し反省


まぁ、水で洗えば取れるし良いか


そして日が昇り朝になり


額に肉と書かれたピエロメイクを施された黒髪が起きて皆がビックリして軽い騒動になった


あのまま朝礼に出ていたらやばかったな


結局犯人は分からずだった


黒髪「絶対に許さないから!」ふきふき


ただ、一人に新たなトラウマが出来てしまった


金髪「ピエロ怖い・・・」ガクブルガクブル


メガネ「・・・・・・・」メガネに亀裂


そして陰で提督と阿武隈が密かに微笑むのだった


研修生らしく


今日の予定は西鎮守府の艦娘達は出撃に遠征などで予定が一杯だ


西提督さんも書類の仕事や指揮で忙しい


指揮などを見せるという事も必要だと思うが、西提督さん曰く習う前に見ると基礎とごちゃごちゃになるからやめておけとの事だ


指揮の訓練は学校でちゃんと教えてくれる


俺以外はね


なら、俺たちはどうなるかというと、まさか艦娘達に着いて行くわけにもいかず


西提督さんからは


西提督『お前達は今日は自由行動だ。上官である提督の命令通り動くように』


という正直困る事を言われた


つまり今日は俺がこの三人を何かしらさせてやらないといけない


まさか、このまま部屋で寝るぞ!なんて事を言うものなら


金髪は聞きそうだが、黒髪には絶対に怒られる


メガネは・・・・眼鏡が曇るくらいかな?


昨日一通り鎮守府内は見たし、復習としてもう一度見るのも良いが、この三人は何故か鎮守府内の各施設に詳しい


下手したら俺より詳しいと思う


どうするか


ー研修生部屋ー


提督「う〜〜ん・・」ベッドに寝転がり


黒髪「先輩!まさかこのまま部屋で待機なんて言いませんよね?」


金髪「俺はそれでもいいっすよ」


メガネ「・・・・・・・」


提督「よし!決めた」


黒髪「何をするの?」


提督「掃除しよう」


黒髪「はい?掃除する程部屋は汚れてないと思うけど?」


金髪「俺綺麗好きだし?汚してないっすよ!」


メガネ「・・・・・」メガネ拭き吹き


提督「ははは、何を言ってるんだ君達は部屋の掃除なんて何時でも出来るだろ?やるのは鎮守府内全てだ!今はみんな出撃や遠征で鎮守府内にいる娘は少ないからな」


金髪「ま、まじっすか!なんでそんな事を」


黒髪「そうよ!そんなの一日じゃ終わらないじゃない!それに折角の貴重な一日を掃除でなんて」


メガネ「・・・・・・・・」メガネに影


提督「お前達・・・・」


提督「馬鹿か?」


金髪、黒髪「「あぁ?」」


メガネ「・・・・・・」メガネが曇る


三人が明らかに怒っている


だが、掃除は必要だ。着任した鎮守府が埃まみれのボロボロで誰も居なかった時どうする?


勿論最初にしなければいけないのは掃除だ


じゃないと身体を壊す


朝起きた時のあの喉がイガイガする感じを味合わせたくはない


本当しんどいからあれは


黒髪達はそんなのは艦娘達にやらせれば良いとか思っているんだろうな


だが、いない場合はどうする!着任した時は一人も居ない筈だ!


そうだよね?


それに掃除は押し付けるものじゃないみんなでやるものだ!


黒髪「そんなのは艦娘達がやるから必要ないでしょう!」


金髪「そうっすよ!」


メガネ「・・・・・・」


やはり言うか


提督「やはりか・・情けないなお前達は」


黒髪「な、なによ」


提督「掃除は自分でするものだ馬鹿者」


金髪「おい・・いくらパイセンでもー」


提督「黙れ!ファッキンパッキンパッツン小僧が!」


金髪「なっ!」


黒髪「ぷっ!」


金髪「なに笑ってんだよ!」


黒髪「ごめん、でも、ふふ」


ただでさえ俺はこいつがあまり好きではない


何故か!


それは!


部屋のドアを見ると少し開いている


ぱっと見分からないくらいの隙間だ


その隙間から誰かが見ている


あの目は朝潮だ!


暇があれば朝潮は金髪をじっと見つめているのだ


俺は昔から人の視線に敏感だ。隠そうとしても分かる


あの強い睨むような眼差しは


恋だ!


認めない!認めないぞ!俺は!


だが、これ以上覗かれてるのも嫌だな


ドアへ近づき閉める


提督「あの男はやめておけ」ボソッ


朝潮「あ、」


ガチャン


提督「・・・・・・・」


金髪「パイセン俺を馬鹿にしたんだ覚悟は出来てるだろうな」


提督「俺は認めねえからな・・・」


金髪「はぁ?なんすか?パイセン!」ガシッ


提督「・・・・・・」


金髪「何か言えや!」


黒髪「ちょっとやめなさいって!」


提督「・・・掃除をするぞ、手を離せ」


金髪「あぁ?しねぇよ!そんなのは艦娘達にやらせろや!馬鹿はてめぇだろうが!」


金髪「艦娘達より人間様の方が偉いんだよ!今は仕方なく従ってやってるが俺が提督になったらこき使ってやるからな」


提督「お前・・・・・・・」


こんな奴が良いのか朝潮・・・・


こんな・・・・こんなクソ野郎が


部下じゃなかったら殴ってやりたい


黒髪「金髪!いくら先輩がこんな奴でも手を出したら駄目!」


金髪「うるせぇ!もう止められねえ!こいつを殴って!」


提督「やれよ」


黒髪「先輩!」


提督「今殴っても上官に逆らったとかそんな事は言わない。これは個人的な事だ」


提督「だが、覚悟しておけよ・・・お前の言ったその一言にどれだけ俺の怒りが溜まっているかをな」ギロッ


金髪「っ!」


金髪「うるせぇええ!」ドゴッ


提督「ぐはっ!」


顔面に一発


黒髪「金髪なにやってるの!」


メガネ「・・・・なにをー」


その時ドアが勢いよく開かれた


朝潮「貴方達は・・・・」


提督「朝潮さん・・・」


あの目はかなり怒っている


朝潮「私は我慢してきました・・・ですがもう!限界です!」


朝潮「なんですか?そのふざけた姿は」ギロッ


金髪「ひぃ!」


黒髪「はわぁ!」


メガネ「・・・・・・」メガネ爆散


まさか、俺は勘違いをしていたのか


朝潮さんは金髪を見つめていたんじゃなくて


提督「逃げろ!金髪!」


金髪「へ?」


朝潮「逃がしません!」シュッ


瞬間朝潮さんは金髪に飛びかかる


ゴスッ


頭突きが腹へ命中


金髪「ぐへぇ!」


朝潮「っ!」ガシッ


そして流れるように金髪は地面へ投げ倒される


狭い中でベッドに当たらないように投げるところを見ると余裕があるようだ


まぁ、金髪の足が俺に当たったけど


避けてたら黒髪に当たってたし仕方ないね


金髪「あぎゃあ!」


朝潮「貴方は研修生としての自覚が無さ過ぎます」


やはり朝潮さんは金髪のヤンキースタイルが気に入らなかっただけなんだ


朝潮さんは真面目だから・・・


良かった好きじゃなくて・・・・いや、良くはないけど良かった


とにかく止めないと


提督「朝潮さん、そのくらいに」


朝潮「邪魔しないでください」ギロッ


提督「ふぇっ!」


朝潮「あ、提督さんはそこで見ていてください。荒潮」ニコッ


初めてみた朝潮さんの笑顔


だけど今まで見て来た笑顔で怖いと感じたのはこれが初めてだった


荒潮「は〜い、殴られたところ見せてね」ヒョコ


提督「あ、はい」


ごめん、金髪・・・俺は頑張ったよ


でも無理だった


朝潮「さてと・・・・」


倒れた金髪に馬乗りになる


他の人達は睨みで動けなくなっている


もう止める人はいない


金髪「や、やめてくれ〜〜」


朝潮「嫌です。貴方はしてはいけない事をしてしまいましたから・・もう我慢しません。徹底的にやらせてもらいます」


朝潮「まず、耳のピアスなんて要りませんね」引っ張り


金髪「いててて!」


朝潮「おかしいですね・・確か磁石でくっ付いていると聞いたのですが・・もっと強く引っ張れば」ブチッ


金髪「ぎゃぁああ!耳がぁああ!」


朝潮「・・・・・磁石の力は恐ろしいですね」


金髪「絶対に許さねえ!」


朝潮「そうですか許して欲しいとも言ってませんよ。他には・・眉毛がありませんがこれは西提督の真似ですか?でも、ペン?で描いていますね。何がしたいんですか?」


朝潮「こんな薄く描いては女々しいだけです。男であるのなら」マッキーの太い方


金髪「ま、まっー」


朝潮「動かないでください!荒潮」顔固定


荒潮「は〜い、眉毛描こうね〜」


キュッキュッ


荒潮「完成よ、うん、かっこよくなったわよ。あ、お髭も描いてあげるわ」キュッ


朝潮「このくらい太い方が良いです。西提督に近づけましたよ」


金髪「ひぇええ!眉毛が!」


朝潮「それと」クンクン


金髪「な、なんだよ」


朝潮「臭いですね・・なんですか?研修生がまさか香水なんて・・ふざけてるんですか?」


金髪「え、えっと・・そ、それはですね・・」


荒潮「付け過ぎて臭いわ」包帯


提督「え?包帯?」


荒潮「お姉さんに任せなさい。ね?」


提督「お姉さんね・・・・」


朝潮「それに一人じゃありませんね。他の匂いもします」クンクン


黒髪「っ・・・・」びくっ


荒潮「こっちは適量だと思うわ。良い香りよ」包帯巻き巻き


提督「っ!」顔全体に包帯


朝潮「そういう問題ではありません香水は没収します。良いですね?」


金髪「な!ふざけー」


朝潮「良いですね?」ギロッ


金髪「はい・・・・・」


荒潮「はい、貴女も香水出してね」


黒髪「私も駄目なの・・・」


荒潮「出してね」


提督「聞いておけ黒髪、金髪のようになりたくないだろ?」顔面包帯男


黒髪「はい・・・って、先輩は大丈夫なんですか?それ・・」


提督「少し息がしにくいのと視野が狭くなっただけだ」包帯マン


荒潮「あと、その小さなピアスも取っておくのよ?嫌なら朝潮ちゃんに言っておくからね」


黒髪「取ります!取りますから言わないで!」


提督「黒髪もしてたのか気づかなかった。ただでさえ人間には穴が多いのに何故更に開けようとするのか不思議だ」


黒髪「セクハラはやめてください訴えますよ。私のは磁石タイプですから穴は開けてません」


提督「福耳になるぞ?」


黒髪「なりません!」


荒潮「貴方は偉いわねメガネくんだっけ?」


メガネ「・・・・・・」ドヤ顔


荒潮「でも、ボタンはちゃんと第一ボタンまでかけるのよ?」ボタンをかける


荒潮「はい、おしまいよ」ツン


メガネ「・・・・・・」ポッ


提督「・・・・・・・」ボタン外し


黒髪「先輩・・・それは引きます」


提督「ちょっと暑かっただけだ!ちゃんとかけるよ!」


黒髪「へぇ〜」ジトー


提督「違うんだ・・・本当に暑かっただけなんだ・・顔が」包帯ぐるぐる巻き巻き男


黒髪「はぁ、じっとしててください。包帯外しますから、大体大袈裟過ぎます包帯なんて使って」


提督「あ、うん・・」


視野が広がったぞ


新鮮な空気が吸えるようになったぞ


荒潮「あら、ふふふ・・」


提督「っ、」ゾクッ


黒髪「このくらいなら冷えペタ張っておけば良いです」ペタッ


提督「冷たい」


冷えピタが


荒潮「・・・・・」ジー


提督「冷たい・・・・」


視線が


朝潮「さて、最後にその髪の毛はなんですか?金髪とかふざけてるんですか?」


金髪「おまー!ふざけんな!こいつはな時間かけてセットしてるわけで!お前のその髪とは違うんだよ!」


提督「あ?」イラッ


黒髪「ん?」イラッ


荒潮「あら?」イラッ


メガネ「・・・・・」イラッ


朝潮の綺麗な髪の毛にそんな事を言うか


朝潮「そうですね。確かに私は自分の髪の毛に時間なんてかけませんから言われても仕方ありません」


金髪「だろ?お前もしかして俺の綺麗な髪の毛に嫉妬しー」


ガシッ


金髪「っ!」


荒潮「ふふふ、冗談の上手い方ね・・でも、限度を知りなさい」右足押さえ


メガネ「・・・・・・・」左足押さえ


提督「お前は少し教育が必要のようだな」両手押さえ


黒髪「女性の髪にそんな事を言うなんて信じられない」顔固定


金髪「は、離しやがれ!」


朝潮「皆さん・・・・」


黒髪「やるんでしょ?こんな奴の髪なんて全部剃ってしまいましょう」


荒潮「ふふふ・・・」


メガネ「・・・・・・」


朝潮「ですが本当にやってしまって・・」


提督「剃っちまえ」


朝潮「はい、仰せのままに」バリカン


ウィィィイン


金髪「や、やめてくれ!た、頼む!」


朝潮「えい」ジョリジョリ


金髪「ぎゃぁあああああ!」


ただでさえ狭い部屋で大きな悲鳴が聞こえるがそれを不思議に思う者は誰もいなかったと言う


その後完全に撃沈された金髪は朝潮さんと荒潮さんに連れられ正しい服装などの説明と言う名の説教をされた


そして残された俺たちは部屋の掃除をしたのち鎮守府内の掃除を開始した


朝潮さんが金髪もとい坊主を連れて行く時


朝潮『そう言えば貴方達は艦娘達が掃除するのが当たり前と言いましたね。確かにそうしてる鎮守府は多いですが、此処は当番制で西提督もそのメンバーに入っています。此処では艦娘と人間は関係ありません。郷に入っては郷に従えと言う言葉もありますから、提督さんに従った方が良いですよ。では』


