2016-08-09 10:58:01 更新

概要

提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です

注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い


前書き

33回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね

以下、ちょっとしたプロフィール。長いので、興味ない人は飛ばしちゃって下さい

提督
練度:神頼み 主兵装:刀
「えぇ…。やだよ、めんどくさい」
長髪で黒髪、何時も気だるげな表情をしてる
一応、白い制服を着けてはいるが、上から羽織っている浴衣が全てを台無しにしている、不良軍人
そもそも、軍人どころか人ですら無い、元土地神様
覚えている人もいなくなり、ようやく開放されたと思えば、深海棲艦が湧いてきて…
3食昼寝付きの謳い文句も手伝って、提督業を始めだした
性格は、ほとんど子供。自分でやらないでいい事はまずやらない、明日できることはやらないで良い事
悪戯好きで、スカートめくりが好きなお年ごろ
また、結構な怖がりで、軽度は人見知りから始まり、敵は全て殲滅する主義

皐月ー愛称:さつきちゃん・さっちゃん・さっきー
練度:棲姫級 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「え、司令官かい?そりゃ…好き、だよ?なんてな、えへへへ♪」
初期艦で秘書艦の提督LOVE勢。提督とは一番付き合いの長い娘
その戦闘力は、睦月型どころか一般的な駆逐艦の枠から外れている程…改2になってもっと強くなったよ
「ボクが一番司令官の事を分かってるんだから」とは思いつつも
まだまだ照れが抜けないせいか、ラブコメ時には割とヘタレである

睦月ー愛称:むつきちゃん・むっつー・むっつん
練度:褒めてっ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「提督っ、褒めてっ!」
わかりやすい提督LIKE勢、「ほめて、ほめて~」と、纏わりつく姿は子犬のそれである
たとえその結果、髪の毛をくしゃくしゃにされようとも、撫でて貰えるのならそれもよしっ
好感度は突っ切っているが、ラブコメをするにはまだ早いご様子

如月ー愛称:きさらぎちゃん・きさら
練度:おませさん 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「司令官?ふふ…好きよ?」
やらかした提督LOVE勢。一昔前、司令官と仲良くなろうと色々頑張ったが
振り返ってみると、かなりアレだったことに気付き、思い出す度に悶絶する毎日
しかし、一度派手なことをやった手前引くに引けず、ラブコメをする度に黒歴史が増えていく毎日

弥生ー愛称:やよいちゃん・やよやよ・やーよ
練度:固い 主兵装:3式爆雷 好感度:★7
「司令官?好きだよ、普通に」
感情の読めない提督LIKE勢。瑞鳳に卯月が取られて、手が空いた反動か結構好き勝手やりはじめた
最近は ゆーにあることないこと吹き込むのがお気に入り
「もちろん、いい娘に育てるよ?」私のようにねっ
ラブコメはするより見るのが好き…て、思ってたんだけどなぁ

卯月ー愛称:うーちゃん・バカうさぎ
練度:ぴょんぴょん 主兵装:超10cm高角砲★MAX 好感度:★7
「司令官?そんなの大好きに決まってるぴょんっ」
ぴょんぴょんする提督LIKE勢。毎日ぴょんぴょんと、あちこちで悪戯しては怒られる毎日
主な対象は瑞鳳、「だって、からかうとおもしろいだもん」なんのかんので構ってくれる瑞鳳が好き
ラブコメというより、騒がしい妹

文月ー愛称:ふみ、ふーみん
練度:ほんわか 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★8
「しれいかん?えへへー…なーいしょっ♪」
ふんわりとした提督LOVE勢。空気を読んでいたつもりが空気に飲まれたここ最近
司令官を見てドキドキするのは、きっと姉や妹の影響だ、きっとそう
そうなってくると、いつものスキンシップでさえ気恥ずかしい上に
弥生お姉ちゃんが、変な道に突き進んでいるのを止めたりと、最近は忙しい

長月ー愛称:なつき、なっつん、なっつ
練度:頼りになる 主兵装:5連装酸素魚雷 好感度:★8
「司令官…いや、まあ…いいだろ別にっ」
おでこの広い提督LOVE勢。司令官に ちゅーしてこの方
自分の感情を見ない振りも出来なくなり、最近は割りと素直に好意を見せてくれたりもする
自分の感情に振り回されるくらいにはラブコメ初心者。あと、シスコン(菊月)

菊月ー愛称:菊ちゃん・お菊さん
練度:威張れるものじゃない 主兵装:12・7cm連装砲B型改2★MAX 好感度:★7
「司令官か?好きだが?」
箱入り提督LIKE勢。おもに長月に過保護にされてるせいでラブコメ関連はさっぱり
しかし、偶に見せる仕草はヘタなラブコメより攻撃力は高い。やっぱり如月の妹である
大艦巨砲主義者、主兵装は夕張に駄々を捏ねて作らせた。それとシスコン(長月)

三日月ー愛称:みつき・みっきー
練度:負けず嫌い 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「し、しれいかん…そ、その…好きですっ!」
おませな提督LOVE勢。どこで仕入れたのか変な知識は一杯持ってる
そして、変な妄想も結構してる。すぐ赤くなる、可愛い
提督と望月に、からかわれ続けたせいで、たくましくなってきたここ最近
ラブコメモードは基本に忠実

望月ー愛称:もっちー、もっち
練度:適当 主兵装:12・7cm連装砲(後期型  好感度:★MAX
「司令官?あー、好きだよ、好き好き」
適当な提督LOVE勢。とか言いつつ、好感度は振り切ってる
だいたい司令官と一緒に居られれば満足だし、司令官になんかあれば不言実行したりもする
ラブコメには耐性があるが、やるとなれば結構大胆

球磨ー愛称:ヒグマ
練度:強靭・無敵・最強 主兵装:46cm…20.3cm(3号 好感度:★MAX
「提督?愚問だクマ」
突き抜けてる提督LOVE勢。気分は子グマの後ろに控えている母グマ
鎮守府と提督になんか有ろうものなら、のっそりと顔を出してくる、こわい
積極的にラブコメをすることもないが、昔は提督と唇を奪い合った事もある
大艦巨砲主義者。最近、私製46cm単装砲の命中率があがった、やったクマ

多摩ー愛称:たまちゃん・たまにゃん
練度:丸くなる 主兵装:15・2cm連装砲 好感度:★6
「提督?別にどーとも思わないにゃ?」
気分は同居ネコ。とか言いつつ、なんのかんの助けてくれる、要は気分次第
絡まれれば相手もするし、面倒くさそうにもするし、要は気分次第
特に嫌ってるわけでもないし、いっしょに昼寝もしたりする、要は気分次第
ラブコメ?何メルヘンなこと言ってるにゃ

北上ー愛称:北上様・北上さん
練度:Fat付き 主兵装:Fat付き酸素魚雷 好感度:★7
「提督?愛してるよん、なんちって」
奥手な提督LOVE勢。気分は幼なじみだろうか
このままゆるゆると、こんな関係が続くならそれで良いかなって思ってる
最近の趣味はFat付きをばら撒いて海域を制圧すること

大井ー愛称:大井さん・大井っち
練度:北上さん 主兵装:北上…53cm艦首(酸素)魚雷 好感度:★8
「提督?愛してますよ?」
分かりにくい提督LOVE勢。そうは思っていても口にはしない、絶対調子に乗るから
足と両手が埋まったなら、胸…艦首に付ければいいじゃない、おっぱいミサイルとか言わない

木曾ー愛称:きっそー、木曾さん
練度:悪くない 主兵装:甲標的 好感度:★7
「提督?まあ、アリなんじゃないか?」
カッコイイ提督LOVE勢。提督に赤くさせられたり、提督を赤くしたりと、まっとうなラブコメ組
そういうのも悪くはないが、本人はまだまだ強くなりたい模様
インファイター思考だけど、甲標的を使わせたほうが強いジレンマ

金剛ー愛称:こう・こうちゃん・こんご
練度:Burning Love 主兵装:Burning…46cm3連装砲 好感度:★9
「提督?もちろん、好きですっ、大好きですっ、愛してますっ、Burning Loveデスっ」
分かりやすい提督LOVE勢。提督の為ならたとえ火の中水の中
クリスマス以降、ちょくちょく愛情表現されるようにはなったけど
自分の許容量の低さに、毎回パンクしそうになっている
球磨曰く「使いもんにならなくなるから、やめるクマ」

瑞鳳ー愛称:ずいほー・づほ姉ちゃん
練度:卵焼き 主兵装:99艦爆(江草 好感度:★6
「だれがお姉ちゃんよっ」
気分は数ヶ月早生まれな幼なじみ。ラブコメルートもあった気がしたけど、何処行ったかな
卯月にからかわれて、追っかけまわすのが日課
だからって、別に卯月を嫌ってるわけでもなく実際はその逆である

夕張ー愛称:ゆうばりん
練度:メロン 主兵装:軽巡に扱えるものなら何でも 好感度:★6
「ゆうばりんって…気に入ったのそれ?」
気分は一個上のお姉さん。卯月や菊月の駄々に付き合ったり
球磨や提督の無茶振りで、アレな兵装を作ったりと、信頼と安心の夕張さんである
特に決まった装備は無く、戦況次第でなんでも持ち出すびっくり箱、安心と実績の夕張さんである

大鳳ー愛称:大鳳さん
練度:いい風 主兵装:流星改 好感度:★9
「提督、愛してるわ」
素直な提督LOVE勢。金剛見たいにテンションを上げるでもなく、息を吐くように好意を伝えてくる方
ラブコメに悪戯にと我慢強い方だが、許容量を超えると…
その落ち着いた物腰からは、艦隊の保護者っぽくなっているが、内心は見た目通り歳相応だったりもする

U-511ー愛称;ゆー、ゆーちゃん
練度:ですって 主兵装:WG42 好感度:★5
「はい、Admiralの為にがんばりますって」
助けてもらったご恩返しに今日も頑張る ゆーちゃんです
主兵装は球磨の悪戯 「まさか本気にするとは思わなかったクマ」別に反省はしていない
最近は、弥生に色々と教えてもらって賢くなってきた、不安しかない
今日も順調に鎮守府に馴染んできています

ーそれでは、本編をはじめましょうー


↑前「提督と海外艦(伊」

↑後「提督と台風」




瑞鳳?と提督?


ー執務室ー


提督「~♪」


小さな鼻歌が執務室に響く

その曲調から察するに機嫌の程はだいぶ良いように見えた


三日月「あ、あの…司令官?」


朝食も終わり、朝一番。いつも通りに執務室に足を運んだ三日月

扉を開けて、さあ今日も頑張りましょうと

最初に目についた光景は、ソファの上で気持よく鼻歌を口ずさむ司令官

司令官の機嫌が良い。それは良いことだし、私だって嬉しい

けど…けれども…聞かずにはいられなかった


三日月「今日はどうしたんですか?」

提督「なによ?私が仕事してたらいけないの?」

三日月「いえ、いえいえいえいえ…それは、はい」


そう、それは良い事だとは思うけど…

自分でやらないで良いことは、やらなくても良いことだ

いつもそう言って判子を押す係りなのに

今日は書類を前に真面目に仕事をしていた


正直、気味が悪い…


何か裏でもあるんじゃないかと勘ぐりたくもなってしまう

でも一般的にはこれが普通の光景のはずなのだ

そうであるなら、三日月はそのお手伝いをすれば良い、うん


三日月「そ、それじゃあ…お茶でも…」


そうやって、頑張ってる司令官を労おうかと思えば


提督「ん?ああ、さっき淹れたばっかりだから、よかったら三日月もどうぞ?」

三日月「え、あ、はい…ありがとう、ござい、ます…」


言われてみれば、確かに机の隅には湯気を吐き出すティーポットが置かれていた

そんな、いつも面倒くさがって自分じゃなかなかやらないのに…

「三日月に淹れて欲しいな?」なんて、言葉もすっかり耳に馴染んだ程だ


三日月「じゃ、じゃあ…私もお手伝いを…」

提督「へーき、へーき。これ書いたら見回りついでに出してくるから」


「偶にはゆっくりしてなって」なんて言葉が続いた時には耳を疑ってしまった


三日月「…」


返す言葉が無い、状況に理解が追いつかない

首が動く、壊れたねじ巻き人形みたいにカタカタとぎこちなく

そこにいるであろう姉の方へ、説明を求めるために


皐月「?」


皐月と目が合う三日月

提督用の大きな机、そこにちょこんと座っているその姿

司令官の奇行の前に、その日常は多少胸を落ち着かせた


三日月(なにこれ?)


