2017-03-27 20:12:27 更新

概要

交錯する想い、そして錯綜する愛。彼らは彼らなりの生き方を魅せるのだが…。
シリアスだったりコメディだったりラブコメだったりするドタバタな日常?を描く。


前書き

エヴァの長編に挑戦。どこまで続くか…


DAY 1


加持「さて、ひと仕事しますか」




…ガチャッ…


加持「…」



加持(ここは確かあいつらのアジトがあるはずなのだが…様子が変だな)


加持は銃を手に持った。


加持「…」


加持「…」


足音を静かに立てながら、ドアの方へ忍び寄る。








加持「…フンッ!!」


ドォン!!


加持「!」ガチャッ



シーン…


加持「…誰もいねぇのかよ」


加持はほっとした表情を見せ、銃を手元に持ちながらドアの側に座り込んだ。


加持「…これであと2つか。今までかなりの候補を回ってきたんだが…どれもハズレだ」


加持は今回ってきたその候補の様子を見回した。折りたたみのテーブルの上には給湯機と紙コップが置いてあり、椅子が3脚ある。1つの椅子の上には文芸誌が読みかけのまま置かれていた。近くの窓からは日光が差し込み、それらの景色を控えめに照らしていた。

加持は何かを付けるようにテーブルを触った。


加持「…ふう、いつまでもここにいたってしょうがねぇからな、お暇いたしましょうか」


加持は面倒くさそうに立ち上がり、その候補をあとにした。





加持は列車に乗り込み、ネルフ本部へと踵を返した。彼は列車の窓から見える景色をぼんやりと眺めていた。候補があった山の方からは煙が激しく立ち込めているのが分かった。


〜〜〜



加持「いやはや、もうこの仕事は飽きつつあるんですがねぇ」


ゲンドウ「…」


加持「ま、あと2つですから、それを終わらせちゃえばあとは気楽にやらせていただきますよ」


ゲンドウ「好きにしたまえ」


冬月「本当に君にはよくやってくれているよ。諜報部としての働きを確かにしているのは君くらいではないのかね」


加持「そんな、別に何も大したことやっちゃいませんよ。俺はただ、忍び込むのが得意で好きなだけですから。ここだけの話、女の部屋だって出来ますよ」


ゲンドウも冬月も何も言葉は返さなかった。

加持はため息を吐いた。ああ、貴方たちにはこの冗談は過ぎましたかなと思うように。


加持「2週間は自由時間にしてくれるんですよね。その時間、確かに俺の休息として使わせていただきますよ。じゃ」


加持はゲンドウのテーブルに下ろしていた腰を上げ、司令たちの薄暗い部屋をあとにした。


冬月「…加持リョウジ。信用に足る男かね」


ゲンドウ「…あいつにはもう少しお世話になってもらうだろう。我々の計画を実現するにはそうするしかあるまい」


冬月「…そうか」



〜〜〜


ミサト「…んああああ!もう終わんないわよ!」


リツコ「自業自得ね。あなたのミスじゃない」


ミサト「…自衛隊、政府、国連への説明なんて無理よ。裸見せたってろくすっぽ話を聞かないもの」


リツコ「そういう人しかいないのよ、あちらの人間たちは」


ミサト「だから報告書やら説明書やら出したってどうせ丸めてポイなんじゃないかって思うの。それかシュレッダーにブイイインって」


リツコ「…第一、確かに使徒は殲滅させたわよ、その面は拍手でしょうね。でもね、あなたの無茶な作戦のせいでパイロットは負傷した挙句、エヴァンゲリオンは壊滅状態、都市も同じく壊滅状態…もっと楽に倒せる方法は無かったのかって言いたいんでしょうね、あの人たちは」