荒潮『じゃあね。掃除、こっちの用が終わり次第手伝いに行くから』


金髪『・・・・・・・・』


あの時の朝潮さんの言葉で黒髪もメガネも掃除をしてくれるようになった


そしてその日は俺とメガネと黒髪の三人で出来るところまで掃除をして、途中入った終始無言の金髪と朝潮さんと荒潮さんにも手伝ってもらい結構綺麗になったと思う


他のみんなも喜んでいたし掃除だけに一日かけてしまったけど、まぁ良しとしよう


その日の夜終始喋る事のなかった金髪を見て流石にやり過ぎたなと思い部屋に戻ったらとりあえず謝ろうと話し合った


同じ研修を受ける仲間同士いざこざは残したくないから


しかし、部屋に着く前に金髪に声をかけられた


金髪「表に出ろ」


俺を真っ直ぐ見ながら言う


提督「・・・・・・」


黒髪「金髪いい加減にして!やり返しなんてして意味ないでしょ!先輩も言ってやってください」


メガネ「・・・・・・」メガネ外し


金髪「・・・・・・・」


提督「・・・・・・・」


提督「分かった何処へ?」


黒髪「先輩まで・・もういい!二人とも勝手にして!喧嘩でもなんでもして怪我しちゃえバーカ!」ダッ


メガネ「・・・・・・・」ダッ


提督「後で謝らないとな」


金髪「・・・・運動場へ来てくれ」


提督「はいよ」


仕返しをする為なのか


いや、金髪のあの目は何かを決心した目だった


きっと今拒む事は彼の成長を止めてしまう決心を無駄にしてしまう事だと思う


だから、付き合ってやるよ


俺は上官だからな


漏らしたって良いじゃない提督だもの


ー西鎮守府運動場ー


夜の所為もあり暗いがどうにかお互いは見えている


大きなライトはあるが付け方も分からないしこのままでいいだろう


提督「それで?何の用なんだ?」


金髪「提督さん・・いや、パイセン、俺を殴ってくれないすか?」


提督「嫌に決まってるだろ。お前を殴る理由がない」


金髪「俺にはあるんっすよ」


提督「理由を言え」


金髪「言えないっす今は」


提督「どうしてもか?」


金髪「はい」


提督「分かった・・何故お前が此処へ呼び出しこんな事を頼むのか、後でちゃんと話してもらうぞ?」


金髪「無駄話しばかりしてないでさっさとしろよ」


提督「そうかよ・・・」


ゆっくりと金髪に近寄る


歩くたびにどんどん拳に力を入れる


正直言うと殴る理由がないと言ったが嘘だ


金髪は艦娘達を差別するような事を言った


でも、それは今の時代がそうさせてしまっているだけで金髪も黒髪もメガネもそんな時代の被害者に過ぎない


俺よりも遥かに海の世界を知らないんだ


でも、それでも、やっぱりムカつく


金髪のお望み通り


ガシッ


金髪「っ!」


提督「歯をくいしばれ!!」シュッ


ドゴォオ!


金髪「ぐぁ!」


殴らせてもらおう


提督「っし!」


スッキリした。勿論本気で殴ったわけじゃない


金髪「いっ、てぇ・・・・」


提督「大丈夫か?」


そっと手を差し伸べるがその手を握る事をなく


代わりに


金髪「っ!」シュッ


ゴスッ


提督「ぐっ!」


パンチをもらった


提督「金髪何をする!」


金髪「なにって・・・喧嘩に決まってるだろ」


提督「お前・・・・・」


金髪「今のでちびったのか?」


提督「あぁ?」ピクリ


今なんて言ったっけ?ちびった?ちびったって言ったの?


提督「ちびったって言ったのか?」


金髪「あ?そうだよちびったのか?」


提督「ははは、金髪は面白いな、ははは、笑えないな・・・ちびったかだって?ふざけんなよ・・・んなもん!日常茶飯じゃぁあああ!」ダッ


金髪「え!」


お前に分かるか?俺の苦悩を!耐えて来た日々を!


如月の暴走


提督『と、止まれ!』


如月『ふふふ・・・』


不知火の無意識下で出される殺気


不知火『提督には指一本触れさせません』ゴゴゴゴ


提督『ひぇ〜』


まるゆの偶に見せる素の怒鳴り声


まるゆ『貴様ふざけてるのか!隊長は忙しいのだぞ!』電話投げ


提督『っ・・・』ビクッ


電のトイレの前でのガバデイ通せんぼ


電『ガバデイなのです!』サッサッ


提督『わ、分かったからそこをどいてくれ!な?な?もう限界なんだよ!』サッサッ


明石さんの睨み


明石『あ?』ギロッ


提督『あ・・・・・』


夕張さんの膝カックン


提督『漏れるぅうう!』ダッダッダッダッ


夕張『膝カックン!』カックン


提督『あ・・・・・』


間宮さんの料理


間宮『新作ですどうぞ!』


提督、電『・・・・・』パクリ


提督、電『』


一部はちびるを通り越してその先へ逝ったのもある


何度俺は泣いたか


何度一人でパンツを洗ったか


偶に如月が手伝ってくれようとしたのを何度止めたか


如月『提督、洗おうか?』


提督『本当にいいから・・ほっておいてくれ!』


大の男がちびる?漏らす?情けないと思わないかって?


提督「なら、お前がやってみろやぁあああああ!!」シュッ


本当に怖いんだぞ!!


金髪「っ!」シュッ


スカッ


金髪「なっ!スカッぶっーっ!」


ドゴォオオオ!!


金髪「ぶらぁああ!!」ズザァアア


提督「はぁ・・はぁ・・漏らす事は恥じゃない・・それを隠す事が恥なんだ」


これが幾多のパンツを洗ってきた俺が出した答えだ


日常茶飯事は言い過ぎかな


金髪「な、なに言ってん・・だ・・」ガクッ


長くなるだろう男の戦いは数秒で決着がついた


正直そういう殴り合いは西提督さんだけで間に合ってる


というか西提督さんも勘弁


提督「金髪、おーい起きろ」ツンツン


金髪「」ピクピク


提督「はぁ、用ってこれだけじゃないよな・・待つか」


それから少しの間金髪が目覚めるまで星を眺めていた


提督「綺麗だな・・・いてて・・」


まだ、2日目は終わらなかった


裏切り者の息子達


提督「大丈夫か?」


金髪「大丈夫です・・いてて」


提督「痛いのはこっちもだ。いきなり殴れと言われ殴ったら殴り返されるし理由を説明してもらおうか?」


金髪「あぁ、まずは謝らせてくれ。さっきのも含めて殴ってすみませんでした」


提督「俺に謝罪なんていらない。黒髪達には後でしておけ」


金髪「それは許してくれないと」


提督「違う、俺はもう怒っていないから謝罪は必要ないって事だ。殴った時に全部出た」


金髪「ありがとうございます」


提督「なんか変わったな。殴る前までは何処となく暗い顔してたけど今は違う」


金髪「そうですか・・」


いや、それでもまだ何かあるな


こういう事だけは何故か分かってしまう自分がそうだったからなのかもしれないけど


何かに怯えてる


提督「金髪、話せ」


金髪「はい・・その・・」


提督「待つからゆっくりでいい」


金髪「提督さんは」


提督「敬語もいらないお前が言うと気持ち悪い」


金髪「・・・・・・」


金髪「なら、素でいかせてもらう」


提督「あぁ、そうしろ」


金髪「少し昔の話しをする」


金髪「俺の親父はな・・海軍人だったんだ」


提督「・・・・続けろ」


金髪「あんたも聞いた事くらいはあるだろ?海軍関係の子供は学校ではあまり良い顔はされないって」


提督「あぁ、理不尽な事を言われたり虐められたりすると聞いた事がある」


実際はもっと酷いものだけどな


深海悽艦が現れてから陸、空、海とで様々攻撃手段が試されたがどれも効果はなくこのまま海は奪われて人類は消滅してしまうのかとなった時に艦娘が現れ奴らを倒して見せた


それが今から何十年も前の話しになる。詳しい年は不明


そしてそこからがまずかった


当時は陸、空、海で共同開発計画があった。これは陸、空、海が全ての予算をつぎ込んで最終兵器を造るというものだった。しかし、海軍が艦娘の出現にともない抜けてしまう


そして予算は足りなくなり共同開発計画は途中で止まってしまう


海軍は艦娘の所有権を全て奪ってしまう


艦娘達もそれに従った


どうやったのかは謎にされているが海軍の当時の元帥と艦娘達のリーダーと機密の会談があったと言われている


そしてどんどんと海軍は上位の存在になっていく


人々に嫌われているのはその当時は艦娘は陸、空、海の物になっていた艦娘を強引に奪ってしまった。これは実は関係ない。まず軍の人達以外艦娘の存在を知らないからだ


問題は共同開発計画で造られる筈だった最終兵器だ。これはテレビでも大々的放送され募金などもされ期待されていたが海軍がいきなり抜けた事で完成出来なくなった。それが大きく人々を騒がせたらしい


みんなで協力してるのに海軍は協力をやめ


いきなり優位に立ち、その圧倒的な艦娘達の力に共同開発計画で予算もなにもかもがスッカラカンの陸も空も従うしかなくなる


あっという間に海軍が日本を統括する存在になる


まるで魔王だな


さしずめ俺たちは魔王の手下ってところかな?


それが今でも根強く残っているという事だ


海軍は希望を奪ったってね


まぁ、それだけじゃなく元々仲も悪かったみたいだしある事ない事色々と言われたりあったりしたんだろうが


発端は間違いなくこれだ


本当に迷惑な話しだ


金髪「今でこそマシにはなったけど俺が小中学生の時は酷かった・・」


認めたくないけど元帥が表に出てきてからは少しずつだけどそういう差別はなくなってはきている


認めたくないけど


ただ、それでも強く残ってるところはある


金髪「俺もそれは聞いていたし覚悟はしていたんだが思ったよりも酷かった。虐められても先生は見て見ぬ振りをする」


提督「・・・・・・」


金髪「親父もそれが分かっていたから学校側に言ったりはしたから物理的な虐めはなくなったけど・・クラスのみんなからそして先生にすらいない者にされた」


提督「言わなかったのか?」


金髪「実害が出ていないから俺の口頭ででしか証明出来ない。だが、言ってもはぐらかされてしまうだけだった」


金髪「悪口を言われたり攻撃してくるならまだやり返せばいい。でも、無視は何も出来ない・・・これなら前の方が良かった」


金髪「俺は恨んだ・・でも、クラスメイトや先生を恨んでも意味はない・・だから俺は親父を恨んだ。そして決めたんだ。もう誰の力も借りない俺だけでどうにかしてやるって」


提督「・・・・・・・」


クラスメイトや先生を恨んでも意味はない。その通りだ。彼らは多過ぎる対象が不明確だ


中にはなんとなくや巻き込まれたくないから周りに合わせていたりする子だっている


その子らを恨んでも仕方ないし、相手を良く知る事も必要だ


恨むなら一個人ではないと駄目なんだ


恨むって事自体があまり良い言葉ではないと思うけど、そうする事で自分を保つ事も出来る


恨む、それは怒りであり、そいつには絶対に負けたくないという目標になる。またはそいつを自分より下に見てこいつの様にはならないと自分を律する


テストで自分より低い点の人がいるとまだ自分は大丈夫だと思えるのと同じだ


ある種の道標になる


怒りは恐怖を緩和し道標は先を照らす


照らせばどうにか歩く事ができる


歩きやすくはないけどね


まぁ、これはある程度の恨みの場合で何事も多過ぎれば暴走するし少なければ逆に消極的になる


そこから見れば身内は丁度良かったのかもしれない


例外もあるけどな


金髪「そう思ったのが丁度中学に上がった時だった。そこからまずは虐めに対抗する為に鍛えた。そして無視出来ない程になってやろうって髪を金髪にしてピアスをしだした」


提督「少し斜めに行ってないか?」


金髪「いや、今思うと少しどころか全く別の方向へ行ってる。やってる事はただの逃げだ」


提督「金髪、逃げる事は恥ずかしい事ではないよ」


金髪「そうだろうか・・俺は理由をつけて楽な方へと逃げた。これが誇れる事ではないのは俺でも分かる」


金髪「結局、無視出来ないようにと言ったが相手にされるのが怖かったからそういう格好をして遠ざけていた」


提督「・・・・・・」


金髪「笑えるだろ?相手にして欲しいが為にこうしたのにそれは遠ざける為だった。この矛盾に今まで気が付かなかったんだからな」


金髪「本当・・何がしたかったんだろうな・・俺は・・」


金髪「それがずっと高校に入ってからも続いて、どんどん馬鹿な事ばかりするようになった・・授業をさぼるのは当たり前で一方的な喧嘩やカツアゲもしたりと自分勝手に動いた。これは俺を無視するから仕方ない行為だと自分に言い聞かせた」


