2016-09-05 20:22:33 更新

概要

ときどきコメディ、ときどきまじめ。響が同じ鎮守府仲間の叢雲と適当提督に振り回される。負債を背負わされるわ幼児の世話を押し付けられるわで苦労するお話。


前書き

恒例の人物紹介。

【セクハラ担当】

女  眼鏡 ちび ロリ巨乳。

自分が女性な為同性へのセクハラがセクハラにならないと謎理論でセクハラを楽しむ。

海軍軍令部所属 階級 そこそこエロイ人 

襟章の内容は 桜が一つに黒→太線金→黒 (これで分かる貴方はそれなりにミリオタ) 

身長150cmくらい 叢雲に指摘され後頭部が薄くなってきていることを知る。

提督「禿げたところでモーマンタイ!人生は楽しんだ者勝ちよ!」

【ポンコツ担当】

割と常識派扱いなはず。

作者他作品ではドレッドノート級Sを披露するが今作ではちょっとポンコツ。

叢雲「しっ、しかた無いでしょ?建造されたのいつだと思ってるのよ。」 アセアセ

【苦労担当】

ドロップ艦なのだが何やらいままでの雰囲気と違う鎮守府に拾われた気配。

いきなり負債を背負わされる羽目に。

作者「そういう話があってもいいじゃない?」

響「」

【子供さん】

誰だろね?

子供さん「第一、第ニしゅほーー。」

作者「斉射しないでください、鎮守府が木っ端微塵になります。」

【親分】

本名が長いので略して親分。

親分「てやんでぃ、おれっちに何でもまかしとけってぇんだい!」

基本 江戸っこ、べらんめい口調。


第1章 提督着任


九州は鹿児島から遠く外れた孤島


名は楊塀(あげほり)島


南の位置に位置する島らしくかなり暑い。


そして、位置としてはどちらかといえば沖縄の方が近い。


そんな孤島に有る鎮守府にちょっと変わった提督と秘書艦が着任した。


提督「むっちゃん、なんか似たような作品があるって言われて仕切りなおしだよ。」


叢雲「メタな話は読者様におこられるわよ?」


提督「いや、それすらも笑いに替えられないとやってられんよ。」ニコニコ


叢雲「そうね。いきなり弱くなってニューゲームだものね。」ハァー


提督「そうそう、強いままニューゲームじゃなくてな。」ヤッテランネ


提督「設定だけ別に下書き残していたおかげで色々すっ飛ばして本筋からのスタートだよ。」 ショボーン


提督「ボートに乗ってのスタートってトロピコか!」


叢雲「プレジデンテ!」


提督「今回は乗りいいねむっちゃん。」


叢雲「たまにはいいでしょ?にしても、SFソフトの星のカービィーみたいに仕様で消えるとかでもないのに初めから。」 ハァッ


提督「とはいえ、鎮守府の建物の規模は前と変わらないね。」 デケェナオイ。


叢雲「私達だけでのスタートだけどね。」 戦力タリネーヨ


提督「そういえば、深海棲艦倒せばドロップしましたよね、たまに。」ニコニコ


叢雲「そうでしたわね、そんな気もしましたわ。」 目ソラシー


提督「うふふ、ちょっと行ってきてくれませんこと?」 イケザマス。


叢雲「えっ、着任したばっかよ?」 イクカヨハゲ。


提督「禿げてないワイ!」


叢雲「後頭部気付いていないの?」





提督「 えっ ? 」




叢雲「 えっ ? 」




見つめ合う二人、そこに甘い空気は無い。




提督「お昼の準備してるから行って来てー。」


叢雲「労基法違反でその内訴えてやる。」


提督「きゃっ、怖い///」


簡単なやり取りの後、艤装をさっさと展開させると叢雲は海へと出て行った。






鎮守府 台所





二人の着任前に海軍省の軍令部の手配によって当面必要となるものは全て運び込まれている。


食材も例外ではない。


提督「今日のごはんはあなたなの~♪」


物騒な歌詞の歌を歌いながら手際よく食材を刻んでいく。


提督「肉じゃがとカレーの材料は同じで~♪」


提督「ビーフシチュウも似た物で~♪」


提督「あなたの地蔵が食べたいの~♪」


提督「カレーライスが有る限り~♪」


何のかんのと歌っている間にも料理は次々と出来ていく。


といか、二人しか居ないのにその量はなんだと言いたくなる位の量が出来ていく。


提督「ハヤシライスは裏街道を歩きつづけるだろう~♪」


提督「あなたの菊を散らすのは~♪」


提督「私~♪」


色々と何歌ってんだ。


書いてるこっちが恥ずかしいわ。




ゴソ


ゴソゴソ


ヒョイッ、パクッ。




料理を盛り付けているテーブルの下から手が伸び出来上がった唐上げをつまんでいく。


既に皿に盛り付けていた三分の二程が消えてしまっている。




提督「ん?」


提督「んーーーぅぅん?」




提督は気付いた。


先程から唐揚げを揚げて皿に盛り付けて行っているのだが全くもって山が形成されていないことに。


提督「既に5kgは揚げてるんだけどな・・・。」オカシイゾナモシ




ニュッ


ペタペタペタ ←食卓の上を探っている音


ペタッ ゴソゴソ ←皿の上からから揚げをせしめようとしている音




ペチコーン




食卓の下から伸びていた手に提督のハリセンが炸裂する!


(どこに持っていたんだ?)




???「ふえぇぇーーーーーーん。」




提督「おおぅ?!」


子供特有の甲高い泣き声が辺りに大音響で響き渡る。


提督「ちょっと、なきやんで?!」


泣き声の主を探るべく食卓テーブルの下を覗き込む。


そこにその子供はいた。




???「びぇぇーーーーーんん。」


提督「泣き止んでーーー!」


???「ぴーーーーーーーーー。」 


30オクターブ音量が上がったぞ!


提督「」




余りの煩さに提督が撃沈寸前になっていたときに叢雲が一人の艦娘を連れて帰ってきた。


叢雲「ちょっと!なにが起きてるの!」


???「着任の挨拶をと思ったけどその子を泣き止ませたほうが良いみたいだね。」


うーん、そういう貴方も子供だぜ?


見た目。


提督がそう思っていると叢雲が連れてきた駆逐艦と思わしき子供が食卓テーブルの下の子供をあやしだす。


???  変顔


提督 叢雲「「ブフォ」」


???「キャッ!キャッ!」


提督「んっ、えがった、泣き止んでくれた。」ククク ←笑いを堪えている


???「じゃぁ、改めて着任の挨拶をさせてもらっていいかな。響だよ。その活躍ぶりから不死鳥のとおり名もあるよ。」


提督「ん、あー。今日の昼御飯から揚げなんだけど共食いにならない?」


響「大丈夫だよ。ついでにウォッカがあるといいね。」


提督「子供はだめだよ?」


叢雲「そうよ?子供が飲んでいいのはワインだけよ?」


提督「それはフランスの話でしょ、というか作者作品中で共通してむっちゃんは突っ込み担当なんだから戯けを言わない。」


提督「まぁ、改めて契約の話とかが有るからとりあえず御飯にしよう。えーと、まぁいいやとりあえず子供だから子供さんと呼んでおこう。

    ビッキー、その子も席に座らせて。」


響「ビッキーとは私のことかな?」


提督「だお?響だからビッキー。私が提督やってる間は皆をあだ名でよぶよー。その方がお互いに親しみやすいでしょ?」


響「ふふっ。面白い司令官だね。」


提督「真面目なときはむっちゃんにセクハラする時だけです。」 キリッ


叢雲「はいはい。平常運転なんだから。」 ヤレヤレ


子供さん「おなかすいた!」


提督「あー、はいはい。御飯はちゃんと食卓についてから食べようね?つまみ食いは提督ちゃんが許しませんよ?」


子供さん「あい!」


提督「良い返事!じゃ、みんな、お昼を食べよう!」


叢雲、響、子供さん「おー。」


セクハラ提督と駆逐艦娘二人。


そして、泣き虫の謎の子供が一人。


合計で4人が食堂に集まり御飯を仲良く食べ始めた。


こうして、鎮守府が動き出したのである。




第2章 この子何処の子?




