2016-05-14 15:58:46 更新

概要

矢矧が恋をしたらどうなるんだろう、とふと思ったので、大人な恋愛を書いてみます。


矢矧「結婚かぁ...」



矢矧(深海棲艦との戦いが終わってもう何年たっただろうか)


矢矧(私たち艦娘は、今は普通の人間と同じように社会に出て、それぞれ働いている)


矢矧(艤装をつけなければ身体も成長するようで、終戦時と比べれば背も少し伸びた気がする)


矢矧(私は今も、姉妹4人で暮らしている)


矢矧(職場がバラバラなので昼間は顔を合わすこともないが、休みが合えば、よくみんなで出かけたりもする)


矢矧(......と言っても、酒匂はまだ大学生だけど)チラッ


酒匂「??矢矧ちゃん、どうしたのぉ?」


矢矧「大学生は羨ましいなと思っただけよ」


阿賀野「ホントよー!!」バンッ


能代「もうっ、阿賀野姉ぇ急に立ち上がらないで!」


阿賀野「だって酒匂はまだ春休みなんだよっ!」


阿賀野「ずーるーいーー、阿賀野もお休みほしいーーー」


矢矧「阿賀野姉ぇだって少し前は大学生だったじゃない」


阿賀野「春休みは課題に追われてたわよぉー!」


能代「課題じゃなくて追試でしょ?それだって、私たちに勉強を教わってたじゃない!」


阿賀野「だってぇ......」


酒匂「でも、今だって阿賀野ちゃんは彼氏さんとラブラブしてるじゃんー!」


阿賀野「そっ、それは関係ないわよぉっ!」


阿賀野「さ、酒匂だって、あのかっこいい人といっぱいお出かけしてるの知ってるんだからねっ」


酒匂「ぴ、ぴゃん!ど、どうして知ってるのぉ!?」


阿賀野「ふふん、最新鋭お姉ちゃんの目はごまかせないのだー!」エヘン


ワイワイガヤガヤ



矢矧「相変わらず2人はモテモテね」フフッ


能代「そ、そうね......」


矢矧「......?」


能代「さ、さぁて、晩御飯作ろうかしら...」


矢矧「...能代姉ぇ、どうかしたの?」


能代「ど、どうかって?」


矢矧「......もしかして彼氏できたの?」ボソッ


能代「」ギクッ


阿賀野「能代に彼氏!?」


酒匂「ぴ、ぴゃあ!!」


能代「ち、違うわっ、お付き合いしませんか?って言われただけで!!」


阿矢酒「「「!!!!!」」」


能代「あっ...」


阿賀野「へぇー、能代告白されたんだぁ〜」ニヤリ


酒匂「どんな人どんな人???」


能代「あぁ、もうっ、こうなるから言いたくなかったのっ!」


阿賀野「隠しててもお姉ちゃんの目はごまかせないのよぉ〜っ!」フンス


酒匂「能代ちゃんOKするの??付き合うの????」


能代「か、考え中よっ!」


阿賀野「ふぅーん、ってことは少しは気があるんだぁ......」ニヤリ


酒匂「ぴゃーん...」


能代「もうっ!」


矢矧「............」



矢矧(能代姉ぇ告白されたんだ...)


矢矧(付き合ったり...するのかな......?)


矢矧(自然と、能代姉ぇは恋愛から距離を置いてるのだと思ってたけど...)


矢矧(......わからないものね)



ー翌日ー


女子社員「ねぇ矢矧さん?」


矢矧「なにかしら」


女子「矢矧さんって、結婚を考えてる人とかいるのかしら?」


矢矧「えっ!?い、いないわよ」


女子「やっぱりまだ結婚はねぇ......」


矢矧「そうね、まだ付き合ってm...」


女子「今の彼氏ともまだそこまでは考えられないわよねー」


矢矧「別に私つきあt......」


女子2「でも矢矧さんモテるだろうし色々大変そうよね」


女子「わかるー、逆に困る感じー?」


女子2「でもあれよ? 女は25から結婚を焦り始めるのよ」


女子「えー、なにそれ私たちのこと??」


ペチャクチャワイワイ


矢矧「聞いてないし...」



ーその夜ー


矢矧(結婚かぁ......)


矢矧(能代姉ぇはどうするんだろう...)