金髪「両親との仲も悪くなり親父とは全然口をきかなくなった。と言っても帰ってくるのは本当に稀で会う時間なんてほとんどなかったけどな」


提督「・・・・・・・・」


金髪「そのままあっという間に三年経って進路も決まらず・・卒業間近に親父が行方不明になった」


提督「行方不明・・・・」


俺の父と同じか・・時期も大体合ってるけど


まさか・・・・・


基本鎮守府には提督と艦娘達しか居ないが、長年続いてる鎮守府になると結構提督以外にも人間はいたりする


おんぼろ鎮守府の前の鎮守府は結構前から続いてると聞いてるが・・


いや、あり得ないな


提督「それで見つかったのか?親父さんは」


金髪「まだだ、でも、もう死亡扱いにされてる」


提督「そうか・・辛い事を聞いたな」


金髪「いや、俺から言ったことだ。親父は気に入らなかったが昔から海軍には興味はあったんだ。それで思ったんだ何故迫害されてまで海軍をやり続けたのか凄く気になって、それでその時に決めたんだ」


金髪「どうせこの先何も目的もない。なら、親父の歩んできた道を俺も歩いてみるのも悪くない。そうすれば分かるかもしれないってな。それで海軍養成学校へ入学したんだ」


金髪「海軍養成学校は今までの学校と違って俺を冷めた目で見る奴らはいなかった。そりゃそうだ。みんな海軍を目指してるんだからな。まぁ、ただ、興味すら湧かなかっただけかもしれないがな」


金髪「でも、此処ならもう無駄に強がって意気がる必要もない素の自分で行けるって思ったんだ・・・だけど遅かった」


提督「戻れなくなっていたと」


金髪「いつの間にか本来の自分を忘れてしまい戻れなくなってしまった」


金髪「それからずっとあんたに出会って今日に至るまでこのままだった」


金髪「いや、朝潮さんに出会っての間違いだな」


提督「朝潮さんにか良い娘だろ?」


金髪「あぁ、本当に良い娘だ。こんな俺を本気で叱ってくれた。時間をかけて説教までしてくれた。嫌がらせでもない俺の為だってのが凄く分かった」


金髪「それが嬉しくてよ。気付いたら今言った事を全て話してた」


金髪「朝潮さんはずっと黙って聞いてくれた・・そして言ってくれた」


朝潮『よく頑張りましたね』


金髪「その一言を聞いた時俺は戻れる気がしたんだ。前の自分に・・また歩き出せるって思えたんだ新たな自分へと」


提督「うん、俺もそう思うよ。よく頑張ったな金髪」


提督「そしてよく話してくれた凄く勇気のいることだったと思う」


そして俺に話してくれたのはきっと俺なら信用出来る頼りになるとかそういう事なんだ


やはり隠していても俺の提督オーラで分かるのだろう


この溢れ出る提督オーラでね!


金髪「・・・・・・・」


提督「金髪?」


金髪「俺があんたに言おうと思ったのは朝潮さんが言ったからなんだ」


提督「そうか・・・」シュン


提督オーラ・・・・じゃなかった


金髪「実はまだ話してない事がもう一つある・・いや、これが本題だ」


金髪「・・・・・っ」


提督「聞こう言ってくれ」


金髪「俺は・・俺の親父は・・・」


金髪「裏切り者なんだ。俺は裏切り者の息子なんだよ」


提督「どういう事だ?」


金髪「親父が行方不明になったって言ったよな?なんでだと思う?」


提督「時期的にもしかして・・」


金髪「もう一年前になるけど聞いた事ないか?鎮守府が襲撃で崩壊したって話しを」


提督「・・・町の被害もかなり出たあれか?場所は・・・此処から車で半日くらいかかる」


金髪「あぁ、そうだ。そこの提督が逃げたっていうのも知ってるな?」


提督「あぁ、よく知ってる・・よくね」


金髪「俺の親父は当時その鎮守府の入渠ドッグを管理する仕事をしていたんだ。そして襲撃で提督が逃げた時一緒に逃げたらしい」


提督「待ってくれ。提督が逃げたとしか聞いてないが」


金髪「そういう事になってるみたいだけど目撃者がいるんだ。そこの提督と後親父を含む数人が鎮守府とは別の場所へと走っているところを」


提督「っ!その目撃者は!」


金髪「知らないんだ・・言伝で聞いただけで誰からとは聞いていない」


提督「・・・・・・・」


艦娘達だけ置いて人間達は逃げたって事なのかよ


なにやってんだ!くそ野郎が


でも、あの鎮守府には父以外にも人が居たんだ


でも、なんで元帥はその事を言ってくれなかったんだ?


金髪「・・・・・・・」


金髪「こんなチャラい姿でも海軍養成学校に入った時は声を掛けてくれる奴はいた・・でもな、みんなこの事を知ると流石に虐めや無視はしないが何処となく不自然になるんだ・・」


金髪「そして徐々に去って行くんだみんな」


提督「・・・・・・・」


金髪「嫌だろ?こんな奴に関わるのは・・当たり前だこんな奴に関わったらそいつまで巻き添えを食う」


金髪「だから、あんたがそう思ってもおかしい事じゃない普通で当たり前の事なんだ。嫌だよな・・戦う事を放棄してたくさんの犠牲者を出した奴の息子なんて」


提督「あぁ、最低だ・・最低のくそ野郎だよ」


金髪「・・・・・・・」


提督「そしてその責任を子に押し付ける上層部も・・」


金髪「あんたは俺の事はなんとも思わないのか?裏切り者だって言わないのか?」


提督「金髪、これはお前の親父が負うべき責任だ。お前はなにも悪くない。寧ろお前もあの時の襲撃での犠牲者なんだ」


提督「理不尽に辛い思いもたくさんしてる何度この世界が嫌になったかも分からない、自分以外が敵に見える、怖い、助けて欲しい、どうして自分がこんな目に合わないといけない!俺が何かしたか?あんたらに関わったか?捨てられたのに・・もう関係ない筈なのに!責任だけは付いてくる・・おかしいだろ!・・本当・・俺はどうして生まれてきたんだろう・・」


金髪「提督・・あんたもしかして」


提督「って思ったりしたんじゃないか?って思ってな・・」


金髪「え?あ、あぁ、そうだな。その通りだ大体合ってるがそこまでは・・」


提督「悪い言い過ぎた・・所詮実際にその目に合っていない俺には分からない事だ」


金髪「・・・・・・」


提督「俺はお前を大事な部下だと思っていた。でも、この話しを聞いてもっとそれ以上に慣れたらなって思う」


金髪「え!いや、俺はすまん・・普通に女性が好きで・・・好きな娘が出来たし・・すまん」


提督「馬鹿、俺はノンケだっての、あー・・うん、もっと仲良くなりたいって事だよ」


そう言えば妙高さんから聞いた流行りの話しで今は何故かノンケという言葉が流行ってるらしい女子高生の間で


何故流行る?


金髪「俺と?嘘だろ俺はー」


提督「裏切り者の息子だろ?そんなの俺は気にしない。お前が気にしない事が出来ないなら俺はその肩書きごと受け入れる。裏切り者?知るか・・言わせておけそんな外側しか見ないハゲ共(元帥など)は」


金髪「提督・・だが、お前まで裏切り者だって言われるぞ」


提督「ん?別に良いけど?言わせておけば?俺はそんな些細な事よりお前を優先する」


もう呼ばれてるしね


金髪「っ!」


金髪「うぅ・・そこまで言われたのなんて初めてで・・くそ、涙が出てきて」ポロポロ


提督「ほら、拭けよ」ハンカチ


金髪「すまん・・洗って返す」


提督「いらん、やる」


金髪「なら、新品を買って」


提督「安物だからやるって気にするな」


実はちょっと高い


金髪「大切にさせてもらう・・・ずっと」


大袈裟だな


提督「そうしてくれ」


金髪「あんたに言って良かった・・あんたにも朝潮さんにも感謝しないとな」


荒潮さんも一緒にいた筈なんだけど・・荒潮さん空気になってる?


提督「俺は当たり前の事を言っただけだ」


金髪「それでもさ・・朝潮さんが言ったんだ」


朝潮『私は貴方を裏切り者だとは思いません』


荒潮『女性の髪の毛というのはね?それはそれは大事なー』


朝潮『ですが、私は艦娘ですし性別も違います。だから貴方の全てを理解する事は出来ません』


朝潮『そもそも私には理解出来ると言える資格はありません・・』ボソッ


金髪『ん?』


荒潮『ドライヤーで乾かす時も気をつけないと逆に傷んでしまー』


朝潮『なんでもありません。私が出来るのは応援する事だけです。すみません』


金髪『いえ、それで充分です・・それだけで』


朝潮『・・・・・・・』


荒潮『寝不足はお肌にも髪の毛にも悪いわ。早寝早起きを心がけなー』


朝潮『彼に話してみてください。貴方の上官である彼にきっと貴方を受け入れて理解してくれます・・絶対に』


金髪『あいつがな・・・・』


荒潮『ねぇ?聞いてる?スルーしてない?』


金髪「途中の言葉は聞こえなかったけど、あの時は悪いがあまりあんたをあまり信用出来なかった。どうして朝潮さんはあんたをリスペクトしてるのか不思議だった。でも、朝潮さんを信じたかった・・ずっと考えてた俺はどうすれば良いのか」


提督「だからずっと無言だったんだな」


金髪「掃除中あんたがどれだけ朝潮さんに信頼されてるか分かった」


提督「ん?ただ、掃除していただけだが?」


金髪「気づかなかったかもしれないが朝潮さんはずっとあんたを見て的確なタイミングで動いていた」


金髪「身に覚えのないか?」


提督「う〜ん」


掃除中を思い出してみる


提督『箒で外でも掃くか』箒


朝潮『準備は出来てます』ちりとり


提督『電球が切れてるな・・替えても良いかな?替えどこかな?』


荒潮『はい、これよ』電球


朝潮『っ!・・・・どうぞ』四つん這い


提督『脚立使いますから・・・』


提督『ワックスがけするか!』


朝潮『どうぞ』頭髪用ワックス


提督『頭じゃないです・・・床です』


提督『あ、Gだ!』


朝潮『ど、どうぞ』殺虫剤


荒潮『あら、可愛い』手掴み


黒髪『ひゃぁあああ!』


提督『手洗ってくださいよ・・・』


提督『雑巾で廊下を拭くぞ』雑巾


朝潮『どうぞ』バケツ(高速修復材)


提督『それ違うんじゃないです?』


朝潮『あ・・・すみません』


荒潮『それでいきましょう!』


確かに物が必要なタイミングで現れていたな


何回かおかしなのはあったけど


高速修復材に雑巾を入れた時はビックリした


雑巾が消滅した


手を入れた俺は無事だったけど


提督「言われてみればあるな。タイミングを合わせてくれていたのか自分も掃除しながら忙しかった筈なのに」


金髪「そこまでして朝潮さんはあんたを好いてる・・正直羨ましいぜ」


提督「ん?羨ましい?」


これはもしや?


金髪「まぁ、それを見てな言って見ようって思ったんだ。俺の思いをぶつけてみようって」


思い(物理)ですね!


金髪「ただ、その前にやらなきゃいけない事があった」


提督「最初に殴れと言ったあれか?」


金髪「あぁ、あんたを殴った俺をあんたが殴る事で俺はキッパリと変わろうと思ったんだ過去と今を決別する為に」


金髪「そしてこれからの俺の思いをぶつけたんだ一発でやられてしまったがな」


提督「成る程そんな事を考えて」


て事は・・俺は金髪の思いを受けずに殴り倒してしまったのでは?あの時殴られていた方が良かったのか?


提督「なんかごめん・・思いあまり受けられなかった」


金髪「何言ってる俺は満足だ。確かに俺の拳はあんたに最初の一発しか当てられなかった。だけど、あんたはいきなり殴った俺を呆れもせず応えてくれたあの狂気迫る顔を見れば分かる全力で応えてくれたって」


そんな顔してたか俺?