ミサト「無いわよ!!」


リツコ「…ん、そうね。でもあちらは「話を聞かない」でしょ?」


ミサト「…ああああああああ!!」


リツコは両手を上げて微笑んで、コーヒーを一口飲んだ。ミサトは大量のクレームを処理するべく、文句をぶつぶつこういう風に言って働いていた。

するとミサトのテーブルに32GBのUSBメモリーがコツッと音を立てて置かれた。


ミサト「!?」


加持「…お仕事、お疲れさんです。でも、これでもう終わりだな」


ミサト「…!!あんた、いつからここにいんのよ!」


加持「今までちょっくら、ストックホルムとか歩き回ってたけど司令の命で帰ってきました」


ミサト「帰ってきました、じゃないわよ!なんで帰ってくんのよこのっ!」


加持「痛っ!…んだよ、容赦なしかよ…また3人で遊べるかなって思ってたのによ」


リツコ「お帰りなさい、加持君。ストックホルムに行って何をしてたの?」


加持「…ん、リッちゃんなら分かるかなって思ってたけどな」


リツコ「…そう」

リツコは何かを察したように下を向いて言った。ミサトは動転していてその会話をそこまで気にしてはいなかった。


ミサト「…で?このUSBで何とかなるわけ?」


加持「まあ、大抵は頷いてくれるだろうな」


ミサト「…ふーん…じゃ、ありがたく頂戴するわ」


加持「全部、君の為に集めたものさ。丁重に使ってくれ」


ミサト「…!」


加持「ん?」


ミサト「…分かってるわよ、じゃあもう私はさっさと帰るわ、じゃ!」


ミサトは大量のクレームをその場に置いていって、そのUSBメモリーだけを手に去っていった。


加持「…何だよ慣れないなぁ」


リツコ「チャンスじゃないの、加持君?」


加持「さあ、どうですかな」


〜〜〜


シンジ「…はあ。いてて…それにしても参ったな、怪我してるのにシンクロテストがあるなんて」


シンジは自動販売機の前にあるベンチに、コーヒーを片手に腰掛けていた。周りには人がいなく、一息落ち着く場所には適切な場所であった。彼はその場所に好きこのんで来ていた。

あの使徒の時の作戦はなかなか痛みを伴うものであったが、あの作戦が無ければこの星諸共吹っ飛んでいたかもしれないな、と彼は切に思っていた。アスカやレイも怪我をしたけどそこまでひどいものではない。彼と同じくらいの軽傷であったので、日常生活に支障は無かった。

今頃アスカは家で僕の帰りを待っていることだろう、とシンジは思った。強気な女だが、甘える所が可愛い女でもあった。だが…。


加持が突然現れたのはコーヒーを飲み終えて帰ろうとした矢先だった。


加持「よ、シンジくん。元気でやってるか?」


シンジ「わっ!?」


いきなり声がしたのでシンジは驚いた。


加持「そこまで驚くこたぁないだろ、内気だなあ全く、ハハハ…」


シンジ「加持さぁん…び、びっくりしますよそりゃ」


加持「そうかい?まあそれはいいとして、怪我の方は大丈夫か?」


シンジ「え、はい、まあ何とか…」


加持「そうか。それは何よりだ。まだ君にはきっと、エヴァンゲリオンを操縦する使命があるからな」


シンジ「そうなんですか…」


加持「嫌なのか?」


シンジ「嫌というか…保つかなって思いますね。肉体的にも精神的にも。今まで何度かエヴァンゲリオンを操縦するにあたって悩んできましたからね。実際、今も悩んでいるんですが」


加持「どういう悩みなんだい?」


シンジ「いや、あの…何というか…言葉にするのが難しいんですよ。漠然とした、そこに居座るような悩み。そうとしか言えないです」


加持「…そっか。まあそういう部類の悩みはいくらでもあると思うけどさ。…エヴァに乗る時はね、何も考えない方がいい。ただ目の前にいる敵を倒す事に集中するべきだ。そうすれば気付いた時には機体が回収されてる」


シンジ「…やはりそうするべきですよね」


加持「ま、パイロットの気持ちなんて分かんないけど、そうするのが手っ取り早いと思う。俺も仕事する時はそうしてるからね。俺なんかの仕事と一緒にされるのは嫌だろうけどさ」