矢矧(結婚とか考えてるのかな...)


矢矧(あの真面目な能代姉ぇが悩むくらいだから、きっととてもいい人に告白されたんだろうけど...)


矢矧(それこそ、結婚を考えてもいいと思えるくらい...)


矢矧(............)


矢矧(...ふとあの人の顔が浮かんでしまうのは、まだ私の中で踏ん切りが付けてないからなのかな)


矢矧(...所詮は“カッコカリ”だったってことなのかな)



〜〜〜〜〜〜


女子「...ぎさん....?」


矢矧「............」


女子「矢矧さん?」


矢矧「...! なにかしら?」


女子「大丈夫?ボーッとしてたみたいだけど...」


矢矧「あぁ、ごめんなさい...少し気が緩んで締まっていたわね」


女子2「珍しいわね、矢矧さんがボーッとするなんて」


女子「ホントよ!大丈夫?疲れが溜まってたりする?」


矢矧「ううん...大丈夫よ」


女子2「......これは...恋ね!」


女子「...はい?」


女子2「あのテキパキした矢矧さんがボーッとするようなこと、恋以外にありえないわっ!!!」


矢矧「別に恋のせいでボーッとしてた訳じゃ...」


女子「そういうことだったのね...」


矢矧「あなたも納得しないでよ」


女子2「いいのよ、矢矧さんっ、話ならいくらでも聞くわっ」


女子「頼っていいのよっ」


女子2「あなたは失恋話しかできないじゃない!」


女子「なっ、女は失恋を糧に、また次の恋をするのよ!?」


ペチャクチャワイワイ


矢矧(これまた聞いてないやつじゃない...)


矢矧(別に...恋で悩んでたわけじゃ...ない...はず......)



ーまた別の日ー


風雲「すみません矢矧さん、わざわざ来てもらっちゃって......」


矢矧「いいのよ...それに、相談がある、なんてて言われたら気になっちゃうじゃない?」


風雲「ありがとうございます...」


矢矧「...それで、どうしたのかしら?」


矢矧(数日前に風雲から突然連絡があり、今こうして近くの喫茶店で会うことになった)


風雲「えぇっと...その......」


矢矧(やっぱり高校生となると悩みも出てくるわよね)


風雲「えっと...最近ちょっと私おかしくって...」


矢矧(何か言いにくそうね、デリケートな話なのかしら)


風雲「ボーッとしてることが多かったり...」


矢矧「多かったり...」


風雲「寝る前に色々考え込んじゃったり...」


矢矧「考え込んだり...」


風雲「周りの人に置いてかれてる気がしたり...」


矢矧「気がしたり...」


風雲「気づくとその人のことを考えていたり...」


矢矧「考えていたり...?」


矢矧(私と似てるわね...)