視線にそんな言葉を乗せて、曖昧に司令官を指差す三日月


皐月(さぁ?)


けれど、視線に乗って返ってきた答えは

肩をすくめて一言だけと、そっけないものだった


提督「よし、おしまい…それじゃ、ちょっと鎮守府の中見てくるから」

皐月「うん、あんまりサボっちゃダメだよ?」

提督「しないっての…って、三日月?」


書類を纏めて立ち上がった提督

目についたのは、ぎこちなく固まっている三日月の姿


三日月「え、は、わわっ」


三日月が気付いた時には、提督がその顔を覗き込んでいた


提督「どしたの?熱でもある?」

三日月「いえいえいえ、だいじょぶ、ですから…はい」


そっと、三日月のおでこに置かれる提督の手


小さいな…なんとなくそんな感想を抱いていた

体格の差、は勿論あるとしても、私の手が大きい、て事もあったとしても

触れたおでこから伝わって来たのは、そんな印象だった


三日月「あの、司令官?」

提督「あ、ごめんごめん。平気なら良いのよ、うん」


呼ばれて、呆けていた意識を戻す

三日月に焦点を合わせてみれば、心なしか顔が赤くなっている

やっぱり熱でも…ちがうか、好きな人が近くにいるんだし、こんなもんか


提督「三日月…いつもありがとう」


ちゅ…


三日月「へ…」


これくらいなら平気だろうか?

触れ合った部分に若干の熱さを感じつつも

たまにはこれくらいの愛情表現をしたって良いだろうと


提督「それじゃ、いってきます」

三日月「は、い…いってらっしゃい…」


ぽんっと、三日月の頭を撫でた後、執務室を後にする提督

あとに残ったのは、妙な静けさと、ほうけている三日月

そして…


皐月「…」


やっぱり違うな…今度は何の遊びだろう


眉根を寄せて、司令官が出て行った扉を見つめる皐月


確かに見た目は司令官だ、完璧すぎるほどに

けど、なんか違う。そりゃ、気まぐれで仕事をしたってこともあるだろうけど

三日月とラブコメすることだって珍しくもないが…あんな素直にちゅーするかな…

なんだろう?この付き纏う違和感は…


左手の薬指、そこに収まっている指輪に視線を落とす


誰だ、あの人…



ー廊下ー


「ふぅ…あんなんで良かったのかな」


人知れず付いた溜息が廊下に消えていく

提督の真似なんて簡単簡単、なんて思っていたけれど

実際やってみると結構難しい


最後の方はちょっとやり過ぎたかな?

ううん、いつも頑張ってるんだし、ちょっと位いいよね…うん


けど…柔らかかったな…三日月の…


その感触を反芻するように自分の唇に触れる


「ってっ!?ないないない、何考えてんのよっ私はっ」


頭を振って、いつの間にか止まっていた足を再び動かす

アイツがサボってる分、少しくらいやったって損は無いはずだし

皆のためにもなるし、良い事ずくめだし

なにより、動いてないと落ち着かないし…


「いつまで続くんだろ…これ…」


そうして、溜息のような独り言が廊下の曲がり角に消えていった




皐月「三日月?いつまで惚けてるのさ?」

三日月「へ、あ、そ、そうそう望月起こさないとって、あれ?」

皐月「いるわけ無いじゃん…」

三日月「え、なんで…」

皐月「なんでも」




ちょっと前


瑞鳳「まぁぁぁてぇぇぇぇっ!」

卯月「そんな待って欲しかったら、お待ちになってうーちゃん様って百回言って出直してくるぴょんっ!」


ドタバタドタバタ…

そんな擬音を撒き散らして、狭い廊下を走り回ったり、逃げ回ったりの卯月と瑞鳳

別に珍しくもないが、喧しいのはその通りではある


瑞鳳「あんたが先に100回謝れってんだっバカうさぎっ」


廊下の突き当り、曲がり角に消える卯月

その奥から「ぷっぷくぷー」っと、耳障りな鳴き声が聞こえてくる


瑞鳳「あいつはぁ…ほんとにもうっ!」


そもそもなんで追いかけ回してるんだ私は

嫌なら無視すればいいのに…こんな息切らせて

始まりとか切っ掛けとかはもう何処に落としたのかわからない

でも、落とさないように握りしめた目的は一つ

卯月を捕まえて…そう、とりあえずほっぺでも揉みくちゃしてやろう

そうと決まれば後は…


角を曲がる、同時に床を蹴りあげて加速する

顔を上げて、開けた視界に見えるのは卯月の背中のはずだった


瑞鳳「へ、ていとっ!?」

提督「あ…」


そして、何か諦めたような顔の提督と、驚き一杯の瑞鳳がぶつかるのに時間はかからなかった




瑞鳳「いつつ…ごめん、ていと…あれ」


少女が一人、とはいえそれが全速力でぶつかって来れば

二人揃ってもんどり打つのは自然な流れではある

けども問題は、何故私が下になっているのだろう?


瑞鳳「え、なに、これ…」


ぶつかっていったのは私だ、一緒に倒れこんだのも覚えている

けど、それなら上になってるのは私のはずだし

仮に、私が廊下に転がったとしてもそれはお互い様になってるはずで…


提督「ははっ…これは、面白いことになったな」

瑞鳳「?????」


私の上で私の口が動く

当然聞こえてきたのは私の声で、もう意味がわからない


提督「いいから、自分の体みてみ?」

瑞鳳「体って…な…」


自分に言われて自分の体を見る

そんなおかしな状況に首をかしげながらも、しぶしぶ従ってみれば


瑞鳳「な、なによこれぇぇぇぇっ!?」


疑問は一瞬で崩壊した。単純明快だ、愉快なことこの上ない

何の事はない、自分の体が提督の体にすげ変わっている

ああ、そうか、それなら私が押し倒される形になってるのも納得…出来るわけがない


それ以前に意味がわからない、どうしてこうなった


瑞鳳「ちょっと提督っ!何をしたのっ!」


ガバッと起き上がり、そのまま私に…じゃない、提督に掴みかかる


提督「何もは?」

瑞鳳「んなわけあるかっ!?」


肩をすくめてそんな事を言われても

この状況で納得できるわけがない


提督「まぁまぁ、お互い不安定な身の上だし、そういう事もあるでしょ?」

瑞鳳「あるわけ無いでしょうっ!?」


そんな、ぶつかった拍子に心と体が入れ替わるなんて、マンガみたいなこと


提督「現に起きてるんだし?」

瑞鳳「それはっ…だけど、でもだって…だいたいあんたどうしてそんな落ち着いて…」


思うことは腐るほどあるが

何時も通りな提督に釣られて、取り敢えずは溜飲は下がってくる


提督「美少女の体が手に入って、喜ばない奴はいないでしょう?」

瑞鳳「ばかぁぁぁぁっ!?」


りばーすした、溜飲は吐き出すものだと理解した


瑞鳳「良いからっ元にもどしなさいっ!」

提督「むり」

瑞鳳「なんでっ!得意でしょこういうのっ」

提督「自分の体じゃないからね…なんていうか、勝手が分からん」


試してみてもいいが…その場合、どうなるかな?

風を起こしてスカートを捲くるだけのつもりが

すっぱになることもあるかもしれんし…


提督「それでも良いの?」

瑞鳳「うぐ…」


つまり、力加減が出来んと…

確かに、これ以上悪化するのは困るけど…けど…


瑞鳳「治るんでしょうね…これ…」

提督「遅くても2・3日中には…分かるでしょう?」

瑞鳳「分かるって…あぁ…」


詩的に言えば、心が体を求めているって感じになるか

なんとなく、そっちに引っ張られてる感じはあった

これなら確かに、その内に戻りそうな気もするけど…


提督「急ぐなら、もう一度心と体に衝撃をって所だけど…」

瑞鳳「てりゃっ!?」


「いったっ!?」


悲鳴が重なる

突き出されたおでこが触れ合ってしまえば、お互いに頭を抱えるのは必死だった


提督「おま…体が痛いだけだって…」

瑞鳳「もっかいやれば治るって…」

提督「せーのでやっても、びっくりしないでしょよ…」

瑞鳳「むぅ…」


鏡合わせのように、おでこをさすり合う二人


提督「そんな急ぐならちゅーでもするか?」

瑞鳳「っっ!?ば、できるわけ…」

提督「ま、無いわな」


そりゃそうだと、頷き立ち上がる提督

仲良くしてるつもりはあるが、流石にちゅーとなると別だろう

やる方としては良いんだけどね…


提督「ま、どうせ今日明日には治るんだし…」


お互い無難に、瑞鳳と提督の役でもこなしとこうぜ


提督「それじゃ、頑張って」


「て・い・と・く♪」

と、殊更に猫なで声を強調して立ち去っていく提督だった


瑞鳳「変な声を出すなぁぁっ」


瑞鳳の抗議が届く頃には、手だけをひらひらさせて廊下の曲がり角に消える提督


あぁ…もぅ…どうすんのよ、これ


瑞鳳「提督の…」


両手を見つめてみる…筋肉質って事もないけど

流石に、普段見慣れている自分の手よりはちょっと大きいか


立ち上がってみれば、視線が一段上がってちょっと面白い


そのまま、その場でぴょんぴょん飛び跳ねて、くるくる回ってみたりして

そして最後に…


瑞鳳「そういえば…」


気にならないといえば嘘だった

視線を下へ、自分の胸元へ、服を摘んで首元を広げる

その隙間からうっすらと、覗いた自分の体は…


瑞鳳「てっ…」


何やってんのよ私は…


摘んでいた服を戻して、好奇心に蓋をする


瑞鳳「とりあえず…執務室、かな…」


提督の役って言うならそうだろう…


こんな時くらい大人しくしてればっても思うけど

皐月達に変な心配を掛ける必要もないか…

どうせ今日明日の辛抱だし…提督の真似なんて余裕余裕


そうして、瑞鳳と提督の奇妙な一日が始まった


多摩「…」


なんだ、あれは?