金髪「あんたに俺の思いをぶつけるつもりがあんたの思いをぶつけられた。こいつは身体中が燃え上がるほど熱い思いだ」


提督「お、おう」


なんか西提督さんと同じ匂いがする


これはチャラチャラしたキャラだと思ったらいざ開けてみると西提督さんだった


洒落にならない西提督さんの様な人が二人もいると俺がやばい


金髪「ありがとな。あんたには大きな恩が出来たな。これからはどんどん部下としてこき使ってくれ」


まぁ、でも、最初よりかは良いかな


金髪の奴も生き生きしてるし


提督「そのつもりだから覚悟してろよ」手を差し出す


金髪「望むところだ提督」手を握る


誰もいない暗い運動場で握手をする二人


これから辛い事もたくさんあるだろう


でも、この時この場所でこうした事を思い出せば気付く筈だ


思い出せる筈だ


もう一人じゃないって


それがその記憶があいつのこれからの助けになれば俺は嬉しい


頑張れよ金髪


提督「ふふふ」ギュッ


金髪「ははは」ギュッ


長い握手をしてる時


二人を物陰から見ている人がいた


黒髪「本当男の子って・・馬鹿」救急箱


メガネ「・・・・・・」メガネキラン


黒髪「ああ〜心配して馬鹿みたい・・邪魔みたいだし帰ろ」


メガネ「・・・・・・」こくり


黒髪「受け入れてくれるか・・・」


そして窓からも二人を見ている人がいた


西提督「若いって良いな」


妙高「西提督もまだ負けてませんよ」


西提督「珍しいなお前が俺を慰めるなんてな」


妙高「・・・・酔ってる所為です」


西提督「そうか」ニヤリ


妙高「ふぅ、美味しい」


西提督「あまり呑み過ぎるなよ?明日に響くぞ?それに貴重な奴なんだからゆっくりとな?」


妙高「さぁ?どうしよっかな〜」


西提督「まぁ、なんやかんやで付き合ってもらって嬉しいぞ。一人で呑む酒は寂しからな」


妙高「偶にはですからね?今日は良いものも見れましたし」


西提督「そうだな良いものが見れた」


妙高「どうぞ、まだ飲めるでしょ?」酒注ぎ


西提督「おとと、妙高もまだいけるな?」酒注ぎ


妙高「はい、今日はたくさん飲めそうです」


西提督「ふふ、倒れるなよ?乾杯」


妙高「分かってますよ。乾杯」


カンッ


西提督「ふっ、それにしても今日は月が綺麗だな」


妙高「ぶーーーー!」吹き出し


西提督「おっと、大丈夫か?」


妙高「な、な!こ、こんな研修生が来てる時期に何を言って!」


西提督「あ?時期?何のことだ」


妙高「も、もう少し時期を考えなさい!」ダッ


西提督「あ、ちょっと妙高!月が綺麗だから言っただけなのになんでだ?」


更に別の窓からも


朝潮「良かったです」


荒潮「うん、そうね」


朝潮「・・・・・」


荒潮「それにしては浮かない顔ね」


朝潮「私は一度提督さんを裏切り者として見てしまいました。そんな私が感謝されるのは・・・」


荒潮「それ言えば私も西提督もみんなそうよ?もう気にしてないと思うけど?」


朝潮「・・・・そうでしょうか、でも私が・・」


荒潮「納得いかないと?」


朝潮「はい・・・」


荒潮「うん、なら任せなさい」


朝潮「え?」


荒潮「何とかしてあげるから今日はもう寝ましょ?ね?お肌にも悪いし、ほらほら」


朝潮「はぁ・・分かりました」


荒潮「ふふふ」


そして全く関係ない所で


ー研修生部屋ー


阿武隈「お邪魔しま〜す」こっそり


阿武隈(ふふふ、今日は24色持ってきたから昨日より力作が出来る筈。提督さんだけこっそり起こして、ふふふ)


阿武隈「あれ?誰もいない?提督?黒髪もいない・・・みんな何処?」


阿武隈「ちぇ・・折角頑張って起きてたのに・・」


黒髪「へぇ〜何で起きてたの?」


阿武隈「黒髪に落書きする為にきまー・・・」


黒髪「落書きね・・・その24色のペンはなにかな?阿武隈さん」


メガネ「・・・・・・」ベッドへダイブ


阿武隈「ひゃあ!出た!」ダッ


黒髪「ちょっとお話ししようか?ね?阿武隈さん!」ガシッ


阿武隈「はわわわ!」


ー西鎮守府運動場ー


《ひゃぁああああ!提督さぁああん!助けてぇえええ!


提督「あ、そう言えば朝潮さんの話しばかりで荒潮さんも一緒にいた筈だよな?」


金髪「あぁ、ずっと黙って聞いてくれてる朝潮さんと対象的にずっと喋ってたな。女の子の髪についてとか手入れの仕方とか色々美について」


金髪「おかげで夜更かし出来なくなってしまったし美について知識が付いた」


提督「え?聞いてたの?」


金髪「当たり前だろ俺の為に説明してくれてるんだから聞くのが当たり前だ。一語一句覚えている。最後に言われた事を復唱したら荒潮さんが凄く喜んでいた」


朝潮さんに過去を話しながら荒潮さんの美についての話しを聞いていたと


もしかして金髪って頭良いのか?


金髪「そろそろ戻ろう黒髪達にも謝らないとな」


提督「あぁ、そうだな」


金髪「それに早く寝ないと肌に悪いしな」


提督「お、おう・・そうだな」


その後部屋に戻ると何故かまだ黒髪とメガネも起きていてくれた


金髪が今までの事を謝まり、理由も話した


親父が海軍にいた事も話した


黒髪もメガネも許してくれた


でも、裏切り者と呼ばれてる事だけは隠している


あえて言う事もないしな


少しはメンバー内も良くなってきたかな?と思っていたのだが


黒髪「ふふふ、先輩・・覚悟してなさい」


提督「っ・・・・・」ゾクッ


何か嫌な予感がした


何かが起こる


そう思い2日目が終わった


報告書2日目


奴らが現れて海は自由を失った


皆が皆で協力して戦わないといけない


なのに、裏切り者とかその息子だからとか


何故そんなどうでもいい事に必死になる


そんな事を言ってる暇なんてないだろ!


協力しろよ!戦おうとしている奴を裏切り者の息子だからとかで差別するなよ!


彼等も軍に身を置こうとする仲間だろ


上層部の人間はまずそこから改善するべきだと思う


偉そうに座ってないで仕事しろハゲ


そう書いた


次の日の朝俺の顔がピエロになっていた


黒髪の奴だ・・・・


そしてそのまま朝礼に参加して西提督さんに怒られたのは良い思い出だ


金髪の奴が怯えていた


西提督さんにだよな?


ずっと俺の顔を見てたけど・・


さて、次は3日目か・・何があったかな?


番外編【提督達のキラ付け西提督編】


西提督「・・・・・・」腕立て伏せ


提督「・・・・・・・」腕立て伏せ


西提督「300っと・・こんなものか」


提督「10っと・・・うん、よく頑張った」


西提督「・・・・・・」腹筋


提督「・・・・・・・」腹筋


如月「・・・・・・」足押さえ


西提督「300っと・・まだ足りないな」


提督「15っと・・うん、よく頑張った」


如月「流石提督ね昨日より5回も増えてるわ」


西提督「・・・・・・」ランニング


提督「・・・・・・・」ランニング


西提督「うむ・・フルマラソンをしてしまったな」


提督「」くてぇ〜


如月「2キロも走ったのだから凄い進歩よ」


西提督「階段を兎跳びで上がるぞ!うぉおおお!」ピョンピョン


提督「ああぁぁぁぁ!!」階段転がり落ちる


如月「提督!!」


西提督「ふぅ・・まだまだだな、ん?」キャッチ


西提督「む、これは俺の好きなスポーツドリンク」


妙高「頑張ってるみたいだから差し入れです。鍛えるのは良いですけど余り無理はしないでくださいね」


西提督「心配してくれるのか?」


妙高「当たり前ですよ。西提督に倒れられたらみんなが悲しみますから」


西提督「うむ、妙高はどうなんだ?」


妙高「それは・・・・少しは悲しむと思います。ほんの少しですけど・・」


西提督「そうか・・・」


妙高「用事の途中なのでこれで失礼します」


西提督「・・・・・・・」


西提督「・・・・・・」ゴクゴク


西提督「そうか・・悲しんでくれるか・・ふふふ」キラキラ


番外編




3日目の朝


3日目の朝が来た


ピエロと化した俺は盛大に朝礼でみんなに笑われた


気付けよ?って思うじゃん?朝って時間ないし・・とりあえず朝礼出た後に細かい支度などはするわけで


起きたら急いで着替えてすぐに向かう


提督『うぉおおお!急げぇええ!』


黒髪『ちょっと!待って!顔!顔!』


提督『いつも通りイケメンだろ!』


黒髪『馬鹿!鏡を見て!!』


金髪「ピエロは嫌だぁあああ!」


メガネ『・・・・・』メガネ吹っ飛び


だから気付かない


黒髪が焦っていたのは少ししてやったりと思った


金髪は俺を見てビクッってなって発狂してた朝から元気だな


メガネは相変わらずメガネだ


でも、今日は朝からメガネが吹っ飛んだ。どうやったんだろう


そして西提督さんからのお叱りを受けた


怒りに震えていた


でも、俺には分かった


あの震えは笑いを我慢してる震えだと


要はそんなに怒ってなかったという事だ


そして案の定今日も自由に動くようにと言われた


ただし掃除はするなとの事だ


昨日気合いを入れて掃除をした所為でその日の掃除当番の娘達がおろおろしていたらしい


艦娘達『『掃除する所がない!』』


西提督『やってもらえるのは助かるが彼女達の仕事も残しておいてやってくれ』


という事で


ー研修生部屋ー


提督「今日はどうするかな」顔ふきふき


金髪「大将の命令ならなんでも聞くぜ言ってくれ」


いつの間にか大将と呼ばれるようになってしまったが


俺の階級は大将ではない


少尉でもない


ないんだよね・・・・


つまりこの大将はラーメン屋の店主を大将と言うような感じなのだろう


俺が知らないだけでラーメン屋を経営してる人は軍人で大将クラスの人でしか出来ないとかではないよね?


みんなも気にしてないし変えてもらう必要もないだろう


呼ばれて嫌でもないし


寧ろ良い!


黒髪「研修なんだからもっと為になる事をお願いしますよ。先輩まだ付いてます貸してください」ふきふき


メガネ「・・・・・・」メガネ選択中


提督「いたた、もう少し優しく拭いてくれ」


黒髪「私だって昨日は拭き取るの大変だったんですから。こんなもんじゃありませんよ私の痛みは!」ふきふきふきふきふき


提督「いたたた!顔がぁああ!」


黒髪「ほら、取れました。文句言うなら今日一日それでいれば良かったんです。なんなら油性で描きましょうか?」


提督、金髪「「それは勘弁してください!」」


金髪「もうピエロは見たくない!」


黒髪「なら、二度としないでください。後、一つだけ言う事を聞いてもらいますから」


提督「はい!」


提督「え?」


何かとんでもない事に返事してしまったような・・・


メガネ「・・・・・」今日のメガネが決まったようです


黒髪「今の言葉忘れないでくださいよ・・ふふふ」


尾行?ストーカーです!


結局何をするかは決まらず


俺のやる気もなんかなく


なんやかんやで部屋の中で各々が好きにしていた


金髪は俺のあげた育毛剤を丁寧にちょっとずつ時間をかけて付けている


もっとドバァーって付ければいいのに


これだから素人は


メガネは大量のメガネを拭いていた


替えには困らないな


一つくらい貰ってもばれないかな?


黒髪「先輩ーー何かしましょうよ!」


黒髪だけは何かしたいようでずっと言ってきている


する事ないのか?


提督「だから休暇で良いんじゃないかな?一週間あってさ?一日も休みないのはブラックだと思うし」


俺は完全週休二日を守る主義だ


黒髪「研修なんだから関係ないですよね?先輩なんだからしっかりしてください!何の為の研修なんですか!」


提督「はぁ・・大体俺も研修生であって研修する方なんだけどな・・」


いくらなんでも西提督さんは放任し過ぎている


何の為の研修?そんなの俺が聞きたい!


ああ!なんか腹立ってきた!


なんで他の鎮守府の研修内容を俺が考えなきゃいけない


これではただ研修生の面倒を見さされているだけだ


提督「よし!西提督さんに文句を言いに行くか!」


黒髪「え!それはやめておいた方が・・」


提督「いや!行くね!止めるな!」ダッ


黒髪「ま、待ってください!」ダッ


二人は部屋を出て行った


金髪「ん?連れションか?」育毛剤


メガネ「・・・・・・」メガネ拭き


ー西鎮守府廊下ー


提督「と〜め〜る〜なぁあ!」


黒髪「だ〜め〜です!」提督掴み


提督「ぬぅうう!」少しずつ進み


黒髪「ふぬぅううう!」引っ張る


妙高「何してるのですか二人とも」


黒髪「妙高さん!提督を止めてください!」


妙高「なにがあったのですか」


提督「眉なしダルマ!出てこいやぁああ!」振りほどき


黒髪「きゃっ!」


妙高「せい!」ドスッ


提督「っ!」


バタッ


黒髪「はぁ・・はぁ・・やっと止まった」


妙高「その言葉は聞き捨てなりません・・聞かなかった事にするので・・次はないですよ」ギロッ


黒髪「す、すみませんでした!」


妙高「では、秘書艦の仕事があるので失礼します」


提督「」


黒髪「なんで私が謝ったんだろう・・」


黒髪「ねぇ、先輩起きてください」


提督「これだ!」グワッ


ー西鎮守府執務室ー


西提督「うむ、今日の遠征組はもう出たのだな」


妙高「はい、三時間ほどで戻ってくる予定です」


西提督「うむ、それで例の件はどうなった?」


妙高「はい、今のところまだ所在も掴めておりません」


西提督「せめて動きだけでも分かればな・・引き続き捜索を続けるように川内に連絡しておいてくれ。報告は以上か?なら書類仕事を手伝ー」


妙高「はい、以上で報告を終わります。西提督は引き続き書類の方をお願いしますね」


西提督「う、うむ・・・手伝っー」


妙高「では、失礼します」


ガチャ


ドン


提督「妙高さんが出てきたぞ」


黒髪「ねぇ、本当にこっそり追いかけるの?」


提督「気になるだろ?秘書艦の仕事」


黒髪「それはそうですけど・・」


提督「なら見よう覗こう」


黒髪「でも、こっそりしなくても」


提督「じゃあ言うか?秘書艦の仕事見せろよこの野郎って」


黒髪「そんな風に言わなくても見せてくださいって言えば」


提督「多分無理だろうな」


黒髪「何故です?」


提督「秘書艦の仕事なんて知るのは一年生には早過ぎるって言われるだろう」


黒髪「でも、見るくらいなら」


提督「秘書艦によっては極秘に動いたり極秘の書物を扱ったりするんだぞ?見せてくれなんて言っても見せてくれるわけがない下手したら捕まるぞ?」


黒髪「なら尚更こっそり見たらやばいじゃないですか!」


提督「しっ!声が大きい今日はそんな仕事をはないから大丈夫だ」


黒髪「なんで分かるんですか?でもそうなら尚更言って見せてもらっても・・」


提督「さっき腹パンされた時今日の予定が書かれたメモが見えた。妙高さんの様な真面目な人は態々書いておくからね」


黒髪「あの一瞬で見るなんて・・」


提督「まぁ、偶然見えただけだけどね。それにしても腹パン・・凄く痛かったな・・」さすさす


黒髪「自業自得です」


提督「でも、いきなり殴るのは酷いと思う。だから一つくらい妙高さんの弱味でも見れたらなーって」


黒髪「最低ですね」


提督「まぁ、冗談なんだけどな。態々見せてもらうよりこっそり見た方が妙高さんの負担にもならないしあるがままを見る事ができる」


提督「やはり着いて歩くとなるとどうしても何時もの動きとは違う動きになるからね。それが本来の秘書艦である妙高さんの動きとは程遠いと思うんだ。どうせ見るならそのままが良いだろ?」