風雲「これって...恋なんですか......!?」


矢矧「恋...そうねぇ.........恋っ!?」ガタッ


風雲「だ、大丈夫ですか矢矧さん...?」


矢矧「大丈夫...よ......」アセアセ


矢矧「ど、どうして風雲は恋かと思ったのかしら?」


風雲「まえに秋雲に好きな人ができた時と似ていたので、そうなのかなって」


矢矧「なるほど......」


風雲「矢矧さんも、恋するとこうなります?」


矢矧「わ、私はっ......そ、そうね、似たようになるかもしれないわね.........」


風雲「そうなんですか......やっぱり恋なのかな...?」


矢矧「うーん.........」


風雲「.........」


矢矧「...ちなみに......どんな人なの?風雲が好きになった人って!」


風雲「えーっと、口数が少なくって......って、まだ好きと決まった訳じゃありませんっ!」


矢矧「まぁまぁそれは置いておいて...」


風雲「置いておきませんーっ!」


矢矧「ふふふっ.........それで、口数が少なくて...何だったかしら?」


風雲「むぅ......口数が少なくて、初めは何を考えてるのかよく分からない人だなーって思ってたんですけど...」


矢矧「ふんふん...」


風雲「たまたま席が近くなってから、よく話すようになって...」


矢矧「ほうほう...」


風雲「そしたら、口数が少ないだけでホントはとっても優しい人だってことが分かって...」


矢矧「それで...好きになったと」


風雲「うぅ...もうそれでいいです......」


矢矧「ふふっ、なんだかその人、提督に似てるわね」


風雲「そ、そうですか?」


矢矧「あの人だって始めは何を考えてるのかわからない人だったじゃない?」


風雲「そうですね...」


矢矧「でも、意外とみんなのこと気にして落ち込んだりもするじゃない」


風雲「確かにそうでしたね......」


矢矧「だから、その人も好きになったのかしら??」


風雲「ち、違いますー!!」


矢矧「あら、違うの?」


風雲「もうっ、それは矢矧さんじゃないですかっ」


矢矧「えっ」


風雲「えっ」


風雲「矢矧さん、提督のこと好きだったじゃないですか!」


矢矧「ど、どうして私が提督を好きだなんて...」


風雲「みんなそう思ってましたよ!?」


矢矧「えっ」


風雲「えっ」


矢矧「だ、だって、私一言もそんなこと...」


風雲「でも、提督と話してる矢矧さん、本当に幸せそうでしたし...」


矢矧「別にそんなこと...」


風雲「.........矢矧さん、最後に提督と会ったのいつですか?」


矢矧「え......鎮守府が解体されてから1度も会ってないわよ」


風雲「なんでですか!!!」


矢矧「な、なんでって」


風雲「いいんですか!?それで!」


矢矧「いいもなにも、別に用もなにもないし...」


風雲「それじゃダメです!!」


矢矧「!」


風雲「あっ......ごめんなさい、ちょっと熱くなっちゃいました」


矢矧「う、ううん、いいのよ」


風雲「でも、やっぱりこのままじゃ良くないと思います」


矢矧「...そう?」


風雲「はい、矢矧さんにとっても、提督にとっても、そんなに会ってないのは良くないと思います...」


矢矧「.........」


風雲「せめて...近況報告だけでも......」


矢矧「......でも、私が行っても迷惑なんじゃ」


風雲「そんなことないです!」


矢矧「.........」



店員「失礼します、こらち、ケーキセットです」



風雲「あ、私です」


矢矧「............」





ーまた別の日ー



阿賀野「能代、付き合うことにしたんだってー」ニッコリ


矢矧「そうらしいわね」


阿賀野「......」ニッコリ


矢矧「......どうかしたの?」


阿賀野「矢矧はどうするのかなーって!」ニッコリ


矢矧「別に...どうもこうもないわよ」


阿賀野「この人と一緒にいたいなーとか、結婚したいなーとか思う人はいないのー?」


矢矧「......いないわ」


阿賀野「ふぅーーん......」


矢矧「...なに」


阿賀野「私はてっきり、矢矧はまだ提督さんの事が気になってるから恋人を作らないのかと思ってー」


矢矧「......っ!」


阿賀野「阿賀野の勘違いならいいんだけど......」


矢矧「............」


阿賀野「でも矢矧が心を開いて仲良くお話をするような男の人、提督さんくらいしか知らないんだもん」


矢矧「別にそんなこと...」


阿賀野「ない......?」


矢矧「...............」


阿賀野「だったら...」


矢矧「......私はあの人には必要なかったのよ」


阿賀野「どうしてそう思うの?」


矢矧「だって...私は...鎮守府に残るよう言われなかったし......」


矢矧(戦いの後私たちの鎮守府は解体されることになったが、幾人か提督の下に残るよう言われた艦娘がいた。)


矢矧(でも...私にはその指示はなかった。)