提督が廊下の真ん中で跳ねまわっている

さっきの瑞鳳だってそう…珍妙な


妙な一日なりそうだにゃ…

退屈はしそうにないけど




以下

瑞鳳?(←中身、提督

提督?(←中身、瑞鳳



ー母港ー


大鳳「それじゃ、始めるわよ?」

瑞鳳?「おっけ。今日の私は一味違うんだから」

大鳳「そう?それは楽しみね」


大鳳がボウガンを構え、その隣で瑞鳳が弓を引き絞る


日課の演習をサボるわけにもいかないだろうと、見よう見まねで弓を引く


瑞鳳?(意外と…)


なんとかなるものだなと

以前に遊びで借りた時は、自分の頬を弦で打ち据えた事もあったが

やはり、こういうのはある程度体が覚えているらしい


そうして、同時に放たれる艦載機達

直ぐ様編隊を整えると、敵機入り乱れての格闘戦が始まった


瑞鳳?(不味いな…)


妖精さんの練度、それ自体は差があるようには思えない

と言うか、その数の差の中良く良く凌いでるとも思う

しかしジリ貧だな…


大鳳「どうしたの?ひと味違うどころか…味、落ちてない?」


挑発的な笑みを浮かべ、こちらを覗き込んでくる大鳳


瑞鳳?「まぁまって、今からどうにかするから…」


と言ったがどうする…正直ちょっと気持ち悪くなってきた

感覚的に、艦載機が何処で何をしてるのかは分かる…分かってしまう

ただ、慣れてないせいだろう…何かこう、体中を這い回られているような

そんなむず痒い感覚に襲われていた


瑞鳳?(さて、どうする…)


腕は互角、数では負ける、正面からはどうにもならんが

体中を這い回る点に、一個ずつ指示を出していくなんて器用なことは流石に…


瑞鳳?(はぁ…ふ◯ねるを使うのも楽じゃないな)


あぁ、そう言えば…アレがあったか

問題はこの体で動かせるのか、だけど…


提督権限により、各隊へ…打電…えーっと…


・・ー・・(連打 


確かこれで…面白半分で連送なんてつかうんじゃなかったな…


瑞鳳?「お、きたきた…」

大鳳「ん?ト連送って…え…」


瑞鳳につられて振り返ったのは鎮守府の方角

いつもの見慣れた建物と、そしてその上空


最初の印象は白いなって事だった

何時も見慣れているのが烈風の緑色なだけに

しかし、良く良くとその形状を見てみれば


大鳳「ちょっとっ、局地戦闘機って!?あなたっ」

瑞鳳?「さぁ、これで数は互角だぞ大鳳」


驚く大鳳と、ニヤリと笑う瑞鳳の視線が交差する


それから10分と経ったかどうかという後


大鳳「はぁ…はぁ…」

瑞鳳?「はぁ…はぁ…」


肩で息をする二人


上空に残ったのは、僅かばかりに残った烈風の緑色


大鳳「か、勝ったわよ…提督」

瑞鳳?「行けると、思ったんだけど、な…」


提督じゃないよ、瑞鳳だよ、なんて言おうとも思ったが

局地戦闘機なんて引っ張りだしては、そんな言い訳も通らないだろう


大鳳「というか、その格好は何?」

瑞鳳?「似合う?」

大鳳「まあ、瑞鳳は可愛いものね」


似合うも何も、コスプレどころか

見た目は完ぺきに瑞鳳なのだし、後は瑞鳳が可愛いかどうかの話だった


大鳳「で、それは新しい遊びなの?」


困ったようで、呆れたように聞いてくる大鳳

それは、子供の悪戯を見つけた母親のような印象も受けた


瑞鳳?「そういうつもりはなかったが、結果としてそうしてる、かな?」

大鳳「瑞鳳は?」

瑞鳳?「さぁ?そのへんで私の真似っ子してるんじゃない?」

大鳳「そう…あの娘も大変ね」


とは思ったけど…提督のマネって…何をするんだろうって

興味がなくもないけど、今はそれより


大鳳「さて、それじゃ提督?」


そっと、差し出されたのはボーキサイトだった


瑞鳳?「なに?」

大鳳「2回戦…の前に、せっかくだから艦載機の使い方、教えてあげるわ」


そういって、そっと瑞鳳のそばに寄り

そっと、その手を取る大鳳さん

傍から見れば、ちょっと百合っぽくも見えるかもしれない


瑞鳳?「いや、良いって…」

大鳳「何、照れてるの?」

瑞鳳?「そんなんじゃないし…ていうか、バレてるならこれ以上…」


適当に言い繕うとする提督だったが、そこへ一言


大鳳「罰ゲーム」

瑞鳳?「は?」

大鳳「だって、私に負けたでしょう?」

瑞穂?「それは…」


それを言われると確かに、返す言葉は無いが…


大鳳「それとも…嫌なの?私と一緒にいるのは…」

瑞鳳?「うぐ…」


演技だ…それは、なんとなく分かるけど

それでも、寂しそうにそんな事を言われると…どうにもこうにも


瑞鳳?「好きにしろ…」

大鳳「やった♪それじゃ、遠慮無く…」


素直に、子供のように微笑むと

もう詰める程の距離も無いのに、さらに体を寄せてくる大鳳

ともすれば、お互いの吐息や鼓動でさえ伝わってしまいそうな程に


瑞鳳?「近いんだけど…」

大鳳「うん、知ってるわ…」


だって、そうしてるのだもの


少なくても、いま提督の体はどこかをほっつき歩いているらしい

となれば、目の前の提督を独り占めしてても

誰かに文句を言われるわけもないし、途中で邪魔をされる心配も薄いだろう

オマケに罰ゲームだなんて、都合のいい口実も出来たし…完璧ね


瑞鳳?「…大鳳って、結構アレだったのね」

大鳳「そうね、自分でもびっくりだわ…」


そうして、短いながらも提督を独り占めすることに成功した大鳳さん

今日も良い風が吹いていた



ー工廠ー


提督?「~♪」

夕張「…」


提督がまじめに仕事をしている、そんな事実がすでにホラーだと思う


帳票を片手に、さくっと資材の確認をしていく提督

鼻歌なんて混じり始めた頃には、この人そんなに仕事すきだったかな?

と、疑いたくもなるというものだ


夕張「どうしたの?今日はやけに機嫌いいじゃない?」


聞かずにはいられなかったし

そう思った頃には、その言葉が口をついて出ていた


提督?「そうかな?別に普通だけど…」


そんなに変だったろうか?普通に仕事をしていただけなのに…

あ、いや、そうか、三日月の時もそうだったか…

普通に仕事をしているだけで訝しがられるって、あの人は一体なんなのだ


提督?「ま、これでも提督だし、偶にはさ?」


こ、こんな感じかな?あの人ならこれくらい言うかな?


夕張「それが毎日続けばいいのに、ねぇ?」


そう言って、からかうように提督の方を覗きこむ夕張


毎日どころか三日坊主ですら怪しいくせに

早ければ明日には飽きてるはずだ


提督?「そ、そんなに酷い?」

夕張「うん」


恐る恐ると言った問いに、素直に頷いてみせる夕張さん


夕張「ここが軍隊だったら今頃大問題ね?」


言い方を変えれば、上手いこと部下を使っている、といえなくもないが


提督?「あははは…」


軍隊…じゃなかったの?…いや、そうよね

良くて私設武装組織か、武力介入しないだけマシかもしれないけど

提督が提督なせいか、皆割りと好き勝手やってるし…特に卯月とか卯月とか卯月とか

そう言えば前に、規則を守らんで何を守れるのよっなんて言われてたっけか

正論過ぎて涙が出てくる


夕張「ま、でも。それでも良いかなって最近はさ」


呆れるように肩を落とし、そっと息を吐く夕張

別に悪い意味じゃない、それでこの鎮守府は回っているし

それで誰が困ってるわけでもないのだ


軍艦だった名残を引きずっていたら気になることも多々あるが

そうでなければ、そんなものだろうと


提督?「馴れたの?」

夕張「そうね」


だって、あなたが帳票片手にしているとむず痒くなるんだもの

いつもは「どうよ?」の一言で片付けるくせに


提督?「ねぇ、夕張…」

夕張「んー?」

提督?「私ももう少し働いたほうが…なんてーそのー」


私が聞く意味もないけどこの際だ

提督に現場の声を届けてみてもいいだろうと、さり気なく聞いてみるも


夕張「いらない」


バッサリだった


提督?「えー…」


流石にちょっとショック、かも?


夕張「だいたい、あなたが此処にいて何が出来るってのよ?」


資材の管理なら、妖精さんで事が足りるし

艤装の整備なら私がやればいいし…


提督?「む…それは、そうっ夕張さんの遊び相手とかっ」


さ、さすがに強引過ぎたか…でも、提督ならこのくらい言いそうだし…


夕張「いらない」


バッサリだった


提督?「えー…」


ちょっとショックだった


夕張「ていうか、私に気を使う暇があるならさ…」


提督の肩に手をかけて、後ろを向かせる


提督?「え、ちょっと?」

夕張「あなたの一番の仕事は、皐月達の遊び相手でしょ?」


そして、出口に向かってぽんっと、その背中を押しだした




夕張「何だったのかしら…あれ?」


そうやって提督を送り出したは良いが、疑念は付きなかった


夕張「ま、いっかっ」


どうせいつもの気まぐれだろう

新しい遊びか何かだ。ほんとに、子供なんだから…


取り敢えず、大人なお姉さんは資材の確認をー…


夕張「あーそっか、終わってたか…」


確認済みの帳票をヒラヒラさせて見た所で、戻ってくる仕事はなく

手持ち無沙汰を絵に描いたようだった


夕張「ああ、もうっ。調子狂うなぁ…」


もしかして、こうやって困らせるのが目的だったり…


「ほんとにもう…あの人は…」



ー母港ー


「なーがーつーきー」


なんて声が母港に響く


長月「なっ、瑞鳳っ…」

瑞鳳?「えへへ、おかえりなさーい♪菊月もー」

菊月「あ、ああ…ただい、ま…」


右手に長月、左手に菊月と両手に月といった具合に

瑞鳳に後ろから抱きしめられた二人が、その腕の中にすっぽり収まっていた


姉妹たちや司令官になら、別に驚きもしないが

今回は瑞鳳だ、予想外といえば予想外で、流石の菊月も反応に困って見える


瑞鳳?「あれ、長月は「ただいまっ」って言ってくれないの?」

長月「妙な声を出すんじゃないよっ!」


そんな黄色い声なんて出したこと無いぞ


瑞鳳?「そんな黙れだなんて、瑞鳳流石に傷ついちゃうなぁ…」

長月「…いや、そうは言ってないだろう…」

瑞鳳?「え、もっと私の声聞きたいのっ!」

長月「そこまでも言ってないよっ!」


当たり前のようないつものやり取り、息を吸う様に交わされる言葉

相手が瑞鳳だという点を除けば日常だ…だが、その一点だけが強烈な違和感を放っていた


木曾「お前は…何をバカやってるんだ?」


大鳳にでも負けて妙な罰ゲームでも貰ったのか?