執務室


提督「ビッキー、改めてよろしくね。私ね名前を桃花 輝夜(ももはな かぐや)

    

    ちょっと、キラキラネームっぽいから作者をそのうち殺したいという夢があるアラサー女子です!」


響「その、日本昔話の様な素敵な名前だね。」 目ソラシー


叢雲「まぁ、そうなるわよね。桃太郎かかぐや姫か、どっちかと思うわよね。」


提督「私が悪いわけやないんや、作者がすべて悪いんや。

    

    初めからこっちの設定を前面に押し出す形でやってればわざわざ書き直す必要はなかったんや。」


叢雲「ちょっと展開をゆっくりさせてと思ってたみたいだから仕方ないわ?」


響「話が良く見えないけれど大変だったんだね、心中お察しするよ。」


提督「自分ほんとにええ子やね、んで、あとその子供さんなんやけど。」


実はこの執務室に来る前から響に先程の子供がくっついている状態である。


執務室に来る間も響の手をしっかりと握っておりさながら姉と妹のような感じであった。


提督は『子供さん』を凝視しながら考えていた。


ちっちゃくね?あれ。


艦娘の残りは居ないと聞いてたけど。


駆逐艦かなぁ、ちっさいし。


でも、駆逐艦っぽくないんだよねー。


特Ⅲ型の響の姉妹達なら私も資料見たことあるから直ぐに分かるし・・・。


体系は駆逐艦なんだけど・・・・。


あれなんよね、 It’s over 9000 ?! みたいな?


不思議なこどもやのう。


叢雲「響、その後ろの子供、あなたに随分なついてるけど名前分かる?」


響「いや、申し訳ないがわからない。」


提督「まっ、いっか、子供だからたいしたことも出来んでしょ。深く考えたら負けだ。」


提督「ビッキー、うちの鎮守府なんだけどえー、平たく言いますとお手伝い屋さんです。」


響「?」


提督「レベルの低い新人提督さん達が、あそこの海域にレア艦娘が期間限定でドロップしやすくなっているのにーーーー!って時に

    

    お兄さん、金払えば掘って来てあげるで?って囁くお仕事がうちの鎮守府。」


叢雲「支援艦隊を金でやるよって言うところかしら。」


提督「せやね、あと、演習とかの時にあそこのクソ提督は俺が持ってないレア艦娘が所属してやがる!許せねぇ!

    

    ってときに依頼をいただいたら相手を全力でふるぼっこしてあげます。経験値はお察しということで。」


叢雲「お金を積む覚悟があるなら艦娘の強奪も手伝ってるわ。」


提督「お金があればあなたも『 verraten und betrogen worden! 』(おっぱい ぷるーんぷるーん)出来るわよ?って囁くお仕事です。」


※有名な総統閣下の動画でドイツ語の発音がそう聴こえるとか。実際に聞いてみたらそうでした(笑)


提督「はやい話がうちは鎮守府って名乗ってはいるけど傭兵みたいな感じかな?

    

    あとね、契約した後での給料の交渉は毎年の個人との面談によるってとこかしら。」


提督「それから、ネタ被りなんて言われても今度は心が挫けない為に言っておくけど民間警備会社と傭兵稼業のおてつだい屋は違うからね?」


叢雲「民間警備会社は正規軍人ではないというところかしら。」


提督「民間警備会社だと人殺しはモロに罪になります。


    ですが、私達は軍人な為作戦行動内で殺人をしたところでよっぽどの場合でない限り一般の司法に裁かれません。」


叢雲「虐殺とか問題行動とらなければほぼ大丈夫といったところかしら。」


提督「あと、軍人になりますので一般の刑法、民法での処罰ではなく軍法優越の原則になります。」


叢雲「多少道を踏み外しても問題ないわよ?」


提督「なんだよねー、だから、飲酒についても本当は文句を言う筋合いございません。」


叢雲「でも、子供のうちからの飲酒は良くないと思うわ。」


提督「そうそう、でないとむっちゃんみたいにスレンダーな体になっちゃうよ?」 ナデナデ


叢雲「さらっとセクハラかますんじゃないわよ・・・。」 ゴス


響「ふふ、了解したよ。給料に関しては野球選手みたいだね。」


提督「だね、年俸に後のボーナスは個人毎での交渉。そして、任務達成ごとの金額ボーナスもあるよ。

    

    それから違約金を払えば出撃拒否も出来る。」 イテテ


叢雲「まさしく、地獄の沙汰も金次第なのよ。ここの鎮守府は。」


提督「えへ///。」


響「だけど、スポンサーが大きくないと無理だと思うのだけど、その辺りはどうなんだい?」


提督「いいことに気付いたね。頭いいなのね。実はね前作の設定で作者が考えてたんだけどポシャッてね。


    こういう稼業やってると色々と表に出ない組織同士の横のつながりが出来るのよ。


    で、話せる範囲内だと海軍の中でも参謀本部と艦隊司令部は仲が宜しくないの。」


叢雲「そこに付け込んで双方からお金を得ているってわけ。」


響「真っ黒だね・・・。」


唖然とする真っ黒さ。


松崎しげる顔負けの黒さである。


一般的な考えで言えばブラック鎮守府という物に相当するのではなかろうか。


しかし、提督と先輩駆逐艦である叢雲はまったくもって悪びれた様子がない。


提督「うちはブラックであってブラックじゃないよ?金を積めれば休暇も買える。

    

    あっ、艦娘の下着は黒指定だからそういう意味ではブラックだね。」 クフフフ

   

    ムッチャンモクロナンダヨー。


叢雲「そうよ?命は大事に使えば一生使えるわよ?」 ウソイウナ。


提督「ちょっ、エリア88の名言(笑)」


提督「まっそんな訳だから3日ほど時間あげっからゆっくり考えない。御飯は保障しちゃうよ。」


提督「そっちの後ろの子供の面倒も見てあげてねー。契約を結んでくれたら児童手当を加算してあげるよー。」


叢雲「ちょっと、何処かの魔法少女の契約じゃないんだから・・・。」


提督「僕と契約して傭兵になってよ!」 声マネ。


叢雲「ププ」


なし崩し的に先程の子供の世話まで押し付けられてしまったが一体どうしたものかと考えてしまう。


自分の記憶の断片としてある鎮守府というものとかなり形態が違う。


へたすれば深海棲艦と戦わないどころか繋がっている可能性すらある。


頭の中が真っ白になる感覚を味わいながら響は自室として割り当てられた部屋に食堂に居た『 子供さん 』の手を引きながら向かったのであった。


第3章 思い出さないほうがいいことも有る。



鎮守府食堂



特にすることもなく鎮守府内を見て回っていた響とその響の服袖を引っ張りながら付いて回る子供さん。


二人は今食堂に来ていた。


なぜ、食堂に来ていたのか?


それはいい香がしたからに他ならない。




ジュウ、ジュウ



トントントン




子気味いい調理音を響かせながら手際よく提督が料理をしている。


提督「あなたと~♪」


提督「越えて行きたい、天城―――――越え~♪」


なかなかこぶしが効いた歌い手だ。


響「ハラショー。」


子供さん「うまいーーー!」


提督「あら、聞かれてた?ハズカチ///」


響「司令、料理かい?まだ夕飯までには時間が有るけれど。」


提督「うん、だからだよ?」


響「 ? 」


提督「 ? 」


いまいち話が噛み合っていない。


提督「ビッキーは御飯嫌い?」


響「いいや、大好きだよ。」


提督「うん、だから御飯たくさん作る。今からでないと間に合わない。」


提督「オレ、ゴハンツクル。オマエゴハンマルカジリ。」 声マネ


響「いや、流石にこの量は。」


目の前にはうず高く詰まれた焼肉と形容するにはおこがましい肉のエベレストがある。


提督「食べるよね。」ニコニコ


響「いっいや、この量は。」


提督「  た  べ  る  よね?」ニコニコ


唯でさえ笑っていない目がより一層眼光を鋭くする。


響「 ハイ 」


子供さん「わーーーい!」


提督「じゃ、夕飯時になったら館内放送するからそれまでは遊んできな。あっ、ただ、むっちゃんは仕事してると思うから邪魔しないようにね?」



食堂を出て廊下をあてどなく歩く。



響「・・・、あの量は駆逐艦の食べられる量じゃない。いや、空母の娘達でも無理だろう。」


子供さん「ひびきねー、どしたの?」


響「うん、だいじょぶだよー。」


子供さん「お昼ゴハンもおいしかったし夜のごはんも楽しみ!」


そういえば、この子供はなかなか謎だなと思う。


初めて会うはずなのにどことなく懐かしい気がする。


自分の前世の軍艦時代の記憶がそうさせるのだろうか。


ナデナデ


子供さん「もっとなでてー。」


なんと言うか妹達を思い出すな。


姉妹というと姉が一人に妹が二人、実に毎日が賑やかだった。


回想



暁 レディーがうんぬんといつも煩い残念な姉。



雷 だめ男製造機。 ダメンズ好き。 育てたヒモの数は星の程。



電 なのですという特徴的語尾で酸素魚雷を手に持って殴るデストロイヤー。



ん?