阿賀野「どうして矢矧を残さなかったのかは聞いた?」


矢矧「いいえ......でも、やっぱり私は必要なかったから......」


阿賀野「ほんとにそう思うの?矢矧の知ってる提督さんはそんな人?」


矢矧「...............」


阿賀野「ずっと秘書艦やってきて、ケッコンカッコカリもして、誰よりも近くで提督さんを見てきた矢矧は、どうして提督さんが矢矧を残さなかったのか気にならないの?」


矢矧「.........私だって...私だって聞きたかったわよ!!!」


阿賀野「!」


矢矧「でも......聞けなかった.........」


矢矧「自分は本当は必要とされてなかったのかと思ったら......怖くて聞けなかった...」


阿賀野「矢矧...」


矢矧「自分だけ本気になってたのかなとか...私の勘違いだったのかなとか...本当は迷惑だったのかなとか......」


矢矧「バカよね...私。あんなに一緒にいたのに、こんな事も聞けないのよ......」


阿賀野「......矢矧」


矢矧「...なに」


阿賀野「やっぱり......聞きましょ?」


矢矧「でも......」


阿賀野「でもじゃないのっ」スッ


矢矧「...これは?」


阿賀野「今の提督さんの住所よっ」


矢矧「なんでこれを...阿賀野姉ぇが?」


阿賀野「ふふん、お姉さんにはなんでもお見通しなんだからっ」フンス


矢矧「......ふふっ」


阿賀野「ちょ、ちょぉっと、なにもおかしいこと言ってないじゃないー!」


矢矧「ごめんなさい、でも、なんだか可笑しくって」フフッ


阿賀野「もーっ」プンッ


阿賀野「...でも、矢矧がそんな風に笑ってるの久しぶりに見れてよかったっ」フフッ


矢矧「阿賀野姉ぇ...」


矢矧(やっぱり阿賀野姉ぇにはかなわないな)フフッ



〜〜〜〜〜〜


ーどこかの港の近くー



矢矧(磯の香り.........)


矢矧(やっぱり、この匂いをかぐと落ち着くわね...)


スタスタ


矢矧(ここに...提督が......)


矢矧(......思ったより小さな港ね)


矢矧(てっきり、どこか軍の施設にでもいるのかと思ってたけど、この様子じゃ違うようね)


矢矧(とりあえず、この住所の場所を地元の人に聞かないと......)


矢矧(......あ、ちょうどあそこの漁船に漁師さんがいるわ)


矢矧「あの、すみません、ここの住所を......って、提督!?」


提督「矢矧じゃないか!」


矢矧「ど、どうして...」


提督「いや、矢矧こそ、なんだってわざわざこんな田舎に」


矢矧「そ、それは......」


提督「......まぁいい、とりあえずこの網を片付けるからちょっと待っててくれ」


矢矧「...あ、手伝うわ」


提督「いいっていいって、服が汚れても悪いしな」スッ


矢矧「そう.........」


矢矧(そっか...もう艦娘の頃とは違うのよね...)


〜〜〜〜


ー提督の家ー


矢矧「おじゃまします」


提督「どうぞ、大して広くもない家だがな」


矢矧「そんなこと...」


矢矧(ない、と言うところだろうけど、お世辞にも広いとは言えないわね)


矢矧(どうして勝利の立役者がこんな所に...)


提督「......茶でも入れるから少し待ってて」スッ


矢矧「あ、ありがとうございます...」


スタスタ


矢矧「」キョロキョロ


矢矧(提督時代の活躍を匂わせるものは特にはないわね......)


矢矧(感状の1つも置いてないなんて......)


矢矧(......女っ気どころか、誰かが訪ねて来たような様子もないわね)


矢矧(......寝て起きるだけの部屋、と言った感じね)


スタスタ


提督「...待たせた」カチャッ


矢矧「あ、ありがとう......あっ、これ!」


提督「......あぁ、茶器は鎮守府のものを持ってきたからな」


矢矧「ふふっ、懐かしいわね、確かこれは鳳翔さんが...」


提督「あぁ、思い出した、鳳翔がなにかの折に買ってきたものだっけか」


矢矧「そうね、初めて大本営から感状を賜った時かしら...」


提督「......だな。戦績ではなく、資材と艦娘の管理で下されたのが素直に喜べないところだったが」


矢矧「でも鳳翔さんは記念にと、執務室の調度品を買い換えてくれたのよ」


提督「そんなこともあったな」


矢矧「そうね」フフッ



提督「.........」


矢矧「.........」



矢矧「ほ、鳳翔さんも元気かしら」


提督「元気なんじゃないか?何かあれば俺にも連絡が来るはずだし」


矢矧「...今はもう、艦娘たちとはあまり連絡を取ってないのかしら?」


提督「そうだ」


矢矧「......どうして?」


提督「俺は過去の存在だからだ」


矢矧「過去の存在?」


提督「人として新しい生活を始める艦娘たちに俺の存在は妨げにしかならない」


矢矧「...そうかしら」


提督「新たな道を進むには切り捨てなければならないものもある」


矢矧「......誰しも過去からは逃げられないものよ」


提督「.........矢矧は、艦娘であった過去が嫌か?」


矢矧「そんなことないわ!!」


提督「......」


矢矧「あ......ごめんなさい...」


提督「...こちらこそすまない、気に障るようなことを言って」


矢矧「............」


提督「............」


矢矧(こんなことを言いに来たんじゃないのに......)