なんて疑問も浮かびはするが

とりあえず瑞鳳の首根っこを捕まえて二人から引き剥がす木曾さん


瑞鳳?「おっとっと。木曾さんも、おかえりなさいっ」


くるっと木曾の方へ振り返る瑞鳳

そして、その可愛らしい顔つきで満面の笑みで迎えてみせた


木曾「あ、ぁぁ…ただいま…」

瑞鳳?「大丈夫?怪我とかしてない?」

木曾「ちょっ、おい…」


不安そうに、心配そうに、そっと木曾の頬に手を伸ばす瑞鳳


瑞鳳?「かお、赤いね…疲れちゃった?お風呂行こっか?」

木曾「いや、良いって…このくらい…は…」


瑞鳳の手が頬に触れると、殊更に顔を赤くして逃げるように一歩後ずさる木曾


正直、笑いそうだった

そうだな、瑞鳳がこんなことするわけ無いからな

反応に困るのはそうだろう、けど…

身内に心配されて、悪い気がする奴はいないだろう

オマケに瑞鳳は可愛いし…ふふふふふふ…


この後滅茶苦茶調子に乗った


瑞鳳?「良くないよ…私、木曾さんが怪我してるの嫌だもん…」


瞳を伏せ、目尻に涙をためて、肩を震わせてみせる

多少大げさではあるが、こういう時はそれくらいのほうが分かりやすいものだ


木曾「はぁっ!?いや、かすり傷だって、別に入渠するほどじゃ…」


本人の申告通り、その腕に、綺麗な肌に線を引くように赤が差してはいる

けれど、滲んだ血も既に止まり、今すぐ入渠かって言われれば、そうでもないのは明白だった


瑞鳳?「…瑞鳳のお願いは、聞いてくれない?」


そろそろトドメかと、声のトーンを一段下げて、寂しそうにそう問いかけた


木曾「ぁ…ぁぁぁ、もうっ、わかった、いくよ、行けばいいんだろっ」


根負けした、そこは認めるしか無かった

言い訳をするのなら、仲間にへんな心配を掛ける必要もないだろうし

それが風呂一つで解消できるなら仕方がないと思わなくもない


だが、今日のコイツは何なのだ

普段はもう少しサバサバしてたろうに…

なんで今日に限って、そんな愛らしく振る舞ってんだ…


瑞鳳?「やった♪」


さっきまでの寂しそうな雰囲気は何処へやら

一転して、顔を綻ばせると木曾の手を取る瑞鳳


瑞鳳?「さっ、はやくはやく♪」

木曾「お、おいっ、引っ張るなって…」


いやに可愛らしく振る舞う瑞鳳に、戸惑いがちに連行されていく木曾さん


菊月「…」

長月「…」


そして、そんな光景を見送る二人


菊月「ふむ…」


正直、状況はわからない

変な瑞鳳に、木曾が攫われた、絵面だけならこれで正解だが

なんというか、そうだな…


菊月「司令官みたいだったな」

長月「ん?あ、ぁぁ…そうだな」


そう、確かにあの瑞鳳を司令官に置き換えれば

全て丸く収まる光景だった

しかし、少なくとも、あの姿は間違いなく瑞鳳のもので…


菊月「案外と、化けていたりしてな」

長月「そんな…」


まさかと言いたかったが、やりかねんというのが正直な所だ

だが…なんでそこで瑞鳳?という疑問が代りに浮かぶが


長月「はぁ…まったくあいつは。いくぞ、菊月」

菊月「ん?あ、あぁ…」


くるりと踵を返す長月、その後をとっとこ菊月が付いて行く


とりあえず本人を探しだす

見つからなければ、案外と菊月の言うことが合ってるかもしれんし

あるいは瑞鳳の方か…風呂場以外にいればビンゴだろう


長月「ぁ…」

菊月「?」


風呂場に、木曾とか…急ぐか…




木曾「何でお前まで」

瑞鳳?「良いじゃない?偶には?」

木曾「はぁ…もう、勝手にしろよ…」

瑞鳳?「やったっ♪」



ー廊下ー


「てーいーとーくー」


廊下に響くのはそんな声で

それに続いて、ぱたぱたと可愛らしい足音も聞こえてくる


提督?「あ、睦月…」


えーっと、こういう時は確かそう、両手を広げてー


そうして、駆け寄ってくる睦月を抱きとめる体勢をとるけども


睦月「っ!?」

提督?「へっ…」


ドンッと、床に足を叩きつけて急停止する睦月

同時に抱きしめようとしていた提督の手が空を切った


睦月「提督…だよね?」


そう、見た目はそうだ、完ぺきだ、間違いないと言っていい

けど、けれども、睦月の本能が叫んでいた…提督じゃないやつだって


提督?「そりゃ…」


訝しげに見上げてくる視線に曖昧に頷いてみせる


如月「もう、睦月ちゃん急に走りだしたら危ないわよ?」


口を尖らせてみせるが、それが聞き入れらた事はあんまり無かったりする


睦月「如月ちゃんっ、提督だよねっ?」


びしっと、提督に指を突きつけてみせる睦月


如月「えぇ、そりゃ…ねぇ?」


状況が分からず、伺うように提督に視線を向ける如月


提督?「うんうん」


それに対して、どうにかしてと、視線を返す提督


睦月「んー…んんん?」


が、そんなことで到底納得できる違和感ではなかった

くるくると提督の周りを回って、その正体を確かめようとする睦月


提督?「あのぉ…睦月?私、仕事あるから…」

如月「え?」

睦月「なんと…」


それには流石に如月も耳を疑った

サボりはしても、優先することは滅多にないのに…

むしろ、そうせざるを得ないということは余程の厄介事でも合ったのかと


如月「何かあったの?出撃かしら?」


すっと、顔を引き締めて次の言葉を待つ如月


提督?「え、あ…」


まずった、そう思った時には既に遅い

お仕事モードに入る如月と、さらに疑念を深めていく睦月との板挟みの出来上がりだ


提督?「ち、ちがうちがう…えーっと、そう…」


ああ、そうだっ、たしか夕張が…


提督?「ほ、ほらっ、貴女達と遊ぶのが私の仕事だし…な、なんちゃって?」


苦しいか…流石に…


如月「もう、脅かさないでよ…それで?今度は誰に悪戯する気だったの?」


肩から力を抜き、いつもの調子に戻る如月

その様子を見てほっと胸をなでおろす


提督?「ないしょよ、ないしょ」


そうやって、曖昧に誤魔化してこの場を切り抜けるつもりでは合った

「程々にしてね?」なんて、如月に困ったように笑われてお開きの予定だったのに


睦月「じゃあ睦月にやってっ!」

提督?「は?」

如月「へ?」


その言葉に耳を疑う二人


睦月「は?でも、へ?でも無いよっ、睦月にやってってっ!」


そうして、さぁっ!と両手を広げノーガードの構えを見せる睦月


提督?「いや、いやいやいやいや…ちょっとまってってっ」

睦月「またぬっ!据え膳だぞ提督よっ!今ならスカートめくり放題だしっ!」


マジ、なんだろう。ああ、きっと、大真面目にそう言っている

真っ直ぐに射抜いてくる瞳がそう告げていた


如月「すとっぷっすとっぷっ!睦月ってばちょっと落ち着いてってっ!」


慌てて如月が、後ろから睦月を抱きしめて抑えこむも

こんどはその中でジタバタともがき始める


睦月「だってだってっ!てーいーとーくーがー」

如月「ちょっと、睦月ちゃん…」


落ち着けなどと言われても、到底出来るものではない

提督の姿をした提督じゃない奴がいる、その気味の悪さは到底許容できるものじゃなかった

なんでも良いからボロの皮を剥いで、正体を突き止めねば気がすまなかった


如月「ご、ごめんなさい司令官…ちょっと、この娘落ち着かせてくるから」

提督?「あ、うん…それじゃ、わたしも…」


手伝おうか?そうは思ったが逆効果だろうと思い直し

取り敢えずは睦月から離れた方が良いかと踵を返す提督だった




提督?「はぁ…びっくりした…」


どうしてバレたのか…抱き方が悪かった?

いやいや、抱きしめる前に避けてたよね?あの娘…


でも、ちょっと悪いことしたかな…

私が悪いわけじゃ決して無いのは分かるけど…

睦月があんな風に駄々こねるのはちょっと…


はぁ…早いとこ元に戻らないと

でも…ちゅーって…


提督?「いやいやいや…ほっときゃ治るんだから、我慢我慢」


落ち着け私、それはきっと気の迷いだから…




睦月「むっすぅぅぅ…」


むくれていた。落ち着きはしたが、非常にむくれているのが誰にだって分かる程だ


如月「ほんとに、どうしたのよ?」

睦月「どうもしないよっ!如月ちゃんこそ何で分かんないのっ!」

如月「でも…」


そうは言われても、あれは確かに司令官で…

仕事がどうこう言い出した時は流石にとは思ったけど…けど、そんな、ねえ?

仮に別人だとしても、あの人に化けて何をどうするというのか


睦月「もう良いもんっ!」


ふいっと如月から顔を背ける睦月

そして、すぅっと大きく行きを吸い込むと


睦月「てぇぇぇいぃぃぃぃとぉぉぉくぅぅぅぅぅっ!」

如月「ちょっ、睦月ちゃん?」


突然、叫びだす睦月

びっくりした如月が、反射的に耳を塞いでしまう程だった


睦月の声が響く、広がって、広がって…


一時の静寂。ガラスを割った直後のような

ほんのちょっぴりの空白の時間


そうして、巡り巡ったその声は睦月の耳に戻ってきた


さっと周囲を見渡す

耳に届いた音の中、雑音と雑音のその隙間


睦月「こっちかっ!」


睦月の首が一点で止まると、一気に走りだした


如月「あ、ちょっと…もぅ…」


何処に行くって…それはきっと司令官の所だろう

というか、なによあれ…探信儀でも積んでるのかしら、司令官専用の…


如月「ちょっと欲しい…けど…」


けど今は…と、そんな独り言を置き去りにして、睦月の後を追う如月だった



ーキッチンー


文月「ねー、ずいほー?」

瑞鳳?「んー?」


瑞鳳の前には黄色く染まったフライパン

それを覗き込もうと、ちょっと背伸びをしてみる文月


文月「スクランブルエッグって知ってる?」

瑞鳳?「…」


時刻はお昼時

此処は瑞鳳らしく、卵焼きでも作ってみようとしたのだが

出来上がりそうなのは文月が言ってる通りである


瑞鳳?「まだよ文月…ここはこうすれば…」


多少ぐちゃぐちゃになった所で、ちょっと寄せてそれっぽく固めてしまえば何とか…


文月「オムレツだ…」

瑞鳳?「…」


じゅぅっと卵の焼ける音

じわっと広がるバターの香り

それは紛れも無く洋食のそれであり

玉子焼きと言い訳するよか余程見栄えが良かった


瑞鳳?「た、たまにはね…オムレツでもってさ?」

文月「うんうん、わかるわかる、次頑張ろうね」


そんな慰めの言葉と、不意に背中をぽんぽんと叩かれた


文月「…?」


ちょっとした違和感ではあった

誰も気にしない程度の反応ではある

けども…瑞鳳の背中に触れた時の感触

びっくりしたように、逃げるように、震えたその背中


瑞鳳?「どしたの?急に黙りこんで?」


急に静かになった文月が気になって

様子を伺ってみれば、考えこむように小首を傾げていた


文月「んーん」


「なんでもなーい」と、首をふる文月ではあったが

そこに「ただね?」と付け加えると


文月「何してるの司令官?」

瑞鳳?「…」


何を言い出すかと思えば…何故バレた…


瑞鳳?「…なにをいってるのかわからないなー…」


どう見ても瑞鳳じゃん?


文月「なにをいっているのかわからないなー…」


どうみても司令官じゃん?


瑞鳳?「…どうして?」


しばしの間、お互いに牽制するように横目で見つめ合った後

結局、折れたのはこっちだった

その沈黙に耐え切れずに口をついて出たのは


「どうしてバレたの?」


文月「ん?だって、司令官。卵焼くとバター入れたくなるでしょ?」


それに「ずいほーは卵焼き失敗しないし」

なんて言葉を続けられてはもう返す言葉はなかった


瑞鳳?「でも、それだけで分かるもの?」


たまたまバター入れたとか、たまたまミスったとかあるじゃない?