あれ?


ちょっとまて?姉妹こんなに残念じゃなかったはず?


落ち着いてもう一度思い出そう。



再回想



暁 レヂィとは何かという怪しげな啓蒙本にドハマリして周囲に迷惑を掛けていた。



雷 ギャンブル好きの悪い提督に貢いでいた・・・・。



電 深海棲艦をプラズマで焼き切る快楽殺人者・・・・。



・・・・・。


作者の悪意を感じるなぁ。


そして、考え直す程に悪い記憶しか呼び起こされない。


子供さん「ひびきー、どしたの?」


姉妹の嫌な記憶を呼び起こしたのを後悔してうずくまった所を心配そうに覗き込む。


響「天使か・・・。」


子供さんを抱きしめる。


守りたいこの笑顔。


ニヤリ。


背後に気配を感じる。


提督「ビッキー、あのね?今なら子供の扶養手当も加算してあげられるんだよ?」


しまった!


これは子供さんをダシにして契約を迫る悪魔の取引だ。


提督「まぁ、ゆっくりでいいよ。」


響「あぁ、そうだね、ゆっくりと考えさせてもらうよ。」


提督は神出鬼没だなぁと思いつつ鎮守府内の探索を再度再開する。




工廠



工作艦明石とよばれる技術者が居る鎮守府は実際にはほんの一握りだ。


響は自信の前世の記憶を辿りながら工廠の中を見て回る。


子供さん「ひびきねー!おっきなオフロ!」


響「それはね、ドックって言ってお姉ちゃんが怪我をしたときに入る物なんだ。」


子供さん「ドック。」


響「そう、ドック。」


カタン


ガタガタ、ペタン


ゴゾ、ズルリ


ハズシテ、ハズシテ。


トテトテトテ


ハズシテ、ハズシテ。



突然ではあるが、読者の皆様はチャイルドプレイという映画をご存知だろうか?


チャッキーという名前の人形が次々と殺人を犯していくホラー映画である。


いまだ多くの少年少女にトラウマを植え付けてくれるナイスガイなのである。


見る際にはシリーズが豊富なので毛布とポテチの準備を忘れずに行いたい。


そして、なぜこの様な話をしたかというとまさにその人形が工廠の奥から響達二人に向かって走ってきたためである。


第4章 サインしたよね?


声にならない声を上げながら二人が逃げる。


ハズシテ、ハズシテ


テケテケ


それを楽しそう(?)に追いかけるチャッキー。


そして、ついに壁に追いつめられる。


チャッキーが迫る!