矢矧「...じゃあ、こんなところにいるのは、艦娘との接点を絶つため?」


提督「それは違う」


矢矧「でも、この様子じゃもう軍属じゃないわよね?」


提督「......矢矧、俺はその話についてするつもりはない。ただ1つ言うとすれば、人間とは欲深くできている、ということだ」


矢矧「............」


矢矧(戦後の海軍内での権力闘争...?功績のあった提督は昇進して要職について然るべきだけど...)


矢矧(...権威欲のないこの人に、出世は無縁の話ね)


矢矧「...それで魚を捕ってるわけね」


提督「...半分はそうだが、もう半分はやはり海から離れたくなかった、というところかな」


矢矧「海から?」


提督「当初はもっと山の方に住んでいたんだが、どうにも海が恋しくなってな」


提督「色々やりくりして、ここに移ったんだ」


矢矧「そうだったの......」


提督「磯の香りをかぐと、背筋が伸びる心地がする」


矢矧「そうね...うん、そう思うわ」


矢矧(...やっぱりこの人は......根っからの海軍人だ)フフッ


提督「...ところで、阿賀野たちは元気か?」


矢矧「元気よ。あ、そうよ、聞いてよ、実はあの能代が彼氏を作って!」


提督「ほう、能代が阿賀野以外の世話を焼くようになったのか」


矢矧「ふふっ、意外でしょ、それでね......



矢矧(良かった、提督は変わってなんかいなかった)



〜時はあっという間に過ぎ〜



矢矧「あら、もうこんな時間ね」


提督「さすがに積もる話ばかりだったからな」


矢矧「仕方ないわ、久しぶりだったんだもの」


提督「そうだな、前は毎日顔を合わせていたのにな」


矢矧「ふふっ、休みなんてあってないようなものだったしね」


提督「............」


矢矧「......どうかした?」


提督「...矢矧が穏やかな目になったなと」


矢矧「えっ」


提督「港で会った時は、どこか余裕が無い目をしていた」


矢矧「............お見通しってわけね」


提督「...何があったのかは聞かないが、矢矧は周りや自分が思っている程強くはない」


提督「無理はするな」


矢矧「......ありがと」


提督「............」


矢矧「............」


矢矧「じ、じゃあ、帰るわね」


提督「港まで送ろう」


矢矧「...ありがとう」



〜〜〜〜


提督「ここからなら道はわかるな?」


矢矧「うん、わざわざありがとう」


提督「気にするな」


矢矧「............」


提督「............」


矢矧「...提督はさっき、磯の香りで背筋が伸びるって言ったわね」


提督「...あぁ」


矢矧「私も...久しぶりに海を見て、“帰ってきた”と思ったわ」


提督「...そうか」


矢矧「...やはり私たちは、海に生きるのね」


提督「......そうだな」


提督「海が恋しくなったら、また帰ってくればいい。俺みたいにな」


矢矧「...ふふっ、そうする」


矢矧「じゃあ、行くわ」


提督「気をつけろよ」


矢矧「ありがと。じゃあ......また」


提督「おう」



矢矧(また......)