文月「…」


そこで、少し悩む素振りを見せる文月

それから、言うか、言わずか、まあ良いかと、口を開いた


「癖になってるでしょ?」


そして、唐突に、前触れもなく、ぎゅっと抱きついてきた


瑞鳳?「ふ、ふみづき?」

文月「ほらね?」


見上げてくる文月の笑顔

しかし、彼女の言わんとする所がイマイチピンとこない


文月「わかんない?」

瑞鳳?「わかんない」


それを聞くと、しょうがないなぁっと肩をすくめて


文月「あたし達でもさ、急に触ると、ちょっと引くよね?司令官…」


…人見知り、は置いといても…文月達にはとうに馴れたつもりだったけど


瑞鳳?「…まじ?」

文月「マジ」


やっぱり気づいてなかったーっと


瑞鳳?「それは…ごめん」

文月「いいんだよー」


そう言って、柔らかい笑みを見せる文月だったが

直ぐに真面目な表情を取り戻し


文月「それよりも、焦げてる?」

瑞鳳?「あ、焦げてる…」


そうして、多少香ばしくなったオムレツのような何かが完成した



ー食堂ー


北上「あれ…瑞鳳じゃん…」


何気なく開いた食堂の扉

それは時刻的なものでもあったし

話し相手に誰かしらいるだろうと言う期待みたいなものもあった


けれど扉の向こう側の光景に、ピタリと足が止まってしまった


珍しい…と、思う

もちろん、望月が食堂にいるのが、ではなく

その望月の隣りにいるのが瑞鳳という点にだ


いつも誰かしら隣にいる娘ではある

主に三日月だったり、提督だったりするけれど

瑞鳳と一緒というのもレアな組み合わせだった


いや、それだけなら たまたまの一言で済んだのだけど


瑞鳳を挟んで更にその隣には文月がくっついてるし…


北上(…なんだこれ?)


大井「どうしたの?北上さん?」

北上「ああ、いや…なんでもないよん」


後ろから訝しがる大井の声に押されて

とりあえずはと食堂へと入る


北上「へーい瑞鳳。今日はもてもてじゃん?」


両手に華ってやつだね


瑞鳳?「ふふーん。羨ましいでしょー?」

北上「おぅ…」


それはまた珍妙な返答だった

何時もだったら「そんなんじゃないっての」だとか言いそうなのに


大井「それじゃ北上さん、今日は私が…」


「はいっ」と続く言葉を遮って、瑞鳳が勢いよく手を挙げる


瑞鳳?「私のも作ってっ!」

大井「私のもって…あなた、自分の…」


そこではたと気づく

瑞鳳の前に置かれたお皿の上


大井「…卵焼き、じゃないわね…」


なにか焦げ始めた卵の塊のような…


文月「オムレツだよっ!」

瑞鳳?「オムレツだよっ!」


先に何かを言われる前に、ノリと勢いで誤魔化そうとする二人だった


大井「二人で言わないでいいから…あと…」


「オムレツ舐めんな…」


瑞鳳?「じゃー大井さんが作ってよー」


パタパタと机を叩きながら駄々を捏ね始める瑞鳳


大井「…はぁ」


子供か…そんなセリフは溜息とともに吐き出しておく

このままヘタに付き合うよりも、オムレツの一つでも作った方が早そうだ


大井「北上さん?」


とはいえだ、一応主賓の意向も伺うべきかと話を振っては見たものの


北上「ん?あぁ…あたしは大井っちが作ってくれるんなら何でもいいよ?」

大井「はぁ…」


これだもの…なんでも良いが一番困るのよ…


大井「いいわ…それじゃ、少し待ってなさいな」


「はーい」と、文月と瑞鳳の声が重なった


大井(まったく、返事だけは上手なんだから…)


しかし…と、キッチンに向かう道すがら首を傾げる

何かこう、提督の相手をしていたような…


大井「まさかね…」


とは思う、というか思いたい

家の提督、コスプレの趣味あるんですよーなんてのは…




北上「時に望月さんや?」

望月「なんだい北上様や?」


よっこいせと、望月の隣に腰を下ろす北上


北上「今日は提督と一緒じゃないの?」


そりゃ、望月だって四六時中提督と一緒というわけでもないが

何をするでもなく、瑞鳳の隣に鎮座してるというのは気にはなる


望月「いるじゃん?そこに?」


腕枕に伏せっていた顔を上げ、視線だけをそちらへ、瑞鳳へと向ける望月


北上「またまたー」


どうみたって瑞鳳じゃんっと、望月を突っつく北上様


望月「ふふっ…」


知らずに笑みが零れていた。ま、そうなるか…

積極的に瑞鳳の真似をしてるわけでもないし、分かりそうなものだけど

まあ、でも…悪い気はしなかった


北上「え…まじなん?」


意味ありげなその微笑みに、疑惑が確信へと傾いていく

見た目はどうみたって瑞鳳だ。しかし、提督だと言われれば納得できる行動ではある


北上「むぅ…」

望月「にひひひひ…」


唸る北上様の隣でニヤつく望月

それはきっと、ちょっとした優越感といった類のものだった


「北上さん?」


北上「ん?あぁ…」


不意の大井の呼びかけに、はたと顔をあげる

「それでいい?」といった感じの呼びかけに、そんな感じの話題をしてたかと


北上「大井っちが作ってくれるんなら何でもいいよ?」


その返事に肩を落として頷く大井

そうしてみれば文月と一緒に「はーい」と元気な声が上がる


望月「な?」


言ったとおりだろ?と、なにか勝利を確信したような望月


北上「そう、そうねぇ…」


しかし、と首をひねる北上様

あの瑞鳳が提督だとして、どうしてこうなった?


それを望月に聞いてみたところで、返事は「さぁ?」と、そっけないものだった

あら冷たい 。何て思いもしたが、いつも通りなその反応はそうではないと語っていた


北上「あぁ…そういう…」


何の事はない

提督がいるなら別に何でもいい、彼女はきっとそう結論したのだろう

戻れないと嘆いてるわけでもなく、瑞鳳の格好で遊んでる分には何も問題はないと

あとは自分が近くに居れば、日常の出来上がりだって


望月「なにさ?」


何を一人で勝手に納得してるのかと


北上「んや、あんたも好きねぇってさ」


誰をとも何をとも言わないけれど


望月「いいじゃんか、別に…」


ふいっと、北上から顔を背ける望月

気恥ずかしかったのか、覗き込んだその横顔は少し赤くなっていた


北上「むふふふふ…。可愛いのぅ、うりうりうり」


ワシャワシャと、提督が睦月にやるように

雑に頭を撫でくり回す北上様


望月「やーめーろーよー」


こそばゆいのか、うっとうしいのか、多分両方だろうけど

それから逃げようと望月が首を振っていると


バンっと、食堂の扉が勢い良く開く


睦月「見つけたぞっ提督っ!」


ざっと食堂の中を一瞥すると、一目散に瑞鳳の所へ駈け出した


北上「…」


机を避けるのも煩わしいと、広い机の上に飛び乗りペンギン見たいに滑っていく睦月

文月がすんでの所で、オムレツ?が乗っかった皿を退かすと

滑り込んできた睦月が遠慮なしに瑞鳳に抱きついた

わふわふもふもふ と、尻尾でもあれば千切れんばかりに振ってたろうか


北上「…え、なに?みんな分かるものなのかい?」


飛び込んできた睦月が、駆け出すまでに一秒と掛かってなかったはず

その中身は提督だと、疑うことすら無かったはずだ


望月「基本じゃね?」


とは言うが、初見で分かりそうなのは

あとは球磨と皐月くらいのものだろうけど


北上「そう…そっかぁ…」


一言、今の気持ちを言い表すならば

ぞっこんか、君らは…


そして後もう一つ、悔しい…かねぇ

ぜんっぜんっ分からんかった…

いやでもこれはきっと、ヤキモチか…うん




睦月「大井さんっ睦月のもっ」

大井「増えてるし…」



ー廊下ー


夜もふけ、そろそろ深夜と言ってもいい時間


球磨「くっくっ、くまくま~いぇぇ♪」


風呂場兼入居施設へと続く廊下を、球磨が鼻歌交じりに歩いていた

風呂あがりなのだろう、上気して赤らんでいる白い肌

適当に帯を締めているせいで、白い浴衣が所々開けかかっている


とはいえ、それを気にする様子もなく

どちらかと言えば「見られて困るものでもないクマ」といった具合に

鼻歌交じりに、濡れた髪をわしゃわしゃとタオルで拭いていた


提督?「あ、球磨さん」

球磨「クマ?」


球磨…さん、ねぇ…提督は球磨にさん付けなんかしないが…とか思わなくもないが

とうの昔にネタバレはしているのだ、取り敢えずは黙っておこう


提督?「あ、もしかしてまだ誰か入ってる?」


中身はどうあれ、体はこんなんだし

誰もいなさそうな時間を選んできたつもりだったけど

後にした方が良かったかな…


球磨「くっくっくっ…」

提督?「なによ…急に笑い出して…」

球磨「いや…今は瑞鳳と多摩が入ってるクマ」

提督?「っ!?」


途端、だっと駆け出す瑞鳳

瑞鳳が風呂に、瑞鳳が風呂に、瑞鳳が…


提督?「ちょっとまてぇぇぇっ!!」

球磨「くまくまくまくまくま♪」


ああ、これは楽しみだ

この後はきっと痴話喧嘩が始まるクマ


「くっくっ、くまくま~いぇぇ♪」


そして、再開された鼻歌とともに食堂へ歩いて行く球磨

とりあえず、飲むものでも取ってこようと…



ー風呂場ー


ぽーんっと、広い風呂場に無駄に設置された鹿威しが音を鳴らしている

それ自体は風流ではあるものの、室内のお風呂ではその感動も半減するか


瑞鳳?「ねぇ、たまちゃーん?」

多摩「にゃ?」


肩までお湯に浸かり、だらしなく伸びている二人


瑞鳳?「こいばな しよう、こいばな」

多摩「…何をメルヘンなこと言ってるにゃ…」


中学生かって…それに、対象範囲が狭すぎて話ならんて


瑞鳳?「実は木曾さんの事が大好きなのっ。とかないの?」

多摩「ねーよ」


少なくても、恋愛感情的な大好きを感じたことは


多摩「というか、瑞鳳に変な属性を追加していくのはやめるにゃ」

瑞鳳?「あはははは。ま、減るもんでもないし?」

多摩「だから、増やすなと言うに」


誰かに聞かれてたら事だぞ…


瑞鳳?「そいや今日一日、瑞鳳はどうだった?」

多摩「どーもこーも。真面目な提督とか、鳥肌モノだったにゃ」

瑞鳳?「つまりこれからは、私は堂々とサボっていいと」

多摩「アホか」

瑞鳳?「でも、三日月とかやることないーとか言って困ってなかったか?」

多摩「あぁ…三日月は…そうだろうにゃ」


だからといって、提督がサボっていい理由にもならんが

あんまり突っつきすぎると、多摩がサボれなくなるからスルーしておく


瑞鳳?「あははは。目に浮かぶようだねぇ…ふぅ…」

多摩「満足したにゃ?」

瑞鳳?「ん、そうだな…」

多摩「そうか」


ぽーんっと、区切りを付けるように鹿威しが音を響かせる


瑞鳳?「さて、それじゃ先に上がるよ」

多摩「にゃ、おつかれ…」

瑞鳳?「あいあい。のぼせるなよー」

多摩「にゃ」



ー脱衣所ー


瑞鳳?「ふぅ…」


ペタペタと、濡れた肌をタオルで拭いていく

上から下へ、肩から腕へ、胸からお腹へ、太もも、ふくらはぎ、つま先にと

柔らかい肌を、白いタオルがゆっくりとゆっくりと撫でていく


ふと、鏡に映る自分と目があった

なる程どうして、こうしてみるとしっかりと女の子をしている

卯月に散々からかわれているが

結局アレは、反応している瑞鳳を見るのが楽しいのだろう、私にも覚えがある


白いタオルが首筋から、胸元へと流れていく

確かに小さめでは合ったが、しっかりと流線を描いているそれは

触れてみれば、しっとりと柔らかい


そのまま、さらにその下、お腹へと進んでいく

筋肉で強張ることもなく、もっちりと柔らかいお腹

控えめながらも広がっていく腰のくびれは、胸とはまた違った魅力があった


そして、小さめのお尻を撫でて太ももへ、スラリと伸びる白い足へ

華奢だなと、思う。腕なんてもっとそうだ

こんな時でなければ、素直に愛らしいとも言えたのに

この小さな体を張って戦場に立っているのかと思うと…


瑞鳳?「しかし…エロいな」


再び鏡の中の自分へと視線を移す

一糸まとわぬその姿、上気した肌がさらに扇情的に見せてくる

なんだかんだ言っても女の子だな


瑞鳳?「さて…」


いい加減着替えようかと言った所で


「ちょっとまてぇぇぇっ!!」


瑞鳳?「お、来たか…」


意外と遅かったかな?