響がそのおぞましい形態の人形に向けて艤装を展開しようとしたときだった。




子供さん「てーーーーーー。」




ドグオォォオオオオオォォォオオン。




ドゥォオオオォオォォオオオン。




ドォオオオオオォォォオオオォオオオオオオオオオオォンン。




計3基9門の主砲を子供さんが展開したと思った瞬間に火を噴いた。


その勢いと火力はすさまじく、そばに立っていた響は爆風で吹き飛ぶ程である。


当然その様な砲撃を受けて建物が無事なわけはなく工廠は全壊状態となってしまっている。




チャッキー「やっとはずれたーーーー!」 プハァ




提督「やれやれ、響さん、やってしまいましたな。」 ズイ




全壊となった工廠の唯一残った煉瓦の壁の後ろから提督がヒョコと顔を出す。


響「これは、私がやったことでは・・・。」


提督「ビッキー以外に砲撃できる子いるの?」


まさか、子供さんが?とでも言いたそうな目で此方を見つめる提督。


そうだと言えるはずもなく・・・。


響「すまない。」


提督「悪いと思ってるならこれにサインしてな?今なら修理費負けとくよ?」


響「お金をとるつもりなのかい?!」


提督「普通なら即解体だお?」 ニコニコ


響「・・・・、選択肢はないということなんだね。」


計画どおり、今にもそうつぶやきそうな笑みを浮かべた提督から契約書を受け取る。


苦虫をかみ下す思いで響は契約書にサインをした。


提督「妖精親分、ここに居たのなのな。直しておいてね。」


親分「すまねぇ、下の人形スーツも脱がしてくれねぇか?」ジタバタ


提督「いつものスーツはどうしたの?」下ヌガセー


親分「まだ届いて無くてな、それでこいつを着ていたんだが脱げなくなっちまってな。」


提督「まぁ、いいよ、明日までにお願いねー。」


親分「まかしときない!」


先程のチャッキーの中から髭を蓄えた工事現場等で見かける親方とか親分とかそういった呼び名が似合いそうな小人が提督とやり取りをしている。


響「司令、その、彼は?」


提督「うちの妖精さんだけど?」


サイズがおかしい。


提督「じゃ、そういうことで従業員割引いれて大体4億くらいだから頑張って稼いでね。」クスクス


響「はっ、払えるかこの野郎!!」


提督「こらこら、キャラ崩壊は御法度よん?」


サイン済みの契約書をひらひらさせながら提督が工廠から消えていく。


ドロップでここの鎮守府(?)に拾われて一日もたたないうちになぜに負債を抱える嵌めになるのか・・・。


いや、もうそういう事を考える気力すらなくなっている響は子供さんを連れて夕食まで自室に篭ることを決めたのだった。


第5章 負債 5億



夕食の時間となり食堂に集合する。


その席で響は一枚の紙を提督から渡された。




提督「いやー、ビッキー正確に見積もっちゃったらこんなにかかっちゃったよー。」ウキウキ


響 「なんだい、この0の数は・・・。」


提督「従業員割引はしてるんだお?半額サービスなんだお?」 ニコニコ




まじか、と頭を抱えたくなる金額である その額1億増えて 5億。




叢雲「一年間気張れば問題なく払えるわよ?」




いつの間に来たのか叢雲が響の横に座り焼肉(?)をモリモリと食べていた。


そして、肉のチョモランマはその高さを半分ほどに減らしていた。




響「質量保存の法則が働いていない!?」


叢雲「すこしふしぎ(SF)の権化みたいな私達が今更何物理法則語ってるのよ。


    まぁ、いいわ、私達の出撃報酬は参加人数の頭割り+で撃沈や大破等の戦果によって増減するわ。


    だから、気張れば一回の出撃で1億稼ぐことも目じゃないわよ?」


提督「まぁ、歴戦の勇士だけくらいだけどねー。」


叢雲「それでも、最低で500万は固いでしょ?」


提督「怪我しなきゃね、最低スペックの弾薬と燃料はうちもちだからね。依頼任務に関してだけだけど。」


響  「依頼以外もあるということかい?」


提督「あるよー、個人受託みたいな形になるけど。


    まぁ、その辺は詳しいパンフとボーナス計算一覧表を後であげるから御飯食べたら執務室に集合ねー。」


子供さん「あい!」


提督「元気があってよろしい!」


提督「ちなみに御飯は無料だから好きなだけ食べなよー。空母、戦艦でも変わりないからね。その辺は。」


だからと言って食べれる量には限りというものがあるだろうにと思いつつも響は御飯を食べるのであった。




執務室




子供さん「ぶーん。」


提督「おー、それを選ぶとはお目が高いね。」


零式水偵のおもちゃ(?)で空戦ごっこをしている子供さんを見ながら提督は響に書類を渡した。


響  「その、この人が殺せそうな厚みの書類束は?」


提督「うちの契約規則と出撃ボーナス計算書。あと、報告書の書き方見本等々だよー。


    それから、明日はむっちゃんに仕事入ってるから補助ではいるとええよ。」




決定事項とばかりにつぎつぎと話を進めていく。




提督「契約期間中は逃げちゃ駄目だよ?脱走兵だからね?」ニコニコ




任務に出ると言われたときにふと思いついた考えを潰される。


抜けたような顔の笑顔なのに隙がないなと思う。




響  「そんなことはしないよ。」


提督「あと、さっきの妖精親分がアイテム屋さん兼武器商人だからお金が溜まったら装備を更新するのも稼ぎをあげる効率化手段だね。」


親分「金さえ払えばホワイトハウスだって引っ張ってくるぜ!」 ヒョコ


提督「修理終わった?」


親分「あたぼうよ!嬢ちゃんさっきは驚かしてすまなかったな。詫びにこいつをやらーな!」




そういうなり何やらプレゼント箱を寄越してくる。




響「あぁ、ありがとう。」




ガサゴソ


大人なヒモパン




提督「親分がやるとセクハラはしゃれならんよ?」


親分「すまねぇ、自分のと間違えて包装しちまったみたいだ。こっちが本命だ。」




ちょっと、男性用のヒモパンってと突っ込みを入れたくなる気持ちを抑えつつ別の包みを再度貰う。


ゴソゴソ




響「なんだい、これは?」


見た目にお箸の様な2本の棒が束ねられその後ろに電源供給装置。


親分「なかなか、ピーキーな代物だがメリケンの駆逐艦に積めんだ、おれっち達の駆逐艦に積めねぇ訳がねぇ。嬢ちゃん、頼んだぜ。」


提督「親分、ちょっと浪漫がすぎる気がするんだけど?」


親分「けっ、男なら浪漫で飯の3杯は食えねぇとだめでぇい。


    ズムウォルトとかいうツルンとした変な奴に使われるよりかめんこい嬢ちゃんに使われる方が本望ってもんよ!」


提督「はぁー、まぁいいわ。えっと、説明については以上かな。じゃ、ビッキー、改めて宜しくね。」


響  「あぁ、改めて宜しくお願いするよ。」


こうして鈍器の様な契約関連の紙束とこれまた同じく鈍器の様な武器の説明書を貰い響は自分の部屋へと戻って行ったのだった。


因みに子供さんは提督からおもちゃとして色々飛行機を貰ってきていたのだがそれら全て本物だったようである。


そのことが原因でこのあと響が大変な目に合ったのはまた別のお話である。


提督「在庫処分ってやつだね。」クスクス


第6章 初出撃!



提督「じゃ、今日は潜水艦30隻よろしこ。依頼は四井商船。任務達成報酬は1000の頭割り。


    後は撃沈数とMVPでボーナスって事でアクションカムの取り付け忘れないようにね。


    私は加賀が司会をやる料理の鉄人に審査員で呼ばれてるから子供さん連れて出張いってくるよ。」


翌朝、食堂で御飯を食べているときに話をされる。


提督「あっ、そうそう、ビッキーは初顔合わせになるけどね、うちと同じ感じの鎮守府との合同作戦になるから。


    相手先からは対潜攻撃のエキスパートの『 まるゆ 』も参加するから失礼のない様にね?」




まるゆ?


陸軍三式潜航艇の?


あれが、対潜攻撃のエキスパート?


ここまで読んでくださっている方はみなそう思われているはずである。


そう、私もそう思っていたんだ。




まるゆ「・・・・・・。」 ズギュ


叢雲「久しぶりね、とっ、握手の習慣は無かったのよね、忘れていたわ。」


まるゆ「・・・・・・。」 ウンウン




響だよ。


海上の合流ポイントには 『 漢娘 』 がいたよ。


なんというか劇画タッチのまるゆだよ。


葉巻を燻らせてるし。


眉毛がとても太いのは同じだね。




まるゆ「・・・・・・。」ギロ


叢雲「響、絶対に後ろに立っちゃ駄目だからね?」


まるゆ「・・・・・・。」ウンウン


なんというか、『 さいとうたかお 』の書くあの人が白スク水着た感じだよ。


ビシッ。


叢雲「響、これ着なさいって。」


つ ビキニ水着


響「これが今回の任務に関係あるのかい?!」


まるゆ「・・・・・・。」ヤレヤレ


叢雲「話は聞かせて貰った!潜水艦とは潜(そんで)水(着をめでる)艦(娘達)の略なのよ!」


響「なっなんだってー!」 お約束


まるゆ「・・・・・・。」ウンウン




ということで響は着替えました。




まるゆ「・・・・・・。」 グッ


叢雲「実にいいものだ。」ヨダレフキー




こ、このセクハラ艦娘どもめ!(泣)




ザバァ


ザバァ


響「!」


潜水カ級「スバラシイ!」


潜水カ級エリート 「GJ!」


潜水ヨ級「ヘラセ布地!」


クルッ。


まるゆが拳銃を腰のホルスターから抜いた!


パンパンパン。


あっ。


その後一時間ほど響の水着姿を見に浮上してきた潜水艦を叢雲とまるゆが拳銃にて掃除するお仕事をしていました。


叢雲「これでおわりね。」


響「・・・、何か色々失った気分だよ。」


まるゆ「・・・・・。」スッ


響「これをくれるのかい?有難う、何か分からないけど貰っておくよ。」


叢雲「よかったわね響!」


そして、港に帰航。


提督「えーと、カメラの情報から今回の報酬額の査定ですが、ビッキーなにしてんのさ!敵潜水艦仕留めようよ!」 モンガー


響「えっ、でも、私、水着着ていたから・・・。」


水着に着替えた為艤装の展開は出来なかったのだ。


叢雲 ニヤリ


あっ、叢雲知っていて水着着せたな!


図られた!


結局撃沈報酬は加算されず出撃報酬の500万のみが響の報酬となったのだった。


ただ、哀れに思った叢雲が水着を着て頑張ったんだからと響をこっそりMVPに推薦してあげていたのは内緒である。


(MVP報酬は自動的に負債の返済に回されました。)


響がまるゆから貰ったのは彼女(?)のとおそろいの白スク水でした・・・。


合掌。


響の残返済額    4億9300万! 



第7章 スペシャルメニュー研修



提督「最近登場が2行だけの提督ちゃんはとりあえず、むっちゃんの胸を揉む事でその怒りを抑えています。」モミモミ


親分「やらかしの明石から子供の分析データーの要請が来てるが送っていいのけ?」


提督「うん、送っておいて。子供さんの詳細でるまでもう少し掛かるだろうからさー。」モミモミ


叢雲「あの、あんまりもまれ続けると流石に痛いのだけど。」ハァ


響「それで、私に研修にいってこいってことかな?」


提督「うん、うちなんかは行く必要ないはずなんだけど艦隊司令部の黒幕に怒られてねー。


   しかたないからスペシャルパッケージで勘弁してもらうことになったの。」モミモミ


叢雲「いい加減満足したかしら?」ハァ


提督「はい、堪能致しました。」グラッツェ



そういうやり取りがあり、響は提督手書きの地図を元にとある艦娘養成学校に研修に来ていた。


一日目はオリエンテーション的なもので宴会があって終了した。


実践的な研修は二日目からだということなのだそうである。


響だよ。


提督の手書きによる研修パンフレットの絵が妙に上手いのがなんとなく気になるよ。


鹿島教官「アッテンショーーーーン!」


スパン!


生徒一同&響 ビシッ。


鹿島教官「このスペシャルパックを担当する練習巡洋艦鹿島である。私に指示されたとき意外余計な動きをするな!


       貴様らが口からクソ垂れる前と垂れた後に必ずサーを付けろ!」


スパン!