シンジ「そんな事無いですよ!…ありがとうございます、適切なアドバイスを(…?加持さん、一体どんな仕事をしているんだろう?)」


加持「いや、アドバイスじゃないよこんなの。俺が思った事をとっさに伝えただけさ。で、別の話だけど、アスカとは上手くやってるのか?」


シンジ「え、…またいいとこ突きますね」


加持「どうなんだよ、もう手は出したのか?」


シンジ「ちょっ!そんな!事をしたら…」


加持「嘘はつかなくていいんだぜ?」


シンジ「…ぁう…」


シンジはゆっくりと頷いた。


加持「本当か!よくやったシンジ君!お前もこれで立派な大人だぜ〜。流石俺が見てきただけある」


シンジ「…もう、やめて下さいよ…」


そう言いながら、加持に肩を組まれたシンジは軽く微笑んでいるのだった。


〜〜〜


シンジ「…ただいまー」


アスカ「あ、おかえりバカシンジ。ミサト、今日遅くなるって言ってたわ」


シンジ「そうか」


アスカ「お腹空いたわ、早くご飯作りなさいよっ」


シンジ「全く、アスカも何か作れるようになれないものか…」


アスカ「あら?私が作ったっていいのよ?」


シンジ「う…結構です」


アスカ「…フッ」


アスカが作るとこの世のものとは思えんものが完成するからな…とシンジは思いながら台所に立った。


〜〜〜


アスカ「ごちそうさま〜」


シンジ「お粗末さま…」


シンジ「あ、そういえば今日加持さんに会ったよ」


アスカ「えっ!?加持さん?帰ってきたんだ~」


シンジ「そうみたいだね…」


アスカ「あら、何よ、私が加持さんに寝っ転がるのが怖い訳?」


シンジ「な、なんでそうなるんだよ!」


アスカ「だって今何か辛気臭い顔したわよね?」


シンジ「別にしてないよ」


アスカ「心配しなくてもいいわよ、だって、今日もするんでしょ?」


シンジ「えっ」


アスカ「私言ったわよね、ミサト、帰りが遅くなるって」


シンジ「」


アスカはシンジに近づき、そっとシンジを抱き寄せた。

アスカの胸がシンジの顔に当たり、シンジは柔らかい感触を覚え、心の中で動揺していた。

花のような柔らかい彼女の香りがシンジの嗅覚を過敏反応させ、鼻をぴくぴくさせた。

奮い立った気持ちは抑えられるはずもない。その証拠に、シンジは物理的に強硬な態度を取っていた。


シンジ「あぅ・・・あっ・・・」


アスカ「何よ、ちょっとくっついただけなのに大袈裟ね」


アスカは静かにシンジから離れた。


アスカ「お風呂沸いてるから先入ってくるわ」


シンジ「う、うん・・・」


アスカが洗面所まで行って扉を閉めたことを確認すると、シンジは形成を立て直すべく、コーヒーを作ってマグカップに入れ、他に何も入れずにブラックで飲んだ。熱さと苦みがシンジの舌を痛快に刺したが、その痛みが反ってシンジの心のどよめきを弁護し、鎮圧させた。ふうっと深い一息をついたシンジはシャワーの音がする風呂の方に顔を向けた。

嗚呼、僕はいつからこんなにも体たらくな人間になってしまったのだろう、と彼は切に思った。


いつだったろう、アスカが「突然僕に甘くなった」のは。


今までのアスカだったら絶対にこんな、僕を興奮させるようなことはしないはずだ。一体何故こんな性格になってしまったのだろうか?シンジは顔を伏せ、清らかに流れるシャワーの音を静かに聞いていた。



AM2:31

ミサト「・・・(加持くんから助けは受けたとはいえ、まだまだ仕事は星の数ほどあるのよね…とほほ…あー眠いわ、早くベッドの上でゴロンしたいわ…眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠いムニエr…)」カタカタカタ…


ミサト「ん?」


PC「眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠いムニエr」


ミサト「あー、体がもう限界を過ぎてつい入力してたのね…」Back Space連打


ミサト「もう、司令も鬼畜だわ…」


プシューッ


日向「あれ、まだいたんですか」


ミサト「あら、日向くんこそこんな時間まで…」


日向「大丈夫ですか?目にクマが出来てますよ」


ミサト「クマ一つくらいどうってことないわ、ええ、大丈夫よ…」


日向「休んだらどうです?無理は美容に好くないですよ」


ミサト「もう巧いこと言っちゃってー…でも今非常事態なのよ、私のあの例のミス一つで全部責任負わされたんですもの」


日向「ああ、あれですね…僕もそれでこんな時間まで働かされt…」


ミサト「・・・」


日向「うっ!ああ、違いますよ、僕も使徒が来た時に慌てちゃって指令ミス一回したんでそれの責任なんです、お互い様なんですよ、はい」


ミサト「そう…」


日向「戯言を失礼しました…(ホッ…)」


ミサト「日向くん、ちょっとさあ、この書類目ぇ通しといてくんない?」


ドサッ!