提督?「ちょっとあんたっ!」


脱衣所の扉が、弾け飛びそうな勢いで開かれると

勢い余った提督が、脱衣所の中に飛び込んでくる


瑞鳳?「やん♪提督のえっちぃ」


わざとらしく両手で体を抱いて、背中を向ける瑞鳳


提督?「やかましいわっ!」


だが、提督の方は冗談に付き合う気は無いらしく

一足飛ばしに距離を詰めてきた


提督?「あんたっ、一体何をやってっ!」

瑞鳳?「風呂」

提督?「そうだけどっ!そ、それっ、わたしのっ、からだっ!」


わなわなと震える声で、ふわふわと揺れる指先を突きつけてくる提督


瑞鳳?「ん?ああ…綺麗な体だね?」


卯月が散々からかうから、どんなものかと思えば

私は好きだよ?こういうの?


提督?「き、きれ…じゃなーくーてーっ!」


褒められた事自体は悪い気はしなかったのだろう

一瞬顔を赤くするものの、すぐに地団駄を踏み直す


提督?「なんでっ!」

瑞鳳?「風呂くらい入らせろって」

提督?「みたのっ!」

瑞鳳?「見えるだろうそりゃ」

提督?「ばかなのっ!」

瑞鳳?「知ってる…だけど」


風呂場で裸になって何が悪い?


瑞鳳?「大体、瑞鳳だって風呂に来たんだろう?」


少なくとも、タオルに着替えと手持ちの荷物は入る気まんまんだ


提督?「え、あ…そう、だった…」


忘れてた…と、頭を抱える提督

日常って怖い、今の今まで普通に入ろうとしていたのだ

下手をしたら、服を脱いで…それで…


瑞鳳?「お互い様だな」

提督?「私は見たくなんか無かったもんっ!」

瑞鳳?「私は見たかったぞ?」

提督?「丸損じゃないっ私だけっ!」


失敗した失敗した失敗した…

先に釘を刺しとくんだった

目隠しして無理やりやってしまうべきだった…って


提督?「できるかーっ!」


ソレじゃ混浴じゃないのっ!

しかも片方目隠ししてって、どういう状況よっ!


瑞鳳?「今日の瑞鳳は面白いな」


ニヤニヤが止まらない

一人で百面相始めるなんて、なかなか高度なテクニックだ


提督?「あぁぁっもうっ」


今日は厄日だわ…いや、下手すりゃ明日だってこのままだ

かくなる上は…


提督?「提督っ」


手の届く距離から、肌が触れ合う距離まで

ずいっと、更に一歩踏み込んでくる提督


瑞鳳?「なに…」


突然埋められた距離に、たじろぐように半身を引く瑞鳳

しかしその後ろ、すぐに洗面台に通せんぼされて逃げ道がなくなった


提督?「き、キスすれば…戻るって、ほんとなの…よね?」

瑞鳳?「理論上は…」


とはいえ、机上の空論でしかないけど


提督?「…の、ノーカンだから…人工呼吸みたいなものよ…不可抗力よ…いい?」

瑞鳳?「ちょ、ちょっと…」


目をぐるぐる回しながら、どんどんと距離を詰めてくる提督

明らかに自棄っぱちだった

とてもじゃないが、今からキスシーンとは思えない


勢いに押された瑞鳳が、逃げようと体を逸らすが

後なんて既に無く、そろそろ洗面台と平行線が描けそうになっていた


瑞鳳?「れ、冷静に…」

提督?「私は冷静よ…そう、クールだわ…」

瑞鳳?「ゆで卵みたいな顔しておいてっ」


湯気吹き出しといて、何処をどう見たら冷静にみえるんだって


提督?「あんただって何が不満だってのよっ」


何時も平気でやってることじゃないっ、今更御託を並べるなってのっ

というか私じゃ不満かっ


瑞鳳?「相手が自分の顔してるのがじつに嫌なんだよっ」

提督?「お互い様でしょっ」


どんどんと狭まっていく二人の距離

どんどんと高鳴っていく鼓動

言い合いを続けていると、お互いの吐息が掛かってこそばゆい


あと少し、ほんの少し、もう少し


唇と唇が触れ合うまでのわずかな間


がたっ…


その物音に、二人の動きが止まる


そして思い出す

此処がどういう場所で、自分たちがどういう格好で、どういう態勢なのかを


それが風呂場からならまだ良かったかも知れない

入っているのは多摩ちゃんだ

見つかった所で、一瞥された後スルーされるだろう


しかし、音源は風呂場ではなくその反対側

気配がするのは その入口の方

誰かいる、誰かに見られている、振り向きたい、けど…


提督?「…」


恐る恐ると言った具合に

ゆっくりと、立て付けの悪いネジ巻き見たく振り返る提督


ゆー「…」


目があった、その青い瞳と

白い肌に、薄い金髪も相まって、何処か青ざめているようにも見える

お互いに言葉はなく、しばし見つめ合う


提督?「あ、あのね ゆーちゃん、これはその…ちがうのよ?」


言い訳にすらならない上に、何が違うのか問いたくなるようなその言葉

それがいけなかったのだろう、止まっていた時間が動き出すみたいに

ゆーの小さな体がカタカタと震え始めると


ゆー「あlskdhf;ぁskdjふぁlsdjfっ!!!!」


何を言っているのか分からない、多分ドイツ語だろう

ただ、なんか怒られてるのは確かだった


瑞鳳?「わかる?」

提督?「いや、流石に…」


あんな早口に捲し立てられたら、ちょっと…


青い瞳に涙を滲ませ、白い肌は耳の先まで真っ赤になっている

突きつけられた指先は、体と一緒にフラフラ揺れてさえもいる


弥生が何か吹き込んだのかと、疑う気持ちもなくはないが


改めてしまえば

裸の瑞鳳と、それに顔を寄せる提督

こんな絵面、誰がどうみたってアウトだろう

仮にセーフだったとしても、時間と場所をと問われるのは必死だ


「もうっ、バカッ、アホっ、おたんこなすっ、しりませんってっ」

ようやっと聞き取れたと思ったら、随分と可愛らしい罵倒をされていたことに気づいた


だが、気付いた所でもう遅い

言いたいだけ言い終わると、踵を返して走り去っていく ゆー

残されたのは瑞鳳と提督


そして、入れ替わるように


「てーいーとーくーっ、なーにやってるのっ!」


瑞鳳?「あははははっ、一番うるさいのが来たぞ」

提督?「笑い事かっての…」


どうせなら大鳳さんのが良かったなぁ…

と、一瞬思いもしたが…けどまって

あの娘はあの娘で、怒らせると、笑顔で話し聞いてくれそうにないのよね…

それなら確かに、一番うるさい方がマシといえばそうかもしれない

けど、そんな事はどうだっていいの、今は重要じゃない、だって…


提督?「良いから服来てよ…」


自分の素肌とはいえ…いや、自分の素肌な分か

正気に戻ってみれば、いい加減に気恥ずかしかった



ー食堂ー


金剛「提督っ!どういうことなのっ!」


バンっとテーブルを叩いて抗議の声を上げる金剛

その傍らには、金剛の陰に隠れて様子を伺っている ゆー

床には瑞鳳と二人で正座させられている提督の姿


提督?「あのね、金剛さん…落ち着いて、これには深いわけが」

金剛「深いっ!?深いって何っ!?何がっ、愛がっ!?ハレンチだよっ!」

瑞鳳?「…」


その発想のほうがハレンチだと思うけど、ややこしくなりそうなのでお口にチャック


提督?「あ、愛とか言わないでよ…そんなんじゃないんだから…」


そっと頬を染める提督、気恥ずかしそうに体を揺らして見せれば

これが瑞鳳の体であれば可愛らしくも合ったけど…現状、気味が悪いだけだった


金剛「じゃあどんなだっていうのっ!裸で抱き合ってたんでしょっ!」

提督?「そ、それは…でも、事故みたいなもので、良くあるでしょ?ぶつかった拍子にって…」

金剛「あってたまるかーっ!!」


ごもっともである


金剛「だとしてもっ!そうだとしてもーっ!」


裸の瑞鳳にぶつかるような距離まで近づいてっ

何をしようってんですかっ!


提督?「そ、それは…」


それはそう…と、意外とまっとうな意見に口を閉ざすしか無かった


提督?(ちょっと、提督…)


助けを求めようと、瑞鳳の方に視線を向けはするものの


瑞鳳?(…ふふっ)