黒髪「確かにそうですけど」


提督「一年生に分かるようなレベルの仕事を見せられて満足か?」


黒髪「満足じゃありません!見るなら本来の仕事をそのまま見たいです。分からなくても見る事に意味はあります!」


提督「なら、こっそり見るしかないそうだろ?」


黒髪「むむ・・でも・・」


提督「大丈夫最悪見せられないような仕事だったりしたら見ないようにするからね?良いだろ?」


黒髪「わ、分かりました。良いです!尾行しましょう!最初は何処へ行くんですか?」


提督「工廠へ資材の確認に向かう予定になっている」


黒髪「資材の確認ですか、なんか秘書艦の仕事って感じがしませんね・・」


提督「結構重要なんだぞ?書類に書かれている量と実際にある量が違ったりすると」


黒髪「すると?」


提督「補給出来ない娘が出る。考えて遠征に出したり出撃させたりしてる筈だからな少しの誤差なら問題はないけどそこからどんどん誤差が広がっちゃうと」


黒髪「気付いた時には大きな誤差になっているという事ですね」


提督「そう言う事だ」


ちなみに俺の鎮守府では明石さんが管理してくれるのでどうにかなっている


結構厳しかったりするけど


そして秘書艦


まず、俺の鎮守府には秘書艦というのがいない


いや、居たけど監査の時だけだった


何故か?それは秘書艦を一人に決めてしまっては出来ない仕事があるからだ


例えばその日にまるゆを秘書艦にしよう


書類が大量に来ました!さぁ!どうなる!


結果だけ言うと俺が一人で書類を片付ける羽目になる


下手すると仕事が増える


そして俺がストレスで禿げる


やばい!


だから、必要な時に必要な人を呼ぶという事にしてる


書類が多い時は不知火を呼び


上層部からの電話がうざい時はまるゆを呼ぶなど


みんながみんな得意不得意があるからその時その時で秘書をしてもらうと言う事になるのだろう


言うなればみんな


秘書艦だ!


みんな元気にやってるかな・・会いたいな


提督「さぁ行くぞ」


黒髪「もう・・・仕方ないですね」


その頃研修生部屋では


金髪「遅いな・・・腹でも壊したのか?」


メガネ「・・・・・・」正露丸


金髪「なら俺は水を用意しよう」


発動!ネガティブモード


ー西鎮守府工廠ー


妙高「・・・・・・」ピッ


資材を貯蓄してる貯蔵庫に残りの量が表示される


妙高「ふむ・・・ちょっと少ないですね」かきかき


その物陰では


提督「充分多いと思うけどな・・」


黒髪「標準的な量を知りませんから多いか少ないかなんて分かりませんが先輩は分かるんですか?」


提督「え?ああ、まぁな」


黒髪「あ、貯蔵庫の中に入っていきました」


提督「まさか数える気か?」


黒髪「そんな資材を手で数えるなんてそんな事を・・・」


提督「まぁ、すぐ出てくるだろう」


黒髪「先輩・・もうやめませんか?やっぱりいけませんよこんなの・・罪悪感が凄いです・・」


提督「大丈夫ばれなければいい」


黒髪「考えてみてください妙高さんは第1艦隊の旗艦なんですよね?だったら時期に気配とかでばれると思いますよ」


提督「確かに・・・・」


黒髪「もうばれてるかもしれませんし・・私は嫌ですよ?さっき見た腹パンされるのは」


いや、多分あれは俺限定だと思う


提督「・・・・・・」


黒髪「ね?だからもうやめましょう先輩」


提督「仕方ない・・なら気配を消せば良い」


黒髪「え?尾行の仕方すら習ってないのに出来るわけないですよ。まずそんなのを習うかも怪しいですが先輩は習ったんですか?」


提督「いや、全く」


一年生の過程すら習ってない


黒髪「ならー」


提督「だが、気配を消す事は出来る勝手に身に付いてしまったものだけどな」


黒髪「先輩って実は凄い人なのかも・・どうやって覚えたんですか?」


提督「ぼっちを極めたら身に付いた」


黒髪「一瞬でも尊敬した気持ちを返してください」


提督「好きで身に付いたわけじゃない」


黒髪「まぁ良いですけど・・じゃあ、やってみてくださいよ」


提督「言っておいてなんだけどあまりやりたくないんだよね・・」


黒髪「成る程分かりました先輩は私に良いところを見せようと嘘をついたんですね」


黒髪「確かに先輩は先輩らしいところは全然ありませんけど少しは認めてますよ先輩として」


提督「なんか褒められてるのか微妙だな・・別に良いところを見せつけようとしていたわけでもないし寧ろこれやったら逆に幻滅するよ」


黒髪「そんな事はありませんよ気配なんて消せるなら凄いって尊敬します」


黒髪「特に先輩の様な歩くだけで周りの艦娘達がジロジロ見てる人は」


え?そんなにジロジロ見られてたの?


提督「・・・・・・」


提督「本当?」


黒髪「本当です」


提督「少しだけ時間をくれ」


黒髪「本当に出来るんですか?」


提督「あぁ・・・色々と失う物は多いけどな」遠い目


黒髪「え?それってもしかして・・命とか?」


提督「え?俺気配消す事にそこまではかけてないけど・・でも、同等かもしれないな・・俺にとっては」


そう言って自分の髪の毛を触る


黒髪「無理してやらなくても良いですよ?別に幻滅なんてしません」


提督「信じてないだろ」


黒髪「信じてますよ〜凄い凄い」


提督「・・・・・・・」


提督「やってやるよ!見とけよ!」


やるとは言ったが怖いのもある


下手すれば精神崩壊を起こしかねない


でも、何時までも記憶の奥底に置いて逃げ続けるのもいけない


向き合っていつか笑い話しに出来ればいいな


出来る筈だ


だって今の俺は充実した毎日を送れているから


そう、これはその為の第一歩だ


ゆっくり目を瞑る


深呼吸をして心を落ち着かせ頭の中を空っぽにする


提督「・・・・・・」


黒髪「先輩が真剣な顔してる・・レアです」


なんか余計な言葉が聞こえてきたような


おっと、集中しないと


頭を一度空っぽにしてそれから鎮守府へ着任してからの記憶を思い出す


楽しいあの日々を俺の本当の居場所だと気付けたあの時


そしてその着任してからの全ての記憶を引き出しに押し込んで鍵をつける様なイメージをする


覚えているけど表に出ない感じだ


おおっと、胃がキリキリと痛くなってきたぞ


良い傾向だ


そして学生だった頃の忌まわし記憶を選別


発狂しない程度で尚且つ心にダイレクトにアタックしてくる記憶を選び表に出す


此処はあの日の教室


誰も俺に干渉しないあの教室


そこで俺は


提督「うっ・・・・」


黒髪「先輩凄い汗です・・」


人が怖い・・関わりたくない・・でもどうする?そうだ、俺自体を消せば・・


俺はいないんだ・・・


喉に何か引っかかる感じがする


心臓に違和感が・・


良い傾向だ


胃の痛み、心臓の違和感、喉の引っかかり


これは大きなストレスを抱えると起こる症状で別に身体に異常(病気)があるわけではない


だが、長く続くと本当に病気になってしまうのでストレスは適度に解消させようね


気になるなら病院で診察を受けるのも手だぞ?何もないと分かればそれで不安もなくなり症状も緩和される


っと説明は此処までで後はその記憶をギリギリまで表に出して


自分を追い詰める


鼓動が早くなる


まだだ


血液の流れが早くなる


もっとだ


動悸がする、恋?なわけないだろ


汗が止まらない、漏らしたか?なわけ・・・あるか?


いやいやないない


ギリギリまで・・・


提督「ぐぅうう・・・」


黒髪「先輩もう良いですから!やめてください凄く辛そうです」


大丈夫・・大丈夫だ


そう何度も自分に言い聞かせる


今は俺には大切な理解してくれる人達がいる


今も心配してくれる人がいる


一人じゃない・・


駄目だ!これでは出来ない


俺は一人だ・・でも、一人じゃない


怖い・・・でも


怖くない!


矛盾?知るか!!


提督「っ!」グワッ


出来た・・・・この感覚はあの時と同じだ


黒髪「っ!先輩・・」


提督「はぁ・・はぁ・・何も言うな・・分かってる・・」ハイライトオフ


黒髪「で、でも・・・目が、それに涙まで」


提督「・・・・・止まらないんだよ」ツー


提督「それより・・気配は消えてる筈だよ・・・はぁ・・」ズーーン


黒髪「確かに何か空気のような今にも消えてしまいそうなくらい存在感が薄くなってますけど」


提督「これでばれないだろ・・・」ポロポロ


黒髪「うっ・・でも、常にハイライトが消えて泣かれているのは・・」


提督「気配が消える代わりにハイライトさんが実家に帰ってしまい涙が止まらなくなり・・猫背になって・・・怠くなって・・・ネガティブになる・・・・俺はこれをネガティブモードって今命名した・・はぁ・・」


でも、あの時より辛くはない


本当なら喋るのも辛い状態の筈だが平気だ


今があるおかげだ


少しは成長出来てるのかな?


黒髪「もう良いですから戻ってください見てられません」


提督「無理・・・・・」


黒髪「え?」


提督「これって発動するにも解除するにも凄く集中力を使う・・・・」


黒髪「それは見て分かりますけど出来ないって」


提督「頭の中が嫌な事でいっぱいでとてもじゃないけど集中なんて出来ない・・・てか、集中すると嫌な事がダイレクトに来るから無理」


黒髪「なんて事だ・・・」


提督「ごめん・・笑ってくれよ・・糞虫野郎って幻滅したろ・・」ポロポロ


黒髪「はぁ・・これって私の所為なのかな・・幻滅してませんよ。それよりどのくらいで戻りそうですか?」


提督「本当に?そのうち戻るよ・・多分・・でも」


黒髪「でも?」


提督「常に涙が出てるから水分取らないとすぐに脱水症になって倒れる・・・」


黒髪「もう欠陥だらけじゃないですか!」


提督「やっぱり幻滅してんだ・・不幸だ・・」


黒髪「だからしてないって!」


提督「あ、あと・・髪の毛に深刻なダメージが・・・・」涙ドバー


黒髪「はぁ・・ハンカチ使ってください」


提督「ありがと・・後で提督菌がついた汚ねぇって言わないでくれよ・・洗って返す・・」


提督「あ、SNSとかにアップしないでね?こいつキモいとか・・写真付きで」


黒髪「言いませんし、しませんから・・もうどうするんですかこれから」


提督「尾行を続ける・・・このまま待ち続けよう・・・・」ハイライトオフ


黒髪「完全に危ない人だ・・・一緒に居るの嫌だな・・同類だと思われそう」


提督「やっぱり・・・うぅ・・生きててごめんなさい・・」ポロポロ


黒髪「ああーもう!冗談ですから!先輩ともっと一緒に居たいです!」


提督「本当に?SNSに愚痴とか書いー」


黒髪「書きませんから!本当です!」


黒髪(先輩・・凄く面倒くさい人になってる・・)


提督「あ、黒髪もやってくれ・・これ・・教えるからネガティブモード」


黒髪「出来るわけないです!」


提督「いや、出来る・・自分を信じて・・さぁ・・」


黒髪「そんなので自分を信じたくありませんから!」


提督「・・諦めんなよ」ポロポロ


黒髪「うぅ・・なんですか・・」


提督「君には素質がある・・君にはー」


黒髪「ないです!絶対に!これ以上言うなら本当にSNSに書きますよ!」


提督「ごめん・・・・・」


結局俺は無駄にネガティブモードになっただけだった


それから三時間待ち続けた・・


そして妙高さんが出て来て港で遠征組みの出迎えをした後また貯蔵庫に入ってしまった


秘書艦って引きこもりなのかな?