鹿島教官「いいか!私は戦艦、重巡、軽巡、駆逐等の艦種で区別はしない。全て等しくおっぱいだからだ!」


スパーン!


鹿島教官「また、本日からの四日間の研修において私以外にもう一人教官がつく。対地攻撃のスペシャリストだ。


       貴様ら、くれぐれも失礼のないようにしろ!」


スパン!


セリフを吐くたびに鞭を振るっているよ。


あと、途中でなにかセクハラめいたことを言ってたよ。


うちの提督と同じ匂いがするね・・・。


そして、もう一人の教官って誰だろうね。


鹿島教官の様子からして鬼軍曹な人なんだろうな。




デデデン!


奴が来る!


奴が来る!


奴が地獄の底からやってくる!


両肩に対地ロケラン担いでやってくる!



\ デェェエエエエン /



\   コマンドー  /


じゃなかった。


\  オオヨドー  /




大淀「諸君、今、鹿島教官から紹介があった大淀だ。本日からの四日間諸君らの研修を受け持つ。皆宜しく頼む。」


コーンパイプを加えてパイロットサングラスを掛けてるよ。


渋いね。


大淀「では、早速だが授業に移ろうか。鹿島!」


鹿島教官「サー、イエス、サー!」


大淀「いつもどうりランニングから入るぞ。もちろん、兵装込みでのランニングだ。」


鹿島教官「サー、イエス、サー!」


鹿島教官「いいか、このクソども!今から艤装を展開した上にドラム缶を二つ装備してマラソンだ。隊列を乱すんじゃないぞ!分かったか!」



エー マジデー カッタルイー 



大淀「体力の無い艦娘は要らん!諸君らに伝えておこう。このスペシャルパックに参加している者達への解体については我々に一任されている。


    研修終了時に我々の認める水準になかったものは溶鉱炉行きだぞ?」ニヤリ


鹿島教官「心して掛かれ!」


スパーン!


何だか聞いてないよと言いたいのだけど。


とりあえずランニングしているよ。


鹿島教官「 Kongo and Admiral were laying in bed . 」 ザッザッ ←走っています。


生徒一同「 Kongo and Admiral were laying in bed .」 ザッザッ


鹿島教官「 Kongo rolled oever and this is what she said . 」 ザッザッ


生徒一同「 Kongo rolled oever and this is what she said . 」ザッザツ


鹿島教官 「Oh, give me some .」 ザッザッ


生徒一同 「Oh, give me some.」  ザッザッ




歌詞の内容がかなり卑猥だね。




鹿島教官 「 Hoxtupouseiki like man is pedophile .」ザッザッ


生徒一同 「 Hoxtupouseiki like man is pedophile .」ザッザッ




こうして、響の研修二日目は重装備でのランニングで終わったのだった。


尚、普段から子供さんとの島内での追いかけっこや、出撃時の叢雲の無茶振りに振り回されていたおかげもあり響自身はあまり応えなかったようである。


それが結果として大淀に目を付けられる理由になってしまったのかどうかは定かではない。



第7章 艦隊を編成!



響だよ。


その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ。


鳥なら焼いたら食べれるんじゃない? と同じ班の磯風が呟いたのがこわいね。


研修二日目の午後からいきなりサバイバルの実習となったため今、山奥の良く分からないところにきているよ。


遠くの方でグオーとかガオーとか聴こえるのはきっと気のせいだね。


磯風「響、夕餉の準備が出きたぞ。」


雪風「御飯は雪風も手伝いました!」


浜風「主に私と雪風で作りましたので安心して食べてください。」


陽炎型の3姉妹と一緒の班割りで行動中だよ。


研修三日目の日没までに学校へ帰投することだって。


持ち物として貰ったのはコンパスと地図、テント一式とわずかな食料。


あとは二日目の最初に渡されたリュックに入れてきた物だけだね。


まさか研修前にリュックに5つだけ好きな物をつめていいぞと言われていたのがこういう目的だったとは思わなかったよ。


雪風「皆さん!食後のデザートもあります!」


つ ひまわりの種


響「ありがとう、でも、それはどちらかというとおつまみじゃないかな?」


雪風「雪風の主食です!」


そかー。


雪風はハムスターだったんだね。


浜風「それも、ありですね。」


磯風「ふむ。ならば炒ってみよう。」


なぜか彼女はリュックに七輪を入れていたんだよね。


何がしたかったんだろう?


役には立っているけれど、好きな物をリュックに入れるチョイスで七輪って・・・、個性的だね。


響「その、申し訳ないのだけれど皆の持ち物を確認させてもらってもいいかな?」


磯風「確かにそのほうが状況の把握はしやすいな。」


雪風「はいです!」


浜風「分かりました。」


ということで皆の持ち物チェックだよ。



雪風 ひまわりの種 1kg ×5袋



磯風 七輪 さんまの缶詰(賞味期限切れ) バールのようなもの 目覚まし時計 枕



浜風 ファービー(プルスコファー) ロープ 包丁 ウィス○―スリム カバティルールブック



響 提督作成研修のしおり ウオッカ ライター タオル カロリーメイト(チョコ味)




なんだろね、戦場でも女の子の日が有るんだろうね。


うん、身体構造が女の子なの忘れていたよ。


って、おおぃ、まともに使える物持ってきている奴がいない!


なにさ!賞味期限切れの秋刀魚の缶詰とか何したいのさ!


あと、カバティって何するのさ、あれか?レクレーションか?!


艦娘って基本こうなの?


それとも陽炎型がフリーダム過ぎるの?


はぁ・・・、考えても仕方無いね。


どこかの司令官と同じ香りがするよ・・・。


今日はもうテントを組み立てて早く寝たほうが良さそうだね。


夜は動かないほうがいいからね。




大淀「鹿島は何人くらい帰ってくると思う?」


鹿島教官「そうですね教育長。見込みがありそうなのは数人でしたが、班分けの際のクジで幸運艦の雪風と一緒になった響はやはり気になりますね。


      彼女自身も終戦まで生き残ったある種幸運艦ですからね。」


大淀「ほう、やはりか。響はあの桃花提督の所属だからな。リュックに荷物をつめるときにあの提督手製のしおりを持っていっていたからな。


    存外したたかなやつの様だ。」


鹿島教官「そうでしたか。なかなかこれは楽しみですね。」


大淀「あぁ。どれだけ早く帰ってこれるかが楽しみだな。」


鹿島と大淀が何かをしでかしそうな雰囲気の中、二日目の夜を迎えるのであった。




ファービー「なでなでしてー。」


響「地味にうるさいね・・・。」


ファービー「モルスァ!」



第8章 動き出す者達



貰った食料が一回分だったから今日は朝から食べ物探しだよ。


流石にふくらんだ缶詰は食べれないしね。


食べなくてもとも思ったけれど腹が減ってはなんとやらだしね。




磯風「ノルウェー名産品の缶詰を元に作ったのだが?」


浜風「あれは危険物だと思います・・・。」


雪風「食べるな危険です!」




と、言うわけで食べられそうな物をとりあえず探しているんだ。




響「うちの司令がくれたしおりに食用茸の見分け方が書いてあるね。」


磯風「ほう、興味深いな。」


浜風「ベニテングタケ。嘔吐、下痢を招く。ただ、イボテン酸が大量に含まれるため、その味は美味であると推察される。」


浜風「ツキヨタケ。嘔吐、下痢。シイタケと誤食し易い。味は良いといわれる。」


響「雪風、その、お笑いでいう振りじゃないんだからいかにも食べれそうに無い茸を集めちゃだめだと思うんだ。」


雪風「おぉ!響さん!生肉発見しちゃいました!」




ガサ ガサ


クマー




響「ちょっと!雪風?!それは生(きている)肉じゃないか!」




うん、雪風の異名を思い出したところだったよ。


ちょっと、泣いてもいいかな?うん。泣いてもいいよね?


うわーん。


クマー!


ゴスゥ!


バールの様なものがヒットした! ティロリン


クマーに10のダメージ


雪風は逃げ出した!


磯風は呪文を唱えている!


響は力を貯めている!


てっ、違う。現実逃避している場合じゃなかった。


この隙に逃げないと!