ニヤついてるバカが一人、使えない事この上ない


金剛「ねぇ…提督、どうして?どうしてなの?」

提督?「え、あ、あれ…いや、その…」


騒ぎ立てていたと思ったら、一転して声のトーンを落とす金剛

涙声にも聞こえるそれは、下手に問いつめられるより心に刺さるものがある


提督?「いや、まって、ほんとに」


不味い、マズイまずい…

此処で泣かれたらそれこそ洒落にならない

かと言って、ネタばらしして信じてもらえるのか…

下手な嘘だと思われて余計に傷つけでもしたら…


提督?「ちがうから、ほんとに…」


しかし、金剛の様子に慌てふためく瑞鳳の頭では

中身の無い言い訳に口が滑るばかりだった


金剛「いいの…もう、いいわけとかは…」

提督?「いや、よくないって」

金剛「良いって言ってるのっ!」


ばんっと、提督の口を塞ぐように叩かれる机

訪れた静けさの中に金剛の声がいやに響いて聞こえる


金剛「言い訳なんて聞きたくないの、ホントのことだってどうでもいいの…」


震える金剛の体、握りしめた拳、押し殺した涙声

その全てが、ただの悪戯ですまなくなったことを示していた


金剛「私は…金剛は、金剛はね…」


提督に嘘を吐かれたことが悲しいの…

そう、理解しても良い場面では合った、はずだった


金剛「羨ましいってっ言ってるのっ!」


その言葉を聞くまでは…




「羨ましいってっ言ってるのっ!」


球磨「くまくまくまくまくまくま♪」


笑っていた、それはとても楽しそうに

食堂の片隅、金剛達のコントを眺めていた球磨

オチはこんな所だろうと、あたりを付けてはいたが

本当に、本当に、しょうのない奴らだクマ


大鳳「笑いすぎよ、球磨さん?」


そして、保護者がもう一人

突然始まったラブコメに、やり過ぎないかと様子を見ていたが

まあ、案の定と言えば案の定である


球磨「何を言っている、此処は笑う所だクマ」

大鳳「そんなこと言って、案外とヤキモチ焼いてない?」

球磨「クマ?」


珍しい、からかうように笑みを向けてくる大鳳に、そんな感想を抱く

どうやら、浮ついているのはバカたちだけじゃないらしい

わざわざそれを口にするというのは、意外と本音はそこなのか…

案外と可愛いやつだクマ


球磨「舐めるなクマ、と言って差し上げるクマ」

大鳳「それ、余所の娘の…」

球磨「くまくまくまくま♪」


そんな、妙な笑い声の後


球磨「大鳳、一つ言っておく」


ー球磨の愛情に一片の曇りも無いクマー


大鳳「…」


そう、彼女は言い切った

続けて更に…


たとえ、提督に裸を見られようが

たとえ、提督に体を触れれようが

たとえ、提督が誰かと乳繰り合ってようが


何一つ、何一つだ

染みも淀みも歪みもなく、球磨の愛情は無敵だクマ


大鳳「…」


返す言葉はなかった。いや、何も言えなかった

彼女はそう言い切ったのだ、それが壁になって立ちはだかっている

その壁を壊す言葉を私はまだ持っていなかった


あの自信は何処から来るのだろう?羨ましいとさえ思う

自分だって、提督のためなら…そんな風にも言えるけど


裸を見られて触れて、平然としていられる自信はない

それどころか、目の前で誰かと乳…だなんて、そこまで大人にはなれない

そういう意味では「羨ましいっ」と

堂々と口に出来るあの娘方が、私は羨ましい


球磨「羨ましい、なんて言うなよ?」

大鳳「うっ…」


図星だった。危うく動きかけていた口をすんでの所で噤む


球磨「あこがれは目を眩ませるクマ」


羨ましいなどと言ってる暇があったら、とっとこ歩いたほうがマシだクマ


そうすれば、鈍亀だっていずれはゴールに付くのだからと


球磨「おっと、「敵わないわね」ってのもナシだクマ」

大鳳「うっ…」


図星だった。危うく喉元まで出かかっていた言葉を飲み込む


球磨「球磨が旗艦にいる以上は…お前たちには球磨の隣にまで来てもらうぞ?」

大鳳「それは…」


練度的な意味で?あるいは…


球磨「くまくまくまくまくまくま♪」


愉快げに笑っている彼女からはイマイチ読み取れないが

どっちもだったとしても、とくに困ることはないのだろう


大鳳「でも、球磨さん?」

球磨「クマ?」

大鳳「提督は、おーぷんよりも、むっつりの方が好きだと思うわよ?」

球磨「けっ、そんなフェチズムに付き合ってられんクマ」

大鳳「えぇ…」


ほんと潔いなこの娘は




「は?」


提督と瑞鳳、そして ゆー。3人が口が揃えるハーモニー

疑問というよりは疑念だ「何を言ってるんだコイツは」と


金剛「瑞鳳にもしたんでしょっ!だったらっ、金剛にもするのが道理でしょっ!」

提督?「いやいやいやいや」


そんな道理はない、あってたまるか


金剛「さぁっ!提督っ!」


Welcome!と両手を広げる金剛

だったが、すぐに「いたいっ」と、可愛らしい悲鳴と共に伸び上がる


ゆー「金剛…何を言っているの?」


その足元、ゆーに太ももを「きゅっ♪」と摘まれていた


ゆー「なんなの?ばかなの?はれんちなの?」


首を傾げ、下から金剛を突き上げるように覗きこむ ゆー


金剛「だってっだってっ、ずるいでしょっ!」

ゆー「だまって、しりませんっ、そんなことっ」

金剛「ぁぅ…」


ばっさりだった


ゆー「だいたい、AdmiralもAdmiralです…着替えを覗いた挙句に…」

提督?「だから違うって…」


すぅっと細くなるゆーの瞳

普段が大人しいせいか、そうして睨まれてみると結構怖い


提督?「その、だって…提督は私じゃなくて…こっちだって」


そうして、指差す先は隣でニヤついている瑞鳳の方だった


ゆー「Admiral…どうして素直にVerzeihung(ごめんなさい)と言えないの?」

提督?「いや、だから…」


やっぱり信じてもらえない…タイミングが悪かったってのもあるにしろ

当然といえば、当然だ。提督と入れ替わってますなんて、ラブコメかっての


瑞鳳?「球磨」


提督が ゆーの視線に焦がされ続ける合間に、瑞鳳の声が割って入る

突然の声に瑞鳳に集まる視線

そして、瑞鳳の視線は球磨の方に


特に言葉はない、瑞鳳に視線を向けられた球磨は

ただ一つ、「クマ」と頷くだけ


瑞鳳?「そっか。じゃあ…」

提督?「ちょっとっ、提督っ」


がさこそと、提督の格納…胸のポッケを弄る瑞鳳


瑞鳳?「ゆーちゃん♪手、だして?」

ゆー「ん?」


冷たい視線を向けられはするものの

一応は、素直に左手を差し出すゆー


小さな手、細い指

そっと触れてみれば、柔らかくて、すこし冷たい


ゆー「あ…」


そして…

その薬指に据えられた、銀色の指輪が桜色の光を帯びる


体がほんのり熱くなる、意識がぼぅっとして広がっていく

広がって、広がって、集まって集まって、一つに、繋がった


そうして、得られた結論は


ゆー「提督じゃないやつですって…」


提督…らしきものから、さっと距離を取り金剛の後ろに隠れる ゆー


金剛「へ?どゆこと?」


後ろに隠れた ゆーと、目の前の提督、そして瑞鳳へと

くるくると視線を移す金剛


「だから、ちがうって言ったのに…」




多摩「にゃしししし…」


浴衣一つに牛乳瓶を片手に

着の身着のままといった具合に、食堂に入ってくる多摩


「え、なに?瑞鳳が提督で、提督が瑞鳳で…」


吹き荒れる桜色の花びら、扉を開ければ案の定だった

体が乾くまで良い退屈しのぎになるかと思った所に


木曾「はぁ…」


どよんっと、黄昏れている妹の姿を見つけた


多摩「何をやってるにゃ…」

木曾「んぁ」


力なく顔を上げる木曾


木曾「なぁ…多摩よぉ」

多摩「なんにゃ。辛気臭い…」


仕方ないと、木曾の正面の椅子を引く多摩

偶には妹の愚痴に付き合うのも良いかと


木曾「提督のやつ…何時から入れ替わってんだろうな…」

多摩「あぁ…」


だいたい合点が言った

そういえば、木曾のやつ入渠してたな…瑞鳳と一緒に


多摩「そりゃ…」


何時からかと、言われれば

提督が気持ち悪くなったのが今朝方で、瑞鳳がバカになったのも今朝方の筈

導き出される結論は


多摩「提督と混浴した気分はどうだったにゃ?」

木曾「ぅぉぉぉぉぉ…」


頭を抱えて机に蹲る木曾


ああ、そうかそうだった、それなら納得がいく

瑞鳳がやたら入渠を進めてきたのも、一緒に入りたがったのも

まして、背中を流すだなどとはしゃいでたのも

あの中身が提督なら、そりゃそうなる


多摩(面白いにゃ…)


とは言わずに、お口にチャック

その代わりに…


多摩「見られて困る体をしてる奴が悪いにゃ」

木曾「してねーよっ!ぴっちぴちだよっ!」

多摩「今時、ぴっちぴちとか言う奴がいるとは思わなかったにゃ」


妹のおっさん臭さに若干の不安を覚えなくもない多摩


木曾「うっせっ」

多摩「だったら、べつに気にすることもないだろうに」

木曾「困らないからって、見せていいってわけがないだろ…」


と、いうか

濡れた髪に、火照った肌。オマケに牛乳瓶が片手とくれば


木曾「お前だって、さっき一緒だったんじゃ…」

多摩「ん?別に、減るものでもあるまいに」

木曾「…」


あの姉といい、この姉といい


木曾「もう少し羞恥心ってのをな…」

多摩「にゃふっ」


呆れ顔の木曾の頭に手を置いて、小さく笑う多摩


木曾「んだよ…」

多摩「いや、木曾はかわいいにゃ~って」


そしてそのまま、わしゃわしゃと撫でくり回す


木曾「ちょっ、やめっ、子供扱いすんなっ!」

多摩「にゃししししっ」


だから可愛いと言われるのだよ、木曾は

そうして、木曾が我慢できなくなるまで頭を撫でくりまわし続ける多摩だった




金剛「そ、そんな…金剛が、提督のことを…」

瑞鳳?「こう が気付いてくれないなんて、提督かなしぃ」

金剛「Noooooo!!」


ゆー「ねぇ、ずいほー。これは、何の遊びなの?」

提督?「大真面目だったわよ…こっちは…」



ー執務室ー


皐月「で、昨日のは何だったのさ?」


翌日。執務室には、いつもの様に皐月が机についており

ソファには寝っ転がってる提督

対面のソファには望月が伸びていて、その辺りを三日月がうろついている

そんな、日頃の正しい執務室の姿がそこにあった


提督「ああ…なんか、瑞鳳と頭ぶつけたら入れ替わっちゃってさ」

皐月「…そんな、マンガじゃないんだから…」


とは言ったものの、実際として司令官の中身がどっか行ってたのだし

あの後の皆の様子を見る分には、それが正解なのは事実らしい


三日月「司令官。お茶、此処においておきますね」

提督「あ、うん。ありがと…」


ソファの前のテーブルにゆっくりとティーカップを置く三日月


なんだろう?心なしか浮かれているように聞こえるその声音


三日月「あと、こちらの書類にも目を通しておいてくださいね」

提督「あ、はい…」


そうして、書類一枚を提督に渡すとまた皐月の手伝いに戻っていく三日月

足取りも軽そうで、調子がいい、と言うよりは機嫌が良さそうに見えた


提督(どうしたの、あれ?)


そんな疑問を込めて望月の方へ視線を送る提督


望月(さぁ?)


そんな視線に肩をすくめて返すだけの望月

そうは言っても、予想なんて幾らでも付く

たとえば、司令官の世話が焼けて嬉しくてしょうが無いとか


しかし、それよりもだ


望月(どうしたんだよ、これ?)


そんな疑問を込めて、司令官に視線を送り返す望月だった


提督(さぁ?)


望月の真似をして、肩をすくめてみせる提督

とはいっても、何となく予想は付くけど


提督(くやしい…うらやましい…もかな?)


望月の足元、彼女が寝っ転がってるソファの隅

そこに目を向けながら、そんな事を考えていた




皐月「で、金剛さんはいつまでそうやってるの?」


呆れ気味に皐月が視線を向けた先


金剛「じー…」


望月の転がってるソファの隅に腰を下ろして、じーっと提督を見つめている金剛


いつからだろうか?