日向「うわっ…えっ、こ、この量…ですか?」


ミサト「私はまだこの6倍くらいは目通して上に提出しないといけねえのよ、だからさ、手伝って、くれるわよね?」


日向「あ…はいもちろんです…(いけねえって…)」


ミサト「よかったわ…これ以上やると…私の…体も…持たn…」


パタッ


日向「か、葛城二佐!?」


ミサト「zzz…zzz…」


日向「…寝ちゃったのかぁ」


ミサト「zzz…zzz…」


日向「・・・(ああミサトさん…クマが出来ててもすっごい肌綺麗だなあ…髪もつやつやで…)」


日向は、寝ている無防備なミサトに一歩近づいた。続いて二歩。三歩。


日向「・・・(胸が…)」


日向は、その胸をちらりと見てから…


日向「…」ツンツン


ミサトの頬を指でつついた。


日向「…っ(すごく…柔らかい、流石ミサトさん…///)」


彼は、彼自身の顔をミサトの顔に近づけた。また目が、ちらりと潤んだミサトの唇を見る。


日向「ミサトさん…僕は…俺は…」


ミサト「zzz…んー…」


日向「!?」


ミサト「んー…加持くん…ありがとね…また…あなたと…zzz」


日向「はっ…」


ミサト「グカアアアッ、zzz…zzz」


日向「み、ミサトさん…もういたんですね」


ミサト「zzz」


日向はミサトから離れた。ミサトから頼まれたものは持たず、自分の書類を持ってその場を離れた。そして、出る間際に、


日向「仕事頑張ってください、葛城二佐…」


プシューッ…


ミサト「…んー、…あら、私ったら寝てしまったわ…ん?日向くん?あれ?」


ミサトの声が虚しく空間に響く。ミサトはもう一度パソコンに向き合って仕事を再開した。刹那、ミサトは、日向に頼んだはずの書類を見た。







ミサト「…男って自分勝手よね」



AM3:00

シンジ「アスカ…」


アスカ「…なに?」


シンジ「僕は…あの、別にアスカのことは好きだし、いい友達になれたな、と思ってるよ」


アスカ「『友達』?何かの聞き間違いかしら、ここまでしといて」


シンジ「いや、まあ…確かに何かの甲斐あってこうして同居してるし、まるでかz」


アスカ「『家族』でもないでしょ、まだ」


シンジ「な…何言ってんだよ、アスカ」


アスカ「もう…バカだけあって何を言いたいのかさっぱりだわ」


シンジ「僕が言いたいのは…なんで急に「優しく」なったのかってこと」


アスカ「・・・」


シンジ「ちょっ…アスカ…やめてよ、んんっ…」


アスカ「…ふぅ。仮に優しくなってたとしたら、私は今まで傲慢だったってことかしら?」


シンジ「そ、そこまでいかないけど、今までは僕といいミサトさんといい強気な態度にずっとなってたじゃないか(まあ、ミサトさんに対しては今でも強気だし、僕に対しては人の前では落ち着くけど…)」


アスカ「・・・」


アスカは一旦それっきり黙ってしまった。窓からはしつこく明るい月光が差し込み、二人の躰を寂しく照らしていた。でも、それでもいくら明るい月だといっても人の顔がはっきり見える程明るくはない。シンジはその時のアスカの顔が見たかったのだが、光の量が不足していて可視化されなかった。ただ、薄暗い沈黙が包まれているだけのことだった。シンジはふと、浅い傷のついたアスカの胸の方を見る。シンジは、たまたま傷の部分にだけ光が照らされているのがわざとらしく思えた。月も意外と怖いもの見たさってのもあるんだな、とシンジは感心した。