〜〜〜〜〜〜


ガチャ


矢矧「ただいまー」


ドタドタ


阿賀野「や、矢矧ぃ!?」


矢矧「どうしてそんなに驚いてるのよ」


阿賀野「う、ううん!そ、そうだ、ちゃんと提督さんに会えた?」


矢矧「えぇ......阿賀野姉ぇのおかげね」


阿賀野「いいのよ、だって阿賀野はお姉ちゃんだもの!」フンス


矢矧「ふふっ」


阿賀野「じゃあ、ずっと聞けてなかったことも聞けた?」


矢矧「あ......それは...聞き忘れたわ」


阿賀野「じゃあ、それはまた今度ね!」


矢矧「...うん、そうするわ」


ドタバタ


酒匂「あれっ!?矢矧ちゃん帰ってきた!」


矢矧「えっ?」


酒匂「なんか阿賀野ちゃんが、矢矧ちゃんは今日は帰らないって言ってたからぁー」


矢矧「阿賀野姉ぇ...これはどういうことかしら......?」


阿賀野「」ギクッ



スタスタ


能代「あれ、矢矧、今日は提督の所に泊まってくるって阿賀野姉ぇが言ってたのに」


矢矧「......阿・賀・野・姉・ぇ・?」


阿賀野「ひ、ひいっ!」



〜〜〜〜〜


矢矧「まったく、泊まってくる訳ないじゃないっ」


阿賀野「ご、ごめんなさいぃ......」


能代「じゃあ矢矧は、提督とお話しして、それで帰ってきたわけね」


矢矧「...そうよ?」


酒匂「......それだけなのぉ?」


矢矧「...それだけって?」


酒匂「私......今日は帰りたく...ないな(上目遣い)とかしなかったのぉ?」


矢矧「なっ!!し、しないわよそんなこと!!!」


酒匂「ぴゃん!阿賀野ちゃんはきっとそうするって言ってたのにぃー!」


矢矧「はぁ...しないわよ......」


能代「矢矧......」


矢矧「もう...能代姉ぇまで、阿賀野姉ぇの言うこと信じないでよ......」


能代「私も......上目遣いを使うべきだったと思うわ」


矢矧「能代姉ぇ!?」


能代「だって、大好きな提督に久しぶりに会って、積もる話をしてきたんでしょ?そのまま泊まってくるものだと思ったわ」


矢矧「能代姉ぇ、彼氏できて柔らかくなったわね」


阿賀野「とぉ、とにかくっ、矢矧はやっぱりもう1回提督の所に行くのよっ」


矢矧「それは...まぁ......そうするつもりだけど」


阿賀野「その時はバッチシ上目遣いね!!」


矢矧「それはしないわよっ!」


酒匂「じゃあ酒匂の必殺上目遣い教えてあげる!!!」


阿賀野「な、何よそれっ、阿賀野にも教えてっ!」


酒匂「ぴゃん!阿賀野ちゃんは彼氏さんがいるじゃないっ」


ワイワイガヤガヤ


能代「私も教えてもらおうかな......」ボソッ


矢矧「能代姉ぇ!?」




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2017-12-09 20:47:42

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2017-03-07 21:05:40

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2016-05-03 08:00:46

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2023-03-21 21:40:27

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1: SS好きの名無しさん 2016-05-03 08:02:13 ID: QiwzlW8L

これは期待
ダル絡みするやつがよかったけどこっちもなかなか
頑張ってください

2: 日本丸 2016-05-03 15:58:49 ID: BlOAUr0g

ありがとうございます!!
ダルがらみほど甘さはないですが、こちらもご期待ください!
頑張ります!

3: SS好きの名無しさん 2016-05-14 14:35:58 ID: ohOfMADx

重箱の隅をつつくようで大変恐縮なのですが
「軍属」と「軍人」は別物です。
「軍人」は士官や兵卒等の将兵の事ですが
「軍属」は軍に属している民間人や文民の事を指し「軍人」ではありません。
ご承知でしたら失礼いたしました。
こんな事を言っている時点でも十分失礼だとは思いますが
気を悪くされたら申し訳ありませんでした。

4: 日本丸 2016-05-14 15:56:42 ID: JiDKPeLq

ご指摘ありがとうございます!
そういったご指摘はホントにためになるのでとても有難いです。すぐに直します!
でも、“軍人”はちょっとイメージと違うので、別の言葉を探して直してみます!
これからもよろしくお願いします。

5: SS好きの名無しさん 2017-03-07 21:21:01 ID: ZjFC5zBl

先ほど雪風と磯風にもコメントさせていただいた(うるさい)者です。
いやーいいですね。凛としたしっかり者なのに自分の恋愛のことになると急に自信がなくなる矢矧。お見事です。
このssは昔見たことがあるのですが、作者様本人にコメント出来るのが嬉しくて…
古い作品にしつこく申し訳ございません。
矢矧大好きなのでこれからも書いていただけるとありがたいです。
頑張ってください。

6: SS好きの名無しさん 2017-03-07 21:22:24 ID: ZjFC5zBl

あ、あと矢矧×風雲最高です!


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