その時になにか視線を感じた様な気がしたけど気の所為だな


提督「また待つのか・・・」


黒髪「先輩、予定のメモ見たんですよね?この後はどうなっていたんですか?最初からそれを見てれば時間になった時にそこへ行けば良いんですよ」


提督「えっと確か・・工廠で資材確認と夕飯当番って書いていたと思う・・」


黒髪「まさか・・それだけ?」


提督「うん・・・」


黒髪「もっと早く言ってくださいよ!それなら夕方まで篭っててもおかしくないじゃないですか!もう尾行する意味ないです!何が楽しくて先輩と工廠で三時間も貯蔵庫見てないといけないんですか!」


提督「っ!」


提督「本当だよ・・なにやってんだろうな俺達・・無駄に疲れたし・・」ポロポロ


提督「ごめんな・・アホな先輩で・・」


黒髪「もう言わないでください・・一度部屋に戻りませんか?考えてみたら金髪達放ったらかしじゃないですか」


提督「そうだな・・・・」


黒髪「悪くはなかったですよ先輩」


提督「SNSのネタ的に?」


黒髪「そこから良い加減離れてくれませんか!」


朝の時間を無駄に使った二人であった


因みに


妙高「・・・・・・・・」チラッ


提督、黒髪「「・・・・・・」」物陰


雷「提督ちゃん・・・・」更に向こうの物陰


妙高「なにやってるんだか・・・三人共」


妙高さんは最初から気付いていました


研修生危機一髪


部屋に戻ると金髪達が正露丸と水をくれた


なんで?水は貰ったけど正露丸は丁重に返しました


一通り朝の事をネガティブモードも含め話し


昼から何をするかを話し合い


艦娘達に色々と話しを聞いてみようという事になった


西鎮守府に身を置き時に海で敵と戦う彼女達の話しならきっとみんなの良い勉強なるだろう


昼食を食べたら手当たり次第艦娘達に話を聞こう


ちなみに昼食は部屋で食べた


食堂で食べるつもりだったが俺が入った瞬間何時もの皆の話し声でいっぱいの食堂がシーンとなり


周りがひそひそと話し始める


少しして黒髪達が何故かこれ以上はやばいからと部屋で食べる事になった


なんでも、みんなのひそひそ話しの内容が関係してるらしい


俺は怖いから聞かないようにしていたけど


どうせ・・・


『なにあの目キモーい』


『見たらダメよ私達もあんな目になるよ』


『泣いてるしダサくない?』


『うわ、男が情け無い』


『折角の食事が台無しよ』


とかだろう


実際は


『提督さんどうしちゃったんだろ』


『泣いてる・・可哀想』


『きっと研修生達が虐めてるのよ』


『殺る?』


『殺っちゃう?』


『私が先陣切ろうか?』


『いえ、私がやる』


『私よ』


ざわざわざわ


『提督ちゃん・・・・』


皆の怒りの視線が黒髪達を襲った


提督は自分にと勘違いしていたが


基本ネガティブモードの提督にはこそこそ話しは全て悪口だと変換され音が遮断されるのだ


そして視線も全てが見られてると思っている為まともに周りを見れない


提督も分かってはいる此処の艦娘達にこそこそ悪口を言う娘なんていないと


でも、それでも思ってしまうのがネガティブモードなのだ


とまぁ、こんな感じで昼食を終えいざ行動を開始したのだが


最初の一発目で


とある駆逐艦の娘に話しを聞こうとしたら


提督を見た瞬間泣かれてしまった


目のハイライトがない上になるべく怖がらせないように笑顔にしていたのだが


提督「ふふふ・・話しを聞かせてくれるかな?」ニヤリ


文月「は、はぅ・・・・」ビクッ


引きつった笑顔が逆に怖かったらしく


彼女達も軍人とは言え女の子でありまだ幼い娘であるのは変わりない


艦娘は歳をとらないが此処にいる娘達は野良艦娘がほとんどで実は生まれてからそれ程経っていない娘が多い


怖いものは怖い


ただでさえ、演習で有名になっていて一部の艦娘達からは尊敬の眼差しで見られている


その所為もあって更に研修生が居る手前自分から話しかける事の出来ない娘達もいた


そんな尊敬する提督が話しかけてくれた


提督「ふふふ」ニヤリ


ハイライトが消え笑顔もぎこちない姿で


しかも泣いてる


彼女にはその笑顔が怒っているように見えたのだ


泣くほどの怒りだと


その姿は第1艦隊である文月ですら恐れるものだった


文月「ごめんなざい・・うわぁあああん!」


提督「がはっ!」精神的轟沈


力なく膝から倒れる


黒髪「旗漢轟沈により一旦撤退します!」ダッ


金髪「了解だ!メガネ!フォロー頼んだ!」ダッ


メガネ「・・・・・・」コクリ


文月「うわぁあああん!!!」ポロポロポロ


メガネ「・・・・・・」ナデナデ


文月「うわぁあああん!!」ポロポロ


メガネ「・・・・・」飴玉一つ


文月「うわぁあああん!」ポロ


メガネ「・・・・・・」飴玉二つ


文月「うわぁあああん」チラッ


メガネ「・・・・・・」飴玉三つ


文月「うわぁぁん(棒読み)」チラッチラッ


メガネ「・・・・・・」飴玉四つ


文月「うわぁーー四つ・・・」


メガネ「っ!」


文月「四つ・・・・・」


メガネ「っ!!」飴玉六つ


文月「えへへ、ありがとう」ニコリ


メガネ「・・・・・・」ウンウン


メガネ「・・・・・・っ」チラッ


他の駆逐艦達「「「・・・・」」」ジーー


メガネ「・・・・・・」飴の袋カラ


他の駆逐艦達「「「・・・・・」」」シュン


メガネ「っ・・・・・・」ガサゴソガサゴソ


メガネ「・・・・・・」新しい飴の袋


メガネ「・・・・・・」手招き


他の駆逐艦達「「「・・・・・」」」パァアッ!


メガネはその後待っても帰ってくることはなかった


後で駆逐艦の娘達と遊んでいる姿が目撃される


と言っても一部の駆逐艦の娘達だけど


提督「貝になりたい・・」その場放置


雷「提督ちゃん・・もう大丈夫だからね」ギュッ


ついでに提督も


提督「ああ〜心が・・俺の中の負が消えていく・・」ハイライト帰宅中


涙する提督を優しく抱きしめている雷の姿が目撃され


それを見た他の艦娘達(先ほど食堂にいた娘達)が何故か涙ながらにその場を見守っていた


目に光が戻った


ついでにその艦娘達による研修生殲滅作戦も中止になった


残った二人は駆逐艦の娘用のお礼の飴玉とメガネを失い旗漢まで失ったが


続ける事にした


それが二人への手向けになると信じ


黒髪「・・・・・」


金髪「大将・・・すまねぇ・・」


黒髪「行くよ」


金髪「あぁ、行こう」


これからの若者達


次に声を掛けたのは


イムヤ「話し?良いわよ」


潜水艦の伊168さんだった


本人からはイムヤと呼んでと言われたのでそう呼ぶ事にした


金髪「ありがとうございます」


イムヤ「遠慮せず何でも聞きなさい」


黒髪「では、早速イムヤさんは此処にどうやって着任したんですか?」


イムヤ「いきなり言いにくい事聞くわね」


黒髪「あ、聞いたら不味かったですか?なら・・」


イムヤ「ううん、良いの。遠慮せず聞いてって言ったしね」


イムヤ「私はね元野良艦娘なの」


黒髪「野良艦娘?」


イムヤ「あれ?まだ習ってなかったのかな?あ、でもあまりそういう事は教えないのかな?なら、ドロップ艦って分かる」


黒髪「すみません・・・」


金髪「飴玉の事では?ドロップ缶」


黒髪「え?蛍の墓で有名の?サ◯マドロップ缶?」


イムヤ「ふふふ、確かに飴玉もドロップって言うけど違うわね」


イムヤ「そうか、本当に入りたての一年生なんだね」


イムヤ「う〜ん、私達艦娘は生まれた時から何処かの鎮守府に所属してるわよね?」


イムヤ「私は生まれた時には何処にも所属してなかったの」


黒髪「そんな事ってあるんですか?艦娘は工廠で生まれるのに所属なしなんて」


金髪「もしかしてさっき言ってたドロップ缶?艦?と関係が?」


イムヤ「缶は艦娘の艦よ。でもやるじゃない正解よ」


金髪「あ、どうもです」


イムヤ「まぁ、あまり詳しく言うとやばいから簡単に言うとなんやかんやで海に一人で陸にも上がれない状態だった」


黒髪「なんで上がれないんですか?」


イムヤ「君はグイグイ来るね好奇心旺盛なんだね。嫌いじゃないけど」


イムヤ「ちょっと二人とも近くまで来て」


黒髪「?」


金髪「近づいた瞬間殴るとか?」


イムヤ「私はそんな暴力的な奴じゃないから・・あまり大きな声では言えないからよ」


黒髪「あ、そういう事ですか」


イムヤ「良い?学校に戻っても教えてもらったなんて言わないって約束出来る?」


黒髪「はい、約束します」


金髪「まぁ、話す奴なんていないしな」


黒髪「・・・・・」


イムヤ「私達野良艦娘はね軍から追われていて見つかれば問答無用で攻撃されて沈まされる」


黒髪、金髪「「っ!」」


黒髪「そんな酷い・・・」


金髪「俺も此処に来るまでは艦娘は半分道具だと思っていたクソ野郎だが・・前の俺でも言えます酷い・・」


イムヤ「だから私は生きる為にはなんでもした。他の野良艦娘から燃料を奪ったりもしたし艦隊を襲った事もあった」


イムヤ「でも、そんなのはずっとは続かない・・戦って勝って練度が上がればそれだけ必要な燃料も増えるし何よりも精神的に辛かった」


イムヤ「眠る時は水中ソナーに反応しないように深い海の底で眠って・・お腹が空けばなんでも食べた海にある食べられる物ならなんでも・・そう、なんでもね・・言えない物も食べた」


黒髪「イムヤさん・・ごめんなさい私・・」


イムヤ「ううん、気にしないで話せるから話してるの大丈夫だからね。聞いてくれてありがと」


黒髪「はい・・・・・」


金髪「野良艦娘ってのは稀なのか?」


イムヤ「ううん、下手すれば鎮守府に所属してる全ての艦娘達より多い・・けど大半は沈んじゃう」


イムヤ「それでも増え続けると思う奴等と戦う限り」


黒髪「軍は国は・・それを良しとしてるの?おかしいよ・・」


金髪「隠してるって事か・・もう学校も海軍も信じられなくなりそうだ・・」


イムヤ「でも、なくてはならない存在である事は確かよ。それに学校は出るのよ。じゃないと海軍人にはなれないから。提督になりたいなら教わる事もたくさんあるしね」


イムヤ「例外も貴方達の近くにいるけど」ボソッ


イムヤ「その分無駄な事も多いけど頑張ってね」


金髪「はい!」


イムヤ(まだこの子達は純粋ね・・きっと卒業させる四年間でじっくりと学校側に染めて事実を打ち明ける。でも、その時には酷いなんて思わない。それが当たり前だと思うようになっている)


イムヤ(それなのによく学校側は一年生の時点で研修なんてさせようと思うわね。こうなる事も予想出来ると思うけど・・何か裏がありそうね)


黒髪「あの・・此処まで聞いたから聞きます。西鎮守府にはどうやって?」


金髪「中途半端に聞くのをやめるのは相手にも失礼だ。聞かせてくれ」


イムヤ「うん、強い子達ね。まだ、これからに期待出来るかも・・まぁ、それで私がもう沈みかけた時だったかな」


イムヤ「お腹が空いて燃料も僅かだった時に」


黒髪「助けられたんですね西提督さんに」


イムヤ「ううん、助けたの西提督を多分」


金髪「ん?どういう事だ?」


イムヤ「西提督ねその時ゴムボートで走ってたみたいで、でもエンジンが壊れて漂流してたのよ」


金髪「海を一人で?無茶だろ」


イムヤ「でも、それが西提督だから」


黒髪「そこをさっそうと助けたんですね。なんか人魚と王子の話しを思い出しますね」


金髪「人魚が王子を助けて恋に落ちるってやつか」


イムヤ「そんな良い話しじゃないのよね・・彼も暑かったみたいで海に飛び込んだのよ。泳げない癖に」


黒髪「それで助けー」


イムヤ「私はそれを肉の塊だと思って食らいついたのよ」


黒髪、金髪「「へ?」」


イムヤ「お尻にもう全力でガブリってね」


金髪「とんだ人魚だな・・・でも、ある意味でそれが普通かもな童話の人魚が本当に居たら人間とか食いそうだし海の底に引きずり込んでからゆっくりと」


黒髪「やめてやめて!そんな話聞きたくない!人魚は人なんて食べません!」


金髪「それで食べたのか?西提督さんの尻を」


イムヤ「ううん、不味かったから食べられなかったわ。それに凄く硬かったし。あ、でも今でもお尻に歯型は残ってるのよ見に行く?言えば見せてくれると思うわ西提督のお尻」


黒髪「結構です!」


金髪「だそうです。俺も男の尻には興味ないな」


イムヤ「綺麗に残ってるのに・・後悔しない?」


黒髪、金髪「「しません!」」


イムヤ「そこまで言う・・・それで気が付いたら西鎮守府にいたって事」


黒髪「え?唐突に話し飛んでないですか?食いついた後すぐはどうなったんですか?」


イムヤ「そこから気を失って気付いたら西鎮守府だったのよ・・西提督に聞いても君に助けられたしか言わないし・・」


金髪「なにがあったんだろう・・気になる」


イムヤ「教えてくれないからもう諦めたわ。最後に聞いた音はブーーッって音だけど関係ないわよね」


黒髪「関係なさそうね・・ブーーって音何かな?」


金髪「・・・・・・」


イムヤ「そこから西鎮守府に住むようになって気付いたら艦隊メンバーに入ってたって事」


黒髪「苦労したんですね・・ありがとうございます貴重な事を話してもらい」


金髪「これからの考え方にも大きく関わりそうだ。大将やメガネにも聞かせてやりたい」


イムヤ「あまり事を大きくしたくないから秘密にしておいてね。あと、この鎮守府はほとんどが野良艦娘だった娘ばかりで中には思い出すのも凄く辛い娘もいるから着任の話しは聞かないであげて」


黒髪「そういう事なら分かりました。イムヤさんの事も三人の秘密にします」


金髪「あぁ、西提督さんのお尻の歯型もな」


イムヤ「それは広めても良いわよ!本当に綺麗に残ってるから!見て欲しいわ」


黒髪「それも秘密にしておきます」


金髪「ははは、イムヤさんって本当に西提督さんが好きなんだな」


イムヤ「そ、そうかな?お尻の歯型は好きだけど」


黒髪「お尻の歯型だけじゃないんでしょ?」ニヤニヤ


金髪「応援してるぜ」


イムヤ「っ・・・・ありがとね」


イムヤ「他に聞きたい事ある?」


黒髪「まだありますけど時間大丈夫ですか?」


イムヤ「うん、若い子の成長に貢献するのも立派な仕事だからね。特に君達には期待してるからね」


イムヤ(人間と艦娘の恋を純粋に応援出来る貴方達をね・・)


イムヤはこの子達の為に出来る事を力になってあげようと


そして初めて次の世代へと繋げたいと思うのだった


イムヤ(なんか年寄りくさいかも・・私)


イムヤ(まだまだ現役だからね!)