少なくとも、提督や望月が目を覚ます前からそうしている気がする


金剛「だって、皐月や望月はわかってたんでしょ?」


不満そうに唇を尖らせる金剛


望月「そりゃ…」

皐月「まぁ…」


「わかるでしょ?」と、顔を見合わせる二人


金剛「ぶーっ。ずるーいー」


というか、くーやーしーいー

皐月だけならまだ良かった。一番最初から一緒にいるのだ、そりゃ分かることもあるでしょ

けども、けどもだ、実際問題として、望月も睦月も球磨だって気付いてたっていうじゃない

なのに金剛は、金剛が提督に気づかないなどと


三日月「あははは…。えと、金剛さん?私もわからなかったし」


「一緒ですね」と、宥めてみる三日月だったけども


金剛「Non!どうしてそこで諦めるのっ」


三日月を捕まえて、ガシっと肩を掴む金剛


三日月「えー…」


別に諦めてるわけじゃないけど…

ただ…でもだって、どうして分かったんだろ…


金剛「貴女言ってたじゃないっ、提督とずっと一緒にってっ」

三日月「言ってない言ってない言ってないっ」


ガクガクと肩を揺らされながらも、必死で否定する三日月


提督「そうか…三日月もいずれお嫁に行っちゃうのかなぁ」


しょぼーんと、わざとらしく肩を落としてみせる提督


三日月「ええっ!?行きません行きません行きませんって」


重ねて否定する三日月


望月「つまり司令官と一緒にいるってわけだ」

三日月「え、あ…うん」


赤くなったその顔を、金剛の腕の中に隠すようにして小さく頷く三日月


金剛「むふふふふふっ、みーかーづーきー…VeryCuteデースっ!」

三日月「わわっ!?」


その仕草が、何か金剛の琴線に触れたのだろう

突然三日月を抱きしめると、ネコっ可愛がりを始めだす


望月「揉みくちゃにされてんなぁ…」

皐月「ま、良いんじゃないの?」


今日も執務室は平和だった



ー食堂ー


卯月「いぃぃやぁぁぁ、ずいほーがおそってくるーっ」


そんな叫びと共に、ガラリと食堂の扉が開け放たれると

卯月が部屋の中に飛び込んでくる


瑞鳳「ちょっと待ちなさいよっ、何で逃げんのよあんたはっ!」


そろそろ朝食でも、何て時間

食堂の前でパッタリであった卯月と瑞鳳

そしてこれだった


いや、それだけならまだいい、それだけならまだ日常の範囲内だった

けれど、その後に続いた不適当な叫びが気になって仕方ない


卯月「やめるぴょんっ!うーちゃん今日まだ何もしてないぴょんっ、良い娘にしてたぴょんっ!」


だが、食堂に飛び込んだ所で室内は室内だ

多少広かろうがすぐに壁、程なくして瑞鳳と向き合うこととなり

ジリジリと、壁との距離を詰めていく


瑞鳳「私だってまだ何もされてないわよっ!アンタが変に逃げるからっ」


卯月の今日たって、一刻も経ってないでしょ

なんてツッコミは有りはするものの取り敢えず今はスルーだ


卯月「だって逃げないと襲われるぴょんっ!」

瑞鳳「襲わないわよっ!」

卯月「昨日は散々やったくせにっ!」

瑞鳳「私が何をしたってのよっ!」

卯月「何もしてないっていうのっ!」


そして、ついに壁に背中を預ける卯月

ドンッと瑞鳳の手が壁に置かれると、いよいよをもって逃げ場なくなる


瑞鳳「さぁ…答えなさい…昨日、私がっ、何をっ、したってっ!」


昨日…昨日の私…つまり、中身はあの人の、提督の筈だ

何をした?あの人は一体…私で何をしたって


卯月「ひぅっ!?」


ぐっと寄せられる瑞鳳の顔、いつも見慣れているその表情

子供っぽさは残るものの、だからこその可愛らしさもある


でも、今日はダメだった

昨夜、昨晩、あの日あの時、あの夜に…

どうしても、どうしても思い出してしまう


幼さの残る表情から覗いた大人びた雰囲気

触れ合った温もりと、耳元で囁かれる言葉…


卯月「なにって、だって…その…瑞鳳が…」


ふるふると揺れる卯月の体

頬には朱が差し込み、喉元からおでこの先まで

ついには、目をくるくる回し

自分の桜色の髪との境が分からなくなるほどに羞恥に身を染める


卯月「ずいほー…は、ずいほーはぁぁぁ…」


だんだんと荒くなっていく卯月の呼吸

吸っては吐いて、吐いては吸ってを繰り返し

そうやって何度目かの後、一際大きく息を吸うと


卯月「だって瑞鳳はっ!」


うーちゃんをベッドに押し倒してっ

「オシオキして、あ・げ・る♪」(←瑞鳳の真似

とか言って、さんざんうーちゃんの事いじりまわしてたぴょんっ!


溜まった空気と羞恥心を一気に吐き出したのだった




「だって瑞鳳はっ!」(以下略


夕張「Hey、弥生さんや」

弥生「なんだい?夕張さん?」


新手の羞恥プレイが行われてるその横で、随分とフランクな様子の二人


夕張「なによ、あれ?」


てか、昨日って…提督よね?


弥生「うん…まぁ、司令官は卯月を嫁に貰うべき、かな?」


意味深だ、内容に言及しないし、答えになってない分

余計な想像が妄想を膨らませようとしてくる


夕張「もう貰われてるでしょ?」


自分の首に掛かった指輪を、ひらひらと揺らしてみせる夕張


弥生「うん、じゃあ良いんじゃないかな?」


そうして、合法合法と、一人納得すると


弥生「ね、木曾さん?」


なにゆえか、木曾の方に話を投げつけた

それは、雪合戦の雪球のような気軽さで

それは、節分の豆撒きのような気安さだった


木曾「なんで、こっちに話を振るんだよ…」


そんな弥生の視線から、気まずそうに顔を逸らす木曾


弥生「ねぇ、木曾さん…」


どうして?どうしてそんなにお顔が赤いの?


木曾「あかくねーし…」

弥生「ふーん。それじゃあ…」


いったい、今何を考えていたの?


木曾「別に…」

弥生「ふーん…」


視線を刺し続ける弥生と、視線をそらし続ける木曾

いつまでそうしてるんだろ?と、それを眺める夕張

三者三様視線は交わらずも、そんなに長くは続かなかった


「木曾さんのえっち…」


肩に置かれるような弥生の言葉

聞こえないはずはない、むしろ視線をそらしてる分余計に耳に残るくらいだった


木曾「なぁ…やよい」


もそっと、その場から立ち上がる木曾


弥生「なぁに?」

木曾「お前、俺のことからかってるな?」


腰の軍刀を挿し直し、羽織った外套をはためかせる


弥生「?」


いつもの無表情のままに、首を傾げる弥生

意味がわからなかった?そんな訳はない

だって、仕掛けたのは弥生の方、だからこの場合は


「今気づいたの?」


これが正解


木曾「よし、逃げる準備は良いな?」

弥生「大丈夫、任せて…」


くっと握り拳を作った後、ささっとその場から走り去る弥生


木曾「まてっ」


その後を追って木曾も走りだした


夕張「ちゃんと前見て走んなさいよー…」


というのもなんか変な気がするけど

これでまだ誰かが提督とぶつかって、何てことになったら…


夕張「弥生か、木曾さんが、ね…」


弥生は結構楽しみそうだけど…

木曾さんだと…またラブコメの始まりか…


夕張「あーあ、熱い熱い…」


さてっと、区切りをつけるように立ち上がる夕張

まあ?とにかく?

この鎮守府の数少ない大人である所の夕張さんは、しっかりお仕事するとしましょうか


あの娘達が笑ってられるように、はちょっとカッコつけ過ぎか




弥生「卯月、逃げるよ…」

卯月「え、やよ…い?」


卯月と瑞鳳の間に弥生が滑りこむと、卯月の手を引いて走りだす


弥生「ほら、はやく?」

卯月「ぴょんっ♪」


掴まれていただけの手をギュッと握り返すと

小さく微笑む弥生に、満面の笑みを返す卯月だった




弥生「あ、でも。昨日の瑞鳳の中身は司令官だったんだよ?」

卯月「ふぇ?ふぇぇぇぇ…」

弥生「かわいい…」


ーおしまいー


後書き

はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです

それではこの番組は

木曾?「よっしゃっ、木曾さんの体げっとーっ!!」
提督?「てめぇっ!ちょっとまちやがれぇぇぇっ!!」

金剛「Hey、三日月。金剛、いい事を思いついたよ」
三日月「…」
金剛「私達も提督と取り替えっこしてもらうネ。まさに一心同体デスネっ!」
三日月「ちょ…金剛さん、私は別に…ひ、ひっぱらないでぇぇぇ…」
望月「いってら~」

ー諸々のメンバーでお送りしましたー


ー以下蛇足に付きー



♪皐月ちゃんラジオ♪ 

皐月「はぁ…お疲れ様、瑞鳳さん」
提督「どうよ、瑞鳳とラブコメしたぜ」
皐月「今回はそれがやりたかっただけなのかい?」
提督「うん。ちょー楽しかった」
皐月「家の司令官が楽しそうで何よりだけどさ」



提督「さて、コメント返しのコーナーだな」
皐月「みんな、いつもありがとね」
提督「では早速」



・イタリア艦
・大鳳さん
・菊月
・リクエスト
・プロフについて



提督「それじゃ上からー」
皐月「れっつごー♪」



・イタリア艦

提督「大型建造にでも来れば、もうちょい人気出ると思うんだけどな」
皐月「最近はポーラさんも来て、賑やかになってるしね」
提督「可愛かったよね、あの娘」
皐月「変な娘好きだよね?司令官ってさ」
提督「類友でしょ?」
皐月「やめてよ、ボクまで変な娘みたいじゃんか」
提督「皐月は癒やし」
皐月「またそんな事ばっかり言って…次行くよ」

・大鳳さん

提督「あれ完全にとばっちりだったよな」
皐月「ボクは警告したよ?」
提督「私は面白かったから良かったけど」
皐月「そんなこと言って、止めるのが面倒くさかっただけでしょ?」
提督「ふふふ。次行こっか」

・菊月

提督「無知シチュって良いよねっ」
皐月「…」
提督「やだ、さっちゃんの視線が痛い」

提督「てか、あいつのボキャブラリーは何処から来るんだろうな」
皐月「司令官じゃないの?一緒になって変なアニメとか見てるじゃん」
提督「私っていうか、卯月の妹って言ったほうが納得出来ない?」
皐月「どっちも、だよ?」
提督「違いない」

・リクエスト

皐月「リクエストありがとう」
提督「北上と大井さんか、考えなくは無かったけど、結構放置気味だったね」
皐月「せっかくだから、纏めてみるかい?」
提督「そうだね…近いうち、とまでは言えないけれど」
皐月「気長に待っててね」

・プロフについて

提督「お気遣いありがとうございます。これは私の書き方が悪かったですね」

労力が増えたということはなく
単に、このサイトの仕様に引っかかりそうだったというお話ですね
たとえ、引っかかったとしても
前書きの項目から、本編の項目に移動させれば済む話ですので
特に問題はありませんでした

一度書いてしまえばコピペで済みますから
今後の労力が増えることもありません
むしろ、これ長すぎて本編に入るまでダルくない?って心配のほうがありますね

また、こうやってプロフを纏めるのも
私としては、いい勉強になりました
その様なきっかけを下さりありがとうございます



提督「そういえば、皆さんイベントはどうでしたでしょうか?」

家はポーラを確保するのが目標でしたので、割りと楽には済みましたが
うすうすは気付いてけど、露呈する重巡不足に悩まされる事になりました
そういう意味では、ポーラの存在は大きいですね、可愛いし、可愛いし

提督「そして、初めて阿武隈改2を投入してみました」

結局、イベント期間中は阿武隈を脅かす遊びが流行ってた気がします

皐月「ボクは恥ずかしかったよ…初月さんに「子供か君は」とか言われるし」
提督「私は子供扱いされるの好きだけどな」
皐月「開き直らないでよ、もぅ…」

皐月「さて、今日は此処までかな」
提督「今回もたくさんの閲覧、コメント、評価、お気に入り、応援と、誠にありがとうございます」

提督「梅雨に入って、なんかジメジメする季節ではありますが」
皐月「でも、ボクの季節だし?明るく行こ?」
提督「というわけで、私は皐月の笑顔で乗り切ることにします」
皐月「うんっ、そうしなよっ。それじゃ、また一緒に遊ぼうな」

二人「まったねー」


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2016-09-15 04:34:37

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このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2016-06-26 19:44:15 ID: RRC-Kp-7

一から見てきて漸く追い付きました。非常に楽しませてもらってます。これからも頑張ってください

2: SS好きの名無しさん 2016-07-06 17:04:32 ID: i0qpHTYG

ラブコメの定番「曲がり角でゴッチン」からの体が入れ替わり話、頂きました。
今回も楽しく読ませてもらいました。

好感度MAXと9。
表記するとランク一つ分の違いですが、その間には絶対的な隔たりがあるということを見せつけられました。
しかし、皐月・球磨に次いで提督との付き合いが長い如月が気づけず、睦月が気付くとは…。まぁ彼女のは野生のか…コホン。
如月を始め、好感度9の面々がMAX入りするのを楽しみにしてます。

ヤキモチをやく北上様がかわい過ぎた。

次回も楽しみにしています。
暑さがどんどん厳しくなる今日この頃、作者さんもお元気で。


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