響「みんな走るよ!」




響が率先し山中を逃げる!


追いかけるクマー!




そして1時間後




響「なんとか逃げれたかな?」


雪風「いやー、大変ビックリしました!」 オマエガゲンインダロ


浜風「響さん、怪我されてますよ。傷口にこれをどうぞ。後、消毒が出来るといいのですが・・・。」 ピコーン!


雪風「落ち着くためにひまわりの種を食べましょう!」



ということでウオッカで消毒をした後にウィ○パーで止血の後タオルでぐるぐる巻きにしました。



※まじめなお話しますと高分子ポリマーのおかげで止血効果はかなり高いです。

また、ウオッカ自体はアルコール度数が90度越えだったりしますので消毒薬から照明用燃料等幅広く活躍します。

防災用品に入れておくと意外と役立つかも?



磯風「とはいえ、いずれ追いつかれるであろうな。福大ワンゲル事件もあるしな。討って出るが得策だろう。なに、今度は守りきるさ。」フッ


やだ、格好いい。


じゃない、見惚れている場合じゃなかった。


そういえば司令がくれたしおりに何か書いてなかったかな。


ペラ


うん、めっちゃサバイバルな事書いてあるこれ。


響「ちょっと、うちの司令がくれたしおりに色々書いてあるからその通りにやってみたらどうだろうか?」


ということで罠の準備が始まりました。


熊 グフーグフー


ファービー「ブルスコファーーーー!」


初めに逃げこんだ洞窟の入り口にファービーをセットし音をさせる事により誘導。


そして、洞窟奥には上着を置き臭いによりさらに奥へと誘導。


浜風「そぉおーい!」ガン!



そこにバールの様なもので浜風が例の缶詰を撃ち込む。


鋭利な部分で叩いたたこともあり膨らんだ缶詰から色々な物が噴出しながら、そう、まるでペットボトルロケットの如く綺麗な放物線を描きながら

缶詰が熊に直撃した。



熊「ブルアァァァァーーー!」(若本ボイス)


言葉に言い合わせない悪臭が立ち込める。



※因みに例の缶詰は臭気数値にして8000Auオーバー くさやの約6倍でございます。この缶詰の臭さ、お察し下さい。



熊が余りの臭さにもんどりうって洞窟内で暴れまわったため洞窟の一部で崩落が起き熊は自滅した。



雪風「肉大量ゲットです!」ウマー










どこかの海上


深海棲艦A「見ツカッタカ?」


深海棲艦B「アァ、海流ノ流レニ乗ッテ流レ着イテイタヨウダ。」


深海棲艦A「アノ戦艦カラ誕生シタ我等ノ姫。育テバ我等ノ仲間ノ誰ヨリモ最凶ノ姫トナルデアロウナ。」


深海棲艦B「アァ、ナレバコソ。仲間ヲ集メテ奪還セネバナ・・・。」



第7章  それぞれの身の上



♪ テレテッテレ  テレテッテレ テレテレテッテレテ


(キューピー3分間クッキングのあれ)


磯風「ということで先程の熊を解体したのがこちらになります。」


磯風「本日はこのお肉を豪快に燻製にしようかと思います。」


浜風「キッチンタイマーがございませんので此方の目覚ましをキッチンタイマー代わりにさせていただこうかと思います。」


雪風「スモークチップはこちらですー。」


響「ハラショー。」(呆れてます)




うん、なんというか包丁一本でまさか捌くとは思って無かったよ。


あとね、ロープで近くの木に吊るし上げて血抜きを始めたかと思ったら一気に捌くんだもの驚きだよね。


あと、内臓なんかは山の神様にお供えするんだって。


うん、昔は私達の中に神社があったりもしたから神様って大事だよね。




磯風「時間の都合によりこちらが出来あがったものでございます。」ソイ




・・・・・、もうね、生だろ?とか凄いとかそういう突っ込みをする気力も失せたよ。



♪テンテテテレテ テッテレテッテテン


\ こんがり肉 /  (ウルトラ上手に焼けました~。)