黒髪「なら、最近で衝撃的なエピソードとかないですか?」


イムヤ「それなら勿論!前の演習の話しね!」


まだまだこの物語は終わらない


歩み始めた提督は


次へと進んだ


この大切な鎮守府を守る為に


【大切な鎮守府と歩み続ける提督】




次回【大切な鎮守府と道を照らす提督】に続く


後書き

またまたまたよろしくお願いしますね!

とりあえず演習編は終了です

コメント応援評価オススメとか残してくれると嬉しいです!

後、こんな話しを書いて欲しいとかあったら書いてください。書けるかは分かりませんが参考にはしたいと思います

4スレ目もこれで終わりです!此処まで来れたのはみなさんの応援やコメントや評価にオススメのおかげです!

段々と評価や応援の数が減っていってることに少し危機感を感じますが、一人でも見てくれる方がいる限り書きます!後どのくらいになるかは分かりませんがこれからもよろしくお願いします

コメントなどは随時受け付けているのでどんどんしてくださいね

本当にしてね?してよ〜〜


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このSSへのコメント

69件コメントされています

1: ひまな人 2016-04-07 21:00:41 ID: QPvubu_j

面白いです!

やはり女心は難しい?

頑張ってください!

2: SS好きの名無しさん 2016-04-08 00:53:13 ID: uy0p5bZr

どこの提督も大変だな

3: ポテ神 2016-04-08 17:50:45 ID: pvwDvV0v

ひまな人さん!

ありがとうございます!

女心を知れる男になりたいものです・・・

これからもよろしくお願いします

2番さん!

提督ですからね〜特に西提督は女性に対して少し苦手意識があったりしますから余計大変だったりします

4: T蔵 2016-04-08 21:15:40 ID: KPrxxwYt

いつも楽しく読まさせていただいております。
笑いのキレが秀逸ですね。
キャラ紹介のただの老婆w
あっ、でも建造年月日を考えると・・・。
おや、こんな時間に誰か来た様ですね。

5: ポテ神 2016-04-08 23:14:42 ID: pvwDvV0v

T蔵さん!

コメントありがとうございます!

そう言ってもらえるとやる気アップです!まだまだSS初心者ですがこれからもよろしくお願いしますね

共に頑張りましょう!

もう遅いかもしれないが彼女達の年齢に関しては触れてはいけない

もし、触れてしまえば

ん?誰だろうこんな時間に

6: SS好きの名無しさん 2016-04-10 11:11:18 ID: Wh2Zed-e

あれ?潜水艦は?西の

7: ポテ神 2016-04-10 13:39:54 ID: qnhRp9e1

6番さん!

不知火は水中にいた伊168に気づかずそのまま先へ行き

伊168は気配を消しつつそのまま駆逐漢へ向かっている状態です

そしてどうなったのかは次の更新で分かると思います

8: のんびり 2016-04-10 14:47:16 ID: sTl3pLIp

 うわぁあ・・・こんな気になるところで終わられたら眠れないじゃないですか!
(今は昼?私はいつも深夜テンションデス。深夜テンションの意味はよく分かりません! ドヤァ)

 更新期待、です♪

9: ポテ神 2016-04-10 21:23:46 ID: qnhRp9e1

のんびりさん!

次回はなるべく早く更新するようにするんで待っててくださいね!

過度な期待は駄目やで?

あと、深夜テイション良いじゃん!俺は休みの日の昼は基本寝てますから元気なのが良いですね!どうしても昼間は眠気がね・・

だが!休みの日の睡眠時間は猫と同じくらいですよ!ドャァ!

10: SS好きの名無しさん 2016-04-11 01:23:20 ID: yVraUOFn

更新お疲れ様です!
フッ まだまだだな西提督よ
部下の尻拭いをするのも提督の勤め
つまり!祥鳳さんのあれを己の口で直接飲み込んでこそ真の提督なのだッ!
(むしろ祥鳳さんのあれを飲めるなんて私としてはご褒美なのだg・・・)
おや、こんな時間に誰か来たようだ

11: ポテ神 2016-04-11 07:01:16 ID: k3Pt0dF5

10番さん!

貴方こそ真の紳士であり提督になれたかもしれない逸材だった・・・こんな事になってしまい残念に思う・・ここに書き込むという事がどれだけ危険だったか分かっていた筈だ・・それなのに二人目の犠牲者とは・・

しかし、一人では逝かせん!

俺は!鳳翔さんのなら!上のも下のもだいかんげーっ

ガッ!

・・・・・・・・・・・・・・・

今のは嘘ですよ。私はそんな事しませんよ

12: Jpanther 2016-04-11 22:54:58 ID: pswlWqVf

↑そんなことも出来ないのか鳳翔様への愛 敬意 すべてが足りないな今すぐ母港をLv99の鳳翔で埋めるべきそして毎日太陽に向かい「鳳翔様は偉大なり」と8時間事に五体投地で礼拝しなさい

13: ポテ神 2016-04-12 07:33:05 ID: a5yHjUkF

Jpantherさん!

す、すみません・・しかし、わたしの艦隊には鳳翔さんはいないんですよ・・・実はSSに登場する娘たちほとんど持ってない娘たちなんです!すみませんでした!!

俺は潮が大好きですから!!ですが鳳翔さんも好きです!

ふっ、朝の礼拝が増えるぜ・・

鳳翔さんを探しに行くか

14: T蔵 2016-04-12 12:03:03 ID: xxgQikdD

さて、プリンを買いに行く時間が来たようだな・・・・。

15: ポテ神 2016-04-12 15:03:08 ID: a5yHjUkF

T蔵さん!

行くんですね・・・釣りに

死ぬなよ・・必ず帰って来い潜水艦を連れてな

16: 戦艦れきゅー 2016-04-12 16:10:11 ID: HOAhci6d

久々に戻ってまいりました!
更新頑張ってください!



プリン「解せぬ」

17: ポテ神 2016-04-12 16:56:19 ID: a5yHjUkF

戦艦れきゅーさん!

お帰りなさい!ゆっくりしていってね?

プリンはちゃんとイムヤが食べてくれたのでプリンとしては本望ですよ

18: トランザムユーザー 2016-04-14 18:57:27 ID: X0MG6rMl

第一部からここまで一気に読みました!

更新待ってます!もう8部ぐらい引っ張ってくれてもええんやで?(ニッコリ)

19: ポテ神 2016-04-15 06:55:09 ID: Vc8OG4V7

トランザムユーザーさん!

一気読みとは・・ありがとうございます!凄く嬉しいです!!

だけど8部までは無理ですよ!ですが、とりあえず書けるだけ書いていこうと思うのでこれからも応援よろしくお願いしますね!

コメントやオススメをもっとくれてもええんやで?(ニヤリ)

20: T蔵 2016-04-17 08:21:03 ID: Px7iUY2y

更新お疲れ様です。
続きお待ちしておりました!
で・・・、大和はいつデレるのですか?(重要)
武蔵とともに異動なんてことになったら消費資材で財政破綻しそうだ。
後、ついでの様で申し訳ないのですが
コメント欄での素敵な後日談ありがとうございました!
この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

21: SS好きの名無しさん 2016-04-17 10:23:09 ID: tPuKXyFJ

更新お疲れ様です!
本編もおもしろいしコメント欄もおもしろいからこれからも応援してます!

22: ポテ神 2016-04-17 19:09:00 ID: NfiUYtI-

T蔵さん!

なんどもコメントありがとうございます!

大和がいつデレるか・・それは分かりませんね。まずデレる事はあるのか?

そして、大和と武蔵が異動して来たなら確実に鎮守府は大変な事になるでしょう。提督が禿げます

しかし、何故元帥は二人を提督に会わせたのか?

何か意味があったりなかったりするかもしれないです

いえいえ、こちらこそ素敵なエピソードありがとうございます。これからも楽しみにしてるので頑張ってくださいね

21番さん!

ありがとうございます!

本編もコメントも面白いと言ってくれて凄く嬉しいです!コメントは皆さんのコメントが面白かったりして俺も好きです!

ですが・・・本編もコメントも面白い・・・・・


番外編は?おもろなかったん?

まぁ、まだこのスレには番外編ないけどね!

これからもよろしくお願いします

23: SS好きの名無しさん 2016-04-17 22:03:09 ID: 6WlEhUem

更新お疲れ様です

いつも楽しんで見てます!
次の更新が待ち遠しいです!

頑張ってください応援してます!

24: ポテ神 2016-04-17 23:03:03 ID: NfiUYtI-

23番さん!

はい!頑張りますのでこれからもよろしくお願いしますね!

更新は不定期ですけど・・・

その応援が俺の力になります!

25: ニコチン 2016-04-20 15:12:48 ID: X76F5F-E

更新お疲れ様です!

ちょこちょこ見に来て楽しんでます!

頑張ってくださいね!応援してますよ!

26: ポテ神 2016-04-20 17:38:36 ID: -mTr0naY

ニコチンさん!

ありがとうございます!

こちらもちょこちょこ更新するんで何度も見に来てくださいね!

これからもよろしくお願いしますね!

27: T蔵 2016-04-22 19:25:54 ID: VoHM4mXY

更新されてると思ったら。
うん。
深刻な悩みだよね。
ゴルゴの様に「・・・・。」だけで
会話が成立してる。
これからも更新頑張ってください。

28: ポテ神 2016-04-22 21:43:50 ID: xXcSU1gR

T蔵さん!

何度も何度もコメントありがとうございます!!

風呂に入った時にふと後頭部が気になりまして

その時思いついたネタだったりします!

29: ひまな人 2016-04-23 09:23:48 ID: DErb4wL3

更新乙です!

引き続き頑張って下さい!

30: SS好きの名無しさん 2016-04-23 10:44:34 ID: smZPMg06

更新おーっつ
後頭部ハゲは作者さんもなのかな?かな?

31: ポテ神 2016-04-23 12:33:40 ID: cxpzgXh5

ひまな人さん!

はい!頑張ります!

一度挫折しましたがこちらは全力でやらせてもらうのでこれからもよろしくお願いします

30番さん!

オススメもしてくれたのかな?もしそうならありがとうございます!

禿げてはいません!!ただ、少し気になるだけです!!

本当だからね!!

32: SS好きの名無しさん 2016-04-28 11:05:06 ID: inEi_7Ee

夕立と合体(意味深)できるとは…羨ましい(ギリっ

33: Jpanther 2016-04-28 16:26:17 ID: G6DIGgpy

提督の相手の好意を受取らず相手の顔をたてようとしない傲慢さ...所詮蛙の子は蛙か...
更新乙Death

34: ポテ神 2016-04-29 04:13:14 ID: gNfTn772

32番さん!

合体(意味深)とはなんなんですかね〜(ゲス顔

Jpantherさん!

今まで相手(人間)に真っ直ぐな好意を貰ったことがないので少し戸惑ってのところもあったりします

そういうところも含めて彼はまだまだガキという事です

これからもみまもってやってくだせぇ・・・

おっと、礼拝の時間だ

35: T蔵 2016-04-30 21:58:12 ID: UvUyo9LE

演習編終了お疲れ様です。
さて、演習の勝利で来る艦娘は誰になるんやろな。
気にはなりますがのんびりまってますので
これからも質の良い作品をどうぞよろしくお願いいたします。

あっ、提督と如月の結婚式の招待状はいつ届くんですかね?
聞いとけって伝言を預かってたの忘れてました。

36: ポテ神 2016-05-01 05:20:49 ID: IYG2h0zI

T蔵さん!

やっと演習編終わりましたよ・・やはり戦闘描写は苦手ですね・・

次も期待せず待っててくださいね。報酬艦は誰になるんでしょうかね

提督「結婚?誰と誰が?ああ!そちらの方ですか?おめでとうございます。招待状まってますからね」すっとぼけ

37: SS好きの名無しさん 2016-05-03 08:37:47 ID: EcQfJb5b

更新お疲れ様です!今回もとても良かったです!これは私個人の気になったことですが如月が提督を抱えて行くとき「あの子」と言っていましたが私的には「あの人」のほうがいいんじゃないかな~と思いました。でも!私は主さんの意見を尊重しますので!
あと番外編で艦娘達のバレンタインなんてどうでしょうか!チョコをどうやって渡すかで悩む艦娘のことを想像すると・・・フフッ
え 私はどうだったかって?ううっそんなこと・・聞くんじゃねぇよ・・・

38: ポテ神 2016-05-03 14:35:27 ID: yi6DmBl7

37番さん!

そう言ってもらえると嬉しいです。ありがとうございます!

如月のあの子と言う台詞には一応意味があったりするので、まぁ、あの人でも良かったかもしれませんね!

バレンタインネタですか・・・・過去一度しかもらった事しかない俺に書けるのか?しかも貰ったと言っても義理チョコのようで本命だったりするが・・・それも今は良い思い出だ(遠い目)

そうですね・・今書いてるのが落ち着いたら考えてみますね

それで、貴方はバレンタインどうだったんですか?ネタの為に聞きたいのですが?ん?ん?