するといきなりアスカはまたもやシンジに顔を近付けてきた。顔を赤らめたシンジはアスカの瞳から目を思わず逸らす。


アスカ「…ほんと、男って鈍いわね!」


アスカは自らの唇をシンジに押し込んだ。それでも光が消えることは決して無かった。




DAY 2


AM7:40

ミサト「じゃ、先に仕事行ってくるわ」


アスカ「あれ?ミサト、今日も仕事なの?それにしても何時に帰ってきたのよ、いつの間にか帰ってきてさ」


ミサト「昨日…いや今日の4時20分くらいに帰ってきたんだけど、本当はそのまま本部にいて良かったのよ!でも大事な書類を家に置いてきちゃったのに気付いてさ~…居眠り運転で家に帰ったわよ」


アスカ「居眠り運転って…」


ミサト「おかげで何台も車と正面衝突しそうになったわ…おまけに走ってる途中なんかドンっ!て聞こえたのよね、なんだったのかしら?」


アスカ「あ・・・」


シンジ(猫じゃない・・・?)


アスカ「…こほん。それは分かったわ。でもミサトひっどい顔してるわよ、大丈夫?」


ミサト「んん~、休みたいのは山々よ、でもしょうがないでしょ、全部私の責任なんだからぁ、あのマd…司令が押し付けやがったのよ。じゃ、もう行かないと間に合わないから行くわね」


アスカ「気をつけなさいよ~!」


ミサト「電車には轢かれないようにする~」


プシューッ


アスカ「あんたは車出勤だろ…全く、あんな調子で無事に本部にたどり着けんのかしら、もう」


シンジ「・・・」




ブロロ…

ミサト(うーん、眠い…いや~、ホント参ったわね、今日本当は休みだったのに潰れたわ!)


ピッピー!


ミサト「あぶねっ!」


ミサト「…ったく普通の運転も出来ねぇのか、んにゃろーが!」


対向車「ババアどこ走ってんだよ!」←ミサトには聞こえていない


ミサト(…でも…今考えればアスカってあんなに優しかったかしらね)


プップー!


ミサト「だからさっきっからあぶねーんだよオイィイイイイ!!!」


対向車2・3「教習所出直せやぁ!!」「この気違い車ぁ!!」←ミサトには聞こえていない




AM8:15

ミサト「ふぅ、やっとこさ着いたわ」


ミサト「本部に行くだけでも鬼ばかりね、もう疲れ倍増、全く…」


プルルルル


ミサト「ん、はいもしもし」


加持『おはようさん、社畜さん』


ミサト「…クソ疲れてるってのになんで朝っぱらからあんたの声を聞かんといかんのだね」


加持「あれ?俺ってそこまで嫌がれてんの?」


ミサト「もっと身の程を知ることね。それから別に私、社畜じゃないから!!こちとら好きで働いてる訳じゃあるまいし!」


加持「お?そんな言葉お父さんが聞いたら悲しむぞ」


ミサト「う、うるさい!!それとこれは違うでしょ!!で、何の用なのよ一体!?」


加持「司令から連絡があってだな…」


ミサト「…ああん?」


~~~

AM8:34

トウジ「おいシンジ、なんかなぞかけ言えや」


シンジ「は?何だよ唐突に」


トウジ「あ、それとちょっと皮肉ってな」


シンジ「何でよ…うーん……とりあえず整いました」


トウジ「早」


シンジ「SMAPと掛けまして…」


トウジ「マジかよ」


アスカ「マジかよ」


シンジ「好きなラーメンを聞いて答えられた演劇版ロミオとジュリエットと解きます」


トウジ「何やそれ…その心は?」


シンジ「どちらも、おお、味噌か!(大晦日)に尽きるでしょう」


トウジ「」


アスカ「」


ケンスケ「」


レイ「・・・」


トウジ「・・・シンジ」


シンジ「どう?うまかった?」


トウジ「お前に頼んだ俺が間違いだったわ、ごめんな」


シンジ「え、何だよ弱ったなぁ、一生懸命考えたのに」


アスカ「シンジ」


シンジ「あ、アスカはどうだった?」


アスカ「殺したいほどつまんなかったわよ」ニコッ


シンジ「」


~~~

同時刻

司令室


ミサト「ほんっとに申し訳ありませんでした…!」


冬月「全く君には呆れたものだよ、一体違法運転とはどういうことかね」


ミサト「それは司令が私の事さんざん働かせたあg」


ゲンドウ「何だね」


ミサト「…ぐっ(それは司令がわたしのことさんざん働かせた挙句、責任全部私に押し付けて精神的疲労および肉体的疲労を加担させて死の淵にまで私を追い込んだからって言いたいんだけどオォオオオオオオオ!!!)」