磯風「さてと、保存の分はこれくらいで充分かな。」


浜風「ところで伺っておりませんでしたが響さんもやはり裏方系の鎮守府なのですか?」


磯風「で、あろうよ。こっちの教練は表ではない鎮守府連中しか参加しないからな。」


雪風「その割にはあまり染まっていません!」


響「あぁ、うん。そうだね。その私はドロップ艦という奴なんだ。」


自身さえ曖昧な現象でのこの世への再誕。


それについての反応は3人ともそっけない物だった。


磯風「あぁ成程。だから影が薄かったのか。」


浜風「深海棲艦くらいしか始末していないのであれば納得ですね。」


雪風「ちょっと生い立ちが羨ましいです!」


磯風「聞いておいて自分の話をしないというのもあれだな。響よ、良ければ聞くか?」


響「・・・、お願いしたいね。」




磯風が語り始める。


3人は一般人からの転向組。


艦娘となったのは食事が常に食べられるからという単純な理由。


深海棲艦達によるシーレーンの封鎖は各資源を輸入に頼る日本にとっては大打撃だった。


石油が無いだけで国内産業の殆どが終了なのである。


あらゆる産業の前提となる石油の輸入が成り立たなくなれば後に残るは経済の著しい退行。




雪風「とうもろこし焼きますね?」ジュージュー




結果、この世界における先進諸国は一部の産油国を除いて経済停滞をしてしまっている。


大陸の諸国は海を使わずに物資を運ぶために協力するどころか覇権を巡っての戦争。




雪風「タマネギ焦げますよ~?」




島国である日本が無事であったのは深海棲艦が侵略しようとする各国の艦船を次々と沈めていっていたからという皮肉もあった。


そこへ艦娘という唯一の対抗手段の出現。


この艦娘という戦力を利用する為に特措法が制定され『 海軍 』が再結成され海上の航行を日本以外の国にも保障する。


その代わりに資源の提供という協定が島国系資源国家と交わされた事により今に至るのだ・




磯風「まぁ、そういうわけでな、食に困った孤児を使えば費用対効果が高いというわけだ。」


浜風「私達は艦娘で有る限り老化現象とかも縁がありませんですし。」


雪風「同じやるなら稼ぎのいい方がいいですね。」モグモグ


雪風「野菜の追加とってきますね!」


響「その君たちの年齢的な物は?」


浜風「そうですね、艦娘の適正で艦名と記憶が引き継がれていますが実際には雪風が一番年下ですよ。」


磯風「艦番ではあの娘が姉になるのだがな。雪風は小学校4年生程度だ。」




あとは察してくれという雰囲気の磯風




響「概ね理解したよ。その最後にひとつ聞いてもいいかな?先程から雪風が持って来ている野菜は何処からもってきているのかな?」


雪風「あそこの台所からです!」ドヤァ




うわぁ、ベタな展開だよ。


もうね、作者疲れてるだろ。うん。


まぁ、斜面が緩やかになってきているから麓に近づいているとは思っていたけれど。




響「雪風、とりあえず無断で持ち出すのは良くないよ。一緒に謝りに行ってあげるからいこうか?」


響「ごめんください!」


???「はいよー。んー?」


磯風「うん?」


浜風「あら。」


???「おぉ?」


磯風「朝霜じゃないか。ふむ。いや、退役しているのか?」


朝霜「いやー、今は予備役っさねー。まぁ、あんまり変わんないかなー。陽炎型が雁首揃えてどうしたのさ。」




朝霜に促され雪風が勝手に食料を持ってきたことを詫びる。




朝霜「別にかまわんさね。野菜も畑で幾らでもとれるしな。というかこんな所にうろついてるって事は養成学校の教育訓練中で道に迷ったかな?」


朝霜「なんなら学校まで車出してあげるよ。」




願っても無いと思ったのだが車の止めてある裏手に回ったところ其処に止めてあったのは軽トラだった。




朝霜「赤帽サンバーだぜぇ。」ドヤァ


磯風「何!?あのスーパーチャージャー付きの!?」


浜風「よくみたらエアロパーツっぽいのも・・・。」


農道のポルシェと言われる軽トラの中でも業務用に特化した赤帽サンバーそのエンジンは過給機つきという軽トラかよと言いたくなる様なもので有ったりする。


朝霜「足回りも弄りなおしてるからな、峠も攻めれるぜ?」ニヤァ




30分後




磯風「なかなかいいドライブだった。」


浜風「軽トラって色々な可能性にあふれる車なんですね。」


雪風「雪風は(気分を悪くして)沈みません!」


響「」




響のみ吐き気を催し学校に帰還後すぐに医務室に運ばれる結果となったのだった。




大淀「あぁ、目が覚めたか。なかなか幸運に見舞われたようだな。ふふ。」


響「あぁ、そういえば。」


大淀「お前さん達が最初の帰還だ。霞と・・・、いや、鹿島と誰が最初に帰ってくるか賭けていたのだが、私の勝ちの様だな。」


響「霞?」


大淀「あぁ、忘れてくれ。今は鹿島だ。何な、一度退役した後に再度の召集で戻ったときに身体の成長に合わせて艦種類が変わる。


    或いは艦名が変わるというのもよくあることなんだ。かく言う私もでな、目を悪くして退役する前は矢矧だったんだ。」


響「人生色々なんだね。」


大淀「まぁな。今を楽しむのが人生を楽しむので一番必要なことさ。今日はこのまま寝ていろ、明日の最終日は敵地に殴り込みだからな。」


大淀はそういうと響の頭を軽くポンポンと叩くと医務室を出て行ったのだった。



第8章 敵泊地への殴り込み



雪風「オッ!オッ!オッ!」


大淀「違う違う。 ヲッ! だ。 腹のそう丹田に力を込めてもう一度!」


雪風「ヲォ!」


大淀「・・・・、響、ちょっとやってみてくれないか?」


響「ヲッ!」


大淀「エクセレント!響、君が上をやってくれ。」


何をしているか気になるよね?


うん、古式ゆかしき日本の座敷芸二人羽織なんだ。


ただし少し違うのは雪風の上に私が肩車されてヲ級の頭飾りを被っているって所かな・・・。


そして、肩にはなぜかアースノーマット・・・・。


夏は虫刺されに注意が必要だもんね!


頭の飾りから電源供給でノーマットが怪しく光るよ!


大淀「響、それは砲台小鬼だ。」フフフ


あぁ、確かに形似てるわ。


他にも皆がめいめい深海棲艦に化けている。


顔が違うじゃん!って思うよね。


お面を被れば万事解決。


うわっ、適当って思ったのは内緒だ。


そして、大淀は重巡リ級・・・・。


水着が着たかっただけなんじゃないかと思う。


水着グラないしね!(白目)


っと、莫迦やってる場合じゃなかった、敵地に殴り込みだから気を引き締めなくっちゃ。


大淀「では皆、抜錨!」


響「ヲッ!」


しまらないなぁ・・・。


こうして、まんじりとした雰囲気の中、響達一向は出撃したのだった!


途中、敵の艦隊とすれ違うもののスルーされる。


大淀「Hey,You 。景気はどうだい!」チェケラ!


重巡棲姫「ボチボチデンナー。」オウィエィ


大淀 重巡棲姫 ハイタッチ


大淀「またなー!」


重巡棲姫「オウ!」


なんであんなに親しげなんだよ!おおい!


・・・・、皆様あの噂は本当なのかも知れません。


あっ、そうそう、敵が向かっていますよとの連絡はしておきました。はい。


大淀「そろそろ敵地に乗り込むぞ。皆、準備は出来ているか!」


鹿島 及び生徒一同「おーーーーー!」


雄叫びを上げると同時に生徒一行が偽艤装を脱ぎ捨て一気に敵に攻めかかる!


磯風「へっへっへ。お嬢さんよう、その背中に隠しているのは燃料かい?」オウオウ


浜風「おう、ちょっとおめぇジャンプしてみろや。」オラオラ


集積地「何モ無イカラ、後ロニハ何モ隠シテナイカラァ!」ガクブル


ヤンキーのかつ上げみたいだ・・・。


鹿島「♪あらこんなー所に角材が 敵の頭があったらね? ・・・・、スイカ割りじゃオラーーーー!」フォン!


鼻歌交じりで敵の頭に的確にヒットさせてるよ。


スイカ割りって本人は言ってるけど、石榴みたいな割れ方でちょっとグロ注意かな・・・。


PT小鬼「キャハハハハ。」


雪風「笑ってないで出すもの出しなさいです!」パンパカパーン!


可愛い顔して恐ろしいね、いやPT小鬼は確かに装甲薄いけどパンチの三段打ちだけで普通の艦娘は撃沈出来ないと思う。


確かに陸上だから本来の力は発揮できないのかもしれないのだけれども。


ヒュルルルルーーーーールゥ!


ドーーーーーン!


大淀「逃げる奴ぁ、深海棲艦だ!逃げねぇ奴は、よく訓練された深海棲艦だ!ヒャッハァ!この世は本当に地獄だぜぇ!」


うん、バーサクモードだね。


触らぬ神に祟りなし。南無南無。


集積地「ヤメテ!セッカク、集メタノニ・・・!・・・・アァ、デモ・・・、燃エル炎・・・、ナンダカ、綺麗ダ・・・。」


なんだか、敵ながら哀れになってきた。


抵抗するまもなく基地が大炎上だよ。


響が膝から崩れ落ち撃沈状態の集積地棲姫に慰めの言葉という追い討ちを掛けに近寄ったときのことだった。


集積地「貴様!貴様!コノ香ハ!」フンフン


響「?」


集積地「貴様ノ所ニ子供ガ居ナイカ!?」


響「あぁ、居るが?」


集積地「ソウカ、ソウカヨ!我等ノ姫ハ其処ニ流レ着イテノカヨ!クハハ!コレデ心オキナク黄泉路ヘ旅立テル!」ハハハハハハ


そう格好よく台詞を吐くと集積地は爆発四散した。


そして、その爆発は上空高くに黒煙を大きくたなびかせた。




???「集積地ガ最後ニ仕事ヲシテクレタヨウダ・・・。」


???「アァ、ダガ最後ニ尋ネ人ニ繋ガル糸ヲ見ツケタラシイ。奴ノ死ヲ無駄ニセヌ為ニ之ヲ生カサネバナ。」




こうして、教育訓練の最終日の敵地殴り込みは大勝利で幕を閉じたのだった。


磯風「今回は色々と世話になったな、これは我々の連絡先だ。万一の時は友達価格で依頼を受けるぞ。いずれ、また、どちらかでな。」ハグー


響「うん、スパシーバ。大事にするよ。そして、ダスビダーニャ。」ハグー


大淀「響、貴官の所の提督によろしく伝えてくれ。嘗ての部下は大本営勤めをしているぞとな。それから、彼女に之を渡しておいてくれ。」


響「これは?」


大淀「私と鹿島に直で繋がる専用電話番号だ。万一の際には其方に電話をしてくれ。最優先で事に当たろう。」


響「了解した。確実に司令に渡しておくよ。」


大淀「うむ、頼んだぞ。では、縁あれば、またな。」


響「ダスビダーニャ。」


こうしてそれぞれの別れを済ませ響は鎮守府へと帰還したのであった。



第9章 更地と響と仲間達と



響「あ・・・・ありのままに今起こっていることを話すぜ。」


響 『 おれは 鎮守府に帰ってきたと思ったら いつのまにか空き地に立っていた 』


響「な・・・何をいっているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった・・・。」


響「頭がどうにかなりそうだった・・・。二日酔いだとか幻覚だとかそんなチャチなもんじゃぁ断じてねぇ。」


響「もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・。」



響がポルナレフ状態で呆然と立ち尽くすのも無理はない。


そこにあったはずの建物は全てが吹き飛び、文字通りに更地になっていたからだ。


そして港にはドラム缶が一本佇んでいただけだった。



響「司令官達、無事なのだろうか?」



更地になった理由は凡そ検討が付く。


敵の空襲。それ以外にはないだろう。


しかし、すがすがしいまでに壊されているなと島の敷地を歩きながら考える。


そして、響はついに有る入り口を見つけた。




おいでませ。地底人の穴 (入り口)