これからもよろしくお願いしますね

39: T蔵 2016-05-03 18:34:16 ID: 7YRF6Ql0

おっ研修へん更新お疲れ様です。
そかー、時雨かー。
黒髪三つ編みは可愛いとおもった貴方。
マーベラス。
研修で提督の器を見ておんぼろ鎮守府に着任するかどうかの
判断をさせるってことなんですな。
提督の周りが修羅場って香ばしくなりそう。

あっ、血と硝煙の香じゃないですよ?

40: ポテ神 2016-05-04 10:08:20 ID: vQ3wktqn

T蔵さん!

時雨の三つ編みも良いけど、ボクっ娘ってところもまた良い!!

そんなところですね。この研修で提督の器もですが、あともう一つあったりします

そして、この研修メンバー達もただの偶然で集まったわけではなさそうだったりする

これからどうなるのか見守ってやってくだせえ

41: SS好きの名無しさん 2016-05-06 00:27:33 ID: tnZlookP

活動報告見ましたが、妙義山にでも登ったのですか?鎖ありますよね

42: ゼロシステム 2016-05-06 01:58:55 ID: XoP5sMhL

続きが気になる…早め書いてください(*`・ω・)ゞでないと夜這いして顔面ピエロにしますよ…(ゲス顔)

43: ポテ神 2016-05-06 14:40:40 ID: OXlW4lTw

41番さん!

妙義山ではないんですよ。登ったのは四国で一番高い山の石鎚山です。そこにも鎖はあります。登りは見つけられず下りで使いました

途中自分は何をやってんだろうと鎖の真ん中付近でしがみ付きながら思ってました・・・

普段着にサイフだけ持って登るのはやばいです。特に周りの目が

登る時は格好だけでもそれっぽくしておきましょう!あと、水分!

ゼロシステムさん!

なるべく早く更新出来るようにはしたいですが・・・う〜〜ん・・不定期更新だとしか言えません

なんせ、思ってても文章にするのにかなり時間が掛かるので

でも、頑張るのでこれからもよろしくお願いしますね

夜這いって・・・・俺は男だぁあああ!いやぁああ!

44: SS好きの名無しさん 2016-05-07 04:15:41 ID: otOAqxGl

お久しぶりですポテ神さん、おんぼろ鎮守府2作目のコメント27番の者です。
更新が楽しみで楽しみで仕方ありません(笑)
アイデアを、との事でしたのでやってまいりました。

例えばですが眉毛がない西提督が提督に相談して育毛剤を眉に塗った所エライことになって騒動になるとか、おんぼろ鎮守府の艦娘が提督に会いたいがあまり隠れて無理やり会いに来て気付いた提督はそれを必死に隠しながら1日を過ごすとか、消灯時間後にトイレに向かった金髪かメガネが見回りをしてる艦娘と鉢合わせになり不審者と勘違いされて、そこで逃げてしまった金髪かメガネが一晩中逃げ回るとか…どうでしょうか
黒髪がいい味を出すかなと思ったので黒髪に特化したネタも挙げようかとも思ったのですが少し長くなるので割愛します。

これからも応援してます、マイペースでいいのでこれからもいい作品をお願いします。頑張ってくださいね。

45: ポテ神 2016-05-07 12:15:26 ID: 1HnTielG

44番さん!

貴方でしたか!まだ見ていてくれていたんですね!凄く嬉しいです!

ネタですけど、使えそうなのがいくつかありそうです。ありがとうございます!何故か先の展開ばかり思いついてしまい、やめておけばいいのにその前に一つ何かを書こうとするんですよね・・そして詰まる!

少し間は空くかもしれませんが、これからも応援よろしくお願いしますね!

いや〜本当嬉しいね

46: T蔵 2016-05-07 22:12:08 ID: eg4eBqul

まとめて更新してくださるのでありがたや。

コメントも秀逸な返しが多いなぁ。

とまれ、別に夜這いは男がするものでなし、ぞなもし。

ゼロシステムさんが男と書いてはおらぬしの?

そこに可能性はゼロではないのじゃよ?

研修編でネタ募集とは、これ以上笑える感じにされたら

腹筋が割れそうだわ。

こういう研修ものの鉄板といえば料理づくりとか

お遊びでの肝試しとかとか?

屋台のおねぇさんの戯言でございます。

はい。

続きゆっくりお待ちしております。

47: ポテ神 2016-05-07 23:00:01 ID: 1HnTielG

T蔵さん!

いえいえ、思ったままを書いてるだけですよ

確かに夜這いに性別は関係ありませんが、しかし!

俺は!夜這いとかではなくちゃんと気持ちを打ち明けてくれる娘が良いです!けして、俺から告白する勇気がないヘタレだからとかそんなんではない!今だに元カノ事をぐじぐじ思ってるからとかじゃないから!

はぁ・・何言ってんだろ・・・


ネタ提供ありがとうございます!

肝試しと料理ですよね

うむ、何かに使えそうです!ありがとうございます!

屋台のお姉さんにお礼を言っておいてください

後、バイク良いですよね!免許取るの頑張ってくださいね!俺みたいに取ってバイク買って仕事以外外出ることねぇじゃんってなって車の免許取って車買ってバイク乗らなくなって売って

そして今また乗りたいな〜と思うような馬鹿な奴にはならないように!

車の維持で限界です・・・うちの相棒古いんで税金が・・・

48: ゼロシステム 2016-05-10 01:25:45 ID: qXLQTszl

T蔵さんのコメント見て一応…
俺は男だ!ホモではない!ノンケも食わない!だが人の顔に落書きしてピエロにしたりする!
何か勘違いさせてしまったらごめんなさい(´・ω・`)更新楽しみに待ってます!

49: SS好きの名無しさん 2016-05-10 01:38:24 ID: etqdkbir

たまに提督が呆けるのがツボに入って困ります(笑)
ゆっくりでいいので更新がんばって下さい。エタらないのだけお願いします

ちなみに、バイク売って10年以上過ぎてから懲りずに買った俺のような人はたまにいますよ

50: ポテ神 2016-05-10 07:44:51 ID: jNJxpqHR

ゼロシステムさん!

だそうですよ。T蔵さん・・・このSSを見てる人に女性の方がいるわけないでしょうに・・

だって内容的に展開もなんか変な方向へ行ってますし

ホモォな展開ないし・・・

このSSを見てくれてる方の半分以上の方はピエロが大好きなノンケのちょっと寝てる人に落書きしちゃうお茶目なお兄さん達だと思ってますから、ですが、もし万が一女性の方がいましたらすみません。これからも飽きずに見てやってくださいな

51: ポテ神 2016-05-10 07:45:26 ID: jNJxpqHR


49番さん!

言っておきますが提督は常に大真面目ですから!

エタる気はないんで大丈夫です。応援してくれる方がいる限りね。もし、いなくなっても某少◯ジャンプのような打ち切り展開で終わらせます

提督「俺はまだ歩き始めたばかりだぜ?この提督という名の提督道をよ!」ダッ



とか

提督「俺たちの戦いはこれからだ!」



とか、少し捻って

提督「ペットボトルより俺は!」



みたいにするので大丈夫です!

バイクを売ってまだ3年の俺はまだまだという事か・・・世界は広いな

いつかまた買う日が来るかもしれないな

給料上がればね・・・・・

52: 赤ヘルファン@ラブライバー 2016-05-11 21:15:57 ID: MciwRO0a

更新お疲れ様です!

さすが死線を潜った提督…。候補生程度には負けませんね!

駆逐艦sがいい子ばっかりだから、提督!身分がバレないよう気をつけて!

53: ポテ神 2016-05-12 01:15:44 ID: BGDwMC2i

赤ヘルファン@ラブライバーさん!

西提督と一度殴り合いましたからね提督本人の思ってるよりは強い筈です

かなりボロが出かけていたりするけど大丈夫なのでしょうか

これからを見守っていただければ幸いです

54: 京哉提督@暇人 2016-05-15 18:52:33 ID: MSMXHGk3

やはりこのSS読んでてて楽しいっすなぁあ
^〜心がぴょんぴょんするんじゃ^~
俺もこんな文章力を発揮できたらなぁ。と嫉妬してみたりします←

55: ポテ神 2016-05-15 21:20:57 ID: M5OlWMY-

京哉提督@暇人さん!

こんなクソみたいな文章を楽しいと言っていただきありがとうございます!

何度か貴方のSSを見させてもらいましたが普通に俺より上手いじゃないですか!嫌味かーー

俺の心も絶賛ぴょんぴょん中でございます

56: T蔵 2016-05-15 22:56:18 ID: RmXh93W4

更新お疲れ様です。

金髪訳ありでしたか。

コメントよんでたら私のコメが原因で笑えない流れになってるし・・・。

まぁ、生えていようがいまいが、そこは個人の自由ですからなぁ。

その辺りのコメントはなんとも・・・。

とまれ、更新の度にゆっくりと拝見させていただいております。

これからもどうぞ良き続きを!

57: ゼロシステム 2016-05-16 06:49:42 ID: Q216Jm2n

更新きたぁ!お疲れ様です!
ピエロになりましたねぇ…
ネタ提案させて頂くと演習の見学で一波乱とかどうでしょうか?検討して頂ければ幸いです(´・ω・`)

58: ポテ神 2016-05-16 07:05:57 ID: n_ReKpft

T蔵さん!

今回は人にはそれぞれそうなってしまった理由があるという事を書きたかったのです

まぁ、金髪の様に苦労してなったわけでもなくリアルであまやかされてなってる奴もいますが・・・

二度とうちの仕切りを跨いで欲しくないですね

まだ笑えるレベルなんで大丈夫ですが!

一つ聞き捨てならない事を聞きやしたぜ

生えていようがいまいが自由だと?

だったら!態々切る奴はいないだろうが!産まれた時に勝手に着いてんだよ!またはねぇんだよ!

自由ではないです・・そこの所を気をつけないとオネエな方に怒られますよ?

更新の度にコメントありがとうございます!これからもよろしくお願いしますね!

T蔵さんの続きも待ってますよ

59: ポテ神 2016-05-16 07:11:03 ID: n_ReKpft

ゼロシステムさん!

ピエロになってしまいましたが、まだ犠牲者は増えるかも?

ネタ提供ありがとうございます!

演習ですか、実は西提督との演習で一騒動考えてはいたんですが、俺の技量がないので諦めました。演習は難しいですが、海で一騒動は考えてたりしてなかったり・・・どっちだよ!

でも、出来るなら少し考えてみます!ありがとうございます

60: T蔵 2016-05-16 09:16:08 ID: mc4FB9y6

コメントで誤解を招いたようで申し訳ないです。

あるまんまオネェのお仕事してる方も知り合いに居ますし

きって女性になった方も同級生におるなのです。

なので、生まれに拘る必要性はないよという事がいいたかっただけで。

うーん、こう書くとさらなる問題招きそうだ・・・。

おっしゃられる様な事情でオネェの方のほうが女子力高いかたが多いのは割りと理解できることなんですよね。

・・・、何いってんだろ自分。

ともかくとして御迷惑をお掛けいたしました。

61: ポテ神 2016-05-16 10:07:37 ID: 5c2WjHNV

T蔵さん!

此方こそ誤解をしてしまったようで・・すみませんでした

なんとなくですが、言いたい事は理解できました

産まれた時点で男性だろうが女性だろうが、その後の性別に関しては自由にすれば良いという事ですよね?

産まれが男性だからと男性で居続ける必要はない

深いですね

ご迷惑とは思っていないので気にしないでくださいね

62: ゼロシステム 2016-05-21 01:54:53 ID: 4dReL6de

番外編、更新お疲れ様です!
本編の更新も楽しみにしてます!

63: ポテ神 2016-05-21 09:17:43 ID: Y0YonzDg

ゼロシステムさん!

もう少しかかりそうですけど気長に待っててくださいね!

64: SS好きの名無しさん 2016-05-22 02:25:08 ID: kjKUDbu0

さて、次のスレは、どこかな|д゚)チラッ

65: ポテ神 2016-05-22 10:28:17 ID: hz4z8kRS

64番さん!

とりあえず近いうちにスレだけでも出す予定ではありますが、まだ未定という事で

気長に待っててくださいね

66: T蔵 2016-05-22 21:03:53 ID: fWU4GUWe

その4最終更新お疲れ様です。

のんびりと気長にお待ちしてます!

67: ポテ神 2016-05-22 22:50:41 ID: hz4z8kRS

T蔵さん!

どーもです!

まだ、第5章が出たらよろしくお願いしますね!

68: ゼロシステム 2016-05-23 01:10:43 ID: ruxIW9mJ

更新、4章終了お疲れ様です!
メガネナイスフォロー!!よくやった!

更新頻度も無理せず体に気をつけて頑張ってください!

69: ポテ神 2016-05-23 06:58:48 ID: fYUj7rzd

ゼロシステムさん!

言葉なんてなくても相手に伝わるものなのですよ

はい!ゆっくりマイペースで更新していこうと思うので第5章もよろしくお願いしますね


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1: SS好きの名無しさん 2016-04-23 10:44:55 ID: smZPMg06

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2: T蔵 2016-04-27 20:10:40 ID: GaH91G0H

強敵と書いて友と読む。
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3: ゼロシステム 2016-04-28 01:36:36 ID: XBPPY1ff

この作品が完結するまでは死ねない

4: SS好きの名無しさん 2016-05-22 08:04:41 ID: hz8Qchd4

おもしろいです!
1作からずっと見てます頑張ってください

5: SS好きの名無しさん 2016-05-24 00:20:56 ID: 0rpS0oeR

私が読んだSSの中で一番楽しい!!


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