ゲンドウ「反論があるなら言いたまえ」


ミサト「そ、そんな、反論なんてないですよオホホ…きっと私の生活管理の不備が起こした疲労による結果だと思います。反省しておりますのでどうか懲戒処分だけは自粛していただきたいのですが…」


ゲンドウ「ダメだ、これではNERVの顔に泥を塗ったままになってしまう。降任だ」


ミサト「え・・・」


ゲンドウ「と、言いたいところだが」


ミサト「!?」


ゲンドウ「お前の顔を見ているとそのような状況であるということがよく分かった…特別に厳重注意に留まっておこう」


ミサト「はぁ…っ!ありがとうございます!!」


冬月「碇!」


ゲンドウ「構わん。私がこの分の責任をとろう」


冬月「・・・」


ゲンドウ「以後、もし同じことが起こったら…どうなるかは分かっているはずだ。主軸官吏であろうと私は消す」


ミサト「はい、気を付けます!失礼しました!!」ペコリ


プシューッ


冬月「…あいつに借りでもあるのか」


ゲンドウ「どの口が言っているんだね、冬月」


冬月「…失礼した」


ゲンドウ「…」



NERV本部廊下

ミサト「…フッフ~!!」


すれ違った職員「!?」


ミサト「なんかよく分かんないけど、降任免れて超ラッキ~!そういや司令とあのバカがなんで知っているのか聞くの忘れたわ…」


~~~

レイ「・・・」


プップー!!


レイ「・・・?」


ルノー(ミサト)「あぶねぇな、くたばれ!!(ドップラー効果)」


対向車「てめぇ対向車線走ってんぞオイ!!(ドップラー効果)」


レイ「!?!?」


ブーーン…


レイ「・・・」


~~~

ミサト「うーん…誰かに見られてたのかしらねえ、そうとしか思えないけど、疲れすぎてて何を怒鳴ってたのか見当もつかないわ」


廊下を歩いていくと、ある職員とミサトはすれ違った。


ミサト「あ、日向くん」


日向「あ、どうも…お疲れ様です」


ミサト「昨日なんで私の頼んだやつバックレたのよ」


日向「僕の仕事がどうしても優先なんで…じゃ」


ミサト「えっ、あっちょっ、日向くん!」


日向はそのまま無言で歩き去ってしまった。


ミサト「何よ、日向くんってあんなに冷たかったかしら?私が上司だってのに…ヤな感じ」


~~~

AM10:00 第1管制室

リツコ「日向くんが冷たいですって?」


ミサト「そうなのよ、私、何かしたかしら?」


リツコ「まあ、たまにはそういう風に部下に距離を置かれても良くって?それにあなた、ヘマしたところ司令と加持くんにバレたしね」


ミサト「そう!そう!一体ぜんたい誰が見てたのよ!?」


リツコ「知る程暇じゃないわ。でもね、あなたはこの日本を守る重役に就いていることを忘れない方がいいわよ」


ミサト「それなりに見られてるとでも言いたいの?」


リツコは黙ってマルボロを吸った。そして煙をゆっくりと吐いた。広い空間の管制室に煙が漂う。


ミサト「けほっ…分かったわよ、それなりに気を付けておくわ…」


リツコ「よろしい」


ミサト「ここタバコ吸っていいの?けほっ…」


リツコ「MAGIはタバコが好物なの」


ミサト「巧い事言うわ…」


プシューッ


加持「よっ、ここにいたのか二人とも」


ミサト「ちょっとあんた、なんで私が危険運転してたって知ってたのよ!?危うく首をチョン切られるトコだったわ!」


リツコ「ミサトもお上手ね」


加持「何でって言われてもなぁ…小耳にはさんだだけだし」


ミサト「話してたのは誰よ!」


加持「あー、めんどくさそうだから言わないっと」


ミサト「ちょっ!言いなさいよ!ねえ!」


ミサトは加持の胸ぐらを軽くつかむ。


加持「おいおい荒くなるなよ、済んだことなんだからさぁ。それに、俺が言ったらお前はそいつに飛び掛かるだろうに」


ミサト「チェーンソー持ちながらね」


加持「おぉ、それは怖い怖い」


リツコ「ミサト、そんなことより悩んでることがあるんでしょ?私みたいな薄情者より加持くんに聞いた方がよっぽどいいわ」


ミサト「こいつの方が薄情者よ!!」


加持「何を失礼な…」


リツコ「じゃ、私ちょっとマヤから書類貰ってくるから」


ミサト「あ、リツコォ!!逃げるなァ!!」


リツコはおおらかに笑ってみせて、管制室を出た。


管制室の中は二人になった。


加持「で?何に悩んでいるんだい?悩めるみそz」


パァアンッ!!


職員「何だ、銃声か!?」


リツコ「違うわ、火花が散った音よ」