看板に書かれたこの最後まで笑いをとりにいくふざけた性格。間違いなくあの司令官しか居ない。


♪ポーン


「合言葉をどうぞ。」


入り口扉前に立つと来客を認識したのか機械的な音声で合言葉を促す音声。


・・・・・。


普通ならオーソドックスに『 開け ゴマ 』辺りだろう。


だが、あの司令官だぞ?恐らくギャグ要素を入れないわけが無い。


響は意を決した。


そして、司令官の気持ちになった上で大声で合言葉を叫ぶ。




響「 開け ポ ン キ ッ キ ――――!!」




♪ポーン


「合言葉を確認いたしました。どうぞ、中へお入り下さい。」ガシャーン


まったく、何年前に終わった番組だと思うんだか・・・。


やれやれと呆れながら仮称『 地底人の穴 』の奥へ進んでいくと灯りが見えた。


そして終点にたどり着くといつもの明るさは無く打ちひしがれた様子の提督とそれを心配そうに見守る子供さんが居た。


響「司令官?」


提督「あぁ、お帰り。・・・、入り口の合言葉よく分かったね。」


響「あぁ、司令とは短い付き合いだけど頭の構造はよく分かっているよ。」ヤレヤレ


子供「響おねーちゃん、お帰り!」


飛びついてきた子供さんをあやしながらメンバーが足りないことに気付く。


響「司令、叢雲と親分は?」


響の台詞にビクリと反応する提督。


親分「終わったぜ!流石、叢雲の嬢ちゃんだぜ。無理やりくっつけたってのに悲鳴もあげなかったぜ。」


フーッと大きく息を吐いた提督はその場に崩れ落ちた。


叢雲「ふん。らしくないわね。あんたはいつもの様にヘラヘラと笑ってなさいよ。」


右腕を肩から包帯でぐるぐる巻きにした叢雲が親分に続いて奥から出てきた。


響「私が居ない間に何が起きたんだい?」


床に座り込みぐったりとしている提督に成り代わり叢雲が語り始める。


叢雲「この娘。深海側にとっても象徴的な意味のある娘だったみたいなのよ。」


響「?」


叢雲「私達、艦娘。いえ、WW2時においての大日本帝国海軍の決戦兵器。それも国民へも秘密にされていた戦艦といえば・・・?」


響「・・・・、この娘が大和だというのかい?」


叢雲「そう、そのまさかよ。貴方は天一号作戦に参加していたけれど道中で触雷にあって呉に戻っていたわね。」


そう、それは軍艦時代の記憶。迫り来る敵を迎えうつための沖縄へと向かい再び故国の港へと戻ることの適わなかった仲間達。


そして、ともに戦うことの出来なかった無念。


響「この島は確かに沈没場所から近いものね・・・。」


そう、この島の場所は鹿児島と沖縄の間。


叢雲「親分が本土の明石と色々調べてみた結果この娘は普通の艦娘が資源から建造されて魂を受け継ぐのと違ったそうよ。


    そして、沈没している大和の一部から自然発生的に生まれた様なのよ・・・。」


響「だから子供の形態なのかい?」


叢雲「そう、私達自身未だに謎が多いからなんともいえないけれど。


    今現在分かっていることだけでも深海棲艦も私達と同じWW2時の軍艦達の御霊が何らかの形で顕現したものということよ。


    だから何が起きたところで驚くようなものじゃないわ。」


響「じゃぁ、この娘を連中は・・・。」


叢雲「御輿にしたいのでしょうね。そうはさせるつもりは無いけれどね。」


何も知らずに自分に懐いているこの子供。いや、『 やまと 』か。


守りたいこの笑顔。


響は決意した。今度こそこの娘を守りきると。



次回へ続けたい!


後書き

夏イベでお迎えした正規空母さん達を育てる日々。

雲龍さんのスロ配分。あれ、ひでぇわ。龍ちゃんに負けずと劣らじのめちゃくちゃ配分。

低燃費(正規空母で)なのが救いですね。

後、秋月も運よくお迎えできたので春イベの敵は取れました(春イベでE2で粘っていたものの掘れなかった人)。

対空CIが決まるとハエーーって感じです。ただ対空CIの台詞を聞いててこの娘ちょっとアホの娘?と思ってしまいました。

「弾幕が薄い・・・、ような気がします。弾幕です!」←ほっこりです。てかブライトさん?

右舷!弾幕薄いよ!(作者の頭は頭髪が薄いよ!)

最近、起きたときに枕以外に周りに飛び散っている量が増えてきているのが恐怖でございます。

食生活見直すか・・・。

というわけで終わりが近づいて来ていますのでシリアス多目でございます。

後書きが毎度長いですがお付き合いいただいて有難うございます。

それではまた次回の更新でお会い致しましょう。ここまでお読みいただき真に有難うございました!


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2016-05-09 20:45:26

ポテ神さんから
2016-05-07 23:41:57

SS好きの名無しさんから
2016-05-07 20:58:51

このSSへのコメント

11件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2016-05-07 21:00:22 ID: EOlFXK-3

仕切り直しの作品ですね、これから楽しみにしてます!

2: SS好きの名無しさん 2016-05-07 22:18:30 ID: rPYbfsSj

キャラクターの設定だけ妙に凝ってるな
一方で内容はグダグダで薄っぺらい
つまらないわ

3: T蔵 2016-05-07 22:21:33 ID: eg4eBqul

1番様

コメント有難うございます。

他の作品にもコメントいただいていた方かしら?

その節は御迷惑をお掛けいたしました。

2番様

わざわざ書き込んでまでの御連絡ありがとうございます。

宜しければお勧めなどもお教えいただけるとありがたく存じます。

4: SS好きの名無しさん 2016-05-09 20:52:56 ID: vGH66Zxe

1番です。
またSS無くなった!とおもったらお題変更で安心しました。
続きを楽しみにしてますm(_ _)m
鎮守府亭シリーズはまだ続くんですか?

5: T蔵 2016-05-09 21:10:08 ID: fF2BkYTX

4番様

コメント有難うございます。

鎮守府亭シリーズはその2、その3と

メニューが増えながら営業しております。

あちらではコメントによるリクに全力でお応えしておりますので

この娘をだして!

とかありましたらコメント欄に書き込んでいただけますと対応をしております。

全力で滑っててもごめんなさいなのです。

どちらも不定期更新ですのでゆっくりお待ち下さい。

6: にゃしぃ提督@睦月中毒 2016-05-28 13:56:05 ID: QncO7HtK

設定とプロローグだけなので感想はありませんが、これからを期待して楽しみにしています!どんな響ちゃんでも大好きにゃしぃ
鎮守府亭の方はまったりしていて読んでいてほっこりしました。
まったりと続きを待ってます。

7: T蔵 2016-05-28 19:24:49 ID: XlOUCkMy

にゃしぃ提督@睦月中毒様

コメントありがとうございます。

響を弄りたくて書き始めたもののなかなかコメントがつかないので

反応がないなぁと思ってたところでしたので

コメント本当に感謝です。

鎮守府亭の方もお読みいただいている様で感謝です。

あちらでは随時リクエストお待ちしておりますので気軽にコメントくださいね!

8: 野方 2016-05-29 17:25:07 ID: FS7C39D2

鎮守府亭全部回ってこっちにきたけど、作者様のコメディは基本自分に合ってるのか全部面白いw続きまってますw

9: T蔵 2016-05-29 19:59:10 ID: gISxNODw

野方様

コメント有難うございます。

鎮守府亭シリーズを全部読んで戴いたのですか。

真にありがとうございます。

コメディ系統はなかなか反応がないと路線が正しいのかどうかが

分からない部分が多くて色々考えていたところです。

コメントを励みに次回更新に向けて頑張ります。

10: SS好きの名無しさん 2016-10-07 03:49:52 ID: StmXFRbL

続きをのんびり期待してます♪

11: T蔵 2016-10-08 10:19:27 ID: HFPgm2zj

10番様

応援コメントありがとうございます。

更新が遅れ気味ではございますが頑張りますのでこれからも宜しくお願いいたします。


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