~~~


シンジ「ふうー…流石に数学2時間SPは応えたなあ」


アスカ「バカシンジ!帰るわよ!」


シンジ「あ、うん」


レイ「碇君」


シンジ「えっ?どうしたの綾波」


レイ「解の公式、教えて…」


シンジ「あ、あれね。そいつはa、b、cに数を代入して…」


アスカ「ちょっとー、何やってんの?」


シンジ「あ、すぐ終わるから待ってて!」


アスカ「ふーん、じゃ、廊下にいるわ」


シンジ「うん、ホントにちょっとだから」


アスカ「・・・」


シンジ「…で、代入したら答えが出るでしょ?」


レイ「こんなに複雑なのに、これが答えなのね…」


シンジ「あ、そうなんだよ、こんなのたくさん出てくるから今の内に慣れておいた方がいいよ」


レイ「…そう、分かったわ」


シンジ「何か失礼なこと言うけど…綾波って理系?」


レイ「…数学、得意じゃないの」


シンジ「あ、そうなんだ…好きな教科とか、無いの?」


レイ「…英語」


シンジ「あ、やっぱりね!この前のテスト何点だったの?」


レイ「満点」


シンジ「ふぁっ!す、凄すぎ…(即答だったなあ…)」


レイ「・・・」


シンジ「へえ、英語が出来るなんて、かっこいいね、綾波」


レイ「!」


シンジ「じゃあアスカ待たせてるから、帰るね」


レイ「碇君」


シンジ「ん?」


レイ「あ、ありがとう・・・///」


シンジ「…う、うん!またいつでも聞いてね、じゃっ!」


レイ「ええ…」


シンジ(何だろう、体が熱い…///)




アスカ「もう、遅い!あんたってそんなに教えるのが下手だったのねえ」


シンジ「そういうことじゃないよ、とりあえず、帰ろう」



いつもの通学路。誰の学生もいない道を二人で歩く。日はほぼ西側に落ち、それとは反対側に、ぼんやりと月が現れていた。


アスカ「ねえシンジ」


シンジ「何?」


アスカ「あのさ…私とえこひいき、どっちに魅力を感じるの?」


シンジ「何だよそれ…ただ一個教えただけじゃないか…」


アスカ「違うわ!別にジェラシーとか、そういうんじゃないの」


シンジ「僕にはそうとしか見えない…」


アスカ「うるさい!誰もあんたの事なんか見てないし!」


シンジ「なっ…」


アスカ「とにかく!どっちなの!早く答えなさい!」


シンジ「そんな、一概には言えないよ」


アスカ「はあ…これだからねえ、男っちゅーのは」


シンジ「逆の立場で考えてみなよ!絶対アスカだって言えないからね!」


アスカ「そんなことないわ!私だったら、一刀両断よ!」


シンジ「じゃあ僕と加持さん、どっちが好きなんだ!?」


アスカ「シンジに決まってるわ!あ」


シンジ「エ…」


二人はそのまま何もしゃべらずに歩いた。ミサトの家の前に差し掛かった時、シンジは思った。






シンジ(アスカから、初めて好きって言われたなあ…)




アスカは呟いた。


アスカ「…私だって、英語満点だったのよ」


~~~


ガタン!


ミサト「っうあ~!そうなのよん…」


加持「なるほどねぇ~、部下がなんかそっぽを向いてる感じがすると…」


ミサト「あたぁしはぁ~、仕事のチェックだけしでもらいだがったのぉ!」


加持「そっかそっか…まあ飲め飲め」


ミサト「言われなくとも~ごくっ、ごくっ…」


加持(もうこれで何杯飲んでるか知れたもんじゃない…)


加持たちは比較的落ち着いたバーで酒をともにしていた。ところがミサトは調子に乗って信じられない量の酒を飲みまくっていた。ミサトの泥酔を危惧する店員や周りの客はチラチラと彼女たちを見ながら夜酒を嗜み、提供していた。加持はそんな状況に少しうんざりしながらバーボンを一口飲んだ。ミサトはいつもの調子で酒を飲み続ける。彼女からは若干のアルコールの匂いがする。これでもまだ「若干」だからミサトには目を見張るものがある。

店のスピーカーからはマイルス・デイヴィスのジャズが静かに流れていた。


加持「その後、日向くんに一回でも顔を合わせたのか?」


ミサト「ええモチよ!廊下でね。でもすごい仏頂面しててさぁ、もうなんか、『はい、はい…』みたいな感じなのよ!!ムカつかない?!お前が飯食えてんのは、この世界が滅亡しないのは私のおかげだってんのに!!あ~あ、もう何の障害もない晴耕雨読の生活を一回でもしてみたいものね…」


加持「いいぞぉ、晴耕雨読は。晴れの日はスイカとか野菜とか育てて、雨の日は雨の音を聞きながら志賀直哉の小説をじっくり読むんだ。のどかな生活だろ?」


ミサト「なんで志賀直哉なのよ、そこは朝井リョウでしょ」


加持「お、割と現代的だな」


ミサト「ん~いいなぁ~!そんなのんびりとした生活なのよ、私が求めてるのは…」


加持「別に、司令は『好きにしたまえ』って言って許してくれるだろうけど」


ミサト「そういう訳にはいかないでしょ!どーせ、あの司令だって私がいないと何にも出来やしないのよ」


加持「どうして分かるんだい?」


ミサト「簡単なことよ、子育ても自力で出来ないんだもの」


加持「…そっか。まあ確かにな」


ミサト「あの子…シンジくんを見てるとやっぱり可哀想ねぇ。お父さんに似てナイーブで、打たれ弱くてね…。もしあのままでいたならきっと生き続けることは出来なかったんじゃないかしら」


加持「そんな状態を救ったのはエヴァと司令と、そしてミサトだと」


ミサト「まぁ…ね。司令とかエヴァとかは救ってるかどうかは分からないわ。ただ恐怖と苦痛を与えてるだけかもしれないわ。…でも、自分の役割が担えただけでもすごく気が楽になったんじゃないの?第一、これまたお父さんと似てて私がいないと何も出来ないのよ」


二人はクスクスと笑った。加持はミサトがもっと大胆に笑うかとばかり思っていたので少し身じろぎした。


加持「…そっか。そんな風に酔っぱらっててもシンジくんの事を真面目に話すってことは親の役割が担えてるっていう証拠だ。俺は些か安心したよ」


ミサト「ま、当然よ!」


加持「まあでも、シンジくんもシンジくんでやっぱりエヴァに乗るという事に疑問を感じがあるみたいだけどな」


ミサト「…何で?」


加持「漠然とした悩み。そうとしか言えない…らしい」


ミサト「そんなことを言ってたの?」


加持「ああ。使徒殲滅の翌日のシンクロテストのあと、たまたま会ったんだ。そこでそんな…ことを聞いた」


ミサト「・・・」


加持「それに…これも出来始めているらしい」加持は小指をピンと立てた。


ミサト「えええええええええええええええ!!!???」


一斉に周囲の客がふっとこちらに向いた瞬間だった。それらの目には憤怒と怯えの色が見えた。ミサトが口を手で押さえると客たちは元の姿勢へと戻った。


ミサト「…ごめんなさい。ね、ね、それってどういうことよ!?」


加持「いや、俺もよく分かんねえけどさ、そんな感じだった」


ミサト「相手とか…聞いた?」


加持「キイテナイヨ」


ミサト「何だ…つまんないの。そこは歯を引っこ抜いてでも聞かないと」


加持「ほんとにお前って恐ろしい女だな」


後書き

随時更新します。


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